女性活用と両立支援(1)

Pension Review
<論
Aug 2006
文>
女性活用と両立支援(1)
社会システム研究所
投資工学研究所 兼 社会システム研究所
要
佐々木 隆文
杉浦 康之
約
本稿では、両立支援(家事、育児と仕事の両立)と女性活用(管理職への登用等)がどのよ
うに企業パフォーマンスに影響するのかを検討する。巷では、女性の社会進出が経済的な余裕
から出生率の向上に繋がるという見方もある一方、仕事と家庭の二者択一を求められることに
より出生率にマイナスの影響を及ぼすという考え方も根強い。実際、出産を機に多くの女性が
退職する現状では、働く女性にとって出産の機会費用(出産によってあきらめる将来の収入)
が極めて大きいと思われる。また、このような二者択一を求められる状況は、出生率への影響
のみでなく、個々人の心の豊かさという観点からも望ましくない結果に繋がる可能性がある。
なぜなら、仕事の充実で得られる満足感と家庭生活の充実で得られる満足感との間には、必ず
しも代替的な関係が存在しない可能性があるからである。
このように、社会的、個人の生き方という観点からは「女性活用と両立支援との両立」が望
ましいが、仮にこれが企業パフォーマンスに悪影響を及ぼすのであれば、絵に描いた餅となら
ざるを得ない。社内で充実した仕事と家事・育児を両立している女性の比率が増えることは、
より多様な人的資本の充実に繋がる可能性がある一方、そのような両立を支援するコストが企
業の負担となる可能性もある。日本企業の女性関連データと財務データを用いて、労働生産性
と女性活用との関係を見ると全体としてはプラスの相関関係が見られるものの、統計的に有意
とは言えない結果であった。しかしサンプルを両立支援指標で分けると、両立支援が進んでい
る企業において、労働生産性と女性活用とのプラスの相関関係が強くなった。この結果は私生
活を犠牲にするような女性活用ではなく、私生活と両立しうる女性活用がダイバーシティ効果
等を通じて企業パフォーマンスを高めうることを示唆している。次号では回帰分析により、こ
の点を詳細に分析する。
目
次
1.はじめに
2.関連理論
2.1 嗜好による差別仮説
2.2 統計的差別仮説
2.3 Diversity 効果仮説
2.4 両立支援と女性活用の補完性
3. 記述統計
Nikko Financial Intelligence,Inc
年金レビュー 2006 年 8 月号
1. はじめに
本稿では、両立支援(家事、育児と仕事の両立)と女性活用(均等度:管理職にしめ
る女性比率や従業員全体に占める女性比率)がどのように企業パフォーマンスに影響す
るのかを検討する1。巷では、女性の社会進出が経済的な余裕から出生率の向上に繋が
るという見方もあれば、仕事と家庭の二者択一を求められることにより出生率にマイナ
スの影響を及ぼすという考え方も根強い。なぜなら、出産を機に多くの女性が退職する
現状では、出産の機会費用(出産によって得られなくなる将来の正社員としての収入)
が高く、これが出産を躊躇させる要因となる可能性があるからである。また、仕事を通
じての自己実現の可能性を追求する機会が失われる可能性が出産を躊躇させる可能性
もある。実際、川口(2005)では、結婚・出産が男性の賃金に正の効果を及ぼす一方、女
性の賃金には負の影響を及ぼしており、結婚による勤続年数や就業形態、職種の変化が
女性の賃金低下をもたらしていると論じている。
そうした中、山口(2005)は、OECD 諸国の労働力と出生率との関係を調べ、1)近年
見られる労働力参加率と出生率とのプラスの相関関係は、双方に影響する国特有の要因
によってもたらされており、こうした固有の要因をコントロールすると両者にはマイナ
スの相関関係が存在すること、但し、2)そのようなマイナスの相関関係は両立支援策に
より緩和されることを示している。つまり、女性の社会進出が出生率に悪影響を及ぼさ
ないために、両立支援が重要であることを示している。
また、仕事と家庭との両立は、出生率という社会全体の観点のみでなく、個々人の「心
の豊かさ」という観点からも重要であろう。現状、わが国では、仕事でキャリアを求め
ている女性の中には、仕事と家庭の二者択一を迫られた人が少なくないと思われる。実
際、金井(2002)が論じているように、仕事と家庭の両立のためにはワーク・ファミリー・
コンフリクトがあり2, 3、そのようなコンフリクトを予見して、仕事か家庭のどちらか
を選択する女性が少なくないと思われる。更には、前述のような出産の機会費用が出産
