いず いし 講師:出 みのる 石 稔 (関東学院大学法学部 氏 教授) 平成23年2月8日(火) 川越市マスコット キャラクター ときも 川 越 市 参加される皆さまへ 【遵守事項】 1 講義中は静粛に願います。なお、会場内での携帯電話は、電源をお切りい ただくか、マナーモードに設定ください。 2 会場内での喫煙は御遠慮ください。 3 その他講義の支障となる行為はしないでください。 ※ これらの事項を守っていただけない場合や事務局の指示に従っていただけ ない場合は、退場していただく場合があります。 【連絡事項】 1 講義等の状況により予定時間が多少前後する場合がありますが、あらか じめ御了承ください。 2 別にお渡しするアンケートの回答に御協力ください。お帰りの際に回収 箱へ投函いただきますようお願いします。 スケジュール(予定) 17:40 18:00~18:10 開場 開会 18:10~19:00 19:00~19:10 19:10~20:00 講義 《休憩》 講義 20:00~20:30 質疑応答 20:30 閉会 自治基本条例連続講座は、今回で終了です。 今後、自治基本条例の制定に向けた検討の状 況など、さまざまな情報を発信していきたいと 思っています。 引き続き、川越の自治基本条例の制定に向け た動向に御注目ください。 川越市マスコット キャラクター ときも 2011 年2月8日(火) 川越市自治基本条例連続講座(第3回) 自治基本条例の制定に向けて ~自治基本条例のつくり方~ 関東学院大学法学部 1 (1) 出石 稔 自治基本条例とは 自治基本条例の意義 ①自治のあり方(自治体運営)についての「理念」・「基本的な指針」 ・ 「拠るべきルール」 ②他の条例、行政計画、政策・施策の指針や根拠 ③団体自治と住民自治を結合→市民主体のまちづくりの基礎 ⇒『自治体の最高規範』的位置づけ(自治体の憲法) *まちづくり条例・市民参加条例とは次元が異なる (2) 自治基本条例の制定状況等(200 を超える制定) ○主な自治基本条例 ・ニセコ町まちづくり基本条例(2001 年施行)…全国初の自治基本条例 ・杉並区自治基本条例(2003 年施行)…名実を備えた初の自治基本条例 ・大和市自治基本条例(2005 年施行)…PI手法を駆使(170 回超の議論)し制定 ・川崎市自治基本条例(2005 年施行)…オンブズマンなど先駆的政策を根拠付け ・四日市市自治基本条例(2005 年施行)…議員提案により制定 ・三鷹市自治基本条例(2006 年施行)…行政案と市民案の融合・総合計画との連携 ・米原市自治基本条例(2006 年施行)…条例改正住民投票・「自治基本条例記念日」 ・多治見市市政基本条例(2007 年施行) ・茅ヶ崎市自治基本条例(2010 年施行) 実効性の高い具体的政策への取組み ・厚木市自治基本条例(2010 年施行) (参考)神奈川県内の動向 県(平成 21 年 3 月施行)/33 市町村中 14 市町で制定済み・8市町村で検討中 (3) 自治基本条例の必要性 ①住民自治の確立 ・新しい自治の形である市民参画・市民協働・市民活動の根拠づけ、制度化、拡充 ②自治体ルールの再構築(条例の体系化) ・独自条例や独自政策の総合化・根拠づけによる体系的整備 ・自治制度の整序・連携 ・市民の権利や行動規範の確立 1 ③自治体運営の確立 ・財政再建、行政改革、自治体制(市長・議会・職員)整備 ④分権自治体の標準装備 自治体を取り巻く状況、自治体の制定状況を踏まえると、 視点を変えれば、自治基本条例は政策競争 2 自治基本条例の構想 (1) 盛り込むことが考えられる事項 ①自治の理念 ②自治(まちづくり)の主体となる市民等の権利・責務 ③議会の役割・責務 ④自治(まちづくり)の担い手である首長・行政の役割・責務 ⑤自治の原則と自治体運営・財政運営の原則 ⑥市民の参加と協働の原則 ⑦住民自治の仕組みとしての住民投票制度 ⑧自治基本条例の位置づけ(最高規範性) ⑨自治基本条例の実効性の確保 (2) 既存法や制度との関係から ①地方自治法等で法定化されていない自治体の組織執行体制 ・市長の設置・市長の宣誓・多選制限など ②法定事項(地方自治法等)の条例化の是非(二度書きの是非・詳細化・一覧性) ・財政運営・議会機能・国と自治体の役割分担など →*基本構想の取扱い/総合計画の位置付け・根拠 ③法令に基づく自治制度との関係 ・資産公開条例・行政手続条例・個人情報保護条例・情報公開条例など ④個別条例等で設けられる独自の自治制度との関係 ・住民投票・市民参加手続・政治倫理制度・男女共同参画推進・行政評価制度など ⑤個別政策との関係 ・まちづくり・環境・福祉・衛生・経済・教育など ⑥市・市民・議会の関係 3 自治基本条例の制定手続 (1) 最も大切な策定プロセス ・ 自治体の最高規範をつくるのであれば、多くの関係者が参与する手続を確保する とともに、重層的な市民参加・協働手法を取り入れる。 2 ⇒ 適正手続 (2) 市民のための自治基本条例 ・ 市民のニーズをくみ取り、市民の合意を得て策定することで、条例に魂を入れる ことができる。結果的に他都市と同じような条例の内容になったとしても、市民合 意でつくられたか否かにより条例の効果はまったく異なる。 ⇒ 自治の深化 (3) まちの個性を盛り込み、反映させる ・ 自治基本条例の規定の多くは他の自治体の条例と類似したものとなると思われる。 その中で、まちの個性を取り込み、きらりと光る我がまちの自治基本条例を目指す。 ⇒ 4 独自性 自治基本条例の運用の課題と展望 (1) 最高規範性の確保 法令との関係/他条例との関係/行政計画等との関係/ 改正の取扱い など (2) 自治基本条例制定に伴う条例等の見直し まちづくり条例の体系的整備、情報公開条例・行政手続条例・個人情報保護条例等の 目的規定の整理、各条例の市民の定義 etc. (3) 自治基本条例を受けた新たな制度(条例等)の整備 分野別基本条例の整備・住民投票条例・市民参加条例・行政評価(条例)・財政健全 化の工程(条例)・苦情処理等制度(条例)・要綱の条例化(指導要綱・オンブズマン 要綱・パブリックコメント要綱・審議会運営要綱等) etc. (4) 実効性の確保・効果を発揮するための取り組み 個別政策との連携/職員・市民・議員の意識改革/市民・議会の関与・監視 理念や責務をお題目に終わらせない取り組み ⇒①適切な運用(多治見市・茅ヶ崎市の例) ②適正な見直し・改善(ニセコ町の例) (5) 地方政府基本法(地方自治基本法)制定の動きとのリンク 自治基本条例が標準装備に? 3 など 5 先進事例にみる自治基本条例の策定過程 (1) 厚木市の取り組み ① 制定までの経緯(取組・検討期間:H20年6月~H22年12月=2年半) ・市民説明会(8か所) ・厚木市自治基本条例制定を考える市民会議( 49回にわたる会議)→市長へ提言 ・自治基本条例フォーラム(2回開催) ・厚木市自治基本条例策定委員会(17回の会議)市長へ答申 ・条例素案の作成(自治基本条例担当・法制担当・専門委員協議⇒経営会議 ) ・条例素案のパブリックコメント(38人117件の意見提出)=16か所修正 ・条例案の市議会提案(H22年9月定例会)→「継続審査(閉会中審査)」 ・H22年12月定例会=全会一致可決(12月21日)→12月24日公布・施行 ② 条例(前文・12章40か条)の概要(特徴) ア 構 成 ・前文:ですます調 ・本則:である調/条文表記に関しては、検討過程(市民会議による提言に基づく 条例案)を考慮し、法制担当が相当の譲歩 ・附則:公布施行(当初から変更)/関連条例の廃止・改正 イ 特 徴(総論的事項のみ) ・ 「この自治基本条例」:最も尊重すべき条例と位置付けることから、他の条例と区 別することを条文上でも明らかにするため(13か所) ・自治基本条例の位置付け:「最も尊重すべき条例」(「最高規範」とは謳わず) ・自治基本条例の改正:改正手続に一定の制約を設定(準硬性憲法的規定) ・定義:「市長」「市長等」「議会」「市民」=自治のアクターと位置付け …「市」の定義を行わず、規定ごとにアクターを明記 cf.