Clinical Case Study Too Much of a Good Thing: A Woman with

Clinical Case Study
Too Much of a Good Thing: A Woman with Hypertension and Hypokalemia
Sean C. Murphy, Sean Agger and Petrie M. Rainey a
1
Department of Laboratory Medicine, University of Washington Medical Center, Seattle, WA
a
Address correspondence to this author at: Department of Laboratory Medicine, NW120, 1959 NE Pacific, Seattle, WA
98195. Fax 206-598-6189; e-mail [email protected].
臨床症例研究
過ぎたるは及ばざるかごとし:高血圧症と低カリウム血症の女性
症例
妄想型統合失調症、高血圧症、高脂血圧、原因不明の慢性的な低カリウム血圧の病歴がある 64 歳の女性が、
特に症状はないが通常の経過観察のため精神科外来を受診した。彼女の病歴や検査結果からは、特に異常は認
められなかった。彼女は、市販薬の経口カリウムサプリメント(2.5 mmol、1 日 3 回)とオランザピン(10
mg/日)を服用していた。彼女の調子は良いが、高血圧症だけ目立っていた(188/105 mmHg)。血液サンプル
を採取し、血液化学検査をいつも行っていた。
血清ナトリウム値(142 mmol/L)、尿素窒素[2.9 mmol/L(8 mg/dL)]、クレアチニン[53 μmol/L(0.6 mg/dL)]、
マグネシウム[1.0 mmol/L(2.4 mg/dL)]、グルコース[5.2 mmol/L(94 mg/dL)]は、基準範囲内であった。二酸
化炭素は 43 mmol/L(基準値 22-32 mmol/L)と高く、血清カリウム値は 1.9 mmol/L(基準値 3.7-5.2 mmol/L)と
非常に低かった。非常に低かったカリウム値の結果は、検査依頼をした医師に報告され、緊急診療部へ患者を
搬送することとなった。
緊急診療部では、患者はずっと高血圧であった(170-180/95-110 mmHg)。以前の臨床検査では、低カリウム
血症の 1 歩手前を示していた(2.1 mmol/L、3.3 mmol/L)。心電図は正常であった。患者は、利尿剤の使用、
下剤の乱用、長時間の絶食、下痢、嘔吐はないと言った。再検査では血清カリウム値は 2.1 mmol/L であり、
その時の血清浸透圧は 301 mOsm/kg と算出された。動脈または静脈血液ガス測定は、実施しなかった。時間
測定を行っていない蓄尿では、尿中クレアチニンが 884 μmol/L(10 mg/dL)、尿中ナトリウムは 73 mmol/L、
尿中カリウムは 21 mmol/L、尿浸透圧は 226 mOsm/kg であった。主な異常所見は、低カリウム血症と代謝性ア
ルカローシスを併発する高血圧症であった。
1
患者は継続して心臓をモニタリングされ、静脈内投与および経口投与によりカリウムが投与された。アルドス
テロン[<0.06 nmol/L(< 2.0 ng/dL)]とレニン[<14.2 pmol/L/h]は低かった。医師たちは、この患者がなぜこん
なに重度の低カリウム血症となったのか疑問であった。その後の患者への質問によって、高血圧症と重度の低
カリウム血症の原因が分かった。
疑問点
1.
低カリウム血症と、高血圧症に共通する原因は何なのか?
2.
カリウム代謝を変える医薬品や食べ物は何なのか?
3.
この患者の低カリウム血症と高血圧症のメカニズムは何なのか?
