基礎の設計・3D配筋 Ver.2

基礎の設計・3D配筋 Ver.2
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目次
6
第1章 製品概要
6
1 プログラム概要
14
2 バージョン及び改良点
15
3 フローチャート
16
第2章 操作ガイダンス 16
1 杭基礎
16
1-1 基礎選択
17
1-2 地層
19
1-3 計算条件
21
1-4 杭配置
22
1-5 材料
23
1-6 許容値
24
1-7 予測計算・結果確認
25
1-8 底版形状
26
1-9 作用力
29
1-10 断面計算
30
1-11 杭頭接合計算
33
1-12 底版設計
35
1-13 レベル2地震時照査
39
1-14 計算・結果確認
44
1-15 基準値
45
2 鋼管矢板基礎
45
2-1 地層
47
2-2 鋼管矢板基礎
49
2-3 予備計算・結果確認
49
2-4 作用力
52
2-5 仮締切り
53
2-6 仮締切り 予備計算・結果確認
53
2-7 レベル2地震時基本条件
55
2-8 レベル2地震時 予備計算・結果確認
55
2-9 基礎ばね
56
2-10 部材
62
2-11 計算・結果確認
66
2-12 基準値
67
3 ケーソン基礎
67
3-1 地層
68
3-2 基本条件
69
3-3 形状
71
3-4 予備計算
71
3-5 作用力
74
3-6 鉄筋
77
3-7 作業室天井スラブ
78
3-8 刃口、2次応力
79
3-9 レベル2地震時基本条件
81
3-10 沈下計算
81
3-11 基礎ばね
82
3-12 計算・結果確認
87
3-13 基準値
88
4 地中連続壁基礎
88
4-1 地層
90
4-2 基本条件
90
4-3 形状
92
4-4 予備計算
92
4-5 作用力
95
4-6 鉄筋
97
4-7 レベル2地震時基本条件
99
4-8 基礎ばね
100
4-9 計算・結果確認
103
4-10 基準値
103
5 直接基礎
104
5-1 設計条件
105
5-2 底版形状
106
5-3 作用力
106
5-4 レベル2地震時基本条件
107
5-5 底版設計
108
5-6 基礎ばね
109
5-7 計算・結果確認
109
5-8 基準値
110
6 液状化の判定
110
6-1 設計条件
111
6-2 検討位置
113
6-3 計算・結果確認
114
7 計算書作成
115
8 図面作成
115
8-1 基本条件
116
8-2 形状
117
8-3 かぶり
117
8-4 鉄筋
119
8-5 図面生成・確認、鉄筋生成
120
8-6 鉄筋情報
121
8-7 鉄筋一覧
122
9 設計調書
123
10 データ保存
124
第3章 Q&A
第1章 製品概要
第1章 製品概要
1 プログラム概要
「本プログラムは、UC-1 for Windowsシリーズの
・杭基礎の設計計算
・杭基礎の地震時保有水平耐力
・鋼管矢板基礎の設計計算
・ケーソン基礎の設計計算
・直接基礎の支持力計算
・液状化の判定
と地中連続壁基礎を統合した基礎の設計計算を支援するプログラムで、主として「道路橋示方書・同解説(平成24年3月)日
本道路協会」に準拠しています。なお、単位系はSI単位系のみを対象としております。
杭基礎、鋼管矢板基礎、ケーソン基礎、地中連続壁基礎では、次の検討を行います。
・常時、暴風時、レベル1地震時およびレベル2地震時照査
・流動化の検討
・固有周期算定用の地盤ばね定数算出
さらに、鋼管矢板基礎、ケーソン基礎では施工時の検討をあわせて行います。
基礎形式間で地層データ、作用力データを共有することができます。また、異なる基礎形式の計算結果を同一紙面上に比較
表形式で容易に出力する機能など、比較設計が行い易いように作成しています。
また、直接基礎では、支持力計算の他に、底版の許容応力度法およびレベル2地震時照査を行います。
本プログラムでは、3種類のライセンスがあり、ライセンス(ハードウェアキーの設定/Web認証)により使用可能な機能に相
違があります。
なお、
「基礎の設計」及び「基礎の設計計算」のライセンスは、以下のようになります。
(1)「杭基礎の設計」のライセンスは、基礎の設計・3D配筋 Lite版となります。
(2)「基礎の設計計算」のライセンスは、基礎の設計・3D配筋 Standard版となります。
使用するライセンスは、、メニューの「ヘルプ」-「バージョン情報」から開く画面で指定します。
6
機能及び特長
(1)機能表
(2)操作性
設計手順に沿った処理モードボタンを左から右に並べ(入力→計算書作成→設計調書)、データ入力、計算および結果確認
を行うモードでは、原則として上から下へ順に処理を進めるようにしています。
また、各項目左にマークを示して、処理状況が一目で分かるようにしています。
:選択できないことを示しています。
:選択できることを示しています。入力項目では未入力、計算項目では未計算を示しています。
:選択可です。入力項目では入力済み、計算項目では計算済みを示しています。
データ変更に伴い、影響項目は未入力、未計算に状態を変更しています。
:選択可です。計算済みで計算結果がOUTであることを示しています。
4面図表示によるデータの視覚的な確認、図をまじえたわかりやすい結果表示、既製杭の断面諸数値などを予め設定した
[基準値]など、わかりやすく容易な操作方法となっています。
(3)計算機能及び特長
杭基礎
「道路橋示方書・同解説 Ⅳ下部構造編、Ⅴ耐震設計編(平成24年3月)
(社)日本道路協会」に規定されている事項に準拠
した杭基礎の設計計算を支援します。サポートしている計算範囲は以下のとおりです。
1)安定計算において、従来の2次元構造物として三元連立方程式を解く方法の他に2.5次元解析機能を有しています。
「2.5次元解析」とは
橋軸方向をY軸方向、橋軸直角方向をX軸方向、鉛直方向をZ軸方向とすると3次元の場合は一般に各軸方向の変位と力お
よび各軸回りの回転変位と回転力が定義されます。この場合、変位と力はそれぞれ6つ定義されることになりますが、本プロ
グラムではZ軸回りの回転変位と回転力(底版を上から見てねじ込むような変位と力)を考えていません。したがって、考えて
いる変位と力はそれぞれ5つになります。自由度が5つあるので便宜上「2.5次元解析」と称しています。
3次元ではありませんので、X軸方向、Y軸方向ごとに杭頭の水平、回転変位は全杭同一となります。
2次元解析の場合、X軸方向とZ軸方向(またはY軸方向とZ軸方向)の変位と力およびY軸(またはX軸)回りの回転変位
と回転力に着目して自由度が3つあるとして計算しています。
2)鋼管杭、RC杭、PC杭、PHC杭、SC杭、場所打ち杭、任意杭、鋼管ソイルセメント杭、SC杭+PHC杭、マイクロパイ
ル、H形鋼杭、回転杭、内面リブ付鋼管巻き場所打ち杭を用意しています。ただし、任意杭、H形鋼杭は杭頭接合計算、杭突
出部の慣性力計算およびレベル2地震時照査を行えません。また、任意杭は杭体の断面照査も行えません。
7
第1章 製品概要
3)地層数は最大50層まで設定することが可能です。また、地層の傾斜を考慮することができます。ただし、傾斜方向はX方
向(橋軸直角方向)、またはY方向(橋軸方向)のうち1方向とします。
4)杭軸方向の断面変化を取扱うことができます。鋼管杭のとき、各断面の杭径を変えることができます。
5)杭径・杭長が異なる杭が混在した計算が可能です。
6)レベル2地震時照査は、橋脚、橋台(逆T式橋台/重力式橋台)、水門(中央堰柱/端堰柱)の検討に対応しており、液状
化が生じないケース、液状化が生じるケース、流動化が生じるケースいずれにも対応しています。また、橋脚基部に生じる作
用力(単柱橋脚時)、または底版下面中心の作用力(橋脚、水門時)を直接指定して照査することができます。
7)増し杭工法による補強設計を行うことができます。ただし、次の条件をすべて満足する場合に限ります。
・地層傾斜なし
・既設杭、増し杭ごとに杭径・杭長変化なし(全既設杭は同径、同長、全増し杭は同径、同長)
・既設杭+増し杭≦100列
8)橋脚および逆T式橋台の底版許容応力度照査、およびレベル2地震時照査に対応しています。
9)負の周面摩擦力に対する検討を行うことができます。
10)杭頭と底版の結合部の計算を行うことができます。
11)常時、地震時および固有周期算定用の地盤ばね定数を算出することができます。
12)底版根入れ部の水平抵抗を考慮した杭基礎の計算が可能です。
13)水平変位の制限を緩和する杭基礎の設計(道示モデル、杭基礎設計便覧モデル)に対応しています。
14)橋台特殊設計として、側方移動/盛りこぼし橋台に対応しています。
(適用基準:「設計要領第二集4章基礎構造
(NEXCO)」)。
15)斜杭を考慮することができます。また圧密沈下時の斜杭の検討を行うことができます。
16)杭突出部に流水圧、動水圧、慣性力の水平荷重を考慮することができます(常時、レベル1地震時)。また、杭体に作用す
る任意荷重(水平方向の分布荷重、集中荷重)を考慮することができます(レベル2地震時含む。)
17)底版上の任意荷重を考慮することができます。
18)軸力変動によるレベル2地震時の照査に対応しています。
19)杭配置の自動決定を行うことができます。
20)場所打ち杭の自動配筋(主鉄筋径,本数,段落し位置の自動決定)を行うことができます。
21)内面リブ付鋼管巻き場所打ち杭及び既製杭(鋼管杭、鋼管ソイルセメント杭、PHC杭、PC杭、RC杭、SC杭、SC杭+
PHC杭)の断面変化位置の自動決定を行うことができます。
22)底版形状、柱下端作用力から底版下面中心作用力を計算することができます(常時、レベル1地震時)
23)杭列数は、最大100列まで設定することができます。ただし、地層の傾斜または杭径・杭長の変化がある場合は杭本数
最大1000本(行数×列数≦1000)となります。
8
24)弊社「橋脚の設計」プログラムで設計し保存したXMLファイル(形状、材料、作用力等)を読み込むことができます。
25)弊社「フーチングの設計計算」との連動用XMLファイルのエクスポートに対応。
鋼管矢板基礎
「道路橋示方書・同解説 Ⅳ下部構造編、Ⅴ耐震設計編(平成24年3月)
(社)日本道路協会」に規定されている道路橋の井
筒型鋼管矢板基礎の設計計算を支援します。サポートしている計算範囲は以下のとおりです。
構造形式
井筒型鋼菅矢板基礎
仮締切り兼用方式
施工方法
立上り方式
締切り方式
円形
平面形状
小判形
矩形
矩形面取り
打込み工法
鋼菅矢板の施工方法
最終打撃方式
中堀り工法
セメントミルク噴出攪拌方式
コンクリート打設方式
プレートブラケット方式
頂版と鋼菅矢板との結合
差し筋方式
鉄筋スタッド方式
頭部埋込み
施工方法で最も多く採用されている仮締切り兼用方式では、完成時の荷重に対する応力度と仮締切り時の残留応力度の合
成応力度の照査に対応しており、基礎本体、頂版及び頂版と鋼管矢板との結合部のレベル2地震時照査も行います。また、
仮締切りの計算では、支保工の検討、根入れ長の検討も併せて行うことが可能です。
9
第1章 製品概要
項 目
備 考
基礎本体の計算
設計地盤面の取扱い
常時、地震時ごとに設定可能です。
鋼菅矢板、鋼菅杭
外周矢板、隔壁矢板、中打ち単独杭ごとに鋼菅径、断面変化(板厚、材質)を指定できます。
地盤バネ
水平方向地盤反力係数および底面バネ値を計算します。
また、使用値の修正が可能です。
許容支持力
打込み工法のほかに中掘り工法(最終打撃ほ方式、セメントミルク噴出攪拌方式、コンクリート
打設方式)にも対応しています。
また、負の周面摩擦力に対する検討を行うことができます。
設計荷重
上載土、頂版、中詰めコンクリートの各重量を算出し、入力された脚柱下端作用力とを集計し、
設計荷重を計算します。
荷重ケース数は、各方向ごとに10ケースまでとし、各ケースごとに地盤バネと支持力の取扱い
(常時扱い/地震時扱い)を指定できます。
断面力・安定計算
弾性床上の有限長梁および継手のせん断ずれを考慮した仮想井筒梁として断面力、変位、傾斜
角を指定された深さ方向のピッチごとに計算します。同時に外壁、隔壁鋼菅矢板、中打ち単独杭
の応力度を求めます。また、外壁鋼菅矢板1本当りの最大・最小鉛直反力を算出し、許容支持力と
照査します。
地震時保有水平耐力法による照査を行うことができます。
また、固有周期算出用の地盤バネ定数を算出する機能があります。
仮締切り兼用方式のとき以下の計算を行います。
支保工バネ定数、底盤コンクリートバネ定数を計算します。
支点バネ値、地盤バネ値 水平方向地盤反力係数は本体計算の常時の換算載荷幅を用いて算出します。使用
値の修正が可能です。
仮締切りの計算
合成応力度
10
断面力の計算
各施工ステップごとに有効手働、受働側圧を求め、弾塑性解析により深さ方向の
ピッチごとに計算を行います。
また、着目点ごとに鋼菅矢板の応力度を算出します。
指定されたステップ番号における応力度を残留応力度として、後述する合成応力度
を求めます。
支保工の検討
断面力の計算で算出された支保工反力を用いて腹起し、切梁、火打ち梁の検討を
行います。
根入れ長の検討
仮締切り壁としての安定計算を行い、必要根入れ長を算出します。ボイリングに対
する必要根入れ長も同時に計算可能です。
合成応力度の照査
基礎本体の計算で算出した完成形での応力度と仮締切りの計算で算出した残留応
力度を合成して応力度の照査を行います。
部材設計として、頂版及び頂版と鋼管矢板との結合部の計算を行います。
項目
備 考
頂版の計算
片持ち梁または2方向スラブとして断面力を算出し、応力度照査を行います。
また、地震時保有水平耐力法による照査を行います。
(※仮締切り兼用方式の場合)
鋼菅矢板、鋼菅杭
①プレートブラケット方式
②差し筋方式
③鉄筋スタッド方式
上記から選択された方式について計算を行います。
また、地震時保有水平耐力法による照査を行います。
(※仮締切り兼用方式の場合)
杭頭結合部の計算
杭頭を頂版内に埋込ませて結合する場合について、
「道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編(社団
法人 日本道路協会)」に記載されている方法A、方法Bの2とおりの計算が可能です。
(※立上り/締切り方式の場合)
(※仮締切り兼用方式の隔壁および中打ち単独杭)
部材設計は、本体データの連動処理及び単独での計算が可能です。
ただし、頂版の計算のレベル2地震時照査は本体データとの連動が必要です。
また、対象構造物が橋台の場合の頂版レベル2地震時照査には対応していません。
下記のレベル2地震時照査を行うことができます。
・柱基部に生じる作用力を直接指定
・突出部の仮想井筒モデル化=頂版下面
・流動化の影響を考慮
弊社「橋脚の設計」プログラムで設計し保存したXMLファイル(水の単位重量、形状、作用力、設計水平震度等)を読み込
むことができます。
11
第1章 製品概要
ケーソン基礎
「道路橋示方書・同解説 Ⅳ下部構造編、Ⅴ耐震設計編(平成24年3月)
(社)日本道路協会」に準拠したケーソン基礎の設
計計算を支援します。サポートしている計算範囲は以下のとおりです。
ニューマチックケーソン
施工法
オープンケーソン
止水壁ケーソン方式
ピアケーソン方式
止水壁方式
オープン
充実断面
ニューマチック
根入れの浅いケーソン基礎
平面形状
円形
隔壁数≦1(2方向)
小判形
隔壁数≦5(1方向)
矩形
隔壁数≦5(2方向)
常時、地震時(震度法)、
暴風時許容応力度法
地震時保有水平耐力法に
よる耐震設計耐力照査
地盤反力係数
○
○
許容支持力度
○
-
地盤反力度の上限値
○
○
作用力集計
○
○
基礎本体剛性
○
○
断面力、地盤反力度および変位
○
○
応答塑性率照査
-
○
側壁水平方向
○
○
側壁鉛直方向
○
○
隔壁
○
-
頂版
○
○
頂版支持部
○
○
頂版と側壁連結部
○
○
パラペット
○
-
作業室天井スラブ
○
○
刃口
○
-
吊桁
○
-
2次応力
○
-
底版(オープンケーソン)
○
-
項 目
安定計算
部材計算
沈下計算
基礎バネ
12
○
固有周期算出に用いる地盤バネ定数
○
地中連壁基礎
「道路橋示方書・同解説 Ⅳ下部構造編、Ⅴ耐震設計編(平成24年3月)
(社)日本道路協会」に準拠した地中連続壁基礎
の設計計算を支援します。サポートしている計算範囲は以下のとおりです。
平面形状
矩形
隔壁数≦5(2方向)
常時、地震時(震度法)、
暴風時許容応力度法
地震時保有水平耐力法によ
る耐震設計耐力照査
地盤反力係数
○
○
許容支持力度
○
-
地盤反力度の上限値
○
○
作用力集計
○
○
基礎本体剛性
○
○
断面力、地盤反力度および変位
○
○
応答塑性率照査
-
○
側壁水平方向
○
○
側壁鉛直方向
○
○
頂版
○
○
頂版と側壁連結部
○
○
項 目
安定計算
部材計算
基礎バネ
固有周期算出に用いる地盤バネ定数
○
橋脚基礎のレベル2地震時照査において、柱基部に生じる作用力を直接指定して照査することができます。
弊社「橋脚の設計」プログラムで設計し保存したXMLファイル(水の単位重量、形状、作用力、設計水平震度等)を読み込
むことができます。
直接基礎
「道路橋示方書・同解説 Ⅳ下部構造編(平成24年3月)
(社)日本道路協会」
(以下、道示Ⅳと略します)および「設計要領
第二集(NEXCO)」
(以下、設計要領と略します)に準拠して、直接基礎の支持力計算を行います。
水平地盤の基礎
■フーチング前面の抵抗を考慮した作用力の算定(設計要領)
■荷重の偏心傾斜を考慮した許容鉛直支持力の算出
・荷重の方向が1方向(道示Ⅳ・設計要領)
・荷重の方向が2方向(道示Ⅳ)
■安定計算 滑動、転倒、地盤反力度の照査(道示Ⅳ・設計要領)
■基礎底面形状の指定(長方形・帯状)
■フーチングの補強設計に対応
■橋脚底版の許容応力度法およびレベル2地震時照査
■固有周期算定に用いる地盤バネ定数の算出
斜面上の基礎
■斜面の影響、荷重の偏心を考慮した許容鉛直支持力の算出(設計要領)
■段差がある基礎の安定計算 滑動、転倒、地盤反力度の照査(設計要領)
弊社「橋脚の設計」プログラムで設計し保存したXMLファイル(水の単位重量、形状、作用力、設計水平震度等)を読み込
むことができます。
13
第1章 製品概要
液状化の判定
「道路橋示方書・同解説Ⅴ.耐震設計編(平成24年3月)
(社)日本道路協会」に準拠して、液状化の判定を行います。
■液状化の判定
■土質定数の低減係数の計算
■流動化が生じる場合の流動力の計算
(4) 計算書作成
設計条件、計算結果を図表混じりでプリンタに出力します。計算結果は、計算書として利用できる書式でプリンタに出力しま
す。このとき、必要な部分だけを出力できるように出力項目が細分化されています。
(5) 設計調書 (※液状化の判定)
比較検討結果などに利用できるように複数の計算結果を一覧表形式で出力する比較表(設計調書)をサポートしています。
比較表テンプレートとして震度法、保耐法、混在(基礎ごとの比較用)を用意しています。
注)設計調書を実行するには「調表出力ライブラリ」を本製品とは別にインストールする必要があります。
2 バージョン及び改良点
【最新版】
(Ver.2.0.0)2016.10 (Suite版 Ver.4.0.0相当)
■要望対応
(1)杭基礎:ハイスペックマイクロパイルに対応しました。
(2)杭基礎:橋脚基礎時の方向ごとL2計算方法指定に対応しました。
(3)杭基礎:異種杭混在に対応しました。(Advanced版のみ)
(4)鋼管矢板基礎:仮想井筒梁解析モデル拡張を行いました。(Standard版以上)
(5)液状化:土質定数に乗じる係数の計算書改善、ヘルプ図を改善しました。
(6)液状化:液状化の入力方法に関するイメージ図を改善しました。
(7)杭基礎:斜引張鉄筋のSD390,SD490の降伏点に関する注意点をヘルプに明記しました。
(8)共通:サンプルデータの詳細な説明をヘルプに追加しました。
(9)液状化:液状化の判定のときのメニュー制御改善しました。
(10)共通:「地層」画面でEDを再計算できるように改善しました。
(11)水平地盤(H18年設計要領)時の根入れの深さDfの表記を改善しました。
(12)杭基礎:抵抗モーメント考慮の杭体応力度のNG表記を改善しました。
(13)杭基礎:L2作用力入力時の桁数を小数第3桁に統一しました。
(14)杭基礎:レベル2地震動のhp(m)について画面に説明を表記するようにしました。
(15)杭基礎:高耐力マイクロパイルのKv算式中の対数式を改善しました。
(16)杭基礎:許容支持力・引抜力計算の周面摩擦力の出力を改善しました。
(17)杭基礎:L2底版後趾断面力算出でタイプⅠ,Ⅱの鉛直土圧力の出力を改善しました。
(18)杭基礎:場所打ち杭の軸方向鉄筋にSD390またはSD490を使用する場合の許容塑性率の取り扱いを改善しました。
(19)共通:結果一覧計算書への一般事項の出力に対応しました。
■不具合対策
(1)杭基礎:傾斜地盤の場合の上載荷重の算出において、上載土厚から算出とした際に、上載荷重が正しく計算できない不具合を修正しま
した。
(2)杭基礎:レベル2地震時照査において、杭先端部に大きなモーメントが発生するケースがあり、これを対策しました。本件に該当する場
合は、レベル2地震時照査を再計算を実行してください 。
(3)杭基礎:内面リブ付鋼管巻き場所打ち杭選択時において、基準値を変更しても許容値が初期化されない不具合を対策しました。
(4)杭基礎:液状化の計算を実行すると、エラー(F_Liq_PPF.dll の読込に失敗しました。)になる不具合を対策しました。
(5)杭基礎:橋台連動時の水位高、上載土圧連動ボタンが無効(グレー表示)になっていない不具合を対策しました。
(6)杭基礎:レベル2地震時照査の底版照査において、底版照査位置のガイド図の表示が適切ではないケースがあり、これを対策しまし
た。
(7)鋼管矢板基礎、ケーソン基礎:XPRデータの読み込みを行うと、基礎専用のメニューに変更される不具合を対策しました。
(8)杭基礎:杭基礎:土圧を直接指定した場合の作用力自動計算時に、土圧の値がNAN等の値になる不具合を対策しました。
(9)杭基礎:計算書の結果一覧の杭体応力度の荷重ケースの表記に誤りがあり、これを対策しました。
【図面作成】
(1)杭頭段差の図面生成に対応しました。
(2)場所打ち杭の全杭・全断面一括計算の場合について、制限緩和を行いました。
■ヘルプ
(1)「概要」-「バージョン及び改良点」-「Ver.2.0.0~」
14
3 フローチャート
開始
基礎選択
計算実行
杭基礎
鋼 管矢板基 礎
計算条 件
安定計算
断面 計算
仮 締 切り計算
ケーソン基 礎
地中連 続 壁 基 礎
直接基礎
液 状 化の 判 定
安定計算
安定計算
入力
入力
(常 時、暴風 時、 (常 時、暴風 時、
レベル 1地 震 時 ) レベル 1地 震 時 )
支持力計算
杭 頭 結 合 計算
底 版 許容応
力度 法 照 査
合成 応力度
安定計算
(レベル 2 地 震 時 )
安定計算
(レベル 2 地 震 時 )
レベル2
地 震 時 計算
底 版 許容応
力度 法 照 査
部 材 計算
レベル2
地 震 時照 査
底 版レベル2
地 震 時照 査
基 礎 バネ
基 礎 バネ
部材
沈下 計算
レベル2
地 震 時 計算
(部 材)
基 礎 バネ
部 材 計算
荷重 底 版
レベル2
地 震 時照 査
基 礎 バネ
基 礎 バネ
計算・結果
確認
計算書・図面作成
設 計調書
終了
15
第2章 操作ガイダンス
第2章 操作ガイダンス 1 杭基礎
サンプルデータ「Kui_1.F1F」を例題として作成します。
各入力項目の詳細については製品の【ヘルプ】をご覧ください。
1-1 基礎選択
「新規入力」を選択し、
「確定」ボタンを押します。
(全種共通)
「杭基礎」を選択し、
「確定」ボタンを押します。
16
1-2 地層
左メニューから「地層」をダブルクリックします。
地層線「地層線」タブ、
「設計地盤面」タブの値をそれぞれ下
記のように入力します。
地層線
<地層数:4>を入力し、
層厚を下表のように入力します。
層No
層厚(m)
1
5.000
2
12.000
3
6.000
4
99.000
設計地盤面
<中立点:-17.000>
層名の一番下にある「中立点」のみ入力します。
土質データ
「土質一覧」タブに切り替え、下表に従って「土質データ①」の
値を入力します。
層No
土質
平均N値
α・Eo
常時
(kN/㎡)
α・Eo
地震時
(kN/㎡)
γt
(kN/㎥)
γsat
(kN/㎥)
1
2
2.0
5600
11200
16.00
16.80
2
2
3.8
10640
21280
16.00
16.80
3
1
20.0
56000
112000
18.00
18.80
4
1
50.0
140000
280000
20.00
20.80
17
第2章 操作ガイダンス
土質データ②
「土質データ②」タブに切り替えます。
周面摩擦力
<新設・既設杭:場所打ち工法>を選択します。
下表に従って値を入力します。
土質データ②
層No
f
(kN/㎡)
fn
(kN/㎡)
c
(kN/㎡)
Φ
(度)
νD Vsi
(m/s)
ED
(kN/㎡)
1
0.0
20.0
30.0
0.00
0.50
125.99
49760
2
0.0
38.0
30.0
0.00
0.50
156.05
76334
3
100.0
100.0
0.0
30.00
0.50
217.05
166296
4
200.0
200.0
0.0
40.00
0.50
294.72
340355
土質データ
「土質データ③」タブに切り替え、下表に従って値を入力しま
す。
最後に「確定」ボタンを押します。
土質データ③
18
(kN/㎡)
先端地盤
N値
qd
(kN/㎡)
改良体qu
(kN/㎡)
弾性指定
0
0
0.0
0
0
---
2
0
0
0.0
0
0
---
3
0
0
0.0
0
0
---
4
1
0
0.0
3000
0
---
層No
支持層
1
1-3 計算条件
計算条件
左メニューから「計算条件」をダブルクリックします。
「基本条件」タブを下記に従って選択します。
基本条件
<照査対象:新設・既設>
<対象構造物:橋脚>
<常時,レベル1地震時計算方法:2.5次元解析>
<杭配置の入力方法>選択できない状態です。
<杭基礎設計便覧の適用基準:平成19年1月>
<杭頭の段差:考慮しない>
常時,レベル1地震時
<液状化の影響>選択できない状態です。
<作用力の指定方法:自動計算>
<杭頭接合計算:する>を選択し、<コンクリート照査を省略
する(方法Bのみ)>にチェックを入れます。
<底版全面水平抵抗:無視>
<底版照査:(許容応力度法照査):する>
レベル2地震時
<レベル2地震時照査:する>
<底版全面水平抵抗:無視>
<底版照査(レベル2地震時照査):する>
19
第2章 操作ガイダンス
設計条件
設計条件タブを開きます。
k値・Kv値
k値・Kv値タブに切り替え下記に従ってチェックを入れます。
Kv値算出時のL’D<10時の計算(マイクロパイル以外)
<LʼD=10とした補正係数aを用いて計算する>を選択します。
杭長L(Kv=α・(A・E)/LのL)の取扱い
<L=10・D>を選択します。
突出杭扱い時のKv値算出用の杭長L
(Kv=α・(A・E)/L、補正係数α=定数1・(L’/D)±定数2)
<A・E/LのL:設計地盤面以深の杭長 >を選択します。
<α算出用のLʼ :設計地盤面以深の杭長 >を選択します。
地震時のBH算出時のα・Eo
<常時>を選択します。
BH算出時の杭径,断面剛性の取り扱い
<第1断面を用いる>を選択します。
k値の補正係数μ
特に変更箇所はありません。
「その他の条件タブ」に切り替え、下記に従ってチェックを入れ
ます。
負の周面摩擦力
<検討する>を選択します。
<群杭としての負の周面摩擦力:適用しない>
<杭の有効重量:考慮する>
<コンクリート杭の鋼材の軸方向力:考慮しない>
<設計地盤面より上の周面摩擦力:考慮しない>
最後に「確定」ボタンを押します。
20
1-4 杭配置
杭配置
左メニューから「杭配置」をダブルクリックします。
底版幅
「底版幅」タブに切り替え、下記に従って値を入力します。
底版寸法(m)
<LX:11.400>
<LY:8.400>と入力します。
「適用」ボタンを押すと左側画面に反映されます。
杭配置
「杭配置」タブに切り替え、下表に従って値を入力します。
杭最小間隔(m)
DP
3.000
杭縁端距離(m)
DLX
1.200
DLY
1.200
NX
4
NY
3
WX
---
WY
---
杭列数
杭間隔
<配置タイプ:全配置>を選択します。
整形配置ボタンを押すと左側画面に反映されます。
21
第2章 操作ガイダンス
杭データ
「杭データ」タブに切り替え、下記に従って値を入力します。
場所打ち杭
<杭外径(m):1.2000>
<設計杭長(m):25.00>と入力します。
「適用」ボタンを押します。
最後に「確定」ボタンを押します。
1-5 材料
材料
左メニューから「材料」をダブルクリックします。
ここでは初期値から値を変更しませんのでそのまま「確定」ボ
タンを押します。
22
1-6 許容値
許容値
左メニューから「許容値」をダブルクリックします。
下表に従って許容値の値を変更し、
「確定」ボタンを押しま
す。
割増係数
σca
σsa(*1)
σsa(*2)
σsaʼ
τa1
τa2
1.00
8.00
160.00
200.00
200.00
0.230
1.700
1.15
9.20
184.00
230.00
230.00
0.265
1.955
1.25
10.00
200.00
250.00
250.00
0.288
2.125
1.35
10.80
216.00
270.00
270.00
0.311
2.295
1.50
12.00
240.00
300.00
300.00
0.350
2.550
23
第2章 操作ガイダンス
1-7 予測計算・結果確認
予備計算・結果確認
左メニューから「予備計算・結果確認」をダブルクリックしま
す。
予備計算結果の確認を行います。
ここでは初期値から値を変更しませんのでそのまま「確定」ボ
タンを押します。
24
1-8 底版形状
底版形状
左メニューから「底版形状」をダブルクリックします。
下表に従って値を入力します。
「適用」ボタンを押すと左側画面へ反映されます。
最後に「確定」ボタンを押します。
記号
単位:(m)
底版上面寸法
L1
2.200
底版天端偏心量
ey
0.000
底版下面寸法
LY
8.400
底版上面寸法
B1
11.400
底版天端偏心量
ex
0.000
底版下面寸法
LX
11.400
上載土(レベル1用)
H1
2.000
底版ハンチ部の高さ
H2
0.500
底版下端部の高さ
H3
2.000
脚柱形状寸法
<柱本数:2>と入力し、
<矩形>を選択します。
下表に従って入力してください。
柱寸法(m)
柱位置(m)
柱
a
b
x
1
2.500
2.000
-3.000
2
2.500
2.000
3.000
y
0.000
3
25
第2章 操作ガイダンス
1-9 作用力
作用力
左メニューから「作用力」をダブルクリックします。
下表に従って設計震度の値を入力します。
26
底版
上載土
Y方向
0.20
---
X方向
0.20
---
荷重ケースの設定
「荷重ケースの設定」タブに切り替え、下表に従って「参照番
号」の値を入力します。
負の周面摩擦力
<1>と入力します。
No
参照番号
荷重ケース名
割増係数
地盤ばね
許容支持力
底版前面抵抗
1
1
常時
1.000
常時
常時
常時
2
7
地震時
1.500
地震時
地震時
地震時
3
7
地震時
1.500
地震時
地震時
地震時
4
9
常時(浮)
1.000
常時
常時
常時
5
15
地震時(浮)
1.500
地震時
地震時
地震時
6
15
地震時(浮)
1.500
地震時
地震時
地震時
荷重ケースごとの設定
「荷重ケースごとの設定」タブに切り替え、下記に従ってチェッ
クを入れます。
<No1:安定照査をする>
<No2:安定照査をする・衝突,地震時σsaの基本値を用いる>
<No3:安定照査をする・衝突,地震時σsaの基本値を用いる>
<No4:安定照査をする>
<No5:安定照査をする・衝突,地震時σsaの基本値を用いる>
<No6:安定照査をする・衝突,地震時σsaの基本値を用いる>
27
第2章 操作ガイダンス
柱下端作用力
「柱下端作用力」タブに切り替え、下表に従って左側と「柱1」
「柱2」タブの値を入力します。
最後に「確定」ボタンを押します。
左の表
No
荷重ケース名
水位(m)
慣性力(X)
慣性力(Y)
1
常時
0.000
0
0
2
地震時
0.000
0
1
3
地震時
0.000
1
0
4
常時(浮)
2.500
0
0
5
地震時(浮)
2.500
0
1
6
地震時(浮)
2.500
1
0
No
V(kN)
Hx(kN)
My(kN・m)
My(kN)
Mx(kN・m)
1
3996.40
0.00
0.00
0.00
0.00
2
3800.20
98.10
1588.70
1225.90
12871.70
3
3800.20
662.00
7524.40
0.00
0.00
4
3996.40
0.00
0.00
0.00
0.00
5
3800.20
98.10
1588.70
1225.90
12871.70
6
3800.20
662.00
7524.40
0.00
0.00
No
V(kN)
Hx(kN)
My(kN・m)
My(kN)
Mx(kN・m)
1
3996.40
0.00
0.00
0.00
0.00
2
3800.20
98.10
1588.70
1225.90
12871.70
3
3800.20
662.00
7524.40
0.00
0.00
4
3996.40
0.00
0.00
0.00
0.00
5
3800.20
98.10
1588.70
1225.90
12871.70
6
3800.20
662.00
7524.40
0.00
0.00
柱1
柱2
28
1-10 断面計算
断面計算
左メニューから「断面計算」をダブルクリックします。
下記に従って「場所打ち杭の自動配筋」のチェックと「帯鉄
筋」の値を入力します。
場所打ち杭の自動配筋
<しない>にチェックを入れます。
帯鉄筋
<区関数:1>と入力し
<有効長を直接指定する>にチェックを入れます。
区間
帯鉄筋変
化位置(m)
鉄筋径
(㎜)
1
0.000
16
鉄筋量Aw 間隔s
(㎠)
(㎝)
3.972
15.0
有効長
(㎝)
90.0
使用鉄筋
「使用鉄筋」タブに切り替え、下表に従って値を入力します。
主鉄筋
<断面数:2>と入力します。
断面
1
2
3
断面変化
位置(m)
段
経
(mm)
本数
ピッチ
(mm)
鉄筋量
(㎠)
1
25
24
118
121.608
2
0
0
0
0.000
3
0
0
0
0.000
11.365
1
25
12
236
60.804
未計算
2
0
0
0
0.000
---
1
---
---
---
---
---
2
---
---
---
---
0.000
最後に「確定」ボタンを押します。
29
第2章 操作ガイダンス
1-11 杭頭接合計算
杭頭接合計算
左メニューから「杭頭接合計算」をダブルクリックします。
仮想RC断面照査時のコンクリート応力度の照査
<仮想RC断面照査時のコンクリート応力度の照査:する>
にチェックを入れます。
杭径・底版形状
「杭径・底版形状」タブに切り替え、下表に従って値を入力し
ます。
30
杭外径
D
mm
1200.0
杭の埋込み長
L
mm
100
垂直有効厚さ
h
mm
1500
水平有効厚さ
h’
mm
600
Lo=α・Φ
a
---
---
底版許容値
「底版許容値(杭頭接合計算用)」タブに切り替えます。
この画面では初期値から変更はありません。
杭頭作用力
「杭 頭作用力」タブに切り替え、下表に従って値を入力しま
す。
鉛直反力(kN)
水平反力(kN)
モーメント(kN・m)
No
荷名称略
鉛直最大
鉛直最小
水平最大
水平端部
杭頭
地中部
使用
モーメント
1
常時
1418.3
1418.3
0.0
0.0
0.0
0.0
---
2
地震時
3134.5
-363.2
295.3
295.3
471.4
601.3
---
3
地震時
2225.0
546.2
200.9
200.9
643.2
409.0
---
4
常時(浮)
1224.3
1224.3
0.0
0.0
0.0
0.0
---
5
地震時(浮)
2940.4
-557.3
295.3
295.3
471.4
601.3
---
6
地震時(浮)
2030.9
352.2
200.9
200.9
463.2
409.0
---
31
第2章 操作ガイダンス
杭頭補強鉄筋
「杭頭補強鉄筋」タブに切り替え、下表に従って値を入力しま
す。
1段目
径(mm)
本数
かぶり(mm)
補強鉄筋
D25
24
350.0
主鉄筋
「計算実行」ボタンを押します。
結果を確認したら「閉じる」ボタンを押し、最後に「確定」ボタ
ンを押します。
32
1-12 底版設計
底版設計
左メニューから「底版設計」をダブルクリックします。
下記に従って値を入力します。
主鉄筋タブの「Y方向」
「X方向」を入力します。
Y方向
上側1段目<かぶり:100><径:D25><ピッチ:125>
上側2段目は入力しません。
下側1段目<かぶり:150><径:D29><ピッチ:125>
下側2段目は入力しません。
X方向(張出部)
上側1段目<かぶり:100><径:D25><ピッチ:125>
上側2段目は入力しません。
下側1段目<かぶり:150><径:D32><ピッチ:125>
下側2段目は入力しません。
X方向を「柱間」タブに切り替えます。
X方向(柱間)
上側1段目<かぶり:100><径:D25><ピッチ:125>
上側2段目は入力しません。
下側1段目<かぶり:150><径:D32><ピッチ:125>
下側2段目は入力しません。
X方向(柱間)
上側1段目<かぶり:100><径:D25><ピッチ:125>
上側2段目は入力しません。
下側1段目<かぶり:150><径:D32><ピッチ:125>
下側2段目は入力しません。
33
第2章 操作ガイダンス
せん断補強鉄筋
「せん断補強鉄筋」タブに切り替え、下記に従って値を入力し
ます。
X方向
<径:D22>
<幅1(m)当たりの本数:2.000>
<間隔(㎝):25.00>
<版のとき用いる本数:5.000>
Y方向
<径:D22>を選択を選択します。
<幅1(m)当たりの本数:2.000>
<間隔(㎝):25.00>
<版のとき用いる本数:5.000>
計算条件
「計算条件」タブに切り替え、
連続フーチングの柱間のせん断照査を
<する(せん断スパン=中間の1/2)>にチェックを入れます。
レベル2地震時
「レベル2地震時」タブに切り替え、下記に従ってチェックを入
れます。
連続フーチングの柱間照査
<する>にチェックを入れます。
連続フーチングの柱間のせん断照査
<する(せん断スパン=柱間の1/2)>にチェックを入れます。
底版下面鉄筋を考慮した水平方向押抜きせん断照査
<する>にチェックを入れます。
照査対象杭範囲(最端部杭座標からの離れ)
<新設・既設部:1.000×D>と入力します。
有効幅が重なる場合の取扱い
<重なりを考慮する>にチェックを入れます。
端部杭の有効幅の広がりの取扱い
<端部または1・Dとする>にチェックを入れます。
考慮する底版下面鉄筋範囲
<新設・既設部:最下段のみ>を選択します。
底版釣合鉄筋量算出時の取扱い
<複鉄筋>にチェックを入れます。
版としてのせん断照査のせん断スパンの算出方法
<柱前面に生じる曲げモーメントとせん断力との比>にチェッ
クを入れます。
せん断照査における照査位置の集中荷重の取扱い
<考慮/無視の厳しい方を採用>にチェックを入れます。
最小鉄筋量照査
<しない>にチェックを入れます。
34
「共通」タブに切り替え、下記に従ってチェックを入れます。
せん断スパンの取扱い
<上限値Lを考慮する>にチェックを入れ、
<上側引張時の上限値:L+min(tcc/2,d)とする>にチェックを
入れます。
最後に「確定」ボタンを押します。
1-13 レベル2地震時照査
【基本条件】
基本条件
左メニューからレベル2地震時照査「基 本条 件」をダブルク
リックします。
基本条件(共通)
計算条件の「タイプⅡ」のチェックを外し、下表に従ってY方向
(正方向↑:タイプⅠ)の値を入力します。
正方向↑
タイプⅠ
C2z/khco
0.8500
khp
0.68
khg
0.35
橋脚の終局水平耐力
大きな余裕がない
Wu(kN)
6330.00
hu(m)
12.200
X方向
「X方向」タブに切り替え、左表に従ってX方向(正方向→:タイ
プⅠ)の値を入力します。
正方向→
タイプⅠ
C2z/khco
1.3000
khp
0.90
khg
0.35
橋脚の終局水平耐力
大きな余裕がある
Wu(kN)
7822.50
hu(m)
14.700
35
第2章 操作ガイダンス
基本条件(杭基礎)
「基本条件(杭基礎)」タブに切り替え、下表に従って値を入力
します。
Rd(kN)
8522.00
Wp(kN)
3393.00
hp(m)
8.030
上載土厚(m)
4.500
WF(kN)
5432.39
hF(m)
1.164
「作用力計算」ボタンを押すことで右側の表が、下記の値で自
動的に入力されます。
浮力無視
浮力考慮
鉛直力算出用水位(m)
0.000
0.000
Up(kN)
0.00
0.00
Ws(kN)
3594.61
3594.61
WFʼ(kN)
5432.39
5432.39
Vo(kN)
50942.00
50942.00
Vo(kN)
---
---
予備計算用水位(m)
0.000
0.000
※自動入力されます
計算条件①
「計算条件①」タブに切り替えます。
せん断力照査方法(RC杭、PHC杭、PC杭…)
<杭基礎のせん断力≦杭基礎のせん断耐力>にチェックを入
れます。
36
計算条件③
「計算条件③」タブに切り替えます。
各項目全て
<押し込み側:死荷重反力、引抜き側:軸力=0>にチェックを
入れます。
杭頭仮想鉄筋コンクリート断面の照査
<1列(本)ごとに照査>をチェックを入れます。
最後に「確定」ボタンを押します。
【杭本体】
杭本体
左メニューから「杭本体」をダブルクリックします。
M-φ
「M-φ」タブに切り替え、下表に従って曲げモーメント、曲率タ
ブの値をそれぞれ入力します。
曲げモーメント
Mc(kN・m) My(kN・m) Mu(kN・m)
区間No
区間長
1
11.356
620.4
1875.6
2678.2
2
13.644
603.5
1340.3
1839.2
区間No
区間長
Φc(1/m)
Φy(1/m)
Φu(1/m)
1
11.356
0.0002223 0.0027818 0.0262491
2
13.644
0.0002262 0.0026568 0.0314672
曲率
下の「計算」ボタンを押すとある程度同じ値が入力されるので
便利です。
37
第2章 操作ガイダンス
その他
「その他」タブに切り替え、下記に従って値を入力します。
支持力上限値(kN本)
<押込み支持力の上限値:7977>
<引抜き抵抗力の上限値(浮力無視):-4195>
最後に「確定」ボタンを押します。
【地盤データ】
地盤データ
左メニューから「地盤データ」をダブルクリックします。
上載荷重算出用の上載土厚
<上載土厚>にチェックを入れます。
隣の「計算」ボタンを押します。
上載荷重(浮力無視)に自動的に値が入力されます。
受働土圧強度
② 下の「計算」ボタンを押すと受働土圧強度の値が自動的に
入力されます。
水平地盤反力係数
「水平地盤反力係数」タブに切り替え、下表に従って値を入力
します。
No
層厚(m)
kHE(kN・㎥)
1
5.000
6932.334
2
12.000
13171.434
3
6.000
69323.339
4
2.000
173308.351
最後に「確定」ボタンを押します。
38
【水平方向押抜きせん断照査】
水平方向押抜きせん断照査
左メニューから「水平方向押抜きせん断照査」をダブルクリッ
クします。
ここでは初期値から変更はありませんのでそのまま「確定」ボ
タンを押します。
1-14 計算・結果確認
【総括表】
総括表
左メニューから「総括表」をダブルクリックします。
荷重ケースごとに、安定計算,杭体応力度照査結果を抽出して
表示します。増し杭工法のときは、既設杭と増し杭に分けて出
力します。
39
第2章 操作ガイダンス
【安定計算】
安定計算
左メニューから「安定計算」をダブルクリックします。
指定された杭について、各々の計算結果を表示します。
複数杭指定した場合、各項目ごとに最大値あるいは最小値を
表示します。ただし、許容支持力・引抜力が異なる杭が混在す
る場合の杭軸方向反力は「計算条件」-「設計条件」-「その
他の条件」で指定した方法(反力と許容値の比、反力と許容値
の差)により抽出した値を表示します。
【抗体応力度】
杭体応力度
左メニューから「杭体応力度」をダブルクリックします。
杭体応力度照査結果を表示します。
場所打ち杭自動配筋を行うとき、主鉄筋径,本数,断面変化位
置の自動計算を行い、算出された断面変化位置における応力
度照査結果を表示します。
40
【杭頭接合計算】
杭頭接合計算
左メニューから「杭頭接合計算」をダブルクリックします。
杭頭接合計算結果を表示します。
杭頭と底版接合部
杭頭と底版の接合部の計算結果を表示します。
杭頭補強鉄筋
仮想鉄筋コンクリート断面の応力度照査結果を表示します。
[入力表示]により入力画面を表示しますが、入力値の変更、
計算実行は行えません。
杭頭カットオフ
フーチング下面以下に生じる鉄筋コンクリート断面として扱う
範囲の杭本体の照査結果を表示します。。
[入力表示]により入力画面を表示しますが、入力値の変更、
計算実行は行えません。
【底版照査(許容)】
底版照査(許容)
左メニューから「底版照査(許容)」をダブルクリックします。
計算方向ごとに曲げ照査,せん断照査結果を表示します。赤文
字は許容値を超えていることを示しています。
41
第2章 操作ガイダンス
【レベル2地震時計算】
レベル2地震時計算
左メニューから「レベル2地震時計算」をダブルクリックしま
す。
レベル2地震時の照査結果を表示します。
総括表
各検討ケースごとの判定結果を表示します。OK,OUT,降伏
をクリックすると、該当検討ケースの結果画面を開きます。
一覧表
安定計算結果一覧表を方向ごとに表示します。
荷重変位関係
水平震度~上部構造慣性力作用位置水平変位をグラフおよび
数値にて方向ごとに表示します。
流動化考慮時,盛りこぼし橋台の場合,作用力を指定してレベ
ル2地震時照査を行う場合、水平震度の代わりに基礎に作用す
る水平荷重を表示します。
詳細表示
最終震 度時,もしくは降伏時,応答変位時における、断面力
図,地盤反力度分布図,杭 頭 反力等の詳細結果を表示しま
す。
【底版照査(レベル2)】
底版照査(レベル2)
左メニューから「底版照査(レベル2)」をダブルクリックしま
す。
「底版照査エラー」が表示されるので、
「確認」ボタンを押しま
す。
42
X方向の曲げ照査の「OUT」リンクをクリックします。
柱基部断面力
「柱基部断面力」タブに切り替え、柱1、柱2タブの値を下記
に従ってそれぞれ入力します。
柱1:液状化無視・地震動タイプⅠ・浮力無視
<V(kN):2637.03>
<H(kN):5680.67>
<M(kN・m):47886.42>
柱2:液状化無視・地震動タイプⅠ・浮力無視
<V(kN):9277.98>
<H(kN):3597.51>
<M(kN・m):26148.40>
水平方向押抜きせん断照査
「水平方向押抜きせん断照査」タブに切り替え、
「全抽出セット」ボタンを押し、抽出対象全てにチェックを入れ
ます。
最後に「確定」ボタンを押します。
43
第2章 操作ガイダンス
【基礎ばね】
基礎ばね
左メニューから「基礎ばね」をダブルクリックします。
常時、地震時、および固有周期算定用の地盤ばね定数を算出
します。
k値
常時、地震時、および固有周期算出に用いる各層の水平方向
地盤反力係数を表示します。
計算結果(常時、地震時、固有周期算定用地盤ばね定数)
底版下面中心におけるばね値を算出、出力します。増し杭工法
の場合、既設底版下面中心における値となります。
1-15 基準値
基準値
左メニューから「基準値」をダブルクリックします。
コンクリートの許容応力度,鉄筋の許容応力度,荷重ケース等
の共通データ、および各基礎の諸数値を設定します。
本画面のデータは、基礎形式を変更しても引き継がれ、同じ
データを用いることができます。
[開く]ボタンにより、基礎データファイル(*.F1F,*.F8F等)か
ら、基準値データのみを抽出して読み込むことができます。
基準値データを変更した場合、関連する照査の再計算を行う
必要があります。必ず、再計算を行ってください。
44
2 鋼管矢板基礎
サンプルデータ「Koukan_1.F1F」を例題として作成します。
※以降左メニュー選択の説明は省略します。
各入力項目の詳細については製品の【ヘルプ】をご覧くださ
い。
鋼管矢板基礎
「鋼管矢板基礎」を選択し、
「確定」ボタンを押します。
2-1 地層
設計地盤面
「設計地盤面」の値を下表に従って入力します。
層名
標高(m)
現地盤面
2.000
設計地盤面(常時)
-1.000
設計地盤面(地震時)
-1.000
地盤面(常時)
2.000
地盤面(地震時)
2.000
水位(常時)
4.500
水位(地震時)
4.500
水位(施工時)
4.500
中立点
2.000
45
第2章 操作ガイダンス
地層線
「地層線」タブに切り替え、拡大図に従って値を入力します。
<地層数:4>と入力します。
層No
層厚(m)
1
21.500
2
3.500
3
6.500
4
2.000
「適用」ボタンを押します。
土質一覧
「土質一覧」タブに切り替え、
α・Eoの推定方法
<入力(地震時は常時の2倍)>にチェックを入れます。
下表に従って土質データ①~②の値を入力します。
(③は今回入力する項目はありません)
土質データ①
層No
土質
平均
N値
α・Eo
常時
(kN/㎡)
α・Eo
地震時
(kN/㎡)
γt
(kN/㎥)
γsat
(kN/㎥)
1
2
2.0
8000
16000
16.00
16.80
2
1
14.0
39200
78400
18.00
18.80
3
2
10.0
28000
56000
17.00
17.80
4
1
50.0
140000
280000
20.00
20.80
層No
f
(kN/㎡)
fn
(kN/㎡)
c
(kN/㎡)
Φ
(度)
νD
Vsi(m/s)
ED
(kN/㎡)
1
0.0
20.0
30.0
0.00
0.50
125.99
46760
2
28.0
28.0
0.0
30.00
0.50
192.81
131103
3
100.0
100.0
80.0
0.00
0.50
215.44
154593
4
100.0
100.0
0.0
35.00
0.50
294.72
340355
土質データ②
46
計算条件
「計算条件」タブに切り替えます。
水の単位重量
<9.81 kN/㎥>と入力し、最後に「確定」ボタンを押しま
す。
2-2 鋼管矢板基礎
【基本条件】
ここでは初期値から変更はありませんのでこのまま「確定」ボ
タンを押します。
【形状】
形状入力
「形状入力」タブに切り替え、下表に従って値を入力し、
「適
用」ボタンを押します。
外周鋼管矢板本数、井筒外径、平面図が自動的に入力されま
す。
外周鋼管本体径
(m)
1.0000
外周継手の有効間隔
(m)
0.2478
井筒仮定外径
(m)
12.0000
47
第2章 操作ガイダンス
頂版・矢板
「頂版・矢板」タブに切り替え、下表に従って頂版、矢板タブの
値をそれぞれ入力し、
「適用」ボタンを押します。
頂版タブ 単位:m
頂版天端高
-1.000
頂版厚
5.000
底版コンクリート厚
0.300
敷砂厚
0.200
鋼管内中詰めコンクリート厚
10.000
矢板タブ
外周矢板
外周部鋼管矢板の天端高(m)
5.500
外周部鋼管矢板の下端高(m)
-31.500
<矢板の分割数:1>と入力します。
断面
標高(m)
鋼管厚(m)
材質
1
-31.500
12.0
SKY400
許容支持力・引抜力
「許容支持力・引抜力」タブに切り替え、拡大図に従って値を
入力します。
鋼管本体単位重量
kN/㎥
77.0
継手重量
N/m
820.1
中詰めコンクリート単位重量
kN/㎥
0.0
支持層への換算根入れ深さ
m
2.00
40.00
先端地盤(設計用)N値
鋼管矢板先端の極限支持力 qd
kN/㎥
----
内部土短辺長 Lo
m
10.145
内部土短辺長 Loは
「Lo算出」ボタンを押すと自動的に入力されます。
最後に「確定」ボタンを押します。
48
2-3 予備計算・結果確認
基礎本体の水平方向地盤反力係数の計算、鉛直・せん断・回
転バネ値の計算、許容支持力、引抜力の計算を行います。
水平方向地盤反力係数kH
水平方向地盤反力係数の計算結果の表示と使用値の修正を行
います。
底面バネ値
底面バネ値の計算結果の表示と使用値の修正を行います。
許容支持力・引抜力
許容支持力・引抜力の計算結果の表示と使用値の修正を行い
ます。
既に予備計算を実行している場合、再計算を行うか確認のメッ
セージが表示されます。再計算を行う場合は[計算実行]を、行
わない場合は[取消]を押してください。データの修正を行った
場合は、必ず実行してください。
2-4 作用力
下表に従ってY方向、X方向タブの参照番号をそれぞれ入力し
ます。
Y方向
case
参照番号
荷重名称
荷重略称
割増係数
地盤ばね
支持力
1
1
常時
常時
1.00
常時
常時
2
7
地震時
地震時
1.50
地震時
地震時
case
参照番号
荷重名称
荷重略称
割増係数
地盤ばね
支持力
1
7
地震時
地震時
1.50
地震時
地震時
X方向
49
第2章 操作ガイダンス
脚注形状寸法
「脚注形状寸法」タブに切り替え、下表に従ってチェックと値
を入力します。
<形状:小判型>にチェックを入れます。
a(m)
7.000
b(m)
2.500
脚柱断面積(㎡)
16.16
単位重量等
「単位重量等」タブに切り替え、拡大図に従って値を入力しま
す。
設計水平震度
頂版(Y方向)
0.30
内部土(Y方向)
0.00
頂版(X方向)
0.30
内部土(X方向)
0.00
単位重量
50
上載土(湿潤)
kN/㎥
16.0
上載土(飽和)
kN/㎥
17.0
頂版コンクリート
kN/㎥
24.5
中詰めコンクリート
kN/㎥
23.0
底版コンクリート
kN/㎥
23.0
敷砂(湿潤)
kN/㎥
19.0
敷砂(飽和)
kN/㎥
20.0
脚注下端作用力
「脚注下端作用力」タブに切り替え、下表に従って橋軸方向、
橋軸直角方向タブの値をそれぞれ入力します。
橋軸方向
case
荷重名称
上載土高(m)
水位高(m)
慣性力
V(kN)
H(kN)
M(kN・m)
1
常時
2.000
4.500
0
31634.4
0.0
0.0
2
地震時
2.000
4.500
0
26295.5
7626.9
100892.5
橋軸直角方向
case
荷重名称
上載土高(m)
水位高(m)
慣性力
V(kN)
H(kN)
M(kN・m)
1
地震時
2.000
4.500
0
26295.5
7626.9
112247.0
設計外力
「設計外力」タブに切り替えます。ここでは初期値から変更は
ありませんのでそのまま「確定」ボタンを押します。
51
第2章 操作ガイダンス
2-5 仮締切り
下表に従って値を入力します。
腐食しろ(外側)
mm
0.0
腐食しろ(内側)
mm
0.0
上載荷重(主働側) qa
kN/㎡
0.0
上載荷重(受働側) qp
kN/㎡
6.0
底版コンクリートのヤング係数(×10⁷)
kN/㎡
2.35
底版コンクリートのバネ低減係数
0.050
施工総ステップ数
4
残留応力度ステップ番号
3
底版コンクリート打設ステップ番号
4
支保工段数
3
支保工
「支保工①」タブに切り替え、下表に従って値を入力します。
H形鋼
ステップNo.
段
支保工
設置高
標高(m)
設置
撤去
引張
円
弧
部
数
1
5.000
1
0
2
3
1
2
2.500
2
0
1
3
1
3
0.000
3
0
1
3
1
「適用」ボタンを押します。
施工ステップ
「施工ステップ」タブに切り替え、下表に従って値を入力しま
す。
ステップ 内水位高標高 堀削面髙標高
番号
(m)
(m)
1
1.500
1.500
2
-1.000
-1.000
3
-6.500
-6.500
4
-6.500
-6.500
「確定」ボタンを押します。
52
描画ステップ
(入力状況)
〇
2-6 仮締切り 予備計算・結果確認
支保工および底盤コンクリートバネ値,水平方向地盤反力係
数,側圧の計算を行い、結果を表示します。使用値欄で算出さ
れた値を変更することができます。
既に予備計算を実行している場合、再計算を行うか確認のメッ
セージが表示されます。再計算を行う場合は[計算実行]を、行
わない場合は[取消]を押してください。なお、データの修正を
行った場合は、必ず実行してください。
支点バネ値
支保工バネ値、底盤コンクリートバネ値の使用値の入力を行い
ます。底盤コンクリートバネを考慮しない場合は、ここで、バネ
値=0としてください。
アーチバネ値
アーチバネ値の使用値の入力を行います。
※本プログラムでは平面形状が円形のときのみ算出します。
kH値
水平方向地盤反力係数の使用値の入力を行います。
<ステップ>指定されたステップ番号をAとすると、
1~A-1ステップ:kH1
A~最終ステップ :kH2
を用いて計算します。0 と入力された場合は、全施工ステップ
でkH1を用います。
2-7 レベル2地震時基本条件
側圧
主働側圧等の使用値の入力を行います。
基本条件(共通)
下表に従い入力します。
タイプⅠ
タイプⅡ
Y方向
X方向
Y方向
X方向
C2z・khco
1.5000
1.5000
0.0100
0.0100
khp
0.50
1.49
0.01
0.01
khg
0.00
0.00
0.00
0.00
橋脚の終局水平耐力
大きな余裕がない
大きな余裕がある
大きな余裕がある
大きな余裕がある
Wu(kN)
18925.55
18925.55
0.00
0.00
hu(m)
Y方向
X方向
Rd(kN)
19797.39
15.000
17.000
Wp(kN)
4698.12
hp(m)
8.070
53
第2章 操作ガイダンス
基本条件(鋼管矢板基礎)
「基本条件(鋼管矢板基礎)」タブに切り替え、下表に従って
値を入力します。
液状化無視
設計地盤面高
m
-1.000
q
kN/㎡
20.97
q0
kN/㎡
0.00
q1
kN/㎡
20.97
WF
kN
0.00
hF
m
0.000
Y方向
X方向
Gj
kN/㎡
1200000
計算開始震度
0.00
0.00
qcr
kN/m
200
震度増分
0.02
0.02
計算ピッチ
m
1.0
Hd(kN)
0.00
0.00
水位高
m
4.500
Md(kN・m)
0.00
0.00
WFʼ算出用の水位高
m
4.500
上載土厚
m
3.000
WFʼ
kN
10378.73
Vo
kN
36674.24
計算条件
「計算条件」タブに切り替え、
<橋脚に主たる塑性化が生じるとき、基礎に主たる塑性化を考
慮しない>のチェックを外し、
「確定」ボタンを押します。
54
2-8 レベル2地震時 予備計算・結果確認
地盤反力係数、地盤反力度の上限値を液状化無視/考慮ごと
に算出します。既に予備計算を実行している場合、再計算を行
うか確認のメッセージが表示されます。再計算を行う場合は
[計算実行]を、行わない場合は[取消]を押してください。なお、
データの修正を行った場合は、必ず実行してください。
地盤反力係数
基礎周面の地盤反力係数を算出します。基礎先端から内部土
短辺長の範囲は内周面の抵抗を考慮するため周面の鉛直方向
せん断地盤反力係数kSVB、kSVDについては、外周面と内周
面との和としています。
地盤耐力
基礎前面および周面の地盤反力度の上限値を算出します。地
盤バネと同様に基礎先端から内部土短辺長の範囲は周面の鉛
直方向のせん断地盤反力度の上限値pSVuについては、外周
面と内周面との和としています。
2-9 基礎ばね
基本条件
下表に従って値を入力します。
橋軸方向
橋軸直角方向
単位水平力(kN)
1000.00
1000.00
単位モーメント(kN・m)
10000.00
10000.00
55
第2章 操作ガイダンス
地盤ばね
「地盤ばね」タブに切り替え、各値を確認します。
既に計算を実行している場合、再計算を行うか確認のメッセー
ジが表示されます。再計算を行う場合は[計算実行]を、行わな
い場合は[取消]を押してください。なお、データの修正を行った
場合は、必ず実行してください。
最後に「確定」ボタンを押します。
2-10 部材
【頂版】
頂版の計算
基本条件
下記の項目にチェックを入れます。
<せん断照査判定:τm≦τaを満足>
<設計基準強度:21>
頂版自重・上載荷重
<入力>にチェックを入れ、
<73.6 (kN/㎡)>と入力します。
荷重ケースの設定
「荷重ケースの設定」タブに切り替え、拡大図に従ってY方向、
X方向の値をそれぞれ入力します。
Y方向
case 参照番号 荷重名称
荷重略称 割増係数
1
1
常時
常時
1.00
2
7
地震時
地震時
1.50
X方向
case 参照番号 荷重名称
1
56
7
地震時
荷重略称 割増係数
地震時
1.50
外周矢板反力
「外周矢板反力」タブに切り替え、下表に従って橋軸方向、橋
軸直角方向タブの値をそれぞれ入力します。
橋軸方向
case
荷重名称
割増係数
最大鉛直反力(kN)
最小鉛直反力(kN)
1
常時
1.00
1361
1361
2
地震時
1.50
2952
-612
橋軸直角方向
case
荷重名称
割増係数
最大鉛直反力(kN)
最小鉛直反力(kN)
1
地震時
1.50
3097
-758
頂版形状
「頂版形状」タブに切り替え、下表に従って値を入力します。
Y
方
向
頂版厚 h(m)
5.000
外周鋼管矢板本体径(m)
1.0000
計算( 1:する/2:しない )
1
スパン長 L(m) 3.822
せん断応用力度照査位置 LB(m)
鋼管矢板中心間隔
X
方
向
a(m)
2.500
1.2478
計算( 1:する/2:しない )
1
スパン長 L(m)
1.822
せん断応力度照査位置 LB(m)
1.822
鋼管矢板中心間隔 a(m)
1.2478
57
第2章 操作ガイダンス
配筋
「配筋」タブに切り替え、下記に従って主鉄筋、せん断補強鉄
筋タブの値をそれぞれ入力します。
主鉄筋
Y方向
上面< 1 段>と入力します。
1段目<かぶり:100><鉄筋径:D32><ピッチ:150>と入力
します。
2、3段目は入力しなくてかまいません。
下面< 2 段>と入力します。
1段目<かぶり:500><鉄筋径:D38><ピッチ:150>と入力
します。
2段目<かぶり:650><鉄筋径:D38><ピッチ:150>と入力
します。
3段目は入力しなくてかまいません。
X方向
上面< 1 段>と入力します。
1段目<かぶり:100><鉄筋径:D25><ピッチ:150>と入力
します。
2、3段目は入力しなくてかまいません。
下面< 2 段>と入力します。
1段目<かぶり:500><鉄筋径:D29><ピッチ:150>と入力
します。
2段目<かぶり:650><鉄筋径:D29><ピッチ:150>と入力
します。
3段目は入力しなくてかまいません。
せん断補強鉄筋
「せん断補強鉄筋」タブに切り替えます。
<鉄筋径(mm):0>
<X方向間隔(㎝):30.0>
<Y方向間隔(㎝):30.0>と入力します。
応力度計算
「応力度計算」タブに切り替えます。
「計算実行」ボタンを押し、
「確定」ボタンを押します。
58
【頂版・矢板接合部】
下表に従ってY方向、X方向の値をそれぞれ入力します。
Y方向
case
参照番号
荷重名称
荷重略称
割増係数
1
1
常時
常時
1.00
2
7
地震時
地震時
1.50
case
参照番号
荷重名称
荷重略称
割増係数
1
7
地震時
地震時
1.50
X方向
反力
「反力」タブに切り替え、下表に従って橋軸方向、橋軸直角方
向タブの値をそれぞれ入力します。
橋軸方向
case
荷重名称
割増係数
鉛直反力
(kN)
水平反力
(kN)
1
常時
1.00
1361
0
2
地震時
1.50
2952
272
橋軸直角方向
case
荷重名称
割増係数
鉛直反力
(kN)
水平反力
(kN)
1
地震時
1.50
3097
272
59
第2章 操作ガイダンス
基本条件
「基本条件」タブに切り替え、
<設計基準強度:21>にチェックを入れます。
「データ連動」ボタンを押します。
自動的に鋼管本体径と鋼管本体の断面係数が入力されます。
鉄筋スタッド溶接方式
「鉄筋スタッド溶接方式」タブに切り替え、下表に従って「せん
断鉄筋本数(本)」まで値を入力し、
「計算実行」ボタンを押しま
す。
最後に「確定」ボタンを押します。
【杭頭接合部】
モーメント鉄筋の間隔(mm)
2000.0
モーメント鉄筋径(mm)
32
モーメント鉄筋本数(本/段)
16
せん断鉄筋径(mm)
32
せん断鉄筋本数(本)
32
モーメント鉄筋の引張応力度(N/m㎡)
45.86
モーメント鉄筋の許容応力度(N/m㎡)
160.00
せん断鉄筋せん断応力度(N/m㎡)
121.86
せん断鉄筋許容応力度(N/m㎡)
180.00
下表に従ってY方向、X方向の「参照番号」の値をそれぞれ入
力します。
Y方向
case
参照番号
荷重名称
荷重略称
割増係数
1
1
常時
常時
1.00
2
7
地震時
地震時
1.50
case
参照番号
荷重名称
荷重略称
割増係数
1
1
常時
常時
1.00
X方向
60
基本条件
「基本条件」タブに切り替えます。
ここでは初期値から変更はありません。
形状
「形状」タブに切り替え、下記に従って値を入力します。
<鋼管系 D(mm):600.0>
<埋込長 I(mm):100>
<垂直有効厚 h(mm):1900>
<水平有効厚 hʼ(mm):300>
杭頭作用力
「杭頭作用力」タブに切り替え、下表に従って橋軸方向、橋軸
直角方向タブの値をそれぞれ入力します。
橋軸方向
case
荷重名称
割増係数
鉛直最大(kN)
鉛直最小(kN)
水平力(kN)
モーメント(kN・m)
1
常時
1.00
1313
797
74
302
2
地震時
1.50
1541
534
98
394
case
荷重名称
割増係数
鉛直最大(kN)
鉛直最小(kN)
水平力(kN)
モーメント(kN・m)
1
地震時
1.50
1541
534
98
394
橋軸直角方向
61
第2章 操作ガイダンス
杭頭補強鉄筋
「杭頭補強鉄筋」タブに切り替え、下記に従って値を入力しま
す。
<直径(mm):800.0>
1段目
<かぶり(mm):10>
<鉄筋径(mm):32>
<本数(mm):12>
2段目
<かぶり(mm):0>
<鉄筋径(mm):0>
<本数(mm):0>
「計算実行」ボタンを押します。
最後に「確定」ボタンを押します。
2-11 計算・結果確認
【仮締切り計算】
計算ピッチ数が「1.0」であることを確認し、
「計算実行」ボタン
を押します。
一覧表
各施工ステップの最大変位量,最大応力度および許容応力度
を方向ごとに表出力します。
記号は次のとおりです。
・δmax:鋼管矢板の最大変位
・σmax:鋼管矢板の最大応力度
・Lm:σmaxの発生位置で、
「基本条件」で指定した結果の出
力方法(標高/深度)どおりに出力します。深度の場合、鋼管
矢板頂部からの深度になります。
変位・断面力図
施工ステップごとに変位,曲げモーメントの分布を描画しま
す。スケールを変更することができます。最大変位,曲げモーメ
ントを入力し[設定]をクリックしてください。
支点反力
各施工ステップの支点反力,底盤コンクリート反力を方向ごと
に表出力します。
支保工の検討
各段の腹起し,切梁,火打ち梁の検討結果を方向ごとに表出力
します。
根入れ長
根入れ長およびボイリングの検討結果を表出力します。
盤ぶくれ
盤ぶくれの検討結果を表出力します。
62
【本体計算】
計算ピッチ数が「1.0」であることを確認し、
「計算実行」ボタン
を押します
弾性床上の有限長ばりとしての計算を行います。
一覧表
各荷重ケースの変位量,最大応力度,最大・最小鉛直反力と各
許容値を方向ごとに表出力します。
記号は次のとおりです。
・δ:基礎の変位量
・σmax:鋼管矢板,鋼管杭の最大応力度
・Lm:σmaxの発生位置を「基 本条 件」の結果の出力方法
(標高/深度)で指定された方法で出力します。深度の場合、
基礎天端からの深度になります。
・①:材質SKY400,②:材質SKY490
変位・断面力図
荷重ケースごとに基礎本体の変位,曲げモーメント,せん断力
の分布を描画します。スケールを変更することができます。最
大変位,曲げモーメント,せん断力を入力し[設定]をクリック
してください。
負の周面摩擦
「基本条件」で負の周面摩擦力に対する検討を行うと指定さ
れているとき、検討結果を出力します。
【合成応力度計算】
本体計算結果に仮締切り計算により算出した残留応力度を加
算して合成応力度の計算,出力を行います。
最大応力度一覧表
各荷重ケースの最大応力度および許容応力度を方向ごとに表
出力します。
応力度分布
荷重ケースごとに合成応力度と許容応力度の分布を行がしま
す。スケールを変更することができます。最大応力度を入力し
[設定]をクリックしてください。
63
第2章 操作ガイダンス
【仮想井筒梁計算】
仮想井筒梁解析法による本体計算を行います。計算ピッチは弾性床上の有限長ばり解析とは異なり、地層および井筒断面
変化点間を区間長とし、これを入力された計算ピッチにより分割数を求め着目点位置を決めています。例えば、区間長が
5.1mで計算ピッチが1.0mのときこの区間を6等分割した位置を着目点とします。
本体計算
計算ピッチ数が「1.0」であることを確認し、
「計算実行」ボタン
を押します。
一覧表
各荷重ケースの変位量,最大応力度,最大・最小鉛直反力と各
許容値を方向ごとに表出力します。
記号は次のとおりです。
・δ:基礎の変位量
・σmax:鋼管矢板,鋼管杭の最大応力度
・Lm:σmaxの発生位置を「基 本条 件」の結果の出力方法
(標高/深度)で指定された方法で出力します。深度の場合、
基礎天端からの深度になります。
・①:材質SKY400,②:材質SKY490
変位・断面力図
荷重ケースごとに基礎本体の変位,曲げモーメント,せん断力
の分布を描画します。スケールを変更することができます。最
大変位,曲げモーメント,せん断力を入力し[設定]をクリック
してください。
合成応力度計算
本体計算結果に仮締切り計算により算出した残留応力度を加
算して合成応力度の計算,出力を行います。
合成応力度一覧表
各荷重ケースの最大応力度および許容応力度を方向ごとに表
出力します。
合成応力度分布図
荷重ケースごとに合成応力度と許容応力度の分布を行がしま
す。スケールを変更することができます。最大応力度を入力し
[設定]をクリックしてください。
64
【レベル2地震時計算】
計算条件
液状化無視/液状化考慮,地震動タイプⅠ/タイプⅡの複数
ケースが計算されている場合、どのケースを表示するか選択し
てください。1ケースのみ計算している場合、現在表示している
ケースがチェックされます。
一覧表
基礎の設計に用いる設計水平震度に相当する荷重を作用させ
た場合の基礎の耐力および変位の照査結果を表示します。
変位・断面力図
基礎の変位,曲げモーメント,せん断力の分布を描画します。ス
ケールを変更することができます。最大変位,曲げモーメント,
せん断力を入力し[設定]をクリックしてください。
水平震度~変位曲線
「レベル2地震時基本条件」で指定された開始水平震度と震
度増分により算出した水平震度と上部構造慣性力作用位置で
の水平変位との関係を図示します。
流動化の検討を行う場合、流動力~変位関係を、作用力を直
接指定してレベル2地震時照査を行う場合、水平力~水平変位
関係を図示します。
詳細出力
方向ごとに計算開始水平震度から震度増分ごとの水平震度と
水平変位や降伏条件の計算値を表出力します。
流動化の検討を行う場合、流動力~変位関係を、作用力を直
接指定してレベル2地震時照査を行う場合、水平力~水平変位
の詳細結果を表示します。
【レベル2地震時(部材)】
レベル2地震時照査(安定計算)が計算済みの時、計算可能で
す。反力は、安定計算結果を自動的に取り込んでいます。
65
第2章 操作ガイダンス
【基礎ばね計算】
固有周期算定用の地盤バネ定数を算出、表示します。
2-12 基準値
「1-15 基準値」と同様です。
66
3 ケーソン基礎
サンプルデータ「Caisson_1.F1F」を例題として作成します。
各入力項目の詳細については製品の【ヘルプ】をご覧ください。
「ケーソン基礎」を選択し、
「確定」ボタンを押します。
3-1 地層
下表に従って地層線、設計地盤面タブの値をそれぞれ入力し、
「適用」ボタンを押します。
地層線
<地層数:2>
<層No1:16.607>
<層No2:7.073>
設計地盤面
層名
標高(m)
現地盤面
-6.320
設計地盤面(常時)
-6.320
設計地盤面(地震時)
-8.327
地盤面(常時)
-6.320
地盤面(地震時)
-8.327
水位(常時)
4.950
水位(地震時)
0.720
水位(施工時)
0.600
中立点
0.000
67
第2章 操作ガイダンス
土質一覧
「土質一覧」タブに切り替え、下表に従って土質データ①~③
タブの値をそれぞれ入力します。
計算条件
隣の「計算条件」タブに切り替え、水の単位重量の値を
<水の単位重量:9.81 kN/㎥>と入力します。
最後に「確定」ボタンを押します。
土質データ①
層
No
土質
平均
N値
α・Eo
常時
(kN/㎡)
α・Eo
地震時
(kN/㎡)
γt
(kN/㎥)
γsat
(kN/㎥)
1
1
23.0
64400
128800
18.00
19.00
2
1
35.0
98000
196000
20.00
21.00
層
No
c
(kN/㎡)
Φ
(度)
νD
Vsi
(m/s)
ED
(kN/㎡)
1
0.0
33.00
0.50
227.51
182535
2
0.0
38.00
0.50
261.69
268327
土質データ②
土質データ③
底面地盤の土質データ ※杭群杭としての許容支持力照査時,ケーソン,地中連壁のみ
支持
盤
α・Eo
常時
(kN/㎡)
α・Eo
地震時
(kN/㎡)
γt
(kN/㎥)
γsat
(kN/㎥)
c
(kN/㎡)
Φ
(度)
cB
(kN/㎡)
ΦB
(度)
qd
(kN/㎡)
1
98000
196000
20.00
21.00
0.0
38.00
0.0
25.33
ーーー
3-2 基本条件
下記に従ってチェックを入れます。
基本条件,安定計算
「基本条件,安定計算」タブを選択します。
対象構造物
<橋脚>
施工方法
<ニューマチック(ピアケーソン方式)>
コンタクトグラウト
<する>
コンタクトグラウト考慮時の最大周面摩擦力度
<式(解11.5.13)の上限値に式(解14.5.1)の値を用いる>
安定計算,基礎ばねの曲げ剛性を全部材一定とする
<一定とする>
ケーソン中間部の軸力算出
<単位長さ当たり重量×深度>
68
部材計算
「部材計算」タブに切り替え、下記に従ってチェックを入れ、
「確定」ボタンを押します。
土圧を15m以深で一定とする
<施工時:する>
<地震時:する>
最大地盤反力度の抽出対象
<前背面地盤反力度>
側壁水平方向の施工時(傾斜時)の照査位置
<側壁下端>
頂版の浮力の取扱い
<頂版自重の浮力を無視する>
3-3 形状
矩形
「矩形」タブをクリックし、左図に従ってY方向、X方向の形状
を選択します。
<Y方向:左から3つ目>
<X方向:1番左>
平面寸法
「平面寸法」タブに切り替え、下記に従って値を入力します。
<基礎幅(X) B:22.0000>
<基礎幅(Y) L:7.0000>
<側壁厚 T4:1.5000>
<隔壁位置 Xp1:3.5000>
<隔壁厚 T8:1.0000>
「適用」ボタンを押すと左側に平面図が表示されます。
69
第2章 操作ガイダンス
部材寸法
「部材寸法」タブに切り替え、下表に従って部材、深さ方向、そ
の他タブの値をそれぞれ入力します。
「適用」ボタンを押すと左側に橋軸直角方向の図が表示され
ます。
※「方向切替」ボタンで橋軸方向も確認できます。
部材厚
「部材厚」タブを選択し
<頂版天端高(標高:m) :-8.327>と入力します。
頂版支持部張出長
T10
0.0000
フリクションカッタ幅
T1
0.1000
刃先幅
T2
0.2000
刃口基部幅
T3
1.6000
隔壁支持部厚
T9
1.0000
吊桁厚
T7
1.0000
頂版支持部厚
T5
1.5000
頂版厚
H1
4.0000
側壁高
H4
12.0000
頂版支持部高
H2
0.0000
頂版支持部ハンチ高
H3
0.0000
作業室天井スラブ厚
H5
1.7000
作業室高
H6
2.3000
吊桁高
H7
0.0100
深さ方向タブ
20.0000
基礎長
その他タブ
m
0.000
m
0.000
m
0.000
上載荷重q (常時)
kN/㎡
18.0
(地震時)
kN/㎡
18.0
(施工時)
kN/㎡
0.0
中詰め材の単位重量γ
kN/㎥
9.81
施工時内水位
(荷重水満載状態)
水替え時の内水高
中詰め材の係数K
最後に「確定」ボタンを押します。
70
1.00
3-4 予備計算
基礎本体の地盤反力係数の計算、地盤反力度の上限値の計
算、地盤反力度の許容値の計算を行います。
既に予備計算を実行している場合、再計算を行うか確認のメッ
セージが表示されます。
再計算を行う場合は[計算実行]を、行わない場合は[取消]を押
してください。
なお、データの修正を行った場合は、必ず実行してください。
※計算書の「予備計算」の出力は、詳細な計算過程を出力する
ことを目的としており、常に計算値および計算過程を出力して
います。使用値から逆算して計算過程を出力することはできま
せんので、常に計算値を出力します。
(使用値は、
「設計条件」
で出力しています。)
最後に「確定」ボタンを押します。
3-5 作用力
下表に従ってY方向、X方向の参照番号の値をそれぞれ入力し
ます。
側壁水平方向
<2>と入力します。
Y方向
case
参照番号
荷重名称
荷重略称
割増係数
地盤ばね
地震耐力
1
1
常時
常時
1.00
常時
常時
2
7
地震時
地震時
1.50
地震時
地震時
case
参照番号
荷重名称
荷重略称
割増係数
地盤ばね
地震耐力
1
7
地震時
地震時
1.50
地震時
地震時
X方向
71
第2章 操作ガイダンス
脚柱形状寸法
「脚柱形状寸法」タブに切り替え、下記に従って値を入力しま
す。
形状
<小判形>を選択します。
<a(m):20.450>
<b(m):3.300>
<脚柱断面積(㎡):65.148>と入力し、
<脚柱断面積を柱幅より算出する>にチェックを入れます。
単位重量等
「単位重量等」タブに切り替え、下記に従って値を入力しま
す。
設計水平震度(基礎構造物)
<Y方向:0.25>
<X方向:0.50>
と入力します。
72
脚柱下端作用力
「脚柱下端作用力」タブに切り替え、下表に従ってY方向、X方
向の値をそれぞれ入力します。
Y方向
case 荷重名称
上載土高(m)
水位高(m)
慣性力
V(kN)
H(kN)
M(kN・m)
1
常時
-6.320
4.950
0
79810.0
0.0
0.0
2
地震時
-8.327
0.720
1
73154.0
21540.0
276920.0
上載土高(m)
水位高(m)
慣性力
V(kN)
H(kN)
M(kN・m)
-8.327
0.720
0
73154.0
18450.0
275870.0
X方向
case 荷重名称
1
地震時
設計外力
「設計外力」タブに切り替え、Y方向、X方向の値をそれぞれ確
認し、
「確定」ボタンを押します。
73
第2章 操作ガイダンス
3-6 鉄筋
【側壁、隔壁】
側壁水平方向
「側壁鉛直方向」タブの側壁水平方向の外側鉄筋、内側鉄筋
の値を下記のように入力します。
<径(mm):D25><かぶり(mm):120><As(㎠/m):33.780>
と入力します。
側壁鉛直方向
「側壁鉛直方向」タブに切り替え、下表に従って値を入力しま
す。
外側鉄筋
<径(mm):D32>
<かぶり(mm):140>
<X軸平行片側本数:144>
<Y軸平行片側本数:44>
<As1(㎠):1143.648>
<As2(㎠):349.448>
内側鉄筋
<径(mm):D32>
<かぶり(mm):140>
<X軸平行片側本数:127>
<Y軸平行片側本数:27>
<As1(㎠):1008.634>
<As2(㎠):214.434>
74
隔壁鉛直・水平方向
「隔壁鉛直・水平方向」タブに切り替え、下表に従って値を入
力します。
鉛直方向鉄筋
段
径
(mm)
かぶり
(mm)
Y軸平行
片側本数
As
(㎠)
1
D25
100
27
136.809
水平方向鉄筋
段
径
(mm)
かぶり
(mm)
As
(㎠/m)
1
D25
100
33.780
側壁拘束筋
「側壁拘束筋」タブに切り替え、下表に従って値を入力しま
す。
径 (mm)
D19
水平方向間隔(cm)
75.0
鉛直方向間隔(cm)
15.0
有効長 (cm)
183.0
Ah (㎠)
2.865
最後に「確定」ボタンを押します。
75
第2章 操作ガイダンス
【頂版】
頂版
下記に従ってY方向、X方向、せん断補強鉄筋タブの値をそれ
ぞれ入力します。
<橋脚躯体重量(kN):7045.0>と入力します。
Y方向タブ
<標準ピッチ(mm):150>と入力し、
上側鉄筋
<鉄筋配置段数:1.0段>にチェックを入れます。
<径(mm):D29><かぶり(mm):100><As(㎠/m):42.827>と
入力します。
下側鉄筋
<鉄筋配置段数:2.0段>にチェックを入れます。
1<径:D29><かぶり:100><As:42.827>
2<径:D29><かぶり:200><As:42.827>と入力します。
X方向タブに切り替え、
<標準ピッチ(mm):300>と入力し、
上側鉄筋
<鉄筋配置段数:1.0段>にチェックを入れます。
<径(mm):D22><かぶり(mm):100><As(㎠/m):12.903>と
入力します。
下側鉄筋
<鉄筋配置段数:2.0段>にチェックを入れます。
1<径:D25><かぶり:100><As:16.890>
2<径:D25><かぶり:200><As:16.890>と入力します。
せん断補強鉄筋
「せん断補強鉄筋」タブに切り替え、
<径(mm):D13>
<X方向間隔(cm):25.0>
<Y方向間隔(cm):25.0>
と入力します。
連結部
「連結部」タブに切り替え、下記に従って 隔壁タブの値を入力
します。
※総鉄筋量、総鉄筋量/支持面積の値は自動的に入力されま
す。
隔壁
「隔壁」タブを選択し、
<標準ピッチ(mm):150>と入力します。
配筋データ
<鉄筋配置段数:2.0段>にチェックを入れます。
下表に従い入力します。
段
径
(mm)
かぶり
(mm)
Y軸平行
片側本数
As
(㎠)
1
D16
100
27
53.622
2
D16
150
27
53.622
入力が終了したら「確定」ボタンを押します。
76
3-7 作業室天井スラブ
Y方向、X方向の値は初期値のまま、
「せん断補強鉄筋」タブに
切り替え、下記に従って値を入力します。
せん断補強鉄筋
<径(mm):D13>
<X方向間隔(cm):30.0>
<Y方向間隔(cm):30.0>
と入力します。
吊桁
「吊桁」タブに切り替え、吊桁、せん断補強鉄筋タブの値をそ
れぞれ入力します。
吊筋
<標準ピッチ(mm):125>と入力します。
せん断補強鉄筋タブに切り替えます。
<径(mm):D13>
<本数:15>
<間隔(cm):25.0>と入力します。
最後に「確定」ボタンを押します。
77
第2章 操作ガイダンス
3-8 刃口、2次応力
下記に従って「せん断補強鉄筋」の値を入力します。
せん断補強鉄筋
<径mm):D13>
<水平方向間隔(cm):25.0>
<鉛直方向間隔(cm):25.0>
2次応力
「2次応力」タブに切り替えます。
2次応力の値は初期値のまま
「シャフト孔」タブに切り替え、下記に従って入力します。
シャフト孔
<シャフト孔直径(m):1.20>
<シャフト孔数:3>
と入力し、
「確定」ボタンを押します。
78
3-9 レベル2地震時基本条件
計算条件
地震動タイプの<タイプⅡ>のチェックを外します。
下表に従って値を入力します。
タイプⅠ
タイプⅡ
Y方向
X方向
Y方向
X方向
C2z・khco
1.2800
1.2800
1.2800
1.2800
khp
0.53
1.15
0.53
1.15
khg
0.00
0.00
0.00
0.00
橋脚の終局水平耐力
大きな余裕がない
大きな余裕がある
大きな余裕がない
大きな余裕がある
Wu(kN)
43674.00
43674.00
43674.00
43674.00
Y方向
X方向
Rd(kN)
43674.00
18.100
19.100
Wp(kN)
29480.40
hp(m)
9.050
C2z・khco
基本条件(ケーソン基礎)
「基本条件(ケーソン基礎)」タブに切り替え、下表に従って値
を入力します。
鉛直力算出用水位(m)
0.720
上載土厚(m)
2.000
Up(kN)
5781.95
Ws(kN)
1633.10
Vo(kN)
69005.55
79
第2章 操作ガイダンス
M-Φ
「M-Φ」タブに切り替えます。
「M-Φ計算」ボタンを押します。
計算条件
「計算条件」タブに切り替えます。
基礎に主たる塑性化を考慮する場合の設計
<橋脚に主たる塑性化が生じるとき、基礎に主たる塑性化を考
慮しない>のチェックを外し、
「確定」ボタンを押します。
確認画面が表示されるので、
「はい」を選択します。
80
3-10 沈下計算
計算条件タブは初期値のまま、
基本条件タブに切り替え、拡大図に従って値を入力します。
基本条件
刃口裾付面(標高)
m
-8.327
施工時水位面(標高)
m
0.600
構築高さ-沈下高さ
m
0.500
沈下用中詰め材高
m
0.000
沈下用中詰め材単位重量
kN/㎥
9.81
上載土厚
m
0.000
リフト数、シャフト孔データ
側壁部リフト数
1
橋脚部リフト数
1
中詰め材載荷開始リフト
2
シャフト孔数 3
(m)
1.20
孔径:作業室天井スラブ (m)
1.20
孔径:頂版 最後に「確定」ボタンを押します。
3-11 基礎ばね
地盤ばねタブに切り替え、基礎本体の地盤反力係数の計算を
行い、結果を確認します。
最後に「確定」ボタンを押します。
81
第2章 操作ガイダンス
3-12 計算・結果確認
【安定計算】
常時、レベル1地震時
<計算ピッチ:0.2>と入力し、
「計算実行」ボタンを押しま
す。
一覧表
入力の作用力において、指定した荷重ケースについて表示しま
す。
変位・断面力図
入力の作用力において、指定した荷重ケースの変位図、前面
地盤反力度分布図、せん断力図、曲げモーメント図を描画しま
す。各図のY軸の描画範囲は、頂版天端を0(m)とし、そこから
基礎長分の深度を表示しています。
レベル2地震時
<計算ピッチ:0.2>と入力し、
「計算実行」ボタンを押しま
す。
82
一覧表
基礎の設計に用いる設計水平震度に相当する荷重を作用させ
た場合の基礎の耐力および変位の照査結果を表示します。
変位・断面力図
変位図、前面地盤反力度分布図、せん断力図、曲げモーメント
図を描画します。各図のY軸の描画範囲は、頂版天端を0(m)と
し、そこから基礎長分の深度を表示しています。
水平震度~変位
降伏時のデータを使用し、表示します。
M-Φ
軸力:N(kN)、横拘束筋の有効長d(cm)等の項目について、
表示します。詳しくはヘルプを参考ください。
【部材計算】
側壁水平方向
部材計算の側壁水平方向の結果を表示・描画します。
曲げ照査
曲げに対して最も厳しいケースを、全荷重ケース・全照査断面
から抽出し、上側引張/下側引張別に表示します。
せん断照査
せん断に対して最も厳しいケースを、全荷重ケース・全照査断
面から抽出し、表示します。
FRAME結果
各荷重ケースごとに、FRAME解析結果の描画を行います。
描画したい荷重ケースを選択し、画面上部のボタンから、荷重
図・変位図・モーメント図・せん断力図を選択してください。ま
た、詳細な数値の確認を行う場合、画面右上の「詳細表示」ボ
タンを押し、FRAME解析結果表示画面を開いてください。
※左メニュー項目に NGマークが付きます。
側壁鉛直方向
側壁鉛直方向の許容応力度法による解析結果です。
曲げ照査
許容曲げ応力度に対して最も厳しいケースを、全荷重ケース・
全照査断面から抽出し、照査方向別に表示します。
せん断照査
許容せん断応力度に対して最も厳しいケースを、全荷重ケー
ス・全照査断面から抽出し、照査方向別に表示します。
※左メニュー項目に NGマークが付きます。
83
第2章 操作ガイダンス
隔壁
ニューマチックケーソンの施工時を対象として、許容できる水
位差を表示します。
隔壁がある場合に表示されます。
頂版
許容応力度法
頂版の許容応力度法による解析結果です。施工時と完成後の
2つの荷重状態について検討しています。
保有水平耐力法
頂版のレベル2地震時照査結果です。照査断面位置を固定端と
した片持ち梁として断面力を照査します。安定計算:レベル2
地震時の計算が正常に終了した場合のみ表示します。
また、部材計算:使用するレベル2地震時照査結果において照
査しないとされた場合、表示されません。
液状化無視/液状化考慮,地震動タイプⅠ/タイプⅡの複数
ケースが計算されている場合、画面上部のボタンにより、どの
ケースを表示するか選択してください。1ケースのみ計算してい
る場合、現在表示しているケースがチェックされます。
剛体判定
頂版の剛体判定結果を表示します。
頂版支持部
頂版支持部の許容応力度法による解析結果です。
84
頂版と側壁連結部
頂版と側壁連結部の許容応力度法による解析結果です。
曲げ照査(浮き上りに対する照査)
頂版支持面を照査断面とし、頂版の計算で求めた作用力を用
いて曲げ応力度の照査を行い、各方向ごとに最も厳しいケース
の荷重ケースを抽出して表示します。
滑動照査
各荷重ケースごとに0.6・VpがHp以上であることを照査しま
す。
Vp…頂版下面における軸力(kN)
Hp…頂版下面における水平力(kN)
※左メニュー項目にNGマークが付きます。
作業室天井スラブ
吊桁 施工時
荷重水満載状態、水替状態のそれぞれのケースのとき、曲げ
応力度、せん断応力度照査を行い、最も厳しい条件(版、荷重
ケース)を表示します。
なお、表中の荷重ケースはそれぞれ、
1.荷重水満載状態、2.水替状態を示しています。
部材計算の吊桁の結果を表示します。
ニューマチックケーソンで吊桁が1方向にある場合に表示され
ます。
吊桁は、以下の項目に分かれています。
曲げ照査
1.ディープビーム
隔壁と平行な軸線幅の1/2 < 作業室天井スラブ+吊桁高 の場合、ディープビームとして求めた必要鉄 筋量を表示しま
す。
2.曲げ照査
隔壁と平行な軸線幅の1/2 ≧ 作業室天井スラブ+吊桁高 の場合、曲げに対して最も厳しいケースを、全荷重ケース・全照
査断面から抽出し、表示します。
せん断照査
隔壁と平行な軸線幅/2 ≧ 作業室天井スラブ+吊桁高 の場
合、せん断に対して最も厳しいケースを、全荷重ケース・全照査
断面から抽出し、表示します。
吊筋
必要吊筋量を表示します。
※左メニュー項目に NGマークが付きます。
85
第2章 操作ガイダンス
刃口 曲げ照査
基部の単位幅断面を用いて、曲げモーメントが作用する単鉄筋
矩形断面として算出した曲げ応力度が施工時の許容応力度以
内であるか照査した結果を表示します。
せん断照査
せん断照査位置のせん断力S,曲げモーメントMʼを用いて、部
材の有効高の変化を考慮した計算を行なった結果を表示しま
す。
※左メニュー項目に NGマークが付きます。
2次応力
無筋コンクリート断面として照査した結果を、上側引張/下側
引張ごとに表示します。
【沈下計算】
沈下関係
リフトごとに沈下力,沈下抵抗力と、
「沈下力-沈下抵抗力」を
過不足荷重として表示します。
沈下関係図
リフトごとの沈下関係を図で表示します。
86
【基礎ばね計算】
基礎ばねの計算を行います。
なお、本プログラムの基礎ばねは、基礎天端(頂版天端)中心
における値を示しています。
(突出している場合も同様)
基礎ばねの計算実行時、単位水平力または単位モーメントが
小さすぎるときに、
「計算が正しく行なわれませんでした。」と
メッセージが表示されます。その場合はメッセージの指示に
従って、単位荷重を入力し直して再計算してください。
3-13 基準値
「1-15 基準値」と同様です。
87
第2章 操作ガイダンス
4 地中連続壁基礎
サンプルデータ「Renpeki_2.F1F」を例題として作成します。
各入力項目の詳細については製品の【ヘルプ】をご覧ください。
4-1 地層
「地中連続壁基礎」を選択し、
「確定」ボタンを押します。
下記に従って地層線、設計地盤面タブの値をそれぞれ入力し、
「適用」ボタンを押します。
地層線
<地層数:3>
<層No.1:10.000>
<層No.2:12.000>
<層No.3:3.000>と入力します。
設計地盤面
88
層名
標高(m)
現地盤面
0.000
設計地盤面(常時)
0.000
設計地盤面(地震時)
0.000
地盤面(常時)
0.000
地盤面(地震時)
0.000
水位(常時)
6.000
水位(地震時)
6.000
水位(施工時)
6.000
中立点
0.000
「土質一覧」タブに切り替え、拡大図に従って土質データ①~
③タブの値をそれぞれ入力します。
土質データ①
土質データ②
層No
土質
平均
N値
α・Eo
常時
(kN/㎡)
α・Eo
地震時
(kN/㎡)
γt
(kN/㎥)
γsat
(kN/㎥)
1
2
1.0
2800
5600
16.00
17.00
2
1
18.0
50400
100800
18.00
19.00
3
2
50.0
140000
280000
18.00
19.00
層No
c
(kN/㎡)
Φ
(度)
νD
Vsi
(m/s)
ED
(kN/㎡)
1
16.0
0.00
0.50
100.00
31347
2
0.0
31.00
0.50
209.56
155017
3
0.0
40.00
0.50
294.72
306314
底面地盤の土質データ
支持盤
α・Eo
常時
(kN/㎡)
α・Eo
地震時
(kN/㎡)
γt
(kN/㎥)
γsat
(kN/㎥)
c
(kN/㎡)
Φ
(度)
cB
(kN/㎡)
ΦB
(度)
qd
(kN/㎡)
---
140000
280000
18.00
19.00
0.0
40.00
0.0
26.67
3000
計算条件
「計算条件」タブに切り替え、水の単位重量の値を
<9.81>と入力し、最後に「確定」ボタンを押します。
89
第2章 操作ガイダンス
4-2 基本条件
使用鉄筋材質の斜引張鉄筋の<SD345>にチェックを入れ、
「確定」ボタンを押します。
4-3 形状
左図に従ってY方向、X方向の形状を選択します。
90
「形状寸法」タブに切り替え、下表に従って形状寸法、継手
部、その他タブの値をそれぞれ入力します。
形状寸法
頂版天端高(標高:m) <0.000>と入力します。
基礎幅(X) B
14.5000
基礎幅(Y) L
6.2000
隔壁位置 Xp1
---
隔壁位置 Xp2
---
隔壁位置 Yp1
---
隔壁位置 Yp2
---
側壁厚
1.5000
隔壁厚
1.5000
頂版厚
4.0000
側壁高
19.5000
基礎長
23.5000
L1
2.3000
L2
1.6000
L3
0.1000
L4
0.0000
L5
1.5500
L6
1.6000
L7
0.1000
L8
0.0000
継手部
その他タブに切り替えます。
「Lo算出」ボタンを押すと自動的に入力されます。
「適用」ボタンを押すと左側に平面図が表示されます。
最後に「確定」ボタンを押します。
91
第2章 操作ガイダンス
4-4 予備計算
基礎本体の地盤反力係数の計算、地盤反力度の上限値の計
算、地盤反力度の許容値の計算を行います。
既に予備計算を実行している場合、再計算を行うか確認のメッ
セージが表示されます。
再計算を行う場合は[計算実行]を、行わない場合は[取消]を押
してください。
なお、データの修正を行った場合は、必ず実行してください。
※計算書の「予備計算」の出力は、詳細な計算過程を出力する
ことを目的としており、常に計算値および計算過程を出力して
います。使用値から逆算して計算過程を出力することはできま
せんので、常に計算値を出力します。
(使用値は、
「設計条件」
で出力しています。)
最後に「確定」ボタンを押します。
4-5 作用力
下表に従ってY方向、X方向の値をそれぞれ入力します。
側壁水平方向は<2>と入力します。
Y方向
case
参照番号
荷重名称
荷重略称
割増係数
地盤ばね
地震耐力
1
1
常時
常時
1.00
常時
常時
2
7
地震時
地震時
1.50
地震時
地震時
case
参照番号
荷重名称
荷重略称
割増係数
地盤ばね
地震耐力
1
7
地震時
地震時
1.50
地震時
地震時
X方向
92
脚柱形状寸法
「脚柱形状寸法」に切り替え、下記に従って値を入力します。
<形状:小判型>を選択し、
<a(m):8.500>
<b(m):3.000>
<脚柱断面積(㎡):23.569>と入力します。
<脚柱断面積を柱幅より算出する>にチェックを入れます。
単位重量等
「単位重量等」タブに切り替え、下記に従って値を入力しま
す。
<上載土(湿潤) kN/ ㎥:16.00>
<上載土(飽和) kN/ ㎥:17.00>
93
第2章 操作ガイダンス
脚柱下端作用力
「脚柱下端作用力」タブに切り替え、下表に従ってY方向、X方
向の値をそれぞれ入力します。
Y方向
case 荷重名称 上載土高(m)
水位高(m)
慣性力
V(kN)
H(kN)
M(kN・m)
1
常時
0.000
6.000
0
22896.0
0.0
0.0
2
地震時
0.000
6.000
0
18996.0
6611.0
64765.0
水位高(m)
慣性力
V(kN)
H(kN)
M(kN・m)
6.000
0
18996.0
4250.0
45540.0
X方向
case 荷重名称 上載土高(m)
1
地震時
0.000
設計外力
「設計外力」タブに切り替え、Y方向、X方向の値をそれぞれ確
認し、
「確定」ボタンを押します。
94
4-6 鉄筋
【側壁、隔壁】
「側壁水平方向タブ」を下記に従って値を入力します。
シアコネクタ補強鉄筋
<標準ピッチ(mm):200>
<経(mm):D32>
<鉄筋量(㎠/m):39.710>
側壁鉛直方向
「側壁鉛直方向」タブに切り替え、拡大図に従って値を入力し
ます。
口外側鉄筋
case
径
(mm)
かぶり
(mm)
本数
(X軸平行)
本数
(Y軸平行)
鉄筋量 (㎠)
(X軸平行)
鉄筋量 (㎠)
(Y軸平行)
①
D25
150
36
26
182.412
131.742
②
D25
250
49
---
248.283
---
口内側鉄筋
case
径
(mm)
かぶり
(mm)
本数
(X軸平行)
本数
(Y軸平行)
鉄筋量 (㎠)
(X軸平行)
鉄筋量 (㎠)
(Y軸平行)
①
D25
150
38
18
192.546
91.206
②
D25
250
36
---
182.412
---
95
第2章 操作ガイダンス
隔壁鉛直・水平方向
「隔壁鉛直・水平方向」タブに切り替え、下記に従って値を入
力します。
隔壁鉛直方向
<標準ピッチ(mm):200>
①<径:D29><かぶり:100><本数(Y軸平行):18>
②<径:D29><かぶり:200>
隔壁水平方向
<標準ピッチ(mm):200>
<径:D29><かぶり(一般部):100><かぶり(継手部):200>
<鉄筋量(㎠/m):32.120>
側壁拘束筋タブに切り替え、下表に従って値を入力します。
最後に「確定」ボタンを押します。
径 (mm)
D22
水平方向間隔(cm)
40.0
鉛直方向間隔(cm)
40.0
有効長 (cm)
180.0
Ah (㎠)
3.871
【頂版】
下記に従ってY方向、X方向タブの値をそれぞれ入力します。
<橋脚躯体重量(kN):8296.0>
配筋タブ
<標準ピッチ(mm):200>
Y方向タブ
上側鉄筋
<鉄筋配置段数:1.0段>
<径:D29><かぶり:150><As(㎠/m):32.120>
下側鉄筋
<鉄筋配置段数:1.0段>
<径:D35><かぶり:150><As(㎠/m):47.830>
X方向タブ
上側鉄筋
<鉄筋配置段数:1.0段>
<径:D29><かぶり:150><As(㎠/m):32.120>
下側鉄筋
<鉄筋配置段数:1.0段>
<径:D35><かぶり:150><As(㎠/m):47.830>
96
せん断補強鉄筋タブ
「せん断補強鉄筋タブ」に切り替え、
<径(mm):D22>と入力します。
<頂版せん断補強鉄筋のカウント方法:方法1>を選択し、最
後に「確定」ボタンを押します。
4-7 レベル2地震時基本条件
地震動タイプの<タイプⅡ>のチェックを外します。
下表に従って値を入力します。
タイプⅠ
タイプⅡ
Y方向
X方向
Y方向
X方向
C2z・khco
1.0000
0.9500
0.0100
0.0100
khp
0.62
2.18
0.01
0.01
khg
0.00
0.00
0.00
0.00
橋脚の終局水平耐力
大きな余裕がない
大きな余裕がある
大きな余裕がない
大きな余裕がある
Wu(kN)
11800.00
7120.00
11800.00
7120.00
Y方向
X方向
Rd(kN)
10700.00
13.000
15.500
Wp(kN)
8296.00
hp(m)
6.930
hu(m)
97
第2章 操作ガイダンス
基本条件(地中連続壁基礎)
「基本条件(地中連続壁基礎)」タブに切り替えます。
「水位高連動」ボタン、
「作用力連動」ボタンを押します。
M-Φタブに切り替え、下表に従って使用値を入力します。
使用値
橋軸方向
橋軸直角方向
299887
703860
251068
506741
193945
371331
0.00996902
0.00363693
0.000441133
0.00016071
0.00002964
0.00001267
計算条件タブに切り替え、
<橋脚に主たる塑性化が生じるとき、基礎に主たる塑性化を考
慮しない>のチェックを外し、確定ボタンを押します。
98
4-8 基礎ばね
基本条件タブを下表に従って値を入力します。
橋軸方向
橋軸直角方向
単位水平力(kN)
100.00
100.00
単位モーメント(kN・m)
1000.00
1000.00
地盤ばねタブに切り替え、各値を確認します。
既に計算を実行している場合、再計算を行うか確認のメッセー
ジが表示されます。再計算を行う場合は[計算実行]を、行わな
い場合は[取消]を押してください。なお、データの修正を行った
場合は、必ず実行してください。
最後に「確定」ボタンを押します。
99
第2章 操作ガイダンス
4-9 計算・結果確認
【安定計算】
常時、レベル1地震時
計算ピッチを<0.2>と入力し、
「計算実行」ボタンを押しま
す。
一覧表
入力の作用力において、指定した荷重ケースについて表示しま
す。
変位・断面力図
入力の作用力において、指定した荷重ケースの変位図、前面
地盤反力度分布図、せん断力図、曲げモーメント図を描画しま
す。各図のY軸の描画範囲は、頂版天端を0(m)とし、そこから
基礎長分の深度を表示しています。
レベル2地震時
計算ピッチを<0.2>と入力し、
「計算実行」ボタンを押しま
す。
100
降伏判定
降伏判定の内容を確認し、
「終了」ボタンを押します
一覧表
基礎の設計に用いる設計水平震度に相当する荷重を作用させ
た場合の基礎の耐力および変位の照査結果を表示します。
変位・断面力図
変位図、前面地盤反力度分布図、せん断力図、曲げモーメント
図を描画します。各図のY軸の描画範囲は、頂版天端を0(m)と
し、そこから基礎長分の深度を表示しています。
水平震度~変位
降伏時のデータを使用し、表示します。
M-Φ:軸力
N(kN)、横拘束筋の有効長d(cm)等の項目について、表示し
ます。詳しくはヘルプを参考ください。
【部材計算】
側壁水平方向
曲げ照査
一般部、継手部および外側引張、内側引張ごとに、曲げに対
して(応力度/許容応力度)が最大となる結果を、全荷重ケー
ス・全照査断面から抽出、表示します。
せん断照査
一般部、継手部ごとに、せん断に対して(応力度/許容応力
度)が最大となる結果を、全荷重ケース・全照査断面から抽出、
表示します。
FRAME結果
検討ケースごとに、FRAME解析結果の描画を行います。描
画したい検討ケースを選択し、画面上部のボタンから、荷重
図・変位図・モーメント図・せん断力図を選択してください。ま
た、詳細な数値の確認を行う場合、画面右上の「詳細表示」ボ
タンを押し、FRAME解析結果表示画面を開いてください。
101
第2章 操作ガイダンス
側壁鉛直方向
曲げ、せん断に対して、
(応力度/許容応力度)が最大となる結
果を抽出して表示します。
頂版
頂版の許容応力度法による解析結果です。施工時と完成後の
2つの荷重状態について検討しています。
施工時
橋脚躯体重量および頂版自重が等分布に作用しているものと
考え、頂版支持部の中心線位置で支持された周辺単純支持の
矩形版として照査を行います。
完成後
橋脚下端外縁を固定端とする片持ち梁として照査を行いま
す。
側壁と頂版との接合部
102
側壁と頂版との結合部について、側壁鉛直鉄筋の頂版への必
要定着長を表示します。
【基礎ばね計算】
基礎ばねの計算を行います。
基礎ばねの計算実行時、単位水平力または単位モーメントが
小さすぎるときに、
「計算が正しく行なわれませんでした。」と
メッセージが表示されます。その場合はメッセージの指示に
従って、単位荷重を入力し直して再計算してください。
4-10 基準値
「1-15 基準値」と同様です。
5 直接基礎
サンプルデータ「Stability_1.F1F」を例題として作成します。
各入力項目の詳細については製品の【ヘルプ】をご覧ください。
直接基礎を選択し、
「確定」ボタンを押します
103
第2章 操作ガイダンス
5-1 設計条件
下記に従ってチェックを入れます。
支持力係数の寸法効果
<遠慮しない(Sc=Sq=Sγ=1.0)>
地震時の地盤反力度の照査
<しない>
フーチングの照査
<許容応力度照査:しない>
<レベル2地震時照査:する>
「形状」タブに切り替え、下記に従って値を入力します。
底版幅
<LX:10.000>
<LY:10.000>
104
土質
「土質」タブに切り替えます。
水の単位体積重量γwの値を<10.00>と入力し、
「確定」ボタ
ンを押します。
5-2 底版形状
下表に従って値を入力ます。
「適用」ボタンを押すと左側の図面に反映されます。最後に
「確定」ボタンを押します。
記号
単位:(m)
底版上面寸法
L1
10.000
底版天端偏心量
ey
0.000
底版下面寸法
LY
10.000
底版上面寸法
B1
10.000
底版天端偏心量
ex
0.000
底版下面寸法
LX
10.000
上載土(レベル1用)
H1
0.000
底版ハンチ部の高さ
H2
0.000
底版下端部の高さ
H3
3.000
脚柱形状寸法
<柱本数:1>と入力し、
<矩形>を選択します。
下表に従って入力してください。
柱寸法(m)
柱位置(m)
柱
a
b
x
1
8.000
2.500
0.000
2
y
0.000
3
105
第2章 操作ガイダンス
5-3 作用力
荷重ケースの設定タブに切り替え、下記に従ってY方向の値を
入力します。
(X方向は今回入力しません。)
Y方向
<参照番号:1>
<荷重ケース名:常時>
<荷重略称:常時>
<許容支持力:常時>
<割増係数:1.000>
作用力タブに切り替え、下記に従って値を入力します。
最後に「確定」ボタンを押します。
Y方向
<水位(m):1.000>
<最大地盤反力度(kN/㎡):400.00>
<γ1(kN/㎥):10.000>
<γ2(kN/㎥):15.200>
<V(kN):980.70>
<H(kN):100.00>
<M(kN・m):980.70>
5-4 レベル2地震時基本条件
下記に従ってチェックを入れ、Y方向、X方向タブの値をそれぞ
れ入力します。
計算条件
<計算方向:Y方向>
<地震動タイプ:タイプⅡ>
<水位:浮力考慮>
<慣性力の向き Y方向:正向性↑>
<慣性力の向き X方向:正向性→>
正方向↑
Y方向
106
正方向→
X方向
タイプⅠ
タイプⅡ
タイプⅠ
タイプⅡ
C2z・khco
1.0000
1.0000
C2z・khco
1.0000
1.0000
khG
0.75
0.75
khG
1.50
1.50
Wu(kN)
4740.00
4740.00
Wu(kN)
6330.00
6330.00
hu(m)
12.200
hu(m)
14.700
基本条件(直接基礎)
「基本条件(直接基礎)」タブに切り替え、下表に従って値を
入力し、
「確定」ボタンを押します。
浮力無視
浮力考慮
鉛直力算出用水位高(m)
1.000
1.000
WFʼ(kN)
6350.00
6350.00
Vo(kN)
16843.00
16843.00
Rd(kN)
7100.00
Wp(kN)
3393.00
hp(m)
8.030
上載土厚(m)
2.000
WF(kN)
7350.00
hF(m)
1.500
5-5 底版設計
底版コンクリートの設計基準強度を<30>にチェックを入れま
す。
107
第2章 操作ガイダンス
配筋タブの「Y方向」「X方向」を下記に従って値を入力しま
す。
Y方向
主鉄筋
上段1段目<かぶり:200><径:D25><ピッチ:150>
上段2段目は入力しません。
下段1段目<かぶり:210><径:D32><ピッチ:100>
下段2段目は入力しません。
せん断補強鉄筋
<径:D22>
<幅1(m)当たりの本数:6.000>
<間隔(cm):15.00>
X方向
主鉄筋
上段1段目<かぶり:100><径:D32><ピッチ:100>
上段2段目は入力しません。
下段1段目<かぶり:110><径:D32><ピッチ:150>
下段2段目は入力しません。
せん断補強鉄筋
<径:D35>
<幅1(m)当たりの本数:5.000>
<間隔(cm):10.00>
計算条件タブに切り替えます。
レベル2地震時タブを選択し、底版釣合鉄筋量算出時の鉄筋
の取り扱いを<複鉄筋>にチェックを入れ、
「確定」ボタンを
押します。
5-6 基礎ばね
固有周期算定用の地盤ばね定数を算出します。
今回は初期値から変更はありませんのでそのまま「確定」ボタ
ンを押します。
108
5-7 計算・結果確認
【支持力計算】
照査結果
照査結果を表示します。
支持力係数
支持力係数グラフを描画します。
【底版照査(レベル2)】
曲げ照査、せん断照査の結果を表示します。
総括表
各検討ケースごとの判定結果を表示します。OK、OUTの詳細
は下記説明を参照してください。
OK、OUTをクリックすると、該当検討ケースの結果画面を開
きます。
Y方向/X方向
各照査方向ごとの耐力照査結果を表示します。
結果抽出
曲げ照査、せん断照査ごとに、全検討ケースから耐力に対して
最も厳しいケースを抽出し、表示します。
【基礎ばね計算】
固有周期算出用の地盤ばね定数を算出します。
5-8 基準値
「1-15 基準値」と同様です。
109
第2章 操作ガイダンス
6 液状化の判定
サンプルデータ「Liquid_1.F1F」を例題として作成します。
各入力項目の詳細については製品の【ヘルプ】をご覧ください。
液状化の判定を選択し、
「確定」ボタンを押します。
6-1 設計条件
下記に従ってチェックを入れます。
設計条件タブの
<層ごとの土質定数の低減係数を算定する>にチェックを入
れ、動的せん断強度比Rの取り扱い<平均値>にチェックを入
れます。
110
水位等タブに切り替え、下記に従って値を入力し、
「確定」ボタ
ンを押します。
<水際線からの距離:50.000>
<水位深さ:1.500>
<水底との高低差:6.000>
6-2 検討位置
下表に従って値を入力します。
入力が完了したら右下の<N値測定ボタン>を押します。
検討位置1
層種
層厚
(m)
γt1
(kN/㎥)
γt2
(kN/㎥)
γt2ʼ
(kN/㎥)
Kp
一軸
(kN/㎡)
Ip
Fc
(%)
D50
(mm)
D10
(mm)
SW
1
1
1.000
19.000
19.800
10.000
2.000
0.00
10.0
35.0
0.08000
0.04000
1
2
3
1.500
18.000
18.800
9.000
2.000
23.00
10.0
20.0
0.01000
0.00500
0
3
1
5.000
17.000
17.800
8.000
2.000
0.00
10.0
45.0
0.03000
0.02000
1
4
1
2.000
18.000
18.800
9.000
2.000
0.00
10.0
60.0
0.50000
0.03000
1
5
1
2.500
19.000
19.800
10.000
2.000
0.00
10.0
80.0
0.80000
0.50000
1
6
1
8.500
19.000
19.800
10.000
2.000
0.00
10.0
80.0
0.80000
0.50000
1
111
第2章 操作ガイダンス
N値測定点
下表に従って値を入力し、
「確定ボタン」を押します。
No
深さ
(m)
N値
1
1.000
2.0
2
2.000
3.0
3
3.000
2.0
4
4.000
5.0
5
5.000
10.0
6
6.000
2.0
7
7.000
1.0
8
8.000
3.0
9
9.000
4.0
10
10.000
8.0
11
11.000
7.0
12
12.000
8.0
13
13.000
9.0
14
14.000
10.0
15
15.000
12.0
16
16.000
8.0
17
17.000
9.0
18
18.000
10.0
右下の<地盤種別>ボタンを押します。
112
地盤種別算定用の土質条件
下表に従って値を入力して「確定」ボタンを2回押します。
Y方向
No
属性
層厚
(m)
平均N値
1
1
1.000
2.0
2
2
1.500
2.0
3
1
5.000
4.0
4
1
2.000
3.5
5
1
2.500
7.7
6
1
8.500
11.6
6-3 計算・結果確認
計算実行を行うには、次の2方法があります。
①ツリービューの項目をダブルクリックする。未計算の場合、計算を実行してその結果を表示します。計算済みの場合、計算
結果を表しします。
②ツリービューの項目を右クリックすると[計算実行]メニューが表示され、[計算実行]を選択すると計算を実行してその結果
を表示します。
「計算・結果確認」ボタンをダブルクリック、もしくは右クリッ
クして「計算実行」をクリックします。
検討位置1~10ボタン
結果を確認したい位置のボタンを選択することにより、下記に
選択された検討位置の結果を表示します。
液状化の判定
レベル1地震動、レベル2地震動タイプⅠ・Ⅱの液状化判定結果
をN値測定点ごとに表示します。
判定が「─」の場合、
「検討位置」画面で『SW=0』
(液状化
の判定を行わない)が指定されている、または、道示Ⅴ8.2.2
(地表面から3m以内の粘性土で一軸圧縮強度が20kN/㎡のと
き)に該当するときを示します。
土質定数の低減係数
土質定数の低減係数をN値測定点ごと及び指定により層ごと
に表示します。
流動力
流動力結果を表示します。
図
液状化の判定、土質定数の低減係数、流動力の結果を図で表
示します。また、レベル1地震動、レベル2地震動タイプⅠ、Ⅱの
切り替えが行えます。
113
第2章 操作ガイダンス
7 計算書作成
全基礎共通です。サンプル画面は杭基礎のものです。
上メニュー「計算書作成」をクリックします。
出力項目の選択、出力条件の設定、および印刷プレビュー画面
の表示を行います。
最後に「確定」ボタンを押します。
※プレビュー画面
114
8 図面作成
直接基礎
下記条件のとき、図面作成を行うことはできません。
・支持力計算が未計算
・底版形状に段差がある場合
・底版形状が円形、小判形の場合
杭基礎
下記条件のとき、図面作成を行うことはできません。
・検討対象が杭基礎以外
・杭体応力度が未計算
・既設/新設杭,増し杭ともに、任意杭,マイクロパイル,回転杭
・杭体断面数>3
・斜杭あり
・地層傾斜あり(*)
・杭径・杭長変化あり(*)
(*)場所打ち杭で「全杭,全断面一括計算」の場合は可。
よって、本操作ガイダンスにて作成可能な杭基礎を例とします。
図面作成
上メニュー「図面作成」をクリックします。
8-1 基本条件
左メニュー「基本条件」をクリックします。
115
第2章 操作ガイダンス
作図方向
作図方向(縦書き・横書き)と側面・縦断面の作図位置(左・右
あるいは上・下)を指定します。
杭配置図に作図する軸名称
杭配置図に作図する軸名称を(作図なし、X方向名称、Y方向
名称)から指定します。
杭配置図の作図方法
杭配置図の作図方向を指定します。
柱状図作図
「柱状図」を作図するかしないかを指定します。
「詳細設定」ボタン
「断面位置」、
「かぶり」や「鉄筋」に関する情報などを確認・
修正する場合にクリックします。
「形状」・「かぶり」・「鉄筋」
のボタン有効となりますので、各ボタンクリック後に表示され
る各項目画面を入力・修正してください。すべてのボタンの左
側が「緑」に変わった(入力済みとなった)段階で図面生成が
行えます。
「自動設定」ボタン
設計計算が終了した直後の条件で図面生成を行う場合にク
リックします。本ボタンがクリックされると鉄筋情報生成・図
面生成・図面確認の起動までを自動で行います。
8-2 形状
左メニュー「形状」をクリックし、右側「杭情報」をクリックし
ます。
杭情報
作図する杭の配置や形状寸法などに関する情報の表示および
作図に必要な情報の指定を行います。
各寸法を指定してください。
※グレー表示の情報については、
「入力モード」にて入力してく
ださい。
116
8-3 かぶり
左メニュー「かぶり」をクリックし、右側「かぶり」をクリックし
ます。
主鉄筋かぶり
主鉄筋かぶりおよび底面鉄筋かぶりを「外形から鉄筋中心ま
での距離(単位:mm)」で指定します。ガイド図を参考に入力
してください。
なお、
「新設・既設杭」と「増し杭」の内容は同じですが、
「場
所打ち杭」と「場所打ち杭以外」で設定内容が異なりますので
ご注意ください。
※新規で図面作成モードに入った場合と、
「入力」→「杭基礎」
→「断面計算」→「場所打ち杭配筋」画面でかぶりが変更され
た場合、
「入力」→「杭基礎」→「断面計算」→「場所打ち杭配
筋」画面のかぶりを自動で設定します。
8-4 鉄筋
【主鉄筋】
左メニュー「鉄筋」をクリックし、右側「主鉄筋」をクリックし
ます。
117
第2章 操作ガイダンス
1段主鉄筋
主鉄筋の情報を指定します。
なお、
「新設・既設杭」と「増し杭」の内容は同じですが、
「場
所打ち杭」と「場所打ち杭以外」で設定内容が異なりますので
ご注意ください。
【帯筋筋】
「帯鉄筋」をクリックします。
帯鉄筋
帯鉄筋情報を設定します。
なお、
「新設・既設杭」と「増し杭」の内容は同じですが、
「場
所打ち杭」と「場所打ち杭以外」で設定内容が異なりますので
ご注意ください。
また、
「場所打ち杭」の場合、組立筋は、
「その他の鉄筋」で入
力してください。
118
【その他】
「その他」をクリックします。
その他の鉄筋
主鉄筋・帯鉄筋以外の鉄筋情報を設定します。
なお、
「新設・既設杭」と「増し杭」の内容は同じですが、
「場
所打ち杭」と「鋼管杭・鋼管ソイルセメント杭」で設定内容が
異なりますのでご注意ください(「PHC杭・PC杭・SC杭・
SC杭+PHC杭・RC杭」については本画面は表示されませ
ん)。
8-5 図面生成・確認、鉄筋生成
「図面生成」をクリックすると鉄筋情報生成・図面生成が実行
され図面確認画面が起動します。
119
第2章 操作ガイダンス
「図面確認機能」の主な機能は、以下の通りです。
表示機能
図面の全体表示や拡大表示が行えます。
編集機能
図形・寸法線・引出線の移動が行えます。
出力機能
SXFファイル・DWGファイル・DXFファイル・JWWファイ
ル・JWCファイルへの出力、および、プリンタやプロッタへの
印刷が行えます。
8-6 鉄筋情報
「鉄筋情報」をクリックします。
鉄筋情報
「新設・既設杭」・「増し杭」の各鉄筋情報の確認・修正を行
います。
「対象杭選択画面」が表示されますので、
「新設・既設杭」と
「増し杭」のいずれかを選択後、鉄筋情報表示を行う杭を指定
(左クリックによる反転表示状態)し、
「確認・修正」ボタンを
クリックしてください。
「鉄筋選択画面」が表示されます。
120
8-7 鉄筋一覧
「鉄筋一覧」をクリックします。
鉄筋一覧
配筋される鉄筋の記号・径の一覧表示を行います。
「対象杭選
択画面」が表示されますので、
「新設・既設杭」と「増し杭」の
いずれかを選択後、鉄筋一覧表示を行う杭を指定(左クリック
による反転表示状態)し、
「確認・修正」ボタンをクリックして
ください。
「鉄筋一覧画面」が表示されます。
121
第2章 操作ガイダンス
9 設計調書
※「調表出力ライブラリ Ver.2」は当製品と別にインストールする必要があります。
本プログラムのみでは動作いたしません。
杭基礎の設計を例題として作成します。
上メニュー「設計調書」をクリックします。
「調表出力ライブラリ」が表示されます。テンプレートは「調表
ライブラリ」の[スタイル設定]にて選択できます(調表ライブラ
リVer2.00.00以降)。
計算項目の出力設定
抽出する杭体応力度を選択し、
「確定」ボタンを押します。
スタイル設定
出力するテンプレートが登録されているテンプレートリスト名
の選択と、印刷時の各種設定を行います。
テンプレートを選択するにはテンプレートリストの中から、出
力するテンプレートが登録されているテンプレートリスト名称
をクリックします。
テンプレートリスト
現在登録されているテンプレートリスト名称を表示します。
名称をダブルクリックすることで、テンプレート確認画面を表
示します。
テンプレート確認
現在選択されているテンプレートリスト内のテンプレートのイ
メージをリストで表示します。
用紙方向
印刷の向きを設定します。
「プリンタ選択」ボタンで表示される
「印刷の向き」ででも設定できます。
マージン
印刷の余白の余白をmm単位で設定します。
用紙サイズに合わせて印刷
このチェックボックスをチェックすると、現在の用紙サイズに合
わせて調表のサイズが調整されます。
プリンタ選択
印刷に使用するプリンタの設定画面を開きます。
122
※テンプレート確認ボタンを押すと、選択しているテンプレー
トのイメージを左図のようにリストで表示します。
10 データ保存
「ファイル」-「名前を付けて保存」からデータを保存します。
既存のデータに上書きする場合は「ファイル」-「上書き保存」
を選択します。
保存を行わずにプログラムを終了させようとした場合、左図の
ような確認メッセージが表示されます。
保存する場合は「はい」を選択し、保存場所・ファイル名を指定
します。
「いいえ」を選択すると、データは保存されずに終了しますの
でご注意ください。
123
第3章 Q&A
第3章 Q&A
1-0全般 (基礎の設計・3D配筋)
Q0-1
「基礎の設計計算」で作成したデータファイル(*.F8F)を「基礎の設計」で読み込むことはできるか
A0-1
「基礎の設計」起動後、
「ファイル」-「開く」画面でファイルの種類を「基礎の設計計算(杭基礎の設計)旧XML形式
(*.F8F)」へ変更し、該当ファイルを指定後に「開く」を実行すれば、
「基礎の設計計算」で作成されたデータを読み込むこ
とができます。
Q0-2
「基礎の設計」と「基礎の設計・3D配筋」は同じ製品か
A0-2
基本的に同じ製品となります。Ver.1.2.2から製品名を「基礎の設計」→「基礎の設計・3D配筋」に変更し、CIMを意識した
製品名称に変更いたしました。
詳細は「製品名称変更のお知らせ」をご確認ください。
1-0全般 (基礎の設計計算)
Q0-1
基礎バネはどの位置で算出されるのか
A0-1
基礎バネ(固有周期の算定に用いる地盤バネ定数)は、基礎天端中心位置における値を算出しています。これは、設計地
盤面が基礎天端以深となる場合、あるいは基礎が地表面から突出する場合であっても同様です。
Q0-2
「橋脚の設計」でフーチング無しモデルとして計算したデータファイルがあるが、これを鋼管矢板基礎やケーソン基礎等の
設計データとして取り込みたい。この手順を教えてほしい
A0-2
「橋脚の設計」では、基礎設計に必要なデータをXML形式でファイル保存する機能を設けおり、このデータファイルを
「基礎の設計計算」で読込むことにより、UC-1連動に対応していない鋼管矢板基礎,ケーソン基礎,地中連続壁基礎,
あるいは直接基礎においても、柱形状,作用力,設計水平震度等の基礎設計に必要なデータを取り込むことが可能です。
下記の手順でXMLファイルを保存後、
「基礎の設計計算」で読み込みを行ってください。
1.「橋脚の設計」側で計算確認を実行します。
2.「橋脚の設計」側の「ファイル|XMLファイル」で「エクスポート」を選択し、名前を付けて保存します。
3.「基礎の設計計算」を単独で起動し、
「地層」、
「基本条件」、
「形状」、
「予備計算」までを設定します(既に設定済み
の場合は次のの手順へお進みください)。
4.「基礎の設計計算」側の「ファイル|橋脚連動用XMLファイル」で「インポート」を選択し、上記2.で保存したファイルを
読み込みます。
詳しくは、ヘルプの「操作方法」-「UC-1連動」-「橋脚連動用XMLファイル」をご参照ください。
124
Q0-3
杭基礎や鋼管矢板基礎,ケーソン基礎の「地層」画面で液状化の判定を行うとき、平均N値ではなく測定点ごとのN値を
用いて計算したい
杭基礎や鋼管矢板基礎,ケーソン基礎の設計における「地層」画面の液状化の判定は、液状化が生じるか否かではなく、
土質定数の低減係数DEを求めることが主目的となると考えられます
A0-3
現行では、
「地層」画面では、常に層ごとの平均N値を用いて液状化の判定を行っており、測定点ごとのN値を指定し計算
することはできませんが、
「地層」画面上の[読込]ボタンにより、基礎選択=液状化の判定として作成した基礎データを
読み込むことが可能です。
この場合、各層の土質データと合わせ、計算された土質定数の低減係数DEが読み込まれます。
したがって、基礎選択=液状化の判定として測定点ごとのN値による低減係数の計算を行い、このファイルを読込むことに
より、本ケースに対処できるのではないかと考えられます。
Q0-4
「FRAME(面内)」
「FRAMEマネージャ」で読み込むことのできるファイルを作成できるか
A0-4
■杭基礎,直接基礎
杭基礎,直接基礎では、連続フーチングの橋軸直角方向の照査をFRAME解析により行っています。FRAME解析モデル
は、
「計算・結果確認」-「底版照査」-「X方向」-「FRAME結果」の[詳細表示]ボタンより開く画面にて詳細を確認
することが可能で、本画面左下の[保存]ボタンにおいて、 FRAMEデータファイル(*.$O1)を保存することができます。
■ケーソン基礎,地中連続壁基礎
ケーソン基礎,地中連続壁基礎では、側壁水平方向の部材照査をFRAME解析により行っています。
「部材計算」-「側
壁水平方向」-「保耐法」-「FRAME結果」画面の[詳細表示]ボタンより開く画面において、左下の[保存]ボタンより
FRAMEデータファイル(*.$O1)を保存してください。
Q0-5
入力する鉄筋のかぶりは、杭外周から鉄筋中心までの距離か、それとも鉄筋外面までの距離か
A0-5
本プログラムでは、基礎形式によらず、いずれも純かぶりではなく芯かぶりとして入力していただくようにしています。
よって、鉄筋中心までの距離を入力してください。
Q0-6
橋脚基礎に主たる塑性化を考慮することが可能な条件の場合、基礎が降伏に達しても、応答塑性率の照査がOKであれ
ば、最終的にはOKと判断されるのか
A0-6
道示Ⅴ12.1(P.210~)に記述されていますように、応答塑性率の照査を行うことが可能な条件の場合、基礎が降伏に達し
ても、応答塑性率が許容塑性率以下,変位が許容変位以下,部材に生じる断面力が耐力以下であれば、照査結果はOKと
判定されます。
ここで、橋脚基礎に主たる塑性化を考慮することが可能な条件とは、道示Ⅳ12.10.3(P.405)の記述、
「橋脚が十分大きな
終局水平耐力を有している場合や液状化が生じる場合には、基礎に塑性化が生じることを考慮して設計してよい。」よ
り、
①橋脚が十分大きな終局水平耐力を有している
②液状化が生じる場合
のいずれかとなります。
なお、液状化の影響を考慮する場合にレベル2地震時照査を行う橋台基礎においては、基礎が降伏に達した場合、常に応
答塑性率の照査を行い、応答塑性率の照査,変位照査,部材照査を行っています。
Q0-7
液状化を考慮した場合の基礎ばねの計算方法は?
