ベンチャーサポート税理士法人

ベンチャーサポート税理士法人
1
『物語でわかる!失敗しない会社設立10のルール』
目次
はじめに
失敗しない会社設立のルール1
「資本金の額」
失敗しない会社設立のルール2
「事業年度」
失敗しない会社設立のルール3
「青色申告」
失敗しない会社設立のルール4
「役員報酬」
失敗しない会社設立のルール5
「源泉所得税」
失敗しない会社設立のルール6
「経費性」
失敗しない会社設立のルール7
「創立費」
失敗しない会社設立のルール8
「経費性」
失敗しない会社設立のルール9
「融資」
失敗しない会社設立のルール10
「助成金」
おわりに
特別付録1「会社設立の基本的な流れ」
特別付録2「私の起業は他の人の起業と違うのか
〜データで見る最近の会社設立〜」
特別付録3「成功する起業の原点 ベンチャーサポート流事業計画書」
特別付録5
音声特典「不景気時代に会社を守る方法①」
DES(デッドエクイティスワップ)
特別付録6
音声特典「不景気時代に会社を守る方法②」
リスケジュールで毎月の返済額を減額する
ベンチャーサポート税理士法人
2
はじめに
こんにちは、税理士・行政書士の中村です。
本レポートをダウンロードしていただきましてありがとうございます。
私は税理士・行政書士として、東京と大阪で「ベンチャーサポート税理士法人」という会
計事務所を展開しており、主に起業家の方をサポートしています。
今まで(平成22年8月現在)で、約800社の会社設立のお手伝いをしてきましたが、
その経験を通じて一つの事実に気付きました。
それは「会社設立には正しい設立と間違った設立がある」ということです。
そしてもし「間違った設立」をしてしまえば、何百万円という大きな損をしてしまうので
す!
「間違う」と言っても「法的に手続きを間違う」というわけではありません。
法的に間違ったら会社はできませんからね(笑)
「間違った設立」とは、
「法律的には問題なくても知らなかったために損をする」という意
味です。
具体的には設立後の税金や助成金を考えた設立をしていないということです。
市販されている、いわゆる「会社設立の本」にはこういったことは書かれていないことが
ほとんどです。
そんな「間違った設立」をしないために絶対知っておかなければいけない10のルールを
今回のレポートで書かせていただきました。
難しい表現を使わずに、ストーリー形式で書きましたので会社設立のことをあまりご存知
ベンチャーサポート税理士法人
3
ない方でも簡単にご理解いただけるかと思います。
また用語解説も随所に入れておりますのでご参照ください。
巻末にはおまけとして
特別付録1
「会社設立の基本的な流れ」
特別付録2
「私の起業は他の人の起業と違うのか〜データで見る最近の会社設立〜」
特別付録3
「成功する起業の原点
特別付録4
音声特典「不景気時代に会社を守る方法①」
ベンチャーサポート流事業計画書」
DES(デッドエクイティスワップ)
特別付録5
音声特典「不景気時代に会社を守る方法②」
リスケジュールで毎月の返済額を減額する
の5つをお付けしました。
お役に立てるところがあれば幸いです。
そしてこのレポートが設立を目指す起業家のみなさんのお役に少しでも立てれば、日々会
社設立の現場に立つ者としてはこの上ない幸せに思います。
それでは夢を実現するためにぜひご活用ください!!
ベンチャーサポート税理士法人
4
失敗しない会社設立のルール1
「資本金の額」
Aさんは10年近く勤めた会社を先月末に退職し、ついに念願の会社設立へと踏み出しま
した。
業務内容はHPの作成。
システム作成やウェブデザインからSEOなどのコンサルティングまでをワンストップで
提供することがウリです。
そのために優秀なメンバーも揃ってます。
給料は高くなりますが、すべてを社内で完結させるためには必要なことと割り切っていま
す。
その分機材等の初期投資を抑え、運転資金もあまりかからないように自宅の一室を事務所
として使う予定です。
そして経費節減のため会社設立も自力で頑張ることにしました。
会社名や本店所在地、事業目的等を決めていくと徐々に自分の会社ができる実感が湧いて
きます。
さて次は資本金の額。
Aさんはふと考え込みます。
「資本金か〜。新会社法になっていくらでも良くなったんだよな〜。よし、じゃあドンと
1000万にしよう!資本金が1000万と言えば大きな会社のイメージを持ってもらえ
そうだしな」
意気揚々と資本金を決めたAさん。
しかしこの決定が1年後にAさんを後悔させることになるのです。
ベンチャーサポート税理士法人
5
時間は流れ1年後、Aさんの会社も無事第1期の決算を迎えました。
第1期は売上高こそ5000万円ほど上がりましたが、予想以上に厳しい業界の状況によ
り少し赤字のフィニッシュです。
しかし、人件費以外は徹底的な経費削減を行ったので、Aさんとしてはそれなりに満足の
いく第1期の数字です。
そして何より赤字なので税金はほとんど出ないはず・・・でした。
Aさん:「第1期は残念ながら赤字ですね。でも良い勉強ができましたので第2期はいけま
すよ」
会計事務所:「それは何よりです。あとは税金を支払えば第1期は終わりですね」
Aさん:「と言っても赤字なので、ほとんど0でしょう?」
会計事務所:「いえ!第1期の税額は200万円になりますよ」
Aさん:「2、200!!どういうことですか??だって今年は赤字ですよ!」
会計事務所:「ええ、そうですね。確かに法人税はかかってません。この200万円は消費
税ですよ」
Aさん:「え!でも会社を作って2年間は消費税はかからないんじゃ?」
会計事務所:「それは資本金が1000万円未満の会社の場合だけですよ。Aさんの会社は
資本金が1000万ですよね。であれば、消費税がかかってくるんです」
Aさん:「そんな・・。知らなかった・・・・・。」
安易に決めてしまった資本金の額。
ベンチャーサポート税理士法人
6
その結果、Aさんは支払わなくてよかったはずの消費税を負担することになりました。
消費税は新設法人の場合、2年間の免税が認められています。
ただしこれは資本金が1000万未満の会社の場合のみ。
Aさんは1000万円にしてしまったため、2年間の消費税、約400万円を損してしま
ったのです。
それにしてもこの話に出てくる会計事務所は良くない事務所のようですね。
税金の額を決算終了するまで伝えないのは問題です。
概算であっても「いつ、いくらくらいの税金が出るのか」は早めに社長に伝えなければい
けません。
そんな悩みをお持ちの社長さんはぜひベンチャーサポートへご一報を。
ベンチャーサポートでは毎月「納税予定カレンダー」をお渡ししていますよ!(笑)
【ルール1】
消費税の免税を受けるためには資本金は1000万円未満
にせよ!
〜用語解説
「資本金」〜
資本金とは株式会社が株主から出してもらう事業の元手となるお金のことです。
経営者は株主から出してもらったこの「元手」を運用して利益をあげ、そのお礼として配
当を渡すという仕組みになっています。
ベンチャーサポート税理士法人
7
新会社法になり資本金の額の制限がなくなり1円から会社を始めることができるようにな
っています。
中小企業では株主が社長も兼ねる「オーナー企業」のことが多いですが、中小企業の社長
が会社に自分のお金を入れるのには、他に「借入金」という方法もあります。
「資本金」と「借入金」との違いは借入金は会社が返済する義務があるのに対し、資本金
は返済するものではないという点になります。
〜用語解説
「法人税」〜
法人の1年間の利益に対して課税される税金。
狭い意味では国税の「法人税」を指しますが、
実務上は地方税である「法人住民税」と「法人事業税」の3つと合わせて呼ぶこともあり
ます。
3つあわせた場合、法人の利益の約40%が税金として取られます。
赤字の場合は、「法人税」と「事業税」は0になり、「法人住民税」の均等割だけがかかっ
てきます。
都道府県によって異なりますが、7万円〜8万円の場所が多いようです。
▼失敗しない会社設立&税金相談ならベンチャーサポート税理士法人へ!
http://www.venture-support.jp/mitumori/soudan.html
ベンチャーサポート税理士法人
8
失敗しない会社設立のルール2
「事業年度」
Bさんは大手企業に勤めるサラリーマン。
多くの同僚が一生を同じ会社で働くことに疑問を持たない中、Bさんには秘かな野望があ
ります。
それは「自分の会社を作る」こと。
事業内容もネットでの通信販売業をしようと決めてます。
独立起業セミナーにも多く参加したBさんは、
「通信販売業は取り扱う商品が命だ」と気付
き、他社があまり扱っておらず、かつ粗利も高いような
ニッチ商品
を探し続けてきま
した。
これだという商品に巡りあえてから独立をしようと考えていたB社長ですが、なかなか出
会えないまま時間だけが過ぎていってしまいます。
そんなBさんに突然の転機が舞い込んできます。
会社の「早期退職者募集」。
時期は3月末まで。
冬のボーナスをもらい、1月に辞表を提出し、引継をしても3月末には間に合いそうです。
Bさん:
「これはきっと神様が後押ししてくれているんだ!このチャンスを逃してしまって
は独立の機会はない。よし、勝負だ!!」
事業プランはまだまだこれから固めるところが多くありますが、成功する自信はあります。
そして、Bさんは数年来の夢であった「独立して自分の会社を持つ」という数年来の夢に
向かって踏み出したのです。
辞表提出、引継、送別会、と順調に手続きは進み、予定通り3月には退社する運びになり
ベンチャーサポート税理士法人
9
ました。
さて、完全にフリーになったBさんは、念願の会社を作ることから始めることにしました。
会社名、本店所在などの設立要項を順調に決めたBさん。
事業年度についても深く考えずに3月決算に決定しました。
もともと大手企業に勤めていたBさんにしてみれば、決算は3月であることが当然だった
からです。
3月半ばに会社を設立してとりあえず第1期は3月末で終了とし、気分を一新して4月か
ら会社を動かすことにしました。
それでも1ヶ月で独立祝いのように知り合いが買ってくれましたので、100万ほど売上
が上がったのは予想外の快進撃でした。
しかしこれが後々でBさんを後悔させることになります。
4月になり、5月になり、6月になりましたが、「これだ!」という商品に出会えずBさん
もだんだん焦りが出始めます。
そしていつの間にか暑い夏を迎えたころ、ついにBさんは運命の商品と出会います!
