釜石市環境未来都市計画 ~全国の小都市に先駆ける釜石の新たな挑戦~ 平成24年5月 計画策定 平成25年7月 計画更新 平成26年6月 計画更新 釜 石 市 目 次 はじめに(現状分析)......................................................................... 1 1.将来ビジョン............................................................................. 3 (1) 目指すべき将来像.................................................................. 3 (2) 目指すべき将来像に向けた課題・目標[環境].......................................... 4 (2) 目指すべき将来像に向けた課題・目標[超高齢化対応].................................. 6 (2) 目指すべき将来像に向けた課題・目標[その他]........................................ 9 (3) 価値創造......................................................................... 11 2. 取組内容 ................................................................................ 13 (1) 5年間に実施する取組内容.......................................................... 13 (2) 取組のスケジュール................................................................ 15 3.取組の推進方策......................................................................... (1) 体制 ............................................................................. (2) プロジェクトマネジメントの方法.................................................... (3) 都市間連携・ネットワークの活用方針................................................ 16 16 17 17 はじめに(現状分析) 3.11 を契機に、釜石は新たな環境未来都市づくりに取り組みます。 釜石市は、1857 年の近代製鉄発祥により全国に先駆けて産業革命を達成し、戦禍や構造不況の荒波を 乗り越えて一足早く超成熟社会に突入した日本のトップランナーです。 東日本大震災により都市存亡の危機に晒されたものの、持てる資源と潜在力、創造力、それに様々な 縁や交流を活かし、これらを結集して新しいまちづくりに取り組むこととしています。 そして、その姿勢と成果により全国で独特の存在感を発揮し、市民の自信と誇りが輝きを放つまちと なり、その輝きが新たな人や産業を引き寄せる循環を生み出していきます。 逆境をバネに地に足の着いた挑戦を積み重ね、環境・社会・経済を造り替えることにより、市民はも とより全国の小都市の未来を先取りして希望の光を灯す、釜石の新たな挑戦です。 以下に、環境、超高齢化、その他に関する取組方針に係わる現状と、それに係る地域の特性について 示します。 【取組方針に係わる現状】 環 境 地 理 的 条 件 環 境 価 値 人 口 ・ 人 材 社 会 的 価 値 人 材 ・ 企 業 の 存 在 超高齢化対応 その他 ■風力発電施設の立地にふさわしい風況がある。 ■波力・潮汐発電、洋上風力発電に適した地形的 条件にある。 ■LNGの陸揚げに適した港湾がある。 ■再生可能エネルギーの賦存量など、エネルギー 転換に関する調査結果の蓄積がある。 ■森林が市域の9割を占め、市街地に近接してい るため、森林からの素材供給のみならず、エネル ギー供給のための次世代林業システムの構築に 適している。 ■リアス式海岸に代表される風光明媚な海と自 然に恵まれている。 ■清冽で豊富な水資源に恵まれている。 ■半減したとはいえ圏域(釜石市・大槌町)約6万 の人口集積があり、労働力の確保に適している。 ■近代製鉄業発祥の地として150 有余年にわたる ものづくりの歴史を有し、ものづくり文化が生み 出した三交代勤務への順応性など産業活性化に 不可欠な人材を有する。 ■保健師、看護師が常駐し、生活応援セ ■リアス式海岸の地形的特徴から、風光 ンターが市内8ヶ所に設置されており、 明媚な箇所が多数存在するため、来街者 地域の実情に即した生涯学習なども行っ のための観光価値が大きい。 ている保健・福祉活動が行われている。 ■地域内でのコミュニティ形成も進ん でおり、地域住民の結びつきも深い。 ■当市の高齢化率は 33%超と全国平均 を大きく上回っている。元気な高齢者を 増やすことにより、高齢者が高齢者を支 えるという全国に先駆けたモデルを構 築することができる。 ■貴重な郷土史研究家を震災で失った ものの、橋野高炉跡及び関連遺跡を含む 地域の自治会である橋野地区振興協議 会、任意団体である鉄のふるさと釜石創 造事業実行委員会が自主的な活動を展 開している。 ■日本初のラグビーのクラブチーム“釜 石シーウェイブスRFC”は、ジュニア からシニアまでの3層で組織されてお り、市民に根ざしたチームとして活動を 継続している。 ■日本初の高温溶融炉方式による清掃工場の操 業ノウハウの蓄積があり、これを活かして多様な エネルギー源を活用した発電施設への発展が考 えられる。 ■同方式による岩手県沿岸南部広域環境組合の 新清掃工場が稼働しており、廃棄物処理技術につ いてのノウハウが蓄積されている。 ■鉄鋼メーカーの新日本製鐵、空気圧縮機メーカ ーSMCなど、世界的な技術企業が立地している だけでなく、釜石電気製作所の空気清浄機やエイ ワの人工関節のように、小規模ながら市場を席巻 する技術企業が存在する。 ■市内8ヶ所に設置された生活応援セ ンターを軸に、学校や町内会、老人クラ ブ等が参画している「地域会議」が設置 されている。 ■これまでの取組により、地域のことは 地域で解決する体制が構築されている。 ■新日本製鐵㈱釜石製鉄所及び関連企 業群、釜石鉱山㈱が立地している。 ■全国的な釜石ラグビーの支援組織「ス クラム釜石」 (キャプテン:松尾雄治氏、 代表:石山次郎氏)が地域を限定せずに 協力を呼びかけ、個人会員1万人を目標 に自主的な活動を展開している。 1 環 境 超高齢化対応 地 域 独 自 の 技 術 ■これまでのエコ志向施策の展開により、エネル ギー資源としての間伐材の搬出システムが構築さ れている。 ■石炭火力発電や風力発電による電力の安定供給 の実績がある。 ■木質バイオマス発電、溶融焼却炉、リサイクル技 術など全国に誇れる地域独自の技術が存在する。 ■県立釜石病院が有する医療情報を地域 の医療機関・会議施設等と共有することに より、急性期、安定期、終末期までの一貫 した保健、医療、福祉、介護サービスを提 供する。 ― 都 市 構 造 ・ 社 会 資 本 の 現 状 ■狭い平地部に商業、工業ならびに住宅がコンパ クトに集積する都市構造で、施策による投資効果 が大きい。 ■これまで蓄積されてきた公共埠頭、仙人峠道路 といった社会資本に相まって、震災復興による湾 口防波堤再整備、三陸自動車道、東北横断自動車 道など、今後もインフラの整備が急ピッチに進め られる。 ― 地 域 の 歴 史 、 伝 統 、 文 化 ■度重なる津波や戦禍(鑑砲射撃)などといった 幾多の惨禍と復興の経験を持っている。 ■日本で初めて市役所に公害課を設置したことか らも、環境都市への先進的な取り組み基盤と実績 を持っている。 ■ものづくり文化に裏付けられる『弛まぬ技術革 新』 『先進的な技術の導入』などの精神的風土を有 している。 ■医療インフラとして、国立釜石病院、県 立釜石病院、釜石厚生病院、せいてつ病院、 釜石のぞみ病院、生活応援センターなどの 関連施設が整っているが、いずれも医師不 足問題を抱え、事業所間の連携は十分とは いえない。 ■東日本大震災により、それまで生活して いた地域を離れ、仮設住宅等での生活を余 儀なくされており、新たに生活する地域で コミュニティを形成していく必要がある。 ■釜石市には、ものづくりの歴史・文化が あり、知識・経験を持ち、かつ経済社会活 動に参画する意欲の強い高齢者が多い。 そ の 他 の 地 域 の 蓄 積 ■広域ウインドファーム、石炭火力発電所、揚水 発電及び小水力発電など、圏内ではトップクラス の発電量を誇る発電施設の蓄積がある。 ■既存調査により、太陽光、風力、水力、森林バ イオマス及び廃プラスチック等の資源としての賦 存量が概ね判明している。計画立案の基礎資料と して活用が可能である。 ― ■2004 年からタグラグビー(簡易で安 全なラグビー風競技)を積極的に学校 教育に取り入れ、平成20 年には東北代 表として全国大会に出場するまで短期 間で強化が進んでいるほか、市民が気 軽に参加できる大人のタグラグビーリ ーグを自主運営するなど、市民レベル でのラグビー教育の蓄積がある。 【釜石市の活かすべき地域特性】 ものづくりの魂 ・技術革新力 ・日本版産業革命を起こした地域力 ・世界遺産登録を目指す橋野高炉跡及び関連遺跡 ・世界的企業の立地、港湾力 ・リサイクル技術(瓦礫の自力処理) 復興の志 ・津波、戦禍、鉄鋼不況を乗り越えた経験 その他 ■近代製鉄業発祥の地として、150 余 年に及ぶ鉄とともに歩んだ歴史があ り、現役の製鉄所、鉱山のほか製鉄に かかわる近代化産業遺産が豊富に存 在している。 【取り組みの方向性】 ○ ものづくりの魂、技術革新力等を 活かして循環型社会をつくり、時 代の先駆けとなる。 →低炭素、省エネ、省資源による 循環型都市 ○ 復興の魂と助けあいの心で乗り 越える →自分の役割に喜びを感じなが ら暮らせる共助都市 支え合いの心 ・保健と医療福祉の連携が進んでいる その他 ・潜在的なエネルギー源が豊富 ・震災を通して世界的な注目を集めている ・企業の進出意欲の高まり ・高規格道路網整備促進の機運 ・復興事業による短期集中投資 ・大規模未利用地(浸水域)の開発可能性 ○ 地域の資源を見直し、地域にない 資源は地域外との交流で補う →人と人、まちとまちが繋がる交 流都市 2 1.