A0-7
道路橋示方書Ⅴ(p.66)に次の記述がございます。
『また、固有周期の算出し際しては、8.2に規定するように耐震設計上ごく軟弱な土層又は橋に影響を与える液状化が生
じると判定される土層がある場合であっても、土質定数の低減を見込まない。』
従いまして液状化考慮時でもDEを考慮しないで算定するのが一般的かと存じます。
それでもDEを考慮する場合には、[地層データ]-[土質一覧]-[土質データ②]のEDにDEを考慮した値を設定して計算する
ことが考えられますが、道路橋示方書でには上述の記述がございますので適用にあたりましては設計者判断で行ってくだ
さい。
1-1杭基礎(基礎の設計・3D配筋)
1-1-1適用範囲・準拠基準等
Q1-1-1
フーチングの剛性評価は出来るか
A1-1-1
杭基礎,直接基礎でフーチングの許容力度照査を行う場合、あわせて、フーチングの剛体判定を行っています。
ただし、連続フーチングの場合は2柱式のみを対象としています。
3柱式の場合を対象としていないのは、
「杭基礎設計便覧」の記述によるものです。
H27.3版では、P.354に、β・λによる合成評価方法は3柱式以上の連続フーチングには適用できない旨が記述されていま
す。
125
第3章 Q&A
1-1杭基礎(基礎の設計計算)
1-1-1適用範囲・準拠基準等
Q1-1-1
PHC杭のヤング係数の出典は?
A1-1-1
道路橋示方書・同解説 SI単位系移行に関する参考資料(社)日本道路協会には 高強度コンクリートの条件として表
-解3.3.1に σck=80N/mm2→ヤング係数= 3.8×104N/mm2 と規定されていますが、PHC杭についてはIV-4に、
「PHC杭のコンクリートのヤン グ係数は,4.0×104N/mm2(4.0×105kgf/cm2)を用いてよい。」という記述があ り、これ
に参照しております。
Q1-1-2
側方移動の入力方法は?
A1-1-2
本プログラムの軟弱地盤における側方移動の影響を考慮した杭基礎の設計は、
「設計要領第二集 4章基礎構造 NEXCO
(平成18年4月)」4-1-8(P.4-38~)を参照し、常時,暴風時,レベル1地震時のみを対象として作成しております。
お考えの照査が、上記文献の計算に該当するのでしたら、下記をご参照ください。
本プログラムにおいて、側方移動の計算を行う場合、
1)
「計算条件」-「基本条件」画面の『橋台特殊条件=側方移動』を選択する。
2)
「地層」-「地層線」-「設計地盤面」画面の『側方流動圧載荷下面』を入力する。
3)
「杭配置」-「側方流動圧」画面で、側方流動圧による最大荷重強度を入力する。
の手順にて計算に必要なデータを設定します。
また、
「橋台の設計」との連動時であれば、上記1)は、橋台側の「初期入力」画面にて『基礎形式=杭基礎(側方移動)』を
選択する必要があります。これにより、基礎側の「橋台特殊条件」が『側方移動』へと切り替わります。
側方移動に関する詳細は、入力画面上の[ヘルプ],および「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「橋台特殊設計
(側方移動/盛りこぼし橋台)」をご参照下さい。
また、サンプルデータの「Kui_17.F1F」が側方流動のデータとなりますので、あわせてご参照ください。
Q1-1-3
フーチング無しモデルの入力方法は?
A1-1-3
本プログラムの杭基礎の安定計算は、基礎天端(杭頭)から杭先端までをモデル化して照査しており、底版形状は計算に
影響を与えません。
底版形状は、
・常時,レベル1地震時の作用力自動計算,
・底版照査(許容応力度法,レベル2地震時)
・「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(杭基礎)」画面の『作用力計算』ボタンによる底版下面中心における鉛直力
の算出
の照査に用いており、これらの照査または計算を行わない場合、入力の必要はありません。
以上より、底版なしの照査を行う場合は、
「計算条件」-「基本条件」画面で、
・作用力(常時,レベル1地震時)=入力
・底版許容応力度法の照査=しない
・底版レベル2地震時照査=しない
と設定し、
「作用力」-「作用力」画面で基礎天端の常時,レベル1地震時の作用力を入力してください。
また、レベル2地震時照査(安定計算)を行う場合、
「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(杭基礎)」画面の『WF』,
『hF』,
『Ws』,
『WFʼ』を0.000と入力してください。
Q1-1-4
増し杭なしでフーチングのみの補強計算を行いたい
A1-1-4
杭基礎でフーチング補強を行う場合、本プログラムでは、拡幅されたフーチング内に杭が存在するものとして照査してお
り、存在しない場合、照査することはできません。
杭基礎のフーチング補強は、
「既設道路橋基礎の補強に関する参考資料(H.12.2)社団法人日本道路協会」を参照し作成し
ております。
本文献には、既設杭の周囲に新たな杭を増設して補強する方法として、増し杭工法の設計法が記述されており、本プログ
ラムは本方法を採用しております。
既設杭と新設杭が一体として荷重に抵抗するとした計算方法としていることから、フーチングのみの補強は想定しており
ません。ご了承ください。
ただし、
「橋脚の設計」との連動時は、拡幅によるフーチング補強ではなく、上面増厚のみの補強の場合であれば、検討
可能です。
この場合、橋脚側の「補強」-「工法、材料」-「フーチング」画面において、
「橋軸方向」,
「橋軸直角方向」を0.000(m)と
して「上面」のみ入力してください。
126
Q1-1-5
単杭の検討は可能か
A1-1-5
本プログラムは単杭の検討に対応しており、
「杭配置」-「寸法」画面で NX=1,NY=1 と入力することにより、常時,暴
風時及びレベル1地震時だけでなく、レベル2地震時の検討まで行うことが可能です。
ただし、単杭の場合、下記に注意する必要があります。
まず、単杭の場合、ヘルプの「Q&A」-「2.解析方法、設計の基本的な考え方」-「Q2-6」,
「Q2-7」に記載しておりますよう
に、杭頭ヒンジ結合の計算(フーチングと杭がヒンジ結合されていると仮定した場合の計算)のとき、フーチングが回転し
不安定構造になることから解を求めることができません。
したがって、杭頭ヒンジの安定計算を行うことができず、杭頭ヒンジとした場合の杭体断面力算出,杭体応力度照査を行
うことができません。
詳しくは、前述のヘルプをご参照ください。
また、道示Ⅳ12.10.4(P.408~)において、レベル2地震時照査に用いる群杭効果を考慮した砂質地盤に対する水平地盤反
力度の上限値の補正係数の記載がありますが、単杭のとき、この杭中心間隔/杭径をどのように設定すべきか明確ではあ
りません。
杭中心間隔/杭径は「地盤データ」画面の「杭間隔÷杭径」により入力します。画面上の[計算]ボタン押下時、ηp・αp
の上限値であるαp(=3)を初期設定しておりますが、最終的には設計者の方のご判断として入力してください。
以上に注意することにより、単杭の検討が可能です。
Q1-1-6
パイルベント橋脚の設計は可能か
A1-1-6
本プログラムは、道路橋示方書に準じた計算を行っています。
しかしながら、道示の規定は、はり,柱およびフーチングから構成される構造形式を想定しており、パイルベント橋脚のよ
うな特殊な構造は想定しておりません。
したがって、本プログラムにおいても、基本的にはサポート外となります。現行のプログラムを用いてパイルベント橋脚の
設計を行う場合、通常とは異なる入力により対処する必要があることから、最終的には設計者の方のご判断としてご検討
いただくことになることをご了承ください。
まず、パイルベント橋脚は、杭を結合する横ばり(枕梁)をフーチングと仮定し、突出した杭としてモデル化することになる
と考えられます。
ただし、道示では、フーチングを剛体と仮定しています。フーチングは十分な剛性を有し、荷重が作用してもほとんどたわ
まないと考えていることから、剛体として取り扱えるか否かが重要となります。
仮に、剛体と仮定することができない場合、別途、汎用骨組み解析プログラムにおいて、弾性体フーチングとしたモデルを
作成し計算していただく必要があります。
また、レベル2地震動に対する基礎の照査は、道示Ⅴ12.1(P.213)のように、橋脚躯体および上部構造に対して橋脚の終局
水平耐力に相当する設計水平震度khpを作用させます。
しかしながら、柱を有しないパイルベント橋脚の場合、この慣性力を求めることはできず、現行の道示の考え方を適用す
ることはできません。
したがって、上部構造の慣性力は、橋脚の終局水平耐力に相当する設計水平震度khpではなく、道示に規定されるレベル
2地震動の設計水平震度をそのまま作用させることになるのではないかと考えられます。
ここで、道示に規定される設計水平震度は、道示Ⅴ6.4.3(P.89~)に記載されておりますように、
khc = Cs・Cz・khco
ここに、
khc:レベル2地震動の設計水平震度
Cs :6.4.4に規定する構造物特性補正係数
Cz :4.4に規定する地域別補正係数
khco:レベル2地震動の設計水平震度の標準値
となります。
ただし、構造物特性補正係数Csは下部構造のエネルギー吸収による地震力の低減を見込んだものであり、基礎の照査に
おいては不要であることから、基礎の設計に用いる設計水平震度はCz・khcoとなります。
よって、地域別補正係数Czにレベル2地震動の設計水平震度の標準値khcoを乗じたCz・khcoを入力してください。また、
khp=Cz・khco,Wp=0.00としてください。
また、横ばり部に関しても、同様にCz・khcoを考慮するのであれば、khg=Cz・khcoとしてください。
計算書の「レベル2地震時の照査」-「液状化無視/考慮・地震動タイプⅠ/Ⅱ・浮力無視/考慮」の出力において、最終
的に基礎に作用する設計荷重を確認することができます。想定される荷重が適切に載荷されているか、ご確認ください。
突出部の杭体の慣性力については、レベル1地震時は「作用力」-「杭突出部の水平荷重」を「あり」としてください。ま
た、同画面の「杭突出部水平荷重」タブの「慣性力の計算」をチェックし、設計水平震度や[水平荷重]ボタンより開く画
面にて慣性力の有無,向きを指定して下さい。
レベル2地震時においては、地表面(あるいは耐震設計上の地盤面)より上方の杭体の慣性力は、プログラム内部にて自
動的に考慮しています。よって、杭体の慣性力については、任意荷重等により別途指定する必要はありません。
以上、通常の橋脚基礎との相違点を簡単に記述しましたが、前述のとおり、パイルベント橋脚はサポート外となりますの
で、あくまで設計者のご判断としてご検討ください。
127
第3章 Q&A
Q1-1-7
増し杭なし底版のみの補強設計を実施することは可能か
A1-1-7
フーチングの拡幅を行うときは、拡幅した部分に杭(増し杭)を配置する構造を前提としておりますので、その仕様の設計
はできません。
Q1-1-8
増し杭なし底版のみの補強設計を実施することは可能か
A1-1-8
フーチングの拡幅を行うときは、拡幅した部分に杭(増し杭)を配置する構造を前提としておりますので、その仕様の設計
はできません。
Q1-1-9
「基礎の設計計算」単独使用時でも剛体照査を行うことは可能か
A1-1-9
「基礎の設計計算」単独使用時にも剛体照査を行うことはできます。
杭基礎: 「計算条件」→「基本条件」で「底版照査(許容応力度法照査)=する」の設定とする
直接基礎: 「設計条件」→「検討項目」で「許容応力度法照査=する」の設定とする
Q1-1-10
適用基準について設計条件のところで、杭基礎便覧の平成4年と平成19年の両方が記載させているのは何か意味がある
のか
A1-1-10
杭基礎のせん断応力度につきましては、PHC杭等のせん断応力度の取り扱いについて杭基礎設計便覧H4とH19のそれぞ
れで使い分けを行っております。
この設定については[計算条件]-[基本条件]-[杭基礎設計便覧の適用基準]の選択の有無により制御を行っており、H19の
適用基準を取り扱わない場合は詳細出力上に当該の参考文献は明記されないようになっております。
しかしながら、その逆でH19杭基礎設計便覧を適用する場合についてはH19およびH4を同時に出力しているようになっ
ており、一部誤解を与える可能性がある仕様であると確認致しました。
そのため、H19を適用させた場合につきましてはH4の参考文献の記述を除外するように修正の方をさせて頂きたく思い
ます。
Q1-1-11
鋼管ソイルセメント杭の時、[材料]画面における「ソイルセメントの変形係数」
「有効重量算出用の単位重量」の出典は?
A1-1-11
・ソイルセメントの変形係数
ソイルセメントの変形係数Escは、道示Ⅳ(H.24.3)(P.406)に以下の記載があります。
Esc=500qu
qu:ソイルセメントの一軸圧縮強度
quにつきましては、道示Ⅳ(H.24.3)(P.453)の表-解12.11.2 ソイルセメント柱の一軸圧縮強度quに記載がございますの
でご参考ください。
本プログラムでは、砂質土のqu=1.0(N/mm2)=1000(kN/m2)を用いた
Esc=500×1000=5.00×10^5(kN/m2)
を初期値としています。
・有効重量算出用の単位重量
単位重量の初期値につきましては、道示Ⅳ(H.14.3)(P.432)に記述されている参考文献28「(財)国土開発技術研究セン
ター,ガンテツパイル(鋼管ソイルセメント杭工法),一般土木工法・技術審査証明報告書」の記述を参照しています。
Q1-1-12
PC杭の各許容応力度の出典根拠は?
A1-1-12
現況の道路橋示方書にはPC杭の記述がありませんので旧示方書を拠り所としてます。(2014/6/4現在)
▼PC杭を選択した場合の許容値データ画面の値について
(1)σck= 50.00 N/mm2
道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編(平成6年2月)146ページ
(2)Ec = 3.30×10^4 N/mm2
道路橋示方書・同解説Ⅰ共通編(平成6年2月)85ページ
(3)σy = 42.50 N/mm2
杭基礎設計便覧(平成18年度改訂版)272ページ 0.85σck = 0.85×50=42.50N/mm2より
(4)σca= 17.00 N/mm2
道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編(平成6年2月)146ページ
(5)σta= 0.00 N/mm2 (σce<7.8)
道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編(平成6年2月)146ページ(地震時については151ページ)
(6)σta= 0.00 N/mm2 (σce≧7.8)
道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編(平成6年2月)146ページ(地震時については151ページ)
(7)τa = 0.650 N/mm2
特に記述が無いため、道路橋示方書・同解説Ⅲコンクリート橋編(平成14年3月)151ページを参照しています。
これらの値を初期値として与えていますが、変更される場合は設計者のご判断でお使いください。
128
Q1-1-13
鋼材における割増係数1.5の場合の許容値が、1.0のときの許容値×1.50とは異なる(ラウンドダウンされている)理由は?
A1-1-13
本プログラムでは、新規作成時,及び割増係数の種類数が変更されるよう許容応力度法荷重ケースを変更した場合、σca
=277,σta=277,τa=157(N/mm2)がセットされます。
異なる値を採用したい場合には、[許容値]画面において、SKK490の割増係数=1.500の欄に直接入力することによりご
対処くださいますようお願いいたします。
以下、上記のように初期値を設定している理由を記載します。
鋼管ソイルセメント杭(SKK490)の地震時許容応力度は、道示IV(H.14.3)
(P.432)記載の文献
「(財)国土開発技術研究センター,ガンテツパイル(鋼管ソイルセメント杭工法),一般土木工法・技術審査証明報告書」
を参照して、鋼管矢板基礎と同様に、σa=280(N/mm2)を設定しておりましたが、その後発刊された、
「道路技術基準図書のSI単位系移行に関する参考資料(平成14年11月)社団法人日本道路協会」
を参照し、Ver.3.04.01において、下記のようにSKK490に対する地震時許容応力度の初期値を変更いたしました。
σca=280→277(N/mm2)
σta=280→277(N/mm2)
τa=160→157(N/mm2)
[杭配置]-[根入れ比・変位量]画面の「極限支持力度qd算出用(打込み杭)」-「換算根入れ比」の値をご確認ください。
同画面から開きますヘルプにも記載しておりますが、以下の場合、杭先端の極限支持力度qd算出に用いるデータはこち
らで入力します。
(N値についてもこちらで入力してください。)
・[計算条件]-[設計条件]-[支持力・引抜力]画面の「極限支持力度の算出方法」が『計算』
・杭種:鋼管杭, RC杭, PHC杭, PC杭, SC杭, SC+PHC杭,H形鋼杭
・施工工法:打込み杭(打撃/バイブロハンマ), 中掘り杭(最終打撃)
Q1-1-14
鋼管杭で既設杭が3種類の杭径・杭長から構成されている杭配置を、増し杭工法を用いることができるか
A1-1-14
増し杭工法では、既設杭も増し杭も同じ杭径・杭長のみの対応となります。
ただし、既設杭と増し杭で異なる杭種、杭径、杭長とすることは可能です。
Q1-1-15
鋼管内にコンクリートを充填した杭の計算が行えるか
A1-1-15
鋼管内にコンクリートを充填した杭というものがどのような杭を想定されているか不明ですが、杭種として「内面リブ付鋼
管巻き場所打ち杭(JFETBkui)」を用いることができます。これは、杭の一部区間または全長に鋼管を設置し、内部を場
所打ちコンクリートで充填したものです。
1-1-2 解析方法、設計の基本的考え方
Q1-2-1
レベル2地震時のせん断照査の方法として、
「杭基礎のせん断力≦杭基礎のせん断耐力」,
「杭体のせん断力≦杭体のせ
ん断耐力」から選択できるようになっているのはなぜか?
A1-2-1
道示Ⅳ(H.14.3)12.10.5の解説に「杭体に生じるせん断力が,杭体のせん断耐力以下となることを照査するものとする。」
の記述があります。
「道路橋の耐震設計に関する資料(H.9.3)」では「杭基礎のせん断力≦杭基礎のせん断耐力」の照査方法が記述され
ており、本プログラムは、従來この照査方法を用いておりましたが、他のお客様から、
「道路橋の耐震設計に関する資料
(H.9.3)」の計算方法では照査が不十分となるケースがあるのではないかとのご意見をいただき、Ver.3.01.03より、
「杭体
せん断力≦杭体せん断耐力」の照査方法を追加しました。
なお、改訂前の道示Ⅳ(H.8.12)10.10.6にも道示Ⅳ(H.14.3)12.10.5と同様の記述がありますが、H.8.12版道示に対する設
計計算例となっている「道路橋の耐震設計に関する資料(H.9.3)」の照査方法は「杭基礎のせん断力≦杭基礎のせん断耐
力」となっています。
このため、照査方法の選択を設け、設計者の方のご判断で照査方法を決定していただくようにしました。
129
第3章 Q&A
Q1-2-2
耐震設計上の地盤面はどのように取り扱っているのか?
A1-2-2
本プログラムの耐震設計上の地盤面は、常時,レベル1地震時、及び液状化の影響を考慮しないレベル2地震時の照査で
は、入力された「設計地盤面」をそのまま用いて照査しますが、液状化を考慮するレベル2地震時の照査では、
「耐震設
計上の地盤面A/B」スイッチを参照し、プログラム側で自動的に設定しています。
以下に、それぞれのケースについての詳細な取扱いを説明します。
■常時,レベル1地震時
入力された『設計地盤面(常時)』,
『設計地盤面(地震時)』を設計地盤面として照査します。
設計地盤面が「杭配置」-「基礎天端」画面の『基礎反力係数を0.0とする区間)となります)。突出杭と判断された場
合、
「予備計算・結果確認」-「層厚」画面に突出長が表示されます。
■レベル2地震時
レベル2地震時照査は、液状化を考慮しないケース,液状化を考慮するケースを同時に照査可能な仕様としているため、
液状化を考慮しないケースでは、
「地層」画面の『設計地盤面(地震時)』を耐震設計上の地盤面として照査し、液状化を
考慮するケースでは、
『設計地盤面(地震時)』以深を対象として、
「低減係数」画面のDE,および『耐震設計上の地盤面
A/B』スイッチを参照し、プログラム側で自動的に設定しています。
自動設定された耐震設計上の地盤面は、計算書作成の「レベル2地震時の照査」-「設計条件」の「4.地盤データ」に、ど
の層の上端に位置しているかを出力していますのでご参照ください。
(ここで出力される地層は、フーチング下面からの地
層データとなります。)
『耐震設計上の地盤面A/B』スイッチにつきましては、道示Ⅴ図-解4.6.3をご参照ください。ここに記述されている方法
が『B』になります。
一方、
『A』は、地盤反力が期待できる土層の層厚に関わらず、フーチング下面(『設計地盤面(地震時)』)以深で地盤
反力が期待できる土層の最上面を耐震設計上の地盤面としており、図-解4.6.3(a)の場合、底版下面から数えて第2層上
面、(b)の場合、底版下面になります。
なお、
『B』が指定されたとき、耐震設計上の地盤面より上にDE>0.0の地層が存在するケースがありますが、道示Ⅴ4.6
では、中間に地盤反力が期待できる土層がある場合の耐震設計上の地盤面より上の土層の取扱いについて明示されてい
ません。
そのため、入力画面上および入力画面上の[ヘルプ]ボタンから開く説明画面に記載しておりますように、設定されたDE
値に応じた地盤抵抗を考慮し、考慮されない場合は、耐震設計上の地盤面より上の地層のDEに0.000と入力していただ
くことにより、考慮する場合,しない場合いずれにも対応できるようにしています。
Q1-2-5
基礎が降伏しても応答塑性率・変位でOKならば 総合判定でOKとならないのか?
A1-2-5
杭基礎設計便覧(H19.1)に準拠しない場合は、応答塑性率の照査,変位の照査がOKならば総合判定OKとなりますが、杭
基礎設計便覧(H19.1)準拠の場合、図-Ⅲ.6.8(P.304)の照査手順に記載されておりますように、下記の「仮想鉄筋コンク
リート断面の照査」も行う必要があります。
■基礎に主たる塑性化を考慮する場合
杭体の降伏曲げモーメント ≦ 仮想RC断面の降伏曲げモーメント
■基礎に主たる塑性化を考慮しない場合
杭頭発生曲げモーメント ≦ 仮想RC断面の降伏曲げモーメント
よって、
「仮想鉄筋コンクリート断面の照査」でOUTの場合、総合判定はOUTとなります。
Q1-2-6
突出杭のとき、水平荷重等は考慮しているか?
A1-2-6
杭基礎では、次のように杭体慣性力を考慮しております。
■レベル1地震時
「作用力」-「基本条件」画面で『杭突出部の水平荷重=あり』を指定し、
「作用力」-「杭突出部水平荷重」画面で必要
なデータを入力した場合のみ、
「地層」画面の『設計地盤面(地震時)』より上方の杭体慣性力を考慮した計算が行われ
ます。
■レベル2地震時
「杭本体」-「その他」画面にて入力された『杭体単位長さ重量』を用いて、常に杭体慣性力を考慮した計算が行われま
す。したがって、杭体慣性力の有無の指定はありません。
130
Q1-2-8
動的解析時、どのバネ値を用いたらよいか?
A1-2-8
道示Ⅴ 7.3.2(P.114)に、
「基礎の変形の影響は、一般に基礎の抵抗を表すバネにより線形でモデル化してよい。ここで、基
礎の抵抗を表すバネ定数は、式 (解6.2.1)及び式(解6.2.2)による地盤反力係数の基準値を用いて式(解6.2.12)により算出
してよい。」とあります。
計算書の「安定計算」-「杭基礎の剛性行列」は、常時,レベル1地震時の地盤の変形係数α・Eoを用いて算出した地盤
バネ値となります。
これに対し、計算書の「基礎バネ計算」-「固有周期算定用地盤バネ定数」に出力している地盤バネは、動的変形係数
EDを用いて計算したバネ値となります。
前述のとおり、動的解析には、式(解6.2.12)のとおり、動的変形係数EDを用いて計算した地盤バネ値を適用すべきと思
われます。
本件につきましては、
「基礎バネ計算」の出力をご参照くださいますようお願いいたします。
Q1-1-9
杭基礎設計便覧準拠時の水平変位の制限を緩和した杭基礎の設計において、最小変位には何を入力すればよいか?
A1-1-9
水平変位の制限緩和時の最小変位(以下yminとします)は、杭基礎設計便覧に規定された変位量ではなく、同様にひず
み依存性を考慮した水平方向地盤反力係数の補正を行う鋼管矢板基礎の規定(道示Ⅳ(解13.5.2)(P.445))の
y:・・・ただし、10mm以下の場合には10mmとする。
を参照し設けているもので、
kHʼ = kH・(yʼ/y)^-1/2 ・・・ (Ⅲ.4.4)
のyʼの下限を定義し、水平方向地盤反力係数が過大に評価されることがないよう制限しています。
具体的には、初回の計算において、y=yminとして算出したkHʼ値を用いて計算を行い、発生変位がymin以下であれば
収束したと判定しています。
また、発生変位がyminを超える場合、仮定したy(前回計算時の変位)と発生変位とがほぼ等しくなるまで収束計算(誤
差1%未満で収束)を行っています。
初回の計算で発生変位が最小変位以下とならない限り、最適解に向かって収束するため、最小変位が結果に直接影響す
ることはありません(但し収束条件を誤差1%未満としているため、若干の差異は生じます。)が、最小変位をどのように
定義するのが適切であるか判断することができないため、設計者の方のご判断により入力してください。
Q1-1-10
杭径や杭長が異なる杭が混在しているとき、各杭の杭頭に作用する荷重は、杭の剛比により分担しているのか
A1-1-10
本プログラムでは、道示Ⅳ12.7(P.378~)に記述されている変位法により、次のように計算しています。
(1)各杭の杭軸方向バネ定数Kvを算出
(2)各杭の水平方向地盤反力係数kH分布を算出
(3)(2)を用いて各杭の杭軸直角方向バネ定数K1~K4を算出
(4)道示Ⅳ(解12.7.1),(解12.7.2)(P.379~)に記述されている三元連立方程式を作成
(5)(4)の三元連立方程式を解いて原点変位を算出
(6)(5)を用いて道示Ⅳ(解12.7.3),(解12.7.4)により、各杭の杭頭変位,杭頭反力を算出
(7)杭1本の弾性床上梁モデルの杭頭部分に杭頭反力(軸直角方向反力)および杭頭曲げモーメントを載荷し、伝達マトリ
クス法により各杭の状態量分布(変位分布,曲げモーメント分布、せん断力分布)を求める。
杭1本当たりの杭頭の作用力は、上記(6)の杭頭反力がこれに該当しており、具体的には、2次元解析で直杭の場合、
PNi = Kv・δyiʼ
PHi = K1・δxiʼ + K2・α
Mti = -K3・δxiʼ + K4・α
δxiʼ = δx
δyiʼ = δy + α・xi
ここに、
PNi :杭軸方向反力(kN)
PHi :杭軸直角方向反力(kN)
Mti :杭頭モーメント(kN・m)
δxiʼ:杭頭水平変位(m)
δyiʼ:杭頭軸方向変位(m)
Xi:杭頭座標
のように求めています。
(斜杭については道示を参照してください。)
上記式の通り、本プログラムの杭頭反力(杭頭作用力)は、各杭の杭頭変位および杭軸直角方向バネ定数K1~K4より求
めており、杭の剛比により分配しているわけではありません。
なお、K1~K4とは、杭頭の力と変位との関係を表したもので、杭頭から杭先端の範囲の杭体の曲げ剛性,水平方向地盤
反力係数kH分布および杭先端条件を用いて、杭頭に単位荷重を与えたときの杭頭変位を求め、この関係から算出する杭
頭バネを示しています。
詳しくは、上記道示およびヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「安定計算および杭体断面力の計算」の
(1)杭体の断面力と変位の関係式
(2)杭先端条件と杭1本当たりのバネ値
(3)フーチングの変位と杭頭反力
をご参照ください。
131
第3章 Q&A
Q1-2-11
杭軸直角方向バネ定数K1~K4はどのように算出されるのか
A1-2-11
道示Ⅳ12.6.2(P.375~)において、半無限長(βLe≧3)の杭,有限長(1<βLe<3)の杭ごとに、杭軸直角方向バネ定数
K1~K4の算定方法が記載されていますが、本項の算定方法は、水平方向 地盤反力係数が深さ方向に一定,つまり単一
層の場合のみを適用対象とした簡易式で、多層地盤の杭に適用することはできません。
杭基礎設計便覧(H19.1)(P.357)においても、
「地盤が深さ方向に変化する多層系地盤として評価し設計する場合には、道
示Ⅳに示される変位法を適用することはできない。」と記載されています。
本プログラムでは、上記の算定方法は用いておらず、βLeに関わりなく常に弾性床上はりの微分方程式を用いて有限長の
杭として解析しており、常に杭先端条件および(多層地盤であれば)多層地盤を考慮した厳密な計算を行っています。
具体的には、杭1本に着目し、杭頭から杭先端までの杭体の曲げ剛性,水平方向地盤反力係数kH分布および杭先端条件
を用いて、杭頭に単位荷重を与えたときの杭頭変位を求め、この関係から算出しています。
算出方法の詳細につきましては、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「安定計算および杭体断面力の計
算」の
(1)杭体の断面力と変位の関係式
(2)杭先端条件と杭1本当たりのバネ値
(3)フーチングの変位と杭頭反力
をご参照ください。
なお、上記ヘルプにてお分かりのとおり、K1~K4の算出は手計算で求められるような単純式で算出しているわけではあ
りませんので、算定根拠を簡潔に示すことはできません。
Q1-2-12
「計算条件」-設計条件」-「杭」の『杭先端条件』はどのように扱われているか
A1-2-12
杭先端条件は、次のように取り扱って、杭軸直角方向バネ定数K1~K4を算出しています。
・固定
水平,回転ともに拘束されている(杭先端で水平,回転変位が生じない)ものとして計算します。
・自由
水平,回転ともに拘束されていないものとして計算します。
・ヒンジ
水平方向が拘束され、回転は拘束されていないものとして計算します。
・バネ
杭先端が次の関係となるものとして計算し、これを想定しております。
せん断力=せん断バネ×水平変位
曲げモーメント=回転バネ×回転変位
(※せん断バネ,回転バネは、
「杭配置」-「データ」画面で入力してください。)
詳しくは、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「安定計算および杭体断面力の計算」
(1)杭体の断面力と変位の関係式
(2)杭先端条件と杭1本当たりのバネ値
をご参照ください。
132
Q1-2-13
杭体水平荷重はどのように安定計算に考慮しているのか
A1-2-13
本プログラムの杭体水平荷重は、道示Ⅳ12.8(P.384~)を参照し作成しており、次の手順にて計算を行っています。
(1)杭1本を弾性床上のはりとしてモデル化し、杭体水平荷重を載荷して杭頭水平変位,回転角を求めます。
(解12.8.6のδx,α(上バー))
(2)(1)で求めた杭頭変位に相当する杭頭反力を求めます。
(解12.8.5のFi,Gi)
(3)各杭の(2)の杭頭反力を集計し、作用力の補正値とします。
(解12.8.5のGH,Gv,GM)
(4)杭基礎の剛性行列と補正を加味した作用力との関係から基礎の原点変位を算出します。
(解12.8.4を解きδy,δx,αを算出します。)
(5)基礎の原点変位から各杭の杭頭変位を算出します。
(解12.8.10のδyiʼ,δxiʼを算出します。)
(6)(4),(5)で求めた杭頭変位と(2)で求めた杭頭反力相当から杭頭反力を算出します。
(解12.8.9のPNi,PHi,Mti)
上記の(1)~(4)は、基礎に荷重を与えたときの基礎の変位を求めているもので、杭体水平荷重による作用力の補正値を求
め、求まった作用力の補正値を基礎に作用する荷重に加味して算出しています。
このとき、道示(解12.8.6~8)において、杭体水平荷重による杭頭水平変位δ,回転角αの算出式が記載されていますが、
地盤が単一層で杭の根入れ長が十分に長いケースに限定した記述になっていること、また杭突出部(設計上の地盤面より
上方)に載荷することを想定した記述となっているため、本プログラムでは、上記(1)のように、杭頭から杭先端までの曲
げ剛性,水平方向地盤反力係数kH分布および杭先端条件を用いて弾性床上のはりとしてモデル化し、このモデルに杭体
水平荷重を載荷して求めています。
また、上記(5),(6)では、各杭の杭頭反力を算出しています。杭体水平荷重の影響が二重に考慮されるのを防ぐため、杭体
水平荷重による杭頭反力を控除して求めています。
なお、杭体の断面力分布(曲げモーメント,せん断力,変位分布)は、上記(1)と同様、弾性床上のはりとしてモデル化し、杭
頭に上記(6)で求めた杭頭反力を、杭体には水平荷重を載荷して算出しています。
Q1-2-14
増し杭工法における荷重分担はどのように考えているのか
A1-2-14
本プログラムの増し杭工法は、
「既設道路橋基礎の補強に関する参考資料(H12.2)社団法人日本道路協会」に記述されて
いる考え方を参照し、既設杭と増し杭が負担する荷重を次のように取り扱っています。
・既設死荷重は既設杭のみが負担する。
・補強に伴う増加荷重は既設杭と増し杭で分担する。
・地震力に対して、既設杭と増し杭で分担する。
具体的な取扱いは、製品ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「補強設計(増し杭工法)」をご参照いただく
ことになりますが、例えば、常時,レベル1地震時の安定計算では、
(1)既設死荷重時ケース(No.1)で入力された作用力に対しては、既設杭のみを考慮して計算
(2)No.2以降の荷重ケースについては、No.1の作用力を差し引いた作用力増分に対して、既設杭,増し杭両方を考慮した
計算を行い、増し杭については、ここで求めた値を,既設杭についてはここで求めた値に(1)の計算値を加算した値を計算
結果
としています。
Q1-2-15
杭体の水平荷重は杭1本当りのものか、全幅あたりのものか?
A1-2-15
杭体の水平荷重の入力は、全幅当たりではなく杭1本当たりの入力となります。
Q1-2-16
底版の斜引張鉄筋の必要鉄筋量が手計算と合わない。何か特殊な計算をしているのか。
A1-2-16
底版許容応力度法照査における斜引張鉄筋の必要鉄筋量は、道示Ⅳ5.1.3(P.162)の式(5.1.3)により算出される鉄筋量を
底版幅で除して単位幅(1m当たり)に直しています。
ただし、許容応力度法照査においては、次の記述が適用されます。手計算にて検証した結果とプログラムの結果が一致し
ない場合、下記を適切に考慮しているか、今一度ご確認ください。
①道示Ⅳ(P.163)「なお、式 (5.1.3)で部材断面の有効高dを用いているが、せん断スパンaがd/1.15よりも小さい場合には、
せん断ひびわれを横切る斜引張鉄筋量を過大に見積もることのないよう、式(5.1.3)中のd/1.15に代わってaを用いるもの
とする。」
②道示Ⅳ(P.231)「常時,暴風時及びレベル1地震時に対する照査においては、式(5.1.3)中のσsaに式(8.7.3)により算出さ
れる低減係数Cdsを乗じるものとする。」
133
第3章 Q&A
Q1-2-17
水平変位の制限を緩和する杭基礎の設計とは、具体的にどのような設計法なのか
A1-2-17
水平変位の制限を緩和する杭基礎の設計は、道示および杭基礎設計便覧に規定された設計法で、常時,暴風時及びレベ
ル1地震時の杭基礎の安定性の照査において、地盤抵抗の非線形性を考慮した解析を行う代わりに、許容変位を緩和(杭
径の3.5%程度)した設計を行うものです。具体的な設計法は下記をご参照ください。
常時,暴風時及びレベル1地震時では、地盤に過大な非線形性が生じないよう許容変位を設けており、設計地盤面におけ
る水平変位が許容変位以下となることを照査しますが、条件によっては、基礎の変位を許容変位以下とすると、杭体応力
度に著しく余裕が生じバランスを欠く設計となる場合があります。このような場合、橋脚の杭基礎に限り、許容変位を緩和
した設計を行うことができます。
Q1-2-18
盛りこぼし橋台の常時の検討において、地盤変位荷重を載荷した場合に許容変位に対する照査を行っていないがこれは
なぜか
A1-2-18
(NEXCO)
(平成19年8月の新旧対照表以降)では、
「レベル1地震時の水平変位について、通常荷重による相対変位,お
よび地盤変位荷重を考慮した相対変位は、5章2-2に示す許容変位以下でなければならない。」と記載されており、レベル
1地震時に対して許容変位の照査を行うよう規定されています。
また、
「盛りこぼし橋台の設計・施工に関するQ&A(平成20年7月15日)(独)土木研究所 構造物メンテナンス研究セン
ター 橋梁構造研究グループ/(株)高速道路総合技術研究所 道路研究部 橋梁研究室」では、
「通常荷重+地盤変位荷重に
は、レベル1地震時の地盤変位による杭頭の相対変位に対して照査を行う。常時の地盤変位荷重時に考慮する施工時地
盤変位は、長期的には消散する傾向にあるため、水平支持力の照査指標から省かれている。」と記載されています。
以上より、常時においては、地盤変位荷重を載荷した状態に対する許容変位の照査は行っておりません。
Q1-2-19
斜杭を考慮する場合、斜角の影響はどのように安定計算に考慮しているのか
A1-2-19
斜杭の場合、基礎に作用する水平力に対して、杭軸方向の抵抗を考慮した計算が行われます。以下に、杭軸方向の抵抗を
考慮した計算方法を説明します。
まず、本プログラムの計算方法を以下に示します。
(1)各杭の杭軸方向バネ定数Kvを算出する
(2)各杭の水平方向地盤反力係数kH分布を算出する
(3)(2)および杭体の曲げ剛性を用いて、各杭の杭軸直角方向バネ定数K1~K4を算出する
(4)(1)および杭頭座標,斜角を用いて、道示Ⅳ(解12.7.2)のフーチング下面中心におけるバネマトリックスを作成する
(5)作用力と(4)を用いて、(解12.7.1)により原点変位を算出する
(6)(解12.7.4)により、各杭における杭頭の杭軸方向変位,杭軸直角方向変位を求める
(7)(解12.7.3)により、各杭における杭頭反力を求める
(8)杭1本の弾性床上梁モデルに杭頭の軸直角方向反力および曲げモーメントを載荷し、伝達マトリクス法により各杭の状
態量分布(杭体曲げモーメント、せん断力分布等)を求める。
各杭ごとに、杭頭における杭軸直角方向のバネ定数K1~K4を算出します。このとき、斜杭においては、斜角を考慮した実
杭長を用いた計算を行うため、直杭とは異なる値となります。しかしながら、この影響は軽微であり、基礎の挙動に与える
影響は僅かです。斜杭の影響は、上記(4),(5)に考慮されます。
道示Ⅳ(P.379~)の(解12.7.1)(解12.7.2)をご参照ください。
本プログラムでは、(解12.7.1)(解12.7.2)により基礎の原点における水平変位,鉛直変位,回転角を算出しておりますが、例
えば、(解12.7.2)の水平方向バネ定数Axxは、
Axx = K1・cos2θ + Kv・sin2θ
ここに、
K1:杭頭部に回転を生じないようにして、杭頭部を杭軸直角方向に単位量だけ変位させるとき、杭頭部に作用させる
べき杭軸直角方向力(kN/m)
θ:杭の斜角で直杭の場合0とする(rad)
Kv:杭軸方向バネ定数(kN/m)
として求まります。
直杭においてはsinθが0となるためKvは考慮されませんが、斜杭では、Kvを考慮した水平方向バネ定数が求まります。
したがって、杭軸方向力が考慮された計算となります。
Ayy等の他のバネ定数についても同様です。
134
Q1-2-20
1/βが杭長よりも長くなるケースが生じた。このようなケースのとき、プログラムではどのように計算しているのか
A1-2-20
道示Ⅳでは、例えば12.6.2(P.375~)や12.9.1(P.387~)において、βLeの範囲ごとに半無限長の杭,有限長の杭としての計
算方法が記載されています。
しかしながら、道示の考え方は、水平地盤反力係数が深さによらず一定(杭頭から杭先端までの地盤抵抗が一様)と仮定
した場合の計算方法で、多層地盤には適用できません。また、場所打ち杭の鉄筋の段落としを行った場合や鋼管杭の板
厚を変化させた場合、杭体に任意荷重を載荷するケース等にも対応できません。
このため、本プログラムでは、βLeに関わりなく常に弾性床上はりの微分方程式を用いて解析しており、常に杭先端条件
および多層地盤を考慮した厳密な計算を行っています。
具体的には、杭基礎設計便覧(P.357)の「弾性床上の梁部材の剛性マトリクスを用いた計算法」のように、部材ごとに、部
材端力と部材端変位との関係を表すマトリクスを組み、これを解いて杭基礎の挙動を解析しています。
(ただし、製品ヘ
ルプの「Q&A」-「2.解析方法、設計の基本的な考え方」-「Q2-2」のように伝達マトリクス法を採用しています。)
計算上、杭としての特性値βは用いていないことから、本ケースのように1/βが杭長より大きくなるか否かにかかわらず計
算を行っています。
1/βが杭の軸直角方向の抵抗に関与する(支配的となる)地盤の範囲と考えれば、杭頭から杭先端までの全ての層の地盤
抵抗を厳密に評価した計算を行っている本プログラムの計算結果をそのまま採用してもよいのではないかと考えられま
すが、最終的には設計者のご判断としてください。
なお、伝達マトリクス法を用いた本プログラムの計算方法の詳細につきましては、製品ヘルプの「計算理論及び照査の方
法」-「杭基礎」-「安定計算および杭体断面力の計算」をご参照ください
Q1-2-21
せん断耐力の割増係数Cdcを線形補間により求めているが、線形補間ではなく道示Ⅳ表-8.7.1のいずれかの値を選択すべ
きではないのか
A1-2-21
道示Ⅳ(P.230~)に示される割増係数Cdcに関する記述を参照すると、Ce,Cptとは異なり、線形補間により求めてよいと
記載されているわけではありません。ただし、本プログラムでは、下記の理由により、線形補間により求めています。
はりと見なせる部材において、せん断スパン比(a/d)がある程度小さくなると、アーチ効果が卓越する耐荷機構となるた
め、斜めひび割れが形成されても直ちには破壊に至らず、せん断耐力が増加していると見なすことができるようになりま
す。
このアーチ効果によるせん断耐力の増加は、せん断スパン比が2.5に近づくあたりから徐々に影響しはじめ、二次曲線的
に増加します。
表-8.7.1は、このように発揮されるアーチ効果に関する様々な載荷実験結果を整理し、二次曲線的な増加をプロットして
記載したものと考えられます。
よって、本来であれば、道示Ⅳ表-8.7.1の各値の間については二次曲線的な増加を考慮するのがよいのかもしれません
が、実務上は線形補間を適用すればよいと思われます。
Q1-2-22
杭頭に段差があるとき、基礎バネはどの位置で算出されるのか
A1-2-22
杭頭に段差があるときの基礎バネ(固有周期算出用地盤バネ)の算出位置は、フーチング最下面の中心位置としておりま
す。
Q1-2-23
盛りこぼし橋台でレベル1地震時の地盤変位荷重が作用したときの変位はどのように算出されるのか
A1-2-23
次のように計算しております。
δfʼ=|(δnt+δeq)-(δsmax+δDmax)|≦許容変位
ここに、
δfʼ:地盤変位荷重による地震時の全相対変位
δnt:施工時地盤変位荷重の1/2による杭頭変位
δeq:地震時に考慮する地盤変位荷重による杭頭変位
※δnt+δeq=δ2-δ1
δ1:地盤変動荷重を載荷しないケースの杭頭変位
δ2:地盤変動荷重を載荷したケースの杭頭変位
δsmax:施工時地盤変位
δDmax:地震による地盤変位
135
第3章 Q&A
Q1-2-24
増し杭で片側張り出しの場合、基礎バネはどのように算出しているか
A1-2-24
本プログラムの基礎バネ(固有周期算定用地盤バネ定数)は、道示Ⅴ(H.14.3)6.2.3(P.55~)を参照し算出しております。
その際、基礎バネ値は、杭頭座標原点における値を算出,出力しており、増し杭工法の場合、既設底版下面中心における
値となります。
(算出に用いる各杭の座標も、既設低版下面中心を基準とした座標を使用します)
計算方法につきましては、
・ヘルプ「計算理論及び照査の方法」―「杭基礎」―「基礎バネ」
・計算書「基礎バネ計算」―「固有周期算定用地盤バネ定数」
に、記載・出力しておりますのであわせてご参照ください。
Q1-2-25
底版照査時のフレーム解析結果における端部の格点はなにか。また、その点に対して曲げモーメントがかかっているのは
問題ないのか
A1-2-25
フレーム解析は片持ち梁として解析してます。左端部の格点は片持ち梁の固定点となります。その点付近でのモーメント
は0となるはずですが、実際は誤差が生じます。
Q1-2-26
橋台の設計と連動時、水平変位の制限を緩和する杭基礎の設計ができないのはなぜか
A1-2-26
水平変位の制限を緩和する杭基礎の設計は、道示Ⅳ(P.387),杭基礎設計便覧(H19.1)(P.266)ともに橋脚の杭基礎の
み適用可能と記載されております。
この制限の主旨は、主として橋台の場合、背面土による偏土圧が載荷されていることから、基礎に過大な水平変位が生じ
るのを許容した場合、変位が残留する可能性があると考えてのことだと思われます。
したがって、背面土がなく偏土圧が生じないケースであれば、橋台であっても水平変位の制限を緩和した設計を行っても
問題はないのではないかと考えられます。
しかしながら、橋台に対して水平変位の制限緩和を適用した事例や文献類の明確な記述はなく、安易な対応は問題が生
じないとも限りません。
本件につきましては、他のユーザ様のご意見も伺いながら、設計者判断として制限緩和を適用できるよう慎重に対応を検
討させていただきたいと存じます。ご了承ください。
Q1-2-27
杭基礎(場所打ち杭)で地形の傾斜があり、杭長も1本1本異なる場合の計算(解析)方法はどのようにするのか
A1-2-27
本プログラムでは、地層傾斜および杭長が異なる杭が混在したケースの検討に対応しており、レベル2地震時まで含め照
査することが可能です。
それぞれ次の画面にて設定し、ご検討くださいますようお願いいたします。
・地層傾斜
「地層」-「地層線」画面の『地層傾斜』をチェックすることにより考慮され、始点Uから5点の折れ線として各地層を
指定します。
・杭長変化
「杭配置」-「基本条件」画面の『杭径・杭長の変化』を『する』と設定することにより考慮され、同画面の「データ」に
より杭1本ごとの杭長を指定します(指定した杭の杭長を変更した場合は必ず「適用」ボタンを押してください)。
また、地層傾斜,杭長変化を考慮したレベル2地震時照査を行うには、2.5次元解析を行うことになります(本プログラム
では必須です)。
「計算条件」-「基本条件」画面の『常時,レベル1地震時計算方法』を『2.5次元解析』と設定してくださ
い。
なお、上記を考慮するにはいくつか制限事項がありますが、これらの制限事項につきましては、上記の「地層」,
「杭配
置」画面上の[ヘルプ]ボタンより開く説明に詳しく記載しておりますのでご参照ください。
136
Q1-2-28
「杭頭が回転しない場合」で計算を行なう予定であるが、この場合に如何様に対処すればよいか
A1-2-28
杭頭が回転しない状態(=フーチングが回転しない状態)の計算はできません。
回転しない状態で確認する場合は、杭頭の回転が0となるようにモーメントで調整してください。
Q1-2-29
地層が粘性土の場合、圧密沈下が生じると杭体の応力度が変わってくると思うがそのような圧密沈下に対応した照査は
行っているか。
A1-2-29
本プログラムでは、圧密沈下時の照査は「負の周面摩擦力」を考慮することでご対応頂けます。
負の周面摩擦力に対する検討は、
「道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編(平成24年3月)社団法人日本道路協会」
(以下、
道示Ⅳ)12.4.3(P.398~)を参照して、
「作用力」-「荷重ケースの設定」画面で指定された荷重ケース(死荷重時を想定し
ています。)に対して、
・鉛直支持力の検討
・杭体応力度の検討
を安定計算時に行っています。
負の周面摩擦力は、道示Ⅳの表-解12.4.6(P.395)を参考に工法により内部自動計算または入力で設定していただけま
す。
入力方法に関しては、次の手順で負の周面摩擦力検討に必要なデータを入力してください。
(1)
「地層」-「地層線」-「設計地盤面」で中立点位置を定義し、
「地層」-「土質一覧」-「土質データ②」で負の周面
摩擦力度fnを設定してください。
(2)
「計算条件」-「設計条件」-「その他の条件」で『負の周面摩擦力=検討する』と指定してください。
(3)
「作用力」-「荷重ケースの設定」で検討する荷重ケース番号を入力してください。
各画面上の[ヘルプ]ボタンから開く説明画面もご参照ください。
Q1-2-30
[設計条件]-[設計条件]-[杭]において、回転杭を選択した場合、
「施工方法」で「道示モデル」が強制チェックされるが、
この道示モデルはどういうものか
A1-2-30
従来は杭基礎設計便覧にのみ回転杭が記載されていましたが、平成24年道路橋示方書で記載されるようになりました。
両者では計算内容に違いが有るため、従来の回転杭と区別するため「道示モデル」と付記しました。
また、回転杭には各メーカーから多様なものが提供されています。今後、回転杭の種類が増えた場合に区別が付くという
こともあります。
Q1-2-31
杭基礎のフーチングを弾性体としたモデルでの照査は可能か
A1-2-31
本プログラムの杭基礎の設計は、道路橋示方書に準じた計算を行っており、道示Ⅳ12.7(P.378)に
「フーチングを剛体と仮定し杭基礎全体の変位(フーチングの変位)を杭頭部のバネマトリックスを介して、杭基礎全体
に作用する水平力,鉛直力,回転モーメントにつり合わせた式を解く変位法とがある。」
と記載されている変位法を採用しております。
上記の記述に従い、レベル2地震時も含め、常にフーチングを剛体と仮定した計算を行っており、フーチングを弾性体とし
て計算する機能は有しておりませんので、フーチングを弾性体とした安定計算を行う場合は「FRAME(面内)」等の骨
組解析により計算していただく必要があります。
また、フーチングを剛体とみなせない場合につきましては、本プログラムの計算結果を適用することはできませんのでご
注意ください。
なお、本プログラムはフーチングを剛体とみなせることを確認した上で、安定計算やレベル2地震時照査を行っていただく
ことを想定しています。
上記を踏まえ、剛体判定の結果は、安定計算やレベル2地震時照査に影響しない(剛体照査の結果に関わらず、安定計算
やレベル2地震時照査は実行される)仕様とさせていただいております。ご了承ください。
137
第3章 Q&A
1-1-3地層・土質定数
Q1-3-1
地盤種別はどのように取り扱っているのか
A1-3-1
地盤種別は、
・設計水平震度
・液状化の判定および液状化による土質定数の低減係数DE
に影響しますが、本プログラムでは、設計に用いる設計水平震度を直接入力していただくようにしているため、地盤種別
が影響するのは土質定数の低減係数DEの算定のみとなります。
ここで、本プログラムでは、
「地層」-「計算条件」画面の「液状化の判定を行う」をチェックし、同画面で「地盤種別」を
「内部計算」とした場合に地盤種別を計算しており、この値を用いて低減係数DEを計算しています。
なお、この地盤種別は、同画面の「低減係数」タブの[液状化の詳細出力]ボタンより表示される計算書(「2章 液状化の
判定」-「地盤条件と地盤定数の設定」)により、計算過程の詳細を確認することが可能です。
また、
「液状化の判定を行う」をチェックしていない場合、地盤種別は計算に用いません。よって、
「地層」-「低減係数」
画面で直接選択していただくようにしています。
(出力のみに用います。)
なお、、
「橋脚の設計」や「橋台の設計」等との連動時、これらの製品の「初期入力」画面で基礎側の地盤種別を連動する
よう設定した場合、次のように連動しています。
■内部計算
「地層」画面の「液状化の判定を行う」をチェックし、
「地盤種別」を「内部計算」とした場合、内部計算された地盤種別
が連動されます。
■直接入力
「液状化の判定を行う」のチェックを外した場合、地盤種別は内部計算されません。よって、
「低減係数」タブの「地盤種
別」により直接設定された地盤種別が連動されます。
「液状化の判定を行う」をチェックした状態で、同画面の「地盤種
別」を「直接指定」とした場合も同様です。
Q1-3-2
杭基礎の設計の耐震設計上の地盤面で、取り扱いをBとした場合 「耐震設計上の地盤面より上のDE(レベル2)>0.0の地
層には、DE(レベル2)値に応じた地盤抵抗(水平方向地盤反力係数,水平地盤反力度の上限値)を考慮します。」となって
いるが道路橋示方書には特に明記されている文面が見当たらない
A1-3-2
道示Ⅴ4.6(P.27~)では、橋台基礎においては耐震設計上の地盤面より上の地盤の水平抵抗は無視するのがよいと記述
されておりますが、橋脚基礎においては、耐震設計上の地盤面より上の土層の取扱いについて明示されていません。
よって、本プログラムでは、地盤抵抗の取扱いについて、橋台基礎/橋脚基礎の区別は行っておらず、設定されたDE値に
応じた地盤抵抗を考慮しており、考慮されない場合は、耐震設計上の地盤面より上の地層のDEに0.000と入力していただ
くことにより、考慮する場合,しない場合いずれにも対応できるようにしています。
耐震設計上の地盤面より上の地盤抵抗を考慮するか否かにつきましては、設計者の方のご判断により決定していただき、
地盤抵抗を考慮しない場合、杭前面地盤については「地層」-「低減係数」画面の『DE(レベル2)』,底版前面水平抵抗
については「底版前面水平抵抗」画面の『低減係数DE(レベル2)』に0.000と設定ください。
Q1-3-3
入力した地層数と出力された地層数が異なる
A1-3-3
「地層」画面上の[ヘルプ]ボタンから開く説明画面の「■低減係数」に記載しておりますように、
「計算条件」ページで
『液状化の判定を行う』がチェックされたとき、以下の深さで地層を分割しています。
(1)現地盤面から3.0mをまたぐ粘性土層があり、その層の一軸圧縮強度が20(kN/m2)以下の場合には、3.0mで分割。
(2)現地盤面から10.0mをまたぐ層がある場合は10.0mで分割。
(3)現地盤面から20.0mをまたぐ層がある場合は20.0mで分割。
(1)は道示Ⅴ(H.14.3)8.2.2(P.120)によります。
(3)は8.2.3(P.121~)により、判定対象を現地盤面から20m以内とするため
(2)は表-8.2.1(P.125)により、10m以下と10mを超える範囲とで動的せん断強度比Rを使い分けるために行っています。
138
Q1-3-4
「土質」を変更後、
「φの計算」を実行してもφの計算が行われない
A1-3-4
おそらく、平均N値に5以下が入力されていると思われます。
本プログラムの土のせん断抵抗角φの自動計算は、道示Ⅳ参考資料「8.標準貫入試験のN値から砂のせん断抵抗角φを
推定する場合の参考式(案)」(P.564~)を参照し計算を行っております。
上記道示には、
「本提案式は、式(参8.1)に示すようにN>5の範囲で適用するものとする。」と記載されております。
そのため、平均N値がN≦5の場合、砂質土/粘性土ともにφの計算は行っておりません。
Q1-3-5
計算書の「地層データ」の項にある「f」
「fn」とは?
A1-3-5
いずれも杭周面に働く最大周面摩擦力度を表しており、
「f」は杭の支持力の算定に、
「fn」は道示Ⅳ12.4.3(P.364~)の
負の周面摩擦力の検討に用いています。
推定方法はどちらも同じですが、負の周面摩擦力の検討に用いる「fn」は、N値から推定するとき、N値が2以下の軟弱
層においても推定値を適用します。
支持力算定用,負の周面摩擦力の検討用で異なる値となることがあるため、それぞれを算出,出力しております。
なお、負の周面摩擦力の検討を行わない場合、
「fn」は計算に用いません。
Q1-3-6
盛土地盤のせん断弾性波速度Vsdは、レベル1地震時のVsとは異なるのか
A1-3-6
Vsd は、
「設計要領第二集 4章基礎構造 NEXCO(平成18年4月)」(P.4-56)の「微小ひずみレベルでの盛土地盤のせん断
弾性波速度Vsd」を示しておりますが、設計要領第二集では、具体的な算定方法が示されておりません。道示Ⅴ(P.57)に
より算出してもよいのではないかと考えられますが、設計要領第二集に明示されていないことから、本プログラムでは、設
計者の方のご判断で入力していただく仕様としております。おそれいりますが、最終的には設計者ご自身により算定し入力
してくださいますようお願いいたします。
なお、レベル1地震時に用いるせん断弾性波速度Vsは、道示Ⅴ(P.26)(解4.5.1)より、
N = Ek/700
Vs = 80・N^1/3 (^はべき乗を示しています。)
として算出しております。
Q1-3-7
2方向傾斜時の杭基礎の照査を行うことは可能か?
A1-3-7
本プログラムでは、地層傾斜を考慮できるのは1方向のみとしており、2方向に傾斜したケースの入力,計算を行うことは
できません。
ただし、本プログラムでは、杭1本ごとに杭長を変化させることが可能です。また、杭位置の層厚を変更し、変更した層厚
を用いて地盤反力係数,許容支持力等を算出することが可能です。
これより、以下の入力を行うことにより、2方向に地層傾斜した場合と等価な計算とすることが可能です。
なお、杭1本に対して背面側と前面側の層厚は同一として計算します。
(1)「地層」画面にて、どちらか1方向にのみ傾斜した地層を入力します。
(2)「計算条件」-「入力条件」画面で「層厚=直接入力」とします。
(3)「杭配置」-「基本条件」画面で『杭径・杭長の変化=あり』とし、
「データ」画面で杭ごとに杭長を入力します。
(4) 「予備計算・結果確認」-「層厚」画面で、各杭の層厚を、別途算出した2方向傾斜を考慮した層厚となるよう調整し
ます。このとき、層厚の合計が杭長と一致するように入力してください。全杭入力後、
「k値」,
「許容支持力」画面の[計
算]ボタンにより、入力した層厚に応じたk値,許容支持力を計算します。
※層厚の指定は、杭の条件(杭径,厚さ,杭長等)が等しい杭を同一タイプとし、同一タイプごとに指定します。杭の条
件が同一の杭に対して、異なった層厚を指定する場合、
「杭配置」画面で異なる杭長(1(cm)程度の差)を入力してくださ
い。
操作方法につきましては、入力画面上の[ヘルプ]ボタンから開く説明画面をご参照ください。
Q1-3-8
現地盤面,設計地盤面および地盤面の違い
A1-3-8
■現地盤面について
地層データの第1層上面の標高としています。地表面の標高を入力してください。
■設計地盤面について
常時,地震時における設計上の地盤面としており、設計地盤面より上の杭前面の地盤抵抗は考慮しないようにしていま
す。
■地盤面
地震時データは、
「レベル2地震時照査」-「地盤データ」で『上載荷重算出用の上載土圧の指定=地盤面(地震時)』が選
択されたとき、上載荷重として、地盤面(地震時)から基礎天端までの土の重量を算出する際に用いています。
なお、杭基礎の場合、常時データは計算に使用していませんが、現地盤面標高以深となるように入力してくださいますよう
お願いいたします。
(※道示モデルの水平変位の制限を緩和する杭基礎の設計の場合は、検討ケースに応じて、地盤面(常時),地盤面(地
震時)を使用しています。)
139
第3章 Q&A
Q1-3-9
流動化時の許容変位が基礎の降伏に達するときの水平変位の2倍としている根拠
A1-3-9
道示Ⅴ8.3.1(P.127~)をご確認下さい。
こちらの記載より、流動化時の許容変位は、基礎の降伏に達する時の水平変位の2倍としております。
Q1-3-10
「地層」-「土質一覧」-「土質データ②」画面の[φの計算]ボタンよる計算方法は?
A1-3-10
「地層」-「土質一覧」-「土質データ②」画面の[φの計算]ボタンよる計算は、道示Ⅳ参考資料「8.標準貫入試験のN
値から砂のせん断抵抗角φを推定する場合の参考式(案)」(P.564~)を参照し作成しております。
その際、σvʼ算出用の地表面からの深さxは、層下端ではなく層中心での深さとしております。
Q1-3-11
地盤種別はどのように取り扱っているのか
A1-3-11
地盤種別は、
・設計水平震度
・液状化の判定および液状化による土質定数の低減係数DE
に影響しますが、本プログラムでは、設計に用いる設計水平震度を直接入力していただくようにしているため、地盤種別
が影響するのは土質定数の低減係数DEの算定のみとなります。
したがって、本プログラムでは、
「地層」-「計算条件」画面の「液状化の判定を行う」をチェックし、同画面で「地盤種
別」を「内部計算」とした場合のみ内部計算しており、この値を用いてDEの算定を行います。
計算された地盤種別は、同画面の「低減係数」タブの[液状化の詳細出力]ボタンより表示される計算書(「2章 液状化の
判定」-「地盤条件と地盤定数の設定」)にて確認することが可能です。
ここで、
「橋脚の設計」や「橋台の設計」等との連動時、これらの製品の「初期入力」画面で基礎側の地盤種別を連動す
るよう設定した場合、
①内部計算
前述の「地層」画面の「液状化の判定を行う」をチェックし、
「地盤種別」を「内部計算」とした場合、内部計算された地
盤種別を連動する。
②直接入力
「液状化の判定を行う」のチェックを外した場合、地盤種別は内部計算されない。よって、同画面の「低減係数」タブの
「地盤種別」により直接選択された地盤種別を連動する。
「液状化の判定を行う」をチェックした状態で、同画面の「地
盤種別」を「直接指定」とした場合も同様。
としています。
Q1-3-12
杭種や工法によっては、支持層を粘性土層にすると警告が表示される。回避する方法はあるか
---------------------------------------------------------------警告:[20604]
粘性土層に支持層が設定されています。
極限支持力qdは砂層として算出します。
----------------------------------------------------------------
A1-3-12
本プログラムでは、中掘り工法(セメントミルク噴出撹拌方式),プレボーリング杭工法,鋼管ソイルセメント杭工法,回転
杭工法における支持層を粘性土層とした場合、警告を表示し、砂質土層として算出しています。
道示の杭先端の極限支持力の算定は、下部構造編(P.357~)に記載されていますが、中掘り工法(セメントミルク)では、
「砂質系地盤のみに適用」と規定されています。また、プレボーリング工法や鋼管ソイルセメント杭工法では、砂層,砂れ
き層に対する極限支持力度の推定方法しか明示されておりません。回転杭工法は、
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)」
(P.436~)を参照していますが、同様に、砂層,砂れき層に対してのみ推定方法が明示されており、粘性土層を支持層とす
る場合の推定方法は示されていません。
このように、上記の工法においては、粘性土層における推定方法が明示されていない、あるいは粘性土層を支持層とする
ことを原則禁止するといった規定があることから、現行では、警告を表示し、砂質土層として算出しています。
140
Q1-3-13
土の飽和重量を湿潤重量+1とすることが多いが、これはなぜか
A1-3-13
湿潤土は、土粒子,水,間隙により構成されており、それぞれの体積をVs,Vw,Va、単位体積重量をγs,γw,γa(=0.0)
とすると、湿潤土の単位体積重量は
γt = (Vs・γs+Vw・γw+Va・γa)/(Vs+Vw+Va)
により表すことができます。
一方、飽和土は、上記間隙がすべて水で満たされた状態で、単位体積重量は
γsat = {Vs・γs+(Vw+Va)・γw}/(Vs+Vw+Va)
となります。したがって、γt≦γsatの関係になります。
ここで、道示Ⅳ2.2.6(P.41)では、(注)(1)において、
γʼ = γt - 9
としてよいと記載されています。
(※γʼは水中重量)
飽和重量γsatは、
γʼ = γsat-γw
γsat = γʼ+γw
の関係にあることから、γwを10(kN/m3)とすると、前述の道示の(注)(1)より、
γsat = (γt - 9)+10
= γt+1(kN/m3)
となります。
詳しくは、土質力学の文献・参考書等を参照して下さい。
Q1-3-14
地層傾斜時、地層データの「中間点Uの間隔(m)」の『始点U』と杭配置-基礎天端の『偏心量eu』の位置関係はどうなって
いるか
A1-3-14
図のように、始点Uの座標が決まるとU=0.0位置が決まります。
「杭配置」-「基礎天端」のeuは、U=0.0位置と底版中心位置の位置関係を指定します。
底版中心=U=0.0の場合は、euは0.0のままで構いませんが、一致しない場合は、Uの右側へのずれをプラスとしてeuを設
定します。
※右端座標は、左端座標+Σ(各地層深さ入力間距離)です。
141
第3章 Q&A
Q1-3-15
回転杭を選択時、引抜係数βが0となる場合がある
A1-3-15
回転杭の場合、支持層の内部摩擦角φが35度≦φ≦45度の範囲外であるとき、デフォルトではβが0として計算するもの
としております。
範囲外で引抜係数βを別途に設定する場合、
「計算条件」-「設計条件・引抜力」-「回転杭の引抜き係数β」より設定す
ることができます。
Q1-3-16
流動力算定に使用する受働土圧係数Kpを「内部計算」する際の計算内容はどのようになっているのか
A1-3-16
Kpの算定式は、道示(H24.3)Ⅰ2.2.6 土圧(P.45) 式2.2.7を用いております。
また、本プログラムにおけるKpを求める際のδの扱いには以下のような違いがあります。
常時,暴風時:δ=-φ/3
地震時 :δ=-φ/6
Q1-3-17
地層データはどのように削除するのか。また、増やしたい場合はどうするのか
A1-3-17
地層データ画面で「地層線」タブの「地層線」タブに移っていただきまして、該当の層の行にフォーカスが合った状態で
Deleteキーを押してください。
もしくは削除ボタンが押された状態で画面左側ずの地層図で該当の地層線をクリックしてください。
地層を増やしたい場合には、増やしたい層の真上の層にフォーカスが合った状態でキーボードのInsertキーを押してくだ
さい。
Q1-3-18
基礎の設計計算において、せん断抵抗角度φを計算できるが、計算書として出力する方法はあるか
A1-3-18
表示される結果確認画面でマウス右クリックしますと「プリンタ出力」あるいは「HTMLファイル出力」の実行ができま
す。
計算書としての出力は、以下の理由のため行っておりません。
せん断抵抗角φの算出は、道示Ⅳ参考資料「8.標準貫入試験のN値から砂のせん断抵抗角φを推定する場合の参考式
(案)」を参照し作成しておりますが、
・N値が5以下の土層に対しては参考式を適用することができないこと
・参考式があくまで「案」であること
から、適用できる土層に対しては推定値を設定しますが、最終的には設計者の方のご判断として採用していただくことを
想定しております。
よって、現行では、計算書に算定値の根拠を明示することは行っておりません。ご了承ください。
1-1-4 支持力・周面摩擦力
142
Q1-4-1
最大周面摩擦力度の算定に用いる係数を変更したい
A1-4-1
最大周面摩擦力度の算定に用いる係数は、
「基準値」-「その他」-「許容支持力算定条件」画面の『最大周面摩擦力
度』により変更することが可能です。
Q1-4-2
道示Ⅳ12.4.1 γ:極限支持力推定法の相違による安全率の補正係数を変更したい
A1-4-2
極限支持力推定法の相違による安全率の補正係数γは1.0固定としており、任意な補正係数γの入力はできません。ご了
承ください。
「基準値」-「杭基礎」-「許容支持力安全率」画面において、安全率nを逆算して入力する方法も考えられますが、本入
力は小数点以下の入力桁数を1桁としており、誤差が大きく、この方法を用いることができないのではないかと考えられま
す。
以上より、任意な補正係数γを用いて算出する場合は、
「計算条件」-「入力条件」画面で『極限支持力・引抜力=直接入
力』と設定し、
「予備計算・結果確認」-「許容支持力」画面に別途算出された許容支持力,引抜力を直接入力することに
よりご対処くださいますようお願いいたします。
Q1-4-3
中立点は何を入力すればいいのですか?
A1-4-3
中立点は、画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように道示Ⅳの12.4.3負の周面摩擦力に対する検討に用いており、
P.365の中立点位置を標高で入力していただくようにしております。
なお、
「計算条件」-「設計条件」-「その他の条件」画面で『負の周面摩擦力=検討しない』が指定されたとき、中立点
は計算に影響を与えません。
(計算に用いません。)
負の周面摩擦力に対する検討が必要な場合、ご検討の設計条件に応じた値を入力してください。
Q1-4-4
「計算条件」-「設計条件」-「その他の条件」画面の『群杭としての許容支持力照査』が選択できないのはなぜか?
A1-4-4
本スイッチは、道示Ⅳ12.4.4(P.369~)を参照し対応したもので、本項の解説「杭中心間隔がある程度より密になると杭と
杭間の土塊が一体となって、あたかも1基のケーソン基礎としての挙動を示すようになる」とあるように、杭および杭間の
地盤の相互作用による群杭効果を考慮し、一体として挙動すると考えられる範囲をケーソン基礎とみなし、ケーソン基礎
としての支持力照査を行います。
一体として挙動すると考えられる範囲を仮想ケーソンとみなして照査することから、全杭の杭径,杭長が同一で、地層傾
斜がない場合に適用可能です。
そのため、地層傾斜あり及び杭径・杭長変化ありのときは選択できません。また、増し杭工法および盛りこぼし橋台時も
選択できません。
Q1-4-5
増し杭の許容支持力の計算で周面摩擦力が 0 になっているのはなぜか?
A1-4-5
本プログラムの最大周面摩擦力度fは、
「地層」-「土質一覧」-「土質データ②」画面で設定,入力された値を計算時に
用いております。
おそらく、上記画面下部の「周面摩擦力:増し杭」が『入力』となっており、周面摩擦力度が0.0(kN/m2)が設定されていな
いでしょうか。
こちらに該当する場合、上記の選択を該当する工法に変更するか、周面摩擦力度を直接入力してください。
Q1-4-6
許容支持力の計算時に杭で置き換えられる部分の土の有効重量を考慮しない方法は?
A1-4-6
「計算条件」-「設計条件」-「支持力・引抜力」画面の「支持力の杭の有効重量」にて設定下さい。
本スイッチは、
「考慮」を
Ra = (γ/n)・(Ru - Ws) + Ws - W
としたとき、
「無視」 :W = 0.0,Ws>0.0
「簡易式」:W = Ws = 0.0
とします。
ただし、W>0.0,Ws = 0.0としたいということでしたら、現行では、この考え方のスイッチは用意しておりません。
この場合、下記手順にてご対処ください。
1)
「計算条件」-「入力条件」画面で「許容支持力・引抜き力=直接入力」と設定する。
2)
「予備計算・結果確認」-「許容支持力」画面の[計算]ボタンにより一度算出する。
3)計算書の「予備計算」-「許容支持力・引抜力の計算」を参照し、ご検討の許容支持力を別途算出する。
4)
「予備計算・結果確認」-「許容支持力」画面において、別途算出された許容支持力を直接入力する。
これにより、入力された許容支持力を用いて安定計算が行われます。
ただし、計算書の「予備計算」は、詳細な計算過程を出力することを目的としておりますが、設計者の方が別途算出され
た値を入力したとしても、この入力値から逆算して計算過程を出力することはできませんので、常にプログラム内部の計
算値を出力します。よって、入力値に対する出力書式とはなりません。
143
第3章 Q&A
Q1-4-7
群杭としての許容支持力照査を行うとき、入力する必要があるのはどのデータか。また、支持力係数はどこで指定するの
か?
A1-4-7
群杭の影響を考慮した常時,暴風時,レベル1地震時の支持力照査は、道示Ⅳ12.4.4(P.369~)を参照し対応したもので
す。
本照査を行う場合、仮想ケーソン基礎底面地盤の極限支持力度,支持力係数および群杭としての周面摩擦力度の算出用
として、
・「地層」-「土質一覧」-「土質データ②」画面
せん断抵抗力度τ
・「地層」-「土質一覧」-「土質データ③」画面の『底面地盤の土質データ』
基礎底面地盤の単位重量γ
基礎底面地盤の粘着力c
基礎底面地盤のせん断抵抗角φ
の入力が必要となります。上記の入力の他は、通常の安定計算の検討に用いる入力を用います。
なお、支持力係数はプログラム内部で自動算出しておりますが、計算実行後、
「計算・結果確認」-「安定計算」-「群
杭」画面下部のスイッチをチェックすることにより、任意の係数を直接指定することも可能です。
Q1-4-8
群杭としての許容支持力照査の結果はどこで確認することができるのか
A1-4-8
群杭としての許容支持力照査を「検討する」とした場合、安定計算とは別に群杭としての照査を行い、計算書の「安定計
算」-「群杭としての軸方向押込み力に対する検討」に検討結果を出力しております。
なお、お問合せが、常時,暴風時及びレベル1地震時の安定計算に用いる許容支持力として、群杭としての許容支持力を用
いるべきとお考えでしたら、申し訳ございませんが、お考えの照査は行っておりません。
道示Ⅳ12.3(P.352)では、
「杭の軸方向支持力,水平地盤反力係数等を単杭の場合より低減して考える必要があるが・・・
(中略)・・・この場合には群杭の影響について、12.4.4の規定により十分に検討する必要がある。」と記載されておりま
す。
群杭の影響について、別途十分に検討する必要があると記載されておりますが、12.4.1,12.4.2に示される許容支持力を
低減して考えなければならないとの記述はなく、よって、本プログラムでは、群杭としての許容支持力照査は安定計算とは
切り離して照査しております。
なお、本プログラムでは、
「計算条件」-「入力条件」画面で「許容支持力・引抜き力=直接入力」と設定することにより、
「予備計算・結果確認」-「許容支持力」画面にて許容支持力を直接入力することができます。
おそれいりますが、最終的には設計者の方がお考えの許容支持力を直接入力しご検討くださいますようお願いいたしま
す。
Q1-4-9
郡杭とした場合、仮想ケーソンとして照査しますが、根入れ(DF)を指定することはできますか?
A1-4-9
ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「許容支持力と許容引抜力」の『(6)群杭としての許容支持力照
査』に記載しておりますように、基礎の有効根入れ深さは、
「地層」画面で入力された『地盤面(常時)』から杭先端まで
の深さとしており、任意の長さを入力することはできません。
Q1-4-10
杭の許容支持力算出のためのW(杭及び杭内部の土の有効重量)を算出したいが、杭重量しか算出されない
A1-4-10
杭内部の土の有効重量は含まれないのか?
許容支持力算出における杭および杭内部の土砂の有効重量W(kN)は、
『土砂の有効重量』の計算方法が明確にされてお
りませんので『杭自重』のみを求めております。
参考に、ヘルプの「概要」-「プログラムの機能概要」-「適用基準および参考文献」に記載している『杭・ケーソン・鋼管
矢板および地中連続壁基礎の設計計算例(2000年2月)山海堂』に鋼管杭とPHC杭の設計例が記述されていますが、鋼管
杭ではWは考慮せず、PHC杭ではWは杭自重として算出しています。
144
Q1-4-11
「計算・結果確認」画面の「総括表」および「安定計算」において、許容支持力Ra,許容引抜力Paが「──」となり計算値
が表示されない
A1-4-11
本プログラムは、Ver.7.02.00において、
「作用力」-「荷重ケースごとの設定」画面の「安定照査をする」の設定により、荷
重ケースごとに基礎の安定性の照査を行うか否かを指定できるよう拡張いたしました。
上記画面において、
「安定照査をする」にチェックがない場合、安定照査は行っておらず、安定照査を行わないケースの
Ra,Pa,δaには『──』を表示しています。
安定照査を行う場合は、上記画面にて設定下さい。
Q1-4-12
摩擦杭、としても支持杭の安全率で計算されている
A1-4-12
「計算条件」-「設計条件」-「支持力・引抜力」画面の『摩擦杭で根入れ長が杭径の25倍(杭径1m以上は25m)以上あ
るとき、支持杭の安全率を用いる』が チェックされている場合、道示Ⅳ12.4.1(P.354)の「3)支持杭と同一の安全率を適
用できる摩擦杭の条件」の「②杭の根入れ長が杭径の25倍 (杭径1m以上の杭については25m)程度以上あること」よ
り、支持杭の安全率を用いて算出いたします。
こちらにチェックされていないかご確認をお願いします。
Q1-4-13
杭の許容支持力の計算で、γ:極限支持力推定法による安全率の補正係数を変更したい
A1-4-13
「基準値」-「杭基礎」-「許容支持力安全率」画面において、
『安全率の補正係数γ』を変更していただきますようお願
いいたします。
なお、本機能は、
「杭基礎の設計 Ver.7.05.00」で対応したため、それ以前のバージョンではγ=1.0固定としており、変
更することはできません。
よって、γ=1.0以外で設計したい場合は、 最新版をご利用くださいますようお願いいたします。
Q1-4-14
杭の軸方向許容押込み支持力,許容引抜き支持力の算出において、周面摩擦力を無視する方法は?