他社があまり取り扱っておらず、ニッチで粗利も高い商品。
まさに理想の商品でした。
読みどおりこの商品は大ヒットを飛ばします。
第1期が終わり、第2期が終わり、そして第3期を終えようとするころ、この商品のおか
げでBさんの会社は完全に軌道に乗っていました。
売上は月500万円を突破。
ベンチャーサポート税理士法人
10
ホクホクの第3期決算を迎えられそうです。
会計事務所:「第3期が終わりましたね。会社を作って正味2年でこんなに売上が上がるの
は素晴らしいです」
Bさん:「ありがとうございます。ただ、利益も残りました。法人税がだいぶ取られますね
〜。第4期からは3年目に入りますので消費税が本格的にかかりますよね」
会計事務所:「何を言ってるんですか、Bさん。消費税は今期からかかりますよ。約300
万円ほど納めてもらうことになります」
Bさん:「ええ〜!なぜです??まだ会社を作って2年と半月。消費税がかかるといっても
半月分じゃないんですか!!」
会計事務所:「Bさん、それは違います。消費税の免税期間は2年ではなくて、 2期
で
す。Bさんの会社は第1期が1ヶ月間でしたから、免税期間は13ヶ月で終わってたんで
すよ」
Bさん:「そんな不公平だ・・・」
Bさんにとって3月末決算というのは当然のことでしたが、今回のように3月近くに設立
する際には避けるべきでした。
上場企業以外のベンチャー企業の現場では事業年度はバラバラなのが常識。
設立直後の会社の基盤が固まらない間はちょっとでもお金が残るように、消費税の免税期
間を最大限受けられる事業年度にするのが良策です。
どうしても3月末にこだわるのであれば、消費税の免税期間である2期をしっかり享受し
たあとで第3期になってから事業年度変更という手もあります。
そのことを考慮して事業年度は決定してください。
ベンチャーサポート税理士法人
11
【ルール2】
消費税の免税期間は
2年
ではなく
2期
!
免税を最大限受けられるように第1期の事業年度はできる
かぎり長くせよ!
〜用語解説
「事業年度」〜
事業年度とは法人にとっての1年間のことで会計年度とほぼ同義です。
いつから始まりいつ終わるかは自由に設定できます。
大企業は 4/1〜3/31 を事業年度にしていることが一般的です。
この事業年度が終わると「決算」を行い、1事業年度の法人税などを納めることになりま
す。
〜用語解説
「消費税」〜
消費税とはモノが消費されたときやサービスが提供されたときに、消費者が負担する税金
です。
納税方法は消費者が直接納めるのではなく、モノを売ったりサービスを提供したりする会
社が消費者から預る形を取って消費者に代わって納税します。(間接税と言います)
また会社で仕入れや経費に支払いをすれば、その金額の5%は相手が納める消費税ですの
で控除されます。
つまり消費税は売上の5%を預りもの(仮受消費税)とし、支払った金額の5%を払った
消費税(仮払消費税)として、その差額を納めることになります。
▼失敗しない会社設立&税金相談ならベンチャーサポート税理士法人へ!
http://www.venture-support.jp/mitumori/soudan.html
ベンチャーサポート税理士法人
12
失敗しない会社設立のルール3
「青色申告」
Cさんは名の通ったシステムエンジニア。
自分のスキルの高さを武器にシステム作成の会社を設立しました。
Cさんの技術力は業界でも評判で、大きなシステムの依頼が設立前からガンガン舞い込ん
で来ます。
とにかく忙しい。
会社設立もネットで見つけた司法書士の先生に頼み、全部マル投げで作りました。
「司法書士の先生は会社設立のプロだ。マル投げでお願いしておいても問題ないだろう」
そう、Cさんはこのように思っていたのです。
そして会社が出来上がったことで安心してその後の税務署や市役所への設立届けを出すの
を忘れてしまったのです。
結局Cさんは設立をした後、あまりの忙しさに税理士を探す余裕がなく、税理士と顧問契
約ができたのは設立してから4ヶ月が経ったときでした。
設立から1年。
設立前に受注した大型のシステム開発案件は納品まで1年以上を要する大型案件で、まだ
引き渡せていません。
売上金の入金もシステムを納品後と決まっていました。
結局Cさんの会社は第1期は売上が全く上がらず、家賃や消耗品費などの経費だけが経常
され赤字でフィニッシュです。
赤字額は1000万円の大赤字。
ベンチャーサポート税理士法人
13
でも第2期はシステムの納品が決まっているので、1000万の黒字になる見込みです。
これらは全部Cさんの想定の範囲内のことなので、1000万という赤字も特に気にして
いません。
なにより、Cさんは「繰越欠損金の損金算入」という制度を知っています。
この制度は法人で出た赤字はその次の事業年度から7年間以内の黒字と相殺できるという
ものです。
つまり、今期の1000万の赤字は、来期の1000万という大きな黒字と相殺になり、
結局第2期も税金が発生しないのです。
Cさんはそう思ってましたので赤字も全く痛くなかったのです。
さて、はたして思惑通りにいったのでしょうか?
Cさん:「今年はやはり大赤字で終わりましたね〜。でも安心してください!来期は100
0万の黒字が確定してますから。」
会計事務所:「そうですか!心配してましたよ。安心しました。ですがそうなると第2期は
税金が心配ですね」
Cさん:「ははは!大丈夫じゃないですか、今年の赤字の1000万は繰越ができるんでし
ょ。そうしたら来期の1000万の黒字と相殺してちょうど0ですね」
会計事務所:「Cさん、残念ですがそれは無理なんですよ。
」
Cさん:「ええ!!なんでなんです?!」
会計事務所:「Cさんは会社を作った後3ヶ月以内に出さなければいけない『青色申告の承
認申請書』を出していなかったですよね。」
Cさん:「は、はい。」
ベンチャーサポート税理士法人
14
会計事務所:「赤字を繰り越す制度は青色申告の法人にだけ認められている特典なので、期
限内に青色申告の承認申請をしなかったCさんの会社は赤字を繰り越せないんですよ」
Cさん:「そんな・・、でも司法書士の先生が設立をしてくれているんですよ!司法書士の
先生はプロなんだからミスはないでしょう??」
会計事務所:「はい、確かに設立の手続きは問題ありませんでした。でも税務署への届出書
の提出は設立後のことなので司法書士の先生には責任はないのですよ。」
Cさん:「じゃあ・・・、来期は1000万の40%の400万の税金が取られるというこ
とですか・・・・。」
会計事務所:「残念ながらそういうことになります」
Cさんはこの言葉を聞いて目の前が真っ暗になっていきました。
しかしこの話は実は良く耳にする話なんです。
たしかに司法書士の先生に任せておけば会社の設立は完璧です。
しかし、設立後のフォローは別問題。
とくに税金面は専門外です。
そこまで司法書士の先生に求めるのは無理な話です。
ですので、設立して一安心していてはいけなかったのです。
この他にも青色申告の届出ができていないと、10万円以上30万円未満の消耗品を買っ
たときに、1年で全額経費にすることが認められません。
減価償却の特例などの有利な規定を受けることができなくなってしまいます。
そもそも青色申告でない法人は社会的に信用を持ってもらえません。
ベンチャーサポート税理士法人
15
銀行なども白色申告の法人は相手にしてくれないのです。
青色申告でなくなることは「百害あって一利なし」の最悪の状況なのです。
Cさんはキチンとしていれば納めなくてよかったはずの税金を、来期400万も納めるこ
とになりそうです。
【ルール3】
法人設立したら税務署への届出があることを忘れるな!
〜用語解説
「青色申告」〜
税金の申告の仕方は「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。
「青色申告」とは、日々の取引を正しく簿記のルールにのっとって会計帳簿をつけ、その
根拠となった書類を保存している場合には、優遇措置を認めた有利な申告を認めるという
制度です。
主な優遇措置には、
① 損失が出た場合にその損失を7年間まで繰り越すことを認め、将来に利益が出たときに
は利益と損失を相殺することを認める
② 30万円未満の資産は1年で全額経費に落とすことを認める
③ 特定の資産を取得した場合、通常よりも多くの減価償却をすることが認められる(特別
償却)
④ 税務調査で税務署が更正処分をしようとすると、その理由を付記しなければならない。
などがあります。
特に①と②は重要です。
ただし青色申告は会社が設立されてから3ヶ月以内に自分で税務署に届出書を提出しなけ
ればいけません。
ベンチャーサポート税理士法人
16
もし届出ができていないと自動的に優遇措置のない白色申告になってしまいます。
ちなみに青と白の由来は、税務署から送られてくる申告書が青色申告だと青色の用紙が、
白色申告だと白色の用紙が送られてくることによってます。
〜用語解説
「繰越欠損金の損金算入」〜
青色申告をしている法人に認められる有利な制度で、法人が損失を出してしまった場合
に、その損失を7年間繰り越せる制度。
例えば、第1期に1000万の赤字を出し、第2期が500万の黒字、第3期も500万
の黒字とすると、第2期と第3期の500万の利益は第1期の赤字と相殺されて法人税が
発生しない。
もし白色申告であれば、第2期と第3期の黒字が相殺されないので、第2期・第3期とも
に約200万円の税金が発生し、合計約400万円の法人税が発生することになります。
▼失敗しない会社設立&税金相談ならベンチャーサポート税理士法人へ!
http://www.venture-support.jp/mitumori/soudan.html
ベンチャーサポート税理士法人
17
失敗しない会社設立のルール4
「役員報酬」
Dさんは営業会社でバリバリの営業成績を残してきた優秀な営業マンです。
大学を卒業してから8年、手がけた商品は多種にわたります。
携帯電話、電話回線、コピー機、
これらの商品は利益率が高い分ライバルも多く実力が問われるところです。
そんな中、常に素晴らしい実績を残してきたDさんは、周囲にも一目置かれる存在です。
そして30歳になった今、自分の力を試し、またもっとお金を稼ぐために自分の会社を設
立する決意を固めました。
営業会社のサラリーマン時代、Cさんは常に「出来高給」という厳しい環境に身を置き、
日々緊張感を持って仕事に取り組んできました。
それはときには苦しくて逃げたいと思うときもありましたが、
今振り返ってみると自分を成長させる良いプレッシャーになったと思ってます。
Dさん:
「これからは俺が社長だ。自分の給料は自分で決めることができるんだよな。でも、
ここで固定給にしてしまうと楽な方向へ流れてしまう。役員報酬はこれからも出来高に応
じて取っていこう!」
Dさんは独立して社長になったあとも緊張感を失わないために出来高給で役員報酬を取る
ことにしました。
会社を大きくするために敢えて取ったこの選択。
しかしこれが誤った判断だと気付くことになるのは1年後のことです。
1年後、Dさんの会社は思い描いていた以上に順調に売上を上げていきました。
第1期は売れない月もありましたが、その次の月には鬱憤を晴らすかのような大きな売上
ベンチャーサポート税理士法人
18
を上げました。
それに対応して役員報酬も上下しました。
悪い月では10万円のときもありました。
しかし良い月では300万取った月もあります。
年収でならすと第1期の役員報酬は2000万!