考察
鑑別診断
代謝性アルカローシスを伴う低カリウム血症の鑑別診断は多岐にわたり、皮膚かつ/または胃腸管からの消失
を排除するために、最初に尿中カリウムを測定することによって体系的に検査することができる(1)。低カ
リウム血症の患者の尿中カリウム濃度が 21 mmol/L であるということは、腎臓でカリウムが失われていること
を示唆している。24 時間の尿中カリウム排泄量を測定することにより、カリウムが必要以上に失われている
ことを決定的とすることができるが、カリウム補充を迅速に開始したため、この戦略は実施しなかったが、そ
れが結果を混乱させた。尿細管カリウム勾配 [(血清浸透圧×尿中 K+)/(血清 K+×尿浸透圧)]は、高カリウ
ム血症を評価するために一般的に使われるが、迅速に計算することができ、この患者では 13.3 という高い結
果であり(2)、腎臓においてカリウムが過剰に失われていると結論付けられた。
この患者は、マグネシウム濃度は基準値内であったため、低カリウム血症によって引き起こされる低マグネシ
ウム血症の可能性は除外され、また、二酸化炭素が増加した原因として、代謝性ケトアシドーシスと尿細管性
アシドーシス 1 と 2 は除外された。尿中カリウムの損失は、ループまたはサイアザイド系利尿薬が原因となる
場合がある。これらの利尿薬は血圧を低くするが、難治性高血圧症の血圧を正常にするには十分でない。我々
の患者は利尿薬の使用を否定した。利尿薬の使用時と生理学的に類似する遺伝子発現の状態もある。バーター
症候群は、ヘンレ係蹄の厚い上行脚にある Na-K-2Cl チャネルの常染色体劣性遺伝のチャネロパシーである。こ
の疾患の患者は、子供の頃に代謝性アルカローシスを発症し、尿中のカリウム、ナトリウム、クロライドが増
加する。ギテルマン症候群は、遠位尿細管にある Na-Cl 輸送体の常染色体劣性遺伝のチャネロパシーであり、
高アルドステロン症を呈する後天性の疾患である。これらの遺伝子異常がある患者の血圧は、おおむね正常な
血圧よりも低い。
低カリウム血症と代謝性アルカローシスを併発している高血圧症の患者において、原発性または二次性高アル
ドステロンによるクッシング症候群や、過剰な鉱質コルチコイドが低カリウム血症を引き起こす可能性がある。
しかし、この患者はアルドステロンの値は低く、クッシング症候群を示唆するような身体的所見はない。
2
偽性アルドステロン症はアルドステロンとレニンの値が低く、遺伝または感染が原因である。リドル症候群
(腎集合管にある Na/K 輸送体の常染色体優性遺伝のチャネロパシー)は若い年代で発症する。11-β-ヒドロ
キシステロイドデヒドロゲナーゼ 2 型(11β-HSD2)の遺伝子異常は、鉱質コルチコイドの過剰を引き起こし、
時には成人してから発症する。11β-HSD2 は通常、腎尿細管に豊富に存在し、選択的にコルチゾールをコルチ
ゾンへ変換する。欠乏すると代謝されないコルチゾールが、すぐにアルドステロン受容体に結合し、ナトリウ
ム保持やカリウムの消耗などの鉱質コルチコイド作用を誘発し、高血圧症や低カリウム血症に繋がる(3)。
代謝性アルカローシスは、低カリウム血症の結果として発症する。11β-HSD2 欠損は稀であり、DNA 塩基配列
決定によって評価される。先天的な副腎皮質過形成はアルドステロンの値が低いが、遅発性であるため通常、
腎臓での重大な電解質消失は引き起こさない。異所性副腎皮質刺激ホルモン症候群や、デオキシコルチコステ
ロン分泌副腎皮質腺腫もアルドステロンとレニンの値が低い。
我々の調査や患者への聞き取りの間、彼女は動物の副腎抽出物やブラックリコリスオイルを含む、いくつかの
薬草のサプリメントを服用していたことを明らかにした。副腎抽出物は、牛や豚、羊の副腎から製造される;
その抽出物が、外因性の鉱質コルチコイドとして作用するかは定かではないが、ブラックリコリスオイルが
11β-HSD2 を阻害し、この患者の症状の原因となった可能性が疑われた。
リコリスによる高血圧症と低カリウム血症
ブラックリコリスキャンディーの大量摂取は、高血圧症と低カリウム血症に関連している。しかし、現在入手
できるほとんどのリコリス風味のキャンディーは、植物のリコリス(Glycyrrhiza glabra)の生の根よりも、ア
ニスの種で風味がつけられている。本当のリコリスの根は生物活性のあるグリチルリチン(グリチルリチン酸、
グリシルリジン酸)を含んでいる。グリシルリチンはキャンディーの中の強烈な甘味料として使われているト
リテルペノイド配糖体サポニンであり、炎症やウイルス、潰瘍、胃腸の不快感に対して効果があると考えられ
ている。しかし、グリチルリチンはコルチゾールの代謝を阻害し、重度の高血圧症と低カリウム血症の急性ま
たは慢性的な原因となる。リコリスの医療的応用は、他でも述べられている(4)。
グリチルリチンの機序
多くのホルモンは、特異的な受容体との相互作用を介して組織特異的な効果をもたらすにも関わらず、腎集合
