シアトル調査報告 - 国立大学法人 北海道教育大学

[調査報告]
シアトル調査報告
川邊 淳子・内田 啓太郎・戸田 須惠子・田中 昌弥・佐藤 吉文
(北海道教育大学米国理解教育研究プロジェクト現地派遣チーム)
≪シアトル 1 日目(2002 年 10 月 28 日)≫
[ボ−イング社におけるセミナーおよび見学]
ボーイング社においては,今回のプロジェクトのテーマでもある「Diversity」に関して,企業として
の取り組みについて午前中セミナーを受け,昼食をはさんで午後からエベレット工場見学となった。
米国においてのはじめての朝を迎え,コーディネーターのアイリーンさんとその旦那さまの運転する
バンで,日本とは比べ物にならない広いエクスプレス・バス・ルートを北に進んでいくと,やがて女の
子が飛行機の前でたたずむ切手のペイントが施された,巨大な白い大きな倉庫が目に飛び込んできた。
さらに,駐車場に入っていくと,「ワーッ」という派遣者の声。これまた駐機場らしきところに,世界
各国の航空会社の飛行機に混じって,日本の ANA 機が置かれてあった。聞けば,製造が完了し航空会
社の受け取りを待っているのだという。シアトルだけでなく世界の空を支える産業は,ここで日夜生ま
れているのかと思うと,不思議でもあり非常に感激した。
駐車場につくと,関係者の方がいらっしゃるまで Gift Shop などを見るなどしてしばしの休憩をとっ
た。ほどなくツア−のお世話をしてくださる Dean P Tougas 氏(Communicating Manage Shared
Services Group)が登場され,一人一人に首から下げる入構証を配布してくださった。事前のお話で,
情報漏れがないように,セキュリティ−チェックは厳しいと聞いていたが,ビデオ・カメラ・携帯電話
などはもちろんのこと,バックの持ち込みもすべて不可なのである。通訳でお世話になった Yumi さん
の自家用車の中に,みんなで荷物を詰めさせてもらい,大事なパスポ−トやお金などをポケットに押し
込み,バンに乗って広い工場内の一角にあるセミナ−会場へと進んでいった。整然とした非常に清潔感
あふれるオフィス棟の一室の会議室でセミナーは始まった。
Diversity に関するセミナ−
人事や雇用関係の教育に携わっているという Melvin 氏の話から始まった。まず,Diversity の定義に
関してお話をされた。以下に示すのは,当日 OHP で示された内容である。
Diversity is the collective mixture of our gobal organization talent and the uniqueness each
employee brings to our workplace. We value the dimensions of diversity that make us similar and
different such as; job experience, education, expertise, age, national origin, religion, physical
ability, race, gender, sexual orientation, life experience, position in the organization, business
group and geographical area, as well as styles of learning and communication.
