胸髄損傷者の社会復帰 報告者 西川様

胸髄損傷者の社会復帰
報告者 西川
受傷からの治療経過
平成18年11月10日 大学院在学中落馬により受傷
救急車にて霞ヶ浦の救急病院へ搬送入院
第12胸椎脱臼骨折・脊髄損傷の診断。
平成18年11月28日 手術(脊椎固定術)施行
平成18年12月14日 国立のリハビリセンター転院
平成19年10月20日 国立のリハビリセンター退院
平成20年 4月
大学院復学
平成20年 8月
天使病院でリハビリテーション開始
平成21年 3月
大学院卒業
平成21年 4月
就職
身体状況および生活状況
胸椎11/12レベルの不全下肢麻痺。
MMT:股関節屈曲2~3 伸展2 外転2 内転0
感覚は表在・深部共に減弱(VAS1~2/10)
体幹筋力はかなり改善しほぼNORMAL
反射消失、痙性はなし。
膝関節装具固定にて、平行棒内歩行自立。
膀胱直腸障害残存。自己導尿・強制腹圧下で可能。
僅かではあるが、下肢筋力増強してきている。
車椅子操作自立。及び自動車運転可能。
現在、両親と同居中で、昨年4月より就職。某学校の事務。
画像所見
「受傷時」
「術後」
現在のリハビリ
仕事の都合もあるので、毎週1回外来通院しています。
リハビリ内容
・下肢、体幹のストレッチ
・体幹、下肢の残存筋の筋力強化
・膝関節装具固定で歩行訓練
・自主トレーニング指導
現在の外来リハビリで、下肢筋力が僅かに改善し日常生活上
で出来ることが増えた。(布団をよける等)又、自分の病気に
ついて少しずつ説明を受けて、積極的に自分の身体をメンテ
ナンスするようになり、「むくみ」が少なくなり、お腹の調子も良
くなった。ひきこもり気味だったが、外に出る機会が増え、就職
する意欲が湧いた。定期的に診てもらえる安心感がある。
仕事や職場の状況
自分の乗用車に車椅子を乗せて通勤
雨の日は、屋根のある場所で乗り降り
昼休みに、横になるスペースの確保(足のむくみ防止)
AM・PMに15分程度の休憩時間(自己導尿の為)
職場の忘年会とかで、お酒が飲めません(ToT)
自宅への入り口
使用している車椅子
学校などでよく見かけるパイプ椅子のフレームと、塩ビ
管を組み合わせて・・・
祖父が訓練用の手摺をDIYして
くれました。
バランスボール訓練に利用してます。
膝のパッドと椅子を組み合わせて立位訓練もでき
ます(^O^)/
椅子の下にキャスターが仕込んである、足の筋力強化
マシンです。
ベッドのフレームを利用して、簡易スリングセラピー
お風呂はイレクターパイプを使った台で。
脊髄損傷になって思ったこと
①医療関係者にとっての常識は、患者側にはわからない。
②自分の病気を詳しく知らないまま退院してしまった。
③「歩けるか、歩けないか」ではなく、生活の質の向上を視野に入
れたリハビリをしてほしい。僅かな回復でもできることは増える。
④退院後、自宅でもできる身体のケアを教えてほしい。
(ストレッチや運動の仕方・自宅近くの泌尿器科のフォロー等
退院後に気をつけるべき病気とその対処法など)
⑤患者の訴えに耳を傾けてほしい。
(医師の説明は殆ど理解できなかった。セラピストのほうが身近で
具体的なことが多い。患者の意見を治療に反映するかどうかは
別として、患者の納得のいくような説明をしてほしい。ダメ元でも
やってみたい訓練がありました。)
脊髄損傷になって思ったこと
⑥障害者になった際に必要な手続きや、利用できる制度の周知を
徹底してほしい。(申請手続き、医療費免除の制度など。)
⑦患者が相談しやすい体系作りをしてほしい。
(部門が不明確だったり、誰に何を相談したらよいのか不明。)
⑧受傷後間もない患者に対して、言葉を選んでほしい。
(スタッフが脊髄損傷に悪い意味で慣れすぎている。)
⑨情報が少ない。工夫次第で出来ることがたくさんあるので、
「他の患者さんはどうしてる」とか情報の仲介をしてほしい。
⑩障害者用の駐車場やトイレは意外と少なく、入れないことが多い。
(意外とツイッターが便利に情報収集出来るようです。)