「夢分析の実践」 社04-1812 大野 正人(久本ゼミ) この研究の目的は

「夢分析の実践」
社04-1812 大野
正人(久本ゼミ)
この研究の目的は、夢分析による自己の深層心理の探求の日常生活における有用性を実証す
ることにある。
この論文の大まかな流れとしては、まず初めに睡眠と夢の関係について科学的な側面から見
ていく。次に、心理学の世界で初めて夢を精神の中心と見なし、夢分析の基礎を築いたとされ
るフロイトの夢の考えを見ていく。そしてそれを大きく発展させたとされるユングの考えを取
り上げる。それから実際に自分の夢の分析を試みる。
睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があり、それぞれ異なる役割を担っている。レム
睡眠時には夢を見ていることが多く、研究者によって62∼88%の人が夢を見ていることを報告
している。このときの夢内容は、明瞭で生き生きとしたものが多い。この時期以外の時期(ノ
ンレム睡眠期)に起こされると、0∼50%しか夢が報告されておらず、夢内容も漠然としている。
また、睡眠時とりわけレム睡眠時の情報再編成に注目して、夢の役割を推察しようとする理論
もいくつか提唱されている。
夢は時代とともに公的なものから私的な世界へ引き入れられ、公的、政治的なものから、私
的、精神的なものへと世俗化される歴史を歩んできた。フロイトの夢の考えは、精神分析の基
礎となり、多くの夢分析の実践家を生んでいった。
今回の夢分析の実践にあたっては、文献を参考に個人での夢分析の手法を検討し、2006年10
月17日より夢の記録を開始した。夢分析において重要である夢に関する連想は、ユングの「拡
充法」を重視しておこなった。自分の最新の夢や、一連の反復される夢から浮かび上がってき
た共通するテーマについて、ライフサイクルの発達課題などとも関連づけ、自分なりの分析・
解釈を試みた。その結果、自分の無意識レベルにおいて重要視されていると思われる問題や、
現実生活において達成されるべき自身の課題が明らかになり、現実生活における夢分析の有用
性が確認できた。
参考文献
鑪幹八郎(1976):夢分析入門. 創元社, 大阪.
鑪幹八郎(1979):夢分析の実際―心の世界の探求. 創元社, 大阪.
鑪幹八郎(1990):心の宇宙を探検する 夢の心理学. 山海堂, 東京.
東山紘久(1993):夢分析初歩. ミネルヴァ書房, 京都.
河合隼雄(1967):ユング心理学入門. 培風館, 東京.
井上昌次郎(2006):眠りを科学する. 朝倉書店, 東京.
Freud S(1900): Die Traumdeutung[フロイト, 高橋義孝訳(1969): フロイト著作集2 夢判
断. 人文書院, 京都].