環境経済学 Environmental Economics

Yasuhisa Hayashiyama
環境経済学
Environmental Economics
第7章 費用便益分析:便益
Chapter.7 BenefitBenefit-Cost Analysis: Benefits
被害の直接測定
(Measuring Damages Directly)
① 排出量の測定
② その結果として生じる周辺環境質の解明
Physicist
③ 人々がそれに及ぼされる程度の評価
Biologist
④ 健康等の物理的な影響の測定
⑤ こうした環境諸影響の価値に対する評価
Economist
Can We Measure the Economic Value of
Environmental Amenities ?
V.Kerry Smith(1989)
North Carolina State University
Raleigh, North Carolina and
Resource for the Future
Washington, D.C.
1
汚染が生産費用に与える影響
(The Effect of Pollution on Production costs)
S1
$
S2
Improvement in Net Incomes
p1
a
d
b
c
e
q1
q2
Quantity of Output
被害直接測定アプローチの問題点
(Problems with Direct Damage Approaches)
市場中心の計測(
市場中心の計測(観察可能な影響のみの計測)
観察可能な影響のみの計測)
人々の行動の変化・調整を考慮する必要性
(例えば,回避的行動(Averting
例えば,回避的行動(Averting Behavior))
支払意志
(Willingness to Pay)
RP: Revealed Preference(顕示選好
Preference(顕示選好)): Indirect
(例)・昨日の20:00
に何チャンネルを見ましたか?
(例)・昨日の20:00に何チャンネルを見ましたか?
・投票日の出口調査から当選者を予測
SP: Stated Preference(表明選好
Preference(表明選好)): Direct
(例)・明日の20:00
に何チャンネルを見ますか?
(例)・明日の20:00に何チャンネルを見ますか?
・選挙前の世論調査から当選者を予測
2
環境質の評価手法
(Benefit Evaluation of Environmental Quality)
代替法
(Aversive Expenditure Method etc.)
etc.)
間接的
(Indirect)
旅行費用法
(Travel Cost Method)
ヘドニック・アプローチ
(Hedonic Approach)
仮想評価法:CVM
仮想評価法:CVM
(Contingent Valuation Method)
コンジョイント分析
(Conjoint Analysis)
直接的
(Direct)
代替法
(Aversive Expenditure Method etc.)
etc.)
防止支出法
(Aversive Expenditure Method)
再生費用法
(Replacement Cost Method)
DoseDose-response Techniques
評価したい環境質と同等の便益を供給する財を代替財とみなし,
この財の市場価格をもって便益を評価する.
代替法(
代替法(直接支出法)
直接支出法)の概要
◆ 手法の概要
被害を被った個人または企業が被害を軽減・回避するために要
する支出額を計算する.
◆ 長所
①市場価格を使用することができる.
②経済的被害額として直接的に把握し易い.
③社会的費用の最小値を知ることができる.
◆ 短所
①一般的には効用(
一般的には効用(利潤)
利潤)低下が生じているため過小評価となる.
②計測漏れの可能性がある.
3
主要な計測例
◆ 大気汚染
○洗濯代,ペンキ塗り替え費用,医療費等の家計支出の増加分
○ゴム製品,金属製品の腐食による取り替え費用の増加
○レクリエーション支出の増加
◆騒音
○二重窓等の防音装置費用
○移転費用
○医療支出
◆温暖化
○海面上昇被害
○電力(
電力(冷房)
冷房),移住,台風,水供給
The Social Costs of Climate Change
: Greenhouse Damage and the Benefit of Control
◆ 2×CO2 (Doubling of PrePre-industrial)
World Impact: 1.51.5-2.0% of World GDP
Developed Country Impact: 11-1.5% of GDP
Developing Country Impact: 22-9% of GDP
旅行費用法
(Travel Cost Method)
◆ Hotteling(1949)のアイディア
Hotteling(1949)のアイディア
◆ Trice and Wood(1958)による実証研究
Wood(1958)による実証研究
移動には,時間と出費を要する.
TCMは,この移動に要する時間と出費のデータから,
TCMは,この移動に要する時間と出費のデータから,
非市場財である森林や浜辺などが供給するレクリエー
ション的サービスに対する需要から消費者余剰を計測
する手法.
