印刷用PDFファイル - 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

FHM
崩壊熱除去用
冷却器
(DHX)
制御棒案内管
カバーガス
領域
純化系
機器
(C/T)
自由液面
入口配管
(C/L)
出口配管
(H/L)
(1)試験で得られたガス巻き込み発生時の可
視化画像(くぼみ渦タイプ)
ディップ
プレート
(D/P)
FHM
貫通孔
自由液面
炉心
切り込み
くぼみ渦
コラム型
UIS
燃料出入機
案内管
巻込まれたガス
炉容器上部プレナム 炉容器直径:約10m、出力:150万kWe
吸込み流れ
図1-6 ナトリウム冷却大型炉の原子炉容器内構造
FHMプラグ
(2)ガス巻き込みの数値解析例:くぼみ渦を
対象とした基礎試験の解析
燃料出入機案内管
バッフル板
図1-8 ガス巻き込み発生状況と数値解析例
D/P
B/P-5
B/P-4
切り込み
UIS切り込み 燃料出入機
B/P-3
案内管
C/L H/L C/L
炉心出口流速
C/T
(1.6m/s)に対 B/P-2
する相対値 DHX
0.47 B/P-1
FHMプラグ
C/T
C/L
H/L
カメラ
撮影方向
プラグ高さ:(1)D/P位置 (2)UIS中段位置
0.00 PIVによる鉛直断面内流速場測定
FBR実用化戦略調査研究の一環としてナトリウム冷却
大型炉の要素技術開発を実施しています。図1-6は炉
容器内部の形状を示しており、大出力かつコンパクト化
することにより経済性の向上を図っています。
コンパクト化のため、炉心上部機構(UIS)には燃料
交換機(FHM)のアームが通過できる切り込みを設ける
と共に、UISの内部にナトリウムの通過を許す革新的構
造(コラム型)としています。これらの結果、特に炉心
を出てUIS切り込みを通って上方へ向かう速い流れが形
成され、液面近傍の流速が増大することで、カバーガス
を巻き込む可能性が生じました。液面下に水平の板
(D/P)
図1-7 1/10縮尺モデル試験による速度場測定と流
動適正化方策の効果
実機設計の1/10縮尺で炉容器上部プレナムを模擬し
た装置を用い、炉内流動場を計測すると共に、FHM
プラグを図中
(2)のように深く挿入することで流れ
の方向を変え、液面近傍の流速を低減しました。
計測には独自の画像ノイズ除去手法を組み合わせた
粒子画像流速計測法(PIV)を適用し、詳細な速度場
を把握しました。
を設けて流速の低減を図りましたが、ガス巻き込みの防
止が設計成立性を示す上で重要な課題となりました。
そこで、実験と数値解析による炉内流動の適正化研究
を実施しました。図1-7に示すように炉内の流速分布
を定量的に測定することによって、液面に向う速い流れ
を効果的に遮断するFHMプラグを考案し、液面近傍で
の流速を当初の設計形状に比べ約半分に低減しました1)。
更に図1-8に示すような数値解析を適用することに
よって、くぼみ渦からのガス巻き込み発生に関する評価
手法を構築しました2)。それらによって、ガス巻き込み
発生の回避に見通しを得ることができました。
●参考文献
1)Kimura, N., Hayashi, K., Kamide, H. et al., Experimental Study on Flow Optimization in Upper Plenum of Reactor Vessel for a Compact
Sodium-Cooled Fast Reactor, Nuclear Technology. vol.152, 2005, p.210-222.
2)Sakai, T. et al., Study on the Gas Entrainment Design Method by CFD Data on Steady Cylindrical Systems for a Sodium-Cooled Reactor,
Proceedings of 2006 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP '06)(CD-ROM), Reno, USA, 2006, Paper 6409, 7p.
未来を拓く原子力 2006 13