2000万取ったあとの税引き前利益は30万残りました。
この数字はDさん自身も満足のいくものでした。
そして30万の利益なら法人税は20万円くらいになるとDさんは計算しています。
Dさん:「税金が20万円くらいならかまってる暇はないな。
それより今月の売上を上げることに全力を注がなければ!」
Dさんは決算のことは頭の端に追いやり、第2期の売上アップに意識を集中することにし
ました。
そして納税の期限がせまり、会計事務所が税額を計算してきました。
会計事務所:「1年間お疲れ様です。今日は第1期の税額が決まりましたのでお知らせに来
ました。」
Dさん:「ありがとうございます。自分でも計算したのですが20万くらいですか?」
会計事務所:「いえ、それが・・。」
Dさん:「あれ?もうちょっと高いですか?」
会計事務所:「ええ、税額は800万ほどになります」
Dさん:「は、は、800!!冗談はやめて下さい!利益が30万なのに何故税金が800
ベンチャーサポート税理士法人
19
万なんですか!」
会計事務所:「Dさん、今年は役員報酬を月ごとに変動させましたよね。」
Dさん:「はい、確かに実績に応じて役員報酬を変えましたが、それが何か?」
会計事務所:「税法では役員報酬は1年間定額でなければいけないとなっているんですよ。
もし変動させた場合は、その1年間で一番低い金額がその年の役員報酬になってしまいま
す。そして差額は全部経費と認めれないんです。」
Dさん:「ということは、私の場合は10万円が1年間続いたということですか?」
会計事務所:「はい。そういうことになります。Dさんの1年間の役員報酬は年収で120
万円になりますので、2000万との差額の1880万は税金がかかるんです。
」
Dさん:「そんな・・・・・。」
Dさんは言葉を失ってしまいました。
出来高給の営業マンだったDさんにとっては給料は変動するのが当然のこと。
定額では甘えが出ると思い導入した役員報酬の変動制ですが、
完全に裏目に出てしまったようです。
法人税法では役員報酬は「定時定額支給」が原則。
つまり「毎月同じ金額を役員報酬として取る」必要があるのです。
もし変動させてしまった場合、その事業年度で一番低い役員報酬が1年間続いたものとさ
れます。
そして実際の役員報酬との差額は「役員賞与」とみなされ、経費として認められません。
非常に危険な失敗ですのでご注意ください!
ベンチャーサポート税理士法人
20
【ルール4】
役員報酬は一度決めたら1年間変更できない!!
〜用語解説
「役員賞与」〜
役員に対する賞与は法人税法では損金になりません。
つまり役員賞与は払わなかったものとして利益を計算し、法人税がかかるのです。
さらに、経費にならないのにも関わらず「源泉所得税」という税金はかかります。
このように設立したすぐの会社では役員に対する賞与は出さないのが基本です。
▼失敗しない会社設立&税金相談ならベンチャーサポート税理士法人へ!
http://www.venture-support.jp/mitumori/soudan.html
ベンチャーサポート税理士法人
21
失敗しない会社設立のルール5
「源泉所得税」
Eさんはゲームのデザインやシステムを作る会社に10年間勤務するサラリーマンです。
納品先のゲームメーカーからも部下からも信頼を集める敏腕プロデューサーで、
社内でも将来を羨望される存在でした。
一見順風満帆なEさんにある日突然降って湧いたような危機が襲い掛かりました。
「情報漏洩疑惑」です。
ライバル会社が発売したゲームが、制作中のゲームと瓜二つなのです。
特に問題となったのが、Eさんしか知らないはずのデザイン。
今回のゲームの目玉となっていたのは斬新なデザインでした。
そのデザインがライバルのゲームで使われていたのです!
その結果、疑惑はEさんに集中することとなったのです。
Eさんは役員会議に呼び出され、集中砲火で攻められました。
身に覚えが全くないEさんは、もちろん猛反論。
しかし、役員の疑惑は深まるばかりです。
Eさんの部下以外の社内全員が疑いの目でEさんを見るなか、
ついにEさんは会社を去る決心をするに至ります。
会社を去る最後の日、失意にうちひしがれたEさんに部下から思いもよらない事実が伝え
られます。
部下:「Eさん、真犯人がわかりました。どうやら役員の一部の人たちがEさんが役員に昇
格するのを妨害するために仕組んだようです。
」
ベンチャーサポート税理士法人
22
Eさん:「なんだって・・。そんなバカな・・・。」
部下:
「Eさん、私たちも一緒に会社を辞めます。こんな会社のために働く気になりません。
Eさんが社長になって会社を立上げませんか!」
Eさん:「そうだな、一度キリの人生。勝負を賭けてみよう!」
こうしてEさんは、状況に追われるようにして会社を設立する運びになりました。
このような経緯で独立したEさんが考える会社のモットーは「社員を大事に」です。
Eさんの部下15人がEさんを頼って新会社に転職してきました。
新会社はEさんの人脈やメンバーのレベルの高さではじめから順調に売上を上げていきま
す。
その分給料もはずみますが、Eさんにとっては心地よい経費でした。
会社を設立して半年ほど経ったある日、税務署から電話がかかってきます。
税務署:「社長、役員報酬や給料は出ていませんか?」
E社長:「ええ、出ていますが。それがどうかしましたか?」
税務署:「では源泉所得税の納付が漏れていますね〜。」
E社長:「え?!税金の通知は何も来てなかったですよ!」
税務署:「はい、源泉所得税は通知や納付書を毎月送ったりしません。役員報酬や給料を支
払えばその役員報酬や給料の所得税を翌月10日までに納めていただかないといけなんで
すよ。」
E社長:「そんな税金があったんですね・・・。知らなかったです・・・。」
従業員の給料は手厚くしていました。
ベンチャーサポート税理士法人
23
残業代も含めて平均すると一人あたり月給40万。
Eさん自身の役員報酬は月100万です。
その役員報酬や従業員の給料にかかる源泉所得税として
180万円の税金を徴収されました。
さらに不納付の罰金が18万円のおまけ付きです。
資金繰りの予定になかった200万円近い税金は痛い出費です。
源泉所得税の怖いところは、基本的に税務署から申告書などが送られてこないところです。
会社を作った一番最初に1年分くらいの納付書が入った封筒が送られてきますが、
その後は何も来ません。
毎月自分で計算して納付しなければいけないのです。
知らないまま会社を運営していくと痛い目にあう税金です。
「給料を払ったら翌月10日には源泉所得税」を忘れないようにしてください。
【ルール5】
給料や役員報酬を出したら翌月の10日までに源泉所得税
を納める!
〜用語解説
「源泉所得税」〜
源泉所得税とは役員報酬や給料にかかる税金のことで、毎月支給時に天引きしておいて
翌月10までに自分で納付書を記載して納めます。
ただし、給与の支給人員が常時9人以下の会社は届出を提出すれば6ヶ月分をまとめて納
付する「納期の特例」を選択することもできます。
ベンチャーサポート税理士法人
24
納期の特例を提出した場合、源泉所得税は毎年1月と7月に半年分をまとめて納付するこ
とになります。
▼失敗しない会社設立&税金相談ならベンチャーサポート税理士法人へ!
http://www.venture-support.jp/mitumori/soudan.html
ベンチャーサポート税理士法人
25
失敗しない会社設立のルール6
「経費性」
「F社長、これは経費にならないですよ!」
会社ができて初めての決算。
F社長は会計事務所との打ち合わせで驚くべき言葉を耳にします。
F社長は人材獲得のコンサルタントとして中小企業に採用の仕方をコンサルタントしてい
ます。
会計事務所が経費にならないと言ってきたのは
「スーツ代」
「時計代」「かばん代」「くつ代」「クリーニング代」です。
コンサルタントにとってスーツや時計はまさに「販促ツール」。
良いスーツを着ていないとお客の受けも悪いのです。
F社長:「先生、なぜですか?コンサルタントにとってはスーツの良し悪しが売上に結びつ
くんですよ。事業性がある経費じゃないですか?」
会計事務所:「社長、気持ちは良くわかります。でもね、法人の経費には認められないので
す。あと、この社員旅行代として計上している旅行代もダメです。」
F社長:
「これは社員全員で行ったものです!全員参加しているならば経費に落ちるんじゃ
ないんですか?」
会計事務所:「F社長、それは家族以外の一般の従業員がいる場合です。たとえ社員全員と
言っても家族だけの会社では経費は認められません。同じ理由で健康診断と忘年会の経費
もダメです。
」
F社長:「健康診断もですか?!経営者は体が資本なんですよ〜」
会計事務所:「あとは・・・、結婚祝いも親戚に対するものなのでダメ。英会話スクールも
ダメ。個人の生命保険料もダメ。あ、あとスポーツジムもダメですね〜」
ベンチャーサポート税理士法人
26
F社長:「そんな、ほとんど経費にならないじゃないですか!!なんとかならないんです
か??」
会計事務所:「ん〜、無理ですね〜。経費にしておいても税務署が後から追徴するだけです
よ。さらに言いますと、会社名義のクレジットカードで買っているものは
役員賞与
と
して源泉所得税の対象になる可能性がありますよ」
F社長:「そんな〜経費にならないばかりか、逆に余計な税金が出るんですか?」
会計事務所:「はい、今の経費を全部合計するとざっと200万円ほどですので、約80万
円の法人税になりますね。もし役員賞与と言われますと追加で45万円ほど覚悟してくだ
さい。」
F社長:「ええ〜、いまさらそんなお金は残っていませんよ〜」
F社長に悪気は無かったのですが、多くの経費を否認されてしまいました。
法人税だけでなく源泉所得税も出るかもしれません。
なぜなら、会社の通帳やクレジットカードから支払った経費は「賞与」と税務署が判断す
るかもしれないからです。
1期目は他にも何が経費になって何が経費にならないかがわからないと思います。
ここで挙げたのは「勘違いの多い主な経費」だけです。
実際は他にも経費にならないものは多くあります。
逆に、一見経費らしくなくても経費になるものもあります。
そういった意味では1期目はこまめに会計事務所に相談しておく必要がありますね。
そして正確に決算利益を見据えて、正しい節税をしましょう!