を躊躇させる可能性もあろう。しかし、仕事のために結婚や出産をあきらめることは、
個人の「心の豊かさ」という観点からも望ましくないかもしれない。なぜなら、仕事か
ら得られる幸福感(自己実現)と家族生活の充実から得られる幸福感との間には、必ず
しも代替的な関係が存在しない人が少なくないと思われるからである。
このように家庭生活と仕事の両立は、社会的にも個々人の幸福感からも望ましいと考
えられる。しかし、日々、競争に晒されている企業にとって、両立支援と女性活用は企
業経営にとって負担となる可能性も否定できない。そこで本稿では、両立支援と女性活
用との相互関係が、企業の生産性に及ぼす影響を実証的に検討し、
「両立支援と女性活
用との両立」が付加価値最大化と矛盾するか否かを検討する4。
1
2
3
4
このような女性活用の指標については、男女の均等度と呼ばれることも多い。
金井(2002)は、キャリア志向の女性程、ワーク・ファミリー・コンフリクトが大きいこと、そのような傾向が勤務時
間拡大とともに明確になることを示している。
例えば、育児中には子供が熱を出した場合に急に会社を休まなければなくなることが多々あるが、これがストレスの
原因となることがある。とりわけ、家庭内で育児負担に差異がある場合、そのような影響は深刻と思われる。
女性の登用が企業における様々な職層での女性活用の代理変数となりうることを踏まえると、女性活用、或いは両立
日興フィナンシャル・インテリジェンス
Pension Review
Aug 2006
2. 関連理論
ここでは、女性活用が生産性や利益に及ぼす影響や、そのような影響が両立支援にど
のように依存するのかを理論的に整理する。
2.1 嗜好による差別仮説
女性活用と企業パフォーマンスとの関係について、まずイメージしやすいのは女性の
賃金の低さが企業利益に与える影響であろう。実際、労働経済学では、経営者の嗜好に
よる差別について多くの研究が行われ、嗜好による差別が男女の賃金格差に繋がってい
ることが示唆されている。
この嗜好による差別の影響のロジックは以下のようになる(Becker、1971)。企業の
生産関数を f(L)とおき、
男性、女性の賃金を Wm,Wf、雇用量を Lm、Lf とおく。L=Lm+Lf
であり、それぞれの生産性は同一とする。ここで各企業の経営者の女性を雇うことへの
抵抗感を di とすると、企業の目的関数は製品価格を p として以下のようになる。
U=pF(L)−WmLm−(Wf+di)Lf
この目的関数を最大化する条件は男女それぞれに、以下のようになる。
pF’=Wm
pF’=Wf+di
つまり、企業は女性の賃金 Wf が男性の賃金 Wm から di を引いたものより低くなっ
た場合に、女性を雇用するインセンティブを持つことになる。今、賃金が市場で決まる
と仮定すると、上記条件を統合で満たす di よりも差別が強い企業では男性中心の雇用
となり、di よりも差別意識が弱い企業で女性が雇用されることになる。このような状
況の下では、仮に男女の生産性が同一であっても、女性の雇用に差別的でない(故に女
性を多く雇用している)企業の利益率は高くなり、女性の雇用に差別的な企業の利益率
。わが国の研究では、佐野(2005)、Kawaguguchi(2006)
は低くなることになる5(仮説 1)
は賃金格差の市場テストにより、嗜好による差別が男女の賃金格差の要因となっている
ことを示している6。
2.2 統計的差別仮説
統計的差別とは、労働市場における個人の能力や会社への適正について情報の非対称
性があり、そうした非対称情報を埋めるのにコストがかかる場合、似たような属性を持
つグループ毎に統計的に能力や適性を評価し、これが結果的に雇用における差別に繋が
5
6
を目指す女性にとって、キャリア追求の前提条件と位置づけられる両立支援策が生産性にネガティブな影響を及ぼし
ていないことを検証することは賃金格差にかんする差別仮説への間接的な証左となりうる。仮に、生産性に対し、有
意に負の影響が認められず、利益に対し、正の影響が認められるのであれば、Becker(1971)が論じているような、経
営者の嗜好による差別が賃金格差に影響している可能性がある。
但し、Becker のモデルでは、生産関数が規模に対し収穫一定か新規参入に障壁がない場合には、差別が強い会社は淘
汰され、差別が弱い会社のシェアが拡大することを示唆している。
「賃金格差の市場テスト」については、
『今月の用語』を参照。
Nikko Financial Intelligence,Inc
