空中映像表示システム〜ディスプレイから飛び出せ!

技術最前線
空中映像表示システム〜ディスプレイから飛び出せ!〜
兵庫県立工業技術センター 瀧澤
由佳子
1.
背景
3.
2面コーナー
リフレクターアレイ
最近では、
私たちが見ているテレビやパソコンのディス
プレイなどと異なり、
何もない空中に映像を浮かび上がら
せて表示するシステムが注目されています。
そこで、
昨年か
ら株式会社パリティ
・イノベーションズ、
兵庫県立大学、
兵
庫県立工業技術センターの3機関でマイクロミラーアレイ
を用いた空中映像表示システムの開発を行っております。
われわれはマイクロミラーアレイとして2面コーナーリ
フレクターアレイ
(DCRA: Dihedral Corner Reflect
Array)を開発しました。
このDCRAの外観およびその拡
大を図3(a),(b)にそれぞれ示します。
DCRAは100mm
角のサイズであり、
図(b)では200μm角の四角柱アレイ
が無数に並んでおります。
この四角柱の側面がミラーとなっており、
直交する2つ
の面で2回反射することで空中に映像を表示する仕組
みとなっています。
このアレイは一般的なレンズとは違っ
て固有の光軸や焦点距離がなく、
表示像のどの位置で
も歪みが出ないという利点があります。
従って、
プロジェク
ターの映像を空中に忠実に表示することができます。
なお 、
このD C R AはM E M S( M i c r o E l e c t r o
Mechanical System)技術の一つであるインプリント装置
を使って成形しているため、
大量生産にも対応可能です。
2.
空
中映像表示システム
マイクロミラーアレイを用いた空中映像表示システムの
原理を図1に示します。
このシステムはマイクロミラーアレイ
と液晶ディスプレイで構成されています。
液晶ディスプレイ
に表示した画像はマイクロミラーアレイで反射され、
空中
に浮かび上がります。
ちなみに、
液晶ディスプレイの代わりに3次元構造物を
置けば、
あたかもその構造物が空中に浮かんで見えるよ
うにできます。例えば、構造物としておもちゃの車を置い
た場合、
図2のような空中映像が浮かび上がってきます。
この図(a),(b)はそれぞれ左視点と右視点から撮影した
映像です。
これらを見ると視点によって車の見え方が異な
っており、
立体視が可能となっています。
(a)
(b)
図3 2面コーナーリフレクターアレイ
(a) 外観、(b) 拡大
4.
今
後の課題
本システムを用いて、人物などを等身大で表示する
場合には、
より大きなDCRAが必要となります。
現在、
この
ような用途に大面積DCRAの開発を行っております。
図1 空中映像表示システムの原理
問い合わせ先
(a)
(b)
図2 空中映像表示例
(a) 左視点の映像、(b) 右視点の映像
兵庫県立工業技術センター
○生産技術部 電子・情報グループ(瀧澤由佳子)
078-731-4332
078-736-3777
○総合相談窓口“ハローテクノ”
078-731-4033
http://www.hyogo-kg.jp/
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