4
IceIce-cream Stand
Location Problem
300m
Case.1
Case.2
Case.3
Case.1
Case.2
Case.3
Generalized Costs
Benefits
p
DemandW
DemandWO
DWO
DW
Demand
5
ヘドニック・アプローチ
(Hedonic Approach)
◆ 非市場財の価値が地代や賃金に帰着する(Capitalization
非市場財の価値が地代や賃金に帰着する(Capitalization
Hypothesis)
土地A
土地Aの地代
土地B
土地Bの地代
Rosen’
Rosen’s Approach (No.1)
Rosen,S.(1979):Hedonic Price and Implicit Markets, Product Differentiation
Differentiation
in Pure Competition, Journal of Political Economy,Vol.82, pp.34pp.34-55
max. u( x, z )
x ,z
s.t . y = x + p( z )
p(z):
p(z):(z1,…zn)という特性を有する財の市場価格関数
L = u( x, z ) + λ ( y − x − p( z ))
First Order Conditions
u zi
=
∂p
, y = x + p( z )
∂ zi
ux
u( x, z ) = u( y − p( z※), z※) = u※
Rosen’
Rosen’s Approach (No.2)
u ( y − γ ( z ), z ) = u ※
γ ( z ) : Bid Price
u(y − γ ( z : y , u ), z) = u ※
∂u ∂x
∂u
•
+
=0
∂x ∂ zi ∂ zi
Qy− γ = x
∂u ∂γ
∂u
•
+
=0
−
∂x ∂ zi ∂ zi
∂x
∂γ
=−
Q
∂ zi
∂ zi
u
γi = z
i
ux
付け値関数γ
付け値関数γをziで微分したγ
で微分したγiは,
効用関数においてz
と合成財xの
効用関数においてziと合成財x
限界代替率を表している.
◆p(z)=γ
p(z)=γ(z)の関係?
(z)の関係?
※最適行動により財を購入した場合: p(z)=γ
p(z)=γ(z)
※p(z)<
p(z)<γ(z)の場合
(z)の場合
※p(z)>
p(z)>γ(z)の場合
(z)の場合
◆同質な消費者しか存在しない場合
市場価格曲線(p(z))
と付け値関数((γ(z))は一致
市場価格曲線(p(z))と付け値関数
(z))は一致
6
市場価格曲線の考え方
◆異質な消費者が存在する場合
価格
市場価格関数
(p(z))
市場価格関数(p(z))
オファー価格関数(o(z,
β,π))
オファー価格関数(o(z,β
付け値関数
付け値関数((γ(z))
環境質(z)
環境質(z)
ヘドニック・アプローチによる
環境変化の経済的評価
価格 ◆ヘドニック・アプローチによる環境評価
p(z)
※WTP=
WTP=Compensating Variation
※市場価格関数の過大評価傾向
p(zW)−p(zWO)
γ(zW,u※)− γ(zWO,u※)
γ(z)
zWO
zW
環境質(z)
環境質(z)
仮想評価法:CVM
仮想評価法:CVM
(Contingent Valuation Method)
環境質が改善する場合に,支払ってもよいと考える
金額
(支払意志額:W
支払意志額:Willingness to Pay)
環境質が悪化する場合に,もとの効用水準を補償し
てもらうために必要な補償金額
(受取意志額:W
受取意志額:Willingness to Accept Compensation)
を直接的に質問する方法
直接的に質問する方法
7
CVMの質問
CVMの質問
(Questionnaire of CVM)
《環境が改善された場合》
環境が改善された場合》
WTP:「現在の環境質が改善するという事業が計
WTP:「現在の環境質が改善するという事業が計
画されています.この事業を実
施するため
施するため
には,あなたは最大いくらまで支払いますか?
(=CS)
CS)」
《環境が悪化した場合》
環境が悪化した場合》
WTA:「現在の環境質が改善するという事業が計
WTA:「現在の環境質が改善するという事業が計
WTP:「現在の環境質が悪化するという事業が計画されています.この事業を中
WTP:「現在の環境質が悪化するという事業が計画されています.この事業を中
画されています.この事業が中
止されること
止させるためには,あなたは最大いくらまで支払ますか?(=
(= ES)
止させるためには,あなたは最大いくらまで支払ますか?
