成人先天性心疾患診療ガイドライン

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2006年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults (JCS 2006)
合同研究班参加学会:日本循環器学会,日本胸部外科学会,日本産科婦人科学会,日本小児循環器学会,
日本心臓病学会
班
長
黒
澤
博
身 東京女子医科大学心臓血管外科
班
員
赤
木
禎
治 岡山大学循環器疾患治療部
石
澤
市
田
越
後
大
嶋
角
協力員
協力員
市
川
肇 大阪大学臓器制御外科
瞭 国立成育医療センター循環器科
牛ノ濱
大
也 福岡市立こども病院循環器科
蕗
子 富山大学小児科学
川
俣
和
弥 国立循環器病センター周産期
茂
之 国立循環器病センター小児科
小
垣
滋
豊 大阪大学小児科
義
博 兵庫県立こども病院心臓血管外科
高
橋
一
浩 東京女子医科大学循環器小児科
秀
秋 福岡市立こども病院心臓血管外科
立
野
勉 東邦大学医療センター大森病院第一小児科
百
々
秀
心 国立成育医療センター循環器科
一 東京女子医科大学東医療センター内科
滋 千葉県循環器病センター小児科
佐
地
丹
羽
公一郎 千葉県循環器病センター小児科
布
田
伸
福
嶌
教
偉 大阪大学心臓血管・呼吸器外科
姫
野
和家子 久留米大学小児科
八木原
俊
克 国立循環器病センター心臓血管外科
松
田
義
雄 東京女子医科大学周産期
石
尚
子 東京女子医科大学循環器内科
芳
村
直
樹 富山大学第一外科
裕
久 久留米大学(名誉教授)
松
田
誠 総合南東北病院小児・生涯心臓疾患研究所
門
間
塚
外部評価委員
加
藤
中
澤
暉 兵庫医科大学
和
夫 東京女子医科大学(名誉教授)
(構成員の所属は 2007 年 1 月現在)
目
改訂にあたって
1.成人先天性心疾患診療ガイドライン作成経過:複雑心奇形
の術後を中心として
2.施設と部門
3.社会的自立を妨げる要因
4.非手術のチアノーゼ疾患のケアー,心臓以外の手術,麻酔,
歯科治療,告知
5.不整脈
6.肺高血圧
7.感染性心内膜炎
8.チアノーゼ,赤血球増多症の合併症
9.運動能力評価
次
10.心エコー診断
11.心臓移植
12.肺移植・心肺移植
13.カテーテル治療
14.妊娠・出産管理
15.避妊,妊娠中絶
【各論】
16.ファロー四徴症:運動機能評価
17.心房スイッチ術後
18.動脈スイッチ術後
19.フォンタン術後
20.大動脈縮窄,離断症
(無断転載を禁ずる)
1
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
改訂にあたって
成人先天性心疾患患者の究極の目標は社会的自立であ
いる.さらにこのような医療的に難しい患者を専門に診
る.本ガイドラインは,1960〜70 年代に生まれて幼少
る専門医や施設が増えており,成人先天性心疾患に対す
時期に治療を受け,その後,成人期に達することの出来
る診療施設や学術研究活動が急速に広がっている.この
た比較的軽症の疾患を対象として 1998〜1999 年にまと
ような現状に鑑み,本ガイドラインの部分的改訂に加え,
められたものであるが,その後,先天性心疾患に対する
我が国が世界に先駆けて治療に取り組んできた重症先天
診断・治療法はさらに進歩し,重症心疾患でも治療後に
性心疾患の臨床情報を加える形で大幅な改訂作業を進め
成人期に達することのできる患者たちが 1980 年代以降
てきた.さらに,大血管転位症に対するスイッチ手術や
の治療群のなかで次第に増加してきた。このような状況
単心室に対するフォンタン手術は今では日常化した治療
を踏まえ,今回の改訂版では比較的重症の疾患に重点を
法であるが,長期遠隔期における再手術に際しては心臓
置き,重症先天性心疾患患者が成人期になって遭遇する
移植が唯一の治療手段になる場合も増えつつあり,この
様々な続発症や問題点に適切に対処するためのガイドラ
ような点も考慮して心臓移植や肺移植・心肺移植も加え
インという主旨でまとめた.
ることとした.
現在,この地球上で年間 50〜100 万人の先天性心疾患
成人先天性心疾患患者が抱える普遍的問題である妊娠
患児が生まれているといわれている.この数字に幅があ
出産管理や社会的自立も含め,最新の診断・治療法に関
るのは先天性心疾患が重症なほど生直後に死亡すること
する我が国独自の経験と世界中の臨床・基礎情報を集め
が多く,実情が把握できないためである.幸い我が国で
て EBM に即した,臨床現場で役立つガイドラインをめ
はこのような重症先天性心疾患でも世界最高水準の治療
ざしてきた.
を受けることができ,幼少児期に治療を受けて成人期に
このガイドラインが外来や病棟,検査室や手術室で手
達するか,成人になって再手術を受ける重症成人先天性
軽に利用され,成人先天性心疾患患者がより積極的に社
心疾患患者,いわゆる重症型 GUCH が次第に増加して
会的自立に向かえるようになることを願っている.
疾患領域の諸問題を複雑心奇形を中心として多くのエキ
スパートに多方面から分析,整理していただき,当面の
1
成人先天性心疾患診療ガイドライン作成経過:
治療指針とすることとした.このガイドラインは,今後
さらなる情報整理を踏まえて定期的に改定する必要があ
ると考えている.今回の改訂版が当面の治療指針になる
複雑心奇形の術後を中心として
とともに,今後のこの分野の医療の方向性を決める一助
になれば幸いである.
1953 年に米国で ASD の少女に世界初の開心術が成功
してからすでに半世紀が過ぎ,小児循環器と小児心臓外
科は著しく発展し,現在では通常医療のひとつとして定
2
施設と部門
着している.その間,治療を受けた多くの子どもたちが
成長し,1985 年以前に治療を受けた子どもたちは全員,
成人期に入っている.すなわち,成人先天性心疾患は現
代医療の重要な位置を占めつつある.一方,極度の少子
2
成人先天性心疾患の頻度
高齢化社会を目前に控え,わが国の労働人口の確保など
先天性心疾患患者の生産児に占める割合は,疾患,国,
のためにも心臓手術などの高度医療をうけた人々の社会
地域,人種により異なる.欧米,日本の調査によると,
参加が重要な課題になっている.このような状況下で前
すべての先天性心疾患を平均すると生産児の約 1 % 内
回のガイドラインに最新の情報を加える必要性が高まっ
外を占めるとされる 1).日本の出生数から計算すると
てきた.そこで最近までに明らかにされた成人先天性心
(約 1,150,000/年),年間 10,000 人以上の先天性心疾患を
成人先天性心疾患診療ガイドライン
もつ生産児が生まれていることになる.先天性心疾患に
の大部分は妊娠出産が可能で,さらに,これらの患者か
よる死亡は,1968 年以降明らかに減少している(特に,
らの生産児は先天性心疾患合併率が高い1).先天性心疾
発生頻度の高い心室中隔欠損,ファロー四徴など .ま
患の母体からは,2.5-18 %,父親からは 1.5-3 % の割合
た,年齢別死亡率を検討すると,1972 年と比べて,
で,先天性心疾患が生まれるとされている6).一方,先
1997 年には,0-19 歳の死亡は半減しているが,60 歳以
天性心疾患死亡率は,この 30 年間に約 1/3 に減少した
2)
上は,著明に増加している .このことは,近年の成人
が,成人先天性心疾患死亡は年々増加し,現在では先天
先天性心疾患患者数の増加を裏付ける.成人先天性心疾
性心疾患死亡の 20 % は成人患者である2).即ち,先天
患患者は,少なくとも国内に,400,000 人おり,今後,
性心疾患の多くは,すでに成人であり,この分野は成人
10,000 人/年近く増加する(以前の日本の出生数から推
循環器疾患の 1 領域を占めると考えられる7,8).
2)
定するとこれより多い人数と考えられる)ことになる
(表 1).これらの多くは,成人後も経過観察を必要とす
ると考えられている.また,川崎病は,1960 年代中盤
成人先天性心疾患診療の必要性
多くの先天性心疾患患者が成人を迎えるようになり,
から認められるようになった.ガンマグロブリン使用以
最近は,チアノーゼ型心疾患術後の成人先天性心疾患患
前は,発症患者の 30 % 程度に動脈瘤を認めており,成
者も増加している.単純先天性心疾患の中には,心臓手
人後も経過観察を継続する必要がある患者が少なくな
術が根治術(術後は一般と同様で,経過観察を必要とし
い.川崎病は,2004 年までに少なくとも 180,000 人が罹
ない場合)と考えられ,成人後の経過観察を必要としな
患している.このうち冠動脈合併症を伴い,成人期も経
い場合がある(動脈管開存術後,心房中隔欠損小児期術
過観察を続けなけなければならない人は,少なくとも
後など).しかし,先天性心疾患手術の多くは根治手術
18,000 人近くと推測される .1980 年頃は,先天性心疾
ではなく,合併症,残遺症,続発症を伴う9,10).そして,
3)
患といえば,子供の病気であったが,2000 年には,成
加齢に伴い,心機能悪化,心不全,不整脈,突然死など
人患者数と小児患者数は殆ど同数となった.さらに,
により罹病率,生命予後が修飾されることがある.また,
2020 年には,成人は,小児を遙かに凌駕して,先天性
就業,結婚,出産,遺伝,社会心理的問題などの成人期
心疾患といえば,成人の病気と見なされる可能性がある.
特有の対応すべき問題もある.このため,多くの先天性
成人先天性心疾患患者数増加率と比較すると,現状で
心疾患は定期的な経過観察を必要とする.特に,中等症
は,これらの患者の診療を行う専門施設,専門医師が明
以上の多くの疾患,さらに,チアノーゼ型先天性心疾患
らかに不足している 4,5).また,成人先天性心疾患患者
(修復術後も含む)など複雑心疾患は,成人後も成人先
表 1 日本の成人先天性心疾患患者数
天性心疾患を専門とする医師,施設での経過観察,加療
を必要とする9−11).
日本の人口:127,610,000 人(2004)
成人先天性心疾患の診療の特殊性
生産児:1,150,000 人(2002)
先天性心疾患の生産児に占める頻度:1 %
先天性心疾患生産児/年:11,500 人
先天性心疾患患者が成人となり診療を継続する際に,
約 90 % が成人となる:10,350 人
循環器小児科医が主体で診る場合と,循環器科医がみる
成人先天性心疾患患者数:約 400,000 人
場合とに分けられる.心臓血管外科医が継続観察してい
成人先天性心疾患患者数増加率:4-5 %/年
る場合もあるが,少数である.主体となる経過観察医師
先天性心疾患の心臓手術:9,202/年(手術死亡:3.6 %)
の違いによる診療の特殊性が認められる(表 2).
表2
成人先天性心疾患患者の診療における循環器小児科医,循環器科医の違い
循環器小児科医
循環器科医
CHD に対する知識,興味
十分
乏しい
成人の病気の知識
乏しい
十分
外来
小児科
内科
病棟
多くは小児病棟
内科病棟
患者の標榜科に対する抵抗感
大きい
ほとんどない
医者の絶対数
少ない(こどもの診療だけで多忙)
多い(CHD 以外の成人循環器疾患診療で多忙)
CHD;先天性心疾患
3
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
科別による診療の特殊性12)
小児科
成人先天性心疾患を管理する上での欧米と日本との大き
な違いは,欧米では循環器科医,循環器小児科医,心臓
血管外科医,内科,産科,精神科医なども含んだチーム
小児科は患者の年齢制限がある,循環器小児科医は内
医療を行う成人先天性心疾患診療専門施設があり,その
科疾患に習熟していない,患者側に成人後も小児科とい
中心は,循環器小児科医ではなく循環器科医である点で
う標榜科で診察を受けることにためらいがある,一人あ
ある5).
たりの診療時間の長い小児患者をみることで,多忙であ
日本よりも早期に成人先天性心疾患の診療の必要性に
るにも関わらず,成人後も経過観察を行うこと(成人先
直面した欧米では,成人先天性心疾患診療専門施設が確
天性心疾患患者数は激増している)は,さらに加重労働
立している5,13,14).代表的成人先天性心疾患診療専門施
を負荷する.これらの理由から,先天性心疾患患者の成
設は,多少のシステムの違いがあるが,基本的な運営方
人後も循環器小児科医が診療を続けることが困難な場合
法は同一である15,16).成人先天性心疾患は,疾患の種類
も少なくない.
が多いだけでなく,解決すべき問題点が多彩であるため,
先天性心疾患診療の訓練を受けた循環器科医が中心とな
循環器科
循環器科医は,成人循環器疾患に興味が強く,多忙で
り,循環器小児科医,小児心臓外科医と共同で運営され,
他部門の専門医と協力したチーム医療を行っている.こ
(成人循環器疾患患者数も増加している),先天性心疾患
のため,総合病院ないしは大学病院に設けられている.
の知識に乏しく先天性心疾患の診療に積極的でないこと
同時に,研修,教育システムも確立している.しかし,
が多い.
これらの専門施設数は総患者数から比べるとはるかに少
なく,患者の需要に応じられていないのが現状である.
心臓血管外科
心臓血管外科医が経過観察を行う場合は少ないが,主
に手術既往患者である.外科的な対応を要する場合,た
とえば,再手術の場合などは有利であるが,日常広く出
会うことの多い小児科内科一般の問題点に習熟していな
い点で不利である.
このため,専門医師の養成,専門医療施設の設置が急務
とされている17−19).
今後の日本の成人先天性心疾患診療体制(表 3)
日本の成人先天性心疾患管理施設も 1990 年代後半に
設立されるようになってきた.しかし,欧米主要施設と
比べると,設立年度が遅いため,患者数,スタッフ,外
日本の実情
科手術数はいずれも少ない.また,担当医は循環器科医
先天性心疾患患者および両親は,小さいときから継続
でなく,殆どの場合,循環器小児科医であることも日本
してみてもらっている循環器小児科医に対して強い信頼
の特徴と考えられる.さらに,日本で多く認められる川
感を持っていることが少なくない.特に,重症疾患の場
崎病,特に冠動脈合併症を認める患者は成人後も定期的
合は,特にこの傾向が強い.このため,循環器小児科医
な経過観察を必要とするが,経過観察担当医,施設も日
から,循環器科医,成人先天性心疾患を専門とする医師
本の今後の課題である11).
へと診療の移行をすることが難しい場合が少なくない
欧米の実態を参考にした場合,日本の今後の方向性は以
(欧米では,移行外来(transit clinic)により,循環器小
児科と成人先天性心疾患施設の医師が同時に経過観察を
日本の今後の方向性と問題点
行う時期をもうけ,徐々に成人先天性専門施設に移行す
1.複雑先天性心疾患は小児科医が中心となって診る.
るところもある).また,我が国では,成人先天性を専
2.成人先天性心疾患に興味を持つ循環器小児科医と先天性
心疾患に興味を持つ循環器科医とが連携し,科を越えた
チームを作る.さらに,診療システム,専門施設を確立
する.
門にみる医者が少なく,専門施設もわずかである.これ
らの理由により,我が国では,循環器小児科医が,小児
っていることが殆どである12).
3.専門施設は,循環器小児科医,循環器科医,心臓血管外
科医,内科専門医,産婦人科医,専門麻酔科医,新生児
科医,専門看護師などで診療チームを作る.
欧米でみられる成人先天性心疾患の診療体制
4.循環器小児科医は循環器科の,循環器科医は,先天性心
疾患の訓練,知識の習得が必要(研修プログラム)
.
患者だけでなく,成人後も先天性心疾患の経過観察を行
先天性心疾患手術は欧米で始まったため,欧米は成人
先天性心疾患患者に対する取り組みが日本よりも早い.
4
表3
5.国内だけでなく,Asia, International net work を構築する
ことも必要.
成人先天性心疾患診療ガイドライン
下のごとくと考えられる1).
3
1)経過観察医
社会的自立を妨げる要因
理想的には,循環器科医,循環器小児科医の共同で患
者を診ていくことが良いが,現状では,特に複雑心疾患
は,心臓の形態が特殊であり,循環器小児科医が継続し
て診る必要がある.しかし,複雑先天性心疾患は,心不
全,不整脈,突然死など成人心疾患の分野と共通した問
背
景
成人先天性心疾患患者は,小児期と異なり,社会参加,
題点が多いため,循環器科医との共同診療が望ましい.
社会的自立といった社会との関わりが問題となることが
さらに,循環器小児科医或いは循環器科医でこの分野に
多い.生命予後,心機能の程度,罹病率,投薬の有無,
興味を持つ医師が中心となり成人先天性心疾患をみる外
再入院,再手術,術後遺残症,続発症,合併症など心臓
来,病棟(センター)を確立する必要がある.(日本も,
機能の程度に直結した問題だけでなく,教育,就職,結
成人先天性心疾患外来を開設している施設があるが,循
婚,性生活,妊娠,出産,育児,子供への遺伝,旅行,
環器小児科医のみである場合が多い).循環器科医は循
運動,レクリエーション,社会保障(保険,年金,身体
環器小児科の,循環器小児科医は,循環器科の訓練ある
障害者認定,医療給付,更成医療給付),社会奉仕など
いは知識の吸収を要する.
社会参加,社会的自立の問題は非常に重要である 22−24).
成人先天性心疾患患者の医療面,運動機能程度,心機能
2)診療場所
教育,研究,他科との連携を要するという疾患の性格か
ら大学病院を含む総合病院を中心に開設する必要がある.
などに関する研究に比較すると,社会問題,社会的自立に
ついての調査研究,報告は国内外を問わず少ない25−29).
社会的自立とは,個人が一般社会に参加し,広い意味
で社会的貢献をしていくことが出来ることであり,先天
3)研究,教育,訓練
性心疾患患者が社会的に自立出来ることは,患者自身の
スタッフ養成のための教育,訓練プログラムも策定す
みならず,循環器小児科医,循環器小児外科医,看護師
る必要がある.専門的なセンターで行うと同時に欧米の
などこどもの治療に携わっている者の最終目的と考えて
様に循環器疾患関連学会が中心となり循環器科医,循環
良い23).疾患による違いはあるが,成人先天性心疾患患
器小児科医の訓練のプログラムに成人先天性心疾患を含
者は一般の人と比べ,社会的自立の程度は劣ることが多
むことが必要である.長期的には,循環器科医,循環器
いとされている28).社会的自立を規定する因子は,医療
小児科医,心臓血管外科医の長所を取り入れた共同運営
側,患者側,社会側の三つの側面に分けられる(表 4).
は,今後望まれる形態であり,そこに,内科専門医,産
医療側には十分な知識に基づく適切な医療,医療施設の
科,麻酔科,病理などの専門家が参加できるシステムが
提供30),長期予後,生涯歴の解明という因子がある.患
理想的である11,18).
者側には疾患重症度,精神神経心理学的問題,術後残遺
成人先天性心疾患患者は,国内に,すでに 400,000 人
以上おり,今後も継続的に増加する.成人先天性心疾患
は,成人循環器疾患の 1 領域と考えられ,小児と異なる
多くの問題点を抱えている19−21).成人先天性心疾患の管
理を,各専門医が協力したチーム医療で行う様にするた
めに,診療体制,研修医教育などを早急に整備するよう
努力することが必要である.
症,続発症,合併症,継続的医療の必要性,入院,投薬
の継続,再手術,病気の適切な理解という因子がある.
表4
成人先天性心疾患患者の自立を妨げる要因
A.医療の側面:
十分な知識に基づく適切な医療,適当な医療施設,長期
予後生涯歴の解明.
B.患者の側面:
疾患重症度(未手術,手術不能,手術後(術後残遺症,
続発症,合併症,再手術の有無),継続的要医療,頻回の入
院,継続的投薬.心臓病,病態の適切な理解.精神神経心
理学的問題.
C.社会の側面:
心臓病についての適切な理解,教育,就職の機会均等性,
社会保障福祉体系(健康保険,障害者認定,年金,医療費
公費負担),生命保険.
(2 より改変引用)
5
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
また,社会的側面には社会の心臓病に関する適切な理解,
が多くかかるという理由で,雇用が不利な場合もある24).
教育,就職の機会均等性,社会保障福祉体系(健康保険,
生命保険加入に関して,アメリカ心臓協会保険ガイド
障害者認定,年金,医療費公費負担)という問題がある.
ラインで,各先天性心疾患の保険評価スケール基準が示
患者の社会的自立は,これら因子が複合する事により影
された44).軽症例術後は正規料金で加入,多くの非修復
響を受けることが多く,社会的自立の程度,自立を妨げ
疾患,術後合併症例は加入不可,中等症術後例は条件付
る要因を医療側,患者側,社会側それぞれの側面から明
き(特約付き)加入が可能である43,44).しかし,実際は,
らかにすることが大切である.
15 歳以下の患者はごく軽症疾患以外は加入できず,こ
の基準に従っている生命保険会社はほとんどない.生命
就学,教育
保険加入拒否率は,コントロール群より高く,疾患の重
教育程度は,社会生活の質,就業に大きな影響を及ぼ
すと考えられ,成人先天性心疾患患者にとっても重要な
アルを比較すると,疾患別死亡率は,会社間で差があり,
問題である
.教育程度に影響を及ぼす因子には
未手術の心室中隔欠損小欠損孔が,実際より高く格付け
疾患重症度,知的能力,神経心理学的異常の存在,家庭
されることもある34).このように,生命保険会社の査定
環境などがあげられる32,33).先天性心疾患手術後の知的
基準には,ばらつきがあり,必ずしもエビデンスに基づ
レベルについては以前から報告され,チアノーゼ型先天
いていない.日本の報告も,生命保険加入率は一般の加
性心疾患の IQ や学業成績は,非チアノーゼ型心疾患よ
入率に比べはるかに低い34).日本も,生命保険会社間に
り劣るとされる34−37).チアノーゼ型心疾患の脳神経発達
共通した加入基準はない.個人契約では無理でも,団体
に影響を及ぼす因子として,慢性低酸素血症,脳血管合
生命保険は無審査で,加入が可能の場合もある24).また,
併症,周術期集中管理の問題等があげられる
加入時に病名告知をしていない場合も多く,課題を残し
27,29,31,32)
.し
31,34,36)
かし,心内修復時の超低体温法を併用した循環停止が知
能発達に及ぼす影響は少ないとされている38).知能評価
ている.
世界的に,先天性心疾患の修復手術が始まった時期が,
には,運動能力が低いこと,学校生活の制限,周囲から
1950 年前半であるため,早い時期に手術を受けた場合
の過保護などが総合的に影響を及ぼす38).これらの影響
でも,その生涯歴すべてをたどれていない.そのため,
を除いた検討では,チアノーゼ群は多少劣るが,多くの
先天性心疾患の多くは自然歴,術後生命予後,長期遠隔
先天性心疾患の知的能力は正常範囲内とされている .
期罹病率が十分には明らかでない.このため,企業側で
先天性心疾患の就学率は報告により異なるが29,39,40),家
の生命保険加入基準,就業基準の設定が難しいと考えら
族に過保護に育てられ,学校側も特別扱いするため競争
れている29,36,43).
33)
心に乏しいことが多く,学校を休むことも少なくないた
め就学率は低いと考えられていた29).しかし,専門学校,
身体障害者認定,年金
短大以上の就学率は,一般と比べ,患者群の方が高いと
身体障害者 1 級の認定を受けた場合は,障害者基礎年
する報告がある24,35).また,先天性心疾患は,一般と比
金,重度障害者医療助成制度,障害者雇用率制度などの
べ,college 以上の高等教育を受ける割合は高いが,そ
年金,手当,医療費助成を受けられる.また,身体障害
の反面,疾患の重症度が増すと高等学校での教育も受け
者認定されている患者で手術による改善を望める場合
ていない場合が多いとされる41).同様に,チアノーゼ群
は,手術の際に更生医療給付を受けられる24,46).身体障
は,高校卒業が最高でそれ以降の進学をあきらめている
害者認定を受けている場合の多くはチアノーゼ型心疾患
場合も多い .重症心疾患では,学校を休むことが多く,
か再手術患者である24).
24)
進級が遅れることもある.このため,本人が教育の必要
性を感じることが少なく,最終的に学校を中退すること
もある29).
保
6
症度に関係がないとの報告もある45).保険会社のマニュ
険
結婚,妊娠,出産
避妊,妊娠.出産,育児は,先天性心疾患女性にとっ
て大きな関心事である.母体の心疾患の種類にもよるが,
子供の再発危険率は,3-14 % 程度認められ,女性の多
米国では成人先天性心疾患患者の 10-22 % は健康保険
きな心配の一つである.男性の場合は,2 % 程度と低い
をうけられないという29,33).しかし,日本の場合の多くは
が,結婚前には知っておくべき情報である47).先天性心
健康保険に加入が出来るか,扶養家族として健康保険を
疾患患者の多くは,リスクの低い心疾患で,一般と同様
利用できる.しかし,内部障害者は健保組合への医療費
に妊娠出産が可能である.中等度以上の母体リスクのあ
成人先天性心疾患診療ガイドライン
る心疾患は,心血管系合併症を生じる場合があり,胎児
リスクも高い47).また,一部の先天性心疾患では,母体,
的な報告もある24,35).
医療側にも大きな問題がある.現在,循環器にたずさ
胎児ともにきわめてハイリスクであり,妊娠前にカテー
わる医師にとって,先天性心疾患患者の妊娠,出産に関
テル治療あるいは修復術を行っておくか,避妊,妊娠の
する知識が,必ずしも満足のいくものではない場合が少
中断が推奨される47,48).また,一般婦人と比べると胎児
なくない.大学病院や大規模総合病院でさえ,妊娠前の
流産率,低出生体重児の割合が高い .妊娠出産のハイ
診療から,妊娠中,分娩に対する知識は乏しいことが現
リスク疾患,妊娠を避けた方が良いと考えられる心疾患,
状である.従って,先天性心疾患患者が妊娠出産を経験
病態は,胎児にとってもハイリスクである.これら疾患
し,社会的に自立していくために,妊娠出産ガイドライ
は,妊娠中,出産後に心不全,不整脈,血栓塞栓,大動
ンが必要である47,48).また,患者側も,妊娠出産に関す
脈解離,チアノーゼ増悪などを伴うことが少なくない.
る知識を身につける必要がある.
49)
Eisenmenger 症候群,高度左室流出路狭窄,NYHAⅢ度
以上の心不全(左室駆出率<35 % 以下),大動脈拡張を
就
業
伴う Marfan 症候群(大動脈径:>40 mm)では,妊娠
成人先天性心疾患患者の,就業率は報告により異なる
は禁忌,中断あるいは疾患治療後に妊娠する事が安全と
が26,28,35,55),疾病が重症なため就業できない場合は,全
考えられている.母体の病態が悪化した場合,28 週以
体の 10 % 以下とされている33).中等症以上の場合,就
降であれば出産を考慮する .ハイリスク心疾患妊娠に
職を拒否される率は一般と比べ 400 倍高いとされ,疾患
精通しているチーム(産科医,循環器科医,循環器小児
重症度は非雇用率,低賃金と相関するという26).特に,
科医,麻酔科医,新生児科医)の協力が得られる施設で
NYHAⅢ度以上では,無理ができず,頻回に入退院を繰
の管理が望まれる
.このような一部のハイリスク疾
り返すため会社に満足に勤務できない場合も多い24).身
患は,結婚,妊娠,出産,育児,服用薬剤の母乳移行な
体面では,NYHA classⅡ以上,心拡大,強心薬内服が
ど一般とは異なるため,本人の自覚,医療体制,担当医
就業に影響を及ぼし,身体活動能力は就業状況と相関す
師,家族の協力が非常に重要となる.
る28,52).また,重症心疾患で,教育が十分受けられない
50)
30,47)
男性患者の場合,家庭の独立を保つという責任感を感
場合は,就業率は明らかに低い57,58).小児期から思春期
じており,心疾患が重篤であればあるほど経済的バック
の精神的葛藤が成人期以降の精神状態,ひいては就業に
グラウンドの弱さが結婚を含む社会的自立に大きな障害
影響することもある25,51).障害者の雇用促進等に関する
となる場合が多い.仮に社会保障(身体障害者への認定)
法律のうちの障害者雇用率制度を利用することにより就
等で最低限の収入があったとしても,家庭としての収入
職が有利な場合がある.障害者雇用率制度は,未達成企
にはほど遠く,自立を妨げる大きな要因となる.先天性
業は厚生労働省よりの勧告,指導或いは企業名が公表さ
心疾患の男性は一般人口に比べ既婚者は少なく,女性は
れるという罰則があり,反対に雇用率の高い会社は税制
既婚者が多い .しかし,既婚率は,一般と比べ,有意
上の優遇がある24).米国には就職時の機会均等性に関す
に低いとする報告もある37).男性患者は,一家を支えら
るする規定33)があり,身体障害があるだけの理由で雇用,
れるかどうかが課題であり,女性は,妊娠や出産が大き
昇進,退職の際の差別をしてはならないとされている.
な課題とされ,遺伝に関する不安は,男女共通の悩みと
しかし,身体障害者枠で就業できたとしても,就職後に
される23,51).肉体的な観点から見た場合,殆どの患者は,
身体面で優遇されないことも多く,ストレスのために体
性生活,結婚生活が可能である
.しかし,心理的な
調を崩すこともある.さらに,内部障害であるため,外
観点からみると,自己を過小評価する思考傾向,安全な
から見ると元気そうに見えるため,職場での理解が乏し
生活を求めること,自分の病気を知られると嫌われるか
いことが少なくない52).また,職業訓練を実施し,就業
もしれないと考えること,性生活により心臓の状態が悪
しやすい技術を身につけることも必要である.専門学校
化すると考えがちなことなどから異性と親しくなれない
などでの特殊資格獲得は就職を有利に進める上で有用で
場合が少なくない
あり,職業訓練施設,職業能力開発校も各地域に設置さ
24)
51−53)
.男女とも,家族よりも早く死ぬ
53,54)
かもしれないという不安を持っている
.女性は,結
53−56)
れている.しかし,資格獲得率は低いのが現状である.
婚相手に自分の面倒を見てくれる人を求める傾向が強
普通運転免許は就職時のみならず通院時にも有用である
い.先天性心疾患男性と結婚した女性は小さい頃から夫
が,取得率は一般と比べ低い24).現在,先天性心疾患患
の面倒を見てきている義理の母とうまくいかないことが
者の 雇用に関するガイドラインは欧米,我が国ともに
少なくない54).離婚率が高いとの報告39)があるが,否定
作られていない.
7
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
手術方法,心筋保護,内科治療,新生児医療が十分に
発達していなかった 1970 年台以前に行われた複合心奇
形術後の QOL は決して良いとは言えない45).このため,
非手術の非チアノーゼ疾患のケアー,
心臓以外の手術,麻酔,歯科治療,告知
4
複合心奇形の手術後では,合併症,心機能低下,チアノ
ーゼ,不整脈を認める場合が少なくない.このため,チ
アノーゼ性心疾患心内修復術後患者の就業率は低いとす
る報告が多い24,52).しかし,重症度による差はないとす
る報告もある35,41).
景>
内科的,外科的治療の向上とともに,成人に達した先
実際は,心臓病があることは就職に不利ではないこと
天性心疾患患者が増え続け,循環器内科領域で,これら
が多いとされるが,多くの患者は心疾患は就職に不利と
の患者に遭遇する機会が増えている.しかし,大動脈二
考える傾向が強い .一般的に先天性心疾患患者は自己
尖弁を除くと,その 6 割は,非チアノーゼ疾患の代表的
を低く評価する傾向が強い
24)
.さらに,心臓病のため
疾患である心室中隔欠損,心房中隔欠損,動脈管開存な
就職を拒否されるのではないかと考えるため,就職先を
どでしめられている.また,大動脈二尖弁は一般人口の
探すことをためらう場合や雇用者側に心臓病の告知をし
1−2 % に認められ,その約 70 % が成人期には大動脈弁
ない場合も少なくない55).また,退職後の再就職が難し
狭窄や閉鎖不全などを合併してくる.
55−57)
いと考え,希望の職場を探すことをためらう場合も少な
くない.特に,重症心疾患ではこの傾向が強い.また,
<問題点>
長期入院により職を失うことを恐れ,必要な入院をのば
これら非手術の非チアノーゼ疾患が,成人期に達して
し病状を悪化させることもある.一方,雇用側は,心臓
臨床上問題となる点は,肺高血圧,加齢による弁逆流,
病患者は病状が急変したり,長期入院を必要とする可能
狭窄,石灰化の進行,心不全,不整脈,感染性心内膜炎
性があると考え雇用に消極的になりやすい59).雇用者に
であり,循環器内科医がこれらに適切に対応していかな
とっての就業条件は,身体活動能力が良好であること,
くてならない.特に,大動脈二尖弁は発生頻度も高く,
将来もそれが保障されていること,会社を病欠する可能
大動脈弁狭窄や閉鎖不全のほか感染性心内膜炎や大動脈
性が低いこと等である .心室中隔欠損,肺動脈弁狭窄
解離など高率に合併症を起こしうるが,無症状のため経
などの自然歴,修復術後遠隔成績,罹病率は明らかにな
過観察が中断されたり成人期に発症後初めて診断が下さ
りつつあるので41,44),主治医は患者の勤務能力に関する
れる例も少なくない.さらに,低率ではあるが,心室中
身体的情報を,生涯歴も含め雇用者側に的確に伝えるこ
隔欠損での自然閉鎖,高位心室中隔欠損の大動脈弁逸脱,
とが必要である.
閉鎖不全,Valsalva 洞破裂など,無症状でも加齢に伴い
40)
就業に大きな影響を及ぼす要因に,精神的問題がある.
病変が進行したり,高血圧,冠動脈異常,妊娠出産,非
精神的問題には,知的障害と精神障害が含まれ,就業に
心臓手術などの影響が加わり,病態や生命予後が変わっ
大きな影響を及ぼす.知的障害の原因として,染色体異
ていく可能性がある.また,成人期には,心理社会的問
常,周術期の重症集中管理などによるものがある.一方,
題,就業,結婚,保険などの問題が加わっていく.子供
精神障害の原因は,22q11deletion 症候群などが挙げられ
への再発危険率も問題となることがある.
る.ともに就業能力は低く社会的バックアップが必要と
なる61).特に,染色体異常は.知能発達面に影響が大き
く,就業には非常に不利である.
まとめ
診療側,患者側,社会側,それぞれの要素が,成人先
8
<背
<臨床的指針>
1.ケアー
1)非手術の先天性心疾患を持つ成人の多くは,循環
器専門医の定期健診を受けることが推奨される.
2)大動脈二尖弁など無症状の疾患でも,小児科医と
天性心疾患患者の社会的自立を妨げる要因になりうる.
循環器科医が連携し,大動脈弁膜症の管理や感染
今後,成人先天性心疾患患者の管理治療法の向上,診療
性心内膜炎の予防も含めた長期的な経過観察が必
施設の充実,長期予後の解明,患者側の自分の病気に対
要である.
する的確な理解,精神心理的な問題点へのサポート,そ
3)成人期まで未治療で経過した大きな左右短絡疾患
して,社会保障体制の充実が社会的自立の促進にとって
では,高度の肺高血圧症を合併していることが多
不可欠である.
い.このような,重症例に関しては,成人先天性
成人先天性心疾患診療ガイドライン
心疾患に習熟した循環器科医と協力して検査や治
療を行うべきである.
3.麻
酔
1)麻酔科医は,心疾患の病態と重症度,手術侵襲の
4)心房中隔欠損(二次口型)を除くほとんどの先天
大きさに関して,術前から循環器医,外科医と十
性心疾患は,感染性心内膜炎の予防が必要である.
分検討を行う必要がある.
どのような疾患が感染性心内膜炎発症のハイリス
2)麻酔前投薬は,患者の状態によっては,急激に血
ク群であるか,どのような手技・処置が発症のリ
行動態の変化がおきないものを選択するべきであ
スクとなるかを理解して,リスクに応じた抗菌薬
る.また,麻酔による血行動態の変化を考慮し,
の予防投与を行うべきである.
全身麻酔か局所麻酔かを選択すべきである.
5)妊娠により病態が悪化する場合があり,危険性の
文献(65,66,72)
予知と対応が重要である.心房中隔欠損では,奇
異性血栓の予防に注意する.また,抗凝固療法を
4.歯科治療
行っている場合には,胎児に対する催奇形性と妊
1)成人期の先天性心疾患患者では,定期的に歯科を
娠後期の凝固能亢進による弁の血栓形成などの点
受診し,歯周病やう歯を予防し,口腔内の衛生に
から,適切な抗凝固剤の選択が望まれる.
6)心臓以外の手術に対しても,危険性の評価と適切
努めることが重要である.
2)抜歯など観血的な処置の際には,感染性心内膜炎
な指導と助言をするべきである
の予防ガイドラインにしたがって,抗菌薬を予防
文献(62−74)
内服する必要がある.
3)歯科治療時の麻酔方法については,循環器医と相
2.心臓以外の手術
談の上,局所麻酔で行うか,全身麻酔で行うかを
1)成人先天性心疾患患者では,心不全,肺高血圧,
選択すべきである.
不整脈,大動脈拡張,弁逆流狭窄の重症度を評価
文献(65,67,72)
し,手術侵襲の大きさと合わせ,非心臓手術の周
術期のリスクを把握する必要がある(表 5).
2)非心臓手術の周術期には,心不全,種々の不整脈,
5.告
1)患者に対しては,自分の疾患や病態が理解できる
肺高血圧のコントロールが主体となる.
ように,また,定期健診と感染性心内膜炎の予防
3)抗凝固療法を行っている患者では,出血に十分な
の必要性に関して,担当医から十分に説明すべき
注意が必要である.症例や手術の内容によっては,
ヘパリンの静注で代用することが必要である.ア
である.
2)何らかの治療や検査が必要な場合には,十分にそ
スピリン使用例でも,同様である.
の必要性を説明し,理解を求め,その結果につい
4)先天性心疾患の非心臓手術時には,感染性心内膜
炎の予防が重要である.
て説明する義務がある.
3)治療方針は,十分な情報を提供した上で,最終的
文献(65,66,72)
表5
先天性心疾患を有する成人患者の非心臓手術に関するリスク要因
高度危険因子
アイゼンメンジャー症候群
高度の遺残病変・合併症を有する心内修復術後症例
非代償性心不全
高度の低酸素血症(未治療のチアノーゼ性心疾患,姑
息術後)
高度の不整脈
中等度危険因子
中等度の遺残病変・合併症を有する心
内修復術後症例
代償性心不全
姑息的手術後症例軽度危険因子
心内修復術不要な先天性心疾患
現時点で継続治療不要な心内修復術後症例
(文献 66 より改変)
知
には患者の判断で決定されるべきである.
4)結婚や就業に関しては,疾患の病態と重症度を,本
人と周囲に十分に説明し理解を求めるべきである.
文献(65,72)
非手術のチアノーゼ疾患のケアー,心臓以外の手
術,麻酔,歯科治療,告知
<背
景>
治療成績の向上とともに,小児において未手術チアノ
ーゼ疾患は減少しているが,成人には一定数存在し,循
環器内科領域で,これらの患者に遭遇する機会が増えて
いる.ファロー四徴で代表されるチアノーゼ疾患は,ハ
イリスクであり,多臓器異常に対する系統的な医療が必
9
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
要である.
<問題点>
2.心臓以外の手術
1)心臓以外の手術に対しては,未治療のチアノーゼ
心疾患は,高度の危険性があり,適切な指導と対
応をとるべきである(表 5).
これら非手術のチアノーゼ疾患が,成人期に達して臨
床上問題となる点は,長時間持続する低酸素血症とこれ
2)非心臓手術の周術期には,低酸素血症のコントロ
ールと多血症の管理が重要である.
に伴う二次的多血症による臓器障害が加齢とともに明ら
かになることである.また,高尿酸血症,感染性心内膜
3)術前の脱水は,血液濃縮を増悪させ,血栓形成の
リスクが高まるため,十分な補液が必要である.
炎,血栓,塞栓,喀血,中枢神経合併症,腎機能低下な
どの続発症も多く,これらに対する対症療法が必要であ
ヘマトクリット 65 % 以上の多血症では,瀉血を
る.チアノーゼ自体が妊娠や歯科治療,非心臓手術のリ
行うことが大切である.
スクとなり,突然死も多く,循環器内科医がこれらに適
4)チアノーゼ心疾患の周術期には,空気塞栓や脳膿
瘍の予防対策がとられなければならない.
切に対応していかなくてならない.多臓器にわたる異常
を伴うため,各専門医の情報交換によるチーム医療も大
5)チアノーゼ心疾患の非心臓手術時には,感染性心
内膜炎の予防が重要である.
切である.
<臨床的指針>
6)アイゼンメンジャー症候群の患者では,大量出血,
貧血,脱水,全身麻酔が病態を悪化させるため,
1.ケアー
術前から十分な補液を行い,ヘマトクリット 65 %
1)すべての非手術のチアノーゼ心疾患を持つ成人は,
循環器専門医の定期健診を受けるべきである.
以上で瀉血を行うことが大切である.
7)疼痛により状態が悪化することがあるため,周術
2)成人期まで未治療で経過したチアノーゼ心疾患は
期の疼痛管理も大切である.
文献(63−66,72)
ハイリスクであり,成人先天性心疾患に習熟した
循環器専門医と協力して検査や治療を行うべきで
ある.
3)チアノーゼ性先天性心疾患は,感染性心内膜炎発
3.麻
酔
1)麻酔科医は,チアノーゼ心疾患の病態と低酸素血
症のハイリスク群であり,抗菌薬の予防投与を行
症や多血症の重症度,手術侵襲の大きさに関して,
うべきである.
術前から循環器医,外科医と十分検討を行う必要
4)チアノーゼ性先天性心疾患で,中等度以上のチア
ノーゼを認める場合は,妊娠によって母体の病状
の悪化や胎児死亡をきたす危険性が高い.
5)成人期のチアノーゼ心疾患では,たんぱく尿など
がある.
2)麻酔薬や血管拡張剤は,体血管抵抗を下げ,低酸
素血症を増悪させる可能性がある.また,高二酸
化炭素血症,アシドーシス,気道内圧上昇,脱水
腎機能低下が見られ定期的な検査が必要である.
は肺血管抵抗を上昇させ,低酸素血症を増悪させ
腎不全を発症することは少ないが,GFR 低下の著
る.このため適切な人工呼吸管理,十分な補液が
しい患者では,十分な補液を行い,造影剤や投薬
量に十分な注意が必要である.
習術期のポイントである.
3)アイゼンメンジャー症候群では,麻酔時に急激な
6)成人期のチアノーゼ心疾患が,頭蓋内圧亢進症状
循環不全を生じ死亡頻度が高い.全身麻酔による
を訴えた場合には,脳膿瘍の可能性が高く,CT
体血管抵抗の低下に伴う右左短絡の増加,低酸素
が必須である.
血症の増悪,肺高血圧クリーゼに十分な注意が必
7)チアノーゼ心疾患で喀血が見られ,多呼吸,呼吸
困難を認める場合は,肺内出血を考え,入院の上,
要である.
文献(63−66,72)
安静,酸素投与を行う.場合により,凍結血漿,
血小板輸液などが必要になる.抗血小板薬,抗凝
固薬は禁忌である.
文献(62−72)
4.歯科治療
1)チアノーゼ心疾患は,歯牙,歯肉の脆弱性があり,
感染性心内膜炎のハイリスクであり,定期的に歯
科を受診し,歯周病やう歯を予防し,口腔内の衛
生に努めることが重要である.
10
成人先天性心疾患診療ガイドライン
2)抜歯など観血的な処置の際には,感染性心内膜炎
生じると考えられる76,77).そして,これらの不整脈源性
の予防ガイドラインのハイリスクグループとして,
基質は加齢とともに増加するため,不整脈の頻度は加齢
抗菌薬を予防内服する必要がある.
とともに増加すると考えられる.
3)歯科治療時の麻酔方法については,循環器医と相
GUCH 患者が不整脈を生じた場合,循環器小児科医
談の上,局所麻酔で行うか,全身麻酔で行うかを
或いは循環器内科医を受診することになるが特に循環器
選択すべきである.
内科医にとっては疾患の特殊性から悩ましい患者群とな
4)チアノーゼ心疾患では,出血凝固異常があり,歯
肉出血や抜歯時の止血困難が生じやすいため十分
っている.
新たに不整脈が生じた場合,基礎疾患がない患者では
な注意が必要である.
血行動態的に耐えられるような不整脈でも GUCH 患者
文献(63−67,72)
では血行動態的に耐えられず,場合によっては心室機能
不全を惹起したり,悪化させたり,心不全,突然死に至
5.告
知
ることもあり得る.また,基礎心疾患や術後残存病変な
1)チアノーゼ心疾患では,長期間にわたる低酸素と
どによる血行動態の異常,悪化が影響していることがあ
多血症による全身臓器障害があり,疾患と病態に
り,心カテーテル検査などを含む循環動態の全般的評価
関し,担当医から十分に説明すべきである.また,
が必要かもしれない.その結果では外科的手術が必要に
合併症を予防し,QOL を保つため,定期健診と感
なることもある.
染性心内膜炎の予防の必要性に関して,担当医か
ら十分に説明すべきである.
心房手術後患者の場合,洞機能不全を合併しているこ
とも多く,抗不整脈薬の治療により徐脈の悪化をきたし
2)何らかの治療や検査が必要な場合には,十分にそ
得るためペースメーカ治療が必要になることもある.こ
の必要性と危険性を説明し,理解を求め,その結
の際,基礎心疾患及びそれに対する手術方法によっては
果について説明する義務がある.治療,検査後に
ペースメーカ植え込みやカテーテルアブレーションが困
状態が悪化することも少なくなく,術後の生活復
難な場合もある.また,心内短絡があると全身の塞栓症
帰が遅れる場合が少なくないため,周囲によく納
の危険性があるのでその評価も必要になる.
得してもらう必要がある.
3)治療方針は,十分な情報を提供した上で,最終的
には患者の判断で決定さるべきである.
4)結婚や就業に関しては,疾患の病態と重症度を,
本人と周囲に十分に説明し理解を求めるべきである.
文献(65,72)
このような GUCH 患者の不整脈を管理,治療してい
くためには,先天性心疾患や外科手術の多様性といった
解剖やその病態についての完全な理解が必要であり,循
環器小児科医,循環器内科医,電気生理学医,心臓外科
医の協力が必須である.
GUCH 患者に見られる不整脈について,特に治療に
関してはエビデンスが少ない.従って,今回は特に頻脈
性不整脈の病態,現在の薬物,非薬物治療について文献
5
不整脈
的考察を述べる.AHA,ESC のガイドラインにも一部
触れる.
メカニズムと疫学
序
文
手術未施行の先天性心疾患(CHD)患者だけでなく,
外科手術を施行した CHD 患者においても,生命予後が
改善するにつれて,不整脈が大きな問題となってきてい
る .
75)
成人期に達した CHD 患者(GUCH 患者)における不
GUCH 患者における不整脈の基質は大きく 3 つに分
類される(表 6)
1)先天的異常で術前から存在する異常で,手術の有
無に関わらず存在するもの
2)先天性心奇形に伴う血行動態的異常(圧・容量負
荷)や低酸素による心筋病変
整脈は,手術未施行の場合,慢性的血行動態的負荷,チ
3)術前にはなかったが手術により新たに生じた異常
アノーゼなどによる心筋肥大や繊維化が,また,外科手
これらを考慮して GUCH 患者における不整脈を診断,
術施行した場合,手術後の残存病変や心機能低下による
心筋病変や手術瘢痕が原因(不整脈源性基質)となって
治療することになる.
具体的には,個々の患者の基礎心疾患以外に手術術式,
11
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
表6
1)先天的異常で手術が困難なもの,従って手術の有無に関
わらず恒久的に残存する異常
副伝導路,二重房室結節など
2)先天性心奇形に伴う血行動態的異常(圧・容量負荷)や
低酸素による心筋病変
弁逆流/狭窄による容量/圧負荷,心内短絡による
容量負荷
手術後残存病変(心負荷,心室機能低下,肺高血圧
など)
3)術前にはなかったが手術により新たに生じた異常
手術切開線やパッチ,縫合線閉鎖などによるリエン
トリー回路形成など
稀ではあるが iatrogenic な AVRT がフォンタン手術
(Bjork 術)後に生じることがある85).
術後のリエントリー性上室性頻脈性不整脈で最も頻度
が多く,重要なのが心房粗動である.心房粗動は,基礎
疾患のない場合のように三尖弁輪周囲をリエントリー回
路とする通常型心房粗動も多く認められるが,それ以外
に,心臓手術後患者では心房切開線など手術切開線自体
が障害心筋や瘢痕組織となり,これが不整脈源性基質
(伝導遅延部位,伝導障壁)となって生じるマクロリエ
ントリー性頻拍が重要であり,intra-atrial reentrant
tachycardia(IART)と呼ばれる.この不整脈は現在のと
残存病変(心内短絡など),心室機能などを考慮する.
ころ色々な呼称で呼ばれているが(心房粗動,非通常型
実際,GUCH 患者の頻脈性不整脈には疾患特異性或い
心房粗動,心房内リエントリー性頻拍,マクロリエント
は術式特異性が認められる.先天性心疾患(CHD)の
リー性心房頻拍,incisional 性心房頻拍),ここでは
解剖学分類は非常に複雑であるが,CHD 患者に伴う不
IART と呼ぶこととする.心房頻拍の分類に関しては
整脈は基礎心疾患と術式により表 7 に示すカテゴリー
NASPE のリポートに詳しく述べてある86).
に分けられる.
IART はフォンタン術後によく見られ,その頻度は時
これらの不整脈の電気生理学的異常は,先天性心疾患
間とともに増加する.また,術式と関係があるかもしれ
のない場合と同じで,刺激生成,興奮伝導の異常,或い
ない.Mustard/Senning 術後にもその頻度が高いが focal
は,これらの複合により生じる.異常自動能,トリガー
な心房頻拍も多い.Mustard 術後では 18 歳以上で 48 %
ドアクティビティ(EAD/DAD)が刺激生成の異常であ
に心房頻拍を認める87,88).
る.興奮伝導の異常には伝導ブロック(洞結節,房室結
節,His-プルキンエレベル)による徐脈や一方向性ブロ
ック,頻脈につながるリエントリーがある.
上室性頻脈性不整脈
上室性頻脈性不整脈(SVT)は心室性頻脈性不整脈よ
り 頻 度 が 高 い , 心 房 手 術 後 ( Mustard/Senning 術 ,
また,ファロー四徴症術後でもしばしば認める(12−
34 %)89).