A1-4-14
本プログラムでは、任意の層(あるいは全層)の周面摩擦力を無視した計算を行う機能は用意しておりません。よって、周
面摩擦力を無視するスイッチ等は用意しておりません。
ただし、許容支持力の算出に用いる周面摩擦力は、
「地層」-「土質一覧」-「土質データ②」の「f」の欄にて直接入力す
ることができます。よって、本画面で周面摩擦力を考慮しない層の「f」の欄を0とすることにより、周面摩擦力を無視した
検討が可能です。
(※「f」を入力する場合、表の下部の「周面摩擦力」の選択を「入力」としてください。)
許容支持力の計算過程につきましては、計算書の「予備計算」-「許容支持力・引抜力の計算」に詳しく出力しています。
上記の設定を行った場合、周面摩擦力が想定した状態となっているか、必ずご確認ください。
なお、ご検討のケースが突出杭(設計地盤面が杭頭より下に位置する)であり、杭頭から設計地盤面の範囲の周面摩擦力
を考慮したくないということであれば、
「計算条件」-「設計条件」-「支持力・引抜力」画面の「設計地盤面より上の周面
摩擦力」を「無視」としてください。これにより、設計地盤面より上の周面摩擦力を無視した計算が行われます。詳しくは、
入力画面上の[ヘルプ]より開く説明をご参照ください。
Q1-4-15
道示Ⅳ12.4.4(P.372)の群杭の補正係数μを考慮したい
A1-4-15
群杭の補正係数μは、
「計算条件」-「設計条件」-「k値・Kv値」画面に入力を設けております。
本画面にて方向ごとの補正係数を入力してください。
Q1-4-16
SL杭を選択したとき、常時,レベル1地震時の許容支持力を低減していないのはなぜか
A1-4-16
本プログラムのSL杭の検討は、杭基礎設計便覧(H19.1)(P.430)「8.SL杭の設計計算例」を参照し作成したものです。
本文献では、
「SL杭は、杭に作用する負の周面摩擦力を低減するために、杭表面にすべり層材料を塗布したものであ
る。」のように、ネガティブフリクション対策杭を対象としています。
また、
・圧密沈下のように荷重の作用が遅い動きに対しては粘性体となり、せん断抵抗が小さくなって、負の周面摩擦力の低減
が可能となる。
・荷重が瞬間的に作用する場合には弾性体となり、大きなせん断抵抗が働く。
のように、圧密沈下のように除々に作用する荷重に対してのみ周面摩擦力を減じることができる杭とあります。
本プログラムでは、上記の考え方を参照し、通常の地震時等の照査では、施工工法に応じた支持力を発揮するものと考
えています。
ただし、この考え方は杭基礎設計便覧によるものです。
メーカ様の仕様によっては、常時や地震時において、通常の周面摩擦抵抗を期待できない可能性もあります。
よって、ご使用のパイルメーカ様の仕様をご確認いただき、常時や地震時においても周面摩擦力を低減する必要がある
のであれば、
「計算条件」-「入力条件」画面で「許容支持力・引抜力=直接入力」とした上で、
「予備計算・結果確認」-
「許容支持力」画面において、別途算出された許容支持力を直接入力してご検討ください。
145
第3章 Q&A
Q1-4-17
地層-土質一覧-土質データで「最大周面摩擦力推定方法:粘着力C」としているが、土質データ②のf、fnはN値から推定
されている
A1-4-17
砂質土を入力されていると思われます。
道示Ⅳ(P.362)表-解12.4.5より、粘着力による最大周面摩擦力度の推定は粘性土層に対するものと解釈し、砂質土につ
いては、本スイッチの選択にかかわらずN値から推定しております。
入力画面上のヘルプもあわせてご覧下さい。
砂質土層であっても粘着力から推定できるとお考えの場合、
「土質一覧」-「土質データ②」画面下部の『周面摩擦力』を
『入力』と選択し、最大周面摩擦力度を直接入力下さい。
Q1-4-18
直接基礎の極限支持力の計算で、設計条件-検討項目で設計要領「H12年」と「H18年」の計算内容の違いは
A1-4-18
直接基礎の鉛直支持力照査における、地盤の極限支持力度,及び基礎の寸法効果に対する補正係数は、道示Ⅳ(H14.3),
設計要領第二集(H18.4)でその表現が異なり、それぞれ以下のようになります。
1)道示Ⅳにおける地盤の極限支持力度
Qd=α・κ・C・Nc・Sc+1/2・γ1・β・Be・Nγ・Sγ+κ・q・Nq・Sq
ここに、
Sc,Sq,Sr:支持力係数の寸法効果に関する補正係数
Sc=(c*)^λ
Sq=(q*)^ν
Sr=(B*)^μ
λ=ν=μ=-1/3
2)設計要領第二集における地盤の極限支持力度
qd=α・κ・C・Nc・(C*)^λ+1/2・β・γ・Be・Nr・(B*)^μ+κ・q・Nq・(q*)^ν
ここに、
λ,μ,ν:基礎の寸法効果に対する補正係数(=-1/3)
しかしながら、上記にてお分かりの通り、表現上の相違だけで両者の算式は一致しております。よって、計算内容に違いは
ございません。
また、
「道路橋示方書」と「設計要領」を選択した場合の入力内容の変化に関しましては、各入力画面より開くヘルプに、
それぞれが選択された場合に関する説明を記載しておりますので、そちらをご参照ください。
(該当箇所は赤文字でそれ
ぞれのタイトルが付けられております)
Q1-4-19
レベル1で液状化しないのに、
「予備計算」-「許容支持力・引抜力の計算」に液状化考慮の場合の計算結果が出力される
のはなぜか
A1-4-19
本出力箇所において「液状化有」の場合の結果が出力されるのは、以下の条件がそろっている場合となります。
①「地層」-「低減係数」画面において、
「DE レベル1」にDE < 1.000となる層が1層でも存在している場合。(液状化
の判定を内部で行う場合も、DEを直接入力される場合も同様です)
②「計算条件」-「基本条件」画面において、常時,レベル1地震時の「液状化の影響」で『考慮』がチェックされている
場合。
恐らく基礎天端より上、または杭先端以降の層(基礎天端から杭先端までの間の層以外)にDE<1.000となる層が存在し
ているのではないかと思われます。
このような場合、基礎天端から杭先端までの間に液状化の影響を考慮すべき層が存在していないため、
「許容支持力の算
出値に液状化の影響は及ばないが、液状化する地層自体は存在している」という状態になり、上記の条件に該当するため
液状化有の結果も出力されます。
本件につきましては、
「計算条件」-「基本条件」画面において、常時,レベル1地震時の「液状化の影響」の『考慮』の
チェックを外す、もしくは、基礎天端から杭先端が存在する層以外の層の「DE レベル1」を1.000とご入
力いただくことでご対処いただきますようお願いいたします。
※基礎天端から杭先端が存在する層に対して、液状化の判定をプログラム側で行い内部計算されたDEを使用したい場合
は、以下の手順でご入力ください。
①「地層」-「計算条件」画面で、
「液状化の判定を行う」をチェックし、
『低減係数DE=内部計算』とする。
②同画面の「低減係数」タブを開き、基礎天端から杭先端が存在する層の「DEレベル1」が適切にセットされているか
確認する。
③再度「計算条件」タブに戻り、
『低減係数DE=入力値』に変更する。
(②でセットされていた値は保持されています)
④「低減係数」タブにおいて、基礎天端から杭先端が存在する層以外の層の「DEレベル1」を1.000とする。
146
Q1-4-20
道路橋示方書には、群杭として照査する場合の2つの方法の記述があり、
「仮想ケーソンとして算定」はできますが、
「円
形で照査」はできませんが、理由はなんですか
A1-4-20
道路橋示方書には、ご指摘の2つの方法を記述し、
「いずれかの方法で照査を行う」ものとなっており、両方を行う必要は
ないものと解釈し、
「仮想ケーソンとして算定」する方法を採用しております。
Q1-4-21
N値=4 砂礫層 の条件下で、最大周面摩擦力度fi=0 となりますが根拠の出典を、お教え下さい
A1-4-21
道路橋示方書Ⅳ(H24.3) (P.140)で、N値が5未満となる軟弱層においては「標準貫入試験の結果からせん断強度を推定
するのは適当でない」との記載があります。そのような場合は粘着力から推定することができます(スイッチで選択)。
本記述は粘性土の場合ですが、砂質土の場合は常にN値から推定しているため、粘性土の粘着力のような代わりの指標
となるものがないため、N値が5未満の場合には最大周面摩擦力を0として設定しております。
Q1-4-22
鋼管杭で支持層部の周面摩擦力度が0になる場合があるがなぜか
A1-4-22
鋼管杭で打ち込み杭の場合で、支持層が「軟岩・土丹」の場合は、道路橋示方書Ⅳ下部構造編(P.625)「10.軟岩・土丹を
支持層とする打ち込み鋼管杭の軸方向押込み支持力の推定方法(案)」により支持力算定を行います。
この場合、支持層の周面摩擦力は考慮しません。
本ケースはこれに該当するため、支持層内の周面摩擦力を考慮しない値で計算しています。
「軟岩・土丹」と判断されるケースは、以下の場合となります。
1)[計算条件]-[設計条件]-[支持力・引抜力]-[極限支持力度の算出方法]を「計算」
2)杭種が「鋼管杭」
3)施工工法が「打込み」
4)[地層]-[土質一覧]-[土質データ③]のquを設定する場合
上記に付きましてはヘルプの[基礎の設計計算]-[操作方法]-[メニューの操作]-[入力]-[杭基礎]-[計算条件]-[極限支持力度
の算出方法]に記載されておりますので併せてご参照ください。
通常(支持層が「軟岩・土丹」ではない場合)の支持力の算定方法で極限支持力度を算定する場合は、以下のいずれかに
依ってください。
1)[計算条件]-[設計条件]-[支持力・引抜力]-[極限支持力度の算出方法]を「入力(地層データ)」とし、[地層]-[土質一
覧]-[土質データ③]のqdを直接入力する。
2)[計算条件]-[設計条件]-[支持力・引抜力]-[極限支持力度の算出方法]を「計算」とし、[杭配置]-[腐食代・その他]の「極
限支持力度qd算出用(打込み杭)換算根入れ比」と「設計N値」を設定する(※[地層データ]-[N値]の「N値測定点を入
力する」場合は自動設定できます)。
Q1-4-23
レベル2地震時の照査に用いる支持力の上限値について直接入力は可能か
A1-4-23
[計算条件]-[入力条件]で、レベル2地震時の「押込み/引抜支持力の上限値」を「直接入力」に設定します。
その後、[レベル2地震時照査]-[杭本体]-[その他]で、支持力上限値の表より変更可能です。
Q1-4-24
算出の際、支持層への換算根入れが「0.00」になるのはなぜか
A1-4-24
[杭配置]-[根入れ比・変位量]画面の「極限支持力度qd算出用(打込み杭)」-「換算根入れ比」の値をご確認ください。
同画面から開きますヘルプにも記載しておりますが、以下の場合、杭端の極限支持力度qd算出に用いるデータはこちらで
入力します。
(N値についてもこちらで入力してください。)
・[計算条件]-[設計条件]-[支持力・引抜力]画面の「極限支持力度の算出方法」が『計算』
・杭種:鋼管杭, RC杭, PHC杭, PC杭, SC杭, SC+PHC杭,H形鋼杭
・施工工法:打込み杭(打撃/バイブロハンマ), 中掘り杭(最終打撃)
147
第3章 Q&A
1-1-5 地盤反力係数、杭軸方向のバネ定数
Q1ー5-1
任意の杭のバネ値を低減させて計算する方法はあるのか
A1-5-1
水平方向地盤反力係数は、
「計算条件」-「入力条件」画面で「直接入力」としているとき、
①常時,レベル1地震時
「予備計算・結果確認」-「k値」画面
②レベル2地震時
「地盤データ」-「水平方向地盤反力係数」画面
にて入力することが可能です。
ただし、本プログラムでは、杭の条件(杭径、厚さ、杭長、斜角、先端バネ、地層、断面2次モーメント)が等しい杭を同一タイ
プとし、各杭をタイプ分けして杭タイプ番号を割り振り、この杭タイプごとにバネ値の設定を可能としています。
よって、バネ値を変更したい杭を別タイプと判断されるよう設定することにより、この杭に対する修正を行うことが可能とな
ります。
具体的には、次のように設定します。
1)
「杭配置」-「基本条件」画面で『杭径・杭長の変化=あり』と設定します。
2)変更したい杭の杭長を僅かに(0.01(m)程度)変更します。
3)上記①,②の画面にてバネ値を設定します。
Q1ー5-2
群杭による低減係数を指定することはできるか
A1-5-2
本プログラムでは、道示Ⅳ 12.4.4(2)(P.372)に示される、群杭効果による水平方向地盤反力係数の低減を考慮した安定計
算に対応できるよう、
「計算条件」-「設計条件」-「k値・Kv値」画面に『k値の補正係数μ』の入力を設けており、入力さ
れた補正係数μを水平方向地盤反力係数に直接乗じて安定計算を行います。
ただし、杭中心間隔L,杭径Dからμを求めることはできません。別途算出された方向ごとの補正係数μを直接入力してくだ
さい。
Q1ー5-3
鋼管杭でKvを計算する際、鋼管肉厚が変化している場合、杭の断面積は杭頭(杭体第1断面)の断面積を使用してもよいか
A1-5-3
杭軸方向バネ定数Kvの算出に用いる杭の断面積は、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「杭バネ定数の計
算」-「(2)杭軸方向バネ定数」に記載しておりますように、常に杭頭(杭体第1断面)を用いて算出しております。
これは、次の理由によります。
道示Ⅳ12.6.1(P.374)に、
「打込み杭等のApは杭頭(上杭)の純断面積を採用している。」と記載されています。
また、
「鋼管杭基礎の設計と施工 道路橋示方書(平成14年3月版)改訂対応 (平成14年4月)鋼管杭協会」の設計例でも、鋼
管杭で中掘り杭工法(セメントミルク噴出攪拌方式)のKv算出において、
Ap:杭頭(上杭)の純断面積(腐食しろ考慮)
と記載されています。
上杭以外の断面積を用いて安定計算したい場合は、別途算出された杭軸方向バネ定数Kvを、
「予備計算・結果確認」-「Kv
値」画面に直接入力していただきますようお願いいたします。
Q1ー5-4
STマイクロパイルで、突出長が存在する場合、杭軸方向鉛直バネ定数Kv算出に用いるLは地中部の杭長で計算しているの
はなぜか
A1-5-4
STマイクロパイルの対応時に参照した「既設基礎の耐震補強技術の開発に関する共同研究報告書(その3) STマイク
ロパイル工法(6冊分の3) 平成14年9月」において、杭軸方向鉛直バネ定数Kv算出に用いるLは、
「鋼管の根入れ長で、
フーチング下面から鋼管先端までの長さ(m)」と記載されております。
よって、本プログラムでは、根入れ長は地中部と判断し、地中部の杭長で計算しております。
Q1ー5-5
地層傾斜を考慮して、斜面の傾斜の影響を考慮したい場合、手入力等で地盤ばねの変更は出来るか
A1-5-5
可能です。
▼レベル1地震時
①[計算条件]-[入力条件]画面の「水平方向地盤反力係数k」の値を「直接入力」にします。
②[予備計算・結果確認]-[k値]画面で入力してください。
※斜面の傾斜を考慮した地盤ばねの低減を行うとき、ここで入力,設定された斜面部のk値を用いて低減します。
▼レベル2地震時
①[計算条件]-[入力条件]画面の「地盤データ」の値を「直接入力」にします。
②[レベル2地震時照査]-[地盤データ]画面の「水平地盤反力係数」について入力してください。
148
1-1-6 杭配置・作用力
Q1ー6-1
「杭縁端距離に誤りが有ります」という警告で「強行」しても問題ないか?
A1-6-1
杭縁端距離のデータチェックは、杭径・杭長変化あり/なしで下記のように異なります。
■杭径・杭長変化なし、且つ、地層傾斜なし
「杭配置」-「寸法」画面で入力された『杭縁端距離』を用いてチェックを行っております。
■杭径・杭長変化あり、または、地層傾斜あり
全杭同一の杭径にならないケースがありますので、杭径・杭長変化なしのように『杭縁端距離』ではチェックせず、杭頭
座標を用い道示Ⅳ図-解12.3.1(P.352)より杭1本ごとにチェックを行っております。
上記道示には場所打ち杭の縁端距離は1.0Dと記載されておりますが、お送りいただいたデータの場合、1.0D=1.2(m)
に対して杭縁端距離=0.85(m)(=底版幅/2-最外縁杭座標)となりますので、お問合せのメッセージを表示しておりま
す。
なお、本プログラムの杭基礎の計算は、道示Ⅳ12.7(P.378~)に記述されている変位法により照査しており、杭1本ごとに
着目し、各杭の中心軸にてモデル化し計算しております。
杭ごとの相互作用は考慮しておらず、たとえ杭が重なっていたとしても計算することが可能ですが、十分な杭中心間隔を有
しないケースにおける計算結果の適用の是非につきましては、設計者の方のご判断により決定していただくようにしてお
り、
「杭配置」画面にて警告のみ表示し、
[強行]により計算可能としております。
Q1ー6-2
盛りこぼし橋台において、盛土のN値の入力がないが、どのように取り扱っているのか?
A1-6-2
盛りこぼし橋台の設計において、盛土部のN値は、地盤の変形係数Ekより自動設定しています。このため、任意の値を入
力することはできません。
これは、
「設計要領第二集 4章基礎構造(平成18年4月)NEXCO」(P4-52)の記述、
「良質な材料で十分な締固め施工を
行うことを前提に、N≒15程度の地盤が造成されることを想定して、
・・・Ek≒700N≒10000(kN/m2)程度としてよい。」
を参照し、盛土部の土質データの入力を、N値ではなく地盤の変形係数Ekの入力とし、
N=Ek/700
として算出した値を用いていることによります。ご了承ください。
Q1ー6-3
「橋台の設計」と連動して増し杭工法による補強設計を行うとき、
「橋台の設計」側の計算書の「安定計算」-「作用力の
集計」-「(2)フーチング中心での作用力の集計」で出力している作用力の値と、
「基礎の設計計算,杭基礎の設計」側に連
動されている作用力の値が異なるのはなぜか
A1-6-3
「基礎の設計計算,杭基礎の設計」では、増し杭工法時のとき、既設底版下面中心を杭頭座標の原点位置(X=0.000,Y
=0.000)としており、この位置における作用力を集計し、この位置における結果(原点変位)を算出しております。
これに対し、
「橋台の設計」で出力している作用力は、増設後の底版下面中心における作用力となります。
作用力の集計位置が異なることから、両者の作用力には相違が生じており、具体的には、鉛直力によるモーメント(=偏
心量×鉛直力)分の相違が生じます。
Q1ー6-4
プレロードを行うケースと行わないケースで結果がほとんど同じである
A1-6-4
プレロードを行う/行わないは、地盤変位荷重載荷時のみに影響します。
地盤変位荷重載荷時は、
・プレロードを行う場合:地盤変位による水平荷重を考慮
・プレロードを行わない場合:地盤変位による水平荷重と施工時地盤変位による水平荷重の1/2を考慮
となります。
なお、施工時地盤変位による水平荷重が小さい場合、プレロードを行う/行わないの結果は近い値になる場合がありま
す。
また、両者の杭体が塑性化した場合、
「計算・結果確認」-「レベル2地震時計算」-「一覧表」画面で表示される曲げ
モーメントは殆ど同じ値になります。
149
第3章 Q&A
Q1ー6-5
「地層最深≦設計杭長になっています。」という警告にはどのように対処したらよいか
A1-6-5
本警告は、杭先端が入力された地層データの最下端より深くなっている場合に表示されます。
以下の手順により、正しくデータが設定されているかご確認ください。
1)
「地層」-「地層線」画面を開き、画面下部の「入力方法」を『標高入力』にします。
2)最下層の標高を確認します。
3)
「杭配置」-「基礎天端」画面の『基礎天端標高』を確認します。
4)3)の『基礎天端標高』と「杭配置」-「データ」画面の『設計杭長』から杭先端の標高を算出します。
5)上記2)の最下層の標高と、4)の杭先端標高を比較し、杭先端が層下端以深となっていないか確認し、層下端以深と
なっているのであればデータの修正を行います。
なお、地層傾斜を考慮する場合、または杭長の異なる杭が混在している場合、それぞれの杭について確認する必要があり
ます。
150
Q1ー6-6
「杭配置」画面の「充填範囲」とは何か
A1-6-6
充填範囲とは、既製杭(PHC杭,PC杭,RC杭)において、道示Ⅳ図-解12.9.9に示される杭内部に充填されるコンク
リートの範囲を示しています。通常、2.5D(D:杭外径)以上の範囲に充填されます。
な お、本入力は、杭体のM-φ関係の算出に反映させており、道示Ⅳ(P.410)に記載されておりますように、中詰めコンク
リート充填部においては道示Ⅴ耐 震設計編10.4、一般部(杭の内部にコンクリートが充填されていない区間)においては
道示Ⅲコンクリート橋編4.2.4を適用しています。
Q1ー6-7
場所打ち杭の時、
「杭配置」画面の『断面の変化』と「断面計算」-「使用鉄筋」画面」の『断面数』の入力があるが、どち
らの入力が適用されるのか
A1-6-7
「杭配置」画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、場所打ち杭のときは、
「杭配置」画面の『断面の変化』スイッチ
は無効となり、
「断面計算」画面の断面数が有効となります。
ただし、全杭同一条件以外(地層傾斜あり,杭径・杭長変化あり,斜杭あり)の場合、且つ、
「計算条件」-「設計条件」-
「応力度照査」画面で『地層傾斜,杭径・杭長変化,斜杭あり時の杭体応力度計算方法=杭および断面を指定して計算』
のときは、
「杭配置」画面で設定した『断面の変化』が有効となります。
Q1ー6-8
斜杭の杭長は、斜角を考慮した長さを入力するのか。斜角を考慮した実杭長が既知のときはどのように入力するのか
A1-6-8
本プログラムの杭長の入力は、斜杭であっても、斜角を考慮しない鉛直方向での杭長を設定していただく仕様として
おり、安定計算,杭体断面力の算出時、斜角を考慮した杭長をプログラム内部で算出しています。杭長の入力は斜角によら
ず一定となることから、斜角を変更しても杭長を修正する必要はありません。
ただし、場合によっては、斜角を考慮した実杭長が既知の場合もあると考えられます。しかしながら、本プログラムでは、
このようなケースを想定しておりません。よって、このような場合、鉛直方向での杭長を逆算(=実杭長/cosθ)して求め、
この長さを入力してください。
Q1ー6-9
H形鋼杭の腐食代を考慮した計算は可能か
A1-6-9
本プログラムのH形鋼杭は、
「基準値」-「杭 基礎」-「杭体データ」-「H形鋼杭」画面に日本工業規格の『JIS A
5526』の諸元を初期設定しており、初期状態においては、本諸元を用いるようにしています。この場合、錆代を考慮しな
い断面諸量が適用されます。
ただし、本プログラムでは、
「杭配置」-「錆代・変位量」画面の「断面諸量を計算する」をチェックすることにより、プロ
グラム内部にて断面諸量を算出することが可能です。この場合、錆代を設定すると、これを考慮した断面諸量が算出さ
れ、これを用いた照査が行われます。
錆代を考慮した断面諸量の算出方法については、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「H形鋼杭の断面
諸量」を参照して下さい。
Q1ー6-10
「杭配置」-「杭 データ」の『せん断KS』、
『回転KR』にはどのような値を入力したらよいか
A1-6-10
杭先端せん断バネ定数ks,回転バネ定数krは、
「計算条件」画面で「杭先端条件=バネ」と指定された場合に入力可能
となります。
ここで入力されたバネ定数は、杭軸直角方向バネ定数K1~K4の算出に使用されます。
本プログラムでは、杭軸直角方向バネ定数K1~K4算出時、杭先端条件を次のように取り扱って おります。
・固定
水平,回転ともに拘束されている(杭先端で水平,回転変位が生じない)ものとして計算します。
・自由
水平,回転ともに拘束されていないものとして計算します。
・ヒンジ
水平方向が拘束され、回転は拘束されていないものとして計算します。
・バネ
杭先端が次の関係となるものとして計算し、これを想定しております。
せん断力=せん断バネ×水平変位
曲げモーメント=回転バネ×回転変位
(※このせん断バネ,回転バネが、お問合せのKS,KRとなります)
詳しくは、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「安定計算および杭体断面力の計算」
(1)杭体の断面力と変位の関係式
(2)杭先端条件と杭1本当たりのバネ値
をご参照ください。
Q1ー6-11
同じ列の各々の杭に異なる斜角を持たせることはできるか
A1-6-11
本プログラムでは、
「杭配置」-「基本条件」画面で『斜杭=あり』としたとき、同画面の「斜角」ページにて斜角を設定し
ますが、このときの斜杭の入力方法は、地層傾斜の有無,杭径・杭長変化の有無により異なり、それぞれ次のようになりま
す。
①地層傾斜,杭長・杭径の変化がいずれもない場合
各杭列ごとに斜角を設定します。よって、同列内に異なる角度を設定することはできません。
②地層傾斜あり,または杭長・杭径の変化がある場合
杭1本ごとに斜角を入力します。よって、全杭に対し異なる角度を設定することができます。
Q1ー6-12
盛りこぼし橋台で「レベル2地震時の地盤抵抗の考え方」の地盤抵抗の非線形性の盛土部のスイッチを変更したが照査結
果が変わらない
A1-6-12
盛土部が塑性化しない(地盤反力度が上限値に達しない)場合は、スイッチによる影響は生じません。
Q1ー6-13
H形鋼杭の材質はSHK400,SKH490しか使用できないのか
A1-6-13
対応材質はSHK400,SKH490のみとなります。他の材質を使用したい場合は、
「許容値」画面におきまして許容値を変更
していただくことでご対応ください。但し、名称等の変更はできません。
Q1ー6-14
作用力入力における「既設死荷重時」の荷重ケースは削除できるか
A1-6-14
増し杭工法選択時は固定設定となっているため削除はできません。
Q1ー6-15
増し杭底版で杭配置の設定が有効化されない。
「杭配置」-「増し杭」-「杭配置」で杭を有効・無効とする設定が確定
されていないのはなぜか
A1-6-15
無効とする杭の設定が反映されていない原因として、
「杭配置」-「杭配置」-「整形配置」側で適用ボタンを押していな
いことが考えられます。その場合は「移動」タブで設定を終えた後、
「整形配置」タブで適用ボタンを押して頂く必要がご
ざいます。
151
第3章 Q&A
1-1-7 突出部の水平荷重
1-1-8 底面全面水平抵抗
Q1ー8-1
底版前面水平抵抗を考慮した常時,レベル1地震時の安定計算において、底版前面の受働土圧強度は計算にどのように反
映しているのか
A1-8-1
本プログラムの底版前面水平抵抗を考慮した計算は、道示Ⅳ12.8(P.382~)を参照し作成しています。
具体的には、
「杭配置」-「水平抵抗」画面で入力された層厚,常時/地震時ごとのバネ値を用いて、道示Ⅳ(P.383)(解
12.8.3)より、底版前面のバネによる剛性行列を算出し、道示Ⅳ12.7(P.380)(解12.7.2)の杭基礎の剛性行列に加味して杭
基礎の計算を行います。
(※実際には、kH が一定あるいは台形分布であっても適用できるよう道示の算式を拡張してい
ます。)
ここで、道示Ⅳ(P.383)では、根入れ部の地盤反力度(=水平変位×水平方向地盤反力係数)が抵抗受働土圧強度を超え
ないことを確認するように記述されています。
このため、本プログラムでは、受働土圧強度を入力していただき、計算書の「安定計算」-「底版前面水平抵抗」の「判定
結果」において、塑性域が生じたか否か(根入れ部の地盤反力度が受働土圧強度に達したか否か)を出力しています。
具体的には、塑性域が生じていなければ「全弾性」,部分的に塑性域が生じた場合は「弾塑性」,底版前面の全範囲が塑
性化した場合は「全塑性」と出力しています。
なお、塑性域が生じた場合(「弾塑性」,
「全塑性」となる場合)、本プログラムでは、ヘルプの「計算理論及び照査の方
法」-「杭基礎」-「安定計算および杭体断面力の計算」の「(4)フーチングの前面水平抵抗力」に記載しておりますよう
に、弾塑性を考慮した計算を行っています。
具体的には、繰り返し計算により弾塑性の境界点を求め、弾性域は(解12.8.3)による剛性行列の補正を、塑性域は(解
12.8.3)を適用することができないことから抵抗受働土圧による底版下面の水平力,モーメント(作用力の補正値)を算出
し、これを基礎に作用する荷重に加味して計算しています。
ただし、前述の通り、道示では、根入れ部の地盤反力度が抵抗受働土圧強度を超えないよう記述されています。
上記の弾塑性解析結果を採用するか否かは、設計者ご判断としてください。
Q1ー8-2
底版前面水平抵抗のP1、P2の入力はどのように入力するのか
A1-8-2
受働土圧強度P1、P2については設計者様の手入力により設定して頂く項目となります。
前面地盤抵抗の上限値の算定に用いる受働土圧係数に付きましては、道路橋示方書では明記されておりませんが、
「道
路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)」
(通称 青本)では、レベル2地震時に用いる前面地盤抵抗についてです
が、
「ケーソン基礎に準じて」と記述されておりますことから、道路橋示方書Ⅳ下部構造編(平成24年3月)(P.339)の受
働土圧係数の算定式(解11.5.10)を用いるのが適当と考えられます。
(解11.5.10)は、常時と地震時の受働土圧係数の算定式となっております。
1-1-9 安定計算(杭反力・変位)
Q1ー9-1
底版形状は常に入力する必要があるか?
A1-9-1
本プログラムの杭基礎の安定計算は、基礎天端(杭頭)から杭先端までをモデル化して照査しており、底版形状は計算に
影響を与えません。
底版形状は、
・常時,レベル1地震時の作用力自動計算
・底版照査(許容応力度法,レベル2地震時)
・「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(杭基礎)」画面の『作用力計算』ボタンによる底版下面中心における鉛直力
の算出
・「底版前面水平抵抗」画面の[データ連動]
に用いており、これらの照査を行わない場合、入力の必要はありません。
なお、上記計算のする/しないは、
「計算条件」-「基本条件」画面で選択してください。
152
Q1ー9-2
温度変化時に対して、安定計算を行わず部材照査のみを行いたい
A1-9-2
本プログラムでは、Ver.7.02.00において、
「作用力」-「荷重ケースごとの設定」画面の「安定照査をする」を設定すること
により、荷重ケースごとに基礎の安定性の照査を行うか否かを指定できるよう拡張しております。
本機能は、道示Ⅳ3.2(P.140)の「温度変化時の影響によって基礎は不安定にならないと考えられることから、基礎本体部
材の安全性の照査のみ行えばよい場合が多い。」の記述を参照し対応したもので、上記の「安定照査をする」のチェック
を外した場合、基礎の水平変位や鉛直反力等は算出されますが、制限値(許容支持力や許容変位)に対する判定は行わ
ず、また出力もされません。
Q1ー9-3
杭径や杭長の異なる杭が混在しているとき、常時,レベル1地震時の安定照査は、どの杭に着目して行っているのか
A1-9-3
全杭同一条件(全杭の杭径・杭長が同一で水平地盤)であれば、全杭の設計地盤面変位は同値となり、また、押込み側の
最前列の杭鉛直反力が最大,引抜き側の最後列が最小となるため、この杭に着目して安定照査(支持力照査)を行えばよ
いことになりますが、地層傾斜や杭長・杭径の異なる杭が混在する条件のとき、許容値に対してどの杭が厳しくなるか一
概に判断することはできません。
したがって、本プログラムでは、杭1本ごとに水平変位,杭頭反力を算出し、算出された水平変位,杭頭反力に対し、
・|PNmax/Ra|
・|PNmin/Pa|
・|δ/δa|
ここに、
PNmax:最大杭鉛直反力(kN)
Ra :許容支持力(kN)
PNmin :最小杭鉛直反力(kN)
Pa :許容引抜力(kN)
δfx :設計地盤面における水平変位(mm)
δa :許容変位量(mm)
のように、許容値に対する比(許容比)を算出し、全杭の中から最大許容比となる杭の結果を出力しています。
計算書の「基礎杭計算結果一覧表」あるいは「結果一覧の出力」-「安定計算・杭体応力度」の出力結果がこれに該当し
ます。また、設計調書の出力も同様です。
これに対し、計算書の「安定計算」-「杭反力および変位の計算」では、杭ごとの結果を出力(ただし同結果となる杭は代
表となる杭のみ出力)しており、抽出前の各杭の結果を確認することができるようにしています。
なお、上記の抽出方法は、
「計算条件」-「設計条件」-「その他の条件」画面の『抽出方法』の選択により、
・計算値と許容値の比(計算値/許容応力度)
・計算値と許容値の差(計算値-許容応力度)
から選択することができるようにしています。
Q1ー9-4
杭頭条件を「剛結・ヒンジ」と指定しても安定計算結果には剛結時のみが出力されている。杭頭ヒンジの安定計算結果は
出力しないのか
A1-9-4
常時,暴風時及びレベル1地震時の杭基礎の安定照査(安定計算)は、道示Ⅳ12.1(P.348)のとおり、
1)杭の軸方向反力が許容支持力以下であること
2)設計地盤面変位が許容変位以下であること
を照査しておりますが、本照査は、同解説「・・・杭の頭部をフーチングと剛結合する杭基礎を対象とする。」のとおり、杭
頭剛結を対象としています。
道示Ⅳ12.9(P.388)において、
「杭頭剛結合であっても、杭頭ヒンジ結合と仮定した場合の曲げモーメントと比較して、そ
の大きい方で設計するものとする。」と記載されており、杭頭ヒンジと仮定した場合の照査も行うよう記載さ れています
が、本プログラムでは、本解説は杭体断面照査を目的としたもので、上記の安定計算は対象外であると判断しています。
よって、安定計算の結果出力を行うことを目的とした計算書の「安定計算」には、剛結時の結果のみを出力しています。
ただし、計算書の[プレビュー]ボタンのある「出力項目の設定/選択」画面にお いて、
『杭頭ヒンジの出力=する』と選
択しプレビューすることにより、杭頭ヒンジ時の結果出力(水平変位および杭頭反力等)も行っており、杭体断面照査に用
いる断面力の算出根拠として確認できるようにしています。
153
第3章 Q&A
Q1ー9-5
作用力自動計算において、底版の慣性力が考慮されない
A1-9-5
作用力入力画面上の[ヘルプ]の『■柱下端作用力』に記載しておりますように、
「柱下端作用力」タブの『慣性力』欄に、
慣性力の有無および向きを入力していただくようにしております。
地震時ケースに対して、慣性力=1(正方向)または2(負方向)を設定して下さい。
Q1ー9-6
結果一覧の安定計算,部材計算の出力では、どのような方法により複数の荷重ケースから出力ケースを決定しているのか
A1-9-6
結果一覧の安定計算,部材計算の出力は、それぞれの出力項目ごとに、許容値に対する計算値が最も厳しくなる荷重ケー
スを1つ抽出し、この荷重ケースの結果を出力しています。
例えば、安定計算においては、全荷重ケースについて、
(1)変位/許容変位量
(2)最大反力/許容支持力
(3)最小反力/許容引抜力
を求め、これらの許容比が最大となる荷重ケースを判定し、この荷重ケースの変位,最大反力,最小反力等を出力します。
変位,最大反力,最小反力ごとに最も厳しくなる値を抽出しているわけではないため、現行では、変位,最大反力,最小反
力それぞれが最も厳しい値とはならないこともあります。
杭体応力度やその他の部材計算結果についても同様です。
Q1ー9-7
杭を1本抜いた場合、2.5次元解析では杭頭の鉛直反力と水平反力はどのように算出されるのか
A1-9-7
杭頭鉛直反力は、道示Ⅳ12.7(P.380)(解12.7.3)より、次のように算出されます。
PNi = Kv・δyiʼ
ここに、
PNi :杭軸方向反力(kN)
Kv:杭の軸方向バネ定数(kN/m)
δyiʼ:杭頭軸方向変位(m)
座標原点に対して左右対称に杭が配置されている場合、鉛直力のみを載荷すると、基礎は一様に沈み込むため、杭軸方
向変位δyiʼは全杭とも同一となり、全杭の杭頭鉛直反力PNiも同一となります。
これに対し、1本でも杭が抜けていると、鉛直反力のみを載荷したとしても、基礎全体に回転が生じます。このため、各杭
の杭軸方向変位δyiʼは座標原点位置からの距離に応じて異なり、回転側の杭頭鉛直反力は大きく、反対側の杭頭鉛直反
力は小さくなります。
これに対し、杭の水平変位はどうでしょうか。
道示では、フーチングを剛体と仮定しています。フーチングは変形しないものと仮定していることから、剛体であるフーチ
ングに付けられた杭の変位は全杭同一となり、杭ごとに変わるわけではありません。
なお、2.5次元解析の場合の杭の変位δは、
δ=√(δy^2+δx^2)
ここに、
δy:y方向の変位
δx:x方向の変位
としています。
また、杭頭水平反力は、(解12.7.3)より、
PHi = K1・δxiʼ - K2・α
ここに、
K1, K2:杭の軸直角方向バネ定数
δxiʼ:杭頭の軸直角方向変位
α:フーチングの回転角
として求まります(2.5次元解析の場合は本式と異なりますが、簡単のため上記式を用いて説明します。)
K1,K2は、杭体の曲げ剛性や水平方向地盤反力係数kH分布および杭先端条件より求まる杭頭の集約バネのことで、杭体
諸元や地盤条件が同一であれば同じ値となります。
また、上記のとおり、杭頭の水平変位δxiʼは全杭同一です。
フーチングの回転角αについても、剛体と仮定していることから、全杭の杭頭位置での回転角は同一です。
つまり、全杭の条件で同一であれば、K1もK2もδxiʼもαも同値となるため、全杭の杭頭水平反力は同値となることを示し
ています。
以上より、杭が1本抜けることにより基礎の回転が生じる状態となったとしても、杭頭水平反力は杭ごとに異なる結果とは
なりません。
154
Q1ー9-8
道示Ⅳ(P.245)において、橋台基礎の場合、常時の許容変位量は15(mm)と記載されているが地震時はどうしたらよいか
A1-9-8
道示Ⅳ(P.245)において、橋台基礎の場合、常時について記載されておりますが地震時については記載されておりませ
ん。
よって、地震時の場合は、
(1)原則として基礎幅の1%とする。
(2)基礎幅>5.0(m)の場合は50(mm)とする。
(3)杭径1.5(m)以下は15(mm)とする。
でよろしいのではと思われます。
なお、杭基礎設計便覧の表-参.5.6(P.395)において、深礎基礎についてですが、橋台基礎のレベル1地震時は橋脚基礎
と同じ許容変位
量をする旨が記載されております。
Q1ー9-9
杭頭ヒンジ接合の場合において曲げモーメント図が出力されない理由は何か。一列杭を想定している
A1-9-9
1列杭のヒンジ接合となっている状態においては、荷重を与えた場合フーチングの回転角が計算不能であるため、計算を
行わない仕様となっています。そのため、断面力図におきましてもヒンジ接合では図を出力しないものとなっています。
Q1ー9-10
杭の安定計算の杭頭剛結はOKで杭頭ヒンジはNGだが、安定計算結果の表示はOK(緑)となっている
安定計算の表示は”NG”と表示されるのではないか
杭頭剛結でOKならば、杭頭ヒンジでNGでも安定計算はOKでよいか
A1-9-10
杭頭条件を剛結・ヒンジで照査を行う場合は、安定計算は剛結で判定を行い、ヒンジは地中部曲げモーメントの参照の
み行います(杭体応力度照査に用います)。
従いまして、ヒンジの安定照査は行う必要はありませんので、計算結果の判定は参考値とお考えください。
道示Ⅳでは、12.1の解説に、
「・・・杭の頭部をフーチングと剛結合する杭基礎を対象とする。」と記述されており、また、
道示Ⅳ12.9.1の解説に杭頭ヒンジ結合と仮定した場合の曲げモーメントを考慮して杭体照査を行うことが記述されていま
す。
本プログラムでは、道示Ⅳ12.9.1の解説は、杭体断面照査を目的としたもので、安定照査(杭の軸方向反力≦許容支持
力・引抜力,変位≦許容変位)は対象外であると判断しています。
また、本プログラム作成にあたって参照させていただいたヘルプの「概要」-「プログラムの機能概要」-「適用基準およ
び参考文献」に記載している参考文献の設計計算例にも杭頭剛結合で杭頭ヒンジ時の反力,変位を照査している例はあ
りません。
これにより、全体の安定計算結果の判定は、杭頭剛結合の結果で判定しております。
1-1-10 断面変化の扱い
Q1ー10-1
断面変化位置の決定方法として次の2つがあるが、これらの選択肢が設けられている理由は?
・全ケースの最下位置の荷重ケース
・第1断面の最大許容応力度比の荷重ケース
A1-10-1
本プログラムの断面変化位置は、
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」を参照し、第2断面変化位置
は最大曲げモーメントの1/2となる位置(1/2Mmax点)、第3断面位置は設定された最小鉄筋量に対する抵抗曲げモーメ
ントと設計曲げモーメントとの交点位置としております。
しかしながら、上記文献では、複数の荷重ケースが存在するとき、どのケースの結果を適用すればよいか、規定あるいは
目安等はいずれも示されておりません。
このため、本プログラムでは、初期版より、荷重ケースごとに変化位置を求め、全荷重ケースのうち最も深い位置を各断面
の変化位置と設定する仕様としておりました。
その後、断面変化位置の決定方法,考え方について、多数のユーザ様より、様々なご意見をいただきました。
その中で、最大曲げモーメントにて求まった応力度比(応力度と許容応力度の比)が最も大きくなるケースの断面変化位
置を、第2,第3断面変化位置とする方法が最も適切ではないかと考え、
「基礎の設計計算Ver.5(Ver.5.00.00)」におい
て、この方法を追加し、
「断面計算」画面に選択を設けました。
このような経緯にて2種類の選択を設けておりますが、依然として、各種文献,基準類には明確な決定方法が示されてお
りません。
よって、どちらの決定方法を採用されるかにつきましては、おそれいりますが、設計者の方のご判断として決定してくださ
いますようお願いいたします。
155
第3章 Q&A
1-1-11 杭体断面力、断面計算
Q1ー11-1
場所打ち杭の許容応力度σs’aはどのように設定されているのか?
A1-11-1
鉄筋段落しの計算の許容応力度σsʼaは、鉄筋の種類に応じて以下の値を計算内部で固定データとしております。
・SR235 140.0
・SD295 180.0
・SD345 200.0
鉄筋の種類は、
「基準値」→「杭基礎」→「杭体データ」→「場所打ち杭」にて入力することができます。
Q1ー11-2
PHC杭の許容せん断応力度が入力値と計算書で異なる
A1-11-2
ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「杭体の断面計算と杭の断面諸定数の取扱い」に記載しております
ように、PHC杭の許容せん断応力度は、
τa1ʼ=CN・τa
ここに、
τa1ʼ:軸方向圧縮力により補正された許容せん断応力度(N/mm2)
CN:軸方向圧縮力による補正係数
τa:許容応力度の割増係数を考慮した「許容値」画面の許容せん断応力度(N/mm2)
により算出しており、軸方向圧縮力による割増係数CNを考慮しております。
Q1ー11-3
2.5次元解析時の杭体モーメントが正値側しか図化されないのはなぜか?
A1-11-3
2.5次元解析における杭体モーメント分布は、常に正値として描画されます。
これは、2.5次元解析時の杭体モーメント分布を、Y軸回りのモーメントMy,X軸回りのモーメントMxを合成し、
M=√(My^2+Mx^2)
(”^”はべき乗を示しています)
として図化していることによります。せん断力,水平変位についても同様です。
ここで、2.5次元解析では、道路橋示方書に記述されている2次元構造物として三元連立方程式を解く方法を拡張し、
V :鉛直力(kN)
Hx:X方向水平力(kN)
Hy:Y方向水平力(kN)
My:Y軸回りモーメント(kN・m)
Mx:X軸回りモーメント(kN・m)
として、両方向の作用力を考慮した計算を行うため、
PN :杭頭杭軸方向反力(kN)
PHx:X方向の杭頭水平反力(kN)
PHy:Y方向の杭頭水平反力(kN)
MTy:Y軸回りの杭頭モーメント(kN・m)
MTx:X軸回りの杭頭モーメント(kN・m)
のように、両方向の杭頭反力が算出されます。地中部の杭体断面力も同様です。
したがって、本プログラムでは、両方向の杭体断面力および水平変位分布を合成して図化,結果出力を行っています。
X方向/Y方向ごとに曲げモーメントが生じるケースを考えると、合成された曲げモーメントの方向は深度とともに変化し
一定しないため、2.5次元解析時には、現行のように、合成して出力する仕様としています。
Q1ー11-4
SC杭+PHC杭のとき、負の周面摩擦力の検討はPHC杭に対してのみ行っているのか?
A1-11-4
負の周面摩擦力の杭体応力度の検討は、道示Ⅳ12.4.3(P.366)(解12.4.3)を基本として照査しており、中立点を定義してい
ただき、この中立点に作用する負の周面摩擦力,死荷重反力,および中立点より上方の杭の有効重量を用いて許容応力度
に対する検討を行います。
一般に、中立点位置の負の周面摩擦力が最大となり、中立点位置が最も厳しくなると考えられることから、現行では中立
点位置に対してのみ照査しており、中立点位置がSC杭部であればSC杭に対して、PHC杭部であればPHC杭に対して
検討しています。
SC杭(PHC杭との接合位置)における杭体応力度が許容応力度に対して最も厳しくなるケースも考えられますが、現行
では、中立点位置に対してのみ照査しており、したがって、SC杭に対して検討する場合、別途ご検討ください。
156
Q1ー11-5
PHC杭の杭体応力度照査は、杭基礎設計便覧に記載されている正負符号および判定方法と同じであるか
A1-11-5
ヘルプの「理論理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「杭体の断面計算と杭の断面諸定数の取扱い」に記載しております
ように、PHC杭の応力度の符号は、圧縮を正,引張を負としております。
(許容引張応力度σcaʼは、-3.0(N/mm2) or5.0(N/mm2)となります。)
よって、杭基礎設計便覧に記載されております判定方法と同じ方法となります。
計算書作成の「結果一覧の出力」-「安定計算・杭体応力度」の出力に、大小関係を出力しておりますので、ご参照くださ
い。
Q1ー11-6
PHC杭:せん断応力度の照査で、b:等積箱形断面の腹部の合計幅、d:等積箱形断面の有効高の算出方法
A1-11-6
杭基礎設計便覧(H19.1)準拠時のPHC杭の杭体応力度照査は、本文献2-6-3(P.184)図-Ⅲ.2.48のとおり、等積箱形断面
に換算して照査します。この等積箱形断面への具体的な換算方法は、上記文献には記載されておりませんが、本プログラ
ムでは、次のように算出しております。
■部材断面幅b(等積箱形断面の腹部の合計幅)
b=t・√π
ここに、
t:厚さ
■部材断面の有効高d(等積箱形断面の有効高)
d=1/2・h + 1/π・2・√2・rs
ここに、
h:等積箱形断面の部材断面の部材高h
=1/2・√π・D
D:杭外径
rs:PC鋼材の配置半径
Q1ー11-7
場所打ち杭の主鉄筋が2段配筋で4本分の帯鉄筋を斜引張鉄筋として考慮したいがこれは可能か
A1-11-7
許容応力度法照査に用いる斜引張鉄筋の断面積は、
「断面計算」画面の「共通データ」に入力を設けていますが、
「鉄筋
径」を選択したとき、常に2本分の断面積を初期設定しています。
これは、本プログラムが有している主鉄筋の自動配筋機能により、最終的に何段配筋となるか分からない(荷重により変
動する)ケースがあること、あるいは中間帯鉄筋の入力そのものを設けていないことから、常に1段配筋と仮定した場合の
断面積を斜引張鉄筋の断面積として初期設定しているためです。
したがって、2段配筋で4本分の断面積を考慮したい場合、あるいは中間帯鉄筋を考慮したい場合等では、帯鉄筋径を選
択した後、初期設定された「鉄筋量Aw」の欄にお考えの断面積を上書きして入力してください。
なお、
「断面計算」画面が設定済みで、
「杭本体」-「杭種別データ」-「横拘束筋」画面の[データ連動]ボタンを押下し
た場合、
・Ah:「鉄筋量Aw」の1/2を初期設定。
・Aw:「鉄筋量Aw」をそのまま設定。
としています。
こちらにつきましても、最終的には設計者の方のご判断として初期設定値を上書きしてご検討ください。
Q1ー11-8
タイプⅠ地震動とタイプⅡ地震動の基礎の照査において、同じM-φ関係が用いられているのはなぜか
A1-11-8
杭体のM-φ関係は、道示Ⅳ(P.410)より、タイプⅡ地震動に対する値を用いています。したがって、タイプⅠ地震動に対す
る基礎の照査においても、タイプⅡ地震動のM-φ関係を用いた照査を行います。
このため、タイプⅠ地震動のM-φ関係の算出および入力は行っておらず、よって、
「杭本体」-「M-φ」画面では1種類
のみ入力していただくようにしています。
Q1ー11-9
杭頭モーメントが地中部曲げモーメントと同じ向きに発生するのはなぜか
A1-11-9
道示Ⅳ12.9.1(P.392)表-解12.9.1の「イ)基本系」をご参照ください。
本プログラムと道示では、杭体モーメントの正負の向きが異なるので注意が必要ですが、
「イ)基本系」において、杭頭
モーメントおよび地中部最大曲げモーメントが同じ向き(いずれも負値)に発生するケースが示されています。
このように、必ずしも杭頭モーメントと地中部最大曲げモーメントの符号が異なるとは限らないと考えます。詳しくは、上
記道示をご参照くださいますようお願いいたします。
157
第3章 Q&A
Q1ー11-10
現場継手部の許容応力度を低減して計算する方法はあるか
A1-11-10
本プログラムでは、いずれの杭種においても、現場継手部の許容応力度を低減して応力度照査を行うことはできません。
現行では、
「杭配置」画面で現場継手位置ごとに断面を分けていただき、
「許容値」画面で90%に低減した許容応力度を
直接設定し、応力度照査を行うことによりご対処いただくしかございません。
なお、鋼管杭,鋼管ソイルセメント杭の場合であれば、計算書の「断面計算」-「着目点ごとの杭体応力度」に現場継手不
可位置(応力度が許容応力度の90%を超える位置)を出力しています。本出力をご参照ください。
Q1ー11-11
せん断力に対する照査において、引張の向き(上面側が主鉄筋になるか下面側が主鉄筋になるか)はどのように判断して
いるか
A1-11-11
せん断力に対する照査において、引張の向き(上面側が主鉄筋になるか下面側が主鉄筋になるか)の判断は、道示Ⅳ
8.7.4(P.230)の記述、
「せん断力に対する照査を行う場合のフーチングの主鉄筋は、柱又は壁前面のフーチング全面積に
作用する鉛直荷重による柱又は壁前面位置における曲げモーメントの向きにより決定するものとする。」より、柱前面に
おける曲げモーメントで行ってい ます。
なお、レベル2地震時の場合、杭頭水平反力および杭頭モーメントを考慮した断面力を算出していることから、曲げに対す
る照査に用いる柱前面の曲げモーメントから、杭頭水平反力および杭頭モーメントを控除して判定しています。
Q1ー11-13
既設死荷重時の断面力算出に、
「上載土高」が考慮されていない
A1-11-13
増し杭工法で、既設死荷重時に上載土砂を考慮する場合、
「底版設計」-「計算条件」画面において「許容応力度法/レ
ベル2地震時」タブ上の『増し杭工法時の既設死荷重時の上載土砂=考慮する』を選択する必要があります。
『考慮しない』が選択されている場合、既設死荷重時に上載土砂が考慮されません。
Q1ー11-14
断面変化位置を自動計算する場合と直接指定する場合で杭体応力度が異なる理由は?
A1-11-14
場所打ち杭の断面変化位置の算定機能は、断面変化位置の目安を示すための機能であり、最終的には、この目安および
荷重ケースごとの結果を参照し、設計者の方のご判断として決定していただくことを想定しています。
具体的には、
1)
「断面計算」画面で『断面変化位置を自動計算する』をチェックして計算を行う。
2)算出された断面変化位置の目安および荷重ケースごとの結果を参照し、最終的な断面変化位置を決定する。
3)1)のチェックを外し、
「使用鉄筋」ページにて任意の断面変化位置,鉄筋径,本数等を設定する。
(自動配筋を行っ
た直後は、自動配筋結果が設定されています。)
4)杭体応力度計算を行い、応力度が許容応力度以内となるまで諸元を変更する。
の手順を行っていただくようにしています。
上記の手順にて設計していただくことを想定しているため、断面変化位置を自動決定する場合、設計者の方が断面変化位
置を決定するための参考となる情報を算出,出力しています。
具体的には、1/2Mmax発生位置や抵抗モーメントとの交点位置における応力度と許容応力度を算出,出力しており、これ
により、これらの位置が許容応力度を満たしているかを判断できるようにしています。
これに対し、断面変化位置を直接指定する場合、各断面における最大曲げモーメント,最大せん断力による応力度照査結
果を出力しており、決定された断面ごとの応力度が許容応力度を満たしていることを照査するようにしています。
よって、断面変化位置を自動計算する場合と直接指定する場合では、出力される杭体応力度が一致しないことがありま
す。
Q1ー11-15
計算書において、Mmaxの1/2となる位置「Z」とその位置のせん断力「S」が「---」と出力されるのはどういうケースか
A1-11-15
場所打ち杭の第1断面下端(第2断面上端)の段落とし位置は、杭基礎設計便覧(H19.1)2-6-6(P.200~)を参照し、
(1)杭頭剛結の曲げモーメントの最大値
(2)杭頭ヒンジと仮定して算出した曲げモーメントの最大値
の大きい方をMmaxとしたとき、
①杭頭剛結の曲げモーメント分布からMmaxの1/2となる位置
②杭頭ヒンジの曲げモーメント分布からMmaxの1/2となる位置
を求め、①,②の深い方を採用しています。
ただし、Mmaxは(1)杭頭剛結,(2)杭頭ヒンジの大きい方を用いていることから、例えば、(1)杭頭剛結の最大モーメントを
Mmaxとしたとき、(2)杭頭ヒンジの最大モーメントが非常に小さくMmaxの1/2未満となったとすると、(2)杭頭ヒンジにつ
いてはMmaxの1/2となる位置を求めることができません。
このようなとき、本プログラムでは、Mmaxの1/2となる位置「Z」およびその位置のせん断力「S」に対しては横棒(---)
を出力しています。
158
Q1ー11-16
場所打ち杭の曲げ応力度はどのように算出されるのか
A1-11-16
本プログラムの場所打ち杭の曲げ応力度は、道示Ⅳ5.1.2(P.159)に準じ、曲げモーメントと軸力が作用する円形の鉄筋コ
ンクリート断面として計算しています。
具体的には、計算仮定に基づき中立軸位置を変化させながら、コンクリート,鉄筋による内力(Nc,Ns,Mc,Ms)と外力
(断面力N,M)が釣り合うよう、繰り返し計算を行い、厳密な値を算出しています。
公式を用いて単純式により算出しているのではなく、繰り返し計算を行っていることから、計算過程の出力等は行ってお
りません。ご了承ください。
なお、詳しくは、下記URLより図をご参照ください。
http://www.forum8.co.jp/faq/win/image/kiso1-11-16.pdf
Q1ー11-17
SC杭+PHC杭のとき、地中部のPHC部のせん断耐力照査を行うか否かのスイッチはなぜ設けてあるのか
A1-11-17
SC+PHC 杭におきましては、当初、道示Ⅳ12.10.5(P.414)の1)-③を参照し、大きなせん断力が 生じる第1区間はSC
杭のため、せん断照査自体 を省略しておりましたが、その後、ユーザ様 から『せん断照査方法=杭体のせん断力≦ 杭体
のせん断耐力』の場合PHC杭部分のせん断照査を行ってほしいとのご要望をいただき対応いたしました。
よって、SC杭+PHC杭のPHC杭部のせん断耐力照査を行うか否かについては、設計者の方のご判断とし て決定していた
だくようにしていま す。
なお、PHC杭部のせん断耐力照査を行う場合、
「レベル2地震時基本条件」-「計算条件①」に おいて『SC杭+PHC杭時
のPHC杭の杭体せん断力照査』スイッチを「する」としていただくことになりますが、この場 合、各杭の杭体せん断力分布
に着目し、杭頭から杭先端までの全範囲でせん断力がせん断耐力以下であることを照査します。
詳しくは、入力画面上の[ヘルプ]ボタンより開く説明をご参照ください。
Q1ー11-18
杭体のM-φ算出に用いる軸力はどのように決定されているのか
A1-11-18
杭体のM-φ関係の算出に用いる軸力は、道示Ⅳ12.10.4(P.412)に規定されており、本プログラムはこれに準じておりま
す。
具体的には、
「場所打ち杭,PHC杭,SC杭及びRC杭においては、杭群図心位置から押込み側の杭では死荷重が作用した
ときの杭頭反力を軸力として、引抜き側の杭では軸力を零として杭体の曲げモーメント~曲率関係を算出してよい。」とあ
り、引抜き側の杭に対しては、軸力を0として算出しています。
また、鋼管杭については、
「鋼管杭及び鋼管ソイルセメント杭においては死荷重が作用したときの杭頭反力を軸力として
杭体の曲げモーメント~曲率関係を算出してよい。」とあり、押込み側,引抜き側にかかわらず、死荷重時の杭頭反力を軸
力とします。
詳しくは、上記の道示の記述をご参照くださいますようお願いいたします。
Q1ー11-19
地震時の許容せん断応力度τa1はどのように決定されるのか
A1-11-19
道示Ⅳ4.2(P.151)において、
「地震の影響を考慮する場合の設計では、τa1に4.1に規定する荷重の組合せに応じた割増し
係数1.50を乗じた値を用いる代わりに、表-5.2.1に示すτcの値を用いるものとする。」とあります。
これより、本プログラムの地震時の許容せん断応力度は、τa1×1.50ではなく、τcそのものを用いるようにしています。
Q1ー11-20
PHC杭、SC杭のM-φ計算を行うことはできるか
A1-11-20
下記の手順により、
「基礎の設計計算」にてPHC杭,SC杭のM-φ計算が可能です。
まず、
「計算条件」画面で杭種を選択した後、
「杭配置」画面で1本杭とします。杭位置は底版中心位置としてください。
次に、同画面の「データ」タブで杭の諸元を定義します。PHC杭の場合、道示Ⅳ12.10.4(P.410~)のとおり、充填範囲とそ
れ以外の範囲ではコンクリートの応力度~ひずみ曲線が異なるので注意が必要です。
「レベル2地震時照査」-「基本条件」画面では、まず、
「基本条件(共通)」画面の「作用力を指定してレベル2地震時照
査を行う」を「する(底版下面作用力)」とします。
次に、
「基本条件(杭基礎)」画面の「初期作用力V」に軸力を入力します。M-φ関係はこの軸力を用いて計算が行われ
ます。
最後に、
「杭本体」画面で必要な杭体諸元を入力した後、同画面の「M-φ」タブでM-φを計算します。
以上でM-φ関係のみ計算が可能です。
159
第3章 Q&A
1-12 杭対応力度計算 (基礎の設計・3D配筋)
Q1ー12-1
PHC杭の許容曲げ圧縮応力度について、割増1.5の時の40.0と基準値の表示があるが、根拠は?
A1-12-1
杭基礎設計便覧(H27.3)の表-Ⅲ.2.13(P.247)において、許容曲げ圧縮応力度σcaの地震時は、27×1.5=40.5(N/mm2)で
はなく丸め処理した40(N/mm2)が記載されております。
よって、本プログラムも同様に、割増係数1.5に対するσcaの初期値は40(N/mm2)としております。
なお、常時の27(N/mm2)は設計基準強度σck(=80(N/mm2))の1/3を丸めたもので、地震時は常時の丸め前の値に1.5倍
したもの(σck×1/3×3/2)となり、σckの1/2(=40(N/mm2))としています。
1-1-12杭対応力度計算 (基礎の設計計算)
Q1ー12-1
RC杭のヤング係数比の初期値(=6)の根拠は?
A1-12-1
旧杭基礎設計便覧(昭和61年1月 社団法人日本道路協会)表-6.2.5(P.59)にRC杭の断面性能表があります。
本表では、軸力=0に対する抵抗曲げモーメントMRC(コンクリートの応力度が許容応力度となるときの曲げモーメン
ト),MRS(鉄筋の応力度が許容応力度となるときの曲げモーメント)が記載されておりますが、この抵抗曲げモーメント
算出にヤング係数比6が用いられています。
本プログラムでは、本記述を参照し、杭体応力度算出にも抵抗曲げモーメントと同じヤング係数比を用いるものと判断
し、初期設定を6としております。
ただし、上記以外に有効な文献等の記述は把握しておりません。
例えば、実ヤング係数比(n=Es/Ec)は、
・Ec=3.1×10^4(N/mm2)
・Es=2.0×10^5(N/mm2)
・n=2.0×10^5/3.1×10^4=6.4516
となるため、本係数を用いるのも一つの考えかと思われます。
最終的には、お考えのヤング係数比を、
「計算条件」-「設計条件」-「応力度照査」画面に直接設定しご検討ください。
Q1ー12-2
「杭頭ヒンジの軸力選択」で「剛結」と「ヒンジ」が選択できるのはなぜか?
A1-12-2
道示Ⅳ12.9.1(P.387~)に、杭頭剛結合の場合でも、杭頭ヒンジと仮定して求めた曲げモーメントを考慮することが記載
されています。
お問合せの『杭頭ヒンジの軸力選択』スイッチは、杭頭結合条件が剛結・ヒンジのとき、杭頭ヒンジ時の曲げモーメントを
用いて応力度照査を行う際に用いる軸力を、
・杭頭剛結時の杭軸方向反力
・杭頭ヒンジ時の杭軸方向反力
のいずれを用いるかを指定していただくものです。
前記の道示および他の文献等には軸力の取扱いが明記されておらず照査方法が不明なため、本選択を設けました。
おそれいりますが、設計にどちらを用いるかにつきましては、設計者の方のご判断で決定してください。
なお、モーメントおよび軸力の取り扱いは下記のとおりです。
・杭頭条件=剛結・ヒンジの場合
杭頭剛結……モーメント=剛結、軸力=剛結
杭頭ヒンジ…モーメント=ヒンジ、軸力=軸力選択による軸力(剛結またはヒンジ)
160
Q1ー12-3
場所打ち杭の断面計算において、鉄筋の許容応力度が意図しない地震時の値になっているとき、原因として何が考えられ
るか
A1-12-3
場所打ち杭の鉄筋の許容応力度は、道示Ⅳ4.3(P.155)表-4.3.1より、
2)荷重の組合せに衝突荷重又は地震の影響を含まない場合の基本値(一般の部材)
3)荷重の組合せに衝突荷重又は地震の影響を含まない場合の基本値(水中又は地下水位以下に設ける部材)
4)荷重の組合せに衝突荷重又は地震の影響を含む場合の基本値
6)圧縮応力度
のいずれかが適用されます。
引張応力度では、
「作用力」-「荷重ケースごとの設定」画面の『衝突,地震時σsaの基本値を用いる』により、上記2),
3)の衝突荷重又は地震の影響を含まない場合、および4)の影響を含む場合の基本値の選択を行います。
ご検討の荷重ケースにおいて、上記の選択がチェックされていないかご確認ください。チェックされている場合、上記4)
の衝突荷重又は地震の影響を含む場合の基本値(=200N/mm2×割増係数)が適用されます。
なお、上記の設定が正しく行われているのであれば、次の原因が考えられます。
場所打ち杭の鉄筋の応力度は、中立軸位置が断面内にない場合(全圧縮または全引張)でなければ、引張応力度,圧縮応
力度の2つの応力度が算定されるため、
「総括表」画面や計算書の「結果一覧」,
「基礎杭計算結果一覧表」の出力におい
ては、算定された2つの応力度のうち、より厳しい結果として、許容比(応力度/許容応力度)の大きい方を表示していま
す。
ここで、鉄筋の許容圧縮応力度は、上記の道示Ⅳ 表-4.3.1 の6)許容圧縮応力度が適用されます。
ご検討のデータにおいても、許容圧縮応力度が表示されているのではないかと考えられます。
本プログラムでは、許容応力度の出力を、
・引張応力度・・・正値で表示
・圧縮応力度・・・負値で表示
と表示しており、表示されている結果が引張応力度,圧縮応力度のどちらを示しているかを確認できるようにしていま
す。
おそれいりますが、表示値の符号により、引張応力度/圧縮応力度のどちらが表示されているかご確認ください。
Q1ー12-4
PHC杭において、常時の許容応力度を地震時扱い(許容応力度の割増係数=1.50,許容曲げ引張応力度σta=3.0/5.0)と
したい。どのように設定すればよいのか?
A1-12-4
現行では、PHC杭において、常時の許容曲げ引張応力度を地震時扱いとすることはできません。
PHC杭の曲げ引張 応力度は道示Ⅳ4.2(P.151)に記載されていますが、表- 4.2.8には、
「地震の影響を考慮するとき
の・・・」と記載されています。また、P.154において、
「PHC杭の許容曲げ引張応力度は零としたが、荷重の組合せのうち
地震の影響を考慮する場合は、少なくとも単純曲げが作用した状態で破壊安全度が2以上確保されるように、表-4.2.8に
示すとおり、有効プレストレス量に応じて設定した。」とあります。
本プログラムでは、上記道示の記述より、σta=3.0/5.0を適用するは地震の影響を考慮する場合のみと判断していま
す。したがって、現行では、常時ケースに対して割増係数を1.50と設定した場合、許容曲げ引張応力度σtaは常に0.00(N/
mm2)としており、よって、割増係数=1.50,σta=3.0/5.0とすることはできません。
Q1ー12-5
PHC杭でMyが自動計算されない
A1-12-5
降伏モーメントMyは、最遠鋼材の引張ひずみが降伏ひずみに達するときの曲げモーメントで、最遠鋼材位置のひずみを
降伏ひずみに固定して、中立軸位置を仮定しながら、断面内に生じる圧縮力Cと引張力Tの関係が、
N=C-T
N:作用軸力
となる中立軸位置を求めています。
このとき、断面内に生じる軸力が最大となるのは、圧縮縁のコンクリートひずみが終局ひずみとなる状態ですが、現在ご
利用のデータの場合、断面内に生じる最大軸力よりも作用軸力の方が大きく、降伏モーメントが算出できない(軸力が範
囲外)状態になっていると思われます。
おそらく、PC鋼材の降伏強度σpy,引張強度σpu,PC鋼材量(A/B/C種別),配置半径が検討の杭データに対して正
しく入力されていないと思われます。
PHC杭メーカー様の資料等をご参照になり、正しい値が設定されているか再度ご確認くださいますようお願いいたしま
す。
なお、本プログラムは、種別(A/B/C種)を変更してもPC鋼材量等は自動でセットしておりません。
よって、おそれいりますが、
「杭配置」画面で杭外径,種類を変更した場合、杭データに応じたPC鋼材量等も変更してい
ただきますようお願いいたします。
なお、杭基礎設計便覧(H19.1)準拠時は、入力画面上の[データ連動]ボタンをクリックすることにより、杭基礎設計便覧
に記載されているPC鋼材量等をセットいたしますが、準拠しない場合は、他の基準類にPC鋼材量等が明示されてお
らず、また、特定のメーカー様のデータを初期設定値とすることができないため、直接設定していただく仕様としておりま
す。
161
第3章 Q&A
Q1ー12-6
「作用力」-荷重ケースごとの設定」の「衝突、地震時σsaの基本値を用いる」のチェックをはずすと許容値はどのように
なるのか
A1-12-6
道示Ⅳ(P.155)表-4.3.1では、鉄筋の許容応力度として、
①荷重の組合せに衝突荷重又は地震の影響を含まない場合の基本値(一般部材/水中部材)
②荷重の組合せに衝突荷重又は地震の影響を含む場合の基本値
が規定されており、衝突荷重,地震の影響を考慮するケースか否かよって、①,②を使い分ける必要があります。
本プログラムでは、従来、
「基準値」-「荷重ケース」画面にて設定された荷重ケースごとの許容応力度の割増係数を参照
し、割増係数が1.50以上となる荷重ケースに対し、上記②の許容応力度を用いるようにしておりましたが、その後、他の
お客様より、他の基準等においては、衝突荷重,地震時ケース以外でも割増係数≧1.50となるケースがあり、このような
ケースでは上記①の許容応力度を適用したいため、上記①,②のどちらの基本値を用いるか、設計者判断として選択でき
るようにしてほしいとのご要望をいただき、Ver.6.05.00において、
「作用力」-「荷重ケースごとの設定」画面において、荷
重ケースごとに選択(スイッチ)を設けました。
このスイッチは、下記計算に用いております。
(1)杭体応力度計算
1.RC杭,場所打ち杭の場合
「許容値」画面において、
・σsa(*1):荷重の組合せに衝突荷重又は地震の影響を含まない場合 (チェックなしのとき)
・σsa(*2):荷重の組合せに衝突荷重又は地震の影響を含む場合 (チェックありのとき)
の入力を割増係数ごとに設け、お問合せのスイッチより使い分けます。
2.杭基礎設計便覧(H19.1)準拠時のPHC杭/PC杭/SC杭+PHC杭の場合
「断面計算」画面において、
・スパイラル鉄筋のσsa (チェックなしのとき)
・スパイラル鉄筋のσsa(基本値) (チェックありのとき)
の入力を設け、お問合せのスイッチを参照し、計算時に割増係数を乗じております。
(2)杭頭結合計算
1.仮想鉄筋コンクリート断面照査
上記の(1)-1.と同様に、
「杭頭結合計算」-「底版許容値」画面において、σsa(*1),σsa(*2)の入力を割増係数ごと
に設け、お問合せのスイッチより使い分けます。
2.杭頭カットオフ区間の照査(杭基礎設計便覧(H19.1)準拠時)
上記の(1)-2.と同様に、
「杭頭結合計算」-「杭頭カットオフ」画面において、2種類のσsaの入力を設け、お問合せ
のスイッチを参照し、計算時に割増係数を乗じております。
(3)底版許容応力度法照査
「材料」画面において、
・鉄筋の許容引張応力度σsa (チェックなしのとき)
・ 〃 地震時の許容引張応力度の基本値σsa (チェックありのとき)
の入力を設け、お問合せのスイッチを参照し、計算時に割増係数を乗じております。
Q1ー12-7
PC杭のヤング係数『3.3×10^4(N/mm^2)』の根拠は?
A1-12-7
「杭基礎設計便覧 昭和61年1月 (社)日本道路協会」P.54の「表6-2-1 既製コンクリート杭」にPC杭のコンクリート設計
基準強度σck=500(kg/cm^2)との記述がございます。
「道路橋示方書・同解説 Ⅰ共通編/Ⅳ下部構造編(H14.3)日本道路協会」P.83の「表-3.3.3
コンクリートのヤング係数」に記述の内容より、σck=50(N/mm^2)時のヤング係数=3.3×10^4(N/mm^2)を内部設定し
ております。
[補足]
上記「杭基礎設計便覧 昭和61年1月 (社)日本道路協会」のP.325では、PC杭のヤング係数=4.0×10^5(kg/cm^2)との記
述がございますが、この便覧時の道示(昭和55年 5月版 Ⅰ共通編 P.67)ではσck=500(kg/cm^2)の
ヤング係数は4.0×10^5(kg/cm^2)と記述されておりました。
その後、平成2年版の道示でσckに対するヤング係数が改訂され、平成2年版から現在までσck=50(N/mm^2)時のヤング
係数は 3.3×10^4N/mm^2)となっております。
162
Q1ー12-8
RC杭のせん断応力度の照査で、結果画面などに出力される許容値が入力値と異なる場合があるのはなぜか
A1-12-8
ヘルプ「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「杭体の断面計算と杭の断面諸定数の取扱い」に記載しておりますよ
うに、RC杭の許容せん断 応力度は、
杭基礎設計便覧(H19.1)のP.191において、τaʼ=CN・τaと記載されており、本プログラムも軸方向圧縮力による補正係数
CNを 考慮し下記の方法で算出しております。
τa1ʼ=CN・τa
ここに、
τa1ʼ:軸方向圧縮力により補正された許容せん断応力度(N/mm2)
CN:軸方向圧縮力による補正係数
τa:許容応力度の割増係数を考慮した「許容値」画面の許容せん断応力度(N/mm2)
軸方向圧縮力による補正係数CNの値によっては、結果画面等に出力される許容せん断応力度が入 力値と異なるケース
も考えられます。
※上記のCNを考慮した許容せん断応力度の補正は、PHC杭などにも同様に適用される考え方と なっております。
許容せん断応力度の詳しい算出過程は、計算書出力「断面計算」-「杭体応力度」内に有ります 『せん断応力度の照査』
にてご確認ください。
Q1ー12-9
せん断応力度τが青文字で表示されているのはなぜか
A1-12-9
「計算・結果確認」-「杭体応力度」画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、せん断応力度τを青文字で表示して
いるのは、コンクリートのみでせん断力を負担する場合の許容せん断応力度を超えるが、斜引張鉄筋と共同してせん断力
を負担する場合の許容せん断応力度以下であることを示しています。この場合、Awreq≦Awの関係にあれば、せん断照査
結果はOKと判定されます。
τ値は次のように表示しています。
(1)τ≦τa1のとき
照査結果はOKと判定され、黒文字表示しています。
(2)τa1<τ≦τa2のとき
τa2は、斜引張鉄筋と共同してせん断力を負担する場合の許容せん断応力度を示しています。
この場合、道示IV(H.14.3)5.1.3(P.160~)に記述されていますように、斜引張鉄筋(スターラップ)を配置することによ
りOKとなります。(1),(3)と区別するために、青文字表示としています。
(3)τa2<τのとき
道示IV(H.14.3)5.1.3の解説文(P.163)に記載されていますように、この場合、OUTと判定され、赤文字表示としていま
す。
Q1ー12-10
一般的なPC杭のインタラクションカーブの表において
1:コンクリートに引っ張り応力の発生を許容しない
2:コンクリートに引っ張り応力を許容するがひび割れを発生しない。
3:断面破壊の終曲限界状態
の3ケースがあるが、この3ケースの使い分けをスイッチ等で選ぶことはできるか
A1-12-10
杭の耐力は、杭諸元(コンクリートの設計強度、PC断面積、PC降伏強度など)を入力して自動計算しますので、インタラ
クションカーブは用いません。
1-1-13 結果一覧表
163
第3章 Q&A
1-1-14 出力
Q1ー14-1
2.5次元解析のとき、計算書の「安定計算」-「杭基礎の剛性行列」に出力される剛性行列要素の記号は何を示しているの
か
A1-14-1
剛性行列要素の記号は次を示しています。
z :Z軸方向(鉛直方向)
x :X軸方向(X方向水平)
y :Y軸方向(Y方向水平)
ay:Y軸回り回転(X方向回転)
ax:X軸回り回転(Y方向回転)
鉛直,水平,回転バネは、
Azz :鉛直方向バネ
Axx :X方向水平バネ
Ayy :Y方向水平バネ
Aayay:X方向回転バネ
Aaxax:Y方向回転バネ
連成バネは、
Azx (Axz) :鉛直とX方向水平との連成バネ
Azy (Ayz) :鉛直とY方向水平との連成バネ
Azay(Aayz):鉛直とX方向回転との連成バネ
Azax(Aaxz):鉛直とY方向回転との連成バネ
Axy (Ayx) :X方向水平とY方向水平との連成バネ
Axay(Aayx):X方向水平とX方向回転との連成バネ
Axax(Aaxx):X方向水平とY方向回転との連成バネ
Ayay(Aayy):Y方向水平とX方向回転との連成バネ
Ayax(Aaxy):Y方向水平とY方向回転との連成バネ
Aayax(Aaxay):X方向回転とY方向回転との連成バネ
また、計算書の「基礎バネ計算」-「固有周期算定用地盤バネ定数」との上記の関係は次の通りです。
・Y方向
Ass :Ayy
Asr,Ars:Ayax,Aaxy
Asv,Avs:Ayz,Azy
Arr :Aaxax
Arv,Avr:Aaxz,Azax
Avv :Azz
・X方向
Ass :Axx
Asr,Ars:Axay,Aayx
Asv,Avs:Axz,Azx
Arr :Aayay
Arv,Avr:Aayz,Azay
Avv :Azz
ここに、
Ass :水平方向バネ(kN/m)
Asr=Ars:水平と回転の連成バネ(kN/rad,kN.m/m)
Arr :回転バネ(kN.m/rad)
Asv=Avs:鉛直と水平の連成バネ(kN/m)
Arv=Avr :鉛直と回転の連成バネ(kN.m/m,kN/rad)
Avv :鉛直バネ(kN/m)
164
Q1ー14-3
レベル2地震時照査で、橋軸方向、橋軸直角方向のどちらか一方だけを出力したい
A1-14-3
本プログラムでは、橋軸方向,橋軸直角方向の両方向の計算を行った場合、常に両方向の結果出力を行っています。
よって、片方向のみの結果出力を行いたい場合、
「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(杭基礎)」画面の「計算方向
(Y方向/X方向)」を出力したい方向のみチェックし、計算,出力を行ってください。
また、
「橋脚の設計」との連動時であれば、橋脚側の「荷重」-「保有耐力法ケース」画面において、出力する方向のみ
「検討する方向」をチェックし計算,出力を行ってください。
Q1ー14-4
安定計算で、
「常時+温度」の支持力等の許容値を表示させない(印刷させない)方法はどうすればよいか
A1-14-4
申し訳ございませんが、杭基礎の設計で支持力などの許容値を出力できないようにはできません。
ただ、特定のケースの安定照査を行わないようにすることはできます。その場合は、安定計算の判定を行いませんので、出
力には支持力や水平変位の許容値は出力しません。この場合でも杭体応力度照査は行います。
特定のケースの安定照査を行わないようにするには次の手順で行ってください。
1)[作用力]-[荷重ケースごとの設定]画面を開く。
2)目的の荷重ケースの「安定照査をする」のチェックをはずす。
3)「確定」ボタンで画面を閉じる。
Q1ー14-5
レベル2押込み力の上限値の算出根拠書籍はなにか
A1-14-5
道示Ⅳp434の解 12.10.1より押込み支持力の上限値に関する算出式がございます。
それに基づき、押込み支持力PNUは地盤から決まる杭の極限支持力RUと、杭体から決まる押込み支持力の上限値RPU
の、より厳しい方を採用します。
PNU = min( RU, RPU )
このとき、杭の極限支持力RUは道示Ⅳp384の解 12.4.3より求められます。また、PNUについては道示Ⅳp396の解
12.4.6より求められるため、合せてご確認いただきますようお願い申し上げます。 1-22
考えられる原因としましては、基礎の設計側の入力画面を開いた状態で橋脚のデータを変更したことが挙げられます。
その場合、基礎の設計における入力画面を全て閉じた状態でなければ橋脚のデータ更新が適用されませんので、基礎の
設計にデータが渡されないことがございます。
Q1ー14-6
レベル2地震時照査の出力で、M-φ関係図を表示しないのはどのような場合か。
A1-14-6
通常の杭タイプ分類(押込み側、引抜き側など)では、M-φ関係図を出力します。
2.5次元解析や杭ごとの軸力でM-φ関係を算出する場合など、複数のM-φ関係を算出する場合には図を出力しません。
1-15 杭頭結合照査(押し抜き、引抜き等)(基礎の設計・3D配筋)
Q1ー15-1
「設計要領第二集 4章 基礎構造」に記載されているフーチング下面鉄筋の効果を期待する水平方向押抜きせん断応力度
の照査が可能か
A1-15-1
フーチング下面鉄筋の効果を期待する水平方向押抜きせん断応力度の照査にはレベル2地震時のみ対応しています。
「底版設計」画面の「計算条件」-「レベル2地震時」タブにある「底版下面鉄筋を考慮した水平方向押抜きせん断照
査」を 「する」としてください。また、
「レベル2地震時照査-水平方向押し抜きせん断照査」画面で、計算に使用する鉄
筋量を入力してください。
1-1-15杭頭結合照査(押し抜き、引き抜き等)(基礎の設計計算)
Q1ー15-1
橋軸方向で押し込み側のせん断耐力の値が杭の位置と1/2底版厚の位置で異なるのは何故か?
A1-15-1
『平成8年 道路橋示方書・同解説に関する質問・回答集(2)
(平成10年6月)建設省土木研究所』に、
・フーチングの斜引張鉄筋量算出に用いるせん断スパンは、各照査断面位置から柱あるいは壁前面位置までの距離として
よい。
・有効高は照査断面位置における有効高としてよい。ただし、せん断スパンaがd/1.15よりも小さい場合には、dに代わっ
て1.15aを用いなければならない。
・せん断スパン比の影響による補正係数Cdc,Cds算出に用いるせん断スパンは道示IV6.5.4(3)3))による。
との記載があり、本プログラムはこれに準じてせん断耐力を算出しています。
165
第3章 Q&A
Q1ー15-2
杭頭結合計算の杭頭作用力が斜杭に対して連動されていない
A1-15-2
本プログラムの杭頭結合計算は、
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」を参照し作成しております
が、本文献は直杭を対象にしており、斜杭に対して安定計算にて算出された杭頭反力をそのまま用いてよいものか不明な
ため、現行では、杭頭結合計算に用いる杭頭反力の抽出において、斜杭は対象外としております。
全杭が斜杭と設定されている場合、杭頭作用力が抽出されず全て0となります。
おそれいりますが、本件につきましては、次の方法にてご対処くださいますようお願いいたします。
1)
「計算条件」-「入力条件」画面で「杭頭結合計算の杭頭作用力=直接入力」と設定する。
2)
「杭頭結合計算」-「杭頭作用力」画面にて杭頭作用力を直接入力する。
3)杭頭結合計算を実行する。
なお、杭頭反力は、計算書の「安定計算」-「杭反力及び変位の計算」の出力により確認することが可能となっておりま
す。
Q1ー15-3
フーチング端部の杭に対する押抜きせん断照査を行う方法
A1-15-3
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」6-3-2(P.297)に準じた押抜きせん断応力度の照査を行いた
い場合は、以下のスイッチをチェックして下さい。
・「計算条件」-「基本条件」画面の「杭基礎設計便覧の適用基準(H19年1月)」
・「杭頭結合計算」-「杭径・底版形状」画面の「フーチング端部の杭を対象とする」
Q1ー15-4
杭頭仮想鉄筋コンクリート断面照査の際、帯鉄筋はどこで入力するのか
A1-15-4
本プログラムの杭頭仮想鉄筋コンクリート断面の照査は、杭基礎設計便覧(P.301~)に準じて行っておりますが、本文献
では、仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメントMy算出時のコンクリートの応力度-ひずみ曲線として、
(1)道示Ⅲ4.2.4(横拘束効果なし)
(2)道示Ⅴ10.4(横拘束効果あり)
のどちらを用いるか明確な記述はありません。
したがって、本プログラムは、開発時に参照させていただいた参考文献
・「鋼管杭基礎の設計と施工 道路橋示方書(平成14年3月版)改訂対応 (平成14年4月)鋼管杭協会」
・「道路橋の耐震設計に関する資料(H.9.3)」(4-33)
の設計計算例等を参考とし、(1)により算出しており、このため、帯鉄筋(横拘束筋)は考慮しておりません。よって、底版内
仮想鉄筋コンクリート断面の帯鉄筋の入力は設けておりません。
なお、本プログラムでは、
「計算条件」-「入力条件」画面で「レベル2地震時・M-φ=直接入力」と設定することにより、
「杭本体」-「M-φ」画面において、杭頭仮想鉄筋コンクリート断面のMyを直接指定することが可能です。
Q1ー15-5
「杭頭結合計算」-「杭頭補強鉄筋」画面の『鉄筋量』と『有効鉄筋量』の違いは
A1-15-5
『鉄筋量』は入力された杭頭補強鉄筋の総鉄筋量を示しています。これに対し、
『有効鉄筋量』は、常時,レベル1地震時
の応力度計算に用いる実際の鉄筋量を示しています。通常両者は一致しますが、杭基礎設計便覧(H19.1)に準拠する設定
で杭外周溶接鉄筋を配置しているとき、常時,レベル1地震時では杭外周溶接鉄筋を無視した計算を行うことから、入力
した鉄筋量と実際の計算に用いる鉄筋量が異なるケースが生じます。よって、本プログラムでは、それぞれを表記していま
す。
なお、上記の考え方は、
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」6-3-2(P.303)の「・・・常時の荷重や
供用期間中に発生する確率が高いレベル1地震時の照査においては、品質が確実に確保される中詰め補強鉄筋(RC杭・
PHC杭およびSC杭では杭体内補強鉄筋を含む)のみを杭頭補強鉄筋として考慮し、杭外周溶接鉄筋は考慮しないことと
した。」を参照したものです。
(※レベル2地震時では入力された全鉄筋を考慮しています。) 詳しくは、本文献をご参照
ください。
166
Q1ー15-6
レベル2地震時照査をする場合としない場合とで、杭頭結合計算の杭頭補強鉄筋計算の結果が変わるのはなぜか
A1-15-6
仮想鉄筋コンクリート断面の応力度照査の設計曲げモーメントは、
「杭頭結合計算」画面上の[ヘルプ]より開く説明に記
載しておりますように、
・レベル2地震時照査が必要な条件下であれば、設計曲げモーメントは杭頭曲げモーメントを用いる。
・レベル2地震時照査が不要な条件下であれば、設計曲げモーメントは杭頭曲げモーメントと地中部最大曲げモーメント
のうち大きい方を用いる。
としています。
ここで、本プログラムの杭頭結合計算は、
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」(P.294~)を参照し
作成しております。
本文献6-3-2(P.302)では、
「杭頭部の発生断面力にて算出された応力度が許容応力度以下であることを照査する。」
と記載されており、本記述のみを参照するならば、仮想鉄筋コンクリート断面の照査に対しては、杭頭部の発生曲げモー
メントを用いるものと考えられます。
しかしながら、次頁において、
「液状化が生じない地盤にある橋台のようにレベル2地震時の照査を省略してもよい基礎においては、中詰め補強鉄筋
(杭体内補強鉄筋)のみによる仮想鉄筋コンクリート断面で、杭頭部の設計に用いる曲げモーメントにて算出した応力度
が許容応力度以下であることを照査する。」
との記述があり、これに対し、
①橋台においては、偏荷重が常に作用していることや側方移動のおそれがあること。
②地震時の動的非線形応答の推定法に不明な点が多いことより、杭頭結合部に想定外の断面力が発生する可能性が
あるという状況に対して、可能な限り杭頭部へ先に損傷領域を誘導するように配慮したものである。
と記載されています。
本解説の主旨は、レベル2地震時照査を行うケースにおいては、レベル2地震動を受ける場合に杭頭結合部にて損傷が先
行し,進展することを避け,杭頭部へ損傷領域を誘導した設計が行われる、しかしながら、このような設計が行われない
ケースにおいては、現在の設計計算ではカバーできない大きさの応力状態が結合部に生じる可能性があり、また、可能な
限り杭頭部へ損傷領域を先に誘導するように配慮した設計を行う必要性がある(基礎工2006.12月号.P.50)ということ
を論じたものであろうと考えられます。
本プログラムでは、上記の主旨を鑑み、前述の「杭頭部の設計に用いる曲げモーメント」は杭頭曲げモーメントと地中部
最大曲げモーメントのうち大きい方を用いる必要があると判断し、仮想鉄筋コンクリート断面の照査を行っております。
なお、
「計算条件」-「入力条件」画面で「杭頭結合計算の杭頭作用力=直接入力」を選択した場合、本プログラムでは、
「杭頭結合計算」-「杭頭作用力」画面で設計に用いる曲げモーメントを入力することが可能です。
レベル2地震時照査を行わないケースにおいても、杭頭発生曲げモーメントを用いて照査を行う場合、上記画面にて、地
中部モーメント=杭頭モーメントと入力することによりご対処くださいますようお願いいたします。地中部モーメントは、
仮想鉄筋コンクリートの照査以外では、方法Aのフーチングコンクリートの水平支圧応力度の照査において、上記画面の
「使用モーメント」を「2=地中部」とした場合のみ用いております。
Q1ー15-7
レベル1、レベル2ともに仮想鉄筋コンクリート断面の照査を省略したい
A1-15-7
杭頭結合計算」-「基本条件」画面で「杭頭補強鉄筋=しない」としてください。これにより、レベル1、レベル2共に仮想
鉄筋コンクリート断面の照査は省略されます。
Q1ー15-8
鋼管杭の杭頭結合計算において、引抜き力に対する鋼管の付着応力度の照査は行っていないのか
A1-15-8
本プログラムの杭頭結合部の計算は、
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」6-3-2(P.296~)を準用
しています。
本文献において、引抜き力に対する鋼管杭の杭頭結合部の照査は、結合方法ごとに次のように考えています。
■方法A
方法Aでは、フーチング内に十分な埋め込みを行いますが、鋼管杭に対する引抜き実験より得られた知見より、杭周面の
付着応力やせん断抵抗よりも、フーチング内の杭に取り付けられたずれ止めの最下段から45°のクラックが発生し、この
せん断破壊面を考慮した引抜き耐力を算定した方がより現実に即していると考え、ずれ止め最下段からフーチング下面ま
でのせん断破壊面におけるせん断耐力を算定し、これが許容引抜きせん断応力度以下となることを照査します。
■方法B
方法Bでは、フーチング内への埋込み長さが最小限度(一般に100mm程度)であることから、この部分の付着応力やせん
断抵抗は考慮せず、仮想鉄筋コンクリート断面(フーチングコンクリートと杭の溶接鉄筋や内詰め補強鉄筋を鉄筋コンク
リートと仮定した断面)を仮定し、この断面に作用する押込み力,引抜き力および曲げモーメントにより生じる応力度が許
容応力度以下となることを照査します。
杭基礎設計便覧では、上記のように考えており、本プログラムにおいても、引抜き力に対する鋼管の付着応力度の照査
は、結合方法にかかわらず行っておりません。詳しくは、上記文献をご参照ください。
167
第3章 Q&A
Q1ー15-9
杭頭結合計算の計算書で、
「杭頭とフーチング結合部の応力度照査」が出力されない場合がある
A1-15-9
「杭頭結合計算」-「杭頭補強鉄筋」画面下の[計算実行]ボタンのみを押下した場合、
「杭頭とフーチング結合部の応
力度照査」は出力されない 状態となります。
「杭頭結合計算」-「杭頭作用力」画面下の[計算実行]ボタンを押下するか、メイン画面ツリービューの「計算・結果確
認」-「杭頭結合計算」 より計算実行してください。
Q1ー15-10
「杭頭結合計算」画面において、下記メッセージが表示される
---------------------------------------------------- -------------------------杭頭補強鉄筋エラー:[3100]
杭頭補強鉄筋として有効な鉄筋が設定されていません。
補強鉄筋を見直してください。
---------------------------------------------------- --------------------------
A1-15-10
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」6-3-2(P.303)において、
「杭外周溶接鉄筋は、フーチング下面
から 100mmしか突出していない杭頭部への溶接であることや鉛直方向への溶接であるなど、一般の場合に比べて著し
く施工性に劣ることから、想定 した品質が確保されない可能性がある。したがって、常時の荷重や供用期間中に発生す
る確率が高いレベル1地震時の照査においては、品質が確実 に確保される中詰め補強鉄筋(RC杭・PHC杭およびSC杭
では杭体内補強鉄筋を含む)のみを杭頭補強鉄筋として考慮し、杭外周溶接鉄筋は考 慮しないこととした。」とあり、常
時,レベル1地震時に対する照査では、杭外周溶接鉄筋を考慮せずに行うことが規定されております。
よって、本プログラムでは、上記を参照し、
「計算条件」-「基本条件」画面の「杭基礎設計便覧の適用基準(H19年1月)」
がチェックされて いるとき、杭外周溶接鉄筋を考慮せずに照査を行っておりますので、杭体補強鉄筋として杭外周溶接鉄
筋のみ指定されいる場合、有効な鉄筋が存在 しないと判断し上記のメッセージを表示しております。
杭外周溶接鉄筋を考慮した計算を行いたい場合は、設計者のご判断により、
「杭頭 結合計算」-「杭頭補強鉄筋」画面で
「補強鉄筋=杭体内補強鉄筋 (または中詰め補強鉄筋)」として計算してくださいますようお願いいたします。
なお、計算書の「杭頭結合計算」-「仮想鉄筋コンクリート断面照査」では、上記で設定された鉄筋種類名が出力されま
すので、必要に応じて、印 刷プレビュー画面の[ソース]編集にて修正してくださいますようお願いいたします。
168
Q1ー15-11
杭基礎設計便覧の適用基準(H19)を選択した時、またはしない時 の杭頭応力を計算するモーメントの値が異なっているの
はなぜか
A1-15-11
杭頭接合計算の仮想鉄筋コンクリート断面照査(接合方法B)において、
「H19年1月の杭基礎設計便覧を適用」かつ「レ
ベル2地震時照査をしない」場合、常時およびレベル1地震時の照査に用いるMは「杭頭曲げモーメントと地中最大曲げ
モーメントのうち大きい方の値」としています。
そのため、杭基礎設計便覧の適用基準(H19)を選択した場合、地中部の最大曲げモーメントが照査に用いられるMとして
選定されております。
この判定について、
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)」6-3-2(P.302)では、
「杭頭部の発生断面力にて算出された応力度が許容応力度以下であることを照査する。」と記載されております。
本記述のみを参照するならば、仮想鉄筋コンクリート断面の照査としては、杭頭部の発生曲げモーメントを用いるものと
考えられますが、次頁において、 「液状化が生じない地盤にある橋台のようにレベル2地震時の照査を省略してもよい
基礎においては、中詰め補強鉄筋(杭体内補強鉄筋)のみによる仮想鉄筋コンクリート断面で、杭頭部の設計に用いる曲
げモーメントにて算出した応力度が許容応力度以下であることを照査する。」との記述があり、これに対し、
①橋台においては、偏荷重が常に作用していることや側方移動のおそれがあること。
②地震時の動的非線形応答の推定法に不明な点が多いことより、杭頭結合部に想定外の断面力が発生する可能性が
あるという状況に対して、可能な限り杭頭部へ先に損傷領域を誘導するように配慮したものである。
と記載されています。
本解説の主旨は、レベル2地震時照査を行うケースにおいては、レベル2地震動を受ける場合に杭頭結合部にて損傷が先
行し,進展することを避け,杭頭部へ損傷領域を誘導した設計が行われる、しかしながら、このような設計が行われない
ケースにおいては、現在の設計計算ではカバーできない大きさの応力状態が結合部に生じる可能性があり、また、可能な
限り杭頭部へ損傷領域を先に誘導するように配慮した設計を行う必要性がある(基礎工2006.12月号.P.50)ということを
論じたものであろうと考えられます。
本プログラムでは、上記の主旨を鑑み、前述の「杭頭部の設計に用いる曲げモーメント」は杭頭曲げモーメントと地中部
最大曲げモーメントのうち大きい方を用いる必要があると判断し、仮想鉄筋コンクリート断面の照査を行っております。
なお、
「計算条件」-「入力条件」画面で「杭頭結合計算の杭頭作用力=直接入力」を選択した場合、本プログラムでは、
「杭頭結合計算」-「杭頭作用力」画面で設計に用いる曲げモーメントを入力することが可能です。
レベル2地震時照査を行わないケースにおいても、杭頭発生曲げモーメントを用いて照査を行う場合、上記画面にて、地
中部モーメント=杭頭モーメントと入力することによりご対処くださいますようお願いいたします。地中部モーメントは、
仮想鉄筋コンクリートの照査以外では、方法Aのフーチングコンクリートの水平支圧応力度の照査において、上記画面の
「使用モーメント」を「2=地中部」とした場合のみ用いております。
Q1ー15-12
杭頭作用力を「安定計算から自動的に設定する」
A1-15-12
としていても、
「杭頭接合計算」-「杭頭作用力」で使用モーメントが自動設定とはならないのはなぜか。
「計算条件」-「基本条件」-「基本条件」-「杭基礎の適用基準」がチェックされていない場合は使用モーメントの取り
扱いが設計者の方のご判断となるため、その場合においては選択となります。
Q1ー15-13
杭頭結合A方式の場合、L2照査から杭頭照査が省かれるが、根拠を知りたい
A1-15-13
「杭基礎設計便覧(H19.1)」の 6.杭とフーチングの結合法のp.294に、以下の記述がございます。
『(省略)杭とフーチング縁端が道示Ⅳ12.3の距離を確保され、常時およびレベル1地震時の照査を満足する場合にはレ
ベル2地震時の照査を省略してもよい。ただし、杭頭結合部は、レベル2地震時においても、結合部が応力的に弱点となら
ないように杭体と同等以上にしておく必要があることから、
「6)仮想鉄筋コンクリート断面の照査」を行う。』
また、
「6)仮想鉄筋コンクリート断面の照査」(p.301)では、次の記述がございます。
『鋼管杭・鋼管ソイルセメント杭・RC杭・PHC杭およびSC杭において、杭頭結合方法Bとする場合は、杭頭結合部が
杭頭部より先行して損傷しないよう、フーチング内に鉄筋コンクリート断面を仮定した断面(以下、仮想鉄筋コンクリート
断面という)におけるコンクリートおよび鉄筋の応力度を照査する必要がある。』
従いまして、結合方法Aの場合は、照査をしないでもよいと解釈しております。
Q1ー15-14
ヘルプの[操作方法]-[メニューの操作]-[入力]-[杭基礎]-[杭頭接合計算]のページの「■杭頭作用力」の項目に「レベル2地
震時の照査を省略する場合・・・杭頭,地中部のうち大きい方を用いる」とあるがその根拠は何か
A1-15-14
本プログラムの杭頭結合部の照査は、杭基礎設計便覧(H19.1)を参照し作成しておりますが、本文献6-3-2(P.302)におい
て、
「杭頭部の発生断面力にて算出された応力度が許容応力度以下であることを照査する。」
と記載されております。
本記述のみを参照するならば、仮想鉄筋コンクリート断面の照査としては、杭頭部の発生曲げモーメントを用いるものと
考えられますが、次頁において、
「液状化が生じない地盤にある橋台のようにレベル2地震時の照査を省略してもよい基礎においては、中詰め補強鉄筋
(杭体内補強鉄筋)のみによる仮想鉄筋コンクリート断面で、杭頭部の設計に用いる曲げモーメントにて算出した応力度
が許容応力度以下であることを照査する。」
との記述があり、これに対し、
1)橋台においては、偏荷重が常に作用していることや側方移動のおそれがあること。
2)地震時の動的非線形応答の推定法に不明な点が多いことより、杭頭結合部に想定外の断面力が発生する可能性が
あるという状況に対して、可能な限り杭頭部へ先に損傷領域を誘導するように配慮したものである。
と記載されています。
本解説の主旨は、レベル2地震時照査を行うケースにおいては、レベル2地震動を受ける場合に杭頭結合部にて損傷が先
行し,進展することを避け,杭頭部へ損傷領域を誘導した設計が行われる、しかしながら、このような設計が行われない
ケースにおいては、現在の設計計算ではカバーできない大きさの応力状態が結合部に生じる可能性があり、また、可能な
限り杭頭部へ損傷領域を先に誘導するように配慮した設計を行う必要性がある(基礎工2006.12月号.P.50)ということを
論じたものであろうと考えられます。
本プログラムでは、上記の主旨を鑑み、前述の「杭頭部の設計に用いる曲げモーメント」は、杭頭曲げモーメントと地中部
最大曲げモーメントのうち大きい方を用いる必要があると判断し、仮想鉄筋コンクリート断面の照査を行っております。
ただし、
「杭頭部の設計に用いる曲げモーメント」として、上記の曲げモーメントを用いると明記されているわけではあり
ません。
本プログラムでは、
「計算条件」-「入力条件」画面で「杭頭結合計算の杭頭作用力=直接入力」を選択することにより、
「杭頭結合計算」-「杭頭作用力」画面において、設計曲げモーメントを直接入力することが可能です。
レベル2地震時照査を行わないケースにおいても、杭頭発生曲げモーメントを用いて照査を行うべきとお考えであれば、
上記画面にて、地中部モーメント=杭頭モーメントと入力することによりご対処くださいますようお願いいたします。地中
部モーメントは、仮想鉄筋コンクリートの照査以外では、方法Aのフーチングコンクリートの水平支圧応力度の照査におい
て、上記画面の「使用モーメント」を「2=地中部」とした場合のみ用いております。
169
第3章 Q&A
1-1-16 杭頭補強鉄筋照査
Q1ー16-1
杭基礎設計便覧(平成19年1月)に準じたときの杭頭補強鉄筋において、杭外周溶接鉄筋の鉄筋がカウントされない
A1-16-1
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」6-3-2(P.303)において、
「杭外周溶接鉄筋は、フーチング下
面から100mmしか突出していない杭頭部への溶接であることや鉛直方向への溶接であるなど、一般の場合に比べて著し
く施工性に劣ることから、想定した品質が確保されない可能性がある。したがって、常時の荷重や供用期間中に発生する
確率が高いレベル1地震時の照査においては、品質が確実に確保される中詰め補強鉄筋(RC杭・PHC杭およびSC杭で
は杭体内補強鉄筋を含む)のみを杭頭補強鉄筋として考慮し、杭外周溶接鉄筋は考慮しないこととした。」とあり、常時,
レベル1地震時に対する照査では、杭外周溶接鉄筋を考慮せずに行うことが規定されております。
本プログラムでは、上記を参照し、
「計算条件」-「基本条件」画面の「杭基礎設計便覧の適用基準(H19年1月)」が
チェックされているとき、杭外周溶接鉄筋を考慮せずに照査を行っております。
Q1ー16-2
以下のエラーが発生する原因は?
------------------------------------------杭頭補強鉄筋データエラー
*段目かぶりに誤りがあります。
下記のように修正して下さい。
*段目かぶり < (直径-内径)/2
--------------------------------------------
A1-16-2
「杭頭結合計算」-「杭頭補強鉄筋」画面において、
『内径』を入力されているのではないでしょうか。
杭頭結合部の照査は、フーチング内に定着された仮想鉄筋コンクリート断面に対する照査であることから、通常内径は
0(mm)として入力し、円環断面ではなく円形断面として照査します。
内径が入力されている場合、中詰め補強鉄筋が中空部に配置されていると判断され、ご質問のデータエラーが生じてい
ます。
なお、本プログラムでは、前身であるDOS版製品時に、PHC杭で仮想鉄筋コンクリート断面を円環断面として検討したい
というご要望をいただき、内径の入力を設けております。
通常の仮想鉄筋コンクリート断面の設計では、円形断面として照査しますので、内径は0.0となります。
1-1-17 杭頭カットオフ照査
Q1ー17-1
PHC杭のレベル2地震時照査において、杭頭カットオフの影響を考慮する必要はないのか?
A1-17-1
常時,レベル1地震時に対しては、杭基礎設計便覧(H19.1)2-6-3(P.185)において、カットオフによるプレストレスの損失を
考慮した鉄筋コンクリート断面としての照査方法が規定されていることから、本プログラムでは、これに準じた照査を行っ
ています。
これに対し、レベル2地震時では、道示や他の文献等においても、カットオフ区間に対する照査方法は明記されておりませ
ん。よって、本プログラムでは、レベル2地震時に対するカットオフ区間の照査は行っておりません。
ただし、
「道路橋の耐震設計に関する資料(H.9.3)社団法人日本道路協会」(P.9-21)において、
「杭頭付近はカットオフによ
りプレストレスが減少していることから、軸方向圧縮力によるせん断耐力の割増しは死荷重による杭頭での軸力のみを考
慮した。」と記述されており、カットオフによるプレストレスの損失を考慮する場合、せん断耐力照査時の軸方向圧縮力に
よる補正係数CN算出に有効プレストレスσceを考慮せずに計算を行うよう記述されています。同様に、杭基礎設計便覧
(H19.1)3-8-2(P.237),2-6-3(P.187)においても、
「ただし、有効プレストレスσe=0とする。」と記述されています。
これより、本プログラムでは、
「レベル2地震時基本条件」-「計算条件①」画面に『せん断耐力照査用のCN算出時の有効
プレストレスσceの取扱い』スイッチを設け、プレストレスの損失を考慮する場合、
「無視」を選択することにより、有効プレ
ストレスを考慮せずに照査を行うことが可能で、これにより、カットオフの影響を反映しております。
1-1-18 他「UC-1シリーズ」との関連
Q1ー18-1
旧版データの利用時の問題
A1-18-1
本製品では統合前の製品のデータを読み込むことが可能ですが、以下の留意点がございます。
(1) 保存時の製品バージョンが古い場合はサポートしていない(データの保存内容の変更のため)。
(2) SI単位系保存データのみサポート
その為、従来単位系で作成されていたデータを利用するには、各製品でデータを読み込み、単位系を変更していただき、
保存したデータをご利用いただく必要があります。
製品helpの「旧製品のデータファイルについて」を併せてご確認下さい。
170
1-1-19 その他
Q1ー19-1
千鳥配置の場合のスターラップの入力方法は?
A1-19-1
千鳥配置は鉄筋量が半分になるため、整形配置を元に下記のいずれかの入力を行えばよろしいかと思います。
(1)本数を半分にする
(2)間隔を倍にする
なお、お問合せのスターラップの入力は、
・許容応力度法
・道示Ⅳ5.1.3(P.160~)の式(5.1.3)(必要斜引張鉄筋量)
・レベル2地震時
・道示Ⅳ5.2.3(P.166~)の式(5.2.1)(斜引張鉄筋の負担するせん断耐力)
に用いております。
Q1ー19-2
スパイラル鉄筋の配置区間について2画面あるが、それぞれの入力方法は?
A1-19-2
それぞれの配置区間の入力方法は以下の通りです。
(1)「断面計算」画面(杭体応力度照査用)
「杭配置」-「基本条件」画面で入力された『断面の変化』スイッチ(断面変化なし/上・下杭/上・中・下杭)を参照し
ており、配置区間の最大値は、
■断面変化なし
最大値=1
■上・下杭
最大値=2 (上杭のみ配置=1,杭先端まで配置=2)
■上・中・下杭
最大値=3 (上杭のみ配置=1,中杭まで配置=2,杭先端まで配置=3)
となります。
(2)「杭本体」-「杭種別データ」画面(レベル2地震時照査用)
(1)と同様に『断面の変化』スイッチを参照しますが、M-φ関係により「杭配置」-「データ」画面で入力された『充填
範囲』を考慮します。
充填範囲が入力されていない場合は上記(1)と同じ入力となりますが、入力されている場合の配置区間の最大値は、(1)
の最大値より+1され、
■断面変化なし
最大値=2 (充填範囲のみ配置=1,杭先端まで配置=2)
■上・下杭
最大値=3 (充填範囲のみ配置=1,充填範囲以外の上杭まで配置=2,杭先端まで配置=3)
■上・中・下杭
最大値=4 (充填範囲のみ配置=1,充填範囲以外の上杭まで配置=2,中杭まで配置=3,杭先端まで配置=
4)
となります。
Q1ー19-3
偏心した増し杭の場合、作用力の作用原点位置は杭全体の図心、もしくは底版の図心であるか
A1-19-3
増し杭工法のとき、作用力の作用原点位置は、既設底版下面中心となります。したがって、既設底版下面中心の作用力を
集計し、入力してください。なお、レベル2地震時の死荷重時の作用力も同様です。
ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「補強設計(増し杭工法)」にも同様の説明を記載しておりますので
ご参照ください。
Q1ー19-4
回転杭の羽根外径は任意で入力できないか?
A1-19-4
本プログラムの回転杭工法は、
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)」参考資料「9.回転杭」
(P.436~)を参照し作成して
おります。
上記の杭基礎設計便覧は、1.5倍径,2.0倍径の羽根外径のみ記載されておりますので、本プログラムも同様の羽根外径
としております。
そのため、任意の羽根外径を入力することはできません。
171
第3章 Q&A
Q1ー19-5
鋼管ソイルセメント杭の場合、
「計算条件」-「設計条件」-「鋼管ソイルセメント杭」の「許容荷重Na」とは?
A1-19-5
許容荷重Naとは、杭部材の圧縮強度による杭軸方向の許容荷重(=鋼管断面積×許容応力度)を示しており、許容荷重
を「考慮する」としたとき、
(1)通常の許容押込み力Ra,引抜き力Pa
(2)許容荷重Na
の計算を行い、小さい方を許容押込み力,引抜き力として採用します。
上記(1),(2)の計算値および計算過程は、計算書の「予備計算」-「許容支持力・引抜力の計算」の最後のページに出力し
ておりますのでご参照ください。
なお、本プログラムの鋼管ソイルセメント杭の計算は、道示Ⅳの参考文献(P.431~)に記載されている、
28)「(財)国土開発技術研究センター,ガンテツパイル(鋼管ソイルセメント杭工法),一般土木工法・技術審査証明報告
書,2000.3」
29)「(財)国土開発技術研究センター,HYSC杭(鋼管ソイルセメント杭工法),一般土木工法・技術審査証明報告書,
2000.12」の資料を参照しており、前述の許容支持力の考え方は、29)の文献の(P.154~P.155)の記述を参照したもの
です。
また、上記の説明は、
「計算条件」画面上の[ヘルプ]の「鋼管ソイルセメント杭データ」にも詳しく記述しておりますので、
あわせてご参照ください。
Q1ー19-6
SC杭の杭体単位長さ重量はどのように算出されるのか?