ES)」
になるとしたら,あなたは最低
いくらの補償が必
WTA:「現在の環境質が悪化するという事業が計画されています.この事業が実
WTA:「現在の環境質が悪化するという事業が計画されています.この事業が実
施された場合,事業実行以前と同じ状態に戻すためには,あなたは最低
要です
か?(=
ES)
)」
か?(=ES
いくらの補償が必要ですか?(=
いくらの補償が必要ですか?(= CS)
CS)」
Framework for CVM
①財の定義(Product
財の定義(Product Definition)
=評価対象財は何であるのか?
②母集団の定義(Population
母集団の定義(Population Definition)
=アンケート調査の被験者と拡大範囲?
③支払形態(Payment
支払形態(Payment Vehicle Definition)
=支払形態の決定基準?
④質問方法(Elicitation
質問方法(Elicitation Method)
=金額をどのように回答させるか?
Elicitation Method
※ OpenOpen-end Type…
Type…Direct
① Free Answer(
Answer(自由回答形式)
自由回答形式)
② Interative Bidding Game(
Game(反復繰り返しゲーム)
反復繰り返しゲーム)
※ClosedClosed-end Type…
Type…Indirect
①Payment Card(
Card(支払カード方式)
支払カード方式)
(SingleSingle-Bounded?)
Bounded?) Dichotomous Choice
②DoubleDouble-Bounded Dichotomous Choice
(二段階二項選択形式)
二段階二項選択形式)
回答しやすい支払方法?
8
DoubleDouble-Bounded Dichotomous Choice
農地は洪水の防止や災害時の避難場所として重要な役割を果たしていま
す.
そこで仮の話ですが「農業をめぐる環境の厳しさや,宅地化によって
さらに農地が減少し,これらの防災機能を十分に果たせなくなった」状
況を想像して下さい.
こうした事態を避けるために,○○
地域の住民の方々から農地の維持と
こうした事態を避けるために,○○地域の住民の方々から農地の維持と
農業の継続を支援するための資金として任意の募金を募ったとします.
を支払って
あなたは,この募金として1世帯当たり年間1,000円
あなたは,この募金として1世帯当たり年間1,000円を支払って
も良いと思いますか.1つに○
も良いと思いますか.1つに○印をつけて下さい.
1.はい(募金してもよい)
2.いいえ(募金したくない)
1.に○
1.に○印をつけた方のみお答え
下さい.では募金が3,000円
下さい.では募金が3,000円
だったらどうですか.
2.に○
2.に○印をつけた方のみお答え
だっ
下さい.では募金が500円
下さい.では募金が500円だっ
たらどうですか.
1.はい(募金してもよい)
2.いいえ(募金したくない)
1.はい(募金してもよい)
2.いいえ(募金したくない)
Economic Theory of CVM
(Hanemann Model[1984])
◆世帯の効用関数u(j,
世帯の効用関数u(j, y; s)は,環境改善を望むか否か
s)は,環境改善を望むか否か
j(j=
y,個人属性ベクトルs
j(j=1:Yes, j=
j=2:No),所得
2:No),所得y
,個人属性ベクトルsで構成
◆ランダム効用理論(Random
ランダム効用理論(Random Utility Theory)の適用
Theory)の適用
~
u(j, y; s)=
s)=v(j, y; s)+ε
s)+εj (j=
(j=1,2)
~
εj :平均0
平均0のランダム項,v(
のランダム項,v(・・):効用の確定項
◆仮に環境改善にA
仮に環境改善にA円の価値があるとする
円の価値があるとする
~
~
v(1, y−
y−A; s)+ε
s)+ε1 ≧ v(2, y; s)+ε
s)+ε2 …環境改善に賛成
~
~
v(1, y−
y−A; s)+ε
s)+ε1 < v(2, y; s)+ε
s)+ε2 …環境改善に反対
◆確率分布を与え,効用最大化行動を仮定する
~
~
P1=Prob.[v(1,
Prob.[v(1, y−
y−A; s)+ε
s)+ε1 ≧ v(2, y; s)+ε
s)+ε2 ]
P2=1−P1
~
~
◆η≡ ε2 −ε1として確率分布関数をF
として確率分布関数をFη(・)を仮定する
P1=Fη(Δv),
v), Δv=v(2, y; s)−
s)−v(1, y−
y−A; s)
◆確率分布としてGumbel
分布を仮定する
確率分布としてGumbel分布を仮定する
P1= Fη(Δv)=
v)=(1+
(1+exp(
exp(Δv))-1
◆ v(1, y−
Δv=(α − α )+β
y−A; s)=
s)=α1+β(y−
(y−A)
)+βA
⇒ Δv=α+2βA 1
v(2, y; s)=
s)= α2+βy
∽
◆Mean WTP =E[WTP]=
E[WTP]=∫ [(1+
[(1+exp(
exp(α+βy))-1]dA]
0
=(1/
expα
α]]
(1/β)[α
)[α−ln[1+
ln[1+exp
◆Median WTP=−
α/β
WTP=−α
9
WTP Estimates
Prob.(Yes)
Prob.(Yes)
Prob.(Yes)
=(1+
Prob.(Yes)=
(1+exp(
exp(Δv))−1
ΔV=V(No)−
V(No)−V(Yes)
100%
50%
↑ ↑mean WTP
median WTP
0
WTP
WTP Distribution
Freq.