ベンチャーサポート税理士法人
27
【ルール6】
経費に落ちるものと落ちないものは複雑。
自信のないものは専門家に確認すること!
〜用語解説
「経費性」〜
法人の経費になるものとは、簡単に言えば「売上を上げるために直接必要なもの」です。
この「直接必要か否か」は税務調査で常に論議の的になるのですが、過去の慣習から絶対
に経費に入らないものもあります。
ただ、一概に全ての業種で同じ条件というわけではありません。
例えば、「ハワイへの渡航代」は、普通の業種ならばプライベートなものとして否認されま
すが、「ハワイに支店を持つレストラン経営者」や「ハワイに写真撮影に行くカメラマン」
は経費になります。
経費になるかどうかの判断は専門家に確認するのが無難です。
▼失敗しない会社設立&税金相談ならベンチャーサポート税理士法人へ!
http://www.venture-support.jp/mitumori/soudan.html
ベンチャーサポート税理士法人
28
失敗しない会社設立のルール7
「創立費」
「法人の経費にするためには法人名義で領収書を貰わないといけない。」
これは常識ですね。
でも例外があるのをご存知ですか?
それも会社を作る人が必ず一度は使う経費です。
それは「創立費」です。
今回は創立費の取り扱いを知らなかったG社長の話です。
G社長は実直で真面目が取り柄です。
勤めていた会社が倒産したことで、自分でシステム設計の会社を立ち上げました。
しかし、会社が設立するまでの間にもGさんの前職からの取引先は注文を出してくれます。
これもGさんの人柄の賜物なのでしょう。
Gさんも期待にこたえるべく設立前にも関わらず全力で取り掛かります。
必要な設備を一式揃えて。
Gさんのようにスキルがあって、真面目な人柄の社長の会社は伸びるもの。
1期目が終わるころにはGさんの会社は利益が出ました。
会計事務所:「第1期というのに利益が出ましたね〜。素晴らしいことなのですが、これか
ら税金が大変ですよ」
G社長:「まぁ仕方ないですね。覚悟はしていますよ」
ベンチャーサポート税理士法人
29
会計事務所:
「ところで会社設立前に買ったパソコンやソフトウェアの領収書を出してくだ
さい。経費に入れておきますので」
G社長:「ああ、あれは個人名の領収書だったので捨てましたよ。経費にならないから残し
ておいても仕方ないですからね」
会計事務所:「捨てちゃったんですか!会社ができる前でも、会社を作るために使った領収
書は経費に落ちるんですよ」
G社長:「そうなんですか!100万ほどかかったけど捨てちゃいました・・・」
どうやらG社長は名義が法人でないため経費に入れられないと思ってたようですね。
システム設計のような業態はいったん動き出せば毎月のコストがほとんど発生しません。
しかし最初には特殊なパソコンやソフトウェアなどに多額のお金がかかります。
それも会社ができる前に発注しないと間に合わないような特殊なものが多くあります。
このような場合、「創立のための経費」つまり「創立費」として法人の経費に入れることが
認められています。
他にも登記印紙代や移動の交通費、ハンコ代、打ち合わせ代などは創立費に入れることが
できます。
ただし、なんでもかんでも創立費にはできません。
なんにせよ一度は会計事務所に確認してみてから領収書ははずすようにしましょう。
ベンチャーサポート税理士法人
30
【ルール7】
設立前に会社のために払った費用は経費になる!
領収書を残しておくこと。
▼失敗しない会社設立&税金相談ならベンチャーサポート税理士法人へ!
http://www.venture-support.jp/mitumori/soudan.html
ベンチャーサポート税理士法人
31
失敗しない会社設立のルール8
「生命保険」
会社を設立すると多くの業者さんが営業に来ます。
ダイレクトメールや営業電話もガンガンかかってきます。
どこで情報を掴んだのだろうと思いませんか?
実は会社の謄本は法務局に行くと誰でも見ることができるのです。
生命保険の勧誘員もその一人です。
ピンポ〜〜ン。
H社長:「はい、どちらさまでしょうか?」
生命保険勧誘員:「○△生命の×□と申します。今日は社長さんに生命保険のご提案に上が
らせてもらいました。」
H社長:「うちは結構です。間に合っていますから」
生命保険勧誘員:「そうですか〜、節税にも役立つお得な保険なんですが」
節税?
税金が安くなるのか!
H社長は節税には非常に興味を持ってます。
そういえば以前市販の書籍で生命保険が会社の経費になるという内容を読んだ記憶があり
ます。
H社長:「じゃあ、話だけ聞きます。話だけですよ」
生命保険勧誘員:「ありがとうございます!」
ベンチャーサポート税理士法人
32
H社長は「節税」という甘い言葉に心を動かされて生命保険の勧誘員さんを部屋に入れて
しまったようです。
こうなると、もう勧誘員の思うツボです。
話だけ聞いておこうと思っていたH社長ですが、
知らず知らずのうちに勧誘員のペースに飲まれていきます。
提案されたのは、最近発売された新商品の生命保険。
支払った全額が経費になる上に、
5年目以降は解約すれば返戻金が払い込み金額の150パーセントになるという商品です。
すごくお得なプランのような気がしてきます。
それどころか、今入らないと大損をするような気になってきました。
保険料は毎月10万円に設定しました。
毎月10万円の保険料は安くない金額ですが、
年間120万円が経費になって、いずれ返って来るのであれば我慢もできるというもので
す。
生命保険勧誘員:「では契約書のここに自署押印をしてください。健康診断の日程はあさっ
てで良いですね」
H社長:「あ、はい。これでいいですか?健康診断ね、あさって、あさっては・・・。あ、
大丈夫です!」
生命保険勧誘員:「でもH社長、よかったですね〜。会社を作ってすぐに新商品の有利な節
税ができたじゃないですか!ヨーロッパでは一般的なタイプの商品なんですが、日本初登
場ですよ。うちが外資系生保だからこそ提案できたんです!」
H社長:「ありがとうございました。いやぁ〜、人の縁って大事ですね〜」
ベンチャーサポート税理士法人
33
H社長、すっかり有頂天ですね。
この生命保険が後日H社長を真っ青にさせます。
時は過ぎて1年後、会計事務所との決算打ち合わせ。
会計事務所:「H社長、この生命保険の保険証書を拝見できますか」
H社長:「ああ、はいどうぞ。」
会計事務所:「・・・・ん〜〜、H社長、この生命保険は経費にならないタイプですね」
H社長:「ええっ!いや加入するときに生命保険会社から経費になると言われました
よ!!」
会計事務所:「この保険、今年の税制改正で取り扱いが変わったんですよ。加入時は経費だ
ったんですけどね・・」
H社長:「そんな説明聞いてませんよ。生命保険会社の落ち度です。税金分を請求できます
よね!!」
会計事務所:
「いやぁ〜、無理でしょうね。この保険証書の規約のほら、ココ見てください。」
『今後、税務の取扱い等が変わる場合もございますので、記載の内容・数値等は将来にわ
たって保証されるものではありません。』
H社長:「そんな・・・。
」
じつは生命保険に関する税制はしょちゅう改正されます。
いままで経費になっていたものが急に経費にならなくなるということもよくあります。
特に「新商品」と言われる保険については、税制のメスが入っていませんので入る可能性
が高いです。
ベンチャーサポート税理士法人
34
生命保険会社の販売員には悪気はないでしょう。
会社が力をいれて販売するように指示する新商品を、
本当に役立つと思って勧めているのです。
生命保険については事前にかなりの税法の知識は必要になります。
自分で自衛するしかありません。
甘い話には落とし穴があるもの。
お得な生命保険を知ってもすぐに加入せず、
税理士などに相談してから加入するようにしましょう。
【ルール8】
生命保険は税制改正が怖い。専門家に確認してから加入す
ること!
〜用語解説
「法人契約の生命保険」〜
法人契約の生命保険は解約をするとお金が戻ってくるタイプのものがあります。
このタイプは一部だけ経費に落ちるタイプが主流で、全額落ちるものは今後税制改正が入
る可能性があります。
生命保険はしょっちゅう税制改正が入ります。
生命会社が新商品を出すと追いかけっこのように後から改正するからです。
十分に検討してから入ってください。
▼失敗しない会社設立&税金相談ならベンチャーサポート税理士法人へ!