将来ビジョン (1) 目指すべき将来像 『三陸の大地に光り輝き、希望と笑顔があふれるまち』 ~ 全国の小都市に先駆ける 釜石の新たな挑戦 ~ (2015 年の釜石) 復興事業を足掛かりに、その先の未来を見据え、蓄積された技術を使いこなし、応用しながら、全国の小都市 に先駆けて、環境未来都市の実現をすすめている。 (2025 年の釜石) 災害に強い都市構造の中で、この地で生き続けるための生活基盤と地域経済の再建が果たされ、子どもたちが 将来に希望を持てるまち。 (2050 年の釜石) 子供からお年寄りまでが豊かな環境のもとで快適な住宅に住み、働く場とうるおいのある穏やかな暮らしをお くることができる、小さくても便利な、人・モノ・情報がしなやかに行き交うまち。 ≪環境≫ エネルギーが地域内で自給でき、資源の再利用が進み、環境と共生する循環型社会が実現している ≪福祉≫ これまで脅威として捉えられてきた超高齢化社会を助け合いとささえ合いで受け入れ、皆が役割と 喜びを感じながら暮らせる共助の社会が実現している ≪地域≫ 古くからの産業を通じたつながりや震災を契機に生まれた様々な縁や交流により内外のにぎわいが 創出され、新しい産業が育っている 3 (2) 目指すべき将来像に向けた課題・目標[環境] ① 課題・目標 環境―低炭素・省エネルギー ≪主要課題≫ 1)エネルギー環境の脆弱性の改善 震災後の混乱で明らかになったエネルギー環境の脆弱性を改善するため、緊急的に利用できる独立 電源の確保や長期的なエネルギーの安定供給の観点から、釜石独自のエネルギーのベストミックスを 進める必要がある。 2)暮らしと産業の再興 暮らしと産業の再興に向け、地域の産業競争力(企業の立地条件等)を強化し、浸水区域も含めた 産業集積に積極的に取り組む必要がある。 3)森林の有効活用 未活用地が一層減少したため、市域の約9割を占める森林を活用して経済効果を生み出す施策を一 層推進する必要がある。 ≪まちづくりの目標≫ ○ 災害に強い都市づくりと地域経済の再建 地域のエネルギーのベストミックスにより、エネルギーの長期安定供給並びに災害時の供給力向上 を図るとともに、再生可能エネルギーの活用による温室効果ガスの排出抑制、木質バイオマスの活用 等による循環システム構築に取り組み、環境と共生したまちづくりを進める。 これにより暮らしの安心安全を確保するとともに、エネルギー環境を活かす産業創出、特にも豊か な自然と鉄を中心とした技術や人材の集積を活かして一次産業やリサイクル産業との連携を図り、地 域の産業経済が振興される活気あるまちを目指すものである。 解説: 震災によるライフラインの途絶による混乱を踏まえ、かつエコタウン及びバイオマスタウンとして の蓄積等を活かし、地域のエネルギー環境を再生可能なエネルギーのウエイトを高めながら強化し、 産業競争力と市民生活の快適性の向上を果たす。 さらに、平成 22 年度に実施した「クリーンエネルギー資源活用調査」により判明した市内の再生可 能エネルギー資源の賦存量、並びにそれを活用したプロジェクトの具体化を進めることにより、環境 と産業が調和した「釜石型産業福祉都市」の実現を目指す。 参考)釜石市の再生可能エネルギーの賦存量・利用可能量 分類 太陽光 賦存量(億 kWh/h) 4,724 風 力 水 力 森 林 バイオマス 169 1.6 林地残材 約 7,700t 未利用間伐材 約2,500t ※「クリーンエネルギー資源活用調査」平成22 年度実施 4 利用可能量(万 kWh/h) (家庭用パネル)4,726 (メガソーラー)110 4,100 (河川)2,000 (砂防ダム)170 (熱量)93,000GJ/年 (電力量)300KWh/年 ② 評価指標と数値目標 評価指標-1:地域内発電能力 数値目標-1:181,470kw(平成 22 年度)→ 240,000kw(平成 28 年度) 評価指標-2:地域内発電量のうち再生可能エネルギーの割合 数値目標-2:25%(平成 22 年度)→ 45%(平成 28 年度) 評価指標-3:スマートコミュニティモデル構築数 数値目標-3:0(平成 22 年現在)→ 1(平成 28 年度) ③ 取組方針 1)エネルギー地産地消の推進(数値目標-1・2・3に対する寄与度:大) 市内の既存の発電施設の蓄積を生かしながらこれを拡充する形で多様なエネルギーの導入を進め、 自前調達できるエネルギーの割合を高めていくとともに、復興集落型新エネルギー・コミュニティ・ モデルづくりや、拠点施設のエネルギー環境の自立などを通じて、再生可能エネルギーを活用した暮 らしを普及啓発していく。 更に、将来構想として市内すべての発電設備を連結する市域内スマートグリッドを構築し、市民生 活と地域産業への有効活用による都市機能の高度化を図り、西の北九州市と並ぶ東北のモデル都市を 目指す取組への昇華を目指していく。 2)多様なエネルギーを活かした産業創出(数値目標-1・2に対する寄与度:大) 上記により整備されるエネルギーのべストミックスを進めるとともに、地域電力や排熱の活用など による新しいモノづくり産業の創出や、地域の産業競争力の強化につなげ、産業集積による雇用創出 を図る。 特に、市域の約 9 割を山林が占める当市の特色を活かし、林業者、製造業者、行政の連携のもと、 低コストで効率的な木材供給システムを確立するため、施業の集約化及び団地化に必要な作業路の整 備を進めるほか、未利用資源の有効活用を進めていく。 