WTP Distribution
Normal Distribution
WTP(Low)
↑
↑↑
Median
Mean
Mean=Median
WTP(High)
Bias Factors of CVM [Mitchell and Carson(1989), NOAA(1992)]
①提示された状況伝達の不正確さ
理論的誤認バイアス
評価対象誤認バイアス
シンボリックバイアス
部分−全体バイアス
地理的部分−全体バイアス
便益の部分−総合バイアス
政策の部分−包括バイアス
尺度バイアス
供給可能性バイアス
状況誤認バイアス
支払媒体バイアス
財産権設定バイアス
供給方法バイアス
予算制約バイアス
評価質問方法バイアス
調査構成バイアス
調査順序バイアス
・提示されたシナリオが理論的現実的に見て謝りを含む場合に生じるバイアス
・評価対象財の内容に関する回答者の認識が誤っている場合に生じるバイアス
・評価対象財の代わりに他のシンボリックな財の価値を評価してしまうことによって生じるバイアス
・評価対象財を含むあるいは評価対象財の一部分をなす財の価値を評価してしまうことによって生じるバイアス
・評価対象財の地理的範囲を誤認することによって生じるバイアス
・評価対象財に起因する便益の範囲を誤認することによって生じるバイアス
・評価対象財としての政策案の範囲を誤認することによって生じるバイアス
・評価尺度を認識することによって生じるバイアス
・評価対象財の供給可能性を誤認することによって生じるバイアス
・指示された状況に関する被験者の認識が誤っている場合に生じるバイアス
・支払媒体の記述が誤認されたり,支払媒体の設定自体の価値評価が回答に含まれてしまうことによって生じるバイアス
・評価対象財の所有権が誤認されたり,所有権の記述が曖昧であることにより生じるバイアス
・評価対象財の供給方法が誤認されたり,供給方法選択自体の価値評価が回答に含まれてしまうことによって生じるバイアス
・予算制約条件が誤認されることによって生じるバイアス
・評価対象財の評価方法の設定条件が誤認されることにより生じるバイアス
・調査対象財を説明する目的等で事前に被験者に資料を示すことにより生じるバイアス
・複数の財の価値評価を問う場合に,前問までの回答を織り込む(腕に一定の額を払って財の供給を受けたと仮定する)ことにより
生じるバイアス
②設問と回答の意図の乖離
戦略的バイアス
追従バイアス
調査主体バイアス
質問者バイアス
慈善バイアス
③提示方法による誤った誘導
開始点バイアス
範囲バイアス
関係バイアス
重要性バイアス
位置バイアス
・被験者に望ましい方向になるような回答をすることにより生じるバイアス(ex. Free Rider)
・質問者に喜ばれるような回答をすることにより生じるバイアス
・被験者が質問者にとって望ましいと思われる回答をすることにより生じるバイアス
・面接調査の場合,質問者にとって望ましいと思われる回答をすることにより生じるバイアス
・「倫理的に正しい行為」い対する「慈善」としての寄付金を加えて回答することにより生じるバイアス
・支払意志の有無を尋ねた場合に,最初に提示した額の方向に生じるバイアス
・回答額の範囲を提示した場合に,その範囲の中間方向に生じるバイアス
・評価対象財と他財との関係に関する情報を与えた場合に生じるバイアス
・質問行為に評価対象財の重要性を暗示する内容が含まれる場合に生じるバイアス
・質問の順序等が評価対象財の価値の序列を暗示する場合に生じるバイアス
10
コンジョイント分析
(Conjoint Analysis)
◆Luce and Tukey(1964)による理論構築
Tukey(1964)による理論構築
◆Market Research分野における適用
Research分野における適用
何ml?