年金レビュー 2006 年 8 月号
るという問題である。性別もそのようなグループ分けの一つの基準となりうる。特に会
社への適性という観点では、長期的に企業内でスキルの蓄積が求められる企業では、勤
続年数の期待値が高い男性を女性よりも優先的に雇用する可能性がある。このような場
合も、労働市場では男性への需要が相対的に大きくなり、結果として同一の能力を持っ
ていたとしても、女性の賃金、雇用が小さくなる可能性がある。阿部(2005)は、統計的
差別の要因である企業定着性が結婚や出産の傾向を受けることを示し統計的差別の存
在を示唆している。但し、阿部(2005)では経済合理性で説明できない賃金格差も検証し
ており、嗜好による差別の影響も示唆されている。
仮に、統計的差別が成立しているとすれば、男女の賃金格差は教育、訓練の差により
もたらされるため、女性の活用度と利益率との間には相関関係が存在しない一方、従業
員数で労働量を捉えた場合、女性の比率が高まるとともに生産性は低くなると考えられ
。
る7(仮説 2)
2.3 Diversity 効果仮説
以上の 2 つの議論は、教育や訓練などの影響を除けば、男女に均質的な能力を仮定
している。即ち、男女の組み合わせの違いにより生じる効果は捨象されている。これに
対し、Diversity 効果は、男女の能力、考え方の質的な違いに着目し、男女の組み合わ
せによる効果に着目した仮説である。男女どちらかに片寄った従業員構成に比べ、男女
のバランスが採れた従業員構成では、より多様な才能、スキルが融合することにより、
商品開発力や販売力が向上する可能性がある一方、多様性は意思決定の遅れなどから生
産性を低下させる可能性もある8。そして、そのような効果は問題解決能力やアイデア
が重要である職務とそうでない職務で変わってこよう。問題解決能力が求められる職場
では Diversity 効果のプラス面が出る一方、定型的な職務が多い職場では Diversity の
マイナス面が出る可能性がある。前項の統計的差別と同じように、労働市場において、
個人の適性やスキルに関する非対称情報が大きいとすれば、Diversity 効果を追求する
企業は、性別を多様性の目安として使う可能性もあろう。実際、男性と女性とでは出身
学部や保有している資格が同じであったとしても、育てられ方の違い、生物学的な違い、
消費者としての目線の違い、家庭内労働の違いなどがあると思われ、そうした違いが異
なる能力に繋がる可能性があろう。
仮に、このような Diversity 効果が存在しているとすれば、企業の各職層において女
性比率が高まることは、生産性の向上に繋がる可能性がある9(仮説 3)。
7
8
9
統計的差別仮説は企業内での訓練の差異に着目した理論であるが、就労前の学校教育等の差異を賃金格差の原因と考
える理論(人的資本仮説)も存在する。
ここで男女の Diversity には様々な定義が存在しうる。幼児期からの育てられ方も含めた外生的要因を全て除いた男
女の生物学的な違いによる効果と定義することもできるし、学校教育等も含めた男女の違いによる効果を Diversity
効果と定義することもできる。本稿では、学歴等実証的にコントロール可能な要因を除いた男女の違いによる効果を
Diversity 効果と定義する。
但し、Diversity 効果を他の効果を峻別することは必ずしも容易ではない。例えば、観察変数である女性管理職比率に
は管理職層における Diversity 効果の代理変数であると同時に、他の HRM(人的資源管理)施策と強い相関を持って
いる可能性がある。そのような他の要因が生産性に影響を与えているとすれば、女性管理職比率と生産性との関係は
Diversity 効果と他の効果双方の影響が含まれることになる。また、女性を登用している企業では人材不足や顧客層の
日興フィナンシャル・インテリジェンス
Pension Review
Aug 2006
2.4 両立支援と女性活用の補完性
以上の 3 つの仮説のうち、嗜好による差別仮説は生産性の差異で説明できない男女
の賃金格差を示唆し、統計的差別仮説は賃金格差が生産性(或いは生産性に影響を与え
る教育訓練、勤続年数)のみによってもたらされることを示唆する。また Diversity 効
果は女性活用が一定に達するまではジェンダーバランスが採れることにより生産性が
変化することを示唆する。他方、女性活用と両立支援との補完性についてはどのような
インプリケーションをもたらすであろうか。統計的差別仮説によれば、長期的な勤続を