心房細動(AF)に関しては ASD に関係するもの以外
はほとんど報告がない90).
心房粗動が心房リモデリングを起こし AF が生じやす
くなるとの報告もあり91)今後頻度が増加してくると考え
られる.
Fontan 術,ASD 術)は洞機能不全(SSS)合併も多く,
表7
上室頻拍も年齢が進むにつれその頻度が増加する78,79).
心室性不整脈で知られるファロー四徴症でも SVT が
多いことは特筆すべき点である80).
GUCH 患者における SVT には先天性心疾患のない場
合と同じで房室結節回帰性頻拍(AVNRT),房室回帰性
頻拍(AVRT),心房粗動(AF),心房頻拍(AT)がある.
多くの AT はマクロリエントリー性であり,この中に
は,古典的な粗動波のある三尖弁-下大静脈峡部を通る
心房中隔欠損(ASD)術後,心室中隔欠損(VSD)術後
ファロー四徴症(TOF)心内修復術後,或いは Rastelli 術後
(基礎疾患としては両大血管右室起始症;DORV,完全
大血管転換;dTGA など)
Mustard/Senning 術後(dTGA,修正大血管転換;cTGA)
Fontan 術後(三尖弁閉鎖やそれ以外の単心室)
Ebstein 奇形およびその術後
二重房室結節(twin AV node)を合併する複雑心奇形(房
室錯位,内臓心房錯位)
通常型心房粗動と81),それ以外の手術創や瘢痕などと関
連したマクロリエントリー性心房頻拍がある82).後者は
GUCH 患者における SVT の中で最も重要なため詳細は
後述する.他に,異所性自動能やミクロリエントリーに
よるものもある.また,先天異常に絡んだ頻拍には,内
臓心房錯位や房室不一致にみられる二重房室結節(twin
AV nodes)或いは sling と呼ばれる刺激伝導系の先天的
異常や83),Ebstein 奇形によくみられる副伝導路がある84).
12
表 7 に示した各カテゴリーについて詳細を述べる.
心房中隔欠損 ASD
疫学など
心房性不整脈では心房粗動 AFL と心房細動 Af が最も
多い.
成人先天性心疾患診療ガイドライン
未手術例では 20 % に生じる92,93)
治
手術時年齢が ASD 術後の持続性不整脈の最もよい予
療
急性期治療,薬物治療は基礎心疾患のない上室頻拍に
準じる.心房性不整脈に対してはアブレーション治療が
測因子である.
ASD 閉鎖術は不整脈を治癒しない.
選択されるが,成功率は 76 % とやや悪い.この理由は,
手術時年令が高齢,術前から不整脈がある,術後不整
副伝導路の geometry が複雑なことと右房化右室に沿っ
て幅広く存在する(multiple),異所性自動能が混在した
脈があると遠隔期不整脈が生じやすくなる.
肺体血流比が 1.5 以上の場合,40 歳前に ASD 閉鎖
り,房室弁輪が歪んでいたりするためと考えられている.
(外科的,カテーテル)すると不整脈の頻度が減らせる
また,再発も多い99−101).したがって,開心術前にアブレ
かもしれないが 40 歳以降ではその可能性はほとんどな
ーションするか,EPS をして副伝導路の位置を確認し開
く術後数年で 60 % が不整脈を生じる94).
心術の際に不整脈手術を行うことが勧められる102).
但し,
心房粗動,細動に対する Maze の成績はよくなく,再発
治
も 40 % と多い
療
急性期治療,薬物治療は基礎心疾患のない上室頻拍に
準じる95).
心房粗動/IART は右房峡部或いは切開線の周りをリエ
フォンタン手術
疫
学
ントリー回路とする頻拍であり,薬物療法は無効なこと
フォンタン手術は三尖弁閉鎖など単心室症例に対しチ
が多く,峡部或いは伝導遅延部位がアブレーションのタ
アノーゼを改善するために行われる姑息術である.術式
ーゲットとなるためアブレーション治療が第一選択と考
により不整脈基質が異なる.歴史的に古い術式である心
えられる.最近の報告では成功率は 81 % である .
耳肺動脈吻合では右房の拡大が生じ,それに伴い伝導遅
96)
手術未施行の場合は峡部依存性心房粗動 AFL の可能
性が高くカテーテルアブレーションで根治する.
延や dispersion の増大を生じ,また,ラテラルトンネル
型 TCPC では心房切開線,縫合線によりリエントリー
血行動態的に欠損孔閉鎖が適応にならないならばアブ
性不整脈を生じやすい.心外導管型 TCPC よりも心耳
レーションが適応である.手術適応になる場合でも術前
肺動脈吻合やラテラルトンネル型 TCPC で心房性不整
にアブレーションするか,経験のある施設で術中にアブ
脈が多いという報告があるが,TCPC 術式では洞機能不
レーションすることが勧められる.
全 SSS や房室接合部調律が多く,新たな不整脈基質に
手術後患者では峡部依存性および非依存性心房粗動が
複数存在することが多く,経験ある施設で非依存性心房
粗動の可能性も考慮してアブレーションを施行する.
CHD に関連した心房細動は,そのメカニズムが明ら
かでなく,アブレーション治療に関しては確立されてい
ない.また,術中の Maze 手術が行われることがあるが
これに関しても確立はされていない.
Ebstein 奇形
疫学など
この病気では三尖弁の一部が心尖部へ変位(plastering)
しているため機能的右室が小さく,三尖弁逆流も生じる
ため右房が拡大する.しばしば,ASD を合併し心房性
不整脈が生じやすい.その頻度は 25 % で84,97)WPW 症
候群が最も多い.更に,高率に右側副伝導路を合併する.
これは房室弁輪と中心繊維体が離れているため胎生期の
房室伝導路が残存しやすいためと考えられている98).
また,マハイム束も多い.そのほか心房頻拍,心房粗
動,心房細動,心室頻拍などが報告されている.心房性
なるという報告もあり最終的な評価には更に長期の経過
観察が必要である.
心房性不整脈は 41−61 % の患者に生じ,観察期間が
延びるにつれ頻度も増大する.術後平均 7 年で不整脈を
生じ,治療に抵抗性である.
不整脈を生じた患者は心不全や血栓症,房室弁逆流の
悪化などを来たしやすい103).
近年の報告では必ずしも mortality には関与しない104).
洞機能不全も多いが正確な頻度は不明である,10-15
% の患者で洞性徐脈や接合部調律を認めると報告され
ている105).
IART が多いが,術後 AVRT もあり,先天性にも医原
性にも生じる106,107).
また,内臓心房錯位症候群の場合は房室結節が 2 つあ
りこれらを回る AVRT もある.
この場合は,術後のアプローチが困難なこと,術後急
性期の頻拍がリスクであることから経験のある限られた
施設でフォンタン手術前に評価治療することが勧められ
る108).
不整脈の頻度は年齢とともに増加する.
13
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
治
療
心機能低下にも関係する113).
この疾患群の IART に対する治療は最も challenging な
そして,突然死のリスクが 7 % にも及ぶ114).不整脈
もののひとつであり,通常,薬物,アブレーション,ペ
がないのは 30 % のみであり115)洞機能不全は年に 2.4 %
ースメーカ,手術の組み合わせで行われる.
ずつ増加し,洞調律が維持できるのは 5 年で 77 %,20
抗不整脈薬は洞機能不全や心室機能低下を合併してい
年で 40 % である116).
一方,Jatene 術の SR 維持は 95-98 % である.上室性
るので注意が必要である.
急性期治療及び薬物治療は,基本的には基礎心疾患の
ない心房粗動に準じるが難治である.
不整脈の頻度は Mustard 術後が 48 % であるのに対し,
Jatene 術後では 5 % である117).
また,Ⅰ群抗不整脈薬により頻拍レートが減少して房
室伝導が 1:1 になり血行動態的破綻を来たす場合があ
治
る.心機能低下症例では催不整脈に特に注意が必要であ
る.
療
急性期治療,薬物治療は基礎心疾患のない上室頻拍に
準じる.
アブレーション治療は 73-83 % の成功率,118,119)再発
洞機能不全合併症例で抗不整脈薬を使用する場合はペ
ースメーカにより徐脈を予防する必要がある.
率は 12 % である.
また,電気的除細動を施行する場合は,発症 48 時間
以内であっても必ず心エコーで巨大血栓がないか否かを
Mustard/Senning 術後の心房頻拍のメカニズムが明ら
かになってきている.
確認する,48 時間以上たっている場合は経食道エコー
で血栓のないことを確認してから施行する.
アブレーションの急性期効果は 83 % だが短期間で少
なくとも 20 % が再発する
.再発の原因はフォンタン
109)
三尖弁−下大静脈峡部,冠静脈洞開口部などが
critical zone となり,リエントリー回路は両心房に生じ
うるし,切開縫合線の近傍に心房頻拍の focus を認める
ことがある.
個々の解剖,術式,残存病変や心内短絡の有無などを
循環という特殊な循環動態のため右房に容量負荷がかか
っていること,右房内で血流がないためカテーテルの出
詳細に検討する必要がある
力が上がりにくいこと,心房筋が厚く深い lesion ができ
心室機能低下,突然死,洞機能不全のため抗不整脈投
ないことなどがある.難治性心房頻拍の場合,房室結節
与は慎重にする必要がある.専門施設に紹介することが
アブレーションをしてペースメーカ植え込みをすること
勧められる.カテーテルアブレーションが有効なことも
が有効な場合もある110).
あるがペースメーカや再手術の適応も含め専門施設に紹
一部の限られた施設において,蛋白漏出性腸症,弁逆
流,チアノーゼなど血行動態的に修復が必要な場合など
TCPC conversion の際に cryoablation など不整脈手術やペ
介する.
ファロー四徴症
ースメーカ植え込みを併用することが行われている.
完全大血管転換/修正大血管転換
疫
心房切開が心内修復術の際に施行されており遠隔期に
手術瘢痕や右房負荷による心房伝導遅延部位などが原因
となって心房性不整脈が多い120).
35 年間のフォローで 10 % が心房粗動を発症し,11 %
学
完全大血管転換は,大動脈と肺動脈が入れ替わり,右
が VT を発症し,8 % が突然死している121).
室から大動脈が,左室から肺動脈が起始する疾患であり,
多くの患者が RBBB であり,上室性頻拍の際 RBB 型変
血流転換術が必要である.心房レベルで行う血流転換術
行伝導を示す.
が Mustard/Sening 術,大血管レベルで行うのが Jatene
術である.
修正大血管転換では Mustard/Sening 術,Jatene 術,
Rastelli 術などを組み合わせたダブルスイッチ手術が最
VT は右室流出路・漏斗部中隔のリエントリーであ
る.この場合多くは LBBB パターンだが 25 % は RBBB
パターンである.従って,RBBB パターンといっても
VT を否定できない.
終手術として行われることがある.
Mustard/Sening 術は心房切開が広範囲に及び心房縫合
線も多いため心房粗動,IART,洞機能不全が高率に生
じる
.また,右室が体心室の場合,心室機能低下
111,112)
を生じ,不整脈の原因にもなる.逆に,心房性不整脈が
14
治
療
SVT の急性期治療,薬物治療は基礎心疾患のない上
室頻拍に準じる.
しかし,血行動態的に悪化する症例もおり注意が必要
成人先天性心疾患診療ガイドライン
である.時には VT か SVT か鑑別困難な場合があり専
ー性心房頻拍について述べる.
峡部依存性 AFL は三尖弁を回る右房のマクロリエン
門家に相談した方がよい.EPS が必要な場合もある.
心房粗動は峡部依存性・非依存性の場合がある.不整
トリーである.このリエントリー回路は伝播する興奮前
脈の発症が血行動態的問題と関係している場合があり再
面とそれ以外の excitable gap からなる.右房の Crista
手術も考慮にいれて血行動態の評価が必要なこともあ
terminalis 或いは上下大静脈間の静脈洞部が後方の障壁,
三尖弁が前方の障壁となっている.Class Ia 群は伝導速
る.
度を減じて不応期を延長する.結局,excitable gap が短
慢性治療は今まで述べたものに準じる.
縮する.ClassⅠc 群は伝導速度を強力に減じて粗動レー
心室性不整脈
トを遅くする.Ⅲ群は不応期を延長して頻拍を停止させ
GUCH 患者で認める心室性不整脈は心室期外収縮か
る可能性がある.
ら心室細動まで認め,数は少ない.しかし,持続性心室
オーバードライブペーシングも心房をキャプチャーし
頻拍と血行動態の異常の組み合わせは失神や突然死の危
てリエントリー回路に侵入して回路を両方向性にブロッ
険因子であるため心室性頻拍が問題になる,特にファロ
クを生じたら粗動を停止できる.電気的除細動も心房全
ー四徴症が知られている.
体を同時に脱分極させることで頻拍停止に有効である.
ファロー四徴症術後患者のホルター心電図検査では
50 % 近くの患者で頻回の PVC,非持続性 VT を認める,
しかし,ほとんどが無症状で突然死のリスクにはならな
臨床症状
心房頻拍の急性症状は,動悸,呼吸困難,疲労感,胸
痛などである.慢性症状として易疲労感,心不全の悪化,
い122).
一方,持続性心室頻拍は致死的になり得る不整脈であ
り,両大血管右室起始 DORV や心室中隔欠損 VSD の術
後などの心室内の手術を施行した場合に合併しうる123,124).
肺梗塞などがある.
心奇形がない多くの AFL は 2:1 伝導の房室伝導を示
し,粗動レート 300 の時,心室レートは半分の 150 にな
右室の障害心筋や繊維化が不整脈源性基質(伝導遅延
る(房室伝導が Wenckebach 型伝導をした場合には RR
部位)となりリエントリー性心室頻拍を生じるが,外科
間隔は一見不規則になる).しかし,IART の場合心房
手術時の右室切開や VSD パッチ閉鎖により生じた障害
筋の障害のため伝導速度が遅く,Ⅰc 群を投与した時と
心筋や瘢痕も不整脈源性基質となりうる.従って,VSD 閉
同じように粗動レートが遅く,1:1 伝導を示し血行動
鎖術を行った場合は VT の危険性があることになる125).
態の破綻を来たすことがあるため,房室伝導を落とす薬
特に,肺動脈閉鎖不全など右室拡大があることが VT の
剤が必要である.
粗動が持続すると心機能低下を来たし頻拍誘発性心筋
危険因子となることが言われている.
ファロー四徴症の場合,VT のリエントリー回路にな
症になることがある.心室興奮が不規則な場合は頻拍レ
りうるのは右室流出路,心室の手術瘢痕,自由壁,
ートがそれほど速くなくても心機能低下を来たすことが
parietal band などである126,127).しかし,手術未施行患者
ある.
Mustard 術後や Fontan 術後は特に注意が必要であ
でも VT の危険性があり右室容量,圧負荷により生じた
障害心筋や瘢痕も不整脈源性基質となりうる
.
128)
上室頻拍に対する治療
房室結節が関与する上室頻拍(PSVT)の場合は,一
る
.
115,120)
急性期治療
急性期に治療するかどうかは臨床症状による.血行動
般の PSVT 治療と同じであり,急性期治療の詳細は日循,
態が悪化したり,心不全症状を認める場合は心拍同期電
AHA のガイドラインに記載がある.
気的除細動を施行する.多くの場合心房粗動は 50J 程度
発作予防,慢性期治療も同様であるが,ACC/AHA
の少ないエネルギーで頻拍停止に成功する.2:1 或い
guideline では通常の薬物療法の中にソタロールとアンカ
はそれ以下の房室伝導比であれば血行動態的には比較的
ロンは含めてない.
安定している.この場合,房室伝導を低下させる薬剤投
心房粗動
病因と治療の概略
GUCH 患者に特徴的な心房粗動,マクロリエントリ
与でレートコントロールするという選択もできる.しか
し,適切なレートコントロールは難しい.
心房のオーバードライブペーシングもひとつの治療法
である.
15
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
48 時間以上持続した場合,抗凝固療法が必ず必要で
ある.
抗不整脈薬の使用の妨げになるためペースメーカは有効
な補助的治療である.
Ⅰc 群ナトリウムチャネル遮断薬のような薬剤で洞調
律復帰を試みる場合は必ず房室伝導抑制薬の併用が必要
である.
カテーテルアブレーション
基礎心疾患のない多くの頻脈性不整脈ではカテーテル
以前は塞栓症の危険性は心房細動に比べて低いと考え
アブレーションは根治的療法と考えられている.CHD
られていたが,最近の報告では 1.7-7 % の危険性がある
患者の場合も,特に,術後の IART は薬剤抵抗性である
と報告されている
ため,基礎心疾患のない多くの頻脈性不整脈のようにカ
.
129,130)
特に,フォンタン手術後など右房に巨大血栓が存在す
また,電気的除細動後も心房 stunning が数週間持続す
るため
テーテルアブレーションの効果が期待される.
しかし,現時点では CHD 患者における高周波カテー
ることがあり注意が必要である.
,頻拍停止後も抗凝固療法を継続することが勧
131)
テルアブレーションの成績は,基礎心疾患のない場合に
比し悪い.その理由は以下のごとくである.
手技には基礎心疾患,手術術式,解剖の多様性の理解
められる132).
が要求される,
慢性期,後療法
一般的に心房粗動はアブレーションのよい適応である
心房粗動や,それ以外の心房頻拍(IART 含む)の頻
が,開心術後の心房粗動では峡部依存性とそれ以外の
度が多く,この場合でも一般的には薬物治療がまず行わ
scar に関連したマクロリエントリー性心房頻拍である
れることが多いが薬物治療だけでコントロールできるこ
IART とが同時に存在しうる142,143).そのリエントリー基
とは少なく難渋する場合が多い.
質には,手術瘢痕,ASD パッチ,crista terminalis や静脈
ジゴシン,アミオダロン,フレカイニドが有効との 1
報告がある133).
粗動における三尖弁-下大静脈間峡部やその他の伝導遅
全てのクラスの抗不整脈薬が予防投与に使用されてい
延部位が関与する.実際,フォンタン術後では,伝導遅
るが prospective に効果,安全性を評価した報告はない.
延部位が限局せず心房全体に存在する.従って,一人の
ソタロールは急性期 72−88 % の効果である
患者で不整脈基質が複数存在することが多い.そのため
催不整脈性が多く 10−16 %
.しかし,
134)
再発も多く,2 年で 66 %
135)
には治療時間が長時間にわたり透視時間も問題になる,
例え,CARTO を使用しても手技に長時間を要すること
との報告がある136).
今のところ CHD 合併患者ではアミオダロンが最もよ
が問題になる.
.しかし,副作用も多く,特に
更に,IART が生じるような CHD 患者,例えばフォ
200mg/日以上の長期投与ではその頻度が高くなる.チ
ンタン手術後患者の右房内のように,血流が停滞してい
アノーゼ患者やフォンタン患者ではリスクが高い138).
る場合は十分な貫壁性のアブレーション lesion ができな
いとされている
137)
再発を予防できる抗不整脈薬は今のところないという
のが現状である.
実験的にはⅠc 群,Ⅲ群が多少効果を認めるが洞機能
や心室機能低下を来たしうるため使いにくい.
小児患者での抗不整脈薬使用では催不整脈性が多く,
い.
システムの発達にともない,急性効果は改善してきて
いるが(成功率
71-93 %)144−146)再発率は高い(46−53
81,147,148)
%)
.
この意味では,IART に対するカテーテルアブレーシ
Ⅰc 群使用による心停止や突然死が CHD 患者で多いこ
ョンは根治療法とはいえず,長期予後データも得られて
とが報告されている139).
いない.しかし,電気的除細動や入院の頻度の減少とい
成人 CHD 患者で不整脈を合併すると血栓症のリスク
が増えるためワーファリンなど血栓予防をすることもあ
る.特にフォンタン手術後はそのリスクが高いことが報
告されている .
140)
った臨床的な QOL の改善が得られることが報告されて
いる.
Non-contact mapping,CARTO マッピングなどの新し
いマッピングシステムにより頻脈回路の同定がしやすく
しかし,GUCH 患者では凝固能異常を伴う場合も多
なったが 149−157),現在のところ,それぞれ長所,短所が
いため,現時点では抗血栓療法に関しても一律に治療基
あり,短時間で関心領域の正確で広範囲の電位情報を得
準を定めることは困難である.
られる理想的なシステムはない.
また,洞機能不全は上室性不整脈のリスクであり 141)
16
開口部などの元々の解剖学的伝導障害部位,通常型心房
アブレーションシステムとしては Irrigation カテーテ
成人先天性心疾患診療ガイドライン
ル,cooled-tip カテーテルなどのアブレーションシステム
しかし,無症状の PVC を薬剤で抑制することが突然
が日本でも使用できるようになることが望まれる158,159).
死予防によいという prospective,コントロールスタディ
このように,CHD 患者の術後 IART の治療は未だに
ーがないことや CAST スタディーの結果から,或いは,
challenging であるため,峡部非依存性心房粗動(IART)
外科手術の改良,心筋保護の改良,早期の手術により
が疑われた場合には経験のある施設に紹介することが勧
PVC の抑制がなくとも突然死が減少することが報告さ
められる.
れた119).
頻回の PVC,プログラム刺激による VT の誘発性は
薬剤抵抗性で有症状
VT,突然死とは関係ない166).
ASD 術後
経験のある施設で
ClassⅠC
以上のように,ファロー四徴症やその他の CHD 患者
Mustard/Senning 術後
経験のある施設で
ClassⅠC
における心室性不整脈と突然死の問題は,そのリスク階
血行動態的に手術適応ある 経験のある施設で
ClassⅠC
層化ができていないために混沌としている.
ASD の心房粗動
現在までに突然死の予知因子としては頻回の PVC,
ASD 閉鎖+
EPS による VT の誘発性のほか,高い右室圧165),高度の
術中アブレーション
血行動態的に手術適応ある 経験のある施設で
Ebstein 奇形の PSVT
術中アブレーション
手術適応ない手術未施行
ASD 閉鎖+
ASD で無症状
術中アブレーション
ClassⅠC
PR と右室容量負荷167),QRS 延長168,169)などがいわれて
いる.
ClassⅢC
持続性心室頻拍の場合は,血行動態の評価と EPS が
必要である.この場合はカテーテルアブレーションが可
能かどうか以外に,上室性頻拍に対する評価もする必要
外科的手術
がある.心室頻拍に対するカテーテルアブレーションの
残存病変の修復,不整脈手術の併用,ICD を含むペー
意義はまだ controversial である.持続性,単形性で血行
スメーカ治療など Challenge である.多くの場合,特に
動態的に安定している場合はアブレーション可能であ
フォンタン手術における IART ではカテーテルアブレー
り,ICD 植え込み患者で ICD 作動の頻度を減らすため
ションの結果は満足のいくものではない.広範囲な心筋
に試みる場合がある170,171).
肥大,繊維化,伝導遅延,巨大な右房,血流うっ滞がア
非持続性 VT の評価,管理はさらに分かっていない.
ブレーションを困難にしている.また,フォンタン循環
である以上,右房には新しい基質が生じていく.
この悪循環を止めるためフォンタン conversion が提唱
6
肺高血圧
されている.元々は単なる conversion であったが,術前
アブレーション,術中アブレーション,更にはペースメ
ーカ治療も合わせて行われ,短期,中期的に良好な結果
Ⅰ
Ⅰ 背
が得られている160,161).
心室性不整脈と突然死
景
安静時仰臥位での主肺動脈平均圧が 25 mmHg,労作
GUCH 患者における心室性不整脈の管理は,最も大
時 30 mmHg 以上を肺高血圧(PH)と定義する.肺動脈
きな問題である.その頻度が一部の疾患で高いこと,そ
血圧は,胎内では大動脈圧とほぼ同一であるが,その後
の同じ疾患で突然死があることが以前から報告されてき
生理的に下降し生後 3 週間で成人レベルに低下する.中
た.残念ながら,突然死のハイリスク群を正確に予測し,
等度以上の左右短絡が持続すると肺動脈閉塞性疾患に発
適切に予防治療を行うことはまだできない
展するが,適切な時期に手術を行なえば PH は可逆的で
.
162,163)
疾患頻度,PVC の頻度からして,ファロー四徴症術
後患者に焦点をあてて述べる.
以前は,ファロー四徴症患者の突然死は二枝ブロック,
や突然の徐脈性不整脈が関係していると考えられてい
た
ある.しかし,小児期に手術適応のない症例や,約 3 分
の一の症例では欠損孔が存在するにも関わらず出生後も
左右短絡による肺血流増加の時期がみられずに PH が進
行する事がある172).
.しかし,その後,突然死患者に PVC の頻度が多
PH が非可逆的で,左右短絡の減少による肺うっ血の
かったこと,PVC を抑制することが突然死の頻度が少
軽減と右左短絡の増加によるチアノーゼとなり,所謂
ないという報告がでた165).
Eisenmenger 症候群と呼ばれる.
164)
17
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
表8
肺血管抵抗は 12 単位・m2 以上となり,肺体血管抵抗
比も 1 に近くなる.
予後は最近改善してきたが,数 10 年から 40 歳代まで
で,最後の数年は低酸素血症と心不全症状が強い.
成人先天性心疾患 ACHD の診療には,小児循環器,
成人循環器,心臓血管外科,妊娠・分娩には婦人科医の
Collaboration が必要となり,専門知識を備えた医療
肺高血圧合併時の主な症状
呼吸困難,低酸素血症,
バチ状指
胸痛,動悸,
運動時失神,
右心不全による浮腫(顔面,前脛骨部)
頚静脈怒張
Team が必要である173).
・PH では,VSD〜PH,PDA/PH と異なり,運動に伴う
Ⅱ
Ⅱ 病態生理学的異常174)
右−左短絡が充分でないため,失神を来たすことがあ
る.
1
血管作動物質
運動時呼吸困難:軽度の等張性運動はいいが,等尺性
運動は症状が増悪する.短絡の残っている(非手術)
肺血管に作用する血管作動物質の異常が存在する.血
PH では右−左短絡が増加し,酸素飽和度の低下と二酸
管収縮物質には,Endothelin-1,ThromboxanA2,
化炭素の増加により,呼吸中枢の反射により呼吸速拍に
Angiotensin,Prostaglandin F2α等がある.一方これに拮
なり, 息苦しさ
を感じる.
抗する拡張性物質には Prostacyclin(PGI2),Nitric Oxide,
診察上,聴診では,心音Ⅱ音の単一亢進,短絡性の収
PGE1 があり,2 つのバランスにより血管のトーヌスが
縮期雑音は消失し,ある場合は三尖弁閉鎖不全の雑音,
保たれている.
そして拡張期の肺動脈弁逆流雑音(Graham-Steell 雑音),
2
血管壁の再構築
時に肺動脈性の収縮期クリックが聴かれる.
診断に有用な検査を表 9 に挙げる.
病理学的特徴は,血管内微小血栓・凝固異常,血管壁
表9
の細胞性肥厚,血管壁の再構築 Remodeling,である.
分子学的には endothelin,VEGF の発現亢進,eNOS,
PGI2 の発現減弱が認められる.
3
遺伝子異常
肺動脈性肺高血圧 PAH の分子学的異常の一つに,
肺高血圧の検査
Ⅰ.生理学的検査
¡心電図(強い右軸偏位,右室肥大)
¡心エコー(右房,右室,肺動脈の拡大,左室の縮小化)
肺動脈弁逆流,三尖弁逆流
¡負荷心電図
¡24 時間ホルター心電図(特に心房性頻拍,心房細動)
Bone Morphogenetic Protein Receptor TypeⅡ(BMPR2)
¡経皮酸素モニタリング
の変異,Activin receptor-like kinase-1(Alk1)の変異が報
¡肺機能検査
告されている.特発性 PAH の散発例で 27 %,家族例で
も 47 % の頻度で検出される.その他修飾因子 Modifier
Gene として,eNOS,Serotonin 代謝,Angiotensin-Ⅱ,
ACE の polymorphism,Kv チャネル,EDHF,細胞外
Matrix 等の異常が考慮されている.
¡6 分間歩行距離
Ⅱ.画像検査
¡胸部レ線(心拡大,主肺動脈,右肺動脈枝の拡張,肺
野末梢の血流減少)
¡胸部 CT(主肺動脈の拡大,肺動脈末梢 Tapering,血栓
の有無)
¡肺血流シンチグラフィー(局所性灌流欠損)
Ⅲ
Ⅲ 問題点
¡心筋シンチグラフィー(右室の描出,拡大)腹部超音
波,肝胆系,門脈系の異常
¡心臓 MRI
1
臨床診断:
¡血算,生化学検査,肝,腎機能,甲状腺機能検査,
表 8 に示す臨床症状がある175).
¡出血・凝固検査,プロテイン C,プロテイン S
失神発作:PH では,特に修復後の短絡のない PH で
¡尿検査
は運動誘発性の失神発作がある.時に突然死がある.こ
れは,運動に伴い肺血管が血管が拡張しないのに,末梢
血管は拡張し血圧と脳血流が低下するためである.ASD
18
Ⅲ.血液検査
¡膠原病関連検査,抗リン脂質抗体
¡血管作動物質
hANP,BNP,エンドセリン 1,
その他:TXB2,6−Keto-PGF1α
成人先天性心疾患診療ガイドライン
肺血管抵抗値が 10-14-Wood・U 以上で 20-30Wood・U
Ⅳ
Ⅳ 非手術例
という高値を示す症例は,iPAH・ASD と考えるのが妥
当と思われる177).
所謂 Eisenmenger 症候群(ES)は,左−右短絡性疾患
に伴う,肺血管の非可逆的閉塞性変化である.臨床症状
手術適応の最終決定
としては,右左短絡のための労作時低酸素血症,チアノ
肺血管抵抗値が規定以上に上昇している場合は,根治
ーゼ,ばち状指,高尿酸血症,慢性腎疾患(蛋白尿,慢
術が不可能である.夫々の疾患で手術適応の目安が決定
性腎炎,ネフローゼ症候群),肥厚性関節症,血栓塞栓
されている(各論参照).心臓カテーテル検査での血行
症,細菌性心内膜炎,過粘度症候群,などの全身症状を
動態指標と,血管拡張薬や 100 % 酸素吸入への反応性
伴う.表 10 に合併症を示す.
が目安となる(表 12).境界線上の症例では肺生検にお
表 10
Eisenmenger 症候群の合併症175,176)
¡血 液:過粘度症候群,相対的貧血,凝固異常,出血傾向,
¡腎障害:高尿酸血症,痛風,胆石,慢性腎炎,ネフロー
ゼ症候群
¡心血管:心房性・心室性期外収縮(42 %),不整脈(心房
細動,・租動;35.5 %),心不全,突然死,細菌
性心内膜炎(3.7 %),狭心痛
¡神経系:失神,脳血管障害(7.9 %,平均年齢 32 歳),脳
膿瘍(3.7 %,平均年齢 24 歳),奇異性血栓塞栓症
¡その他:低酸素血症,肥厚性関節症,喀血,嗄声,突然
死(30 %)
心房中隔欠損(ASD)に合併する肺高血圧症
ASD の根治手術適応は Qp/Qs>1.3,PVR<14 単位と
されている.ES でも,三尖弁前短絡(例:ASD)と三
尖弁後(例:VSD や PDA)短絡 では血行動態が異なる.
ASD・ES では著しい右室機能低下があり,右室圧は全
身血圧以上に高く著明な右室拡大を示す.左室は歪んで
押しつぶされた三日月状である.一方,VSD・ES は,
心室中隔が平坦で左室は D 型を示すことが多い.右室/
いて,Heath-Edwards(GradeⅠ-Ⅵ)178),八巻(IPVD 法)179)
又は Ravinovitch の基準(A,B.C)180)を参考にし適応
を判定する.Heath Edwards 分類Ⅲ度以上は手術禁忌と
されている.
表 12
PH に対する心臓カテーテル検査181)
1)肺血管抵抗
肺動脈圧(PAm),大動脈圧(Aom),右心房圧(RAm),
肺動脈楔入圧(PCW),心係数(CI)を測定し肺血管抵抗
(Rp),体血管抵抗(Rs),肺体血管抵抗比(Rp/Rs)を算
出する.肺血管抵抗値から 10 Wood 単位/m2 以上を
肺高血圧症と定義し,8-10 Wood 単位/m2は境界領域で
ある.
2)急性負荷試験
a.純酸素吸入試験:純酸素 10-15L/min を 10-15 分吸入
させる.
b.NO 吸入,PGI2,静注,二フェジピン等の投与により
拡張性の有無が検索できる.
c.上記の負荷によって肺血管抵抗が 6 Wood 単位/m2 以
下となる症例は予後良好である.
d.肺血管抵抗が>20 % 低下,PAP が> 20 % 低下し,心
拍出量が増加する場合を Responder と考え,肺血管抵
抗が<20 % の低下で,PAP が減少しない場合を NonResponder と呼ばれている.
左室の壁肥厚は同程度,右室機能は比較的正常である.
右室機能低下時は,左室機能もある程度低下している
表 13 に,主な CHD の手術適応基準を示す181).
(表 11).特発性肺動脈高血圧症例 iPAH の一部には大
先天性心疾患に伴う左右短絡による肺高血圧は適切な
きな ASD を伴う場合があるが,若年例の ASD・PH で
時期に手術を行うことによって正常化する(ClassⅠ,
表 11
ASD/ PH と VSD/ PH の相違177)
主な CHD の手術適応
1)根治手術(ClassⅠ,level B)
Eisenmenger Syndrome
心疾患
表 13
三尖弁前短絡
三尖弁後短絡
ASD
VSD,PDA
右室圧>大動脈血圧≒大動脈血圧
右室不全
頻度高い
稀
右室サイズ
拡大
左室と同じ
壁厚
肥厚
左室と同じ
右房圧
上昇
正常
左室形態
三日月型
D型
a.心房中隔欠損症(ASD)
肺血管抵抗 14 Wood 単位/m2 以下は手術適応とする
b.心室中隔欠損症(VSD)
肺血管抵抗 8-10 Wood 単位/m 2 以下を手術適応とす
る.
肺血管抵抗が上昇している症例では,トラゾリン負荷
試験または酸素負荷試験を行い,肺血管抵抗が 7
Wood 単位/m2 以下となる症例は手術適応とする.
c.動脈管開存症(PDA)
左右短絡を有していれば手術適応とする
19
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
Level B).しかしながら手術時期を逸した症例では,術
後に肺動脈圧が十分低下しなかったり,遠隔期に再度肺
高血圧を発症することがある
Ⅵ
Ⅵ 治
療
(ClassⅠ,Level B).ま
176)
た,重症 PH(Eisenmenger 症候群)に対する根治手術は
表 15 に示す内科的治療薬がある183).
禁忌である(ClassⅠ,Level B).
Ⅴ
Ⅳ 手術例
一般的に,早期の心内修復術は肺血管床の正常な発育
を促し,PH の発症を抑制する.しかし,一部では根治
表 15
肺動脈高血圧 iPAH に対する基本治療薬
1.cAMP 賦活薬
Prostacyclin(経口,静注)
2.cGMP 賦活薬
PDE5 阻害薬(Sildenafil)nitric oxide 吸入
3.Endothelin(ET)受容体拮抗薬
術施行数年〜10 数年後にも PH の新たな発症が見られ
ETA,B 受容体拮抗薬,Bosentan,
ることがある.表 14 に主な CHD の肺高血圧の特徴を
示す182).
1
表 14 主な先天性心疾患と合併する PH の特徴
ASD(II)
本来 PH 合併は稀で 10 % 以下
右左短絡がない ASD/PH でも妊娠は Risk
40 歳以上の有症状患者では,軽度から中等
度の PH がある.
若年女性で高い PVR が合併する時は iPAH
の合併を考慮.
ASD 合併の iPAH は短絡なしの症例より予
後が良い
PDA
PH 合併症例では左室容量負荷がなく左心不
全なし
PH を合併しない大短絡症例では成人にまで
達し得ない
VSD
PH 合併は手術時年齢と術前 PH の程度によ
る.
術前 5 単位以上では,5 年後生存率 25 %.
閉鎖傾向の無い場合は 1 歳未満での手術が
望ましい
2 歳以下であれば概ね術後 PH なし
長期経過後の PH 発現は手術時年齢と Rp に
依存する
10 単位以上であれば,5 年後生存率 75 %.
TGA
VSD 合併例では 6 ヶ月で PVO の変化が見
られる
新生児期の動脈転換術施行例でも稀に PH
がおこりうる
Ⅰ型+ PDA では概ね PH は改善するが稀に
PH が持続する
幼児で 5-10 % は術前肺血管抵抗が正常で
も PH が起きてくる.
Beraprost(経口製剤 Procyclin, Dorner.)184)
我国で開発され,PH 患者に使用されている貴重な経
口薬剤である.二次性 PH,末梢動脈閉塞,閉塞性血管
炎,Raynaud 症候群にも適応がある.NYHA-Ⅱの軽症
例で外来管理には最適の薬剤である.NYHAⅡ〜Ⅲの症
例における運動耐容能の改善は開始後 9-12 ヵ月の時点
では既に認められなくなるとの報告もある.
2
Epoprosternol(静注製剤 Flolan)
1999 年 1 月 PAH に承認された静注用 PGI2 の静注製
剤
である.依然として PPH 治療の gold standard で
174,175)
あり.半減期は 3〜5 分間であるため,継続的な持続静
注療法が必要で,現在までに日本では 400 症例近い患者
がこの治療法を受けてきた.最も信頼性の高い治療とさ
れ小児でも生存率の改善がある.二次性 PH への使用も
我が国でも 2004 年 6 月承認された.
PH 合併 CHD 症例に対する Flolan の長期効果は検討
が少ない185).1999 年の Rosenzweig, Barst らの報告によ
ると 21 例,平均年齢 15+/−14 歳,投与気管 16 ヵ月〜
5.5 年で,PVR は 25+/−13 から 12+/−7 Wood, U に
低下している.内 ASD8 例の Flolan 前平均 PVR:25.4,
急性効果:20.4,長期使用後:10 Wood, U と低下し,4
例は ASD closure が施行し得たと報告している.今後の
検討課題である.
ES に対しても iPAH 治療の gold standard とされる
ECD(AVSD) Down 症候群では術後も PH が持続すること
がある
PGI2 静注療法が効果を示す事があるが,著しく高い
TAPVR
大部分は術後に PH は改善する
PVR が手術適応範囲まで軽減し,術後 PH も長期に回避
TOF
Potts 吻合術後は PH が生じ易い
したとする報告はまだ無い186,187).
In Congenital heart Dosease in Adults.Ed.
Perloff JK, Child JS
WB Saunders, Philadephia, 1998 より抜粋.
3
Endothelin(ET)
-1 受容体拮抗薬
ET-1 は強力な血管収縮作用と,細胞増殖作用を持ち,
PH では活性が亢進し重症度と相関している.その受容
20
成人先天性心疾患診療ガイドライン
体は二つ存在し,G 蛋白結合受容体 family に属してい
表 16
先天性心疾患に伴う肺高血圧症の内科的治療指針
る.ETA 受容体は,肺動脈平滑筋細胞に存在し,細胞
1.内科治療
内 Ca を上昇させ血管収縮に関与する.ETB 受容体は,
先天性心疾患に伴う PH の治療は原発性肺高血圧の治療と
同様に,酸素療法と薬物療法を組み合わせて行う.NYHAⅡ
度以下では経口薬にて管理することが可能である.
肺動脈内皮細胞により多く存在し PGI2 と NO の産生増
加を介して血管弛緩に関与し,feedback により産生が低
下する.PH では ETB 受容体も血管収縮に作用している.
先天性心疾患の PH でも,ETA 受容体の密度の増加と,
血中 ET-1 の増加がある.
Bosentan(Tracleer)188)は最初の ETA/ETB dual receptor
antagonist である.欧米では 2001−2002 年に WHO class
Ⅲ,Ⅳに承認され,あらゆる型の PH に承認されている.
最も深刻な副作用は肝機能障害であり,減量か中止を余
儀無くされる.再開しても肝障害を来たさないこともあ
る.時に貧血があり,また craniofacial の催奇性も懸念
されるため妊娠には注意が必要.最近では小児領域での
安全性,有効性が高いことも報告されている.併用療法
でも有意な効果が認められている.NYHAⅣの重症例で
は epoprostenol による治療が優先する189,190).
4
1)慢性期の治療(NYHAⅠ−Ⅱ度)
ClassⅠ
a.在宅酸素療法(鼻カニューラにて 1-41/分)
(Level B)
b.抗凝固,抗血小板療法(Level B)
ワーファリン PTINR 1.5-2.0 で維持
など
ジピリダモール 2-4mg/kg/日
c.強心薬(Level B)
ジゴキシン
d.利尿剤(Level B)
フロセミド,スピロノラクトンなど
ClassⅡa
e.経口血管拡張薬(Level B)
ベラプロスト 0.5-2μg/kg/日
ボセンタン 31.25〜125mg/日
シルデナフィル 25〜100mg/日
フェジピン,アムロジピンなど
2)心不全増悪期の治療(NYHAⅢ-Ⅳ度)
ClassⅠ
PDE5 阻害薬
a.酸素吸入(Level B)
PDE5 は cGMP 特異的で血管平滑筋,肺動脈,陰茎海
綿体,血小板に多く分布する.Sildenafil,Valdenafil,
Tadarafil は PDE5 阻害薬で cGMP を活性化させ選択的な
肺血管拡張作用があり,全身血圧には殆ど影響を与えな
b.カテコラミン,PDEⅢ阻害剤.(Level B)
Class
II a
c.プロスタサイクリン(PGI2)の持続静注療法 8175)
(Level B)
d.一酸化窒素(NO)吸入(Level C)
いで肺血圧が低下する.2005 年 6 月 FDA で承認でされ
た.Sildenafil の Tmax は約 1 時間で,half-life は 4 時間
である.近年 PAH への治療も報告され,急性反応,慢
Ⅶ
Ⅶ 管
理
性期反応とも好い成績を示している .副作用は顔面紅
191)
潮,頭痛,鼻炎,消化不良 であり,blue color vision
change は網膜に分布する PDE6 の阻害による交叉反応の
可能性もある.しかしいずれも短期効果であり,PH の
非心臓手術:
どんなに小さな手術でも,麻酔による,全身血管の拡
治療上最も問題となる 長期効果 を見守る必要がある.
張による低血圧,右−左短絡の増加によるチアノーゼ増
視力障害には充分の注意が必要である.
強,脳血流低下を招き危険である.死亡の 23.5 % が非
5
在宅酸素
ES では労作後や睡眠中に低酸素血症が増悪する.酸
素により僅かに酸素飽和度が上昇するが長期の効果は確
定出来ていない .カニューレにより鼻出血の原因にな
心臓手術である.つまり,指先酸素飽和度と観血的末梢
血圧のモニターは必須である.また体位性低血圧が起こ
り易いので,体位変換はゆっくり行なう.PH では,硬
膜外(Epidural)麻酔が推奨される.
192)
ることがある.
表 16 に,内科的治療指針を示す.
妊娠・出産
自然流産,早産が 25 %,治療的流産 27 %,未熟児,
低出生体重児 26 %,母体死亡 6 %,母体増悪(失神,
産褥出血,肺高血圧増悪)が 54 % にみられる.
これらの危険性が高いことから,避妊手術,避妊薬
(ピル)の使用が進められる.子宮内避妊具は SBE が懸
念され推奨できない.
21
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
生活管理
QOL を悪化させる.純粋な ES に対しては肺移植の選択
ES では表 17 にあげる症状悪化因子がるので日常生
活では注意する.
表 17
域は狭く,通常は内科的管理が主体である172,176,177,182).
●適応と成績197−200)
ES の症状悪化因子193)
妊娠・出産,
¡全身麻酔,非心臓手術,心臓手術(姑息手術),
¡脱水,過料な利尿薬投与,感染,経口避妊薬の一部,
一般に ES の最終的で唯一の治療は片肺/両肺移植+
心内修復か,心肺移植である.片肺移植は両肺移植と比
べて予後は概ね同様であるが,一部には若干不良である
¡心臓カテーテル検査,運動負荷テスト,呼吸機能検査,
とする報告があり,選別には慎重を要する.Inter-
¡長時間の座位
(エコノミー症候群)
,長時間の飛行機搭乗,
national Guidelines for the Selection of Lung Transplant
¡高地訪問,喫煙,抗凝固薬・抗血小板薬の過剰投与,
Candidates における CHD 合併二次性 PH の移植の扱い
は,「個々の症例間の差が多く予後の予想は複雑である」
と結論付けている.内科的な最大限の治療をしてもなお,
Ⅷ
Ⅷ 肺移植
低酸素,右心不全,NYHAⅢ-Ⅳを脱し切れない場合が
大枠の適応に入る(表 18).単純な肺実質性疾患の肺移
ACHD の一部には,無手術叉は姑息術/根治術後にお
植に比べ,当然心疾患に合併した PH の移植は合併症が
いても,心機能低下により内科的治療の限界に達する症
高いことが予想されるが,実際はほぼ同様の予後が得ら
例がある.これらの症例には唯一心移植,又は肺移植+
れている.
心内奇形修復が最後の治療手段となる.
表 18
Eisenmenger 症候群における心移植の目安202−206)
● ES の自然歴172,176)
若年での症状出現
心臓機能低下の急激な進展
内科的治療の改善により,ES の自然歴は,40〜60 歳
失神の病歴
代まで生存が可能となった.Natural history of CHD の調
強い右心不全
査では VSD/ES の 25 年生存率は 42 % である.
難治性の上室性不整脈
初診後の生存率は,10 年で 80 %,15 年で 77 %,:30
歳での生存率:75 %,40 歳での 70 %,50 歳では 55 %
との報告もある.また複雑心奇形(25.8±7.9 歳)は単
純心奇形(32.5±14.6 歳)よりも予後不良あるとの報告
もある194).また平均死亡年齢は 37.0±13.3 歳との報告が
一方 ACHD で最も頻度の高いのは,根治術後の心機
ある195).また 5 年生存率は総動脈幹:91 %,VSD:67
能低下による心不全状態で,これ以上の姑息的手術や根
%,単心室:34 % との報告もある196).
治術が不能とされる症例群である.心不全症例の多くは
リスク因子には,NYHA−Ⅲ,Ⅳ,上室性不整脈,右
体心室として長期使用されていた本来は右室の機能低下
房圧 7 mmHg 以上,酸素飽和度 85 % 以下,クレアチン
群である.これには,例えば大血管転位 dTGA に対す
高値,尿酸高値,右室不全がある症例の予後は不良であ
る Mustard-Senning 術後や修正大血管転位 cTGA 術後が
る176).
含まれる.特に cTGA では成長後に解剖学的な左室機能
移植時期のおおまかな目安は 1 年以内の生存の可能性
を再度取り戻すための Double Switch 手術を行う再建手
が 50 % 以下と考えられた時とされているそして,St.
術が考案されたが,移植手術よりは遥かに死亡率が高い
Loius International Lung Transplant Registry の集積では,
であろうとされている.また failing Fontan 術後の移植
肺移植の 1,2,3 年生存率は 60 %,53 %,48 % で,心
適応が増加してきている.Protein losing enteropathy
肺移植の 3 年生存率は 45 % である.さらに IHLTR の結
(PLE)は心移植後には回復するが,移植後の死亡率は
果では,ES の移植待機 1 年生存率は 90 % であるが,移
やや高いとされる.
植後 1 年の生存率は 61 % であったとされ,成人では移
これらの群では,移植前に行われた様々な心臓手術が
植の適応は個々の症例の判断に委ねられている.非手術
心移植の手順に影響することがある.未手術例に比べて
VSD/ES の右心機能は長期わたりほぼ正常に保たれ,右
技術的,時間的,物理的な問題点がいくつか挙げられて
心不全が見られるようになると左心不全も存在するとい
いる201−206).
われている.ES も 20 歳代からは,全身の心外合併症が
22
●術後症例への心移植201−206)
成人先天性心疾患診療ガイドライン
表 19
基礎疾患別リスク
1.高度リスク群
7
感染性心内膜炎
人工弁術後
細菌性心内膜炎の既往
複雑チアノーゼ型先天性心疾患
体肺動脈短絡術後
表5
背
2.中等度リスク群
ハイリスク群を除くほとんどの先天性心疾患
景
弁機能不全
心内膜炎は,心臓,大血管内膜(人工材料も含む)の
肥大型心筋症
細菌,真菌感染症と定義される.予防,治療法の発達に
も関わらず,先天性心疾患では,依然として少なからぬ
患者数で発症し(1.7-3.8/100,000
patient-year,先天性
心疾患入院患者数の 0.71 %)
,罹病率,死亡率
弁閉鎖不全を伴う僧帽弁逸脱
(一般の人と同等の危険率)
3.感染の危険性が特に高くない例
単独の二次孔型心房中隔欠損
心房中隔欠損,心室中隔欠損もしくは動脈管開存の術後
(術後 6 ヶ月を経過し続発症を認めない例)
207,208)
(8.8 %)ともに高い209).最近は,複雑先天性心疾患にも
冠動脈バイパス術後
多くみとめられ,特に,患者数が飛躍的に増加している
逆流を合併しない僧帽弁逸脱
成人先天性心疾患に多く認めるようになっている209−211).
無害性心雑音
成人先天性心疾患にみられる心内膜炎の特徴は,1)歯
弁機能不全を伴わない川崎病既往例
科処置,心臓外科処置に起因することが多い.2)右心
弁機能不全を伴わないリウマチ熱既往例
系感染の頻度が高い,3)心不全,塞栓症状の頻度が低
(文献 217 を改変)
い,4)抗菌薬治療は概ね良好,5)急性期の心臓外科手
術頻度が高い,6)人工材料感染が多い,7)経胸壁エコ
人工材料を用いる手術が多く,房室弁逆流などを伴うこ
ー法はウインドウが十分でなく,経食道エコー法診断を
とも多いため,修復術後もリスクが高い.日本の先天性
必要とする209,210)などである.感染性心内膜炎の死亡率
心疾患を対象とした多施設研究 209)では,心内膜炎全体
は,成人先天性心疾患手術死亡率よりも高く,予防,早
の内で,手術後が 55 % を占める(修復術:63 %,姑息
期治療が非常に大切である.そのためには,ハイリスク
術:37 %).この内,チアノーゼ型心疾患は 75 % を占
疾患,病態,起因菌の頻度,特徴の把握,発症後の的確
め,姑息術後は高頻度に認められる.修復術後感染例の
な診断,的確な抗生物質の選択と外科治療法の時期の選
多くは遺残病変を認める.先天性心疾患の心内膜炎を疾
択などを十分考慮する必要がある.また,抗生物質を含
患別にわけると,ファロー四徴(18-24 %),心室中隔欠
む予防法を的確に行うことも重要である209,211).