A1-19-6
SC杭においては、
「杭基礎設計便覧」記載の単位重量(参考値)は用いておらず、次のように、プログラム内部にて厳密
に計算しております。
詳細は、下記の例をご参照ください。なお、^はべき乗を示します。
■杭体諸元(SC杭)
外径D = 0.600(m)
内径H = 0.420(m)
鋼管厚t = 0.006(m)
■コンクリート部の断面積
Ac = π・{(D/2 - t)^2 - H/2^2}
= π・{(0.600/2 - 0.006)^2 - 0.420/2^2}
= 0.1330024(m2)
■鋼管部の断面積
As = π・{D/2^2 - (D/2 - t)^2}
= π・{0.600/2^2 - (0.600/2 - 0.006)^2}
= 0.0111966(m2)
■杭体重量
W = Ac・25.5 + As・77.0
= 4.2537(kN/m)
Q1ー19-7
底版形状に対して45°の方向に荷重が作用する場合の入力方法
A1-19-7
本プログラムの作用力は、X軸,Y軸平行に作用するように入力していただく仕様としておりますが、底版形状に対して45
°の方向に荷重が作用する場合、下記の2通りの設計で対処できるものと思われます。
■2.5次元解析で設計
常時,暴風時,レベル1地震時であれば、2軸方向に荷重が作用するケースの計算を行うことが可能と考えられます。
この場合、橋軸方向に作用する水平力,モーメント、橋軸直角方向に作用する水平力,モーメントを分力として入力してご
対処ください。
2.5次元解析における計算方法につきましては、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「安定計算および
杭体断面力の計算」 に詳しく記載しておりますので、ご参照くださいますようお願いいたします。
■2次元解析で設計
作用力の向きをX軸,Y軸にし、杭配置(座標)を変更によりご対処くださいますようお願いいたします。
ただし、この場合は、安定計算,杭体断面力計算のみ可能で、底版照査は適用不可となります。
172
Q1ー19-8
液状化を考慮したケースと無視したケースを同時に計算することはできるか
A1-19-8
本プログラムでは、次の設定を行うことにより、液状化の影響を無視したケース,考慮したケースの同時計算が可能です。
■レベル1地震時
「計算条件」-「基本条件」画面において、
「レベル1地震時の液状化有無」の「無視」,
「考慮」を両方ともチェックしま
す。
■レベル2地震時
「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(共通)」画面において、
「液状化」の「無視」,
「考慮」を両方ともチェックしま
す。
ここで、液状化を考慮したケースとは、
「地層」-「低減係数」画面で入力あるいは計算された土質定数の低減係数DE
を、地盤バネや周面摩擦力に考慮した計算を行うことを示しています。ただし、全層のDEが1.000のとき、DEを考慮して
も(地盤バネや周面摩擦力にDEを乗じても)結果に相違が生じないことから、本プログラムでは、全層のDEが1.000の
とき、上記のスイッチは「無視」に固定し選択できないようにしています。選択不可(グレー表示)となっている場合、
「地
層」-「低減係数」画面の低減係数DEをご確認ください。
なお、常時,レベル1地震時の計算では、
「作用力」-「荷重ケースの設定」画面の「地盤バネ」
(「基準値」-「荷重ケー
ス」画面で荷重ケースごとに設定)が「地震時」となる荷重ケースに対し液状化の影響を考慮した計算を行っており、この
荷重ケースに対しては、液状化無視/考慮の両方の計算結果を出力しています。
また、橋台基礎のレベル2地震時照査は、道示Ⅴ6.4.8(P.105)より、液状化の影響を考慮する場合のみ検討を行えばよい
と考えています。よって、参考として液状化無視の計算を行うことも可能としておりますが、これらの同時計算を行うこと
はできません。
Q1ー19-9
A1-19-9
汎用骨組み解析プログラムで基礎をモデル化するとき、本プログラムで算出されるバネ値のどれを用いたらよいか
杭軸直角方向バネ定数K1~K4は、杭頭の力と変位との関係を表したもので、道示Ⅳ12.6.2(P.375)の解説のように、杭1
本のバネ値を示しています。杭頭の集約バネであり、ラーメン橋脚やBOXカルバートの断面方向のモデル化で杭を1本ごと
に支点バネとして定義する際に用います。
これに対し、基礎バネは、道示Ⅳ12.7(P.380)(解12.7.2)により求まる基礎天端中心における杭基礎全体のバネ値を示し
ています。各杭のKvやK1~K4を集約して求めたもので、一般に、橋梁全体の骨組解析のように、杭基礎全体を一つの支
点として定義する場合に用います。
また、上記のバネ値は、
・常時,地震時のα・Eo
・固有周期算定用の動的変形係数ED
のいずれかを用いて算出します。
α・Eoを用いて算出されたバネ値は、支承の水平移動量の算定などに用います。これに対し、EDを用いて算出されたバ
ネ値は、固有周期を算定するために橋梁全体をモデル化する場合に用います。また、道示Ⅴ7.3.2(P.114)の記述、
「基礎の
変形の影響は、一般に基礎の抵抗を表すバネにより線形でモデル化してよい。ここで、基礎の抵抗を表すバネ定数は、式
(解6.2.1)及び式(解6.2.2)による地盤反力係数の基準値を用いて式(解6.2.12)により算出してよい。」より、動的解析を行
う場合の基礎の動的バネとしても用います。
以上のように、どのような解析モデルに使用するかにより必要とするバネ値が異なります。ご検討の照査内容を勘案し、
下記のいずれかの値をご参照ください。
■地盤の変形係数α・Eoによるバネ値
・Kv
「設計条件」-「バネ定数,許容支持力・引抜力,断面二次モーメント」
・K1~K4
「安定計算」-「杭軸直角方向バネ定数」
・基礎バネ
「安定計算」-「杭基礎の剛性行列」
■動的変形係数EDによるバネ値
・Kv,K1~K4
「基礎バネ計算」-「杭軸直角方向バネ定数,杭軸方向バネ定数」
・基礎バネ
「基礎バネ計算」-「固有周期算定用地盤バネ定数」
173
第3章 Q&A
Q1ー19-10
底版照査に用いる引張主鉄筋比ptの算出方法
A1-19-10
底版照査に用いる引張主鉄筋比は『断面図心位置から引張側にある主鉄筋の断面積の総和を全幅×有効高で除した
値』として算出しております。
pt=As/(b・d)
ここに、
As:断面の図心位置から引張側にある主鉄筋の総和(mm2)
b:部材断面幅(=全幅)(㎜)
d:部材断面の有効高(㎜)
Q1ー19-11
メイン画面「ファイル」メニューの『柱状図』が選択できない
A1-19-11
本メニューは、杭基礎側の「予備計算」が実行されていない状態では選択できません。
Q1ー19-12
予備計算を行っていない状態で、柱状図のみ出力したい
A1-19-12
本プログラムでは、Ver.8.04.00にて、
「地層」-「N値」画面に測定点ごとのN値の入力を追加し、平均N値の推定および
測定点ごと の詳細なN値を用いた液状化の判定が行えるように機能を拡張いたしました。
この機能では、
「杭配置」画面が未入力の状態でも出力できるため杭の概略図は出力しておりませんが、その他の部分に
関してはメイン画面の 「ファイル」メニューにある柱状図とほぼ同等の入力と出力が可能となっております。
以下は、操作方法の概略となります
1.「地層データ」画面に入り「N値」タブを選択する
2.「N値測定点を入力する」チェックボックスにチェックを入れ、深さとN値のデータを入力する
(※入力方法を「標高入力」に変更すれば測定点位置を標高で入力する事も可能です)
3.「印刷」ボタンを押し出力を行う。(現行ではプリンタ出力のみに対応しております)
「地層データ」画面のヘルプボタンより開くヘルプも併せてご参照ください。
Q1ー19-13
常時,レベル1地震時では浮力の有無のスイッチがないが、浮力の有無はどのように取り扱っているのか
A1-19-13
常時,レベル1地震時において、浮力は、
①許容支持力,引抜き力算定時の杭および土の有効重量
②フーチング下面中心の作用力計算における土砂やフーチングの浮力
③フーチング許容応力度法照査の断面力計算における土砂やフーチングの浮力
に考慮されます。
上記①の計算では、一般に、浮力考慮,浮力無視で変わることはないものと考えることから、本プログラムでは、
「地層」
-「地層線」-「設計地盤面」画面の「水位(常時)」,
「水位(地震時)」を用いた2種類の許容支持力,引抜き力のみ計算
し、
「基準値」-「荷重ケース」画面の「許容支持力(常時/地震時)」スイッチにより使い分けています。
これに対し、上記①,②に関しては、
「作用力」-「柱下端作用力」
(あるいは「作用力」-「作用力」)画面の「水位」によ
り、計算に用いる水位を直接指定していただくようにしています。
あらかじめ浮力考慮時の水位,浮力無視時の水位(フーチング下面)を設定し、荷重ケースごとに「浮力考慮」,
「浮力無
視」スイッチを指定するのではなく、荷重ケースごとに直接水位を指定します。
なお、
「作用力」画面では、画面上の[水位連動]ボタンにより、前述の「地層」画面の水位を連動することができます。
ただし、前述のように、荷重ケースごとの浮力有無のスイッチを用意しているわけではありませんので、常時は常時水位,
地震時は地震時水位が全ケースに一様にセットされます。
お手数ですが、浮力無視ケースについては、
[水位連動]を行った後、手動で0.000(m)と設定してください。
174
Q1ー19-14
FRAMEで算出した断面力を杭基礎の作用力として入力する場合、柱基部断面力と底版下面作用力のどちらを入力したら
よいか
A1-19-14
杭配置,杭径等を変更して繰り返し計算する場合、底版寸法が変化する可能性がありますので、柱下端作用力を入力し作
用力自動計算を行った方がよろしいかと思われます。
なお、算出された作用力は、計算書の「予備計算」-「作用力計算」で計算過程を出力しておりますので、算出された作用
力に問題ないかをご確認くださいますようお願いいたします。
Q1ー19-15
SC杭+PHC杭 杭軸方向バネ定数において、ヘルプに以下のように記載されているが、その出典根拠
A1-19-15
※SC杭+PHC杭のとき、PHC杭の断面を用いて算出します。その他の杭種のとき、上杭の断面を用いて算出します。
本プログラムにおける『杭の軸方向バネ定数』の算出は、道示Ⅳ12.6.1(P.373~)に記載されている考え方にしたがって作
成しております。
同道示Ⅳ(P.374)では、
「PHC杭の上杭としてSC杭を用いる場合には、a,Ap,EpはPHC杭の値を使用するものと
する。」と記載されており、本プログラムも本記載に従い、SC杭+PHC杭のときはPHC杭の値を用いて算出しておりま
す。
Q1ー19-16
増し杭計算を行った際「構造系が不安定・・」というメッセージが発生した
A1-19-16
既設杭が原因でエラーが発生している場合、データを変更できないがどのように対処したらよいか
本プログラムの増し杭工法は、
「既設道路橋基礎の補強に関する参考資料(H.12.2)社団法人日本道路協会」を参照し作
成しております。
本文献は、4.1.5(P.4-64)の「本計算例では、既設杭と新設杭が一体として荷重に抵抗するとした計算方法を示してい
る。」の記述のように、既設杭に荷重を分担させ、既設杭の抵抗を期待した設計を行う方法が記載されています。
既設杭,増し杭の両方で荷重に抵抗する考え方であることから、既設杭に対しても安全性を満足させる必要があります。
前述の「既設道路橋基礎の補強に関する参考資料」において、
「ただし新設杭に比較して既設杭のじん性が極端に低い
場合、例えば設計年度の古い既設RC杭や PC杭では、
・・・この様な場合は既設杭を無
視した計算を行っても良いと思われる。」とあり、既設杭の鉛直抵抗,水平抵抗を無視した設計法が紹介されておりま
す。
既設杭の抵抗を期待しない設計法であれば、既設杭の照査がOUTとなるケースにおいてもOKと判断することも可能かと
思われますが、本文献では、既設杭の抵抗を期待しない設計法について詳細が明記されておらず、具体的な設計法が明
確でないことから、本プログラムでは本方法には対応しておりません。ご了承ください。
なお、増し杭工法では、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「補強設計(増し杭工法)」に記載しており
ますように、
・既設死荷重は既設杭のみが負担する。
・補強に伴う増加荷重は既設杭と増し杭で分担する。
・地震力に対して、既設杭と増し杭で分担する。
として荷重を分担しております。
地震力を伴わない既設死荷重に対しては既設杭のみで負担するものとしておりますが、その他の増加荷重および地震力
は既設杭および増し杭の両方で負担します。
したがって、増し杭を増すことで、既設杭の負担を小さくできるものと考えられます。
Q1ー19-17
杭体応力度の結果確認で任意の杭の応力度を確認する方法はあるか
A1-19-17
[杭配置]-[杭径・杭長の変化]で「あり」を選択した場合は、結果確認、計算書の杭体応力度の出力で、指定の杭体応力度
の確認を行うことが可能となります。
Q1ー19-18
増し杭工法の場合に群杭が選択できないという理由は何か
A1-19-18
増し杭による施工を行った場合、群杭として既設杭の形式とどのような兼ね合いを持つかについて明確に示唆する文献
がないため、現行では選択不可としております。
Q1ー19-19
鋼管ソイルセメントの場合、単位重量は、鋼管+ソイルセメントで考えているのでしょうか?
A1-19-19
鋼管ソイルセメント杭の単位重量に付きましてはお考えの通りです。
[材料]-[杭体]に単位重量に関するデータと算定式の表記があります。
Q1ー19-20 盛こぼし橋台のレベル1地震時の変位の判定を、
(地震時+変位荷重)による変位(δ1)から(地震時のみ)による変位(δ
2)を引き、さらに、地盤変位(δ3)を引いた変位(Δδ=δ1-δ2-δ3)で判定しているが、Δδ=δ1-δ3で判定すべきではな
いか
A1-19-20
NEXCO設計要領第二集(H24.7)(P.4-47)の「レベル1地震時の水平変位について、通常荷重による相対変位及び地盤変
位荷重を考慮した相対変位は、5章2-2に示す許容変位量以下でなければならない。」の記述から、以下の2ケースについ
て照査を行うものと解釈しております。
(1)レベル1地震時の通常荷重による相対変位の変位照査
(2)地盤変位荷重を考慮した相対変位の変位照査
(1)では計算結果の水平変位(δ)から地盤の変位量(δ3)を差し引いた値(δ-δ3)で判定します。(2)では(地震時+変位荷
重)の水平変位(δ1)から、
(地震時のみ)の水平変位(δ2)を引き(地盤変位荷重のみ)の水平変位を算定しますが、こ
の水平変位と地盤変位の差が照査する水平変位と解釈しております。
175
第3章 Q&A
Q1ー19-21
斜杭の圧密沈下の検討を行う場合、[作用力]-[斜杭の圧密沈下の検討]で入力を行うと、
「圧密層内に粘性土層以外が存在
しております。その場合計算の妥当性が失われますがよろしいでしょうか。」という警告文が出現するが、どのような意味
があるのか
A1-19-21
道路橋示方書Ⅳp.622におきまして、
「根拠となる実験的・解析的検討での条件から,圧密層表層の沈下量が層厚の5%以
下及び1m以下の地盤を適用対象とし,圧密層間に非圧密層が存在するような互層地盤は対象外である。」と記載されて
おります。
そのため、参考文献より原則として圧密沈下の対象とする地層は互層のない粘性土層であるものとして想定しておりま
す。
しかし設計者によってはその前提としても互層地盤である場合を想定して計算を行いたいケースがあることを考慮し、プ
ログラム上では非粘性土層を含む互層地盤であっても計算そのものは行うことができるようになっております。
ただし、その場合については添付頂きました画像にもありますように、示方書の前提に則らないため計算の妥当性はない
ものと考えております。よって、互層地盤を認めた上で計算される場合につきまして設計者によるご判断にお任せするも
のとしております。
Q1ー19-22 操作ガイダンスのようなものがあるか
A1-19-22
操作ガイダンスにつきましては、弊社製品は基本的にHP上に公開をしておりますのでご参照いただければと思います。
基礎、杭基礎の設計につきましては以下より取得することができます。
http://www.forum8.co.jp/faq/manual-index.htm#kiso
Q1ー19-23 杭体応力度を杭毎に確認する方法はあるか。任意の位置の杭体応力度のデータについて確認したい
A1-19-23
[着目杭指定]にて全ての杭を指定して頂くこと方法が考えられます。ただしこの場合、着目杭指定の制限により2.5次元解
析、増杭不可などの計算上の制限が発生致します。
Q1ー19-24 杭間隔2.5Dを確保した通常の場所打ち杭と、橋軸方向の杭間隔のみ2.0Dまで縮めた群杭の場所打ち杭。計算すると、レ
ベル2の橋軸方向において、2.5D杭が杭耐力でNG,群杭が全てOKとなった。どのような理由によるものか
A1-19-24
176
杭間隔を広げますと、同じ杭頭鉛直反力で比較した場合、底版下面中心位置での杭頭鉛直反力によるモーメントが大きく
なります。
杭頭鉛直反力V、底版中心からの距離Xとした場合、杭頭鉛直反力によるモーメントMpは、
Mp=V×X
となりますので、Xが大きく(杭間隔を広げる)なりますとMpが大きくなります。
すなわち底面作用力モーメントに対する抵抗値が大きくなります。
その結果、基礎の回転に対する抵抗が大きくなり、回転角が減少します。
2.5Dで計算した場合のレベル2地震時で降伏しているケース「Y方向:液状化無視:タイプⅡ:水位無視」で、群杭データ
と比較しますと、2.5Dデータは、杭頭モーメントで降伏していることがわかります。
先ほどの説明で、杭頭鉛直反力で底版下面作用力に対する抵抗モーメントが変化することを説明しましたが、その結果と
して杭頭モーメントも変わってきます。
杭頭反力と底版下面作用力は釣り合いますので、道示Ⅳ(解12.7.6)(P.415)のように、杭頭モーメントMtと杭頭鉛直反力に
よるモーメントV・xの合計値と底版下面作用力Moは一致します。
∑(Mti+Vi・xi)=Mo ...(解 12.7.6 ※抜粋)
従いまして、群杭では杭頭曲げモーメントが小さくなったため、降伏にいたらなかった結果となっています。
杭頭曲げモーメントの出方は、上式のように、杭頭反力と杭座標、底版下面モーメントで出方が変わりますので、必ずしも
大きくなるとは限りません。∑(Vi・xi)が大きいですと∑Mtiはマイナス値ともなり場合があります。
本ケースでは、群杭とした方が小さくなったというケースです。
なお、計算結果画面の「荷重変位関係」をご覧いただければわかりますが、群杭データの方が上部構造変位が大きくなっ
ています。
上部構造変位δは次式で計算しています。
δ=δx+α・hu
δx:底版下面の水平変位
α:底版下面の回転角(rad)
hu:底版下面から上部工慣性力作用位置までの距離
群杭は基礎が回転しやすいためαが大きくなり、変位が大きくなったと考えられます。
レベル2地震時照査の降伏判定では、変位は照査対象ではありませんので影響はありませんが、基礎が降伏し応答変位
照査を行う場合では、降伏変位を算定に用いますので影響します。
群杭データでは、基礎は降伏しておりませんので、群杭によるデメリット部分が表面化していないケースとなっています。
Q1ー19-25 増し杭施工時に底版幅が下限値入力にも関わらず赤字になるが計算上は問題ないか
A1-19-25
入力シート内の制限値判定上の問題であり、表示される入力範囲に入っていれば計算については問題ございません。
Q1ー19-26 底版レベル2地震時照査において、せん断照査位置は、内部判定となるか
A1-19-26
照査位置は柱あるいは壁前面から底版厚の1/2だけ離れた位置、およびそれより外側の杭中心位置とし、これをプログ
ラム内部で自動セットしております。
照査位置については、計算書の詳細出力で、[レベル2地震時の照査]-[底版照査]-[照査位置]にて出力しております。
Q1ー19-27 側方移動の際に斜杭ができないのはなぜか。
A1-19-27
本プログラムの側方移動の検討は「設計要領第二集 4章基礎構造 NEXCO」(平成18年4月)4-1-8(P4-38~)を参考にして
おりますが、
「軟弱地盤における側方移動の影響」の照査方法が、そのまま斜杭に適用できるか否か不明なため、斜杭は
対象外としております。
Q1ー19-28 突出杭と側方移動は同時に考慮できない理由は?
A1-19-28
「設計要領第二集 4章基礎構造(平成18年4月)NEXCO」図4-4-7(P.4-41)のように、設計上の地盤面が底版下面より上
方となり、底版下面から側方流動圧を考える範囲に側方流動圧による最大荷重強度Pmaxを頂点とする二等辺三角形と
して載荷するケースを想定しています。
本文献に突出杭に関する記述があるわけではありませんが、現行では、設計要領に記載された条件のみを対象としてお
り、これ以外の条件の時、警告を表示し計算に移行できないようにしています。
1-1-20 段落とし自動配筋
1-1-21 設計調書
Q1ー21-1
設計調書の「基礎工詳細設計調書(その2)」の『鉛直変位δz』の算出方法
A1-21-1
「基礎工詳細設計調書(その3)」の『鉛直変位δz』は、ヘルプの「操作方法」-「メニューの操作」-「設計調書」-『②
杭基礎の設計計算』の「1.基礎工詳細設計調書」-「(2)その2 および その3」に記載しておりますように、抽出され
た荷重ケースのPmax/Raの最大となる杭のPmax/Kvを出力しています。
なお、鉛直変位δzは、安定照査には用いておりませんので、計算書では出力しておりません。
1-22 地震時保有水平耐力(基礎の設計・3D配筋)
Q1ー22-1
鋼管系の杭で、
「レベル2地震時照査」-「杭本体」-「M-φ」の降伏曲げモーメントMyが0となり、計算が実行できな
い。どのように対処すればよいか。
A1-22-1
H24道示Ⅳ P437の記載の方法で降伏曲げモーメントは算出していますが、断面に対して軸力が異常に大きい場合や断面
積が小さくなる場合、降伏曲げモーメントMyを求める事ができません。軸力や断面(鋼管厚)の設定を見直しても問題が
ない場合、降伏曲げモーメントMy=0では
計算を進める事はできませんので、
「計算条件」-「入力条件」-「レベル2地震時」の「M-φ」を直接指定に変更し、別
途求めた値を「レベル2地震時照査」-「杭本体」-「M-φ」に指定する事で対処可能となります。
Q1ー22-2
レベル2地震時照査において、鋼管杭のM-φ算出時のAやIでの腐食代の扱い方は常に考慮しているか。
A1-22-2
鋼管杭及び鋼管ソイルセメント杭の曲げモーメント~曲率の関係は、道示Ⅳ12.10.4(P.433)(解12.10.12)(解12.10.9)を用
い、断面積A等の計算時には、常に腐食代を考慮した計算を行っています。
177
第3章 Q&A
Q1ー22-3
レベル2地震時の2.5次元解析時において、杭本体画面の区間の分割が考えていたものと異なる。
A1-22-3
断面計算画面で杭毎のデータが正しく適用されていない可能性があります。
下記の手順で再度、杭の断面データを設定してください。
1.
「断面計算」画面を開く
2.
「データ確認」を選択し1行1列目の杭を選択する。次に「入力」へ変更後、1行目の杭をすべて選択し共通データで適
用を押下する。
同様に使用鉄筋についても1行目の杭を選択し適用を押下する。
3.2~n行目の杭について、2と同様の手順を行う。
Q1ー22-4
レベル2地震時の2.5次元解析時において、作用力直接指定の場合に作用力をどのように入力すればよいのか。
A1-22-4
レベル2地震時の慣性力の向きは、計算方向(Y方向またはX方向)に固定しますので、計算方向の作用力を全作用力に
入力します。
また、計算方向と直交する方向の作用力は、初期作用力の死荷重時水平力,モーメントに入力します。
Q1ー22-5
杭基礎のレベル2地震時照査において、水平震度~変位曲線を算出する際に「基礎の降伏」と「断面照査時」と出力される
ケースがある。
「断面照査時」とはどのような状態か。
A1-22-5
道路橋示方書Ⅳ下部構造編12.10.5(P.440~)に記述されている部材の照査を行う状態を示しており
(1)基礎が降伏に達しなかったとき:最終震度時
(2)基礎が降伏に達して応答塑性率照査を行わないとき:基礎降伏時
(3)基礎が降伏に達して応答塑性率照査を行ったとき:応答変位時
質問のケースは、この(3)に該当します。
1-1-22 地震時保有水平耐力(基礎の設計計算)
Q1ー22-1
杭基礎底版前面抵抗の水平地盤反力度について、上限値puの算出方法。
A1-22-1
計算方法は、
「道路橋の耐震設計に関する資料(青本)」p.2-68に記載されています。
道路橋示方書Ⅳ 解9.8.2より、
PHu=αp・PEp
αp=1.0+0.5(z/Be)≦30
N値2以下の軟弱粘性土ではαp=1.0
z;設計時盤面からの深さ
Be;基礎の有効前面幅
PEp;解9.5.(1)(2)による深度zにおける地震時の地盤の受働土圧強度
にて算出していただき、入力して下さい。
Q1ー22-2
底版レベル2地震時照査において、
「以上のように、基礎はkhyF=0.###で降伏に達したが ~」のようなコメント(詳細欄
参照)が表示され、応答塑性率照査を行わない場合があるが、どういう意味か?
A1-22-2
表示されるコメント
--------------------------------------------------------------------------------------------------以上のように、基礎はkhyF=0.###で降伏に達したが
khcF≦khyF(0.###≦0.###)より、基礎の降伏が生じるが基礎本体あるいは
基礎周辺地盤に塑性化が生じることにより減衰の影響が大きくなるので基礎の
損傷はそれ以上進展しないと判断される。
上表の青表示は基礎が降伏に達した条件を示しています。
--------------------------------------------------------------------------------------------------『道路橋の耐震設計に関する資料 (平成9年3月) 社団法人日本道路協会』のP.2-62~2-63に、基礎の応答塑性率の照査
に関する記述があります。
ここに、
「……khyFがkhc以下であるが,道路橋示方書V編式(11.4.3)により算出される基礎の地震時保有水平耐力法
に用いる設計水平震度khcF(=CD・khc)以上の場合には,基礎に降伏が生じるが基礎本体あるいは基礎周辺地盤に
塑性化が生じることにより減衰の影響が大きくなるので,基礎の損傷はそれ以上に進展しないと判断される。」とあり、
本プログラムではこれを参照しています。
khcF≦khyFの関係で基礎が降伏に達したとき、応答塑性率の算式、
μFR=1/2{1+(khcF/khyF)2}
に代入すると、μFR<1の関係になりますが、前述の資料のP.2-63の図-2.3.12より、応答塑性率μFR=1.0となるため、応
答変位時=基礎降伏時としています。
このため、応答塑性率の照査結果は出力しておらず、上記の解説文を表示・出力しています。
178
Q1ー22-3
Cz・khco<khpの場合、最終震度をCz・khcoまでとしているが、khpまで水平震度を上げる必要はないのか?
A1-22-3
本プログラムでは、
「レベル2地震時基本条件」画面上の[ヘルプ]ボタンから開く説明画面に記載しておりますように、最終
震度をCz・khcoとしており、Cz・khcoを超える水平震度に対する計算は行っておりません。
「道路橋の耐震設計に関する資料(H.9.3)社団法人日本道路協会」
(P.8-32)に、
「基礎が降伏に達するときの水平震度
khyFが地震時保有水平耐力法に用いる設計水平震度khcを上回っており、これは2.3.3の基礎の安全性の判定における
図-2.3.12(a)の場合に該当する。よって、地震時保有水平耐力法に用いる設計水平震度khcに対して、弾性範囲内にある
ので安全と判定される。」と記載されています(文中のkhcは改訂道示のCz・khcoにあたります)。
このことから、Cz・khcoより大きな水平震度に対しては照査する必要がないと判断し、Cz・khco<khpのケースでもCz・
khcoを最終震度としております。
Q1ー22-4
計算分割数はどれくらいの値を指定すればよいのか?
A1-22-4
本プログラムの杭基礎レベル2地震時照査は、荷重増分法により計算しており、計算分割数により決まる荷重増分が小さ
い方が(計算分割数が多い方が)計算精度が良くなります。
分割数を増やしていくと結果に差がほとんど生じなくなります。例えば、サンプルデータの「Kui_7.F8F」
(逆T式橋台:鋼
管杭)では、分割数100と1000の結果に差はほとんど生じません。この場合、分割数100で十分な精度が得られているこ
とになります。
ただし、この状態となる分割数は計算モデルに依存し、事前に適切な分割数を提示することはできません。ご了承くださ
い。
なお、底版前面水平抵抗を考慮する場合、底版前面地盤の弾塑性の影響が大きいので、十分な計算精度を得るために、
底版前面水平抵抗を考慮しない場合と比較して、分割数を大きくする必要があると思われます。
Q1ー22-5
「地盤データ」画面の『上載荷重』で、浮力無視と浮力考慮が同じである
A1-22-5
「地盤データ」画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、上載荷重算出用の水位は、
「レベル2地震時基本条件」-
「基本条件(杭基礎)」画面で設定された『予備計算用水位』を用いております。
『予備計算用水位』が浮力無視/考慮で同じ場合、上載荷重は同じになります。
Q1ー22-6
左ツリー部の「流動荷重」が選択できない
A1-22-6
「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(共通)」画面で『計算条件=流動化考慮』を選択ください。
なお、入力画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、
「地層」-「低減係数」で流動荷重強度>0.000の地層が存在
する場合のみ『計算条件=流動化考慮』が選択可となります。
以上より、
「レベル2地震時照査」-「流動荷重」画面の入力が可能となります。
Q1ー22-7
作用力直接指定によるレベル2地震時照査時において、huは何に用いているのか?
A1-22-7
荷重変位曲線(作用水平力と上部構造慣性力作用位置の水平変位の関係をグラフ化したもの)を出力するために用いて
おり、具体的には、上部構造慣性力作用位置での水平変位(=基礎天端水平変位δo+基礎天端回転角αo・hu)として算
出しております。
以上より、huは底版下面から上部構造慣性力作用位置までの高さを入力してください。
なお、荷重変位曲線のための入力であるため、huを変更しても、基礎の安定計算に影響はありません。
179
第3章 Q&A
Q1ー22-8
釣合鉄筋量の算出方法は?
A1-22-8
釣合鉄筋量は、道示Ⅳ7.3(P.176)(2)において、次のように定義されています。
「釣合鉄筋量は、軸方向引張鉄筋が降伏点に達すると同時にコンクリートの縁圧縮ひずみがその終局圧縮ひずみに達す
るような引張鉄筋量とする。」
釣合鉄筋量の算出方法は以下のとおりです。
a)引張側の最遠位置のひずみをεsy(鉄筋の降伏ひずみ)、コンクリート圧縮縁のひずみをεcu(終局圧縮ひずみ)とし
て中立軸位置を求める。
b)各位置のひずみを用いて、コンクリートの圧縮応力度の合力、および圧縮側鉄筋に生じる圧縮力を算出する。
c)
(作用軸力が0なので)コンクリートの圧縮力と圧縮鉄筋の圧縮力の合計値を、鉄筋の降伏点強度で除した面積を、
釣り合い鉄筋量とする。
参考)道示Ⅲ4.2.4(P.141)では、次の様に定義されています。
「コンクリートの終局ひずみと引張鋼材の降伏ひずみが同時に生じる場合をつり合い状態といい、その時の引張鋼材量
を終局つり合い鋼材量と呼ぶ。」
(解 4.2.5)を軸力が無い場合に変更すると以下のようになります。
Asb=(b・d・0.68・εcu/(εcu+εsy)・σck+Asʼ・σsʼ)/σsy
この式ではコンクリートの応力度分布として「図-解4.2.3」
(P.140)を用いるのに対し、本プログラムでは「図-解4.2.2」「(c)」
(P.140)の応力度分布を用いておりますが、この点を除けば(解4.2.5)と同じ方法です。
Q1ー22-9
レベル2地震時の底版前面水平抵抗において、液状化考慮時は前面抵抗を考慮せずに照査したい
A1-22-9
「底版前面水平抵抗」画面の『低減係数DEレベル2』に0.0を入力することで、液状化考慮時は底版前面水平抵抗を考慮
しない状態となります。
(※液状化無視時は底版前面水平抵抗を考慮します。)
Q1ー22-10
計算書の最小鉄筋量照査で「Mc=Muとなる鉄筋量」が表示されている場合と「-」の違いは?
A1-22-10
「Mc=Muとなる鉄筋量」は、曲げモーメントの1.7倍がひびわれ曲げモーメントより大きくなるとき(1.7M>Mcの関係と
なるとき)出力しています。
Q1ー22-11
「作用力を指定する」とは、どのような場合に使用するのか?
A1-22-11
作用力直接指定によるレベル2地震時照査は、道示Ⅴ7.4(P.117)に記述されている「動的解析の結果,橋脚の挙動が弾性
域にとどまる場合には,橋脚基部に生じる断面力を橋脚基礎に作用する地震力とみなして、6.4.7の規定に基づいて照査
を行えばよい。」に対応したもので、入力された作用力に対して、基礎が降伏に達するか否かを計算しています。
現行では、上記の柱基部断面力を指定する方法の他、底版下面中心の作用力を直接与えて照査する方法も用意しており
ます。
具体的な計算は、下記の初期作用力から全作用力まで、荷重を増加させながら計算を行い、全作用力時に基礎が降伏に
達しないことを照査しています。
・初期作用力
V=Vp+Vʼ
Ho=Hʼ・SW
Mo=Mʼ・SW
慣性力の向きが正方向のとき、SW=1
慣性力の向きが負方向のとき、SW=-1
・全作用力
V
H=Hp+WF・kh+Hʼ・SW
M=Mp+Hp・(底版厚)+WF・hF・kh+Mʼ・SW
ここに、
Vp:柱基部における鉛直力(kN)
Hp:柱基部における水平力(kN)
Mp:柱基部におけるモーメント(kN・m)
Vʼ:柱基部断面力以外の鉛直力(kN)
Hʼ:柱基部断面力以外の水平力(kN)
Mʼ:柱基部断面力以外のモーメント(kN・m)
h:頂版厚
kh:地盤面の水平震度
計算方法につきましては、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「レベル2地震時照査」-「基礎の耐力の
照査」-「作用力を指定してレベル2地震時照査を行う」に記載しておりますので、ご参照くださいますようお願いいたし
ます。
なお、作用力直接指定の場合、前述の通り、基礎の耐力照査(設定された全作用力を載荷したときに基礎が降伏に達して
いるか否か)のみを行っており、応答塑性率の照査は行いません。
詳しくは、ヘルプの「Q&A」-「杭基礎」-「23.地震時保有水平耐力」-「Q23-32」に詳しく記載しておりますのでご
参照ください。
180
Q1ー22-12
作用力を指定してレベル2地震時照査を行う場合に柱間の底版レベル2地震時照査を行う方法は?
A1-22-12
「レベル2地震時基本条件」画面上の[ヘルプ]の「(3)作用力を指定する場合」に記載しておりますように、本プログラム
では、作用力を指定して杭基礎レベル2地震時照査を行う方法として、
①柱基部の作用力を指定し、プログラム内部にて底版下面中心の作用力を算出を行い、この作用力を用いて照査する
方法
②底版下面中心の作用力を直接指定する方法
の2種類を用意しております。
ただし、①の柱基部の作用力を指定する方法は、単柱橋脚のみのサポートとしており、多柱式橋脚の場合、②の方法によ
り照査していただく必要があります。
よって、本件につきましては、
「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(共通)」画面で「作用力を指定してレベル2地震
時照査を行う=する(底版下面作用力)」と設定したあと、同画面の「基本条件(杭基礎)」において、底版下面中心の初
期作用力(=死荷重時の作用力),全作用力(=慣性力が作用した状態における全荷重)を別途算出し、直接入力すること
によりご対処くださいますようお願いいたします。
これにより、
「底版設計」-「計算条件」画面の「レベル2地震時照査:連続フーチングの柱間照査」が選択できるようにな
りますので、安定計算を実施した後、
「計算・結果確認」-「底版照査」-「X方向」-「柱基部断面力」画面にてそれぞれ
の柱の断面力(断面照査時の柱基部の断面力)を入力し、底版レベル2地震時照査を行ってください。
Q1ー22-13
レベル2地震時基本条件の計算条件の「上限値pHuの取扱い」にある「L/DE」とは?また計算のどの部分に用いられてい
るのか
A1-22-13
レベル2地震時照査では、杭前面地盤の非線形性を考慮した照査を行っておりますが、砂質地盤の水平地盤反力度の上
限値は、道示Ⅳ(P.409)のとおり、最前列/2列目以降で異なり、2列目以降の上限値を1/2とします。
しかしながら、増し杭工法で既設杭の外側に増し杭が増設されたとき(全杭を考えたとき既設杭が最前列とならないと
き)、既設杭の最前列の地盤反力度の上限値を1/2とするか否か、道示において明確な規定がありません。
したがって、本プログラムでは、既設杭の最前列の地盤反力度の上限値を1.0とするか、1/2とするかを選択していただくよ
うにしております。
ここで、
「上限値pHuの取扱い」に表示される「L/DE」は、
「既設基礎の耐震補強技術の開発に関する共同研究報告書
(その3)(平成14年9月)」の
・既設杭径DE/増し杭径DM≧3.4
・増し杭1列目から既設杭1列目までの距離L/既設杭径DE≧1.8
をいずれも満たすとき、既設杭の最前列の地盤反力度の上限値を低減せず1.0として評価してよいとの記述を参照し、参
考値として表示しているもので、計算には用いておりません。
Q1ー22-14
壁式橋脚の橋軸直角方向に対してのみ、基礎の塑性化を考慮した設計を行うものと考えていたが、橋軸方向に対しても考
慮しても良いのか
A1-22-14
旧道路橋示方書Ⅴ(H8.12)の5.2(2)2),11.1におきまして、
「橋軸直角方向において橋脚躯体が設計水平震度に対して十分
大きな終局水平耐力を有している場合」という記述があり、橋軸直角方向に限定して応答塑性率の照査を満足すればよい
とされておりましたが、改訂後の道示Ⅴ(H14.3) 6.4.7(3),12.1におきましては、
『橋軸直角方向』との記述が削除されてお
り、方向に依存せず、橋脚躯体が十分大きな水平耐力を有している場合は応答塑性率の照査を満足すればよいという記
述となっております。
したがって、本プログラムでは、橋軸方向に対しても応答塑性率の照査を行っています。
Q1ー22-15
盛りこぼし橋台の設計において基準変位量Soには何を入力すればよいか
A1-22-15
「杭の基準変位量So」についての情報を持っておらず、適切な返答ができません。ご了承ください。
レベル2地震時の地盤反力係数は、
「設計要領第二集 橋梁建築編(H18.4)」の図4-4-21(P4-57)におけるワイブル曲
線にて推定すると規定されておりますが、本項における基準変位量So(=ひずみ1%)をどのように算出すべきか明確な
記述がなく、本説明から把握することができません。
このため、設計者の方のご判断で入力していただく仕様としております。
181
第3章 Q&A
Q1ー22-16
「レベル2地震時基本条件」-「計算条件③」画面の照査判定用の軸力の取扱いはどれを選択したらよいか
A1-22-16
杭基礎設計便覧(P.303の4行目)では、
「仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメントの算定においては軸力Nを零と
する。」と記載されております。
これより、仮想鉄筋コンクリート断面My算出用の軸力は「軸力=0」で良いのではと思われますが、杭基礎設計便覧
(P.303の5行目)に、
「ただし、レベル2地震時の照査において、基礎に主たる塑性化を考慮する場合は・・・・」と記載され
ております。
取り方によっては、(P.303の4行目)の「軸力Nを零とする。」は「基礎に主たる塑性化を考慮しない」場合に対してと読み
取ることもできます。
以上より、杭基礎設計便覧では軸力の取扱いが詳しく明記されておりませんので、本プログラムは、
(1)降伏判定用
(2)基礎に主たる塑性化を考慮するとき
(3)基礎に主たる塑性化を考慮しないとき
に用いる仮想鉄筋コンクリート断面My算出用の軸力を選択していただく仕様としております。
杭基礎設計便覧をご参照いただき、最終的には設計者の方のご判断により選択してください。
Q1ー22-17
2柱式のフーチングで断面力の耐力照査を行いたい
A1-22-17
レベル2地震時照査につきましては、次の手順にて入力,計算を行ってください。
1)
「底版設計」-「計算条件」画面の【連続フーチングの柱間照査】で『連続フーチングの柱間照査=する』と指定する。
2)レベル2地震時の安定計算を行う。
3)
「計算・結果確認」-「底版照査(レベル2)」結果確認画面を開き、
「X方向」-「柱基部断面力」で、断面照査時の
『柱基部断面力』を入力する。
4)同画面の「曲げ照査」,
「せん断照査」に移動し、照査結果を確認する。
なお、連続フーチング柱間レベル2地震時照査を行うには、底版自重,上載土重量,浮力,杭頭反力,および部材照査時
の各柱基部の作用力が必要となりますが、例えば、ラーメン橋脚において柱基部断面力を算出する際に部材の曲げ剛性
等をどのように評価して算出すべきか基準類に明示されておらず、また、本プログラムには多柱式橋脚そのものの設計機
能がありませんので、設計者の方のご判断により別途算出された部材照査時の荷重状態における柱基部断面力を直接入
力していただくようにしております。
部材照査時の荷重状態は次のとおりです。
・基礎が降伏に達しなかったとき:最終震度時
・基礎が降伏に達して応答塑性率照査を行わないとき:基礎降伏時
・基礎が降伏に達して応答塑性率照査を行ったとき:応答変位時
詳しくは、各入力画面,結果確認画面の[ヘルプ]をご参照ください。
Q1ー22-18
基礎が降伏に達し、応答塑性率の照査を行うことが可能な条件にもかかわらず、応答塑性率の照査が行われない。これは
なぜか?
A1-22-18
「レベル2地震時基本条件」-「計算条件②」画面の「橋脚に主たる塑性化が生じるとき、基礎に主たる塑性化を考慮し
ない」をご確認ください。
本スイッチは、道示Ⅴ12.1(P.211)の「ただし、橋脚基礎に主たる塑性化が生じることを考慮する場合には、主たる塑性化
が橋脚基礎にのみ生じるようにするために、図-解12.1.2に示すように、基礎の降伏耐力が橋脚の終局水平耐力あるいは
橋脚躯体基部に生じる断面力を上回らないことを確認するものとする。」に対応したもので、基礎が降伏に達したときの
水平震度khyFを用いて、
khyF≧khp・・・・橋脚基部に主たる塑性化が生じる
khyF<khp・・・・基礎~地盤系に主たる塑性化が生じる
により、橋脚基部に主たる塑性化が生じているか否かを判断し、khyF≧khpの関係で基礎が降伏に達したとき、応答塑
性率の照査を行いません。
また、作用力を直接指定してレベル2地震時照査を行う場合、基礎の耐力照査(設定された作用力を載荷したときに基礎
が降伏に達しているか否か)のみを行っており、応答塑性率の照査は行っておりません。
この他、
「A1-22-2」の条件も考えられます。こちらも合わせてご参照ください。
Q1ー22-19
「レベル2地震時照査」-「地盤データ」の「杭間隔÷杭径」はどの計算に用いられ、どこに影響するのか?
A1-22-19
杭間隔÷杭径は、道示Ⅳ12.10.4の解12.10.8(P.409)の
ηp・αp=荷重載荷直角方向の杭の中心間隔/杭径
を指しており、次に示される、砂質地盤の群杭効果を考慮した水平地盤反力度の上限値の補正に用いられます。
pHu=ηp・αp・pu
ここに、
pHu:水平地盤反力度の上限値
pu:地震時の受働土圧強度
杭間隔÷杭径が異なった場合、水平地盤反力度の上限値が変わるため、杭前面地盤に塑性化領域が生じるケースでは、
杭前面地盤抵抗が異なり、基礎の挙動に影響を与えます。
詳しくは、上記道示をご参照くださいますようお願いいたします。
182
Q1ー22-20 レベル2地震時の計算書において、(1)杭,(2)杭・・・とあるが、これはどの杭を示しているのか?
A1-22-20
本プログラムでは、水平地盤で杭径,杭長が全杭同一となるとき、全杭の結果は出力せず、条件が同一となる杭をまとめ
(1)杭,(2)杭・・・として結果出力を行っています。
(1)杭,(2)杭の分け方については下記説明をご参照ください。
杭体のM-φ関係,水平地盤反力度の上限値が同一の杭の場合、レベル2地震時照査結果は、杭頭から杭先端までの杭
体状態量(曲げモーメント,せん断力,変位)分布が同じになります。これに対し、杭体のM-φ関係,水平地盤反力度の上
限値が異なる杭の杭体状態量分布は異なります。
本プログラムでは、杭体状態量分布が同一となる杭を同一タイプとし、このタイプ番号を(1)杭,(2)杭,・・・としていま
す。
例えば、道示Ⅳ12.10.4に記述されていますように、コンクリート杭の場合、杭体のM-φ関係は
(A)図心より押込み側(軸力=死荷重時反力)
(B)図心位置および引抜き側(軸力=0.0)
で異なります。
また、水平地盤反力度の上限値は
(a)最前列
(b)2列目以降
で異なります。
これらを組み合せる事により、
(1)杭:最前列の杭
・M-φ関係:(A)図心より押込み側(軸力=死荷重時反力)
・地盤反力度の上限値:(a)最前列
(2)杭:2~3列目の杭
・M-φ関係:(B)図心位置および引抜き側(軸力=0.0)
・地盤反力度の上限値:(b)2列目以降
のようにタイプが割り振られます。
計算書の「レベル2地震時の照査」-「荷重変位曲線」の出力において、(1)杭,(2)杭の説明を出力しております。また、
「液状化無視/考慮,地震動タイプⅠ/Ⅱ,水位無視/考慮」の出力に、それぞれのタイプ番号に該当する杭を杭配置図
で図示しておりますので、こちらでご確認くださいますようお願いいたします。
Q1ー22-21 レベル2地震時の降伏判定に杭頭部の耐力(仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメントMy)が用いられているが、
これはどのような理由によるのか?
A1-22-21
平成8年道示Ⅳ10.9.3(P.371)において、
「仮想鉄筋コンクリート断面の耐力は,杭本体と同程度以上とするのが望まし
い。」という記述が追加されました。
また、その後、平成9年に発刊された「道路橋の耐震設計に関する資料社団法人日本道路協会」(P.4-33)において、
「した
がって、杭頭部における杭体の曲げモーメントM-曲率φの関係としては鋼管杭と結合部の仮想鉄筋コンクリート断面の
うち降伏曲げモーメントの小さい方を用いる必要がある。ただし、杭基礎全体の耐力を向上させるという観点から、仮想
鉄筋コンクリート断面の耐力は、配筋上制約のない範囲内で鋼管杭本体の耐力以上とするのが望ましい。」との記述が記
載されています。
上記の道示および青本の記述は、仮想鉄筋コンクリート断面の耐力を杭体と同程度以上とした設計を行うことを期待す
るが、仮想鉄筋コンクリート断面の耐力を杭体以上とすることができない場合、その小さい方を用いて基礎の降伏判定を
行う必要があることを示しております。
本プログラムでは、上記を参照し、杭頭部の降伏判定には、仮想鉄筋コンクリート断面の耐力と杭体の耐力のうち小さい
方を用いています。
なお、平成19年1月に発刊された杭基礎設計便覧において、レベル2地震時における杭頭部の照査方法が明確に規定され
ました。
よって、現行では、杭基礎設計便覧に準じた杭頭部の照査を満足すれば、仮想鉄筋コンクリート断面の耐力を用いて降伏
判定を行うケースは少ないものと考えられます。
ただし、例えば既設照査等においては、必ずしも杭頭部の耐力が杭体と同程度以上となっていないことが考えられます。
この場合、前述の青本の記述が適用され、仮想鉄筋コンクリート断面の耐力を用いて降伏判定が行われます。
183
第3章 Q&A
Q1ー22-22 3列杭のレベル2地震時照査結果において、降伏時の最大曲げモーメントに着目すると、1,2杭は制限値である降伏曲げ
モーメントと一致しているが、3杭は制限値を超えた状態となっている。制限値を超えた状態となるのはなぜか
A1-22-22
本プログラムのレベル2地震時照査では、基礎が降伏に達したとき、降伏に達した状態の結果を表示,出力しています。
道示Ⅴ12.3(P.217)に記述されていますように、杭基礎の降伏は、
(1)全ての杭において杭体が降伏する。
(2)一列の杭の杭頭反力が押込み支持力の上限値に達する。
のいずれかに最初に達する状態となります。
本ケースの場合、上記の(1)に該当しています。
3列目の最大曲げモーメントが制限値(降伏曲げモーメントMy)に達しても、1,2列目の杭列がMyに達していない場合、
基礎が降伏したとは判断せずさらに水平震度を増加させて計算を行います。
最終的には、
「全ての杭において杭体が降伏する」、つまり1,2列目の杭列がMyに達して初めて基礎が降伏したと判断さ
れ、この状態を降伏時の状態として表示,出力します。
よって、1,2列目の杭列はMyと一致し、3列目については制限値を超えた状態となっています。
Q1ー22-23 レベル2地震時照査―基本条件のkhgはCzをかけた値を入力するのか?
A1-22-23
「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(共通)」画面の『khG』は、道示Ⅴ6.4.3(P.89~)の「khg=Cz・khgo」を入
力して下さい。
Q1ー22-24 作用力を指定してレベル2地震時照査を行う場合の初期作用力,全作用力は具体的には何を示しているのか
A1-22-24
初期作用力,全作用力とは、次の荷重を示しています。
■初期作用力
初期作用力とは、死荷重時(慣性力が作用しない状態)における底版下面中心の作用力となります。
なお、初期水平力,初期モーメントは通常0となりますが、柱中心位置と底版下面中心位置が一致していない、橋脚形状,
上部工反力が左右非対称で偏心モーメントが生ずる、死荷重時に水平力が作用している等により発生する荷重がある場
合、入力してください。
■全作用力
慣性力が作用した状態における底版下面中心の全荷重となります。
「柱基部断面力」を指定する場合であれば、指定した柱基部断面力より底版下面中心の全作用力を内部計算し、この作
用力を用いて照査します。これに対し、
「底版下面作用力」を指定する場合であれば、底版下面中心に作用する荷重を直
接指定してください。
Q1ー22-25 底版レベル2地震時照査における降伏曲げモーメントはどのように算出されるのか?
A1-22-25
以下の条件にて算出しております。
・コンクリートの応力度-ひずみ曲線:道示Ⅲ図-4.2.2
・鉄筋の応力度-ひずみ曲線:道示Ⅲ図-4.2.3(a)
・考慮する鉄筋:引張側のみ(圧縮側鉄筋無視)
本プログラムでは、上記の条件にて、中立軸を仮定し各要素の応力度を積分し軸力を求め、作用軸力(底版の場合は0)
と比較することで最終的な中立軸位置を求める(中立軸を移動し計算を繰り返す)という収束計算を行っています。
184
Q1ー22-26 レベル2地震時の照査で「M-φ関係において、My≦0.0,Mu≦0.0となるケースが発生しました。」というメッセージが表
示されるが、どういう状態を表しているのか?
A1-22-26
本警告は、軸力変動を考慮したレベル2地震時照査を行う場合に表示されます。
本プログラムでは、レベル2地震時照査を荷重増分法により行っており、
「レベル 2地震時基本条件」-「基本条件(共
通)」画面の『分割数』より、水平震度0.0から最終水平震度までを何分割して計算するかを入力していただき、死荷重時
から最終水平震度まで水平震度を増加させながら計算を行います。
軸力変動を考慮した照査では、この分割されたステップごとに、各杭列の杭頭反力を軸力としてM-φ関係を再定義し、
より厳密に杭体の曲げ剛性を評価した照査を行います。
ただし、レベル2地震動による慣性力を考慮した杭頭反力を軸力とするため、慣性力が作用する押込み側では軸力が非常
に大きくなり、逆に引抜き側では引抜き力(負値の軸力)が生じます。
通常の設計では、死荷重時あるいは軸力を零としてM-φ関係を算出しますが、上記の通り、軸力変動を考慮する場合、
大きな押込み力,引抜き力を軸力とするため、軸力が範囲外となりM-φ関係を算出することができず、Mc<My<Mu,
φc<φy<φuの関係とならない場合や、M-φ関係が負値となるケースが生じます。
本プログラムでは、このようなケースの時、計算を中断し、計算不能としております。
なお、計算書の詳細出力である「レベル2地震時の照査」-「液状化無視/考慮・地震動タイプⅠ/Ⅱ・浮力無視/考慮」
の「・M-φ関係」により、計算不能となる直前の杭体のM-φ関係を確認することができます。
Q1ー22-27 有効長とは?
A1-22-27
入力画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、有効長dはレベル2地震時照査時のM-φ算出に用いており、道示Ⅴ
10.4(P.160~)記述のdを示しています。この値を入力してください。
なお、P.162には、
「図-解10.4.1に示すように、円形断面の場合には、帯鉄筋によって拘束される内部コンクリートの直径
を用いる」と記述されています。
Q1ー22-28 杭頭鉛直反力PNiによる単位幅当たりの底版の曲げモーメントMp1の算出方法
A1-22-28
杭頭鉛直反力PNiによる単位幅当たりの底版の曲げモーメントMp1は、 Mp1=Σ(PNi・Xi)/L Xi:照査断面から各杭中心までの距離(m) L:奥行き幅(m)
となります。
なお、計算書の「レベル2地震時の照査」-「底版照査」-「断面力算出」-「b)杭反力」の出力において、杭頭反力による
曲げモーメントMp1(鉛直反力),Mp2(水平反力),Mp3(モーメント)を出力しておりますので、ご参照ください。
(「断面力算出」で出力している照査位置は、平面図上でY方向は下から上,X方向は左から右の順に出力しておりま
す。)
Q1ー22-29 レベル2の最小鉄筋量の照査は必要か
A1-22-29
本件につきましては、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「レベル2地震時照査」-「基礎の非線形性を
考慮した解析方法」-「底版照査」の『最小鉄筋量照査』に記載しておりますのでご参照ください。
「道路橋の耐震設計に関する資料(H.9.3)社団法人日本道路協会」の「2.鉄筋コンクリート橋脚を用いた場合の設計計算
例」では、フーチングの最小鉄筋量照査は許容応力度法照査に対して行っており、地震時保有水平耐力法照査では行って
おりません。
本プログラムでは、当初、この方法を参照し、橋台,橋脚ともにレベル2地震時では最小鉄筋量照査を行っておりませんで
したが、その後、複数のユーザ様から、レベル2地震時においても最小鉄筋量照査を行うことができるようにしてほしいと
のご要望をいただき、
「基礎の設計計算Ver.5,杭基礎の設計Ver.5 (Ver.5.00.01)」
(2006/02/14リリース)において、
「底版設計」-「計算条件」画面に照査の有無の選択を設けました。
このような経緯があり、本プログラムでは、最小鉄筋量照査を行うことができるようになっておりますが、文献,基準類等
に照査が必要と明記されているわけではございませんので、最小鉄筋量照査を行うか否かにつきましては、設計者の方
のご判断で決定してくださいますようお願いいたします。
Q1ー22-30 作用力を指定してレベル2地震時照査を行うときの『地盤面の水平震度kh』は何に用いているか?
A1-22-30
『地盤面の水平震度kh』は、
「底版慣性力」および「突出時の杭体慣性力」の算出に用いております。
底版下面中心における作用力を直接入力する場合は、突出時(底版下面~耐震設計上の地盤面間)の杭体慣性力の算出
のみに用いております。
185
第3章 Q&A
Q1ー22-31 地震時保有水平耐力法による橋脚基礎の照査に用いる設計水平震度Khpは、どのように使われているか?
A1-22-31
杭基礎のレベル2地震時照査では、水平震度0.0~Cz・khcoを計算範囲としています。
橋脚に生じる応答が塑性域に達する場合は、khp<Cz・khcoの関係のケースで、この場合、上部構造および橋脚躯体の
水平震度の上限はkhpとしています。
一方、橋脚に生じる応答が弾性域にとどまる場合は、Cz・khco<khpの関係のケースで、この場合、khpではなく、Cz・
khcoまでを計算範囲としています。
本プログラムは、
「レベル2地震時基本条件」画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、上記のとおり、0.0~Cz・
khcoを計算範囲とし、上部構造および橋脚躯体の水平震度khiは0.0≦khi≦khpの範囲でkhi、khp<khi≦Cz・khco
の範囲でkhpとしています。
鉛直力 V=Vo
1)0.0≦khi≦khpのとき
水平力 H=(Wu+Wp)・khi+WF・khG・(khi/Cz・khco)+Hd
モーメント M=(Wu・hu+Wp・hp)・khi+WF・hF・khG・(khi/Cz・khco)+Md
2)khp<khi≦Cz・khcoのとき
水平力 H=(Wu+Wp)・khp+WF・khG・(khi/Cz・khco)+Hd
モーメント M=(Wu・hu+Wp・hp)・khp+WF・hF・khG・(khi/Cz・khco)+Md
Q1ー22-32 断面力算出の照査位置Lは引抜き側からの距離?
A1-22-32
計算書の「レベル2地震時の照査」-「底版照査」-「断面力算出」の『照査位置』は、 Y方向:平面図上で下からの距
離 X方向:平面図上で左からの距離となります。
Q1ー22-33 「橋脚の設計」との連動時、橋脚の水平耐力に余裕がない場合でも基礎の応答塑性率照査を行う方法はあるか?
A1-22-33
応答塑性率の照査は、橋脚が十分大きな終局水平耐力を有している場合、あるいは液状化が生じる場合に行うことが可
能ですが、
「橋脚の設計」,
「基礎の設計計算,杭基礎の設計」との連動時、橋脚の水平耐力に余裕があるか否かは、
「橋
脚の設計」側で自動的に判定され、これを任意に変更することはできません。
したがって、この場合、基礎単独設計にてご検討いただくことになります。
基礎単独設計であれば、
「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(共通)」画面の「橋脚の終局水平耐力」により、橋脚
の終局水平耐力に大きな余裕があるか否かを変更することができるため、便宜的に「余裕がある」と設定することによ
り、基礎が降伏に達した場合、応答塑性率の照査,応答変位の照査を行うことが可能となります。
なお、基礎単独設計を行うには、
①橋脚連動時に基礎側メニューの「ファイル」-「名前を付けて保存」より基礎単独ファイル(*.F8F)を保存し、保存した
ファイルを読み込む。
② 基礎単独にて起動し、新規作成状態から「地層」,
「基本条件」,
「形状」,
「予備計算」までを設定したあと、橋脚側の
メニューの「ファイル」-「基礎連動用XMLファイル」より連動ファイルをエクスポートし、基礎側のメニューの「ファイル」
-「橋脚連動用XMLファイル」よりインポートすることにより、基礎の設計に必要な柱形状,作用力,設計水平震度等を読
み込む。
のいずれかの方法にて行ってください。
Q1ー22-34 作用力直接指定によるレベル2地震時照査を行う場合、プッシュオーバー解析を行っているのか?
A1-22-34
186
本プログラムの杭基礎レベル2地震時照査は、プッシュオーバー解析として荷重増分法を採用しており、これは作用力を直
接指定する場合においても同様です。
具体的には、死荷重時から全作用力まで、徐々に荷重を増加させながら地盤および杭部材の非線形性を考慮した計算を
行っています。
Q1ー22-35 盛りこぼし橋台の杭基礎の設計において、杭基礎設計便覧(H19.1)準拠時であっても、レベル2地震時の杭頭部の照査が行
われない理由は?
A1-22-35
盛りこぼし橋台は、
「設計要領第二集 橋梁建設編 4章基礎構造(平成18年4月)NEXCO」に準じた設計法で、杭の変形
性能の照査として、全杭体の曲率が許容曲率塑性率以下となることを照査します。
これに対し、杭頭仮想鉄筋コンクリート断面の照査方法は、
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」
(P.303~)に規定された設計法で、基礎に主たる塑性化を考慮するか否かにより、
■基礎に主たる塑性化を考慮する場合
杭体の降伏曲げモーメント≦仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメント
■基礎に主たる塑性化を考慮しない場合
杭頭発生曲げモーメント≦仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメント
として照査します。
両者は基本的な設計方法が異なっており、盛りこぼし橋台に対し、単純に仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメン
トと杭体の降伏曲げモーメントまたは杭頭発生曲げモーメントと比較することにより照査してもよいか判断することがで
きません。
また、盛りこぼし橋台では、全ての杭において杭体が塑性化し、道示の考え方によれば降伏するとみなされる状態となっ
たとしても、杭の変形性能の照査を満足すればよいと規定されており、基礎に主たる塑性化を考慮するか否かは設計に
おいて考慮されていません。
以上のように、盛りこぼし橋台における杭頭部のレベル2地震時照査は、その照査方法が明確でないと判断されるため、
現行では設計対象外としています。
Q1ー22-36 「橋脚の設計」,
「橋台の設計」との連動時、地層傾斜や杭長・杭径の異なる杭が混在する条件におけるレベル2地震時照
査を行う方法は?
A1-22-36
地層傾斜や杭長・杭径の異なる杭が混在する条件において、杭基礎レベル2地震時照査を行う場合、
「2.5次元解析」によ
り計算する必要があります。
具体的には、次のように設定します。
(1)データファイルを読み込む。
(2)橋脚,橋台側の「初期入力」画面で『基礎形式=杭基礎(2.5次元解析)』を選択する。
(3)橋脚,橋台側の「計算確認」モードより計算実行する。
(4)基礎側の「計算条件」-「基本条件」画面で『レベル2地震時照査=する』を選択する。
(5)基礎側の紫色で表示している未確定状態の入力画面(「着目杭指定」等)を、全て入力確定状態にする。
(6)基礎側の「計算・結果確認」-「レベル2地震時計算」をダブルクリックする。
Q1ー22-37 「レベル2地震時照査」-「基本条件」-「基本条件(杭基礎)」画面の鉛直力算出用水位と予備計算用水位は何に影響す
るのか
A1-22-37
それぞれ次を示しています。
■鉛直力算出用水位
底版,上載土,および橋脚躯体の浮力の算出に用いており、底版下面における鉛直力に影響します。
■予備計算用水位
極限引抜き力や上載荷重、受働土圧強度等の算出に影響します。
鉛直力算出用水位は底版下面の鉛直力を算出するための水位であるため、底版下面以深となるよう設定しても結果に影
響はありません。これに対し、予備計算用水位は極限引抜き力や受働土圧強度に影響するため、底版下面以深に対しても
適切に設定する必要があります。
浮力無視時の予備計算用水位を地震時水位とすべきか底版下面位置とすべき判断することができないため、現行では、
選択スイッチを設け、設計者の方のご判断として設定していただくようにしています。
Q1ー22-38 杭基礎レベル2保耐時に鋼管杭の場合せん断耐力照査を行わないのはなぜ?
A1-22-38
道示Ⅳ12.10.5(P.414)に、
「鋼管杭,鋼管ソイルセメント杭及びSC杭においては、
(中略)杭体の塑性化においては曲げ
モーメントの影響が支配的であることから、せん断耐力の照査は省略してよい。」と記載されております。
よって、上記杭種の場合は、せん断耐力照査は行っておりません。
187
第3章 Q&A
Q1ー22-39 場所打ち杭の杭頭結合部の耐力照査(L2)において、杭頭結合部と杭体の鉄筋量が同じであるにも関わらず、杭頭結合部
の降伏曲げモーメントMyの方が小さく判定がOUTとなる。これはなぜか
A1-22-39
場所打ち杭で杭体の主鉄筋が杭頭補強鉄筋をなすとき、杭体と杭外径+200(mm)とした杭頭結合部の仮想鉄筋コンク
リート断面とを比較すると、コンクリートの設計基準強度および軸力が同じと仮定すれば、より断面の大きい杭頭結合部
の方が降伏曲げモーメントMyは大きくなるものと考えられます。
ただし、本プログラムでは、
「レベル2地震時基本条件」-「計算条件③」画面において、
「仮想鉄筋コンクリート断面の降
伏曲げモーメントMy算出用の軸力の取扱い」の選択を設けています。
本選択は、仮想鉄筋コンクリート断面のMy値を算定する際の軸力の取扱いを指定していただくものですが、本選択を「軸
力=0」とした場合、場所打ち杭の押込み側では、
・杭体=死荷重反力によるMy値
・杭頭結合部=軸力0によるMy値
とした条件により算定されるため、この場合であれば、軸力を0とした杭頭結合部の方がMy値が小さくなるケースが生じ
ます。
なお、上記スイッチにつきましては、設計者の方のご判断として選択してください。
Q1ー22-40 レベル2地震時基本条件-計算条件③の杭頭仮想鉄筋コンクリート断面の照査で「1列(本)ごとに照査」
「全列(杭)で照
査」が選択できるが、どちらを選択したらよいか
A1-22-40 本プログラムの仮想鉄筋コンクリート断面の照査は、杭基礎設計便覧(H19.1)6-3-2(P.301~)を参照し作成しております
が、本文献では、一部 の杭列のみ杭体の降伏曲げモーメントあるいは杭頭発生曲げモーメントが仮想鉄筋コンクリート
断面の降伏曲げモーメントを超えたとき、仮想鉄筋コンクリート断面の照査を満足したとみなすべきか否か、明確な記述
がありません。
ただし、杭基礎設計便覧の執筆者による各論(基礎工2006.12月号.P.048~)では、
・結合部に損傷が生じた場合の基礎の挙動や変形性能は、現在のところ不明である。設計法を確立するためには、今後
も実験や万が一損傷が生じた場合の補修方法などの研究が必要である。
・基礎の許容塑性率に関するこれまでの実験的研究については、杭頭結合部に損傷が生じる場合を想定していない。し
たがって、確実に基礎で塑性化を先行させるためにも、杭頭結合部をフーチング-杭体間で確実に荷重伝達が行えるよう
な構造としておく必要がある。
とあります。
本記述は、結合部に損傷が生じた場合の基礎の挙動は未解明な部分が多く、今後の研究成果により設計法が確立される
までは確実に安全性が確保される構造とする必要があると述べているものと考えられます。
本プログラムでは、上記の記述を参照し、本照査に対応したVer.6.01.00においては、安全側の評価となるよう、部分的に
でも杭頭結合部に損傷が生じるケースは許容せず、1列でも仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメントを超える杭
列が生じたとき、仮想鉄筋コンクリート断面の照査を満足しないもの と考え、最終的な判定をOUTとしておりました。
しかしながら、その後、他のユーザ様より、一部の杭の杭頭部が損傷を受けたとしても、ただちに基 礎全体の挙動が不安
定とはならないケースも考えられることから、部分的に杭頭に損傷が生じることを許容した照査を行ってもよいのではな
いかとのご意見,ご要望をいただき、Ver.6.04.00において、お問合せの選択を設けました。
ただし、前述のとおり、杭基礎設計便覧には、本選択に関する明確な記述はありません。
最終的には設計者の方のご判断により選択してくださいますようお願いいたします。
なお、
「1列(本)ごとに照査」が部分的な損傷を許容せず、全杭の耐力を満足して初めてOKと判断する方法、
「全列(杭)
で照査」が部分的な杭頭結合部の損傷を許容する方法となります。
188
Q1ー22-42 レベル2地震時の計算で表示されるメッセージについて解説してほしい。
--------------------------------------------------------------------------------------------------構造系が不安定になりました。
支持力の上限値に達していない杭が2列以上なく、且つ、全杭の杭頭に塑性ヒンジが
発生しました(杭頭M≧Mu,Mp)。
---------------------------------------------------------------------------------------------------A1-22-42
本プログラムは、杭基礎のレベル2地震時照査を荷重増分法により行っており、死荷重時から最終水平震度まで水平震度
(荷重)を増加させながら地盤および杭部材の非線形性を考慮した計算を行っています。
このときの解析モデルは、道示Ⅳ12.10.4(P.409)図-解12.10.1のとおりで、杭頭の鉛直バネ(杭軸方向バネ定数KvE)に
より鉛直方向(杭軸方向)の荷重に抵抗し、また杭頭から杭先端までの水平バネ(水平方向地盤反力係数kHE)により水
平荷重に対して支持されます。これらの杭は、剛体と仮定したフーチングに杭頭が剛結された状態です。
この解析モデルを用いて、水平震度(荷重)を増加させながら計算を行う過程において、杭頭モーメントが終局モーメント
あるいは全塑性モーメントに達した場合、杭頭に塑性ヒンジが発生した状態となります。杭頭部がピン結合された状態と
等しくなるため、杭頭に作用する回転に対し抵抗することができません。
また、杭頭鉛直反力が押込み支持力あるいは引抜き支持力の上限値に達した場合、これ以上の鉛直荷重(杭軸方向力)に
対し抵抗することができません。
ここで、全杭の杭頭に塑性ヒンジが発生した場合、全杭の杭頭がピン結合された状態であることから、基礎に生じる回転
に対して抵抗できるのは杭軸方向の抵抗のみとなります。
押込み/引抜き支持力の上限値に達していない杭が2列以上残っていれば、これにより基礎の回転に抵抗することができ
ますが、上限値に達していない杭が1列しかない場合、基礎の回転に抵抗することができず、力の釣合がとれなくなり、構
造系が不安定となります。
構造系が不安定となった場合、結果を得ることができないことから、本メッセージを表示し、計算を中断しています。
計算不能となる直前の状態を参考値として出力していますが、この参考値を近似値として採用することはできません。
本出力を参照していただき、必要に応じて構造諸元の見直し等を行ってください。
Q1ー22-43 図をご参照ください。本画面は杭基礎レベル2地震時の結果確認画面ですが、グラフは、杭体の曲げモーメント分布(赤
線),降伏曲げモーメント分布(青点線)を示しています
A1-22-43
本例では、杭頭から11.4(m)位置の杭体曲げモーメントが降伏曲げモーメントに達し、杭体が降伏しています。しかしなが
ら、杭体の降伏が発生しているのは、最大曲げモーメント発生位置ではありません。
これは、11.4(m)位置で主鉄筋の段落としが行われ、第1区間は大きな降伏曲げモーメント,第2区間は小さな降伏曲げ
モーメントとなっているためで、最大曲げモーメントが発生する第1区間は降伏曲げモーメントに対して余裕があり、逆に
第2区間は降伏曲げモーメントに対して余裕がない状態となっています。よって、最大曲げモーメント発生位置とは異なる
第2区間(段落とし位置)において杭体が降伏しています。
多くのケースでは、最大曲げモーメント発生位置が杭体の降伏に対して最も厳しくなりますが、上記の例のように、段落と
しが行われる場合、必ずしも最大曲げモーメント発生位置にて杭体が降伏に達するとは限らないことから、本プログラム
では、基礎の降伏に対して最も厳しい箇所の結果を抽出し、これを最大曲げモーメントの欄に出力しています。
具体的にどのような方法にて抽出されたかについては、計算書の「レベル2地震時の照査」-「計算結果一覧表」の条件1
~条件4にてご確認いただけますのでご参照ください。
189
第3章 Q&A
Q1ー22-44 杭頭仮想鉄筋コンクリート断面のMyの計算に帯鉄筋(横拘束筋)は考慮しているのか
A1-22-44 降伏曲げモーメントMyの算出に用いるコンクリートの応力度-ひずみ曲線は、
(1)道示Ⅲ4.2.4(横拘束効果なし)
(2)道示Ⅴ10.4 (横拘束効果あり)
がありますが、本プログラムの杭頭仮想鉄筋コンクリート断面のMy計算では、上記(1)の道示Ⅲを用いています。
よって、帯鉄筋(横拘束筋)はMy計算に用いておらず、底版内仮想鉄筋コンクリート断面の帯鉄筋の入力は設けておりま
せん。
ここで、道示Ⅲのコンクリートの応力度-ひずみ曲線を用いているのは、
・「道路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)社団法人日本道路協会」
・「鋼管杭基礎の設計と施工 道路橋示方書(平成14年3月版)改訂対応 (平成14年4月)鋼管杭協会」
の設計計算例等を参考としたものです。
道示,杭基礎設計便覧等の基準・文献において、道示Ⅲを用いるべきか道示Ⅴを用いるべきか明確な記述がないことか
ら、現行では、上記の設計計算例等を参考とし、道示Ⅲとしています。
Q1ー22-45 「橋脚の設計」連動時、底版下面中心における作用力を直接指定する方法
A1-22-45
「橋脚の設計」との連動時は、下記手順にて底版下面中心における作用力を直接指定することができます。
(1)橋脚側の「考え方」-「保有耐力法」-「はり・フーチング・基礎」画面で『レベル2地震時の作用力を直接指定する』に
チェック(レ)する。
(2)杭基礎側の「レベル2地震時基本条件」-「基本条件」画面で『作用力を指定してレベル2地震時照査を行う=する(底
版下面作用力)』を選択する。
(3)「基本条件(杭基礎)」画面で作用力を入力する。
詳しくは、入力画面上の[ヘルプ]をご参照くださいますようお願いいたします。
Q1ー22-46 「レベル2地震時基本条件」-「計算条件②」画面において、
「免震橋のとき、基礎に主たる塑性化を考慮しない」の項目を
設けている理由は?
A1-22-46 現行道示の耐震性能の照査では、橋全体系として考えたときの部材(橋脚,基礎,免震支承や上部構造)のいずれかに
塑性化を考慮し、塑性化に伴うエネルギー吸収を期待する構造とする考え方が示されていますが、道示Ⅴ(P.34)の記述、
「複数の部材に同時にエネルギー吸収を期待する構造とする考え方もあるが、地震時の挙動が複雑になる可能性もあ
り、このような構造系の地震応答特性についてはさらに研究が必要であることから、現段階では、確実にエネルギー吸収
を図るための主たる塑性化あるいは非線形性を考慮する部材としては、図-解5.3.1に示すように、橋脚,基礎あるいは免
震橋であれば免震支承のいずれかを選択するのが望ましい。」のように、原則として主たる塑性化を考慮する部材は1つ
とすることが基本となります。
免震橋の場合、免震支承の変形に伴いエネルギーを吸収する構造であるため、道示Ⅴ(P.33)のとおり、非線形性を考慮
する部材として取り扱われます。よって、主たる塑性化を考慮する部材を一つとする上記の考え方によれば、非線形性を
考慮する免震支承を用いる場合、橋脚や基礎に塑性化は考慮することは望ましくありません。更に、(P.36)4)の記述、
「橋
脚のエネルギー吸収の分担を高めすぎると、免震支承の保有する減衰性能が発揮できず、免震支承による確実なエネル
ギー吸収を担保できなくなる場合も生じる。」のとおり、免震橋では、橋脚(基礎も同様と考えられる)にエネルギー吸収
を期待すると、所要の免震効果を確保できなくなる可能性も生じます。
以上より、免震支承においては、橋脚および基礎の塑性化を考慮しないよう設計することが必要と考えられます。(P.38)
図-解5.3.1(b)、および(P.35) 3)の記述「なお、基礎に塑性化を考慮する場合は、橋脚,橋台,支承部,上部構造の各部材
は、力学特性が弾性域を超えない限界の状態が限界状態となる。」からも、同様の主旨を確認することができます。よっ
て、本プログラムでは、
「免震橋のとき、基礎に主たる塑性化を考慮しない」スイッチを設け、基礎に主たる塑性化を考慮し
ない設計を行うことを可能としています。
Q1ー22-47 斜引張鉄筋の負担するせん断耐力Ssの算出方法は?
A1-22-47
190
ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「レベル2地震時照査」-「基礎の非線形性を考慮した解析方法」-
「底版照査」の『(2)はりとしてのせん断照査』に記載しておりますように、斜引張鉄筋の負担するせん断耐力Ssは、下記
のように算出しております。
・せん断スパンa≧d/1.15の場合
Ss=(Aw・σsy・Cds・d)/(1.15・s)
・せん断スパンa<d/1.15の場合
Ss=(Aw・σsy・Cds・a)/s
Q1ー22-48 底版が存在せず、柱と杭を直接結合する構造の場合、どのように入力,計算すればよいか
A1-22-48 本プログラムの杭基礎の安定計算は、基礎天端(杭頭)から杭先端までをモデル化しています。底版形状は、
・常時,レベル1地震時の作用力自動計算,
・底版照査(許容応力度法,レベル2地震時)
・「レベル2地震時基本条件」画面の底版重量の算出
に用いていますが、これらの計算,照査を行わなければ、底版形状の入力の必要はありません。
よって、本件につきましては、次のようにご対処ください。
■「計算条件」-「基本条件」画面
次のように設定します。
・作用力(常時,レベル1地震時)=入力
・底版許容応力度法の照査=しない
・底版レベル2地震時照査=しない
■「底版形状」画面
入力せず、ツリービューの項目を未入力(項目がピンク色)の状態としたままとします。
■「レベル2地震時基本条件」画面
「基本条件(杭基礎)」タブにおいて、
『WF』,
『hF』,
『Ws』,
『WFʼ』を全て0.000と入力します。他の入力については、
通常どおり指定します。
また、動的解析結果等により基礎に作用する荷重が別途求められている場合、
「基本条件(共通)」タブの「作用力を指定
してレベル2地震時照査を行う」を「する(底版下面作用力)」とした上で、
「基本条件(杭基礎)」タブの初期作用力/全
作用力に荷重を直接入力します。
Q1ー22-49 レベル2地震時の計算書において、下記の設計荷重の算式の見方が分からないので説明してほしい
A1-22-49
鉛直力 V = Rd + Wp - Up + Ws + WF'
水平力 H = (Wu + Wp)・khp + WF・khg・khi/(Cz・khco) + Hd
モーメント M = (Wu・yu + Wp・yp)・khp + WF・khg・khi/(Cz・khco)・yF + Md
レベル2地震動の設計水平震度は、道示Ⅴ6.4.3(P.89~)の
khc = Cs・Cz・khco
ここに、
khc:レベル2地震動の設計水平震度
Cs :6.4.4に規定する構造物特性補正係数
Cz :4.4に規定する地域別補正係数
khco:レベル2地震動の設計水平震度の標準値
が該当しますが、Csは下部構造の照査に用いる補正係数であるため、基礎の照査に用いる設計水平震度はCz・khcoとな
ります。
よって、死荷重時(水平震度=0.0時)の状態から上部構造および橋脚躯体にはCz・khcoを,フーチングにはkhgに相当す
る荷重を漸増載荷させながらプッシュオーバー解析を行っています。
ただし、上部構造および橋脚躯体に作用する水平震度が橋脚の終局水平耐力に相当する設計水平震度khpを超えると、
橋脚躯体基部に塑性ヒンジが形成され、橋脚から基礎に伝達される作用力はこれ以上増加しないものと仮定した計算を
行っています。
よって、水平震度khiがkhpに達するまでは上部構造,橋脚躯体,フーチングの慣性力を増加させながら計算を行い(領域
①)、水平震度khiがkhpを超えた以降の計算(領域②)については、フーチングの慣性力のみを増加させながら計算を
行っています。
この考え方は、
「道路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)社団法人日本道路協会」(P.2-60~)以降に詳しく記載さ
れておりますのでご参照ください。
(※文中のkhcは現行道示のCz・khcoにあたります)
また、現行道示を対象とした資料としては、
「鋼管杭基礎の設計と施工 道路橋示方書(平成14年3月版)改訂対応(平成14
年4月)鋼管杭協会」(P.67)に同様の説明がございますのでご参照ください。
ここで、本プログラムの計算書の設計荷重の出力では、水平震度を0.0~Cz・khcoまで計算する過程における水平震度を
khiと表記しています。
上部構造および橋脚躯体の慣性力は、
(Wu + Wp)・khi
となります。ただし、khiがkhpを超える場合、(Wu + Wp)・khp
と表記し、水平震度をkhpに固定しています。
また、最終震度Cz・khcoが作用した状態(khi = Cz・khcoの状態)をαi = 1.000と考えると、αiは、
αi = khi/(Cz・khco)
と表されます。よって、フーチングに作用する水平震度は、
khg・αi = khg・khi/(Cz・khco)
となります。これは、最終震度Cz・khco時のとき、khgが作用することを示しています。
191
第3章 Q&A
Q1ー22-50 レベル2地震時照査において、基礎の応答塑性率の照査を行うときに限り、基礎の変位の照査が行われる理由は?
A1-22-50
道示Ⅳ9.2(P.247)の設計の基本において、
「なお,基礎が降伏に達しないことを照査する場合には過大な残留変位が生じ
ないものと考えられるため,許容変位に対する照査を行う必要はない。」と記載されています。よって、応答塑性率の照査
を行わない場合、基礎の変位の照査は行っていません。
なお、基礎の変位の照査は、基礎に主たる塑性化を考慮する場合において、基礎に著しい残留変位が生じ、修復が難し
く、橋としての機能の速やかな回復が困難となることがないよう規定されたものであるため、基礎が降伏に達しない状態
に対しては本照査を行う必要はありません。
道示では、この状態(副次的な塑性化。基礎全体の挙動を見たときに弾性範囲内とみなせる範囲に収まっている状態)で
あれば、残留変位が無視できなくなる範囲に達することはないと判断しているものと考えられます。
Q1ー22-51 計算書の「荷重変位曲線」の章にある表中の「杭本体状態」とは?
A1-22-51
杭本体状態は、杭体に生じる曲げモーメントとM-φとの関係を示しており、
・コンクリート系杭の場合
1 : M<Mc
2 : Mc≦M<My
3 : My≦M<Mu
4 : M = Mu
・鋼管系杭の場合
1 : M<My
3 : My≦M<Mp
4 : M = Mp
の状態となります。
数値が大きくなるほど厳しい状態となっていることを示しており、杭頭から杭先端までの杭部材の中で最も厳しい状態を
出力しています。
これにより、多数の杭が配置されている杭基礎においても、杭基礎全体の状態をある程度把握できるようにしています。
Q1ー22-52 レベル2地震時照査結果の応答変位時とはどのような状態か
A1-22-52
道示Ⅳ12.10.5(P.414)の記述、
「基礎の応答塑性率の照査を行う場合は、耐震設計編12.4(※橋台基礎の場合は13.3)
の規定により算定された応答塑性率あるいは応答変位の状態において杭体に生じるせん断力に対し照査するものとす
る。」のように、基礎の変位の照査(回転角≦許容変位0.02rad)や杭体のせん断耐力照査,フーチングの照査等の部材
照査は、
「応答塑性率あるいは応答変位の状態」を用いて照査します。
この状態は、基礎の塑性化を考慮する場合の設計水平震度khcF(橋台基礎の場合はkhA)を作用させたときの杭基礎の
状態を示していますが、一般に、上部構造慣性力作用位置の水平変位が応答変位δFrと一致する状態とします。
具体的には、
①基礎が降伏に達し応答塑性率の照査が可能な条件であれば、応答塑性率が許容塑性率以下であることを照査する。
②①の応答塑性率を用いて応答変位を算定する。
③①の状態から基礎に作用する水平震度(荷重)を徐々に増加させながら荷重増分法によるプッシュオーバー解析を行
う。
④③の計算の過程において徐々に増加する上部構造慣性力作用位置の水平変位がδFrと一致する状態を求める。
として求めています。
本プログラムでは、この状態を「応答変位時」と呼んでいます。
Q1ー22-53 レベル2地震時の作用力と杭反力の向きはどのように取り扱われているか
A1-22-53
192
レベル2地震時の作用力の向きは、鉛直力の正方向は下向きですが、水平力,モーメントの正方向は、
「レベル2地震時基
本条件」で指定された慣性力(土圧)の向きに応じて異なります。
杭反力の正方向は作用力の正方向の逆向きとなり、鉛直反力の正方向は上向き、水平力,モーメントの反力の正方向は、
慣性力(土圧)の向きに応じて異なります。
ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「作用力及び反力の向き」に図示しておりますのでご参照ください。
Q1ー22-54 連続フーチングの柱間レベル2 地震時照査を行う場合、柱基部断面力Vpi,Hpi,Mpiには、どのような断面力を入力したら
よいか
A1-22-54
連続フーチング柱間レベル2地震時照査を行うには、底版自重,上載土重量,浮力,杭頭反力,および部材照査時の各柱
基部の作用力が必要となりますが、例えば、ラーメン橋脚において柱基部断面力を算出する際に部材の曲げ剛性等をどの
ように評価して算出すべきか基準類に明示されておらず、また、本プログラムには多柱式橋脚そのものの設計機能があり
ませんので、部材照査時の荷重状態における柱基部断面力を直接入力していただくようにしております。
恐れ入りますが、部材照査時の荷重状態における柱基部断面力につきましては、設計者の方のご判断により別途算出して
くださいますようお願いいたします。
なお、
「計算・結果確認」-「底版照査(レベル2)」-「X方向」画面において、画面下部の作用力は、それぞれ次の値を
示しています。
■断面照査時の底版下面作用力
基礎の安定計算に用いた設計荷重を示しており、計算書の「レベル2地震時の照査」-「液状化無視/考慮・地震動タイ
プI/Ⅱ・浮力無視/考慮」-「橋軸直角方向」の設計荷重がこれに該当します。
この荷重状態は、
・基礎が降伏に達しなかったとき:最終震度時
・基礎が降伏に達して応答塑性率照査を行わないとき:基礎降伏時
・基礎が降伏に達して応答塑性率照査を行ったとき:応答変位時
となります。
■柱基部断面力より算出した作用力
本画面で入力した各柱の基部断面力に底版自重,慣性力,上載土重量,浮力を考慮し、底版下面中心の作用力に換算し
た値です。
具体的には、 V=Σ(Vpi)+上載土重量+底版重量-浮力+任意荷重 H=Σ(Hpi)+底版慣性力 M=Σ(Mpi)+Σ(Vpi・xi)+底版慣性力によるモーメント+上載土および底版自重の左右非対称性によるモーメント-浮
力によるモーメント+任意荷重によるモーメント xi:底版下面中心を原点とした各柱中心のx座標
となります。
Q1ー22-55 杭基礎設計便覧(P.296)より、フーチング縁端距離が十分でない場合はレベル2地震時に対する杭頭結合部の計算が必要
と考えられるが、プログラムは対応しているのか
A1-22-55
杭基礎設計便覧(P.296)の規定では、杭頭結合部のレベル2地震動に対する照査は、被災例や様々な載荷試験等より得
られた過去の実績,信頼性より、常時,レベル1地震時の照査を満足していれば省略してよいとあります。
しかしながら、本項の意図するところを勘案すると、道示に規定された構造細目を満たしていない場合(フーチング縁端
距離を満たしていないケース等)においては、常時,レベル1地震時の照査を満足していたとしても、レベル2地震動に対す
る安全性を保証することができず、杭頭結合部に対するレベル2地震時照査を行わなければならないと記述されているよ
うにみえます。
ただし、現行の杭基礎設計便覧に示される杭頭結合部の照査方法は、いずれも応力度が許容応力度以下であることを照
査するものであり、あくまで耐震性能1(レベル1地震動)に対する考え方です。
レベル2地震動に対してこれらの照査方法を適用することはできず、また、仮にレベル2地震動において生じる杭軸方向力
や杭軸直角方向力,モーメント等を当てはめてみたところで、想定する地震動レベルが異なることから、許容応力度を満
足させることは困難ではないかと思われます。
したがって、杭頭結合部の押抜き,引抜きせん断方向力や水平方向力、あるいはフーチング端部の水平方向力に対する耐
力照査が必要となりますが、これらに対する明確な評価指標は、今のところ示されておりません。
以上のように、NEXCOの規定を適用する場合や施工上の制約から道示に規定される縁端距離を満たさないケースがあ
るとしても、レベル2地震動に対する評価指標が示されていない現時点では、照査しようがないというのが現状です。
よって、現行では、レベル2地震動に対する杭頭結合部の照査は行っておりません。
193
第3章 Q&A
Q1ー22-56 レベル2地震時照査-基本条件-計算条件①の「軸力変動を考慮したレベル2地震時照査」は一般的にどちらを選択した
らよいか
A1-22-56
道示Ⅳ12.10.4(P.412)では、杭体の曲げモーメント~曲率関係は杭体に作用する軸力により変化するため、本来、杭基礎
に作用する 水平力の変化に伴って変化する杭頭での反力を用いて、適宜、曲げモーメント~曲率関係を修正する必要が
あるとしながらも、計算の簡略化のため、
・コンクリート杭(場所打ち杭,PHC杭,SC杭,RC杭)においては,杭群図心位置から押込み側の杭では死荷重時反
力,引抜き側の杭では 軸力を零
・鋼管杭,鋼管ソイルセメント杭では、死荷重時反力
を軸力として算出した曲げモーメント~曲率関係を用いてよいとあります。
本プログラムでは、従来、上記の軸力により算出した曲げモーメント~曲率関係を用いて杭基礎レベル2地震時照査を
行っていましたが、
「基礎の 設計計算Ver.5,杭基礎の設計Ver.5」において、軸力変動に関する選択を設け、
「軸力 変
動を考慮したレベル2地震時照査=考慮する」としたとき、荷重増分法計算のステップごとに杭頭反力を軸力とした曲げ
モー メント~曲率関係を再定義し、より厳密に杭体の曲げ剛性を評価した照査を行うことができるようにしました。これ
により、杭基礎全体の挙動をよ り正確に把握することが可能と考えられます。
上記の通り、道示Ⅳでは計算の簡略化のため軸力変動を考慮しなくてもよいと記載されております。
よって、通常の設計においては「考慮しない」を選択し、設計者の方のご判断により、より厳密な照査を行う必要があると
判断される場合に「考慮 する」を選択していただきますようお願いいたします。
なお、杭基礎設計便覧(H19.1)の参考資料「7.斜杭の設計法」
(P.414~)におきましては、
「斜杭基礎では杭体が斜角を
有することから、直杭基礎に比べて杭頭の軸力変動による影響が顕著となる。したがっ て、レベル2地震時の解析におい
ては杭頭の軸力変動を考慮するものとする。」
(P.427)と記載されており、本設定項目より「軸力変動を考慮したレベル
2地震時照査=考慮する」として照査を行う必要があるものと考えられます。
Q1ー22-57 レベル2地震時照査を行うと以下のエラーが発生する
------------------------------------------------------------------------------------------------------底版照査エラー:[-90054]
底版レベル2地震時照査において、せん断耐力Ss算出に用いる有効高dが0となっています
「底版設計」画面で入力してください
------------------------------------------------------------------------------------------------------A1-22-57
「底版設計」-「配筋」-「Y方向/X方向」画面で『せん断照査用有効高d(cm)』をご確認ください。
こちらが入力されていない場合、お問合せのメッセージが表示されます。
『せん断照査用有効高d』は、増し杭工法時の既設底版上に増厚された位置の照査に用いる有効高で、許容応力度法照
査では必要斜引張鉄筋量の算 出に,レベル2地震時照査ではせん断耐力Ss算出に用いております。
Q1ー22-58 照査断面と杭位置が一致するとき、作用曲げモーメントに杭頭水平反力と杭頭モーメントが考慮されているが、どういう考
えに基づいているのか
A1-22-58
194
道示Ⅳ8.7.3(P.225~)の規定によると、図-解8.7.5のように、レベル2地震時においては杭頭水平反力および杭頭モーメン
トによる曲げモーメントを考慮した設計を行う必要があります。
ただし、道示には、照査断面位置と杭中心位置が一致する状態となるとき、この杭の杭頭水平反力および杭頭モーメント
による曲げモーメントを考慮すべきか否か、明確に規定されてはおりません。
現実の構造物を考えたとき、着目する断面の直下に杭が配置されていたとすると、この断面に曲げ破壊が生じる状態とな
るとき、少なからずこの直下の杭の影響が曲げ破壊に寄与するのではないかと思われますが、道示(杭基礎設計便覧等
の他の文献も含む)には一切触れられておりません。
よって、現行では、安全側として常に照査断面直下の杭の影響を考慮するようにしています。
なお、この杭の影響を無視した検討を行うのであれば、杭位置を1mmずらしてご検討いただくようお願いいたします。
Q1ー22-59 「Y-U,Y-Y’区間に対する低減率」とは?
A1-22-59
杭体部材の曲げ剛性は、コンクリート杭は道示Ⅳ12.10.4(P.412)図-解12.10.3のバイリニアとして、また鋼管杭及び鋼管ソ
イルセメント杭は(P.413)図-解12.10.6のトリリニアとしてモデル化しております。
本図をご参照いただくとお分かりのように、杭体モーメントが終局モーメントあるいは全塑性モーメントに達した部材の曲
げ剛性は、本来0となります。
しかしながら、曲げ剛性を0として計算することはできません(曲げ剛性が0の部材が存在するとき理論上解を得ること
ができない)ので、何らかの曲げ剛性を与える必要があります。
よって、本プログラムでは、終局モーメントあるいは全塑性モーメントに達した部材に対しては、前述の道示の図-解のY-
U区間,あるいはY-Yʼ区間の勾配に対する低減率(何分の1とするか)を指定することより計算を行う仕様としておりま
す。
この低減率は1/10000を初期設定しておりますが、あまりにも曲げ剛性が小さくなりすぎると、プログラム内部で用いて
いる実数値の有効範囲(桁数)が不足し、桁落ちし、
『0割が発生しました。』とエラーが発生するケースが生じます。
低減率が大きいほど(曲げ剛性が小さいほど)道示モデルに近い解析結果を得ることが可能と考えられますが、前述のエ
ラーが発生するか否かは計算モデルに依存するため、一概にどれくらいの低減率まで許容できるか判断することができま
せん。
よって、前述の低減率を初期設定し、必要に応じ、設計者の方のご判断により低減率を設定できるようにしております。
なお、本設定は、杭体モーメントが終局モーメントあるいは全塑性モーメントに達した部材が生じたときに有効となり、こ
れらの部材が生じていないとき、本設定は計算に影響を与えません。
終局モーメントあるいは全塑性モーメントに達した部材が生じているか否かは、計算書の「レベル2地震時の照査」-「荷
重変位曲線」の「杭本体状態」が「4」となっているか否かによりご確認いただけます。
本件につきましては、
「レベル2地震時基本条件」画面上の[ヘルプ]も合わせてご参照くださいますようお願いいたしま
す.。
Q1ー22-60 基準値-杭基礎-その他-レベル2地震時照査の制限値はどのように取り扱っているか
A1-22-60
本プログラムにおきましては、お問い合わせの『基礎の塑性率の制限値』を以下の様に取り扱っております。
1.「杭基礎設計便覧(H19.1)(P.418)(4)2)斜杭の軸直角方向の抵抗特性」に準じた、斜角により補正した水平地盤反力度
の上限値を用いた照査を行う場合
塑性率の制限値=「斜角を考慮するKEP,pHuのとき:基礎の塑性率の制限値」に入力された制限値
2.直杭もしくは、斜杭の場合でも杭基礎設計便覧の記述に準じた照査(斜角により補正した水平地盤反力度の上限値を
用いた照査)を行わない場合
塑性率の制限値=「斜角を考慮しないKEP,pHuのとき:基礎の塑性率の制限値」に入力された制限値
なお、斜杭の場合に上記の便覧の記述に準じた照査を行うか否かは、
「レベル2地震時基本条件」-「計算条件②」画面
の「斜杭に対する受働土圧係数KEP,地盤反力度の上限値pHuの取扱い」スイッチによって選択可能となっております。
【補足】
入力箇所における『斜角』という表現は、
「杭基礎設計便覧(H19.1)(P.418)(4)2)斜杭の軸直角方向の抵抗特性」に記載さ
れている表現をそのまま使用しております。ご了承ください。
Q1ー22-61 レベル2地震時照査-杭本体-杭種別データの「プレストレスの損失を考慮する範囲」 の入力値範囲が 100.0~100.0 とな
り100以外の値を入力できない
A1-22-61
本プログラムの杭頭カットオフを行ったPHC杭のレベル2地震時のせん断耐力照査は、杭基礎設計便覧(H19.1)の3-82(P.237)を参照し作成しております。
上記便覧では、杭頭カットオフ部(カットオフした位置から50φ(φ=PC鋼材の径)の範囲)はプレストレストコンクリート
断面ではなく鉄筋コンクリート断面と考え、
(a)杭体部分を円環RC断面として算出する(ただし有効プレストレスσe=0とする)
(b)中詰め部分は等積正方形断面に置き換えて算出する
としてせん断耐力を算出し、(a)+(b)を最終的なカットオフ区間のせん断耐力として照査するよう記述されています。
これらの内容を考慮し、本プログラムでは「杭本体」画面における『プレストレスの損失を考慮する範囲』の入力範囲を、
以下の様に設定しております。
●最小値・・・「杭頭結合計算」-「杭径・底版形状」の『杭の埋込み長』
●最大値・・・中詰めコンクリートのせん断耐力を考慮した計算となるため、
「杭配置」-「杭データ」の『(中詰めコン
クリートの)充填範囲』に『杭の埋込み長』を加えた値
上記の入力仕様と、ご質問内容から推測すると、ご検討中のデータでは「杭配置」画面において『(中詰めコンクリート
の)充填範囲』が0.0mと入力されているのではないかと思われます。
195
第3章 Q&A
Q1ー22-62 端堰柱の水門の設計を行う場合、レベル2地震時照査-基本条件-基本条件(共通)で地震動タイプが選択できない
A1-22-62
端堰柱の水門の設計を行う場合、土圧を考慮した照査を行いますが、本プログラムでは、土圧を考慮する場合、プログラ
ムの構造上、タイプⅠ/タイプⅡの同時計算を行うことができません。
よって、現行では、タイプⅡ地震動に固定しています。
ただし、
「土木研究所資料 地震時保有水平耐力法に基づく水門・堰の耐震性能照査に関する計算例(平成20年3月)独立
行政法人土木研究所」(P.29)では、
「レベル2地震動に対する基礎の照査は、レベル2-1地震動およびレベル2-2地震動の
うち、慣性力の大きい方を用いて照査を行えばよい。」とあります。
また、道示Ⅴ13.2(P.225)の橋台基礎に対する規定では、
「橋台基礎の照査に用いる設計水平震度は、値の大きいタイプ
Ⅱの地震動の地盤面における設計水平震度を用いて算出すればよい。」とあります。
地震動タイプによって照査方法が異なるわけではないため、一般に、設計水平震度の大きなタイプⅡ地震動によって決
定されるケースが多いことから、上記の記述を勘案すると、タイプⅡの計算のみを行えばよいのではないかと考えられま
す。
なお、
「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(共通)」画面の「堰柱の水平震度」の選択につきましては、
「河川構造物
の耐震性能照査指針(案)一問一答(平成19年11月版)河川局治水課 河川保全企画室」(P.27)の
「問.Ⅲ-4-2」をご参照ください。
Q1ー22-63 二次剛性の比r=0の根拠
A1-22-63
二次剛性の比rについて、道示Ⅳ12.10.3の解説に、杭基礎の降伏が杭体の塑性化から決まる場合、押込み支持力により
決まる場合、いずれもr=0とするのがよいと記述されており、これより、本プログラムでは、常にr=0として計算していま
す。
なお、押込み支持力により基礎の降伏が決まる場合で、降伏耐力が杭体から決まる耐力と比較して著しく小さい場合には
rを考慮してよいと記述されていますが、プログラムでは、著しく小さい場合か否かを判定することは困難なため、現行で
は、常にr=0として計算しております。
Q1ー22-64 地盤変位荷重算出用の水平方向地盤反力係数kHDの算出方法は?
A1-22-64 設計要領第二集では、杭体に作用する地盤変位荷重の推定はワイブル曲線にて行うよう明確に規定されています。
よって、本プログラムでは、地盤変位荷重算出用の水平方向地盤反力係数kHDは、下記のように常にワイブル曲線にて推
定しています。
kHD=pmax/δmax
ここに、pmax :最大荷重(kN/m2) {=kHE・So/(1-e^-1)}
py :降伏荷重(kN/m2)
kHE :レベル1地震時の水平方向地盤反力係数(kN/m3)
So :基準変位量(m)
kHD :レベル2地震時の水平方向地盤反力係数(kN/m3)
δDmax :フーチング底面での最大変位(m)
詳しい計算理論につきましては、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「橋台特殊設計(側方移動/盛りこぼし橋台)」
をご覧下さい。
Q1ー22-65 フーチング上面引張時のせん断スパン算出式、
a=L+min(tcc/2,d)
におけるL(もしくはM/S)は、杭基礎設計便覧p291に記載されているように、下面引張時の値を用いているのか
A1-22-65
フーチング上面側引張時のせん断スパンの算出に用いる有効高は、上面側引張時の有効高(上面鉄筋図心位置~フーチ
ング下面)を用いています。
「杭基礎設計便覧平成19年1月」
(P.291)には、
「有効高」という表記のほか、特に下面側引張時の有効高を用いるよう
に明記されておりません。
「道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編 平成14年3月」p.228の図にもありますように、下側引張時の有効高の場合も、
上側引張時の有効高の場合もdで表されておりますので、単に「有効高」という表記の場合は、その時の引張面に応じた
有効高であると判断しています。
Q1ー22-66 水門(端堰柱)のレベル2地震時照査で、Vdは端堰柱の重量は含めて入力するのか
A1-22-66
196
Vdは計算に用いる全自重(土圧の鉛直分を除く)を設定してください。
Vdが基礎に作用する全鉛直力(土圧の鉛直分を除く)となります。
Q1ー22-67 水門(端堰柱)のレベル2地震時照査で、H3、h3には何を入力するのか
A1-22-67
H3,h3は、ゲートの重量および重心高を入力します。これに地震動タイプⅠ,地震動タイプⅡの設計水平震度Cz・kho(た
だし堰柱に主たる塑性化を考慮する場合は堰柱の終局水平震度khuW)を乗じた慣性力をそれぞれ考慮した検討を行い
ます。また、動水圧を考慮する場合、H3,h3には動水圧の影響を加味した値を入力します。
H3はゲート重量となります。
Q1ー22-68 慣性力算出時、レベル2地震時基本条件-基本条件(杭基礎)の「Wp」は考慮されるのか
A1-22-68 慣性力算出の際Wpは考慮されます。
「レベル2地震時基本条件」画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、水平震度khiのとき底版下面中心での作用力
は次のように算出しています。
鉛直力 V=Vo(=Rd+Wp-Up+Ws+WFʼ)
1)0.0≦khi≦khpのとき
水平力 H=(Wu+Wp)・khi+WF・khG・(khi/Cz・khco)+Hd
モーメント M=(Wu・hu+Wp・hp)・khi+WF・hF・khG・(khi/Cz・khco)+Md
2)khp<khi≦Cz・khcoのとき
水平力 H=(Wu+Wp)・khp+WF・khG・(khi/Cz・khco)+Hd
モーメント M=(Wu・hu+Wp・hp)・khp+WF・hF・khG・(khi/Cz・khco)+Md
Q1ー22-69 レベル2地震時の降伏震度が常時・レベル1地震時の設計水平震度よりも小さい
A1-22-69
道示Ⅳ12.7に記述されていますように、常時,レベル1地震時では、杭及び地盤を線形弾性体として計算します。
一方、レベル2地震時では、道示Ⅳ12.10.4に記述されていますように、杭および地盤の非線形性を考慮した計算を行いま
す。そのため、前面地盤の塑性化(地盤の水平バネの喪失)や杭体にかかる曲げモーメントによる杭体剛性の低下のため
に、解析モデルが逐次変遷します。
したがって、レベル2地震時の降伏震度が必ずしも常時,レベル1地震時の設計水平震度より大きくなるとは限りません。
Q1ー22-70 連続フーチング柱間の照査を行う場合、断面力は直接入力しなければならないのか
A1-22-70
またその場合入力する断面力をどこで確認したらよいか
連続フーチングの照査には、柱から伝えられる断面力が必要となりますが、レベル2地震時において、この断面力をどのよ
うに求めるか基準類に明示されておらず、また、本プログラムには多柱式橋脚そのものの設計機能がありません。
したがって、本プログラムでは、設計者の方のご判断により別途算出された全作用力載荷時の柱基部断面力を、上記画面
の「柱基部断面力」にて直接入力していただくようにしております。
上記の柱基部断面力入力時にご注意いただきたい点として、
『(1)照査時の荷重状態における作用力(基礎反力の集計
値)』と『(2)入力された柱基部断面力より算出したフーチング下面中心における作用力』が一致するように入力していた
だく必要があります。
(1)と(2)が一致しない場合、作用力と反力とが釣り合わない荷重載荷状態になりますので、支点に反力が生じ、設計断面
力に影響が生じてしまいます。
このような状態となる入力を防ぐため、本プログラムでは柱基部断面力の入力画面に[誤差判定]ボタンを設けており、ボ
タン押下時に、(1)と(2)の誤差が約5%を超える場合警告を表示します。
(あまりに頻繁に警告が表示されるのを防ぐため
許容誤差は5%と大きく設定していますが、本来は完全に一致させる必要があります)
詳しくは、以下のヘルプにおいて説明しておりますので、そちらも併せてご参照ください。
・「操作方法」-「メニューの操作」-「入力」-「杭基礎」-「計算・結果確認」-「底版照査(レベル2)」画面より開くヘル
プ内の『連続フーチングの柱間照査』
・「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「レベル2地震時照査」-「基礎の非線形性を考慮した解析方法」-「底
版照査」内の『連続フーチングの橋軸直角方向の照査』
Q1ー22-71 レベル2地震時照査-任意荷重で入力する底版と杭の任意荷重の荷重強度はどのような値を入力したらよいか
A1-22-71
底版の任意荷重の場合は、底版奥行き方向の幅を乗じた後の荷重強度を入力下さい。
杭の任意荷重の場合は、杭1本の幅を乗じた後の荷重強度を設定してください。
197
第3章 Q&A
Q1ー22-72 橋台と連動時に、レベル2地震の底版照査が「しない」でグレー表示となっており照査できない
A1-22-72
底版形状が台形となる場合は照査対象外となります。
ただし、平行四辺形となる場合は照査できます。橋台の設計での、[形状]-[躯体]-[平面形状]で底版の斜角をご確認くださ
い。
Q1ー22-73 鋼管ソイルセメント杭の場合、せん断耐力照査はしないのか
A1-22-73
道示Ⅳ12.10.5(P.414)に、
「鋼管杭,鋼管ソイルセメント杭及びSC杭においては、
(中略)杭体の塑性化においては曲げ
モーメントの影響が支配的であることから、せん断耐力の照査は省略してよい。」と記載されております。
よって、上記杭種の場合は、せん断耐力照査は行っておりません。
Q1ー22-74
施工誤差で、1本の杭座標を数センチ変更したら基礎が降伏した
A1-22-74
砂質地盤の水平方向地盤反力度の上限値(以下pHu)は、2列目以降は1列目(慣性力作用方向最前列)の1/2の値を用
います。プログラムでは最前列杭か2列目以降かは、杭座標で判断しています。従いまして、最前列の杭座標を1本だけ前
方に移動した場合、その1本のみが最前列の杭として認識され、残りの杭は2列目以降として取り扱われます。そのため、
pHuが小さくなり、照査結果に大きく影響したものと考えられます。
元々の最前列の杭を最前列として取り扱うことはできませんが、座標上2つ目となった杭の杭タイプを移動した杭と異な
る杭タイプとすることで、pHuを正規の計算値の2倍の値(砂質土のみ)を設定することで想定するpHuで計算すること
が出来ます。
杭タイプの変更は、他の杭位置の杭長と異なる杭長(例えば+1cm)とすることで、異なる杭長とすることが出来ます。
Q1ー22-75 レベル2地震時の結果を見ると、杭先端条件をヒンジとしているのに、杭先端に曲げモーメントが発生しているのはなぜ
か
A1-22-75
地盤ばね分布によっては、杭先端に拘束状態と同様な条件となり、その場合に曲げモーメントが生じる場合があります。
どのような条件となればそのようになるかは把握しておりません。
Q1ー22-76
増し杭工法で、レベル2地震時照査で、既設部の杭のせん断耐力と増し杭部の杭のせん断耐力の合計でせん断耐力照査
の判定を行いたい
A1-22-76
既設部と増し杭部でそれぞれで判定を行っており、全体を合計したもので判定することはできません。
Q1ー22-77 基礎レベル2の設計地盤面について計算エラーとなる
A1-22-77
[地層]-[低減係数]-[耐震設計上の地盤面]をBとしているために低減係数DE=0以下の地層が指定され、杭先端部分より
低い位置にあることが原因となります。
杭長を伸ばす、あるいはDEと地層の関係を見直して耐震設計上の地盤位置を調整するなどの対応が必要です。
Q1ー22-78 [レベル2地震時照査]-[基本条件]-[計算条件②]-[橋脚に主たる塑性化が生じるとき、基礎に主たる塑性化を考慮しない]の
スイッチを入れるとどのように計算結果に影響するのか
A1-22-78
「レベル2地震時照査」-「基本条件」-「計算条件②」画面の「橋脚に主たる塑性化が生じるとき、基礎に主たる塑性化
を考慮しない」スイッチにチェックしていただくことで、基礎が降伏に達し応答塑性率の照査を行うことが可能な条件下で
あっても、基礎の降伏震度khyFが橋脚の終局水平耐力に相当する設計水平震度khpを超えている場合、基礎の応答塑性
率の照査を行わずOUTと判定しております。
詳しくは、
「レベル2地震時基本条件」-「計算条件②」画面上の[ヘルプ]をご参照いただきますようお願いいたします。
------ 上記ヘルプより抜粋(一部加筆) ------------------------------------------------------------------------------------------ khyF<khp・・・・基礎~地盤系に主たる非線形性が生じる
khyF≧khp・・・・橋脚基部に主たる塑性化が生じる
ここに、
khyF:基礎が降伏に達するときの水平震度
khp :地震時保有水平耐力法による橋脚基礎の照査に用いる設計水平震度
という指標で主たる塑性化が生じる部位を判定し、橋脚基部に主たる塑性化が生じる場合には、基礎に主たる塑性化を
考慮しない(応答塑性率の照査を行わない)ものとして照査します。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ただし、道示Ⅴ12.1(P.235)においては、耐力あるいは断面力を上回らないことを確認する方法が明示されているわけで
はなく、上記の考え方を取り入れた本プログラムの判断方法が適切か否か、明確になっているわけではございません。
従いまして、本設計方法につきましては、最終的には設計者の方のご判断として採用をご検討いただきますようお願いい
たします。
198
Q1ー22-79 柱間のフーチングのレベル2地震時照査を行うための入力の方法は?