ボーイング社という世界各国を相手に,様々な国籍や人種の人々が共に働く職場だからこそ,またその
人々の一つ一つの作業が積み重なって一つの飛行機という産物を生み出すがゆえに,Diversity を認め
それを貴重かつ価値あるものとして認めて行こうとする考え方には感銘さえ受けた。さらに人種構成の
将来展望に関しても,以下に示すような興味深い資料が提示された。近い将来,白人構成は半数にまで
減り,Asian Pacific や Hispanic の大幅な増加が見込まれているという。今までは圧倒的 majority な
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シアトル調査報告
Population Distribution by percent
(by USA Demographic Projections for 2050)
Race
2001
2050
White
75.1
52.8
Black
12.3
13.2
Native American
0.9
0.8
Asian Pacific
3.7
8.9
Hispanic
12.5
24.3
人種であったとしても、やがては minority な存在にもなりうるというのである。
さらに,ボーイング社の雇用者の中には,いくつかの Affinity Group と呼ばれる共通の利益を認め
るものによって結成された組合なるものが存在する。当日紹介されたのは,以下にあげる 5 つのグル−
プであった。
*
Boeing Association of Asian Pacific Americans(BAAPA)
*
Boeing Black Employees Association(BBEA)
*
Boeing Employees Association of Gays, LESbians and Friends(BEAGLES)
*
Boeing Employees Hispanic Network(BEHN)
*
Boeing Women in Leadership(BWIL)
主として学習・気づき・情報交換などを通して,個性や専門性を高めていこうとしている。また,こ
のような組合が結成されていることが,ボーイング社の個々のグループだけにとどまらず,多文化理解
への気づきや理解へとつながっていくという。特に今回のセミナーにおいては,その中でも BAAPA の
リーダーでいらっしゃる山村氏がお話しをしてくださった。やはりまず一緒に働いている仲間なんだと
いう士気を高め,互いを認め合うことはもちろんのこと,コミュニケ−ションの重要性も強調された。
今年度も Membership Services・Education・Networking・Community Services の各分野で活動をし
ていくと言うことであった。
最後にフリ−質問の中で,かなり驚いたことに,2000 年には 608 機の依頼のあった飛行機受注が,2002
年にはテロの影響もあってか,184 機に落ち込んだそうである。会社にもかなりの損害があったのはい
うまでもない。オフィス内は所々が薄暗く人もまばらであった。一機あたりの価格は少なくとも億単位
であるから,企業経営という厳しい現実の中で解雇者の人数も増加したらしい。しかし,世界 60 カ国
にオフィスを有し,145 カ国 700 種類の依頼を受け入れているのには驚いた。だからこそ,Diversity
が会社を経営する上でも避けては通れない重要課題となるのもうなずけた。またそれを認めることなし
に企業としての成功もあり得ないのである。発表は OHP を用いて行われ,非常に貴重な資料をたくさ
ん見せていただいた。短時間ではあったがかなり充実した内容であった。
商業用航空機生産部門エベレット工場見学
先ほどのバンの車窓から見ていた大きな白い倉庫の前に移動し,その倉庫のいくつかある扉のうちの
一つの厚い 6 枚扉が開けられ,私たちは中に入っていった。通常は 2 階部分からしか見られないという
ことであるが,2 階だけでなく,特別に 1 階で飛行機を下から眺めることができた。巨大クレ−ンが動
く中で,バラバラの状態から一工程ずつ約一ヶ月余りをかけて組み立てていくのだという。また作業工
程で出てきたゴミなどは,きちんとすべてリサイクルされるようになっていたのは印象的であった。
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シアトル調査報告
あの巨大な一機の飛行機が製造されているのを目の当たりにみると,すごい!の一言しかでてこない。
私たちは仕事やプライベ−トなどでいろいろ飛行機
にはお世話になるが,その多くはボーイング社製のも
のである。あらためて多くの様々な人々の思いが,あ
の飛行機にはぎっしりと詰まっているということを知
り,なんだか不思議な気分とそれを今後は知った上で
乗ることができる嬉しさが今でも混在している。
≪シアトル 2 日目(2002 年 10 月 29 日)≫
1.ホテルを出発
朝の 8 時 30 分にホテルの玄関にめいめいが集合.シアトルでのガイドを勤めてくださっているアイリ
ーンさんと,ご主人の運転するバンに分乗してタコマ(Tacoma)へ.フリーウェイを 1 時間ほど走って
タコマ市街へ入る.
閑話休題だが,シアトルでの宿,「LA QUINTA INN&SUITES」の朝食は,アメリカらしく食パンやマフィ
ン,ドーナツにコーヒーが供される他に,ご飯と味噌汁もテーブルに並べられている.シアトルでの食
事に少々食傷気味な我々には,とにかくご飯が食べられるのはありがたかった.ちなみに副食としてな
ぜかキムチが出ていた.
[African-American Museum]
フリーウェイを降りてタコマ市内に入ると間もなく
我々が目指す,
「African-American Museum」に到着した.
左の写真を見ていただくとわかるが,ミュージアムとは
いえ一見すると古びたビルにしか見えない.このビルの 1
階のフロア全てがミュージアムとなっている.