http://www.venture-support.jp/mitumori/soudan.html
ベンチャーサポート税理士法人
35
失敗しない会社設立のルール9
「融資」
さてここまでは「税金」という視点から有利な設立や不利な設立について見てきました。
今回は「融資」という視点から、設立や第1期決算をどのようにすれば有利になるのかに
ついてみていきます。
I社長はインターネット関連の会社で10年勤務した後、自分の会社を持ちました。
事業内容はネイルサロン。
お店はおしゃれな通りに運よく空き物件を見つけました。
設立時の資本金は1円。
会社法改正で資本金1円から設立できるようになっています。
I社長は資本金の大きさに興味がなかったため、
最低の資本金である1円で会社を作ったのです。
そして実際に事業用資金が不足したときは「役員借入金」として、
会社に貸す形を取ってきました。
ネイルサロンは思っていた以上にお金がかかります。
内装、備品、人件費、広告費、家賃・・・。
それに対して売上は競合も多く思った以上に伸びません。
1期目が終わるころになると、社長のお金だけでは足りなくなり、
親戚からも借りる始末。
逆に利益が出ないため役員報酬を取ることもできず、
生活費は会社の口座から借りるような形になっていました。
ベンチャーサポート税理士法人
36
そして1期が終わると同時にI社長は銀行へ駆け込みました。
I社長:「すいません、融資をお願いしたいのですが」
銀行マン:「はい。ではまずは決算書を拝見できますでしょうか?」
I社長:「これです」
銀行マン:「・・・・・。Iさん、この決算書では到底融資は望めませんね」
I社長:「あの、やっぱり赤字だからでしょうか?」
銀行マン:「確かに1期目の赤字は痛いですが、それ以前に融資に向かない決算書になって
ますね」
I社長:「?決算書で融資に向くものと向かないものがあるのですか??」
銀行マン:「そうですね、はっきりとはお伝えできませんが、この決算書では無理ですね」
I社長は赤字が原因で融資を受けられないと思ったようです。
たしかに赤字は大きなマイナス要因です。
しかし「赤字が出た=融資が不可能」というわけではないのです。
銀行が融資を決定する際に見ているポイントは他にあるのです。
これは銀行ごとにも異なります。
その中でもどこの銀行でもまず見てきているポイントをご紹介しましょう。
その中には「会社設立」のときに知っていれば有利になった点もあります。
例えば資本金。
ベンチャーサポート税理士法人
37
銀行は融資の際に貸借対照表の「純資産の部」を重視します。
「純資産の部」というのは
「資本金+繰越利益(−繰越損失)+当期利益(−当期損失)」
で算定されます。
この値がマイナスになるといわゆる「債務超過」と言われる状態です。
債務超過になると融資の土俵にはまず上れません。
つまり多少赤字が出ても設立時の「資本金」が大きければ
債務超過にはならなくて済んだということです。
I社長のように資本金にこだわりがないという人が最近多くなっています。
確かに1円でも会社は作れるようになりました。
しかし資本金1円で会社を作ってしまうと銀行融資上は大きなマイナスのハンデを負った
と考えてください。
さらにI社長は生活費のために会社からお金を借りています。
いわゆる「役員貸付金」です。
これも銀行の融資上は大きなマイナスになります。
それであれば生活費分を役員報酬として取って、
赤字のほうがまだマシというものです。
融資に向いた決算書はココでは言い尽くせないほど奥の深い話です。
今回は「純資産の部」と「役員貸付金」の2つについてご説明しましたが、
もっと詳しい内容についてはまたの機会にしたいと思います。
ベンチャーサポート税理士法人ではこういった融資のノウハウも多く持っています。
ベンチャーサポート税理士法人
38
融資を考えた会社設立の方はぜひベンチャーサポートへ!
【ルール9】
融資を念頭においた会社設立、会計処理をしないと融資を
受けるのは難しい!
〜用語解説
「社歴の浅い会社の融資」〜
融資とは銀行などの金融機関からお金を借りることですが、設立して第1期や2期の会社
は直接銀行から融資をしてもらえるわけではありません。
社歴が浅いうちは「政策金融公庫」からの融資や、「保証協会」を経由した融資がメインに
なります。
簡単に言いますと「政策金融公庫」は国が全額出資している政府系金融機関で規模の小さ
い会社に対して融資をしてくれます。
「保証協会」とは都道府県や市が運営する協会で、「公的な保証人」になってくれる組織で
す。
万一返済が不可能になった場合に債務者に代わって保証協会が銀行に弁済しますので、銀
行はリスクが少なく融資を実行できるというメリットがあります。
その代わりに債務者は保証協会に「保証料」を支払わなければいけません。
詳しくは融資レポート「税理士がこっそり教える融資の裏事情」をお読みください。
▼失敗しない会社設立&税金相談ならベンチャーサポート税理士法人へ!
http://www.venture-support.jp/mitumori/soudan.html
ベンチャーサポート税理士法人
39
失敗しない会社設立のルール10
「助成金」
「助成金」
良い響きですね。
簡単に言うと「国がただでプレゼントしてくれるお金」のことです。
みんな欲しいものです。
しかし助成金を貰うにはいくつかの要件があるのです。
その中には「いつまでに申請するのか」という時間的な要件もあります。
他の要件をクリアしているのに知らなかったため期限までに申請しなかった場合は本当に
もったいない。
J社長は残念ながらそのケースにはまってしまいました。
J社長はブランド品のリサイクルショップ経営で独立。
独立の動機は実は前向きな独立ではありませんでした。
前職の大手リサイクルショップが不況のあおりで倒産。
40を超えているJ社長は再就職を探しますが、それも難しく、遂に決意した独立です。
しかし前職で長い間店長をしていたJ社長はリサイクルショップ成功の秘訣を熟知してい
ます。
それは店舗の場所と内装と人。
どれだけ人通りが多い場所に出店できるか。
どれだけ明るい雰囲気の店舗内装を作れるか。
ベンチャーサポート税理士法人
40
J社長は毎日足が棒になるまで歩き続けました。
そしてとうとう人通りが多い駅前の良い空き物件を発見したのです。
内装も勿論手を抜きません。
イメージどおりお洒落なデザイナー風の仕上りです。
結局かかった費用の総額は600万近くになりましたが満足のいく投資です。
店舗の契約もあったため、J社長は早速法人を設立し代表取締役に就任。
新しい人生の船出です。
数ヵ月後、軌道に乗り出したJ社長は従業員も雇いいれて、着実に事業を拡大していきま
す。
会計事務所が持ってきてくれる決算書を見ると、どうやら黒字でいけているようです。
しかし、手元にお金がない。
ブランド品のリサイクルという商売上、高価なブランド品を現金で買い取らなければいけ
ないのです。
その商品が売れるまでは「お金」は「在庫」という資産に形を変えています。
どんどん買い取らなければ商売はできません。
結果的に利益は出ていても、いつもキャッシュが不足している状態が続きます。
そんなとき、以前の同僚と話す機会がありました。
この同僚も独立してブランド品のリサイクルショップを経営しているので、良い情報交換
になると思い楽しみにしていました。
ベンチャーサポート税理士法人
41
そこでJ社長は驚くべき話を聞くことになるのです。
同僚:「どう?最近は?」
J社長:「きついね、キャッシュが。試算表を見ると黒字ではあるみたいなんだけど、買取
でどうしてもキャッシュが先に出て行ってさ」
同僚:「わかる、わかる。うちも同じだよ。やっとこの間、助成金が200万降りてきて一
息つけたところだよ」
J社長:「助成金?そんな良い物があるのか?どうすれば良いんだ?」
同僚:「どうすれば良いって、お前、知らなかったのか??会社を作るまえに手続きしとか
ないと手遅れだぜ!」
J社長:「え・・・、何も手続きなんてしてないぞ。」
同僚:「だとすると、残念だが・・・手遅れだ」
J社長:「・・・・」
同僚の人がもらった助成金は「受給資格者創業支援助成金」というものです。
この助成金は雇用保険の受給資格がある人が会社を作って独立し従業員を雇った場合に、
法人の設立から3ヶ月以内に設立にかかった費用の1/3を助成してもらえるものです。
ただし法人の設立前に申込をしないと受けられません。
J社長は設立に600万円かかっていましたので、1/3の200万円が貰えたはずだった
のです。
しかしこの助成金を知らなかったJ社長は手続きをすることなく会社を立ち上げてしまっ
たため、貰うことができませんでした。
ベンチャーサポート税理士法人
42
助成金はたくさんあります。
介護事業を行う場合にもらえるもの、
会社の設備に300万円以上かかって月給30万以上の従業員を雇う事業をする場合にも
らえるもの、
45歳以上の人が3人以上集まって起業する場合にもらえるもの、
会社都合で退職して会社を作った場合にもらえるもの。
いろいろな種類の助成金があり、その各助成金には細かい要件が付いています。
もらえたはずの助成金を取り逃さないよう、設立前に専門家に一度相談しておくと良いで
しょう。
【ルール10】
助成金は申し込むタイミングが重要。設立前に申し込む助
成金に注意せよ!
〜用語解説
「助成金」〜
助成金とは簡単に言うと国が支援してくれるお金のことで、返す必要がないもののことで
す。
経済産業省が実施するものと厚生労働省が実施するものがあります。
特定の新技術の開発などを行えば経済産業省が実施し、雇用を創出した場合などは厚生労
働省が実施します。
創業の場合は厚生労働省が実施する助成金が主な対象になります。
▼失敗しない会社設立&税金相談ならベンチャーサポート税理士法人へ!
http://www.venture-support.jp/mitumori/soudan.html
ベンチャーサポート税理士法人
43
おわりに
どうでしたか?
参考になる内容はありましたでしょうか?
ビジネスの世界は「知っている人が得をして、知らない人が損をする」ように出来ていま
す。
これは会社設立に限った話ではありません。
節税。
融資。
税務調査。
もちろん、商売のネタも。
情報を持っている人は常に勝ち、持ってない人は常に負け続けるのです。
昨今はインターネットの普及で多くの良質な情報が簡単に入手できるようになりました。
しかしその反面、専門家が見たら失笑してしまうような「とんでもないデマ」も出まわっ
ています。
こういった情報に惑わされないためには勉強が必要不可欠です。
そして専門家を上手く利用してください!
ベンチャーサポートは節税や融資や税務調査には絶対の自信を持っています。
もし節税や融資や税務調査でお悩みであればぜひ一度ご連絡ください!
http://www.venture-support.jp/mitumori/soudan.html
(←相談はこちら)
ベンチャーサポート税理士法人
44
無料の相談をさせていただきます。
では最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
御社のますますの発展を祈願し、結びとさせていただきます。
▼失敗しない会社設立&税金相談ならベンチャーサポート税理士法人へ!
http://www.venture-support.jp/mitumori/soudan.html
ベンチャーサポート税理士法人
45
【特別付録1】
会社設立の基本的な流れ
会社の設立に関する事項を決定します。
STEP1 : 設 立 内 容 の決定
STEP2 : 目的のチェック
○商号(会社名) ○資本金 ○会社の目的(事業内容)
○本店所在地
○決算日 ○役員 ○その他
○設立予定日
事業目的が曖昧な場合は認められないことがあり、また内容によっては許認
可が必要となります。本店所在地の法務局にてチェックを行います。
会社に必要な印鑑、3点を用意します。
STEP3 : 印 鑑 の 作 成
STEP4 : 定款認証
○会社実印(=代表者印)
○角印(=社印)
○会社銀行印
『定款』とは会社の決まりごとを定める「憲法」です。定款を作成し、公証人役場
にて定款認証の手続きを行います。
定款の認証完了後、取扱金融機関へ資本金を払込みます。
STEP5 : 出 資 金 の 払 込
STEP6 : 登記申請書類の作成
STEP7 : 登 記 申 請 す る
法務局に提出する書類一式を作成します。
○登録申請書 ○取締役・代表取締役の就任承諾書 ○登記用紙と同一
の用紙
○印鑑届出書・印鑑紙
○定款 ○登記申請委任状 ○出資払込金保管
証明書 ○登録免許税納付用台紙 ○取締役・代表取締役の調査書
本店所在地の法務局に申請いたします。
約1週間で謄本・印鑑証明が取れます。
STEP8 : 会 社 設 立 完 了!!