A1-22-79
連続フーチングの柱間照査を行うには、柱から伝えられる断面力が必要となりますが、レベル2地震時において、この断面
力をどのように求めるか基準類に明示されておらず、また、本プログラムには多柱式橋脚そのものの設計機能がありませ
ん。
よって、本プログラムでは、柱基部断面力の計算を行うことはできません。ご了承ください。
Q1ー22-80 F8プログラムで橋脚の計算をして、柱の保耐法の照査の結果塑性化しているがOKと判定が出ていて、L2地震時の基礎の
照査で液状化するケースで基礎が降伏しているものの応答塑性率照査でOKとなっている場合、液状化有りの計算ケース
では、柱は塑性化していないのではないのか
A1-22-80
基礎の降伏震度khyFがkhpに達している場合は、柱基部も降伏していると考えられます。
道路橋示方書Ⅴの考え方からすれば、橋脚基部に主たる塑性化を考慮する場合は、基礎は副次的な塑性化に留める必要
があり、レベル2地震時照査は「満足しない」という判断となるかと存じます(道示Ⅴ 表-解5.3.1 (P.43))。
では、降伏震度khyF<khpで応答塑性率照査を満足した場合で、応答変位が生じる震度がkhpに達していた場合はどのよ
うな判断となるか-に付きましては、道路橋示方書などには特に記述がないため考慮しておりません。
道路橋示方書がどのような考え方であるか当方では判断できませんが、応答変位時の荷重状態を求めることが目的(応
答変位は上述の簡単な式で算定できます)であること、計算の簡易化など、いくつか推測できますが明確なことはわかり
ません。
また、実際に考慮する場合、どのように考慮すべきか不明でもあります。
Q1ー22-81 任意の降伏震度において応答塑性率の照査を行う事が可能か
現行の機能では杭が降伏した時点から応答塑性率を照査することを行っているが、杭体降伏前に変位が急増するような
ケースで任意の位置において応答塑性率を求めることは可能か
A1-22-81
任意の降伏震度を指定することはできません。
Q1ー22-82 レベル2地震時基本条件のHRですが連動中は入力不可となっているが、ヘルプを見ると『HR:レベル2地震時照査に用い
る支承水平反力(kN)。khceとのいずれかを用います。変更は[その他]の「照査に用いる作用力」で行います。』
A1-22-82
となっているが、変更のその他とはどこにあるのか。
橋台の場合は、[レベル2地震時基本条件]に[その他]タブが追加されますが、連動時には関係データが変更できないため
非表示となります。
HRを変更する場合は、
「橋台の設計」側の[上部工反力、地表面荷重]の「支承の水平反力(レベル2地震時)」で行ってく
ださい。
Q1ー22-83 橋台の水位設定を2ケース行ったが杭の名称はケース2のままとなるのはなぜか
A1-22-83
基礎のレベル2地震時計算における水位名称はデフォルトが「ケース1、ケース2」となっており、橋台連動時においては選
択中の橋台の水位設定名称が上書きされるようになっております。
ただし水位ケースを1つのみしか計算対象としない場合は、1つのみの参照となりますので、2つ目はデフォルト名称のま
ま変わりません。
Q1ー22-84 水平変位の緩和を行った際に液状化無しの場合よりも変位が小さくなるのはなぜか
A1-22-84
計算書の[安定計算]-[橋軸方向]-[地震時(液有)]において、基準kH、水平変位の制限を緩和した設計における計算で算出
したkHʼを確認することができます。
水平変位の制限を緩和した設計におきましては、地盤の非線形性を考慮した解析を行いますため、予備計算で算定した
地盤バネに対して実際に使用するkHʼは増減することとなります。
水平変位の制限を緩和する設計時において地盤反力係数が増大する理由としましては、道示Ⅳ p284の図-解 9.6.1をご
参照ください。この図からわかりますように、着目する変位の位置によって地盤反力係数は変化し、基準とする変位より大
きい変位であれば地盤反力係数は小さく、小さい変位ならば大きなものとなります。
199
第3章 Q&A
Q1ー22-85 連続フーチング(柱直角方向3本)のレベル2底版照査において 底版照査(レベル2)の項目に柱基部断面力の項目があ
り、この柱基部断面力の収束の方法を知りたい。
初期値は、死荷重時の柱基部断面力を入れて基礎下面の断面力のと柱基部断面力より算出した作用力の差を均等に割り
振ればいいか
A1-22-85
底版照査に用いる杭反力を算出した時の水平震度を下部工に載荷した時の柱基部作用力を用います。
底版照査に用いる杭反力は、最終荷重時の杭反力となっています。
最終荷重時とは、以下の場合をいいます。
基礎が降伏しない場合=設計水平震度C2z・khco載荷時
基礎が降伏する場合
1)基礎の降伏を許容しない場合=降伏震度時
2)基礎の降伏を許容する場合=応答変位となる水平震度時
下部構造に上記の水平震度がかかっている状態の荷重で基礎のレベル2地震時照査を行った時の杭頭反力を用いますの
で、柱基部作用力を用いませんと荷重の整合性が取れないためです。
この柱基部荷重は、具体的には、柱基部以上の骨組モデルを作成し、上記水平震度時の荷重を載荷して算定してくださ
い。
Q1ー22-86 土質に液状化層が存在しており、基礎のL2照査結果に杭が降伏した場合において、応答塑性率の照査を行わないのはな
ぜか
A1-22-86
申し訳ございませんが、作用力を直接指定してレベル2地震時照査を行う場合、基礎の耐力照査(設定された作用力を載
荷したときに基礎が降伏に達しているか否か)のみ行っており、応答塑性率の照査を行うことはできません。
通常の橋脚基礎であれば、道示Ⅴ12.1(P.213)のように、橋脚躯体および上部構造には設計水平震度khpを、フーチング
には設計水平震度khgを作用させて計算を行い、基礎が降伏に達し応答塑性率の照査を行う条件下であれば、道示Ⅴ
12.4(P.218~)に準じ、応答塑性率を算出します。
しかしながら、作用力を直接指定する場合、柱基部または底版下面中心の作用力を直接与えて照査するため、作用力に対
する水平震度は定義されません。
基礎の応答塑性率の算定には、基礎が降伏に達したときの水平震度khyFおよびkhcF(=CD・Cz・khco)が必要となり
ますが、作用力を直接指定する場合、基礎が降伏に達した状態を求めることができたとしても、この状態に相当する設計
水平震度khyFを導き出すことができないため、応答塑性率を算出することはできません。
このように、現行では、作用力を直接指定する場合の応答塑性率の算出方法が明確でないことから、応答塑性率の照査
は行わず、基礎の耐力照査のみを行っております。ご了承ください。
なお、設定された作用力と水平震度との関係を定義できるのであれば、
『作用力を指定してレベル2地震時照査を行う=
しない』として入力,計算する方法が考えられます。
しかしながら、この作用力と水平震度との関係をどのように定義すべきか、道路橋示方書にも具体的な規定がなく、私ど
もで判断することはできません。ご了承ください。
Q1ー22-87 レベル2地震時照査で、kh=0で計算不能となる
A1-22-87
死荷重時の偏心荷重で杭体が降伏しています。本ケースは、橋台基礎ですので、背面土圧が影響していると考えられま
す。
Q1ー22-88 全部材に塑性ヒンジが発生しているか否かは計算結果から判定できるか
A1-22-88
200
計算書に出力している各深度の状態を表す数値(1~4)は、その深さ位置の状態で部材が塑性化しているか否かではあり
ません。
部材が塑性化しているか否かの判定は、部材の両端位置の曲げモーメントの平均値で判定しています。
ある部材のi端のモーメントMi=2000.0, j端のモーメントMj=1800.0の場合で、全塑性モーメントMp=1950.0とします
と、M=(Mi+Mj)/2=1900.0<Mp=1950.0となり、この場合、塑性化していないという判定となります。
少々面倒かと存じますが、上記のような計算で判断できます。従いまして 4 が続く場合は、4の範囲の部材は塑性化してい
ると判断できます。
なお、杭頭だけは、杭頭位置のみで判断しています。
Q1ー22-89 液状化が生じる地盤にある橋台基礎について、レベル2までの検討を行うときに変位についての検討については行わなく
ても良いのか
A1-22-89
耐震設計では、橋脚の場合はフローの中に変位照査とあるが、橋台の場合はない。
しかし13章をみると変位について配慮しておく必要があるとしている。
実際照査しているのか。
ご指摘のように、道示Ⅴ12.5(P.220~)には、橋脚基礎に対して回転角の照査が明記されていますが、13章(P.222~)
には橋台基礎に対して回転角の照査に関する記述がありません。そのため、橋台基礎時の回転角の照査は不要と判断
し、照査結果(OK/OUT)の出力は行っておりません。
なお、ご指摘箇所は「橋台基礎に生じる変位について配慮しておく必要がある」となっており、ご指摘された箇所の後半
部分に、その配慮について記述されています。
『したがって、
(省略)橋台基礎に所要の耐力を付与するとともに、桁の連続化の検討や落橋防止システムに対する検討
を入念に行う等、橋全体系としての耐震性が向上するように配慮するのが望ましい。』
Q1ー22-90 基礎のL2地震時照査を行うに当たって、基礎設計用震度khpがCz・khcoより大きくなる場合は、Cz・khcoを上限として震
度を設定して計算しているが、Cz・khcoをkhpの上限とする旨に関して、道示等の基準類のどこかに記載はあるのか
A1-22-90
道示Ⅳ 12.10.1 照査の基本(p.430)には、次の記述があります。
「
(1)橋脚の杭基礎に耐震設計編6.4.7(2)に規定する荷重が作用した場合に、基礎に生じる断面力,杭頭反力及び変位を
12.10.4の規定により算出し、原則として12.10.2に規定する杭基礎の降伏に達しないことを照査する。
」
耐震設計編6.4.7(2)には、次の記述があります。
「
橋脚基礎の照査においては、橋脚に生じる応答が塑性域に達する場合には、死荷重及び式(6.4.11)により算出する設計
水平震度に相当する慣性力を荷重として考慮する。また、橋脚に生じる応答が弾性域にとどまる場合には、橋脚基部に生
じる断面力を荷重として考慮する。
」
道示Ⅴ (6.4.11)式
khp=CdF・Pu/W
C2z・khcoは、基礎のレベル2地震時照査に用いる設計水平震度です。
従いまして、C2z・khco<khpの場合は、全域にわたり、橋脚基部は弾性域の場合となります。
Q1ー22-91 レベル2地震時の杭のせん断耐力照査で、杭のせん断力の算出根拠が不明
A1-22-91
レベル2地震時基本条件]-[計算条件①]のせん断照査方法を「杭基礎のせん断力≦杭基礎のせん断耐力」と設定されて
いますので、全杭の杭頭せん断力と、全杭のせん断耐力の比較となります。
ただし、本ケースの場合は、液状化考慮時では第1層がDE=0で突出杭となりますので、第1層下面位置のせん断力を合計
しております。
Q1ー22-92 版としてのせん断照査の条件はどのようになっているか
A1-22-92
底版前半分における柱から底版厚の1/2の長さ離れて柱を取り囲む断面を照査断面と仮定し、その外側に作用する鉛直
力に対してせん断照査を行います。
ただし、下記条件のとき照査は行いません。
・照査断面が底版より外側に出てしまう場合。
・前面側の照査断面より外側に杭が存在しない場合。
・柱側面より外側に杭が存在しない場合。
・柱前面,柱側面から照査断面の間に杭中心位置が存在する場合。
詳しくは、ヘルプ「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「レベル2地震時照査」-「基礎の非線形性を考慮した解析
方法」-「底版照査」の『(3)版としてのせん断照査』に詳しく記載しておりますので併せてご参照いただきますようお願い
いたします。
201
第3章 Q&A
Q1ー22-93 連動で、基礎のレベル2照査での『予備計算用水位高連動』のボタンを押すと、浮力有・無と同じ水位になる。どこの入力
データから引用されているのか
A1-22-93
[地層データ]-[地層線]の水位(地震時)を参照しています。
水位高について
①橋脚の場合
浮力に付きましては「浮力無視」と「浮力考慮」の2ケースについて計算できるようになっております。浮力無視時が常に
底版下面位置であるとした場合、水位による汎用性が無くなるため、浮力無視の場合も設定できるようになっておりま
す。
このことは、浮力無視時の場合は水位高を底版下面位置にとる場合の計算には影響しません。
なお、
「水位高、上載土厚連動」ボタンを使用する場合の「鉛直力算出用水位」は「底版下面位置の標高」にセットされま
す。
そして予備計算用水位は、
「地層データ」の「地震時の水位」を連動する場合と、
「鉛直力算出用水位」を連動する場合
を選択できますので、お考えの水位の取り方を自動設定する場合は、
「予備計算用水位(連動ボタンによる連動方法)」
を「鉛直力算出用水位と同じ」と指定することで、
「水位高、上載土厚連動」ボタンで両者を底版下面位置に設定できま
す。
②橋台の場合
橋台の場合は、検討ケース名を変更することができるため、
「浮力無視」
「浮力考慮」のように固定しておりません。
例えばサンプルデータ Kui_18.F8F では「低水位」と「高水位」として用いています。
(※Kui_18.F8Fはレベル2の計算を「しない」になっていますので、[計算条件]で「する」に変更してください)
検討ケース名称の変更は、[レベル2地震時基本条件]-[その他]で行えます。
従いまして、
「検討ケースを2ケース設定でき、それぞれに水位を設定できる。水位を考慮しない計算をする場合は水位高
を0と設定する」とお考え下さい。
「予備計算」は、本計算(ここではレベル2地震時)に先立って行う計算のことをいいます(ここでは鉛直力など)。本計算
は、その計算値(予備計算結果)を用いて行います。
Q1ー22-94 レベル2の初期荷重の正方向は、鉛直下向き、水平右向き、モーメント右回りとして入力している。土圧の作用方向、慣性
力の作用方向は左向きなので、変位とモーメント図などが逆に表示されているように見える
A1-22-94
曲げモーメント図の表記ですが、常時・レベル1地震時は固定されていますが、レベル2地震時は、慣性力が正方向である
か負方向であるかで、杭頭反力の正方向が異なります。
本説明は、
「ヘルプ」-「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「作用力及び反力の向き」に記載されております。
Q1ー22-95 底版のレベル2地震時照査で、@125で配置しているときに、1m当たりの鉄筋量が8本より多いのはなぜか
A1-22-95
[配置による入力]の場合は、単位幅1mに配置している鉄筋本数をカウントしているのではなく、有効幅内にある鉄筋本数
をカウント(座標から判定)したものを、1mあたりに換算しています。
主鉄筋の入力方法が「配置による入力」の場合は、[底版設計]-[配筋]-[主鉄筋]画面の「配筋図」ボタンで、入力した鉄筋
配置図を表示します。この画面で、赤色で表示されている鉄筋が上下の有効幅内の鉄筋となります。
この鉄筋の断面積を有効幅で除して1mあたりとしております。
Q1ー22-96 道示ⅤP283の15.4(2)2)基礎に塑性化を考慮する場合において12.4の規定に基づく橋脚基礎の変形による上部構造の
慣性力の作用位置における応答変位に相当する水平力とする
A1-22-96
以上の記述があるが具体的には計算書のどこを参照すればよいか。
基礎の塑性化を考慮すると判定された場合の基礎の応答変位に相当する水平力は、基礎の変形による上部構造の慣性
力作用位置における応答変位δFrが生じるときの上部構造慣性力としており、具体的には以下の通りです。
Pu=min(khi,khp)・Wu (kN)
ここに、
khp:基礎の照査に用いる設計水平震度
khi:基礎の最大応答変位に相当する水平震度
・基礎が降伏に達し、応答塑性率の照査を行うとき
khi:応答変位が生じるときの水平震度
・基礎が降伏に達するが、khcF≦khyFとなるとき(応答塑性率の照査を省略するとき)
khyF:降伏に達するときの水平震度
Wu:上部構造部分の重量 (kN)
計算書の「レベル2地震時の照査」-「荷重変位曲線」で出力しております『断面照査時』は、上記、応答変位δFrが生じ
た状態を示し ており、
「断面照査時」の水平震度より、上記khiを確認することができます。
202
Q1ー22-97
場所打ち杭の主鉄筋にSD390,SD490を使ったときの許容塑性率は、変更する事が可能か
A1-22-97
基礎の許容塑性率は、
「基準値」-「杭基礎」-「その他」-「レベル2地震時照査の制限値」で変更する事ができます。
大変恐れ入りますが、上記にて対処していただきますようよろしくお願いいたします。
■道示Ⅴ P248~
・橋脚基礎(場所打ち杭)の主鉄筋にSD390やSD490を用いた場合、許容塑性率=2 ■道示Ⅴ P258~
・橋台基礎(場所打ち杭)の主鉄筋にSD390やSD490を用いた場合、許容塑性率=1(塑性化を許容しないのがよい)
1-2鋼管矢板基礎(基礎の設計・3D配筋)
Q2-3-1
「形状」-「形状入力」画面で隔壁を設けると自動的に中央配置になるが、
「形状」-「頂版・矢板」画面では、隔壁が中
央からずれた図になっていた。ずれた位置で計算を行っているのか。
A2-3-1
画面上の図では、隔壁を左寄りに固定して描画しておりますが、計算等には影響はありません。
1-2 鋼管矢板基礎(基礎の設計計算)
1-2-1 適用範囲
1-2-2 基本条件
1-2-3 地層、形状
Q2-3-1
鋼管矢板基礎で、
「地層」-「地層線」-「設計地盤面」画面の「水位」を直接用いている計算は何か
A2-3-1
「地層」画面の「水位」を直接用いて照査しているのは、次の計算となります。
・「水位(常時)」,
「水位(地震時)」
許容引抜き力の算定に用いる鋼管矢板の有効重量
・「水位(施工時)」
仮締切り計算における外水位
上記の他については、
「作用力」-「脚柱下端作用力」画面や「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(鋼管矢板基
礎)」画面等のように、
「地層」画面の水位を連動する,あるいは設計者の方がお考えの水位を直接入力していただき、照
査する仕様としております。
Q2-3-2
常時・レベル1地震時の継手の剛性はどこで入力するのか
A2-3-2
「継手のせん断ずれを考慮した仮想井筒ばり解析」に用いる常時,レベル1地震時の継手剛性は、
「形状」-「形状入力」
画面の「継手」ボタンより開く画面に設けています。本画面のせん断剛性Gj,継手の耐力qcrにご使用の継手の剛性を入
力しご検討ください。
Q2-3-3
杭長を操作した時に“内部土短辺長Loが範囲外になっています”と表記されるが、このLoとはどこを示すのか
A2-3-3
内部土短辺長は、
「鋼管矢板基礎設計施工便覧(平成9年12月)社団法人日本道路協会」図-2.2.1(P.42)のように、鋼管矢
板の内周面間距離の最も短い長さとなります。
「形状」-「許容支持力・引抜力」画面に入力を設けており、入力表の最下行の『内部土短辺長Lo』がこれに相当しま
す。
Q2-3-4
鋼管矢板:継手の剛性を一部のみ変更することができるか
A2-3-4
「基礎の設計計算」の鋼管矢板基礎ではできません。
弊社の別製品「3次元鋼管矢板基礎」では断面変化させ、区間ごとに剛性を設定することが可能です。
203
第3章 Q&A
Q2-3-5
「外周継ぎ手の有効間距離」を橋軸方向と直角方向でそれぞれ違った値を入力したい
A2-3-5
外周継手の有効間隔は直線部と円弧部とで異なる値を入力することは可能ですが、橋軸方向と橋軸直角方向の直線部に
異なる値を入力することはできません。
Q2-3-6
鋼管矢板の継手の重量を入力するところがあり、単位がN/mとなっているが、どのような値をいれるべきか
A2-3-6
「形状」-「許容支持力・引抜力」画面で入力された継手重量は、鋼管矢板の許容引抜力算出のみに用いており、基礎本
体の計算には考慮していません。
1-2-4 地盤バネ
Q2-4-1
鋼管矢板基礎周面の鉛直方向せん断地盤バネが、鋼管矢板先端近くのみ2倍値となっているのはなぜか
A2-4-1
鋼管矢板基礎は、鋼管杭と同様な施工法により打設されますが、継手管により接合される鋼管矢板が井筒状に閉合され
るため、井筒の内部土は、外周地盤と完全に分断されます。また、各鋼管矢板から井筒部内周面に伝達する鉛直せん断地
盤反力は、限られた面積の井筒内部土で重なるため、外周面ほどには地盤抵抗が発揮されず、且つ、井筒上部ほどその傾
向は大きくなります。
よって、鋼管矢板基礎の設計において、井筒内部の鉛直せん断地盤抵抗は、基礎底面より「内部土短辺長」と呼ばれる範
囲のみ考慮しています。
要約すると、
①内部土短辺長の範囲は井筒外周面,内周面の鉛直せん断地盤抵抗を考慮する
②内部土短辺長の範囲より上部は井筒外周面のみ鉛直せん断地盤抵抗を考慮する
となります。
実際のプログラムでは、上記の考え方を反映させるため、
・内部土短辺長の位置で入力された地層を分割する
・内部土短辺長の範囲(上記①の範囲)の鉛直せん断地盤抵抗(kSVB,kSVD)を2倍値とする
として計算モデルを作成しています。
よって、内部土短辺長の範囲のkSVB,kSVDは、手計算した値を2倍値としたものになります。
なお、井筒内部の鉛直せん断地盤抵抗の考え方については、
・道示Ⅳ13.2(P.437~)
・鋼管矢板基礎設計施工便覧2.1.1(P.31)
をご参照ください。
また、内部土短辺長は、
「形状」-「許容支持力・引抜力」画面にて計算または入力します。
1-2-5 支持力・周面摩擦力
204
Q2-5-1
鋼管矢板基礎設計施工便覧及び道示Ⅳ(P.365)では、負の周面摩擦力の検討対象荷重は死荷重とされているが、プログ
ラムでは地震時として計算されている
A2-5-1
負の周面摩擦力に対する検討は、お問合せの鋼管矢板基礎設計施工便覧,及び道示Ⅳ(P.365)に記載されておりますよ
うに、死荷重時を対象としていますが、プログラム側で死荷重時ケースを特定できないため、
「作用力」-「荷重ケースの
設定」画面(右側)で指定された荷重ケースに対して計算しています。
お問合せのデータの場合、上記画面にて地震時の荷重ケースが指定されているのではないかと推測されます。
おそれいりますが、上記画面の設定をご確認下さいますようお願いいたします。
Q2-5-2
許容支持力算出時の鋼管矢板断面積に腐食代を考慮していないのはなぜか
A2-5-2
道示Ⅳ13.4.1(P.440)では、許容支持力の算定に用いる鋼管矢板1本の閉鎖断面積に腐食代を考慮すべきか明記されてお
りませんが、本プログラムでは、
・「鋼管矢板基礎設計施工便覧(平成9年12月)社団法人日本道路協会」
の計算例(P.265)を参照し、腐食代を考慮しない断面積を用いております。
また、
・「鋼管矢板基礎-その設計と施工-(平成11年10月)鋼管杭協会」
・「杭・ケーソン・鋼管矢板および地中連続壁基礎の設計計算例(2000年2月)山海堂」
についても同様に腐食代を考慮しておりません。
ただし、
・「道路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)社団法人日本道路協会」
では、腐食代を考慮した断面積を用いております。
文献により取扱いが異なりますが、平成9年12月に発刊された「鋼管矢板基礎設計施工便覧」およびそれ以降の文献およ
び設計計算例がいずれも腐食代を考慮していないことから、本プログラムでは、腐食代を考慮せずに許容支持力を算出し
ています。
腐食代を考慮した許容支持力を用いたい場合、おそれいりますが、
「予備計算・結果確認」-「許容支持力・引抜力」画面
において、別途算出された許容支持力を直接入力することによりご対処くださいますようお願いいたします。
また、計算書においては、
・印刷プレビューの「ソース」を押下し、ソース編集モードとし、許容支持力の箇所を修正する。
・Wordファイルに出力し、Word上にて許容支持力の箇所を削除する。
によりご対処いただきますようお願いいたします。
1-2-6 設計外力(単位重量・慣性力等)
Q2-6-1
鋼管矢板基礎 仮締切りの計算で、波力を考慮するには?
A2-6-1
「基礎の設計計算Ver.7」の仮締切りの計算では、
「仮締切り」-「基本条件」画面で「任意荷重の載荷=する」と設定す
ることにより、同画面の「任意荷重」において、任意の荷重を直接指定することが可能です。
お問合せの波力による水平方向荷重につきましては、本機能にて対応可能ではないかと考えます。
Q2-6-2
頂版下面に作用する鋼管矢板反力はどのように算出されるのか
A2-6-2
頂版下面に作用する鋼管矢板反力は、
「鋼管矢板基礎-その設計と施工-(平成14年12月)
(鋼管杭協会)」(P.71~)を参
照し、継手のせん断ずれを考慮した仮想井筒ばりによる解析法で求めた頂版下面の各値を用いて次のように算出してお
ります。詳しくは、本文献をご参照ください。
なお、式中の「^」はべき乗を表しています。また、下式は各鋼管矢板の断面定数がすべて等しい場合のものです。
①鉛直反力Ri
Ri=N/(n1+n2+n3)±{M*/ΣXi^2}・xi
ここに、
N :頂版下面に作用する基礎の軸力(kN)
M*:頂版下面に作用する基礎の曲げモーメントのうち、鋼管矢板および中打ち単独杭の軸力によるもの(kN.m)
n1:井筒外周の鋼管矢板の本数(本)
n2:隔壁部の鋼管矢板の本数(本)
n3:中打ち単独杭の本数(本)
xi:鋼管矢板および中打ち単独杭の図心から基礎水平断面の中立軸までの距離(m)
②水平反力Hi
Hi=Q/(n1 + n2)
ここに、
Q:頂版下面に作用する基礎のせん断力(kN)
③拘束モーメントMi
Mi = (M - M*)/(n1 + n2)
ここに、
M:頂版下面に作用する曲げモーメント(kN・m)
M-M*:頂版下面に作用する曲げモーメントのうち、鋼管矢板の曲げモーメントによるもの(kN・m)
205
第3章 Q&A
1-2-7 基礎本体(弾性床上の有限梁)の計算
Q2-7-1
計算書の「頂版・矢板連結部の計算」に出力される鉛直反力がどのように算出されるのか教えてほしい
A2-7-1
ご質問の鉛直反力は、
「部材」-「頂版・矢板結合部」画面の「反力」の入力値となっています。したがって、任意の反力を
指定することも可能で、この場合、その根拠を示すことはできません。
ただし、上記画面の「荷重ケースの設定」で[データ連動]ボタンを押下した場合、プログラム内部にて算出された反力が
設定されます。以下に、この内部設定値の算定方法を説明します。
頂版・矢板結合部の計算では、頂版下面における作用外力が必要となりますが、
「作用力」-「設計外力」画面の設計外
力は頂版天端中心の作用力であるため、これを用いることはできません。
したがって、
「作用力」-「脚柱下端作用力」画面の柱基部の作用力に、
・頂版自重(浮力考慮)
・上載土砂重量(浮力考慮)
・柱に作用する浮力
による鉛直力と頂版の慣性力を考慮し、頂版下面中心の作用外力を算出しています。
次に、上記の作用外力を用いて、下記のように鋼管矢板の反力を算出します。
Ri = (Vo・Ao)/Σ(n・Ao) + (Mo・Ao)/Σ(IB・Ao)・Xi
ここに、
Ri:i番目の鋼管矢板の頂版下面位置での反力(kN)
Vo:頂版下面における鉛直力(kN)
Ao:鋼管矢板の断面積(m2)
n :鋼管矢板本数
Mo:頂版下面中心における曲げモーメント(kN・m)
IB:鋼管矢板の図心から井筒部水平断面の中立軸までの距離の二乗の総和(m2)
Xi:i番目の鋼管矢板の中心座標(m)
[データ連動]ボタン押下時、上記により算出される鋼管矢板反力から、最大反力(最外縁の鋼管矢板反力)を設定して
います。
なお、前述の画面で[データ連動]ボタンを押下した直後に計算を実行した場合、計算書に「6.2.2 作用外力」の出力が追
加され、上記の算出過程が出力されます。
Q2-7-2
鋼管矢板基礎の頂版の設計において、ディープビームを考慮した所用鉄筋量の照査は、何に基づいて行われているのか
A2-7-2
道示Ⅳ13.7.2(P.453~)に「頂版厚が躯体下端外縁より外壁鋼管矢板の中心までの距離の1/2をこえる場合、頂版をはり高
の高い1方向スラブとして設計を行わなければならない。はり高の高い1方向スラブの応力度の計算法は、11.7.2を参考に
してよい。」との記述があります。
本プログラムでは、本記述を参照し、頂版厚が上記の設計スパン長の1/2を超えるとき、道示Ⅳ11.7.2(P.330)に準じた部
材の厚さが厚い頂版の応力度分布(図-解11.7.14)より求まる所要鉄筋量の計算を行い、使用鉄筋量との比較(ディープ
ビームとしての照査)を行っています。
Q2-7-3
計算書の「本体計算-詳細出力」の「基準KH1」と「計算KH1」の違いは?
A2-7-3
鋼管矢板基礎のひずみ依存性を考慮する場合の基準水平方向地盤反力係数は
kH1=(1+αH)×kH×(y/yo)^(-1/2)
で算出されますが、このうち『y』は安定計算時に荷重ケースごとに求まるものですので、予備計算時には、
『(y/yo)^(1/2)』部分を無視した(=1とした)
kH1=(1+αH)×kH
による計算をしています。
[予備計算・結果確認]-[水平方向地盤反力係数 kH]画面での計算値、使用値もこの値になります。
「基準KH1」は[予備計算・結果確認]-[水平方向地盤反力係数 kH]画面の値で、
「計算書作成」の「本体計算」-「地盤
定数」の「(3)水平方向地盤反力係数」で詳しく出力しています。
そして「計算KH1」が『(y/yo)^(-1/2)』を加味した荷重ケースごとのkH1値となります。
この計算KH1を用いて収束計算を行っています。
206
1-2-8 基礎本体(仮想井筒梁)の計算
Q2-8-1
仮想井筒梁の本体計算を行おうとするとメッセージが表示され、計算されない。
データファイル作成エラー:[4402]
継手の種類数が多すぎます。 ( ≦30 )
A2-8-1
継手のせん断ずれを考慮した仮想井筒梁による計算では、継手の種類数の上限を30としています。
具体的には、図のように、計算方向に対する継手の間隔をそれぞれ算出し、この間隔が同一のものを同じ種類として定義
し、この種類数が30を超えるとき、警告を表示し、計算を行わないようにしています。
円形の場合、鋼管矢板井筒中心から先端になるにしたがって間隔が狭くなるため、継手の種類数が多くなる傾向にありま
す。
なお、鋼管矢板本数には特に制限は設けていません。
Q2-8-2
計算実行時の下記メッセージの意味は?
A2-8-2
データファイル作成エラー:[4403]
区間長が1cmより短い区間が存在します。
継手のせん断ずれを考慮した仮想井筒ばりの計算(仮想井筒ばり計算,レベル2地震時計算,基礎バネ計算)では、道示
Ⅳ13.6(P.450)図-解13.6.3のように、基礎天端から基礎底面までを井筒の中心軸を通る1本棒としてモデル化し計算を行
いますが、このモデルに対し、
①地層変化点,断面変化点,道示Ⅳ13.4.2(P.441)図-解13.4.1の内部土短辺長点で区間分けを行う
②更に指定された計算ピッチで分割する
とてモデル化します。
上記の分割において、区間長が1(cm)より短くなる区間が生じたとき、本プログラムでは警告を表示しております。
本警告が表示された場合、地層変化点,断面変化点および内部土短辺長の設定を見直すことによりご対処ください。
Q2-8-3
仮想井筒解析で鋼管矢板1本の曲げモーメントを算出しているが、それはアウトプットできるか
A2-8-3
解析ルーチンが土木研究所様よりご提供いただいたものですので、内部構造はブラックボックスで把握できませんが、計
算実行を行った後のデータ保存時にテキストファイルで結果を出力できますので、そのファイルで確認できます。
ただし、上述のように、出力内容の全ては把握しておりませんので、出力ファイルにある文字からご判断ください。
▼出力方法
レベル2地震時照査を行った後、データファイルを保存する場合に、
「仮想井筒梁、レベル2地震時、基礎バネ計算中間
ファイルの保存」を行うか否かの画面が表示されます(レベル2地震時を計算しなかった場合は、
「計算結果の保存」の
指定のみ)。
ここで、
「する」としますと、以下のテキストファイルで中間ファイルが出力されます。
XXXX.ADOI...入力データ
XXXX.AKIS...入力データ
XXXX.AKOX...X方向の常時・L1地震時計算結果
XXXX.AKOY...Y方向の常時・L1地震時計算結果
XXXX(0,0).AHOI...L2地震時入力データ(液状化、浮力)
XXXX(0,0).AHOX...X方向のL2地震時計算結果(液状化、浮力)
XXXX(0,0).AHOY...Y方向のL2地震時計算結果(液状化、浮力)
207
第3章 Q&A
1-2-9 仮締切り
Q2-9-1
仮締切り計算を実行すると下記メッセージが表示された。どのように対処したらよいか
メッセージ:[4269]
有効スパンが長すぎます。L/b>30の為、σbagyの計算は行いません。
A2-9-1
この警告は、切梁および腹起しの検討に対して表示しております。
切梁および腹起しの検討において、局部座屈を考慮しない強軸まわりの許容曲げ圧縮応力度σbagyは、
「鋼管矢板基礎
-その設計と施工-(平成11年10月)
(鋼管杭協会)」を参照し、道示Ⅱ鋼橋編3.2(P.127)表- 3.2.3(b)より求めています
が、表-3.2.3(b)では、
・L/b≦4.5・・・σ = 140
・4.5<L/b≦30・・・σ = 140 - 2.4・(L/b - 4.5)
と規定されており、L/bが30をこえる場合、どのように許容曲げ圧縮応力度を算定すべきか明確ではありません。
したがって、現行では、L/bが30を超えるとき、警告を表示しています。
L/bが30を超える場合、許容曲げ圧縮応力度の取扱いが不明なため、設計者のご判断として別途ご検討ください。
Q2-9-2
鋼管矢板基礎の仮締切り計算において、
「残留応力度ステップ番号」には、一般にどの状態を設定すればよいのか?
A2-9-2
「鋼管矢板基礎設計施工便覧(平成9年12月)社団法人日本道路協会」2.6.1(P.96)では、
「仮締切り時に、外圧により鋼
管矢板が変形した状態で頂版コンクリートが打設されるため、その段階で鋼管矢板に発生していたひずみがコンクリート
の硬化により拘束され、図-2.6.1に示すようにその状態で応力が残留することになる。・・・この残留応力と基礎本体完成
後の外力による応力とを加算する必要がある。」と記載されております。
上記を勘案すれば、頂版を打設する直前のステップを設定するのが適切と考えられます。ただし、底盤コンクリートが十
分強固であると仮定できるのであれば、底盤コンクリートにより鋼管矢板の応力が固定されると考えられることから、底
盤コンクリート打設の直前のステップでもよいと考えられます。
なお、最終的には、設計者の方のご判断により決定して下さい。
Q2-9-3
中詰めコンクリートが充填された区間の場合、中詰めコンクリートの強度を考慮した応力度を算出しているのか?
A2-9-3
本プログラムが開発に当たり参照した、道路橋示方書、鋼管矢板基礎設計施工便覧、道路橋の耐震設計に関する資料、
鋼管矢板基礎-その設計と施工-、その他の文献,設計計算例を参照しても、仮締切り計算において、中詰めコンクリート
の強度を考慮した応力度を算定する必要があると記載されたものはなく、また、算出方法自体が明確でないことから、本
プログラムでは、中詰めコンクリートが充填されている区間かそれ以外かにかかわらず、鋼管本体のみを考慮した応力度
を算出しています。
Q2-9-4
鋼管矢板井筒の形状を円形としたとき,矩形としたときでは、仮締切り計算ではどのような違いがあるのか
A2-9-4
本プログラムの仮締切り計算は、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「鋼管矢板基礎」-「仮締切り部の計算」-「■
計算方法」に記載しておりますように、仮締切り壁としての鋼管矢板を奥行き1m当たりとして取り出し、鋼管矢板天端か
ら矢板先端までを1本棒としてモデル化し、弾性床上の有限長ばりとして弾塑性解析法によって照査しています。単位幅
(1m当たり)としての計算を行っていることから、基本的には形状が異なることによるモデル化の相違はありません。た
だし、次に示すバネの取扱いの相違があり、この影響が生じます。
■アーチ作用を考慮した解析
円形の場合、アーチ作用を考慮した計算が行われます。具体的には、中詰めコンクリートが無い区間,有る区間ごとに、
「鋼管矢板基礎設計施工便覧」(P.104)式(2.6.12),(2.6.14)によりアーチバネ定数を算定し、これを考慮した計算を行って
います。
■支保工のバネ定数
支保工のバネ定数の算出方法は円弧部/直線部により異なっており、それぞれ同文献(P.98~)の式(2.6.2),(2.6.3)により
算出されます。
208
Q2-9-5
鋼管矢板基礎の仮締切り計算において、鋼管矢板の単位幅当たりの断面二次モーメントはどのように算出しているのか
A2-9-5
仮締切り計算時の断面二次モーメントIおよび断面係数Zは、
I = π/64・(Do^4 - Di^4)
Z = π/64・(Do^4 - Di^4)/(Do/2)
ここに、
I:断面二次モーメント(m4)
Z:断面係数(m3)
Do:鋼管矢板外径(m) ※腐食代考慮
Di:鋼管矢板内径(m) ※腐食代考慮
として鋼管矢板1本当たりのI,Zを算出した後、鋼管矢板1本あたりの分担幅を
b = Do + w
ここに、
b:鋼管矢板1本あたりの分担幅(m)
w:継手の有効間隔で通常は0.2478(m)
と考え、前述のI,Zを除すことにより求めます。
例えば、製品に付属のサンプルデータ(“C:\Program Files\FORUM 8\Foundation8\SampleData\Koukan_1.F8F”)の場
合、
Do = 1.000(m) ※外側錆代 = 0
Di = 0.976(m) ※外側錆代 = 0
I = π/64・(1.000^4 - 0.976^4)/(1.000 + 0.2478)
= 0.0036428(m4)
Z = π/64・(1.000^4 - 0.976^4)/(1.000/2)/(1.000 + 0.2478)
= 0.0072856(m3)
となります。
Q2-9-6
「残留応力度ステップ番号」はどのように決定したらよいか
A2-9-6
「鋼管矢板基礎設計施工便覧(平成9年12月)社団法人日本道路協会」2.6.1(P.96)では、
「仮締切り時に、外圧により鋼
管矢板が変形した状態で頂版コンクリートが打設されるため、その段階で鋼管矢板に発生していたひずみがコンクリート
の硬化により拘束され、図-2.6.1に示すようにその状態で応力が残留することになる。・・・この残留応力と基礎本体完成
後の外力による応力とを加算する必要がある。」と記載されております。
本記述を参照する限りにおいては、応力が拘束されるのは頂版打設によってであるため、その直前(底盤コンクリート打
設後、頂版打設直前のステップ)を指定するのがよいのではないかと考えられます。
ただし、最終的には、設計者の方のご判断として決定してくださいますようお願いいたします。
なお、頂版打設後の検討を行う条件で、支保工撤去を行うと、解析においては、上記のような応力の拘束が完全には行わ
れず、頂版下面以深において若干の変動が生じることがあります。
このようなケースのとき、どのステップの応力が残留すると考えるのかにつきましては、具体的な情報を有しておらず、適
切な返答ができません。
上記と同様、設計者の方のご判断として決定してくださいますようお願いいたします。
Q2-9-7
仮締切のところでダブル支保工とでてくるが、シングルとダブルとはここではどういう状態を示すか
A2-9-7
支保工の数の違いを示しております。
1:シングル支保工
2:ダブル支保工
入力箇所は「仮締切り」-「支保工①」の表における「数」の項目に該当します。
209
第3章 Q&A
Q2-9-8
仮締切時の検討で、頂版打設後の検討があるが、このときの頂版の扱いは?。ヘルプによれば、
「頂版打設の範囲に対し
て極大分布バネを掛けて計算します」とあるが、極大分布バネとはどのようなものか
A2-9-8
極大分布バネは、便宜的に9999999.0(kN/m2)の分布バネとして与えています。
本プログラムの仮締切り計算は、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「鋼管矢板基礎」-「仮締切り部の計算」-「■
計算方法」に記載しておりますように、仮締切り壁としての鋼管矢板を奥行き1m当たりとして取り出し、鋼管矢板天端か
ら矢板先端までを1本棒としてモデル化し弾性床上の有限長ばりとして弾塑性解析法によって照査しております。また施
工時に生じた先行変位を考慮しております。
ここで、頂版打設後の検討については、道路橋示方書,鋼管矢板基礎設計施工便覧等の基準類,参考資料等にモデル化
の方法,計算方法についての記載がありません。
このため、本プログラムでは、ご要望いただいた他のユーザ様等のご意見を参考とし、頂版打設後のステップに対し、頂
版打設の範囲には変位が発生しないものとして前述の計算モデルに極大分布バネを掛けて計算する方法を採用しており
ます。
しかしながら、前述のとおり、本計算方法は基準類,参考資料等に準じた計算方法ではございません。よって、計算方法を
「仮締切り」画面上のヘルプに明示し、本計算方法が適用できるか否かについては、最終的には設計者の方のご判断に
より決定していただくようにしております。
Q2-9-9
鋼管矢板基礎の仮締切りで任意荷重を設定すると、その荷重が鋼管矢板1本ごとにかかるという設定になるのか
A2-9-9
仮締切り計算は、仮締切り壁としての鋼管矢板を奥行き1m当たりとして取り出し、鋼管矢板天端から矢板先端までを1本
棒としてモデル化し、弾性床上の有限長ばりとして弾塑性解析法によって照査しております。
従って、奥行き1mの単位幅あたりの計算を行っていますので、任意荷重につきましても単位幅あたりの値を入力してくだ
さい。
ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「鋼管矢板基礎」-「仮締切り部の計算」-「■計算方法」のページもご参考くだ
さい。
1-2-10 合成応力度
1-2-11 保耐法照査
Q2-11-1
鋼管矢板基礎が降伏に達して以降の計算を行う方法はあるか
A2-11-1
通常の設計においては、基礎が降伏に達した場合、その時点で計算を打ちきり、この状態の結果出力を行っています。
ただし、本プログラムでは、
「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(鋼管矢板基礎)」画面の「作用力を指定してレベ
ル2地震時照査を行う」を「する」と指定することにより、柱基部断面力を直接指定して計算を行う機能を用意しておりま
す。
本機能は、本来、動的解析結果を用いて照査することを想定して設けたものですが、この照査方法の場合、基礎が降伏に
達したか否かにかかわらず、常に全荷重を載荷した状態の結果出力を行います。
したがって、khpを載荷した状態と同条件となるよう作用力を設定することにより、お考えの結果を得ることが可能とな
ります。
以上より、柱基部に作用する次の荷重を算出し、入力を行うことにより、本件にご対処ください。
Vp = Rd + Wp
Hp = (Wu + Wp)・khp + Hd
Mp = (Wu・hu + Wp・hp)・khp + Md
なお、
「作用力を指定してレベル2地震時照査を行う」の入力方法,照査方法につきましては、
「レベル2地震時基本条件」
画面上の[ヘルプ]ボタンより開く説明をご参照ください。
また、レベル2地震時照査は、最終的には頂版下面中心の作用力を集計し計算を行います。この作用力が想定された値と
なっているか、必ず計算書の「レベル2地震時の照査」-「計算結果」の出力にてご確認ください。
210
Q2-11-2
鋼管矢板基礎のレベル2地震時の計算を行うと「収束しませんでした」というメッセージが表示されるが、これはどのよう
な状況を示しているのか。また、
[強行]した場合、妥当な結果が得られたと考えてよいのか
A2-11-2
鋼管矢板基礎のレベル2地震時照査では、地盤抵抗に対して作用力が大きく地盤の大部分が塑性化する場合や、基礎長
が短く底面の浮上りが大きくなる場合等で、収束計算が困難な状態になるケースが発生します。本メッセージは、このよう
な状態となったときに表示しています。
本メッセージを[強行]した場合、収束不能となった水平震度を無視し、次の水平震度の計算に移行します。よって、結果
確認画面(「計算・結果確認」-「レベル2地震時計算」-「詳細出力」画面)で省略されている水平震度が存在するとき、
この水平震度が収束不能となったことを示しています。
なお、鋼管矢板基礎のレベル2地震時では、最終震度の結果あるいは基礎が降伏に達する状態が正しく取得できれば、
照査としては問題ありません。途中の水平震度の結果は水平震度~変位曲線を図化するための結果であるため、途中の
水平震度が収束不能となっているのであれば、
[強行]しても適切な照査が行われます。
収束不能となった水平震度が最終震度あるいは降伏時でないことを確認していただき、最終的には設計者判断として本
計算結果を採用するか否かを決定してください。
Q2-11-3
鋼管矢板基礎の降伏判定において、
「1/4応力度」という判定基準があるが、具体的にどのように判定しているのか?
A2-11-3
「1/4応力度」は、道示および鋼管矢板基礎設計施工便覧に記載されている「井筒外周押込側1/4の範囲の鋼管矢板の縁
応力度が降伏応力度に達する。」を参照したもので、押込側先端より1/4位置となる鋼管矢板に着目し、この鋼管矢板の基
礎天端~基礎底面間に応力度>降伏応力度となる部材が生じたとき、基礎が降伏に達したと判断しています。
ただし、現行では、基礎天端~基礎底面間の応力度分布の出力は行っておらず、最大応力度のみを抽出して出力していま
す。
Q2-11-4
「レベル2地震時基本条件」画面で下記メッセージが表示されるが、どのように対処したらよいか?
確認:[20902]
計算分割数が100を超えています。100回目の計算を終了した時点で降伏していない場合は計算を打ち切ります。よろ
しいですか
A2-11-4
鋼管矢板基礎のレベル2地震時照査では、計算開始震度から最終震度まで、設定された震度増分ごとに水平震度を増加
させながら計算を行っておりますが、計算できる回数は方向ごとに100回までという制限があります。
上記の制限に達した場合、警告が表示され、レベル2地震時照査を行うことができません。
本件につきましては、
「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(鋼管矢板基礎)」画面の「震度増分」を大きく(0.02や
0.03等)設定することによりご対処ください。これにより、警告が表示されることなく、レベル2地震時照査が可能となり
ます。
なお、震度増分を変更したくない場合、上記画面の「計算開始震度」を変更することによっても本現象を回避することが
可能です。
ただし、Hd,Md(死荷重時の水平力,モーメント)に0.00以外が設定されている場合、死荷重時に基礎の変位が生じるこ
とから、応答塑性率の照査において、死荷重時の上部構造慣性力作用位置における水平変位が必要となります。
このため、Hd,Mdが0.00以外のとき、計算開始震度は0.00に固定され、よって、震度増分により対処する必要がありま
す。ご注意ください。
Q2-11-5
鋼管矢板基礎設計施工便覧には「鋼管矢板内周面の大半が2/h以内(hは頂版厚)になる場合にはせん断破壊の恐れが
ないため照査を行う必要はない」との記述があるが、本プログラムではどのように取り扱っているのか
A2-11-5
鋼管矢板基礎設計施工便覧ではせん断照査が不要となる頂版の例が記載されておりますが、具体的な判断方法は明記さ
れていません。
したがって、本プログラムでは、便宜的に、検討方向の前面側に対して
■せん断照査断面
L = tc/2 + h/2
ここに、
L :井筒中心からせん断照査位置までの距離(m)
tc:橋脚躯体幅(m) ※円弧部は0.8倍とする
h :頂版厚(m)
■鋼管矢板内周面
b = By/2 - Do
ここに、
b :井筒中心から鋼管矢板内周面までの距離(m)
By:井筒外幅(m)
Do:鋼管矢板本体径(m)
を算出し、L>bとなるとき、せん断照査を行う必要はないと判断し、作用せん断力およびせん断耐力をいずれも0とした結
果出力を行っています。
211
第3章 Q&A
Q2-11-6
鋼管矢板基礎の頂版のレベル2地震時照査において、せん断スパン比による割増係数Cdsを考慮しない理由は?
A2-11-6
鋼管矢板基礎の頂版のレベル2地震時照査は、
「鋼管矢板基礎設計施工便覧(平成9年12月)社団法人日本道路協会」
(P.137)の記述、
「鋼管矢板基礎の場合、側面に生じる反力の影響が大きいため、せん断力に対する設計では、版としての
せん断についてのみ照査すればよい。」より、版としてのせん断照査を行います。
版としてのせん断照査の照査方法は、道示Ⅳ13.9.5(P.462)の記述、
「頂版の設計は、8.7に規定するフーチングの設計に準
じるものとする。」より、道示Ⅳ8.7(P.236~)に準じた照査を行いますが、(P.237)の記述、
「今回の改訂において、はりとし
てのせん断耐力の算定にあたってはせん断スパン比による割増し係数を表-8.7.1により考慮することとしたが、
・・・版とし
てのせん断耐力の算定にあたっては、せん断スパン比の影響や照査断面の設計に未解明な点があるために、ここでは従
来と同様にせん断耐力を算定するものとする。」とあり、せん断スパン比による割増係数Cdsは考慮しないよう規定され
ています。
よって、Cdsは考慮しておりません。
Q2-11-7
レベル2地震時の照査において、斜引張鉄筋の本数はどのように算出されるのか
A2-11-7
頂版の斜引張鉄筋本数は、図(考え方を示したイメージ図)の水色の部分に入力されたスターラップの間隔の格子を配置
し、前面側,側面側ごとに水色の部分にある格子点の数をカウントし、これを鉄筋本数としています。
よって、入力されたスターラップ間隔に応じた目安を示していることになります。
なお、鋼管矢板基礎設計施工便覧(P.138)に記載されておりますように、レベル2地震時に対する頂版の設計は、版として
のせん断照査を行っております。
版としてのせん断照査において、せん断照査断面は、図-2.7.16のように、柱前面から頂版厚hの1/2となる位置としていま
す。
ここで、同文献(P.139)において、
「図-2.7.17に示すように、鋼管矢板内周面の大半がh/2以内にある場合には、せん断破壊
の恐れがないため照査を行う必要はない。」と記載されており、せん断照査が不要となる例が図示されていますが、
「鋼
管矢板内周面の大半が」の大半がどの程度と考えればよいのか明確に規定されているわけではありません。
よって、本プログラムでは、検討方向(荷重の載荷方向)におけるせん断照査位置が鋼管矢板内周面より外側となる場合、
せん断照査を省略するようにしています。
Q2-11-8
「頂版下面に作用する鋼管矢板の反力」において、鋼管矢板基礎の中打ち杭の反力が同一位置の外周矢板反力と異なる
ことがある理由を知りたい
A2-11-8
頂版下面に作用する鋼管矢板反力は、
「鋼管矢板基礎-その設計と施工-(平成14年12月)
(鋼管杭協会)」(P.71~)を参
照し、継手のせん断ずれを考慮した仮想井筒ばりによる解析法で求めた頂版下面の各値を用いて次のように算出してお
ります。詳しくは、本文献をご参照ください。
なお、式中の「^」はべき乗を表しています。また、下式は各鋼管矢板の断面定数がすべて等しい場合のものです。
①鉛直反力Ri
Ri=N/(n1+n2+n3)±{M*/ΣXi^2}・xi
ここに、
N :頂版下面に作用する基礎の軸力(kN)
M*:頂版下面に作用する基礎の曲げモーメントのうち、鋼管矢板および中打ち単独杭の軸力によるもの(kN.m)
n1:井筒外周の鋼管矢板の本数(本)
n2:隔壁部の鋼管矢板の本数(本)
n3:中打ち単独杭の本数(本)
xi:鋼管矢板および中打ち単独杭の図心から基礎水平断面の中立軸までの距離(m)
ただし今回の外周矢板と中打ち杭については、矢板断面変化時の鋼管厚の差を考慮しておりますので、その分の鉛直反力
が異なります。
矢板断面1の鋼管厚を12.0(mm)として全ての杭が同一条件のもとで計算する場合、同一位置の反力が一致することを確
認しております。
※腐蝕代を考慮した断面積で補正しております。
212
1-2-12 基礎バネ
Q2-12-1
鋼管矢板基礎の基礎バネ算出で、鉛直方向バネは算出されないのか?
A2-12-1
本プログラムの鋼管矢板基礎の基礎バネ算出は、
・「鋼管矢板基礎設計施工便覧(平成9年12月)社団法人日本道路協会」2.1.2-(2)(P.33~)
・「道路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)社団法人日本道路協会」(P.8-45)
に記載されている方法で、固有周期算定に用いる地盤バネ定数として水平,回転および水平と回転との連成バネを算出し
ております。
上記基準類には鉛直バネに関する記述がなく、本プログラムでも鉛直方向に関連するバネ値は算出しておりません。
なお、上記「道路橋の耐震設計に関する資料」の固有周期算定例(杭基礎)では、水平,回転に関するバネ値のみを考慮し
ています。
資料に明記されておりませんので、鉛直方向に関連する支持条件は判りませんが、本例では鉛直方向を固定,鉛直と水平
および回転の連成バネは0.0として取り扱っているのではないかと思われます。
Q2-12-2
ケーソン基礎、鋼管矢板基礎の常時の基礎バネを算出する方法は?
A2-12-2
申し訳ございませんが、ケーソン基礎,鋼管矢板基礎のいずれにおいても、常時の地盤バネ定数の算出には対応しておりま
せん。
ただし、ケーソン基礎であれば、
「地層」-「土質一覧」-「土質データ②」画面の動的変形係数EDに、常時のα・Eo値を
直接入力して基礎バネ計算を行っていただくことにより、常時のα・Eoを用いて算出した基礎のバネ定数を算出すること
が可能です。
鋼管矢板基礎においても、同様の手順にて常時の基礎バネを算出することが可能ですが、鋼管矢板基礎におきましては、
以下にご注意ください。
鋼管矢板基礎では、計算モデル,地盤バネモデルが各々2方法あります。
計算モデル
(1)弾性床上の有限長ばり
(2)継手のせん断ずれを考慮した仮想井筒ばり
地盤バネモデル
(a)道示Ⅳ13.5:前面水平方向のみ
(b)道示Ⅳ表-解13.9.1:前面,側面の水平方向および鉛直方向
基礎バネ(固有周期算定用地盤バネ)算出では、
「鋼管矢板基礎設計施工便覧」を参照して、(2)+(b)のモデル(レベル2
地震時計算モデル)で計算しています。一方、常時,レベル1地震時では、(1)+(a)または(2)+(a)で計算しています。
ご検討の常時の基礎バネ算出における条件が、(2)+(b)であれば、EDの代わりに常時のα・Eoを入力することによって算
出可能ですが、(1)+(a)あるいは(2)+(a)のモデルを想定されている場合は算出できません。
なお、(a)を用いる常時,レベル1地震時の計算では、(解13.5.2)に記述されていますように、前面水平方向バネ値は、ひずみ
依存性を考慮して、水平変位に応じた値に補正しています。よって、(1)+(a)あるいは(2)+(a)のモデルでは、線形バネを算出
することはできません。
213
第3章 Q&A
Q2-12-3
鋼管矢板基礎の基礎バネはどのように算出されるのか
A2-12-3
鋼管矢板基礎の基礎バネは、杭基礎のように解析的に求めることができないため、レベル2地震時の計算モデルに動的
変形係数EDより算定された地盤バネを用いて継手のせん断ずれを考慮した仮想井筒ばり解析を行い、算出された基礎
天端(頂版天端)の変位を用いて計算しています。
具体的には、計算モデルの天端に単位水平力,単位モーメントをそれぞれ別々に作用させ、
δoH,θoH:単位水平力を与えた時に生じる水平変位と回転角(m/kN,rad/kN)
δoM,θoM:単位モーメントを与えた時に生じる水平変位と回転角(m/kN,rad/kN)
を求め、求められた基礎天端の水平変位,回転角を次に示す道示Ⅴ(P.60)(解6.2.12)に代入して算出します。
Ass= θoM/(δoH・θoM-δoM・θoH)
Asr=-δoM/(δoH・θoM-δoM・θoH)
Ars=-θoH/(δoH・θoM-δoM・θoH)
Arr= δoH/(δoH・θoM-δoM・θoH)
ここに、
Ass:水平方向バネ(kN/m)
Asr=Ars:水平と回転との連成バネ(kN/rad,kN.m/m)
Arr:回転バネ(kN.m/rad)
上記のように、本プログラムの基礎バネは、基礎天端変位を用いて算出される基礎天端位置の地盤バネ定数となりま
す。
なお、突出扱いの場合、突出部のバネ値を0としてモデル化しています。
また、計算モデルには単位水平力,単位モーメントのみ載荷しており、軸力は考慮されません。よって、頂版の重量は考慮
されません。
なお、基礎バネ算出時においては、地盤の非線形性,基礎底面の浮上りは考慮されません。
Q2-12-4
「地層データ」において「設計地盤(常時)」よりも下に「設計地盤面(地震時)」を入力している場合で,基礎バネ計算におい
て設計地盤面を下げるケースとは,どのようなケースを想定しているか
A2-12-4
基礎ばねの計算位置は頂版天端で変わりませんが、設計地盤面を下げた場合、設計地盤面以上の地盤ばねは無視した計
算となります。
地盤ばねを控除したい範囲が頂版天端以下にある場合にご利用ください。
1-2-13 附属設計
Q2-13-1
頂版の照査に用いる杭の鉛直反力はどこ杭反力を参照しているのか
A2-13-1
頂版の照査に用いる杭の鉛直反力は、別途算定しています。詳細は道路橋示方書(平成24年3月)
(p.475)をご参照くだ
さい。
1-2-14 その他(基礎の設計・3D配筋)
Q2-14-1
鋼管矢板基礎の仮締切部分の計算データを土留めの計算にコンバートは可能か。
A2-14-1
「基礎の設計・3D配筋」から、
「土留め工の設計・3DCAD」で読み込み可能なデータを保存することはできません。
1-2-14 その他(基礎の設計計算)
214
Q2-14-1
中打ち単独杭は計算上どのように考慮されているか
A2-14-1
中打ち単独杭は、
「鋼管矢板基礎設計施工便覧」1.5.5(P.26)の記述、
「中打ち単独杭は、鉛直荷重のみに抵抗するものと
して計算において考慮して良く、鉛直反力や頂版に作用する反力の軽減対策として有効である。」を参照し、鉛直荷重に
対してのみ抵抗するものと考えています。
具体的には、
①鋼管矢板先端の軸方向バネ定数
②内部土短辺長の範囲の杭周面鉛直方向せん断バネ定数
を考慮しております。
Q2-14-2
鋼管矢板基礎の継ぎ手部について、モルタルを注入している場合におけるせん断剛性を求める場合、モルタルの強度は内
部的にいくらとなっているのか。
(入力画面上ではモルタル材料の入力は存在しないため)
A2-14-2
基礎の設計計算における鋼管矢板基礎のせん断抵抗につきましては、
「鋼管矢板基礎―その設計と施工― (一般社団法
人 鋼管杭・鋼矢板技術協会)」のp55ページを参照としております。
その文献によりますと、継手のせん断剛性は標準型の継手を用いる場合には既住の実験結果を参考にしてせん断剛性を
1,200,000kN/m2、せん断耐力を200kN/mを上限値として弾塑性型のバネとしてモデル化しています。
本プログラムは、外周矢板、隔壁矢板ともに、継手部は十分なせん断剛性を有する構造であることを前提としております
が、継手内部の充填材料の影響につきましては上述の資料上では明記されておらず、モルタル材料の影響を別途にせん断
抵抗として考慮していることは行っておりません。ご了承ください。
最終的な継手におけるせん断剛性Gjは[形状]-[形状]-[継手]より入力できますが、モルタル強度を考慮した剛性につきまし
て資料の実験結果とは別途に算出する場合は設計者様にご判断頂くこととなります。
Q2-14-3
鋼管杭における杭頭溶接鉄筋の計算式について教えてほしい。現在、H14道示で設計した橋の会検対応をしているが、式
の出典を知りたい
A2-14-3
杭頭補強鉄筋の溶接長の計算は、
「杭頭結合計算」画面上の[ヘルプ]より開く説明に記載しておりますように、
・「土木構造物設計計算例④杭・ケーソンおよび鋼管矢板基礎の設計計算例(平成3年1月発行)山海堂」(P.198~
P.199)
・「SCくい設計指針(昭和55年3月)国土開発技術研究センター」
(P.11)
を参照し、作成しております。
なお、本計算方法は、道示や杭基礎設計便覧等の基準・文献類に記載されているわけではありませんので、計算するか
否かは、設計者の方のご判断により決定していただくようにしております。
1-3 ケーソン基礎(基礎の設計・3D配筋)
Q3-1
ケーソン基礎と杭基礎(場所打ち杭)の降伏曲げモーメントMyが一致しないのはなぜか
A3-1
本入力は、保耐法照査時に死荷重時の任意水平力Hdと任意モーメントMdを考慮できるように入力を準備したものです。
任意に働く作用力などが無ければ、考慮する必要はありません。
Q3-2
ケーソン天端が地盤面より上にある場合の上載土の設定方法
A3-2
「橋脚の設計(ケーソン基礎)」の設計において、基礎バネの連携方法は?
A3-2. 「基礎の設計」「基礎の設計計算、杭基礎の設計」では、ケーソン基礎や鋼管矢板基礎としての下
部工連動に対応しておりません。
本件につきましては、
「橋脚の設計」において、基礎設計に必要なデータをXML形式でファイル保存する機能を設けてお
り、
このデータファイルを「基礎の設計」
「基礎の設計計算」で読込むことにより、ケーソン基礎、鋼管矢板基礎の検討を行う
ことが可能です
(ただし、基礎側から橋脚へ反力等を反映することはできません)。
具体的な手順につきましては、
「橋脚の設計」ヘルプの「Q&A|設計計算に関するQ&A|連動 Q15-5」をご覧ください。
また、
「震度算出(支承設計)」との連携を行う場合は、下記手順のように便宜上「直接基礎」としてご検討ください。
1.「橋脚の設計」側の「初期入力」画面で「直接基礎」、
「フーチング無し」としてデータを作成します。
2.基礎連動用XMLファイルを利用し「橋脚の設計」→「基礎の設計」または「基礎の設計計算」へデータを連動します。
3.「基礎の設計」または「基礎の設計計算」側で求まった基礎バネを「橋脚の設計」側の「基礎」画面で入力します。
※具体的な入力方法につきましては、
「橋脚の設計」ヘルプの「Q&A|設計計算に関するQ&A|連動 Q15-7」をご覧くだ
さい。
4.上記で作成した「橋脚の設計」
(直接基礎)のデータ用いて「震度算出(支承設計)」との連携を行います。
Q3-3
ケーソン基礎の増し杭補強について、対応は可能か。また、不可の場合に、ケーソン基礎を別の杭種(場所打ち杭など)に仮
定して計算することは出来るか
A3-3
ケーソン基礎の補強設計には対応しておりません。
また、ケーソン基礎と杭基礎とでは、設計方法が異なるため、ケーソン本体を杭に置き換えてモデル化することはできま
せん。
215
第3章 Q&A
1-3 ケーソン基礎(基礎の設計計算)
Q3-1
保耐法照査時のHd、Mdは何を入力するのか?
A3-1
本入力は、保耐法照査時に死荷重時の任意水平力Hdと任意モーメントMdを考慮できるように入力を準備したもので
す。
任意に働く作用力などが無ければ、考慮する必要はありません。
Q3-2
ケーソン天端が地盤面より上にある場合の上載土の設定方法
A3-2
「作用力」-「脚柱下端作用力」の上載土高は標高で入力してください。このとき、基礎天端より深い位置には設定できな
いようになっています。上載土重量を考慮されない場合は、基礎天端標高を入力頂ければ考慮しないことになります。
「保耐法基本条件」-「基本条件(ケーソン基礎)」の上載土厚では、頂版上の上載土厚を入力してください。
上載土重量を考慮されない場合は、0.0を入力頂ければ結構です。
Q3-3
地震時水平耐力法に用いる設計水平震度Khcより大きな慣性力が作用しないのはなぜか?
A3-3
「道路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)社団法人日本道路協会」P.8-32に、
「基礎が降伏に達するときの水平震
度KhyFが地震時保有水平耐力法に用いる設計水平震度Khcを上回っており、これは2.3.3の基礎の安全性の判定におけ
る図-2.3.12(a)の場合に該当する。よって、地震時保有水平耐力法に用いる設計水平震度Khcに対して、弾性範囲内にあ
るので安全と判定される。」と記載されています。このことから、khcより大きな水平震度に対しては照査する必要がない
と判断しております。
Q3-4
Khgが0でKhp<Khc時、水平震度をあげても基礎に作用する荷重増分がないのか?
A3-4
「道路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)社団法人日本道路協会」P.2-60に、
「上部構造および橋脚躯体に作用さ
せる水平震度αikhcがKhpに達すると、橋脚躯体基部に塑性ヒンジが発生し、橋脚躯体基部から基礎に伝達される作用
力は増加しないものと仮定する。したがって、上部構造および橋脚躯体にはこのKhpを保持したまま・・・。」とあり、これ
を参照しております。
Q3-5
ケーソンの鉛直方向バネ定数は算出されないのか?
A3-5
基礎バネ(固有周期の算定に用いる地盤バネ定数)の計算では、水平,回転に関するバネ値を算出しており、鉛直方向に
関連するバネ値は算出しておりません。
「道路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)社団法人日本道路協会」(P.7-40)も同様です。
また、同資料の杭基礎の固有周期算定例(P.2-10)では、水平,回転に関するバネ値のみを考慮しています。
資料に明記されておりませんので、鉛直方向に関連する支持条件は判りませんが、本例では鉛直方向を固定,鉛直と水平
および回転の連成バネは0.0として取り扱っているのではないかと思われます。
Q3-6
設計地盤面より上方のケーソン本体の慣性力はどのように考慮しているのか?
A3-6
本プログラムでは、地震時の設計地盤面(耐震設計上の地盤面)が頂版天端より下がった場合、設計地盤面より上のケー
ソン本体の慣性力を考慮した計算を行っています。
設計水平震度は、次の画面で入力していただくようにしています。
レベル1地震時
「作用力」-「単位重量等」画面の『設計水平震度(基礎構造物)』
慣性力の指定は、
「脚柱下端作用力」画面の『慣性力(1=正方向,2=負方向)』欄で指定してください。
レベル2地震時
「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(共通)」画面の『khG』
実際の計算においては、ケーソン基礎では、基礎天端から先端までの計算モデルを作成しており、ケーソン本体の慣性力
はこの計算モデルに水平分布荷重として載荷しています。
216
Q3-7
頂版の剛体照査は何にもとづいて行われているのか?
A3-7
本プログラムでは、ヘルプの「概要」-「プログラムの機能概要」-「適用基準および参考文献」に記載しております参考
文献「わかりやすいケーソン基礎の計画と設計(平成10年11月)総合土木研究所」の記述、
「下部工の設計では、柱や壁
あるいは杭がフーチングで固定支持しているとの前提から設計が行われており、頂版は柱や壁あるいは基礎本体に比べ
て、ある程度の剛性が必要である。また、頂版を設計する際の支持部反力は、頂版を剛体として算出していることから、
頂版は原則として剛体として取り扱える程度の厚さとする。」を参照し、頂版を剛体とする必要があると判断し、剛体判
定を行っております。
Q3-8
レベル2地震時照査で終局時を求める際に構造系が不安定となり計算が終了しない。どのように対処すればよいか?
A3-8
ケーソン基礎の許容塑性率μLは、
μL=1+(δu-δy)/(α・δy)
ここに、
μL:基礎の許容塑性率
δu:基礎本体が終局に達したときの上部構造の慣性力作用位置での水平変位(mm)
δy:基礎が降伏に達したときの上部構造の慣性力作用位置での水平変位(mm)
α:安全係数で、1.8とする。
により算出します。
お問合せのデータの場合、レベル2地震時安定計算実行時にメッセージを表示しておりますように、上記の終局時の変位
δuを求める過程で収束計算ができない状態となっため、計算を中断し、計算が完了した最大震度時を終局時として、こ
のときの水平変位を前述のμL算式のδuに代入したときの結果を出力しています。
ケーソン基礎の安定計算では、地盤の弾塑性を,基礎本体が降伏に達した場合は更に部材の非線形を考慮した計算を
行っています。
具体的には地盤バネ値,曲げ剛性を仮定して計算し、その結果と仮定値とがほぼ一致するまで収束計算を行っています。
基礎本体の曲げ剛性EIは、部材ごとに
(1)仮定したEI
(2)発生したMとそれに応じたφから求まるEI(=M/φ)
とがほぼ一致するまで計算を繰り返していますが、お問合せのデータのM-φ関係の場合、Mc,My,Mu値が近い値に
なっているのに対し、φc,φy,φuはそれぞれ1桁異なっています。
この場合、Mcを超えると僅かなMの変化でEIが急変し、この傾向はMyを超えると更に顕著となり、非常に収束しにくい
状態となっております。
お問合せのデータもこれに該当しており、正しい終局時の変位δuを求めることができておりません。
なお、本プログラムでは、上記のように終局状態が算出できないケースのとき、
「レベル2地震時基本条件」-「基本条件
(ケーソン基礎)」画面に、
『設計水平震度の範囲内で終局状態が算出できない場合』の選択を設けており、
・最大震度時を終局状態とする
・終局時の水平変位をδu=200cmとする
・応答塑性率照査を行わない
から指定するようになっております。
本データの場合、
「最大震度時を終局状態とする」が指定されておりますので、上記のように、計算可能であった最大震
度時の結果を用いて応答塑性率の照査を行っております。
詳しくは、上記画面上の[ヘルプ]ボタンより開く説明をご参照ください。
Q3-9
「作用力」-「脚柱下端作用力」画面の「慣性力」はどのように計算に反映しているのか
A3-9
「作用力」画面の「慣性力」は、レベル1地震時の計算において、設計地盤面(耐震設計上の地盤面)が基礎天端(頂版天
端)以深となる場合に考慮され、正方向(=1),負方向(=2)を設定したとき、ケーソン本体の慣性力を考慮した計算を行
います。
なお、本設計水平震度は、道示Ⅴ6.3.3(P.83)(1)のレベル1地震動の設計水平震度khを想定しており、khは、
kh=Cz・kho
ここに、
kh:レベル1地震動の設計水平震度kh
kho:レベル1地震動の設計水平震度の標準値
Cz:地域別補正係数
により算出されます。
217
第3章 Q&A
Q3-10
任意のコンクリート設計基準強度または鉄筋材質を使用した照査は可能か
A3-10
下記の手順にて設定してください。
■コンクリートの設計基準強度について
「基準値」-「コンクリートの許容応力度」画面において、1種類のみ任意の諸元を入力可能となっています。こちらにご
検討の設計基準強度,許容応力度を入力し、
「基本条件」画面の『使用鉄筋コンクリートの設計基準強度σck』の一番右
のボタンを選択してください。
■鉄筋材質について
「基準値」-「鉄筋の許容応力度」画面において、SD295/SD345のいずれかに、ご検討の材質の許容応力度および降
伏応力度を直接入力してください。
「レベル2地震時基本条件」-「M-φ」画面の[M-φ計算]ボタンにより算出されるM-φ関係は、上記画面の「降伏応
力度」に入力された降伏応力度を用いて算出されます。
ただし、各鉄筋入力画面の鉄筋量は、異形棒鋼のみを想定していますので、丸鋼の断面積は自動設定されません。ご検
討の鉄筋が丸鋼の場合、各画面の「As」欄に任意の鉄筋量を直接入力してください。
なお、計算書においては、
「SD295」,
「SD345」のいずれかの鋼材の名称が出力されますので、下記のように編集してく
ださい。
・印刷プレビューの「ソース」を押下し、ソース編集モードとし、該当する箇所を編集する。
・Wordファイルに出力し、Word上にて、該当する箇所を編集する。
Q3-11
ケーソン基礎のレベル2地震時基本条件データ入力の際に表示されるメッセージにはどのように対処したらよいか
---------------------------------------------------------------- データエラー(レベル2基本条件):[20906]
M-φは以下の条件で入力してください。
・Mc≦My≦Mu
・φc≦φy≦φu
-----------------------------------------------------------------
A3-11
ケーソン基礎のレベル2地震時照査では、道示Ⅳ11.8.4(P.341~)を参照し、基礎本体のM-φ関係(曲げモーメント~曲
率関係)を算出しています。
Mcは、コンクリートおよび鉄筋の断面積や位置等の断面定数から求まりますが、コンクリート断面に対して鉄筋の断面積
が占める割合は非常に小さいため、鉄筋量は結果には大きく影響しません。しかしながら、My,Muは鉄筋量に大きく左
右されます。
このため、既設橋脚等のように、側壁の軸方向鉄筋量が少ない場合、Mc≦My≦Mu,φc≦φy≦φuの関係とならない
ケースが生じます。
ここで、道示においては、McがMy,Muを超えてはならないという記述はありません。ただし、道示の規定は、図-解
11.8.1(P.342)のような関係になることを想定しているため、Mc>My,Mc>Muとなる場合の曲げ剛性をどのように算出す
るかが明確ではありません。よって、計算に移行できないようにしています。
Mc≦My≦Mu,φc≦φy≦φuの関係となるよう「レベル2地震時基本条件」-「M-φ」画面にて使用値を入力していた
だくことで計算を行うことが可能ですが、本計算結果の適用の是非につきましては設計者の方の判断で行ってください。
218
Q3-12
ケーソン基礎において、
「設計地盤面」を基礎天端以深となるよう設定したが、計算に反映されないのはなぜか
A3-12
「地層」画面上の[ヘルプ]の「■地層線」-「設計地盤面」-「設計地盤面(常時)(地震時)」をご参照ください。
本ヘルプに記載しておりますように、ケーソン基礎の設計地盤面は、地盤の変形係数α・Eo,土質定数の低減係数DEよ
り自動的に決定していることから、
「設計地盤面(常時/地震時)」の入力は計算に用いておりません。
本件につきましては、設計地盤面と考える位置で地層を分割し、それより上方の α・Eoを全て0と設定することによりご
対処ください。これにより、自動的に設計地盤面が設定されます。設定された設計地盤面は、
「予備計算」画面上で確認
することができます。また、計算書の「設計条件」-「地盤条件」の出力において、地盤抵抗を考慮する設計地盤面以深の
地層を確認することができます。
なお、
「地層」画面の「地盤面(常時/地震時)」に設計地盤面と考える標高を入力することによっても同様の結果を得る
ことが可能です。ただし、この場合、
「形状」-「上載荷重,その他」画面の「上載荷重q」に、土砂重量による載荷荷重を
別途算出し入力する必要があります。
Q3-13
ケーソン基礎において、基礎底面地盤の許容せん断抵抗力Haが0となる。これはなぜか
A3-13
本プログラムでは、ヘルプ「計算理論及び照査の方法」-「ケーソン基礎」-「安定計算(常時,暴風時,レベル1地震時)」
に記載しておりますように、基礎底面地盤の許容せん断抵抗力は、
Ha=Hu/n
Hu=CB・Ae+V・tanφB
ここに、
Ha:基礎底面地盤の許容せん断抵抗力(kN)
Hu:基礎底面と地盤との間に働くせん断抵抗力(kN)
n:安全率(常時:1.5,レベル1地震時,暴風時:1.2)
cB:基礎底面と地盤との間の付着力(kN/㎡)
Ae:基礎底面の有効載荷面積(㎡)(浮上りを生じていない部分の底面積)
V:基礎底面に作用する鉛直力(kN)(ただし、浮力を差し引いた値)
φB:基礎底面と地盤との間の摩擦角(度)
により算出しておりますが、ご質問のデータの場合、付着力cB,および摩擦角φBが0.00となっているため、許容せん断抵
抗力Haが0.00となっているものと考えられます。
「地層」-「土質一覧」-「土質データ③」画面において、付着力cB,摩擦角φBをご確認ください。
Q3-14
「形状」-「平面寸法」画面を確定終了しようとすると下記メッセージが表示されるが、この制限の根拠は?
入力エラー(形状:平面寸法):[20301]
平面形状に矛盾があります。
以下の条件を満たすように入力してください。
側壁厚≦基礎幅L/4=x.xxxx
A3-14
本プログラムでは、側壁厚が基礎幅の1/4より大きくなるケースは計算対象外としております。
これは、側壁水平方向の部材計算において、側壁厚が基礎幅の1/4より大きくなる場合、せん断照査位置が正しく求まらな
いケースが生じるためです。
本プログラムの側壁水平方向の計算は、道示Ⅳ11.7.1を参照しておりますが、道示Ⅳ11.7.1の解説文(P.324~P.325)のよう
に、部材内面からT/2点(Tは側壁厚)から1.5d点(dは側壁有効高)の範囲に着目点をおき、その断面に作用するせん
断力に対して照査します。
したがって、側壁厚が基礎幅の1/4より大きくなると、Tの位置が重なることにより照査断面位置が取得できず、正しく照査
できなくなるケースが生じます。
本プログラムでは、このようなケースを排除するため、本制限を設けております。
Q3-15
ケーソン基礎で、地盤面における設計水平震度khgは入力する必要があるか?
A3-15
地盤面における設計水平震度khgは、道示Ⅴ6.4.7(P.103)(2)のとおり、耐震設計上の地盤面より上方の地中構造物、また
は杭基礎のフーチングに対して慣性力として考慮します。
杭基礎の場合、フーチングに対して考慮するため、常にkhgを設定する必要があります。
これに対し、ケーソン基礎の場合、道示Ⅴ4.6(P.27~)のように、ごく軟弱な土層あるいは液状化により地盤抵抗が期待で
きない土層がある場合でなければ、耐震設計上の地盤面が基礎天端(頂版天端)となります。したがって、基礎に作用す
る慣性力は、上部構造,橋脚躯体に作用するkhpのみとなり、khg は用いません。よって、この場合であれば、khgを入力
する必要はありません。
ただし、耐震設計上の地盤面が頂版天端以深となる場合、適切にkhgを設定する必要があります。この条件にもかかわら
ずkhgを設定しなかった場合、ケーソン本体の慣性力が考慮されませんのでご注意ください。
219
第3章 Q&A
Q3-16
根入れの浅いケーソン基礎の設計において、耐力に余裕のない場合でも、基礎の応答塑性率,応答変位を算定しているの
はなぜか?
A3-16
根入れの浅いケーソン基礎のレベル2地震時照査は、直接基礎と同様、橋脚下端外縁における曲げ照査、及びそれよりス
ラブ高さの1/2離れた位置におけるせん断照査を行います。このときの照査断面の断面力は、
・スラブ自重
・上載土砂重量
・地盤反力度
を考慮しており、
「レベル2地震時基本条件」画面の設定は、上記の地盤反力度を算定するために使用しています。
ここで、レベル2地震時の地盤反力度は、次の考え方により算定しています。
通常、直接基礎では、道示Ⅳ10.6(P.290)のとおり、道示Ⅴ12.4(P.218)に示される「地震時保有水平耐力法による照査に
用いる橋脚基礎の設計水平震度khcF」が作用した状態における地盤反力度を用いて照査しています。
根入れの浅いケーソン基礎においても、これに準じ、応答変位δFr(図-解12.4.1エネルギー一定則による算定法により求
まる設計水平震度khcFに相当する水平変位)となる状態の地盤反力度を用いています。
(※基礎が降伏に達しない場合
であれば、最終震度時の地盤反力度を用いる。)
詳しくは、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「ケーソン基礎」-「根入れの浅いケーソン基礎」をご参照ください。
なお、根入れの浅いケーソン基礎の設計法は、道示等に明確には示されておりません。
よって、本プログラムでは、根入れの浅いケーソン基礎の設計が記載された「基礎工2002.5月号」を参照して作成してお
り、上記の考え方は、本参考資料 (P.60)の「ここで、部材の照査に用いる荷重は、直接基礎のフーチングを照査する場合
と同様にして算出する。すなわち、図-4(道示Ⅴ12.4 図-解12.4.1と同意)に示すように応答変位δFRを求め、このδFR時
の水平震度kFRに対して部材の安全性を照査する。」を参照しています。
Q3-17
洗掘等により既設ケーソン基礎が河床から完全に突出しているようなケースの照査は可能か
A3-17
可能です。
「地層」画面の「現地盤面」を頂版天端(基礎天端)以深となるよう設定してください。これにより、完全に突出
した状態における照査が行われます。
なお、ケーソン本体が地盤から突出することになるため、ケーソン本体の慣性力を考慮した計算を行う必要があります。
この場合、
・「作用力」画面において、
「単位重量等」の「設計水平震度」および「脚柱下端作用力」の「慣性力(1=正方向,2=負方
向)」を入力する。
・「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(共通)」画面の「khG」
(※地盤面における設計水平震度)を入力する。
としてください。これにより、ケーソン本体の慣性力を考慮した計算が行われます。
ただし、本プログラムのケーソン基礎では、流水圧あるいは動水圧等を考慮した計算を行うことはできません。また、ケー
ソン本体に作用する任意荷重等の指定機能は有していないことから、他の方法を用いても、これを考慮することはできま
せん。
220
Q3-18
側壁鉛直方向のせん断照査において、部材高よりも有効高が大きくなるケースがある理由は?
A3-18
道示Ⅳ4.2(1)1)(P.152)をご参照ください。本プログラムの側壁鉛直方向のせん断照査は、本解説および図-解4.2.2のよう
に、側壁厚を変えずに等断面積となる中空矩形断面に換算して行っています。
部材高は、この換算矩形断面の高さとなります。これに対し、有効高は、換算矩形断面の圧縮縁から円形断面(換算前断
面)の引張側1/4部分の鉄筋重心位置までの距離とします。
換算矩形断面の圧縮縁から円形断面の鉄筋重心位置までの距離として有効高を求めていることから、場合によっては、
部材高より有効高の方が大きくなるケースが生じます。
詳しい算出式につきましては、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「ケーソン基礎」-「部材計算:側壁鉛直方向」を
ご参照ください。
Q3-19
頂版の許容応力度法照査は単位幅あたりで行われているが、レベル2地震時は実形状を用いて照査されている。その理由
は?
A3-19
「道路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)社団法人日本道路協会」(P.7-16)のケーソン基礎の設計例では、
「各
設計断面に生じる幅1mあたりの曲げモーメントを算出し・・」と記載されており、許容応力度法照査においては、単位幅
(1m)あたりの計算を行っています。
これに対し、レベル2地震時(P.7-37)では、
「地震時(震度法)では、頂版に生じる曲げモーメントは幅1m当たりで算出し
たが、地震時保有水平耐力法では、図-7.3.13に示す曲げモーメントを照査する断面に作用するすべての荷重を考慮して曲
げモーメントを算出する。」とあり、照査断面より外側の実形状を用いて断面力を算出し、有効幅の断面を有効として照査
しています。
8章の鋼管矢板基礎の頂版設計においても同様です。
また、本プログラムがプログラム開発時に参考とさせていただいた「わかりやすいケーソン基礎の計画と設計(平成10年
11月)総合土木研究所」(P.275)においても、
「頂版に作用する断面力は、図 -6.43に示す位置において単位幅(1.0m)当り
で算出する。」とあり、許容応力度法照査では、単位幅当たりで照査するよう記載されています。
上記のように、各種文献においては、常時,レベル1地震時の許容応力度法照査では単位幅当たりの照査を、レベル2地震
時では実形状を用いた照査を行っており、本プログラムもこれに準じています。
しかしながら、どのような理由でこのような照査方法を採用しているかにつきましては、申し訳ございませんが、具体的な
情報を持っておらず、適切な返答ができません。
なお、許容応力度法照査では、照査断面(柱前面位置)を固定端とする単位幅当たりの片持ち梁としての照査であるた
め、頂版自重や上載土重量は等分布荷重、頂版支持部や隔壁の鉛直反力度は距離に応じて増減する台形分布として作用
させる単純式により求まります。
これに対し、レベル2地震時では、照査断面より外側の実形状を用いて断面力を算出するため、円形や小判形の場合、前
面,側面ごとに積分計算により鉛直反力度を求める必要があります。より厳密な計算を行っていると言えますが、非常に
煩雑な計算です。
詳しくは、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「ケーソン基礎」-「部材計算:頂版」をご参照ください。
Q3-20
沈下計算における周面摩擦力度について、道示Ⅳ11.3(P.300)では、表-解11.3.1において、8m,16m,25m,30m,40mごと
の周面摩擦力度が記載されているが、この中間の深度の周面摩擦力度はどのように算出しているのか
A3-20
本プログラムの沈下計算の周面摩擦力度は、道示Ⅳ表-解11.3.1を基本として、その中間深度は直線補完により算出してい
ます。
道示および他の文献においては、直線補完により算出してもよいと記載されておりませんが、
「わかりやすいケーソン基
礎の計画と設計(平成10年11月)総合土木研究所」(P.157)等を参照し、現行の仕様としています。
Q3-21
ケーソン基礎で「作用力を直接指定してレベル2地震時照査を行う」ときの柱基部断面力Vp、Hp、Mpには何を入力すれば
よいのか
A3-21
本機能は、動的解析により求まった柱基部の断面力を橋脚基礎に作用する地震力とみなして照査するケースを想定してお
り、レベル2地震動により生じる柱基部の断面力そのものを入力していただくようにしています。
これに対し、死荷重時に作用するモーメント(梁形状や上部工反力の非対称性により生じる偏心モーメント等)や水平力
は、同画面の「Md」,
「Hd」に入力します。
なお、入力された柱基部鉛直力Vpには、柱の浮力や頂版上の上載土砂重量等は含まれていないことを想定していますの
で、これらの鉛直力を同画面の「Vʼ」に設定し、実際の計算では鉛直力=Vp + Vʼとしています。
Q3-22
根入れの浅いケーソン基礎の設計とは何か
A3-22
根入れの浅いケーソン基礎の設計とは、道示Ⅳ11.8.1(P.338)の「基礎の根入れが浅い(有効根入れ深さと基礎短辺幅の
比Le/B≦1程度を目安としてよい)ため、底面の浮上りや前面地盤の塑性化により基礎の降伏に達してしまう場合には
直接基礎として設計を見直してもよい。」に対応したもので、ケーソン基礎を直接基礎とみなして照査します。照査項目は
次の通りです。
1)常時,暴風時,レベル1地震時の照査
・転倒の照査
・滑動の照査
・鉛直支持力の照査
・許容水平支持力の計算
2)レベル2地震時の照査
・基礎本体の耐力照査
3)基礎バネ
詳しくは、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「ケーソン基礎」-「根入れの浅いケーソン基礎」をご参照ください。
221
第3章 Q&A
Q3-23
施工方式の「充実断面(オープン)」とは、通常のオープンケーソンとはどのように違うのか
A3-23
通常のオープンケーソン基礎は、左図のように、頂版や側壁,刃口や底版にて構成されます。これに対し、充実断面とは、
右図のように内部をコンクリートで充填しているもので、基礎を1本の柱状体として取り扱います。両者の計算上の相違
は、側壁部の剛性,鉄筋の取扱い(側壁の内側鉄筋が存在しない),側壁や刃口等の部材計算の有無となります。
なお、充実断面のオープン/ニューマチックの違いは、許容鉛直支持力度の算出の相違となります。詳しくは、道路橋示方
書Ⅳ11.4.1(P.303)をご参照ください。
Q3-24
ケーソン基礎の側壁拘束筋の有効長にはどの長さを入力すればよいか
A3-24
有効長は、側壁部のM-φ関係の算出に用いており、道示Ⅴ10.4(P.163)の有効長を入力していただくことを想定していま
す。詳しくは、本道示をご参照ください。
Q3-25
小判形のケーソン基礎の側壁鉛直方向の鉄筋は、直線部と円弧部をを入力するようになっているが、両方を入力するの
か、あるいは一方だけか
A3-25
直線部と円弧部の交点箇所の鉄筋は、直線部,円弧部のいずれかにのみ入力してください。
プログラム内部で控除するなどの処理は行っておりませんので、交点箇所の鉄筋を両方に入力した場合、重複して考慮さ
れます。
なお、本入力は、側壁部のM-φ関係の算出,および側壁鉛直方向の部材照査に用いております。
本プログラムでは、直線部,円形部に入力された鉄筋量As1、As2が各部に均等に線状に配置されているものとして取り
扱っています。
以上をご参考のうえで、交点箇所の鉄筋を直線部,円形部どちらに入力されるかにつきましては、設計者の方のご判断で
決定していただきますようお願いいたします。
Q3-26
中詰め材の重量はどのような値を入力するのか
A3-26
中詰め材の単位重量γには、ケーソン内部に土のみを入れる場合は大気中の重量(湿潤重量)を、土および水を入れる場
合は飽和重量を入力してください。
なお、中詰め材の単位重量γを入力する画面に「中詰め材の係数K」の入力を設けています。
中詰め材の係数Kは、画面上の表記,および「ヘルプ」ボタンより開く説明に記載しておりますように、部材計算(側壁水
平方向)の完成後における内水圧(または内部土圧)の算出に用います。
内水圧Pは下記式により算出します。
P=K・γ・z
ここに、
K:中詰め材の係数
γ:中詰め材の単位重量
z:内水位(頂版下面)
ケーソン内部には水を注入する場合、K=1.00としますが、内部に土を入れる場合、K=静止土圧係数を入力してください
ますようお願いいたします。
222
Q3-27
ケーソンが突出しているとき、算出した基礎バネを別売りの「震度算出(支承設計)」で用いたいとき、どのように入力した
らよいか
A3-27
本プログラムの基礎バネ(固有周期算定用地盤バネ定数)は、常に頂版天端中心における値を算出しています。
よって、突出している場合においても、本プログラムで算出された基礎バネ値をそのまま入力してください。
なお、ケーソン基礎の基礎バネは、道示Ⅴ6.2.3(P.55~),及び「道路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)社団法人
日本道路協会」(P.7-40)を参照し算出しております。
具体的には、ケーソン基礎を1本棒としてモデル化し、計算モデルの天端に単位水平力,単位モーメントをそれぞれ別々に
作用させ、
δoH,θoH:単位水平力を与えた時に生じる水平変位と回転角(m/kN,rad/kN)
δoM,θoM:単位モーメントを与えた時に生じる水平変位と回転角(m/kN,rad/kN)
を求め、求められた水平変位,回転角を次に示す道示Ⅴ(P.60)(解6.2.12)に代入して算出しております。
Ass= θoM/(δoH・θoM-δoM・θoH)
Asr=-δoM/(δoH・θoM-δoM・θoH)
Ars=-θoH/(δoH・θoM-δoM・θoH)
Arr= δoH/(δoH・θoM-δoM・θoH)
ここに、
Ass:水平方向バネ(kN/m)
Asr=Ars:水平と回転との連成バネ(kN/rad,kN.m/m)
Arr:回転バネ(kN.m/rad)
基礎が突出している場合、突出している範囲の地盤抵抗を無視して上記の計算を行っていることから、突出の影響を考慮
した基礎バネが算出されます。
なお、突出時の入力は、地表面より基礎が完全に突出している場合であれば現地盤面を下げて入力してください。
また、地表面は頂版天端より上方であるにもかかわらず、地盤抵抗のみを無視した状態としたいのであれば、この範囲の
「α・Eo(地震時)」を0として入力してくださいますようお願いいたします。
Q3-28
オープンケーソンの刃口の静水圧について、外水位と内水位に差があるときは、どのように入力したらよいか
A3-28
オープンケーソンの刃口の静水圧は、
・外水位:「地層」-「地層線」-「設計地盤面」画面の「水位(施工時)」
・内水位:「形状」-「部材寸法」-「その他」画面の「施工時内水位」
を用いております。
本画面において、水位差を考慮した標高を入力してください。
Q3-29
ケーソン基礎の安定計算モデルにおいて、断面の剛性は、頂版,側壁のどちらを用いているのか
A3-29
本プログラムでは、
「基本条件」-「基本条件,安定計算」画面の「安定計算,基礎バネの曲げ剛性を全部材一定とする」
の設定により、次のように部材の曲げ剛性を取り扱っています。
「一定とする」は、
「わかりやすいケーソン基礎の計画と設計(平成10年11月)総合土木研究所」(P.104)の記述、
「基礎本
体の剛性は、EIを一定とする。」を参照したものです。側壁部のM-φ関係より求めた曲げ剛性(=M/φ)を、頂版天端か
ら基礎底面までの全部材に対して適用します。
これに対し、
「頂版,側壁,底版部の部材で分ける」は、頂版と底版部(コンクリート充実断面),側壁部(中空断面)の曲
げ剛性を使い分けます。具体的には、側壁部はM-φ関係より求めた曲げ剛性を、頂版および底版部はコンクリートのヤ
ング係数に断面二次モーメントを乗じたEIを曲げ剛性としてモデル化します。
なお、
「耐震設計ソフトウェアに関する研究委員会報告書(平成11年4月)(財)土木研究所センター」では、頂版,側壁部等
のように剛性の異なる区間においては、剛性を変化させることが望ましいと記載されております。
また、頂版部,側壁部それぞれの曲げ剛性を用いる方が実モデルに近く、より現実に即した方法ではないかと考えられま
す。
以上を勘案し、設計者の方のご判断として選択しご検討ください。
223
第3章 Q&A
Q3-30
ケーソン基礎の出力において、
「計算結果・詳細出力」の地盤反力度の上限値の値が、
「設計条件」の出力値と異なるのは
なぜか
A3-30
本プログラムのケーソン基礎の安定計算は、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「ケーソン基礎」-「安定計算:常
時,暴風時,レベル1地震時」に記載しておりますように、頂版天端から基礎底面までを指定された計算ピッチで分割し、
それぞれの点を「格点」としてモデル化しています。
このモデルに対し、地盤抵抗は、格点ごとに設ける格点バネとして定義していますが、各格点は、同ヘルプの「(3)格点バ
ネ」に記載しておりますように、上部材の中点から下部材の中点までの範囲の地盤抵抗を負担するものとしています。ま
た、最上端の格点は、上部材がないことから、第1部材の中点までの範囲を負担します。最下端の格点についても同様に
最下部材の半分を負担しています。
ここで、計算書の安定計算の「計算結果・詳細出力」-「2)前背面地盤反力度」の水平方向の地盤反力度の上限値は、格
点ごとに、格点が負担する範囲の平均値を代表値として出力しています。
したがって、例えば最上端の格点は、第1部材の中点までの範囲の平均化した地盤反力度の上限値を出力していることに
なります。
また、第2格点は、第1部材の中点から第2格点までの地盤反力度の上限値と、第2格点から第2部材の中点までの地盤反
力度の上限値との平均値を出力しています。
よって、
「1章 設計条件」の出力値とは異なります。他の上限値についても同様です。
Q3-31
根入れの浅いケーソン基礎における、転倒に対する検討(偏心量)、鉛直地盤反力度の検討の算出式の出典は?
A3-31
根入れの浅いケーソン基礎の設計は、直接基礎としての照査を行いますが、道示Ⅳ10.1における転倒に対する検討(偏心
量の照査),鉛直地盤反力度の検討は、いずれも長方形の基礎を想定しており、道示の式を円形基礎に適用することはで
きません。
このため、本プログラムでは、道示の記述,および「わかりやすいケーソン基礎の計画と設計(平成10年11月)総合土木研
究所」を参考とし、次の考え方により照査しております。
■転倒に対する検討(偏心量の照査)
道示Ⅳ(P.266)の長方形に対する許容偏心量(常時=底面幅の1/6,レベル1地震時=底面幅の1/3)は、解説「地盤反力度
の分布が台形となるように荷重の合力の作用位置を規定した。・・・」等の記述より、
・常時:浮上りが生じ始めるときの偏心量
・レベル1地震時:底面の有効載荷幅が底面幅の1/2になるときの偏心量
と判断し、算式を設定しております。
■鉛直地盤反力度の検討
前述の「わかりやすいケーソン基礎の計画と設計」3.2.8(P.79~)の記述を参照しています。
224
Q3-32
「レベル2地震時基本条件」画面で下記メッセージが表示されるが、どのように対処したらよいか?
確認:[20902]
計算分割数が100を超えています。100回目の計算を終了した時点で降伏していない場合は計算を打ち切ります。よろ
しいですか
A3-32
鋼管矢板基礎Q&A Q2-11-4 をご覧ください。
Q3-33
ケーソン基礎の「安定計算結果一覧表」の底面に作用する鉛直力Vと「計算結果・詳細出力」の「1)変位および断面力」の
ケーソン底面の軸力が異なるのはなぜですか
A3-33
前者は、ケーソン底面の地盤に作用する鉛直で、後者は、ケーソン本体下面に作用する軸力(内部断面力)となります。前
者は、浮力の影響を受けますが、後者は浮力の影響を受けません。
Q3-34
ケーソン基礎の設計で、基礎底面地盤を軟岩としたときの底面鉛直支持力度の上限値qaの算出(出典)根拠を教えてくださ
い
A3-34
道路橋示方書Ⅳ(H24.3)(p.330)によると、
「岩盤の極限支持力は、亀裂・割れ目等により左右されるため、地盤定数の評
価には不確定な要素が多く、支持力推定式により極限支持力を推定することは困難である。この場合、深礎基礎と同様
に母岩の一軸圧縮強度を目安として最大地盤反力度を表-解15.4.1に示す上限値程度に抑えるのがよい。」とあります。
そのため、道路橋示方書Ⅳ(H24.3)(p.517)の表-解15.4.1に示す岩盤の最大地盤反力度の上限値による制限を受けている
ものであると考えられます。今回のケースでは軟岩となっておりますので、常時、地震時の最大地盤反力度は2000、3000
となります。
Q3-35
ケーソン基礎の設計で、基礎底面地盤を軟岩としたときの底面鉛直支持力度の上限値qaの算出(出典)根拠はなにか
A3-35
H24道路橋示方書Ⅳのp330によると、
「岩盤の極限支持力は、亀裂・割れ目等により左右されるため、地盤定数の評価に
は不確定な要素が多く、支持力推定式により極限支持力を推定することは困難である。この場合、深礎基礎と同様に母
岩の一軸圧縮強度を目安として最大地盤反力度を表-解15.4.1に示す上限値程度に抑えるのがよい。」とあります。
そのため、p.517の表-解15.4.1に示す岩盤の最大地盤反力度の上限値を参照しております。
Q3-36
橋脚連動用XMLファイルをケーソン基礎へ受け渡す時、柱に作用する断面力に浮力が考慮されているのか
A3-36
橋脚連動用XMLファイルで作用力をインポートする場合、浮力の計算についてはケース毎の水位高さが必要となります。
そのためケース毎の水位を橋脚の設計で設定した後に、基礎の設計計算で[作用力]-[脚柱下端作用力]の「水位高さ」が設
定された場合に浮力は計算されます。
Q3-37
側壁水平部材 照査位置の任意設定を行いたい(ハンチを考慮した断面照査)。別途、フレーム計算を作成せずに何か断
面力を見る方法はないか
A3-37
側壁水平方向の計算では、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「ケーソン基礎」-「部材計算:側壁水平方向」に記載
しておりますように、レベル2地震動により生じる側壁部の前面最大水平地盤反力度をFRAMEモデルに載荷し、
①剛域端
②直線部の一般部材で内側引張となる最大曲げモーメント点
③隅角部せん断照査点
④円弧部のMmax,Mmin,Nmax,Nmin
⑤円弧部のSmax,Smin,Nmin
における作用曲げモーメントが終局曲げモーメントを超えないこと、および作用せん断力がせん断耐力を超えないことを
照査しております。
上記の通り、照査断面は非常に多くなるため、本プログラムでは、全断面から曲げ耐力あるいはせん断耐力に対し最も厳
しい断面の結果のみを抽出して出力しています。
最も厳しい断面以外の結果は、内部計算を完了した段階で破棄しており、これらを確認することはできません。
ただし、抽出結果以外の断面力につきましては、
「部材計算」-「側壁水平方向」-「保耐法」-「FRAME結果」画面の
[詳細表示]によりご確認いただけます。
断面力を参照するだけであれば、本画面にて確認することが可能と考えられます。
また、本プログラムでは、上記画面の左下の[保存]ボタンより、FRAMEデータファイル(*.$O1)を保存することが可能と
なっています。
本ファイルは、弊社製品「FRAME(面内)」「FRAMEマネージャ」で読み込むことができるため、この場合であれば、設計
荷重等の計算条件を変更し、ご検討いただくことも可能です。
Q3-38
ケーソン基礎の照査時、頂版の許容応力度法照査で使用鉄筋量が必要鉄筋量を満たしているのにNGと判定されるのは
なぜか
A3-38
頂版の鉄筋照査では、必要鉄筋量の他にディープビームのAsreq (cm2)が使用鉄筋量に対して満たす条件であることが必
要となります。
Q3-39
[底版設計]で「杭位置を照査位置に加える」というスイッチがあるが、どのような意図により設置しているか
A3-39
ヘルプにおきまして、[基礎の設計計算]-[Q&A]-[杭基礎]-[24.底版照査]-[Q24-1]に詳細な説明がございますので、ご確認
いただきますようお願い申し上げます。
Q3-40
ケーソン基礎でディープビームの照査を無視する入力選択はあるか。既設の設計でディープビームの鉄筋量照査を満たし
ていない場合について、当時は問題なかったが現在は照査をするためにNGと判定されるため、それを取りやめたい
A3-40
ディープビームについては設定上配筋される場合、必ず照査するため計算書上から結果に関する記述を削除頂くようお願
い申し上げます。
Q3-41
[作用力]-[脚柱形状寸法]が何に使用されているか。また中心位置からずらすことはできるか
A3-41
脚柱浮力の計算に使用され、中心位置からは動かせません。作用力から逆算して擬似的におくことはできますが、浮力が
中心位置に脚柱があることが前提で計算していますので、その相違については保障しかねます。
Q3-42
止水壁の設定は出来るか
A3-42
申し訳ございませんが、本プログラムのケーソン基礎の設計では、止水壁の計算は行っておりません。よって、止水壁の入
力はございません。
おそれいりますが、別途ご検討くださいますようお願いいたします。
なお、止水壁およびパラペットに作用する静止土圧,静水圧を集計し、パラペット基部に作用する断面力に対する照査は
行っております。詳しくは、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「ケーソン基礎」-「部材計算:パラペット」をご参照く
ださいますようお願いいたします。
225
第3章 Q&A
Q3-43
ケーソン基礎の側壁水平部材照査について、照査位置はどのように決定しているのか
A3-43
側壁水平部材照査の照査位置については、前背面地盤反力が最大で発生する位置としております。ただし、地盤の範囲は
側壁天端から側壁端部までとしております。
Q3-44
VSD算出に用いるVsiは、N値から算出するVsiにはcvを乗じるが、実測値の場合にもcvを乗じるのか
A3-44
道示Ⅴ(H24.3)P.66の記述により、cvを乗じるものと解釈できます。
Q3-45
コンタクトグラウドをする場合としない場合で何が違ってくるか
A3-45
1.基礎前面の水平方向地盤反力係数kHの推定に用いるαk(道示(H24.3)Ⅳ P336)
有:1.5
無:1.0
2.最大周面摩擦力度の上限値(道示(H24.3)Ⅳ P341)
有:砂質土…200、粘性土…150
無:砂質土…50、粘性土…100
1については計算書の[予備計算]-[地盤反力係数]-[3.基礎前面の水平方向地盤反力係数]にて確認できます。
2については計算書の[予備計算]-[地盤反力度の上限値]-[2.最大周面摩擦力度]にて確認できます。
上記の値は初期値であり、これらは[基準値]-[ケーソン基礎]-[その他]で変更できます。
Q3-46
前面塑性率・底面浮き上がり率の許容値を変更したい
A3-46
[基準値]-[ケーソン基礎]-[安定計算]画面をご確認ください。
こちらの画面でレベル2地震時照査用の基礎の降伏判定の判定値を設定可能です。
道示Ⅳ11.8.2(P.366)を参照し、60%を初期値としております。
Q3-47
格点バネ値を算出する際は、基礎側面の水平方向せん断地盤反力係数KSHDと、基礎側面の鉛直方向せん断地盤反力係
数KSVDは、基礎側面の両側を考慮して、2つのバネをつけて(数値を2倍して)計算しているのか
A3-47
お考えの通りです。
計算モデルでは両側分として2倍のばね値を用いています。
なお上限値は、地盤反力度ですので計算値そのまま(2倍しない)の値を上限値として用いております。
Q3-48
側壁の水平方向断面の設計を行う際に前面地盤の最大水平地盤反力度を算出しているが、これはどのように算出している
のか
A3-48
[作用力]-[荷重ケースの設定]画面で指定されている「側壁水平方向部材計算用荷重ケース番号」の安定計算結果の「前背
面地盤反力度」の水平方向反力の最大値を抽出しています。
Q3-49
安定計算結果に示されている前面地盤反力度は
A3-49
前面地盤反力度=前面の水平方向地盤反力係数×基礎底面に対する相対変位
というように算出されているのか。
前面の水平方向地盤反力係数に変位前のケーソン図心に対する変位(計算開始時の変位を0とした時のケーソン本体の
変位)を乗じております。
なお計算書のばねは節点ばね(kN/m)であり、反力度はkN/m2単位ですので、反力度を算出する場合は、
(ばね値)×(変
位)=節点反力を、節点間隔とケーソン躯体幅で除する必要があります。
Q3-50
地盤反力度の出力を見ると単純に層境で算出していないようで、若干ズレた位置で算出されている。出力結果で層境とな
らない理由は?
A3-50
ケーソン基礎では、指定したピッチごとに格点を設け、ケーソン部材を小さな部材に再分割しています。
地盤ばねは、この格点に格点ばね(集中ばね)として設定します。
この時、分布ばねを集中ばねとする時の1つの集中ばねの集計範囲は、格点を挟んで上下の格点の中間までとなります
(分割ピッチが0.1mの場合、ある格点の集中ばねは、上方向に0.05m、下方向に0.05mのの分布ばねの合計値)。
この時、分割ピッチの間に地層境界がありますと、複数の地層の地盤ばねを集計する必要があります。このような場合に
は、その操作を回避するため、地層境界が中間点になるように格点を設けることで、分布ばねの集計を単一層のみとなる
ように調整しています。
本データの場合ですと、標高-2.200mから0.1mピッチで格点を設けますと、-5.100の次は-5.200となりますが、その間に標
高-5.120mの地層境界があります。
従いまして、標高-5.140に格点を設けることで、-5.120が格点の中間点となるようにしています。
226
1ー4 地中連続壁
1-5 直接基礎(基礎の設計計算)
1-5-1 設計方法
Q5-1ー1
斜面上の安定計算は、橋軸直角方向の段差フーチングにも適用できるか?