茅ヶ崎市自治基本条例 ・自治の基本理念:「3つの“わ”」(「和」・「輪」・「環」)…市民会議の強い思い ・議会及び議員:議会側から示された案をもとに整理 ・総合計画:基本構想を頂点とする総合計画の策定(総合計画の定義化) 基本構想の議決を独自に位置づけ ・法令遵守:協働に当たって市民も公益性のある活動に携わることから、市民に ついても法令及び条例等を遵守しなければならないことを定めたもの ・地区市民自治推進組織:学校区や公民館区など一定規模の地域単位で、住民が自 主的なまちづくりに取り組むことができる 組織 ・住民投票:住民投票に参加する資格を持たない市民も含め、市民も住民投票の 結果を尊重することが必要であるとの考えから提案 ・「まちづくり理念条例」(全14条)の廃止 4 ③ 議会による修正議論 ・ ・ ・ もっと厚木市として全国に誇れる条例にしなくてはいけないという思いがある。 修正案をこの委員会で提案できたらと思うが、そのためには継続がいいのでは。 自治基本条例をつくることに対する責任があり、曖昧な部分を残したくない。自 治基本条例を進めようとしてきた2本柱のうち一つである市長にとって、批判的意 見を含めて出しておいた方が絶対にお得である。 ・ 修正を調整するというのは、市民会議に対する礼儀でもあり、難しいことだがチ ャレンジして誠意をもって対応するために、修正をする目的で継続と考える。 ・ 修正をしようとする以上、市民会議の方の意見をきちんと聴くという過程は必要 である。市長が提出した条例案はパブリックコメントにかけて、修正案はかけない ということはいかがかと思う。 →議会による修正検討(委員会継続審査)⇒議会の政策法務能力が問われた! …結果的に、次の議会で全会一致可決(十分議論した結果=意義深い) ④ 自治基本条例制定後の具体的取組 ・ 自治基本条例の実効性を確保し、生きた条例とするために、個別具体制度・ 手続を整備する。 ア イ ウ 仕組みの整備・措置を講ずる事項→年度内 要綱により措置している事項→条例化検討( 2011年6月議会提案を目途) 地区市民自治推進組織(34条)・住民投票制度(36条)→2年を目標 (2) 他の自治体の策定の流れ(神奈川の事例から) ①大和市 「つくる会」で一貫した PI による素案作成→市条文整理→「議会協議会」意見→条例案 ・条例施行後 市長交代による対応 ②茅ヶ崎市 「市民検討委員会」案を基に市当局案作成→市民検討委員会と意見交換→条例案 ・条例施行後 市:自治基本条例施行に伴うアクションプラン策定→計画的運用 市民:市民団体組織→市の取り組み監視 ③南足柄市 「市民会議」素案提言(一連の取り組みに学識者かかわらず)→条例案 ・議会継続審査→特別委員会設置=修正可決 ④小田原市 「プレ検討委員会」 (勉強会)→「オープンスクエア」 (公開検討会)⇔「検討委員会」 ・小田原方式 ⑤横須賀市 「検討委員会」⇔「フォーラム」(ミニ小田原方式) ・市民の思いと議会の思いのかい離 5 6 川越市の今後の検討に向けて ① 自治基本条例はトレンド しかし、流行だから作るわけではない。 …市長のアクセサリー条例・パフォーマンス × 自治体のアイデンティティの具現化・市民がハッピーになるために(松下啓一) 即効性を期待してはいけない(乱開発を止められる?) =自治基本条例のもと、市民、議会、行政がどう活動するのかが肝要 ※自治基本条例は、行動の拠り所(ベース)を築くもの …「行動規範」(行政計画より高い規範力あり) →それを認識して、条例の中身を考えよう ② さまざまな自治基本条例 つくり方に決まりはない 一方で、各条例にそんなに違いはない …つくることは規制条例に比べ、容易=コピペでもできるが、それでいいの? ⇒つまり、つくりかたが大事 結果は他都市と同じような内容になっても、魂を入れることが大切 川越らしさもほしい ③ みんなでつくる 市民・行政(市長)・議会 ⇒ 市(自治基本条例)のパートナー ともに手を携えて(コンセンサスを得て)つくること 役割分担と協力(餅は餅屋)…安易な妥協という意味ではない。 違いを乗り越え、川越の最高規範を創るという崇高な目的の下に議論しよう! ④ 自治基本条例が制定されると → 職員が変わる → 行政が変わる → 市民が変わる → 地域が変わる … 国が変わる? ⇒地域主権社会=「個性豊かで活力に満ちた社会」の実現 そのためにも…自治基本条例を活用しよう! 6 講師プロフィール <経歴> 1985 年横須賀市入庁。総務部行政管理課政策法務担当主査、都市部都市総務課総括主 幹等を歴任し、2007 年3月同市退職。同年4月から関東学院大学法学部教授(現職) <専門分野> 地方自治論、政策法務論、行政法 <活動状況> ○全般 国土交通省企画競争有識者委員会委員(2009 年~)、環境省「新幹線鉄道騒音・航空 機騒音モニタリング等のあり方に関する検討調査」検討委員会WG委員(2010 年度~)、 (財)日本都市センター「自治体法務研究会」専門委員(2000 年度)、(財)地方自治総合研 究所「分権一括法施行後の法的環境研究会」委員(2000~2002 年度)、第一法規『政 策法務の理論と実践』編集委員(2001 年度~) 、中央大学社会科学研究所客員研究員 (2003 年度~2005 年度)、自治体学会編集部会員(2008 年度~) 、日本公共政策 学会学会賞法律小委員会委員(2007~2009 年度)・同小委員長(2010 年度~)、自 治体法務検定・政策法務編 編集委員会・検定問題作成委員会 委員(2009 年度~) 自 治労「地域主権改革」下における自治体職員の役割・働き方検討委員会 委員(2009 年 度~) 自治体学会・日本自治学会・日本都市計画学会・日本公共政策学会・日本公法学会・か ながわ政策法務研究会 各会員 ○自治体関係 四街道市市民参加推進評価委員会委員長(2007 年~)、厚木市専門委員(政策法務推進) (2008 年~)、松沢マニフェスト推進評価委員会委員(2008 年~)、逗子市市民参加 制度審査会委員、横浜市都市計画審議会委員(2009 年~)、横須賀市環境審議会委員 (2009 年~)、横須賀市専門委員(自治基本条例検討)(2010 年度~)、横須賀市(仮称) 地域運営協議会設置等検討委員会副委員長(2010 年度~)、横須賀市低炭素街づくり研 究会委員(2010 年~) 、静岡市政策法務アドバイザー(行政リーガルドック診査) (2010 年度~) 、小田原市長マニフェスト進捗評価者(2010 年度~) <主な著書> ・『条例によるまちづくり・土地利用政策』(編著)第一法規・2006 年 ・『自治体法務改革の理論』(共著)勁草書房・2007 年 ・ 『政策法務事典』 (共編)ぎょうせい・2008 年 ・ 『自治体職員のための政策法務入門シリーズ「総務課の巻」 ・ 「市民課の巻」 ・ 「福祉課の巻」 ・ 「まちづくり課の巻」 「環境課の巻」』 (監修)第一法規・2008~2009 年 ・ 『自治体法務検定公式テキスト 政策法務編』(共著)第一法規・2009 年 など多数 川越市マスコット キャラクター ときも 川越市 住 所 電 話 FAX メール 政策財政部 政策企画課 川越市元町1丁目3番地1 049-224-5503(直通) 049-225-2895 [email protected]
© Copyright 2024 Paperzz