望む企業(長期的な知的資産、スキルが必要な企業)は、男性従業員の雇用を重視する
可能性があるが、両立支援策の導入が女性の勤続年数の期待値を伸長させるのであれば、
その企業では、統計的差別が弱まる可能性がある。他方で賃金水準が労働市場の需給で
決まると過程すれば、両立支援が進んでいる企業では女性の雇用、登用がより積極的に
進む可能性がある(仮説 4)
。
他方、多様な人材のバランスが採れることの効果を重視する Diversity 効果仮説から
は、両立支援策の進展は、女性従業員の年齢層の多様化、家事、育児との両立から得ら
れる知見、考え方の広まりから、企業内の Diversity 効果を高める可能性がある(仮説
5)。実際、女性従業員の多くが結婚を機に退職してしまう企業と、女性がライフサイ
クルに合わせて働き続ける企業とでは、後者の方がより多様な人的資本を持つと考えら
れる10。
3. 記述統計
女性活用(均等度)の度合いは、女性従業員比率、女性管理職比率から捉える。前者
は正規従業員における女性の比率であり、後者は役職者(部下を持たない同等の者を含
む)に占める女性の割合である。ここで、管理職比率に関しては、先行研究で女性役職
者数÷女性従業員数を用いている事例もあるが、この場合には組織内における役職者数
の割合など、組織体系や人事制度の影響が強く出てしまう可能性がある。このため、本
稿では役職者数に占める女性の割合で登用度を計測する。
他方、両立支援は、女性既婚者比率、産休取得者比率、育休取得者比率の 3 つから
捉える。両立支援については、上記の順により充実していくと考えられる。ここで産休
取得者比率と育休比率は出産者数ではなく、女性従業員数を分母としている。このため、
本稿の産休比率、育休比率では女性従業員の年齢構成の影響を受ける可能性がある。他
方、分母を出産者数とする場合には、仕事のために出産をあきらめた人が考慮されず、
必ずしも両立支援の指標となりえないという問題がある。このような問題に対処するた
めには、企業内の出産適齢期にある女性従業員数を分母とすることが望ましいが、出産
要請により、古くから女性を登用している可能性もあるが、その場合、パネル分析では Diversity 効果は企業ダミー
に吸収されてしまうことになる。
10 同様に、家事や育児に積極的な男性従業員が増えれば、男性従業員の中でも考え方、知的資産の Diversity が進展す
る可能性があろう。
Nikko Financial Intelligence,Inc
年金レビュー 2006 年 8 月号
適齢期にも個人差があり、客観的なデータを収集するのは困難と思われる。
サンプルは、1999 年度∼2003 年度の企業の女性活用、両立支援データとそれぞれ翌
年度の財務データである。就労に関するデータは東洋経済新報社の就職四季報、就職四
季報女性版、CSR 総覧から採取した。また、財務データは日経 NEEDS から取得した。
表 1 変数の定義
変数名
WEMP
KANRI
KIKON
SANKYU
IKUKYU
KIN
AGE
V
EBITR1
EBITR2
EBITDAR1
EBITDAR2
L
K
YK
K/L
V/L
定義
女性従業員比率=女性従業員数÷従業員数
女性管理職比率=女性役職者数÷役職者数
女性既婚者比率=既婚女性従業員数÷女性従業員数
産休取得者比率=産休取得者数÷女性従業員数
育休取得者比率=育休取得者数÷女性従業員数
従業員の平均勤続年数
従業員の平均年齢
付加価値=事業利益+減価償却実施額+人件費
事業利益÷売上高
事業利益÷総資産
EBITDA(事業利益+減価償却実施額)÷売上高
EBITDA(事業利益+減価償却実施額)÷総資産
従業員数(期中平均)
固定資産(期中平均)
有形固定資産(期中平均)
資本装備率=固定資産÷従業員数
労働生産性=付加価値÷従業員数
表 2 は年度毎の記述統計量を見たものである。尚、外れ値が推計に及ぼす影響を避
けるため、各変数の値が中心値±5 標準偏差の外にあるものは分析から除外した。表 2
によれば、女性従業員比率(WEMP)が横ばいで推移する中、女性管理職比率(KANRI)
が僅かながら増加基調にあることが窺える。つまり、より責任ある職務において、女性
活用(均等度)が徐々に高まってきていることを示唆している。但し、KANRI につい
ては標準偏差が平均値との対比で大きく、役職者層における女性活用は企業により大き
な格差があることがうかがえる。また、両立支援変数についても、女性既婚者比率