3)海洋エネルギーの活用に係る研究開発(数値目標-1・2に対する寄与度:大) 海に面した釜石市の地理特性を活かし、波力等による発電や海上風を活用する洋上風力発電(浮体 式)などの海洋エネルギーの活用や、特に漁業や水産加工業等への実用化に向けた調査検討を産学官 連携で行う。 5 (2) 目指すべき将来像に向けた課題・目標[超高齢化対応] ① 課題・目標 超高齢化対応―地域の介護・福祉 ≪主要課題≫ 1)超高齢化対策から共助を実現する社会への転換 震災前から高齢化率が 33%を超し、全国平均を大きく上回って推移しているほか、仮設住宅への入 居等により独居や高齢者世帯、引きこもりが増加するおそれが生じている一方で、就業を希望する高 齢者も増加している。 超高齢化への対応は高齢者へ支援拡大だけではなく、高齢者自らが自身を助け、共に助けあう社会 の構築が大きな課題である。 2)保健・医療から介護までのトータルケアシステムの構築 東日本大震災の影響により、仮設住宅への移住に伴い生活環境の変化による生活習慣病などの増加 が懸念されているほか、退院後の療養など在宅での医療と介護の対応が求められており、急性期から 慢性期、在宅医療と施設などの退院調整の確立など、保健・医療から介護までのトータルケアが必要 となっている。 ≪まちづくりの目標≫ ○ いつまでも働き続けられる環境づくり( “就労継続型福祉対策” ) 超高齢化への対応は、高齢者福祉の充実に終始することなく、高齢者の雇用の場を積極的に確保す る。何歳までも生涯現役で働き続けることができる『就労継続型福祉対策』へと発想を転換する。 ○ 保健・医療・福祉・介護のワンストップサービスの提供 生活応援センターを中心とした保健・医療・福祉・介護のワンストップサービスを目指す。これに より、誰もが生涯を健康に安心して暮らすことができるまちを目指す。 解説: 高齢化率が 33%を超える当市において、生涯を健康に安心して暮らすことができるよう、保健・医 療・福祉・介護の一層の連携を図る。 また、年齢にかかわりなく働き続けることができる社会を実現させるため、元気な高齢者が活躍で きる環境を形成するとともに、介護ニーズに対応した施設整備や在宅サービスを充実させ、独居高齢 者の見守りなど、共に支え合う地域コミュニティが機能するまちをつくる。 ② 評価指標と数値目標 評価指標-4: OK はまゆりネット加入施設の割合 数値目標-4:73.1%(平成 25 年)→100%(平成 28 年) 評価指標-5:65 歳以上の就業者の割合 数値目標-5:11.8%(平成 22 年)→13.7%(平成 28 年) 評価指標-6: 認知症サポーター養成数 数値目標-6:148 人(平成 18 年)→150 人(平成 28 年) 6 ③ 取組方針 1)「産業福祉都市かまいし」の構築 高齢者が社会とつながりを持ち続ける一つの手法として、高齢者が持つ技術と経験を若者に継承し、 産業を生み出す「エコ・ライフ・シティ(産業福祉都市)かまいし」の構築に向けた取組を実施する。 当市では全国に先駆け、地域ごとに「保健・医療・福祉・介護・生涯学習」の総合調整を担う生活応 援センターを設置し、強力な連携の下地域の実情に即した事業展開を図ってきた。 東日本大震災により、住宅等はもちろんのことこれまで培ってきた地域コミュニティも破壊された ため、「保健・医療・福祉・介護・生涯学習」の連携の強化による地域包括ケアの実現を図る。 ①高齢者が「生きがい」を持てるまちづくりの推進 ○ 高齢者雇用の推進(数値目標-5に対する寄与度:大) ・「団塊の世代」が定年を迎え、今後、就業意欲のある高齢者はますます増加すると見込まれ、高齢 者の持つ知識や技術を次世代に継承することも必要とされている。 このため、各分野において、高齢者を積極的に雇用するとともに、関係機関と連携を図りながら、 高齢者の就労を支援する。 ・ハローワーク等の関係機関と連携し、働く意欲のある高齢者に求職情報の提供を行うなど、高齢 者の雇用の創出に努める。 ・日常生活に合わせた臨時的・短期的な就業機会を提供するため、シルバー人材センターへの支援 を通した就業機会の創出に努める。 ○ 元気な高齢者が支援の必要な高齢者を支える共助社会へ向けた取組の推進 (数値目標-5・6に対する寄与度:大) ・高齢者が楽しく生きがいを持って充実した生活を送れるよう、身近な場所に、気軽にお茶飲み話 ができる憩いの場を設ける。 ・また、高齢者が優しさの中で安心して暮らせるよう、各地区の生活応援センターを核とした高齢 者サロンを設ける。元気な高齢者にはボランティアでスタッフとして参加してもらい、高齢者が 高齢者を支える仕組みを構築する。 ○ 社会貢献を継続するしくみづくり (数値目標-5・6に対する寄与度:大) ・各地区の生活応援センター等に設置している高齢者サロンを活用し、地域住民の交流機会の創出 に努める。 ・高齢者どうしの交流のみならず、若者世代との交流を通して、暮らしや子育ての知恵の伝授を行 い、高齢者が広く社会に貢献し続けるための仕組みをつくる。 ②生活応援センターを軸とした保健・医療・福祉・介護の一体化 ○ 生活応援センターの役割強化 (数値目標-4に対する寄与度:大) ・津波により被災した生活応援センターを再建するとともに、医療センターを含めた医療機関と連 携することにより、地域毎の保健・医療・福祉・介護・生涯学習の一層の連携強化を図る。 