社外取締役インタビュー グローバルな競争時代を勝ち抜くために、 フロントラインが有する多様な専門性や視点を 経営に活かし、ANA グループの企業価値 向上に結び付けていきます。 社外取締役 小林いずみ 当社のコーポレート・ガバナンス体制に対する印象や、経 また、ANA グループでは運航乗務員、客室乗務員、整備士、 営の視点からANA グループに注目している点についてご 空港係員といった専門性の高いスタッフが活躍しています。そ 意見をお聞かせください 。 れぞれの立場から生まれたアイデアや視点をどのようにバラン 私が ANAホールディングスの取締役会に出席して驚いたこ とは、関連事業も含めた幅広い分野について非常に前向きな議 論がなされている点です。社外取締役の助言に対しても真摯 に、かつスピード感を持ってアクションが起こされており、社外 ANA グループでは国際線を中心とした成長戦略を掲げてい ますが、この戦略を推進するためには、グローバルな競争の中 で日本の航空業界をどのように成長させていくかという視点が 重要です。既存ネットワークの価値をさらに高めるには、国際 線を利用して日本で乗り継ぐお客様の利便性を一層向上させる などの課題にも取り組んでいく必要があると思います。また、 空港や機内でお客様に実践している 「気づき」 や 「おもてなし」 は 世界に誇ることができるANA グループの強みです。これらの 強みを融合してさらにレベルアップさせ、競争力を強化してい くことによって、ANA グループが世界のリーディングエアライ ングループとして評価されるようになると考えます。 「 2014 –16 年度 ANAグループ中期経営戦略 」を達成する 上で 、コーポレート・ガバナンスの観点から、今 後どのよ うな取り組みが必要とお考えですか。 上で極めて重要であると思います。 ダイバーシティの 推進をはじめとして、ANA グループに Sustainability Drivers 取締役としてのやりがいを感じます。 ス良く戦略に組み込んでいくかなど、現場の意見を経営に反映 させるための仕組みを強化していくことが、本戦略を達成する 期待することをお聞かせください 。 ダイバーシティを推進するためには、性別や国籍を問わず、 高い専門性を有した人材をマネジメントに登用し、経営のプロ に育てていく必要があります。現場で培った専門的な素養に加 え、経営に参画するために必要な研修やジョブローテーション など、あらゆる経験を積み重ねていくことが重要です。 ANAグループは女性管理職の比率も高まりつつありますが、 女性が活躍するステージをさらに拡大させるためには、男性の 働き方も見直す必要があると思います。結婚、出産、育児といっ た女性のライフイベントに着目するだけではなく、個人の生活 環境やニーズに応じて自由に働き方を選べるようにするなど、 個人の持つ能力を経営に活かすための柔軟な仕組みづくりが 大切です。 私は金融機関に勤務していた際、さまざまな業種の 「企業価 値」 について議論してきましたが、ANAグループのサービス品 今回発表した中期経営戦略では、事業ポートフォリオの拡大 質も重要な 「企業価値」 の要素です。国際機関での勤務経験を や投資計画など、持株会社の視点からユニークな戦略を打ち出 通じて改めて 「日本の素晴らしさ」 を認識しましたが 、ANA グ しています。しかし、海外投資家を含めたステークホルダーと ループも 「日本のエアライン」 として、お客様の立場に立った目 のコミュニケーションという点で考えると、本戦略の趣旨が正 に見えないサービスを大切にしていることがわかりました。 確に伝わる仕組みづくり、すなわち、社外へのプロモーション 「 ANAらしさ」をさらに磨くための 助 言をすることによって、 の仕方はもちろんのこと、ANA グループ内の各現場に浸透・ 「 企業価値」 を高めてい ANA グループが世界の人々を魅了し、 実行させていくための方策についての議論も必要と考えます。 けるよう、社外取締役として尽力したいと考えています。 アニュアルレポート 2014 59
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