A5-1ー1
本製品の斜面上の基礎の設計は、設計要領第2集4-21以降に記載の考え方に従い設計するものです。本考え方は、基
本的に橋軸方向段差フーチングに伴う設計を考慮され提示された公式のため、軸直角方向に適用できるかについては、
斜面形状並びに躯体形状の合致などを考慮される必要があるかと存じます。
Q5-1ー2
動的解析による応答値を用いて直接基礎のレベル2地震時の計算を行う方法はあるか
A5-1ー2
直接基礎のレベル2地震時照査においては、作用力を直接指定することはできません。
道示Ⅳ10.6(P.289~),道示Ⅳ参考資料3(P.547~)に記載されておりますように、直接基礎においては、非線形応答を考慮
した直接基礎底面の地盤反力度が基礎に作用するものとして計算します。具体的には、基礎の浮上りによって生じるモー
メント~回転角関係の非線形性を考慮して地盤反力度分布を求める必要があります。
しかしながら、作用力を直接指定した場合、この直接基礎の非線形挙動をどのように考慮するべきか不明です。また、道
示Ⅳ10.6の式を用いて計算するとした場合であっても、道示Ⅴ12.4に規定する橋脚基礎に塑性化を考慮する場合の設計
水平震度が作用したときの基礎底面モーメント,地盤反力度の合力の作用位置までの距離、慣性力作用重心位置までの
高さ等を、どのように考慮すべきか不明です。
よって現行では、作用力を指定する機能は設けておりません。
なお、底版下面中心における作用力は、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「直接基礎」-「底版照査」-「レベル2
地震時照査」に記載している方法にて算出しています。
最終的なV,MLがご検討の作用力となるようWu,Wp,hu,hp等のデータを調整して入力していただく方法が考えられま
すが、直接基礎の底版レベル2地震時照査においては、水平方向せん断地盤反力度が計算に関係してきます。この水平せ
ん断地盤反力度は、慣性力によるモーメントを慣性力作用重心位置までの高さで除して求めた水平力を用いて算出しま
す。このため、同じML値となる場合でも、Wu,Wpを考慮した場合とWu,Wpを考慮せずにMdに置き換えた場合とでは、
計算結果が異なります。
よって、断面力が同一となるよう入力を調整した場合の計算結果を適用できるかどうか明確に判断することができませ
ん。
Q5-1ー3
2軸による安定計算に対応しているか?
A5-1ー3
本プログラムの直接基礎では、道示準拠時、道示Ⅳ10.3.1(P.276~)に準じた2方向偏心時の有効載荷面積(図-解10.3.5
の斜線部の面積)による極限支持力の算出,および鉛直支持力の照査を行うことが可能です。
本照査は、
「設計条件」-「検討項目」画面で「偏心方向=2方向」と設定することにより適用され、この場合、
V :鉛直力(kN)
Hx:X方向水平力(kN)
Hy:Y方向水平力(kN)
My:Y軸回りモーメント(kN・m)
Mx:X軸回りモーメント(kN・m)
のように、両方向の作用力を与え、両方向の作用力を考慮した計算を行います。
詳しくは、上記の道示をご参照ください。
Q5-1ー4
直接基礎のレベル2地震時底版照査で、柱基部の断面力は完全に一致させる必要があるか
A5-1ー4
FRAMEモデルは、作用力と地盤反力との力の釣合がとれていること を前提としておりますので、入力画面上に断面照査
時底版下面作用力と入力された柱基部断面力より算出した作用力を表示し、両者が一致するように、あるいは両者の差
が微小となるように入力していただくことを想定しています。
入力された柱基部断面力より算出した作用力と断面照査時底版下面作用力とが一致しないケースでは、作用力と反力と
が釣り合わない状態となり、便宜上設けている支点に反力が生じ、断面力が正しく算出されません。
227
第3章 Q&A
Q5-1ー5
直接基礎設計時の平均せん断応力度τcは具体的に何に用いているか
A5-1ー5
直接基礎の設計時、τcにつきましては底版レベル2地震時照査を行う場合のコンクリートの負担するせん断耐力Scを算
出する際に用いられます。
せん断耐力Scにつきましては、道路橋示方書下部構造編p175-176において算出式が提示されております。
計算書上では[底版レベル2地震時照査]-[せん断に対する照査]において、せん断耐力の出力表上で確認することができま
す。
また、フーチングのせん断スパン比の影響を考慮しますので、道示Ⅳp245(3)に有りますように低減係数Cdcを乗じます。
Q5-1ー6
直接基礎のフーチング断面力の算定で地盤反力度のTYPE1~4に該当するq1,q2はどのように算定されているのか
A5-1ー6
道路橋示方書下部構造編p314において、基礎底面における地盤反力度の算定式が記載されております。q1, q2について
は両端の地盤反力度を各照査位置毎について着目した値を出力するものとしております。
Q5-1ー7
直接基礎の安定計算における地盤反力度と底版設計での地盤反力度が一致しない場合があるのはどのような原因が考え
られるか
A5-1ー7
道路橋示方書下部構造編Ⅳp317 10.6 「フーチングの設計」におきまして、
「フーチングは、常時,暴風時,レベル1地震時及びレベル2地震時の各荷重が作用したときの自重,上載荷重,土圧,地
盤反力度等から決まる断面力に対して、8.7の規定により設計しなければならない。」
と記載されており、フーチング前面抵抗に対する記載はありませんので、本プログラムの直接基礎底版照査(許容応力度
法,レベル2地震時)には、フーチング前面抵抗は考慮しておりません。
それにより前面抵抗の影響の有無によって安定計算時と底版照査時の値に差が出ることが考えられます。
Q5-1ー8
フーチングの前面抵抗を考慮する場合の、直接基礎の計算で安定計算とフーチングの照査で用いられている地盤波力度
の値が異なるような場合があるのはなぜか
A5-1ー8
道路橋示方書下部構造編Ⅳp317 10.6 「フーチングの設計」におきまして、
「フーチングは、常時,暴風時,レベル1地震時及びレベル2地震時の各荷重が作用したときの自重,上載荷重,土圧,地
盤反力度等から決まる断面力に対して、8.7の規定により設計しなければならない。」
と記載されており、フーチング前面抵抗に対する記載はありませんので、本プログラムの直接基礎底版照査(許容応力度
法,レベル2地震時)には、フーチング前面抵抗は考慮しておりません。
Q5-1ー9
斜面上の直接基礎で、斜面角が60°以上のものを設計したい
A5-1ー9
申し訳ありませんが、現行のプログラムでは対応できません。
斜面上の直接基礎の適用基準として用いている「設計要領第二集橋梁建設編」において、支持力を算出する際のグラフが
β=60°までしか記載が無いため、入力の制限を60°までとしております。
(上記の該当ページは平成26年7月版の設計要領ですと、4-26ページです。)
道路橋示方書などにも記載が無く、他に斜面上の基礎について参考と出来る文献がございません。
入力を工夫して計算するということも出来ませんので、申し訳ありませんがご要望にお答えすることができません。
御了承ください。
228
1-5-2 入力方法
Q5-2ー1
斜面上の直接基礎照査時、設計条件-形状タブの『前面余裕幅b』には何を入力したらよいか
A5-2ー1
前面余裕幅bは、斜面開始位置からのフーチング前面までの距離となります。
詳しくは、設計要領第二集(H18.4)の図4-3-13(P.4-24),図4-3-14(P.4-25)をご参照ください。
Q5-2ー2
支持地盤に浮力の影響を考慮しないとき、支持地盤の単位重量γ1はどのように入力したらよいか
A5-2ー2
本プログラムの支持地盤の単位重量γ1は、浮力の影響まで考慮した最終的な値を「作用力」-「作用力」画面にて直接
入力していただくようにしています。
浮力の影響を無視したγ1を用いた計算を行いたい場合、上記画面でγ1=γと入力してください。
なお、本画面上の[γ1、γ2算出]ボタン押下した場合、
・水位≧0.000(m)のとき浮力を考慮(γ1=γ-γw)
・水位<0.000(m)のとき浮力を無視(γ1=γ)
をセットしています。
Q5-2ー3
斜面上の基礎(設計要領)において、段差なし形状の極限支持力を計算したい
A5-2ー3
「設計条件」-「形状」画面において、フーチング段差高h=0.00(m)、フーチング幅B=フーチング底面幅aと入力してくださ
い。
Q5-2ー4
直接基礎において、橋台を想定した片側載荷の土圧設定は可能か
A5-2ー4
[レベル2地震時基本条件]-[基本条件(共通)]で[底版任意荷重]を「設定する」として指定位置に対する載荷重を設定し、慣
性力に合せて[レベル2地震時基本条件]-[基本条件(直接基礎)]で土砂、モーメントの設定を行う方法がございます。
Q5-2ー5
「基礎の設計計算」単独使用時でも剛体照査を行うことは可能か
A5-2ー5
「基礎の設計計算」単独使用時にも剛体照査を行うことはできます。
杭基礎: 「計算条件」→「基本条件」で「底版照査(許容応力度法照査)=する」の設定とする
直接基礎: 「設計条件」→「検討項目」で「許容応力度法照査=する」の設定とする
Q5-2ー6
[直接基礎]-[設計条件]-[検討項目]-[支持力係数の寸法効果]を「考慮しない」とした場合、[土質]の「地盤の内部摩擦角
φ」の上限値が40°までとなった理由について知りたい
A5-2ー6
道示Ⅳ(H24 p303)の寸法効果を考慮した支持力係数を求めるグラフについて、45°までの傾斜について考慮されている
ものの、道示Ⅳ(H8 255)では寸法効果を考慮せずに内部摩擦角の上限が40°までであるためとなります。
Q5-2ー7
滑動安全率を変更できるか
A5-2ー7
[基準値]-[直接基礎]画面で変更できます。
229
第3章 Q&A
1-6 液状化の判定(基礎の設計計算)
1-6-1 設計方法
Q6-1ー1
液状化判定において、各地層のR、FLの値はどのように算出しているか?
A6-1ー1
地層ごとの「液状化に対する抵抗率FL」は、層内のN値測定点データから算出したFLの平均値としております。
また、
「動的せん断強度比R」は、
「設計条件」画面で選択された『動的せん断強度比Rの取扱い(最小値/平均値)』ス
イッチより算出方法が異なります。
・最小値:層内のN値測定点データから算出したRの最小値
・平均値:層内のN値測定点データから算出したRの平均値(※平均値はFLと同じ方法となります。)
平均FLの算出方法につきましては、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「液状化の判定」-「土質定数の低減係数」-
「層ごと」に記載しておりますので、ご参照くださいますようお願いいたします。
Q6-1ー2
層ごとの液状化の判定において、層内に複数の測定点が存在する場合、どのように判定しているのか?
A6-1ー2
本プログラムの液状化の判定は、N値測定点に対して行っております。
層ごとの液状化の判定は、層としてのFL値(液状化に対する抵抗率)が1.0以下であるか否かではなく、層内に液状化する
と判定されるN値測定点が存在しているか否かにより判断しています。
よって、層ごとの液状化の判定結果は、当該層に液状化すると判定される測定点が存在するか否かを示す目安として出力し
ていることになります。
なお、層ごとのFL値は、層内の全測定点のFL値の平均としており、これは土質定数の低減係数の算定にのみ用いていま
す。
この平均FLを用いて層としての液状化の判定を行った場合、特に層厚が大きい場合において、液状化する測定点が存在
するにもかかわらず、液状化しないと判定されるケースが生じるため、現行では、層ごとの平均FLを用いた液状化の判定は
行っておりません。
Q6-1ー3
液状化の判定を行うか否かのスイッチ(SW)を0(=判定しない)としているが、ごく軟弱な土層に対しては低減係数が0と
なる。これはなぜか?
A6-1ー3
本プログラムでは、道示Ⅴ8.2.1(P.120)の記述、
「8.2.2の規定により耐震設計上ごく軟弱な土層と判定された土層,又は,8.2.3の規定により橋に影響を与える液状化
が生じると判定された砂質土層については、8.2.4の規定により耐震設計上土質定数を低減させるものとする。」
に準じ、
1)ごく軟弱な土層と判定された土層
2)液状化が生じると判定された土層
に対し、土質定数の低減係数を設定しています。
前述のスイッチ(SW)は、上記2)の液状化の判定に対する設定であるため、1)のごく軟弱な土層と判定される場合、SW
の設定にかかわらず、土質定数の低減係数を零としています。
230
Q6-1ー4
液状化の判定における 塑性指数Ip,10%粒径D50,D10 は何に影響するのか?
A6-1ー4
塑性指数Ip,10%粒径D10は、いずれも、液状化の判定を行う必要のある砂質土層であるか否かの判定に用いていま
す。
具体的には、道示Ⅴ耐震設計編8.2.3(P.121~)(1)に記述されているD10,Ipを示しており、
■塑性指数Ip
「2)細粒分含有率FCが35%以下の土層,又は,FCが35%を超えても塑性指数Ipが15以下の土層」
■10%粒径D10
「3)平均粒径D50が10mm以下で,かつ,10%粒径D10が1mm以下である土層」
として判定しています。
したがって、D10,Ipをいずれも0.000と設定した場合、液状化の判定を行う必要のある砂質土層にもかかわらず判定が
行われないケース、逆に、液状化の判定を行う必要がないにもかかわらず判定が行われるケースが生じる可能性があると
考えられます。D10,Ipが正しく設定されているかご確認ください。
Q6-1ー5
層ごとの液状化の判定および土質定数の低減係数DEはどのように算出しているのか
A6-1ー5
層ごとの液状化の判定は、層内に液状化すると判定されるN値測定点が存在しているか否かにより判断しており、層内に
1点でも液状化する測定点が存在するとき、当該層は液状化すると判定されます。層としてのFL値(液状化に対する抵抗
率)により判断しているわけではありませんので、FL>1.0であっても、液状化が生じると判定されるケースが生じます。
また、層としての土質定数の低減係数DEは、
・層内の全測定点の平均FL値
・層内の全測定点の平均R値あるいは最小となるR値のいずれか
を用いて道示Ⅴ表-8.2.1より算出しています。
動的せん断強度比Rは、
「設計条件」画面での指定により、平均値か最小値を選択していただくようにしています。
なお、平均FL値は、各測定点が負担する範囲を考慮し、次のように求めています。
(平均R値の求め方も同様です)。
FL = Σ(FLi・Li)/ΣLi
ここに、
FL:液状化に対する抵抗率の平均値
FLi:各測定点の液状化に対する抵抗率
Li :各測定点が負担する層厚(m) Q6-1ー6
液状化について平均FLを使用した結果が手計算結果と異なることがあるのはどんな原因が考えられるか
A6-1ー6
水位よりも上の地層については液状化の判定を行う必要はありませんが、加重平均FL算出の際に水位より上の地層を考
慮しないというわけではございません。
そのため、水位以上の地層データを含めて加重平均FLを算出することで結果が一致することが考えられます。
Q6-1ー7
液状化判定で、シルト層がレベル2地震時タイプⅠ地震動の方が、タイプⅡ地震動よりDEの値が小さくなっている。このよ
うな現象はあり得るのか
A6-1ー7
タイプI地震動とタイプⅡ地震時では、用いる設計水平震度やCwの適用式に違いがあります。
必ずしもタイプⅠのDE<タイプⅡのDEになるとは限りません。
道路橋示方書Ⅴ(H24.3)「8.2.3橋に影響を与える液状化の判定」(p.134~)をご参考ください。
Q6-1ー8
液状化判定:一点でも液状化する場合はその層は液状化するという判定を行う根拠はどこに記載されているか
A6-1ー8
道路橋示方書Ⅳ(H24.3) p.140 8行目~12行目に記述されています。
『ただし、液状化の判定は、一般に、層厚が1m程度以上の連続した土層を対象に行えばよい。したがって、層厚が1m程
度以上の連続した土層においては、標準貫入試験が実施された各深度においてFLを算出し、FLが1.0を下回る箇所がそ
の土層に含まれる場合には、その土層を橋に影響を与える液状化が生じる土層と判定することになる。』
1-6 液状化の判定(基礎の設計・3D配筋)
1-6-2 入力方法
Q6-2ー1
「河川構造物の耐震性能照査指針・解説-Ⅱ.堤防編(平成28年3月)」および「土木研究所資料 河川堤防の液状化対策
の手引き(平成28年3月)」に記載されている液状化の判定に対応ししているか。
A6-2ー1
河川構造物の耐震性能照査指針・解説-Ⅱ.堤防編(平成28年3月)」および「土木研究所資料 河川堤防の液状化対策の
手引き(平成28年3月)」に記載の液状化の判定については、H24道示Ⅴと異なる部分があり、本プログラムでは対応して
おりません。
上記基準とH24道示Ⅴの液状化の判定では、Na(粒度の影響を考慮した補正N値)及びNa<14の場合のRL(繰り返し三
軸強度比)の算出式が異なります。
「基礎の設計・3D配筋」では、
「設計条件」画面において「礫質土の粒度の影響を考慮した補正N値」を「設定する」にす
ると、
「検討位置-N値測定点」画面において、礫質土のNaを直接指定することが可能です。
また、
「設計条件」画面の「動的せん断強度比R、繰返し三軸強度比RLの取り扱い」を「RLを入力する」とすることで、N
値測定点の入力画面でRLを直接指定することが可能です。
RLを入力する場合は、礫質土のNaの入力は不要となります。
1-6-2 入力方法
Q6-2ー1
切土と盛土の入力が逆ではないか
A6-2ー1
切土の場合も盛土の場合も、完成時地表面から地層データを設定します。
そのため、完成時切土の場合は切り取った部分の上載土圧が、盛土の場合は盛土高(盛土の層データは入力されている
ため盛土高が分かれば盛土分の上載土圧は算定できます)が必要となります。
※Q&Aはホームページ(http://www.forum8.co.jp/faq/win/kisowinqa.htm)にも掲載しております。
231
第3章 Q&A
◆ 杭基礎の設計Q&A
2-0 全般
Q0-1
基礎バネはどの位置で算出されるのか
A0-1
基礎バネ(固有周期の算定に用いる地盤バネ定数)は、基礎天端中心位置における値を算出しています。これは、設計地
盤面が基礎天端以深となる場合、あるいは基礎が地表面から突出する場合であっても同様です。
Q0-2
「橋脚の設計」でフーチング無しモデルとして計算したデータファイルがあるが、これを鋼管矢板基礎やケーソン基礎等の
設計データとして取り込みたい。この手順を教えてほしい
A0-2
「橋脚の設計」では、基礎設計に必要なデータをXML形式でファイル保存する機能を設けおり、このデータファイルを
「基礎の設計計算」で読込むことにより、UC-1連動に対応していない鋼管矢板基礎,ケーソン基礎,地中連続壁基礎,
あるいは直接基礎においても、柱形状,作用力,設計水平震度等の基礎設計に必要なデータを取り込むことが可能です。
下記の手順でXMLファイルを保存後、
「基礎の設計計算」で読み込みを行ってください。
1.「橋脚の設計」側で計算確認を実行します。
2.「橋脚の設計」側の「ファイル|XMLファイル」で「エクスポート」を選択し、名前を付けて保存します。
3.「基礎の設計計算」を単独で起動し、
「地層」、
「基本条件」、
「形状」、
「予備計算」までを設定します(既に設定済み
の場合は次のの手順へお進みください)。
4.「基礎の設計計算」側の「ファイル|橋脚連動用XMLファイル」で「インポート」を選択し、上記2.で保存したファイルを
読み込みます。
詳しくは、ヘルプの「操作方法」-「UC-1連動」-「橋脚連動用XMLファイル」をご参照ください。
Q0ー3
杭基礎や鋼管矢板基礎,ケーソン基礎の「地層」画面で液状化の判定を行うとき、平均N値ではなく測定点ごとのN値を
用いて計算したい
A0-3
杭基礎や鋼管矢板基礎,ケーソン基礎の設計における「地層」画面の液状化の判定は、液状化が生じるか否かではなく、
土質定数の低減係数DEを求めることが主目的となると考えられます。
現行では、
「地層」画面では、常に層ごとの平均N値を用いて液状化の判定を行っており、測定点ごとのN値を指定し計算
することはできませんが、
「地層」画面上の[読込]ボタンにより、基礎選択=液状化の判定として作成した基礎データを
読み込むことが可能です。
この場合、各層の土質データと合わせ、計算された土質定数の低減係数DEが読み込まれます。
したがって、基礎選択=液状化の判定として測定点ごとのN値による低減係数の計算を行い、このファイルを読込むこと
により、本ケースに対処できるのではないかと考えられます。
Q0ー4
「FRAME(面内)」
「FRAMEマネージャ」で読み込むことのできるファイルを作成できるか
A0-4
■杭基礎,直接基礎
杭基礎,直接基礎では、連続フーチングの橋軸直角方向の照査をFRAME解析により行っています。FRAME解析モデル
は、
「計算・結果確認」-「底版照査」-「X方向」-「FRAME結果」の[詳細表示]ボタンより開く画面にて詳細を確認
することが可能で、本画面左下の[保存]ボタンにおいて、 FRAMEデータファイル(*.$O1)を保存することができます。
■ケーソン基礎,地中連続壁基礎
ケーソン基礎,地中連続壁基礎では、側壁水平方向の部材照査をFRAME解析により行っています。
「部材計算」-「側
壁水平方向」-「保耐法」-「FRAME結果」画面の[詳細表示]ボタンより開く画面において、左下の[保存]ボタンより
FRAMEデータファイル(*.$O1)を保存してください。
232
Q0ー5
入力する鉄筋のかぶりは、杭外周から鉄筋中心までの距離か、それとも鉄筋外面までの距離か
A0-5
本プログラムでは、基礎形式によらず、いずれも純かぶりではなく芯かぶりとして入力していただくようにしています。
よって、鉄筋中心までの距離を入力してください。
Q0ー6
橋脚基礎に主たる塑性化を考慮することが可能な条件の場合、基礎が降伏に達しても、応答塑性率の照査がOKであれ
ば、最終的にはOKと判断されるのか
A0-6
道示Ⅴ12.1(P.210~)に記述されていますように、応答塑性率の照査を行うことが可能な条件の場合、基礎が降伏に達し
ても、応答塑性率が許容塑性率以下,変位が許容変位以下,部材に生じる断面力が耐力以下であれば、照査結果はOKと
判定されます。
ここで、橋脚基礎に主たる塑性化を考慮することが可能な条件とは、道示Ⅳ12.10.3(P.405)の記述、
「橋脚が十分大きな
終局水平耐力を有している場合や液状化が生じる場合には、基礎に塑性化が生じることを考慮して設計してよい。」よ
り、
①橋脚が十分大きな終局水平耐力を有している
②液状化が生じる場合
のいずれかとなります。
なお、液状化の影響を考慮する場合にレベル2地震時照査を行う橋台基礎においては、基礎が降伏に達した場合、常に応
答塑性率の照査を行い、応答塑性率の照査,変位照査,部材照査を行っています。
2-1 杭基礎
2-1-1 適用範囲、準拠基準等
Q1ー1-1
X方向を橋軸方向,Y方向を橋軸直角方向としたい
A1-1ー1
[基準値]-[設計条件]-[荷重ケース]で方向名称を変更してください。
旧製品との相違は、ヘルプ[概要]-[プログラムの機能概要]-[旧製品との相違]を参照してください。
Q1ー1-2
側方移動の入力方法は?
A1-1ー2
本プログラムの軟弱地盤における側方移動の影響を考慮した杭基礎の設計は、
「設計要領第二集 4章基礎構造 NEXCO
(平成18年4月)」4-1-8(P.4-38~)を参照し、常時,暴風時,レベル1地震時のみを対象として作成しております。
お考えの照査が、上記文献の計算に該当するのでしたら、下記をご参照ください。
本プログラムにおいて、側方移動の計算を行う場合、
1)
「計算条件」-「基本条件」画面の『橋台特殊条件=側方移動』を選択する。
2)
「地層」-「地層線」-「設計地盤面」画面の『側方流動圧載荷下面』を入力する。
3)
「杭配置」-「側方流動圧」画面で、側方流動圧による最大荷重強度を入力する。
の手順にて計算に必要なデータを設定します。
また、
「橋台の設計」との連動時であれば、上記1)は、橋台側の「初期入力」画面にて『基礎形式=杭基礎(側方移動)』を
選択する必要があります。これにより、基礎側の「橋台特殊条件」が『側方移動』へと切り替わります。
側方移動に関する詳細は、入力画面上の[ヘルプ],および「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「橋台特殊設計
(側方移動/盛りこぼし橋台)」をご参照下さい。
また、サンプルデータの「Kui_17.F8F」が側方流動のデータとなりますので、あわせてご参照ください。
Q1ー1ー3
フーチング無しモデルの入力方法は?
A1-1ー3
本プログラムの杭基礎の安定計算は、基礎天端(杭頭)から杭先端までをモデル化して照査しており、底版形状は計算に
影響を与えません。
底版形状は、
・常時,レベル1地震時の作用力自動計算,
・底版照査(許容応力度法,レベル2地震時)
・「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(杭基礎)」画面の『作用力計算』ボタンによる底版下面中心における鉛直力
の算出
の照査に用いており、これらの照査または計算を行わない場合、入力の必要はありません。
以上より、底版なしの照査を行う場合は、
「計算条件」-「基本条件」画面で、
・作用力(常時,レベル1地震時)=入力
・底版許容応力度法の照査=しない
・底版レベル2地震時照査=しない
と設定し、
「作用力」-「作用力」画面で基礎天端の常時,レベル1地震時の作用力を入力してください。
また、レベル2地震時照査(安定計算)を行う場合、
「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(杭基礎)」画面の『WF』,
『hF』,
『Ws』,
『WFʼ』を0.000と入力してください。
233
第3章 Q&A
Q1ー1ー4
増し杭なしでフーチングのみの補強計算を行いたい
A1-1ー4
杭基礎でフーチング補強を行う場合、本プログラムでは、拡幅されたフーチング内に杭が存在するものとして照査してお
り、存在しない場合、照査することはできません。
杭基礎のフーチング補強は、
「既設道路橋基礎の補強に関する参考資料(H.12.2)社団法人日本道路協会」を参照し作成し
ております。
本文献には、既設杭の周囲に新たな杭を増設して補強する方法として、増し杭工法の設計法が記述されており、本プログ
ラムは本方法を採用しております。
既設杭と新設杭が一体として荷重に抵抗するとした計算方法としていることから、フーチングのみの補強は想定しており
ません。ご了承ください。
ただし、
「橋脚の設計」との連動時は、拡幅によるフーチング補強ではなく、上面増厚のみの補強の場合であれば、検討
可能です。
この場合、橋脚側の「補強」-「工法、材料」-「フーチング」画面において、
「橋軸方向」,
「橋軸直角方向」を0.000(m)と
して「上面」のみ入力してください。
Q1ー1ー5
単杭の検討は可能か
A1-1ー5
本プログラムは単杭の検討に対応しており、
「杭配置」-「寸法」画面で NX=1,NY=1 と入力することにより、常時,暴
風時及びレベル1地震時だけでなく、レベル2地震時の検討まで行うことが可能です。
ただし、単杭の場合、下記に注意する必要があります。
まず、単杭の場合、ヘルプの「Q&A」-「2.解析方法、設計の基本的な考え方」-「Q2-6」,
「Q2-7」に記載しておりますよう
に、杭頭ヒンジ結合の計算(フーチングと杭がヒンジ結合されていると仮定した場合の計算)のとき、フーチングが回転し
不安定構造になることから解を求めることができません。
したがって、杭頭ヒンジの安定計算を行うことができず、杭頭ヒンジとした場合の杭体断面力算出,杭体応力度照査を行
うことができません。
詳しくは、前述のヘルプをご参照ください。
また、道示Ⅳ12.10.4(P.408~)において、レベル2地震時照査に用いる群杭効果を考慮した砂質地盤に対する水平地盤反
力度の上限値の補正係数の記載がありますが、単杭のとき、この杭中心間隔/杭径をどのように設定すべきか明確ではあ
りません。
杭中心間隔/杭径は「地盤データ」画面の「杭間隔÷杭径」により入力します。画面上の[計算]ボタン押下時、ηp・αp
の上限値であるαp(=3)を初期設定しておりますが、最終的には設計者の方のご判断として入力してください。
以上に注意することにより、単杭の検討が可能です。
Q1ー1ー6
パイルベント橋脚の設計は可能か
A1-1ー6
本プログラムは、道路橋示方書に準じた計算を行っています。
しかしながら、道示の規定は、はり,柱およびフーチングから構成される構造形式を想定しており、パイルベント橋脚のよ
うな特殊な構造は想定しておりません。
したがって、本プログラムにおいても、基本的にはサポート外となります。現行のプログラムを用いてパイルベント橋脚の
設計を行う場合、通常とは異なる入力により対処する必要があることから、最終的には設計者の方のご判断としてご検討
いただくことになることをご了承ください。
まず、パイルベント橋脚は、杭を結合する横ばり(枕梁)をフーチングと仮定し、突出した杭としてモデル化することになる
と考えられます。
ただし、道示では、フーチングを剛体と仮定しています。フーチングは十分な剛性を有し、荷重が作用してもほとんどたわ
まないと考えていることから、剛体として取り扱えるか否かが重要となります。
仮に、剛体と仮定することができない場合、別途、汎用骨組み解析プログラムにおいて、弾性体フーチングとしたモデルを
作成し計算していただく必要があります。
また、レベル2地震動に対する基礎の照査は、道示Ⅴ12.1(P.213)のように、橋脚躯体および上部構造に対して橋脚の終局
水平耐力に相当する設計水平震度khpを作用させます。
しかしながら、柱を有しないパイルベント橋脚の場合、この慣性力を求めることはできず、現行の道示の考え方を適用す
ることはできません。
したがって、上部構造の慣性力は、橋脚の終局水平耐力に相当する設計水平震度khpではなく、道示に規定されるレベル
2地震動の設計水平震度をそのまま作用させることになるのではないかと考えられます。
ここで、道示に規定される設計水平震度は、道示Ⅴ6.4.3(P.89~)に記載されておりますように、
khc = Cs・Cz・khco
ここに、khc:レベル2地震動の設計水平震度
Cs:6.4.4に規定する構造物特性補正係数
Cz:4.4に規定する地域別補正係数
khco:レベル2地震動の設計水平震度の標準値 となります。
234
ただし、構造物特性補正係数Csは下部構造のエネルギー吸収による地震力の低減を見込んだものであり、基礎の照査に
おいては不要であることから、基礎の設計に用いる設計水平震度はCz・khcoとなります
よって、地域別補正係数Czにレベル2地震動の設計水平震度の標準値khcoを乗じたCz・khcoを入力してください。また、
khp=Cz・khco,Wp=0.00としてください。
また、横ばり部に関しても、同様にCz・khcoを考慮するのであれば、khg=Cz・khcoとしてください。
計算書の「レベル2地震時の照査」-「液状化無視/考慮・地震動タイプⅠ/Ⅱ・浮力無視/考慮」の出力において、最終
的に基礎に作用する設計荷重を確認することができます。想定される荷重が適切に載荷されているか、ご確認ください。
突出部の杭体の慣性力については、レベル1地震時は「作用力」-「杭突出部の水平荷重」を「あり」としてください。ま
た、同画面の「杭突出部水平荷重」タブの「慣性力の計算」をチェックし、設計水平震度や[水平荷重]ボタンより開く画
面にて慣性力の有無,向きを指定して下さい。
レベル2地震時においては、地表面(あるいは耐震設計上の地盤面)より上方の杭体の慣性力は、プログラム内部にて自
動的に考慮しています。よって、杭体の慣性力については、任意荷重等により別途指定する必要はありません。
以上、通常の橋脚基礎との相違点を簡単に記述しましたが、前述のとおり、パイルベント橋脚はサポート外となりますの
で、あくまで設計者のご判断としてご検討ください。
Q1ー1ー7
場所打ち杭の主鉄筋にSD390,SD490を使ったときの許容塑性率は、変更することが可能ですか?
A1-1ー7
基礎の許容塑性率は、
「基準値」-「杭基礎」-「その他」-「レベル2地震時照査の制限値」で変更することができます。大
変恐れ入りますが、上記にて対処していただきますようよろしくお願いいたします。
■道示Ⅴ P248~
・橋脚基礎(場所打ち杭)の主鉄筋にSD390やSD490を用いた場合、許容塑性率=2
■道示Ⅴ P258~
・橋台基礎(場所打ち杭)の主鉄筋にSD390やSD490を用いた場合、許容塑性率=1(塑性化を許容しないのがよい)
Q1ー1ー8
基準値のコンクリートの許容応力度のうち、平均せん断応力度τcについての出典はどこか
A1-1ー8
平均せん断応力度は以下より参照しております。
道示(H.24.3)IV 下部構造編 P.176
表-5.2.1 コンクリートが負担できる平均せん断応力度τc
ただし、上記の表にはσck=18、τc=0.32の場合が記載されておりません。
σck=18については、杭基礎設計便覧(H19.1)P.198の表よりσckが18のときのτa1の値を0.21とし、1.5を乗じた値として
求めております。
Q1ー1ー9
斜め橋台基礎における安定性の照査に対応しているか?
A1-1ー9
申し訳ございませんが、本プログラムでは、斜め橋台基礎における安定性の照査には対応しておりません。
また、基礎が回転している状態の照査を行うこともできません。ご了承ください。
Q1ー1ー10
内面リブ付き鋼管巻き場所打ち杭です
A1-1ー10
杭配置-杭データで適用ボタンを押すと、RC部外径自動で変わりますが数字のデフォルトの出典について教えてほしいで
す。
(例 鋼管杭外径1.6mでは適用ボタンを押すとRC部外径2.0mになります。
内面リブ付鋼管巻き場所打ち杭(JFETB杭)は、JFETB杭推進団体様からのご依頼により追加された杭種です。
お問合せ内容の杭径は、標準的な値として初期設定するように指定されたものです。
本杭の計算は、
「建設技術審査証明報告書 内面リブ付鋼管巻き場所打ち杭「JFETB杭」」に準拠したものですが、本指
針には、お問合せされている杭径については記述はありません。
[杭配置][杭データ]画面のヘルプの中ほどにあります「・内面リブ付鋼管巻き場所打ち杭のとき」の項目にあるリンク(内
面リブ付鋼管巻き場所打ち杭)先の「(杭基礎)内面リブ付鋼管巻き場所打ち杭の入力方法」に値を記載しております。
詳細につきましては製品ヘルプのQ&A「Q1-14」に記載されております連絡先「JFEスチール株式会社 建材セン
ター 建材営業部」にお問合せください。
235
第3章 Q&A
2-1-2 解析方法、設計の基本的な考え方
Q1ー2ー1
基礎が降伏しても応答塑性率・変位でOKならば 総合判定でOKとならないのか?
A1-2ー1
杭基礎設計便覧(H19.1)に準拠しない場合は、応答塑性率の照査,変位の照査がOKならば総合判定OKとなりますが、杭
基礎設計便覧(H19.1)準拠の場合、図-Ⅲ.6.8(P.304)の照査手順に記載されておりますように、下記の「仮想鉄筋コンク
リート断面の照査」も行う必要があります。
■基礎に主たる塑性化を考慮する場合
杭体の降伏曲げモーメント ≦ 仮想RC断面の降伏曲げモーメント
■基礎に主たる塑性化を考慮しない場合
杭頭発生曲げモーメント ≦ 仮想RC断面の降伏曲げモーメント
よって、
「仮想鉄筋コンクリート断面の照査」でOUTの場合、総合判定はOUTとなります。
Q1ー2ー2
突出杭のとき、水平荷重等は考慮しているか?
A1-2ー2
杭基礎では、次のように杭体慣性力を考慮しております。
■レベル1地震時
「作用力」-「基本条件」画面で『杭突出部の水平荷重=あり』を指定し、
「作用力」-「杭突出部水平荷重」画面で必要
なデータを入力した場合のみ、
「地層」画面の『設計地盤面(地震時)』より上方の杭体慣性力を考慮した計算が行われ
ます。
■レベル2地震時
「杭本体」-「その他」画面にて入力された『杭体単位長さ重量』を用いて、常に杭体慣性力を考慮した計算が行われま
す。したがって、杭体慣性力の有無の指定はありません。
Q1ー2ー3
動的解析時、どのバネ値を用いたらよいか?
A1-2ー3
道示Ⅴ 7.3.2(P.114)に、
「基礎の変形の影響は、一般に基礎の抵抗を表すバネにより線形でモデル化してよい。ここで、基
礎の抵抗を表すバネ定数は、式 (解6.2.1)及び式(解6.2.2)による地盤反力係数の基準値を用いて式(解6.2.12)により算出
してよい。」とあります。
計算書の「安定計算」-「杭基礎の剛性行列」は、常時,レベル1地震時の地盤の変形係数α・Eoを用いて算出した地盤
バネ値となります。
これに対し、計算書の「基礎バネ計算」-「固有周期算定用地盤バネ定数」に出力している地盤バネは、動的変形係数
EDを用いて計算したバネ値となります。
前述のとおり、動的解析には、式(解6.2.12)のとおり、動的変形係数EDを用いて計算した地盤バネ値を適用すべきと思わ
れます。
本件につきましては、
「基礎バネ計算」の出力をご参照くださいますようお願いいたします。
Q1ー2ー4
杭基礎設計便覧準拠時の水平変位の制限を緩和した杭基礎の設計において、最小変位には何を入力すればよいか?
A1-2ー4
水平変位の制限緩和時の最小変位(以下yminとします)は、杭基礎設計便覧に規定された変位量ではなく、同様にひず
み依存性を考慮した水平方向地盤反力係数の補正を行う鋼管矢板基礎の規定(道示Ⅳ(解13.5.2)(P.445))の
y:・・・ただし、10mm以下の場合には10mmとする。
を参照し設けているもので、
kHʼ = kH・(yʼ/y)^-1/2 ・・・ (Ⅲ.4.4)
のyʼの下限を定義し、水平方向地盤反力係数が過大に評価されることがないよう制限しています。
具体的には、初回の計算において、y=yminとして算出したkHʼ値を用いて計算を行い、発生変位がymin以下であれば
収束したと判定しています。
また、発生変位がyminを超える場合、仮定したy(前回計算時の変位)と発生変位とがほぼ等しくなるまで収束計算(誤
差1%未満で収束)を行っています。
初回の計算で発生変位が最小変位以下とならない限り、最適解に向かって収束するため、最小変位が結果に直接影響す
ることはありません(但し収束条件を誤差1%未満としているため、若干の差異は生じます。)が、最小変位をどのように
定義するのが適切であるか判断することができないため、設計者の方のご判断により入力してください。
236
Q1ー2ー5
杭径や杭長が異なる杭が混在しているとき、各杭の杭頭に作用する荷重は、杭の剛比により分担しているのか
A1-2ー5
本プログラムでは、道示Ⅳ12.7(P.378~)に記述されている変位法により、次のように計算しています。
(1)各杭の杭軸方向バネ定数Kvを算出
(2)各杭の水平方向地盤反力係数kH分布を算出
(3)(2)を用いて各杭の杭軸直角方向バネ定数K1~K4を算出
(4)道示Ⅳ(解12.7.1),(解12.7.2)(P.379~)に記述されている三元連立方程式を作成
(5)(4)の三元連立方程式を解いて原点変位を算出
(6)(5)を用いて道示Ⅳ(解12.7.3),(解12.7.4)により、各杭の杭頭変位,杭頭反力を算出
(7)杭1本の弾性床上梁モデルの杭頭部分に杭頭反力(軸直角方向反力)および杭頭曲げモーメントを載荷し、伝達マトリ
クス法により各杭の状態量分布(変位分布,曲げモーメント分布、せん断力分布)を求める。
杭1本当たりの杭頭の作用力は、上記(6)の杭頭反力がこれに該当しており、具体的には、2次元解析で直杭の場合、
PNi = Kv・δyiʼ
PHi = K1・δxiʼ + K2・α
Mti = -K3・δxiʼ + K4・α
δxiʼ = δx
δyiʼ = δy + α・xi
ここに、
PNi :杭軸方向反力(kN)
PHi :杭軸直角方向反力(kN)
Mti :杭頭モーメント(kN・m)
δxiʼ:杭頭水平変位(m)
δyiʼ:杭頭軸方向変位(m)
Xi:杭頭座標
のように求めています。
(斜杭については道示を参照してください。)
上記式の通り、本プログラムの杭頭反力(杭頭作用力)は、各杭の杭頭変位および杭軸直角方向バネ定数K1~K4より求
めており、杭の剛比により分配しているわけではありません。
なお、K1~K4とは、杭頭の力と変位との関係を表したもので、杭頭から杭先端の範囲の杭体の曲げ剛性,水平方向地盤
反力係数kH分布および杭先端条件を用いて、杭頭に単位荷重を与えたときの杭頭変位を求め、この関係から算出する杭
頭バネを示しています。
詳しくは、上記道示およびヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「安定計算および杭体断面力の計算」の
(1)杭体の断面力と変位の関係式
(2)杭先端条件と杭1本当たりのバネ値
(3)フーチングの変位と杭頭反力
をご参照ください。
Q1ー2ー6
杭軸直角方向バネ定数K1~K4はどのように算出されるのか
A1-2ー6
道示Ⅳ12.6.2(P.375~)において、半無限長(βLe≧3)の杭,有限長(1<βLe<3)の杭ごとに、杭軸直角方向バネ定数K
1~K4の算定方法が記載されていますが、本項の算定方法は、水平方向 地盤反力係数が深さ方向に一定,つまり単一層
の場合のみを適用対象とした簡易式で、多層地盤の杭に適用することはできません。
杭基礎設計便覧(H19.1)(P.357)においても、
「地盤が深さ方向に変化する多層系地盤として評価し設計する場合には、道
示Ⅳに示される変位法を適用することはできない。」と記載されています。
本プログラムでは、上記の算定方法は用いておらず、βLeに関わりなく常に弾性床上はりの微分方程式を用いて有限長の
杭として解析しており、常に杭先端条件および(多層地盤であれば)多層地盤を考慮した厳密な計算を行っています。
具体的には、杭1本に着目し、杭頭から杭先端までの杭体の曲げ剛性,水平方向地盤反力係数kH分布および杭先端条件
を用いて、杭頭に単位荷重を与えたときの杭頭変位を求め、この関係から算出しています。
算出方法の詳細につきましては、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「安定計算および杭体断面力の計
算」の
(1)杭体の断面力と変位の関係式
(2)杭先端条件と杭1本当たりのバネ値
(3)フーチングの変位と杭頭反力
をご参照ください。
なお、上記ヘルプにてお分かりのとおり、K1~K4の算出は手計算で求められるような単純式で算出しているわけではあ
りませんので、算定根拠を簡潔に示すことはできません。
237
第3章 Q&A
Q1ー2ー7
「計算条件」-設計条件」-「杭」の『杭先端条件』はどのように扱われているか
A1-2ー7
杭先端条件は、次のように取り扱って、杭軸直角方向バネ定数K1~K4を算出しています。
・固定
水平,回転ともに拘束されている(杭先端で水平,回転変位が生じない)ものとして計算します。
・自由
水平,回転ともに拘束されていないものとして計算します。
・ヒンジ
水平方向が拘束され、回転は拘束されていないものとして計算します。
・バネ
杭先端が次の関係となるものとして計算し、これを想定しております。
せん断力=せん断バネ×水平変位
曲げモーメント=回転バネ×回転変位
(※せん断バネ,回転バネは、
「杭配置」-「データ」画面で入力してください。)
詳しくは、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「安定計算および杭体断面力の計算」
(1)杭体の断面力と変位の関係式
(2)杭先端条件と杭1本当たりのバネ値
をご参照ください。
Q1ー2ー8
杭体水平荷重はどのように安定計算に考慮しているのか
A1-2ー8
本プログラムの杭体水平荷重は、道示Ⅳ12.8(P.384~)を参照し作成しており、次の手順にて計算を行っています。
(1)杭1本を弾性床上のはりとしてモデル化し、杭体水平荷重を載荷して杭頭水平変位,回転角を求めます。
(解12.8.6のδx,α(上バー))
(2)(1)で求めた杭頭変位に相当する杭頭反力を求めます。
(解12.8.5のFi,Gi)
(3)各杭の(2)の杭頭反力を集計し、作用力の補正値とします。
(解12.8.5のGH,Gv,GM)
(4)杭基礎の剛性行列と補正を加味した作用力との関係から基礎の原点変位を算出します。
(解12.8.4を解きδy,δx,αを算出します。)
(5)基礎の原点変位から各杭の杭頭変位を算出します。
(解12.8.10のδyiʼ,δxiʼを算出します。)
(6)(4),(5)で求めた杭頭変位と(2)で求めた杭頭反力相当から杭頭反力を算出します。
(解12.8.9のPNi,PHi,Mti)
上記の(1)~(4)は、基礎に荷重を与えたときの基礎の変位を求めているもので、杭体水平荷重による作用力の補正値を求
め、求まった作用力の補正値を基礎に作用する荷重に加味して算出しています。
このとき、道示(解12.8.6~8)において、杭体水平荷重による杭頭水平変位δ,回転角αの算出式が記載されていますが、
地盤が単一層で杭の根入れ長が十分に長いケースに限定した記述になっていること、また杭突出部(設計上の地盤面より
上方)に載荷することを想定した記述となっているため、本プログラムでは、上記(1)のように、杭頭から杭先端までの曲
げ剛性,水平方向地盤反力係数kH分布および杭先端条件を用いて弾性床上のはりとしてモデル化し、このモデルに杭体
水平荷重を載荷して求めています。
また、上記(5),(6)では、各杭の杭頭反力を算出しています。杭体水平荷重の影響が二重に考慮されるのを防ぐため、杭体
水平荷重による杭頭反力を控除して求めています。
なお、杭体の断面力分布(曲げモーメント,せん断力,変位分布)は、上記(1)と同様、弾性床上のはりとしてモデル化し、杭
頭に上記(6)で求めた杭頭反力を、杭体には水平荷重を載荷して算出しています。
238
Q1ー2ー9
増し杭工法における荷重分担はどのように考えているのか
A1-2ー9
本プログラムの増し杭工法は、
「既設道路橋基礎の補強に関する参考資料(H12.2)社団法人日本道路協会」に記述されて
いる考え方を参照し、既設杭と増し杭が負担する荷重を次のように取り扱っています。
・既設死荷重は既設杭のみが負担する。
・補強に伴う増加荷重は既設杭と増し杭で分担する。
・地震力に対して、既設杭と増し杭で分担する。
具体的な取扱いは、製品ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「補強設計(増し杭工法)」をご参照いただく
ことになりますが、例えば、常時,レベル1地震時の安定計算では、
(1)既設死荷重時ケース(No.1)で入力された作用力に対しては、既設杭のみを考慮して計算
(2)No.2以降の荷重ケースについては、No.1の作用力を差し引いた作用力増分に対して、既設杭,増し杭両方を考慮した
計算を行い、増し杭については、ここで求めた値を,既設杭についてはここで求めた値に(1)の計算値を加算した値を計算
結果
としています。
Q1ー2ー10
杭体の水平荷重は杭1本当りのものか、全幅あたりのものか
A1-2ー10
杭体の水平荷重の入力は、全幅当たりではなく杭1本当たりの入力となります。
Q1ー2ー11
底版の斜引張鉄筋の必要鉄筋量が手計算と合わない。何か特殊な計算をしているのか
A1-2ー11
底版許容応力度法照査における斜引張鉄筋の必要鉄筋量は、道示Ⅳ5.1.3(P.162)の式(5.1.3)により算出される鉄筋量を
底版幅で除して単位幅(1m当たり)に直しています。
ただし、許容応力度法照査においては、次の記述が適用されます。手計算にて検証した結果とプログラムの結果が一致し
ない場合、下記を適切に考慮しているか、今一度ご確認ください。
①道示Ⅳ(P.163)「なお、式 (5.1.3)で部材断面の有効高dを用いているが、せん断スパンaがd/1.15よりも小さい場合には、
せん断ひびわれを横切る斜引張鉄筋量を過大に見積もることのないよう、式(5.1.3)中のd/1.15に代わってaを用いるもの
とする。」
②道示Ⅳ(P.231)「常時,暴風時及びレベル1地震時に対する照査においては、式(5.1.3)中のσsaに式(8.7.3)により算出さ
れる低減係数Cdsを乗じるものとする。」
Q1ー2ー12
水平変位の制限を緩和する杭基礎の設計とは、具体的にどのような設計法なのか
A1-2ー12
水平変位の制限を緩和する杭基礎の設計は、道示および杭基礎設計便覧に規定された設計法で、常時,暴風時及びレベ
ル1地震時の杭基礎の安定性の照査において、地盤抵抗の非線形性を考慮した解析を行う代わりに、許容変位を緩和(杭
径の3.5%程度)した設計を行うものです。具体的な設計法は下記をご参照ください。
常時,暴風時及びレベル1地震時では、地盤に過大な非線形性が生じないよう許容変位を設けており、設計地盤面におけ
る水平変位が許容変位以下となることを照査しますが、条件によっては、基礎の変位を許容変位以下とすると、杭体応力
度に著しく余裕が生じバランスを欠く設計となる場合があります。このような場合、橋脚の杭基礎に限り、許容変位を緩和
した設計を行うことができます。
Q1ー2ー13
盛りこぼし橋台の常時の検討において、地盤変位荷重を載荷した場合に許容変位に対する照査を行っていないがこれは
なぜか
A1-2ー13
設計要領第二集(NEXCO)
(平成19年8月の新旧対照表以降)では、
「レベル1地震時の水平変位について、通常荷重によ
る相対変位,および地盤変位荷重を考慮した相対変位は、5章2-2に示す許容変位以下でなければならない。」と記載さ
れており、レベル1地震時に対して許容変位の照査を行うよう規定されています。
また、
「盛りこぼし橋台の設計・施工に関するQ&A(平成20年7月15日)(独)土木研究所 構造物メンテナンス研究セン
ター 橋梁構造研究グループ/(株)高速道路総合技術研究所 道路研究部 橋梁研究室」では、
「通常荷重+地盤変位荷重に
は、レベル1地震時の地盤変位による杭頭の相対変位に対して照査を行う。常時の地盤変位荷重時に考慮する施工時地
盤変位は、長期的には消散する傾向にあるため、水平支持力の照査指標から省かれている。」と記載されています。
以上より、常時においては、地盤変位荷重を載荷した状態に対する許容変位の照査は行っておりません。
239
第3章 Q&A
Q1ー2ー14
斜杭を考慮する場合、斜角の影響はどのように安定計算に考慮しているのか
A1-2ー14
斜杭の場合、基礎に作用する水平力に対して、杭軸方向の抵抗を考慮した計算が行われます。以下に、杭軸方向の抵抗を
考慮した計算方法を説明します。
まず、本プログラムの計算方法を以下に示します。
(1)各杭の杭軸方向バネ定数Kvを算出する
(2)各杭の水平方向地盤反力係数kH分布を算出する
(3)(2)および杭体の曲げ剛性を用いて、各杭の杭軸直角方向バネ定数K1~K4を算出する
(4)(1)および杭頭座標,斜角を用いて、道示Ⅳ(解12.7.2)のフーチング下面中心におけるバネマトリックスを作成する
(5)作用力と(4)を用いて、(解12.7.1)により原点変位を算出する
(6)(解12.7.4)により、各杭における杭頭の杭軸方向変位,杭軸直角方向変位を求める
(7)(解12.7.3)により、各杭における杭頭反力を求める
(8)杭1本の弾性床上梁モデルに杭頭の軸直角方向反力および曲げモーメントを載荷し、伝達マトリクス法により各杭の状
態量分布(杭体曲げモーメント、せん断力分布等)を求める。
各杭ごとに、杭頭における杭軸直角方向のバネ定数K1~K4を算出します。このとき、斜杭においては、斜角を考慮した実
杭長を用いた計算を行うため、直杭とは異なる値となります。しかしながら、この影響は軽微であり、基礎の挙動に与える
影響は僅かです。斜杭の影響は、上記(4),(5)に考慮されます。
道示Ⅳ(P.379~)の(解12.7.1)(解12.7.2)をご参照ください。
本プログラムでは、(解12.7.1)(解12.7.2)により基礎の原点における水平変位,鉛直変位,回転角を算出しておりますが、例
えば、(解12.7.2)の水平方向バネ定数Axxは、
Axx = K1・cos2θ + Kv・sin2θ
ここに、
K1:杭頭部に回転を生じないようにして、杭頭部を杭軸直角方向に単位量だけ変位させるとき、杭頭部に作用させる
べき杭軸直角方向力(kN/m)
θ:杭の斜角で直杭の場合0とする(rad)
Kv:杭軸方向バネ定数(kN/m)
として求まります。
直杭においてはsinθが0となるためKvは考慮されませんが、斜杭では、Kvを考慮した水平方向バネ定数が求まります。
したがって、杭軸方向力が考慮された計算となります。
Ayy等の他のバネ定数についても同様です。
Q1ー2ー15
1/βが杭長よりも長くなるケースが生じた。このようなケースのとき、プログラムではどのように計算しているのか
A1-2ー15
道示Ⅳでは、例えば12.6.2(P.375~)や12.9.1(P.387~)において、βLeの範囲ごとに半無限長の杭,有限長の杭としての計
算方法が記載されています。
しかしながら、道示の考え方は、水平地盤反力係数が深さによらず一定(杭頭から杭先端までの地盤抵抗が一様)と仮定
した場合の計算方法で、多層地盤には適用できません。また、場所打ち杭の鉄筋の段落としを行った場合や鋼管杭の板
厚を変化させた場合、杭体に任意荷重を載荷するケース等にも対応できません。
このため、本プログラムでは、βLeに関わりなく常に弾性床上はりの微分方程式を用いて解析しており、常に杭先端条件
および多層地盤を考慮した厳密な計算を行っています。
具体的には、杭基礎設計便覧(P.357)の「弾性床上の梁部材の剛性マトリクスを用いた計算法」のように、部材ごとに、部
材端力と部材端変位との関係を表すマトリクスを組み、これを解いて杭基礎の挙動を解析しています。
(ただし、製品ヘ
ルプの「Q&A」-「2.解析方法、設計の基本的な考え方」-「Q2-2」のように伝達マトリクス法を採用しています。)
計算上、杭としての特性値βは用いていないことから、本ケースのように1/βが杭長より大きくなるか否かにかかわらず計
算を行っています。
1/βが杭の軸直角方向の抵抗に関与する(支配的となる)地盤の範囲と考えれば、杭頭から杭先端までの全ての層の地盤
抵抗を厳密に評価した計算を行っている本プログラムの計算結果をそのまま採用してもよいのではないかと考えられま
すが、最終的には設計者のご判断としてください。
なお、伝達マトリクス法を用いた本プログラムの計算方法の詳細につきましては、製品ヘルプの「計算理論及び照査の方
法」-「杭基礎」-「安定計算および杭体断面力の計算」をご参照ください。
240
Q1ー2ー16
せん断耐力の割増係数Cdcを線形補間により求めているが、線形補間ではなく道示Ⅳ表-8.7.1のいずれかの値を選択すべ
きではないのか
A1-2ー16
道示Ⅳ(P.230~)に示される割増係数Cdcに関する記述を参照すると、Ce,Cptとは異なり、線形補間により求めてよいと
記載されているわけではありません。ただし、本プログラムでは、下記の理由により、線形補間により求めています。
はりと見なせる部材において、せん断スパン比(a/d)がある程度小さくなると、アーチ効果が卓越する耐荷機構となるた
め、斜めひび割れが形成されても直ちには破壊に至らず、せん断耐力が増加していると見なすことができるようになりま
す。
このアーチ効果によるせん断耐力の増加は、せん断スパン比が2.5に近づくあたりから徐々に影響しはじめ、二次曲線的
に増加します。
表-8.7.1は、このように発揮されるアーチ効果に関する様々な載荷実験結果を整理し、二次曲線的な増加をプロットして
記載したものと考えられます。
よって、本来であれば、道示Ⅳ表-8.7.1の各値の間については二次曲線的な増加を考慮するのがよいのかもしれません
が、実務上は線形補間を適用すればよいと思われます。
Q1ー2ー17
杭頭に段差があるとき、基礎バネはどの位置で算出されるのか
A1-2ー17
杭頭に段差があるときの基礎バネ(固有周期算出用地盤バネ)の算出位置は、フーチング最下面の中心位置としておりま
す。
Q1ー2ー18
盛りこぼし橋台でレベル1地震時の地盤変位荷重が作用したときの変位はどのように算出されるのか
A1-2ー18
次のように計算しております。
δfʼ=|(δnt+δeq)-(δsmax+δDmax)|≦許容変位
ここに、
δfʼ:地盤変位荷重による地震時の全相対変位
δnt:施工時地盤変位荷重の1/2による杭頭変位
δeq:地震時に考慮する地盤変位荷重による杭頭変位
※δnt+δeq=δ2-δ1
δ1:地盤変動荷重を載荷しないケースの杭頭変位
δ2:地盤変動荷重を載荷したケースの杭頭変位
δsmax:施工時地盤変位
δDmax:地震による地盤変位
Q1ー2ー19
増し杭で片側張り出しの場合、基礎バネはどのように算出しているか
A1-2ー19
本プログラムの基礎バネ(固有周期算定用地盤バネ定数)は、道示Ⅴ(H.14.3)6.2.3(P.55~)を参照し算出しております。
その際、基礎バネ値は、杭頭座標原点における値を算出,出力しており、増し杭工法の場合、既設底版下面中心における
値となります。
(算出に用いる各杭の座標も、既設低版下面中心を基準とした座標を使用します)
計算方法につきましては、
・ヘルプ「計算理論及び照査の方法」―「杭基礎」―「基礎バネ」
・計算書「基礎バネ計算」―「固有周期算定用地盤バネ定数」
に、記載・出力しておりますのであわせてご参照ください。
Q1ー2ー20
杭体曲げモーメントの計算式について知りたい
A1-2ー20
本製品では、多層地盤に対応するために、各層の地盤ばねと杭の剛性から、剛性マトリクスを作成することで解析(ラーメ
ンモデル)を行っております。詳細な計算方法に付きましては、
「杭基礎設計便覧H19年度版」
(p.357~)の剛性マトリク
スを用いた計算法をご参考ください。
241
第3章 Q&A
Q1ー2ー21
杭の計算モデルについてですが、変位法を採用されていると思いますが、道路橋示方書ではラーメン骨組みモデルとなっ
ていると思います。ラーメン骨組みモデルではなく変位法を採用されている根拠を教えてください
A1-2ー21
本製品は、各層の地盤を地盤ばねとして評価し、杭がその地盤ばねによって水平方向に支えられているものとしてモデル
化して解析しております(弾性床上のはり)。
各層の地盤ばねと杭体から、各層ごとに剛性マトリクスを作成し、各杭の杭頭が剛体とみなせるフーチングに結合されて
いるものとして解析しております。これは道路橋示方書で提示されているラーメン骨組みモデルとなります。
従いまして、本製品は、道路橋示方書での記述にあるモデルで解析を行っているといえます。
変位法とは、杭頭を剛体とみなせるフーチングに結合させたモデルにおいて、各杭の水平変位、回転角が同じになるとい
う条件を用いて、底版下面作用力との力と変位の関係式から、杭頭位置での水平変位、回転角を算出し、それを用いて、
各杭頭の水平力、モーメントを算定する計算手法のことをいうものと解釈しております(道示Ⅳ(H24.3)P.413 解12.7.1、
P.414解12.7.2参照)。
ラーメン骨組モデルを用いないでも道示Ⅳ(P.409)表-解12.6.1のように上記の連立方程式で用いるK1~K4を算定するこ
とはできますが、この表では多層地盤には適用できません。
本製品は、ラーメン骨組モデルを用いて各杭頭のK1~K4を算定し、解12.7.1、解12.7.2を用いて杭頭の変位を算定してい
ます。
Q1ー2ー22
鋼製橋脚の場合柱の脚注形状寸法はどのように考えたらよいか
A1-2ー22
底版曲げ照査位置が柱形状から求まる柱端部とはならない」場合の入力方法についてと解釈しまして回答いたします。
現在の入力方法では、柱形状から柱端部位置を設定し、底版の曲げ照査位置としています。
従いまして柱形状と曲げ照査位置が異なる場合は、曲げ照査位置に合わせて、柱形状を設定していただく必要がござい
ます。
柱形状は、曲げ照査位置で参照する以外に、次の計算で参照されます。
1)底版上載土を計算する場合に、柱形状から求まる断面積分を上載土体積から控除する。
2)柱基部以上に浮力を考慮する場合に、柱部分の浮力を柱形状から求まる断面積で求める。
作用力自動計算では、柱形状から上記を算定しますので、作用力を入力で行っていただくことで、荷重を調整してくださ
い。
Q1ー2ー23
有限長の杭の設計をしていて電算内で自動的に補正係数を算出して杭バネ定数を表示しているが、添付したファイルでど
のように補正係数値を算出しているか
また、補正係数算出において有効根入れ張Leは、杭先端としているのか、それとも支持層上面としているのか
道示Ⅳ411頁の模式図を確認するとLeは支持層上面までの長さと思えるが、電算結果を確認すると杭先端までをLeとし
ているように思う。杭先端までをLeとして補正係数を算出しているのであればその根拠はなにか
A1-2ー23
本プログラムでは、補正係数φを用いた計算方法を用いておりません。
本プログラムは、弾性床上はりの微分方程式を用いて、すべて有限長の杭として解析しています。
道示IV(H24.3)(P.409~,P.626~)に、半無限長に関する説明がありますが、半無限長の場合、水平地盤反力係数が深さ
によらず一定(単一層)で、杭の根入れ深さが十分に(杭先端条件を考慮しなくてもその影響を無視できるほど)長い場合
にのみ適用できる近似式です。
つまり、長い杭は長いなり(半無限長)に、短い杭は短いなりに計算(有限長)を行っているとご理解下さい。
また、図-解12.6.1(P.411)の有限長杭の補正係数は、杭先端条件の影響を考慮しているものの単一層だけを適用対象とし
たものです。
本プログラムでは、前述のとおり、βLeに関わりなく常に弾性床上はりの微分方程式を用いて有限長の杭として解析してお
り、杭先端条件および多層地盤を考慮した計算を行っています。
計算方法をヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「安定計算および杭体断面力の計算」の
(1)杭体の断面力と変位の関係式
(2)杭先端条件と杭1本当たりのバネ値
(3)フーチングの変位と杭頭反力
に詳しく記載しておりますのでご参照ください。
また、
「Q&A」-「杭基礎」のQ1-7,2-2,2-3,2-8,2-9,2-10,5-1,5-2に関連説明を記載しておりますので、あわせてご覧
ください。
※「杭基礎設計便覧(平成19年1月)」の「2.変位法の誘導」「3.弾性床上の梁部材の剛性マトリクスを用いた計算法」
もご参考ください。
242
Q1ー2ー24
段落とし(途中で杭厚が変化)をした場合としていない場合で杭の軸直角方向ばね定数K1~K4の値が変わるのはなぜか
A1-2ー24
「杭基礎の設計」では、杭の各断面の剛性を用いてK1~K4を算定しています。
道示では、杭の根入れ深さが十分に長く杭先端条件の影響を無視できるとした半無限長の杭、杭先端条件の影響を考慮
する必要のある有限長の杭の計算法が示されています。
ただし、これらの計算法は、いずれも水平方向地盤反力係数kHが深さ方向に一定(杭頭から杭先端までの地盤抵抗が一
様)と仮定した方法(林-Changの式)であり、いわば簡易式です。
したがって、多層地盤の条件を道示式により計算するのであれば、地表面から1/βまでの水平方向地盤反力係数の平均値
を採用するなどして一様地盤と見なし(仮定し)計算する必要があります。
これに対し、杭基礎設計便覧(P.357)「弾性床上の梁部材の剛性マトリクスを用いた計算法」のように、多層地盤を多層地
盤として評価し計算する方法もあります。
この方法であれば、各層の地盤抵抗や杭体曲げ剛性変化の影響、杭先端条件の影響等をより厳密に評価することが可能
です。
本プログラムでは、この弾性床上の梁部材としてモデル化する方法(ただし、ヘルプの「Q&A」-「2.解析方法、設計の基本
的な考え方」-「Q2-2」のように伝達マトリクス法)を採用しています。
したがって、多層地盤系の計算方法にて算出された本プログラムのK1~K4を単層地盤としての計算である道示の算式に
て検証することはできません。
本プログラムのK1~K4を検証するには、骨組み解析プログラムにてモデル化する必要があります。
ただし、杭頭から杭先端まで1層しかないのであれば、道示の方法にて算出したK1~K4と近い値が得られます。
本件につきましては、
「Q&A」-「杭基礎」のQ1-7,2-2,2-3,2-8,2-9,2-10,5-1,5-2,5-3をご参照ください。
Q1ー2ー25
杭基礎の周面摩擦力を算定するときに、底版の埋込み長も含んだ計算となっているか
A1-2ー25
周面摩擦力には底版埋込み長は含みません。
「杭配置」-「基本条件」の『杭の底版内埋込み長』は既製杭の自動断面変化を行う場合の第1断面の杭長の調整に用
います。
「杭頭接合計算」でも底版内埋込み長を設定(「杭配置」の値と連動可)しますが、これは、杭頭接合計算で使用しま
す。
Q1ー2ー26
3柱の場合の有効幅のとり方について教えてください
A1-2ー26
複数の柱がある場合は、それぞれの柱の有効幅を合計したものを用います。
Q1ー2ー27
「道路橋示方書H24年度版 Ⅳ下部構造編」p425において、既製杭の場合には、杭頭仮想鉄筋コンクリート断面計
算時はコンクリートの応力度照査は省略してよいと記載されていますが、御社の関係ソフトではどのように取り扱っていま
すか
A1-2ー27
杭頭接合部のコンクリート照査は、支圧、押抜きせん断などの応力度照査の省略と、仮想鉄筋コンクリート断面のコンク
リート応力度の省略(σsのみ照査)の2種類あります。
本製品では上記につきましては選択制となっております。
前者につきましては、[計算条件]-[基本条件]画面の「常時,レベル1地震時-杭頭接合計算」の右端にある「コンクリート
照査を省略する(方法Bのみ)」がそのスイッチです。
ご指摘のように「道路橋示方書Ⅳ下部構造編(平成24年3月)」2)設計の基本(P.425)では、標準的な縁端距離を取る場
合、杭頭接合部のコンクリート照査を省略できるとあるため、初期値では省略するように設定しております。
後者につきましては、[杭頭接合計算]-[基本条件]の「仮想RC断面照査時のコンクリート応力度の照査」がスイッチとなり
ます。
「しない」場合は、σsについてのみ応力度照査を行います。必要鉄筋量もσsに対してのみ算定します。
照査の有無につきましては、恐れ入りますが設計者のご判断により決定してくださいますようお願いいたします。
Q1ー2ー28
連成バネについて、イメージが掴みづらいのですが分かりやすいものはありますでしょうか
A1-2ー28
水平力を作用させると水平に変位するだけでなく回転変位も同時に生じます。杭配置が左右対称でなければ更に鉛直変
位も生じます。
このように作用力の方向の変位だけではなく他の方向の変位も同時に生じるようなバネを連成バネと称しています。
固有周期算定用地盤バネ定数につきましては、道示Ⅴ6.2.3(P.64~)をご参照くださいますようお願いいたします。
243
第3章 Q&A
Q1ー2ー29
3柱の底版照査を、FRAMEマネージャーで解析した結果と杭基礎で解析した結果が異なるのはなぜか
A1-2ー29
解析モデルの違いとして次の点があげられます。
【杭基礎】
(1)フーチングは剛体とする。
(2)左端を固定端として片持ち梁で解析
(3)杭反力を荷重として入力
【FRAMEマージャー】
(1)フーチングは剛性を考慮する。
(2)杭をばね支点とした連続梁として解析
(3)杭反力はばね支点とした解析結果から支点反力として得られる(入力値ではない)
杭基礎は剛体としてしか計算できませんので、
【FRAMEマージャー】のデータをフーチング=剛体として杭基礎に合わせ
て計算してみますと、ほぼ一致した結果となりました。
(1)の影響が最も大きいと考えられます。
両者はモデルの考え方の違いによるものですので、計算結果自体には問題無いと考えられます。
2-1-3 地層、土質定数法
Q1ー3ー1
地盤種別はどのように取り扱っているのか
A1-3ー1
地盤種別は、
・設計水平震度
・液状化の判定および液状化による土質定数の低減係数DE
に影響しますが、本プログラムでは、設計に用いる設計水平震度を直接入力していただくようにしているため、地盤種別
が影響するのは土質定数の低減係数DEの算定のみとなります。
ここで、本プログラムでは、
「地層」-「計算条件」画面の「液状化の判定を行う」をチェックし、同画面で「地盤種別」を
「内部計算」とした場合に地盤種別を計算しており、この値を用いて低減係数DEを計算しています。
なお、この地盤種別は、同画面の「低減係数」タブの[液状化の詳細出力]ボタンより表示される計算書(「2章 液状化の
判定」-「地盤条件と地盤定数の設定」)により、計算過程の詳細を確認することが可能です。
また、
「液状化の判定を行う」をチェックしていない場合、地盤種別は計算に用いません。よって、
「地層」-「低減係数」
画面で直接選択していただくようにしています。
(出力のみに用います。)
なお、、
「橋脚の設計」や「橋台の設計」等との連動時、これらの製品の「初期入力」画面で基礎側の地盤種別を連動する
よう設定した場合、次のように連動しています。
■内部計算
「地層」画面の「液状化の判定を行う」をチェックし、
「地盤種別」を「内部計算」とした場合、内部計算された地盤種別
が連動されます。
■直接入力
「液状化の判定を行う」のチェックを外した場合、地盤種別は内部計算されません。よって、
「低減係数」タブの「地盤種
別」により直接設定された地盤種別が連動されます。
「液状化の判定を行う」をチェックした状態で、同画面の「地盤種
別」を「直接指定」とした場合も同様です。
Q1ー3ー2
杭基礎の設計の耐震設計上の地盤面で、取り扱いをBとした場合 「耐震設計上の地盤面より上のDE(レベル2)>0.0の地
層には、DE(レベル2)値に応じた地盤抵抗(水平方向地盤反力係数,水平地盤反力度の上限値)を考慮します。」となって
いるが道路橋示方書には特に明記されている文面が見当たらない
A1-3ー2
道示Ⅴ4.6(P.27~)では、橋台基礎においては耐震設計上の地盤面より上の地盤の水平抵抗は無視するのがよいと記述
されておりますが、橋脚基礎においては、耐震設計上の地盤面より上の土層の取扱いについて明示されていません。
よって、本プログラムでは、地盤抵抗の取扱いについて、橋台基礎/橋脚基礎の区別は行っておらず、設定されたDE値に
応じた地盤抵抗を考慮しており、考慮されない場合は、耐震設計上の地盤面より上の地層のDEに0.000と入力していただ
くことにより、考慮する場合,しない場合いずれにも対応できるようにしています。
耐震設計上の地盤面より上の地盤抵抗を考慮するか否かにつきましては、設計者の方のご判断により決定していただき、
地盤抵抗を考慮しない場合、杭前面地盤については「地層」-「低減係数」画面の『DE(レベル2)』,底版前面水平抵抗
については「底版前面水平抵抗」画面の『低減係数DE(レベル2)』に0.000と設定ください。
244
Q1ー3ー3
入力した地層数と出力された地層数が異なる
A1-3ー3
「地層」画面上の[ヘルプ]ボタンから開く説明画面の「■低減係数」に記載しておりますように、
「計算条件」ページで
『液状化の判定を行う』がチェックされたとき、以下の深さで地層を分割しています。
(1)現地盤面から3.0mをまたぐ粘性土層があり、その層の一軸圧縮強度が20(kN/m2)以下の場合には、3.0mで分割。
(2)現地盤面から10.0mをまたぐ層がある場合は10.0mで分割。
(3)現地盤面から20.0mをまたぐ層がある場合は20.0mで分割。
(1)は道示Ⅴ(H.14.3)8.2.2(P.120)によります。
(3)は8.2.3(P.121~)により、判定対象を現地盤面から20m以内とするため
(2)は表-8.2.1(P.125)により、10m以下と10mを超える範囲とで動的せん断強度比Rを使い分けるために行っています。
Q1ー3ー4
「土質」を変更後、
「φの計算」を実行してもφの計算が行われない
A1-3ー4
おそらく、平均N値に5以下が入力されていると思われます。
本プログラムの土のせん断抵抗角φの自動計算は、道示Ⅳ参考資料「8.標準貫入試験のN値から砂のせん断抵抗角φを
推定する場合の参考式(案)」(P.564~)を参照し計算を行っております。
上記道示には、
「本提案式は、式(参8.1)に示すようにN>5の範囲で適用するものとする。」と記載されております。
そのため、平均N値がN≦5の場合、砂質土/粘性土ともにφの計算は行っておりません。
Q1ー3ー5
計算書の「地層データ」の項にある「f」
「fn」とは?
A1-3ー5
いずれも杭周面に働く最大周面摩擦力度を表しており、
「f」は杭の支持力の算定に、
「fn」は道示Ⅳ12.4.3(P.364~)の負
の周面摩擦力の検討に用いています。
推定方法はどちらも同じですが、負の周面摩擦力の検討に用いる「fn」は、N値から推定するとき、N値が2以下の軟弱層
においても推定値を適用します。
支持力算定用,負の周面摩擦力の検討用で異なる値となることがあるため、それぞれを算出,出力しております。
なお、負の周面摩擦力の検討を行わない場合、
「fn」は計算に用いません。
Q1ー3ー6
盛土地盤のせん断弾性波速度Vsdは、レベル1地震時のVsとは異なるのか
A1-3ー6
Vsd は、
「設計要領第二集 4章基礎構造 NEXCO(平成18年4月)」(P.4-56)の「微小ひずみレベルでの盛土地盤のせん断
弾性波速度Vsd」を示しておりますが、設計要領第二集では、具体的な算定方法が示されておりません。道示Ⅴ(P.57)に
より算出してもよいのではないかと考えられますが、設計要領第二集に明示されていないことから、本プログラムでは、設
計者の方のご判断で入力していただく仕様としております。おそれいりますが、最終的には設計者ご自身により算定し入力
してくださいますようお願いいたします。
なお、レベル1地震時に用いるせん断弾性波速度Vsは、道示Ⅴ(P.26)(解4.5.1)より、
N = Ek/700
Vs = 80・N^1/3 (^はべき乗を示しています。)
として算出しております。
Q1ー3ー7
2方向傾斜時の杭基礎の照査を行うことは可能か?
A1-3ー7
本プログラムでは、地層傾斜を考慮できるのは1方向のみとしており、2方向に傾斜したケースの入力,計算を行うことは
できません。
ただし、本プログラムでは、杭1本ごとに杭長を変化させることが可能です。また、杭位置の層厚を変更し、変更した層厚
を用いて地盤反力係数,許容支持力等を算出することが可能です。
これより、以下の入力を行うことにより、2方向に地層傾斜した場合と等価な計算とすることが可能です。
なお、杭1本に対して背面側と前面側の層厚は同一として計算します。
(1)「地層」画面にて、どちらか1方向にのみ傾斜した地層を入力します。
(2)「計算条件」-「入力条件」画面で「層厚=直接入力」とします。
(3)「杭配置」-「基本条件」画面で『杭径・杭長の変化=あり』とし、
「データ」画面で杭ごとに杭長を入力します。
(4) 「予備計算・結果確認」-「層厚」画面で、各杭の層厚を、別途算出した2方向傾斜を考慮した層厚となるよう調整し
ます。このとき、層厚の合計が杭長と一致するように入力してください。全杭入力後、
「k値」,
「許容支持力」画面の[計
算]ボタンにより、入力した層厚に応じたk値,許容支持力を計算します。
※層厚の指定は、杭の条件(杭径,厚さ,杭長等)が等しい杭を同一タイプとし、同一タイプごとに指定します。杭の条
件が同一の杭に対して、異なった層厚を指定する場合、
「杭配置」画面で異なる杭長(1(cm)程度の差)を入力してくださ
い。
操作方法につきましては、入力画面上の[ヘルプ]ボタンから開く説明画面をご参照ください。
245
第3章 Q&A
Q1ー3ー8
現地盤面,設計地盤面および地盤面の違い
A1-3ー8
■現地盤面について
地層データの第1層上面の標高としています。地表面の標高を入力してください。
■設計地盤面について
常時,地震時における設計上の地盤面としており、設計地盤面より上の杭前面の地盤抵抗は考慮しないようにしていま
す。
■地盤面
地震時データは、
「レベル2地震時照査」-「地盤データ」で『上載荷重算出用の上載土圧の指定=地盤面(地震時)』が選
択されたとき、上載荷重として、地盤面(地震時)から基礎天端までの土の重量を算出する際に用いています。
なお、杭基礎の場合、常時データは計算に使用していませんが、現地盤面標高以深となるように入力してくださいますよう
お願いいたします。
(※道示モデルの水平変位の制限を緩和する杭基礎の設計の場合は、検討ケースに応じて、地盤面(常時),地盤面(地
震時)を使用しています。)
Q1ー3ー9
流動化時の許容変位が基礎の降伏に達するときの水平変位の2倍としている根拠
A1-3ー9
道示Ⅴ8.3.1(P.127~)をご確認下さい。
こちらの記載より、流動化時の許容変位は、基礎の降伏に達する時の水平変位の2倍としております。
Q1ー3ー10
「地層」-「土質一覧」-「土質データ②」画面の[φの計算]ボタンよる計算方法は?
A1-3ー10
「地層」-「土質一覧」-「土質データ②」画面の[φの計算]ボタンよる計算は、道示Ⅳ参考資料「8.標準貫入試験のN
値から砂のせん断抵抗角φを推定する場合の参考式(案)」(P.564~)を参照し作成しております。
その際、σvʼ算出用の地表面からの深さxは、層下端ではなく層中心での深さとしております。
Q1ー3ー11
地盤種別はどのように取り扱っているのか
A1-3ー11
地盤種別は、
・設計水平震度
・液状化の判定および液状化による土質定数の低減係数DE
に影響しますが、本プログラムでは、設計に用いる設計水平震度を直接入力していただくようにしているため、地盤種別
が影響するのは土質定数の低減係数DEの算定のみとなります。
したがって、本プログラムでは、
「地層」-「計算条件」画面の「液状化の判定を行う」をチェックし、同画面で「地盤種
別」を「内部計算」とした場合のみ内部計算しており、この値を用いてDEの算定を行います。
計算された地盤種別は、同画面の「低減係数」タブの[液状化の詳細出力]ボタンより表示される計算書(「2章 液状化の
判定」-「地盤条件と地盤定数の設定」)にて確認することが可能です。
ここで、
「橋脚の設計」や「橋台の設計」等との連動時、これらの製品の「初期入力」画面で基礎側の地盤種別を連動す
るよう設定した場合、
①内部計算
前述の「地層」画面の「液状化の判定を行う」をチェックし、
「地盤種別」を「内部計算」とした場合、内部計算された地
盤種別を連動する。
②直接入力
「液状化の判定を行う」のチェックを外した場合、地盤種別は内部計算されない。よって、同画面の「低減係数」タブの
「地盤種別」により直接選択された地盤種別を連動する。
「液状化の判定を行う」をチェックした状態で、同画面の「地
盤種別」を「直接指定」とした場合も同様。
としています。
246
Q1ー3ー12
杭種や工法によっては、支持層を粘性土層にすると警告が表示される。回避する方法はあるか。
-----------------------------------------------------警告:[20604]
粘性土層に支持層が設定されています。
極限支持力qdは砂層として算出します。
------------------------------------------------------
A1-3ー12
本プログラムでは、中掘り工法(セメントミルク噴出撹拌方式),プレボーリング杭工法,鋼管ソイルセメント杭工法,回転
杭工法における支持層を粘性土層とした場合、警告を表示し、砂質土層として算出しています。
道示の杭先端の極限支持力の算定は、下部構造編(P.357~)に記載されていますが、中掘り工法(セメントミルク)では、
「砂質系地盤のみに適用」と規定されています。また、プレボーリング工法や鋼管ソイルセメント杭工法では、砂層,砂れ
き層に対する極限支持力度の推定方法しか明示されておりません。回転杭工法は、
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)」
(P.436~)を参照していますが、同様に、砂層,砂れき層に対してのみ推定方法が明示されており、粘性土層を支持層とす
る場合の推定方法は示されていません。
このように、上記の工法においては、粘性土層における推定方法が明示されていない、あるいは粘性土層を支持層とする
ことを原則禁止するといった規定があることから、現行では、警告を表示し、砂質土層として算出しています。
Q1ー3ー13
土の飽和重量を湿潤重量+1とすることが多いが、これはなぜか
A1-3ー13
湿潤土は、土粒子,水,間隙により構成されており、それぞれの体積をVs,Vw,Va、単位体積重量をγs,γw,γa(=0.0)
とすると、湿潤土の単位体積重量は
γt = (Vs・γs+Vw・γw+Va・γa)/(Vs+Vw+Va)
により表すことができます。
一方、飽和土は、上記間隙がすべて水で満たされた状態で、単位体積重量は
γsat = {Vs・γs+(Vw+Va)・γw}/(Vs+Vw+Va)
となります。したがって、γt≦γsatの関係になります。
ここで、道示Ⅳ2.2.6(P.41)では、(注)(1)において、
γʼ = γt - 9
としてよいと記載されています。
(※γʼは水中重量)
飽和重量γsatは、
γʼ = γsat-γw
γsat = γʼ+γw
の関係にあることから、γwを10(kN/m3)とすると、前述の道示の(注)(1)より、
γsat = (γt - 9)+10
= γt+1(kN/m3)
となります。
詳しくは、土質力学の文献・参考書等を参照して下さい。
247
第3章 Q&A
Q1ー3ー14
地層傾斜時、地層データの「中間点Uの間隔(m)」の『始点U』と杭配置-基礎天端の『偏心量eu』の位置関係はどうなって
いるか
A1-3ー14
図のように、始点Uの座標が決まるとU=0.0位置が決まります。
「杭配置」-「基礎天端」のeuは、U=0.0位置と底版中心位置の位置関係を指定します。
底版中心=U=0.0の場合は、euは0.0のままで構いませんが、一致しない場合は、Uの右側へのずれをプラスとしてeuを設
定します。
※右端座標は、左端座標+Σ(各地層深さ入力間距離)です。
248
Q1ー3ー15
液状化低減係数で、No2層-粘性土の低減係数が0.0となっているのはおかしいのではないでしょうか(地層データ-液状化
SW=0)
A1-3ー15
道示V8.2.2(P.120)により、現地盤面から3m以内の粘性土層で一軸圧縮強度が20(kN/m2)以下の土層は、耐震設計上ご
く軟弱な土層とみなし、土質定数の低減係数を0.0としています。
本件におきましてはSW=0とした場合は判定を行わない指定となりますが、粘性土の場合は3m以内での土質定数を0にし
ております。
Q1ー3ー16
地層傾斜発生時の地層で内部摩擦角φは自動計算できるか
A1-3ー16
申し訳ございませんが地層に傾斜が存在する場合につきましては内部摩擦角φを自動計算されません。ご了承ください。
2-1-4 支持力、周面摩擦力
Q1ー4ー1
最大周面摩擦力度の算定に用いる係数を変更したい
A1-4ー1
最大周面摩擦力度の算定に用いる係数は、
「基準値」-「その他」-「許容支持力算定条件」画面の『最大周面摩擦力
度』により変更することが可能です。
Q1ー4ー2
道示Ⅳ12.4.1 γ:極限支持力推定法の相違による安全率の補正係数を変更したい
A1-4ー2
極限支持力推定法の相違による安全率の補正係数γは1.0固定としており、任意な補正係数γの入力はできません。ご了
承ください。
「基準値」-「杭基礎」-「許容支持力安全率」画面において、安全率nを逆算して入力する方法も考えられますが、本入
力は小数点以下の入力桁数を1桁としており、誤差が大きく、この方法を用いることができないのではないかと考えられま
す。
以上より、任意な補正係数γを用いて算出する場合は、
「計算条件」-「入力条件」画面で『極限支持力・引抜力=直接入
力』と設定し、
「予備計算・結果確認」-「許容支持力」画面に別途算出された許容支持力,引抜力を直接入力することに
よりご対処くださいますようお願いいたします。
Q1ー4ー3
中立点は何を入力すればいいのですか?
A1-4ー3
中立点は、画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように道示Ⅳの12.4.3負の周面摩擦力に対する検討に用いており、
P.365の中立点位置を標高で入力していただくようにしております。
なお、
「計算条件」-「設計条件」-「その他の条件」画面で『負の周面摩擦力=検討しない』が指定されたとき、中立点
は計算に影響を与えません。
(計算に用いません。)
負の周面摩擦力に対する検討が必要な場合、ご検討の設計条件に応じた値を入力してください。
Q1ー4ー4
「計算条件」-「設計条件」-「その他の条件」画面の『群杭としての許容支持力照査』が選択できないのはなぜか?
A1-4ー4
本スイッチは、道示Ⅳ12.4.4(P.369~)を参照し対応したもので、本項の解説「杭中心間隔がある程度より密になると杭と
杭間の土塊が一体となって、あたかも1基のケーソン基礎としての挙動を示すようになる」とあるように、杭および杭間の
地盤の相互作用による群杭効果を考慮し、一体として挙動すると考えられる範囲をケーソン基礎とみなし、ケーソン基礎
としての支持力照査を行います。
一体として挙動すると考えられる範囲を仮想ケーソンとみなして照査することから、全杭の杭径,杭長が同一で、地層傾
斜がない場合に適用可能です。
そのため、地層傾斜あり及び杭径・杭長変化ありのときは選択できません。また、増し杭工法および盛りこぼし橋台時も
選択できません。
Q1ー4ー5
増し杭の許容支持力の計算で周面摩擦力が 0 になっているのはなぜか?
A1-4ー5
本プログラムの最大周面摩擦力度fは、
「地層」-「土質一覧」-「土質データ②」画面で設定,入力された値を計算時に
用いております。
おそらく、上記画面下部の「周面摩擦力:増し杭」が『入力』となっており、周面摩擦力度が0.0(kN/m2)が設定されていな
いでしょうか。
こちらに該当する場合、上記の選択を該当する工法に変更するか、周面摩擦力度を直接入力してください。
249
第3章 Q&A
Q1ー4ー6
許容支持力の計算時に杭で置き換えられる部分の土の有効重量を考慮しない方法は?
A1-4ー6
「計算条件」-「設計条件」-「支持力・引抜力」画面の「支持力の杭の有効重量」にて設定下さい。
本スイッチは、
「考慮」を
Ra = (γ/n)・(Ru - Ws) + Ws - W
としたとき、
「無視」 :W = 0.0,Ws>0.0
「簡易式」:W = Ws = 0.0
とします。
ただし、W>0.0,Ws = 0.0としたいということでしたら、現行では、この考え方のスイッチは用意しておりません。
この場合、下記手順にてご対処ください。
1)
「計算条件」-「入力条件」画面で「許容支持力・引抜き力=直接入力」と設定する。
2)
「予備計算・結果確認」-「許容支持力」画面の[計算]ボタンにより一度算出する。
3)計算書の「予備計算」-「許容支持力・引抜力の計算」を参照し、ご検討の許容支持力を別途算出する。
4)
「予備計算・結果確認」-「許容支持力」画面において、別途算出された許容支持力を直接入力する。
これにより、入力された許容支持力を用いて安定計算が行われます。
ただし、計算書の「予備計算」は、詳細な計算過程を出力することを目的としておりますが、設計者の方が別途算出された
値を入力したとしても、この入力値から逆算して計算過程を出力することはできませんので、常にプログラム内部の計算値
を出力します。よって、入力値に対する出力書式とはなりません。
Q1ー4ー7
群杭としての許容支持力照査を行うとき、入力する必要があるのはどのデータか。また、支持力係数はどこで指定するの
か?
A1-4ー7
群杭の影響を考慮した常時,暴風時,レベル1地震時の支持力照査は、道示Ⅳ12.4.4(P.369~)を参照し対応したもので
す。
本照査を行う場合、仮想ケーソン基礎底面地盤の極限支持力度,支持力係数および群杭としての周面摩擦力度の算出用と
して、
・「地層」-「土質一覧」-「土質データ②」画面
せん断抵抗力度τ
・「地層」-「土質一覧」-「土質データ③」画面の『底面地盤の土質データ』
基礎底面地盤の単位重量γ
基礎底面地盤の粘着力c
基礎底面地盤のせん断抵抗角φ
の入力が必要となります。上記の入力の他は、通常の安定計算の検討に用いる入力を用います。
なお、支持力係数はプログラム内部で自動算出しておりますが、計算実行後、
「計算・結果確認」-「安定計算」-「群杭」
画面下部のスイッチをチェックすることにより、任意の係数を直接指定することも可能です。
Q1ー4ー8
群杭としての許容支持力照査の結果はどこで確認することができるのか
A1-4ー8
群杭としての許容支持力照査を「検討する」とした場合、安定計算とは別に群杭としての照査を行い、計算書の「安定計
算」-「群杭としての軸方向押込み力に対する検討」に検討結果を出力しております。
なお、お問合せが、常時,暴風時及びレベル1地震時の安定計算に用いる許容支持力として、群杭としての許容支持力を用
いるべきとお考えでしたら、申し訳ございませんが、お考えの照査は行っておりません。
道示Ⅳ12.3(P.352)では、
「杭の軸方向支持力,水平地盤反力係数等を単杭の場合より低減して考える必要があるが・・・
(中略)・・・この場合には群杭の影響について、12.4.4の規定により十分に検討する必要がある。」と記載されておりま
す。
群杭の影響について、別途十分に検討する必要があると記載されておりますが、12.4.1,12.4.2に示される許容支持力を低
減して考えなければならないとの記述はなく、よって、本プログラムでは、群杭としての許容支持力照査は安定計算とは切り
離して照査しております。
なお、本プログラムでは、
「計算条件」-「入力条件」画面で「許容支持力・引抜き力=直接入力」と設定することにより、
「予備計算・結果確認」-「許容支持力」画面にて許容支持力を直接入力することができます。
おそれいりますが、最終的には設計者の方がお考えの許容支持力を直接入力しご検討くださいますようお願いいたしま
す。
250
Q1ー4ー9
郡杭とした場合、仮想ケーソンとして照査しますが、根入れ(DF)を指定することはできますか?
A1-4ー9
ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「許容支持力と許容引抜力」の『(6)群杭としての許容支持力照
査』に記載しておりますように、基礎の有効根入れ深さは、
「地層」画面で入力された『地盤面(常時)』から杭先端まで
の深さとしており、任意の長さを入力することはできません。
Q1ー4ー10
杭の許容支持力算出のためのW(杭及び杭内部の土の有効重量)を算出したいが、杭重量しか算出されない
杭内部の土の有効重量は含まれないのか?
A1-4ー10
許容支持力算出における杭および杭内部の土砂の有効重量W(kN)は、
『土砂の有効重量』の計算方法が明確にされてお
りませんので『杭自重』のみを求めております。
参考に、ヘルプの「概要」-「プログラムの機能概要」-「適用基準および参考文献」に記載している『杭・ケーソン・鋼管
矢板および地中連続壁基礎の設計計算例(2000年2月)山海堂』に鋼管杭とPHC杭の設計例が記述されていますが、鋼管
杭ではWは考慮せず、PHC杭ではWは杭自重として算出しています。
Q1ー4ー11
「計算・結果確認」画面の「総括表」および「安定計算」において、許容支持力Ra,許容引抜力Paが「──」となり計算値
が表示されない
A1-4ー11
本プログラムは、Ver.7.02.00において、
「作用力」-「荷重ケースごとの設定」画面の「安定照査をする」の設定により、荷
重ケースごとに基礎の安定性の照査を行うか否かを指定できるよう拡張いたしました。
上記画面において、
「安定照査をする」にチェックがない場合、安定照査は行っておらず、安定照査を行わないケースの
Ra,Pa,δaには『──』を表示しています。
安定照査を行う場合は、上記画面にて設定下さい。
Q1ー4ー12
摩擦杭、としても支持杭の安全率で計算されている
A1-4ー12
「計算条件」-「設計条件」-「支持力・引抜力」画面の『摩擦杭で根入れ長が杭径の25倍(杭径1m以上は25m)以上あ
るとき、支持杭の安全率を用いる』が チェックされている場合、道示Ⅳ12.4.1(P.354)の「3)支持杭と同一の安全率を適
用できる摩擦杭の条件」の「②杭の根入れ長が杭径の25倍 (杭径1m以上の杭については25m)程度以上あること」よ
り、支持杭の安全率を用いて算出いたします。
こちらにチェックされていないかご確認をお願いします。
Q1ー4ー13
杭の許容支持力の計算で、γ:極限支持力推定法による安全率の補正係数を変更したい
A1-4ー13
「基準値」-「杭基礎」-「許容支持力安全率」画面において、
『安全率の補正係数γ』を変更していただきますようお願
いいたします。
なお、本機能は、
「杭基礎の設計 Ver.7.05.00」で対応したため、それ以前のバージョンではγ=1.0固定としており、変
更することはできません。
よって、γ=1.0以外で設計したい場合は、 最新版をご利用くださいますようお願いいたします。
Q1ー4ー14
杭の軸方向許容押込み支持力,許容引抜き支持力の算出において、周面摩擦力を無視する方法は?
A1-4ー14
本プログラムでは、任意の層(あるいは全層)の周面摩擦力を無視した計算を行う機能は用意しておりません。よって、周
面摩擦力を無視するスイッチ等は用意しておりません。
ただし、許容支持力の算出に用いる周面摩擦力は、
「地層」-「土質一覧」-「土質データ②」の「f」の欄にて直接入力す
ることができます。よって、本画面で周面摩擦力を考慮しない層の「f」の欄を0とすることにより、周面摩擦力を無視した
検討が可能です。
(※「f」を入力する場合、表の下部の「周面摩擦力」の選択を「入力」としてください。)
許容支持力の計算過程につきましては、計算書の「予備計算」-「許容支持力・引抜力の計算」に詳しく出力しています。
上記の設定を行った場合、周面摩擦力が想定した状態となっているか、必ずご確認ください。
なお、ご検討のケースが突出杭(設計地盤面が杭頭より下に位置する)であり、杭頭から設計地盤面の範囲の周面摩擦力
を考慮したくないということであれば、
「計算条件」-「設計条件」-「支持力・引抜力」画面の「設計地盤面より上の周面
摩擦力」を「無視」としてください。これにより、設計地盤面より上の周面摩擦力を無視した計算が行われます。詳しくは、
入力画面上の[ヘルプ]より開く説明をご参照ください。
Q1ー4ー15
道示Ⅳ12.4.4(P.372)の群杭の補正係数μを考慮したい
A1-4ー15
群杭の補正係数μは、
「計算条件」-「設計条件」-「k値・Kv値」画面に入力を設けております。
本画面にて方向ごとの補正係数を入力してください。
251
第3章 Q&A
Q1ー4ー16
SL杭を選択したとき、常時,レベル1地震時の許容支持力を低減していないのはなぜか
A1-4ー16
本プログラムのSL杭の検討は、杭基礎設計便覧(H19.1)(P.430)「8.SL杭の設計計算例」を参照し作成したものです。
本文献では、
「SL杭は、杭に作用する負の周面摩擦力を低減するために、杭表面にすべり層材料を塗布したものであ
る。」のように、ネガティブフリクション対策杭を対象としています。
また、
・圧密沈下のように荷重の作用が遅い動きに対しては粘性体となり、せん断抵抗が小さくなって、負の周面摩擦力の低減
が可能となる。
・荷重が瞬間的に作用する場合には弾性体となり、大きなせん断抵抗が働く。
のように、圧密沈下のように除々に作用する荷重に対してのみ周面摩擦力を減じることができる杭とあります。
本プログラムでは、上記の考え方を参照し、通常の地震時等の照査では、施工工法に応じた支持力を発揮するものと考
えています。
ただし、この考え方は杭基礎設計便覧によるものです。
メーカ様の仕様によっては、常時や地震時において、通常の周面摩擦抵抗を期待できない可能性もあります。
よって、ご使用のパイルメーカ様の仕様をご確認いただき、常時や地震時においても周面摩擦力を低減する必要がある
のであれば、
「計算条件」-「入力条件」画面で「許容支持力・引抜力=直接入力」とした上で、
「予備計算・結果確認」-
「許容支持力」画面において、別途算出された許容支持力を直接入力してご検討ください。
Q1ー4ー17
地層-土質一覧-土質データで「最大周面摩擦力推定方法:粘着力C」としているが、土質データ②のf、fnはN値から推定
されている
A1-4ー17
砂質土を入力されていると思われます。
道示Ⅳ(P.362)表-解12.4.5より、粘着力による最大周面摩擦力度の推定は粘性土層に対するものと解釈し、砂質土につい
ては、本スイッチの選択にかかわらずN値から推定しております。
入力画面上のヘルプもあわせてご覧下さい。
砂質土層であっても粘着力から推定できるとお考えの場合、
「土質一覧」-「土質データ②」画面下部の『周面摩擦力』を
『入力』と選択し、最大周面摩擦力度を直接入力下さい。
Q1ー4ー18
直接基礎の極限支持力の計算で、設計条件-検討項目で設計要領「H12年」と「H18年」の計算内容の違いは
A1-4ー18
直接基礎の鉛直支持力照査における、地盤の極限支持力度,及び基礎の寸法効果に対する補正係数は、道示Ⅳ(H14.3),
設計要領第二集(H18.4)でその表現が異なり、それぞれ以下のようになります。
1)道示Ⅳにおける地盤の極限支持力度
Qd=α・κ・C・Nc・Sc+1/2・γ1・β・Be・Nγ・Sγ+κ・q・Nq・Sq
ここに、
Sc,Sq,Sr:支持力係数の寸法効果に関する補正係数
Sc=(c*)^λ
Sq=(q*)^ν
Sr=(B*)^μ
λ=ν=μ=-1/3
2)設計要領第二集における地盤の極限支持力度
qd=α・κ・C・Nc・(C*)^λ+1/2・β・γ・Be・Nr・(B*)^μ+κ・q・Nq・(q*)^ν
ここに、
λ,μ,ν:基礎の寸法効果に対する補正係数(=-1/3)
しかしながら、上記にてお分かりの通り、表現上の相違だけで両者の算式は一致しております。よって、計算内容に違いは
ございません。
また、
「道路橋示方書」と「設計要領」を選択した場合の入力内容の変化に関しましては、各入力画面より開くヘルプに、
それぞれが選択された場合に関する説明を記載しておりますので、そちらをご参照ください。
(該当箇所は赤文字でそれ
ぞれのタイトルが付けられております)
252
Q1ー4ー19
レベル1で液状化しないのに、
「予備計算」-「許容支持力・引抜力の計算」に液状化考慮の場合の計算結果が出力される
のはなぜか
A1-4ー19
本出力箇所において「液状化有」の場合の結果が出力されるのは、以下の条件がそろっている場合となります。
①「地層」-「低減係数」画面において、
「DE レベル1」にDE < 1.000となる層が1層でも存在している場合。(液状化
の判定を内部で行う場合も、DEを直接入力される場合も同様です)
②「計算条件」-「基本条件」画面において、常時,レベル1地震時の「液状化の影響」で『考慮』がチェックされている
場合。
恐らく基礎天端より上、または杭先端以降の層(基礎天端から杭先端までの間の層以外)にDE<1.000となる層が存在し
ているのではないかと思われます。
このような場合、基礎天端から杭先端までの間に液状化の影響を考慮すべき層が存在していないため、
「許容支持力の算
出値に液状化の影響は及ばないが、液状化する地層自体は存在している」という状態になり、上記の条件に該当するため
液状化有の結果も出力されます。
本件につきましては、
「計算条件」-「基本条件」画面において、常時,レベル1地震時の「液状化の影響」の『考慮』の
チェックを外す、もしくは、基礎天端から杭先端が存在する層以外の層の「DE レベル1」を1.000とご入
力いただくことでご対処いただきますようお願いいたします。
※基礎天端から杭先端が存在する層に対して、液状化の判定をプログラム側で行い内部計算されたDEを使用したい場合
は、以下の手順でご入力ください。
①「地層」-「計算条件」画面で、
「液状化の判定を行う」をチェックし、
『低減係数DE=内部計算』とする。
②同画面の「低減係数」タブを開き、基礎天端から杭先端が存在する層の「DEレベル1」が適切にセットされているか
確認する。
③再度「計算条件」タブに戻り、
『低減係数DE=入力値』に変更する。
(②でセットされていた値は保持されています)
④「低減係数」タブにおいて、基礎天端から杭先端が存在する層以外の層の「DEレベル1」を1.000とする。
Q1ー4ー20
周面摩擦力控除の入力はどこの項目で行うのか
A1-4ー20
[計算条件]-[設計条件]-[支持力・引抜力]の「押込支持力の周面摩擦力の控除範囲」より、適用基準における1・Dか入力
値で設定することが可能です。
Q1ー4ー21
周面摩擦力を直接入力したい
A1-4ー21
[地層]-[地層一覧]-[土質データ②]の「周面摩擦力(新設・既設杭)」を「入力」とすることで可能となります。
Q1ー4ー22
杭基礎支持力の計算で、砂質土N値が5未満で周面摩擦を無視(fi=0)として計算されているが、その根拠は何か
A1-4ー22
H24道示Ⅳ(P.140)で、N値が5未満となる軟弱層においては「標準貫入試験の結果からせん断強度を推定するのは適当
でない」との記載があります。そのような場合は粘着力から推定することができます(スイッチで選択)。
本記述は粘性土の場合ですが、砂質土の場合は常にN値から推定しているため、粘性土の粘着力のような代わりの指標
となるものがないため、N値が5未満の場合には最大周面摩擦力を0として設定しております。
軟弱層に関わらずN値より最大周面摩擦力を算定される場合は、
「地層」画面の「土質一覧」-「土質データ②」で『周面
摩擦力』の項目を『入力』に変更していただき、各層ごとに周面摩擦力を入力することでご対応ください。
Q1ー4ー23
鋼管ソイル杭は支持層に1.5Dsc=1500mm根入れされています。
杭先端部の摩擦無視長は、H24道路橋示方書より、1.5Dspと0.5Dscの合計だと思うのですが(1.2+0.5=1.7m)、
0.6+0.4=1.0mとなっています。
どのような設定になっていますか?
なお、杭長はソイルセメント先端までを想定しています。
A1-4ー23
平成24年道路橋示方書では、鋼管ソイルセメント杭の杭先端位置が、鋼管部先端に変更されましたので、入力する杭長
は鋼管部先端までとなります。
杭先端から控除する周面摩擦力も、この鋼管先端から1D分取ります。
(Dは、ソイルセメント柱径(道示Ⅳ(P.387)))
Q1ー4ー24
[地層]-[土質一覧]の「最大周面摩擦力推定方法」を変更したらレベル2地震時結果がOKからNGに変わった
A1-4ー24
本ケースの場合、周面摩擦力が変わる(小さくなる)ことで、レベル2地震時照査で、引抜き抵抗力の上限値に達する杭
が生じています。引抜き抵抗力は上限値に達しても基礎の降伏の判定には入っておりませんが、荷重分担が変わりますの
で、レベル2地震時照査結果に影響します。
253
第3章 Q&A
Q1ー4ー25
「負の周面摩擦力を考慮する」を選択しましたが結果に反映されません。どこに問題があるのか教えてください
A1-4ー25
負の周面摩擦力を考慮する場合は、次の3点の設定が必要です。
1)[計算条件]-[その他の条件]で「負の周面摩擦力」を「検討する」とする。
2)[地層]-[地層線]-[設計地盤面]で「中立点」を設定する(中立点以上が負の周面摩擦力を考慮する範囲となります)。
3)[作用力]-[荷重ケースの設定]で負の周面摩擦力を考慮する荷重ケース番号を入力する。
※その他の関係項目として[許容値]の「杭データ」があります。
※負の周面摩擦力に対する検討結果は、
「安定計算結果」の「負の周面摩擦力」を参照してください。
2-1-5 地盤反力係数、杭軸方向のバネ定数
Q1ー5ー1
任意の杭のバネ値を低減させて計算する方法はあるのか
A1-5ー1
水平方向地盤反力係数は、
「計算条件」-「入力条件」画面で「直接入力」としているとき、
①常時,レベル1地震時
「予備計算・結果確認」-「k値」画面
②レベル2地震時
「地盤データ」-「水平方向地盤反力係数」画面
にて入力することが可能です。
ただし、本プログラムでは、杭の条件(杭径、厚さ、杭長、斜角、先端バネ、地層、断面2次モーメント)が等しい杭を同一
タイプとし、各杭をタイプ分けして杭タイプ番号を割り振り、この杭タイプごとにバネ値の設定を可能としています。
よって、バネ値を変更したい杭を別タイプと判断されるよう設定することにより、この杭に対する修正を行うことが可能と
なります。
具体的には、次のように設定します。
1)
「杭配置」-「基本条件」画面で『杭径・杭長の変化=あり』と設定します。
2)変更したい杭の杭長を僅かに(0.01(m)程度)変更します。
3)上記①,②の画面にてバネ値を設定します。
Q1ー5ー2
群杭による低減係数を指定することはできるか
A1-5ー2
本プログラムでは、道示Ⅳ 12.4.4(2)(P.372)に示される、群杭効果による水平方向地盤反力係数の低減を考慮した安定計
算に対応できるよう、
「計算条件」-「設計条件」-「k値・Kv値」画面に『k値の補正係数μ』の入力を設けており、入力
された補正係数μを水平方向地盤反力係数に直接乗じて安定計算を行います。
ただし、杭中心間隔L,杭径Dからμを求めることはできません。別途算出された方向ごとの補正係数μを直接入力してく
ださい。
Q1ー5ー3
鋼管杭でKvを計算する際、鋼管肉厚が変化している場合、杭の断面積は杭頭(杭体第1断面)の断面積を使用してもよい
か
A1-5ー3
杭軸方向バネ定数Kvの算出に用いる杭の断面積は、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「杭バネ定数
の計算」-「(2)杭軸方向バネ定数」に記載しておりますように、常に杭頭(杭体第1断面)を用いて算出しております。
これは、次の理由によります。
道示Ⅳ12.6.1(P.374)に、
「打込み杭等のApは杭頭(上杭)の純断面積を採用している。」と記載されています。
また、
「鋼管杭基礎の設計と施工 道路橋示方書(平成14年3月版)改訂対応 (平成14年4月)鋼管杭協会」の設計例でも、
鋼管杭で中掘り杭工法(セメントミルク噴出攪拌方式)のKv算出において、
Ap:杭頭(上杭)の純断面積(腐食しろ考慮)
と記載されています。
上杭以外の断面積を用いて安定計算したい場合は、別途算出された杭軸方向バネ定数Kvを、
「予備計算・結果確認」-
「Kv値」画面に直接入力していただきますようお願いいたします。
254
Q1ー5ー4
STマイクロパイルで、突出長が存在する場合、杭軸方向鉛直バネ定数Kv算出に用いるLは地中部の杭長で計算している
のはなぜか
A1-5ー4
STマイクロパイルの対応時に参照した「既設基礎の耐震補強技術の開発に関する共同研究報告書(その3) STマイ
クロパイル工法(6冊分の3) 平成14年9月」において、杭軸方向鉛直バネ定数Kv算出に用いるLは、
「鋼管の根入れ長
で、フーチング下面から鋼管先端までの長さ(m)」と記載されております。
よって、本プログラムでは、根入れ長は地中部と判断し、地中部の杭長で計算しております。
2-1-6 杭配置
Q1ー6ー1
「杭縁端距離に誤りが有ります」という警告で「強行」しても問題ないか?