管に存在する鉱質コルチコイド受容体は、インビトロにおいて高いナノモーラーオーダーの親和性を持って、
鉱質コルチコイドとアルドステロンに等しく結合する。インビボでのアルドステロンの正常腎における主なる
役割は、そのかわり 11β-HSD2 の活性化の程度に依存する。11β-HSD2 は尿細管に豊富に存在し、コルチゾー
ルを選択的にコルチゾンに変換するため、鉱質コルチコイド受容体に対する親和性を減少させる(3)。アル
デステロンは 11β-HSD2 の基質ではないので、アルドステロンは腎臓において主要なホルモンとして働き、ナ
トリウムイオンとカリウムイオンの交換系を調節している。しかし、グリチルリチンが 11β-HSD2 を阻害した
時、代謝されないコルチゾールはアルドステロン受容体を刺激し、コルチコイドが過剰となり、高血圧症や低
カリウム血症、代謝性アルカローシスが引き起こされる(図 1)。
3
図 1. コルチゾールの代謝とグリチルリチンによる阻害
尿細管は 11β-HSD2 を豊富に含み、コルチゾールの NAD+依存的な脱水素反応を促進し、コルチゾンを産生す
る。11β-HSD2 は、リコリスを含んでいる製品の中に存在するグリチルリチンによって阻害されると、コルチ
ゾールが尿細管に保持され、アルドステロン受容体に結合し、文中で述べる異常を引き起こす。
リコリスによる高血圧症と低カリウム血症は、尿中のコルチゾール対コルチゾン比の増加(広く分布した 11
β-HSD1 型よりもむしろ腎臓の 11β-HSD2 の活性を反映している)によって疑われ、血漿中のグリチルリチン
の濃度測定により、もしくはリコリス製品を除去すると症状が改善した場合に確認することができる。多くの
報告により、リコリスによる高血圧症において、正常なフィードバックメカニズムから予期されるように、血
清アルドステロンとレニンが低値を示すことが明らかとなった。
この患者は翌日に、血清カリウム値が 2.3 mmol/L となり退院した。カリウム投薬の増量(1 日 2 回、経口投与、
30 mmol)とブラックリコリスオイルの中止に伴って、患者の血清カリウム値と二酸化炭素は正常となり、血
圧は低下した(表 1)。
4
食物、サプリメントでのリコリスやグリチルリチンの使用
グリチルリチンはアメリカにおいて 20 年以上の間、“一般的に安全であると認識”されており、グリチルリ
チンを含む食べ物やサプリメントは、広く規制されていない(5)。リコリスキャンディー(3)、(6)に加
え、リコリスを含む薬草のサプリメントが、高血圧症や低カリウム血症の原因となるという報告は増えている
(7)。そのようなサプリメントは錠剤や下剤、リコリスのお茶、伝統的な漢方薬(4)などになっており、
様々な名称で販売されている(8)。
リコリスをどのくらい摂取すると過剰摂取になるのだろうか。EU では、1 日 100mg(リコリスでは約 60-70 g)
をグリチルリチンの摂取量の上限としている(9)。しかし、グリチルリチンに対する感受性は、健康状態
(10)や遺伝子多型によって影響される。推奨されている限度以下の摂取量で、疾患が発病する患者もいる
(4)。リコリスの液体エキス剤は、約 10 %-20 %のグリチルリチンを含んでいる;通常摂取量の 2-4 ml 中、
200 mg-800 mg のグリチルリチンが含まれている;1 日用量の 1-4 g 中、40-360 mg のグリチルリチンが含まれ
ている(8)。推奨摂取量の上限を超えるのは容易である。リコリス製品を毎日摂取している人の 2 %が、1 日
に 100 mg 以上を摂取していると推察されている(9)。
この症例においては、リコリスを含むサプリメントが、重度の高血圧症と低カリウム血症を引き起こす原因と
して有力である。そのようなサプリメントは偽性アルドステロン症の兆候や症状がある患者に、原因物質とな
り得る可能性があると認識されるべきである。
覚えておくべきポイント
•
グリチルリチンはリコリスから作られた食物やサプリメントに含まれており、11β-HSD1 によるコルチ
ゾールの腎代謝を阻害する。コルチゾールが代謝されない場合、それは腎臓において鉱質コルチコイドの効果
を持つ。
•
グリチルリチンの過剰摂取は、高血圧症や低カリウム血症を引き起こす可能性があり、これらの所見
を示す患者には違いがあることを考慮すべきだ。
•
リコリスによる高血圧症と低カリウム血症は、尿中のコルチゾール対コルチゾン比の増加を基に疑わ
れ、血漿中のグリチルリチンの濃度測定、もしくはリコリス製品の除去によって、症状が改善した場合に確認
することができる
謝辞
Author Contributions: All authors confirmed they have contributed to the intellectual content of this paper and have