損(16-38 %)が多く,ついで,大動脈狭窄,両大血管
右室起始,完全大血管転位,僧帽弁疾患,heterotaxia で
基礎心疾患別リスク(表 19)
ある209).成人先天性心疾患に限ると,心室中隔欠損が非
心房中隔欠損単独の場合を除く,大部分の未修復先天
性心疾患は,心内膜炎のリスクがある.非修復心室中隔
欠損は,生涯 12-13 % の頻度で心内膜炎を伴う可能性が
あり,30 歳までに 9.7 % の罹患率を伴う
.中隔欠損
213)
常に多く,ファロー四徴,僧帽弁疾患,大動脈弁疾患と
続く209,212).
リスクは,罹患しやすさと罹患した場合の重症度に分
けられる.罹患しやすさの分類は,心内膜炎リスクを基
閉鎖後は遺残病変が無い限り感染リスクは著明に軽減す
礎疾患別に軽度から高度に分ける215−217).軽度リスクは,
る.修復術後 25 年の時点での心内膜炎発生率は,ファ
一般と同様の罹患しやすさであり,中等度以上の場合に,
ロー四徴:1.3 %,心室中隔欠損:2.7 %,大動脈縮窄:
抗菌薬予防が推奨される216)(表 19).
3.7 % である213,214).大動脈弁狭窄は,弁置換術後かえっ
て内膜炎のリスクが高くなる210,214).修復術後動脈管開
存,肺動脈狭窄の心内膜炎の報告はみられていない213).
診
断
Duke Criteria218)は成人の後天性心疾患を対象として,
心移植後は,拒絶反応時に弁閉鎖不全を生じること,免
心エコー法を重要視しているが,先天性心疾患でも有用
疫抑制剤を投与していることから,中等度リスクとされ
とされている219).
る215,216).
複雑先天性心疾患は,心外導管,人工弁,生体弁など
23
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
症
を考慮する.これらの場合は,手術適応である.
状
感染症状(発熱など)に基礎疾患,感染部位,塞栓部
細菌性動脈瘤
位,免疫学的反応などの影響が加わり,多彩な症状を呈
心内膜炎の 1-5 % に合併し,稀である209,225)中大脳動脈
する.合併症は約 50 % に認められ,弁逆流悪化,心不
の分枝にできることが多く,くも膜下出血を起こすこと
全,弁輪部膿瘍,人工弁機能不全,全身塞栓,脳塞栓,
がある.MRI が診断に有用である225).
不整脈,膿瘍形成,細菌性動脈瘤などである220).また,
検査:
病状も急性,亜急性,病理組織診断後判明例など異なる
経過をとる.
白血球数の上昇 15580±8378(4290-79600/mm 3 ),
CRP 高値(11±7(0.03-42 mg/dl)を認める209)が,正常
多くは中等度発熱(94 %)を認めるが,抗菌薬投与
により修飾される.非特異的症状(食思不振,元気がな
の場合もある.貧血(40 %)血尿(90 %)も多く認め
られる219,220).
い,胃腸症状,関節痛,筋肉痛など)を認めることもあ
る.先天性心疾患では右心系の心内膜炎が多く(56 %)
塞栓症状が顕在化しないことも多い.胸痛は,肺塞栓に
血液培養
診断,治療のために血液培養が必要である.起因菌は
起因することがある.脾腫は,亜急性例で頻度が高い.
初期 3 回の培養で検出されることが多く,培養は 24 時
心不全は弁感染後,閉鎖不全合併,悪化例で多い.心雑
間に 2-3 回で十分とされる217,219).菌血症は持続的なた
音の変化,出現(24 %)は,既存の心雑音にマスクさ
め,高熱時のみに培養を行う意味は無い216).血液培養の
れることも多い.神経系合併症(20 % 程度)は,脳膿
陽性率は,68-98 % である(日本多施設:84.1 %)209,216).
瘍,髄膜炎と誤診される場合がある.古典的皮膚病変
明らかに心内膜炎が疑われるにもかかわらず,血液培養
(Osler nodes, Roth’s spots, Janeway lesions)は稀である
.
209)
が陰性であることがあり(10-15 %)219),この場合,抗菌
薬既使用(60 %),発育の遅い細菌を考慮する216).
合併症
心エコー
心不全
疣贅の大きさ,形態,位置,可動性,弁逆流,閉塞程
大動脈弁感染に多く,予後に大きな影響を与える.弁
度,心機能を診断出来る 223,224).また,塞栓のリスク,
閉鎖不全出現或いは悪化例で多く,適切な抗菌薬治療を
手術適応の決定に有用である.直径が 2 mm 以上の疣贅
行っても,進行することがある220).外科治療の際の予後
で右心系弁膜上のものは,容易に診断できる.人工弁感
不良因子であり221,222),特に,NYHAⅢ-Ⅳ度,腎不全合
染,弁輪部膿瘍,弁尖穿孔合併は経胸壁エコーのみでの
併では手術予後は悪い .
除外診断は難しい224).人工材料感染では,病初期に疣贅
塞栓症,中枢塞栓症
を診断できない場合がある219).
222)
脳梗塞,膿瘍(約 20 %)220)により,急性片麻痺,け
いれん,運動失調,失語,感覚失調などを呈することが
ある.
治
療
起因菌を除去するために,数週間の経静脈性抗菌薬投
塞栓の頻度が高いのは,僧帽弁,大動脈弁心内膜炎,
黄色ブドウ球菌,真菌感染である212,220).塞栓は抗菌薬
与を必要とする.再発は,投与中止後 8 週間以内が多い.
外科治療を必要とすることも多い221,222,226).
投与後 2-4 週で生じるが,有効な抗菌薬投与では,投与後
2 週間で塞栓発生頻度は低下する220).塞栓形成リスクは,
直径 1 cm 以上の僧帽弁疣贅,疣贅サイズの増大(治療
後 4-8 週),ブドウ球菌,真菌心内膜炎である
.
219,220,223)
内科的治療法
推奨される抗菌薬とその使用法(菌種が同定されてい
る場合)
先天性心疾患で広く用いられる抗菌薬治療法を示す
僧帽弁は大動脈弁より,塞栓発生率が高い220).
217,219)
(表 20)
.
人工弁機能不全
人工弁置換術後感染は,自己弁と同様の症状を示す.
全身性塞栓症状を 40 % に認める
.弁周囲感染は心
209,220)
いない,血液培養陰性の場合)
.左脚
血液培養陰性の心内膜炎は,数 % -30 % とされている
ブロック,完全房室ブロックの出現は,伝導系への進展
(日本の多施設研究:14 %)209).菌種が同定されていな
雑音出現時に疑うが,心エコーにより判定する
224)
24
エンピリック治療(経験的投与法)(菌種が同定されて
成人先天性心疾患診療ガイドライン
表 20
菌種が同定されている場合の抗菌薬と使用法(自己弁)
起因菌
周囲膿瘍,心筋膿瘍,伝導系異常),人工材料(グラフ
投与期間
トなど)感染である 221,222).急性期でも,血行動態が悪
1,PcG ± GM
PcG: 4-6 weeks
2,ABPC ± GM
GM: 2 weeks
3,Vancomycin
(注 1) V: 4-6 weeks
化すれば,ためらわずに外科治療を行う 221,222).大動脈
ブドウ球菌
(メチシリン
感受性)
1,CEZ ± GM
CEZ: 6-8 weeks
2,Vancomycin
(注 1) GM: 2 weeks
V: 6-8 weeks
ROSS 手術が考慮される場合も多い.右心系心内膜炎は,
ブドウ球菌
(メチシリン
耐性)
Vancomycin ± GM
連鎖球菌
抗菌薬
弁感染では,再感染予防,抗凝固療法不要の観点から
心室中隔欠損,右室流出路人工材料或いは静脈カテーテ
ル感染が多い.パッチ,導管などの人工材料(心室中隔
V: 6-8 weeks
GM: 2 weeks
欠損,右室流出路,右室肺動脈導管,肺動脈形成など)
感染,特に,メチシリン耐性ブ菌感染は予後が悪い212,219).
腸球菌
ABPC +GM
ABPC: 4-6 weeks
GM: 2 weeks
感染人工材料の交換が必要となることが多い 219,226).心
グラム陰性菌
1,CTRX
2,ABPC +GM
CTRX:4-6 weeks
ABPC: 4-6 weeks
GM: 2 weeks
辺縁不整など)であるが,人工材料の感染診断は難しい
1,CTRX
2,ABPC+GM
CTRX: 4-6 weeks
ABPC: 4-6 weeks
GM: 2 weeks
1,Vancomycin±GM
V: 6-8 weeks
GM: 2 weeks
1,CEZ+GM±PcG
CEZ,PcG:6-8weeks
GM: 2 weeks
Amphotericin B
8 weeks
肺炎球菌
培養陰性
(術後例)
培養陰性
(非術後例)
真菌
(注 1) ペニシリンアレルギーの場合
投与量(腎機能正常な場合);
PcG:2400 万単位(1800-3000 万単位)/day,分 6/day.
Gentamicine(GM): 60mg or 1mg/kg x 2-3/day.
Ampicillin(ABPC):8-12g/day,分 4-6/day
Vancomycin(V)
:25mg/kg/day(負荷)→ 20mg/kg/day(維持),
分 1-2/day,
Ceftriaxione(CTRX):2g/day,分 1, Cefazolin(CEZ): 2g x 34/day.
Amphotericin B:0.5-1.0mg/kg/day,持続
Gentamicine,Vancomycin に関しては,定期的に血中濃度を測
定し,投与量と投与方法を計画することが望ましい.(文献
214 を引用改変)
エコーは有用(パッチ上異物,パッチ輝度変化,パッチ
場合も多い209,219).
予
防
予防に関する患者教育は大切で,特に 10-20 歳台の患
者は,原疾患の知識に乏しく,予防に関する注意を繰り
返し喚起する必要がある227).
予防を必要とする基礎疾患(表 19)
予防を必要とする手技,処置(表 21)
正常分娩でも,緊急に会陰切開など侵襲的操作を加え
ることも多いため,中等度以上のリスクがある場合,出
産時は,抗菌薬投与が推奨される217).
泌尿生殖器,消化管の手技,処置における抗菌薬予防
(表 22)
歯科,口腔,呼吸器,食道の手技,処置における抗菌薬
い場合は,起因菌の分離頻度,患者背景,臨床経過から
予防法(表 23)
起因菌を推定して治療を開始し,培養判明後,標的治療
抗菌薬予防が重要だが,日常生活での予防(歯磨きの
に切り替える.一般的に,亜急性(口腔内感染が疑われ
励行,爪をむしらない,にきび,便秘のケアーなど)も
る場合など)であれば,α溶血性レンサ球菌,腸球菌に
必要である 219,227).心臓手術予定患者は,歯科処置を術
有効であるペニシリン G(ないしはアンピシリン)とア
前に済ませる.
ミノグルコシド系薬剤の組み合わせとする.グラム陰性
菌も考慮すれば,第 3,第 4 世代セフェム系薬剤の併用
を考える.急性でメチシリン耐性ブ菌が強く疑われる場
心臓手術に対する予防投薬
心臓手術時の予防は,ブドウ球菌に対して行われるが,
合,心臓手術後(特に人工弁置換術後)2 ヶ月以内では,
起因菌の頻度を考慮して抗菌薬投与法は,施設により異
バンコマイシンを併用する226).
なる215−217).一般的に,第一世代セファロスポリン投与
が多い215−217).
外科的治療法
外科手術の適応,時期
外科療法の適応は,心不全増強,感染コントロール不
十分,塞栓,真菌感染,人工弁感染,進行性病変(弁輪
25
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
表 21
予防を必要とする手技
予防投薬をしなくてはならない手技
歯
科
抜歯,根管治療あるいは歯根端切除術,歯根膜腔内局所麻酔
歯周の処置:外科手術,スケーリング,歯肉縁下の歯石除去,盲嚢測定
組織吸収性抗菌薬綿織,ガーゼの歯肉下への挿入
易出血性の歯やインプラント歯の予防的清掃
呼 吸 器
扁桃・アデノイド摘出術
呼吸器系の粘膜に侵襲の加わる手術(気管切開を含む)
消 化 器
食道静脈瘤硬化療法,食道狭窄拡張術,胆管系手術,腸管粘膜を扱う手術
泌尿生殖器
膀胱鏡,前立腺手術,尿道拡張
予防投薬をしたほうが良い手技
消 化 器
泌尿生殖器
大腸鏡,直腸鏡による生検
経膣分娩,帝王切開,
感染していない組織における子宮内容除去術,治療的流産,避妊手術,子宮内避妊器具の挿入,除去
そ の 他
心臓カテーテル検査,ペースメーカー,除細動器植え込み,外科的に消毒済みの皮膚切開,生検
予防投薬をしなくて良い手技
歯
科
修復歯科処置,局所麻酔注射,術後の抜糸,歯科矯正装置の装着,調整
歯の型取り,口腔内レントゲン撮影,乳歯の自然抜歯
呼 吸 器
気管内挿管,鼓膜穿孔時のチューブ挿入
消 化 器
経食道エコー検査,上部内視鏡検査
泌尿生殖器
未感染組織における尿道カテーテル挿入
そ の 他
中心静脈カテーテル挿入
(文献 216 を改変)
表 22
泌尿生殖器,消化管(食道を除く)の手技,処置における予防法
対象
ハイリスク
抗菌薬と投与法
処置時
アンピシリン(2.0 g)
+
ゲンタマイシン(1.5 mg/kg,最大量 120 mg)を治療開始 30 分以内に静注
6 時間後
アンピシリン(1.0 g) 静注
あるいは
アモキシシリン (1.0 g)を 1 回内服
ハイリスクで,ペニシリンアレルギー
バンコマイシン(1.0 g)を 1−2 時間かけて,治療開始 30 分以内に静注
+
ゲンタマイシン(1.5 mg/kg,最大量 120 mg)を治療開始 30 分以内に静注
中等度リスク
1,アモキシシリン (2.0 g)
処置 1 時間前経口
2,アンピシリン(2.0 g)
処置 30 分以内に静注
中等度リスクでペニシリンアレルギー
(文献 217 を引用改変)
26
バンコマイシン(1.0 g)を 1−2 時間かけて,治療開始 30 分以内に静注
成人先天性心疾患診療ガイドライン
表 23
歯科,口腔,呼吸器,食道の手技,処置における予防法
対象
経口投与可能
抗菌薬
投与法
50 mg/kg(成人 2 g)
アモキシシリン
処置 1 時間前経口
経口投与不可
50 mg/kg(成人 2 g)
アンピシリン
処置 30 分以内に静注
ペニシリンアレルギー
1,クリンダマイシン
20 mg/kg(成人 600 mg)処置 1 時間前に経口
がある場合
2,アジスロマイシンあるいはクラリスロマイシン
15 mg/kg(成人 500 mg)処置 1 時間前に経口
ペニシリンアレルギー
1,クリンダマイシン
20 mg/kg(成人 600 mg)処置 30 分以内に静注
があり,経口投与不可
2,セファゾリン
2 5 mg/kg(成人 1 g)処置 30 分以内に静注
(注)これらの投与量,投与回数は,多数例での証拠に基づいていないため,体格,体重に応じて減量可能と考えられる.
(文献 217 を引用改変)
め,頭痛,めまい,視力障害(複視,ぼやけ),耳鳴,
筋肉痛などの過粘稠度症候群をきたしやすくなる.
(管理指針)まずは,脱水と鉄欠乏貧血の有無を判定し,
8
チアノーゼ,赤血球増多症の合併症
これらがあれば補正を行う.瀉血の適応は,過粘稠症候
群の存在と 65 % 以上のヘマトクリット値とする.ヘマ
背
景:
先天性心疾患の手術適応,根治術可能かどうかの基準
トクリット値のみに基づく頻回の瀉血は,鉄欠乏をきた
し血液粘度をさらに上昇させるため避けるべきである.
文献(228,229)
は,その時代時代により変化してきた.現在は,先天性
心疾患の早期発見,早期手術により,Eisenmenger 症候
2.出血傾向
群を含む小児の未手術チアノーゼ型先天性心疾患患者は
血小板の減少や機能異常,von willebrand 因子やその
減少している.しかし,小児期には重症ゆえに危険性が
他の凝固因子の減少などの出血凝固系異常,さらに一酸
高く根治術が不可能と判断され,チアノーゼが残存した
化炭素やプロスタグランジン産生による血管拡張,毛細
まま成人期に達した患者が,現在も一定数存在する.以
血管増生により,臨床上出血しやすい状態にある.とく
前は長期生存が困難であったが,内科的な管理の向上に
に致死的合併症となり問題となるのが,喀血(肺外出血),
より,このような患者の自然歴は改善している.今後,
肺内出血である.Eisenmenger 症候群の肺動脈瘤,肺血
成人先天性心疾患領域において,チアノーゼとそれに伴
流減少性心疾患に合併する体肺側副血行路からの出血な
う諸問題の対する管理が重要になると考えられる.
問題点,臨床的指針:
どがある.
(管理指針)中等度以上の肺出血が疑われる場合は,原
則として入院安静とし,胸部 X 線や必要であれば CT ス
チアノーゼとそれに付随した二次性赤血球増多によ
キャンで,出血の程度や部位,肺血栓の有無の確認が必
り,全身諸器官の慢性的な合併症を生じる.とくに,中
要である.出血量が多い場合は,血液製剤投与やビタミ
枢神経系,血液凝固系,全身血管系,心筋・冠循環,尿
ン製剤投与を行う.側副路からの出血の場合,責任血管
酸代謝,腎臓,四肢骨格など,全身足臓器の異常を伴う.
のコイル閉鎖術が有効な場合もある.気管支鏡検査は,
これらの合併症の予防,治療が,チアノーゼが残存した
元来出血傾向のあるため出血を助長する可能性があり,
先天性心疾患患者の QOL や予後を改善させるために重
また出血部位の同定に有用でない場合が多く,一般的に
要である.
は勧められない.
文献(228,230−234)
1.過粘稠症候群
慢性低酸素に伴うエリスロポエチン分泌亢進により赤
血球数が増加し,その程度に応じて血液粘度は上昇する.
3.腎障害
腎機能異常として,蛋白尿,高尿酸血症,糸球体硬化
血清鉄が欠乏し鉄欠乏性貧血を合併すると,赤血球形態
症が認められる.中には,ネフローゼ症候群,チアノー
は球状となり硬度が上昇し血球の変形能を低下させるた
ゼ腎症(血清クレアチニン:>1.5 mg/dl)となる例も
27
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
見られるが,最近の全国調査では,チアノーゼ性先天性
心疾患患者の 1.6 % と頻度は低い.
7.末梢血管拡張,増生
赤血球増多.血液粘稠度の増加に基づく shear stress
(管理指針)チアノーゼ性腎症に,ACE 阻害剤が有効と
増大により,血管内皮を介して一酸化炭素,プロスタグ
の報告があるが,末梢血管の拡張に伴う右左短絡の増加
ランジン分泌亢進が起こり,末梢血管拡張が生じる.さ
により,チアノーゼの増強や赤血球増多を助長する可能
らに,血管新生が盛んで全身の末梢血管,毛細血管が増
性があり,注意が必要である.定期的な血液尿検査が必
生する.このような末梢血管床の発達は,慢性的な組織
要である.GFR が著しく低下した症例では,造影剤や
低酸素状態に対する二次的な反応と考えられている.
薬剤投与(とくに抗生剤や ACE 阻害剤など)には注意
(管理指針)元来の血液凝固異常や末梢血管拡張や増生
を要し,適切な投与量の設定が必要である.
文献(228,235−237)
のため,手術時に大量出血を伴うことがあり注意が必要
である.
文献(228)
4.尿酸代謝異常
血清尿酸値はヘマトクリット値と正相関し,加齢とと
8.冠動脈,心筋障害
もに上昇する.尿細管からの尿酸の再吸収の増加が主な
心筋細胞肥大がないにも関わらず,冠動脈拡張・蛇行
原因と考えられている.尿酸腎症や尿酸結石をきたすこ
が認められる場合がある.これは,末梢血管拡張の発症
とはまれである.約 20 % 程度に痛風性関節炎がみられ
機序と同様で,心筋の慢性酸素欠乏状態に対する適応反
るが,尿酸値の値から予想されるほど高頻度ではない.
応と考えられる.冠動脈が拡張していても,動脈血酸素
(管理指針)痛風発作時の治療法は一般的な痛風性関節
飽和度の高度低下例,心筋肥大例,酸素需要の高い状態
炎と同様であり,コルヒチンやアロプリノールが有効で
では,それに見合うだけの酸素は供給されない.また,
ある.無症状の高尿酸血症に対して治療は行わない.
冠動脈血流量は安静時,負荷時ともに一般人と比較し多
文献(229,232)
いが,冠血管予備能は低下している.そのため,慢性低
酸素血症に伴う二次的な心筋障害が長期にわたり,非可
5.中枢神経系異常
脳梗塞,脳出血,脳膿瘍などがある.脳血栓の発症率
逆性の心筋障害へと進行する.
文献(228,241)
は低く,赤血球増多単独では脳血栓の危険因子とはなら
ない.しかし,チアノーゼ性先天性心疾患成人例に頭部
CT 検査を行うと,無症候性の陳旧性脳血栓を認めるこ
とが少なくない.
(管理指針)元来出血傾向もあるため,脳血栓予防のた
めの抗血小板薬や抗凝固薬投与は慎重であるべきであ
る.しかし,脳血栓・塞栓を含む全身血栓既往例や,心
房細動,妊娠後期,Fontan 術後などの凝固能亢進状態
では,抗血小板薬や抗凝固薬投与が検討される.
文献(238−240)
9.四肢の異常
ばち状指,肥厚性骨関節炎などが合併する.爪周囲組
織の増生や骨膜肥厚などの増殖性変化は,腎臓での細胞
増生と同様に巨核球,血小板組織増生因子と関連する.
文献(228,242)
チアノーゼそのものに対する治療:
1.酸素補充療法
酸素補充療法は,呼吸困難発作を減少させることがあ
る.夜間の長期継続使用は,酸素飽和度が上昇し症状を
6.ビリルビン代謝異常(胆嚢結石,胆嚢炎)
軽減させる可能性があるが,成人チアノーゼ先天性心疾
赤血球増多により,肝臓でのビリルビン処理能を越え
患における有効性は不明である.酸素投与の生存率に及
たビリルビン過剰産生により,胆道内の非水溶性の非抱
ぼす効果も不明である.継続的酸素吸入により鼻粘膜乾
合ビリルビンが増加する.そのため,胆嚢内にビリルビ
燥し.鼻出血を助長することも多く注意が必要である.
ン石が生じやすく,胆嚢炎の併発もありうる.修復術に
文献(228)
よりチアノーゼや赤血球増多が解消した術後長期遠隔期
でも,急性胆嚢炎を認めることがある.時にグラム陰性
菌による菌血症を伴うことがあり,心内膜炎の合併に注
28
2.姑息手術
チアノーゼに対する内科的な対症療法以外にも,姑息
意が必要である.
手術を追加する事で,チアノーゼの軽減など QOL の改
文献(228)
善が期待できる場合がある.チアノーゼ性心疾患に対す
成人先天性心疾患診療ガイドライン
る体肺短絡術の追加,側副血行路に対するコイル閉鎖術,
狭窄病変に対するバルーン拡大術などである.
表 24 チアノーゼ先天性心疾患の全身合併症243)
1.血液学的異常
赤血球の増加
エリスロポエチン高値
過粘粘稠度症候群
成人 CHD 患者は,今では成人心疾患の一部として認
識されつつあるものの,虚血性心疾患に比べると,依然
として成人心臓病のなかで占める割合は大きくない.加
えて,その病態が比較的複雑であり,小児循環器の知識
に加え,一般の不全心あるいは心不全の知識が要求され
る.更に,加齢とともに増加する不整脈の出現と代謝疾
患の発症等はこの成人 CHD 患者の管理には,単一診療
瀉血
科での対応を益々困難なものとしている.生体のあらゆ
出血傾向(血小板減少,von Willebrand 因子異常,血
管拡張,新生血管増生)
る機能を導入し身体活動を可能としていることから,こ
脳血栓
肺内出血
喀血
2.ビリルビン動態
れら挙げた問題は常に考慮しながら,患者と共に診療に
取り組むこととなる.これらの観点から成人 CHD 患者
の運動能評価の意義を考察する.
問題点および臨床的指針
胆石
3.尿酸代謝異常
日常診療での問題点は多い.その根本的な原因は,管
尿酸値高値
理が必要な患者の病態が比較的複雑で症例数が少ないこ
4.腎合併症
とに起因する少ない臨床成績,研究数にある.今回は,
蛋白尿
尿細管拡張,メサンギウム細胞増生
5.呼吸,酸素消費異常
運動に対する心肺異常反応
6.四肢,長管骨の異常
これまでの数少ない報告に我々の経験を踏まえて,成人
CHD の運動能力評価に関しての問題点を述べる.一般
的には,運動負荷試験は心臓のストレスに対する予備能
力を検出に有用である.しかし,運動能評価に加えてス
ばち状指
トレス関連の不整脈を同時に評価することは必須と考え
肥厚性骨関節症
る.
7.感染性心内膜炎
運動能力評価の目的
どのような成人 CHD 患者でその運動能力の評価が必
9
成人先天性心疾患の運動能力評価
要であるか.以下の診断,評価,治療の 3 つの側面から
考えたい.
診断:運動負荷試験から心疾患に伴う不整脈の検出に
有用かもしれない.解剖学診断は勿論できないが,基礎
背
景
の疾患に加え,不整脈を伴う場合にはその患者の重症度
は高い.従って,運動負荷試験ができない場合でも,ホ
快適な日常生活の維持にはそれを可能とするある程度
ルター心電図検査等により日常生活での活動の程度と不
の体力が必要である.このことは人間生活において,健
整脈との関連を評価しておくことが望ましい.いずれの
康,疾患の有無を問わない.心疾患患者に限った場合,
検査においても,有意な不整脈が誘発された場合には,
心臓が全身への酸素供給に対し重要な役割を果たす臓器
可能であれば不整脈の専門医と対応を相談することが必
であることから,この日常生活維持に不可欠な体力は常
要である.
に心配の種であり,疾患に対する理解と治療を含めた管
評価:運動能力評価には,心疾患の病態理解に加えて,
理が必要となる.このような観点から,心疾患患者の体
治療の効果判定あるいは,時に治療介入の必要性の是非
力(運動能力)を評価できれば,患者にとって有益な情
の判断に必要である.成人 CHD の中に,様々な理由か
報をある程度客観性をもって,担当医師の日常診療に還
ら治療なし経過してきた患者も存在する.これらの患者
元できる可能性をもつ.しかしながら,この有益な情報
には,外科的な治療技術の進歩から現在では手術介入に
を有効に活用するためには,心疾患に対する病態の理解
より修復可能と考えられる場合がある.このような場合
に加えて,運動および心臓電気生理に対するある程度の
では手術介入するか否か決定する際に,運動能力を含め
理解が必要である.
た,患者の運動ストレスに対する病態生理を理解するこ
29
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
とで,他の同様な範疇の患者と比較することで,患者お
よび担当医師に有用な情報を提供する可能性がある.
治療:上記で示した様に,運動能力が将来の心事故に
我々の経験では成人 CHD 患者で peak VO2 が 20(ml/
関連することから,成人領域では盛んに心臓リハビリテ
kg/分)以上あれば,日常生活の活動では,大きく不自
ーションの有用性が強調されている252).運動能力の維持
由することはないと考える.従って,ある程度運動能力
には,前述した様に多様な生体代償機構が動員されてい
が確保された成人 CHD 患者の治療介入には注意する必
ることから,心機能,血管機能,呼吸機能,作業筋環境
要がある.しかしながら,運動能力の維持は,その結果
や機能,更には神経体液性因子によるこれら機能調節
が呼気ガス分析器を用いた解析結果であろうと患者から
等々は運動耐容能と関連する.理論的には,運動はこれ
聞いた主観的な情報であっても,生体の多くの代償機構
らの機能改善に寄与すると期待できることから,これま
によって成り立っていることから,必ずしも心負荷の状
でにも,小児 CHD 領域での多くの報告が見られる253).
態を直接反映しない.従って,例えば,慢性的な心房,
しかしながら,成人 CHD 患者での心臓リハビリテーシ
心室負荷が将来の心不全進展,不整脈発生の要因となる
ョンの報告はほとんど見られない.今後,研究されるべ
可能性がある場合,運動による低酸素血症の進行が著明
き分野の一つではある254).
である場合等は,総合的なバランスのとれた長期的な視
野にたった判断が必須である.
最後に,これまでの報告と我々の経験を基に,成人
CHD 患者の心肺運動負荷試験からの運動能力評価法に
ファロー四徴術後の肺動脈弁閉鎖不全の治療介入の客
ついて概説する.
観的な指標として運動能の低下を考慮することが指摘さ
1.対象:重症度判定が必要な場合や自覚症状と心血行
れている244).しかしながら,上述のように運動耐容能を
動態との乖離が大きいと感じた場合は積極的に心肺運動
規定する因子は多様で,肺動脈閉鎖不全による右心室容
負荷試験を施行すべきと考える.他の適応に関しては,
量負荷は運動能低下の規定因子であることは確かではあ
施設間で異なると推察され,必要に応じて施行されてい
るが245),総合的な治療介入時期の決定が好ましい.
ると考える.
最近では,成人心疾患領域では,運動能力は患者の将
来の心事故と関わりが注目され246),低下した運動能の患
2.方法:
負荷法:通常は運動耐容能が低い患者が多いことか
者では何らかの治療介入の必要性を示唆している.また,
ら,急に負荷強度が増大しない負荷様式が好ましい.ラ
心臓移植の基準として重要な評価項目の一つとなってい
ンプ負荷はこの点で優れているかも知れない255).縦断的
る247).運動能力は成人,小児とも CHD 患者の重症度と
な評価も重要である場合には,負荷法はできるだけ一貫
.Diller らは peak VO2 が 15.5(ml/
した方法を採用することが望ましい.最高の負荷強度終
密接に関連する
248)
kg/分)より低い場合には成人 CHD 患者の心事故が多
了後に気分不快を訴える場合も少なくないことから,負
いとしているが249),対象疾患が極めて多様であることは
荷後の cooling down は負荷試験の際の事故回避の意味で
我々の治療法決定への有用性は未だ確立したものとは言
も施行することが望ましい.
えない.我々の経験では,成人のチアノーゼを有する
CHD 患者の多くはこの基準値を下回る.従って,今後
負荷装置:普及の度合いを考慮すれば,トレッドミル
か自転車による負荷試験が一般的である.
も更に疾患別での研究成果が待たれるが,少ない症例数
測定項目:呼気ガス分析装置は併用が好ましいが,運
と運動負荷試験が日常診療で評価可能な施設が限られて
動能力評価に必須ではない.負荷様式が同一であれば運
いることから,実際に臨床でどのようにこの成績を活用
動時間で十分評価可能である.不整脈の検出を考慮すれ
するか否かは,更に研究が必要と考える.心疾患患者の
ば心拍のモニターは重要である.血圧測定は時として困
Fontan 患者でも神経体液性と peak VO2 を考慮すること
難であるが,血圧維持は循環システムの重要な役割の達
で将来の心事故と関連することが報告されている
.し
成度の基準であることから,可能な限り血圧測定するこ
かしながら,どのような介入が良いかは今後の課題であ
とが望ましい.我々は,触診法で聴診法の代用として測
る.症状と実際の測定値との乖離は比較的良く経験され
定している.経皮酸素モニターはチアノーゼを有する
ることであり
CHD 患者や Fontan 患者では有益な情報を提供する.
250)
30
患者の診療,治療戦略には極めて重要である.
,時に臨床的判断を困難にする可能性が
251)
あり,このような状況では運動負荷試験は客観的な情報
3.評価:運動能力評価では対照と比較することは必須
を提供してくれるかも知れない.また,心機能低下や運
である.我々は,peak VO2 を運動能力評価に用いてい
動能低下と自覚症状出現時期には多くの場合は大きな乖
る.簡便的に成人 CHD 患者では,10(ml/kg/分,以下
離があることは常に念頭におく必要であり,この認識は
同)未満は極端に低い,10-20 は高度低下,20-30 は低
成人先天性心疾患診療ガイドライン
下,30-40 は正常下限から正常,40 以上では優秀な運動
心エコー法の基本は断層法とドプラ法を用い,形態診
能と評価している.この際に,成人ではあるものの経年
断と血行動態診断により進められる.血行動態の評価に
的に peak VO2 は低下することは,健常者を含め,成人
は,カラードプラによる異常血流の存在と負荷の種類と
CHD 患者でも同様であることには注意を払うべきであ
程度,狭窄や弁逆流の程度を判定する.右室の圧負荷で
る256).一方,運動時間から運動能力を評価する場合には
は心筋の肥厚と心室中隔の扁平化を認め,容量負荷では
注意が必要である.心不全の上昇度増大に従い運動効率
では容積が拡大することが原則である.心房の拡大は還
が見かけ上良くなっているからである.即ち,少ない心
流血流量の増大または房室弁逆流による.これらの基本
拍出量を運動筋により多く配分する一種の代償機構が働
原則にもとづき系統的な診断を進めることが重要とな
くため,同一の運動強度であってもより少ない心拍出量,
る.修復された奇形の診断には姑息的術式,根治的術式
酸素摂取量で達成されていることが一般的である257).従
のポイントを理解しておく必要がある.特にいくつかの
って,運動時間(達成された外的仕事)による運動能力
合併奇形が同時に存在することもあるので,負荷所見は
評価は peak VO2 に比較すると,異常の検出力が低下す
単独ではないことも忘れてはならない.区分診断法
ることを念頭におく必要がある.このことが,自覚症状
(Segmental approach)により内臓位,心房心室関係,心
室大血管関係について断層像の再構築を行い三次元の立
と peak VO2 の乖離の原因のひとつでもある.
体的位置関係を理解する268,269).
10
心エコー診断
系統的なエコーのアプローチとして重要なポイントに
は以下のものがあげられる.
1)situs,concordance,discordance
成人先天性心疾患患者の評価と follow up に心エコー
2)肺静脈の inlet
検査はかかせないものである258−264).多くの症例は小児
3)各 chamber の大きさと機能
期に外科的治療を受け修復された状態となっているが,
4)弁の状態と機能,弁閉鎖
診断がつかないまま成人域に達した例もある265).正確な
5)心房レベルまたは心室レベル,大血管レベルの短絡
診断,外科治療の進歩により,複雑心奇形も含め成人域
6)肺動脈圧
に達する先天性心疾患の症例は増加している
7)弓部と下行大動脈の血流,大きさ
.
266)
後天的心疾患を主に扱う循環器内科医にとって,複雑
8)冠動脈の走行,形態
心奇形の術後の状態をエコーで評価するのは困難であ
る.一般的には小児期に診断がなされ,外科的治療がな
先天性心疾患の専門トレーニングを受けていない医師
されている場合は,その正確な診断名,術式の情報が得
やソノグラファーであっても,系統的な検査を行うこと
られやすいが,経過観察から全くはずれてしまい,本人
により,より正しい診断ができるようにならなければな
自身がそれらの情報を両親から聞かされていないことも
らない.以下に主要な疾患の診断のポイントについて述
ある.
べる.
多くの病院では,検査技師(ソノグラファー)がスク
リーニングを行なう.先天性心疾患に不慣れな成人の心
1)心房中隔欠損
エコー検査室の正診率は,専門的なトレーニングを受け
心房中隔欠損には 4 つのタイプ(①二次孔,②静脈洞
た検査技師や循環器小児科医に比べ低いことは指摘され
タイプ,③冠静脈洞タイプ,④一次孔タイプ)がある.
ている267).医師は病歴や臨床所見を詳しく聞き取り,検
二次孔タイプは約 90 % と最もよく見られる.右心系の
査を担当する技師が利用できるようにしなければならな
拡大を有し,右室,右房,肺動脈の拡大を来たす.右心
い.
系の容量負荷のため心室中隔は奇異性運動を呈する.肺
成人外来で最も頻度の多い心奇形は心房中隔欠損症
動脈狭窄の有無,右室圧の推定を行なう.大静脈からの
で,次いで心室中隔欠損症である.あとはファロー四徴
還流血流を短絡血流と誤認することがあるので注意す
症,動脈管開存症,より少ないものとして Ebstein 奇形,
る.右室流出路と左室流出路における時間速度積分値
完全大血管転換症がある.まれに刺激伝導系の異常や弁
(TVI)と断面積を計測することにより Qp/QS を推定す
逆流が問題となり受診した例で修正大血管転換症の例が
ある.
ることができる.
静脈洞タイプでは経胸壁心エコーでは見過ごされるこ
31
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
とがあるため270),右心系容量負荷があるのに,心房レベ
独または右冠尖と無冠尖の同時逸脱を来たすことがある
ルの短絡が確認できない場合は経食道心エコー法を行な
ので,心エコーの検査の際には必ず,それぞれの冠尖の
う
.また静脈洞タイプでは部分肺静脈還流異常を
変形,逸脱の有無をチェックする.膜性部中隔瘤の存在
合併することがあるのでそれを探すつもり肺静脈の還流
にも注意する 285−288).逸脱が高度になると欠損孔が閉塞
を確認する.冠静脈洞タイプでは冠静脈洞の拡大を認め
され,短絡量が減少することもある.
271−275)
る.
心室の容量負荷がどの程度か,心室の機能はどう維持
経食道エコーでは欠損孔のサイズや多孔性であるかど
されているかを評価する.短絡量が多いと左房と左室が
うかをよく描出することができる.また経食道エコーに
拡大する.右室は肺高血圧症がない限り正常の大きさで
ても Qp/QS の推定が可能である .
ある.心室中隔欠損孔を通る血流の最高流速は右室と肺
276)
術後の評価として残存短絡,心室機能,肺動脈弁狭窄,
弁逆流を評価する.わが国では現在,治験が開始されて
例では欠損孔も大きく,欠損孔を通る血流速度は左室-
いるところであるが,カテーテルによる孔閉鎖術が行わ
右室の圧較差を反映し遅くなる.心室中隔欠損には動脈
れる場合には経食道心エコー検査は必須の位置付けとな
管開存症,心房中隔欠損,大動脈縮窄,大動脈二尖弁な
る
.また術後の不整脈治療のため直流除細動やカテー
どを合併することもあるので,エコー診断の際は心室中
テルアブレーションの適応となることがあり,心房内血
隔欠損のみで満足せず,これらがないことを確認するよ
栓の有無を評価するため経食道心エコー法が用いられ
う検査を行うべきである.また感染性心内膜炎が疑われ
る.
る際にはパッチ上や短絡血流ジェットの当たる右室流出
277)
路,肺動脈弁などに疣贅が存在しないかを確認する.術
2)卵円孔欠損・心房中隔瘤
後評価としては残存短絡の有無を評価する.
通常の経胸壁心エコーでは,短絡量が小さく短絡血流
が記録されないこともある.血行動態的には有意な影響
はないが,若年性の塞栓症の原因となりうるので,経食
4)房室中隔欠損,心内膜床欠損
最も軽症のタイプが心房レベルの短絡のみの一次孔欠
道心エコーにて 90°の bicaval view にて詳細に観察する.
損であり,僧帽弁クレフトによる僧帽弁閉鎖不全症を呈
高流速の条件ではわずかな短絡は見逃すことがあるの
する.完全共通房室弁口の例は,小児期に修復されなけ
で,低流速条件でも観察する.コントラストを静注下に
れば成人域までは生存することは稀である.四腔断面に
Valsalva 負荷解除を行い,3〜5 心拍以内に左房内にバブ
て心室中隔の先端が心尖部よりに位置する(scooping)
ルが観察されるかどうかを評価する
が特徴である.
.
278,279)
心房中隔が左房側または右房側に突出して心房中隔瘤
治療後の例では,残存短絡や僧帽弁閉鎖不全症や僧帽
を形成していることがある.卵円孔欠損を合併すること
弁狭窄が問題となってくるため,僧帽弁機能の評価が重
もあるので,わずかな短絡の有無について見落とさない
要である290).肺高血圧症の進展にも注意する.左室流出
よう注意する280).
路が延長(goose-neck sign)しているため大動脈弁下狭
窄を呈することもあり,心尖部アプローチにより,流出
3)心室中隔欠損
路の血流速度を測定する.心房中隔が全く認められない
心室中隔欠損は雑音がはっきりしているので小児期に
見過ごされる場合は非常にまれである.多くの例は修復
術後の場合か,自然閉鎖を待っていたが,閉鎖されずに
短絡が成人域まで残存した場合である281,282).少数例で
はアイゼンメンジャー症候群のため修復術がなされてい
ないこともある.
32
動脈の収縮期圧を推定できる289).肺高血圧症をともなう
場合は単心房と呼ばれる.他の奇形を合併することが多
い.
5)大動脈縮窄
成人域では単純な大動脈縮窄がほとんどで,心室中隔
欠損などを伴う大動脈縮窄複合例は小児期に診断され修
心室中隔欠損は膜性部欠損と漏斗部欠損,筋性部欠損
復術を受けている.胸骨上窩からのアプローチにより下
に分けられる.日本人では一般的に漏斗部欠損が多い.
行大動脈内に加速血流の存在を確認できれば診断がつ
カラードプラにて短絡血流を描出することにより,その
く291).重症度評価としては連続波ドプラにて血流速度を
位置を正確に診断することができる
.成人例の特
記録し圧較差を推定する292).大動脈縮窄では拡張期にま
徴としては,肺動脈弁下欠損の約半数に大動脈弁右冠尖
で及ぶ加速血流が記録される.狭窄後拡張の有無も評価
の逸脱と弁閉鎖不全が起こり,膜性部欠損では無冠尖単
する.鎖骨下動脈が拡大していることもしばしば認めら
283,284)
成人先天性心疾患診療ガイドライン
れる.左室肥大の程度も心エコーにて評価する.大動脈
二尖弁を合併することあるので,大動脈弁の形態と弁逆
流について検査する.経食道心エコーにても下行大動脈
を観察しながらプローべを引き抜いてくると,途中で大
動脈径の狭小化と,加速血流を認めることができる.
動脈管の径も測定することができる.
8)肺動脈弁狭窄306)
胸骨左縁短軸像または右室流出路長軸像にてドーミン
グした肺動脈弁が観察される.単独の肺動脈弁狭窄の場
修復術後に再狭窄を来たすこともあり,どの程度の圧
合もあるが,他の奇形に合併することも多いので,その
較差が残存しているかは定期的な経過観察が必要であ
つもりで観察する.主肺動脈または左肺動脈の狭窄後拡
る
張がないかを評価する.ドプラにて加速された血流速度
.縮窄部の形態診断はエコーではし難い部位のため,
293)
MRI や血管造影などで確定診断が必要である.
を記録する.高度な狭窄の例では小児期に治療されてい
ることがほとんどである.肺動脈弁狭窄に対し交連切開
6)大動脈弁狭窄
術を施行された例や流出路狭窄に対し拡大術を施行した
通常の後天性弁膜症と同様に評価する.弁の数,圧較
例において,弁の硬化が進行したり,流出路狭窄が再度
差,弁口面積,左室機能,左室肥大の程度,狭窄後拡張
進行してくることがあるので治療後の症例においても経
について評価する
.大動脈弁二尖弁は成人例において
過観察が必要である.弁逆流についても問題となること
比較的頻度が高い 295−297).上行大動脈径の拡大は弁置換
がある.右室圧については心室中隔の扁平化,三尖弁閉
術後にも進行することがあり,人工弁機能とともに上行
鎖不全症の流速より推定右室圧を算出する.
294)
大動脈径の評価も重要である
.弁上狭窄では通常
298)
Valsalva の洞の上が狭小化する.その所見を見逃さない
9)ファロー四徴症
よう注意が必要である.冠動脈は狭窄部より近位側とな
心室中隔欠損,右室流出路狭窄(右室漏斗部狭窄,肺
るため,左室圧と同等に上昇しこの高圧は冠動脈を拡張
動脈弁),大動脈騎乗および右室肥大がファロー四徴症
させたり,動脈硬化を進展させることがある.
の特徴である.ごくわずかな例では,未治療のまま成人
稀ではあるが弁下狭窄では弁下に discrete membrane が
域まで生存可能なファロー四徴症が存在する.成人に達
存在し,収縮期の加速血流が大動脈弁に対し傷害となり
する症例は右室流出路狭窄の程度が軽く,左右短絡が右
弁逆流が生じる.弁下狭窄の例では加速血流の部位がど
左短絡より多く,肺の血流量が比較的保たれている例で
こであるかを,HPRF 法を用いて詳細に観察することが
ある.姑息的手術のみで経過してきた例もあるが,ほと
重要である.経食道心エコーはこれらについて有用な情
んどの例では小児期に心内修復術が行なわれている.術
報を提供してくれる .弁の性状から柔らかい弁組織で,
後例では残存短絡の有無,残存右室流出路狭窄の程度,
valvotomy の適応となるかどうかを判断する.
グラフト内狭窄,肺動脈弁逆流,右室機能,上行大動脈
299)
7)動脈管開存症
心エコー検査では,大動脈から肺動脈へ向かう連続性
の瘤状拡大の有無などを評価する307−311).
10)大血管転換症
の短絡血流を認めれば診断は比較的容易である.胸骨左
未治療で成人域まで達する例は非常に稀である.それ
縁短軸像または胸骨上窩からのアプローチが最も良く観
らは心室中隔欠損と肺動脈下狭窄を合併している.成人
察できる断面である 300,301).肺高血圧症を伴わない例で
では姑息的ないし修復術が施行されている.1980 年以
は,収縮期優位の高速の連続性ドプラ血流パターンが観
前は心房内スィッチ(Senning/Mustard 術)が標準的な
察される.大きな動脈管開存症で肺高血圧症を伴う例で
術式であった.現在は大血管のスィッチ(Jatene 術)に
は両方向性短絡が記録されることもある.右室圧,左室
置き換わっている.術後の問題としては,小児期に手術
容量負荷の状態をみる.動脈管開存は小児期にカテーテ
されているため,バッフル内狭窄が問題となる.多くは
ル治療の対象となることが多い.動脈管の径の測定はコ
上大静脈とバッフルとの吻合部や肺静脈吻合部に見られ
イル塞栓術の適応を決める上で重要な情報であるが,カ
る.また心房内のリークを検出することは困難である.
ラーシグナルの評価は過大評価する可能性があり注意が
右左短絡の有無についてはコントラストエコーを用いる
必要である302).径 3 mm 程度まではコイル塞栓術の良い
ことにより評価が可能なことがある.体循環系の心室と
適応になる.完全に閉塞できたかどうかを確認するため
して働く右室はその機能の低下を来たすことがある312).
に術後の評価も行なう.経食道心エコー法では下行大動
三尖弁閉鎖不全症もしばしば観察される.大血管のスイ
脈の観察中に肺動脈への短絡血流を確認できる 303−305).
ッチ法の術式では冠動脈の再建部の狭窄が問題となった
33
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
り,また肺動脈洞は大動脈洞よりも構造上弱いと考えら
いて評価する 322,323).小児期に川崎病に罹患し,冠動脈
れるので,肺動脈弁閉鎖不全についても評価する必要が
瘤の存在が確認された例を定期的に経過観察する場合
ある.
と,成人例である時に冠動脈瘤の存在に気づかれること
もある324).小児に比べ冠動脈の描出が困難な場合が多い
11)Ebstein 奇形
の で , 経 食 道 心 エ コ ー 検 査 の 併 用 , coronary flow
Ebstein 奇形も病型により多彩な所見を呈する.三尖
弁中隔尖,後尖の心尖部方向への偏位(1.5 cm 以上ずれ
ていれば疑う),右室流入部の右房化,三尖弁閉鎖不全
症が特徴である313−317).単独の場合もあるが,他の先天
velocity reserve325),負荷エコーによる評価など一般の冠
動脈疾患の評価に順じて行う.
14)成人先天性心疾患における経食道心エコーの適応326〜331)
性心疾患に合併することもある.三尖弁の plastering の
①経胸壁心エコーの情報が不十分な場合
程度により様々な重症度となる.心房中隔欠損の合併が
②経胸壁心エコーに更に付加的情報を提供する場合
ないかを確認する.小さな心房中隔欠損は経胸壁心エコ
1)situs, concordance, discordance
ーでは確認できないことがあり,経食道心エコー法の良
2)心房中隔,静脈の関係
い適応である.
3)短絡(心房,心室,大血管)
4)弁の形態,機能
12)CorrectedTGA
5)感染性心内膜炎
修正大血管転換症は心室中隔を越えて大血管の転換が
あるにもかかわらず,atrioventricular discordance を伴う
ため血行が修復され,有意な奇形がなければ正常心と同
6)心内血栓や mass
7)大動脈解離
③弁形成術の術中や術後評価
じ血行動態を呈する.多くの場合は心室中隔欠損や肺動
1)残存短絡
脈狭窄を合併する.
2)残存狭窄,逆流
エコー診断では系統的なアプローチにより,心房-心
3)人工弁機能
室,心室-大血管関係を評価していく.成人で合併奇形
④カテーテル治療のガイド
のない修正大血管転換症では,三尖弁閉鎖不全症が問題
わが国で,今後 device を用いた欠損孔閉鎖術が行われ
となってくる.解剖学的右室のサイズ,機能の評価が重
るようになれば,経食道エコー法や心腔内エコーガイド
要である.合併奇形を有する例では,それぞれの合併奇
下の治療がルーチンに行われるようになるであろう332,333).
形の種類,重症度などを評価する
.Situs が solitus
先天性心疾患は基本的に短絡や弁狭窄,パッチの使用な
か inversus か,心室のループは L か D ループか,大血
どを有する病態のため,経食道心エコー検査を施行する
管関係が L-transposition か D-transposition かの同定をす
際には感染性心内膜炎の予防に注意を払う必要がある334).
318−320)
る.下大静脈が還流する右房が右側にあるか左側にある
かを季肋部からのアプローチで確認する.大血管関係は
成人の場合はエコーの透過が不良で描出できないことが
11
心臓移植
多いため,経食道心エコー法を用いると診断が容易であ
る321).
13)冠動脈の異常
大動脈より起始する冠動脈が拡張しているかどうか,
心臓移植とは,末期的な心臓病患者から高度に障害さ
胸骨左縁の大動脈弁レベルの短軸をよく観察する.拡大
れた心臓を摘出し正常機能のドナー(臓器提供者)の心
した冠動脈を認めた場合はカラードプラにより血流パタ
臓を移植する手術で,ヒトにおける最初の心臓移植は
ーンを記録する.拡大蛇行した冠動脈がヘアピンカーブ
1967 年に南アフリカ共和国で行われた.そして翌年の
のようになり,血流方向の確認が困難なことがある.心
1968 年には,全世界で 102 例の心臓移植が行われ,わ
腔内に冠動静脈瘻の開口部が観察されることもある.左
が国でも最初の心臓移植(世界で 30 例目)が行われた.