現地を訪れた際には,女性一人のみしかおらず,その方
の案内にて(もちろん通訳の方を通じてだが)
,まずはミ
ュージアムの概要について説明を受けた.
このミュージアムは今年(2003 年)の 6 月で開館 10 周年となる.東海岸の都市では,このような施設
は他にはなく,そのことをとくに強調されていた.また,案内してくださった女史の説明によると,現
在は 3000 平方フィートの広さしかないが,2004 年 6 月ごろめどに,新しい建物へ移転するとのことで
ある.
新しいミュージアムは近所にあるワシントン大学(University of Washington Tacoma)が現在の施設
を買い取る形で運営され,施設の広さも 3 万平方フィート以上に拡張されるとのことである.
このミュージアムでの展示内容であるが,基本的にはアメリカにおける African-American の差別と解
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シアトル調査報告
放の歴史について紹介されている.ただし,漫然と時系列に展示をするのではなく,特定の個人を中心
に展示がまとめられている.その中でもとくに M.L.キング牧師についての展示に多くのスペースが割か
れていた.
右の写真は,キング牧師が運動中,当局により収監された様
子をジオラマ風に展示している個所を撮影したものである.他
にも当時撮影された写真なども多く展示されており,このミュ
ージアムをまわればキング牧師の運動については一通りわか
るようになっている.
他の展示としては,ワシントン州にゆかりのある黒人につい
ての展示があり,それらの中には歴代の黒人州知事や黒人市長
についての紹介もなされていた.
これまでに述べた政治に関する展示以外にも,American-African の文化に関する展示があり,民俗衣
装や,楽器や生活用品といった道具もあわせて展示されていたことも付記しておく.
筆者は今まで不勉強であったので,アメリカにおける African-American の差別と解放の歴史について
は,ほとんど知らなかった.アメリカ市民であるかどうかを問わず,このようなミュージアムは必要不
可欠であると思うが,同時にミュージアムのある州,つまりワシントン州に関してのローカルな情報の
展示(たとえば,歴代の州知事がどのような為政を行ってきたのか,など)も行っているところが関心
できた.
先に述べたように今後施設としては拡張されるようなので,展示がのどのような広がりをみせていく
のか興味あるところである.
昼食
ミュージアムの見学後,同じタコマ市街にある「Old Spaghetti Factory」という店で昼食をとった.
店の名が表すとおり,店内のインテリは少々古めな感じに仕上げられている.
「Factory」と名がつくわ
りには,製造過程を見学できたわけではないが,何か由来があるのだろうか.
当日の昼食メニューはラザニアであった.他の店と同様にメインディッシュに加えてシーザーサラダ
と(かなり甘い)アイスクリームも食したが,アメリカで「サラダ」といえばシーザーサラダが一般的
なのだろうか.
[Washington State History Museum]
昼食後に訪れたのが,「Washington State History Museum」で
ある.このミュージアムはワシントン大学にほぼ隣接する場所
に位置している.建物の様式も大学のものと似通っているので
一見すると大学の施設のようにも思える.