ml?(容量)
容量)
いくら?(
いくら?(価格)
価格)
見た目?(
見た目?(色)
美味しい?(
美味しい?(味)
その他の属性
(場所・・・
場所・・・))
CVM and Conjoint Analysis
環境状態A
環境状態A
CVM
環境状態B
環境状態B
属性1
属性1状態A
状態A
属性2
属性2状態A
状態A
属性3
属性3状態A
状態A
属性4
属性4状態A
状態A
コンジョイント分析
属性1
属性1状態B
状態B
属性2
属性2状態B
状態B
属性3
属性3状態B
状態B
属性4
属性4状態B
状態B
【資料】
:環境評価入門,勁草書房
資料】鷲田豊明(1999)
鷲田豊明(1999):環境評価入門,勁草書房
完全プロファイル評定型コンジョイント
(Full(Full-profile Rating Conjoint)
◆商品プロファイルを被験者に提示し,
その商品がどの程度好ましいかを質問する方法
◆質問方法⇒
質問方法⇒購入確率質問法,並び替え法
次のような自動車があるとしたら,あなたが購入する可能性はどのくらいですか?
購入する確率をパーセントで回答して下さい.
赤色
小型
排気量 1,000cc
価格 100万円
100万円
購入確率
%
◆欠点:属性が多いと,質問票が飛躍的に増加する
11
ペアワイズ評定型コンジョイント
(Pair(Pair-wise Rating Conjoint)
◆2つの対立した商品プロファイルを提示し,どちらがどの程度
好ましいかを質問する方法
あなたはどちらを好みますか? 1〜9のどれかを選んで下さい.
大型
価格 200万円
200万円
小型
価格 100万円
100万円
非常に
左を好む
1
どちらも
同じ
2
3
4
5
非常に
右を好む
6
7
8
9
◆欠点:属性数が多いと,重要な属性が過小評価(Pinnel[1994])
欠点:属性数が多いと,重要な属性が過小評価(Pinnel[1994])
非現実的である仮定(
非現実的である仮定(提示した属性以外は同一)
提示した属性以外は同一)
ランキング型コンジョイント
(Ranking Conjoint)
◆複数の商品プロファイルを提示して,好ましいと思われる
プロファイルを順番に並び換えてもらう方法
あなたはどれを好みますか? 好きな順番に並び換えて下さい.
選択肢
①
②
③
1,000cc
1,500cc
2,000cc
排気量
大きさ
小型
中型
大型
100万円
150万円
200万円
100万円
150万円
200万円
価格
④
この中から
はどれも
選ばない
◆欠点:属性数が多いと,被験者が混乱する
人間は6
人間は6以上の情報を同時処理できない(Miller[1956])
以上の情報を同時処理できない(Miller[1956])
選択型コンジョイント
(Choice(Choice-based Conjoint)
◆複数の商品プロファイルを提示して,最も好ましいプロファイル
を選択してもらう方法
あなたはどちらを好みますか? 1〜4のどれかを選んで下さい.