冠動脈肺動脈起始症では,肺動脈から左冠動脈が起始し
当時は移植後生じてくる拒絶反応という厚い壁に阻ま
ている所見を記録する.
れ,その成績は満足すべきものではなかったが,1980
川崎病では冠動脈瘤の存在や,左室の壁運動異常につ
34
■はじめに
年代に新しい免疫抑制薬としてシクロスポリンが心臓移
成人先天性心疾患診療ガイドライン
植に導入され,成績は著しく向上するにつれ,心臓移植
例前後とわずかに留まっている状況である.このような
の件数は年々増加し,現在,世界の統計では年間 3500
状況であるため,一日も早い国内での体制づくりが望ま
例ほどの心臓移植が行われている.現在の心臓移植にお
れる.
ける 1 年生存率は約 80 %,5 年生存率は約 70 % になっ
ており,移植を受けた患者の 60 % ぐらいの人が社会復
■心臓移植レシピエントの選択
心臓移植レシピエントの適応基準を表 25 に掲げる.
帰を果たしている335).
一方,日本においては,臓器移植法を中心とするさま
成人における心臓移植適応の二大疾患は,心筋症と冠
ざまな問題から小児における心臓移植は依然として道が
動脈疾患であり,それぞれが 45 % ずつ占める.続いて
閉ざされたままであり,成人においても施行例が年間 5
弁膜症が 3〜4 % を占め,成人先天性心疾患はわずか 2
表 25
心臓移植レシピエントの適応
Ⅰ.心臓移植の適応は以下の事項を考慮して決定する.
Ⅰ.移植以外に患者の命を助ける有効な治療手段はないのか?
Ⅱ.移植治療を行わない場合,どの位の余命があると思われるか?
Ⅲ.移植手術後の定期的(ときに緊急時)検査とそれに基づく免疫抑制療法に心理的・身体的に十分耐え得るか?
Ⅳ.患者本人が移植の必要性を認識し,これを積極的に希望すると共に家族の協力が期待できるか?
などである
Ⅱ.適応となる疾患
心臓移植の適応となる疾患は従来の治療法では救命ないし延命の期待がもてない以下の重症心疾患とする.
Ⅰ.拡張型心筋症,および拡張相の肥大型心筋症
Ⅱ.虚血性心筋疾患
Ⅲ.その他(日本循環器学会および日本小児循環器学会の心臓移植適応検討会で承認する心臓疾患)
Ⅲ.適応条件
Ⅰ.不治の末期的状態にあり,以下のいずれかの条件を満たす場合
a. 長期間またはくり返し入院治療を必要とする心不全
b. ベータ遮断薬および ACE 阻害薬を含む従来の治療法では NYHA 3 度ないし 4 度から改善しない心不全
c. 現存するいかなる治療法でも無効な致死的重症不整脈を有する症例
Ⅱ.年齢は 60 歳未満が望ましい
Ⅲ.本人および家族の心臓移植に対する十分な理解と協力が得られること
Ⅳ.除外条件
Ⅰ.絶対的除外条件
a. 肝臓,腎臓の不可逆的機能障害
b. 活動性感染症(サイトメガロウイルス感染症を含む)
c. 肺高血圧症(肺血管抵抗が血管拡張薬を使用しても 6 wood 単位以上)
d. 薬物依存症(アルコール性心筋疾患を含む)
e. 悪性腫瘍
f. HIV(Human Immunodeficiency Virus)抗体陽性
Ⅱ.相対的除外条件
a. 腎機能障害,肝機能障害
b. 活動性消化性潰瘍
c. インスリン依存性糖尿病
d. 精神神経症(自分の病気,病態に対する不安を取り除く努力をしても,何ら改善がみられない場合に除外条件となる
ことがある)
e. 肺梗塞症の既往,肺血管閉塞病変
f. 膠原病などの全身性疾患
Ⅴ.適応の決定
当面は,各施設内検討会および日本循環器学会心臓移植委員会適応検討小委員会の 2 段階審査を経 て公式に適応を決定する.
心臓移植は適応決定後,本人および家族のインフォームドコンセントを経て,移植患者待機リストにのった者を対象とする.
医学的緊急性については,合併する臓器障害を十分に考慮する.
付記事項 1.上記適応症疾患および適応条件は,内科的および外科的治療の進歩によって改訂されるものとする.
35
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
% を占めるに過ぎない 335).この割合は,わが国の適応
示すように,主治医が心臓移植の適応ありと考えられる
疾患と大きく異なり,わが国ではまだ 30 例ぐらいしか
患者をまず施設内適応検討会で検討し,そのまま直接か,
行われていないが,その大半は心筋症である.成人先天
移植実施施設内適応検討会を通して日本循環器学会心臓
性心疾患がわが国の心臓移植適応患者のどれくらいを占
移植適応検討小委員会に申請される.このときの申請デ
めるのかは現時点では不明であるが,心筋症に比べれば
ーターシートには出来るだけ詳細に記載した方がよい
(表 26).この検討会で,適応ありと判断されたあとは,
少ないと予想される.
成人先天性心疾患患者の心臓移植適応決定の際に注意
最終的なインフォームド・コンセントを取り,実施セン
しなければならない点として,肺血管抵抗の値がある.
ターでの体験受診・入院を経て,レシピエントとしての
高い場合には,100 % 酸素負荷,ミルリノン(PDEⅢ 阻
臓器移植ネットワークに登録,そして手術待機となる.
害薬)やドブタミン(カテコラミン),その他の血管拡
張薬を駆使して肺血管抵抗が下がるか否かをみておかな
ければならない.
心臓移植は,Lower & Shumway 法により心房レベル
また,小児期の手術の影響で PRA(panel reactive
での吻合を行うことにより手技は簡便化され,この方法
antibody)検査が陽性になっている場合がある.PRA 検
が心臓移植の標準手技となっている.この方法では術後
査とは,ランダムに集められた(他人の)リンパ球と患
に三尖弁閉鎖不全をきたすことがあり,これを回避する
者自身の血清を反応させ,何 % の人のリンパ球に反応
ため,近年は両大静脈を直接吻合する Bi-Caval 法を用
するかをみるテストである.移植前に PRA が高いとド
いる場合もある.レシピエントの大静脈後壁を残して両
ナーとの交差試験は陽性となる確率が高くなり,超急性
大静脈を吻合する Modified Bi-Caval 法も考案されてい
拒絶反応が移植手術時より出現し重篤な状態に陥る危険
る340).
性がある.
成人先天性心疾患の場合,とくに複合先天性心疾患の
表 25 にもあるように,標準的な心臓移植の適応は,
場合は,内蔵逆位,右胸心や大血管の位置異常,欠損,
最大限の内科治療を行っても NYHA 心機能分類Ⅲ〜Ⅳ
重複に加えて,以前に行われた各種姑息的手術や修復術
度の心不全症状があり,心臓移植以外の外科的治療法の
の影響による構造の変化を有する場合が多く,手術の手
適応がない症例で,心臓以外の臓器障害や感染症などの
技を複雑にするため,これらを十分に把握して手術時間,
禁忌事項を持たないことである.適応条件は一見むずか
体外循環時間,ドナー心虚血時間を短縮する手術計画を
しくないように見受けられるが,個々の症例を前にした
たてることが要求される.
とき,内科的治療の限界を見極めることが困難なことも
時として少なくない.その理由の一つには,難治性心不
■心臓移植の臨床成績
全に対する過去 10 年間の内科的治療の発展がある.一
成人心臓移植の移植術後生存率は,国際心・肺移植学
昔前ならば適応になった症例が,ACE 阻害薬,β遮断
会の統計335)によると,1 年約 80 %,5 年 65 % である
薬等を駆使することで改善する例が多く見られるように
(図 2).死因の原因は移植後の時期によって異なり,移
なってきた.また,従来より用いられてきた NYHA 分
植後 1 年以内においては拒絶反応や感染症が死因の主因
類による重症度と生命予後が必ずしも一致しないことが
であるのに対し,その後,リンパ腫を含む悪性腫瘍,移
近年になり判明し,移植の決定時期を生命予後によって
植心冠動脈病変(Cardiac Allograft Vasculopathy : CAV)
行うようになってきた.これまでも,臨床症状,血行動
(いわゆる慢性拒絶反応)の割合が増えてくる.移植後
態,神経体液性因子などさまざまなパラメーターの検討
の生存曲線で注目すべき点は,移植後 1 ないし 2 年以降
が行なわれており,多変量解析を用いた検討が有用であ
は右下がりの直線で約 3.4 % の患者が毎年亡くなってい
るとの報告
く 335)ことであるが,この主原因は移植心冠動脈病変で
336)
もあるが,現在は,移植適応を決定する
生命予後の推定の一つに,運動負荷試験による最大酸素
摂取量(peak VO2)を用いている
.Mancini らによ
ある.
337,338)
ると,peak VO2 が 14 ml/kg/分以下であれば内科治療に
よる患者の生後予後は心臓移植に劣る339).
■日本臓器移植ネットワークへの登録
日本臓器移植ネットワークへの登録の流れは図 1 に
36
■心臓移植手技
■心臓移植後の管理
①心臓移植後の免疫抑制療法
現在の免疫抑制療法は多剤併用療法が汎用されてい
る.多くの施設では,(1)シクロスポリンまたはタクロ
リムス,(2)アザチオプリンまたはミコフェノール酸モ
成人先天性心疾患診療ガイドライン
図1
日本臓器移植ネットワークへの登録の流れ
移植適応
検討委員会
ネットワーク
移植施設
患者紹介
レシピエント
診療施設
施設内適応検査
移植実施施設内
適応検討会
評価依頼
日本循環器学会
適応検討小委員会
結果通知
インフォームドコンセント
移植承諾書
協議
協議
レシピエント
検査 & 体験受診
・入院
レシピエント
受診・入院
登録決定
レシピエント登録
登録内容更新
図2
成人心臓移植の移植術後生存曲線(国際心・肺移植学会の統計332)による)
100
80
60
40
20
0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21
Year
37
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
表 27
フェチル(現在ではミコフェノール酸モフェチルが主流
拒絶反応の国際心肺移植学会(ISHLT)基準
になりつつある),(3)ステロイドの 3 種類を併用した
Grade
組織所見
3 薬併用療法(standard triple therapy)が行われるが,移
0
拒絶反応の所見なし
植直前の状態が重篤で腎機能が低下している症例に対し
1a
局所的(血管周囲または間質)に心筋細胞壊死を
伴わない細胞浸潤
1b
びまん性でかつまばらな心筋細胞壊死を伴わない
細胞浸潤
ては腎毒性のあるシクロスポリンやタクロリムスを数日
間遅らせて開始し,代わりに最初の数日間 OKT3 モノ
クローナル抗体を併用することもある(4 薬併用療法).
2
限局性だが強い細胞浸潤 and/or 局所的心筋障害
術後の拒絶反応が首尾よくコントロールされてくれ
3a
多発性の強い細胞浸潤 and/or 心筋障害
ば,術直後から用いられてきた 3 薬のうち,ステロイド
3b
びまん性の炎症像と心筋細胞壊死
は,その副作用を考慮して早期に中止または漸減される.
4
びまん性で強度のリンパ球,好酸球,好中球等の
白血球の浸潤を伴う炎症像.心筋細胞壊死,浮腫,
出血,血管炎をしばしば伴う
ここでシクロスポリンやタクロリムスも漸減されていく
が,リンパ腫が形成された場合などの特別な場合を除い
て中止されることはない.
る342).
②拒絶反応の診断と管理
拒絶反応は結果として心筋組織に炎症が生じるわけで
あるから,臨床症状は心筋炎と同様に,発熱,息切れ,
ii)心筋生検による合併症
移植後管理を慎重に行っていけば,一般的に拒絶反応
体重増加,安静時頻脈,不整脈,ギャロップリズム等で
の発生頻度は経過とともに減少し,それにつれて心筋生
ある.ただし,これらが認められるときは,すでにかな
検の施行回数も減少していく.しかしながら,ここで拒
り進んだ拒絶反応であることを覚悟しなけれならない.
絶反応出現の多い症例では,必然的に心筋生検施行回数
裏を返せば,ある程度進行した拒絶反応であっても全く
も多くなり,その場合には心筋生検の合併症出現にも注
自覚症状を認めないこともあり,それを確定診断するた
意が必要である.合併症の主たるものには,心筋生検が
めに,心筋生検が行なわれる.
もたらす腱索断裂等による三尖弁閉鎖不全と冠動脈-右
室瘻がある.三尖弁閉鎖不全症が高度になると弁置換術
i)心筋生検による拒絶反応の診断
が必要となってくる 343−345).置換弁は術後も拒絶反応診
拒絶反応診断のための心筋生検は移植後 5〜7 日目か
ら定期的に頻回に行なわれる.施行間隔等のプロトコー
断のため心筋生検を施行する必要性があるため一般的に
生体弁が使用される.
ルは各実施施設で少しずつ異なるが,基本的には移植後
早期(1 ヶ月以内)は毎週行われ,その後少しずつ施行
間隔を開けていき,途中で治療を要する拒絶反応が出現
iii)心エコー検査による拒絶反応の診断
心室壁内細胞浸潤と浮腫がもたらす,①心室中隔厚,
したときには,施行間隔は一旦短くなるというものであ
左室後壁厚,左室重量や左室容積の増加と心室壁厚増加
る.そしてこの心筋生検は移植後数年を経ても年に 1 回
率の低下,②収縮力(% FS)の低下,③僧帽弁または
は少なくとも行われる.ここで,採取する標本数は一回
三尖弁逆流の新たな出現または増量,④拡張機能低下と
の生検につき心筋を含む標本が少なくとも 4〜5 個採取
しての急速流入(E)波のピークからの減速時間(DcT)
されなければならない.うち 1 個は蛍光免疫染色用に使
や等容性拡張時間の減少,⑤心嚢液の新たな貯留等が非
われ,残りを光顕用に用いる.光顕用は連続切片を多数
侵襲的心エコー法による拒絶反応の所見として報告 346)
片作成し,ヘマトキシリン・エオジン染色とマッソン・
されている.
トリクローム染色を施して多数片をくまなく調べる.リ
ンパ球浸潤を主体とする急性の細胞性拒絶反応の診断
は,国際心肺移植学会(The International Society for
拒絶反応に対する治療は,術後 1 年以内の中等度ない
Heart & Lung Transplantation : ISHLT)の基準(表 27)
し重症度の拒絶反応ならば,メチルプレドニゾロンを用
に従って行われ,Grade 3A 以上の場合には積極的な治
いたステロイドパルス療法,さらには OKT3 モノクロ
療が必要となる.
ーナル抗体などを主体とする強力な治療が行われる.し
341)
38
iv)拒絶反応に対する一般的治療法(図 3)
蛍光免疫染色用の標本は,まれではあるが予後の悪い
かし数年を経過して出現したものに対しては治療内容は
液性(血管性)拒絶反応の存在を調べるために用いられ
少々ゆるやかになり,たとえ中等度でも,メチルプレド
成人先天性心疾患診療ガイドライン
図3
拒絶反応に対する治療法方針
軽度拒絶反応
中等度拒絶反応
高度拒絶反応
血行動態安定
血行動態安定
血行動態安定
あり
なし
あり
なし
あり
あり
CYA(FK),AZA(MMF)
の至適量維持
必要ならば
経口ステロイドパルス
悪化
CYA(FK),AZA(MMF)
の至適量維持
静注ステロイドパルス
悪化
CYA(FK),AZA(MMF)
の至適量維持
静注ステロイドパルス
ATG または ALG
悪化
CYA(FK),AZA(MMF)
の至適量維持
静注ステロイドパルス
OTK3
悪化
再移植を考慮
静注ステロイドパルス継続
OKT
悪化
再移植
ニゾロンを用いたステロイドパルス療法を用いることは
てくる348).サイトメガロウイルスの持続感染は移植心冠
一般的に少なく,経口ステロイドやシクロスポリンまた
動脈病変(CAV)の危険因子にも考えられており 349),
はタクロリマスの一時的増量で十分コントロールされる
その治療は重要である.
ことが多い.ステロイドパルスの治療期間は 3〜4 日間
で,その後は経口プレドニゾロンを 50〜100 mg/日から
④免疫抑制剤を主とした各種薬剤の副作用の管理
約 2 週間かけて 20 mg/日まで急速に減量していく.そ
移植後の拒絶反応のコントロールに欠かせない免疫抑
の後のプレドニゾロンの減量は,心筋生検等を行い拒絶
制薬の使用にはさまざまな問題点がある.免疫抑制する
反応の出現状態で決まる.これらステロイドパルス療法
ために生じる感染症の他に,免疫抑制は悪性腫瘍の発生
や経口プレド二ゾロンの減量プロトコールは各施設で少
頻度を高める.とくに悪性リンパ腫が心移植後に発生し
しずつ異なっているが,原則は変わらない.なお,大量
やすく,これは免疫抑制薬の投与量と関連する.
ステロイド治療中は,その副作用の管理も重要で,高脂
また,それぞれの免疫抑制薬固有の副作用がある.例
血症に対するスタチン製剤や胃十二指腸潰瘍を防止する
えば,シクロスポリンでは腎障害,高血圧,肝障害,高
ための H2 阻害薬やプロトンポンプインヒビターなどの
脂血症,歯肉肥厚などがあり,タクロリムスでは高血圧
投与,また個々の症例において感染予防が必要となる.
は少ないが,腎障害,糖尿病が問題となる.移植後数年
軽度ないし中等度ではあっても持続したり反復する拒
を経てくると腎機能低下が問題となる例も増えてくる
絶反応に対しては,シクロスポリンからタクロリムスへ
が335),そうなると使用可能な薬剤が制限されてくるよう
の変更,ステロイドの長期漸減および少量持続療法等の
になるため,腎機能を少しでも保持するように免疫抑制
方法もとられる .
薬の投与量を少なくする努力が大切である.
③感染症の管理
⑤移植心冠動脈病変(いわゆる慢性拒絶反応)
347)
拒絶反応の発生頻度が術後経過とともに減少していく
国際心・肺移植学会の統計 335)によると,全心臓移植
のに従い,感染症の頻度も低下する.起こりやすい感染
の 1 年生存率は約 80 % であるが,注目すべき点は,移
症は移植後の経過で少しずつ異なり,術後 1 カ月以内は
植後 1 ないし 2 年以降は右下がりの直線で約 3.4 % の患
細菌感染が主であるのに対し,その後は単純ヘルペスウ
者が毎年亡くなっていく 335)ことである.この主原因は
イルスやサイトメガロウイルス等の日和見感染が増加し
移植心冠動脈病変である.
39
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
表 28 移植心冠動脈病変と粥状冠動脈硬化の比較
移植心冠動脈病変は,移植後数カ月から数年の経過で
移植心冠動脈病変
粥状冠動脈硬化症
出現し進展する冠動脈狭窄であって,移植心の慢性的虚
部位
びまん性,末梢性
限局性,中枢性
血をきたす(図 4,表 28).移植心は除神経心であるた
冠動脈狭窄形態
求心性(concentric) 偏心性(eccentric)
め狭心症などの症状を示さず,また冠動脈の狭窄病変は
側副血行路
最低限あり
よく発達
びまん性のため,通常の冠動脈造影では病変をとらえに
石灰化
まれ
しばしば認める
くく,冠動脈予備能の低下350),血管内超音波法(IVUS)
初期変化
平滑筋細胞増殖
Fatty streak
で肥厚した血管内膜を観察することで診断される(図
内弾性板
保たれる
しばしば断裂
5).冠動脈の狭窄病変はびまん性のため,冠動脈バイ
内膜のリンパ球
しばしば
認めない
パス術や冠血管形成術は無効なことが多く,mTOR 阻
T リンパ球の局在
内膜下
粥腫の端
害薬(sirolimus,everolimus)が冠動脈の内膜増殖を抑
内膜の MHC classⅡ 発現あり
発現なし
制するため使用されてきている.ただし,移植心冠動脈
細胞浸潤/血管炎
有
まれ
病変がさらに進行していけば,移植心全体の慢性的虚血
静脈病変
有
無
をもたらすため,この場合の救命は再移植しかない.
進展速度
月単位
年単位
本病変が出現し進展する原因としては,免疫学的要因
図 4 移植心冠動脈病変(いわゆる慢性拒絶反応)の病理組織像
左図の左冠動脈前下行枝近位部において,求心性の内膜肥厚を認め内腔はほとんど残存していない.この内膜肥厚は,右図の前下行
枝遠位部にまで及んでいる.
図5
血管内超音波法(IVUS)でとらえられた血管内膜肥厚
心移植後 3 年が経過した 47 歳男性の左冠動脈造影第一斜位(A)と血管内超音波法(IVUS)所見(B).冠動脈造影(A)ではごく
わずかに壁の不整が認められるだけだが,IVUS で観察した前下行枝(AHA#6)の断面像(B 上段)では,求心性(concentric)に内
膜の肥厚が認められ,この内膜肥厚は,Netra IVUS システムを用いた 3D 解析(B 下段)で,びまん性に末梢まで存在することが分
かる.
40
成人先天性心疾患診療ガイドライン
図6
移植直後から慢性期にかけてのケアの留意点
拒絶反応
感染症
移植心冠動脈病変
腎機能障害
心筋生検合併症
悪性新生物
心移植
年数
と非免疫学的要因がある.つまり,拒絶反応,サイトメ
後に肺高血圧が進展して,肺移植の適応となる症例も認
ガロウイルス感染等の免疫学的機序による血管内皮障害
められる.成人先天性心疾患の増加に伴い,今後,肺移
により惹起されることが考えられているが,移植手術時
植の適応例が増加することが予想される.原疾患が単純
の再灌流障害やドナー心虚血,また高齢のドナー,ドナ
心奇形である場合や,すでに修復術が施行された場合に
ーの高血圧,移植後の高血圧,高脂血症等による血管内
は,肺移植(脳死又は生体)の適応となるが,原疾患が
皮障害も加わり,それらが総合的に本病変を形成する.
複雑心奇形であったり,心機能が不良であったりする症
例は,心肺移植の対象となる.
⑥移植直後から慢性期にかけてのケアの留意点
心臓移植直後から慢性期にかけてのケアの留意点を図
2
2 肺移植・心肺移植の歴史
6 に示す.これは,留意点おおまかに示したものであっ
て決して出現頻度ではない.このように心臓移植後の管
肺移植は 1963 年に Hardy355)が慢性肺疾患の患者に行
理は,急性期には拒絶反応と感染症の予防と治療に,さ
ったのが最初である.先天性心疾患に対する肺移植は,
らに心筋生検合併症に主眼がおかれるが,その後は経過
1968 年に Cooley356)が,肺高血圧を伴った完全心内膜床
とともに腎機能保持,さらに遠隔期になると,移植心冠
欠損の患児(生後 2 ヶ月)に心肺移植を行ったのが最初
動脈病変の進展予防と腫瘍発生予防に主眼が次第に移行
である.しかし当時は,拒絶反応,感染症などの合併症
する.
のために移植後早期に死亡し,長期生存例は見られなか
った.1970 年代にシクロスポリンが臓器移植に応用さ
れ,臓器移植の成績は向上し,1980 年には心臓移植に
12
肺移植・心肺移植
も応用されるようになった.翌 1981 年に Reitz357)が心
肺移植を成功させた(1 例目は原発性肺高血圧(PPH),
2 例目は心房中隔欠損(ASD),心室中隔欠損(VSD)
を合併した Eisenmenger 症候群).これらが肺の移植の
1
1 はじめに
臨床初の長期生存例となり,現在では肺移植の適応とさ
れる疾患も含めた多くの肺疾患に対して心肺移植が行わ
成人先天性疾患症例の中には,高度肺高血圧や肺実
れるようになった.
質・血管の低形成のため根治術ができなかった症例も散
カナダの Cooper ら358)は,有茎大網による気管支吻合
見され,成人期に肺移植の適応となる症例も少なくな
部の被覆,ステロイドの制限など,気管支縫合不全の予
い351−354).また,小児期に根治術を施行された症例でも,
防対策を加えて,1983 年に肺線維症の男性に対して片
41
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
肺移植を成功させた.さらに 1986 年 Patterson359)が両肺
設として認定されている.
移植を成功させた.しかし,両肺移植は,気管吻合部の
心肺移植については,2003 年に大阪大学,国立循環
縫合不全が高率に発生したこと,人工心肺が必須で出血
器病センターの 2 施設が認定され,同年 4 月に日本循環
が多くなることから,1990 年に入って左右連続して両
器学会への心肺移植適応評価申請が開始されたが,2005
側に片肺移植を施行する両側片肺移植が開発され360),現
年 10 月末現在,心肺移植実施例はない.
在の両側肺移植の術式として確立した.
両側肺移植の成績が向上したため,ドナー不足を考慮
3
3 肺移植・心肺移植の適応基準と登録
して心肺移植の適応疾患が限定され,心肺移植は 1989
年の 240 例をピークに減少した(図 7)
.特に Spray ら361,362)
肺移植の適応は,一般的適応指針(表 29)のごとく,
が,先天性心疾患において積極的に心内修復と両側肺葉
移植以外の最大限の治療に反応しない慢性進行性肺疾患
移植を行うようになってから,現在では単純心奇形に伴
で,肺移植以外に患者の生命を救う有効な治療手段がな
う Eisenmenger 症候群の多くは両側肺移植の適応となっ
く,残存余命が限定されると判断される場合が適応とな
ている.
る.わが国での年齢のめやすは,心肺移植 45 歳末満,
図7
肺移植症例の適応疾患(2004 年国際心肺移植学会統計)
両肺移植 55 歳末満,片肺移植 60 歳末満である,とされ
ている.
表 29
肺移植のレシピエントとしての一般的適応指針
欧米諸国をはじめ移植医療先進国の現状をみると,現時
点における臓器移植は,臨床研究的要素を内包しており,
肺移植の国際登録にみられる対象症例にも,試行段階的な
疾患が含まれている.我が国においては,症例がある程度
集積され,手術術式や免疫抑制なども含め技術的に安定す
るまでは,当面肺及び心肺移植の適応対象はある程度限定
されるべきである.
1)治療に反応しない慢性進行性肺疾患で,肺移植以外に患
者の生命を救う有効な治療手段が他にない.
2)移植医療を行わなければ,残存余命が限定されると臨床
医学的に判断される.
当院でも心房中隔欠損を合併した原発性肺高血圧症の
男児に生体肺葉移植と心房中隔欠損閉鎖を行ったが363),
単純心奇形では,ドナー不足の極めて厳しい我が国でも
選択できる手術法であろう.また症例によっては,片肺
と心臓を移植する報告 354)も散見されるが,そのような
症例は多くないと考えられる.
わが国では 1980 年代末から学会レベルでの検討が開
始され,1995 年に肺・心肺移植関連学会協議会が結成
されて,肺移植の実施へ向けての実務的協議が行われた.
3)レシピエントの年齢が,原則として,心肺移植の場合
45 歳末満,両肺移植の場合 55 歳末満,片肺移植の場合
には 60 歳末満である.
4)レシピエント本人が精神的に安定しており,移植医療の
必要性を認識し,これに対して積極的態度を示すととも
に,家族及び患者をとりまく環境に十分な協力体制が期
待できる.
5)レシピエント症例が移植手術後の定期的検査と,それに
基づく免疫抑制療法の必要性を理解でき,心理学的・身
体的に十分耐えられる.
(肺・心肺移植関連学会協議会「肺・心肺移植レシピエントの
適応基準」より)
1997 年の「臓器移植法」成立・施行を踏まえ,1998 年
に,肺移植実施施設として東北大学,京都大学,大阪大
最近では,肺移植の成績や心移植後の右心不全の管理
学,岡山大学の 4 施設が認定された.さらに協議会のも
が向上したこと,ドナー不足がさらに深刻になってきて
とに中央肺移植適応検討委員会が発足して症例検討が開
いること(一人の人を救うのに三つの臓器が必要なため)
始され,日本臓器移植ネットワークでの脳死肺移植希望
から,心肺移植の適応疾患が限定され,片肺又は両側片
者登録が開始された.同年 10 月に岡山大学にてわが国
肺移植の適応が拡大してきている.また,心肺移植の適
最初の生体肺葉移植が実施され364),ようやく 2000 年 3
応疾患の生命予後は,心又は肺単独の移植の適応疾患の
月 29 日に大阪大学,東北大学で脳死肺移植が実施され
予後より良いことが多いので,適応を判定には慎重を要
た
する.ドナー不足の深刻な我が国では,心肺移植の適応
.2005 年に施設拡大があり,千葉大学,独協医
365,366)
大,長崎大学,福岡大学を加えた 8 施設が肺移植実施施
42
基準は厳格で,表 30,31 に示す.
成人先天性心疾患診療ガイドライン
表 30
心肺同時移植の適応疾患
心肺同時移植の適応となる疾患は,移植以外では救命ない
し延命の期待が持てない以下の重症疾患とする
① 心機能低下を伴う原発性肺高血圧症を含む肺移植適応肺
疾患
② 肺高血圧を伴う先天性心疾患(Eisenmenger 症候群)で
外科的修復が困難か,心機能低下を伴うもの
③ 肺低形成を伴う先天性心疾患で外科的修復が困難か,心
機能低下を伴うもの
④ その他,心肺同時移植適応検討小委員会が認めたもの
(日本循環器学会心肺同時移植適応検討小委員会「心肺同時移
植レシピエントの適応基準」より)
表 31
心肺同時移植の適応条件
表 30 に示すの疾患で心不全もしくは呼吸不全により,心
肺同時移植でなければ救命ないし延命の期待が持てない以
下の場合を適応とする
場合に,両側片肺移植と先天性心疾患修復の併用手
術の適応となる.原則的には,単純心奇形〔ASD,
VSD,動脈管開存(PDA)
〕に限られる.又,生体肺
葉移植については,移植肺の容積は十分でない限り
は,ASD と PDA の合併例に限定した方が良い361,362).
②すでに心内修復術が行われていて,肺高血圧以外に
遺残病変のない場合には,両側片肺移植の適応とな
る
③心内修復の際に大動脈遮断が 1 時間以上かかること
が予想されるような複雑心奇形〔両大血管右室起始
(DORV),完全大血管転位など〕や,Fontan 型手術
しかできない先天性心疾患(単心室など)は心肺移
植の適応となる352,353,367).但し,subaortic VAD を伴
った DORV などは,術者の判断によって心内修復
と両側片肺移植の適応となる361,362).
④心不全を伴う症例(左室駆出率で 45 % 未満,右室
① 進行した肺疾患により,肺移植の適応が考えられる症例
において,外科的修復の難しい先天性心疾患や高度心機
能低下を伴い,最大限の内科的治療によっても NYHAⅢ
度からⅣ度に相当する臨床症状から脱しない場合
② 高度心不全を呈し心移植の適応が考えられる症例におい
て,薬剤抵抗性の不可逆的肺高血圧[一酸化窒素の吸入
又はプロスタサイクリンの静脈内投与で Transpulmonary
gradient(TPG)が 15 mmHg 以上,または肺血管抵抗が
8 wood unit 以上の症例]を伴う場合
③ 年齢は 55 歳以下が望ましい
④ 本人および家族の心肺同時移植に対する十分な理解と協
力が得られている
(日本循環器学会心肺同時移植適応検討小委員会「心肺同時移
植レシピエントの適応基準」より)
駆出率で 40 % 未満,又は高度の房室弁逆流合併)
は単純心奇形でも心肺移植の適応となる352,353,367).
尚,100 % 酸素・一酸化窒素吸入,プロスタグラディ
ン E1 又はプロスタサイクリン静脈内投与下に肺動脈圧,
肺動脈楔入圧,肺血管抵抗を測定し,Transpulmonary
gradient(TPG)が 15mmHg 以上,または肺血管抵抗が
8 wood unit 以上である場合,不可逆的な肺高血圧と判
定する.
また,成績のところでも述べるが,先天性心疾患に対
する両側肺移植の成績は,必ずしも心肺同時移植よりも
優れていない.従って,ドナー不足も考慮すべきである
が,先天性心疾患の両側肺移植の適応は慎重にすべきで
肺血管系の異常に起因した肺移植を行う場合に,その
病変が片側性でない限り,両側片肺移植を行うことが望
ましいとされている.そのため,成人先天性心疾患に伴
う肺移植の術式は両側片肺移植または生体両側肺葉移植
を行う施設が多い361,362).
1
成人先天性心疾患に関連した肺移植・
心肺移植の適応疾患と術式の選択
適応疾患は,成人先天性心疾患を合併した高度肺高血
圧(原発性肺高血圧症又は Eisenmenger 症候群),肺実
質又は肺血管の低形成,修復不可能な肺静脈狭窄などが
ある.
各疾患の術式は以下の通りである.
Ⅰ.Eisenmenger 症候群(先天性心疾患に伴う二
次性肺高血圧)
ある351,367).
Ⅱ.肺実質・肺血管の低形成,高度肺静脈狭窄を
伴う先天性心疾患
基礎となる先天性心疾患は,単心室,Fallot 四徴症極
型(肺動脈閉鎖兼 VSD),両大血管右室起始,大血管転
位症などであり,多くは心肺移植の適応となる351,353,367).
それらが修復可能な症例では,修復術と両側肺移植の併
用術の対象となる361,362).
Ⅲ.先天性心疾患に起因した肺動静脈瘻
Total cavopulmonary shunt 手術後などに 2 次的に発症
する肺動静脈瘻は心臓移植のみで軽快する報告 368)があ
り,最近では心臓移植の適応と考えられている.しかし,
チアノーゼが著明な場合には周術期の成績は不良であ
り,心肺移植の適応となる368).
①心機能が保たれていて,先天性心疾患が修復可能な
43
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
図8
2
年代別の心肺移植症例の適応疾患(2004 年国際心肺移植学会統計)
成人先天性心疾患に関連した肺移植・
心肺移植の適応基準
Ⅰ.Eisenmenger 症候群(先天性心疾患に伴う二
次性肺高血圧)
肺移植又は心肺移植の適応をきめるためには,本症の
自然予後を知る必要があるが,患者の余命を予測するこ
とは困難である.下記 a)〜c)に示すような条件を満
たすようになれば,2 年以内に死亡する確率が増加する
と考えられているので,以下のような条件が揃ってくれ
ば,適応評価を検討する352,370,371).
a)心不全(右・左単独,両心不全の場合あり)
薬剤投与によっても NYHA 機能分類 III〜IV 度
25 例,閉塞性細気管支炎 11 例,Eisenmenger 症候群
(修復術後を含む)9 例であり,先天性心疾患の症例は
少ない.2005 年 3 月末現在までに 22 例の脳死肺移植,
から改善しない場合
臓器障害(肝腎機能障害:但し不可逆的)が認
められるようになった場合
45 例の生体肺葉移植が実施されたが,先天性心疾患合
併例の脳死肺移植例もなく,ASD を合併した PPH360)と
b)難治性の心室性不整脈
ASD による Eisenmenger 症候群の各 1 例で生体肺葉移植
c)頻回の喀血(気管支動脈栓塞術無効例)
が実施された.
日本循環器学会への心肺移植適応評価申請は,2003
Ⅱ.肺実質・肺血管の低形成,高度肺静脈狭窄を
伴う先天性心疾患
年 4 月から開始され,適応と判定されたのは Eisenmenger
在宅酸素療法を行っても,NYHA 機能分類Ⅲ〜Ⅳ度
拘束型,拡張型心筋症の各 1 例の計 5 例であるが,まだ
Ⅲ.先天性心疾患に起因した肺動静脈瘻
在宅酸素療法を行っても,NYHA 機能分類Ⅲ〜Ⅳ度
拡張型心筋症の 1 例は,その後肺血管抵抗が低下し,ド
イツで心臓移植のみが実施され,生存中であり,心不全
に起因する肺高血圧の可逆性の診断は必ずしも容易でな
いと考えられる.
から改善しない場合
3
症候群を伴った複雑心奇形 3 例,高肺血管抵抗を伴った
心肺移植を実施した症例はない.高肺血管抵抗を伴った
から改善しない場合
欧米における成人の肺移植・心肺移植の適応疾患
4
肺移植・心肺移植の適応除外条件
国際心肺移植学会(ISHLT)の統計によると,成人の
一方,肺移植の成績を損なわないようにを多くの適応
片肺移植(計 5,793 例)の適応疾患は,慢性肺疾患など
除外条件が具体的に設けられている(表 32,33).具
53 %,肺線維症 2.3 %,PPH 1.1 %,気管支拡張症 0.4 %,
体的には,肝臓,腎臓の不可逆的機能障害,活動性,全
先天性心疾患 0.2 %(13 例),成人の両肺/両側片肺移植
身性感染症,薬物依存症,悪性腫瘍,HIV 抗体陽性等
(計 5,166 例)の適応疾患は,慢性肺疾患など 23 %,肺
があり,相対的除外条件として,肝臓,腎臓の可逆的機
線維症 31 %,PPH 7.6 %,気管支拡張症 4.9 %,先天性
能障害,活動性消化性潰瘍,合併症を伴ったインスリン
心疾患 2.1 %(107 例)であり,先天性心疾患による肺
依存性糖尿病,高度胸郭変形や胸膜に広範な癒着や瘢痕,
移植症例は多くない(図 7) .それに対して,成人の
高度筋・神経疾患,極端な低栄養又は肥満,リハビリテ
心肺移植の適応疾患に先天性心疾患の占める割合は大き
ーションが行えない,又はその能力が期待できない症例,
い.1982-1995 年の適応疾患は,先天性心疾患 29 %,
本人及び家族の理解と協力が得られない,精神社会生活
PPH 26 %,嚢胞性肺線維症 15 % であったのに対し,
上に重要な障害などがある.
351)
1996-2001 年は先天性心疾患 36 %,PPH 19 %,嚢胞性
肺線維症 17 % であった(図 8) .
351)
一方我が国では,2005 年 3 月末現在までに 204 例が
肺移植希望者として登録されたが,PPH 63 例,間質性
44
肺炎 40 例,肺リンパ脈管筋腫症 38 例,気管支拡張症
また,肺移植レシピエント選択の国際ガイドライン372)
では,HB 抗原陽性例,肝生検で肝疾患を認める HC 抗
体陽性例も禁忌とされている.
成人先天性心疾患診療ガイドライン
表 32
肺移植の適応除外条件
の距離,待機期間中の生活,移動時間などを十分に考慮
1)肺外に活動性の感染巣が存在する.
して移植施設を選ぶことが望ましい.また,施設によっ
2)他の重要臓器に進行した不可逆的障害が存在する.
悪性腫瘍
骨髄疾患
冠動脈疾患
高度胸郭
変形症
筋・神経疾患
肝疾患(T-Bil>2.5 mg/dl)
腎疾患(Cr>1.5 mg/dl,Ccr<50 ml/min)
て保険(高度先進医療)が適用するところとしないとこ
3)極めて悪化した栄養状態.
4)最近まで喫煙していた症例.
5)極端な肥満.
ろがあるので,その情報の提供にも配慮すべきである
(図 7).
肺移植の場合,移植施設か,地方の肺移植適応検討会
で肺移植適応と判定されると,移植施設担当医と主治医
は,移植について患者と家族に説明し,移植手術を希望
6)リハビリテーションが行えない,またはその能力が期
待できない症例.
するかどうかの意思を確認する.同時に肺・心肺移植関
7)精神社会生活上に重要な障害の存在.
し,適応があると判定されれば,再び患者と家族に説明
8)アルコールを含む薬物依存症の存在.
9)本人及び家族の理解と協力が得られない.
10)有効な治療法のない各種出血性疾患及び凝固能異常.
連学会協議会の中央肺移植適応検討委員会に評価を依頼
し,同意を得てからネットワークに登録する.
心肺同時移植も肺移植と同様であるが,移植適応の判
11)胸膜に広汎な癒着や癒痕の存在.
定は,日本循環器学会の心肺同時移植適応検討小委員会
12)HlV(human immunodeficiency virus)抗体陽性.
が担っており,日本臓器移植ネットワークには心臓移
(肺・心肺移植関連学会協議会「肺・心肺移植レシピエントの
適応基準」より)
表 33
心肺同時移植の適応除外条件
1)絶対的除外条件
植・肺移植の両方のリストに登録される(登録料は肺の
みの場合の 2 倍).
4
4 ドナー・レシピエント適合とレシピエントの選定
a)肝臓,腎臓の不可逆的機能障害
b)活動性,全身性感染症
c)薬物依存症(アルコール及びニコチン依存症を含む)
d)悪性腫瘍
1
肺ドナーの適合基準
ドナーが脳死に至るまで,また摘出までに肺が障害さ
e)HIV 抗体陽性
れていることが多く,心肺移植に適したドナーは心臓ド
2)相対的除外条件
ナーの約 1/4 程度である.単純浸漬保存における保存安
a)肝臓,腎臓の可逆的機能障害
b)活動性消化性潰瘍
c)合併症を伴ったインスリン依存性糖尿病
d)高度胸郭変形や胸膜に広範な癒着や癩痕
e)高度筋神経疾患
f)極端な低栄養又は肥満
g)リハビリテーションが行えない,又はその能力が期待
できない症例
h)本人及び家族の理解と協力が得られない
i)精神社会生活上に重要な障害
(日本循環器学会心肺同時移植適応検討小委員会「心肺同時移
植レシピエントの適応基準」より)
全許容時間は,肺では 8 時間以内,心肺では心臓同様 4
時間以内である,とされている.ドナーの適合条件とし
ては,表 34,35 に示すように心と肺のドナー適応条件
の両方を満たさなければならない.
2
肺移植における選定
肺移植希望者(レシピエント)選択基準(表 36)に
沿ってレシピエント候補が選定される.すなわち,適合
条件として(1)ABO 式血液型,
(2)肺の大きさ(ドナ
ー,レシピエントの予測肺活量の比),(3)ダイレク
ト・クロスマッチ陰性,を満足し,虚血許容時間(8 時
5
肺移植・心肺移植の適応評価と
日本臓器移植ネットワーク登録
間)以内に再灌流される見込みであることを第一条件と
して選択される.ABO 式血液型は一致を適合より優先,
待機期間は長いものを優先する.
平成 17 年 10 月末現在,認可されている肺移植施設は
8 施設,心肺同時移植施設は 2 施設である(図 7).
肺の移植を希望する場合には,移植施設を決めて受診
するか,主治医から患者のデータを移植施設に送付して
もらい,その適応について判断を求める.臓器提供があ
れば,すぐに移植手術を受けることになるので,自宅と
45
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
表 34 〈肺〉臓器提供者(ドナー)適応基準
1.以下の疾患又は状態を伴わないこととする.
(1)全身性及の活動性感染症
表 36
1.適合条件(抜粋)
(1)ABO 式血液型
ABO 式血液型の一致(identical)だけでなく,適合
(compatible)の待機者も候補者として考慮する.
(2)HIV 抗体,HTLV-1 抗体,HBs 抗原,HCV 抗体など
が陽性
(3)クロイツフェルト・ヤコブ病及びその疑い
(2)肺の大きさ
予測 VCD注 1)/予測 VCR注 2)×100 の値(%)で判断する.
(4)悪性腫瘍(原発性脳腫瘍及び治癒したと考えられる
ものを除く.)
2.臨床的に肺疾患が存在する場合には,移植の適応を慎重
に検討する.
1)片肺移植の場合
70〜130 %
2)両肺移植の場合
70〜130 %
注 1)予測 VCD:臓器提供者(ドナー)の予測
肺活量
3.肺の機能が良好であることが望ましい.
(1)肺コンプライアンスが保たれている(注 1)
注 2)予測 VCR:移植希望者(レシピエント)
の予測肺活量
(2)肺の酸素化能が維持されている(注 2)
4.年齢:70 歳以下が望ましい.
予測肺活量の計算式
(男性)
予測肺活量=
(27.63〜0.112×年齢)
×身長
(cm)
(平成 9 年 10 月 16 日 健医発第 1371 号,平成 13 年 7 月 30 日
改正 健発第 798 号)
注 1:最大気道内圧<30 cmH2O
(1 回換気量 15 ml/kg, PEEP=5 cmH2O の条件下)
肺移植希望者(レシピエント)選択基準(抜粋)
(女性)
予測肺活量=
(21.78〜0.101×年齢)
×身長
(cm)
(3)前感作抗体
ダイレクト・クロスマッチを実施し,陰性であるこ
とを確認する.
注 2:PaO2>300 Torr(FIO2=1.0, PEEP=5 cmH2O の条件下)
又は
PaO2/FIO2>250〜300 Torr(PEEP=5 cmH2O の条件下)
パネルテストが陰性の場合,ダイレクト・クロスマ
ッチは省略することができる.
2.優先順位(抜粋)
表 35 心肺移植臓器提供者(ドナー)選定基準
1.以下の疾患又は状態を伴わないこととする.
(1)全身性,活動性感染症
適合条件に合致する移植希望者(レシピエント)が複数
存在する場合には,優先順位は,以下の順に勘案して決定
する.
(1)虚血許容時間
(2)HIV 抗体,HTLV-1 抗体,HBs 抗原,HCV 抗体など
が陽性
(3)悪性腫瘍(原発性脳腫瘍及び治癒したと考えられる
ものを除く.)
虚血許容時間を最優先する.臓器提供者(ドナー)
の肺を摘出してから 8 時間以内に血流再開すること
を第一条件とする.
(2)ABO 式血液型
(4)心疾患の既往
(5)心電図,心エコー図などによる心疾患の所見,病的
不整脈や心筋梗塞の存在
(6)大量のカテコラミンの使用(注 1)
ABO 式血液型が一致(identical)する者を適合
(compatible)する者より優先する.
(3)待機期間
(1),(2)の条件が同一の移植希望者(レシピエン
ト)が複数存在する場合は,待機期間の長い者を優
先する.
(7)臨床的に有意な肺疾患の存在(膿性痰など)
(8)胸部 X 線検査における肺の明らかな異常
2.肺の機能が良好であること
(1)肺のコンプライアンスが保たれている(注 2)
(平成 9 年 10 月 16 日 健医発第 1371 号,平成 13 年 7 月 30 日
改正 健発第 798 号)
(2)肺の酸素化能が維持されている(注 3)
3.年齢:60 歳以下が望ましい.
(日本循環器学会心肺同時移植適応検討小委員会「心肺同時移
植レシピエントの適応基準」より)
注 1:例:ドパミン 10μg/kg/min にても血行動態の維持が困
難な場合
注 2:最大気道内圧<30 cmH20
(1 回換気量 15 ml/kg,PEEP=5 cmH20 の条件下)
注 3:Pa02>300 Torr(FIO2=1.0,PEEP=5 cmH20 の条件下)
又は
Pa02/FI02>250〜300 Torr(PEEP=5 cmH20 の条件下)
46
3
心肺移植における選定
心肺移植希望症例は,心臓移植・肺移植の両方のリス
トに登録され,各々の臓器の選定基準に従い,どちらか
の 1 位に選定された場合にレシピエントとして選定され
る(表 37).
成人先天性心疾患診療ガイドライン
表 37
心肺同時移植希望者(レシピエント)選択基準
1.適合基準
1)ABO 式血液型 ABO 式血液型の一致(identical)だけでなく,適合(compatible)の待機者も候補者として考慮する.
2)体格心移植での体重差(下記(1)),及び両肺移植における予測肺活量による基準(下記(2))を参考にするが,判断は主治
医(移植医)に委ねる.
(1)心移植の選択基準体重差一20 %〜30 % 以内が望ましい.
(2)両肺移植の選択基準予測 VCD 注 1/予測 VCR 注 2×100 値(%)が 80〜100 % であることが望ましい.
注 1)予測 VCD:臓器提供者(ドナー)の予測肺活量
注 2)予測 VCR:移植希望者(レシピエント)の予測肺活量予測肺活量の計算式
(男性)予測肺活量=(27.63−0.112×年齢)×身長(cm)
(女性)予測肺活量=(21.78−0.101×年齢)×身長(cm)
3)前感作抗体リンパ球直接交差試験(ダイレクト・クロスマッチテスト)を実施し,陰性であることを確認する.パネルテス
トが陰性の場合,リンパ球直接交差試験(ダイレクト・クロスマッチテスト)を省略できる.
4)CMV 抗体 CMV 抗体陰性の移植希望者(レシピエント)に対しては,CMV 抗体陰性の臓器提供者(ドナー)が望ましい
5)HLA 型当面,選択基準にしないが,必ず検査し,登録する.
2.優先順位適合条件に合致する移植希望者(レシピエント)が複数存在する場合には,優先順位は,以下の順に勘案して決定する.
1)虚血許容時間
虚血許容時間を最優先する.臓器提供者(ドナー)の心臓を摘出してから 4 時間以内に血流再開することを第 1 条件とする
2)心臓移植希望者(レシピエント)選択基準で選ばれた移植希望者(レシピエント)が心肺同時移植の待機者である場合であ
って,かつ,臓器提供者(ドナー)から心臓および両肺の提供があった場合には,当該待機者が肺移植待機リストで下位で
あっても,当該待機者に優先的に心臓および両肺を同時に配分する.
3)肺移植希望者(レシピエント)選択基準で選ばれた移植希望者(レシピエント)が心肺同時移植の待機者である場合であっ
て,かつ,臓器提供者(ドナー)から心臓および両肺の提供があった場合には,当該待機者が心臓移植待機リストで下位で
あっても,当該待機者に優先的に心臓および両肺を同時に配分する
4)心臓移植希望者(レシピエント)選択基準および肺移植希望者(レシピエント)選択基準で選択された待機者が別人であり
共に心肺同時移植を希望している場合であって,かつ,臓器提供者から心臓および両肺の提供があった場合には,
1.ABO 式血液型が一致(identical)する者を適合(compatible)する者より優先し,
2.1 の条件が同一の移植希望者(レシピエント)が複数存在する場合は,心臓移植希望者(レシピエント)選択基準にお
ける医学的緊急度の高い者を優先し,
3.2 の条件が同一の移植希望者(レシピエント)が複数存在する場合には,心臓移植希望者(レシピエント)選択基準の
医学的緊急度 Statusl の待機期間が長い者を優先し,
4.3 の条件が同一の移植希望者(レシピエント)が複数存在する場合には,登録日からの延べ日数の長い者を優先する.