7 ○ スマートコミュニティモデル地区における見守り体制構築 (数値目標-4に対する寄与度:大) ・スマートコミュニティモデル地区において復興住宅等の、高齢者世帯の見守り体制を構築する。 ○ ICTを活用した保健・医療・福祉・介護地域ネットワークの構築 (数値目標-4に対する寄与度:大) ・基幹病院と診療所等、福祉介護施設間のネットワークの構築、保健等を含めた地域外病院等との ネットワークの構築を段階的に行い、誰もが安心して医療を受けられる体制を構築する。 ○ デマンドバスの運用 (数値目標-4・5に対する寄与度:大) ・スマートメーター等の端末等を介したオンデマンドバスの予約、医療機関等から次回診療のバス 予約等を可能とし、デマンド交通による地域間ネットワークの構築・高齢者や要医療介護者の交 通利便性の向上を図る。 ○ 在宅医療連携拠点の設置(数値目標-4・5・6に対する寄与度:大) ・医師会と行政との連携のもと、地域包括ケアの医療連携窓口として在宅医療連携拠点チームかま いしを設置し、高齢者が住み慣れた地域で生き生きと暮らし続けることができる地域包括ケアの 実現に向けた基盤形成と地域医療連携を強化する。 8 (2) 目指すべき将来像に向けた課題・目標[その他] ① 課題・目標 その他―歴史的環境を活かすまちづくり ≪主要課題≫ 1)地域コミュニティの再建 長年の人口減による市民力の減退に対応するため、生活応援センターを拠点とする地域づくりへの テコ入れ等を進めて来たところ、震災により浸水区域の住民が市内外に移住したため地域のコミュニ ティは壊滅的な影響を受け、この早急な再建が必要となっている。 2)まちづくりのアイデンティティの共有 市民同士が繋がり合うことによって、地域で生きる喜びや人と人の助け合いを復活させるために、 まちの将来像や地域のアイデンティティの共有による市民力の再結集が必要である。 ≪まちづくりの目標≫ ○ 市民の繋がりの力と他地域との連携を深めることにより、産業経済の活性化と暮らしの豊かさの向 上を図るため、歴史文化的な環境や地域の資源をもとに地域の絆を再生する。 ○ 市民が緩やかに共有できるまちのアイデンティティのもとに地域振興を進め、3万8千人の市民1 人1人が地域の大きな夢に向かって役割を果たし、夢を実現することで、子どもたちに希望の光を 与える。 解説: 震災は多くの市民と生活基盤とともに将来への希望とふるさとへの自信や誇り、地域のコミュニテ ィや暮らしのうるおいまでを奪った。 現在策定が進んでいる釜石市復興まちづくり基本計画では、復興ビジョンの理念に、 「失いかけてき た人や地域の絆や地域で語り継がれてきたことの大切さをもう一度思い起こすこと」 、 「人々がこの地 に住み続けるための希望と可能性の追求」 、そして「日本の近代製鉄発祥地としての歴史に学ぶ先駆け となるまちづくり」の3点を掲げている。 新しいまちづくりに奮闘した先人に改めて思いを馳せ、我が国近代化の幕開けに寄与した橋野高炉 跡及び関連遺跡をはじめとする一級の産業遺産をまちづくりに活かすとともに、ラグビーをはじめ震 災で大会を休止した鉄人レース(トライアスロン)などのスポーツ振興を図ることで、交流人口の拡 大と経済効果を創出し、あわせて市民の心に再び希望を灯し、特に子供たちのふるさとを愛する心と 誇りを復興させようとするものである。 9 ② 評価指標と数値目標 評価指標-7: 釜石市への移住世帯数 数値目標-7:3 世帯(平成 22 年)→ 10 世帯(平成 28 年度) 評価指標-8:週 1 回以上スポーツを行った人の割合 数値目標-8:33%(平成 22 年)→ 33%(平成 28 年度) 評価指標-9:釜石市来訪者数(観光客入込数) 数値目標-9:92 万人(平成 22 年度)→110 万人(平成 28 年度) ③ 取組方針 1)東日本大震災からの不撓不屈・復興の記録(数値目標-7・9に対する寄与度:大) ○ 東日本大震災の災害記録および、復興の過程について、後世のためはもちろん、世界の減災・防 災につながる情報として記録をとりまとめる。 2)釜石フィールドミュージアム構想の展開(数値目標-7・9に対する寄与度:大) ○ 近代製鉄発祥の歴史、度重なる津波被災、戦禍、豊かな自然環境、ものづくり文化、そして、大 震災からの復興過程など、地域をそのまま伝えることにより、地域内外の真の交流を展開する。 ○ 釜石の①ものづくりの魂、②復興の志、③支え合いの心を中心に、地域全体をフィールドミュー ジアムとして来訪者に伝えるための仕組みを構築する。 ○ フィールドミュージアムを地域のアイデンティティ共有の手段として、地域外からの来訪者だけ でなく、地域内の交流活性化を目指すため、平成 12 年度から取り組んでいる「鉄と自然の博物館 釜石構想」をリニューアルし、震災などを踏まえ、歴史を勉強するとともに、防災意識も高めら れるような参加型の取組を具体化していく。 3)産業遺産群の世界への情報発信(数値目標-7・9に対する寄与度:大) 市内に散在する鉄に関する産業遺産のうち、現存する我が国最古の高炉跡である「橋野高炉跡」の 価値を市民で共有し、九州・山口の世界遺産登録推進協議会と歩調を合わせ、ユネスコ世界遺産への 登録を目指して市民運動を展開することにより、極めて短期間で近代化を成し遂げた「アジアの奇跡」 として世界に発信しながら、ふるさと釜石への誇りを再興していく。 