選択肢
①
②
③
1,000cc
1,500cc
2,000cc
排気量
大きさ
小型
中型
大型
100万円
150万円
200万円
100万円
150万円
200万円
価格
④
この中から
はどれも
選ばない
◆現実性が高いため最も注目されている質問方法とされている
◆欠点:属性数が多いと,被験者が混乱する
人間は6
人間は6以上の情報を同時処理できない(Miller[1956])
以上の情報を同時処理できない(Miller[1956])
12
◆リクリエーションが以下の3つの選択肢しかなかった場合に,
あなたはどれを選択しますか?(Adamowicz,W
あなたはどれを選択しますか?(Adamowicz,W el.al.[1994])
el.al.[1994])
属 性
場所
地形
距離
釣れる魚
代替案A
代替案A
自然湖
山
50km
代替案B
代替案B
小川
山の麓
50km
カワカマス
大きい
魚のサイズ
1匹
35分に1
釣り所要時間 35分に
シロマス,山魚
大きい
4時間に1
時間に1匹
水質
ボート
遊泳
良い
不可
可
良い
不可
不可
浜
施設使用料
なし
無料
あり
6ドル
代替案C
代替案C
その他の水に
関連しないリ
クリエーション
或いは
家で過ごす
Basic Concept(MultiConcept(Multi-Logit Model)
Prob.i =
expVi
n
∑ exp Vi
, Vi : Indirect Utility Function of Alt.i
i =1
Vi = α + β p + γt , p : Price, t : Time
∂ Vi
∂ Vi
dp +
dt = 0
dV i =
∂p
∂t
β dp + γ dt = 0
Price→
Price→Income,WTP
dp
γ
Time→
→Attributions
Time
= − = Time Value
dt
β
便益推計の諸問題:割引
(Problems in Benefit Estimation: Discounting)
・$100 Benefits per year for 100years
・Discount Rate: 4%
Present
$100
After 50 years
$14.07
After 100 years
$1.98
Combine discounting with the idea of sustainability !
13
便益推計の諸問題:非利用価値
(Problems in Benefit Estimation: Nonuse Values)
環境質の価値
Value of Environmental Quality
利用価値
オプション価値
非利用価値
Use Value
Option Value
Non-use Value
遺産価値
代拉価値
存在価値
Bequest Value
Vicarious Value
Existence Value
便益推計の諸問題:支払意志と受取意志
(Problems in Benefit Estimation: WTP vs. WTA)
WTA(受取意志額
WTA(受取意志額))
WTP(支払意志額
WTP(支払意志額))
もらう(WTA)
のは良いけど,払う(WTP)
(WTP)のは嫌だ.
のは嫌だ.
もらう(WTA)のは良いけど,払う
WTAは所得によって制約されない
WTAは所得によって制約されない((∞でも可)
でも可).
WTA≧
WTA≧WTPは常に成立するか?
WTPは常に成立するか?
Compensating Surplus & Equivalent Surplus
in Environmental Improve
Income
V(QWO, y+
y+ES)
ES)
ES
y
CS
V(QW, y)
Utility CurveW
V(QWO, y)
V(QW, y−
y−CS)
CS)
QWO
Utility CurveWO
QW
Environmental Quality
14
費用便益分析
(Benefit(Benefit-Cost Analysis)
Cost
Benefit
CostCost-Benefit
Analysis
費用便益分析の手順
(Step of CostCost-Benefit Analysis)
年 次 別 便 益
年 次 別 費 用
便益の現在価値の推計
費用の現在価値の推計
経済評価指標の算定
◆費用便益比(CBR)
費用便益比(CBR)
◆経済的純現在価値(ENPV)
経済的純現在価値(ENPV)
◆経済的内部収益率(EIRR
)
経済的内部収益率(EIRR)
他国の社会的割引率
(The Social Discount Rate of Foreign Countries)
120
100
Japan
80
4%
60
6%
40
8%
20
0
1
Country
Ratio
Source
3
5
7
9
11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39
Germany
3%
RAS-W
U.K.
8%
COBA10
France
8%
LOTI
U.S.A.
7%
FHA
Year
Indonesia
12%
Government
15
現在価値
(Present Value)
d+ T 


PV of Benefit = ∑ 
t
t =0 
 (1 + r ) 
Bt
Benefit
T
d
Cost
d+T 
 Ct 
PV of Cost = ∑ 
t
t =0 
 (1 + r) 
費用便益比
(Cost Benefit Ratio)
PV of Benefit
CBR
PV of Cost
現在価値に換算された費用1単位が,そのプロジェ
クト期間において平均的にどれだけの便益を社会的
に生み出すかを表している.投資効率を判断する.
に生み出すかを表している.投資効率を判断する.
経済的純現在価値
(Economic Net Present Value)
PV of Benefit
PV of Cost
ENPV
社会的便益の大きさを純便益額として直接的に表わ
す指標.純便益の大小を判断する.
16
経済的内部収益率
(Economic Internal Ratio of Return)
PV of Benefit
PV of Cost
The discount ratio in matching
どの程度の社会的割引率まで耐えうるかを表わす指標.
各指標の関係
(The Relationship between Each Index)
Project A
CBR
ENPV EIRR
130
1.3
30
6%
50
1.7
20
12%
100
Project B
30
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