5)心臓または肺の移植希望者(レシピエント)において,第 1 順位として選択された移植希望者(レシピエント)が心肺同
時移植の待機者であっても,臓器提供者(ドナー)から心臓および両肺の提供を受けられない場合は,心臓または肺の単独
移植希望者(レシピエント)のうちで最も優先順位が高いものを選択する.
その他医学的な理由により心臓移植希望者(レシピエント)選択基準における医学的緊急度が Status3 になった場合,肺移植希望
者(レシピエント)の待機リストを「待機 inactive 」とするが,その間の待機期間は加算される.
(日本循環器学会心肺同時移植適応検討小委員会「心肺同時移植レシピエントの適応基準」より)
<附則>
1.関連学会における適応評価委員会において心肺同時移植の適応があると評価された心肺同時移植希望者(レシピエント)は,(社)
日本臓器移植ネットワークの心臓移植待機リストおよび肺移植待機リストの両方に登録される.
2.新規に登録された心肺同時移植希望者(レシピエント)の待機期間は登録後の日数を計算することとする.既に心臓または肺の
待機リストに登録されている患者が心肺同時移植に登録変更する場合には,変更以前から登録している待機リストにおける待機日
数は変更以前の待機日数も含めて計算することとし,新規に登録した待機リストにおける待機日数は登録変更後の日数を計算する
こととする.
5
5 肺・心肺移植手技
1
脳死肺移植
⁄)ドナー手術
心内修復を併用する場合の修復術式については省略す
る.
胸腹部正中切開で肺に異常がないことを確認後,上下
大静脈,大動脈,肺動脈幹を剥離する.全摘出予定臓器
47
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
の剥離終了後,ヘパリン(300 unit/kg)を投与し,上行
の左下葉を左胸腔内に移植する.肺門の吻合は通常は気
大動脈に心停止液注入カニューラ,肺動脈幹に肺保存液
管支,肺静脈,肺動脈の順に吻合する.再灌流前に
注入カニューラを挿入する.肺動脈から PGE1 500μg
PGE1 持続静注を開始し,メチルプレドニゾロン 500-
を注入後,上大静脈を結紮,下大静脈を切断し,大動脈
1000 mg の静注が完了していることを確認のうえ,まず
を遮断し(虚血時間の開始)て心停止液を注入する.次
換気を再開する.次いで左右順番に再灌流する.
いで左心房を切開して冷却した肺保存液を注入する.心
臓摘出後,肺が膨張した状態で気管をステイプラーで二
重に遮断してその間で切断する.横隔膜レベルの心膜後
3
心肺移植
⁄)ドナー手術
壁を横切開,肺靱帯と下行大動脈も切離し,残る縦隔組
織を切離して両肺ブロックを摘出する.充分量の冷却保
ドナー手術は胸骨正中切開で心肺に達し,ヘパリンと
存液の入った plastic bag で三重に包み,氷の入った ice
プロスタグランディン投与後に,上下大静脈を遮断・切
box に収容して搬送する.
開して,心虚脱後に上行大動脈と肺動脈に挿入したカニ
¤)レシピエント手術
ューラから灌流液を投与する.心停止後,心肺ブロック
として摘出し,冠血管床を保存液で置換後,4 ℃の保存
症 例 に 応 じ て 経 皮 的 心 肺 補 助 装 置 percutaneous
cardiopulmonary support system(PCPS)や人工心肺を準
水に浸す.
¤)レシピエント手術
備する.アプローチは片肺移植の場合は後側方切開,両
側片肺移植の場合は胸骨横断,第 4 肋間(肺気腫では第
胸骨正中切開下に上行大動脈送血,上下大静脈脱血で
5)で開胸する.上・下肺静脈,肺動脈,肺静脈,及び
体外循環を確立し,心摘出後,左右別々に肺を摘出し,
左心房を剥離する.バックテーブルで搬送されたドナー
グラフトを気管,右房,大動脈の順に吻合する.
肺をトリミングした後,気管支,肺動脈,肺静脈の順に
吻合する.換気を再開した後,血行を再開する.
2
生体肺葉移植
⁄)ドナー手術
先天性心疾患では,大血管転位,大静脈系の走行異常,
大動脈縮窄症・離断などの大動脈低形成例では,それに
見合ったドナーの血管をドナー心肺ブロックとともに摘
出する必要がある.また,移植前に体肺動脈シャントや
グレン手術などの姑息手術を受けていたり,肺に側副血
行路がある症例では,術中・術後出血のリスクが高いの
側臥位にて後側方皮切開,第 5 肋間開胸を行う.肺動
で注意を要する.
脈,肺静脈で約 3 mm,気管支では 1 軟骨輪程度吻合ラ
インが残るように剥離し,レシピエントへの移植操作の
6
6 移植後管理のポイント
開始時刻の見込みがついた段階で,ヘパリン(10,000 U
ないし 300 U/kg),メチルプレドニゾロン 500 mg を静
免疫抑制剤は心臓移植と同様 3 剤併用療法が基本であ
注し,5-10 分の用手換気をののち摘出に移る.肺動脈,
る351)(表 10).但し,気管縫合不全を防ぐために術後早
肺静脈(左心房),気管支の順に鉗子にて遮断し,切断
期にはステロイドを使用せず,抗胸腺細胞グロブリンを
する.出肺は冷たい濡れガーゼで被い,ただちにバック
使用する施設が多い.拒絶反応は心と肺で別々に起こる
テーブルに移しベースン内で氷冷生理食塩水に浸漬して
ため,適宜,心臓は心筋生検を,肺は各種画像検査と気
冷却する.ドナーの肺動脈,肺静脈(左心房),気管支
管支鏡下(又は CT カイド下)肺生検を行い病理学的に
断端を閉鎖する.閉鎖だけでは肺動脈の狭窄が予想され
判定する.気管支肺胞洗浄液の細胞分画も参考にする.
るときには,必要に応じて心膜パッチを用いて再建す
肺の拒絶反応は心臓よりも発生しやすく,全体の 33 %
る.
の患者に発生すると報告され,多くは術後 4 週以内に起
¤)レシピエント手術
こる.
慢性期には各臓器の移植と同様,移植後冠動脈硬化症
全例で仰臥位とし,人工心肺下に胸骨横断,両側第 4
や閉塞性細気管支炎(Bronchiolitis Obliterans: BO)が問題
肋間開胸とする.疾病肺の摘出を行い,ヘパリン投与
となり,遠隔期の主な死因となり,有効な治療法は共に
(300 U/kg)後,人工心肺下に剥離操作を完遂する.ド
再移植しかない.日常の呼吸機能測定(特に一秒率検査)
ナーの右下葉をレシピエントの右胸腔内へ,別のドナー
48
や定期的な冠動脈内エコー検査が発見に有用である.
成人先天性心疾患診療ガイドライン
図9
日本臓器移植
ネットワーク
肺移植・心肺移植の登録までの手順
中央の
移植検討委員会
*
移植施設
患者紹介
レシピエント
診療施設
レシピエント
受診
移植適応と判断
移植適応検討会
移植適応と判定
適応評価委員会
移植適応と判定
結果通知
移植適応と説明
評価依頼
結果通知
移植に同意
移植の説明(主治医同伴)
インフォームド
コンセント
登録決定
レシピエント登録
協議
登録内容更新
協議
登録内容変更
中央の移植検討委員会*:肺では肺・心肺移植関連学会協議会への中央移植適応検討委員会,
心肺同時移植では日本循環器学会の心肺同時移植適応検討小委員会
が担っている
肺移植施設:
東北大学,大阪大学,岡山大学,京都大学,千葉大学,長崎大学,
福岡大学,独協医大
心肺同時移植施設:
大阪大学,国立循環器病センター
図 10
肺移植症例数の年次推移(2004 年国際心肺移植学会統計)
図 11
心肺移植症例数の年次推移(2004 年国際心肺移植学会統計)
ステロイド中心の時代に比較して,感染症が軽減し,
創傷治癒が改善したが,心臓移植後よりも高頻度かつ重
症の感染症,特に肺感染症に罹患するので注意をする.
移植肺は解剖学的に神経もリンパ系も遮断されているの
で,心臓のみの移植よりも肺感染症に罹患しやすい.遠
隔期に BO を来すと,肺感染症の危険性がさらに増加する.
7
7 臨床成績
2003 年の国際心肺移植学会 ISHLT の registry351)によ
ると,全世界で 2001 年までに心肺移植が 2,857 例,片
肺移植が 8,034 例,両側肺移植が 6,540 例に行われてい
る.肺単独移植の総数で約 15,000 例となった.年次別
の推移を見ると,心肺移植数は 1989 年の 240 例がピー
クで減少する傾向にあり 2000 年は 106 例にすぎない
(図 4).一方で肺移植数は増加して来たが,片肺移植が
1994 年,両側肺移植が 1997 年に約 700 例となった後は
頭打ちとなり,この数年はあわせて年間約 1,500 例前後
で推移している(図 11).
肺移植後の 1,3,5 年生存率は,片肺移植 72,55,
41 %,両側肺移植 73,57,45 %,あわせて 73,59,49
% であった(図 12).死因は,30 日以内では非特異的
グラフト機能不全が 30 %,感染症が 24 % であった.31
49
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
図 12 心肺移植後の累積生存率(2004 年国際心肺移植学会統計)
図 14 先天性心疾患に対する肺移植後の累積生存率(2004 年国際心肺移植学会統計)
図 13 心肺移植後の累積生存率(2004 年国際心肺移植学会統計)
図 15 先天性心疾患に対する心肺移植後の累積生存率(2004 年国際心肺移植学会統計)
日から 1 年までは感染症が 43 % と圧倒的に多く,1 年
管筋腫症 8 例,PPH 6 例,間質性肺炎 4 例,肺気腫 2 例,
以降では閉塞性細気管支炎 bronchiolitis obliterans(BO)
閉塞性細気管支炎 1 例,気管支拡張症 1 例であった.脳
が 30 %,感染症が 23 % であった.一方,生存者での
死肺移植後の 1,3 年生存率は,75,68 % であった.6
QOL は,1 年目以降で 84 % 以上が活動制限がなく,3
例の死因は,30 日以内では急性呼吸循環不全(術後 1
年目以降で 39 % 以上が職業に就いていた.
日目),感染症(術後 18 日目),移植肺機能不全(術後
心肺移植の 1,5 年生存率は 62 %,41 %(図 13)で,
心臓移植・肺移植に比して不良である.術後死亡の多く
(術後 237 日目),1 年以降では感染症(術後 391 日目),
は術後早期(30 日以内)に発生し,その原因として臓
肺血栓塞栓症(術後 803 日目),あった.生存 16 例中,
器機能不全(Primary graft failure),感染症,気管の吻合
15 例が社会復帰している.
不全等が挙げられる.種々の改良により徐々に改善して
きているが,依然として 30 日以内死亡は 20 % 近い.
しかし,先天性心疾患に限ると,たとえ単純心奇形の
一方,生体肺葉移植の生体肺移植で 1,3 年生存率は
94.4 %,85.4 % で非常に良好であり,ASD を合併した
PPH363)と ASD による Eisenmenger 症候群の各 1 例(共
合併例でも,心肺移植と成績に差はなく,両側片肺移植
に小児例)は共に生存中である(平成 17 年 10 月末現在,
にするか,心肺移植にするかの適応判定は慎重に行うべ
各々術後 3 年 8 ヶ月と 2 年 6 ヶ月経過).
きである(図 14,15).
わが国では 2005 年 3 月末までに,22 例の脳死肺移植,
45 例の生体肺移植の計 67 例が行われている.脳死肺移
植の内訳は,片肺移植が 11 例(右 4,左 7),両側片肺
移植が 11 例である.脳死肺移植の原疾患は肺リンパ脈
50
24 日目),31 日から 1 年までは移植後リンパ球増殖症
尚,国内では,これまでに心肺移植をおけた症例はな
い.また調べたところ,渡航心肺移植を受けた日本人は
いない.
成人先天性心疾患診療ガイドライン
小児期の先天性心疾患に適応されるものと基本的に同一
最後に
である.すなわちコイルを用いた動脈管閉塞術や血管閉
心臓移植・肺移植がようやく我が国でも開始され,
塞術,バルーンによる弁形成術や血管形成術,ステント
徐々にではあるが定着しつつあるが,心肺移植は実施例
を併用した血管形成術が主体である 373−375).しかしなが
もなく今後の治療と言わざるを得ない.しかし,これま
ら成人先天性心疾患では,先天性心疾患そのものに加え,
で為すすべもなく経過を追うしかなかった肺病変を伴っ
動脈硬化性病変の合併(虚血性心疾患,高血圧など)や
た先天性心疾患症例を救命または QOL を改善する治療
先天性心疾患そのものの加齢に伴う変化を考慮に入れ
法として,我が国でも確立されることが期待される.
て,治療方針を決定する必要がある.このため成人期の
表 38
免疫抑制療法プロトコール(大阪大学,肺移植)
シクロスポリン(Sandimmun 静注,Neoral 経口)
1)移植直後から Sandimmun を 2-3 mg/時で持続静注開始
400 ng/ml(全血;FPIA 法)まで 1-2 mg/時ずつ増量
2)経口ないし経腸が入れば 2-3 日かけて Neoral(2 回/日)
へ変更
めやす:経口 1 日量=4-5×静注 1 日量
目標全血 12 時間トラフ値:術後 8 週間
先天性心疾患患者のカテーテル治療のかかわる場合は,
先天性心疾患に対する知識や経験のみならず,成人領域
の知識や経験も身につける必要がある 376−379).また常に
有効性や安全性の側面から外科治療と比較,場合によっ
ては共同作業の検討を考慮する必要がある.このような
判断は,小児循環器医のみならず,循環器内科医,心臓
外科医との連携が重要である.
350-400 ng/ml
術後 8 から 12 週間
300-350
術後 3 から 6 月
300
術後 6 月から 1 年
250-300
術後 1 年以降
185-225
1
1 心房中隔欠損症
心房中隔欠損症に対するカテーテル治療は,これまで
さまざまな試みがなされてきた.1990 年代前半には
ミコフェノール酸モフィチル(CellCept)
経口ないし経腸が入れば 500-1500 mg/日 分 2(通常
1000 mg/日で開始)
W < 4500 なら 50 % 減量,W < 3000 なら中止
下痢などの消化器症状が強ければ,アサチオプリン
(Imuran)に変更
Clam shell device,さらにその後 Angel Wings,ASDOS
device などが欧米を中心に(一部国内でも)治験がおこ
なわれた.しかしながらこれらの閉鎖栓を用いたインタ
ーベンション治療では,対象が比較的小さな欠損孔に限
メチルプレソニゾロン(MPS)静注,プレドニゾロン経口
られ,治療後に残存短絡がみられることがあり,さらに
1)術中再灌流時
MPS 500-1000 mg
device を構成するフレームが金属疲労により留置後破損
MPS 0.5 mg/kg×2 回/日
することがある,などの問題が明らかとなり,認可にい
2)術後 3 日間
3)以後経口が入れるまで数日間 MPS 0.5 mg/kg×1 回/日
4)プレドニゾロン
3 カ月まで0.5 mg/kg/日
6 カ月まで 15 mg/日へ漸減
12 カ月まで隔日 15 mg へ漸減
以降隔日 15 mg
たったものはなかった380).
1990 年代後半に登場した Amplatzer Septal OccluderRは
ニッケル・チタン合金からできた形状記憶合金(NitinolR)
のメッシュで構成された円形の閉鎖栓であり,金属メッ
シュ内部には血栓形成性を高めるポリエステル製の布製
パッチが縫着されている381).閉鎖栓の末端は,ねじ状の
接続部でデリバリーケーブルとつながっているため,閉
13
カテーテル治療
鎖術中に閉鎖栓の位置を変更したり,カテーテル内に回
収 し た り す る こ と が 可 能 で あ る . Amplatzer Septal
Occluder は世界中で数万例を越す安定した留置実績があ
成人先天性心疾患に対するカテーテル治療は,新しい
デバイスの登場や器具の改良によって適応となる対象疾
り,わが国でも 2005 年に認可が得られ,2006 年春より
保険診療が可能となった382).
患を拡大してきてい373−375).2005 年には Amplatzer Septal
Amplatzer Septal Occluder を用いた心房中隔欠損症の
Occluder をもちいた心房中隔欠損症のカテーテル治療が
インターベンション治療対象は,二次孔型心房中隔欠損
可能となり,今後成人の先天性心疾患の 40 % 程度を占
症で,1)欠損孔のバルーン伸展径が 38 mm 以下,2)
めるといわれている同疾患の治療戦略に対し大きな影響
肺体血流比が 1.5 以上,3)前縁を除く欠損孔周囲縁が 5
を与えると思われる.
mm 以上あるもの,または 4)肺体血流比が 1.5 未満で
成人領域でのカテーテル治療に用いられるデバイスは
あっても心房中隔欠損症にともなう心房性不整脈や奇異
51
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
性塞栓症を合併するもの,である.高度の肺高血圧を合
Interventional Cardiology 研究会の定める施設基準(先天
併する例など心房中隔欠損症の治療そのものが適応にな
性心疾患のカテーテル治療数,先天性心疾患の外科治療
らない場合は,インターベンション治療も適応とはなら
数,経食道エコー実施数)を満たす施設であることが必
ない.欠損孔の正確な部位診断と欠損孔周囲縁の評価に
要条件となっている.また術者は同研究会のトレーニン
は経食道エコーが重要である.
グプログラムに基づいた研修プログラムを経た後,実施
閉鎖術は,原則として全身麻酔下に施行する.通常の
できることになっている.
カテーテル検査と肺静脈造影を行なって欠損孔の部位診
断を行なった後,閉塞用バルーンを用いて欠損孔の伸展
2
2 動脈管開存症
径を測定する.閉鎖にはこの伸展径と同一サイズ,もし
くは 1 サイズ大き目の閉鎖栓を選択する.大腿静脈から
動脈管開存症は先天性心疾患の 5〜10 % を占め,女
左心房へ 6〜10 Fr(閉鎖栓の大きさで異なる)のデリバ
性に多い.動脈管が小さく軽症の場合にはほとんど無症
リーシースを挿入し,このデリバリーシース内に閉鎖栓
状である.重症になると乳児期初期より,呼吸困難,体
を挿入し,留置部位までアプローチする.まず左心房側
重増加不良の心不全症状が現れる.成人期になると小児
のディスクを開き,つづいて右心房側のディスクを開い
期には無症状であった動脈管開存症でも動悸,息切れな
て心房中隔の閉鎖を行なう.それぞれのディスクが適切
どの症状や心房性不整脈を合併する.
な位置で開いているかどうかを確認するためには経食道
本疾患の治療としてはコイルを用いたカテーテル治療が
エコーによるモニターが重要なポイントとなる.閉鎖栓
一般的になってきている.現在国内で動脈管のカテーテ
が適切な位置に留置されたことが透視像および経食道エ
ル閉鎖術に用いられるコイルの大半は Cook 社製の
コーで確認されたら,デリバリーケーブルを回転させデ
detachable coil である388,389).2003 年からコイルの材質は
バイスを離脱し,閉鎖術を終了する.閉鎖術後は抗血栓
MRI 対応となり,術後の MRI 検査も可能である.
を目的にアスピリンを 6 カ月間服用する.
海外ではすでに数万例を超える留置実績があり,心房
に動脈管の最小部径が 3.0 mm 未満の小さな動脈管とさ
中隔欠損症に対する中心的治療法としての地位を確立し
れている.これは,塞栓子としてのコイルの性質上,
ている.それとともにさまざま合併症も報告されている.
3.0 mm 以上の動脈管では残存短絡の発生頻度が有意に
米国における外科治療との比較検討によるとカテーテル
高くなること,さらに合併症としてコイルの脱落頻度が
治療による重大な合併症(処置が必要な合併症)として,
高率になるためである.このような中等度以上の動脈管
不整脈(心房細動や房室ブロック),デバイスの脱落,
開存症に対しては,複数個のコイルを留置することによ
脳血管塞栓症が報告されている.これら合併症の発生率
り,完全閉鎖率の向上とコイル脱落などの合併症の軽減
は外科手術の合併症発生率と比較し有意に低いものであ
が可能である390).また,動脈管の形態によってコイル閉
ったと報告されている382−386).遠隔期合併症としては心
鎖術に適しているものとそうでないものとがある.もっ
臓壁のびらん(erosion)にともなう心タンポナーデ合併
とも頻度の高い megaphone type は,コイル閉鎖術に適
が報告されている.明確な原因は確定されていないが,
した形態である.これに対し,大動脈側と肺動脈側との
多くの場合前縁欠損(心房中隔欠損孔と大動脈壁との間
距離が短い window type や tubular type では,コイルによ
の壁が短い欠損)で,欠損孔に比べ大きいサイズのデバ
る閉鎖が難しい場合が多く,留置が可能であっても残存
イス(>150 % 以上)が留置されており,大動脈壁の拍
短絡を残す確率が高い.小児期の動脈管開存症ではコイ
動に伴うデバイス端との組織摩擦によるものではないか
ル閉鎖術に適した megaphone type が多いが,成人の動
と推測されている387).
脈管開存症では加齢に伴う大動脈側の変化により
本法はこれまでの心房中隔欠損症に対するカテーテル
window type の動脈管が多くなる.さらに動脈管そのも
治療と比べ,安全に高い完全閉鎖率が期待できる.閉鎖
のに石灰化を来たしコイルと大動脈壁の密着性が悪くな
栓の安全性や血栓症などの長期予後に関しては,今後の
り,結果としてコイル閉鎖術後の残存短絡の発生率が高
検討が必要である.カテーテル検査室における全身麻酔
くなる.同時に,コイル留置に伴う急性期合併症として,
管理,経食道心エコーによるモニターなど特殊な管理技
コイルの脱落(多くの場合肺動脈末梢)や溶血が小児期
術が必要であるが,二次孔型心房中隔欠損症のかなりの部
と比べ高く,特に直径 3.0 mm 以上の動脈管での頻度が
分で手術によらない治療が可能になってくると思われる.
高い.
現 在 こ の 治 療 を 実 施 す る た め に は 日 本 Pediatric
52
detachable coil を用いた動脈管閉鎖術の適応は,一般
このため,最近では成人の動脈管開存症のカテーテル
成人先天性心疾患診療ガイドライン
閉鎖術では,よりコイル径の太い 0.052 inch の Gianturco
coil が用いられる事が多い391).コイル径が太いだけでな
られている397).
バルーン拡大術では通常高耐圧バルーンが用いられ,
く,付着するダクロン繊維量も多いため,コイルの塞栓
狭窄部直径の 200〜500 % のサイズのバルーンが使用さ
効果が高い.このため,直径 3.0 mm 以上の大きな動脈
れる.使用される最大バルーン径は狭窄部中枢部径およ
管や成人動脈管開存症に有効性が高い.このコイルはガ
び末梢部径によって制限される.肺動脈狭窄に対するバ
イドワイヤーとの接続メカニズムをもたないため,その
ルーン拡大術はあくまでも狭窄血管の伸展あるいは血管
末端を心筋生検鉗子でつかんで留置位置をコントロール
内膜や中膜の断裂によって拡大が得られるため,拡大術
する.海外では Amplatzer duct occluder が使用可能であ
後に再狭窄を起こす可能性が高い.また,肺動脈の断裂,
り,このような大きな動脈管開存症に対するカテーテル
動脈瘤形成,血管閉塞などの合併症を起こす危険性があ
治療の中心的デバイスとなっている392−394).
る.このため,最近ではステント留置術を併用すること
が多い.現在,国内で用いることのできるステントは
3
3 弁狭窄症(肺動脈・大動脈)
Palmaz ステント,Palmaz-Genesis ステントであるが,肺
動脈狭窄を始めとする先天性心疾患に対する承認は得ら
肺動脈弁狭窄症に関しては小児期と同様,バルーン弁
れていない.ステント留置による治療成績はバルーン拡
拡大術が治療の第一選択と考えられている.小児期の肺
大術よりも良好であり,より大きな血管径を獲得するこ
動脈弁狭窄症に対するバルーン弁拡大術は有効性も高
とができる.しかしながら,手技が煩雑でかならずしも
く,遠隔期予後も良好である.成人期の肺動脈弁狭窄症
目的とする狭窄部まで安全に到達できないこと(特に
では小児期と異なり,弁組織の石灰化が高頻度に認めら
Palmaz ステントの場合),留置後に内膜増殖に伴う再狭
れること,主肺動脈の拡大や右心室の拡大なども同時に
窄が認められること,留置時のバルーン破裂などに伴う
見られるため,カテーテル治療中にバルーンを肺動脈弁
ステントの不完全拡張や脱落が起ることなど,合併症も
に固定することが困難場合がある.また肺動脈弁輪径が
まれではない.
大きいため,通常複数個のバルーンを同時用いて拡大す
カッティグバルーンは従来のバルーンよりも優れた血
る必要がある.イノウエバルーンの有効性も報告されて
管拡大効果を得ることが可能と報告されているが,使用
いる.バルーン拡大術後は,急速な右室圧減圧のため,
可能な最大バルーンサイズが 8 mm と小さく,長期予後
右室流出路狭窄が出現することがあり,必要に応じてβ
についても充分な検討が行われていない.金属ブレード
遮断薬を投与する.術後の残存狭窄,肺動脈弁閉鎖不全,
の脱落などの合併症も報告され,肺動脈狭窄に対する使
心室性不整脈に注意を払い経過観察を行う
用においては注意を喚起する勧告が出されている.
.
395,396)
成人期の大動脈弁狭窄症は弁石灰化が強く,バルーン
拡大術の有効性が低いこと,治療後に大動脈弁閉鎖不全
5
5 大動脈縮窄
を合併する可能性が高いこと,脳塞栓などの中枢神経合
併症を起こす危険性あるため,弁に石灰化を伴わない若
年成人の弁性狭窄を除いては,適応は限られている.
大動脈縮窄症に対するカテーテル治療としては,バル
ーンによる拡大術やステント留置を併用した縮窄部の拡
僧帽弁狭窄症において,小児期に見られる先天性僧帽
大術が報告されている398).未治療の大動脈縮窄症のみな
弁狭窄症へのバルーン拡大術の有効性が散見されている
らず術後に残存する縮窄症にも治療適応がある.バルー
が,その適応は限られており,僧帽弁閉鎖不全の合併を
ン拡大術では再狭窄の頻度が高く大動脈壁の解離や動脈
起こす確率が高い.成人期に見られるリウマチ性僧帽弁
瘤形成などの合併症を起こす可能性が高い.これに対し
狭窄症のカテーテル治療とはことなり,先天性僧帽弁狭
ステントを用いた拡大術は有効性も高く,大動脈壁の解
窄症でカテーテル治療が行われることはまれである.
離や動脈瘤形成の予防も可能と考えられている.しかし
ながら,大腿動脈より大きなロングシースの挿入が必要
4
4 肺動脈狭窄
であること,近接する総頚動脈や鎖骨下動脈との位置関
係などから,必ずしも治療に適した状態でない場合もあ
成人期の肺動脈狭窄の多くは,ファロー四徴症などの
る.このため治療に際しては血管造影,CT,MRI など
心疾患に伴うものか術後に残存する狭窄である.このよ
の画像診断を併用して慎重に適応を評価すべきである.
うな狭窄に対し,これまでバルーンによる拡大術,ステ
ステント留置後にも再狭窄をきたす可能性があり,慎重
ント留置術,カッティングバルーンによる拡大術が試み
な経過観察が必要である399,400).
53
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
表 39
6
6 冠動静脈瘻
冠動静脈瘻は右または左の冠状動脈が直接心,あるい
は大血管腔に開いているもので,比較的まれな疾患であ
る.多量の左-右短絡を有している場合には,乳児期に
肺高血圧と心不全をきたすが,短絡が少ない場合には成
妊娠における血行動態の変化409,410)
心拍出量:
↑ 43 %
末梢血管抵抗:
↓ 21 %
肺血管抵抗:
↓ 34 %
心拍数:
↑ 17 %
一回仕事量係数:
↑ 17 %
平均動脈圧:
↓4%
膠質浸透圧:
↓ 14 %
人期になって初めて見つかる場合も多い.成人における
症状は,特に 40 歳以降に出現する労作時の呼吸困難や
疲労といった心不全症状である.さらには心筋虚血や心
状態での妊娠分娩でも母体心不全を招く場合がある411).
内膜炎,心房細動,心破裂をきたすこともあり,有意な
妊娠前後の循環動態の変化を正確に評価する必要がある
症状が無くても治療を行う方が望ましい .外科治療で
ので,妊娠前もしくは妊娠初期に心機能や心・血管の形
はほとんどの場合人工心肺を用いた開心術が必要であ
態の再評価を受けることが望ましい.
401)
る.カテーテル治療としては coil を用いる塞栓術が中心
先天性心疾患合併妊娠を扱う場合には,心疾患のハイ
であるが,動静脈瘻の直径,開口部位を正確に判断した
リスク妊娠に精通した産科医,循環器科医,麻酔科医,
後,塞栓に用いる device を決定する.右心系に開口し
新生児科医を中心としたチーム医療が必要となる.また,
動静脈瘻内に閉鎖に適した狭窄部がある場合,カテーテ
24 時間心臓手術やカテーテル検査・治療が可能であり,高
ル治療に適していると判断される401,402).
度な新生児治療室を有する施設であることも条件となる.
危険な妊娠
7
7 すでに国外で臨床応用されている領域
妊娠によって母体もしくは胎児にリスクの高い疾患群
現在欧米では心室中隔欠損閉鎖用の Amplatzer device
は,
が臨床治験に入っている 403,404).心筋梗塞後の心室中隔
・チアノーゼ性心疾患
欠損に対しても応用可能である
・Eisenmenger 症候群及び肺高血圧
.また再発性脳梗塞患
405)
者に対するカテーテル卵円孔閉鎖術の臨床的有効性につ
・重症の大動脈弁狭窄
いてもコントロールスタディが行われている406).さらに
・僧帽弁,大動脈弁逆流(NYHA classⅢ,Ⅳ)
ファロー四徴症術後に残存する肺動脈弁閉鎖不全に対す
・重症の肺高血圧を伴う弁膜症(肺動脈圧が体血圧の
る経カテーテル肺動脈弁留置術も試みられている
.
407,408)
これらの device の安全性と有効性が確認されれば,成人
領域の治療にも大きなインパクトを与えると思われる.
75 % 以上)
・左心機能不全を伴う弁膜症(左室駆出率が 0.4 以
下)
・ワルファリンによる抗凝固療法を必要とする人工弁
置換術後
14
妊娠・出産管理
・マルファン症候群(大動脈弁逆流または大動脈病変
を伴う)
・大動脈縮窄症
近年の先天性心疾患に対する診療技術の発達に伴い,
以前は妊娠可能年齢まで到達し得なかった疾患群の女性
の長期生存が可能となり,従来は経験しなかった先天性
複雑心奇形合併妊娠がしばしばみられるようになってき
た.
妊娠中には独特の血行動態変化が起こり,正常妊婦で
も循環器系への負担が増す(表 1).このため,予備能
力の少ない先天性心疾患合併妊婦では心不全,不整脈が
おこりやすく,妊娠中の凝固系の変化から,血栓,塞栓
症も起こりやすい.NYHA 分類で classⅠ・Ⅱに相当する
54
・左心機能不全(NYHA classⅢ,Ⅳ)
があげられる412).
感染性心内膜炎の予防
ほとんどの心疾患において,感染性心内膜炎予防の観
点から分娩開始時点から抗生物質の予防投与が必要であ
る413).
分娩時の管理
正期産の場合の帝王切開は原則として産科的適応に限
成人先天性心疾患診療ガイドライン
表 40
出産時心内膜炎感染予防を必要とする心疾患
1.特に重篤な感染性心内膜炎を引き起こす可能性が高い心
疾患で,予防が必要であると考えられる患者
・生体弁,同種弁を含む人工弁置換後
・感染性心内膜炎の既往
・チアノーゼ型先天性心疾患(未手術,姑息術,修復術
後)
・体肺短絡術後
抗凝固療法
機械弁置換術後の妊娠では,抗凝固療法が必要となる.
ワルファリンはコントロール性に優れ,投与も容易であ
るが,胎児毒性が問題となる.妊娠初期のワルファリン
の使用は流産・催奇形性の原因となるため,少なくとも
6 週から 12 週の間は胎盤通過性の無いヘパリンを使用
2.感染性心内膜炎を引き起こす可能性が高く予防が必要で
あると考えられる患者
すべきである.5 mg/day のワルファリンの使用量であ
・多くの未修復先天性心疾患,術後遺残病変のある先天
性心疾患
低分子ヘパリンは十分な検討がなされているとはいい
・後天性弁膜症
・閉塞性肥大型心筋症
・弁逆流を伴う僧帽弁逸脱
3.感染性心内膜炎を引き起こす可能性が必ずしも高いと証
明されていないが,予防を行う方が良いと考えられる患
者
・人工ペースメーカーあるいは徐細動器植え込み後
れば,胎児毒性は問題にならないとの報告もある416).
がたく,今後の研究が待たれる417).
ワルファリンをヘパリンに変更後,2 週間以内に児を
娩出しなければならない場合は経膣分娩時の児の頭蓋内
出血を避けるため,帝王切開を選択すべきである.
授乳婦に対するワルファリンの投与は許容されるた
め,分娩後は直ちにワルファリンの投与を再開する418).
・長期にわたる中心静脈カテーテル留置
不整脈
正常妊娠であってもしばしば上室性・心室性の期外収
られる.ただし,母体の心機能の悪化,低酸素血症の進
縮は認められることがあるが,その多くは治療を必要と
行,肺出血などにより早急に妊娠を終了させる必要があ
しない419).
る場合には分娩までの時間的制約のため,帝王切開を選
先天性心疾患の妊娠では妊娠前から不整脈を有してい
択する場合もある.また,大動脈解離,大動脈基部の拡
ることがあり,妊娠に伴って,悪化する場合がある.持
大が著しいマルファン症候群では帝王切開を選択すべき
続する心房粗動,心房細動は直ちに治療を行うべきであ
である
る.ジゴキシン,β遮断薬は妊娠中比較的安全に使える
.経膣分娩を選択する場合には陣痛からの疼痛
415)
抑制が重要である.子宮収縮や陣痛,不安,怒責などに
伴う母体の循環動態の急激な変化を防ぐため,硬膜外麻
薬剤である420).
ACE 阻害薬は胎児の腎機能障害をおこす危険性がある
酔およびペチジン等の麻薬を用い,適宜疼痛管理を行う.
ので妊娠中の使用は避けるべきである421).同様にアミオ
疼痛抑制を行う場合には母体の低血圧に特に注意をはら
ダロンは胎児に甲状腺機能障害をおこす恐れがある422).
うべきである.母体低血圧は容易に胎児の低酸素症をま
妊娠中の電気徐細動は母児にとって安全である423).
ねく場合がある.循環動態をリアルタイムで観察できる
よう,脈拍(心電図),血圧,経皮 SO2 のモニターを行
い,必要に応じて中心静脈圧,スワンガンツカテーテル
15
避妊,妊娠中絶
を用いたモニタリングを行う.また,心内シャントの残
存している症例,肺高血圧,大動脈弁狭窄の症例では低
血圧が循環動態の悪化をまねくので,全身麻酔や麻薬を
用いた疼痛抑制が必要である.
1
1 妊娠が禁忌である疾患・病態
麻酔分娩を行うと分娩時間が延長するため,適宜オキ
シトシンによる陣痛促進を行う.分娩誘発・陣痛促進を
行う場合にはポンプを用いたオキシトシンの点滴静注が
推奨される.児頭が骨盤出口部に達したら出口鉗子ある
いは吸引分娩とする.
①
母体の予後
妊娠中の容量負荷と圧負荷により原疾患への影響が問
題となる.
ヘパリンは少なくとも分娩開始前 12 時間で投与を中
妊 娠 の 禁 忌 と 継 続 を 考 え る 際 に , New York Heart
止するか,プロタミンで中和する.分娩後 6 時間から
Association(NYHA)の心機能分類が用いられることが
12 時間後に再開する.
424)
多い(表 41)
.母体予後(死亡もしくは cardiac event)
55
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
表 41
NYHA の心機能分類
に関する主な報告を表 42 に示す.Siu らは,多変量解
classⅠ(通常の身体活動で自覚症状なし,日常生活が制限
なし)
classⅡ(通常の労作で症状あり,日常生活が軽度ないし中
等度に制限あり)
classⅢ(通常の労作以下で症状あり,日常生活が中等度な
いし高度に制限されるもの)
classⅣ(安静時にも症状あり, 日常生活は全く不可能なもの)
表 42
報告者
表 43
子の 4 項目(表 43)をそれぞれを 1 点として点数化し
たところ,Cardiac event の発生は 0 点で 5 %,1 点で 27
%,2 点以上で 75 % と報告している430).
1992 年 ACOG は,母体死亡率をもとに各心血管疾患
の危険度をクラス分類している424)(表 44).またリスク
母体予後に関する報告
母体死亡もしくは死亡率,cardiac event など
McFaul ら
1988 年(422) NYHAⅠ,Ⅱ 0 %(0/445)
NYHAⅢ,Ⅳ 4 %(3/74)
Perloff & Koos
1995 年(423) NYHAⅠ,Ⅱ 0.4 %
NYHAⅢ,Ⅳ 6.8 %
Zuber ら
1998 年(424) 先天性シャント疾患 126 人 309 妊娠
(NYHAⅠ,Ⅱ:98 %)で死亡例 0
Oron ら
2004 年(425) NYHAⅠ,Ⅱ 121 患者(CHD:72 %)において死亡例 0
Bhatla ら
2003 年(426) 207 人(CHD:11.5 %)の心疾患患者の死亡例 0
cardiac event
NYHAⅠ,Ⅱ 24.3 %(42/175) NYHAⅢ,Ⅳ 59.3 %(19/32)
Siu ら
2001 年(427) NYHA classⅠ,Ⅱの 579 妊娠(CHD74 %)死亡例 0
4.3 % が NYHA class III以上に
心疾患患者において妊娠中に Cardiac event を発症するリスク因子
・Prior cardiac event(heart failure,transient ischemic attack,or
stroke before pregnancy)
・baseline NYHA class>Ⅱor cyanosis
・left heart obstruction(mitral valve area<2 cm2, aortic valve
area<1.5 cm 2 , or peak left ventricular outflow tract
gradient>30 mmHg by echocardiography)
・reduced systemic ventricular systolic function(ejection
fraction<40 %)
表 44
心疾患別にみた妊産婦死亡率
Group 1 Minimal risk
Mortality<1 %
・Atrial septal defect
・Ventricular septal defect
・Patent ductus arteriosus
・Pulmonic or tricuspid disease
・Fallot tetralogy, corrected
・Bioprosthetic valve
・Mitral stenosis, NYHA classesⅠandⅡ
Group 2 Moderate risk
Mortality 5-15 %
2A
・Mitral stenosis, NYHA classesⅢandⅣ
・Aortic stenosis
・Aortic coactation without valvar involvement
・Fallot tetralogy, uncorrected
・Previous myocardial infarction
・Marfan syndrome, normal aorta
2B
・Mitral stenosisnwith atrial fibrillation
・Artificial valve
Group 3 Major risk
Mortality 25-50 %
・Pulmonary hypertension
・Aortic coarctation with valvar involvement
・Marfan syndrome with aortic involvement
56
析にて明らかとなった cardiac event を発症するリスク因
表 45
High-risk maternal cardiovascular disorders
Disorder
Maternal Mortality Rate(%)
Aortic valve stenosis
10-20
Coarctation of the aorta
5
Eisenmenger syndrome
30-70
Marfan syndrome
25-50(estimated)
Mitral stenosis with atrial fibrillation
14-17
Peripartum cardiomyopathy
15-60
Primary pulmonary hypertension
50
Tetralogy of Fallot
12
表 46
GUCH unit によるガイドライン
High risk patients
1.significant aortic stenosis(mean gradient > 40 mmHg,
valve area < 0.72 cm2)
・significant coarctation, particularly with aortopathy
・significant mitral stenosis
・redused systemic ventricularly function
・mechanical prosthetic valve
・pulmonary hypertension
・Marfan’s syndrome
・cyanotic heart disease
Patients who should be counseled against pregnancy
・Eisenmenger syndrome
・Marfan’s syndrome with dilated aortic root
・severe aortic stenosis/coarctation
・systemic ventricular ejection fraction < 35 %
成人先天性心疾患診療ガイドライン
の高い疾患について,まとめられた母体死亡率も報告さ
れている431)(表 45).
1994 年,Presbitero らはチアノーゼ性心疾患 96 例の
妊娠において,49 例(51 %)が自然流産,6 例(6 %)
Eisenmenger 症候群の予後は非常に不良であり,1970
が死産,15 例(15.6 %)が早産,26 例(27 %)が正期
年代の 44 報告では母体死亡率が 52 % と高率であった .
産であったと報告している437).1998 年,Sawhney らは
1998 年の Daliento らの報告では,22 患者 39 妊娠のうち,
母体チアノーゼ性心疾患 24 例の検討において,14 % が
432)
人工妊娠中絶が 15 例,自然流産が 14 例となり,妊娠継
死産となり,36 % が子宮内胎児発育遅延(IUGR)であ
続となった 8 患者 10 例のうち 3 例(30 %)が帝王切開
ったと報告している 442).2001 年の Siu らの報告では,
後に死亡となっている433).Yentis らは 1991-1995 年に管
早産率は 17 %(このうち 59 % は自然早産),IUGR は
理した Eisenmenger 症候群 15 例について,母体死亡は
3.6 % であった.
40 % と報告している434).1998 年,Weiss らは 1978 年か
また,早産・IUGR ・新生児死亡などをあわせた新生
ら 1996 年の報告をまとめた結果,Eisenmenger 症候群
児合併症を目的変数とした多変量解析において,NYHA
27 例の妊娠において母体死亡が 36 % であったとしてい
class>Ⅱまたはチアノーゼ(odds ratio(OR)3.0,95 %
る435).このように,本症候群の母体予後はいまだ不良と
CI 1.1-6.1)と,Left heart obstruction(OR
考えられる.
1.01-2.9)が有意な危険因子となったとしている 430).
チアノーゼ性疾患の予後も不良と報告されている.
2.0,95 % CI
2004 年の Oron らの報告では,NYHAclassⅠ,Ⅱの 121
1987 年,Shime らは 23 妊娠のうち 13 例が妊娠中に心
患者(このうち CHD:72 %)において IUGR は 196 例
機能が低下し,そのうち 7 例は心不全となったと報告し
中 40 例(20 %)であった428).2003 年,Bhatla らは 207
ている436).1994 年,Presbitero らはチアノーゼ性心疾患
人(このうち CHD:11.5 %)の心疾患患者(NYHA
44 患者 96 妊娠について検討し,1 例の死亡(感染性心
classⅠ,Ⅱ:175 人
内膜炎による),14 例の心合併症,8 例の心不全を認め
討において,早産率は 25 %,IUGR は 17.9 % で,早産
たと報告している437).
率と低出生体重児は NYHA classⅢ,Ⅳで有意に多かっ
Marfan 症候群のうち大動脈病変を持つ場合も危険が高
い.大動脈径が 40 mm 以上のものや僧帽弁の機能不全が
ある患者では,妊娠中の危険が高いとされている
.
438,439)
2003 年の Grown Up Congenital Heart Disease(GUCH)
NYHA classⅢ,Ⅳ:32 人)の検
たとしている429).
Eisenmenger 症候群では児の予後も不良であり,早産
率は 53 % -100 %,新生児生存率は 75 % -92 % と報告さ
れている433−435).
unit のガイドラインでは,妊娠ハイリスク群および妊娠
を避けるべき群を表 46 の様に設定している440).
②
③
妊娠中絶を考慮すべき疾患
①,②のデータより妊娠が母児にとって危険な疾患と
胎児への影響
して次のようなものが挙げられる.
母体の高度低酸素血症では流早産と胎児死亡を引き起
1.NYHA classⅢ以上
こしやすい441).1995 年,Perloff & Koos は NYHA class
2.チアノーゼを有するもの
Ⅳで胎児死亡率が 30 % と報告している
3.狭心症発作歴のあるもの
.
426)
母体が低酸素による代償的な多血症をきたし,Ht65
% 以上となっている例では妊娠の継続は難しいとされ
4.左心系流出路(僧帽弁,大動脈弁,大動脈)に
狭窄があるもの
ている .また母体酸素飽和度と児の生存率もよく相関
5.心機能低下があるもの(ejection fraction<40 %)
し(表 7),母体の酸素飽和度 90 % 以下では,児の生存
6.Eisenmenger 症候群
率は 50 % 以下であり,酸素飽和度 85 % 以下では児の
7.大動脈径が 40 mm 以上の Marfan 症候群
441)
生存率が 12 % と報告されている
表 47
これらの疾患群では人工妊娠中絶を選択肢に入れ,専
.
437)
門医との協力のもと,患者へ十分な説明をした上で方針
母体動脈血酸素飽和度と生産率
Arterial oxigen saturation
(%)
pregnancy
% Live Born
≦ 85
17
12
85−89
22
45
≧ 90
13
92
を決定する必要がある.
NYHA classⅠ,Ⅱの死亡率はほぼ 0 % となっている
が,妊娠中の心合併症は高率にみられており,上記以外
の患者においても妊娠には注意が必要であり,患者への
十分な説明の上で方針を決定する必要がある.
57
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
方から本人およびその家族に,個々の状況に即した最適
2
2 人工妊娠中絶術
な避妊法について,十分説明し同意を得ておくことが望
ましい.
人工妊娠中絶術に関する文献はあまり見られないが,
1998 年 Daliento らは Eisenmenger 症候群 15 例の人工妊
娠中絶(6-20 週)において合併症はなかったと報告し
②
避妊法
避妊の方法に関して,現在のところ systematic study
は行われておらず440),経験的に避妊法を選択するしかな
ている433).
術式は正書に譲るが,先天性心疾患合併の場合には,
出血による循環動態の変化や感染性心内膜炎に注意する
必要がある.また,麻酔法に関しても,専門医と相談の
上,十分な検討が必要である.妊娠 12 週以後の中期中
絶では,分娩時と同様の管理が必要である.
い.
(a)卵管結紮
永久不妊術であり,確実だが,再疎通させることはで
きない.手術のため,入院が必要となるので,非妊娠時
の施行は,すでに子供のいる主婦には困難なことが多い.
3
3 避
①
妊
避妊指導
以下のように実施される.
1)帝王切開時の卵管結紮
もっとも簡単で確実な卵管結紮が可能である.術前に
性成熟期に入った患者は,妊娠に関するカウンセリン
卵管結紮の方針は決定しておく.ただし,今回出生した
グを必要とする.避妊に関するカウンセリングでもっと
児に障害がある場合や,転帰死亡の可能性が出生後に判
も注意しなければいけない事は,母体のリスクによる根
る場合もあるので,患者には十分な説明と同意が必要で
拠のみから判断すべきであり,カウンセリングを行う人
ある.
の個人的観念にとらわれないことである.
2)経膣分娩後の卵管結紮
「疾患側」から考慮しなければならない事項
分娩翌日,若しくは 2 日後の実施が行いやすい.臍直
1.妊娠が禁忌とされている疾患若しくは状態.
下に 10 mm 程度の横切開を加える事で可能である.分
2.疾患が進行性か慢性的か.
娩直後に行う理由は子宮が大きく臍直下の切開で卵管を
3.現在の状況と将来の予測される状況と,どちらが
直視下に見る事ができるからである.開腹による感染の
状態が良いか.
4.投薬や手術により疾患の状態が改善する可能性が
あるか否か.
5.人工弁置換などによるワーファリンの使用
「社会的な面」から考慮しなければならない事項
1.年齢
2.既婚か未婚か,未婚の場合は定まったパートナー
の存在,結婚の予定.
リスクもあるが,分娩に対する感染対策はとられている
のでほとんど問題にはならない.麻酔は腰椎麻酔,硬膜
外麻酔,全身麻酔のいずれでも良い.手術時間は 30 分
程度である.
3)膣式卵管結紮術
子宮内掻爬による妊娠初期の人工妊娠中絶術に続いて
膣式に卵管結紮術が可能であるが,術者が経膣手術の習
熟者であることが求められる.感染については,人工妊
3.生活の安定性
娠中絶術に対する感染対策はとられているのでほとんど
4.本人の職業
問題にはならない.麻酔は腰椎麻酔,硬膜外麻酔,全身
5.生活地域,管理する医療機関との距離.
麻酔のいずれでも良い.
6.子供の数,将来の希望.
4)内視鏡下卵管結紮術
前述のような,妊娠が危険と考えられる患者,または
分娩後,非妊娠時のいずれも,小切開で手術が可能であ
妊娠出産後の経過観察中に心機能の悪化がみられ,次回
る.気腹を行うので全身麻酔による管理が必要とされる.
の妊娠をすすめられなくなった患者には,避妊の必要性,
また避妊方法について,循環器担当医と産婦人科医の双
58
母体への侵襲は比較的少なく,避妊効果は高いが,麻
酔のリスクが問題となる.1998 年 Daliento らの報告で
成人先天性心疾患診療ガイドライン
は Eisenmenger 症候群患者 22 例の卵管結紮術において,
表 48
低容量エストロゲン避妊薬を控えるべき疾患
1 例の死亡と 1 例の循環不全を認めている433).Swan ら
・cyanotic
は麻酔のリスクはあるものの,妊娠のリスクを考えれば,
・pulmonary hypertension
Eisenmenger 症候群患者や NYHA classⅣの患者に対して
・low cardiac output
は,腹腔鏡下の卵管結紮術は 1 つの選択肢になりうると
述べている443).
・dilated cardiac chambers
・atrial sysrhythmias
・sluggish venousconduit flow
(b)子宮内避妊器具(Intrauterine Device; IUD)
・pooly controld hypertension
・previous thromboembolic events
手術操作は容易で,比較的安全な処置であり,抜去す
れば再び妊娠が可能となる.器具が子宮体部に挿入され
ず,子宮頸部にとどまっている場合(挿入不全)があり,
避妊がうまくいかないことがある.また,排卵推定時期
は他の方法との併用が望ましい.IUD 挿入後は必ず超
音波断層法で位置確認を行う.およそ 1 年に一回交換す
る.あまり長期に交換せずに挿入した状態を続けると,
抜去が困難になることがある.問題点として骨盤内感染
症があり,約 2 % の頻度といわれている443).骨盤内感
染症時には使用できない.骨盤内感染症により卵管性不
妊となる危険があり,未産婦には推奨できない
.非常
443)
一方,パートナー任せになるので確実性は劣る.
(e)基礎体温
本人の自覚のみに任せる事になるので確実性はない.
普通はコンドームとの併用を指導する.