(KIKON)、産休取得者比率(SANKYU)、育児休暇取得者比率(IKUKYU)いずれ
も数値が緩やかに上昇しており、徐々にではあるが女性従業員が結婚や出産を経ても働
き続けられる状況が整いつつあることが示唆されるが、SANKYU、IKUKYU について
は標準偏差が大きく、企業間格差がうかがえる。
また、表 3 は変数間の相関マトリックスである。これによれば、女性従業員比率、
女性管理職比率は労働生産性との間に正の相関が認められる。また、両立支援の代理変
数である産休比率と育休比率の相関が極めて高い他、既婚者比率との相関も相応にあり、
両立支援指標としては、どの変数を用いても同様の結果が得られると考えられる。尚、
全サンプルでは女性管理職比率と両立支援変数との相関が見られるが、これは各年のサ
ンプルの変化によりもたらされている可能性があり、5 年間を通じてデータが採れる企
日興フィナンシャル・インテリジェンス
Pension Review
Aug 2006
業ではほぼ無相関となっている。この点については産業特性等が影響している可能性も
ある。
表 2 女性関連変数等の記述統計量
年度
1999
2000
2001
2002
2003
変数名
V_L
WEMP
KANRI
KIKON
SANKYU
IKUKYU
V_L
WEMP
KANRI
KIKON
SANKYU
IKUKYU
V_L
WEMP
KANRI
KIKON
SANKYU
IKUKYU
V_L
WEMP
KANRI
KIKON
SANKYU
IKUKYU
V_L
WEMP
KANRI
KIKON
SANKYU
IKUKYU
N
336
336
336
336
324
336
381
381
381
381
372
381
418
418
418
418
404
418
406
406
406
406
383
406
388
388
388
388
376
388
MIN
0.680
0.014
0.000
0.004
0.000
0.000
-0.120
0.014
0.000
0.000
0.000
0.000
0.133
0.021
0.000
0.000
0.000
0.000
0.070
0.027
0.000
0.000
0.000
0.000
1.170
0.026
0.000
0.000
0.000
0.000
MAX
5.064
0.796
0.460
0.885
0.117
0.117
5.150
0.821
0.417
0.943
0.158
0.143
5.598
0.840
0.415
0.908
0.179
0.171
5.247
0.788
0.410
0.817
0.314
0.257
5.287
0.738
0.394
0.959
0.205
0.205
MEAN
2.720
0.198
0.039
0.246
0.026
0.024
2.645
0.201
0.040
0.249
0.027
0.025
2.657
0.201
0.038
0.261
0.028
0.030
2.734
0.192
0.040
0.275
0.032
0.031
2.773
0.195
0.041
0.283
0.031
0.033
STD
0.537
0.122
0.064
0.153
0.023
0.021
0.604
0.122
0.060
0.160
0.027
0.024
0.565
0.119
0.060
0.158
0.026
0.027
0.507
0.112
0.066
0.157
0.033
0.030
0.531
0.111
0.059
0.168
0.028
0.030
表 3 女性関連変数等の相関マトリックス
全サンプル(638社)
V_L
WEMP
KANRI
KIKON
SANKYU
WEMP
0.05
KANRI
0.08
0.64
KIKON
-0.04
-0.20
-0.24
SANKYU
-0.02
-0.19
-0.17
0.58
IKUKYU
-0.03
-0.18
-0.17
0.61
0.90
5年間データがあるサンプル(147社)
V_L
WEMP
KANRI
KIKON
SANKYU
WEMP
0.10
KANRI
0.06
0.51
KIKON
-0.04
-0.12
-0.09
SANKYU
-0.03
-0.15
-0.05
0.63
IKUKYU
-0.06
-0.13
-0.08
0.69
0.88
また、表 4 は両立支援指標として、SANKYU(産休取得者比率)によりサンプルを