STEP9 : 税 務 関 係 手 続 き
税務署・都道府県・市区町村へ設立届一式を提出する必要があります。
また、社会保険事務所・ハローワーク・労働基準監督署への手続きも行いま
す
○設立法人届出書 ○源泉取得税の納期の特例 ○青色申告の承認申
請書
○給与支払事務所等の開設届出書
ここからは特別付録です。
まずは会社ができるまでの基本的な流れについてご説明します。
まず知っていただきたいのは会社を作るには順番があるということです。
その順番を簡単にまとめたのが、上のフローチャートです。
ベンチャーサポート税理士法人
46
例えば登記は定款認証の後でしかできませんし、出資金の払い込みも期間が決まってます。
すべて同時並行ではできないのです。
ひとつずつ順番どおりにしていかなくてはいけません。
どれくらいの時間がかかるかと言いますと、場合にもよりますが、
「STEP1」〜「STEP4」で1週間
「STEP5」〜「STEP7」で1週間
「STEP7」〜「STEP8」で1週間
これくらいの時間を見ておけば余裕があるでしょう。
急げば最短で「STEP1〜STEP7」まで1週間ほどで作ることも可能ですが、大事
な会社の設立です。
じっくり決めることを決めて設立の手続きを進めることをお勧めします。
さてここで市販の本などには書かれていない重要なポイントを一つお知らせします!
「STEP1」から順番にしていくのですが、
「STEP1」に取り掛かる前に決めなけれ
ばいけないことが一つあるのです。
言うなれば「STEP0」ですね。
それは「STEP7」の「登記申請日をいつにするか」です。
なぜなら登記申請日をいつにするか考えないで「STEP1」から始めてしまうと、
自分が希望する「登記申請日」=「設立記念日」に会社を作れない可能性があるからです。
結構設立記念日って重要ですよね。
大安にするか、誕生日なんかの記念日にするか、「末広がり」の8の付く日にするか。
こだわりがある方はまずは「登記申請日」を決めて、そこから日程をさかのぼって「いつ
までに何をしなければいけないか」を考えてください。
ベンチャーサポート税理士法人
47
では各ステップについて簡単に見ていきましょう。
【STEP1:設立内容の決定】
設立内容で決めなければいけないことは、
1.会社名
2.本店所在地
3.資本金
4.設立日
5.会計年度
6.事業目的
7.株主の構成(発起人の決定)
8.役員の構成
の8つです。
【特別付録3】の「Ⅰ.会社概要」のところに、決めなければいけないことが全て一問一
答方式でまとめておきました。
このQ&Aが埋まれば自動的に設立要項が決まるようにしてあります。
ご利用ください!
ここで決めた内容は「STEP2」の定款を作る際に必要になる事柄です。
【STEP2:目的のチェック】
「STEP1」で作った事業目的は「定款」に記載します。
「定款」とは、会社名や事業目的など会社の基本的なことで重要なことが記載されている
資料のことです。
よく「定款は会社の憲法」と言われます。
つまり、日常の営業活動で頻繁に使ったりはしませんが、
基本原則などを定めてあるものと思えば良いでしょう。
ベンチャーサポート税理士法人
48
会社の全体像や組織についてのルールを定めるものと思ってください。
「定款」は公証人役場で認証をしてもらうのですが、そのときに具体性がなかったり、外
国の文字が入っていたり、法律上認められない事業を記載したりしては認証されません。
また実際はある程度「お決まりのフレーズ」を使うことが望まれます。
さらに事業目的は会社の登記簿謄本にも載ってきますので、取引先や業務提携先にも見ら
れるものです。
あまり奇抜なものを挙げておくと事業目的を疑われる可能性もあります。
公的な許認可申請をしなければいけない業種ですと、定款に必要な事業目的がないと許可
申請が降りないことがあります。
許認可が必要な業種をいくつか例を挙げますと、
・飲食店、喫茶店・・・保健所の許可が必要
・ペットショップ・・・保険所への届出が必要
・美容院・・・保健所の確認が必要
・古物販売、リサイクル業・・・警察署の許可が必要
・中古車売買・・・警察署の許可が必要
・金券ショップ・・・警察署の許可が必要
・薬局・・・・都道府県の許可が必要
・建設業・・・都道府県の許可
・酒の販売・・・税務署の免許
・運送業・・・陸運支局の許可
・自動車整備業・・・陸運支局の認証
・派遣業(一般)・・・厚生労働省の許可
・派遣業(特定)・・・厚生労働省への届出
などがあります。
これ以外にも許認可が必要な業種は1000以上ありますので、自分が行っていこうとし
ている業種は許認可が必要でないかどうか確認しておきましょう。
最近ではインターネット通販の大手サイトも定款に「通信販売業」という項目があるかそ
ベンチャーサポート税理士法人
49
うか確認するようになってます。
こういった点に注意をしながら最後に「上記に附帯する一切の業務」という一文を入れて
おいてください。
これで関連する事業が制約なく行えるようになります。
【STEP3:印鑑の作成】
会社を設立するには会社の印鑑が必要になります。
実印や銀行印、角印、ゴム印などです。
街のハンコヤさん以外でも最近はネットでも安く早くできるようになりました。
大手のハンコ屋さんとしては「ハンコヤドットコム」さんが有名です。
http://www.hankoya.com/index1.shtml
会社名が決めれば、「字体」や「ハンコの素材」「サイズ」などを決めて、業者さんに作っ
てもらってください。
参考にですが、字体で人気があるのは「テン書体」のようです。
日本の紙幣と同じ字体ですね。
設立登記をするときに会社のハンコが間に合わないということにならないよう、早めに作
っておきましょう!
またもし発起人になる人が個人の印鑑を実印登録していないのであれば、書類作成で必要
になりますので市役所で登録しておいてください。
【STEP4:定款認証】
会社設立の一つ目の山場が「定款の認証」です。
ベンチャーサポート税理士法人
50
この「定款」は、作成後に「公証人役場」という役所で認証してもらいます。
つまり内容に不備がないかなどを公証人に確認されるということです。
書き方や表現方法は決まりがあって、厳しく審査されます。
例えば住所を「1−1−1」と書いてはいけません。
「1丁目1番1号」と書かなければいけないのです。
定款の内容は「STEP1」や「STEP2」で決めた事を使って作成します。
他にも公告の方法や株式の譲渡制限に関することなど記載事項は多岐にわたります。
大きく分けると
① 絶対に記載しなければいけない事項(絶対的記載事項)
② 記載すると法的な効力が発効する事項(相対的記載事項)
③ 必ずしも記載しなくても良い事項(任意的記載事項)
の3つになります。
「STEP1」や「STEP2」で決めた事柄は絶対記載しなければいけない事項です。
一つでも欠けていると定款自体が無効です。
公証人役場の認証を受けることはできません。
もし自分で定款を作成する時間がなかったり、自信がない方は専門家に任せるほうが良い
でしょう。
なお定款の認証には株主全員の印鑑証明、収入印紙4万円、定款認証手数料5万円、定款
3部を公証人役場に提出する必要があります。
代理人が行く場合には委任状も持参してください。
問題がなければ1時間程度で認証され、修正がある場合は可能であればその場で訂正し、
修正が不可能であれば再提出することになります。
ベンチャーサポート税理士法人
51
【STEP5:出資金の払い込み】
定款が無事に認証されると、いよいよ資本金を振り込みます。
定款には、一株がいくらで、各発起人が何株分を出資するかなどを記載しなければいけま
せん。
これに基づいて資本金を振り込むのです。
このときによく質問されることがあります。
それは「どこに振り込むのか?」ということです。
会社の資本金なので会社の通帳に振り込むような気がしますが、ちょっと待ってくださ
い!
会社の通帳は会社が設立後でしか作れないのです。
ではどこに振り込むかというと「株主(発起人と言います)」の個人口座になります。
もし株主が自分ひとりでのときは、
「自分で自分の口座」に振り込むのです。
ちょっと変な感じですね。
注意点があります。
それは「資本金にしたい金額」をふりこまなければいけないのです。
残高が資本金になるようにするのではありません。
例えば、資本金を100万円にしたければ、100万円ちょうどを振り込むのです。
残高が100万円になるようにするのではありません。
それも振込み人の名前が印字されるようにふりこまなければいけません。
ベンチャーサポート税理士法人
52
よく勘違いされるところですのでご注意ください。
振込みが済むと、振り込んだことが記載されている通帳のコピーが「振込みの証明」にな
ります。
これとは別に、金融機関名・支店名・口座番号・口座名義人が記載されたページ(通常は
通帳の表紙を 1 枚めくったところ)もコピーしておいてください。
「払込みがあったことを証する書面(証明書と言います)
」と上記の 2 つのコピーをホッチ
キスで重ねて留め、会社の実印を押すと提出する書類の一つが完成です。
【STEP6:登記申請書類の作成】
資本金の振込みが終われば、今度は最後の関門「法務局」に提出する書類作りです。
法務局とは登記関係の仕事を行う役所で、この法務局に認められると晴れて「会社設立」
となります。
提出する書類は多岐に渡ります。
簡単に挙げると、
・ 定款
・ 資本金の払いこみがあったことを証する書面(証明書)
・ 資本金の額の計上に関する証明書
・ 設立登記申請書
・ 代表取締役の印鑑証明
などが必要になります。
設立の方法によっても必要書類が変わりますので、
不備がないか十分吟味して作成しなければいけません。
また上記の登記申請書以外にも「印鑑届出書」を出す必要があります。
これは会社の実印を登録するためのものです。
ベンチャーサポート税理士法人
53
個人であれば実印の登録は任意ですが、会社は必ず実印を登録しなければいけません。
【STEP7:登記申請する】
法務局に提出する書類が揃えば、いざ申請です。
登記の申請は本店所在地を管轄する法務局に行います。
この登記申請をした日が設立日として公に認められます。
「STEP0」でも言いましたが、大安などの日取りが気になる方はこの日をまず最初に
決めなければいけません。
【STEP8:会社設立完了】
法務局に登記申請をすれば、その場ですぐに会社の設立が認められるわけではありません。
提出後、登記官によって審査がされます。
書類に不備があった場合は補正(訂正)を求められます。
補正の結果が出る日のことを補正日と言いますが、申請した日から補正日まで約1週間ほ
どかかります。
つまり、問題がなければ約1週間くらいで補正日になり、会社の設立が正式に認められる
ことになるのです。
これでやっと登記完了です。
登記が完了すると謄本と印鑑証明が手に入ります。
謄本や印鑑証明は会社の通帳を作ったり、事務所を借りたり、税務署への届出をしたりす
るときに必要になるものです。
ベンチャーサポート税理士法人
54
いよいよ銀行口座を開いて、事務所を契約して、あなたの会社が本格的に始動することが
できるようになります!