(f)パートナーの避妊手術
疾患のある女性が死亡する事もある.パートナーの将
来の生活を考えると積極的には勧められない.
に稀であるが,感染性心内膜炎のリスクになるといわれ
ており443,444)骨盤内感染症や感染性心内膜炎を発症した
場合には,原因が IUD であるか否かにかかわらず抜去
16
ファロー四徴症:運動機能評価
する.あらかじめ感染性心内膜炎のリスクのある心疾患
患者には勧められない.また抗凝固療法を行っている患
者では子宮出血が問題となることもある443).
(c)低容量エストロゲン避妊薬
避妊効果は高いが,副作用として,水分貯留,血栓症,
はじめに
ファロー四徴症(TOF)術患者で一見正常な運動機能
のように見える症例でも,運動能の低下を認めることは
血圧上昇などが問題となる.避妊効果は高い.月経第 5
少なくない.これは運動時の心拍応答不良,運動回復期
日目より服用を開始し,20 日もしくは 21 日間服用を続
の心拍数回復の不良,血圧回復遅延に基づく自律神経系
ける.服用中止後 2〜3 日で消退出血が始まる.その出
機能低下,洞機能低下,右室機能低下に起因する.遠隔
血の第 5 日目から次のクールを開始する.血栓症や心不
期には,自律神経系異常により運動時の心拍数の上昇が
全のハイリスク群には安全性が確立していない.特にチ
少なく,運動強度に対応した右室収縮を認めないため,
アノーゼ性心疾患患者では,低容量避妊薬により血栓の
運動能は軽度の先天性心疾患術後と比べ明らかに劣
発症が多いと報告されている
る445−448).
.Eisenmenger 症候群患
444)
者に対する使用では心機能の悪化とチアノーゼの増強が
心疾患患者と運動との関りは,心疾患の治療としての
見られ,血栓症とそれによる死亡も認められたと報告さ
運動療法に関するものだけではなく,心疾患患者が運
れている433).Eisenmenger 症候群やチアノーゼ性心疾患
動・スポーツを希望する場合に,どのように許容する判
患者では使用を控えるべきと考えられる.Swan らは低
断する場合や,就学・就労についてその可否を判断する
容量エストロゲン避妊薬を控えるべき疾患として表 48
場合がある.また,広い意味では,女性の場合,妊娠・
のような疾患群を低容量エストロゲン避妊薬を控えるべ
出産の可否を判断する場合にも関ってくる.
き疾患としている443).
(d)コンドーム
確実に正しく装着していれば,避妊効果は高い.その
1〜30 歳までの 469 例の突然死の剖検例を集計した
Liberthston らの報告449)によると,既手術例の死亡例と
して TOF,短絡手術,マスタード手術が挙げられてお
り,突然死の回避という点でも,運動機能評価は重要で
59
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
って,適宜リスク評価を行いながら,運動・就業・妊娠
ある.
などの許容を決定することが望ましい.
一口に TOF 症術後といっても,根治術式など様々な
背景因子が異なっており,後述するような運動機能を規
①運動許容条件の示し方
定する因子を正確に分析し,総合して運動機能を評価す
ることが重要である.また,リスク分析のための検査に
循環器病の診断と治療に関するガイドライン「心疾患
は,基本検査として身体所見,胸部 X 線,心電図検査,
患者の学校,職域,スポーツにおける運動許容条件に関
心臓超音波検査があり,遺残病変がある場合になどでは,
するガイドライン」に準拠450)して,運動・作業強度と,
心臓カテーテル検査を行う.安静時には異常がない場合
それを実施するために望ましい運動耐用能と心疾患重症
でも,運動負荷をすれば運動機能低下を認める場合が,
度の関係から,表 49 に示した運動・作業内容許容条件
少なくないので運動負荷心電図,ホルター心電図,呼気
とした.
ガス分析を用いた心肺運動負荷試験などが必要となる.
ある METs 数の強度の運動を「ややきついか楽かな」
また,下記の因子に加え,運動時の失神や不整脈発生
強度で行うためには,心疾患患者はその METs 以上の運
の既往,手術に関する詳細な病歴,将来の続発症の可能
動耐用能が必要であり,強度は最大運動耐用能の 60 %
性,心筋障害の程度,手術前の状態(心機能,心肥大の
くらいが妥当であるとして表 49 を示した.
程度,不整脈の有無),手術時期と回数,具体的修復法
「許容」とされるのは,その強度の運動がすべて許可
(心室切開の有無,手術に用いた材料,transannular patch
される場合である.「条件付き許容」とされるのは,治
の有無など),手術後の経過年数,運動歴,妊娠・出産
歴,育児歴なども加味して,スポーツ,就学・就労,妊
療後の経過やある条件によって許容されるものである.
「禁忌」は,その強度の運動が禁忌と版出されるもので
娠・種さんの許容範囲を決定する.また,遺残病変,肺
ある.
動脈閉鎖不全(PR),大動脈弁閉鎖不全(AR),加齢,
代表的なスポーツの METs 値を Ainsworth の表451)から
抜粋して,表 50 に示す.
運動歴に伴い,不整脈,心機能低下(主に右室)が見ら
れるようになってくるので,計画的に運動機能評価を行
表 49
軽い運動
中等度の運動
強い運動
運動・作業強度
3 METs 未満
3〜6 METs
6 METs 以上
望ましい運動耐用能
5 METs 未満
5〜10 METs
10 METs 以上
度
許容
許容
許容あるいは
条件付き許容
中等度
許容
条件付き許容
条件付き許容
または禁忌
高
条件付き許容
禁忌
禁忌
心疾患のリスク
表 50
スポーツ種目
60
運動・作業強度と運動許容条件の関係
軽
度
スポーツ種目別の METs 値(マイルに 1.61 をかけると km になる)
内容
METs
スポーツ種目
内容
METs
試合
8
自転車
10 マイル/時未満
4
バスケットボール
自転車
20 マイル/時以上
16
ボウリング
エアロビクス
ハイ・インパクト
7
ゴルフ
自分でクラブを運ぶ
5.5
ランニング
5 マイル/時
8
縄跳び
速く跳ぶ
12
ランニング
10 マイル/時
16
サッカー
競技
10
ウォーキング
2 マイル/時未満
2
テニス
シングルス
8
ウォーキング
4 マイル/時
4
テニス
ダブルス
6
バドミントン
競技
7
ドッジボール
バドミントン
遊び
4.5
野球
ピッチング
6
水泳
クロール 75 ヤード/分
11
野球
その他の守備
4
3
5
成人先天性心疾患診療ガイドライン
動耐用能は増加しない460,461).Mahle ら460)は,1 歳前後
②動機能を規定する因子とリスク
で術後の運動耐用能を比較し,差が無かったと報告し,
a)具体的手術法
その原因としては,低年齢で手術すると,transannular
心筋保護法,心室切開の有無
patch の頻度が増加し,PR の影響が出るためではないか
,手術に用いた材料,
452)
transannular patch の有無453),心停止時間などにより,術
と考察している.また,低年齢で手術すると,右室肥大
後の運動機能は変わってくる.
が軽度であるため,術後に発生する PR に伴う心拡大に
対応する能力が低下しているためではないかとも推測し
TOF の根治術が始められた当初は,大動脈の単純遮
ている.
断で心停止としていた時代があり,そのような症例や,
心停止時間が長かったり,冠動脈異常を伴ったりする症
c)肺動脈弁狭窄(PS)
例では,左室機能障害のために,運動能は低下する.
軽症では,運動能や運動時の心機能は正常であるが,
右室流出路再建又は心室中隔欠損(VSD)閉鎖のため
に右室を切開する場合があるが,その大きさによって,
狭窄の強い例や成人例では運動能が低下し,心機能の反
右室機能障害,心室性の不整脈が増加し,運動能が低下
応も異常である448,463).基本検査のリスク基準(表 51)
は,心雑音が 2 度以下は軽微なリスク,3 度以上は軽度
する.
〜高度リスク,胸部 X 線では,心拡大(心胸郭比 60 %
Transannular patch 例では,それ以外の術後例と比べ,
運動時間は比較的良好でも運動時酸素消費量の回復遅延
以上)がないのは軽微〜軽度リスク,あるのは中等度〜
が認められる
高度リスクである.心電図では,正常が軽微リスク,
.このことは,術後例の多くは,運
453,454)
動時の酸素負債を増大させながら運動を継続することを
ST・T 変化がない右室肥大は軽度〜中等度リスク,ST
示唆する.運動能の低下は,肺動脈弁閉鎖不全(PR)
・T 変化のある右室肥大は高度リスクである.心エコー
の程度 ,並びに右心室の代償能力が関与していると考
ドップラー検査(表 52)では,狭窄弁での圧較差,心
えられている(PR の項参照)
.
室中隔形態による右室圧の推定により,圧較差が 30
454)
mmHg 未満は軽微リスク,30 mmHg 以上左室圧以下で
b)手術時年齢
軽度〜中等度リスク,左室圧以上で高度リスク,収縮期
心室中隔形態では,正常で軽微リスク,右室に凸でやや
根治術時の年齢が高いと,肺の成長(血管,気管とも)
が不良となったり
扁平化で軽度〜中等度リスク,扁平〜左室に凸で高度リ
,チアノーゼのために運動制限
455−458)
スクである.
が強く,体筋肉の発達が不良となったりするため,長期
肺動脈分岐部,分枝狭窄や,末梢部狭窄についても,
のチアノーゼ,右室肥大による心機能低下が無くても運
動能は低下する
458,459)
といわれている.Ercisli ら
455)
上記のリスク分類に準じて,リスクを判断する.
によ
ると,根治術が遅いと,一秒率の低下,死腔換気量の増
d)肺動脈弁閉鎖不全(PR)
加が見られ,無酸素閾値(anaerobic threshold: AT)が低
下すると報告している.しかし,根治術時年齢を極端に
術後早期は PR の grade が高くても,右心室の代償が
引き下げて,1-2 才未満まで引き下げても,必ずしも運
効いている期間では,症状はなく,運動機能の低下も軽
表 51
身体所見,胸部 X 線,心電図による肺動脈狭窄のリスク分類
リスク分類
心雑音
胸部 X 線
心胸郭比
心電図
軽
微
2 度以下
< 60 %
正常
軽
度
3 度以上
< 60 %
ST・T 変化なし,右室肥大
中等度
3 度以上
≧ 60 %
ST・T 変化なし,右室肥大
高
3 度以上
≧ 60 %
ST・T 変化あり,右室肥大
度
表 52
リスク分類
軽
微
軽度〜中等度
高
度
ドップラー心エコー法による肺動脈狭窄のリスク分類
ドップラー法による圧較差
収縮期心室中隔形態
< 30 mmHg
正常
30 mmHg〜左室圧
右室に凸でやや扁平
左室圧以上
扁平〜左室に凸
61
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
表 53
身体所見,胸部 X 線,心エコー検査による肺動脈弁閉鎖不全のリスク分類
リスク分類
軽
微
軽
度
心音
胸部 X 線
心エコー法
心エコー法
(拡張期雑音) (心拡大) (右心系拡大・RVEF) (PR の grade)
なし
なし
ない
0度
Levine 1-2 度
なし
軽度
1度
中等度
Levine 3 度以上
あり
中等度以上
2度
高
Levine 3 度以上
あり
中等度以上・EF 低下
3 度以上
度
表 54
身体所見,胸部 X 線,心エコー検査による三尖弁閉鎖不全のリスク分類
リスク分類
軽
微
軽
度
中等度〜高度
表 55
心音
胸部 X 線(心拡大)
心エコー法(右心系拡大)
正常
なし
ない
正常
なし
軽度
逆流音
あり
中等度以上
身体所見,胸部 X 線,心エコー検査による大動脈弁閉鎖不全のリスク分類
リスク分類
軽
微
軽
度
心音
胸部 X 線
心エコー法
心エコー法
(拡張期雑音) (心拡大) (左心系拡大・LVEF) (AR の grade)
なし
なし
ない
0度
Levine 1-2 度
なし
軽度
1度
中等度
Levine 3 度以上
あり
中等度以上
2度
高
Levine 3 度以上
あり
中等度以上・EF 低下
3 度以上
度
度である場合が多い453,454).しかし,年を重ねて 30 代近
くになってくると,徐々に右心室の代償に破綻をきたし,
d)三尖弁閉鎖不全
軽度の三尖弁閉鎖不全ではリスクとはならないが,心
不整脈,中心静脈圧の上昇,肝腫大などを認めるように
雑音は聴取されないが,心エコー検査上軽度の右心拡大
なり,労作時の呼吸困難・動悸を認めるようになり,運
があるものは軽度リスク,心雑音が聴取されるか,胸部
動機能も著しく低下するようになる.PR に対する再手
X 線でも右心拡大を認めるものか,心エコー検査上軽度
術の至適時期については別項に譲るが,運動機能の低下
の右心拡大があるものは中等度〜高度リスクである(表
も再手術の適応を考える上で重要である.また,
54).
transannular patch を使用した例などで,3 度以上の PR
のある症例では,将来起こってくる右心不全の進行を遅
延させるための運動指導については,明らかなガイドラ
インがないのが現状である.
Singh ら453)は,1 才未満に根治術を行った TOF 症例の
PS が十分解除ざれ,VSD が小さな場合にはほとんど
運動機能に影響しない.しかし,VSD が大きい場合に
は,両心負荷を増大させるので,左心短絡疾患のリスク
平均 13 年後に行った運動耐用能検査で,最大運動能
分類に準拠した管理が必要である 450).胸部 X 線では,
(METs)及び最大心拍数の低下を認めると報告している.
軽度心拡大で軽度リスク,心拡大,肺血流量増加で中等
また,PR の程度と最大運動能には,有意の負の相関が
度リスク,主肺動脈拡張又は末梢肺動脈狭小化疑いで高
あり,症状としては無症状(NYHAⅠ)であっても,
度リスクとする.心電図又は心エコー検査で,左室肥大
PR の程度に応じた運動機能の低下があることを指摘し
で軽度リスク,両室肥大で中等度〜高度リスクとする.
ている.
もちろん肺・体血流比が 1.5 以上の VSD が遺残する場合
右心機能が低下してから運動制限をしても意味が無い
と考えられるので,以下のようなリスク分類(表 53)
を提唱したい.
62
e)遺残心室中隔欠損(VSD)
には,再手術を考慮すべきであることは言うまでも無い.
また,PS が遺残している場合には,右左短絡となる
ので,チアノーゼ性心疾患のリスク分類も参考にする.
成人先天性心疾患診療ガイドライン
f)大動脈拡張/弁閉鎖不全
根治術時に大動脈弁閉鎖不全(AR)がない症例でも,
を必要とする場合には,衝突の危険性がある作業・運動
は禁忌である.
術後遠隔期に大動脈の拡張や AR が進行てくる症例があ
り.このような場合には,AR のリスク分類に準拠して
リスクを評価する(表 7).
また上行大動脈の拡張を伴うものは,AR の程度,左
室径に関らず,中等度〜高度リスクと考えることが望ま
しい.
3)心室性期外収縮
ホルター心電図で LownⅡ度以上の心室性期外収縮が
あっても,必ずしも予後は変わらず,運動機能への影響
も余り無いとされている464).
心室性期外収縮では,連発がなく,単形性で,運動負
荷で消失,減少または不変の場合には軽微リスク,運動
g)左心機能低下
根治術時の心筋保護,心停止時間などの影響や,AR
負荷により増加するか,多形性または二段脈が出現する
場合は軽度〜中等度リスクとする.
による左心負荷,加齢にともなう高血圧・冠動脈疾患な
どが原因で,左心機能の低下が起こった場合には,詳細
は略するが,左新機能低下の程度に応じたリスク管理を
行う.
4)心室頻拍
持続型心室頻拍の多くは手術時の右脚障害,右室切開,
心筋切除,VSD 閉鎖部のリエントリーに起因し,右室
流出路起源である.術後の PR により経年的に生じる右
h)右心機能低下
根治術時の心筋保護,心停止時間などの影響や,PR,
PS,TR による右心負荷,肺動脈の発育不良・肺高血圧
室拡大と心電図上の QRS 時間延長(>180 msec)は持続
型心室頻拍,突然死の予測に有用で簡便な方法である465).
心室頻拍では,①失神発作,心不全,自覚症状がなく,
などが原因で,右心機能の低下が起こった場合には,そ
②連発数が少なく,運動負荷で消失または減少する場合
れに準拠したリスク管理を行う.PR,PS,TR に伴うも
には軽度リスク,失神発作,心不全の既往があるが治療
のは前項を参照されたい.
は奏効し,運動負荷により誘発されない場合には中等度
リスク,①運動負荷によって誘発されるか,②失神発作,
i)不整脈
根治術時の心筋保護,心停止時間などの影響や,PR
心不全を伴い,治療が奏効しない場合には高度リスクと
する.
又は遺残 PS のために,長期に右心負荷がかかった症例
では,遠隔期に上室性不整脈の増加・多源化,上室性頻
拍,さらには心房細動・粗動を認めるようになる.
j)自律神経系の異常
手術時の損傷(右室切開,大血管の剥離など)と潜在
的な右心不全のために,自律神経系異常が起こると考え
1)伝導障害
術後完全房室ブロックは,突然死の可能性が高いが,
遠隔期の房室ブロックの進行は稀である.
られている447,448).自律神経系異常により運動時の心拍
数の上昇が少なく,運動強度に対応した右室収縮を認め
ないため,運動能は軽度の先天性心疾患術後と比べ明ら
かに劣る.ただし,自律神経系の異常の程度とリスク分
2)上室頻拍
発作性上室性頻拍,さらには心房細粗動もしばしば見
られ,根治術時高年齢,PR による右心不全の進行,中
等度以上の三尖弁閉鎖不全に多く認める.
上室頻拍があっても,①比較的短期簡に消失する,②
類を示すデータはない.
②運動機能評価法
a)病歴聴取・自覚症状
成人では,小児と比べ,病歴の聴取の重要性は高い.
自覚症状がほとんどない,③運動負荷で誘発されない場
病歴が長いだけではなく,病態を修飾する二次的因子
合には軽微リスク,自覚症状はなくて運動負荷で誘発さ
(加齢,生活習慣病,学歴,職歴,妊娠・出産・育児歴,
れる場合には軽度リスク,自覚症状を認めるが治療に奏
精神社会的問題など)が少なくないからである.小児期
効するが中等度リスク,心不全があって,治療が奏効し
の情報の多くは両親や家族から得られるが,思春期以降
ないは高度リスクと考える.
は本人から聴取することが望ましい.
心房細粗動があれば中等度リスクとし,運動負荷で心
拍数が増加する場合には高度リスクとする.抗凝固療法
心機能分類(NYHA 機能分類,平地での歩行距離,
階段昇降),不整脈の有無(動悸,整か不整か,発症は
63
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
突然か徐々か,めまい,失神),心不全(息切れ,浮腫
み,動悸,労作時呼吸困難,歩行時の多呼吸)の有無な
g)心臓カテーテル検査・心大血管造影検査
心室機能評価,遺残 VSD,弁逆流,右室流出路・肺
動脈や上行大動脈の形態の観察,電気生理学的検査,カ
どの自覚症状を確認する.
テーテルインターベンション,カテーテルアブレーショ
b)身体的所見
ンを目的とする.必要に応じて,運動負荷や薬剤負荷を
血圧,脈拍数,脈の不整の有無,脈拍の強弱,スリル,
行い,PS の程度の変化を観察する.
頚静脈の怒張の有無,肝腫大,腹満,腹水などを確認し,
h)MRI 検査
聴診を行う.
聴診では,遺残 VSD,右室流出路狭窄,弁閉鎖不全
(AR,PR,TR),不整脈の有無を確認する.
右室容積,右室機能評価,各弁の逆流量評価に有用で
ある Kurotobi469).また,肺動脈分岐部・分枝狭窄や PR
の定量評価,大動脈径測定(瘤,解離の評価を含む)に
c)安静時・運動負荷 12 誘導心電図
も有用である.
両心室肥大の程度(RS 高),両心房負荷の程度,調律
Roest ら470)は,運動負荷 MRI で左室一回拍出量,心
異常,脚ブロック,QRS 時間,期外収縮の有無などを
拍出量を測定し,運動負荷時には TOF 術後患者と対象
観察する.
者の間に差は無かったが,左室機能の回復遅延が見られ
TOF 術後には,右脚ブロックを認め,経年的に QRS
ると報告している.このように,非侵襲的な方法で,運
時間は延長する.QRS 時間の延長は右室拡大,右脚傷
動機能と心室機能や弁の逆流量の定量化を行える点で,
害を反映し,QRS 時間の広い症例は運動機能の低下が
今後 MRI が TOF 術後患者の運動機能評価において有用
見られる
性がましてくるものと考えられる.
.また,Budts らは
466,467)
,運動負荷中の
468)
QRS 時間の変化に着目し,運動負荷中に QRS 時間が短
縮してくる症例は運動機能がより良いと報告している.
i)肺血流・換気シンチグラム
d)ホルター心電図
流分布を測定する.
一側肺動脈狭窄,肺動脈低形成の血流分布の換気・血
上室性頻拍,発作性の心房細粗動,LownⅡ度以上の
心室性期外収縮,心室頻拍(非持続型,持続型)などを
j)呼気ガス分析を用いた心肺運動負荷試験
確認する.運動機能評価においては,不整脈発生時の状
トレッドミルを用いて段階的に負荷をかけながら,心
況を詳しく聴取することが重要である.つまり,安静時
拍数,心電図変化(不整脈,ST・T 変化など),呼気ガ
に見られるのか,運動で誘導されるのか,逆に運動で消
ス分析を行う.
失または減少するのか,どの程度の運動で誘発されるの
か,などを検討する.
一般的には Bruce プロトコールを用いるが,心不全の
強い症例では低速で始まる Sheffield プロトコール,ま
たは段階毎に均等に負荷が増加していく Naughton プロ
e)胸部 X 線
トコールを用いる.呼気ガス分析を行う場合には,段階
心拡大(右心,左心,両心),肺動脈の拡張(狭窄後
的負荷では定常状態にならないまま次の負荷に進行して
拡張,遺残 VSD による肺血流増加),上行大動脈の拡張
いく可能性があるので,Ramp プロトコールが適してい
の有無,肝腫大を確認する.心不全が強い場合には,胸
る.はじめの 3 分間は 10 watt の定常負荷を行って,そ
水の貯留を認める.横隔神経麻痺の有無を調べておくこ
の後 3 分毎に 10 あるいは 15 warr ずつ負荷を漸増して
とも,運動機能評価に重要である.
いく471).
f)心臓超音波検査
二酸化炭素排泄量(VCO2),分時換気量(VE)を連続
呼気ガス分析を行う場合には,酸素摂取量(VO2),
右室容積,右室機能,PS 又は PR,TR の経時的変化を
的にモニターし,最高酸素摂取量(peak VO2)と AT を
評価できる.遺残 VSD,左室径,上行大動脈径,AR な
算出する.心疾患患者の場合には,VO2 が完全にプラ
どの変化を観察することも重要である.経年的悪化を認
トーに達するまで負荷をかけるのは危険なので,最大負
めるときには,心臓カテーテル検査や MRI 検査を行う.
荷に達したと判断すれば,そのときをもって VO2 を
peak VO2 とする.
運動終了の原因が,心臓によるものか,他因子(下肢
64
成人先天性心疾患診療ガイドライン
機能,呼吸機能など)によるものかを,心拍数,不整脈,
本人の自覚症状(これ以上ペダルをこげない,息がしん
どいなど)を総合的に判断することは重要である.また,
2)安静時・運動負荷 12 誘導心電図
フォローアップの診察の際には,必ず安静時又は運動
検者の年齢,検査経験数も加味することも重要である .
負荷 12 誘導心電図をとる.
k)ナトリウム利尿ペプチド(ANP,BNP)(特に運動
3)胸部 X 線
472)
負荷時の変化)
フォローアップの診察の際には,必ず胸部 X 線を撮
TOF 術後であっても,ANP,BNP 値は,心機能,特
影するが,半年後と診察のときには 1 年毎にとる.
に右室機能不全の良い指標であり,NYHA や運動機能
を反映する473).特に運動時の BNP の変動は,潜在的な
運動機能低下を発見できる良い指標であると報告されて
4)ホルター心電図・心臓超音波検査・ANP/BNP 検査
小学校,中学校,高等学校の就学前,就職前,結婚前
いる .
に行う.
③運動機能評価面からみた TOF 術後患者のフォ
ローアッププロトコール
5)呼気ガス分析を用いた心肺運動負荷試験
474)
小児期から成人期にかけて,成長に合わせたフォロー
アップが重要であり,特に就学,就業,妊娠・出産などの
中学校,高等学校の就学前,就職前,結婚前に行う.
④スポーツの許可・指導
エベントに併せた検査のプロトコールを作成して,患者
TOF 術後患者は,これまで述べてきたように,種々
をフォローアップすることは重要である.しかし,定め
の因子によって心機能が傷害されているため,各因子の
られたガイドラインがないので,当院でのプロトコール
評価と運動耐用能検査の結果から多角的に判断して,ス
を例示する.尚,これらはあくまでも定期的検査であり,
ポーツの許可と指導を行う.上記のリスクが複数ある場
治療を行っている場合になどには,さらに頻回に行う.
合に,一概にリスクを加算することはできないが,複数
リスクのある患者ほど許可されるスポーツの運動強度は
1)診
低くする.表 49 に示すように,一般的に,軽度リスク
察
術後安定して,内服加療が必要なくなれば,小学校卒
では軽い運動と中等度の運動は許容されるが,強い運動
業までは,半年に一度は診察を行い,中学校以降就職 1
は条件付許容とする.中等度リスクでは,自覚的強度
〜2 年までは,毎年診察を行う.就職後安定すれば,2〜
13 以下で,危険な不整脈がなければ軽い運動は許容さ
3 年に一度の診察を行う.自覚症状,遺残病変,心機能
れるが,中等度及び強い運動は禁忌とする.高度リスク
低下の進行例では,その 2〜3 倍の頻度で診察を行い,内
は本当に軽い運動のみ許容される.尚,競技スポーツに
服加療の必要な症例では,2-8 週間に一度の診察を行う.
おいては,精神的緊張,興奮などの悪条件が加わり,自
表 56
仕事
一般的事務仕事
農業(シャベル仕事)
石工
作業強度の分類(文献 472 による)
METs
仕事
METs
1.5〜2.0
大工仕事
4.0〜2.0
5.0
施盤作業
1.5〜2.0
4.0
理容業
1.75〜2.0
医師(家庭医)
1.5〜2.0
教師
2.0
郵便配達
7.0〜10.0
ペンキ塗り
4.5
自動車修理
3.5〜4.5
車運転(市街地)
4.0
平地歩行
2.4〜2.9
シャワー
3.4
料理,皿洗い
2.5〜3.0
掃除(電気掃除機)
アイロンかけ
1.5〜2.0
床みがき
家庭内仕事
窓拭き
4.0
家具の移動
4.0
洗濯物干し
2.5〜3.0
4.5
2.5〜3.0
65
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
分の限界を超えた運動を行おうとするため,突然死の発
残病変の有無,両心室機能,運動耐用能を評価し,妊
生が高くなるので,原則的に競技スポーツは禁忌である.
娠・出産が可能かを判定する.その上で,患者,家族
尚,軽度リスクでは,軽い運動の競技スポーツのみ許容
(両親,そでに婚約・結婚している場合にはその相手)
を加えて,その家族における挙児の意義と必要性,妊
される.
最終的な運動許容条件の決定には,患者本人だけでは
娠・出産に伴う危険性について検討する必要がある.原
なく,家族,学校関係者(学生の場合),同好会・クラ
則的に,高度リスクは妊娠・出産を禁忌とし,避妊を勧
ブの友人・コーチも加えて,患者が行う意義と必要性,
める.
運動に伴う危険性について検討する必要がある.また,
妊娠が確認されたときには,妊娠 2 ヶ月目前後で心電
スポーツ施行時の条件である体調や運動環境,ウォーム
図,心臓超音波検査を行い,変化がないことを確かめる.
アップやクールダウンなどの指導も徹底する必要があ
体重増加は循環血液量の増加をきたし,不顕性の心不全
る.継続的なスポーツを希望する場合には,充分な経年
を顕性化する(PR の増加,右心拡大など)ので,体重
の過度の増加(一般的に 10 Kg 以内)には十分に注意し,
的評価が必要である.
⑤社会復帰:就学・就業の許可・指導
塩分の摂取についても制限する.心不全症状がでてきた
時には,利尿剤又はジギタリス製剤を処方する.妊娠 9
TOF 術後患者は,スポーツと同様に,種各因子の評
ヶ月目前後がもっとも循環血液量が多くなるので,再度
価と運動耐用能検査の結果から多角的に判断して,就
心電図,心臓超音波検査を行い,変化がないことを確か
学・就業の許可と指導を行う.
め,最終的に分娩法を産科医と検討する.
軽度リスクであれば軽い及び中等度の作業は許容され
分娩方法は,産科的な適応で判断し,一部の例外的な
る.10 METs 以上の運動耐用能があり,自覚的運動強度
症例を除いて経膣分娩が推奨される.分娩直前のリスク
13 以下であれば,強い強度の作業も許容されるが,長
分類で,軽度リスクは通常の分娩で,中等度以上のリス
時間継続することは控える.中等度リスクでは軽い作業
クは硬膜外麻酔で行う.
は許容されるが,中等度以上の作業は禁忌とする.高度
リスクでは,事務的な作業に留める.
中等度以上のリスクでは,心血管系合併症を生じる場
合があり,胎児リスクも高い476).ハイリスク心疾患妊娠
最終的な就学・就業の許容条件の決定についても,患
に精通しているチーム(産科医,循環器医,小児循環器
者本人だけではなく,家族,学校・職場関係者も加えて,
医,麻酔科医,新生児医,心臓血管外科医)の協力が得
患者が行う意義と必要性,運動に伴う危険性について検
られる施設での管理が望まれる480).
討する必要がある.また,就学・就業施行時の体調,環境,
ストレスも考慮し,充分な経年的評価が必要である.
17
妊娠・出産の許可・指導
心房スイッチ術後
多くは良好に修復されており,妊娠出産は一般に近
い 476,477).しかし,妊妊娠中の心拍応答も不良である.
妊娠の危険因子は,NYHAⅡ以上,遺残心室中隔欠損,
応」
中等度以上の肺動脈弁狭窄/閉鎖不全,大動脈拡張/閉鎖
心房スイッチ術は,心房内で静脈血と動脈血の流れを
不全(径 40 mm 以上),右心機能不全(心胸郭比 60 %
変換する手術である.正常の心臓では,全身からの静脈
以上),左室機能不全(駆出率 40 % 以下),頻拍型不整
血は解剖学的右心房に注ぎ,右心房−右心室−肺へと循
脈の既往であり,心不全憎悪,頻拍型不整脈を伴うこと
環する.肺で酸素化された血液は動脈血となり,解剖学
がある
的左心房に注ぎ込み,左心房−左心室−全身へと循環す
.高度右室流出路狭窄は,妊娠前に手術治
476,477)
療を行う.胎児リスクはやや高く,一般と比べると,流
る.
心房スイッチ術が適応となるのは,大きく分けて 2 つ
産率が 2 倍以上である.
66
「適
親子での繰り返しは,一般頻度より高く,3.6 から 8.6
のグループに分けられる.1 つ目のグループは,肺に行
% といわれている.また他の疾患同様,母親の方が父
くべき静脈血が全身に回り,全身を循環するべき動脈血
親より繰り返し頻度が高い
が肺に回るような先天性心疾患群である.心房−心室の
.
478,479)
まず出産可能年齢になった際に,運動負荷心電図,胸
位置関係は正常で,心室−大血管の位置関係が逆の場合
部 X 線,心臓超音波検査,運動耐用能検査を行い,遺
(完全大血管転位).もう一つのグループは,心房−心室
成人先天性心疾患診療ガイドライン
の位置関係も心室−大血管の位置関係も逆,つまり解剖
房粗動および心房細動の既往が重要となる485).
学的右心房−解剖学的左心室−肺動脈,あるいは解剖学
また QT dispersion と洞調律の欠如が突然死と関連が
的左心房−解剖学的右心室−大動脈という構造を持って
深いという報告もある486).84 人の Mustard 術後患者と
いる(修正大血管転位)場合である.この第 2 のグルー
25 人の Senning 術後患者を集めた長期予後を検討した
プでは,静脈血が肺に行き,動脈血が全身を回る.
報告では,15 年生存率は 71.3 % であった.その 15 年
第 1 のグループは,生直後よりチアノーゼが認められ,
間で全く症状がなく event free であったのは,39 % であ
何らかの外科的インターベンションが行なわれていない
った.Event free の割合を見ると,Senning 術後のほうが
場合は,90 % 以上が 1 年以内に死亡する.つまり,例
高かった.遠隔期死亡の危険因子として上げられるのは,
外なく成人に達した大血管転位の症例は,心房スイッチ
上室性頻脈であった 487).Senning 術後の中間値 19 年
術あるいは動脈スイッチ術を施行されている.心房スイ
((16-25 年)のフォローアップでは,93 % が生存し,ほ
ッチ術は Senning 手術と Mustard 手術があり,Senning
とんどが機能的に満足のいく生活を送っていた.そのう
手術は心房内フラップを Mustard 手術はバッフルを用い
ちの 80 % が NYHAⅠ度で,17 % がⅡ度であった.洞
る.
調律の欠如は 20 年で 60 % に見られ,治療を要する上
歴史的に見ると,Senning 手術が 1959 年に報告され,
室性頻脈の進行は 10 % に認められた.また,右室機能
Mustard 手術は 1964 年に報告された.そして,1960 年
の低下は 20 % に認められた.過去 12 年間で 2 例(2.8
代初頭から 1980 年代半ばまで,大血管転位の手術の主
%)の突然死が見られた488).
47 人の Mustard および Senning 術後の突然死の予測因
流であった481,482).
心房内で血流転換(スイッチ)すると,血液の流れる
子を検討した報告では,臨床症状を呈する不整脈と心不
道が,静脈血は解剖学的右心房−解剖学的左心室−肺動
全の既往そして,心房粗動あるいは心房細動の既往の二
脈−肺,動脈血は解剖学的左心房−解剖学的右心室−大
つが予測因子として有意であった489).137 人の Mustard
動脈−全身となる
および Senning 術後患者の術後 16.7 年の後視的検討で
.
483,484)
ここでは,完全大血管転位の中で,心室中隔欠損ある
は,死因としての第一位は突然死であった.独立リスク
いは肺動脈(弁)狭窄を伴うもので,他のタイプの手術
ファクターとして,上室性頻脈と NYHA 機能分類で悪
の適応となる場合の予後に関してはこの章では省くこと
化を認めることが上げられた.洞調律異常は 47.6 % に
とする.
認められたが,死亡のリスクファクターとして有意な相
第 2 のグループは,静脈血と動脈血の循環は正常なの
でチアノーゼは出ない.しかし,体に血液を送る心室
関は無かった.全体としては,ほとんどの患者(96.2 %)
が,NYHA のⅠ度あるいはⅡ度であった490).10 年とい
(体心室)が右心室の形態を持つことになる.正常の場
う中期予後の報告ではあるが,281 人の Mustard 術後
合では低い血圧が生み出す解剖学的右心室が,高い血圧
(108 人)あるいは Senning 術後(173 人)の調査が報告
で全身に血液を送らなければならないことによる慢性的
されている.この報告は,単純な大血管転位のみでなく,
な心室の負担を考慮し,心房スイッチ術と動脈スイッチ
心室中隔欠損の合併例も含まれている.10 年生存率は,
術を同時に行い(ダブルスイッチ),左心室を体循環心
全体で 84 % であった.死亡の危険因子として上げられ
室に転換する.
ているのは,心室中隔欠損の合併,低体重,低年齢,心
この疾患は,心室中隔欠損,肺動脈(弁)狭窄,ある
臓の位置異常,左室流出路の手術であった.再手術の原
いは三尖弁(左側の弁)閉鎖不全を伴うことがあるが,
因として関係が深いものは,右室不全,ルート/baffle
それらを伴わない,単純に心房−心室−大血管の位置関
狭窄,baffle の漏れであった.21 人にペースメーカーが
係が異常なものに関して述べる.
留置されていた.機能的には,60 % が NYHAⅠ度で残
「長期予後」
心房スイッチ術後,80 % の症例は 25 年から 30 年の
りはⅡ度であった.治療を要する不整脈は少なく,重症
心不全も少なかった.60 % が全く活動制限はされてい
なかった491).
予後を期待できる.長期予後の問題点としては,洞調律
Mustard 術後の長期予後を検討した報告はいくつかあ
不全,心房性不整脈,運動能力の低下,baffle の漏れあ
る.その中の一つは,28 年間の後視的検討で,生存は
るいは狭窄,右室不全,三尖弁閉鎖不全,突然死が挙げ
80 % と報告している.死因として,突然死が最も憂慮
られる.死因として最も関連が深いものは,突然死であ
される.右室不全はそのうちの 3 % に認められた.
りその 6-7 % を占める.突然死の関連因子としては,心
QOL の検討では,正常人との比較において,ほとんど
67
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
が教育と就職の項目で同レベルであり差異は認められな
関があり,年 2.4 % の割合で発症している.心房粗動は
かった492).また,91 人の Mustard 術後 22-29 年の後視的
36 人に認められたが,初期の手術とある特定時期の手
検討の報告では,25 年生存率が 77 % であり,そのうち
術に関係していた.この手術時期には Dacron をパッチ
の 36 % は event free であった.しかし,46 % に何らか
に使用した時期に一致しており,同時期は baffle 狭窄に
の手術が必要であったと報告している.術後より 14 年
対しての再手術も多かった.しかし,Dacron の使用が
間はほとんどの患者に右心不全は認めていなかったが,
心房粗動と直接関係しているというよりも,外科的手技
25 年後ではその 61 % に中等度から重度の右室機能不全
の問題が大きく関係していると考察している.また,心
が生じた .右室の機能不全に対し心筋血流を検討した
房粗は右室不全の前駆症状としても注意しなくてはなら
報告がある.術後平均 18 年で 11 人の Mustard 術後患者
ないとしている498).
493)
を N-13 ammonia and positron emission tomography を用
Senning あるいは Mustard 術後の心房性リエントリー
い,その心筋血流を検討した.正常成人コントロールと
性頻拍に対して,電気生理学的検索後,カテーテルアブ
の比較で,Mustard 術後患者は有意に体心室右室の心筋
レーションによる治療を行なった報告がある.上室頻拍
血流が障害されていた494).
としては心房内リエントリー性頻拍(intraatrial reentrant
tachycardia;IART),房室結節リエントリー性頻拍
「不整脈」
(atrioventricular nodal reentrant tachycardia;AVNRT),異
心房スイッチ術の長期予後の中で,直接死因に関わる
所性心房性不整脈がある.臨床的に有意な頻拍の 10 人
重要な続発症のひとつは不整脈である.不整脈は洞調律
に対しアブレーションを施行したが,9 人で治療効果が
の欠如,刺激伝導系の異常(房室ブロック),心房性不
見られた.この治療には,個々の解剖の知識と肺静脈心
整脈(心房粗動,心房細動,上室性頻拍)などが,長期
房へアプローチできる技術が必要となる499).
生存例で認められる.心室機能不全は,不整脈および突
然死の原因となり得る.また,不整脈は抗不整脈剤の使
用に抵抗性のものも少なくない485).
心房スイッチ術を行なった大血管転位の小児および青
18 歳以上の Mustard 術後患者 86 人の不整脈と長期予
少年の QOL はほとんど正常に近いと言える.また,一
後を検討した報告がある.追跡期間の中間値が 18 歳か
般的に成人に達した患者の QOL は,臨床的には大きな
ら 8 年,あるいは Mustard 術後 23 年であった.34 % の
問題がないか軽度の臨床症状を認めるのみであるという
みが不整脈を認めなかった.48 % が少なくとも 1 回の
ことが出来る.しかし,通常の社会生活において問題が
上室性頻拍の既往があり,73 % に心房粗動を認めた.
認められなくても,運動能力を見ると正常成人との比較
22 % にペースメーカーが留置されていた
において劣っている場合が少なからず認められる 485).
.中間値 25
495)
年で 51 人を対象とした,Mustard 術後の長期的予後に
Mustard および Senning 術後の心肺運動機能を見た報告
おける不整脈と右室不全の関係を調べた報告で,不整脈
がある.17 人の Senning 術後患者と 5 人の Mustard 術後
は 22 % に認められた.内訳は,ほとんど(11 人中 10
患者にトレッドミル負荷テストを行い心肺機能を計測し
人)が心房粗動,心房細動で,心室性頻脈が 1 人であっ
た.日常生活を送っている時は健康に見えても,運動負
た.QT dispersion が,臨床的不整脈の唯一の予言因子で
荷をかけるとほとんどの症例で正常人のレベルに達して
あった.術後の遠隔期になって生じる心房粗動および心
いない.右室拡大,baffle 狭窄,三尖弁閉鎖不全の増悪
房細動は心機能不全の誘引となり得る.また,心室性頻
により運動能力は低下する500).また 84 人の Mustard 術
脈の原因となる危険性を秘めている496).
後患者に電気的エルゴメーターによる運動負荷をかけ
478 人の Mustard 術後の患者を中間値 11.6+7.2 年フ
て,心肺運動能力を検討した結果,chronotropic
ォローし,不整脈の検討した報告がある.5 年後の洞調
incompetence,peripheral deconditioning,肺機能の低下が
律の存在は 77 %,20 年後には 40 % であった.洞調律
関係し,正常人コントロール群と較べ,有意な右室駆出
の欠如は,胸骨切開,術後徐脈,心房粗動と関連が認め
能の低下が認められた501).
られた497).心房粗動の危険因子は術中徐脈,再手術,フ
68
「QOL,運動能力」
運動能力の経時的変化を観察した報告もある.5 年+
ォロー中の洞調律欠如であった.時間経過が長いほど,
1.4 年の間隔(11.5+3.7 歳と 16.4+3.6 歳)で運動負荷
心房粗動の発生が多かった497).249 人の Mustard 術後の
を行い,心肺能力の変化を見た.体心室右室では,有酸
不整脈と突然死の危険因子を 24 年(中間値:11.7+6.1
素性運動(aerobic exercise)閾値の低下が時間の経過と
年)検討した報告がある.洞調律の欠如は術後経過と相
ともに認められる502).体心室右室のみならず肺心室左室
成人先天性心疾患診療ガイドライン
の運動能力を,エルゴメーターの負荷をかけて検討した
で,薬物投与が試みられている.後負荷を減少させる目
報告もある.右心室は,EDP 上昇,容量増加が認めら
的でロサルタン(losartan)を投与し,安静時および運
れ,また stroke volume および ejection fraction の上昇は
動時の収縮機能を検討した.その結果,大きな副作用は
認められなかった.左心室は stroke volume および
認められず,収縮期血圧は有意に減少した.三尖弁(体
ejection fraction の上昇が認められなかった.以上のよう
心室房室弁)の弁逆流弁口面積と逆流量は有意に減少し
に右心室,左心室ともにコントロールと比較して有意に
た.また,大動脈弁につながる心室(解剖学的右室)の
異常を示した503).
心機能は改善傾向を示し,運動可能時間の延長が認めら
通常の社会生活を送る上での QOL の検討もなされて
れた510).また,アンジオテンシン変換酵素阻害剤のエナ
いる.89 人の Mustard あるいは Senning 術後(年齢中間
ロプリル(enalapril)を Mustard 術後患者に投与し,心
値:24 歳)の社会生活の検討では,健康状態,活動能
肺運動機能を検討した結果は,投与前と後で有意な差は
力,教育レベル,就職,NYHA 分類,QOL スコア等の
認められなかった.しかし,対象患者の中には,最大負
項目別に比較したが,一般人と比較して十分満足のいく
荷による VO2 max,運動持続時間,血圧の改善を認め
結果であった.また,心室中隔欠損などを合併した複雑
たものもあった511).エナロプリルを比較的短期間(1 年
大血管転位と単純大血管転位との比較では,両者に有意
以内)投与し続けエルゴメーターで投与前と後の運動の
な差は認められず,複雑なものでも社会生活,QOL と
検討した結果でも,運動能に有意な改善は認められなか
いう面から見ると予後は良好であった .
った512).
504)
心房内血流変換術と動脈スイッチ手術後の QOL を比
較した報告では,おおむね予後は良いが,動脈スイッチ
手術のほうが勝っているという結果であった.189 人の
動 脈 ス イ ッ チ 術 後 と 105 人 の 心 房 内 血 流 変 換 術
「長期的合併症,続発症に対するカテーテル治療,
再手術」 要点 5.参照
baffle の漏れ,狭窄:臨床的に異常がないことは,
(Senning 58 人,Mustard 47 人),その他 12 人の Rastelli
Mustard 術後患者に何も医学的な問題が起きていないと
術後を対象として,質問表への回答という形で検討がな
いうことを何ら保障するものではない.baffle 狭窄は臨
された.術後 10−15 年の時点での調査で,結論として
床的にまったく問題なく長期間存在する可能性がある.
は,3 つの異なるタイプの術後患者の QOL は,満足の
そして,突然死の原因ともなり得る.死亡した症例の病
いくものであった.心疾患のタイプと術式の影響は大き
理解剖で重度の baffle 狭窄が見つかったにもかかわら
くはないが,QOL を決める重要な因子であった505).
ず,数ヶ月ときには数週間前の診察時に何らそれを示唆
「右室不全と内科的治療」
心房スイッチ術後,長期生存例の死因の最も一般的な
原因のひとつとして,右室不全が挙げられる.その機能
するような症状を示していなかった症例は稀でなく経験
する498).
baffle 狭窄に対して,カテーテルによるバルーン拡大
低下は,時間経過により低下の程度は増す傾向にある.
術あるいはステント留置が適応となる513−515).21 年前に
右室不全の病理的な原因として,心筋虚血が挙げられ
施行された Mustard 術後患者の上大静脈完全閉塞と下大
.Mustard および Senning 術後 10−20 年の
静脈狭窄に対し,針で穿通した後,上大静脈と下大静脈
心筋虚血および梗塞の所見と局所的壁運動異常の関係を
にステントを留置し,狭窄症状を軽減した症例が報告さ
single-photon emission CT を使い検討した報告では,
れている516).ステントの留置をまとまった症例数に施行
Mustard 術後患者の右心室に,可逆性あるいは固定した
した報告でも,単にバルーンで拡張するよりもより長期
潅流欠損が認められ,それは局所的壁異常の箇所と一致
にわたる有効性が指摘されている 517).Mustard 術後の
していた.この事実は,Mustard 術後に長年を経た患者
baffle 狭窄に対し wall-stent を使用した報告では,安全
の中に認められる右室不全の病因として,重要であると
かつ簡単に操作でき,抗凝固の必要性がないことも利点
している508).Mustard 術後の右心室および全体の心筋容
に挙げている518).
る
494,497,506−508)
量は,正常と比較すると有意に増加しており,この心筋
Mustard および Senning 術後の baffle の漏れに対して
の肥大よる心筋虚血が右心室および左心室の収縮能の低
Amplatzer septal occluder を用いその漏れを完全に止める
下を引き起こす可能性がある.右室心筋容量を減少させ
ことができた症例が報告されている.今後,手術に変わ
るか心筋の血液潅流を改善させるような治療の効果が期
る方法として期待が寄せられる515,519).
待される509).
右心室に対して機能不全を,予防または改善する目的
右室不全,三尖弁閉鎖不全:右室不全に対しての外科
的治療の選択肢は 3 つある.三尖弁修復,肺動脈絞扼術
69
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
を行った後に大血管スイッチ術,心臓移植である.三尖
かった.右室容量の増加を認めた症例でも,産褥期には
弁の修復後に右室機能の改善は認めなかった.右室不全
妊娠前の値に戻る.先天性心疾患の児の出生はなく,大
が進行した症例に対しては,最終的な治療法としては,
血管転移の母体から生まれる児の先天性心疾患合併率は
心臓移植が適応となるだろう
.三尖弁閉鎖不全
低いと推測している525).先天性心疾患の母体の変化をま
に対しての手術は,三尖弁修復および弁置換が行われ
とめた文献より,大血管転移では妊娠により上室性不整
る
506,507)
.肺動脈絞扼術を行った後に大血管スイッチ術
脈,心不全,および死亡の可能性があることを指摘して
を行うというコンセプトは,低圧系の左室を肺動脈絞扼
いる526).Mustard 術後患者の妊娠中の右室機能に焦点を
により高い圧に耐えられる様に訓練し,その後に大血管
当てた報告がある.16 人の 28 回の妊娠について,妊娠
を転換するというものである.右室不全が生じた症例に
前後,および妊娠期間中の右室を心臓超音波で観察し,
対し心臓移植と並ぶ選択肢となりうる.手術年齢が高い
その大きさ,機能,三尖弁逆流ついて検討した.妊娠前
場合は,手術成績が悪い
の NYHA 分類では,Ⅰ度またはⅡ度であった.6 人で
487,513)
.
520,521)
Senning 術後の右室不全に対し大血管の転移術を施行
妊娠中に機能の低下を認め,そのうちの 2 人では,分娩
された症例の検討では,この手術は心臓移植に変わる治
後に妊娠前の機能に回復しなかった.右室拡大は,妊娠
療法にはなるとしながら,その術式の難しさと長期予後
により増悪傾向を 5 人(31 %)に認め,最後の外来の
の不確実さを指摘している.またその報告の中で,術後
時点では改善していなかった.妊娠中の右室機能の低下
も大動脈閉鎖不全は改善せず術後の注意深い観察が必要
は 4 人(25 %)に認められ,その内の 3 人には出産後
なことと,脈の乱れが長期予後を左右することを指摘し
に改善は認められなかった.三尖弁逆流は 8 人(50 %)
ている522).
に増悪が認められた.3 人は,改善が認められていない.
「Mustard と Senning との比較」
レビューあるいは過去の文献によるまとめが報告され
Mustard 術後の妊娠は,臨床的に十分耐えうるとしなが
ら,右室機能の低下の危険性があり,それはしばしば出
産後も非可逆的であると結論している527.
ている.1966 年から 2003 年までの検討で,Mustard は
Senning と較べ,死亡率が低く,体静脈系の狭窄がより
来やすく,洞調律不全が生じやすいという結果になった.