まずは,オフィスに荷物を預けた後,ガイドのアイリーンさん
からミュージアムの概要について説明を受けた.説明の後はめ
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シアトル調査報告
≪シアトル 4 日目(2002 年 11 月1日)≫
[John Stanford International School 訪問]
シアトル最終日の目的は、米国の教育における多文化主義の実態を視察することである。まず訪問し
たのが、シアトルではじめての集中語学学校、ジョン・スタンフォード・インターナショナル・スクー
ルである。日系人の校長、カレン・コダマ氏が概要のレクチャーと案内をしてくださった。
この学校は、州と市の両方の財政による小学校レベルの公立学校で、2000 年 9 月、基になった学校の
100 年前の校舎を一部残しつつ、全面改築して開校された。ワシントン州立大学と共同で教育研究を行
っており、幼稚園から 5 年生まで、移民や外国籍の子どもが約 40 名、米国籍の子どもが約 340 名通っ
ている。米国籍の子どもも元は移民だった場合が多く、全体の 25%は英語を第二言語とする子ども達で
ある。日本からは 26 名の子どもが来ているという。教師の出身国も様々である。
この学校では、第二言語としてスペイン語と日本語が用いられ、数学や科学もそれらの言語で授業さ
れるが、その教育に期待されていることには、いくつかの側面がある。まず、英語ができない子どもた
ちが英語になじめるようにすること、次に、移民や外国籍の子ども達が母国語を維持すること、さらに
英語を第一言語とする子どもたちにスペイン語や日本語を教えることである。入学希望者が多く、2000
年秋には、200 名の子どもが入れなかった。選考は、近隣の住民であること、兄弟がこの学校に通って
いること、学校からの距離という順で行われ、残りは抽選によるという。
私たちが訪問した日は、ちょうど、ヒスパニックのお盆にあたる、先祖の霊を慰める行事に当たって
おり、亡くなった家族やペットの写真を持ち寄って祭壇をつくり、故人の思い出などを子ども達がクラ
スで発表していた。また、図書室では、死んだ人の魂は蝶になってメキシコに行くのだから、死んだ人
のことを悲しむのではなく、尊敬して良いことを思い出そうという内容の本を司書教諭が子どもたちに
読み聞かせていた。
教育内容や学力について、州のスタンダードとの関係を質問したところ、やはりカリキュラム内容と
テストによって州と国の基準に対応することが求められており、多文化教育のための独自カリキュラム
といってもそれを前提とした上でのものだという。しかし、学校運営や教師の選考の過程には、PTA に
student の代表が加わった PTSA が関わり、常に親や子どもの希望を取り入れながら教育することになっ
ている。また、教師には親の期待とスタンダードを踏まえてもらうが、その先の方法などは教師の創造
性に任せるという。その方が責任感をもって仕事をするので、良い結果が出るということであった。
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シアトル調査報告
9・11 テロの影響についてうかがったところ、子ども達の方から何かできることがしたいと言って来
たので、スターバックスとの共同で、スターバックスの箱 500 個に子どもが書いた励ましの手紙を入れ
てニューヨークに送ったところ、大変喜ばれたので、もう 500 個追加して送ったとのこと。子ども達が
人を励ますことの喜びを学ぶことができたのが良かったという。この学校には、イスラムの生徒も 2,3
人いて、本人の親からは不安の声が出たが、むしろ子ども達のほうが多文化の中で暮らすことの自覚を
もっており、いじめなどにも自覚的に対処できたという。
[West Seattle High School ESL クラス訪問]
この学校は、私自身は、昨年の調査でも訪問したが、今年度は、ESL の 1,2 年生クラスに絞っての視
察となった。ESL を担当している女性教師は、昨年は、カウンセラーとして私たちに対応してくれた人
であった。他に不動産関係の仕事もしているという。
シアトルでは、ESL クラスは、言語の練習をするのではなく、内容があることが大切だという観点か
ら、科学、社会、世界史などが英語で教えられている。このクラスは 3,4 年生になったら、普通クラス
に移行させることをめざして教育が行われていた。生徒達の出身国は、メキシコ、ソマリア、ホンジュ
ラス、チリ、アルゼンチン、ベトナムなどである。シアトルには 85 の言語が入っているという。
アメリカの印象を生徒達に尋ねると「自由の無い国から来たので、アメリカで自由を得られたという
気持ちがある」という生徒もいたが、
「アメリカ人にはなりきれない(メキシコからの生徒)」
「アメリカ
人になりたくなくなった。チリに帰るかもしれない」といったやや否定的な印象が多かった。
学校のスケジュールは、90 分×4 時限授業の過密さで、さらに、各教科 20 分以上、1 日合計 2 時間分
程度の宿題を課すことが基準とされているという。日本の学校の時間割を説明すると生徒達から「勉強
が少なくてうらやましいなあ」という喚声が上がった。
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