【STEP9:税務関係手続き】
法務局への手続きが終わってほっとしてはいけません。
まだ手続きが続きます。
各役所への届出です。
本当に重要なのはこれ以降の手続きと言っても良いでしょう。
なぜならこれからの書類は提出期限が定まっているものが多く、
もし提出期限までに提出しなければ不利な条件を強いられることになるからです。
役所の方から督促などはないので、忘れていても誰も注意してくれないことも怖いところ
です。
具体的には、税務署、都道府県税事務所、市役所、社会保険事務所、ハローワーク、労働
基準監督署などに設立関係の書類を提出しなければいけません。
正直、作る書類は多いです。
1枚1枚の書類の内容も専門的で難しい。
さらに選択しなければいけない項目では、選択した結果で有利・不利が生じることがあり
ます。
これらの書類は専門家に任せるか、自分で作るときは十分な下調べをすることをお勧めし
ます。
特に税務署への提出は期限があり、その期限以内に提出をしないと有利な規定が受けられ
なくなったりします。
十分ご注意ください!
ベンチャーサポート税理士法人
55
【特別付録2】
私の起業は他の人の起業と違うのか?
〜データで見る最近の会社設立
(出展:国民生活金融公庫総合研究所)〜
Q1.法人で始めますか?個人事業で始めますか?
A1.2007年度のデータによりますと、法人形態で始める人が34%、個人形態で始
める人が66%とちょうど1/3の人が法人で始めています。
これは「会社を作るのはいろいろ大変そうだ」という考え方や、「うまく行かなかったと
きに個人事業だと簡単にたためる」等の意見があるようです。ただ、実際は会社を作るこ
とは想像以上に簡単ですし、万一のうまく行かなかった場合も税務署に届けを出すだけで
簡単に休業できます。
それよりも重要な考え方は「法人にしたほうが節税上有利な場合がある」や「法人形態
のほうが個人形態より信用力がある」という視点です。個人のままのほうが税金が安くな
るか、法人にしたほうが税金が安くなるかは、ベンチャーサポートで無料でシュミレーシ
ョンさせていただいております。お気軽にご相談ください!
法人で始める?個人で始める?
法人
34%
法人
個人
個人
66%
Q2.開業費用はどれくらいかかりましたか?
A2.2007年度のデータによりますと、500万円以下で開業しているケースが全体
の32%、1000万円以下で開業しているケースが29%となってます。開業費用は業
種によって全く異なるため一概にいくらあれば良いかとは言えませんが、多くの人が予想
ベンチャーサポート税理士法人
56
以上にかかったと言われます。事務所の保証金、最初の仕入れ代金、パソコンや机などの
初期費用等、自社の開業に必要な経費を正確に見積もっておくことが独立では非常に重要
なことです。
開業費用はいくらくらい?
2000万〜
18%
〜500万円
32%
1000万〜2000
万
21%
〜500万円
500万〜1000万
1000万〜2000万
2000万〜
500万〜1000万
29%
Q3.何歳で開業しましたか?
A3.開業は30代が一番多く40%、40代が24%と続いています。これは培った経
験や蓄えた資金などを勘案してこのような結果になっているようです。ただし、20代で
の独立も多くなってきており、若さとバイタリティーを武器に独立する人も増えてきてい
ます。
何歳で開業しましたか?
60以上 20代
4%
11%
50代
21%
40代
24%
30代
40%
20代
30代
40代
50代
60以上
ベンチャーサポート税理士法人
57
Q4.最終学歴は何ですか?
A4.最終学歴で見ると、高校・高専が一番多く36%を占めています。大学・短大卒が
これに続き33%となっています。世間の大学進学率と比較すると大卒以外の人の独立の
割合が多いようです。ただし独立後の成功と最終学歴は全く関係のないもの。どれだけ自
分の力が発揮できるかがすべてです。
最終学歴は?
その他
5%
中学
4%
大学・短大
33%
高校・高専
36%
中学
高校・高専
各種専門学校
大学・短大
その他
各種専門学校
22%
Q5.開業して約15ヶ月後の月商はいくらくらいですか?
A5.独立して15ヶ月後の売上は約30%が月商100万未満になっています。逆に月
商が1000万を超えれているのは10%に満たない人だけです。業種によって売上高の
持つ意味合いは違いますが、やはり商売の基本ですので気になる金額です。
15ヶ月後の月商は?
1000万〜
10%
500万〜1000万
12%
〜100万
31%
〜100万
100万〜500万
500万〜1000万
1000万〜
100万〜500万
47%
ベンチャーサポート税理士法人
58
Q6.開業して約15ヵ月後の売上は目標を突破していますか?
A6.15ヵ月後に設立当初の目標を達成している割合は約40%になっています。半分
以上の人が思っていたよりも苦しい状況になっているようです。とはいえ、125%以上
の人も約20%いますので、工夫次第では思っていた以上に売上を上げることも十分可能
です。
売上の目標達成率は?
125%〜
19%
〜50%
8%
50%〜75%
26%
100%〜125%
21%
〜50%
50%〜75%
75%〜100%
100%〜125%
125%〜
75%〜100%
26%
Q7.開業して約15ヵ月後、黒字ですか?赤字ですか?
A7.開業して約15ヵ月後に黒字を達成している割合は約60%、赤字が約40%。な
かなか思うようにはいかないようです。ただし、今の日本は約70%が赤字企業です。(国
税庁HPより)それと比較すると健闘していると言えるかと思います。
黒字?赤字?
赤字
41%
黒字
59%
黒字
赤字
ベンチャーサポート税理士法人
59
Q8.開業して約15ヵ月後、売上は増えていますか?減っていますか?
A8.開業から15ヵ月後、約60%が売上が増加しつつあると回答しています。開業し
てから2年は必死に頑張る時期ですので、ドンドン売上を上げて会社の基礎を固めましょ
う!
売上は増えてますか?減ってますか?
減少傾向
7%
横ばい
36%
増加傾向
横ばい
減少傾向
増加傾向
57%
Q9.開業に際して収入が減るかもしれないと不安に感じていますか?
A9.最後に独立をする際に多くの人が一番気になること、「収入が減ったらどうしよう」
という不安についての結果です。ちょうど50%の人が収入減を不安に思いながらも独立
に踏み切っているのがわかります。独立にリスクは付き物です。リスクのない独立などあ
りえません。もし収入減が心配で仕方のない人は、独立の夢を諦めるのも立派な選択肢で
す。
収入減が不安?
感じていない
25%
感じている
50%
感じている
どちらとも言えない
感じていない
どちらとも言えない
25%
ベンチャーサポート税理士法人
60
【特別付録3】
成功する起業の原点
ベンチャーサポート流事業計画書
〜独立前に考えておくべき30のポイント〜
なぜ事業計画を立てるのでしょうか?
多くの答えがあるでしょうが、
「事業計画は開業前に自分の考えを明確に整理するために
策定する」というのが一番重要な回答でしょう。
「自分が始めようとしていることは本当に事業として成り立つのか」についてはいくら
考えても考え過ぎということはありません。
実際開業すると日々の業務に追われ、ゆっくりと時間を取って自分の事業を見つめられ
ないものです。
「何に向かって事業を進めるのか」「いつまでにするのか」「リスクはどこにあるのか」
など開業前にどれだけ多くのことを考えられるかが成功の要因の一つになります。
「計画はしょせん計画。どうせその通りにはいかない」こんなことを言って事業計画を
立てない方がいらっしゃいます。
確かにそうです。
計画通りにはいきません。
しかし、計画を立てていれば、「計画通りに行っていないこと」がわかるのです。
もし一切事業計画を立てずに走り出せば「うまく行っているかどうか」もわからないの
です。
「そんなことあるはずない」と思うかもしれません。
でも人は弱いもので、思うとおりにいかないときには無意識のうちに自分を正当化して
ベンチャーサポート税理士法人
61
しまうのです。
数字に表れるようなもの、例えば売上高などは比較的わかりやすいです。
しかし数字に出てこない部分、例えば商品の質やライバルとの関係などは自分が思って
いた通りにいっていたかどうかがわからなくなるのです。
事業計画は原点です。
ときどき立ち止まって事業計画に立ち戻り、自分が進んでいる道が正しいかを確認しな
ければいけないのです。
また事業計画がはっきりしていないと出資をしてくれる人を説得することができません。
実際多くの起業家は自分の貯金以外では、親や親戚にお金を借りて会社を興すケースが
多くあります。
場合によっては金融機関から融資を受けて始めることもあります。
このような場合に事業計画がないと貸す方としては安心して貸せません。
金融機関であれば、事業計画のない会社に融資はしてくれないでしょう。
ここまで読んでいただいた方には事業計画をたてる重要性が伝わったものと思います。
しかし事業計画をそんなに難しく考える必要はありません。
気軽に事業計画を立て始めて、立てながら何度も修正していけばよいのです。
また作り出して始めて見えてくることも多いでしょう。
輝かしい夢の第一歩としてこの事業計画書がお役に立てれば幸いです、
ぜひご利用ください!
