平成28年2月号 竜ヶ崎二高図書館 第 154 回 直木賞受賞作 直木賞とは直木三十五の名を冠した大衆文学が 選考基準の新人及び中堅作家が対象の文学賞。 「つまをめとらば」青山 文平 女が映し出す男の無様、そして、真価――。 太平の世に行き場を失い、人生に惑う武家の男たち。 身ひとつで生きる女ならば、答えを知っていようか――。 時代小説の新旗手が贈る傑作武家小説集。 「ひともうらやむ」「つゆかせぎ」「乳付」「ひと夏」「逢対」「つまをめとらば」 男の心に巣食う弱さを包み込む、滋味あふれる物語、六篇を収録。 第 154 回 芥川賞受賞作 芥川賞とは芥川龍之介の名を冠した純文学が 選考基準の新人作家が対象の文学賞。 「死んでいない者」滝口 悠生 秋のある日、大往生を遂げた男の通夜に親類たちが集った。 子ども、孫、ひ孫たち 30 人あまり。 一人ひとりが死に思いをめぐらせ、互いを思い、家族の記憶が広がってゆく。 生の断片が重なり合って永遠の時間がたちがある奇跡の一夜。 「異類婚姻譚」 (いるいこんいんたん)本谷 有希子 ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた。 ――結婚 4 年の専業主婦を主人公に、他人同士が一つになる「夫婦」という形式 の魔力と違和を、軽妙なユーモアと毒を込めて描く表題作。 図書館の本からブックレビュー (今月は国語科・安部先生に伺いました) 『どんぐり姉妹』よしもとばなな (2010 新潮社) 姉の名前は「どん子」 。妹の名前は「ぐり子」 。一見ふざけた名前のように思えますが, 由来を知ると,素敵な名前に思えてきます。2人は「どんぐり姉妹」として,世の中のい ろんな人から「たわいもないメール」をもらって返事を書くという活動をしています。 幸せは人によって違うという,当たり前のことを考えさせられる小説でした。読後は, ほわっとあたたかくなる感じです。 『徒然草』兼好法師 久しぶりに通して読んでみました。私はやはり仁和寺の法師が好きです。わざわざ遠くの神社まで参 拝して,本社まで見ないで帰ったり,酔っ払って調子に乗って釜を頭にかぶり,抜けなくなって耳や鼻 が欠けちゃったり,かわいらしい稚児を喜ばせたくて素敵な箱を地面に埋めたけど,盗まれちゃったり ……。間抜けだけど人間らしい。失敗するのが人間。それでいいじゃないかと,兼好法師が言っている ような気がします。 『新しい道徳「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜか』北野武(2015 幻冬舎) 「ひとつの価値観で固まった社会はもろい。背筋がどんなにピンと伸びていても、その 背筋がカチカチだったら,何かの拍子にポキンと折れるに決まっている。 」 (本文より) 有名なビートたけしさんの本です。小学校低学年向けの道徳の教科書に対して,ズバズ バとツッコみを入れています。 「気持ちがいいから挨拶をしましょう」なんておかしい!や たら老人とゴミが出てくるが,老人はゴミと同じなのか?などと。 平易な口調で深くて難しいことを書いています。読みやすいのでオススメです。 ★皆さんも、心に残る一冊を探してみて下さい!
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