met the following 3 requirements: (a) significant contributions to the conception and design, acquisition of data, or
analysis and interpretation of data; (b) drafting or revising the article for intellectual content; and (c) final approval of
the published article.
Authors’ Disclosures of Potential Conflicts of Interest: No authors declared any potential conflicts of interest.
5
Role of Sponsor: The funding organizations played no role in the design of study, choice of enrolled patients, review and
interpretation of data, or preparation or approval of manuscript.
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論説
David Windus
6
Department of Internal Medicine, Renal Division, Washington University School of Medicine, St. Louis, MO.
Address correspondence to the author at: Department of Internal Medicine, Washington University School of Medicine,
Campus Box 8129, 660 S. Euclid, St. Louis, MO 63110. Fax 314-747-3743; e-mail [email protected].
この症例はアルドステロンの作用やナトリウムとカリウムのバランス、酸塩基調節の複雑な相互作用を示して
いる。2 つの鍵となる診断ステップは、血漿アルドステロンの抑制と、レニンの値および尿中カリウムの増加
を証明することだった。体内カリウム値が減少した患者は、1 日におよそ 15 mmol 以下のカリウムを排泄する。
時間を決めた蓄尿は、定義的ではあるが現実的ではない。尿中カリウム濃度の増加のボーダーラインは 21
nmol/L であったが、尿頻度や濃度は考慮されない。実際、尿は 226 mOsm/kg の浸透圧で相対的に希釈された。
このように、カリウム排泄の評価をすることができる間接的な測定は、随時尿のサンプルを評価するために必
要とされる。著者たちは、尿細管のカリウム勾配の結果を報告している。この計算は、血漿および尿中のカリ
ウム濃度に対する尿の浸透圧と関係している。標準的な結果は 8-9 であるが、もし腎臓が適切にカリウムを保
持しているのであれば、その値は 2 以下になるはずだ。クレアチニン濃度に対する尿中カリウム濃度の比もま
た、有益であると考えられている(1)。
皮質集合管の主要細胞は、ネフロンでナトリウム再吸収を行う最終部位であり、頂端膜にある起電性のナトリ
ウムチャネルを介している。アルドステロンは起電性のナトリウムチャネルの流入を刺激し、ナトリウムの再
吸収を増加させる。この作用は、ナトリウムイオンの流入によって、管腔側がさらに負電荷となり、別のカリ
ウム特異性チャネルを介してカリウムの排泄を促進する。管腔側の負電荷は、同じセグメントに存在する介在
細胞による酸(H+)の排出も促進する。アルドステロンは介在細胞において H+-ATPase を付加的に刺激し、さ
らなる H+の排出、重炭酸系の獲得を引き起こす(2)。この症例で示されたように、コルチコイド受容体の劇
的な活性化は、ナトリウム保持(高血圧症)、カリウム損失(低カリウム血症)、酸損失(代謝性アルカロー
シス)を引き起こした。
謝辞
Author Contributions: All authors confirmed they have contributed to the intellectual content of this paper and have
met the following 3 requirements: (a) significant contributions to the conception and design, acquisition of data, or
analysis and interpretation of data; (b) drafting or revising the article for intellectual content; and (c) final approval of
the published article.