ベンチャーサポート税理士法人
62
事業計画書
Ⅰ.会社概要
1.会社名は決まりましたか?カタカナにするかアルファベットにするか、「・(中点
」を入れるかなどを考えましたか?
2.本店の所在地は決まりましたか?自宅で始めるのですか?それとも事務所を借りてス
タートするのですか?
3.設立予定日は決まりましたか?日取りにこだわりがある場合(大安や誕生日など)は、
考慮していますか?
平成
年
月
日
(選んだ理由)
4.事業年度はいつからいつにするか決めましたか?消費税の免税期間が長く取れるよう
に決めましたか?
月
日 〜
月
日
5.資本金はいくらにするか決めましたか?1000万円を超えると消費税の免税が受け
られないことを考慮して決めていますか?
円
ベンチャーサポート税理士法人
63
6.設立当初の株主を誰にするか決めましたか?家族以外の人に出資してもらう場合は、
株主の権利が生じることを確認していますか?
①
②
③
④
株
株
株
株
7.設立当初の役員は誰にするか決めましたか?(発起人の決定)
①
②
③
④
9.事業目的は何ですか?将来手がけたい事業も入っていますか?
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
ベンチャーサポート税理士法人
64
Ⅱ.事業内容
1.これから始める事業を簡潔に言うと何ですか?他人に説明するつもりで書いてくださ
い。
2.その事業は、従来の商品やサービスと比べてどんなところが新しいのですか?また新
しさがない場合は、何をセールスポイントにしますか?
3.ライバルとなる会社(個人)はどこですか?
4.その事業はライバル他社に比較してどこが勝っているのですか?どこが負けています
か?
ベンチャーサポート税理士法人
65
5.その事業はどんな顧客層をターゲットにしているのですか?法人ですか?個人です
か?どの地域の人(会社)ですか?どんな特性やニーズを持っている人(会社)です
か?
6.その商品(サービス)は「誰に」「どのくらいの価格」で売れそうですか。入金の条件
はどうなってますか?(売上のシュミレーション)
誰に
いくらで
入金条件他
7.その商品はどのような販売経路で売るのですか?店舗ですか?ネットですか?携帯で
すか?
8.店舗で販売する場合、出店費用は全部でどれくらいかかりますか?
円
ベンチャーサポート税理士法人
66
9.その出店費用はどうやって捻出するのですか?
10.店舗の立地は人通りが多いですか?目立つ場所にありますか?売る商品の顧客層と
マッチした立地ですか?同業の繁盛店と比較してどんなところが違いますか?
11.商品はどこからいくらで仕入れますか?そのサービスはどこにいくらで外注を出し
ますか?支払いの条件は?(売上原価のシュミレーション)
どこから
いくらで
支払い条件他
12.集客はどのようにして行うのですか?既存ルートですか?ネットですか?携帯電話
ですか?紹介ですか?人海戦術ですか?DMですか?
ベンチャーサポート税理士法人
67
13.それらの集客はどれくらいの経費がかかりますか?(広告費シュミレーション)
円
14.当初から従業員を雇いますか?雇う場合はどのような人を希望しますか?何人くら
い必要ですか?給料をいくらくらい支払う予定ですか?どうやって求人をしますか?
(どんな人)
(何人)
人
(給料)
円
(求人方法)
15.家賃は発生しますか?発生する場合1ヶ月でどれくらいかかりますか?(販売管理
費シュミレーション)
円
16.消耗品費は開業時にどれくらいかかりますか?その後は1ヶ月どれくらいかかりま
すか?(販売管理費シュミレーション)
(開業時)
円
(その後)
円
17.水道光熱費は1ヶ月どれくらいかかりますか?(販売管理費シュミレーション)
円
18.通信費は1ヶ月どれくらいかかりますか?(販売管理費シュミレーション)
円
19.その他に毎月発生しそうな経費は何がありますか?それはだいたいどれくらいかか
りそうですか?(販売管理費シュミレーション)
円
ベンチャーサポート税理士法人
68
20.利益計画表を作成してください。
設立〜3ヶ月
売上
売上原価
4ヶ月〜6ヶ月
7ヶ月〜9ヶ月 10ヶ月〜12ヶ月
①売上高
②仕入高
③外注費
④人件費
⑤家賃
⑥消耗品費
販売管理費 ⑦水道光熱費
⑧広告費
⑨通信費
⑩その他
利益
①−(②〜⑩の合計)
21.資金繰り表を作成してください。
月
月
月
月
月初の現金+預金
①現金での売上金
入金
②通帳に入る売上金
③その他の入金
④
①〜③の合計
⑤仕入れ代金の支払い
⑥外注費の支払い
⑦人件費の支払い
⑧家賃の支払い
⑨消耗品費の支払い
出金
⑩水道光熱費の支払い
⑪広告費の支払い
⑫通信費の支払い
⑬借入金の返済
⑭その他の支払い
⑮
⑤〜⑭の合計
月末の現金+預金(月初+④-⑮)
ベンチャーサポート税理士法人
69
22.市場は大きいですか?これから伸びていく市場ですか?衰退市場ですか?(市場分
析)
23.市場のニーズは今後どのようになっていくと思いますか?自社の製品(サービス)
と市場の方向性は一致していますか?
24.培ったノウハウや技術を応用ができそうな分野はありませんか?
25.これらの計画に変更が発生するリスクはどこにありますか?
ベンチャーサポート税理士法人
70
26.いつから売り始めますか?
27.そのためにはいつまでに何をしておかなければいけませんか?
28.これら以外で今不安に思っていることをすべて書き出してください。それらは考え
て解決する問題ですか?それとも今は解決しない問題ですか?
29.家族の理解を得ていますか?独立による経済的な変化、家族と過ごす時間の変化を
理解してもらっていますか?独立後に苦しくなったとき、精神面・経済面で支えてくれる
のは家族です。
30.何があっても事業をやりとおす決意ができていますか?
ベンチャーサポート税理士法人
71
【特別付録5】
音声特典「不景気時代に会社を守る方法①」
DES(デッドエクイティスワップ)
この不況時代に会社を守る方法をお伝えします。
税理士でもやったことのある人の方が少ないと思われる手法ですが、当てはまる
会社なら効果バツグンです。
実際、ベンチャーサポートのお客様は何社かうちからの提案で実行されています。
不況期に何が一番困るかっていうと、売上が下がってしまって、キャッシュが足
りない状況なのに、銀行も貸し渋って借入すらできなくなるっていう状態です。
赤字だからではなくて、お金がないと会社は潰れてしまうのです・・。
そんなときのために魔法のような方法があります。
その方法とは「DES(デッド・エクイティ・スワップ)」という会計手法。
何かとてつもなく難しそうな言葉ですよね。
ものすごく簡単に言うと「ちょっと決算書を合法的にいじって銀行の査定を上げ
ちゃう方法」ということになるのですが(笑)
。
ただ、内容や手続きはそんなに難しくありませんので、心配ありません。
DES とは「社長からの借入金を資本金にしてしまう」ということです。
銀行の融資では「資本金」が多ければ多いほど有利になります。
もう少し詳しく言うと「純資産の部」が黒字であればあるほど融資上は有利にな
ベンチャーサポート税理士法人
72
るのです。
「純資産の部」というのは決算書の貸借対照表の最後のほうに載っている部分の
ことで「資本金+過去から現在までの利益」です。
この「純資産の部」が黒字であることが銀行融資の大前提になっています。
逆にここが赤字だと融資は非常に厳しくなります。
そこで DES を使うのです。
中小企業の多くでは社長が会社に貸しているお金があると思います。
自分の役員報酬が全額取れなかったり、資金繰りがしんどかったときに個人のお
金を会社に入れたりしていることが多いので、ほとんどの会社が「役員借入金」
などという名前の勘定科目で記載しているはずです。
この負債である「役員借入金」を「資本金」に変えてしまう。
考えてみれば、「役員借入金」も「資本金」も社長が会社にお金を入れているこ
とには変わりありませんよね。
その違いは「役員借入金は返してもらえる」もので「資本金は返してもらえない」
ものという点。
ですが、現実的な話として役員借入金は全額返してもらえるでしょうか?
(返してもらうためには、今後かなりの利益が見込める場合しかありません)
正直返してもらう見込みの薄い「役員借入金」であれば、いっそ「資本金」に振
り替えて銀行の融資を受けやすくするほうが良いのではないでしょうか?
そして業績がよくなれば「役員報酬」を増加させてお金を個人に流せば良いのです。
DES の手続きは難しくありません。
書類を少しそろえて登記をするのです。
ベンチャーサポート税理士法人
73
かかる費用といえば司法書士の手数料と印紙代だけ。
また法人税の「繰越欠損金」がなくなるわけでもなくデメリットはありません。
不景気の時代にはかなり使える手法ですよ!
これからは「いかに銀行と上手く付き合うか」が会社を守る上で非常に重要な要
素であることは言うに及びません。
この DES もその一つの手法として選択肢に入れてみてください。
音声と文章で詳しく解説していますので、興味のある方はどうぞ!
(音声)
http://www.venture-support.jp/e-book/des.mp3
(文章)
http://www.venture-support.jp/e-book/des.pdf
ベンチャーサポート税理士法人
74
【特別付録6】
音声特典「不景気時代に会社を守る方法②」
リスケジュールで毎月の返済額を減額する
「リスケ」という言葉、聞いたことないでしょうか?
これは会社が銀行から借りていたお金の返済が難しくなったときに、毎月の
返済額を減らしてもらうことをいいます。
前にもお伝えしましたが、会社が潰れるときは赤字だからではなくて、資金が
尽きたときです。
会社の資金繰りがしんどくなったとき、重荷になる一番大きいものとして
銀行への返済金があります。
こんなときに安易に金利の高いところから無理して資金を用意してきて、銀行
の返済に充てる社長がおられます。
その前にやるべきことがあるのです。
それが「リスケジュール」。
銀行への返済なんて減額できないと思い込んでる方が多いのですが、ちゃんと
交渉すればそれほど珍しいことではありません。
詳しくは音声&文章で解説しますね!
(音声)
http://www.venture-support.jp/e-book/risuke.mp3
(文章) http://www.venture-support.jp/e-book/risuke.pdf
ベンチャーサポート税理士法人
75