18
動脈スイッチ術後
Senning はより肺静脈系の狭窄が生じやすい傾向があ
り,baffle の漏れが生じやすい傾向にあった.心房頻脈
性不整脈の有意性は認められず,右室不全と機能低下の
完全大血管転位症(TGA)に対する根治手術は,心
度合いは同程度であった.個々の症例でもばらつきも多
房レベルで血流転換を行う心房スイッチ手術(Mustard
く,予後は一律化できないとしている523).術後 30 年の
手術,Senning 手術)に代わり,大血管レベルで血流転
両術後患者の追跡,比較調査では,全体的な致死率は両
換を行なう動脈スイッチ手術(arterial switch operation:
者での差はなかったが,baffle 狭窄はより Mustard に生
ASO,Jatene 手術)が現在の標準術式となっている.
じやすかった.Senning は機能分類でより高い生活・運
ASO の早期死亡率は 1.8-15 % であり,早期死亡原因と
動機能を有し,スポーツへの参加もより頻度が高かっ
しては移植冠動脈の狭窄による心筋虚血の報告が多い.
た524).
ASO 術後の長期生存率は 10−15 年で 86-94 % と比較的
「妊
娠」
歴史的に見ると,心房内血流変換術を施行した女児の
られる.死亡原因としては冠動脈狭窄に伴う心筋梗塞お
よび突然死,左心機能不全,術後肺高血圧などである.
ほとんどが妊娠可能年齢に達している.妊娠に際し最も
術後遠隔期の続発症としては,右室流出路狭窄,大動脈
懸念されるのは,生理的な血流増加に体心室右室が耐え
弁閉鎖不全,冠動脈狭窄などが報告されている528−547).
うるかという問題と心房性不整脈の増悪ということであ
る485).
15 人の Mustard 術後患者の妊娠を検討した報告では,
通常の社会生活が営める生活レベルの患者は妊娠に十分
70
良好であるが,遠隔死亡の多くは術後早期 1 年以内にみ
大動脈弁閉鎖不全の管理
1)発生頻度と発生機序
ASO 術後遠隔期の大動脈弁閉鎖不全(AR)の発生頻
耐えることができる.臨床的に,正常女性が妊娠の生理
度は 5〜40 % と報告されている.ただし,弁逆流の程
的変化によって生じる症状以外の,心臓由来の症状はな
度は軽度のものが 35 % と大部分を占め,中等度以上の
成人先天性心疾患診療ガイドライン
逆流は 5 % 前後にみられる.弁逆流は経年的に増強す
4)運動・作業許容条件
ることが指摘されている 547−555).弁輪拡大と弁逆流の程
度は一定の見解が得られていない
.
551,553)
AR の発生機序については,解剖学的肺動脈弁は大動
脈弁に比べ弁尖が菲薄でコラーゲン線維や弾性線維が少
ないこと,弁輪の脆弱性などの内的要因の関与が大き
軽い運動
中等度運動
運動・作業
強度
3METS未満 3-6METS
6METSを越える
望ましい
運動耐容能
5METS未満 5-10METS
10METSを越える
リスク
軽
微 許容
許容
許容
軽
度 許容
許容
許容あるいは
条件付許容
条件付許容
条件付許容
あるいは禁忌
い538,555,556).外的要因としては,経肺動脈的 VSD 閉鎖に
伴う弁損傷557),先行手術としての肺動脈絞扼術,術前の
左室流出路狭窄の存在,冠動脈移植に伴うバルサルバ洞
中等度 許容
の変形,新大動脈基部と大動脈遠位部の口径差が AR の
高
発生と関連するとされる536,546−557).
2)診
断
ASO 術後の AR]は,十分な専門知識を持つ循環器専
強い運動
度 条件付許容 禁忌
禁忌
リスク分類,運動・作業許容条件は,循環器疾患の診断と治療
に関するガイドライン(2001−2002 年度研究班報告)の「心
疾患患者の格好,職域,スポーツにおける運動許容条件に関す
るガイドライン」に準じた564).
門医による定期的な外来診療が勧められる.基本的には
臨床症状と心エコー検査で経過観察を行なう.通常の慢
5)管理と再手術適応
性 AR では,左室の代償機転により比較的長期にわたっ
軽度の AR で左室拡大がない無症状例は軽度リスクで
て無症状に経過し左室機能も正常に維持されていること
あり,12 ヶ月毎の定期検査を行う.中等度の AR で左
が多い558).しかしながら,ASO 術後例では AR 合併がな
室拡大を認める例は中等度リスクであり,選択的冠動脈
い症例においても,移植冠動脈入口部狭窄
造影検査による冠動脈狭窄の有無や 6〜12 ヶ月毎の左室
,
528,531,534,538,559)
左冠動脈低形成例がみられること560),遠隔期の心筋血流
機能評価が必要である.左室拡大の進行がなければ中等
評価検査で左室心筋潅流欠損がみられること,冠血流予
度の運動まで許容する.一般に慢性 AR の至適手術時期
備能が低下することが知られている561−563).したがって,
については現在でも議論の多いところである.AR に伴
ASO 術後の中等度以上の AR 合併例では,比較的早期
う自覚症状を伴うものは絶対手術適応であるが,症状が
に有意の心拡大や左室機能低下が出現する可能性がある
出現した時点ではすでに心機能低下が高度で手術時期を
ことを念頭におく必要がある.胸痛,動悸,失神,労作
逸している場合もある.明確な自覚症状がないものでも
時呼吸困難などの AR による症状出現に留意しつつ,運
早期の手術が予後を改善する可能性が指摘されている.
動負荷試験や心エコー検査による左室機能の継続的評価
とくに他の遺残病変を伴う ASO 術後の高度 AR 例では,
が必要である.
厳重な定期的臨床評価が必要である.高度の AR 例にお
ける管理計画を図 16 に示す.
3)リスク分類
リスク
分類
室拡大の程度は循環器疾患の診断と治療に関するガイ
ドライン(2001−2002 年度研究班報告)の「弁膜疾患
胸部X線
心拡大
なし
正常
なし
微
小
心拡大
あり
正常
なし
軽
度
軽
微
雑音 2 度
以下
軽
度
雑音 3 度
以上
心電図
心エコー
身体所見
左室拡大 逆流の程度
る弁置換術の適応
AR に対す
の脚注を目安にする(表 57).
6)術式選択と予後
ASO 術後の AR に対する再手術としては,通常弁置
中等度
心尖部 3 音
あり
心拡大
左室肥大
あり
あり
中等度
高
心尖部 3 音
あり
心拡大
左室肥大
あり
あり
高
度
の非薬物治療に関するガイドライン」565)の
度
狭心痛や呼吸困難などの AR に伴う臨床症状がある患者は高度
リスクとする.
左室拡大がなくても安静時ならびに運動誘発性期外収縮を認め
るものは中等度リスクである.
換術 AVR がおこなわれるが557,566,567),大動脈形成術の
報告も散見される 568−571).しかしながら,弁尖が元来は
肺動脈弁であること,ASO 術後で大動脈が肺動脈後方
に位置すること,移植冠動脈に対する処置など通常の弁
尖温存術式が困難なことから,弁形成術の適応は限定さ
れるものと思われる.AVR における代用弁としては機
械弁と生体弁に大別されるが,現時点において ASO 術
後例は大多数が非高齢者であり,機械弁が選択されるこ
71
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
図 16
の成長障害,小口径の旧大動脈弁などが考えられている.
ASO 術後高度 AR の管理方針
ASO における肺動脈狭窄発生はある程度不可避な合併
臨床評価+心エコー
症であり,その発生頻度は経年的に増加し,狭窄の程度
症状の有無
なし
不明
も進行することが知られている.
2)診
あり
再手術
断
ASO 術後の右室流出路狭窄は,TGA に対する Rastelli
手術後の管理基準に準じ576),十分な専門知識を持つ循環
運動負荷
器専門医による定期的な外来診療が勧められる.基本的
には臨床症状と心エコー検査で経過観察を行なう.通常
左室機能評価(エコー)
の右室流出路狭窄では,右室の代償機転により比較的長
EF ≧ 50 %
期にわたって無症状に経過し右心機能も正常に維持され
EF < 50 %
ていることが多い.一側肺動脈狭窄例では有意の右室圧
上昇が見られないことがある.軽症では運動耐容能や心
左室径拡大
機能は正常であるが,重症例では比較的早期に有意の心
軽度
中等
高度
拡大や右室機能低下,心室性期外収縮が出現する可能性
がある.動悸,労作時呼吸困難,肝腫大などの右室流出
進行性
路狭窄による症状出現に留意しつつ,心エコー検査によ
なし
あり
他の遺残病変
(PS,冠動脈狭窄等)
る右室機能,運動負荷試験,肺血流シンチによる左右肺
動脈血流分布の評価が必要である.
6-12ヶ月毎の評価
3 ヶ月後の再評価
3)リスク分類
表 57
体格を考慮した AR における左室拡大の程度565)
LVDs(mm)
分類
LVDd(mm)
BSA(㎡)
1.4
1.7
2.0
1.4
1.7
2.0
高度拡大
>48
>52
>55
>65
>70
>75
中等度拡大
43-48
47-52
50-55
60-65
65-70
70-75
軽度拡大
<43
<47
<50
<60
<65
<70
とが多い.生体弁としては凍結保存同種弁が耐久性が高
く,血行動態的に優れているが,本邦では入手しにくい
欠点がある.ASO 術後の AR に対する AVR および弁形
成術の手術成績,遠隔成績に関する情報はほとんどない
(多数例の報告がない).
24 右室流出路狭窄の管理
1)発生頻度と発生機序
術後右室流出路狭窄は 3-30 % と比較的高頻度に認め
られる術後続発症である528−548,568,572−575).狭窄部位として
は,肺動脈弁および弁下,吻合部(弁上部),左右肺動
脈幹,左右末梢肺動脈に単独あるいは複合して発生する.
狭窄の発生原因としては,Lecompte 法における大動脈
の後方からの圧迫と左右肺動脈の過伸展,肺動脈再建に
用いるパッチの肥厚・退縮,肺動脈弁輪部および吻合部
72
リスク
身体所見
胸部X線
心電図
心エコー
右室拡大 狭窄の程度
軽
微
雑音 2 度
以下
心拡大
なし
正
常
なし
PG<30
mmHg
軽
度
雑音 3 度
以上
心拡大
なし
正
常
なし
30≦PG
<50
中等度
雑音 3 度
以上
心拡大
RVH,
あり
あり ST. (
T −)
50≦PG
< LVP
高
雑音 3 度
以上
心拡大
RVH,
あり
あり ST. (
T +)
PG≧LVP
度
右室流出路狭窄に伴う自覚症状がある患者は高度リスクとす
る.
PG<50 mmHg,右室拡大(−)でも安静時ならびに運動誘発
性期外収縮を認めるものは中等度リスクである.
成人先天性心疾患診療ガイドライン
4)運動・作業許容条件
軽い運動
図 17
中等度運動
運動・作業
強度
3METS未満 3-6METS
望ましい
運動耐容能
5METS未満 5-10METS
リスク
強い運動
臨床評価+心エコー
6METSを越える
症状の有無
10METSを越える
なし
軽
微 許容
許容
許容
軽
度 許容
許容
許容あるいは
条件付許容
中等度 許容
高
あり
再手術
カテーテル治療
運動負荷
条件付許容
条件付許容
あるいは禁忌
度 条件付許容 禁忌
不明
右室肺動脈圧較差(PG エコー)
禁忌
リスク分類,運動・作業許容条件は,循環器疾患の診断と治療
に関するガイドライン(2001−2002 年度研究班報告)の「心
疾患患者の格好,職域,スポーツにおける運動許容条件に関す
るガイドライン」に準じた564).
PG<50 %
PG≧50 %
推定左室/右室圧比
0.5−1.0
≦0.5
5)管理と再手術適応
軽度の RVOTO(PG<50)で右室拡大がない無症状例
≧1
不均衡肺血流
は軽度リスクであり,12 ヶ月毎の定期検査を行う.中
等度の RVOTO(PG>50)で右室拡大を認める例は中等
なし
あり
度リスクであり,6〜12 ヶ月毎の右室機能評価が必要で
ある.右室拡大,三尖弁逆流の進行がなければ中等度の
6-12ヶ月毎の評価
運動まで許容する.PG≧50 あるいは RVP≧LVP の
RVOTO は手術適応である.PG<50,RVP<LVP でも
右心不全症状を伴うもの,一側肺動脈狭窄による左右肺
動脈血流分布不均衡が存在するものでは早期の手術が予
19
フォンタン術後
後を改善する可能性がある.高度の RVOTO 例における
管理計画を図 17 に示す.
1
1 不整脈
6)術式選択と予後
最近の多施設共同研究によると,新生児 ASO 遠隔期
の右心系狭窄に対する reintervention 施行率は 12 % で,
累積回避率は術後 1 年で 94 %,10 年で 83 % と報告さ
はじめに
れている575).外科的解除法としては,パッチによる肺動
フォンタン術後に発生する不整脈は,フォンタン術後
脈拡大が行われ,狭小弁輪例に対しては弁輪拡大が適用
患者の morbidity ならびに mortality を大きく左右す
され,肺動脈狭窄再発率は低い531,547,568,572).一方,経皮
る581−583).そのためフォンタン術後の不整脈を的確に診
的アプローチのバルーン拡大術の成効率は外科治療より
断し適切な治療を行うことは,機能的単心室患者を診療
低いが,非侵襲的で繰り返し行える利点があり,狭窄病
する上での重要な領域といえる.フォンタン術後の不整
変部は身体発育に応じて成長するが示されている
脈の背景には多様な因子が関与しているため,診療に際
.
577−579)
ステント留置法とバルーン拡大術の比較では,狭窄部拡
しては原疾患やフォンタン循環に対する理解や見識が求
大率,圧較差減少率,右室/大動脈圧比低下率はステン
められる.フォンタン術後の不整脈は通常の抗不整脈薬
ト使用例が良好であったと報告されている
治療や非薬物治療に抵抗性である場合が多い584).さらに
.
580)
フォンタン循環という機能的にも構造的にも特殊な状況
においては,不整脈治療を進めることで血行動態の悪化
を来たし新たな morbidity や mortality につながる危険性
がある.しかし,この領域の診療に関しては大規模臨床
73
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
試験などのエビデンスが極めて乏しく,科学的な根拠に
り,不整脈発生に関与する590).近年は準備手術としてグ
基づいた診療ガイドラインを得るには今後の臨床データ
レン手術,Hemi-Fontan 手術を行う staged approach が多
の集積が必要と考えられる.本稿ではフォンタン術後の
く採用され,より早期の容量負荷軽減と,フォンタン到
不整脈に関するこれまでの知見を集めて,診断および治
達の低年齢化が進んでいる.心房を体静脈の血流路とし
療における指針を探る一助としたい.
て利用する術式では,術後肺動脈圧が心房圧負荷となり,
肺動脈圧が高いほど心房性不整脈が多いとされる584).術
フォンタン術後不整脈の病因・病態
後急性期の肺動脈圧は術前の肺血管や心室の条件により
フォンタン術後の徐脈や頻脈の発生には様々な因子の
規定される.また遠隔期に続発する静脈路狭窄や房室弁
関与が考えられる.その要因には原疾患や術前状態など
逆流などは心房拡大や心房圧上昇を来たし,新たな不整
の患者由来のもの,フォンタン手術やその前に行われた
脈発生の引き金となる 591−592).また不整脈による血行動
準備手術など手術術式由来のもの,術後経過年や手術年
態悪化は心室機能の低下と表裏一体の関係にあり,いず
代など時間経過に関連するもの,に大別することができ
れかの出現は他方を呼び,放置すれば共に進行してゆ
585)
る
(表 58)
.フォンタン手術は当初 Fontan らにより三尖
く582,585).
弁閉鎖症に対する機能的修復術として報告されたが586),
フォンタン手術術式は当初の報告以降様々な改良がな
その後は成績向上に伴い,機能的心室が一つの疾患(機
されてきた.歴史的には右房肺動脈間に弁付き導管を間
能的単心室症)すべてに適応拡大が進んだ.これらの中
置したり,右房−右室間に血流路を作成する Bjork 法な
には,無脾・多脾症候群,Ebstein 奇形,房室錯位など
ど を 経 て , 右 房 と 肺 動 脈 を 直 接 吻 合 す る Atrio-
原疾患に由来して不整脈を来しやすいものや,WPW 症
Pulmonary Connection(以下 APC)法が多く行われた.
候群などの器質異常を合併している場合がある
その後 de Leval ら593)によって提唱された心房収縮を利
.
581,587−589)
フォンタン手術時年齢は,高いほど不整脈発生が多いと
用 せ ず 非 拍 動 性 肺 血 流 を 得 よ う と す る Total Cavo-
され584),心房・心室への圧負荷,容量負荷といったフ
Pulmonary connection(TCPC)法が導入され今日の主流
ォンタン術前の経過もフォンタン循環の良否にかかわ
術式となっている.TCPC 法には心房内を baffle で仕切
表 58 フォンタン術後不整脈の発生に関与する因子
患者関連因子
原疾患(heterotaxy syndrome,房室錯位,WPW など疾患
に由来する不整脈素因)
って tunnel 状の血流路を作成する Lateral tunnel 法と,
IVC を心房流入部で切り離し人工血管を用いて心房外で
IVC−肺動脈間の血流路を作成する心外導管法などの
option がある.フォンタン手術の術式も術後不整脈の発
フォンタン手術時年齢(チアノ−ゼの期間)
生に大変重要な関連因子である.心房−肺動脈間に弁付
術前ならびに術後血行動態(心房,心室への容量負荷,
圧負荷,肺動脈・心室条件)
き導管をいれた旧術式では,導管狭窄の進行に伴い心房
NYHA class
術式関連因子
フォンタン手術術式
性不整脈を来す584).また APC 法では TCPC 法に比し心
房性不整脈を来しやすい585,589,594−596).心房切開の縫合線
および心房への圧負荷・容量負荷による心房拡大は,洞
心外導管を用いた TCPC
機能不全や房室接合部機能不全による徐脈の原因となる
心内 baffle による lateral tunnel 型 TCPC
とともに,心房内マクロリエントリー性頻脈ないし接合
APC(右房−肺動脈直接吻合法)
部性頻脈も招来する.しかしながら TCPC 法でも lateral
Bjork 法や右房肺動脈間に弁付き導管を用いた方法
tunnel 法では心房内で長い距離にわたり baffle を縫合
右房切開の有無や縫合線の長さ,Sinus node,coronary
sinus の位置関係
予防的な不整脈手術の併用
準備手術術式
し,sinus node が高圧系に置かれるため,洞機能不全を
来たしやすいことが報告されている591,597−598).そのため
baffle の代わりに心房内に人工血管による導管を通した
Glenn 手術 Hemi-Fontan 手術を経た staged approach
り,sinus node が低圧系となるよう前方に tunnel を作成
Atrial septectomy,PA banding,肺動脈再建などその他
の準備手術の既往
し右心耳と肺動脈を吻合術する方法も報告されている.
時間関連因子
術後経過期間
手術時年代
(文献 585,Fishberger らより改変)
その後は IVC−肺動脈間を心房外の導管でつなぐ心外導
管法を導入する施設も増えている.最近になり Lateral
tunnel 法と心外導管法との比較では,頻脈性不整脈・徐
脈性不整脈ともに心外導管法の方が少ないとの報告も散
見される599−600).しかしながらフォンタン術後不整脈の
74
成人先天性心疾患診療ガイドライン
発生は術後経過年が長いほど増加する585,594).術式間の
た出現の仕方もある604).フォンタン術後の洞機能不全は
比較はいずれも retrospective study で,手術時年代・術
APC 法後で心房拡張を来している例に限らず,TCPC 法
後経過期間が異なるため,時間経過因子の関与も無視で
後にも発生し,手術前から認められている場合も多い589).
きない.また最近ではフォンタン手術時に術後の不整脈
洞機能不全の診断は体表面心電図,Holter 心電図,運動
発生を予防する不整脈手術を行うなどの試みもみられ遠
負荷試験などで得られる596).Automaticity が亢進し,フ
隔期の報告が待たれる591).過去の術式の改良の結果,術
ォンタン手術の周術期に接合部異所性調律(JET)を引
後不整脈の発生頻度は確実に低下してきており,今後も
き起こすことがある.多くは術後急性期に一過性に認め
さらなる工夫により改善が望まれる.
られ,自然に消退する.房室接合部の automaticity の異
常は接合部性頻脈をきたし,術後 24 時間以内に ICU で
フォンタン術後不整脈の診断
みられる.接合部調律の心拍数は患者自身の自律神経系
フォンタン術後の不整脈の発生は,reentry によるも
のと automaticity の異常によるものに大別される.
の影響を受けやすく,自律神経の状態により上昇・下降
がみられる.接合部調律の心拍数が心房の脈拍を追い越
心房切開の縫合線の瘢痕化と拡張した心房壁は,これ
した場合,心房−心室の機械的協調性が失われる.この
が基質となって心房内マクロリエントリー性頻脈
ような automaticity の異常は手術時の房室接合部への機
(IART)を引き起こし,これはフォンタン術後慢性期の
械的刺激や虚血によって二次的に生じると考えられる.
不整脈のなかで最も多い.IART の発作は他の回帰性不
JET は通常自然に消退するが,時に Fontan 術後急性期
整脈同様,突然始まり,突然止まる.これはペーシング
の mortality ないし morbidity を左右する.診断は術後の
により誘発したり止めたりすることが可能である.
心電図検査でつけられる.患者の Automaticity が亢進し,
IART の回帰する回路は心房粗動(AF)と同様心房壁内
接合部調律が心房心拍数を追い越すにつれ洞性頻脈から
にある.しかし AF と異なり心房内周期が長く,IART
JET に移行する.術後急性期には一時的体外ペーシング
中は P 波が AF の時のようにはっきりとしない.IART
ワイヤーで得られる心房心電図が参考になる.JET はペ
は AF 同様心房から発生するため,房室ブロックに伴い
ーシングによる誘発や停止はできない.JET の rate を上
心室レートが変化する.しかし IART は周期が長いため
回る心房ペーシングで一時的に抑えて房室協調を得るこ
に 1:1 伝導でも洞性頻脈かと思われる程度の心拍数と
とはできるが,ペーシングを中止すると再び JET となる.
なる.フォンタン術後患者において,持続性でかつ心拍
フォンタン術後患者でみられるその他の不整脈には,
数変化に乏しい"洞性頻脈"をみたら IART を鑑別する必
心室頻拍(VT),異所性心房頻拍,副伝導路による上室
要がある.フォンタン術後,特に APC 法の術後は,
性頻拍,あるいは房室ブロックなどがある.心室頻拍は
IART をもたらす回帰回路が複数かつ複雑な経路で存在
比較的稀であるが,心室の外科的縫合線の瘢痕や心室の
することがあり,同じ患者で異なる型の IART を認める
拡張,心筋虚血などに由来すると考えられる.異所性心
ことも稀ではない.Pacing によって誘発もしくは停止で
房頻拍も比較的まれだが,外科的手技に関連した心房組
きるものは,大多数のフォンタン術後患者において
織の Automaticity の異常によって引き起こされる.副伝
IART と考えてよい.さらに IART の心房内リエントリ
導路による上室性頻拍には先天性に副伝導路を有してい
ーの確証は,カテーテルアブレーションが有効,すなわ
るものと,外科的手技による続発性のものがあり,術前
ちリエントリー回路の Isthmus を切断することで不整脈
から注意を要する588,605−606).
が消失することで得られる
.フォンタン術後患者
602−603)
では,critical isthmus が,弁などの自己組織や手術に際
して作成されたパッチや縫合線により覆われてアプロー
チできないことも多い.
フォンタン術後不整脈の治療
先天性心疾患の術後遠隔期の治療を要する不整脈の中
でも,フォンタン術後の不整脈は特に治療に難渋する場
一方で Automaticity の異常によって引き起こされるフ
合が多い.本疾患群においては,不整脈治療の定石とさ
ォンタン術後不整脈もある.心房壁の縫合線の瘢痕化や
れる抗不整脈薬の多くが,無効であるばかりか,かえっ
心房壁の拡張,フォンタン手術中の心筋虚血などは,洞
て不整脈を誘発し,血行動態の悪化を招くことが経験さ
結節機能の障害を引き起こし徐脈性の不整脈となる.洞
れる.一方で,IART などの不整脈を抑えることができ
機能不全は安静時の徐脈,心房性補充調律,接合部調律
ない場合には,突然死につながる危険に曝される607).そ
となって現れる.また安静時の心拍数が適正であっても,
のためフォンタン術後の不整脈治療においては,ある治
運動時に必要とされる心拍数の上昇がみられないといっ
療を開始するかどうか,そしてどこまでその治療で押す
75
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
かについて,選択の岐路に立たされることが少なくない.
のみ 2 例と,あとはジゴキシンとの併用で,アミオダロ
一般にフォンタン術後患者に治療介入を開始する理由は
ン 5 例,アミオダロンとフレカイナイド 1 例,アミオダ
次の 2 点が挙げられる.1)対象となる不整脈によって
ロンとプロパフェノン 1 例と報告している.
来しうる突然死を回避すること.実際,房室ブロックや
ンはフォンタン術後の IART の治療手段として採用される
突然死につながるため,なんらかの治療が必要となる.
ことが多くなってきている.心房内マクロリエントリー
2)対象となる不整脈が患者に許容し難い症状をもたら
の回路がカテーテルアブレーションで焼灼し治療できる
す場合.しかし多くのフォンタン術後患者は,持続性な
ことは動物実験や臨床例で数多く示されている602,608−611).
いし一過性の IART や一過性房室ブロックを来しても,
リエントリー回路の isthmus は,弁などの自己組織構造
無症状ないしは症状が軽いため,この理由で治療が進め
物と外科的縫合線や baffle などによって囲まれている.
られることは少ない.現実にはフォンタン術後患者のも
Critical isthmus をアブレーションできればリエントリー
つ多くの不整脈は,症状はそれほどではなく,また一過
回路は遮断され治癒する.しかし isthmus のアブレーシ
性であるため,対象となる不整脈が突然死につながるか
ョンは理論的に可能であっても,技術的に回路へのアプ
どうかという疑問が生じる.さらに通常の抗不整脈薬治
ローチが難しい場合や,フォンタン術式や解剖構造によ
療に比較的反応が悪いため,判断が難しい状況になりや
りリエントリー回路の同定が困難な場合もある.リエン
すい.こういった場合,不整脈の背景にある患者の血行
トリー回路の同定にはフォンタン手術時の所見を見直す
動態を評価することが,治療開始を決定する判断材料と
ことが重要である.電気生理検査で Critical isthmus が正
なる.フォンタン術後患者の不整脈がフォンタン循環の
しく同定されても,isthmus の幅がひろい場合やカテー
血行動態悪化とともに出現した場合,血行動態の悪化を
テルの到達が難しく十分な焼灼出力が得られないといっ
来している基質病変に対する修復を考慮するか,もしく
たことからアブレーションできないこともある.APC
はなんらかの不整脈治療を開始する.そのどちらを選択
型のフォンタン手術後患者などで,心房内に複数の回路
するかは個々の患者の状態に応じて判断する.器質的病
を有している症例では,根治性が得られにくい.またア
変を残して抗不整脈治療を進める場合には,治療により
ブレーションが成功した後に,別の新たな回路が形成さ
不整脈の悪化や,徐脈発作を来す可能性があることを十
れ IART が再発することもある.以上よりカテーテルア
分念頭に置く必要がある.フォンタン術後の不整脈治療
ブレーションは有効例の結果は良好で試みるべき手段だ
においては,頻脈の抑制にも抗不整脈薬治療以外の選択
が,本疾患群での有効率は約半数と先天性心疾患のなか
肢がより多く採用されている.経カテーテル的アブレー
でも最も低い数字にとどまる一方で,合併症率は他に比
ション,外科的アブレーション(+ TCPC 血流転換術),
して高い.
頻拍停止型ペースメーカー,などが抗不整脈薬治療に比
頻拍停止型ペースメーカー:頻拍停止型ペースメーカ
して催不整脈性がより低いため,治療上の選択肢として
ーは先天性心疾患における IART に対する非薬物治療の
通常よりも優先されることが多い.
一選択肢として応用され始めてから 10 数年以上が経過
心房内マクロリエントリー性頻脈(IART)の治療
76
カテーテルアブレーション:カテーテルアブレーショ
IART の rapid conduction あるいは VT などの不整脈は,
している 608,612).ペーシングにより最低心拍数を確保す
ることだけでも頻拍の予防につながる613).頻拍停止型ペ
薬物治療:IART はフォンタン術後遠隔期の治療を要
ースメーカーでは,ペーシング作用に加えて,IART の
する不整脈として最も多い.一過性のものや,持続性で
発生を心房リードを通じて検知し,設定されたプログラ
も心室レートの遅いものでは症状はほとんどなく,通常
ムにより高頻度ペーシングを行い IART を抑制する.頻
はまずジゴキシンが投与される.これが無効の時はプロ
拍停止型ペースメーカーのみで IART を治療するのでは
カインアミド,フレカイナイド,ソタロール,アミオダ
なく,通常はなんらかの抗不整脈薬治療と組み合わせて
ロン,もしくはβブロッカーといったより強力な薬物が
用いられる.IART 発生の検知ミス,高頻度ペーシング
投与される.ClassⅢと ClassⅠの薬剤はいずれも IART
の刺激が不十分,などから IART を抑制する効果が得ら
の周期を長くすることで,心室への伝導周期が速くなり
れないことがある.特にフォンタン術後患者の心房壁は
かえって頻脈となる可能性がある.そのため通常ジゴキ
著明な瘢痕肥厚を呈しているため,有効な sensing ない
シンを併用し房室伝導を抑えておく
し pacing が得られる部位がみつからないことがある.
.こういった抗不
609)
整脈薬治療は,効果が乏しい場合が多く,Balaji らは 18
APC 法では経静脈心房リードの植え込みは可能だが血
例において長期的に有用性が示されたのは,ジゴキシン
栓形成のリスクがあり614),TCPC 法では開胸剥離を伴う
成人先天性心疾患診療ガイドライン
心筋リードの植え込みが必要となる.
不整脈外科治療:ここ 10 年間において,APC 型フォ
2
2 蛋白漏出性胃腸症
ンタン術後の IART と,その基礎となる器質的病変を伴
った症例に対して,外科的アブレーションと TCPC 血
流転換術を組み合わせた外科治療の報告が数多くみられ
る 615−619).併存する基質病変には,拡大した右房内の血
蛋白漏出性胃腸症とは
蛋白漏出性胃腸症とは,血漿蛋白が消化管から消化管
栓形成,房室弁逆流,拡大した右房による肺静脈の圧迫,
腔へ異常漏出することで低蛋白血症を起こす病態を総称
冠静脈洞の圧上昇を伴う中等度の心室機能不全などが挙
する.フォンタン手術後の続発症としての蛋白漏出性胃
げられる.IART にフォンタン術式や拡大した心房に起
腸症は,1980 年 Crupi らによって初めて報告された622).
因する続発症を伴う場合は,まず TCPC 血流転換術を
以後今日にいたるまで,この続発症に関しての数多くの
行うことにより血行動態の改善と不整脈抑制が期待でき
報告がなされているが,その病因・病態生理は,未だ十
る.術中 mapping によって確認された IART のリエント
分に明らかにされているとは言えない.
リー回路の好発部位には,1)冠静脈洞開口部と IVC 開
フォンタン手術後の蛋白漏出性胃腸症の発生頻度は 4
口,右側房室弁輪に囲まれた部位(isthmus),2)ASD
% から 13 % とされる623).発症時期は様々で,術後数週
patch 閉鎖部位,3)右房側壁(縫合線),がある.TCPC
間以内から,多年を経ての発症まで報告がある.かなら
血流転換術に際しての外科的アブレーションでは
ずしも Fontan 循環の血行動態指標の悪いものに発生す
isthmus block だけでは無効な場合があり,右房側 maze
るとは限らず,様々な risk 分析が試みられているが624,625),
法が推奨される620).
個々の患者をみるならば,かならずしも Fontan 循環の血
洞機能不全ないし房室ブロックの治療
フォンタン術後においては,洞機能不全や房室ブロッ
クにより徐脈性不整脈を来すことがある.ペースメーカ
ー植え込みの適応については通常の AHA/ACC/NASPE
guideline
621)
に準じて考慮される.房室ブロック患者では
行動態指標の悪いものに発生するとは限らない.このこ
とより消化管リンパ組織の脆弱性の個体差が,発症を左
右するもうひとつの因子となっていると考えられる626).
発症後の予後は,5 年生存率 50 % 前後と不良で623−627),
フォンタン手術後に生じうる致死的続発症のひとつに挙
げられる.
DDD pacemaker により房室協調性を確保することは重要
その治療については,完治にいたることは難しい場合
である.洞機能不全患者に対する適応は慎重に考慮すべ
が多いとされるが,いくつかの治療手段が病勢を寛解さ
きで,APC 法後の心拍数 40 以下の接合部調律ならば経
せ得る有効な方法として報告されている.本稿では,こ
静脈リード心房リードのみで房室協調が回復し低侵襲に
れまで蛋白漏出性胃腸症に関して得られている知見をま
最大限の効果が得られる.抗不整脈薬の投与を考慮して
とめ,本疾患の治療の指針を探る一助としたい.
いる患者においては,ペースメーカーにより最低脈拍数
を確保することで,安全に薬剤の有効治療域に到達でき
る場合がある.
まとめ
蛋白漏出性胃腸症の病態
蛋白漏出性胃腸症の臨床症状は,消化管腔内への血漿
蛋白の漏出とそれに伴う血清浸透圧の低下に招来され
る.消化管内へ漏出した蛋白は,消化管腔内へ水分を引
今日,先天性心疾患の分野においても臨床経験の集積
き込み,下痢と腹部の疝痛を来す.消化管のリンパ還流
とその科学的な分析の記載に基づいて診療方針を決定す
が増えるためリンパ管の拡張を来たし,脂肪の吸収が阻
ることが求められる.このことは治療に難渋することの
害され,脂肪便も来す.消化管への蛋白の漏出が続くと,
多いフォンタン術後の不整脈の診断・治療においてもま
程度の差こそあれ低蛋白血症となるため,四肢末梢の浮
さに大変重要であり,今後さらなる経験の蓄積と,それ
腫や腹水の貯留,胸水・心嚢水の貯留となって現れる.
に対する科学的に分析が進むにつれ,本ガイドラインも
蛋白の漏出はいずれの蛋白分画にも及ぶためγグロブリ
遠からず改定されることが望まれる.
ンの低下から免疫不全にも陥りやすい 628,629).拡張した
消化管リンパ管からはリンパ球が便中に遊出するため,
白血球分画も変化を来す.また凝固線溶のカスケードが
崩れて過凝固に傾きやすい.全身の栄養状態は,蛋白の
喪失による負の窒素バランスから,筋肉はやせてゆき
77
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
cachexia に至るが,体重は体浮腫の影響であまり減らな
(99mTc-HAS-D)などがある.これらの RI 標識アルブ
ミンを静注し,消化管内腔への蛋白漏出を直接証明する
いか,もしくは逆に増えることも多い.
ことにより診断が確定する.正常例では消化管像は描出
蛋白漏出性胃腸症の症状ならびに診断
されないため,明瞭な消化管像が描出されれば蛋白漏出
図 18 は蛋白漏出性胃腸症の初発症状として来しうる
性胃腸症と診断できる(図 19).本法は簡便でガンマカ
.症状は最初緩やかで気
メラのあるすべての施設で実施可能であり,漏出部位を
付かず徐々に進行し得るが,問診により振り返ってみる
診断できるが,漏出の絶対量を知ることはできない.漏
と,風邪を契機に下痢が始まってなかなか治りにくかっ
出量が大であればあるほど検査開始早期より異常集積が
たという答えが多い
.その後徐々に浮腫を来たし,靴
描出されることにより重症度を判定できる630,631).一方,
下のゴムの食い込みや,腹水による腹部の膨隆などに気
α-1-アンチトリプシンは通常,肝臓で一定量生成され,
付かれる.成人では突然始まる下痢あるいは便の性状の
代謝を受けずに消化管内へと排出される.蛋白漏出性胃
変化には,本疾患の予兆としての注意を要する.
腸症の場合,便中α-1-アンチトリプシンが増加し,ク
ものを病態ごとに分けて示す
623)
628)
蛋白漏出性胃腸症の診断は,上記のような症状ならび
リアランスが高値を示し,漏出の定量的な評価が可能と
に,低蛋白血症,低アルブミン血症といった血液所見に
なる.試験には便の一日量と便中ならびに血中α-1-ア
基づいて進められる.低蛋白血症を来す他の疾患すなわ
ンチトリプシン濃度が算出に必要となる632).その他,血
ち肝機能低下やネフローゼなども鑑別しておく.蛋白漏
算(リンパ球分画)や血液電解質も検査値として重要で,
出性胃腸症の確定診断は,放射性核医学検査ないしは,
リンパ球の減少,アルブミン低値からくる低カルシウム
便中α-1-アンチトリプシンクリアランス試験による.
血症を来し得る.慢性の低蛋白血症による浮腫,体液貯
現在蛋白漏出の診断を目的とする放射性医薬品には
留のため,血清ナトリウム値やカリウム値の異常も来し
99mTc-human serum albumin(99m Tc-HAS),99mTc-
得る.
human serum albumin diethylenetriamine pentaacetic acid
本疾患は,生命予後を左右するものから,軽度ないし
中等度の低蛋白血症を認めるのみでほとんど症状のない
図 18
蛋白漏出性胃腸症の初発症状
四肢の浮腫
腹水,腹満,胸水
(低蛋白血症)
っきりとした蛋白漏出性胃腸症の症状がなくとも,便中
慢性の下痢
α-1-アンチトリプシン濃度が通常より高いとの報告も
ある633.この事からいわゆる 胃腸症 の前段階として,
(吸収障害)
フォンタン術後に消化管への蛋白漏出が亢進した状態が
あると示唆される.従って,無症状ないし症状が軽いま
ウイルス性腸炎
敗血症
気道感染
(免疫能低下)
ものまで,様々な重症度を示す.フォンタン術後ではは
まで,消化管への蛋白漏出を来たしている患者の頻度は
肺梗塞
脳梗塞
手足がつる
(凝固能亢進)
これまでいわれているより高い可能性がある.
蛋白漏出性胃腸症の治療
(低カルシウム)
フォンタン手術後の蛋白漏出性胃腸症に対し,全ての
図 19
患者に有効で完治に至る治療といったものは今のところ
ない.蛋白漏出性胃腸症との診断を得たら,まず心エコ
ー検査および心臓カテーテル検査により徹底的な血行動
態の評価を行ない,何らかの遺残症,器質的あるいは機
能的な病変がないか否かを調べる.12 誘導心電図,ホル
ター心電図による不整脈の評価も行なう.房室弁逆流や,
心機能低下の有無の評価は必須.また静脈還流路の狭窄,
圧差はわずかなものでも障害となり得る.肺動脈圧,静
Tc-HAS-D による腸シンチグラム(2歳男児,フォンタン術
後1年)
A:静注後早期像,B:静注後 24 時間後像。早期像では蛋白漏
出を疑わせる異常集積をみないが,24 時間後では広範な異常
分布を認める。
99m
78
脈圧値も評価を要するが,フォンタン手術後に蛋白漏出
性胃腸症を発症した群とそうでない群を比較すると,必
ずしも発症例の静脈圧が著しく高いわけではない.
症状の重症度は様々で,治療法もそれに応じて選択さ
成人先天性心疾患診療ガイドライン
れる.いろいろな治療法の選択肢があり,その結果にも
て,蛋白の漏出が始まるものと推察される.リンパ管拡
様々な報告がある.治療方法は(1)低蛋白血症に対す
張を伴った腸管粘膜の浮腫は空腸および回腸で認められ
る治療,(2)消化管粘膜に対する治療,(3)基礎となる
るが,生検所見では,正常ないし浮腫を認めるのみで,
心血行動態の改善に向けた治療,の 3 つに大別される
炎症所見ははっきりしないことが多い.
(表 59).
ステロイドやヘパリンの投与により蛋白漏出が抑えら
表 59
蛋白漏出性胃腸症の治療
1)低蛋白血症に対する治療
・利尿剤投与
・高蛋白栄養食
・カルシウムの補給
2)消化管粘膜に対する治療
れる場合があるが,その機序としては腸管粘膜に直接作
用していると考えられる.副腎皮質ホルモンの大量療法
が有効との報告があり,量はプレドニゾロンを 1-2mg/
kg/day を最低 2,3 週間,腸管での吸収が落ちているた
め経静脈での投与が必要となる 635,636).はっきりとした
作用機序は不明だが,消化管粘膜の膜の安定化作用によ
・ステロイド投与
ると考えられている.残念ながらクッシング徴候などの
・ヘパリン投与
副作用を来さずに治療効果のみ得られることは少ない.
3)フォンタン血行動態改善に向けた治療
・個々の患者の器質的/特異的病変に対する治療(房室弁
逆流修復,Fontan 血流路の狭窄解除,体肺側副血行路
の embolization,洞機能不全に対するペースメーカー植
え込みなど)
また減量中止が難しく,しばしば再燃再発を来す623).
ヘパリンが有用との最初の報告は Donnelly らによ
る .彼らは,ある患者で治療上の必要から経口のワー
637)
ファリンをヘパリンの点滴に切り替えると,その度いつ
・開窓術(カテーテルインターベンションないしは手術)
も蛋白漏出性胃腸症の症状の改善が得られた経験をもと
・血流路転換手術(±不整脈外科手術・ペースメーカー
植え込み)
に,計 3 名のフォンタン術後患者でワーファリンからヘ
・Fontan takedown
パリンへの切り替えを行なった.3 名とも体表面積 m2
・心移植
あたり 5,000 U/day の皮下注射で 2,3 週間以内に著明
な効果が認められたが,1 名にヘパリンの副作用と考え
(1)低蛋白血症に対する治療
血漿蛋白の喪失は,血清浸透圧の低下および四肢末梢
られる椎体の圧迫骨折を来したと記載されている.その
後もヘパリン投与の有用性を示す報告が散見されるが,
の浮腫を来す.各種利尿剤の投与が有効となる.慢性期
投与期間や投与量については様々である638,639).明確な
には栄養管理も重要で,高蛋白食により正の窒素バラン
作用機序は不明であるが,ステロイド同様ヘパリンも細
スを保つ.さらには中鎖脂肪酸を多く含む食事を開始す
胞膜の安定化により,消化管粘膜レベルでの蛋白漏出を
る.中鎖脂肪酸は消化管のリンパ管を介さず静脈系に直
抑えるものと考えられる.
接吸収されるためリンパ鬱滞の軽減が見込まれる.リン
パ流量が減ればリンパ管からの消化管への蛋白漏出が減
る.急性の下痢を来たし血清蛋白値が下がっている時に
(3)基礎となる心血行動態の改善に向けた治療
フォンタン手術後の続発症としての蛋白漏出性胃腸症
は,25 % アルブミンの点滴による蛋白の補充を行なう.
がフォンタン循環によってもたらされる心血行動態の変
蛋白の低下がひどく血清浸透圧が極端に低くなると腸管
化に起因することから,心血行動態を改善させることが,
壁の浮腫を来たし正常な吸収が阻害される.こういった
蛋白漏出性胃腸症に対しても効果を示すことが期待でき
場合には,高カロリー輸液によりアミノ酸を補い栄養を
る.患者特異的な器質病変に対するものとして,房室弁
維持しつつ腸管を休める.また血清カルシウム値にも注
逆流の修復や弁置換,静脈血流路や肺動脈における狭窄
意し,低値の場合はこれを補充する634).
や血栓症に対するカテーテル治療や修復手術,体肺側副
血行路の coil embolization などが挙げられる623).また機能
(2)消化管粘膜に対する治療
的な改善を見込んだ治療として,fenestration の作成(開
腸管における病態生理が充分解明されているわけでは
窓術),ペースメーカー植え込みや不整脈手術±静脈血
ないが,消化管の粘膜レベルで蛋白漏出を抑える治療法
流路の術式転換,そしていずれの選択肢も非適応な場合
も有効な場合がある.蛋白漏出性胃腸症の前駆症状とし
には takedown あるいは心移植,などが報告されている.
て,風邪様症状に伴う下痢から発症することが多い.こ
カテーテルインターベンションないしは外科的に,静
のことから,消化管におけるなんらかの感染が,粘膜の
脈血流路に開窓術を行ない,
右→左短絡路を作成すれば,
破壊を来たし,元から拡張していたリンパ管を器質とし
蛋白漏出性胃腸症に治療効果が得られたとの報告があり
79
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
以下の通り記載されている640,641).開窓術により全身へ
行動態の改善によって消化管の状態改善が得られるまで
の静脈還流が増えるため,心拍出が増加する.動脈血の
には時間差を伴うため,蛋白漏出性胃腸症改善の前に,
酸素飽和度は下がるが,心拍出量の増加により組織への
術後の危険な時期を低栄養状態,低免疫能状態のまま切
酸素運搬量の総和は増える.適切な大きさの開窓を作成
り抜けなければならず,様々な合併症を来しやすい.し
することが肝要.大きすぎる開窓は高度のチアノーゼを
たがって蛋白漏出性胃腸症発症後早期の介入が望ましい
来して耐術できないし,小さいと短絡血流が少なく,充
と考えられるが,今後明確な適応基準の確立が望まれる.
分な心拍出の増加が得られない.通常 4 mm ないし 5
蛋白漏出性胃腸症の最重症例においては心移植が行な
mm の開窓で充分な右左短絡となり room air 下の酸素飽
われているが,その結果は明暗様々に分かれる 623,646).
和度が 80 % から 85 % となる.それより酸素飽和度が
移植後も改善しない例の典型的な理由としては,移植が
高い場合は短絡が不十分で,体心室への還流血増加につ
治療の最後の選択肢であるために,移植の時点で発症後
ながらない.開窓術後は多くは血清蛋白濃度が正常化す
の罹病期間がとても長いことが挙げられている.また移
るまでに 6 から 8 週間を要し,その間は引き続きアルブ
植提供心は,免疫抑制剤の副作用から著明な心肥大を来
ミンの補充や利尿剤の投与が必要となる.蛋白漏出性胃
して拡張能が低下しやすい.術後早期の移植心の機能不
腸症のためにフォンタン術後遠隔期に追加で置いた開窓
全,急性拒絶などは右心不全から静脈圧上昇,低心拍出
の場合には,開窓後 4 年以上経過しても 3 mm ないし 4
を来たし,蛋白漏出性胃腸症を招くことにもつながる.
mm 以上の径でひろく開通していることが多い.
拒絶反応が解決し,拡張能が改善すれば,蛋白漏出性胃
フォンタン術後に洞機能障害を来たし結節調律を示す
ことは稀ではない.このとき心房収縮と心室収縮の協調
が失われることから atrial kick が作用せず心室の血液充
腸症は緩解し得る.
まとめ
満が落ち心拍出が低下する.近年 Cohen らは 3 名の患
フォンタン術後の蛋白漏出性胃腸症は未だ充分に病態
者で心房ペーシングにより蛋白漏出性胃腸症が緩解した
が解明されておらず,治療も困難である.完治にいたる
と報告している642).いずれも当初 6 週間以内に血清タン
治療法はいまのところないが,いくつかの治療法により
パク質濃度が正常化した.うち 1 名は再発し,軽い低蛋
症状の改善をみたと報告されている.治療法の選択は重
白血症を来しているが,病気の重症度・症状は軽減して
症度に応じてなされるべきで,利尿剤と蛋白補充による
いる.フォンタン循環における洞調律維持の重要性はい
対症療法と,ヘパリンないしステロイド投与による消化
うまでもなく,洞機能障害を有する例では,ペースメー
管粘膜の保護療法,あるいはフォンタン循環の心血行動
カーの植え込みを考慮する.
態改善を計る治療などがある.血行動態改善の手段とし
蛋白漏出性胃腸症の治療法としてフォンタン手術の静
ては,房室弁逆流や静脈路狭窄など患者個々の特異的病
脈路の形態様式を変更する報告も散見される643−645).理
変に対する治療と,経カテーテルないし外科的開窓術,
論上,心房−肺動脈吻合法後の著明に拡大した右心房を
ペーシング療法・不整脈外科手術,血流路転換術,心移
下大静脈から肺動脈への交通路としていたものを,心外
植などが挙げられる.今後はフォンタン術後の続発症と
導管に置き換えることで,体静脈の流体力学的な血流鬱
しての蛋白漏出性胃腸症の病理病態がさらに解明され,
滞が軽減し,心拍出の増加が見込まれる.これまでの報
より有効な治療方法が確立されることが望まれる.
告はいずれも蛋白漏出性胃腸症例に限った対象ではない
が,術前に蛋白漏出性胃腸症を発症していた症例が含ま
3
3 妊娠・出産
れており,術後は症状が消退したとの記載が見られる.
こういった外科治療に際してはペースメーカー植え込
み,凍結凝固による不整脈手術,開窓術などといった手
技を併せて行なうことが多く,いずれもが血行動態の改
80
はじめに
三尖弁閉鎖や単心室症など,機能的単心室症の患者は,
善をもたらし得るため,静脈血流路の様式転換だけで蛋
自然予後ないしは姑息的手術のみで成人に達することは
白漏出性胃腸症の治療効果があるのか否かは判定が難し
非常に稀で,女性患者がその状態で成人期に到達し得て
い.また治療介入の時期も成否を決める上で重要と考え
も,妊娠出産については母体胎児の危険が高く,避ける
られる.長期にわたる蛋白漏出性胃腸症罹患例では消化
べきと考えられる647).一方,本疾患群における機能的根
管の病変も固定的・永続的となるため,外科治療によっ
治術として Fontan 手術が 1971 年に最初に報告され648),
て得られる血行動態の改善に反応しにくい.さらに,血
以来,術式の改良,適応の確立,周術期管理の進歩など
成人先天性心疾患診療ガイドライン
により,成績向上が得られ,Fontan 手術後に成人期に
管の条件ならびに体心室機能により大きく左右される.
達する患者 cohort は拡大の一途にある649,650).Fontan 術
Fontan 術後遠隔期には,心房性不整脈,心機能低下,
後患者は遠隔期においても,多くは就学,就労し通常の
血栓塞栓症,肝機能障害,肺動静脈瘻,蛋白漏出性胃腸
日常生活を送っているが,比較的良好な経過をたどって
症,など特有の続発症を来す可能性がある.