3 つに分け、同様に相関マトリックスを見たものである。これによれば、SANKYU が
高いグループでは、V_L(労働生産性)と WEMP(女性従業員比率)、KANRI(女性管
理職比率)との相関が高くなっている。つまり、両立支援と女性活用との間に、補完的
な関係があることを示唆している。換言すれば、同じ女性活用でも、仕事と家庭の両立
が可能な形で女性を活用している企業において生産性が高くなることを示唆している。
この結果は、仕事か家庭か二者択一を迫るような女性活用ではなく、キャリアと家庭を
Nikko Financial Intelligence,Inc
年金レビュー 2006 年 8 月号
両立できるような女性活用が企業経営にとってもメリットがあることを示唆している。
表 4 産休比率水準別:女性関連変数等の相関マトリックス
全サンプル(638社)
V_L
産休取得者比
率下位1/3
産休取得者比
率中位1/3
産休取得者比
率上位1/3
WEMP
KANRI
KIKON
SANKYU
IKUKYU
WEMP
KANRI
KIKON
SANKYU
IKUKYU
WEMP
KANRI
KIKON
SANKYU
IKUKYU
WEMP
-0.10
-0.05
-0.04
-0.06
-0.01
0.18
0.14
-0.07
-0.03
-0.13
0.12
0.20
0.01
0.01
-0.01
KANRI
KIKON
SANKYU
0.58
-0.24
-0.04
-0.10
-0.18
-0.08
-0.08
0.33
0.35
0.77
0.71
-0.07
-0.01
0.00
-0.17
0.10
0.04
0.06
0.22
0.40
0.57
-0.10
-0.14
-0.11
-0.23
-0.20
-0.17
0.27
0.35
0.78
5年間データがあるサンプル(147社)
V_L
WEMP
KANRI
KIKON
SANKYU
WEMP
0.07
KANRI
0.00
0.37
産休取得者比
KIKON
-0.06
-0.25
-0.21
率下位1/3
SANKYU
-0.02
-0.43
-0.06
0.50
1.00
IKUKYU
-0.01
-0.43
-0.06
0.57
0.86
WEMP
0.07
KANRI
-0.11
0.62
産休取得者比
KIKON
0.00
-0.09
-0.15
率中位1/3
SANKYU
-0.15
-0.05
-0.03
0.02
IKUKYU
-0.19
0.17
0.13
0.51
0.26
WEMP
0.20
KANRI
0.31
0.64
産休取得者比
KIKON
-0.14
0.04
-0.01
率上位1/3
SANKYU
-0.15
-0.09
-0.11
0.41
IKUKYU
-0.21
-0.10
-0.23
0.45
0.65
但し、ここでの結果は産業や規模など生産性や女性活用、両立支援に影響を及ぼす他
の要因はコントロールしていない。また、女性活用と両立支援の補完性は、内部労働市
場への依存度や企業内で必要される人的資本の種類によっても変わってこよう。次号で
は以上のような点を考慮した回帰分析により、女性活用と両立支援との関係が企業パフ
ォーマンスに与える影響を利益への影響も含めて精査する。
参考文献
阿部正浩(2005)、「男女の雇用格差と賃金格差」
、日本労働研究雑誌 2005 年 7 月号
金井篤子(2002)、「キャリア・ストレスとワーク・ライフ・バランス、日本労働研究雑
誌 2002 年 6 月号
川口章(2005)、「結婚と出産は男女の賃金にどのような影響を及ぼしているのか」
、日本
労働研究雑誌 2005 年 1 月号
Kawaguchi, Daiji (2006), “A Market Test of Sex Discrimination: Evidence from
Japanese Firm-Level Panel Data,” International Journal of Industrial
日興フィナンシャル・インテリジェンス
Pension Review
Aug 2006
Organization forthcoming.
佐野晋平(2005)、「男女間賃金格差は嗜好による差別が原因か」、日本労働研究雑誌
2005 年 7 月号
山口一男(2005)、「女性の労働力参加と出生率の真の関係について:OECD 諸国の分析」
、
RIETI Discussion Paper Series 05−J-036
Nikko Financial Intelligence,Inc