Authors’ Disclosures of Potential Conflicts of Interest: No authors declared any potential conflicts of interest.
Role of Sponsor: The funding organizations played no role in the design of study, choice of enrolled patients, review and
interpretation of data, or preparation or approval of manuscript.
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論説
Michael Stowasser
Endocrine Hypertension Research Centre, University of Queensland School of Medicine, Greenslopes and Princess
Alexandra Hospitals, Brisbane, Australia.
Address correspondence to the author at: Endocrine Hypertension Research Centre, University of Queensland School of
Medicine, Princess Alexandra Hospital, Ipswich Road, Woolloongabba, Brisbane 4102, Australia. Fax +61-7-3240-7131; email [email protected].
低カリウム血症が高血圧に伴って起こるとき、血漿レニンおよびアルドステロン値の測定は、ベースとなる要
因を決定することに役に立つ。原発性高アルドステロン血症 (PAL)とは、自律的なアルドステロンの過生産
が、塩保持(高血圧およびレニン分泌の抑制を引き起こす)および、カリウム排出を引き起こす状態であり、
高血圧の 5-10 %の要因であり、もし持続的で重篤な場合、低カリウム血症に繋がる可能性がある。高血圧群
のアルドステロン/レニン比(PAL の増加)の測定において、PAL は良く見られ、PAL 患者の大半(>70 %)は
正常カリウム血症である。これらの場合、PAL は、“本態性”高血圧として疑われる(1)。
チアジド系利尿薬が処方されている高血圧の患者および腎血管性高血圧、もしくはまれな腎腫を持つ患者に生
じる可能性がある、二次性高アルドステロン血症の場合、レニンおよびアルドステロンは、特徴的な増加(時
には正常)を起こし、アルドステロン/レニン比は、正常もしくは低くなる。鉱質コルチコイド過剰と似てい
る状態(ナトリウム保持によるレニンが低い高血圧症と低カリウム血症)だが、アルドステロンが低い状態
(PAL ではない)として、リコリスの使い過ぎがあり、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ 2 型
(11β-HSD2)が阻害される;先天的な 11β-HSD2 欠損;リドル症候群(上皮ナトリウムチャネルの構成的活
性);副腎皮質刺激ホルモン過剰に関連する状態(デオキシコルチコステロンの濃度上昇の原因)、異所性
ACTH 症候群や 11βヒドロキシラーゼまたは 17αヒドロキシラーゼ欠損による先天的副腎過形質、糖質ステロ
イド抵抗症候群を含む(2)。バーター症候群やギテルマン症候群などの消化器のカリウム損失による低カリ
ウム血症は、ナトリウム/血清量が減少するため一般的に血圧が低く、多くの場合血清レニンとアルドステロ
ンが上昇する(時には、正常の場合もある)。
適切に処置しないと、薬剤、生活習慣、食事のナトリウム量、時間、低カリウム血症自体などの変数が、血清
アルドステロンとレニンの相互作用、またはその比に影響を与え、複雑にする(3)。可能であれば、変数の
複雑化を避けるために、以下の方法がある。利尿薬を少なくとも 4 週間中止、他の影響を与える薬剤(例えば、
βブロッカー、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬、ジヒドロピリジンカルシ
ウムアンタドニスト、非ステロイド性抗炎症薬)を少なくとも 2 週間中止、これらの薬剤を影響の少ない他の
薬剤(ベラパミリル徐放、ヒドララジン、プラゾシン)に変更;自由なナトリウム食を推奨;カリウムのサプ
リメントによって低カリウム血症を是正;座っている患者から午前中に血液を採取。適切な採血(うっ血なし)
は、低カリウム血症を隠す血清カリウム値の不自然な上昇のリスクを最小化する(3)。
8
(訳者:間下 有子)
謝辞
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Role of Sponsor: The funding organizations played no role in the design of study, choice of enrolled patients, review and
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