A1-6ー1
杭縁端距離のデータチェックは、杭径・杭長変化あり/なしで下記のように異なります。
■杭径・杭長変化なし、且つ、地層傾斜なし
「杭配置」-「寸法」画面で入力された『杭縁端距離』を用いてチェックを行っております。
■杭径・杭長変化あり、または、地層傾斜あり
全杭同一の杭径にならないケースがありますので、杭径・杭長変化なしのように『杭縁端距離』ではチェックせず、杭頭
座標を用い道示Ⅳ図-解12.3.1(P.352)より杭1本ごとにチェックを行っております。
上記道示には場所打ち杭の縁端距離は1.0Dと記載されておりますが、お送りいただいたデータの場合、1.0D=1.2(m)に
対して杭縁端距離=0.85(m)(=底版幅/2-最外縁杭座標)となりますので、お問合せのメッセージを表示しております。
なお、本プログラムの杭基礎の計算は、道示Ⅳ12.7(P.378~)に記述されている変位法により照査しており、杭1本ごとに着
目し、各杭の中心軸にてモデル化し計算しております。
杭ごとの相互作用は考慮しておらず、たとえ杭が重なっていたとしても計算することが可能ですが、十分な杭中心間隔を有
しないケースにおける計算結果の適用の是非につきましては、設計者の方のご判断により決定していただくようにしてお
り、
「杭配置」画面にて警告のみ表示し、
[強行]により計算可能としております。
Q1ー6ー2
盛りこぼし橋台において、盛土のN値の入力がないが、どのように取り扱っているのか?
A1-6ー2
盛りこぼし橋台の設計において、盛土部のN値は、地盤の変形係数Ekより自動設定しています。このため、任意の値を入
力することはできません。
これは、
「設計要領第二集 4章基礎構造(平成18年4月)NEXCO」(P4-52)の記述、
「良質な材料で十分な締固め施工を行
うことを前提に、N≒15程度の地盤が造成されることを想定して、
・・・Ek≒700N≒10000(kN/m2)程度としてよい。」を
参照し、盛土部の土質データの入力を、N値ではなく地盤の変形係数Ekの入力とし、
N=Ek/700
として算出した値を用いていることによります。ご了承ください。
Q1ー6ー3
「橋台の設計」と連動して増し杭工法による補強設計を行うとき、
「橋台の設計」側の計算書の「安定計算」-「作用力の
集計」-「(2)フーチング中心での作用力の集計」で出力している作用力の値と、
「基礎の設計計算,杭基礎の設計」側に連
動されている作用力の値が異なるのはなぜか
A1-6ー3
「基礎の設計計算,杭基礎の設計」では、増し杭工法時のとき、既設底版下面中心を杭頭座標の原点位置(X=0.000,Y
=0.000)としており、この位置における作用力を集計し、この位置における結果(原点変位)を算出しております。
これに対し、
「橋台の設計」で出力している作用力は、増設後の底版下面中心における作用力となります。
作用力の集計位置が異なることから、両者の作用力には相違が生じており、具体的には、鉛直力によるモーメント(=偏心
量×鉛直力)分の相違が生じます。
Q1ー6ー4
プレロードを行うケースと行わないケースで結果がほとんど同じである
A1-6ー4
プレロードを行う/行わないは、地盤変位荷重載荷時のみに影響します。
地盤変位荷重載荷時は、
・プレロードを行う場合:地盤変位による水平荷重を考慮
・プレロードを行わない場合:地盤変位による水平荷重と施工時地盤変位による水平荷重の1/2を考慮
となります。
なお、施工時地盤変位による水平荷重が小さい場合、プレロードを行う/行わないの結果は近い値になる場合がありま
す。
また、両者の杭体が塑性化した場合、
「計算・結果確認」-「レベル2地震時計算」-「一覧表」画面で表示される曲げモー
メントは殆ど同じ値になります。
255
第3章 Q&A
Q1ー6ー5
「地層最深≦設計杭長になっています。」という警告にはどのように対処したらよいか
A1-6ー5
本警告は、杭先端が入力された地層データの最下端より深くなっている場合に表示されます。
以下の手順により、正しくデータが設定されているかご確認ください。
1)
「地層」-「地層線」画面を開き、画面下部の「入力方法」を『標高入力』にします。
2)最下層の標高を確認します。
3)
「杭配置」-「基礎天端」画面の『基礎天端標高』を確認します。
4)3)の『基礎天端標高』と「杭配置」-「データ」画面の『設計杭長』から杭先端の標高を算出します。
5)上記2)の最下層の標高と、4)の杭先端標高を比較し、杭先端が層下端以深となっていないか確認し、層下端以深と
なっているのであればデータの修正を行います。
なお、地層傾斜を考慮する場合、または杭長の異なる杭が混在している場合、それぞれの杭について確認する必要があり
ます。
256
Q1ー4ー6
「杭配置」画面の「充填範囲」とは何か
A1-4ー6
充填範囲とは、既製杭(PHC杭,PC杭,RC杭)において、道示Ⅳ図-解12.9.9に示される杭内部に充填されるコンクリー
トの範囲を示しています。通常、2.5D(D:杭外径)以上の範囲に充填されます。
な お、本入力は、杭体のM-φ関係の算出に反映させており、道示Ⅳ(P.410)に記載されておりますように、中詰めコンク
リート充填部においては道示Ⅴ耐 震設計編10.4、一般部(杭の内部にコンクリートが充填されていない区間)においては
道示Ⅲコンクリート橋編4.2.4を適用しています。
Q1ー4ー7
場所打ち杭の時、
「杭配置」画面の『断面の変化』と「断面計算」-「使用鉄筋」画面」の『断面数』の入力があるが、どち
らの入力が適用されるのか
A1-4ー7
「杭配置」画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、場所打ち杭のときは、
「杭配置」画面の『断面の変化』スイッチ
は無効となり、
「断面計算」画面の断面数が有効となります。
ただし、全杭同一条件以外(地層傾斜あり,杭径・杭長変化あり,斜杭あり)の場合、且つ、
「計算条件」-「設計条件」-
「応力度照査」画面で『地層傾斜,杭径・杭長変化,斜杭あり時の杭体応力度計算方法=杭および断面を指定して計算』
のときは、
「杭配置」画面で設定した『断面の変化』が有効となります。
Q1ー4ー8
斜杭の杭長は、斜角を考慮した長さを入力するのか。斜角を考慮した実杭長が既知のときはどのように入力するのか
A1-4ー8
本プログラムの杭長の入力は、斜杭であっても、斜角を考慮しない鉛直方向での杭長を設定していただく仕様としてお
り、安定計算,杭体断面力の算出時、斜角を考慮した杭長をプログラム内部で算出しています。杭長の入力は斜角によらず
一定となることから、斜角を変更しても杭長を修正する必要はありません。
ただし、場合によっては、斜角を考慮した実杭長が既知の場合もあると考えられます。しかしながら、本プログラムでは、
このようなケースを想定しておりません。よって、このような場合、鉛直方向での杭長を逆算(=実杭長/cosθ)して求め、
この長さを入力してください。
Q1ー4ー9
H形鋼杭の腐食代を考慮した計算は可能か
A1-4ー9
本プログラムのH形鋼杭は、
「基準値」-「杭基礎」-「杭体データ」-「H形鋼杭」画面に日本工業規格の『JIS A 5526』
の諸元を初期設定しており、初期状態においては、本諸元を用いるようにしています。この場合、錆代を考慮しない断面諸
量が適用されます。
ただし、本プログラムでは、
「杭配置」-「錆代・変位量」画面の「断面諸量を計算する」をチェックすることにより、プロ
グラム内部にて断面諸量を算出することが可能です。この場合、錆代を設定すると、これを考慮した断面諸量が算出さ
れ、これを用いた照査が行われます。
錆代を考慮した断面諸量の算出方法については、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「H形鋼杭の断面
諸量」を参照して下さい。
Q1ー4ー10
「杭配置」-「杭 データ」の『せん断KS』、
『回転KR』にはどのような値を入力したらよいか
A1-4ー10
杭先端せん断バネ定数ks,回転バネ定数krは、
「計算条件」画面で「杭先端条件=バネ」と指 定された場合に入力可能
となります。
ここで入力されたバネ定数は、杭軸直角方向バネ定数K1~K4の算出に使用されます。
本プログラムでは、杭軸直角方向バネ定数K1~K4算出時、杭先端条件を次のように取り扱って おります。
・固定
水平,回転ともに拘束されている(杭先端で水平,回転変位が生じない)ものとして計算します。
・自由
水平,回転ともに拘束されていないものとして計算します。
・ヒンジ
水平方向が拘束され、回転は拘束されていないものとして計算します。
・バネ
杭先端が次の関係となるものとして計算し、これを想定しております。
せん断力=せん断バネ×水平変位
曲げモーメント=回転バネ×回転変位
(※このせん断バネ,回転バネが、お問合せのKS,KRとなります)
詳しくは、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「安定計算および杭体断面力の計算」
(1)杭体の断面力と変位の関係式
(2)杭先端条件と杭1本当たりのバネ値
をご参照ください。
Q1ー4ー11
同じ列の各々の杭に異なる斜角を持たせることはできるか
A1-4ー11
本プログラムでは、
「杭配置」-「基本条件」画面で『斜杭=あり』としたとき、同画面の「斜角」ページにて斜角を設定し
ますが、このときの斜杭の入力方法は、地層傾斜の有無,杭径・杭長変化の有無により異なり、それぞれ次のようになりま
す。
①地層傾斜,杭長・杭径の変化がいずれもない場合
各杭列ごとに斜角を設定します。よって、同列内に異なる角度を設定することはできません。
②地層傾斜あり,または杭長・杭径の変化がある場合
杭1本ごとに斜角を入力します。よって、全杭に対し異なる角度を設定することができます。
Q1ー4ー12
盛りこぼし橋台で「レベル2地震時の地盤抵抗の考え方」の地盤抵抗の非線形性の盛土部のスイッチを変更したが照査結
果が変わらない
A1-4ー12
盛土部が塑性化しない(地盤反力度が上限値に達しない)場合は、スイッチによる影響は生じません。
Q1ー4ー13
H形鋼杭の材質はSHK400,SKH490しか使用できないのか
A1-4ー13
対応材質はSHK400,SKH490のみとなります。他の材質を使用したい場合は、
「許容値」画面におきまして許容値を変更
していただくことでご対応ください。但し、名称等の変更はできません。
Q1ー4ー14
「杭配置」-「増し杭」-「杭配置」-「移動」で未確定状態の杭(+マーク)を任意の杭配置を行っても、配置状態が更新
されない
A1-4ー14
[杭配置]-[増し杭]-[杭配置]-[移動]でも杭の追加・削除が画面上では行えますが、実設定には反映できません。
「整形配置」タブで設定していただく必要があります。
Q1ー4ー15
杭の位置ごとに腐食代を設定するにはどうしたらよいか
A1-4ー15
杭の位置ごとの腐食代の設定は行えません。
ただし、鋼管杭では杭位置ごとに杭径を変更できますので、錆代を0として、錆代を控除した後の杭径と肉厚を設定する
ことで、同様の設定を行えます。
257
第3章 Q&A
Q1ー4ー16
SL杭を選択したとき、常時,レベル1地震時の許容支持力を低減していないのはなぜか
A1-4ー16
本プログラムのSL杭の検討は、杭基礎設計便覧(H19.1)(P.430)「8.SL杭の設計計算例」を参照し作成したものです。
本文献では、
「SL杭は、杭に作用する負の周面摩擦力を低減するために、杭表面にすべり層材料を塗布したものであ
る。」のように、ネガティブフリクション対策杭を対象としています。
また、
・圧密沈下のように荷重の作用が遅い動きに対しては粘性体となり、せん断抵抗が小さくなって、負の周面摩擦力の低減
が可能となる。
・荷重が瞬間的に作用する場合には弾性体となり、大きなせん断抵抗が働く。
のように、圧密沈下のように除々に作用する荷重に対してのみ周面摩擦力を減じることができる杭とあります。
本プログラムでは、上記の考え方を参照し、通常の地震時等の照査では、施工工法に応じた支持力を発揮するものと考
えています。
ただし、この考え方は杭基礎設計便覧によるものです。
メーカ様の仕様によっては、常時や地震時において、通常の周面摩擦抵抗を期待できない可能性もあります。
よって、ご使用のパイルメーカ様の仕様をご確認いただき、常時や地震時においても周面摩擦力を低減する必要がある
のであれば、
「計算条件」-「入力条件」画面で「許容支持力・引抜力=直接入力」とした上で、
「予備計算・結果確認」-
「許容支持力」画面において、別途算出された許容支持力を直接入力してご検討ください。
Q1ー4ー17
地層-土質一覧-土質データで「最大周面摩擦力推定方法:粘着力C」としているが、土質データ②のf、fnはN値から推定
されている
A1-4ー17
砂質土を入力されていると思われます。
道示Ⅳ(P.362)表-解12.4.5より、粘着力による最大周面摩擦力度の推定は粘性土層に対するものと解釈し、砂質土につい
ては、本スイッチの選択にかかわらずN値から推定しております。
入力画面上のヘルプもあわせてご覧下さい。
砂質土層であっても粘着力から推定できるとお考えの場合、
「土質一覧」-「土質データ②」画面下部の『周面摩擦力』を
『入力』と選択し、最大周面摩擦力度を直接入力下さい。
Q1ー4ー18
直接基礎の極限支持力の計算で、設計条件-検討項目で設計要領「H12年」と「H18年」の計算内容の違いは
A1-4ー18
直接基礎の鉛直支持力照査における、地盤の極限支持力度,及び基礎の寸法効果に対する補正係数は、道示Ⅳ(H14.3),
設計要領第二集(H18.4)でその表現が異なり、それぞれ以下のようになります。
1)道示Ⅳにおける地盤の極限支持力度
Qd=α・κ・C・Nc・Sc+1/2・γ1・β・Be・Nγ・Sγ+κ・q・Nq・Sq
ここに、
Sc,Sq,Sr:支持力係数の寸法効果に関する補正係数
Sc=(c*)^λ
Sq=(q*)^ν
Sr=(B*)^μ
λ=ν=μ=-1/3
2)設計要領第二集における地盤の極限支持力度
qd=α・κ・C・Nc・(C*)^λ+1/2・β・γ・Be・Nr・(B*)^μ+κ・q・Nq・(q*)^ν
ここに、
λ,μ,ν:基礎の寸法効果に対する補正係数(=-1/3)
しかしながら、上記にてお分かりの通り、表現上の相違だけで両者の算式は一致しております。よって、計算内容に違いは
ございません。
また、
「道路橋示方書」と「設計要領」を選択した場合の入力内容の変化に関しましては、各入力画面より開くヘルプに、
それぞれが選択された場合に関する説明を記載しておりますので、そちらをご参照ください。
(該当箇所は赤文字でそれ
ぞれのタイトルが付けられております)
258
Q1ー4ー19
レベル1で液状化しないのに、
「予備計算」-「許容支持力・引抜力の計算」に液状化考慮の場合の計算結果が出力される
のはなぜか
A1-4ー19
本出力箇所において「液状化有」の場合の結果が出力されるのは、以下の条件がそろっている場合となります。
①「地層」-「低減係数」画面において、
「DE レベル1」にDE < 1.000となる層が1層でも存在している場合。(液状化
の判定を内部で行う場合も、DEを直接入力される場合も同様です)
②「計算条件」-「基本条件」画面において、常時,レベル1地震時の「液状化の影響」で『考慮』がチェックされている
場合。
恐らく基礎天端より上、または杭先端以降の層(基礎天端から杭先端までの間の層以外)にDE<1.000となる層が存在し
ているのではないかと思われます。
このような場合、基礎天端から杭先端までの間に液状化の影響を考慮すべき層が存在していないため、
「許容支持力の算
出値に液状化の影響は及ばないが、液状化する地層自体は存在している」という状態になり、上記の条件に該当するため
液状化有の結果も出力されます。
本件につきましては、
「計算条件」-「基本条件」画面において、常時,レベル1地震時の「液状化の影響」の『考慮』の
チェックを外す、もしくは、基礎天端から杭先端が存在する層以外の層の「DE レベル1」を1.000とご入
力いただくことでご対処いただきますようお願いいたします。
※基礎天端から杭先端が存在する層に対して、液状化の判定をプログラム側で行い内部計算されたDEを使用したい場合
は、以下の手順でご入力ください。
①「地層」-「計算条件」画面で、
「液状化の判定を行う」をチェックし、
『低減係数DE=内部計算』とする。
②同画面の「低減係数」タブを開き、基礎天端から杭先端が存在する層の「DEレベル1」が適切にセットされているか
確認する。
③再度「計算条件」タブに戻り、
『低減係数DE=入力値』に変更する。
(②でセットされていた値は保持されています)
④「低減係数」タブにおいて、基礎天端から杭先端が存在する層以外の層の「DEレベル1」を1.000とする。
Q1ー4ー20
周面摩擦力控除の入力はどこの項目で行うのか
A1-4ー20
[計算条件]-[設計条件]-[支持力・引抜力]の「押込支持力の周面摩擦力の控除範囲」より、適用基準における1・Dか入力
値で設定することが可能です。
Q1ー4ー21
周面摩擦力を直接入力したい
A1-4ー21
[地層]-[地層一覧]-[土質データ②]の「周面摩擦力(新設・既設杭)」を「入力」とすることで可能となります。
Q1ー4ー22
杭基礎支持力の計算で、砂質土N値が5未満で周面摩擦を無視(fi=0)として計算されているが、その根拠は何か
A1-4ー22
H24道示Ⅳ(P.140)で、N値が5未満となる軟弱層においては「標準貫入試験の結果からせん断強度を推定するのは適当
でない」との記載があります。そのような場合は粘着力から推定することができます(スイッチで選択)。
本記述は粘性土の場合ですが、砂質土の場合は常にN値から推定しているため、粘性土の粘着力のような代わりの指標
となるものがないため、N値が5未満の場合には最大周面摩擦力を0として設定しております。
軟弱層に関わらずN値より最大周面摩擦力を算定される場合は、
「地層」画面の「土質一覧」-「土質データ②」で『周面
摩擦力』の項目を『入力』に変更していただき、各層ごとに周面摩擦力を入力することでご対応ください。
Q1ー4ー23
鋼管ソイル杭は支持層に1.5Dsc=1500mm根入れされています
A1-4ー23
杭先端部の摩擦無視長は、H24道路橋示方書より、1.5Dspと0.5Dscの合計だと思うのですが(1.2+0.5=1.7m)、
0.6+0.4=1.0mとなっています。
どのような設定になっていますか?
なお、杭長はソイルセメント先端までを想定しています。
平成24年道路橋示方書では、鋼管ソイルセメント杭の杭先端位置が、鋼管部先端に変更されましたので、入力する杭長
は鋼管部先端までとなります。
杭先端から控除する周面摩擦力も、この鋼管先端から1D分取ります。
(Dは、ソイルセメント柱径(道示Ⅳ(P.387)))
Q1ー4ー24
[地層]-[土質一覧]の「最大周面摩擦力推定方法」を変更したらレベル2地震時結果がOKからNGに変わった
A1-4ー24
本ケースの場合、周面摩擦力が変わる(小さくなる)ことで、レベル2地震時照査で、引抜き抵抗力の上限値に達する杭
が生じています。引抜き抵抗力は上限値に達しても基礎の降伏の判定には入っておりませんが、荷重分担が変わりますの
で、レベル2地震時照査結果に影響します。
259
第3章 Q&A
Q1ー4ー25
「負の周面摩擦力を考慮する」を選択しましたが結果に反映されません。どこに問題があるのか教えてください
A1-4ー25
負の周面摩擦力を考慮する場合は、次の3点の設定が必要です。
1)[計算条件]-[その他の条件]で「負の周面摩擦力」を「検討する」とする。
2)[地層]-[地層線]-[設計地盤面]で「中立点」を設定する(中立点以上が負の周面摩擦力を考慮する範囲となります)。
3)[作用力]-[荷重ケースの設定]で負の周面摩擦力を考慮する荷重ケース番号を入力する。
※その他の関係項目として[許容値]の「杭データ」があります。
※負の周面摩擦力に対する検討結果は、
「安定計算結果」の「負の周面摩擦力」を参照してください。
2-1-5 地盤反力係数、杭軸方向のバネ定数
Q1ー5ー1
任意の杭のバネ値を低減させて計算する方法はあるのか
A1-5ー1
水平方向地盤反力係数は、
「計算条件」-「入力条件」画面で「直接入力」としているとき、
①常時,レベル1地震時
「予備計算・結果確認」-「k値」画面
②レベル2地震時
「地盤データ」-「水平方向地盤反力係数」画面
にて入力することが可能です。
ただし、本プログラムでは、杭の条件(杭径、厚さ、杭長、斜角、先端バネ、地層、断面2次モーメント)が等しい杭を同一
タイプとし、各杭をタイプ分けして杭タイプ番号を割り振り、この杭タイプごとにバネ値の設定を可能としています。
よって、バネ値を変更したい杭を別タイプと判断されるよう設定することにより、この杭に対する修正を行うことが可能と
なります。
具体的には、次のように設定します。
1)
「杭配置」-「基本条件」画面で『杭径・杭長の変化=あり』と設定します。
2)変更したい杭の杭長を僅かに(0.01(m)程度)変更します。
3)上記①,②の画面にてバネ値を設定します。
Q1ー5ー2
群杭による低減係数を指定することはできるか
A1-5ー2
本プログラムでは、道示Ⅳ 12.4.4(2)(P.372)に示される、群杭効果による水平方向地盤反力係数の低減を考慮した安定計
算に対応できるよう、
「計算条件」-「設計条件」-「k値・Kv値」画面に『k値の補正係数μ』の入力を設けており、入力
された補正係数μを水平方向地盤反力係数に直接乗じて安定計算を行います。
ただし、杭中心間隔L,杭径Dからμを求めることはできません。別途算出された方向ごとの補正係数μを直接入力してく
ださい。
Q1ー5ー3
鋼管杭でKvを計算する際、鋼管肉厚が変化している場合、杭の断面積は杭頭(杭体第1断面)の断面積を使用してもよい
か
A1-5ー3
杭軸方向バネ定数Kvの算出に用いる杭の断面積は、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「杭バネ定数
の計算」-「(2)杭軸方向バネ定数」に記載しておりますように、常に杭頭(杭体第1断面)を用いて算出しております。
これは、次の理由によります。
道示Ⅳ12.6.1(P.374)に、
「打込み杭等のApは杭頭(上杭)の純断面積を採用している。」と記載されています。
また、
「鋼管杭基礎の設計と施工 道路橋示方書(平成14年3月版)改訂対応 (平成14年4月)鋼管杭協会」の設計例でも、
鋼管杭で中掘り杭工法(セメントミルク噴出攪拌方式)のKv算出において、
Ap:杭頭(上杭)の純断面積(腐食しろ考慮)
と記載されています。
上杭以外の断面積を用いて安定計算したい場合は、別途算出された杭軸方向バネ定数Kvを、
「予備計算・結果確認」-
「Kv値」画面に直接入力していただきますようお願いいたします。
260
Q1ー5ー4
STマイクロパイルで、突出長が存在する場合、杭軸方向鉛直バネ定数Kv算出に用いるLは地中部の杭長で計算している
のはなぜか
A1-5ー4
STマイクロパイルの対応時に参照した「既設基礎の耐震補強技術の開発に関する共同研究報告書(その3) STマイ
クロパイル工法(6冊分の3) 平成14年9月」において、杭軸方向鉛直バネ定数Kv算出に用いるLは、
「鋼管の根入れ長
で、フーチング下面から鋼管先端までの長さ(m)」と記載されております。
よって、本プログラムでは、根入れ長は地中部と判断し、地中部の杭長で計算しております。
2-1-6 杭配置
Q1ー6ー1
「杭縁端距離に誤りが有ります」という警告で「強行」しても問題ないか?
A1-6ー1
杭縁端距離のデータチェックは、杭径・杭長変化あり/なしで下記のように異なります。
■杭径・杭長変化なし、且つ、地層傾斜なし
「杭配置」-「寸法」画面で入力された『杭縁端距離』を用いてチェックを行っております。
■杭径・杭長変化あり、または、地層傾斜あり
全杭同一の杭径にならないケースがありますので、杭径・杭長変化なしのように『杭縁端距離』ではチェックせず、杭頭
座標を用い道示Ⅳ図-解12.3.1(P.352)より杭1本ごとにチェックを行っております。
上記道示には場所打ち杭の縁端距離は1.0Dと記載されておりますが、お送りいただいたデータの場合、1.0D=1.2(m)
に対して杭縁端距離=0.85(m)(=底版幅/2-最外縁杭座標)となりますので、お問合せのメッセージを表示しておりま
す。
なお、本プログラムの杭基礎の計算は、道示Ⅳ12.7(P.378~)に記述されている変位法により照査しており、杭1本ごとに
着目し、各杭の中心軸にてモデル化し計算しております。
杭ごとの相互作用は考慮しておらず、たとえ杭が重なっていたとしても計算することが可能ですが、十分な杭中心間隔を有
しないケースにおける計算結果の適用の是非につきましては、設計者の方のご判断により決定していただくようにしてお
り、
「杭配置」画面にて警告のみ表示し、
[強行]により計算可能としております。
Q1ー6ー2
盛りこぼし橋台において、盛土のN値の入力がないが、どのように取り扱っているのか?
A1-6ー2
盛りこぼし橋台の設計において、盛土部のN値は、地盤の変形係数Ekより自動設定しています。このため、任意の値を入
力することはできません。
これは、
「設計要領第二集 4章基礎構造(平成18年4月)NEXCO」(P4-52)の記述、
「良質な材料で十分な締固め施工を行
うことを前提に、N≒15程度の地盤が造成されることを想定して、
・・・Ek≒700N≒10000(kN/m2)程度としてよい。」を
参照し、盛土部の土質データの入力を、N値ではなく地盤の変形係数Ekの入力とし、
N=Ek/700
として算出した値を用いていることによります。ご了承ください。
Q1ー6ー3
「橋台の設計」と連動して増し杭工法による補強設計を行うとき、
「橋台の設計」側の計算書の「安定計算」-「作用力の
集計」-「(2)フーチング中心での作用力の集計」で出力している作用力の値と、
「基礎の設計計算,杭基礎の設計」側に連
動されている作用力の値が異なるのはなぜか
A1-6ー3
「基礎の設計計算,杭基礎の設計」では、増し杭工法時のとき、既設底版下面中心を杭頭座標の原点位置(X=0.000,Y
=0.000)としており、この位置における作用力を集計し、この位置における結果(原点変位)を算出しております。
これに対し、
「橋台の設計」で出力している作用力は、増設後の底版下面中心における作用力となります。
作用力の集計位置が異なることから、両者の作用力には相違が生じており、具体的には、鉛直力によるモーメント(=偏
心量×鉛直力)分の相違が生じます。
Q1ー6ー4
プレロードを行うケースと行わないケースで結果がほとんど同じである
A1-6ー4
プレロードを行う/行わないは、地盤変位荷重載荷時のみに影響します。
地盤変位荷重載荷時は、
・プレロードを行う場合:地盤変位による水平荷重を考慮
・プレロードを行わない場合:地盤変位による水平荷重と施工時地盤変位による水平荷重の1/2を考慮
となります。
なお、施工時地盤変位による水平荷重が小さい場合、プレロードを行う/行わないの結果は近い値になる場合がありま
す。
また、両者の杭体が塑性化した場合、
「計算・結果確認」-「レベル2地震時計算」-「一覧表」画面で表示される曲げ
モーメントは殆ど同じ値になります。
261
第3章 Q&A
Q1ー6ー5
「地層最深≦設計杭長になっています。」という警告にはどのように対処したらよいか
A1-6ー5
本警告は、杭先端が入力された地層データの最下端より深くなっている場合に表示されます。
以下の手順により、正しくデータが設定されているかご確認ください。
1)
「地層」-「地層線」画面を開き、画面下部の「入力方法」を『標高入力』にします。
2)最下層の標高を確認します。
3)
「杭配置」-「基礎天端」画面の『基礎天端標高』を確認します。
4)3)の『基礎天端標高』と「杭配置」-「データ」画面の『設計杭長』から杭先端の標高を算出します。
5)上記2)の最下層の標高と、4)の杭先端標高を比較し、杭先端が層下端以深となっていないか確認し、層下端以深と
なっているのであればデータの修正を行います。
なお、地層傾斜を考慮する場合、または杭長の異なる杭が混在している場合、それぞれの杭について確認する必要があり
ます。
262
Q1ー6ー6
「杭配置」画面の「充填範囲」とは何か
A1-6ー6
充填範囲とは、既製杭(PHC杭,PC杭,RC杭)において、道示Ⅳ図-解12.9.9に示される杭内部に充填されるコンクリー
トの範囲を示しています。通常、2.5D(D:杭外径)以上の範囲に充填されます。
な お、本入力は、杭体のM-φ関係の算出に反映させており、道示Ⅳ(P.410)に記載されておりますように、中詰めコンク
リート充填部においては道示Ⅴ耐 震設計編10.4、一般部(杭の内部にコンクリートが充填されていない区間)においては
道示Ⅲコンクリート橋編4.2.4を適用しています。
Q1ー6ー7
場所打ち杭の時、
「杭配置」画面の『断面の変化』と「断面計算」-「使用鉄筋」画面」の『断面数』の入力があるが、どち
らの入力が適用されるのか
A1-6ー7
「杭配置」画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、場所打ち杭のときは、
「杭配置」画面の『断面の変化』スイッチ
は無効となり、
「断面計算」画面の断面数が有効となります。
ただし、全杭同一条件以外(地層傾斜あり,杭径・杭長変化あり,斜杭あり)の場合、且つ、
「計算条件」-「設計条件」-
「応力度照査」画面で『地層傾斜,杭径・杭長変化,斜杭あり時の杭体応力度計算方法=杭および断面を指定して計算』
のときは、
「杭配置」画面で設定した『断面の変化』が有効となります。
Q1ー6ー8
斜杭の杭長は、斜角を考慮した長さを入力するのか。斜角を考慮した実杭長が既知のときはどのように入力するのか
A1-6ー8
本プログラムの杭長の入力は、斜杭であっても、斜角を考慮しない鉛直方向での杭長を設定していただく仕様としてお
り、安定計算,杭体断面力の算出時、斜角を考慮した杭長をプログラム内部で算出しています。杭長の入力は斜角によらず
一定となることから、斜角を変更しても杭長を修正する必要はありません。
ただし、場合によっては、斜角を考慮した実杭長が既知の場合もあると考えられます。しかしながら、本プログラムでは、
このようなケースを想定しておりません。よって、このような場合、鉛直方向での杭長を逆算(=実杭長/cosθ)して求め、
この長さを入力してください。
Q1ー6ー9
H形鋼杭の腐食代を考慮した計算は可能か
A1-6ー9
本プログラムのH形鋼杭は、
「基準値」-「杭基礎」-「杭体データ」-「H形鋼杭」画面に日本工業規格の『JIS A 5526』
の諸元を初期設定しており、初期状態においては、本諸元を用いるようにしています。この場合、錆代を考慮しない断面諸
量が適用されます。
ただし、本プログラムでは、
「杭配置」-「錆代・変位量」画面の「断面諸量を計算する」をチェックすることにより、プロ
グラム内部にて断面諸量を算出することが可能です。この場合、錆代を設定すると、これを考慮した断面諸量が算出さ
れ、これを用いた照査が行われます。
錆代を考慮した断面諸量の算出方法については、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「H形鋼杭の断面
諸量」を参照して下さい。
Q1ー6ー10
「杭配置」-「杭 データ」の『せん断KS』、
『回転KR』にはどのような値を入力したらよいか
A1-6ー10
杭先端せん断バネ定数ks,回転バネ定数krは、
「計算条件」画面で「杭先端条件=バネ」と指 定された場合に入力可能
となります。
ここで入力されたバネ定数は、杭軸直角方向バネ定数K1~K4の算出に使用されます。
本プログラムでは、杭軸直角方向バネ定数K1~K4算出時、杭先端条件を次のように取り扱って おります。
・固定
水平,回転ともに拘束されている(杭先端で水平,回転変位が生じない)ものとして計算します。
・自由
水平,回転ともに拘束されていないものとして計算します。
・ヒンジ
水平方向が拘束され、回転は拘束されていないものとして計算します。
・バネ
杭先端が次の関係となるものとして計算し、これを想定しております。
せん断力=せん断バネ×水平変位
曲げモーメント=回転バネ×回転変位
(※このせん断バネ,回転バネが、お問合せのKS,KRとなります)
詳しくは、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「安定計算および杭体断面力の計算」
(1)杭体の断面力と変位の関係式
(2)杭先端条件と杭1本当たりのバネ値
をご参照ください。
Q1ー6ー11
同じ列の各々の杭に異なる斜角を持たせることはできるか
A1-6ー11
本プログラムでは、
「杭配置」-「基本条件」画面で『斜杭=あり』としたとき、同画面の「斜角」ページにて斜角を設定し
ますが、このときの斜杭の入力方法は、地層傾斜の有無,杭径・杭長変化の有無により異なり、それぞれ次のようになりま
す。
①地層傾斜,杭長・杭径の変化がいずれもない場合
各杭列ごとに斜角を設定します。よって、同列内に異なる角度を設定することはできません。
②地層傾斜あり,または杭長・杭径の変化がある場合
杭1本ごとに斜角を入力します。よって、全杭に対し異なる角度を設定することができます。
Q1ー6ー12
盛りこぼし橋台で「レベル2地震時の地盤抵抗の考え方」の地盤抵抗の非線形性の盛土部のスイッチを変更したが照査結
果が変わらない
A1-6ー12
盛土部が塑性化しない(地盤反力度が上限値に達しない)場合は、スイッチによる影響は生じません。
Q1ー6ー13
H形鋼杭の材質はSHK400,SKH490しか使用できないのか
A1-6ー13
対応材質はSHK400,SKH490のみとなります。他の材質を使用したい場合は、
「許容値」画面におきまして許容値を変更
していただくことでご対応ください。但し、名称等の変更はできません。
Q1ー6ー14
「杭配置」-「増し杭」-「杭配置」-「移動」で未確定状態の杭(+マーク)を任意の杭配置を行っても、配置状態が更新
されない
A1-6ー14
[杭配置]-[増し杭]-[杭配置]-[移動]でも杭の追加・削除が画面上では行えますが、実設定には反映できません。
「整形配置」タブで設定していただく必要があります。
Q1ー6ー15
杭の位置ごとに腐食代を設定するにはどうしたらよいか
A1-6ー15
杭の位置ごとの腐食代の設定は行えません。
ただし、鋼管杭では杭位置ごとに杭径を変更できますので、錆代を0として、錆代を控除した後の杭径と肉厚を設定する
ことで、同様の設定を行えます。
263
第3章 Q&A
2-1-7 突出部の水平
2-1-8 底版前面水平抵抗
Q1ー8ー1
底版前面水平抵抗を考慮した常時,レベル1地震時の安定計算において、底版前面の受働土圧強度は計算にどのように反
映しているのか
A1-8ー1
本プログラムの底版前面水平抵抗を考慮した計算は、道示Ⅳ12.8(P.382~)を参照し作成しています。
具体的には、
「杭配置」-「水平抵抗」画面で入力された層厚,常時/地震時ごとのバネ値を用いて、道示Ⅳ(P.383)(解
12.8.3)より、底版前面のバネによる剛性行列を算出し、道示Ⅳ12.7(P.380)(解12.7.2)の杭基礎の剛性行列に加味して杭
基礎の計算を行います。
(※実際には、kH が一定あるいは台形分布であっても適用できるよう道示の算式を拡張してい
ます。)
ここで、道示Ⅳ(P.383)では、根入れ部の地盤反力度(=水平変位×水平方向地盤反力係数)が抵抗受働土圧強度を超え
ないことを確認するように記述されています。
このため、本プログラムでは、受働土圧強度を入力していただき、計算書の「安定計算」-「底版前面水平抵抗」の「判定
結果」において、塑性域が生じたか否か(根入れ部の地盤反力度が受働土圧強度に達したか否か)を出力しています。
具体的には、塑性域が生じていなければ「全弾性」,部分的に塑性域が生じた場合は「弾塑性」,底版前面の全範囲が塑
性化した場合は「全塑性」と出力しています。
なお、塑性域が生じた場合(「弾塑性」,
「全塑性」となる場合)、本プログラムでは、ヘルプの「計算理論及び照査の方
法」-「杭基礎」-「安定計算および杭体断面力の計算」の「(4)フーチングの前面水平抵抗力」に記載しておりますよう
に、弾塑性を考慮した計算を行っています。
具体的には、繰り返し計算により弾塑性の境界点を求め、弾性域は(解12.8.3)による剛性行列の補正を、塑性域は(解
12.8.3)を適用することができないことから抵抗受働土圧による底版下面の水平力,モーメント(作用力の補正値)を算出
し、これを基礎に作用する荷重に加味して計算しています。
ただし、前述の通り、道示では、根入れ部の地盤反力度が抵抗受働土圧強度を超えないよう記述されています。
上記の弾塑性解析結果を採用するか否かは、設計者ご判断としてください。
Q1ー8ー2
段差フーチングの下段に水平土圧はかかっていますか
A1-8ー2
段差フーチングの各段差部分に水平土圧は考慮しておりません。
Q1ー8ー3
杭基礎設計計算について教えてください
A1-8ー3
現在添付ファイルに示す様な橋脚の設計を行っています。
「杭基礎-設計条件」のなかで「常時,L1地震時」「L2地震時」のそれぞれで「底版前面水平抵抗」のスイッチがあります
が、通常の設計では「考慮」
「無視」のどちらにすべきでしょうか?
また上記の判断ができる「書籍等の記述」はありますでしょうか?
■常時、レベル1について
「道路橋示方書Ⅳ下部構造編(平成24年3月)」(p.416~)「12.8 特殊な条件における杭基礎の設計」(1)フーチング根入
れ部の水平抵抗を考慮する杭基礎
■レベル2について
「道路橋示方書Ⅳ下部構造編(平成24年3月)」(p.435~)※ページの下から5行部分
恐れ入りますが、上記をご確認いただき、ご判断くださいますようお願いいたします。
2-1-9 安定計算(杭反力、変位)
264
Q1ー9ー1
液状化の低減係数を入力した場合、レベル1地震時の安定計算では、低減係数を無視した(液状化しないケース)場合の
計算を行わないのか?
A1-9ー1
本プログラムのレベル1地震時の安定計算では、
「地層」-「低減係数」画面で入力された『DEレベル1』値を常に用いて
計算しており(レベル1地震時の周面摩擦力およびkH値に乗じています)、液状化を無視する,考慮するといった選択は
設けておりません。
おそれいりますが、レベル1地震時で液状化を考慮しない場合、上記画面の『DEレベル1』値に全層1.0を、考慮する場合
は該当する層に1.0以外を入力ください。
Q1ー9ー2
底版形状は常に入力する必要があるか?
A1-9ー2
本プログラムの杭基礎の安定計算は、基礎天端(杭頭)から杭先端までをモデル化して照査しており、底版形状は計算に
影響を与えません。
底版形状は、
・常時,レベル1地震時の作用力自動計算
・底版照査(許容応力度法,レベル2地震時)
・「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(杭基礎)」画面の『作用力計算』ボタンによる底版下面中心における鉛直力
の算出
・「底版前面水平抵抗」画面の[データ連動]
に用いており、これらの照査を行わない場合、入力の必要はありません。
なお、上記計算のする/しないは、
「計算条件」-「基本条件」画面で選択してください。
Q1ー9ー3
温度変化時に対して、安定計算を行わず部材照査のみを行いたい
A1-9ー3
本プログラムでは、Ver.7.02.00において、
「作用力」-「荷重ケースごとの設定」画面の「安定照査をする」を設定すること
により、荷重ケースごとに基礎の安定性の照査を行うか否かを指定できるよう拡張しております。
本機能は、道示Ⅳ3.2(P.140)の「温度変化時の影響によって基礎は不安定にならないと考えられることから、基礎本体部
材の安全性の照査のみ行えばよい場合が多い。」の記述を参照し対応したもので、上記の「安定照査をする」のチェック
を外した場合、基礎の水平変位や鉛直反力等は算出されますが、制限値(許容支持力や許容変位)に対する判定は行わ
ず、また出力もされません。
Q1ー9ー4
杭径や杭長の異なる杭が混在しているとき、常時,レベル1地震時の安定照査は、どの杭に着目して行っているのか
A1-9ー4
全杭同一条件(全杭の杭径・杭長が同一で水平地盤)であれば、全杭の設計地盤面変位は同値となり、また、押込み側の
最前列の杭鉛直反力が最大,引抜き側の最後列が最小となるため、この杭に着目して安定照査(支持力照査)を行えばよ
いことになりますが、地層傾斜や杭長・杭径の異なる杭が混在する条件のとき、許容値に対してどの杭が厳しくなるか一
概に判断することはできません。
したがって、本プログラムでは、杭1本ごとに水平変位,杭頭反力を算出し、算出された水平変位,杭頭反力に対し、
・|PNmax/Ra|
・|PNmin/Pa|
・|δ/δa|
ここに、
PNmax:最大杭鉛直反力(kN)
Ra :許容支持力(kN)
PNmin :最小杭鉛直反力(kN)
Pa :許容引抜力(kN)
δfx :設計地盤面における水平変位(mm)
δa :許容変位量(mm)
のように、許容値に対する比(許容比)を算出し、全杭の中から最大許容比となる杭の結果を出力しています。
計算書の「基礎杭計算結果一覧表」あるいは「結果一覧の出力」-「安定計算・杭体応力度」の出力結果がこれに該当し
ます。また、設計調書の出力も同様です。
これに対し、計算書の「安定計算」-「杭反力および変位の計算」では、杭ごとの結果を出力(ただし同結果となる杭は代
表となる杭のみ出力)しており、抽出前の各杭の結果を確認することができるようにしています。
なお、上記の抽出方法は、
「計算条件」-「設計条件」-「その他の条件」画面の『抽出方法』の選択により、
・計算値と許容値の比(計算値/許容応力度)
・計算値と許容値の差(計算値-許容応力度)
から選択することができるようにしています。
265
第3章 Q&A
Q1ー9ー5
杭頭条件を「剛結・ヒンジ」と指定しても安定計算結果には剛結時のみが出力されている。杭頭ヒンジの安定計算結果は
出力しないのか
A1-9ー5
常時,暴風時及びレベル1地震時の杭基礎の安定照査(安定計算)は、道示Ⅳ12.1(P.348)のとおり、
1)杭の軸方向反力が許容支持力以下であること
2)設計地盤面変位が許容変位以下であること
を照査しておりますが、本照査は、同解説「・・・杭の頭部をフーチングと剛結合する杭基礎を対象とする。」のとおり、杭
頭剛結を対象としています。
道示Ⅳ12.9(P.388)において、
「杭頭剛結合であっても、杭頭ヒンジ結合と仮定した場合の曲げモーメントと比較して、そ
の大きい方で設計するものとする。」と記載されており、杭頭ヒンジと仮定した場合の照査も行うよう記載さ れています
が、本プログラムでは、本解説は杭体断面照査を目的としたもので、上記の安定計算は対象外であると判断しています。
よって、安定計算の結果出力を行うことを目的とした計算書の「安定計算」には、剛結時の結果のみを出力しています。
ただし、計算書の[プレビュー]ボタンのある「出力項目の設定/選択」画面にお いて、
『杭頭ヒンジの出力=する』と選
択しプレビューすることにより、杭頭ヒンジ時の結果出力(水平変位および杭頭反力等)も行っており、杭体断面照査に用
いる断面力の算出根拠として確認できるようにしています。
Q1ー9ー6
作用力自動計算において、底版の慣性力が考慮されない
A1-9ー6
作用力入力画面上の[ヘルプ]の『■柱下端作用力』に記載しておりますように、
「柱下端作用力」タブの『慣性力』欄に、
慣性力の有無および向きを入力していただくようにしております。
地震時ケースに対して、慣性力=1(正方向)または2(負方向)を設定して下さい。
Q1ー9ー7
結果一覧の安定計算,部材計算の出力では、どのような方法により複数の荷重ケースから出力ケースを決定しているのか
A1-9ー7
結果一覧の安定計算,部材計算の出力は、それぞれの出力項目ごとに、許容値に対する計算値が最も厳しくなる荷重ケー
スを1つ抽出し、この荷重ケースの結果を出力しています。
例えば、安定計算においては、全荷重ケースについて、
(1)変位/許容変位量
(2)最大反力/許容支持力
(3)最小反力/許容引抜力
を求め、これらの許容比が最大となる荷重ケースを判定し、この荷重ケースの変位,最大反力,最小反力等を出力します。
変位,最大反力,最小反力ごとに最も厳しくなる値を抽出しているわけではないため、現行では、変位,最大反力,最小反
力それぞれが最も厳しい値とはならないこともあります。
杭体応力度やその他の部材計算結果についても同様です。
Q1ー9ー8
杭を1本抜いた場合、2.5次元解析では杭頭の鉛直反力と水平反力はどのように算出されるのか
A1-9ー8
杭頭鉛直反力は、道示Ⅳ12.7(P.380)(解12.7.3)より、次のように算出されます。
PNi = Kv・δyiʼ
ここに、
PNi :杭軸方向反力(kN)
Kv:杭の軸方向バネ定数(kN/m)
δyiʼ:杭頭軸方向変位(m)
座標原点に対して左右対称に杭が配置されている場合、鉛直力のみを載荷すると、基礎は一様に沈み込むため、杭軸方
向変位δyiʼは全杭とも同一となり、全杭の杭頭鉛直反力PNiも同一となります。
これに対し、1本でも杭が抜けていると、鉛直反力のみを載荷したとしても、基礎全体に回転が生じます。このため、各杭
の杭軸方向変位δyiʼは座標原点位置からの距離に応じて異なり、回転側の杭頭鉛直反力は大きく、反対側の杭頭鉛直反
力は小さくなります。
これに対し、杭の水平変位はどうでしょうか。
道示では、フーチングを剛体と仮定しています。フーチングは変形しないものと仮定していることから、剛体であるフーチ
ングに付けられた杭の変位は全杭同一となり、杭ごとに変わるわけではありません。
なお、2.5次元解析の場合の杭の変位δは、
δ=√(δy^2+δx^2)
ここに、
δy:y方向の変位
δx:x方向の変位
としています。
また、杭頭水平反力は、(解12.7.3)より、
PHi = K1・δxiʼ - K2・α
ここに、
K1, K2:杭の軸直角方向バネ定数
δxiʼ:杭頭の軸直角方向変位
α:フーチングの回転角
266
として求まります(2.5次元解析の場合は本式と異なりますが、簡単のため上記式を用いて説明します。)
K1,K2は、杭体の曲げ剛性や水平方向地盤反力係数kH分布および杭先端条件より求まる杭頭の集約バネのことで、杭体
諸元や地盤条件が同一であれば同じ値となります。
また、上記のとおり、杭頭の水平変位δxiʼは全杭同一です。
フーチングの回転角αについても、剛体と仮定していることから、全杭の杭頭位置での回転角は同一です。
つまり、全杭の条件で同一であれば、K1もK2もδxiʼもαも同値となるため、全杭の杭頭水平反力は同値となることを示して
います。
以上より、杭が1本抜けることにより基礎の回転が生じる状態となったとしても、杭頭水平反力は杭ごとに異なる結果とは
なりません。
Q1ー9ー9
道示Ⅳ(P.245)において、橋台基礎の場合、常時の許容変位量は15(mm)と記載されているが地震時はどうしたらよいか
A1-9ー9
道示Ⅳ(P.245)において、橋台基礎の場合、常時について記載されておりますが地震時については記載されておりませ
ん。
よって、地震時の場合は、
(1)原則として基礎幅の1%とする。
(2)基礎幅>5.0(m)の場合は50(mm)とする。
(3)杭径1.5(m)以下は15(mm)とする。
でよろしいのではと思われます。
なお、杭基礎設計便覧の表-参.5.6(P.395)において、深礎基礎についてですが、橋台基礎のレベル1地震時は橋脚基礎と
同じ許容変位
量をする旨が記載されております。
Q1ー9ー10
杭反力が引抜き力(マイナス)となる場合、杭反力は周面摩擦力による引抜き抵抗力を加味した値となるのか
A1-9ー10
道路橋示方書Ⅳ下部構造編(H24.3)(P.271)の表-解9.2.2の鉛直支持の照査位置や、(P.436)の解析モデルを参照していた
だいても分かりますように、底版下面位置にKvを設置したモデルを用いております。
そのため杭頭反力は、底版下面位置Kvと鉛直変位から算定したものとなります。
杭頭鉛直反力 Pv = Kv×δy
この値には、周面摩擦力などの影響は含まれません。
Q1ー9ー11
杭頭剛結と杭頭ヒンジで水平反力が同じにならないのはなぜか
A1-9ー11
本ケースの橋軸方向には斜杭が付いております。
斜杭の場合は、水平変位が鉛直変位による杭軸直角方向成分が変わるために、直杭と同じとはなりません。
Q1ー9ー12
モーメントの方向と杭の鉛直反力の大小関係が逆になっている
A1-9ー12
本ケースは、杭群図心位置が底版中心位置とずれているために、(鉛直荷重)×(偏心量)だけのモーメントが発生し、杭群図
心位置では、入力値とは逆向きのモーメントとなっています。
267
第3章 Q&A
2-1-10 断面変化の扱い
Q1ー10ー1
断面変化位置の決定方法として次の2つがあるが、これらの選択肢が設けられている理由は?
A1-10ー1
・全ケースの最下位置の荷重ケース
・第1断面の最大許容応力度比の荷重ケース
本プログラムの断面変化位置は、
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」を参照し、第2断面変化位置
は最大曲げモーメントの1/2となる位置(1/2Mmax点)、第3断面位置は設定された最小鉄筋量に対する抵抗曲げモーメン
トと設計曲げモーメントとの交点位置としております。
しかしながら、上記文献では、複数の荷重ケースが存在するとき、どのケースの結果を適用すればよいか、規定あるいは
目安等はいずれも示されておりません。
このため、本プログラムでは、初期版より、荷重ケースごとに変化位置を求め、全荷重ケースのうち最も深い位置を各断面
の変化位置と設定する仕様としておりました。
その後、断面変化位置の決定方法,考え方について、多数のユーザ様より、様々なご意見をいただきました。
その中で、最大曲げモーメントにて求まった応力度比(応力度と許容応力度の比)が最も大きくなるケースの断面変化位
置を、第2,第3断面変化位置とする方法が最も適切ではないかと考え、
「基礎の設計計算Ver.5(Ver.5.00.00)」におい
て、この方法を追加し、
「断面計算」画面に選択を設けました。
このような経緯にて2種類の選択を設けておりますが、依然として、各種文献,基準類には明確な決定方法が示されてお
りません。
よって、どちらの決定方法を採用されるかにつきましては、おそれいりますが、設計者の方のご判断として決定してくださ
いますようお願いいたします。
2-1-11 杭体断面力、断面計算
Q1ー11ー1
PHC杭の許容せん断応力度が入力値と計算書で異なる
A1-11ー1
ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「杭体の断面計算と杭の断面諸定数の取扱い」に記載しております
ように、PHC杭の許容せん断応力度は、
τa1ʼ=CN・τa
ここに、
τa1ʼ:軸方向圧縮力により補正された許容せん断応力度(N/mm2)
CN:軸方向圧縮力による補正係数
τa:許容応力度の割増係数を考慮した「許容値」画面の許容せん断応力度(N/mm2)
により算出しており、軸方向圧縮力による割増係数CNを考慮しております。
Q1ー11ー2
2.5次元解析時の杭体モーメントが正値側しか図化されないのはなぜか?
A1-11ー2
2.5次元解析における杭体モーメント分布は、常に正値として描画されます。
これは、2.5次元解析時の杭体モーメント分布を、Y軸回りのモーメントMy,X軸回りのモーメントMxを合成し、
M=√(My^2+Mx^2)
(”^”はべき乗を示しています)
として図化していることによります。せん断力,水平変位についても同様です。
ここで、2.5次元解析では、道路橋示方書に記述されている2次元構造物として三元連立方程式を解く方法を拡張し、
V :鉛直力(kN)
Hx:X方向水平力(kN)
Hy:Y方向水平力(kN)
My:Y軸回りモーメント(kN・m)
Mx:X軸回りモーメント(kN・m)
として、両方向の作用力を考慮した計算を行うため、
PN :杭頭杭軸方向反力(kN)
PHx:X方向の杭頭水平反力(kN)
PHy:Y方向の杭頭水平反力(kN)
MTy:Y軸回りの杭頭モーメント(kN・m)
MTx:X軸回りの杭頭モーメント(kN・m)
のように、両方向の杭頭反力が算出されます。地中部の杭体断面力も同様です。
したがって、本プログラムでは、両方向の杭体断面力および水平変位分布を合成して図化,結果出力を行っています。
X方向/Y方向ごとに曲げモーメントが生じるケースを考えると、合成された曲げモーメントの方向は深度とともに変化し
一定しないため、2.5次元解析時には、現行のように、合成して出力する仕様としています。
268
Q1ー11ー3
SC杭+PHC杭のとき、負の周面摩擦力の検討はPHC杭に対してのみ行っているのか?
A1-11ー3
負の周面摩擦力の杭体応力度の検討は、道示Ⅳ12.4.3(P.366)(解12.4.3)を基本として照査しており、中立点を定義してい
ただき、この中立点に作用する負の周面摩擦力,死荷重反力,および中立点より上方の杭の有効重量を用いて許容応力度
に対する検討を行います。
一般に、中立点位置の負の周面摩擦力が最大となり、中立点位置が最も厳しくなると考えられることから、現行では中立
点位置に対してのみ照査しており、中立点位置がSC杭部であればSC杭に対して、PHC杭部であればPHC杭に対して
検討しています。
SC杭(PHC杭との接合位置)における杭体応力度が許容応力度に対して最も厳しくなるケースも考えられますが、現行
では、中立点位置に対してのみ照査しており、したがって、SC杭に対して検討する場合、別途ご検討ください。
Q1ー11ー4
PHC杭の杭体応力度照査は、杭基礎設計便覧に記載されている正負符号および判定方法と同じであるか
A1-11ー4
ヘルプの「理論理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「杭体の断面計算と杭の断面諸定数の取扱い」に記載しております
ように、PHC杭の応力度の符号は、圧縮を正,引張を負としております。
(許容引張応力度σcaʼは、-3.0(N/mm2) or5.0(N/mm2)となります。)
よって、杭基礎設計便覧に記載されております判定方法と同じ方法となります。
計算書作成の「結果一覧の出力」-「安定計算・杭体応力度」の出力に、大小関係を出力しておりますので、ご参照くださ
い。
Q1ー11ー5
PHC杭:せん断応力度の照査で、b:等積箱形断面の腹部の合計幅、d:等積箱形断面の有効高の算出方法
A1-11ー5
杭基礎設計便覧(H19.1)準拠時のPHC杭の杭体応力度照査は、本文献2-6-3(P.184)図-Ⅲ.2.48のとおり、等積箱形断面
に換算して照査します。この等積箱形断面への具体的な換算方法は、上記文献には記載されておりませんが、本プログラ
ムでは、次のように算出しております。
■部材断面幅b(等積箱形断面の腹部の合計幅)
b=t・√π
ここに、
t:厚さ
■部材断面の有効高d(等積箱形断面の有効高)
d=1/2・h + 1/π・2・√2・rs
ここに、
h:等積箱形断面の部材断面の部材高h
=1/2・√π・D
D:杭外径
rs:PC鋼材の配置半径
Q1ー11ー6
場所打ち杭の主鉄筋が2段配筋で4本分の帯鉄筋を斜引張鉄筋として考慮したいがこれは可能か
A1-11ー6
許容応力度法照査に用いる斜引張鉄筋の断面積は、
「断面計算」画面の「共通データ」に入力を設けていますが、
「鉄筋
径」を選択したとき、常に2本分の断面積を初期設定しています。
これは、本プログラムが有している主鉄筋の自動配筋機能により、最終的に何段配筋となるか分からない(荷重により変
動する)ケースがあること、あるいは中間帯鉄筋の入力そのものを設けていないことから、常に1段配筋と仮定した場合の
断面積を斜引張鉄筋の断面積として初期設定しているためです。
したがって、2段配筋で4本分の断面積を考慮したい場合、あるいは中間帯鉄筋を考慮したい場合等では、帯鉄筋径を選
択した後、初期設定された「鉄筋量Aw」の欄にお考えの断面積を上書きして入力してください。
なお、
「断面計算」画面が設定済みで、
「杭本体」-「杭種別データ」-「横拘束筋」画面の[データ連動]ボタンを押下し
た場合、
・Ah:「鉄筋量Aw」の1/2を初期設定。
・Aw:「鉄筋量Aw」をそのまま設定。
としています。
こちらにつきましても、最終的には設計者の方のご判断として初期設定値を上書きしてご検討ください。
Q1ー11-7
タイプⅠ地震動とタイプⅡ地震動の基礎の照査において、同じM-φ関係が用いられているのはなぜか
A1-11ー7
杭体のM-φ関係は、道示Ⅳ(P.410)より、タイプⅡ地震動に対する値を用いています。したがって、タイプⅠ地震動に対す
る基礎の照査においても、タイプⅡ地震動のM-φ関係を用いた照査を行います。
このため、タイプⅠ地震動のM-φ関係の算出および入力は行っておらず、よって、
「杭本体」-「M-φ」画面では1種類
のみ入力していただくようにしています。
269
第3章 Q&A
Q1ー11-8
杭頭モーメントが地中部曲げモーメントと同じ向きに発生するのはなぜか
A1-11ー8
道示Ⅳ12.9.1(P.392)表-解12.9.1の「イ)基本系」をご参照ください。
本プログラムと道示では、杭体モーメントの正負の向きが異なるので注意が必要ですが、
「イ)基本系」において、杭頭
モーメントおよび地中部最大曲げモーメントが同じ向き(いずれも負値)に発生するケースが示されています。
このように、必ずしも杭頭モーメントと地中部最大曲げモーメントの符号が異なるとは限らないと考えます。詳しくは、上
記道示をご参照くださいますようお願いいたします。
Q1ー11-9
現場継手部の許容応力度を低減して計算する方法はあるか
A1-11ー9
本プログラムでは、いずれの杭種においても、現場継手部の許容応力度を低減して応力度照査を行うことはできません。
現行では、
「杭配置」画面で現場継手位置ごとに断面を分けていただき、
「許容値」画面で90%に低減した許容応力度を
直接設定し、応力度照査を行うことによりご対処いただくしかございません。
なお、鋼管杭,鋼管ソイルセメント杭の場合であれば、計算書の「断面計算」-「着目点ごとの杭体応力度」に現場継手不
可位置(応力度が許容応力度の90%を超える位置)を出力しています。本出力をご参照ください。
Q1ー11ー10
せん断力に対する照査において、引張の向き(上面側が主鉄筋になるか下面側が主鉄筋になるか)はどのように判断して
いるか
A1-11ー10
せん断力に対する照査において、引張の向き(上面側が主鉄筋になるか下面側が主鉄筋になるか)の判断は、道示Ⅳ
8.7.4(P.230)の記述、
「せん断力に対する照査を行う場合のフーチングの主鉄筋は、柱又は壁前面のフーチング全面積に
作用する鉛直荷重による柱又は壁前面位置における曲げモーメントの向きにより決定するものとする。」より、柱前面に
おける曲げモーメントで行ってい ます。
なお、レベル2地震時の場合、杭頭水平反力および杭頭モーメントを考慮した断面力を算出していることから、曲げに対す
る照査に用いる柱前面の曲げモーメントから、杭頭水平反力および杭頭モーメントを控除して判定しています。
Q1ー11ー11
既設死荷重時の断面力算出に、
「上載土高」が考慮されていない
A1-11ー11
増し杭工法で、既設死荷重時に上載土砂を考慮する場合、
「底版設計」-「計算条件」画面において「許容応力度法/レ
ベル2地震時」タブ上の『増し杭工法時の既設死荷重時の上載土砂=考慮する』を選択する必要があります。
『考慮しない』が選択されている場合、既設死荷重時に上載土砂が考慮されません。
Q1ー11ー12
断面変化位置を自動計算する場合と直接指定する場合で杭体応力度が異なる理由は?
A1-11ー12
場所打ち杭の断面変化位置の算定機能は、断面変化位置の目安を示すための機能であり、最終的には、この目安および
荷重ケースごとの結果を参照し、設計者の方のご判断として決定していただくことを想定しています。
具体的には、
1)
「断面計算」画面で『断面変化位置を自動計算する』をチェックして計算を行う。
2)算出された断面変化位置の目安および荷重ケースごとの結果を参照し、最終的な断面変化位置を決定する。
3)1)のチェックを外し、
「使用鉄筋」ページにて任意の断面変化位置,鉄筋径,本数等を設定する。
(自動配筋を行っ
た直後は、自動配筋結果が設定されています。)
4)杭体応力度計算を行い、応力度が許容応力度以内となるまで諸元を変更する。
の手順を行っていただくようにしています。
上記の手順にて設計していただくことを想定しているため、断面変化位置を自動決定する場合、設計者の方が断面変化位
置を決定するための参考となる情報を算出,出力しています。
具体的には、1/2Mmax発生位置や抵抗モーメントとの交点位置における応力度と許容応力度を算出,出力しており、これ
により、これらの位置が許容応力度を満たしているかを判断できるようにしています。
これに対し、断面変化位置を直接指定する場合、各断面における最大曲げモーメント,最大せん断力による応力度照査結
果を出力しており、決定された断面ごとの応力度が許容応力度を満たしていることを照査するようにしています。
よって、断面変化位置を自動計算する場合と直接指定する場合では、出力される杭体応力度が一致しないことがありま
す。
270
Q1ー11ー13
計算書において、Mmaxの1/2となる位置「Z」とその位置のせん断力「S」が「---」と出力されるのはどういうケースか
A1-11ー13
場所打ち杭の第1断面下端(第2断面上端)の段落とし位置は、杭基礎設計便覧(H19.1)2-6-6(P.200~)を参照し、
(1)杭頭剛結の曲げモーメントの最大値
(2)杭頭ヒンジと仮定して算出した曲げモーメントの最大値
の大きい方をMmaxとしたとき、
①杭頭剛結の曲げモーメント分布からMmaxの1/2となる位置
②杭頭ヒンジの曲げモーメント分布からMmaxの1/2となる位置
を求め、①,②の深い方を採用しています。
ただし、Mmaxは(1)杭頭剛結,(2)杭頭ヒンジの大きい方を用いていることから、例えば、(1)杭頭剛結の最大モーメントを
Mmaxとしたとき、(2)杭頭ヒンジの最大モーメントが非常に小さくMmaxの1/2未満となったとすると、(2)杭頭ヒンジにつ
いてはMmaxの1/2となる位置を求めることができません。
このようなとき、本プログラムでは、Mmaxの1/2となる位置「Z」およびその位置のせん断力「S」に対しては横棒(---)
を出力しています。
Q1ー11ー14
場所打ち杭の曲げ応力度はどのように算出されるのか
A1-11ー14
本プログラムの場所打ち杭の曲げ応力度は、道示Ⅳ5.1.2(P.159)に準じ、曲げモーメントと軸力が作用する円形の鉄筋コ
ンクリート断面として計算しています。
具体的には、計算仮定に基づき中立軸位置を変化させながら、コンクリート,鉄筋による内力(Nc,Ns,Mc,Ms)と外力
(断面力N,M)が釣り合うよう、繰り返し計算を行い、厳密な値を算出しています。
公式を用いて単純式により算出しているのではなく、繰り返し計算を行っていることから、計算過程の出力等は行ってお
りません。ご了承ください。
なお、詳しくは、下記URLの図をご参照ください。
http://www.forum8.co.jp/faq/win/image/kiso1-11-16.pdf
Q1ー11ー15
SC杭+PHC杭のとき、地中部のPHC部のせん断耐力照査を行うか否かのスイッチはなぜ設けてあるのか
A1-11ー15
SC+PHC 杭におきましては、当初、道示Ⅳ12.10.5(P.414)の1)-③を参照し、大きなせん断力が 生じる第1区間はSC
杭のため、せん断照査自体 を省略しておりましたが、その後、ユーザ様 から『せん断照査方法=杭体のせん断力≦ 杭体
のせん断耐力』の場合PHC杭部分のせん断照査を行ってほしいとのご要望をいただき対応いたしました。
よって、SC杭+PHC杭のPHC杭部のせん断耐力照査を行うか否かについては、設計者の方のご判断とし て決定していた
だくようにしていま す。
なお、PHC杭部のせん断耐力照査を行う場合、
「レベル2地震時基本条件」-「計算条件①」に おいて『SC杭+PHC杭時
のPHC杭の杭体せん断力照査』スイッチを「する」としていただくことになりますが、この場 合、各杭の杭体せん断力分布
に着目し、杭頭から杭先端までの全範囲でせん断力がせん断耐力以下であることを照査します。
詳しくは、入力画面上の[ヘルプ]ボタンより開く説明をご参照ください。
Q1ー11ー16
杭体のM-φ算出に用いる軸力はどのように決定されているのか
A1-11ー16
杭体のM-φ関係の算出に用いる軸力は、道示Ⅳ12.10.4(P.412)に規定されており、本プログラムはこれに準じておりま
す。
具体的には、
「場所打ち杭,PHC杭,SC杭及びRC杭においては、杭群図心位置から押込み側の杭では死荷重が作用した
ときの杭頭反力を軸力として、引抜き側の杭では軸力を零として杭体の曲げモーメント~曲率関係を算出してよい。」とあ
り、引抜き側の杭に対しては、軸力を0として算出しています。
また、鋼管杭については、
「鋼管杭及び鋼管ソイルセメント杭においては死荷重が作用したときの杭頭反力を軸力として
杭体の曲げモーメント~曲率関係を算出してよい。」とあり、押込み側,引抜き側にかかわらず、死荷重時の杭頭反力を軸
力とします。
詳しくは、上記の道示の記述をご参照くださいますようお願いいたします。
Q1ー11ー17
地震時の許容せん断応力度τa1はどのように決定されるのか
A1-11ー17
道示Ⅳ4.2(P.151)において、
「地震の影響を考慮する場合の設計では、τa1に4.1に規定する荷重の組合せに応じた割増し
係数1.50を乗じた値を用いる代わりに、表-5.2.1に示すτcの値を用いるものとする。」とあります。
これより、本プログラムの地震時の許容せん断応力度は、τa1×1.50ではなく、τcそのものを用いるようにしています。
271
第3章 Q&A
Q1ー11ー18
PHC杭、SC杭のM-φ計算を行うことはできるか
A1-11ー18
下記の手順により、
「基礎の設計計算」にてPHC杭,SC杭のM-φ計算が可能です。
まず、
「計算条件」画面で杭種を選択した後、
「杭配置」画面で1本杭とします。杭位置は底版中心位置としてください。
次に、同画面の「データ」タブで杭の諸元を定義します。PHC杭の場合、道示Ⅳ12.10.4(P.410~)のとおり、充填範囲とそ
れ以外の範囲ではコンクリートの応力度~ひずみ曲線が異なるので注意が必要です。
「レベル2地震時照査」-「基本条件」画面では、まず、
「基本条件(共通)」画面の「作用力を指定してレベル2地震時照
査を行う」を「する(底版下面作用力)」とします。
次に、
「基本条件(杭基礎)」画面の「初期作用力V」に軸力を入力します。M-φ関係はこの軸力を用いて計算が行われ
ます。
最後に、
「杭本体」画面で必要な杭体諸元を入力した後、同画面の「M-φ」タブでM-φを計算します。
以上でM-φ関係のみ計算が可能です。
Q1ー11ー19
PHC杭で、[断面計算]画面でスパイラル鉄筋を設定すればJIS強化杭という認識で良いのか
A1-11ー19
お考えの通りです。
Q1ー11ー20
場所打ち杭の鉄筋の許容値についてご教示下さい
A1-11ー20
常時ケースで、杭体を水中部材としているのですが、鉄筋SD345の許容値が常時で200となります。何故160とならないの
でしょうか。
水中と気中で応力度の基準を変更するのは、許容引張応力度σsaです。許容圧縮応力度σsaʼは常に200を用います。
お問合せの許容応力度は許容圧縮応力度ではないでしょうか。
Q1ー11ー21
スパイラル鉄筋はどのような値を設定すればよいのか
A1-11ー21
「杭基礎設計便覧(H19.1)」(P.182)の表-III.2.11スパイラル鉄筋仕様例 に杭径別のスパイラル鉄筋の仕様例が掲載され
ておりますのでご参考ください。
メーカーによって異なることも考えられますので、メーカーに確認されることもお考えください。
2-1-12 杭体応力度計算
Q1ー12ー1
RC杭のヤング係数比の初期値(=6)の根拠は?
A1-12ー1
旧杭基礎設計便覧(昭和61年1月 社団法人日本道路協会)表-6.2.5(P.59)にRC杭の断面性能表があります。
本表では、軸力=0に対する抵抗曲げモーメントMRC(コンクリートの応力度が許容応力度となるときの曲げモーメン
ト),MRS(鉄筋の応力度が許容応力度となるときの曲げモーメント)が記載されておりますが、この抵抗曲げモーメント
算出にヤング係数比6が用いられています。
本プログラムでは、本記述を参照し、杭体応力度算出にも抵抗曲げモーメントと同じヤング係数比を用いるものと判断
し、初期設定を6としております。
ただし、上記以外に有効な文献等の記述は把握しておりません。
例えば、実ヤング係数比(n=Es/Ec)は、
・Ec=3.1×10^4(N/mm2)
・Es=2.0×10^5(N/mm2)
・n=2.0×10^5/3.1×10^4=6.4516
となるため、本係数を用いるのも一つの考えかと思われます。
最終的には、お考えのヤング係数比を、
「計算条件」-「設計条件」-「応力度照査」画面に直接設定しご検討ください。
272
Q1ー12ー2
「杭頭ヒンジの軸力選択」で「剛結」と「ヒンジ」が選択できるのはなぜか?
A1-12ー2
道示Ⅳ12.9.1(P.387~)に、杭頭剛結合の場合でも、杭頭ヒンジと仮定して求めた曲げモーメントを考慮することが記載
されています。
お問合せの『杭頭ヒンジの軸力選択』スイッチは、杭頭結合条件が剛結・ヒンジのとき、杭頭ヒンジ時の曲げモーメントを
用いて応力度照査を行う際に用いる軸力を、
・杭頭剛結時の杭軸方向反力
・杭頭ヒンジ時の杭軸方向反力
のいずれを用いるかを指定していただくものです。
前記の道示および他の文献等には軸力の取扱いが明記されておらず照査方法が不明なため、本選択を設けました。
おそれいりますが、設計にどちらを用いるかにつきましては、設計者の方のご判断で決定してください。
なお、モーメントおよび軸力の取り扱いは下記のとおりです。
・杭頭条件=剛結・ヒンジの場合
杭頭剛結……モーメント=剛結、軸力=剛結
杭頭ヒンジ…モーメント=ヒンジ、軸力=軸力選択による軸力(剛結またはヒンジ)
Q1ー12ー3
場所打ち杭の断面計算において、鉄筋の許容応力度が意図しない地震時の値になっているとき、原因として何が考えられ
るか
A1-12ー3
場所打ち杭の鉄筋の許容応力度は、道示Ⅳ4.3(P.155)表-4.3.1より、
2)荷重の組合せに衝突荷重又は地震の影響を含まない場合の基本値(一般の部材)
3)荷重の組合せに衝突荷重又は地震の影響を含まない場合の基本値(水中又は地下水位以下に設ける部材)
4)荷重の組合せに衝突荷重又は地震の影響を含む場合の基本値
6)圧縮応力度
のいずれかが適用されます。
引張応力度では、
「作用力」-「荷重ケースごとの設定」画面の『衝突,地震時σsaの基本値を用いる』により、上記2),
3)の衝突荷重又は地震の影響を含まない場合、および4)の影響を含む場合の基本値の選択を行います。
ご検討の荷重ケースにおいて、上記の選択がチェックされていないかご確認ください。チェックされている場合、上記4)
の衝突荷重又は地震の影響を含む場合の基本値(=200N/mm2×割増係数)が適用されます。
なお、上記の設定が正しく行われているのであれば、次の原因が考えられます。
場所打ち杭の鉄筋の応力度は、中立軸位置が断面内にない場合(全圧縮または全引張)でなければ、引張応力度,圧縮応
力度の2つの応力度が算定されるため、
「総括表」画面や計算書の「結果一覧」,
「基礎杭計算結果一覧表」の出力におい
ては、算定された2つの応力度のうち、より厳しい結果として、許容比(応力度/許容応力度)の大きい方を表示していま
す。
ここで、鉄筋の許容圧縮応力度は、上記の道示Ⅳ 表-4.3.1 の6)許容圧縮応力度が適用されます。
ご検討のデータにおいても、許容圧縮応力度が表示されているのではないかと考えられます。
本プログラムでは、許容応力度の出力を、
・引張応力度・・・正値で表示
・圧縮応力度・・・負値で表示
と表示しており、表示されている結果が引張応力度,圧縮応力度のどちらを示しているかを確認できるようにしていま
す。
おそれいりますが、表示値の符号により、引張応力度/圧縮応力度のどちらが表示されているかご確認ください。
Q1ー12ー4
PHC杭において、常時の許容応力度を地震時扱い(許容応力度の割増係数=1.50,許容曲げ引張応力度σta=3.0/5.0)と
したい。どのように設定すればよいのか?
A1-12ー4
現行では、PHC杭において、常時の許容曲げ引張応力度を地震時扱いとすることはできません。
PHC杭の曲げ引張 応力度は道示Ⅳ4.2(P.151)に記載されていますが、表- 4.2.8には、
「地震の影響を考慮するとき
の・・・」と記載されています。また、P.154において、
「PHC杭の許容曲げ引張応力度は零としたが、荷重の組合せのうち
地震の影響を考慮する場合は、少なくとも単純曲げが作用した状態で破壊安全度が2以上確保されるように、表-4.2.8に
示すとおり、有効プレストレス量に応じて設定した。」とあります。
本プログラムでは、上記道示の記述より、σta=3.0/5.0を適用するは地震の影響を考慮する場合のみと判断していま
す。したがって、現行では、常時ケースに対して割増係数を1.50と設定した場合、許容曲げ引張応力度σtaは常に0.00(N/
mm2)としており、よって、割増係数=1.50,σta=3.0/5.0とすることはできません。
273
第3章 Q&A
Q1ー12ー5
PHC杭でMyが自動計算されない
A1-12ー5
降伏モーメントMyは、最遠鋼材の引張ひずみが降伏ひずみに達するときの曲げモーメントで、最遠鋼材位置のひずみを
降伏ひずみに固定して、中立軸位置を仮定しながら、断面内に生じる圧縮力Cと引張力Tの関係が、
N=C-T
N:作用軸力
となる中立軸位置を求めています。
このとき、断面内に生じる軸力が最大となるのは、圧縮縁のコンクリートひずみが終局ひずみとなる状態ですが、現在ご
利用のデータの場合、断面内に生じる最大軸力よりも作用軸力の方が大きく、降伏モーメントが算出できない(軸力が範
囲外)状態になっていると思われます。
おそらく、PC鋼材の降伏強度σpy,引張強度σpu,PC鋼材量(A/B/C種別),配置半径が検討の杭データに対して正
しく入力されていないと思われます。
PHC杭メーカー様の資料等をご参照になり、正しい値が設定されているか再度ご確認くださいますようお願いいたしま
す。
なお、本プログラムは、種別(A/B/C種)を変更してもPC鋼材量等は自動でセットしておりません。
よって、おそれいりますが、
「杭配置」画面で杭外径,種類を変更した場合、杭データに応じたPC鋼材量等も変更してい
ただきますようお願いいたします。
なお、杭基礎設計便覧(H19.1)準拠時は、入力画面上の[データ連動]ボタンをクリックすることにより、杭基礎設計便覧
に記載されているPC鋼材量等をセットいたしますが、準拠しない場合は、他の基準類にPC鋼材量等が明示されてお
らず、また、特定のメーカー様のデータを初期設定値とすることができないため、直接設定していただく仕様としておりま
す。
Q1ー12ー6
「作用力」-荷重ケースごとの設定」の「衝突、地震時σsaの基本値を用いる」のチェックをはずすと許容値はどのように
なるのか
A1-12ー6
道示Ⅳ(P.155)表-4.3.1では、鉄筋の許容応力度として、
①荷重の組合せに衝突荷重又は地震の影響を含まない場合の基本値(一般部材/水中部材)
②荷重の組合せに衝突荷重又は地震の影響を含む場合の基本値
が規定されており、衝突荷重,地震の影響を考慮するケースか否かよって、①,②を使い分ける必要があります。
本プログラムでは、従来、
「基準値」-「荷重ケース」画面にて設定された荷重ケースごとの許容応力度の割増係数を参照
し、割増係数が1.50以上となる荷重ケースに対し、上記②の許容応力度を用いるようにしておりましたが、その後、他のお
客様より、他の基準等においては、衝突荷重,地震時ケース以外でも割増係数≧1.50となるケースがあり、このようなケー
スでは上記①の許容応力度を適用したいため、上記①,②のどちらの基本値を用いるか、設計者判断として選択できるよ
うにしてほしいとのご要望をいただき、Ver.6.05.00において、
「作用力」-「荷重ケースごとの設定」画面において、荷重
ケースごとに選択(スイッチ)を設けました。
このスイッチは、下記計算に用いております。
(1)杭体応力度計算
1.RC杭,場所打ち杭の場合
「許容値」画面において、
・σsa(*1):荷重の組合せに衝突荷重又は地震の影響を含まない場合 (チェックなしのとき)
・σsa(*2):荷重の組合せに衝突荷重又は地震の影響を含む場合 (チェックありのとき)
の入力を割増係数ごとに設け、お問合せのスイッチより使い分けます。
2.杭基礎設計便覧(H19.1)準拠時のPHC杭/PC杭/SC杭+PHC杭の場合
「断面計算」画面において、
・スパイラル鉄筋のσsa (チェックなしのとき)
・スパイラル鉄筋のσsa(基本値) (チェックありのとき)
の入力を設け、お問合せのスイッチを参照し、計算時に割増係数を乗じております。
(2)杭頭結合計算
1.仮想鉄筋コンクリート断面照査
上記の(1)-1.と同様に、
「杭頭結合計算」-「底版許容値」画面において、σsa(*1),σsa(*2)の入力を割増係数ごと
に設け、お問合せのスイッチより使い分けます。
2.杭頭カットオフ区間の照査(杭基礎設計便覧(H19.1)準拠時)
上記の(1)-2.と同様に、
「杭頭結合計算」-「杭頭カットオフ」画面において、2種類のσsaの入力を設け、お問合せ
のスイッチを参照し、計算時に割増係数を乗じております。
(3)底版許容応力度法照査
「材料」画面において、
・鉄筋の許容引張応力度σsa (チェックなしのとき)
・ 〃 地震時の許容引張応力度の基本値σsa (チェックありのとき)
の入力を設け、お問合せのスイッチを参照し、計算時に割増係数を乗じております。
274
Q1ー12ー7
PC杭のヤング係数『3.3×10^4(N/mm^2)』の根拠は?
A1-12ー7
「杭基礎設計便覧 昭和61年1月 (社)日本道路協会」P.54の「表6-2-1 既製コンクリート杭」にPC杭のコンクリート設計
基準強度σck=500(kg/cm^2)との記述がございます。
「道路橋示方書・同解説 Ⅰ共通編/Ⅳ下部構造編(H14.3)日本道路協会」P.83の「表-3.3.3
コンクリートのヤング係数」に記述の内容より、σck=50(N/mm^2)時のヤング係数=3.3×10^4(N/mm^2)を内部設定し
ております。
[補足]
上記「杭基礎設計便覧 昭和61年1月 (社)日本道路協会」のP.325では、PC杭のヤング係数=4.0×10^5(kg/cm^2)との記
述がございますが、この便覧時の道示(昭和55年 5月版 Ⅰ共通編 P.67)ではσck=500(kg/cm^2)の
ヤング係数は4.0×10^5(kg/cm^2)と記述されておりました。
その後、平成2年版の道示でσckに対するヤング係数が改訂され、平成2年版から現在までσck=50(N/mm^2)時のヤング
係数は 3.3×10^4N/mm^2)となっております。
Q1ー12ー8
RC杭のせん断応力度の照査で、結果画面などに出力される許容値が入力値と異なる場合があるのはなぜか
A1-12ー8
ヘルプ「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「杭体の断面計算と杭の断面諸定数の取扱い」に記載しておりますよ
うに、RC杭の許容せん断 応力度は、
杭基礎設計便覧(H19.1)のP.191において、τaʼ=CN・τaと記載されており、本プログラムも軸方向圧縮力による補正係数
CNを 考慮し下記の方法で算出しております。
τa1ʼ=CN・τa
ここに、
τa1ʼ:軸方向圧縮力により補正された許容せん断応力度(N/mm2)
CN:軸方向圧縮力による補正係数
τa:許容応力度の割増係数を考慮した「許容値」画面の許容せん断応力度(N/mm2)
軸方向圧縮力による補正係数CNの値によっては、結果画面等に出力される許容せん断応力度が入 力値と異なるケース
も考えられます。
※上記のCNを考慮した許容せん断応力度の補正は、PHC杭などにも同様に適用される考え方と なっております。
許容せん断応力度の詳しい算出過程は、計算書出力「断面計算」-「杭体応力度」内に有ります 『せん断応力度の照査』
にてご確認ください。
Q1ー12ー9
せん断応力度τが青文字で表示されているのはなぜか
A1-12ー9
「計算・結果確認」-「杭体応力度」画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、せん断応力度τを青文字で表示して
いるのは、コンクリートのみでせん断力を負担する場合の許容せん断応力度を超えるが、斜引張鉄筋と共同してせん断力
を負担する場合の許容せん断応力度以下であることを示しています。この場合、Awreq≦Awの関係にあれば、せん断照査
結果はOKと判定されます。
τ値は次のように表示しています。
(1)τ≦τa1のとき
照査結果はOKと判定され、黒文字表示しています。
(2)τa1<τ≦τa2のとき
τa2は、斜引張鉄筋と共同してせん断力を負担する場合の許容せん断応力度を示しています。
この場合、道示IV(H.14.3)5.1.3(P.160~)に記述されていますように、斜引張鉄筋(スターラップ)を配置することによ
りOKとなります。(1),(3)と区別するために、青文字表示としています。
(3)τa2<τのとき
道示IV(H.14.3)5.1.3の解説文(P.163)に記載されていますように、この場合、OUTと判定され、赤文字表示としていま
す。
275
第3章 Q&A
2-1-13 結果一覧表
Q1ー9ー11
杭頭条件を「剛結・ヒンジ」と選択している時、杭体モーメント図にヒンジの場合におけるモーメントが出力されない場合
があるが、どのような可能性が考えられるか
A1-9ー11
正面方向を1列杭のヒンジ接合とする場合、荷重を与えてもフーチングの回転角が仕様上計算不能であるため、断面力図
についてもヒンジ接合については出力しないことが挙げられます。
Q1ー9ー12
杭基礎の設計で杭反力の表示がきちんとされていない箇所があります
A1-9ー12
「(2)常時」ケースについては安定性の照査を行わない設定となっているためです。
安定性の照査を行うか否かは、
「作用力」-「荷重ケースごとの設定」画面の「安定照査をする」の設定により荷重ケース
ごとに指定することができます。
2-1-14 出力法
Q1ー14ー1
安定計算で出力されるバネと基礎バネで出力されるバネ値が異なっているのはなぜか?
A1-14ー1
計算書の基礎バネは、道示Ⅴ(H.14.3)6.2.3(P.55~)に記載されている固有周期算出に用いるためのもので、動的変形係
数EDを用いて算出しています。
一方、安定計算では、地盤の変形係数α・Eoを用いて算出したものです。
安定計算と基礎バネ(固有周期算定用地盤バネ定数)の相違は、水平方向地盤反力係数kH値を求める際に用いる変形
係数によるものです。
この基礎バネは、設計震度算出用のバネとなりますので、杭基礎の安定計算や断面計算には影響しません。
基礎バネの計算方法につきましては、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「基礎バネ」に記載しておりま
すので、ご参照ください。
276
Q1ー14ー2
杭基礎が降伏するまで、解析結果を出力することはできないか?
A1-14ー2
本プログラムは、杭基礎のレベル2地震時照査を荷重増分法により行っており、水平震度0.0から最終水平震度Cz・khco
(αi=1.0)までを入力された「分割数」で分割して計算しています。
Cz・khco(αi=1.0)まで計算しても基礎が降伏に達しなかった場合、Cz・khcoより大きな震度で計算することはできま
せんので、本プログラムでは、計算を終了し、Cz・khcoにおける状態を出力しております。
Cz・khco,およびkhGに大きな水平震度を入力することにより対応ください。
Q1ー14ー3
2.5次元解析のとき、計算書の「安定計算」-「杭基礎の剛性行列」に出力される剛性行列要素の記号は何を示しているの
か
A1-14ー3
剛性行列要素の記号は次を示しています。
z :Z軸方向(鉛直方向)
x :X軸方向(X方向水平)
y :Y軸方向(Y方向水平)
ay:Y軸回り回転(X方向回転)
ax:X軸回り回転(Y方向回転)
鉛直,水平,回転バネは、
Azz :鉛直方向バネ
Axx :X方向水平バネ
Ayy :Y方向水平バネ
Aayay:X方向回転バネ
Aaxax:Y方向回転バネ
連成バネは、
Azx (Axz) :鉛直とX方向水平との連成バネ
Azy (Ayz) :鉛直とY方向水平との連成バネ
Azay(Aayz):鉛直とX方向回転との連成バネ
Azax(Aaxz):鉛直とY方向回転との連成バネ
Axy (Ayx) :X方向水平とY方向水平との連成バネ
Axay(Aayx):X方向水平とX方向回転との連成バネ
Axax(Aaxx):X方向水平とY方向回転との連成バネ
Ayay(Aayy):Y方向水平とX方向回転との連成バネ
Ayax(Aaxy):Y方向水平とY方向回転との連成バネ
Aayax(Aaxay):X方向回転とY方向回転との連成バネ
また、計算書の「基礎バネ計算」-「固有周期算定用地盤バネ定数」との上記の関係は次の通りです。
・Y方向
Ass :Ayy
Asr,Ars:Ayax,Aaxy
Asv,Avs:Ayz,Azy
Arr :Aaxax
Arv,Avr:Aaxz,Azax
Avv :Azz
・X方向
Ass :Axx
Asr,Ars:Axay,Aayx
Asv,Avs:Axz,Azx
Arr :Aayay
Arv,Avr:Aayz,Azay
Avv :Azz
ここに、
Ass :水平方向バネ(kN/m)
Asr=Ars:水平と回転の連成バネ(kN/rad,kN.m/m)
Arr :回転バネ(kN.m/rad)
Asv=Avs:鉛直と水平の連成バネ(kN/m)
Arv=Avr :鉛直と回転の連成バネ(kN.m/m,kN/rad)
Avv :鉛直バネ(kN/m)
Q1ー14ー4
計算書プレビューをしようとすると 「下部出力ピッチ≧X.Xとなるように修正して下さい」 というメッセージが表示される
A1-14ー4
計算書の「断面計算」-「杭体断面力」に出力される杭体断面力は、
[プレビュー]ボタンのある「出力項目の設定/選
択」画面上の
・上部出力ピッチ(m)
・下部出力ピッチ(m)
を用いて、
・出力行数
以内に収まるように調整し出力しています。
出力行数が少ないとき、出力ピッチを大きく設定しなければ出力行数内に収まりません。逆に、出力行数を多くすること
により、より細かいピッチにて出力することが可能となります。
よって、本メッセージが表示される場合、出力行数を多くする、あるいは出力ピッチを大きくしてご対処ください。
Q1ー14ー5
レベル2地震時照査で、橋軸方向、橋軸直角方向のどちらか一方だけを出力したい
A1-14ー5
本プログラムでは、橋軸方向,橋軸直角方向の両方向の計算を行った場合、常に両方向の結果出力を行っています。
よって、片方向のみの結果出力を行いたい場合、
「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(杭基礎)」画面の「計算方向
(Y方向/X方向)」を出力したい方向のみチェックし、計算,出力を行ってください。
また、
「橋脚の設計」との連動時であれば、橋脚側の「荷重」-「保有耐力法ケース」画面において、出力する方向のみ
「検討する方向」をチェックし計算,出力を行ってください。
Q1ー14ー6
詳細出力の許容支持力の突出杭長が、[予備計算・結果確認]で表示される突出長と異なるのはなぜか
A1-14ー6
[計算書作成]-[予備計算]-[許容支持力の計算]で出力している突出杭長とは、
「杭の許容支持力を求める地盤表層位置よ
りも上に突出している杭の長さ」を指します。
出力に「(現地盤面から上を示す)」とありますように、許容支持力算出では現地盤面から杭先端部分までの地層範囲全
てを考慮します。
従いまして水平方向地盤反力係数を求める場合のような、設計地盤面から上に突出する長さとは出力しているものが異な
るため、予備計算結果確認画面とは出力が異なるものとなっております。
Q1ー14ー7
杭頭接合計算における仮想RCの計算式が出力されていないのはなぜか
A1-14ー7
中立軸を仮定してからの収束計算(杭基礎設計便覧p194①参考)を行うため、単純な式から出力することができないた
めとなります。
277
第3章 Q&A
Q1ー14ー8
結果一覧の出力レベル2地震時の照査では、部材照査で杭体の曲げの照査について出力が無いのはなぜか
A1-14ー8
レベル2地震時における部材照査の杭体曲げモーメントについては、以下の記載をもとに必要なしと判断しまして、現在
プログラムでは出力を行っておりません。また、降伏する杭、降伏しない杭が混在する場合など、どのような出力が、曲げ
モーメント照査となるのかも明確ではありません。
Q1ー14ー9
道路橋示方書(H24.3) Ⅳ下部構造編 P.440 12.10.5 部材の照査
A1-14ー9
「ここで,杭本体の曲げモーメントについては,12.10.4(断面力,杭頭反力及び変位の計算)において,部材の塑性化による
剛性低下を考慮しているため,照査は省略することができる。」
1本当りの杭体のM-φ関係は計算書のどの箇所に記載されているでしょうか
[レベル2地震時の照査]-[予備計算]-[M-φ]に出力しています。
なお、全杭の条件が一致している場合(杭タイプ数=1)と、そうでない場合とで出力方法が異なります。
詳しくは、[ファイルメニュー]-[サンプルデータフォルダを開く]より、
「Kui_1.F8F」と「Kui_2.F8F」とで出力の違いをご確
認ください。
※杭タイプ…(杭径、厚さ、杭長、斜角、先端ばね、地層、断面2次モーメント)が等しい杭を同一タイプとし、各杭をタイ
プ分けして杭タイプ番号を割り振ります。
Q1ー14ー10
杭長、地層構成が異なる場合に、レベル2地震時の引抜き抵抗力の上限値が1タイプしか出力していない
A1-14ー10
押込み支持力の上限値は杭長ごとに出力している。
引抜き抵抗力の計算値が誤差内で同じになったため、1つの杭タイプにまとめられました。
この場合、1タイプのみ出力を行います。
押込み支持力の上限値は、別の杭タイプと判定されたため、杭タイプごとの複数の出力を行っています。
2-1-15 杭頭結合照査(押し抜き、引き抜き等)
Q1ー15ー1
「設計要領第二集 4章 基礎構造」に記載されているフーチング下面鉄筋の効果を期待する水平方向押抜きせん断応力度
の照査が可能か
A1-15ー1
フーチング下面鉄筋の効果を期待する水平方向押抜きせん断応力度の照査にはレベル2地震時のみ対応しています。
「底版設計」画面の「計算条件」-「レベル2地震時」タブにある「底版下面鉄筋を考慮した水平方向押抜きせん断照査」
を「する」としてください。
また、
「レベル2地震時照査-水平方向押抜きせん断照査」画面で、計算に使用する鉄筋量を入力してください。
Q1ー15ー2
フーチング端部の杭に対する押抜きせん断照査を行う方法
A1-15ー2
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」6-3-2(P.297)に準じた押抜きせん断応力度の照査を行いたい
場合は、以下のスイッチをチェックして下さい。
・「計算条件」-「基本条件」画面の「杭基礎設計便覧の適用基準(H19年1月)」
・「杭頭結合計算」-「杭径・底版形状」画面の「フーチング端部の杭を対象とする」
Q1ー15ー3
杭頭仮想鉄筋コンクリート断面照査の際、帯鉄筋はどこで入力するのか
A1-15ー3
本プログラムの杭頭仮想鉄筋コンクリート断面の照査は、杭基礎設計便覧(P.301~)に準じて行っておりますが、本文献
では、仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメントMy算出時のコンクリートの応力度-ひずみ曲線として、
(1)道示Ⅲ4.2.4(横拘束効果なし)
(2)道示Ⅴ10.4(横拘束効果あり)
のどちらを用いるか明確な記述はありません。
したがって、本プログラムは、開発時に参照させていただいた参考文献
・「鋼管杭基礎の設計と施工 道路橋示方書(平成14年3月版)改訂対応 (平成14年4月)鋼管杭協会」
・「道路橋の耐震設計に関する資料(H.9.3)」(4-33)
の設計計算例等を参考とし、(1)により算出しており、このため、帯鉄筋(横拘束筋)は考慮しておりません。よって、底版内
仮想鉄筋コンクリート断面の帯鉄筋の入力は設けておりません。
なお、本プログラムでは、
「計算条件」-「入力条件」画面で「レベル2地震時・M-φ=直接入力」と設定することにより、
「杭本体」-「M-φ」画面において、杭頭仮想鉄筋コンクリート断面のMyを直接指定することが可能です。
278
Q1ー15ー4
「杭頭結合計算」-「杭頭補強鉄筋」画面の『鉄筋量』と『有効鉄筋量』の違いは?
A1-15ー4
『鉄筋量』は入力された杭頭補強鉄筋の総鉄筋量を示しています。これに対し、
『有効鉄筋量』は、常時,レベル1地震時
の応力度計算に用いる実際の鉄筋量を示しています。通常両者は一致しますが、杭基礎設計便覧(H19.1)に準拠する設定
で杭外周溶接鉄筋を配置しているとき、常時,レベル1地震時では杭外周溶接鉄筋を無視した計算を行うことから、入力
した鉄筋量と実際の計算に用いる鉄筋量が異なるケースが生じます。よって、本プログラムでは、それぞれを表記していま
す。
なお、上記の考え方は、
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」6-3-2(P.303)の「・・・常時の荷重や
供用期間中に発生する確率が高いレベル1地震時の照査においては、品質が確実に確保される中詰め補強鉄筋(RC杭・
PHC杭およびSC杭では杭体内補強鉄筋を含む)のみを杭頭補強鉄筋として考慮し、杭外周溶接鉄筋は考慮しないことと
した。」を参照したものです。
(※レベル2地震時では入力された全鉄筋を考慮しています。) 詳しくは、本文献をご参照
ください。
Q1ー15ー5
レベル2地震時照査をする場合としない場合とで、杭頭結合計算の杭頭補強鉄筋計算の結果が変わるのはなぜか
A1-15ー5
仮想鉄筋コンクリート断面の応力度照査の設計曲げモーメントは、
「杭頭結合計算」画面上の[ヘルプ]より開く説明に記
載しておりますように、
・レベル2地震時照査が必要な条件下であれば、設計曲げモーメントは杭頭曲げモーメントを用いる。
・レベル2地震時照査が不要な条件下であれば、設計曲げモーメントは杭頭曲げモーメントと地中部最大曲げモーメント
のうち大きい方を用いる。
としています。
ここで、本プログラムの杭頭結合計算は、
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」(P.294~)を参照し
作成しております。
本文献6-3-2(P.302)では、
「杭頭部の発生断面力にて算出された応力度が許容応力度以下であることを照査する。」
と記載されており、本記述のみを参照するならば、仮想鉄筋コンクリート断面の照査に対しては、杭頭部の発生曲げモー
メントを用いるものと考えられます。
しかしながら、次頁において、
「液状化が生じない地盤にある橋台のようにレベル2地震時の照査を省略してもよい基礎においては、中詰め補強鉄筋
(杭体内補強鉄筋)のみによる仮想鉄筋コンクリート断面で、杭頭部の設計に用いる曲げモーメントにて算出した応力度
が許容応力度以下であることを照査する。」
との記述があり、これに対し、
①橋台においては、偏荷重が常に作用していることや側方移動のおそれがあること。
②地震時の動的非線形応答の推定法に不明な点が多いことより、杭頭結合部に想定外の断面力が発生する可能性が
あるという状況に対して、可能な限り杭頭部へ先に損傷領域を誘導するように配慮したものである。
と記載されています。
本解説の主旨は、レベル2地震時照査を行うケースにおいては、レベル2地震動を受ける場合に杭頭結合部にて損傷が先
行し,進展することを避け,杭頭部へ損傷領域を誘導した設計が行われる、しかしながら、このような設計が行われない
ケースにおいては、現在の設計計算ではカバーできない大きさの応力状態が結合部に生じる可能性があり、また、可能な
限り杭頭部へ損傷領域を先に誘導するように配慮した設計を行う必要性がある(基礎工2006.12月号.P.50)ということを
論じたものであろうと考えられます。
本プログラムでは、上記の主旨を鑑み、前述の「杭頭部の設計に用いる曲げモーメント」は杭頭曲げモーメントと地中部
最大曲げモーメントのうち大きい方を用いる必要があると判断し、仮想鉄筋コンクリート断面の照査を行っております。
なお、
「計算条件」-「入力条件」画面で「杭頭結合計算の杭頭作用力=直接入力」を選択した場合、本プログラムでは、
「杭頭結合計算」-「杭頭作用力」画面で設計に用いる曲げモーメントを入力することが可能です。
レベル2地震時照査を行わないケースにおいても、杭頭発生曲げモーメントを用いて照査を行う場合、上記画面にて、地
中部モーメント=杭頭モーメントと入力することによりご対処くださいますようお願いいたします。地中部モーメントは、
仮想鉄筋コンクリートの照査以外では、方法Aのフーチングコンクリートの水平支圧応力度の照査において、上記画面の
「使用モーメント」を「2=地中部」とした場合のみ用いております。
Q1ー15ー6
レベル1、レベル2ともに仮想鉄筋コンクリート断面の照査を省略したい
A1-15ー6
「杭頭結合計算」-「基本条件」画面で「杭頭補強鉄筋=しない」としてください。これにより、レベル1、レベル2共に仮
想鉄筋コンクリート断面の照査は省略されます。
279
第3章 Q&A
Q1ー15ー7
鋼管杭の杭頭結合計算において、引抜き力に対する鋼管の付着応力度の照査は行っていないのか
A1-15ー7
本プログラムの杭頭結合部の計算は、
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」6-3-2(P.296~)を準用
しています。
本文献において、引抜き力に対する鋼管杭の杭頭結合部の照査は、結合方法ごとに次のように考えています。
■方法A
方法Aでは、フーチング内に十分な埋め込みを行いますが、鋼管杭に対する引抜き実験より得られた知見より、杭周面の
付着応力やせん断抵抗よりも、フーチング内の杭に取り付けられたずれ止めの最下段から45°のクラックが発生し、この
せん断破壊面を考慮した引抜き耐力を算定した方がより現実に即していると考え、ずれ止め最下段からフーチング下面ま
でのせん断破壊面におけるせん断耐力を算定し、これが許容引抜きせん断応力度以下となることを照査します。
■方法B
方法Bでは、フーチング内への埋込み長さが最小限度(一般に100mm程度)であることから、この部分の付着応力やせん
断抵抗は考慮せず、仮想鉄筋コンクリート断面(フーチングコンクリートと杭の溶接鉄筋や内詰め補強鉄筋を鉄筋コンク
リートと仮定した断面)を仮定し、この断面に作用する押込み力,引抜き力および曲げモーメントにより生じる応力度が許
容応力度以下となることを照査します。
杭基礎設計便覧では、上記のように考えており、本プログラムにおいても、引抜き力に対する鋼管の付着応力度の照査
は、結合方法にかかわらず行っておりません。詳しくは、上記文献をご参照ください。
Q1ー15ー8
杭頭結合計算の計算書で、
「杭頭とフーチング結合部の応力度照査」が出力されない場合がある
A1-15ー8
「杭頭結合計算」-「杭頭補強鉄筋」画面下の[計算実行]ボタンのみを押下した場合、
「杭頭とフーチング結合部の応
力度照査」は出力されない 状態となります。
「杭頭結合計算」-「杭頭作用力」画面下の[計算実行]ボタンを押下するか、メイン画面ツリービューの「計算・結果確
認」-「杭頭結合計算」 より計算実行してください。
Q1ー15ー9
「杭頭結合計算」画面において、下記メッセージが表示される
---------------------------------------------------------------------杭頭補強鉄筋エラー:[3100]
杭頭補強鉄筋として有効な鉄筋が設定されていません。
補強鉄筋を見直してください。
----------------------------------------------------------------------
A1-15ー9
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」6-3-2(P.303)において、
「杭外周溶接鉄筋は、フーチング下面
から 100mmしか突出していない杭頭部への溶接であることや鉛直方向への溶接であるなど、一般の場合に比べて著し
く施工性に劣ることから、想定 した品質が確保されない可能性がある。したがって、常時の荷重や供用期間中に発生す
る確率が高いレベル1地震時の照査においては、品質が確実 に確保される中詰め補強鉄筋(RC杭・PHC杭およびSC杭
では杭体内補強鉄筋を含む)のみを杭頭補強鉄筋として考慮し、杭外周溶接鉄筋は考 慮しないこととした。」とあり、常
時,レベル1地震時に対する照査では、杭外周溶接鉄筋を考慮せずに行うことが規定されております。
よって、本プログラムでは、上記を参照し、
「計算条件」-「基本条件」画面の「杭基礎設計便覧の適用基準(H19年1月)」
がチェックされて いるとき、杭外周溶接鉄筋を考慮せずに照査を行っておりますので、杭体補強鉄筋として杭外周溶接鉄
筋のみ指定されいる場合、有効な鉄筋が存在 しないと判断し上記のメッセージを表示しております。
杭外周溶接鉄筋を考慮した計算を行いたい場合は、設計者のご判断により、
「杭頭 結合計算」-「杭頭補強鉄筋」画面で
「補強鉄筋=杭体内補強鉄筋 (または中詰め補強鉄筋)」として計算してくださいますようお願いいたします。
なお、計算書の「杭頭結合計算」-「仮想鉄筋コンクリート断面照査」では、上記で設定された鉄筋種類名が出力されま
すので、必要に応じて、印 刷プレビュー画面の[ソース]編集にて修正してくださいますようお願いいたします。
280
Q1ー15ー10
フーチングに段差がある場合について、杭頭接合計算ができない仕様となっているが、計算できる方法はないか
A1-15ー10
段差が生じる場合の計算を行い、その杭頭作用力を段差がない場合のモデルに適用させるという方法があります。
Q1ー15ー11
杭頭剛結部で杭頭曲げが最大曲げーメントとならない場合はあるのか
A1-15ー11
杭頭剛結時の杭頭モーメントは底版下面作用力や杭配置によって、マイナス値~プラス値の様々な値となります。イメージ
されている杭頭剛結時の曲げモーメント分布形状を、杭頭部で大きく発生した後、急激に減少し、符号が反転したあと、
だんだんと減衰していく(杭頭部と地中部Mmaxが異なる符号:添付図の図-1)ようなものをお考えではないかと存じます
が、そのような分布形状は1形態であり、杭頭部曲げから大きくなり、その後、減衰するような場合もあります(杭頭部と
地中部Mmaxが同じ符号:添付図の図-2)。
従いまして、最大値が常に杭頭部にあるものとは限りません。
Q1ー15ー12
[杭頭接合計算]-[杭径・底版形状]で「連動」を押しても杭の埋込み長が変化しない原因は何か
A1-15ー12
対象の連動機能は[杭配置]-[基本条件]における杭の底版内埋込み長を連動元として扱っているため、その値を修正する
ことで反映されます。
2-1-16 杭頭補強鉄筋照査
Q1ー16ー1
杭頭補強鉄筋計算の必要鉄筋量が0.0となる
A1-16ー1
杭頭補強鉄筋の必要鉄筋量算出は、以下のように行っています。
・断面:直径Doの円形断面
・軸力:「杭頭作用力」で設定された鉛直最大反力,鉛直最小反力
・曲げモーメント:「杭頭作用力」で設定されたモーメント
・許容応力度:「底版許容値」で設定されたσca,σsa
以上のデータを用いて、荷重ケースごとに
(1)σc=σcaとなるときの鉄筋量
(2)σs=σsaとなるときの鉄筋量
を算出し、最大となる鉄筋量を必要鉄筋量としています。
必要鉄筋量が0となるのは、微小な鉄筋量で許容応力度を満足していることを表しております。
Q1ー16ー2
杭基礎設計便覧(平成19年1月)に準じたときの杭頭補強鉄筋において、杭外周溶接鉄筋の鉄筋がカウントされない
A1-16ー2
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」6-3-2(P.303)において、
「杭外周溶接鉄筋は、フーチング下面
から100mmしか突出していない杭頭部への溶接であることや鉛直方向への溶接であるなど、一般の場合に比べて著しく
施工性に劣ることから、想定した品質が確保されない可能性がある。したがって、常時の荷重や供用期間中に発生する確
率が高いレベル1地震時の照査においては、品質が確実に確保される中詰め補強鉄筋(RC杭・PHC杭およびSC杭では
杭体内補強鉄筋を含む)のみを杭頭補強鉄筋として考慮し、杭外周溶接鉄筋は考慮しないこととした。」とあり、常時,レ
ベル1地震時に対する照査では、杭外周溶接鉄筋を考慮せずに行うことが規定されております。
本プログラムでは、上記を参照し、
「計算条件」-「基本条件」画面の「杭基礎設計便覧の適用基準(H19年1月)」が
チェックされているとき、杭外周溶接鉄筋を考慮せずに照査を行っております。
281
第3章 Q&A
Q1ー16ー3
以下のエラーが発生する原因は?