4)ラグビーW杯誘致に向けた取組(数値目標-7・8・9に対する寄与度:大) 釜石はかつて日本選手権7連覇を達成した新日鉄釜石製鉄所ラグビー部が存在した。 経営合理化の中で 2001 年には市民・地元企業出資のクラブチーム「釜石シーウェイブスRFC」に 移行したが、引き続き市民に愛される活動を続けている。 ラグビー競技によるまち興しを進め、交流人口創出などの経済効果につなげるため、市民が共有す る夢として 2019 年ラグビーW杯の釜石開催(日本開催は決定しており、1試合でも釜石で開催できな いか)と、これを契機としたスポーツ大会や合宿、研修などの呼び込み、更には未来の日本代表への 選手派遣を目指し、関連するハード・ソフトの事業を展開する。 10 (3) 価値創造 1)取り組み方針 釜石市が目指す「環境未来都市」に掲げる3つの柱は、構想当初から、相互に深く関連するものと して相乗効果を念頭に置きながら同時達成を目指している。 最大の狙いは、震災で露呈したエネルギー環境の脆弱さを改善し、安心安全な市民生活を確保する ことであるが、その取組過程で得られる多様なエネルギー関連事業を産業創出につなげ、かつ、最大 の高齢者福祉である「生涯現役のまちづくり」のために高齢者を積極雇用するとともに、釜石の潜在 力である鉄の歴史環境をすべての市民の夢に昇華させることを目指すものである。 2)課題の解決・目標の達成の過程で創造される価値 環 境 環 境 価 値 社 会 的 価 値 超高齢化対応 ○ 化石燃料から再生可能エネルギ ○ 高齢者の就労支援のため、環境共 ーへの転換により、温室効果ガスの排 生にかかわる取り組みや活動に高齢 出が抑制される。 者が参加する機会を増やすことによ り、持続できる循環型社会の形成に寄 ○ 森林資源の有効活用により森林 与する。 の適切な管理が可能となり、自然環境 や自然生態系の保全に寄与するとと もに、森林の温室効果ガスの吸収能の 向上が期待できる。 ○ エネルギー源の多様化により、長 期的なエネルギーの安定供給が可能 になり、災害時のライフライン早期復 旧にも寄与できる。 ○ これらにより、市民生活の安全安 心が向上し、安定した産業基盤が確保 される。 その他 ○ 橋野高炉跡及び関連遺跡並びに 市内の近代化産業遺産群の現状を尊 重しながら整備し、フィールドミュー ジアムを展開することにより、良好な 環境を維持できる。 ○ 自然の地形を活用し、防災や環境 に配慮した多目的公園(仮称:釜石ラ グビーヴィレッジ)を整備することに より、自然とのふれあいの機会が増加 し、市民はもとより全国からの利用者 への環境への意識啓発が一層進む。 ○ 元気な高齢者が増加する。個人、 ○ ふるさとの歴史を再認識し、未来 家族、地域社会のレベルでの価値が高 に向かってまちづくりのアイデンテ まる。 ィティとして位置付けることにより、 震災で崩壊・散在した故郷への自信や ○ 元気な高齢者が地域で活躍する 誇りを再構築できる。 機会を増やすことにより、世代間交流 が促進される。 ○ 地域が共有してきた暮らしの知 恵を世代間で継承し、地域コミュニテ ィの充実が期待できる。 経 済 的 価 値 ○ 高齢者が明るくなることにより、 元気な市民が増加し、子どもからお年 寄りまでが「生きがい」を持って生活 できる。 ○ 廉価で安定した電力供給により、 ○ 元気な高齢者が増加することに ○ 地域(フィールドミュージアム) 市内への企業立地が促進される。 よる、医療保険財政及び介護保険財政 への来場者、スポーツや自然愛好者に の安定化が期待できる。 よる交流人口が増加し、地域への経済 ○ エネルギー事業から派生したさ 効果が期待できる。 まざまな産業創出により、雇用機会の ○ 高齢者の就職者が増えることに 増大と地域経済の活性化が図られ、市 より、所得が増加し、地域経済の活性 財政基盤の確立にも寄与する。 化が図られる。 ○ 雇用機会の増大により、生涯現役 社会の実現につなげられる。 11 3)相乗効果の発現 3つの価値の交わる部分に環境未来都市釜石シンボルプロジェクトを据え、より大きな相乗効果の 発現を期待する。 4)副次的効果の発現 同様にこれらのプロジェクトの実施プロセスから生じる副次的効果の発現を期待 環 境 低炭素・省エネ・省資源 による循環都市 ・風力発電の2次展開 ・緑のシステム創造事業 ・新エネ・コミュニティモデル事業 ・新たな火力発電所 ・海洋エネルギーの研究 高齢者が活躍する 環境共生 エコタウンを 題材にした交流 交 流 超高齢化対応 人と人、まちとまちが 繋がる交流都市 ・橋野高炉跡及び関連遺跡を世界遺産へ 環境未来都市 自分の役割に喜びを 感じながら暮らせる 共助都市 シンボルプロジェクト 釜石の先進性を アピールした交流 ・ラグビーワールドカップ誘致 ・高齢者の積極雇用 ・生活応援センターの体制強化 ・多目的スタジアム建設 ・医療情報ネットワークの構築 ・鉱山ニューツーリズム ・見守り体制の構築 ○ 再生可能エネルギーを活用した交通環境の改善 (①環境-1、②超高齢化対応-1) 電気自動車、電動アシスト自転車など、高齢者の移動に必要な公共交通について低炭素化やIC Tを活用した運用により、環境共生と超高齢化対応の両者の効果を得ることが可能となる。 ○ 工場等での高齢者雇用 (①環境-1、②超高齢化対応-1) エネルギー環境を活かす産業集積において想定する木質バイオマスガス化プラントの廃熱を利用 した植物工場では、軽作業が主となる作業の特質上、高齢者の雇用が可能であり、生涯現役のまち づくりの展開に資する。 ○ 古民家再生事業を通した環境未来都市の象徴的展開 (①環境-1、②超高齢化対応-1、③その他-1) 鉄のふるさと橋野地区で製鉄発祥の時代に遡って再生を図る古民家は、再生可能エネルギーを活 用し、物産の展示販売、農家レストランといった観光関連の取組のほか、市民向けのデイサービス を実施する計画であり、豊かな自然に囲まれた風情ある建物を活用した昔と今が混合するユニーク な事業として、3つ取組を同時に実施する予定である。 12 2.取組内容 (1) 5年間に実施する取組内容 ≪エネルギー地産地消の推進≫(環境) エネルギーの自給率を高めることにより、市民生活の安心安全の向上と産業競争力の強化充実を図る ことを最終的な狙いとして、当面5年間は風力発電の2次展開、木質バイオマス発電等の導入を促進し、 地域内発電量を再生可能なエネルギーを中心に拡大する。 あわせて、クリーンなエネルギー環境のもとでのエコ-ライフの普及啓発を進め、震災後の新しいまち づくりにおいて、環境と健康にやさしい暮らしの創出を積極的に展開する。 1)多様なエネルギーの導入拡大 ○スマートコミュニティの導入可能性調査 ○風力発電施設の2次展開 ○木質バイオマス発電(コジェネ)の導入 ○LNGガス化発電(コジェネ)の導入 ○揚水、小水力発電の拡大支援 ○緑の分権改革の推進 2)エコライフの普及促進 ○拠点公共施設への自立電源導入 ○民間の再生可能エネルギー導入支援 ○スマートコミュニティ推進事業 ○復興事業における CO2 低減 ≪多様なエネルギー環境を活かした産業創出≫(環境) 震災以前からの厳しい効用情勢に対応するため、大規模な浸水地域の企業立地による活用を進める。 立地企業には独立型エネルギーの確保を求め、余剰エネルギーの被災地域への活用や新たな事業展開を、 行政と事業者が連携して推進する。 さらに、立地企業による高齢者の雇用確保を進め、生きがいの創出と豊かな市民生活の実現を目指す ものである。 1)再生可能エネルギー利用型事業の展開 ○ 木質バイオマス発電(コジェネ)の活用 ○ 瓦礫処理技術の活用 ○ 企業誘致の強化 2)緑のシステム創造事業の拡大 ○ 林業の高度化の推進 ○ 木造復興住宅の建設 ≪海洋エネルギーの活用に係る研究開発≫(環境) 漁業者や企業、研究機関、関係行政機関が連携し、海洋産業の振興、水産業の 6 次産業化等、海洋エ ネルギーの活用や実用化に向けた調査検討を行う。その際に、導入上の課題となる社会的側面(根幹産 業である漁業への影響など)についても調査し、将来的な普及に向けた研究開発拠点機能を担っていく。 ○ 海洋エネルギーの実証 ○ 海洋産業、水産業への海洋エネルギーの活用・普及に係る研究・開発 13 ≪産業福祉都市かまいしの構築≫(超高齢化対応) 高齢者が社会とつながりを持ち続ける一つの手法として、高齢者が持つ技術と経験を若者に継承し、 産業を生み出す「エコ・ライフ・シティ(産業福祉都市)かまいし」の構築に向けた取り組みを行うこ とによって、高齢者のライフスタイルの多様化を図り、誰もが生き生きと自立した生活をし、お互いに 支えあいながら安心安全に暮らせることができるまちを目指す。 当市では全国に先駆け、地域ごとに「保健・医療・福祉・介護・生涯学習」の総合調整を担う拠点とな る生活応援センターを設置し、強力な連携のもと地域の実情に即した事業展開を図ってきた。平成 23 年 3月 11 日に発生した東日本大震災の影響により、住宅等はもちろんのことこれまで培ってきた地域コミ ュニティも破壊されており、「保健・医療・福祉・介護・生涯学習」の連携の強化による包括ケアの実現 を図り、誰もが健康で安心して暮らせるまちを目指す。 1)高齢者が「生きがい」を持てるまちづくりの推進 ○ 高齢者の積極的雇用 ○ 高齢者雇用奨励金の創設 ○ 高齢者による健康づくり(介護予防) 2)生活応援センターを軸とした保健・医療・福祉・介護の一体化 ○ 生活応援センターの体制強化 ○ 見守り体制構築モデル事業 ○ かまいし・おおつち医療情報ネットワーク(ICT を活用した地域ネットワーク)の構築 ○ デマンドバスの運用 ○ 在宅医療連携拠点の設置 ≪歴史環境を活かすまちづくり≫(その他) 1)東日本大震災からの不撓不屈・復興の記録 ○東日本大震災の記録と復興の過程の記録 2)釜石フィールドミュージアム構想の展開 ○橋野高炉跡整備計画の策定 ○橋野鉄鉱山インフォメーションセンター計画の推進 ○鉱山ニューツーリズムの創出 ○鉄の歴史教育の展開 3)近代化産業遺産群の世界への情報発信 ○世界遺産登録の推進 4)ラグビーW杯誘致に向けた取組(仮称) ○ラグビー競技普及啓発事業 ○多目的公園整備計画の推進 14 (3) 取組のスケジュール 5年間に実施する取組のスケジュール 取組内容 ≪エネルギー地産地消の推進≫ 24 年度 25 年度 26 年度 風力発電施設の2次展開(協議) 風力発電施設の2次展開(施工) 木質バイオマス発電(コジェネ)の導入 ● LNGガス化発電(コジェネ)の導入 ● 揚水、小水力発電の拡大支援 ● 拠点公共施設への自立電源導入(計画策定) 拠点公共施設への自立電源導入(施工) ● 民間の再生可能エネルギー導入支援 ● スマートコミュニティ 基本計画 策定 スマートコミュニティ 推進事業 復興事業における CO2 低減 ≪多様なエネルギー環境を活かした産業創出≫ 木質バイオマス発電(コジェネ)の活用 瓦礫処理技術の活用 企業誘致の強化 ● 林業の高度化の推進 木造復興住宅の建設 ≪海洋エネルギーの活用に係る研究開発≫ ≪産業福祉都市かまいしの構築≫ ● 海洋エネルギー実証フィールドの具現化 海洋産業、水産業への海洋エネルギーの活用・ 普及に係る研究・開発 高齢者雇用奨励金の創設・高齢者の雇用開拓と 技術伝承 高齢者による健康づくり(施行) 高齢者による健康づくり(事業) 生活応援センターの体制強化 見守り体制構築モデル事業 ● かまいし・おおつち医療情報ネットワーク(ICT を活用した地域ネットワーク)の構築 デマンドバスの運用 在宅医療連携拠点の設置 ≪歴史環境を活かすまちづくり≫ 東日本大震災の記録と復興の過程の記録 橋野高炉跡整備計画の策定 橋野鉄鉱山インフォメーションセンター計画の推進(設計) 橋野鉄鉱山インフォメーションセンターオープン 鉱山ニューツーリズムの創出 鉄の歴史教育の展開 世界遺産登録の推進 ラグビー競技普及啓発事業 多目的公園整備計画の推進(計画策定) 多目的公園整備計画の推進(施工) 15 27 年度 28 年度 3.取組の推進方策 (1) 体制 1)推進組織の設置と役割 東日本大震災の被災を受けた釜石市においては、 「釜石市復興まちづくり基本計画」が事実上第 6 次 の市総合計画に位置づけられている。この復興まちづくり基本計画は釜石市総合振興審議会を母体と した釜石市復興まちづくり委員会にて策定した。 釜石市環境未来都市は、上記、復興まちづくり計画と両輪として進める必要があるため、同委員会 をプロジェクトマネジメント会議として替える。ただし、総合振興審議会と異なり、振興管理等の責 任体制が必要なため、プロジェクトマネージャーを置く。 更に、プロジェクトマネジメント会議下に、既存の3協議会( 「環境」 「高齢化対策」 「フィールドミ ュージアム」 )を活用・設置し、具体の事業計画の策定及び進捗管理等にあたる。 (プロジェクトマネジメント会議の役割) ○ 部門別の3つの計画の総合的な進捗管理 ○ 実施計画の承認と成果の取りまとめ 釜石環境未来都市推進体制(イメージ) プロジェクトマネジメント会議 (釜石市総合振興審議会) プロジェクトマネジャー 統括 市及び協議会との連絡調整 全体の進捗管理 協議会への提言 事務局:リーディング事業推進室 環境推進協議会 大学 電力会社 地元企業 商工会議所 市民代表 ほか 事務局:リーディング事業推進室 高齢化対策協議会 医師会 医療機関 保健所 社会福祉協議会 市民代表 ほか 事務局:健康推進課 フィールドミュージアム推進協議会 社会教育団体 スポーツ団体 釜石鉱山 鉄の歴史館 市民代表 ほか 事務局:総合政策課 ほか なお、市民の参画を促すため、以下の 3 点を行う。 ・ 会議体に市民を参加させる(直接参加) ・ 毎年、進捗状況を広報する(間接参加) ・ 随時、啓発活動を行う(スマートコミュニティ普及イベント、復興懇談会等) 16 (2) プロジェクトマネジメントの方法 主に民間事業者が推進する事業は、民間事業者のマネジメントに委ね、主に市が推進する事業は、釜 石市の政策評価によりマネジメントを行う。 プロジェクトマネジャーの人選は未定であるが、構想当初から関わる市職員OBもしくは民間経済人 から選任したい。 プロジェクトマネジャーは、主に次の業務を担うこととする予定である。 ○ ○ ○ ○ ○ 推進組織の代表者として、組織としての意志の最終決定を行うこと 3つの事業間において、各推進組織の意見を最終調整すること 環境未来都市構想の全体の進捗管理を行うこと 構想の推進に係る各推進組織への提言を行うこと 市長に報告、提案を行うこと (3) 都市間連携・ネットワークの活用方針 当市がこれまでのエコタウン事業によって立ち上げたカーリサイクル事業は、震災による廃車リサイ クルに活用され、震災後の瓦礫の分別処理事業は、バイオマス発電の資源として貢献するなど、国内は もとより世界的な課題である廃棄物処理及びリサイクル技術の向上に寄与できる。 <都市間連携・ネットワークイメージ> (例) 先進事例 釜石市環境未来都市構想 北九州市スマート コミュニティ創造事業 地域都市における活用 の在り方を検証 ベストプラクティスとして導入 岩手県沿岸市町村 復興期成同盟会 ・県内外の被災地へ普及 ・「小都市再興」のモデル として、全国へ普及 1)釜石市が加入する主な都市間連携 ○ 岩手県沿岸市町村復興期成同盟会 ○ 北東北地域連携軸構想推進協議会 ○ 九州・山口の近代化産業遺産群世界遺産登録推進協議会 ○ 北九州市、愛知県東海市、静岡県袋井市をはじめとする多くの都市との震災支援の ネットワーク 2)主な市民団体等 ○ 鉄のふるさと釜石創造事業実行委員会 ○ かまいし環境ネットワーク ○ 釜石市地球温暖化対策地域協議会 計画の参考資料として、次の資料を作成し、添付する。 ・取組内容詳細個票(様式2) ・選定時留保条件への対応表(様式3) ・計画の更なる明確化・具体化に向けた助言への対応表(様式4) ・各省意見への対応表(様式5) 17
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