いる症例においても運動耐用能などの予備力は低く,な
んらかの運動制限を必要とすることが多い651−653).また
Fontan 循環特有の遺残症,続発症を有している場合も少
なくない654).適齢期の女性患者にとっては,妊娠・出産
Fontan 術後の妊娠
−これまでの報告と妊娠前カウンセリングの重要性−
Fontan 手術後患者の血行動態は,上記のごとく,基
の可能性が重大な関心事となるが,Fontan 術後患者は,
礎疾患や,施行術式,遺残症・続発症の有無などにより
その特異な循環動態に起因する多様な問題を合併し得る
様々である.個々の患者の病態に応じて,妊娠出産には
ため,まず個々の患者を診断評価し,その結果から母
母体および胎児になんらかの危険性が伴うものと考えら
体・胎児に予想される危険性について適切に情報提供す
れる.適齢期ないし思春期後期には Holter 心電図,運
ることが求められる.また妊娠分娩に際しては,様々な
動負荷試験や,超音波検査など一通りの血行動態検査を
合併症を回避すべく,産科医や循環器専門医を中心とす
行い,気になる続発症合併症の可能性がある場合には,
るチーム医療によるきめ細かい管理が重要である.しか
心臓カテーテル検査を含めた詳細な評価を行う.心室粗
し Fontan 手術後の妊娠出産に関する情報はいまだ十分
動,持続性上室性頻拍の既往例では,妊娠時には抗不整
ではなく,少数患者の経験をまとめた報告が年々増えつ
脈薬の使用が制限されることなどから,適応があればカ
つあるが,まとまった数のものは非常に限られている.
テーテルアブレーションを妊娠前に行っておく657).静脈
基礎疾患と Fontan 術後循環の特徴・問題点
Fontan 手術は,単心室,一側房室弁閉鎖など機能心
路狭窄や閉鎖可能な遺残短絡などカテーテル治療ないし
外科治療で対処可能な遺残症・続発症も,治療後に妊娠
出産を計画する658).
室が一つの疾患に対して行われる.近年はその適応拡大
Fontan 術後の妊娠出産についての過去の報告は限ら
により,肺動脈閉鎖や重症 Ebstein 奇形などの右心低形
れている.1996 年 Canobbio らは,126 例の女性 Fontan
成例,左心低形成症候群,共通房室弁を有する無脾・多
患者にアンケート調査を行い,110 の回答を得た659).そ
脾症候群など,いわゆる機能的単心室に対する機能的根
のうち 21 症例で 33 回の妊娠があり,その結果 14 母体
治術として広く普及している.多くは体肺動脈短絡術,
に 15 児誕生を得て,他は自然流産 13,中絶 5 であった
肺動脈絞扼術,Glenn 手術などの姑息手術,準備手術を
と 報 告 し て い る . そ の 後 2001 年 Hoare ら 660) は ,
経て Fontan 手術に至る.近年は 1 歳から 4 歳頃までの
Canobbio の報告を含め過去の Fontan 後の児出産例 41 例
Fontan 手術の施行を目標とする施設が多いが,年長児
を集め review している653,661−670).検索し得た範囲では,
や成人例での施行も多く,チアノ−ゼの期間が長いもの
Hoare らの集計後もまとまった数の報告は見あたらず,
ほど全身臓器の機能低下を伴っていることが多い655,656).
2 編の症例報告(2 母体 3 出生児)を確認しただけであ
Fontan 手術の術式には多くの方法があるが,心房を
った 671,672).これらの結果では,上室性不整脈などの妊
分割し心房収縮を利用する心房肺動脈吻合法(APC)と,
娠中の合併症は高率だが母体死亡の記載はない.しかし
心房収縮を利用せず非拍動性肺血流を得ようとする
ながら出生児の在胎週数は記載のあった 23 例において,
Total Cavo-Pulmonary connection(TCPC)に大別される.
25 から 40,中間値 34 週で,12 例(52 %)が早産,さ
TCPC 法には Lateral tunnel 法,心外導管法などの option
らに 6 例が 30 週以下であった.出生体重は,記載のあ
がある.また肺血管抵抗が高い場合には心房レベルでの
った 17 例において,630 から 3200,平均 1700±700 g
右→左短絡路を意図的に残す fenestrated Fontan 手術が行
で,2500 g 以上は 3 例 18 % にすぎない.未熟児におけ
われる.
る出生後の死亡を 2 例に認めた.これら過去の報告例の
Fontan 手術後は,体−肺循環が直列となりチアノ−
結果は出産成功例に偏っているため,危険を過少に評価
ゼ,心室容量負荷の軽減が得られるものの,肺循環心室
している可能性がある一方で,報告が過去にさかのぼる
がバイパスされ,肺血流は受動的な体循環の静脈還流に
分,比較的年長期(Fontan 手術時年齢平均 17±6 歳)
よってまかなわれるため,静脈圧上昇,静脈うっ滞を生
に APC 型 Fontan 手術ないしはそれ以前に行われた RA-
じる.このような Fontan 術後特有の非生理的循環は
RV 間ないし RA-PA 間に弁付 Conduit を間置する術式を
Fontan 循環とよばれ,その心血行動態・QOL は,肺血
施行された症例が大半(術式の記載のあるものの 26 例
81
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
中 23 例)を占めていることなどから今後の集計では成
れみられるもので,ただちに心不全徴候を示すものでは
績向上が見込まれる面もある.
ない.妊娠中はなるべく過大な運動は避け安静を保ち塩
こ れ ま で の 報 告 か ら , Fontan 手 術 後 で あ っ て も
分摂取を抑える.不整脈や心機能悪化の徴候が見られた
NYHAⅠ〜Ⅱ度で,心機能が良好,洞調律が維持され,チ
ら入院安静にする.心機能低下が進行するようならカル
アノ−ゼが軽度といった条件が整っていれば,母体リス
ベジロールなどの抗心不全治療を考慮する660).心房−肺
647,659,661,671)
クは低く,妊娠出産可能と判断される
(表 60)
.
動脈路に狭窄のある例や,中心静脈圧の高い症例,APC
ただし流産(正常妊娠の 2 倍)
,早産,低出生体重児など
型 Fontan 術後長期経過例では,上室性の頻拍を来しや
の頻度は高い(上記)と考えられる.また上記の条件をは
すく,入院治療を必要とする.心房粗細動,持続性心室
ずれた危険因子を有する症例において,妊娠可能か否か
頻拍では電気的除細動を施行するが,胎児にも安全とさ
の境界線を引くことは難しい.これまでの報告では総数
れている.抗不整脈薬の多くは FDA による薬剤胎児危険
が少ない上に,妊娠前の心血行動態についての体系的な
度分類のカテゴリー C,すなわちヒト胎児への危険性が
評価,記述がないため,個々の重症度に応じた危険度分
否定できず潜在的利益が大きい場合のみ使用が容認され
析については今後の大規模多施設調査報告が待たれる.
るものである660).妊娠中は薬剤の至適投与量も変化しや
適齢期には血行動態の評価を行い,その結果を踏まえ
すく,血中濃度や使用効果について頻回に見直す必要が
て,患者本人,患者家族,およびパートナーに適切な妊
ある.ジゴキシンは歴史的に使用経験が多く用いられや
娠前カウンセリングを行う事が大変重要である.妊娠前
すい.アテノロールなどのベータ遮断剤は妊娠初期の使
カウンセリングに関して,Cannobio ら
用により低出生体重を来すとされるが必要により使用さ
659)
の調査では通
常の日常生活を送る Fontan 術後患者 76 例中 50 例で,
れる.ベラパミル,ジルチアゼムの使用は危険とされる.
挙児希望があるにもかかわらず妊娠しないよう勧められ
母体の病態が悪化し,治療によっても改善が見られな
たとされる.しかし術後良好に経過している Fontan 患
ければ,妊娠の中断を考慮する.妊娠 28 週以降であれ
者の妊娠の可能性を評価なしに否定するのは妥当とはい
ば出産を考慮するが,娩出時期については低出生体重児
えない.専門施設で個々の患者の心機能,全身状態評価
の合併症も考慮し risk benefit の観点から決定する.
を行った上,児・母体の危険性を十分説明し,患者と十
分な話し合いをした上で,挙児希望患者には計画的に相
談に乗っていくことが望ましい.
Fontan 術後の妊娠中に起こりうる心血管合併症
・体静脈うっ血
・不整脈(多くは心房粗動ないし上室性頻拍)
表 60 Fontan 術後に妊娠出産が可能と考えられる条件
・心室機能悪化
・NYHA 分類Ⅰ〜Ⅱ 度
・房室弁逆流増加
・心機能が良好
・血栓塞栓症
・洞調律
・奇異性血栓(Fenestrated Fontan 術後などチアノ−ゼを有
する例)
・チアノ−ゼが軽い
Fontan 術後の妊娠中に来しうる合併症とその対処
Fontan 術後患者の妊娠分娩は,専門施設において,
82
表 61
分娩に際しての管理
分娩に際しては,陣痛に伴う心拍出の増加や,麻酔の
循環器内科,高リスク妊娠を扱う専門産科医,専門麻酔
影響,出血の可能性など,最も大きな血行動態の変化が
医らの連携によるチーム医療のもとできめ細かく管理す
もたらされるため慎重な管理を要する.挿管全身麻酔に
ることが望ましい.Fontan 術後の妊娠中に来しうる心
よる陽圧換気は肺血管抵抗を上昇させ静脈還流を障害す
血管合併症を表 61 に示す.胎児への影響を考えスピロ
るため Fontan 循環には不利と考えられ極力さける.腰
ノラクトン,アミオダロン,妊娠早期のワーファリン,
椎麻酔ないし硬膜外麻酔は,心機能や肺血管抵抗に対す
妊娠中期から後期のアンギオテンシン変換酵素阻害剤,
る影響が少なく,十分な鎮痛が得られるため,推奨され
アンギオテンシン受容体拮抗薬の服用は中止する
る666).ただし硬膜外麻酔においても血管拡張作用による
.
673,674)
Fontan 術後は心機能の予備力が少ないため,とくに妊
hypovolemia には注意を要する.体位は左側臥位を保ち,
娠後期の循環血液量の増加に伴う容量負荷を許容し得る
仰臥位は子宮による下大静脈の圧迫から,母体の徐脈や
か否かが懸念される.また凝固能の亢進による血栓塞栓
ショックの原因となるため絶対に避ける.肺循環が受動
症を来しやすい.体静脈うっ血,体浮腫は多かれ少なか
的静脈還流でまかなわれる Fontan 循環においては静脈
成人先天性心疾患診療ガイドライン
還流の減少による循環不全を来しやすいため,必要に応
行う.
じて動脈圧,CVP 持続モニターの下,適正な volume 管
理に努める.出血に際しては遅れのない循環血液量の補
4
4 再手術
正を要する 665,670).また鎮痛剤・鎮静剤の全身投与は呼
吸抑制による低酸素血症や高二酸化炭素血症を来さない
程度にとどめる.α作用を有する血管収縮剤の使用も肺
はじめに
血管抵抗の上昇を来すため避けることが望ましい.上室
フォンタン手術後の生命予後,機能的予後の著明な改
性頻脈など不整脈の既往のある症例では,分娩中も頻脈
善に伴って,フォンタン手術後に成人期に到達する症例
発作を起こしやすく,cardioversion の準備を怠らない
も増加の一途をたどっている.術後長期生存が得られる
.
664)
感染性心内膜炎の予防のため抗生物質を予防的に投与す
ようになった一方で,不整脈,房室弁逆流,心室流出路
る.分娩経路については産科的な適応で判断されるが,
狭窄,心機能低下,血栓塞栓症,蛋白漏出性胃腸症,進
母体の循環への負担軽減を考え,胎児の発育が良ければ
行性チアノ−ゼ,肝機能障害,プラスティック気管支炎
32 週を過ぎれば待機的に C-section で娩出するとの考え
などといった,フォンタン術後特有の続発症に関しても
もある.過去の報告では C-section と経腟分娩がほぼ半
数多く報告されている675−678).Fontan ら679)は,フォンタ
数であった.
ン術後のフォンタン循環不全を来す例は,術後 2 年目頃
Fontan 手術非到達例の妊娠出産
機能的単心室症患者においては自然歴もしくは姑息手
より増え始め,術後 6 年目頃より死亡率が増加傾向を示
すとし,適応に問題のなかったフォンタン術後 5,10,
15 年生存率は,86 %,81 %,73 % であったと報告し,
術術後の状態で child bearing age に到達することは稀で
フォンタン手術が決して機能的単心室患者の
根治的
ある.Fontan 手術に到達していない機能的単心室症患
手術ではないと述べている.Gentles ら
者の妊娠出産は母体および胎児の危険が高い.
500 名のフォンタン術後患者の調査を行い,生存 363 名
Presbitero ら647)は,チアノ−ゼ性心疾患で未修復ないし
のうち 91.1 % は NYHA classⅠないしⅡであったが,術
姑息術後の妊娠について,流産,早産,死産の危険性が
後経過期間が長いほど NYHA classⅢないしⅣとなる症
高いことや,母体にも感染性心内膜炎や脳梗塞,肺梗塞
例が増加すると報告している.一旦なんらかの続発症を
など重篤な合併症が多いこと,特に動脈血酸素飽和度が
来すと,その後は入退院を繰り返し,フォンタン循環の
85 % 以下の場合や多血症を合併していると胎児の危険
維持や改善のために,侵襲的な診断・治療,再手術を余
性が高いことなどを報告している.さらに三尖弁閉鎖な
儀なくされる症例も少なくない681−683).Freedom ら675)は,
いし単心室の 10 例 26 回妊娠の結果では,児の誕生は 8
569 名のフォンタン術後最長 24 年の経過で 86 回の再手
回(31 %)でいずれも未熟児であり,二心室を有する
術があり,5,10,15 年再手術回避率は,88 %,77 %,
チアノ−ゼ性心疾患と比較しても不良な結果が示され
54 % であったと報告している.本稿ではフォンタン術
た.Fontan 手術非到達例の妊娠出産は予後不良であり
後の種々の続発症,合併症に対する,外科的ないし経カ
避けるべきと考えられる.
テーテル的な再治療介入について,これまでの知見をま
まとめ
Fontan 術後に妊娠可能年齢に到達する女性患者は増
680)
は,20 年間
とめ,治療の指針を探る一助としたい.
ペースメーカー植え込み
え続けている.術後良好に経過している例では,妊娠出
フォンタン術後の再手術術式の中で,もっとも多いの
産は可能と考えられるが,個々の症例で基礎疾患,合併
がペースメーカーに関連するものである.Heterotaxy
症・続発症の有無など十分な評価が必要となる.妊娠後
syndrome や,房室錯位の症例など原疾患に起因して,
期の容量負荷増大,凝固能亢進に伴い不整脈,心不全増
洞機能不全や房室ブロックを来たすものと,APC 型フ
悪,血栓塞栓症といった母体の合併症を来す危険が伴う
ォンタン手術などの術後で著明な心房拡大に引き続いて
こと,流産・早産,低出生体重児など児のリスクも高い
心房頻拍,心房粗細動,洞機能不全を来す場合などフォ
こと,など情報提供し,患者,家族,パートナーとの妊
ンタン手術に起因すると考えられるものがある684−686).
娠前の十分なカウンセリングと計画的な妊娠が重要であ
適応:フォンタン手術後は洞機能不全による徐脈性不
る.妊娠出産に際しては,専門施設において循環器内科,
整脈を来しやすい.Cohen らによれば,フォンタン術後
産科医,麻酔医らのチーム医療の下できめ細かい管理を
4 年以上経過した 95 例中 44 % に洞機能不全を認めてい
83
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
る687).Pacing により,運動耐容能の改善が得られるのみ
ならず,bradycardia induced tachcardia の予防にもつなが
るとされる
. ま た フ ォ ン タ ン 循 環 に は AV
688, 689)
synchrony が肺静脈還流に寄与している役割が大きく,
AV block を来している場合,sequential pacing で AV
synchrony を確保することが生命予後改善につながる.
これらによりチアノ−ゼが進行し,運動能低下を来し
たり血栓塞栓症が懸念される場合にはカテーテル治療や
外科治療の対象となる696−701).
fenestration の閉鎖
心房粗動に対する抗不整脈薬治療やカテーテル凍結凝固
適応ならびに方法:開窓フォンタン手術(fenestrated
を積極的に行う際にも,ペーシングによる基礎心拍数の
Fontan)はハイリスクのフォンタン患者において術後急
によれば 500 名のフ
性期を乗り切るための有用な術式である 702−704).人工心
ォンタン患者で術後平均 6 年の観察期間に 46 名 9.2 %
肺使用による体浮腫・肺血管抵抗の上昇,心停止による
がペースメーカー植え込みを要した.適応は洞機能不全,
一過性心筋障害,胸水腹水の漏出,麻酔覚醒時や強心剤
心房粗動を含む心房頻拍,房室ブロックなどであった.
使用による肺高血圧などに対して,fenestration は急性期
不整脈に伴う血行動態の悪化から PLE を来している場
の Fontan 循環不全克服のための安全弁としての役割を
合に pacing により改善があったとの報告もある
確保を考慮する
.Fishberger ら
690)
691)
.ま
果たす.フォンタン手術時に不要と判断した場合には
た最近は心室機能低下を来した症例において,複数リー
snare technique などを用いてその場で閉鎖されるが,そ
ドで心室ペーシングを行い ventricular resynchronization
うでなければ急性期を乗り切りフォンタン循環への十分
をはかることで,心機能の改善が得られることを示唆す
な適応を確認したのち,自然閉鎖しなかったものが
る 報 告 が あ り 6 9 3 ), 左 右 心 室 を 有 す る 例 で 左 右 の
fenestration 閉鎖の適応となる.閉鎖の時期は,フォンタ
dyssynchrony から心不全を来している例の治療手段とし
ン手術後同一入院中か,あるいは術後 6 ヶ月ないし 1 年
ても注目される.
以内に予定される.閉鎖に先立ちまず test occlusion によ
692)
術式・結果:フォンタン手術後では,心室へは経静脈
り心拍出低下や肺動脈圧上昇が許容範囲であることを確
リードの植え込みができず心筋リードの植え込みが必要
認した後に閉鎖される.閉鎖法は APC や lateral tunnel
となる.心房リードは APC 型フォンタン術後では経静
法で ASD パッチや心房内 baffle にもうけられた孔には
脈リードの植え込みが可能だが694),心房内血栓形成の危
ASD 閉鎖用の device が用いられ704),心外導管型フォン
険性があり,fenestration やその他の右左短絡有する場合
タン手術などに対し導管と心房の間に間置された小口径
は禁忌となる.ペースメーカー植え込み周術期ならびに
人工血管には coil occlusion705)が行われる.Meyer ら706)
術後経過は,フォンタン術後患者と二心室修復術後患者
は fenestrated Fontan 139 例中,耐術 129 例で,75 例に
とで有意な差はみられず
device closure を行い,25 例で自然閉鎖したと報告して
,安全に施行できるとされて
695)
いる.またペースメーカー植え込み患者とそうでないフ
ォンタン患者とでフォンタン術後生存率には差がなかっ
た691)と報告されている.
84
動静脈瘻の形成.
いる.
その他の意図しない右左短絡路の閉鎖
フォンタン手術後に造影上,体静脈系から左房ないし
遺残短絡や術後のチアノ−ゼ進行に対する外科的
ないし経カテーテル治療
肺静脈系への造影剤漏出が認められることはまれではな
フォンタン手術後にチアノ−ゼが残存ないし増悪する
前述の通り,短絡路の形態としては,心房内の外科的縫
場合には,次に挙げるようないくつかの機序,血流経路
合線の遺残短絡,体静脈−左房ないし肺静脈間の veno-
が考えられる675).
venous collateral の増大,肝静脈−左房ないし肺静脈間
いが,それが有意な低酸素血症を来すことは少ない675).
1)フォンタン手術に際して意図的に作成された
の短絡,左上大静脈−冠静脈洞の遺残ないし再疎通など
fenestration を通じての短絡血流によるもの.2)APC に
がある.同一症例において二種類以上の短絡路を認める
おける心房間遺残交通や lateral tunnel TCPC などにおけ
ことも稀ではなく,注意を要する.チアノ−ゼが進行す
る心房内 baffle leak などを通じての短絡血流.3)体静
る場合には経カテーテルコイル閉鎖術や,外科的治療の
脈から肺静脈ないし左心房に交通する側副血行路の増生
対象となる682).適応は,明確な線引きは難しいが,低酸
によるもの.4)冠静脈洞ないし左心房に独立して還流
素による運動耐容能低下や血栓塞栓症の危険性が,治療
する肝静脈によるもの.5)左上大静脈遺残が再交通な
介入の risk を上回る場合に限られる.経カテーテル治療
いし増大して冠静脈洞ないし左心房に還流する.6)肺
には運動時の 5 % 以上の動脈血酸素飽和度の低下を条
成人先天性心疾患診療ガイドライン
の肥大は,心室拡張能の低下・拡張末期圧の上昇を来た
件とする記述698)がある.
しフォンタン循環不全の原因となる718).したがって今日
肺動静脈瘻
では,流出路狭窄を来しうる器質的病変をもつ患者にお
フォンタン術後の肺動静脈瘻形成の病態は未だ十分明
いては,狭窄による有意な流出路圧較差を生じる前に
らかではない 707−709).しかしながら臨床上,肝静脈血の
staged approach もしくは Fontan 手術時に外科的狭窄解除
肺循環への流入が阻害された場合に肺動静脈瘻の形成が
を行う.狭窄解除術式は,subaortic conus の肥厚筋切除,
観察され,さらに一旦形成された肺動静脈瘻が,肝静脈
bulboventricular foramen の拡大,Damus-Kaye-Stansel(D-
血を肺循環へ流入させることにより消退するとの報告も
K-S)吻合,palliative artrial switch などといった方法721−725)
散見される 710−713).肺動静脈瘻は進行性かつ予後不良で
が報告されている.
あり,放置すれば 7 年間に 11 % の死亡率と 27 % の著
明な morbidity への進行ありと報告
適応:流出路狭窄を来しやすい疾患群に対する上記の
されている.肺動
ような治療戦略により,最近の報告では Fontan 手術後
静脈瘻の発生は classical Glenn 術後や,left isomerism に
の流出路狭窄発生は比較的少ない 726−727).しかし一旦顕
対する Total cavo-pulmonary shunt 術後など,肝静脈血流
在化してきた Fontan 手術後の流出路狭窄は,比較的早
入が完全に排除された状況に限らず,上葉−下葉間での
期に進行する場合が多く,突然死など重篤な結果を招き
肺血流不均等 715)や吻合のデザインによって生じる肝静
やすいため,期を逸さず外科的狭窄解除を考慮する.患
脈血の肺動脈への左右不均等な流入によっても生じう
者の多くは無症状であるが,駆出性収縮期雑音を聴取す
る.低酸素血症を来たし,コントラストエコーで肺動静
る場合,流出路狭窄を念頭に心臓超音波検査など精査を
脈瘻の存在が確認されれば,肺血流シンチグラムや下大
進める729).安静時に狭窄所見が有意でなくともドブタミ
静脈造影により肝静脈血の左右血流分布を精査する.経
ン負荷エコー検査や運動負荷心電図などで顕在化する場
カテーテル的 Coil embolization は,肺動静脈瘻の形態が
合もあり,疑わしい場合は近接期に再検査するなど早期
diffuse な綿花様のものや,逆に径が太すぎて左房への
発見に努める.
714)
coil の逸脱が懸念されるものでは難しいが,流入血管 5
術式・結果:フォンタン術後の心室流出路狭窄に対す
〜6 mm 径以内のものが数本以内であれば考慮する716).
る手術術式は,経大動脈的に弁下筋切除ないし
原因治療としての外科的再手術(hepatic vein redirection)
bulboventricular foramen の拡大を行う方法が多く採用さ
に際しては乱流をおそれず上大静脈血と肝静脈血を対面
れ る . 刺 激 伝 導 系 は L-transposition で は 前 方 , D-
させ,肝静脈血の左右均等な分布を設計する必要があり,
transposition では後方に位置しており surgical block の発
両側上大静脈の症例ではさらなる配慮を要する 712,713).
生は少ないとされるが,特異な走行を示す場合もある.
再手術後に動静脈瘻が消退した報告は比較的低年齢(2
冠動脈損傷や,狭窄の再発も懸念される730).筋切除を避
〜6 歳)の症例
ける方法としては,D-K-S 吻合術がある.フォンタン時
710−711,713)
であり,reversibility には年齢因
子の関与が考えられる.
心室流出路狭窄
に肺動脈弁ごと縫合閉鎖した場合には人工弁の挿入が必
要となるが,盲端の肺動脈幹に開放していた自己の肺動
脈弁が再利用可能であったとの報告 731)もある.D-K-S
フォンタン術後の心室容積の減少に伴い,心室流出路
後は再狭窄を来しにくいが,大(肺)動脈弁逆流の発生
の狭窄の進行を認めることがある.心室流出路を来しや
が懸念される.その他心室前面と上行大動脈間あるいは
すい疾患群として,Ventriculo arterial discordance を伴う
心尖部と下行大動脈間に弁付き心外導管を挿入する方法
三尖弁閉鎖,大動脈が rudimentary chamber より起始す
がある.
る左室型単心室症が挙げられる.これらの疾患では体心
今日までフォンタン術後の流出路狭窄解除のまとまっ
室と rudimentary camber 間の bulbo-ventricular foramen が
た報告は少ない.Razzouk ら730)は 10 例患者にフォンタ
潜在的に小さく,Fontan 循環到達後の心室容積減少に
ン術後平均 2.5 年時に流出路解除を行い早期死亡 4 例,
伴って必然的に流出路の狭窄を来す.また Taussig-Bing
他の 6 例は筋切除により平均 2 年の経過で再発なしと報
型 DORV や,unbalanced CAVC でも,流出路の延長と
告している.
subaortic conus の筋肥厚など基質を伴っており,心室容
積減少,心肥大により流出路狭窄が進行する.また arch
房室弁逆流
anomaly の合併や肺動脈絞扼術の既往などが危険因子に
房室弁逆流はフォンタン患者の morbidity ならびに
挙げられる717−720).流出路狭窄によって招来される心筋
mortality を左右する732).いずれの治療段階においても,
85
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
有意な房室弁逆流を来した場合,心室機能低下を来す前
胸水腹水を来すことがある.また fenestration のないフ
に外科的治療介入を行う.逆流出現の時期により,多く
ォンタン術後で,フォンタン循環不全により,難治性の
はグレン手術時か,フォンタン手術時に併せて弁形成術
胸腹水の漏出,蛋白漏出性胃腸症(PLE),プラスティ
を行うことで,心室容積・弁輪径の縮小による相乗効果
ック気管支炎などを来し take-down や心移植を考慮する
で良好な弁機能回復が期待できる.弁形成の術式には数
場合がある.このような状況において,外科的ないし経
多くの報告があるが,DeVega 法や Kay 法に準じた弁輪
カテーテル的方法で fenestration を作成することにより,
縫縮術がもっとも用いられる733−737).左室型単心室より
状態ならび生命予後の改善が得られる場合がある744−747).
右室型で,また僧帽弁よりも三尖弁で弁機能低下を来た
fenestration 作成による動脈血酸素飽和度の低下と引き替
しやすいとされる
.また heterotaxy syndrome に伴う共
えに,fenestration を通じての心室への還流血増大ひいて
通房室弁で乳児期より逆流を呈するものは,器質的な房
は心拍出増加を得るため,両者のバランスよく適切な大
室弁尖や弁下組織の構造異常が高度で,形成術は困難な
きさの開窓を作成することが求められる.フォンタン術
場合が多い
後の fenestration の作成は,施行されたフォンタン手術
738)
.Imai ら
739)
733)
は,フォンタン手術を施行し
た 242 例中 99 例に術前Ⅰ度以上の房室弁逆流を認め,
これに対して semi-circular annulo suture による弁輪縫縮
心房内 lateral tunnel 法の Fontan 術後患者 9 例における外
を基本とした弁形成術をフォンタン手術に併用して行
科的 fenestration 作成を報告している.患者は Fenestra-
い,逆流が術前平均 1.6 度から術後 0.4 度に改善が得ら
tion 作成時平均 5 歳,Fontan 術後平均 3 年で,心房内の
れ,フォンタン後に再形成を要したのは 3 例(3 %)で
ePTFE baffle にパンチャーで径 3 mm を複数個か,径 5
あったと報告している.Ohye ら737)は Norwood 手術後に
mm を一個する方法で作成され,PLE や胸腹水に対する
3 度以上の三尖弁逆流を認めた症例に対し三尖弁形成術
有効率 6/9(66 %)であった.有効な fenestration 後で
を施行した 28 例を検討し,遠隔期に 10 例で逆流再発が
は動脈血酸素飽和度が 80〜85 % となり,5 mm の開口
あり,8 例がフォンタン前に死亡し他の 2 例でフォンタ
部が 2〜2.5 年後の心エコー検査でも 4〜5 mm の開口と
ン術後に再形成ないし人工弁置換を行い,一側の弁輪縫
して保たれたと記載されている.Kreutzer ら745)は Atrio-
縮以外の手技を要したもので再発が多かったと報告して
pulmonary connection(APC)ないしは fenestrated lateral
いる.一方でフォンタン手術後の房室弁逆流に関する報
tunnel 法の Fontan 術後早期ないし遠隔期の患者 14 例に
告は少ないが,有意な房室弁逆流は心房の拡大・心房頻
おける経カテーテル的 fenestration 作成/拡張術で,半数
拍を招き,さらには血栓塞栓症ならびに心不全へと進行
が有効であったと報告している.心外導管を用いたフォ
するため,注意深い観察と期を逸さぬ外科治療を要す
ンタン手術後では心房−心外導管間を人工血管で間置す
る
はフォンタン手術後の不整脈手術
るかあるいは直接側々吻合により fenestration を作成す
ないし血流転換術(多くは両方)を施行された 80 例
る748).人工血管には径 4〜6 mm の ePTFE や,径 8 mm
(再手術時年齢平均 20.3 歳,Fontan 術後期間平均 7.1 年)
の人工血管に clip でくびれをつけたものなどが報告 749)
.Mavroudis ら
741)
742)
の中で,房室弁の形成もしくは置換術を行った 15 例に
ついて検討している.僧帽弁 8 例中 6 例(75 %),三尖
弁 7 例中 3 例(43 %)で形成術が行われ,残る 6 例は
されている.
APC 型から TCPC 型への血流転換手術・不整脈手術
弁置換が施行された.僧帽弁形成の 6 例中 2 例で中等度
右 房 − 肺 動 脈 吻 合 術 に よ る Fontan 手 術 ( atrio-
の逆流再発,三尖弁形成の 3 例中 2 例で中〜高度の逆流
pulmonary connection: APC)施行例では,術後に,右房
再発を認め,形成には人工弁輪の縫着や cleft 閉鎖,
の進行性拡大,右房における血流欝滞,右房内血栓,肺
Alfieri 法743)などが有効であったとしている.危険因子
静脈圧迫,心房性不整脈を来す.その結果,フォンタン
と し て 大 動 脈 遮 断 100 分 以 上 , 25 歳 以 上 , お よ び
循環不全,運動耐容能の低下,さらには蛋白漏出性胃腸
heterotaxy が挙げられ,僧帽弁では形成を試みるが,形
症などの続発症を来たし,QOL の著しい低下につなが
成可能か否かの見極めが大切と結論づけている.
る.このような APC 型フォンタン手術後の血行動態の
Fenestration の作成
開窓フォンタン(Fenestrated Fontan)術後の患者で,
86
の術式によってもアプローチが異なる.Rychik ら744)は
悪 化 し た 症 例 に 対 し て , Total Cavo-Pulomonary
Connection:TCPC 型の手術に血流転換手術を行うこと
により,状態の改善が期待できる.多くの場合には心房
fenestration が自然閉鎖した場合に,動脈酸素分圧上昇と
性不整脈を伴っていることから,心房の不整脈回路に対
ともに静脈圧の上昇,心拍出低下,進行性の体浮腫増強,
する凍結凝固およびペースメーカー植え込みなども考慮
成人先天性心疾患診療ガイドライン
導管法とで比較して成績に差がなかったとする報告 764)
する必要がある.
適応:血流転換手術の適応や至適施行時期など明確な
もあるが,理論的には心外導管を用いた方では,拡大し
基準は未確立である.しかしながら APC や,それ以前
た右房壁を前回の縫合線なども含めてより大きく切除で
の心房−肺動脈間に弁付き導管を用いた術式,Bjork 法
き,心房に残る縫合線が短くなるとし,同法への転換が
など,心房を体静脈血流路として利用したフォンタン手
主流となっている753).
術術後で,拡大した右房内の血栓形成,内科的治療抵抗
術前の不整脈の既往の有無にかかわらず不整脈手術の
性の不整脈,拡大した右房による肺静脈の圧迫,冠静脈
併用が推奨されているが,術式は施設により異なる757,761).
洞の圧上昇を伴う中等度の心室機能不全などといった,
Mavroudis ら755)は,いわゆる isthmus ablation だけでは心
フォンタン術式や拡大した心房に起因する続発症を伴う
房頻拍の再発予防が不完全(再発率 50 %)であったこ
場合は,まず TCPC 血流転換術を行うことにより血行
とから,術中心房 mapping を行い APC 型 Fontan 術後の
動態の改善が期待できる
心房頻拍の発生部位として,1)冠静脈洞開口部と IVC
.その他,体静脈−肺動
750−755)
脈血流路の狭窄性病変や房室弁逆流,心室流出路狭窄な
開口,右側房室弁輪に囲まれた部位(isthmus),2)
ど,外科治療介入で改善が見込まれるフォンタン循環不
ASD patch 閉鎖部位,3)右房側壁(縫合線),の 3 カ所
全を来す器質的病変を伴う場合には,それらに対する手
を挙げている.これらすべてをブロックする術式として
術とともに積極的に TCPC 血流転換を行う良い適応と
右房 maze 変法を行うことで改善が得られた(再発率 0
考えられる.
%)と報告している.また心房細動には左房側への切開
TCPC 血流転換に併用される不整脈手術に関しては施
と cryo ablation を加えた maze-Cox III 法765)採用し,14
設により適応や術式が異なる.初期の報告で TCPC 血
名中 4 名には周術期の頻脈発作はあったがその後は再発
流転換術のみ行った場合には,不整脈の再発ならびにそ
なしと報告している.しかしながら左房切開をおいて左
れによる morbidity が高率に発生した
とされる.拡張
側 maze を行うと大動脈遮断時間も長くなるため手術侵
した心房を前回の切開線とともに可及的に切除し,不整
襲とのバランスを考慮し心房細動にも右房側 maze にと
脈に対して cryo-ablation を加えて,心外導管型 TCPC に
どめる施設もあり 763),結果は 1/3 で再発があったが
血流転換する方法が,血行動態的にも不整脈予防の観点
medication で抑えられたと報告している.
757)
からも優れているとする報告が多い
.
757−761)
一方で,明確な目標病変がないが循環不全を来してい
TCPC 血流転換+不整脈手術に,ペースメーカー植え込
みを定型術式として取り入れる施設も多い 755,761).フォ
る症例において,TCPC 血流転換によってどの程度の改
ンタン術後の洞機能不全,徐脈性不整脈は稀ではなく760),
善効果が得られるかは難しいところである.内因性の心
また逆に頻脈性不整脈を来した場合に,ペーシングによ
筋障害により高度の心機能低下を来している例や,中等
って最低脈拍数が確保されればソタロールなどの抗不整
度の肺血管抵抗の上昇と中等度の心機能低下から運動能
脈薬の血中濃度を安全に治療域まで上げることが可能と
低下を来している例,右房は高度に拡大しているが狭窄
なる759).
や不整脈は来していない例などが適応の境界となる.こ
その他併用される術式には,拡大した右房壁の切除,
ういった症例においては,術前状態が悪化してからでは
肺動脈の拡大形成,心房内血栓摘除などが挙げられる.
血流転換術を耐術できない懸念があり,risk-benefit の観
その他は,患者特異的な有意病変(房室弁逆流や流出路
点から心移植も選択肢に含めて検討する必要がある762).
狭窄)に対する手術がこれに続く.TCPC 血流転換に際
これまでの大きなシリーズでは,心房性頻脈性不整脈と
して fenestration が追加されることは少なく,過去の例
進行する心不全を適応とするものが多く,ついでフォン
では 0 % 〜12.5 % であった.
タン血流路の狭窄,胸水貯留,拡大した心房による肺静
結果:早期死亡率 0〜20 %,経過観察期間 1.5〜2.3 年
脈狭窄,蛋白漏出性胃腸症,心房内血栓などが挙げられ
で,遠隔死 1/40 例〜1/21 例,心移植への移行 1/31 例〜
ている753,755).施行時期はフォンタン手術後平均 11 年か
3/40 例,不整脈再発率 12.5〜27.3 % である753,755,757,763,766).
ら 13 年で,術前 NYHA class はⅢないしⅣが過半数を
上記の結果より TCPC 血流転換術は比較的安全に施行
占める
できる術式で,術後は良好な結果が期待できる.フォン
.
762,763)
術式:血流転換後のフォンタン術式としては,心房内
baffle を用いた lateral tunnel 型 TCPC,心房内に人工血
タン循環不全により症状を呈する場合,可及的早期の介
入を考慮すべきと考えられる.
管を用いた方法,人工血管を心外導管として用いた方法
などがこれまで報告されている.Lateral tunnel 法と心外
87
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
心移植
ドナー心不足が著しい本邦では適応は極めて限られる
20
大動脈縮窄,離断症
と考えられるが,フォンタン手術後に心室機能不全によ
り重篤なフォンタン循環不全や難治性の不整脈,PLE
をきたした場合,最終治療手段として心移植が選択され
る場合がある681,767−770).
適応:Mavroudis ら755)は,弁逆流,体肺血流路狭窄,
定義および病型
大動脈弓に狭窄あるいは途絶のあるものをいい,通常
不整脈など治療で改善が見込まれる合併病変が乏しい高
縮窄あるいは離断部は動脈管流入部もしくはそれより中
度の心機能低下例では心移植を選択すべきとし,フォン
枢側に存在する.狭窄部は限局性のものから,広範な大
タン循環不全を来した 40 名の患者に TCPC 血流転換と
動脈弓低形成のものまであり,狭窄の程度も高度なもの
不整脈手術を行った同一期間(1994-2001 年)中に,そ
から軽度なものまで様々である.他の心内奇形を伴わな
れ以外の患者で移植のリストに回ったのが 5 名であった
いものを単純型といい,成人期に発見されるものの多く
と報告している.論文では心機能低下についての定量的
は単純型である(図 20-A).他の心内奇形を合併するも
な記載はなく,現時点では低下した心機能が回復可能か
のを複合型といい,新生児乳児期に発症し,早期に手術
否かの判断が難しいが,今後さらに症例を重ねることで
が施行されていることが多い771).
TCPC 血流転換か心移植かの選択区分がより明確になる
・合併心血管系病変772−773)
ことが期待される762).Gamba ら770)が報告しているフォ
大動脈二尖弁
ンタン後の心移植 14 名における適応理由は,治療抵抗
先天性心疾患
性 PLE:7 例,心室機能不全を伴う治療抵抗性上室性不
(動脈管開存症,心室中隔欠損症,完全大血管転位症,
整脈:5 例,心室機能不全による心不全で強心剤依存状
大動脈弁下狭窄症,僧帽弁狭窄症,単心室症等)
態:2 例であった.
結果:Carey ら768)の報告する 9 例(成人 4,小児 5)
では 3 例(33 %)が手術死亡,他の 6 例は 0.5〜4.7 年
の観察で生存している.Gamba らの 14 例では,早期死
大動脈弓部分枝異常
頭蓋内動脈瘤
臨床像および自然歴
亡 2 例(拒絶反応,脳合併症各 1),遠隔死亡 2 例(拒
新生児あるいは乳児期にみられる代表的な臨床像は合
絶反応)で,他の 10 名は平均経過期間 5.3 年で NYHA
併する心疾患に起因する心不全症状と,動脈管の閉鎖に
classⅠであった.PLE 患者では 7 名中 2 名を失ったが他
起因する
は心移植後平均 10 ヵ月時に血清蛋白値の正常化が得ら
人期にみられる主な臨床像は上肢高血圧,下肢の脈拍減
れている.
弱等である.未治療の場合,次第に左心不全をきたし,
フォンタン患者の移植後の早期死亡率は,他の先天性
心疾患患者や心筋症の患者の死亡率よりも高い.患者の
ductal shock
である771).学童期以降から成
平均死亡年齢は 34〜35 歳程度とされている772−773).
・主な死亡原因772−773)
多くは術前状態不良で,栄養状態も良くない.多くは複
大動脈(瘤)破裂あるいは大動脈解離
数の既往手術歴があり術後出血のリスクも高い.複雑な
脳内出血
肺動脈形成や体静脈,肺静脈の形成が必要となることも
感染性心内膜炎
多い.蛋白漏出性胃腸症の患者が対象となる場合,移植
うっ血性心不全
後もすぐには緩解しないが,急性期を乗り越えた後の成
急性心筋梗塞
績は良好である.
手術方法,成績,予後
乳児期手術例ではほぼ全例で縮窄部切除+端々吻合法
や鎖骨下動脈フラップ法など自己組織のみの大動脈再建
が可能である.大動脈弓低形成を伴う症例では拡大大動
脈弓再建術を行う必要がある.学童期以降に手術を行う
場合は縮窄部切除+端々吻合法を行うことが出来ず,人
774)
工血管置換を余儀なくされる症例も存在する
(図 20-B)
.
88
成人先天性心疾患診療ガイドライン
パッチ拡大法は遠隔期に動脈瘤が高頻度に形成されるた
大動脈弓部・峡部での縮窄の有無と程度,ドプラー法に
め現在では殆ど行われていない775).バルーンによる拡張
よる縮窄部での流速を測定するが,成人の大動脈縮窄症
療法も一部の施設で行われているが,遠隔期に動脈瘤形
ではエコーウインドウが狭く,評価が困難な場合がある.
成が高頻度に見られるとの報告もあり,未手術の大動脈
縮窄症に対する初回治療としてのバルーン拡張術は一般
的な治療法としては確立していない
.
771,776)
最近の手術成績は新生児・乳児例777−778),成人例779−780)
A-e)3DCT もしくは MRI
大動脈形態を詳細に評価することができ,心血管造影
781)
検査を回避できることもある(図 20-A)
.
ともに非常に良好である.複雑心疾患を合併しない症例
の生命予後は比較的良好である.術後遠隔期に認められ
A-f)心臓カテーテル検査
る合併症として,修復部の再狭窄や動脈瘤の形成,高血
狭窄部での圧較差を測定する.圧較差 20 mmHg 以上
圧,大動脈弁膜症,比較的早期に出現する冠状動脈病変
を有意な縮窄と定義する.血管造影検査により大動脈形
等が挙げられる
態を評価する.
.乳児早期の手術例で再狭
772,774,779,781−783)
窄を生じやすい傾向がある.また,手術時の年齢が 5 歳
合併心疾患の診断と重症度を評価し,治療方針を決定
以上,特に成人期に達している場合は術後に血圧が正常
する.早発性冠状動脈疾患のリスクがあるため,40 歳
化しないことが多い784−785).
以上の症例に対しては,冠状動脈造影も行う772).
遺残病変の管理
B)治療法
1)非手術例あるいは術後症例における縮窄の遺残
大動脈縮窄症に対する修復術後の再狭窄率は 10〜15
% と報告されている
.非手術例と同様,再狭窄例
783,786)
年齢に関係なく長期的に続く高血圧症を伴う有意な大
動脈縮窄(非手術例,術後症例に関わらず)は症状の有
無に関わらず治療が必要である.
においても狭窄の程度を正確に評価し,適切な管理を行
う必要がある.
B-a)外科治療
未手術の大動脈縮窄症に対しては外科治療が第一選択
となる.
A)診断法
成人の場合,可能なら縮窄部切除端々吻合,大動脈の
A-a)身体所見
右上肢と下肢で安静時血圧を測定し,上下肢血圧差の
授動が困難であれば人工血管置換術の適応となる(図
有無を確認する.軽度の縮窄遺残の場合は,安静時の上
20-B).乳児早期での手術の場合,通常は単純遮断下で
下肢血圧差が殆どなく,トレッドミルやマスター等運動
大動脈の修復が行われるが,乳児後期以降〜成人期の手
負荷試験後に血圧差が明らかになる.血圧差は側副血行
術では脊髄保護(対麻痺予防)の観点より左心バイパス
の発達の程度にも影響を受け,血圧差は必ずしも縮窄の
や F-F バイパス等の補助手段を併用する必要がある.成
程度を反映しない.縮窄の程度により背部(肩甲骨周囲)
人の場合,術後に上下肢ともに高血圧を生じる症例があ
に収縮期雑音が聴取される
り,注意深い周術期管理が必要である.
.
787−793)
近年,一部の施設で成人の非手術例に対するステント
A-b)心電図
上肢の高血圧や大動脈弁疾患を反映し,左室肥大の所
見を呈する.
留置も試みられ,良好な成績が報告されているが,現在
のところ長期成績は不明である776,795−796).
既に手術が行われ,再狭窄をきたした症例に対しては
縮窄部のバルーン拡張術が第一選択であるが,バルーン
A-c)胸部 X 線
拡張術が無効な場合,手術適応となる 797−798).通常は縮
乳児期には特徴的所見に乏しく,重症度に応じて心不
窄部の人工血管置換術が行われるが,癒着や側副血行の
全,心拡大,肺うっ血像等が見られる.成人期には拡大
発育による大量出血が危惧される場合等に,上行大動
した肋間動脈による肋骨下部侵食像(rib notching)が見
脈−下行大動脈間に非解剖学的バイパス術が行われるこ
られることがある794).
ともある774,799).
乳児期に人工血管を用いて弓部再建が行われている症
A-d)心エコー検査
断層心エコー法による左室壁肥厚の程度を評価する.
例では,身体の成長に伴い相対的な狭窄が進行する.こ
の場合も人工血管の再置換術もしくは非解剖学的バイパ
89
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
図20-A
図 20-B
16 歳女性 単純型大動脈縮窄症の 3DCT 画像.弓部全体がやや
低形成で,左鎖骨下動脈より中枢側に限局性の縮窄部が認められ
る.また,左鎖骨下動脈起始部に動脈瘤が形成されている.本症
例は右上肢の高血圧と下肢の脈拍微弱が認められた.
本症例に対して,左心バイパス使用下に遠位弓部人工血管置換術
を施行した.左鎖骨下動脈起始部に動脈瘤が形成されていたため
左鎖骨下動脈も人工血管で再建した.術後上下肢の圧差は減少し,
下肢の脈拍も良好に触知されるようになったが,上下肢ともに高
血圧の状態となり,現在 ACE 阻害剤を内服中である.
ス術が選択される800).
り行う.手術は通常,人工血管置換術が行われる.
B-b)内科治療
B)大動脈弁・弁下狭窄
併存する高血圧症を治療し,左室肥大や冠状動脈疾患
等の早期進行を予防することを目的とする
.降
794,801−802)
大動脈弁は二尖弁であることが多く,狭窄病変は術前
から合併する場合は勿論のこと,術後に進行する場合も
圧剤として ACE 阻害剤やβブロッカーが有効であるが,
多いので綿密な経過観察が必要である.また大動脈縮窄
有意な狭窄病変が残存している症例では狭窄部より末梢
解除術後,上行大動脈圧が減少した後,大動脈弁狭窄が
の血圧低下をきたす可能性を考慮して ACE 阻害剤は使
顕在化する場合もありうる 772,774).これらの点を考慮し
用しない.
た上で治療戦略をたてる必要がある.弁狭窄に対してバ
大動脈縮窄症患者の最も一般的な死亡原因は高血圧に
ルーン形成術や直視下弁切開術が行われる.弁下狭窄や
起因する動脈硬化性病変であることから,綿密な降圧療
弁逆流の有無等により Ross 手術,Ross-Konno 手術,左
法とともに他のリスクファクターのコントロールも積極
室流出路筋の切除術等が選択されることもある.
的に行うべきである.
C)上行大動脈瘤,解離性大動脈瘤
2)合併病変の管理
必要に応じて人工血管置換術が行われる.
A)修復部の動脈瘤
バルーン拡張術やパッチ形成術後に多くみられ
る775,796).診断は心エコー,CT,MRI 等の画像診断によ
90
D)頭蓋内動脈瘤
大動脈縮窄症例の 5〜10 % に合併するとされている.
成人先天性心疾患診療ガイドライン
診断法としては,非侵襲的で明瞭な画像が得られる MR
報告されており,過度の運動は控えるよう指導すべきで
angiography が第一選択となる.MR angiography はスク
ある792,806).
リーニング検査としてのみならず,繰り返し行えること
からフォローアップにも有用である.適切な降圧療法を
行い,必要なら外科治療を考慮する803).
再手術適応
大動脈縮窄症術後遠隔期に再手術適応となるのは再縮
窄,動脈瘤,大動脈弁あるいは弁下狭窄などである.ま
3)妊娠出産の管理
妊娠が予測される女性は妊娠前に手術を行っておく必
た頻度は低いが大動脈気管支瘻による喀血や Valsalva 洞
動脈瘤破裂等が報告されている807).
要がある.有意な縮窄を有する場合,妊娠中の高血圧,
心不全,脳血管障害,大動脈解離のリスクが高くなる.
1)再縮窄
また未手術の妊娠女性に対する降圧療法は縮窄部より末
心不全症状,高血圧を呈する場合に加え,上下肢血圧
梢の低血圧を生じ,胎児・胎盤の血流低下から流産,胎
差 25〜30 mmHg 以上がカテーテル治療または外科的修
児死亡をきたす可能性が生じる.縮窄が解除された術後
復の適応とされる.通常まずカテーテル治療が行われ,
症例の場合は胎児・胎盤の血流低下をきたすことなく,
カテーテル治療が無効な症例に対して外科的修復術が選
綿密な高血圧治療を行うことができるため,妊娠・出産
択される797−798).
のリスクを著しく低下させることができる.大動脈瘤を
合併している症例の妊娠は禁忌である804−805).
2)修復部の動脈瘤化
大動脈縮窄症修復後に動脈瘤を生じる症例の大多数は
4)運動制限
バルーンによる拡張療法後あるいはパッチ拡大術後の症
高血圧に起因する動脈硬化性病変の進行を予防すると
例である.これらの症例に対しては最低 1 年に 1 回は
いう観点より,適切な降圧療法,食事療法,規則正しい
CT もしくは MRI による経過観察を行い,動脈瘤の拡大
生活習慣とともに,適度の運動療法を行うことが望まし
傾向が認められれば外科的治療を行う必要がある772,796).
い772).しかしながら,術後の経過が良好で安静時には全
く上下肢圧差がない,あるいは全く正常血圧を示す症例
であっても運動時には高血圧を呈する場合があることが
3)大動脈弁・弁下狭窄
各々の疾患に対する手術適応に準じる.
91
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2004-2005年度合同研究班報告)
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