--------------------------------------------------------杭頭補強鉄筋データエラー
*段目かぶりに誤りがあります。
下記のように修正して下さい。
*段目かぶり < (直径-内径)/2
----------------------------------------------------------
A1-16ー3
「杭頭結合計算」-「杭頭補強鉄筋」画面において、
『内径』を入力されているのではないでしょうか。
杭頭結合部の照査は、フーチング内に定着された仮想鉄筋コンクリート断面に対する照査であることから、通常内径は
0(mm)として入力し、円環断面ではなく円形断面として照査します。
内径が入力されている場合、中詰め補強鉄筋が中空部に配置されていると判断され、ご質問のデータエラーが生じてい
ます。
なお、本プログラムでは、前身であるDOS版製品時に、PHC杭で仮想鉄筋コンクリート断面を円環断面として検討したい
というご要望をいただき、内径の入力を設けております。
通常の仮想鉄筋コンクリート断面の設計では、円形断面として照査しますので、内径は0.0となります。
Q1ー16ー4
杭頭補強鉄筋の外周溶接鉄筋のかぶりはどのように入力したらよいか
A1-16ー4
本プログラムの杭頭補強鉄筋のかぶりは、仮想鉄筋コンクリート断面の直径Doの外周面から鉄筋中心までの距離となり
ます。
例えば以下の条件の場合、
・仮想鉄筋コンクリート断面の直径Do=800(mm)
・鋼管径φ=600(mm)
・杭外周溶接鉄筋径D=32(mm)
かぶり=(Do-φ)/2-D/2
=84(mm)
となります。
2-1-17 杭頭カットオフ照査
Q1ー17ー1
PHC杭のレベル2地震時照査において、杭頭カットオフの影響を考慮する必要はないのか?
A1-17ー1
常時,レベル1地震時に対しては、杭基礎設計便覧(H19.1)2-6-3(P.185)において、カットオフによるプレストレスの損失を
考慮した鉄筋コンクリート断面としての照査方法が規定されていることから、本プログラムでは、これに準じた照査を行っ
ています。
これに対し、レベル2地震時では、道示や他の文献等においても、カットオフ区間に対する照査方法は明記されておりま
せん。よって、本プログラムでは、レベル2地震時に対するカットオフ区間の照査は行っておりません。
ただし、
「道路橋の耐震設計に関する資料(H.9.3)社団法人日本道路協会」(P.9-21)において、
「杭頭付近はカットオフによ
りプレストレスが減少していることから、軸方向圧縮力によるせん断耐力の割増しは死荷重による杭頭での軸力のみを考
慮した。」と記述されており、カットオフによるプレストレスの損失を考慮する場合、せん断耐力照査時の軸方向圧縮力に
よる補正係数CN算出に有効プレストレスσceを考慮せずに計算を行うよう記述されています。同様に、杭基礎設計便覧
(H19.1)3-8-2(P.237),2-6-3(P.187)においても、
「ただし、有効プレストレスσe=0とする。」と記述されています。
これより、本プログラムでは、
「レベル2地震時基本条件」-「計算条件①」画面に『せん断耐力照査用のCN算出時の有
効プレストレスσceの取扱い』スイッチを設け、プレストレスの損失を考慮する場合、
「無視」を選択することにより、有効
プレストレスを考慮せずに照査を行うことが可能で、これにより、カットオフの影響を反映しております。
282
Q1ー17ー2
スパイラル鉄筋断面積Ahは1本分を入力するのでしょうか?
A1-17ー2
スパイラル鉄筋断面積Ahは1本分を入力してください。
せん断照査を行う場合に2本分(2倍)として用います。
2-1-18 他「UC-1シリーズ」との連携
Q1ー18ー1
橋脚の設計と連動させているが、橋脚側で2.5次元解析を選択しても杭基礎の設計側に反映されない。
また、地層傾斜の場合も連動は可能か
A1-18ー1
杭基礎の設計側で[計算条件]-[基本条件]の解析方法がグレー表示されている事につきましては、連動時には上部工側製
品の設定を優先し、変更を不可としているだけで、設定自体は2.5次元解析になっております。
また、地層傾斜がある場合でも(この場合、地層傾斜の設定は全て杭基礎の設計側で行います)連動は可能です。
連動起動後、[地層]-[地層線]画面で地層数を1以上に設定してあれば、画面下部にある「地層傾斜」スイッチが有効にな
ります。
2-1-19 その他
Q1ー19ー1
千鳥配置の場合のスターラップの入力方法は?
A1-19ー1
千鳥配置は鉄筋量が半分になるため、整形配置を元に下記のいずれかの入力を行えばよろしいかと思います。
(1)本数を半分にする
(2)間隔を倍にする
なお、お問合せのスターラップの入力は、
・許容応力度法
・道示Ⅳ5.1.3(P.160~)の式(5.1.3)(必要斜引張鉄筋量)
・レベル2地震時
・道示Ⅳ5.2.3(P.166~)の式(5.2.1)(斜引張鉄筋の負担するせん断耐力)
に用いております。
Q1ー19ー2
スパイラル鉄筋の配置区間について2画面あるが、それぞれの入力方法は?
A1-19ー2
それぞれの配置区間の入力方法は以下の通りです。
(1)「断面計算」画面(杭体応力度照査用)
「杭配置」-「基本条件」画面で入力された『断面の変化』スイッチ(断面変化なし/上・下杭/上・中・下杭)を参照し
ており、配置区間の最大値は、
■断面変化なし
最大値=1
■上・下杭
最大値=2 (上杭のみ配置=1,杭先端まで配置=2)
■上・中・下杭
最大値=3 (上杭のみ配置=1,中杭まで配置=2,杭先端まで配置=3)
となります。
(2)「杭本体」-「杭種別データ」画面(レベル2地震時照査用)
(1)と同様に『断面の変化』スイッチを参照しますが、M-φ関係により「杭配置」-「データ」画面で入力された『充填
範囲』を考慮します。
充填範囲が入力されていない場合は上記(1)と同じ入力となりますが、入力されている場合の配置区間の最大値は、(1)
の最大値より+1され、
■断面変化なし
最大値=2 (充填範囲のみ配置=1,杭先端まで配置=2)
■上・下杭
最大値=3 (充填範囲のみ配置=1,充填範囲以外の上杭まで配置=2,杭先端まで配置=3)
■上・中・下杭
最大値=4 (充填範囲のみ配置=1,充填範囲以外の上杭まで配置=2,中杭まで配置=3,杭先端まで配置=
4)
となります。
Q1ー19ー3
偏心した増し杭の場合、作用力の作用原点位置は杭全体の図心、もしくは底版の図心であるか
A1-19ー3
増し杭工法のとき、作用力の作用原点位置は、既設底版下面中心となります。したがって、既設底版下面中心の作用力を
集計し、入力してください。なお、レベル2地震時の死荷重時の作用力も同様です。
ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「補強設計(増し杭工法)」にも同様の説明を記載しておりますので
ご参照ください。
283
第3章 Q&A
Q1ー19ー4
回転杭の羽根外径は任意で入力できないか?
A1-19ー4
本プログラムの回転杭工法は、
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)」参考資料「9.回転杭」
(P.436~)を参照し作成してお
ります。
上記の杭基礎設計便覧は、1.5倍径,2.0倍径の羽根外径のみ記載されておりますので、本プログラムも同様の羽根外径と
しております。
そのため、任意の羽根外径を入力することはできません。
Q1ー19ー5
鋼管ソイルセメント杭の場合、
「計算条件」-「設計条件」-「鋼管ソイルセメント杭」の「許容荷重Na」とは?
A1-19ー5
許容荷重Naとは、杭部材の圧縮強度による杭軸方向の許容荷重(=鋼管断面積×許容応力度)を示しており、許容荷重
を「考慮する」としたとき、
(1)通常の許容押込み力Ra,引抜き力Pa
(2)許容荷重Na
の計算を行い、小さい方を許容押込み力,引抜き力として採用します。
上記(1),(2)の計算値および計算過程は、計算書の「予備計算」-「許容支持力・引抜力の計算」の最後のページに出力し
ておりますのでご参照ください。
なお、本プログラムの鋼管ソイルセメント杭の計算は、道示Ⅳの参考文献(P.431~)に記載されている、
28)「(財)国土開発技術研究センター,ガンテツパイル(鋼管ソイルセメント杭工法),一般土木工法・技術審査証明報告
書,2000.3」
29)「(財)国土開発技術研究センター,HYSC杭(鋼管ソイルセメント杭工法),一般土木工法・技術審査証明報告書,
2000.12」の資料を参照しており、前述の許容支持力の考え方は、29)の文献の(P.154~P.155)の記述を参照したもので
す。
また、上記の説明は、
「計算条件」画面上の[ヘルプ]の「鋼管ソイルセメント杭データ」にも詳しく記述しておりますので、
あわせてご参照ください。
Q1ー19ー6
SC杭の杭体単位長さ重量はどのように算出されるのか?
A1-19ー6
SC杭においては、
「杭基礎設計便覧」記載の単位重量(参考値)は用いておらず、次のように、プログラム内部にて厳密
に計算しております。
詳細は、下記の例をご参照ください。なお、^はべき乗を示します。
■杭体諸元(SC杭)
外径D = 0.600(m)
内径H = 0.420(m)
鋼管厚t = 0.006(m)
■コンクリート部の断面積
Ac = π・{(D/2 - t)^2 - H/2^2}
= π・{(0.600/2 - 0.006)^2 - 0.420/2^2}
= 0.1330024(m2)
■鋼管部の断面積
As = π・{D/2^2 - (D/2 - t)^2}
= π・{0.600/2^2 - (0.600/2 - 0.006)^2}
= 0.0111966(m2)
■杭体重量
W = Ac・25.5 + As・77.0
= 4.2537(kN/m)
284
Q1ー19ー7
底版形状に対して45°の方向に荷重が作用する場合の入力方法
A1-19ー7
本プログラムの作用力は、X軸,Y軸平行に作用するように入力していただく仕様としておりますが、底版形状に対して45
°の方向に荷重が作用する場合、下記の2通りの設計で対処できるものと思われます。
■2.5次元解析で設計
常時,暴風時,レベル1地震時であれば、2軸方向に荷重が作用するケースの計算を行うことが可能と考えられます。
この場合、橋軸方向に作用する水平力,モーメント、橋軸直角方向に作用する水平力,モーメントを分力として入力してご
対処ください。
2.5次元解析における計算方法につきましては、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「安定計算および
杭体断面力の計算」 に詳しく記載しておりますので、ご参照くださいますようお願いいたします。
■2次元解析で設計
作用力の向きをX軸,Y軸にし、杭配置(座標)を変更によりご対処くださいますようお願いいたします。
ただし、この場合は、安定計算,杭体断面力計算のみ可能で、底版照査は適用不可となります。
Q1ー19ー8
液状化を考慮したケースと無視したケースを同時に計算することはできるか
A1-19ー8
本プログラムでは、次の設定を行うことにより、液状化の影響を無視したケース,考慮したケースの同時計算が可能です。
■レベル1地震時
「計算条件」-「基本条件」画面において、
「レベル1地震時の液状化有無」の「無視」,
「考慮」を両方ともチェックしま
す。
■レベル2地震時
「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(共通)」画面において、
「液状化」の「無視」,
「考慮」を両方ともチェックしま
す。
ここで、液状化を考慮したケースとは、
「地層」-「低減係数」画面で入力あるいは計算された土質定数の低減係数DE
を、地盤バネや周面摩擦力に考慮した計算を行うことを示しています。ただし、全層のDEが1.000のとき、DEを考慮して
も(地盤バネや周面摩擦力にDEを乗じても)結果に相違が生じないことから、本プログラムでは、全層のDEが1.000の
とき、上記のスイッチは「無視」に固定し選択できないようにしています。選択不可(グレー表示)となっている場合、
「地
層」-「低減係数」画面の低減係数DEをご確認ください。
なお、常時,レベル1地震時の計算では、
「作用力」-「荷重ケースの設定」画面の「地盤バネ」
(「基準値」-「荷重ケー
ス」画面で荷重ケースごとに設定)が「地震時」となる荷重ケースに対し液状化の影響を考慮した計算を行っており、この
荷重ケースに対しては、液状化無視/考慮の両方の計算結果を出力しています。
また、橋台基礎のレベル2地震時照査は、道示Ⅴ6.4.8(P.105)より、液状化の影響を考慮する場合のみ検討を行えばよい
と考えています。よって、参考として液状化無視の計算を行うことも可能としておりますが、これらの同時計算を行うこと
はできません。
285
第3章 Q&A
Q1ー19ー9
汎用骨組み解析プログラムで基礎をモデル化するとき、本プログラムで算出されるバネ値のどれを用いたらよいか
A1-19ー9
杭軸直角方向バネ定数K1~K4は、杭頭の力と変位との関係を表したもので、道示Ⅳ12.6.2(P.375)の解説のように、杭1
本のバネ値を示しています。杭頭の集約バネであり、ラーメン橋脚やBOXカルバートの断面方向のモデル化で杭を1本ごと
に支点バネとして定義する際に用います。
これに対し、基礎バネは、道示Ⅳ12.7(P.380)(解12.7.2)により求まる基礎天端中心における杭基礎全体のバネ値を示して
います。各杭のKvやK1~K4を集約して求めたもので、一般に、橋梁全体の骨組解析のように、杭基礎全体を一つの支点
として定義する場合に用います。
また、上記のバネ値は、
・常時,地震時のα・Eo
・固有周期算定用の動的変形係数ED
のいずれかを用いて算出します。
α・Eoを用いて算出されたバネ値は、支承の水平移動量の算定などに用います。これに対し、EDを用いて算出されたバ
ネ値は、固有周期を算定するために橋梁全体をモデル化する場合に用います。また、道示Ⅴ7.3.2(P.114)の記述、
「基礎の
変形の影響は、一般に基礎の抵抗を表すバネにより線形でモデル化してよい。ここで、基礎の抵抗を表すバネ定数は、式
(解6.2.1)及び式(解6.2.2)による地盤反力係数の基準値を用いて式(解6.2.12)により算出してよい。」より、動的解析を行
う場合の基礎の動的バネとしても用います。
以上のように、どのような解析モデルに使用するかにより必要とするバネ値が異なります。ご検討の照査内容を勘案し、
下記のいずれかの値をご参照ください。
■地盤の変形係数α・Eoによるバネ値
・Kv
「設計条件」-「バネ定数,許容支持力・引抜力,断面二次モーメント」
・K1~K4
「安定計算」-「杭軸直角方向バネ定数」
・基礎バネ
「安定計算」-「杭基礎の剛性行列」
■動的変形係数EDによるバネ値
・Kv,K1~K4
「基礎バネ計算」-「杭軸直角方向バネ定数,杭軸方向バネ定数」
・基礎バネ
「基礎バネ計算」-「固有周期算定用地盤バネ定数」
Q1ー19ー10
底版照査に用いる引張主鉄筋比ptの算出方法
A1-19ー10
底版照査に用いる引張主鉄筋比は『断面図心位置から引張側にある主鉄筋の断面積の総和を全幅×有効高で除した
値』として算出しております。
pt=As/(b・d)
ここに、
As:断面の図心位置から引張側にある主鉄筋の総和(mm2)
b:部材断面幅(=全幅)(㎜)
d:部材断面の有効高(㎜)
Q1ー19ー11
メイン画面「ファイル」メニューの『柱状図』が選択できない
A1-19ー11
本メニューは、杭基礎側の「予備計算」が実行されていない状態では選択できません。
Q1ー19ー12
予備計算を行っていない状態で、柱状図のみ出力したい
A1-19ー12
本プログラムでは、Ver.8.04.00にて、
「地層」-「N値」画面に測定点ごとのN値の入力を追加し、平均N値の推定および
測定点ごと の詳細なN値を用いた液状化の判定が行えるように機能を拡張いたしました。
この機能では、
「杭配置」画面が未入力の状態でも出力できるため杭の概略図は出力しておりませんが、その他の部分に
関してはメイン画面の 「ファイル」メニューにある柱状図とほぼ同等の入力と出力が可能となっております。
以下は、操作方法の概略となります
1.「地層データ」画面に入り「N値」タブを選択する
2.「N値測定点を入力する」チェックボックスにチェックを入れ、深さとN値のデータを入力する
(※入力方法を「標高入力」に変更すれば測定点位置を標高で入力する事も可能です)
3.「印刷」ボタンを押し出力を行う。(現行ではプリンタ出力のみに対応しております)
「地層データ」画面のヘルプボタンより開くヘルプも併せてご参照ください。
286
Q1ー19ー13
常時,レベル1地震時では浮力の有無のスイッチがないが、浮力の有無はどのように取り扱っているのか
A1-19ー13
常時,レベル1地震時において、浮力は、
①許容支持力,引抜き力算定時の杭および土の有効重量
②フーチング下面中心の作用力計算における土砂やフーチングの浮力
③フーチング許容応力度法照査の断面力計算における土砂やフーチングの浮力
に考慮されます。
上記①の計算では、一般に、浮力考慮,浮力無視で変わることはないものと考えることから、本プログラムでは、
「地層」
-「地層線」-「設計地盤面」画面の「水位(常時)」,
「水位(地震時)」を用いた2種類の許容支持力,引抜き力のみ計算
し、
「基準値」-「荷重ケース」画面の「許容支持力(常時/地震時)」スイッチにより使い分けています。
これに対し、上記①,②に関しては、
「作用力」-「柱下端作用力」
(あるいは「作用力」-「作用力」)画面の「水位」によ
り、計算に用いる水位を直接指定していただくようにしています。
あらかじめ浮力考慮時の水位,浮力無視時の水位(フーチング下面)を設定し、荷重ケースごとに「浮力考慮」,
「浮力無
視」スイッチを指定するのではなく、荷重ケースごとに直接水位を指定します。
なお、
「作用力」画面では、画面上の[水位連動]ボタンにより、前述の「地層」画面の水位を連動することができます。
ただし、前述のように、荷重ケースごとの浮力有無のスイッチを用意しているわけではありませんので、常時は常時水位,
地震時は地震時水位が全ケースに一様にセットされます。
お手数ですが、浮力無視ケースについては、
[水位連動]を行った後、手動で0.000(m)と設定してください。
Q1ー19ー14
FRAMEで算出した断面力を杭基礎の作用力として入力する場合、柱基部断面力と底版下面作用力のどちらを入力したら
よいか
A1-19ー14
杭配置,杭径等を変更して繰り返し計算する場合、底版寸法が変化する可能性がありますので、柱下端作用力を入力し作
用力自動計算を行った方がよろしいかと思われます。
なお、算出された作用力は、計算書の「予備計算」-「作用力計算」で計算過程を出力しておりますので、算出された作用
力に問題ないかをご確認くださいますようお願いいたします。
Q1ー19ー15
SC杭+PHC杭 杭軸方向バネ定数において、ヘルプに以下のように記載されているが、その出典根拠
※SC杭+PHC杭のとき、PHC杭の断面を用いて算出します。その他の杭種のとき、上杭の断面を用いて算出します。
A1-19ー15
本プログラムにおける『杭の軸方向バネ定数』の算出は、道示Ⅳ12.6.1(P.373~)に記載されている考え方にしたがって作
成しております。
同道示Ⅳ(P.374)では、
「PHC杭の上杭としてSC杭を用いる場合には、a,Ap,EpはPHC杭の値を使用するものとす
る。」と記載されており、本プログラムも本記載に従い、SC杭+PHC杭のときはPHC杭の値を用いて算出しておりま
す。
Q1ー19ー16
増し杭計算を行った際「構造系が不安定・・」というメッセージが発生した
A1-19ー16
既設杭が原因でエラーが発生している場合、データを変更できないがどのように対処したらよいか
本プログラムの増し杭工法は、
「既設道路橋基礎の補強に関する参考資料(H.12.2)社団法人日本道路協会」を参照し作成
しております。
本文献は、4.1.5(P.4-64)の「本計算例では、既設杭と新設杭が一体として荷重に抵抗するとした計算方法を示している。」
の記述のように、既設杭に荷重を分担させ、既設杭の抵抗を期待した設計を行う方法が記載されています。
既設杭,増し杭の両方で荷重に抵抗する考え方であることから、既設杭に対しても安全性を満足させる必要があります。
前述の「既設道路橋基礎の補強に関する参考資料」において、
「ただし新設杭に比較して既設杭のじん性が極端に低い場
合、例えば設計年度の古い既設RC杭や PC杭では、
・・・この様な場合は既設杭を無
視した計算を行っても良いと思われる。」とあり、既設杭の鉛直抵抗,水平抵抗を無視した設計法が紹介されております。
既設杭の抵抗を期待しない設計法であれば、既設杭の照査がOUTとなるケースにおいてもOKと判断することも可能かと思
われますが、本文献では、既設杭の抵抗を期待しない設計法について詳細が明記されておらず、具体的な設計法が明確で
ないことから、本プログラムでは本方法には対応しておりません。ご了承ください。
なお、増し杭工法では、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「補強設計(増し杭工法)」に記載しておりま
すように、
・既設死荷重は既設杭のみが負担する。
・補強に伴う増加荷重は既設杭と増し杭で分担する。
・地震力に対して、既設杭と増し杭で分担する。
として荷重を分担しております。
地震力を伴わない既設死荷重に対しては既設杭のみで負担するものとしておりますが、その他の増加荷重および地震力は
既設杭および増し杭の両方で負担します。
したがって、増し杭を増すことで、既設杭の負担を小さくできるものと考えられます。
287
第3章 Q&A
Q1ー19ー17
2柱式フーチングの橋軸直角方向断面計算時に、モデル上の点をピン結合として計算できるか
A1-19ー17
モデル構造の変更はできません。
Q1ー19ー18
鋼管杭の鋼管厚を大きくしても仮想鉄筋コンクリート断面のMyが変わらないのはなぜか
A1-19ー18
仮想鉄筋コンクリート断面のMyは、鋼管杭のフーチング内に想定したコンクリート円柱のMyを算出します。従いまして仮
想鉄筋コンクリート内には鋼管杭は考慮しません。
杭頭仮想鉄筋コンクリートのMyについては、[杭頭接合計算]-[杭頭補強鉄筋]で示される入力に依存します。そのため、当
該の入力における使用鉄筋を修正頂くことで仮想コンクリート断面のMyに影響します。
Q1ー19ー19
PHC杭で、換算断面積Aeと部材断面積Acの数値が一致しない理由をお教え下さい
A1-19ー19
[計算条件]-[設計条件]-[応力度照査]のせん断照査方法「PHC/PC杭のせん断照査方法:総断面」が選択されているかと
存じます。
AcとAeを一致させたい場合は、以下の変更を行ってください。
1)[計算条件]-[基本条件]の「基本条件 杭基礎設計便覧の適用基準」のチェックをはずします。
2))[計算条件]-[設計条件]-[応力度照査]の「せん断照査方法 PHC/PC杭のせん断照査方法」を「コンクリート換算」
にします。
・総断面積 ・・・ 腐食代を考慮して内部計算された純断面積を用います。
・換算断面積 ・・・ 「基準値」-「杭基礎」-「杭体データ」画面で設定されている『換算断面積』を用います。
Q1ー19ー20 盛こぼし橋台で直角方向照査の照査は可能でしょうか
A1-19ー20
レベル1地震時は橋軸方向、橋軸直角方向ともに照査可能です。
レベル2地震時につきましては、申し訳ございませんが、橋軸方向のみとなり橋軸直角方向の照査はできません。ご了承く
ださい。
なお、道示Ⅳ(P.140)には、
「一般に、橋台の設計においては橋軸方向のみ照査しておけばよい場合が多い。」と記載さ
れております。
盛りこぼし橋台の設計を行うにはいくつかの制限事項があり、これに該当する場合は、盛りこぼし橋台の設計を行うこと
ができません。ご了承ください。
詳しくは、
「基礎,杭基礎」側の「計算条件」画面上の[ヘルプ]
(橋台特殊設計の「選択不可条件」をクリック)をご参照
くださいますようお願いいたします。
Q1ー19ー21
杭基礎の設計では耐震場所打ち杭(TB杭) を使用することができるか
A1-19ー21
Ver10.4.0より「内面リブ付鋼管巻き場所打ち杭」(JFETB杭)として対応しております。使用する場合は「計算条件」-「設
計条件」-「杭」-「杭種」より「内面リブ付鋼管巻き場所打ち杭」を選択してください。
Q1ー19ー22 橋脚と連動時、橋脚側で変更したデータが基礎の設計側で更新されないことがあるのはなぜか
A1-19ー22
288
考えられる原因としましては、基礎の設計側の入力画面を開いた状態で橋脚のデータを変更したことが挙げられます。
その場合、基礎の設計における入力画面を全て閉じた状態でなければ橋脚のデータ更新が適用されませんので、基礎の
設計にデータが渡されないことがございます。
Q1ー19ー23 群杭で考えた場合、引き抜き軸力(マイナス軸力)が出る杭が有るので、マイナス値の解析は問題ないと思われる
単純に入力値で不可となっているだけでは無いか?
A1-19ー23
押込み杭と引抜き杭が生じるのは問題ありませんが、基礎全体が浮き上がる解析(「底版下面中心位置の鉛直荷重」がマ
イナスとなる場合)については対応しておりません。
Q1ー19ー24 底版設計における入力設定について。底版釣合鉄筋量算出時の鉄筋の取扱いについて、単鉄筋と複鉄筋のいずれかを
使った方がいい等の規定はあるか
A1-19ー24
本プログラムでは、道示Ⅳ8.7.3(P.241~)より、軸方向鉄筋量が1/2釣合鉄筋量以下となるよう照査しておりますが、鉄筋
の取扱い(単鉄筋/複鉄筋)については、道示や他の文献類においても具体的な考え方が明示されておらず、したがって、
単鉄筋/複鉄筋のいずれの計算も可能としたうえで、設計者の方のご判断で指定していただきますようお願い申し上げま
す。
Q1ー19ー25 流動力を考慮する場合、水平抵抗を考慮しない(道示5P146)とあるが、この場合は、プログラム上は「前面地盤反力度
=0」ということで正しいか?
A1-19ー25
お考えの通りです。
流動化範囲の下端より上の地盤抵抗は0とします。
ただし流動化は地震後に一定時間後に生じるものと考えられるため、水平震 度= 0で解 析を行います(道示Ⅴ 8.3.1
p.143)。
Q1ー19ー26 橋台との連携で下部工の設計を行っており、杭基礎の設計に於いて、レベル2地震時の検討を行いたいが、入力画面がグ
レーになっており計算できない
A1-19ー26
段差フーチングの場合はできないか?
段差フーチングの場合でもレベル2地震時の検討は可能です。
段差フーチングにおいてレベル2地震時の照査を行うためには、
「初期入力」画面の基礎形式で2.5次元解析を選択する
必要がございます。
お送りいただきましたデータファイル「段差フーチング.f4a」では「橋台の設計」の初期入力で「基礎形式:杭基礎」が選
択されています。
こちらを「杭基礎(2.5次元解析)」へ変更し、計算後、
「杭基礎の設計」-「計算条件」-「基本条件」でレベル2地震時
照査を「する/しない」の選択が可能となります。
ご確認いただきますようお願いいたします。
2.5次元解析の概要につきましては、ヘルプの「概要」-「プログラムの機能概要」-「機能及び特長」、および「計算理論
及び照査の方法」-「杭基礎」-「安定計算および杭体断面力の計算」に記載しておりますのでご参照くださいますようお
願いいたします。
[補足]
道路橋示方書では杭基礎X軸(水平変位)とY軸(鉛直変位)及びXY同一面での回転変位を考慮した2次元解析を行う
としています。
計算方向に直交する方向の杭列が整列配置しており、地層線に傾斜が無い場合ですと問題ありませんが、そうでない場合
は計算方向に直交する方向の挙動が一様ではなくなります。また計算方向に直交する方向に偏心荷重がある場合も同様
です。
2次元解析では計算方向に直交する方向についてはモデル化しておりませんので、これらの影響を考慮することができま
せん。
上記の理由で、計算方向に直交する方向の影響を考慮できる解析方法を取り入れております。
ただし、平面的に(基礎を真上から)見た場合、基礎が回転する変位(Z軸周りの回転)も考えられますが、基礎のねじり
についてどのように取り扱うかの資料がなく、また、実装のために多くの労力を要することが考えられるため、Z軸周りの
回転は考慮しない計算方法としております。そのため、3次元解析ではく2.5次元解析と称しております。
289
第3章 Q&A
Q1ー19ー27 「橋台の設計」連動時に、段差形状が、橋台の設定と同じにならない
A1-19ー27
「橋台の設計」の[形状]-[躯体]-[段差形状]を修正してください。
橋台の設計では、意図通り表示されておりますが、杭基礎では、この設定を厳密に受け取っているために本現象となって
おります。
Q1ー19ー28 「計算部材数が上限値(200)を超えてました。地盤データーの着目点ピッチを大きくしてください」のメッセージが出ます
A1-19ー28
本プログラムは、杭体断面変化位置,地層境の他に、
「レベル2地震時照査」-「地盤データ」画面で設定された地層ごと
の『着目点ピッチ』を用いて、杭の部材データを設定しています。
「計算部材数が上限値(200)を超えました」というメッセージは、分割数ではなく、上記により設定する部材数が上限値
200を超える場合に表示しています。
「レベル2地震時照査」-「地盤データ」画面で『着目点ピッチ』を大きくしてくださいますようお願いいたします。
Q1ー19ー29 以下のようなエラーが出る場合、どうすればよいか
データ設定エラー:[20966
「M-φ」画面において、正しく設定されていない杭が存在します。
「入力状況」、
「データ確認」により、未設定の杭を確認し、正しく設定し直してください。
A1-19ー29
一部の杭のデータの入力が行われていないことが原因で、画面を確定終了することができなくなっています。
どの杭でエラーが発生しているかは、
①「杭種別データ」画面の左側の「データ確認」を選択する。
②杭配置図上で該当する杭を選択する。
③表示されるデータを確認する。
の操作を全杭対して行うことによりご確認ください。
Q1ー19ー30 浮力について、例えば水位が底版下面-1.0mと-5.0mとで計算結果は変わりますか
A1-19ー30
290
また、杭自体に作用する浮力が計算のどの部分で考慮されているか教えて下さい。
常時・レベル2地震時では、杭の支持力に影響しますので、杭の鉛直反力での判定が変わる場合があります。変位や地中
部曲げモーメントなどの値は変わりません。
レベル2地震時では、前面地盤の上限値が変わりますので、地盤の弾塑性範囲が変わり、計算結果自体が変わる場合が
あります。
杭自重を考慮する場合に、杭の支持力の計算に用いますので、計算書の予備計算の押込み支持力・引抜き抵抗力をご参
照ください。
レベル2地震時もレベル2地震時予備計算の地盤の上限値をご参照ください。受動土圧強度の計算に土の単位重量が影
響します。
2-1-20 段落とし自動配筋
Q1ー20ー1
自動配筋を選択した場合、1/2Mmax位置はどのケースの深さを選択しているか?
A1-20ー1
本プログラムでは、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「場所打ち杭の自動配筋」の『4.断面変化位置
の算出方法』に記載しておりますように、断面変化位置の決定は、各荷重ケースごとに変化位置を求め、最も深い位置を
各断面の変化位置としています。
これは、どの荷重ケースの結果を断面変化位置とすべきかプログラム側で判断できないためです。
しかしながら、特定のケースの結果を用いて、断面変化位置を決定する方法も考えられます。
そこで、本プログラムでは、以下の手順が行えるようにしております。
(1)『自動配筋=する』あるいは『自動配筋=しない』とし断面変化位置を自動計算
(2)「計算・結果確認」-「杭体応力度」画面で自動配筋計算結果を確認し、設計者の方のご判断で断面変化位置を決
定
(3)「計算・結果確認」-「杭体応力度」画面上の[断面位置指定]ボタンから(2)の位置を直接入力
あるいは
(1)『自動配筋=する』あるいは『自動配筋=しない』とし断面変化位置を自動計算
(2)「計算・結果確認」-「杭体応力度」画面で自動配筋計算結果を確認し、設計者の方のご判断で断面変化位置を決
定
(3)『自動配筋=しない』として、(2)の位置を入力
(4)入力された断面変化位置に応じた応力度計算を実行
なお、
「基礎の設計計算Ver.5,杭基礎の設計Ver.5(Ver.5.00.00)」において、杭体応力度/許容応力度の許容比が最も
大きなケースの断面変化位置を採用することができるよう下記の選択を設けました。
■全ケースの最下位置の荷重ケース
各断面に対して荷重ケースごとに変化位置を求め、最も深い位置を変化位置します。
(上記(Ver.4)の決定方法)
■第1断面の最大許容応力度比の荷重ケース
第1断面(Mmax)で算出された許容応力度比(σc/σca,σs/σsa,σs'/σs'a)が一番大きくなるケースの断面変化
位置を、第2,第3断面の断面変化位置とします。
2-1-21 設計調書
Q1ー21ー1
設計調書の「基礎工詳細設計調書(その2)」の『鉛直変位δz』の算出方法
A1-21ー1
「基礎工詳細設計調書(その3)」の『鉛直変位δz』は、ヘルプの「操作方法」-「メニューの操作」-「設計調書」-『②
杭基礎の設計計算』の「1.基礎工詳細設計調書」-「(2)その2 および その3」に記載しておりますように、抽出され
た荷重ケースのPmax/Raの最大となる杭のPmax/Kvを出力しています。
なお、鉛直変位δzは、安定照査には用いておりませんので、計算書では出力しておりません。
Q1ー21ー2
設計調書のレベル2地震時の照査結果でθFoという値は何か
A1-21ー2
θFoは、底版下面中心における回転変位(回転角)を示しております。
計算書におきましては「レベル2地震時の照査」-「液状化無視/考慮・地震動タイプⅠ/Ⅱ・浮力無視/考慮」の「底版
下面中心における変位」に出力しております。
なお、上記計算書の単位は(rad)となりますが、設計調書では(mrad)で出力しております。
291
第3章 Q&A
Q1ー21ー3
設計調書の中の一番右側の列にある脚注は、どこから引用されているものでしょうか
A1-21ー3
本プログラムの調表様式は、
「詳細設計照査要領 建設省大臣官房技術調査室 監修 平成11年4月 社)近畿建設協
会」の定められたテンプレートで作成しております。
同資料の脚注の説明を抜粋します。
※1) 各下部構造の支承条件や下部工高さ等の違いによる水平力およびモーメントの大小関係を横並びの比較によって
オーダーをチェックする。
※2) 設計値が許容値を満足していることをチェックする。
※3) 応力度が許容応力度を満足していることをチェックする。
※4) 平均せん断応力度が許容せん断応力度を満足していない場合には、使用帯鉄筋量が必要帯鉄筋量を満足しているこ
とをチェックする。
※5) 応答塑性率による照査としている場合、その理由が橋脚躯体の設計結果と整合しているかチェックする。
※6) 設計値が許容値あるいは制限値を満足していることをチェックする。
液状化層あるいは土質定数を零とみなすごく軟弱な粘性土層あるいはシルト層がある場合には、以下の耐震設計が行わ
れていることをチェックする。
①不安定となる地盤の影響がない場合
②不安定となる地盤の影響がある場合
また、液状化に伴い橋に影響を与える流動化が生じる可能性がある場合には、以下の耐震設計が行われていることを
チェックする。
①不安定となる地盤の影響がない場合(液状化も流動化も生じないと考えた場合)
②不安定となる地盤の影響がある場合(液状化だけが生じると考えた場合)
③流動化が生じると考えた場合
※7) 基礎の応答塑性率が0の場合は、以下のいずれかに相当していることをチェックする。
①(khc<khyF)基礎が降伏に達するときの水平震度khyFが、地震時保有水平耐力法に用いる設計水平震度khc以上
となる場合には、基礎および橋脚躯体いずれの応答も弾性範囲内であるので、安全であると判断できる。
②(khcF<khyF<khc) khyFが基礎の地震時保有水平耐力法に用いる設計水平震度khcF以上となる場合には、基
礎に降伏が生じるが基礎本体あるいは基礎周辺地盤に塑性化が生じることにより減衰の影響が大きくなるので、基礎の
損傷はそれ以上に進展しないと判断され、安全であると考えてよい。
※8) 鋼管杭の場合には、せん断力の照査は行わなくてよい。
Q1ー21ー4
L2設計調書で出力されている応答塑性率μFR・応答変位δFRは、計算書のどこで確認できるか
A1-21ー4
計算書の詳細出力で[レベル2地震時の照査]-[計算結果一覧表]-[液状化無視/考慮・地震動タイプI/II・浮力無視/考慮]
-[橋軸/橋軸直角方向]の「応答塑性率の照査」にて確認可能です。
2-1-22 地震時保有水平耐力
Q1ー22ー1
底版レベル2地震時照査において、
「以上のように、基礎はkhyF=0.###で降伏に達したが ~」のようなコメント(詳細欄
参照)が表示され、応答塑性率照査を行わない場合があるが、どういう意味か?
A1-22ー1
表示されるコメント
---------------------------------------------------------------------------------------------------以上のように、基礎はkhyF=0.###で降伏に達したが
khcF≦khyF(0.###≦0.###)より、基礎の降伏が生じるが基礎本体あるいは
基礎周辺地盤に塑性化が生じることにより減衰の影響が大きくなるので基礎の
損傷はそれ以上進展しないと判断される。
上表の青表示は基礎が降伏に達した条件を示しています。
---------------------------------------------------------------------------------------------------『道路橋の耐震設計に関する資料 (平成9年3月) 社団法人日本道路協会』のP.2-62~2-63に、基礎の応答塑性率の照査
に関する記述があります
ここに、
「……khyFがkhc以下であるが,道路橋示方書V編式(11.4.3)により算出される基礎の地震時保有水平耐力法
に用いる設計水平震度khcF(=CD・khc)以上の場合には,基礎に降伏が生じるが基礎本体あるいは基礎周辺地盤に
塑性化が生じることにより減衰の影響が大きくなるので,基礎の損傷はそれ以上に進展しないと判断される。」とあり、
本プログラムではこれを参照しています。
khcF≦khyFの関係で基礎が降伏に達したとき、応答塑性率の算式、
μFR=1/2{1+(khcF/khyF)2}
に代入すると、μFR<1の関係になりますが、前述の資料のP.2-63の図-2.3.12より、応答塑性率μFR=1.0となるため、応
答変位時=基礎降伏時としています。
このため、応答塑性率の照査結果は出力しておらず、上記の解説文を表示・出力しています。
292
Q1ー22ー2
杭基礎の「レベル2地震時照査」-「基本条件」-「計算条件(1)」で『塑性化した部材の曲げ剛性の取り扱い』に10000を
入力しているが問題ないか?
A1-22ー2
基礎が降伏に達して応答塑性率照査を行う場合、基礎降伏後、応答変位となる状態を求めるために水平震度を増加させ
ながら計算を続行していますが、応答変位状態とな る前に地中部杭体モーメントが終局モーメントあるいは全塑性モーメ
ントに達する部材が発生した場合、この部材の曲げ剛性は、
「レベル2地震時基本条件」-「計算条件」画面の『塑性化し
た部材の曲げ剛性の取扱い』により与えられます。
本入力は、地中部杭体モーメントが終局モーメントあるいは全塑性モーメントに達し た部材の曲げ剛性を、コンクリート
杭は道示Ⅳ12.10.4(P.412)図-解12.10.3のY-U区 間,鋼管杭及び鋼管ソイルセメント杭はY-Yʼ区間の勾配に対する低減
率(何分の1とするか)として指定します。
この低減率は、道示モデルのように、曲げ剛性が極めて0に近い値となるよう1/10000 を初期設定していますが、あまりに
も曲げ剛性が小さくなりすぎると、プログラム内 部で用いている実数値の有効範囲(桁数)が不足し、桁落ちし、
『0割が
発生しました。』とエラーが発生するケースがあります。
この状態となる低減率は計算モデルに依存し、事前に適切な低減率を提示することはできません。計算可能な範囲内で
低減率を設定して下さい。
Q1ー22ー3
「地盤データ」画面の『上載荷重』で、浮力無視と浮力考慮が同じである
A1-22ー3
「地盤データ」画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、上載荷重算出用の水位は、
「レベル2地震時基本条件」-
「基本条件(杭基礎)」画面で設定された『予備計算用水位』を用いております。
『予備計算用水位』が浮力無視/考慮で同じ場合、上載荷重は同じになります。
Q1ー22ー4
左ツリー部の「流動荷重」が選択できない
A1-22ー4
「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(共通)」画面で『計算条件=流動化考慮』を選択ください。
なお、入力画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、
「地層」-「低減係数」で流動荷重強度>0.000の地層が存在
する場合のみ『計算条件=流動化考慮』が選択可となります。
以上より、
「レベル2地震時照査」-「流動荷重」画面の入力が可能となります。
Q1ー22ー5
作用力直接指定によるレベル2地震時照査時において、huは何に用いているのか?
A1-22ー5
荷重変位曲線(作用水平力と上部構造慣性力作用位置の水平変位の関係をグラフ化したもの)を出力するために用いて
おり、具体的には、上部構造慣性力作用位置での水平変位(=基礎天端水平変位δo+基礎天端回転角αo・hu)として算
出しております。
以上より、huは底版下面から上部構造慣性力作用位置までの高さを入力してください。
なお、荷重変位曲線のための入力であるため、huを変更しても、基礎の安定計算に影響はありません。
Q1ー22ー6
釣合鉄筋量の算出方法は?
A1-22-6
釣合鉄筋量は、道示Ⅳ7.3(P.176)(2)において、次のように定義されています。
「釣合鉄筋量は、軸方向引張鉄筋が降伏点に達すると同時にコンクリートの縁圧縮ひずみがその終局圧縮ひずみに達す
るような引張鉄筋量とする。」
釣合鉄筋量の算出方法は以下のとおりです。
a)引張側の最遠位置のひずみをεsy(鉄筋の降伏ひずみ)、コンクリート圧縮縁のひずみをεcu(終局圧縮ひずみ)とし
て中立軸位置を求める。
b)各位置のひずみを用いて、コンクリートの圧縮応力度の合力、および圧縮側鉄筋に生じる圧縮力を算出する。
c)
(作用軸力が0なので)コンクリートの圧縮力と圧縮鉄筋の圧縮力の合計値を、鉄筋の降伏点強度で除した面積を、
釣り合い鉄筋量とする。
参考)道示Ⅲ4.2.4(P.141)では、次の様に定義されています。
「コンクリートの終局ひずみと引張鋼材の降伏ひずみが同時に生じる場合をつり合い状態といい、その時の引張鋼材量
を終局つり合い鋼材量と呼ぶ。」
(解 4.2.5)を軸力が無い場合に変更すると以下のようになります。
Asb=(b・d・0.68・εcu/(εcu+εsy)・σck+Asʼ・σsʼ)/σsy
この式ではコンクリートの応力度分布として「図-解4.2.3」
(P.140)を用いるのに対し、本プログラムでは「図-解4.2.2」「(c)」
(P.140)の応力度分布を用いておりますが、この点を除けば(解4.2.5)と同じ方法です。
293
第3章 Q&A
Q1ー22ー7
レベル2地震時の底版前面水平抵抗において、液状化考慮時は前面抵抗を考慮せずに照査したい
A1-22-7
「底版前面水平抵抗」画面の『低減係数DEレベル2』に0.0を入力することで、液状化考慮時は底版前面水平抵抗を考慮
しない状態となります。
(※液状化無視時は底版前面水平抵抗を考慮します。)
Q1ー22ー8
計算書の最小鉄筋量照査で「Mc=Muとなる鉄筋量」が表示されている場合と「-」の違いは?
A1-22-8
「Mc=Muとなる鉄筋量」は、曲げモーメントの1.7倍がひびわれ曲げモーメントより大きくなるとき(1.7M>Mcの関係と
なるとき)出力しています。
Q1ー22ー9
「作用力を指定する」とは、どのような場合に使用するのか?
A1-22-9
作用力直接指定によるレベル2地震時照査は、道示Ⅴ7.4(P.117)に記述されている「動的解析の結果,橋脚の挙動が弾性
域にとどまる場合には,橋脚基部に生じる断面力を橋脚基礎に作用する地震力とみなして、6.4.7の規定に基づいて照査
を行えばよい。」に対応したもので、入力された作用力に対して、基礎が降伏に達するか否かを計算しています。
現行では、上記の柱基部断面力を指定する方法の他、底版下面中心の作用力を直接与えて照査する方法も用意しており
ます。
具体的な計算は、下記の初期作用力から全作用力まで、荷重を増加させながら計算を行い、全作用力時に基礎が降伏に
達しないことを照査しています。
・初期作用力
V=Vp+Vʼ
Ho=Hʼ・SW
Mo=Mʼ・SW
慣性力の向きが正方向のとき、SW=1
慣性力の向きが負方向のとき、SW=-1
・全作用力
V
H=Hp+WF・kh+Hʼ・SW
M=Mp+Hp・(底版厚)+WF・hF・kh+Mʼ・SW
ここに、
Vp:柱基部における鉛直力(kN)
Hp:柱基部における水平力(kN)
Mp:柱基部におけるモーメント(kN・m)
Vʼ:柱基部断面力以外の鉛直力(kN)
Hʼ:柱基部断面力以外の水平力(kN)
Mʼ:柱基部断面力以外のモーメント(kN・m)
h:頂版厚
kh:地盤面の水平震度
計算方法につきましては、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「レベル2地震時照査」-「基礎の耐力の
照査」-「作用力を指定してレベル2地震時照査を行う」に記載しておりますので、ご参照くださいますようお願いいたし
ます。
なお、作用力直接指定の場合、前述の通り、基礎の耐力照査(設定された全作用力を載荷したときに基礎が降伏に達して
いるか否か)のみを行っており、応答塑性率の照査は行いません。
詳しくは、ヘルプの「Q&A」-「杭基礎」-「23.地震時保有水平耐力」-「Q23-32」に詳しく記載しておりますのでご
参照ください。
Q1ー22ー10 作用力を指定してレベル2地震時照査を行う場合に柱間の底版レベル2地震時照査を行う方法は?
A1-22-10
294
「レベル2地震時基本条件」画面上の[ヘルプ]の「(3)作用力を指定する場合」に記載しておりますように、本プログラム
では、作用力を指定して杭基礎レベル2地震時照査を行う方法として、
①柱基部の作用力を指定し、プログラム内部にて底版下面中心の作用力を算出を行い、この作用力を用いて照査する
方法
②底版下面中心の作用力を直接指定する方法
の2種類を用意しております。
ただし、①の柱基部の作用力を指定する方法は、単柱橋脚のみのサポートとしており、多柱式橋脚の場合、②の方法によ
り照査していただく必要があります。
よって、本件につきましては、
「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(共通)」画面で「作用力を指定してレベル2地震
時照査を行う=する(底版下面作用力)」と設定したあと、同画面の「基本条件(杭基礎)」において、底版下面中心の初
期作用力(=死荷重時の作用力),全作用力(=慣性力が作用した状態における全荷重)を別途算出し、直接入力すること
によりご対処くださいますようお願いいたします。
これにより、
「底版設計」-「計算条件」画面の「レベル2地震時照査:連続フーチングの柱間照査」が選択できるようにな
りますので、安定計算を実施した後、
「計算・結果確認」-「底版照査」-「X方向」-「柱基部断面力」画面にてそれぞれ
の柱の断面力(断面照査時の柱基部の断面力)を入力し、底版レベル2地震時照査を行ってください。
Q1ー22ー11
レベル2地震時基本条件の計算条件の「上限値pHuの取扱い」にある「L/DE」とは?また計算のどの部分に用いられてい
るのか?
A1-22-11
レベル2地震時照査では、杭前面地盤の非線形性を考慮した照査を行っておりますが、砂質地盤の水平地盤反力度の上
限値は、道示Ⅳ(P.409)のとおり、最前列/2列目以降で異なり、2列目以降の上限値を1/2とします。
しかしながら、増し杭工法で既設杭の外側に増し杭が増設されたとき(全杭を考えたとき既設杭が最前列とならないと
き)、既設杭の最前列の地盤反力度の上限値を1/2とするか否か、道示において明確な規定がありません。
したがって、本プログラムでは、既設杭の最前列の地盤反力度の上限値を1.0とするか、1/2とするかを選択していただくよ
うにしております。
ここで、
「上限値pHuの取扱い」に表示される「L/DE」は、
「既設基礎の耐震補強技術の開発に関する共同研究報告書
(その3)(平成14年9月)」の
・既設杭径DE/増し杭径DM≧3.4
・増し杭1列目から既設杭1列目までの距離L/既設杭径DE≧1.8
をいずれも満たすとき、既設杭の最前列の地盤反力度の上限値を低減せず1.0として評価してよいとの記述を参照し、参
考値として表示しているもので、計算には用いておりません。
Q1ー22ー12 壁式橋脚の橋軸直角方向に対してのみ、基礎の塑性化を考慮した設計を行うものと考えていたが、橋軸方向に対しても考
慮しても良いのか?
A1-22-12
旧道路橋示方書Ⅴ(H8.12)の5.2(2)2),11.1におきまして、
「橋軸直角方向において橋脚躯体が設計水平震度に対して十分
大きな終局水平耐力を有している場合」という記述があり、橋軸直角方向に限定して応答塑性率の照査を満足すればよい
とされておりましたが、改訂後の道示Ⅴ(H14.3) 6.4.7(3),12.1におきましては、
『橋軸直角方向』との記述が削除されてお
り、方向に依存せず、橋脚躯体が十分大きな水平耐力を有している場合は応答塑性率の照査を満足すればよいという記
述となっております。
したがって、本プログラムでは、橋軸方向に対しても応答塑性率の照査を行っています。
Q1ー22ー13 盛りこぼし橋台の設計において基準変位量Soには何を入力すればよいか
A1-22-13
「杭の基準変位量So」についての情報を持っておらず、適切な返答ができません。ご了承ください。
レベル2地震時の地盤反力係数は、
「設計要領第二集 橋梁建築編(H18.4)」の図4-4-21(P4-57)におけるワイブル曲
線にて推定すると規定されておりますが、本項における基準変位量So(=ひずみ1%)をどのように算出すべきか明確な
記述がなく、本説明から把握することができません。
このため、設計者の方のご判断で入力していただく仕様としております。
Q1ー22ー14 「レベル2地震時基本条件」-「計算条件③」画面の照査判定用の軸力の取扱いはどれを選択したらよいか
A1-22-14
杭基礎設計便覧(P.303の4行目)では、
「仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメントの算定においては軸力Nを零と
する。」と記載されております。
これより、仮想鉄筋コンクリート断面My算出用の軸力は「軸力=0」で良いのではと思われますが、杭基礎設計便覧
(P.303の5行目)に、
「ただし、レベル2地震時の照査において、基礎に主たる塑性化を考慮する場合は・・・・」と記載され
ております。
取り方によっては、(P.303の4行目)の「軸力Nを零とする。」は「基礎に主たる塑性化を考慮しない」場合に対してと読み
取ることもできます。
以上より、杭基礎設計便覧では軸力の取扱いが詳しく明記されておりませんので、本プログラムは、
(1)降伏判定用
(2)基礎に主たる塑性化を考慮するとき
(3)基礎に主たる塑性化を考慮しないとき
に用いる仮想鉄筋コンクリート断面My算出用の軸力を選択していただく仕様としております。
杭基礎設計便覧をご参照いただき、最終的には設計者の方のご判断により選択してください。
295
第3章 Q&A
Q1ー22ー15 2柱式のフーチングで断面力の耐力照査を行いたい
A1-22-15
レベル2地震時照査につきましては、次の手順にて入力,計算を行ってください。
1)
「底版設計」-「計算条件」画面の【連続フーチングの柱間照査】で『連続フーチングの柱間照査=する』と指定する。
2)レベル2地震時の安定計算を行う。
3)
「計算・結果確認」-「底版照査(レベル2)」結果確認画面を開き、
「X方向」-「柱基部断面力」で、断面照査時の
『柱基部断面力』を入力する。
4)同画面の「曲げ照査」,
「せん断照査」に移動し、照査結果を確認する。
なお、連続フーチング柱間レベル2地震時照査を行うには、底版自重,上載土重量,浮力,杭頭反力,および部材照査時
の各柱基部の作用力が必要となりますが、例えば、ラーメン橋脚において柱基部断面力を算出する際に部材の曲げ剛性
等をどのように評価して算出すべきか基準類に明示されておらず、また、本プログラムには多柱式橋脚そのものの設計機
能がありませんので、設計者の方のご判断により別途算出された部材照査時の荷重状態における柱基部断面力を直接入
力していただくようにしております。
部材照査時の荷重状態は次のとおりです。
・基礎が降伏に達しなかったとき:最終震度時
・基礎が降伏に達して応答塑性率照査を行わないとき:基礎降伏時
・基礎が降伏に達して応答塑性率照査を行ったとき:応答変位時
詳しくは、各入力画面,結果確認画面の[ヘルプ]をご参照ください。
Q1ー22ー16 基礎が降伏に達し、応答塑性率の照査を行うことが可能な条件にもかかわらず、応答塑性率の照査が行われない。これは
なぜか?
A1-22-16
「レベル2地震時基本条件」-「計算条件②」画面の「橋脚に主たる塑性化が生じるとき、基礎に主たる塑性化を考慮し
ない」をご確認ください。
本スイッチは、道示Ⅴ12.1(P.211)の「ただし、橋脚基礎に主たる塑性化が生じることを考慮する場合には、主たる塑性化
が橋脚基礎にのみ生じるようにするために、図-解12.1.2に示すように、基礎の降伏耐力が橋脚の終局水平耐力あるいは
橋脚躯体基部に生じる断面力を上回らないことを確認するものとする。」に対応したもので、基礎が降伏に達したときの
水平震度khyFを用いて、
khyF≧khp・・・・橋脚基部に主たる塑性化が生じる
khyF<khp・・・・基礎~地盤系に主たる塑性化が生じる
により、橋脚基部に主たる塑性化が生じているか否かを判断し、khyF≧khpの関係で基礎が降伏に達したとき、応答塑
性率の照査を行いません。
また、作用力を直接指定してレベル2地震時照査を行う場合、基礎の耐力照査(設定された作用力を載荷したときに基礎
が降伏に達しているか否か)のみを行っており、応答塑性率の照査は行っておりません。
この他、
「A1-22-1」の条件も考えられます。こちらも合わせてご参照ください。
Q1ー22ー17 「レベル2地震時照査」-「地盤データ」の「杭間隔÷杭径」はどの計算に用いられ、どこに影響するのか?
A1-22-17
杭間隔÷杭径は、道示Ⅳ12.10.4の解12.10.8(P.409)の
ηp・αp=荷重載荷直角方向の杭の中心間隔/杭径
を指しており、次に示される、砂質地盤の群杭効果を考慮した水平地盤反力度の上限値の補正に用いられます。
pHu=ηp・αp・pu
ここに、
pHu:水平地盤反力度の上限値
pu:地震時の受働土圧強度
杭間隔÷杭径が異なった場合、水平地盤反力度の上限値が変わるため、杭前面地盤に塑性化領域が生じるケースでは、
杭前面地盤抵抗が異なり、基礎の挙動に影響を与えます。
詳しくは、上記道示をご参照くださいますようお願いいたします。
296
Q1ー22ー18 レベル2地震時の計算書において、(1)杭,(2)杭・・・とあるが、これはどの杭を示しているのか?
A1-22-18
本プログラムでは、水平地盤で杭径,杭長が全杭同一となるとき、全杭の結果は出力せず、条件が同一となる杭をまとめ
(1)杭,(2)杭・・・として結果出力を行っています。
(1)杭,(2)杭の分け方については下記説明をご参照ください。
杭体のM-φ関係,水平地盤反力度の上限値が同一の杭の場合、レベル2地震時照査結果は、杭頭から杭先端までの杭
体状態量(曲げモーメント,せん断力,変位)分布が同じになります。これに対し、杭体のM-φ関係,水平地盤反力度の上
限値が異なる杭の杭体状態量分布は異なります。
本プログラムでは、杭体状態量分布が同一となる杭を同一タイプとし、このタイプ番号を(1)杭,(2)杭,・・・としていま
す。
例えば、道示Ⅳ12.10.4に記述されていますように、コンクリート杭の場合、杭体のM-φ関係は
(A)図心より押込み側(軸力=死荷重時反力)
(B)図心位置および引抜き側(軸力=0.0)
で異なります。
また、水平地盤反力度の上限値は
(a)最前列
(b)2列目以降
で異なります。
これらを組み合せる事により、
(1)杭:最前列の杭
・M-φ関係:(A)図心より押込み側(軸力=死荷重時反力)
・地盤反力度の上限値:(a)最前列
(2)杭:2~3列目の杭
・M-φ関係:(B)図心位置および引抜き側(軸力=0.0)
・地盤反力度の上限値:(b)2列目以降
のようにタイプが割り振られます。
計算書の「レベル2地震時の照査」-「荷重変位曲線」の出力において、(1)杭,(2)杭の説明を出力しております。また、
「液状化無視/考慮,地震動タイプⅠ/Ⅱ,水位無視/考慮」の出力に、それぞれのタイプ番号に該当する杭を杭配置図
で図示しておりますので、こちらでご確認くださいますようお願いいたします。
Q1ー22ー19 レベル2地震時の降伏判定に杭頭部の耐力(仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメントMy)が用いられているが、
これはどのような理由によるのか?
A1-22-19
平成8年道示Ⅳ10.9.3(P.371)において、
「仮想鉄筋コンクリート断面の耐力は,杭本体と同程度以上とするのが望まし
い。」という記述が追加されました。
また、その後、平成9年に発刊された「道路橋の耐震設計に関する資料社団法人日本道路協会」(P.4-33)において、
「した
がって、杭頭部における杭体の曲げモーメントM-曲率φの関係としては鋼管杭と結合部の仮想鉄筋コンクリート断面の
うち降伏曲げモーメントの小さい方を用いる必要がある。ただし、杭基礎全体の耐力を向上させるという観点から、仮想
鉄筋コンクリート断面の耐力は、配筋上制約のない範囲内で鋼管杭本体の耐力以上とするのが望ましい。」との記述が記
載されています。
上記の道示および青本の記述は、仮想鉄筋コンクリート断面の耐力を杭体と同程度以上とした設計を行うことを期待す
るが、仮想鉄筋コンクリート断面の耐力を杭体以上とすることができない場合、その小さい方を用いて基礎の降伏判定を
行う必要があることを示しております。
本プログラムでは、上記を参照し、杭頭部の降伏判定には、仮想鉄筋コンクリート断面の耐力と杭体の耐力のうち小さい
方を用いています。
なお、平成19年1月に発刊された杭基礎設計便覧において、レベル2地震時における杭頭部の照査方法が明確に規定され
ました。
よって、現行では、杭基礎設計便覧に準じた杭頭部の照査を満足すれば、仮想鉄筋コンクリート断面の耐力を用いて降伏
判定を行うケースは少ないものと考えられます。
ただし、例えば既設照査等においては、必ずしも杭頭部の耐力が杭体と同程度以上となっていないことが考えられます。
この場合、前述の青本の記述が適用され、仮想鉄筋コンクリート断面の耐力を用いて降伏判定が行われます。
297
第3章 Q&A
Q1ー22ー20 3列杭のレベル2地震時照査結果において、降伏時の最大曲げモーメントに着目すると、1,2杭は制限値である降伏曲げ
モーメントと一致しているが、3杭は制限値を超えた状態となっている。制限値を超えた状態となるのはなぜか
A1-22-20
本プログラムのレベル2地震時照査では、基礎が降伏に達したとき、降伏に達した状態の結果を表示,出力しています。
道示Ⅴ12.3(P.217)に記述されていますように、杭基礎の降伏は、
(1)全ての杭において杭体が降伏する。
(2)一列の杭の杭頭反力が押込み支持力の上限値に達する。
のいずれかに最初に達する状態となります。
本ケースの場合、上記の(1)に該当しています。
3列目の最大曲げモーメントが制限値(降伏曲げモーメントMy)に達しても、1,2列目の杭列がMyに達していない場合、基
礎が降伏したとは判断せずさらに水平震度を増加させて計算を行います。
最終的には、
「全ての杭において杭体が降伏する」、つまり1,2列目の杭列がMyに達して初めて基礎が降伏したと判断さ
れ、この状態を降伏時の状態として表示,出力します。
よって、1,2列目の杭列はMyと一致し、3列目については制限値を超えた状態となっています。
Q1ー22ー21 レベル2地震時照査―基本条件のkhgはCzをかけた値を入力するのか?
A1-22-21
「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(共通)」画面の『khG』は、道示Ⅴ6.4.3(P.89~)の「khg=Cz・khgo」を入
力して下さい。
Q1ー22ー22 作用力を指定してレベル2地震時照査を行う場合の初期作用力,全作用力は具体的には何を示しているのか
A1-22-22
初期作用力,全作用力とは、次の荷重を示しています。
■初期作用力
初期作用力とは、死荷重時(慣性力が作用しない状態)における底版下面中心の作用力となります。
なお、初期水平力,初期モーメントは通常0となりますが、柱中心位置と底版下面中心位置が一致していない、橋脚形状,
上部工反力が左右非対称で偏心モーメントが生ずる、死荷重時に水平力が作用している等により発生する荷重がある場
合、入力してください。
■全作用力
慣性力が作用した状態における底版下面中心の全荷重となります。
「柱基部断面力」を指定する場合であれば、指定した柱基部断面力より底版下面中心の全作用力を内部計算し、この作
用力を用いて照査します。これに対し、
「底版下面作用力」を指定する場合であれば、底版下面中心に作用する荷重を直
接指定してください。
Q1ー22ー23 底版レベル2地震時照査における降伏曲げモーメントはどのように算出されるのか?
A1-22-23
以下の条件にて算出しております。
・コンクリートの応力度-ひずみ曲線:道示Ⅲ図-4.2.2
・鉄筋の応力度-ひずみ曲線:道示Ⅲ図-4.2.3(a)
・考慮する鉄筋:引張側のみ(圧縮側鉄筋無視)
本プログラムでは、上記の条件にて、中立軸を仮定し各要素の応力度を積分し軸力を求め、作用軸力(底版の場合は0)
と比較することで最終的な中立軸位置を求める(中立軸を移動し計算を繰り返す)という収束計算を行っています。
Q1ー22ー24 レベル2地震時の照査で「M-φ関係において、My≦0.0,Mu≦0.0となるケースが発生しました。」というメッセージが表
示されるが、どういう状態を表しているのか?
A1-22-24
本警告は、軸力変動を考慮したレベル2地震時照査を行う場合に表示されます。
本プログラムでは、レベル2地震時照査を荷重増分法により行っており、
「レベル 2地震時基本条件」-「基本条件(共
通)」画面の『分割数』より、水平震度0.0から最終水平震度までを何分割して計算するかを入力していただき、死荷重時
から最終水平震度まで水平震度を増加させながら計算を行います。
軸力変動を考慮した照査では、この分割されたステップごとに、各杭列の杭頭反力を軸力としてM-φ関係を再定義し、
より厳密に杭体の曲げ剛性を評価した照査を行います。
ただし、レベル2地震動による慣性力を考慮した杭頭反力を軸力とするため、慣性力が作用する押込み側では軸力が非常
に大きくなり、逆に引抜き側では引抜き力(負値の軸力)が生じます。
通常の設計では、死荷重時あるいは軸力を零としてM-φ関係を算出しますが、上記の通り、軸力変動を考慮する場合、
大きな押込み力,引抜き力を軸力とするため、軸力が範囲外となりM-φ関係を算出することができず、Mc<My<Mu,
φc<φy<φuの関係とならない場合や、M-φ関係が負値となるケースが生じます。
本プログラムでは、このようなケースの時、計算を中断し、計算不能としております。
なお、計算書の詳細出力である「レベル2地震時の照査」-「液状化無視/考慮・地震動タイプⅠ/Ⅱ・浮力無視/考慮」
の「・M-φ関係」により、計算不能となる直前の杭体のM-φ関係を確認することができます。
298
Q1ー22ー25 有効長とは?
A1-22-25
入力画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、有効長dはレベル2地震時照査時のM-φ算出に用いており、道示Ⅴ
10.4(P.160~)記述のdを示しています。この値を入力してください。
なお、P.162には、
「図-解10.4.1に示すように、円形断面の場合には、帯鉄筋によって拘束される内部コンクリートの直径
を用いる」と記述されています。
Q1ー22ー26 杭頭鉛直反力PNiによる単位幅当たりの底版の曲げモーメントMp1の算出方法
A1-22-26
杭頭鉛直反力PNiによる単位幅当たりの底版の曲げモーメントMp1は、 Mp1=Σ(PNi・Xi)/L Xi:照査断面から各杭中心までの距離(m) L:奥行き幅(m)
となります。
なお、計算書の「レベル2地震時の照査」-「底版照査」-「断面力算出」-「b)杭反力」の出力において、杭頭反力による
曲げモーメントMp1(鉛直反力),Mp2(水平反力),Mp3(モーメント)を出力しておりますので、ご参照ください。
(「断面力算出」で出力している照査位置は、平面図上でY方向は下から上,X方向は左から右の順に出力しておりま
す。)
Q1ー22ー27 レベル2の最小鉄筋量の照査は必要か
A1-22-27
本件につきましては、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「レベル2地震時照査」-「基礎の非線形性を
考慮した解析方法」-「底版照査」の『最小鉄筋量照査』に記載しておりますのでご参照ください。
「道路橋の耐震設計に関する資料(H.9.3)社団法人日本道路協会」の「2.鉄筋コンクリート橋脚を用いた場合の設計計算
例」では、フーチングの最小鉄筋量照査は許容応力度法照査に対して行っており、地震時保有水平耐力法照査では行って
おりません。
本プログラムでは、当初、この方法を参照し、橋台,橋脚ともにレベル2地震時では最小鉄筋量照査を行っておりませんで
したが、その後、複数のユーザ様から、レベル2地震時においても最小鉄筋量照査を行うことができるようにしてほしい
とのご要望をいただき、
「基礎の設計計算Ver.5,杭基礎の設計Ver.5 (Ver.5.00.01)」
(2006/02/14リリース)において、
「底版設計」-「計算条件」画面に照査の有無の選択を設けました。
このような経緯があり、本プログラムでは、最小鉄筋量照査を行うことができるようになっておりますが、文献,基準類等
に照査が必要と明記されているわけではございませんので、最小鉄筋量照査を行うか否かにつきましては、設計者の方
のご判断で決定してくださいますようお願いいたします。
Q1ー22ー28 作用力を指定してレベル2地震時照査を行うときの『地盤面の水平震度kh』は何に用いているか?
A1-22-28
『地盤面の水平震度kh』は、
「底版慣性力」および「突出時の杭体慣性力」の算出に用いております。
底版下面中心における作用力を直接入力する場合は、突出時(底版下面~耐震設計上の地盤面間)の杭体慣性力の算出
のみに用いております。
Q1ー22ー29 地震時保有水平耐力法による橋脚基礎の照査に用いる設計水平震度Khpは、どのように使われているか?
A1-22-29
杭基礎のレベル2地震時照査では、水平震度0.0~Cz・khcoを計算範囲としています。
橋脚に生じる応答が塑性域に達する場合は、khp<Cz・khcoの関係のケースで、この場合、上部構造および橋脚躯体の
水平震度の上限はkhpとしています。
一方、橋脚に生じる応答が弾性域にとどまる場合は、Cz・khco<khpの関係のケースで、この場合、khpではなく、Cz・
khcoまでを計算範囲としています。
本プログラムは、
「レベル2地震時基本条件」画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、上記のとおり、0.0~Cz・
khcoを計算範囲とし、上部構造および橋脚躯体の水平震度khiは0.0≦khi≦khpの範囲でkhi、khp<khi≦Cz・khco
の範囲でkhpとしています。
鉛直力 V=Vo
1)0.0≦khi≦khpのとき
水平力 H=(Wu+Wp)・khi+WF・khG・(khi/Cz・khco)+Hd
モーメント M=(Wu・hu+Wp・hp)・khi+WF・hF・khG・(khi/Cz・khco)+Md
2)khp<khi≦Cz・khcoのとき
水平力 H=(Wu+Wp)・khp+WF・khG・(khi/Cz・khco)+Hd
モーメント M=(Wu・hu+Wp・hp)・khp+WF・hF・khG・(khi/Cz・khco)+Md
299
第3章 Q&A
Q1ー22ー30 断面力算出の照査位置Lは引抜き側からの距離?
A1-22-30
計算書の「レベル2地震時の照査」-「底版照査」-「断面力算出」の『照査位置』は、 Y方向:平面図上で下からの距
離 X方向:平面図上で左からの距離となります。
Q1ー22ー31 「橋脚の設計」との連動時、橋脚の水平耐力に余裕がない場合でも基礎の応答塑性率照査を行う方法はあるか?
A1-22-31
応答塑性率の照査は、橋脚が十分大きな終局水平耐力を有している場合、あるいは液状化が生じる場合に行うことが可
能ですが、
「橋脚の設計」,
「基礎の設計計算,杭基礎の設計」との連動時、橋脚の水平耐力に余裕があるか否かは、
「橋
脚の設計」側で自動的に判定され、これを任意に変更することはできません。
したがって、この場合、基礎単独設計にてご検討いただくことになります。
基礎単独設計であれば、
「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(共通)」画面の「橋脚の終局水平耐力」により、橋脚
の終局水平耐力に大きな余裕があるか否かを変更することができるため、便宜的に「余裕がある」と設定することによ
り、基礎が降伏に達した場合、応答塑性率の照査,応答変位の照査を行うことが可能となります。
なお、基礎単独設計を行うには、
①橋脚連動時に基礎側メニューの「ファイル」-「名前を付けて保存」より基礎単独ファイル(*.F8F)を保存し、保存した
ファイルを読み込む。
② 基礎単独にて起動し、新規作成状態から「地層」,
「基本条件」,
「形状」,
「予備計算」までを設定したあと、橋脚側の
メニューの「ファイル」-「基礎連動用XMLファイル」より連動ファイルをエクスポートし、基礎側のメニューの「ファイル」
-「橋脚連動用XMLファイル」よりインポートすることにより、基礎の設計に必要な柱形状,作用力,設計水平震度等を読
み込む。
のいずれかの方法にて行ってください。
Q1ー22ー32 作用力直接指定によるレベル2地震時照査を行う場合、プッシュオーバー解析を行っているのか?
A1-22-32
本プログラムの杭基礎レベル2地震時照査は、プッシュオーバー解析として荷重増分法を採用しており、これは作用力を直
接指定する場合においても同様です。
具体的には、死荷重時から全作用力まで、徐々に荷重を増加させながら地盤および杭部材の非線形性を考慮した計算を
行っています。
Q1ー22ー33 盛りこぼし橋台の杭基礎の設計において、杭基礎設計便覧(H19.1)準拠時であっても、レベル2地震時の杭頭部の照査が行
われない理由は?
A1-22-33
盛りこぼし橋台は、
「設計要領第二集 橋梁建設編 4章基礎構造(平成18年4月)NEXCO」に準じた設計法で、杭の変形
性能の照査として、全杭体の曲率が許容曲率塑性率以下となることを照査します。
これに対し、杭頭仮想鉄筋コンクリート断面の照査方法は、
「杭基礎設計便覧(平成19年1月)社団法人日本道路協会」
(P.303~)に規定された設計法で、基礎に主たる塑性化を考慮するか否かにより、
■基礎に主たる塑性化を考慮する場合
杭体の降伏曲げモーメント≦仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメント
■基礎に主たる塑性化を考慮しない場合
杭頭発生曲げモーメント≦仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメント
として照査します。
両者は基本的な設計方法が異なっており、盛りこぼし橋台に対し、単純に仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメン
トと杭体の降伏曲げモーメントまたは杭頭発生曲げモーメントと比較することにより照査してもよいか判断することがで
きません。
また、盛りこぼし橋台では、全ての杭において杭体が塑性化し、道示の考え方によれば降伏するとみなされる状態となっ
たとしても、杭の変形性能の照査を満足すればよいと規定されており、基礎に主たる塑性化を考慮するか否かは設計に
おいて考慮されていません。
以上のように、盛りこぼし橋台における杭頭部のレベル2地震時照査は、その照査方法が明確でないと判断されるため、
現行では設計対象外としています。
300
Q1ー22ー34 「レベル2地震時照査」-「基本条件」-「基本条件(杭基礎)」画面の鉛直力算出用水位と予備計算用水位は何に影響す
るのか
A1-22-34
それぞれ次を示しています。
■鉛直力算出用水位
底版,上載土,および橋脚躯体の浮力の算出に用いており、底版下面における鉛直力に影響します。
■予備計算用水位
極限引抜き力や上載荷重、受働土圧強度等の算出に影響します。
鉛直力算出用水位は底版下面の鉛直力を算出するための水位であるため、底版下面以深となるよう設定しても結果に影
響はありません。これに対し、予備計算用水位は極限引抜き力や受働土圧強度に影響するため、底版下面以深に対しても
適切に設定する必要があります。
浮力無視時の予備計算用水位を地震時水位とすべきか底版下面位置とすべき判断することができないため、現行では、
選択スイッチを設け、設計者の方のご判断として設定していただくようにしています。
Q1ー22ー35 「レベル2地震時照査」-「基本条件」-「基本条件(杭基礎)」画面の「鉛直力算出用水位」,
「予備計算用水位」の取扱
い
A1-22-35
レベル2地震時の照査に用いる水位は、
「レベル2地震時照査」-「基本条件」-「基本条件(杭基礎)」画面で入力される
『鉛直力算出用水位』と『予備計算用水位』の2種類あり、これらを用いてレベル2地震時の照査を行っております。
「地層」-「地層線」-「設計地盤面」画面の『水位(地震時)』は、
[水位高連動]ボタン押下時にのみ用いており、レベ
ル2地震時の照査には直接使用しておりません。
■『鉛直力算出用水位』について
(1)「レベル2地震時照査」-「基本条件」-「基本条件(杭基礎)」画面上の[作用力計算]ボタンを押下時に用います。
(2)底版レベル2地震時照査で断面力算出に用います。
「橋脚の設計」との連動の場合、橋脚側の「荷重」-「保有耐力法ケース」画面の『水位』を標高に置き換えてセットして
おります。
((1)は連動値をそのまま用いるため無効([作用力計算]ボタンは非表示)となります。)
■『予備計算用水位』について
予備計算用水位は、下記の画面の『計算』ボタンから算出される計算項目に用いています。
・「杭本体」画面
・地盤から決まる極限引抜き力
・「地盤データ」画面
・上載荷重
・受働土圧強度pp
・水平地盤反力係数kHEの層分け
・「底版前面水平抵抗」画面
・上載荷重
・水平地盤反力度の上限値pHu
Q1ー22ー36 杭基礎レベル2保耐時に鋼管杭の場合せん断耐力照査を行わないのはなぜ?
A1-22-36
道示Ⅳ12.10.5(P.414)に、
「鋼管杭,鋼管ソイルセメント杭及びSC杭においては、
(中略)杭体の塑性化においては曲げ
モーメントの影響が支配的であることから、せん断耐力の照査は省略してよい。」と記載されております。
よって、上記杭種の場合は、せん断耐力照査は行っておりません。
Q1ー22ー37 場所打ち杭の杭頭結合部の耐力照査(L2)において、杭頭結合部と杭体の鉄筋量が同じであるにも関わらず、杭頭結合部
の降伏曲げモーメントMyの方が小さく判定がOUTとなる。これはなぜか
A1-22-37
場所打ち杭で杭体の主鉄筋が杭頭補強鉄筋をなすとき、杭体と杭外径+200(mm)とした杭頭結合部の仮想鉄筋コンク
リート断面とを比較すると、コンクリートの設計基準強度および軸力が同じと仮定すれば、より断面の大きい杭頭結合部
の方が降伏曲げモーメントMyは大きくなるものと考えられます。
ただし、本プログラムでは、
「レベル2地震時基本条件」-「計算条件③」画面において、
「仮想鉄筋コンクリート断面の降
伏曲げモーメントMy算出用の軸力の取扱い」の選択を設けています。
本選択は、仮想鉄筋コンクリート断面のMy値を算定する際の軸力の取扱いを指定していただくものですが、本選択を「軸
力=0」とした場合、場所打ち杭の押込み側では、
・杭体=死荷重反力によるMy値
・杭頭結合部=軸力0によるMy値
とした条件により算定されるため、この場合であれば、軸力を0とした杭頭結合部の方がMy値が小さくなるケースが生じ
ます。
なお、上記スイッチにつきましては、設計者の方のご判断として選択してください。
301
第3章 Q&A
Q1ー22ー38 レベル2地震時基本条件-計算条件③の杭頭仮想鉄筋コンクリート断面の照査で「1列(本)ごとに照査」
「全列(杭)で照
査」が選択できるが、どちらを選択したらよいか
A1-22-38
本プログラムの仮想鉄筋コンクリート断面の照査は、杭基礎設計便覧(H19.1)6-3-2(P.301~)を参照し作成しております
が、本文献では、一部 の杭列のみ杭体の降伏曲げモーメントあるいは杭頭発生曲げモーメントが仮想鉄筋コンクリート
断面の降伏曲げモーメントを超えたとき、仮想鉄筋コンクリート断面の照査を満足したとみなすべきか否か、明確な記述
がありません。
ただし、杭基礎設計便覧の執筆者による各論(基礎工2006.12月号.P.048~)では、
・結合部に損傷が生じた場合の基礎の挙動や変形性能は、現在のところ不明である。設計法を確立するためには、今後
も実験や万が一損傷が生じた場合の補修方法などの研究が必要である。
・基礎の許容塑性率に関するこれまでの実験的研究については、杭頭結合部に損傷が生じる場合を想定していない。し
たがって、確実に基礎で塑性化を先行させるためにも、杭頭結合部をフーチング-杭体間で確実に荷重伝達が行えるよう
な構造としておく必要がある。
とあります。
本記述は、結合部に損傷が生じた場合の基礎の挙動は未解明な部分が多く、今後の研究成果により設計法が確立される
までは確実に安全性が確保される構造とする必要があると述べているものと考えられます。
本プログラムでは、上記の記述を参照し、本照査に対応したVer.6.01.00においては、安全側の評価となるよう、部分的に
でも杭頭結合部に損傷が生じるケースは許容せず、1列でも仮想鉄筋コンクリート断面の降伏曲げモーメントを超える杭
列が生じたとき、仮想鉄筋コンクリート断面の照査を満足しないもの と考え、最終的な判定をOUTとしておりました。
しかしながら、その後、他のユーザ様より、一部の杭の杭頭部が損傷を受けたとしても、ただちに基 礎全体の挙動が不安
定とはならないケースも考えられることから、部分的に杭頭に損傷が生じることを許容した照査を行ってもよいのではな
いかとのご意見,ご要望をいただき、Ver.6.04.00において、お問合せの選択を設けました。
ただし、前述のとおり、杭基礎設計便覧には、本選択に関する明確な記述はありません。
最終的には設計者の方のご判断により選択してくださいますようお願いいたします。
なお、
「1列(本)ごとに照査」が部分的な損傷を許容せず、全杭の耐力を満足して初めてOKと判断する方法、
「全列(杭)
で照査」が部分的な杭頭結合部の損傷を許容する方法となります。
Q1ー22ー39 レベル2地震時の計算で表示されるメッセージについて解説してほしい。
------------------------------------------------------------------------------------------------------構造系が不安定になりました。
支持力の上限値に達していない杭が2列以上なく、且つ、全杭の杭頭に塑性ヒンジが
発生しました(杭頭M≧Mu,Mp)。
------------------------------------------------------------------------------------------------------A1-22-39
本プログラムは、杭基礎のレベル2地震時照査を荷重増分法により行っており、死荷重時から最終水平震度まで水平震度
(荷重)を増加させながら地盤および杭部材の非線形性を考慮した計算を行っています。
このときの解析モデルは、道示Ⅳ12.10.4(P.409)図-解12.10.1のとおりで、杭頭の鉛直バネ(杭軸方向バネ定数KvE)によ
り鉛直方向(杭軸方向)の荷重に抵抗し、また杭頭から杭先端までの水平バネ(水平方向地盤反力係数kHE)により水平
荷重に対して支持されます。これらの杭は、剛体と仮定したフーチングに杭頭が剛結された状態です。
この解析モデルを用いて、水平震度(荷重)を増加させながら計算を行う過程において、杭頭モーメントが終局モーメント
あるいは全塑性モーメントに達した場合、杭頭に塑性ヒンジが発生した状態となります。杭頭部がピン結合された状態と
等しくなるため、杭頭に作用する回転に対し抵抗することができません。
また、杭頭鉛直反力が押込み支持力あるいは引抜き支持力の上限値に達した場合、これ以上の鉛直荷重(杭軸方向力)に
対し抵抗することができません。
ここで、全杭の杭頭に塑性ヒンジが発生した場合、全杭の杭頭がピン結合された状態であることから、基礎に生じる回転
に対して抵抗できるのは杭軸方向の抵抗のみとなります。
押込み/引抜き支持力の上限値に達していない杭が2列以上残っていれば、これにより基礎の回転に抵抗することができ
ますが、上限値に達していない杭が1列しかない場合、基礎の回転に抵抗することができず、力の釣合がとれなくなり、構
造系が不安定となります。
構造系が不安定となった場合、結果を得ることができないことから、本メッセージを表示し、計算を中断しています。
計算不能となる直前の状態を参考値として出力していますが、この参考値を近似値として採用することはできません。
本出力を参照していただき、必要に応じて構造諸元の見直し等を行ってください。
302
Q1ー22ー40 杭基礎レベル2地震時の最大曲げモーメントの抽出結果が実際の最大曲げモーメントとなっていないのはなぜか
A1-22-40 図をご参照ください。本画面は杭基礎レベル2地震時の結果確認画面ですが、グラフは、杭体の曲げモーメント分布(赤
線),降伏曲げモーメント分布(青点線)を示しています。
本例では、杭頭から11.4(m)位置の杭体曲げモーメントが降伏曲げモーメントに達し、杭体が降伏しています。しかしなが
ら、杭体の降伏が発生しているのは、最大曲げモーメント発生位置ではありません。
これは、11.4(m)位置で主鉄筋の段落としが行われ、第1区間は大きな降伏曲げモーメント,第2区間は小さな降伏曲げ
モーメントとなっているためで、最大曲げモーメントが発生する第1区間は降伏曲げモーメントに対して余裕があり、逆に第
2区間は降伏曲げモーメントに対して余裕がない状態となっています。よって、最大曲げモーメント発生位置とは異なる第2
区間(段落とし位置)において杭体が降伏しています。
多くのケースでは、最大曲げモーメント発生位置が杭体の降伏に対して最も厳しくなりますが、上記の例のように、段落と
しが行われる場合、必ずしも最大曲げモーメント発生位置にて杭体が降伏に達するとは限らないことから、本プログラム
では、基礎の降伏に対して最も厳しい箇所の結果を抽出し、これを最大曲げモーメントの欄に出力しています。
具体的にどのような方法にて抽出されたかについては、計算書の「レベル2地震時の照査」-「計算結果一覧表」の条件1
~条件4にてご確認いただけますのでご参照ください。
Q1ー22ー41 杭頭仮想鉄筋コンクリート断面のMyの計算に帯鉄筋(横拘束筋)は考慮しているのか
A1-22-41
降伏曲げモーメントMyの算出に用いるコンクリートの応力度-ひずみ曲線は、
(1)道示Ⅲ4.2.4(横拘束効果なし)
(2)道示Ⅴ10.4 (横拘束効果あり)
がありますが、本プログラムの杭頭仮想鉄筋コンクリート断面のMy計算では、上記(1)の道示Ⅲを用いています。
よって、帯鉄筋(横拘束筋)はMy計算に用いておらず、底版内仮想鉄筋コンクリート断面の帯鉄筋の入力は設けておりま
せん。
ここで、道示Ⅲのコンクリートの応力度-ひずみ曲線を用いているのは、
・「道路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)社団法人日本道路協会」
・「鋼管杭基礎の設計と施工 道路橋示方書(平成14年3月版)改訂対応 (平成14年4月)鋼管杭協会」
の設計計算例等を参考としたものです。
道示,杭基礎設計便覧等の基準・文献において、道示Ⅲを用いるべきか道示Ⅴを用いるべきか明確な記述がないことか
ら、現行では、上記の設計計算例等を参考とし、道示Ⅲとしています。
Q1ー22ー42 「橋脚の設計」連動時、底版下面中心における作用力を直接指定する方法
A1-22-42
「橋脚の設計」との連動時は、下記手順にて底版下面中心における作用力を直接指定することができます。
(1)橋脚側の「考え方」-「保有耐力法」-「はり・フーチング・基礎」画面で『レベル2地震時の作用力を直接指定する』に
チェック(レ)する。
(2)杭基礎側の「レベル2地震時基本条件」-「基本条件」画面で『作用力を指定してレベル2地震時照査を行う=する(底
版下面作用力)』を選択する。
(3)「基本条件(杭基礎)」画面で作用力を入力する。
詳しくは、入力画面上の[ヘルプ]をご参照くださいますようお願いいたします。
303
第3章 Q&A
Q1ー22ー43 「レベル2地震時基本条件」-「計算条件②」画面において、
「免震橋のとき、基礎に主たる塑性化を考慮しない」の項目を
設けている理由は?
A1-22-43
現行道示の耐震性能の照査では、橋全体系として考えたときの部材(橋脚,基礎,免震支承や上部構造)のいずれかに
塑性化を考慮し、塑性化に伴うエネルギー吸収を期待する構造とする考え方が示されていますが、道示Ⅴ(P.34)の記述、
「複数の部材に同時にエネルギー吸収を期待する構造とする考え方もあるが、地震時の挙動が複雑になる可能性もあ
り、このような構造系の地震応答特性についてはさらに研究が必要であることから、現段階では、確実にエネルギー吸収
を図るための主たる塑性化あるいは非線形性を考慮する部材としては、図-解5.3.1に示すように、橋脚,基礎あるいは免
震橋であれば免震支承のいずれかを選択するのが望ましい。」のように、原則として主たる塑性化を考慮する部材は1つ
とすることが基本となります。
免震橋の場合、免震支承の変形に伴いエネルギーを吸収する構造であるため、道示Ⅴ(P.33)のとおり、非線形性を考慮
する部材として取り扱われます。よって、主たる塑性化を考慮する部材を一つとする上記の考え方によれば、非線形性を
考慮する免震支承を用いる場合、橋脚や基礎に塑性化は考慮することは望ましくありません。更に、(P.36)4)の記述、
「橋
脚のエネルギー吸収の分担を高めすぎると、免震支承の保有する減衰性能が発揮できず、免震支承による確実なエネル
ギー吸収を担保できなくなる場合も生じる。」のとおり、免震橋では、橋脚(基礎も同様と考えられる)にエネルギー吸収
を期待すると、所要の免震効果を確保できなくなる可能性も生じます。
以上より、免震支承においては、橋脚および基礎の塑性化を考慮しないよう設計することが必要と考えられます。(P.38)
図-解5.3.1(b)、および(P.35) 3)の記述「なお、基礎に塑性化を考慮する場合は、橋脚,橋台,支承部,上部構造の各部材
は、力学特性が弾性域を超えない限界の状態が限界状態となる。」からも、同様の主旨を確認することができます。よっ
て、本プログラムでは、
「免震橋のとき、基礎に主たる塑性化を考慮しない」スイッチを設け、基礎に主たる塑性化を考慮し
ない設計を行うことを可能としています。
Q1ー22ー44 斜引張鉄筋の負担するせん断耐力Ssの算出方法は?
A1-22-44 ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「レベル2地震時照査」-「基礎の非線形性を考慮した解析方法」-
「底版照査」の『(2)はりとしてのせん断照査』に記載しておりますように、斜引張鉄筋の負担するせん断耐力Ssは、下記
のように算出しております。
・せん断スパンa≧d/1.15の場合
Ss=(Aw・σsy・Cds・d)/(1.15・s)
・せん断スパンa<d/1.15の場合
Ss=(Aw・σsy・Cds・a)/s
Q1ー22ー45 底版が存在せず、柱と杭を直接結合する構造の場合、どのように入力,計算すればよいか
A1-22-45
本プログラムの杭基礎の安定計算は、基礎天端(杭頭)から杭先端までをモデル化しています。底版形状は、
・常時,レベル1地震時の作用力自動計算,
・底版照査(許容応力度法,レベル2地震時)
・「レベル2地震時基本条件」画面の底版重量の算出
に用いていますが、これらの計算,照査を行わなければ、底版形状の入力の必要はありません。
よって、本件につきましては、次のようにご対処ください。
■「計算条件」-「基本条件」画面
次のように設定します。
・作用力(常時,レベル1地震時)=入力
・底版許容応力度法の照査=しない
・底版レベル2地震時照査=しない
■「底版形状」画面
入力せず、ツリービューの項目を未入力(項目がピンク色)の状態としたままとします。
■「レベル2地震時基本条件」画面
「基本条件(杭基礎)」タブにおいて、
『WF』,
『hF』,
『Ws』,
『WFʼ』を全て0.000と入力します。他の入力については、
通常どおり指定します。
また、動的解析結果等により基礎に作用する荷重が別途求められている場合、
「基本条件(共通)」タブの「作用力を指定
してレベル2地震時照査を行う」を「する(底版下面作用力)」とした上で、
「基本条件(杭基礎)」タブの初期作用力/全
作用力に荷重を直接入力します。
304
Q1ー22ー46 レベル2地震時の計算書において、下記の設計荷重の算式の見方が分からないので説明してほしい
A1-22-46 鉛直力 V = Rd + Wp - Up + Ws + WF'
水平力 H = (Wu + Wp)・khp + WF・khg・khi/(Cz・khco) + Hd
モーメント M = (Wu・yu + Wp・yp)・khp + WF・khg・khi/(Cz・khco)・yF + Md
レベル2地震動の設計水平震度は、道示Ⅴ6.4.3(P.89~)の
khc = Cs・Cz・khco
ここに、
khc:レベル2地震動の設計水平震度
Cs :6.4.4に規定する構造物特性補正係数
Cz :4.4に規定する地域別補正係数
khco:レベル2地震動の設計水平震度の標準値
が該当しますが、Csは下部構造の照査に用いる補正係数であるため、基礎の照査に用いる設計水平震度はCz・khcoとな
ります。よって、死荷重時(水平震度=0.0時)の状態から上部構造および橋脚躯体にはCz・khcoを,フーチングにはkhgに
相当する荷重を漸増載荷させながらプッシュオーバー解析を行っています。
ただし、上部構造および橋脚躯体に作用する水平震度が橋脚の終局水平耐力に相当する設計水平震度khpを超えると、
橋脚躯体基部に塑性ヒンジが形成され、橋脚から基礎に伝達される作用力はこれ以上増加しないものと仮定した計算を
行っています。
よって、水平震度khiがkhpに達するまでは上部構造,橋脚躯体,フーチングの慣性力を増加させながら計算を行い(領域
①)、水平震度khiがkhpを超えた以降の計算(領域②)については、フーチングの慣性力のみを増加させながら計算を
行っています。
この考え方は、
「道路橋の耐震設計に関する資料(平成9年3月)社団法人日本道路協会」(P.2-60~)以降に詳しく記載さ
れておりますのでご参照ください。
(※文中のkhcは現行道示のCz・khcoにあたります)
また、現行道示を対象とした資料としては、
「鋼管杭基礎の設計と施工 道路橋示方書(平成14年3月版)改訂対応(平成14
年4月)鋼管杭協会」(P.67)に同様の説明がございますのでご参照ください。
ここで、本プログラムの計算書の設計荷重の出力では、水平震度を0.0~Cz・khcoまで計算する過程における水平震度を
khiと表記しています。
上部構造および橋脚躯体の慣性力は、
(Wu + Wp)・khi
となります。ただし、khiがkhpを超える場合、
(Wu + Wp)・khp
と表記し、水平震度をkhpに固定しています。
また、最終震度Cz・khcoが作用した状態(khi = Cz・khcoの状態)をαi = 1.000と考えると、αiは、
αi = khi/(Cz・khco)
と表されます。よって、フーチングに作用する水平震度は、
khg・αi = khg・khi/(Cz・khco)
となります。これは、最終震度Cz・khco時のとき、khgが作用することを示しています。
Q1ー22ー47 レベル2地震時照査において、基礎の応答塑性率の照査を行うときに限り、基礎の変位の照査が行われる理由は?
A1-22-47
道示Ⅳ9.2(P.247)の設計の基本において、
「なお,基礎が降伏に達しないことを照査する場合には過大な残留変位が生じ
ないものと考えられるため,許容変位に対する照査を行う必要はない。」と記載されています。よって、応答塑性率の照査
を行わない場合、基礎の変位の照査は行っていません。
なお、基礎の変位の照査は、基礎に主たる塑性化を考慮する場合において、基礎に著しい残留変位が生じ、修復が難し
く、橋としての機能の速やかな回復が困難となることがないよう規定されたものであるため、基礎が降伏に達しない状態
に対しては本照査を行う必要はありません。
道示では、この状態(副次的な塑性化。基礎全体の挙動を見たときに弾性範囲内とみなせる範囲に収まっている状態)で
あれば、残留変位が無視できなくなる範囲に達することはないと判断しているものと考えられます。
Q1ー22ー48 計算書の「荷重変位曲線」の章にある表中の「杭本体状態」とは?
A1-22-48 杭本体状態は、杭体に生じる曲げモーメントとM-φとの関係を示しており、
・コンクリート系杭の場合
1 : M<Mc
2 : Mc≦M<My
3 : My≦M<Mu
4 : M = Mu
・鋼管系杭の場合
1 : M<My
3 : My≦M<Mp
4 : M = Mp
の状態となります。
数値が大きくなるほど厳しい状態となっていることを示しており、杭頭から杭先端までの杭部材の中で最も厳しい状態を
出力しています。
これにより、多数の杭が配置されている杭基礎においても、杭基礎全体の状態をある程度把握できるようにしています。
305
第3章 Q&A
Q1ー22ー49 レベル2地震時照査結果の応答変位時とはどのような状態か
A1-22-49
道示Ⅳ12.10.5(P.414)の記述、
「基礎の応答塑性率の照査を行う場合は、耐震設計編12.4(※橋台基礎の場合は13.3)
の規定により算定された応答塑性率あるいは応答変位の状態において杭体に生じるせん断力に対し照査するものとす
る。」のように、基礎の変位の照査(回転角≦許容変位0.02rad)や杭体のせん断耐力照査,フーチングの照査等の部材照
査は、
「応答塑性率あるいは応答変位の状態」を用いて照査します。
この状態は、基礎の塑性化を考慮する場合の設計水平震度khcF(橋台基礎の場合はkhA)を作用させたときの杭基礎の
状態を示していますが、一般に、上部構造慣性力作用位置の水平変位が応答変位δFrと一致する状態とします。
具体的には、
①基礎が降伏に達し応答塑性率の照査が可能な条件であれば、応答塑性率が許容塑性率以下であることを照査する。
②①の応答塑性率を用いて応答変位を算定する。
③①の状態から基礎に作用する水平震度(荷重)を徐々に増加させながら荷重増分法によるプッシュオーバー解析を行
う。
④③の計算の過程において徐々に増加する上部構造慣性力作用位置の水平変位がδFrと一致する状態を求める。
として求めています。
本プログラムでは、この状態を「応答変位時」と呼んでいます。
Q1ー22ー50 レベル2地震時の作用力と杭反力の向きはどのように取り扱われているか
A1-22-50
レベル2地震時の作用力の向きは、鉛直力の正方向は下向きですが、水平力,モーメントの正方向は、
「レベル2地震時基
本条件」で指定された慣性力(土圧)の向きに応じて異なります。
杭反力の正方向は作用力の正方向の逆向きとなり、鉛直反力の正方向は上向き、水平力,モーメントの反力の正方向は、
慣性力(土圧)の向きに応じて異なります。
ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「作用力及び反力の向き」に図示しておりますのでご参照ください。
Q1ー22ー51 連続フーチングの柱間レベル2 地震時照査を行う場合、柱基部断面力Vpi,Hpi,Mpiには、どのような断面力を入力したら
よいか
A1-22-51
連続フーチング柱間レベル2地震時照査を行うには、底版自重,上載土重量,浮力,杭頭反力,および部材照査時の各柱
基部の作用力が必要となりますが、例えば、ラーメン橋脚において柱基部断面力を算出する際に部材の曲げ剛性等をどの
ように評価して算出すべきか基準類に明示されておらず、また、本プログラムには多柱式橋脚そのものの設計機能があり
ませんので、部材照査時の荷重状態における柱基部断面力を直接入力していただくようにしております。
恐れ入りますが、部材照査時の荷重状態における柱基部断面力につきましては、設計者の方のご判断により別途算出して
くださいますようお願いいたします。
なお、
「計算・結果確認」-「底版照査(レベル2)」-「X方向」画面において、画面下部の作用力は、それぞれ次の値を
示しています。
■断面照査時の底版下面作用力
基礎の安定計算に用いた設計荷重を示しており、計算書の「レベル2地震時の照査」-「液状化無視/考慮・地震動タイ
プI/Ⅱ・浮力無視/考慮」-「橋軸直角方向」の設計荷重がこれに該当します。
この荷重状態は、
・基礎が降伏に達しなかったとき:最終震度時
・基礎が降伏に達して応答塑性率照査を行わないとき:基礎降伏時
・基礎が降伏に達して応答塑性率照査を行ったとき:応答変位時
となります。
■柱基部断面力より算出した作用力
本画面で入力した各柱の基部断面力に底版自重,慣性力,上載土重量,浮力を考慮し、底版下面中心の作用力に換算し
た値です。
具体的には、 V=Σ(Vpi)+上載土重量+底版重量-浮力+任意荷重 H=Σ(Hpi)+底版慣性力 M=Σ(Mpi)+Σ(Vpi・xi)+底版慣性力によるモーメント+上載土および底版自重の左右非対称性によるモーメント-浮
力によるモーメント+任意荷重によるモーメント xi:底版下面中心を原点とした各柱中心のx座標
となります。
306
Q1ー22ー52 杭基礎設計便覧(P.296)より、フーチング縁端距離が十分でない場合はレベル2地震時に対する杭頭結合部の計算が必要
と考えられるが、プログラムは対応しているのか
A1-22-52
杭基礎設計便覧(P.296)の規定では、杭頭結合部のレベル2地震動に対する照査は、被災例や様々な載荷試験等より得ら
れた過去の実績,信頼性より、常時,レベル1地震時の照査を満足していれば省略してよいとあります。
しかしながら、本項の意図するところを勘案すると、道示に規定された構造細目を満たしていない場合(フーチング縁端
距離を満たしていないケース等)においては、常時,レベル1地震時の照査を満足していたとしても、レベル2地震動に対す
る安全性を保証することができず、杭頭結合部に対するレベル2地震時照査を行わなければならないと記述されているよ
うにみえます。
ただし、現行の杭基礎設計便覧に示される杭頭結合部の照査方法は、いずれも応力度が許容応力度以下であることを照
査するものであり、あくまで耐震性能1(レベル1地震動)に対する考え方です。
レベル2地震動に対してこれらの照査方法を適用することはできず、また、仮にレベル2地震動において生じる杭軸方向力
や杭軸直角方向力,モーメント等を当てはめてみたところで、想定する地震動レベルが異なることから、許容応力度を満
足させることは困難ではないかと思われます。
したがって、杭頭結合部の押抜き,引抜きせん断方向力や水平方向力、あるいはフーチング端部の水平方向力に対する耐
力照査が必要となりますが、これらに対する明確な評価指標は、今のところ示されておりません。
以上のように、NEXCOの規定を適用する場合や施工上の制約から道示に規定される縁端距離を満たさないケースがあ
るとしても、レベル2地震動に対する評価指標が示されていない現時点では、照査しようがないというのが現状です。
よって、現行では、レベル2地震動に対する杭頭結合部の照査は行っておりません。
Q1ー22ー53 レベル2地震時照査-基本条件-計算条件①の「軸力変動を考慮したレベル2地震時照査」は一般的にどちらを選択した
らよいか
A1-22-53
道示Ⅳ12.10.4(P.412)では、杭体の曲げモーメント~曲率関係は杭体に作用する軸力により変化するため、本来、杭基礎に
作用する 水平力の変化に伴って変化する杭頭での反力を用いて、適宜、曲げモーメント~曲率関係を修正する必要があ
るとしながらも、計算の簡略化のため、
・コンクリート杭(場所打ち杭,PHC杭,SC杭,RC杭)においては,杭群図心位置から押込み側の杭では死荷重時反
力,引抜き側の杭では 軸力を零
・鋼管杭,鋼管ソイルセメント杭では、死荷重時反力
を軸力として算出した曲げモーメント~曲率関係を用いてよいとあります。
本プログラムでは、従来、上記の軸力により算出した曲げモーメント~曲率関係を用いて杭基礎レベル2地震時照査を
行っていましたが、
「基礎の 設計計算Ver.5,杭基礎の設計Ver.5」において、軸力変動に関する選択を設け、
「軸力 変動
を考慮したレベル2地震時照査=考慮する」としたとき、荷重増分法計算のステップごとに杭頭反力を軸力とした曲げ
モー メント~曲率関係を再定義し、より厳密に杭体の曲げ剛性を評価した照査を行うことができるようにしました。これ
により、杭基礎全体の挙動をよ り正確に把握することが可能と考えられます。
上記の通り、道示Ⅳでは計算の簡略化のため軸力変動を考慮しなくてもよいと記載されております。
よって、通常の設計においては「考慮しない」を選択し、設計者の方のご判断により、より厳密な照査を行う必要があると
判断される場合に「考慮 する」を選択していただきますようお願いいたします。
なお、杭基礎設計便覧(H19.1)の参考資料「7.斜杭の設計法」
(P.414~)におきましては、
「斜杭基礎では杭体が斜角を有
することから、直杭基礎に比べて杭頭の軸力変動による影響が顕著となる。したがっ て、レベル2地震時の解析において
は杭頭の軸力変動を考慮するものとする。」
(P.427)と記載されており、本設定項目より「軸力変動を考慮したレベル2地
震時照査=考慮する」として照査を行う必要があるものと考えられます。
Q1ー22ー54 レベル2地震時照査を行うと以下のエラーが発生する
-------------------------------------------------------------------------------------------------------底版照査エラー:[-90054]
底版レベル2地震時照査において、せん断耐力Ss算出に用いる有効高dが0となっています
「底版設計」画面で入力してください
-------------------------------------------------------------------------------------------------------A1-22-54
「底版設計」-「配筋」-「Y方向/X方向」画面で『せん断照査用有効高d(cm)』をご確認ください。
こちらが入力されていない場合、お問合せのメッセージが表示されます。
『せん断照査用有効高d』は、増し杭工法時の既設底版上に増厚された位置の照査に用いる有効高で、許容応力度法照
査では必要斜引張鉄筋量の算 出に,レベル2地震時照査ではせん断耐力Ss算出に用いております。
307
第3章 Q&A
Q1ー22ー55 照査断面と杭位置が一致するとき、作用曲げモーメントに杭頭水平反力と杭頭モーメントが考慮されているが、どういう考
えに基づいているのか
A1-22-55
道示Ⅳ8.7.3(P.225~)の規定によると、図-解8.7.5のように、レベル2地震時においては杭頭水平反力および杭頭モーメント
による曲げモーメントを考慮した設計を行う必要があります。
ただし、道示には、照査断面位置と杭中心位置が一致する状態となるとき、この杭の杭頭水平反力および杭頭モーメント
による曲げモーメントを考慮すべきか否か、明確に規定されてはおりません。
現実の構造物を考えたとき、着目する断面の直下に杭が配置されていたとすると、この断面に曲げ破壊が生じる状態とな
るとき、少なからずこの直下の杭の影響が曲げ破壊に寄与するのではないかと思われますが、道示(杭基礎設計便覧等
の他の文献も含む)には一切触れられておりません。
よって、現行では、安全側として常に照査断面直下の杭の影響を考慮するようにしています。
なお、この杭の影響を無視した検討を行うのであれば、杭位置を1mmずらしてご検討いただくようお願いいたします。
Q1ー22ー56 「Y-U,Y-Y’区間に対する低減率」とは?
A1-22-56
杭体部材の曲げ剛性は、コンクリート杭は道示Ⅳ12.10.4(P.412)図-解12.10.3のバイリニアとして、また鋼管杭及び鋼管ソイ
ルセメント杭は(P.413)図-解12.10.6のトリリニアとしてモデル化しております。
本図をご参照いただくとお分かりのように、杭体モーメントが終局モーメントあるいは全塑性モーメントに達した部材の曲
げ剛性は、本来0となります。
しかしながら、曲げ剛性を0として計算することはできません(曲げ剛性が0の部材が存在するとき理論上解を得ること
ができない)ので、何らかの曲げ剛性を与える必要があります。
よって、本プログラムでは、終局モーメントあるいは全塑性モーメントに達した部材に対しては、前述の道示の図-解のY-
U区間,あるいはY-Yʼ区間の勾配に対する低減率(何分の1とするか)を指定することより計算を行う仕様としておりま
す。
この低減率は1/10000を初期設定しておりますが、あまりにも曲げ剛性が小さくなりすぎると、プログラム内部で用いてい
る実数値の有効範囲(桁数)が不足し、桁落ちし、
『0割が発生しました。』とエラーが発生するケースが生じます。
低減率が大きいほど(曲げ剛性が小さいほど)道示モデルに近い解析結果を得ることが可能と考えられますが、前述のエ
ラーが発生するか否かは計算モデルに依存するため、一概にどれくらいの低減率まで許容できるか判断することができま
せん。
よって、前述の低減率を初期設定し、必要に応じ、設計者の方のご判断により低減率を設定できるようにしております。
なお、本設定は、杭体モーメントが終局モーメントあるいは全塑性モーメントに達した部材が生じたときに有効となり、こ
れらの部材が生じていないとき、本設定は計算に影響を与えません。
終局モーメントあるいは全塑性モーメントに達した部材が生じているか否かは、計算書の「レベル2地震時の照査」-「荷
重変位曲線」の「杭本体状態」が「4」となっているか否かによりご確認いただけます。
本件につきましては、
「レベル2地震時基本条件」画面上の[ヘルプ]も合わせてご参照くださいますようお願いいたしま
す。
Q1ー22ー57 基準値-杭基礎-その他-レベル2地震時照査の制限値はどのように取り扱っているか
A1-22-57
本プログラムにおきましては、お問い合わせの『基礎の塑性率の制限値』を以下の様に取り扱っております。
1.「杭基礎設計便覧(H19.1)(P.418)(4)2)斜杭の軸直角方向の抵抗特性」に準じた、斜角により補正した水平地盤反力度の
上限値を用いた照査を行う場合
塑性率の制限値=「斜角を考慮するKEP,pHuのとき:基礎の塑性率の制限値」に入力された制限値
2.直杭もしくは、斜杭の場合でも杭基礎設計便覧の記述に準じた照査(斜角により補正した水平地盤反力度の上限値を
用いた照査)を行わない場合
塑性率の制限値=「斜角を考慮しないKEP,pHuのとき:基礎の塑性率の制限値」に入力された制限値
なお、斜杭の場合に上記の便覧の記述に準じた照査を行うか否かは、
「レベル2地震時基本条件」-「計算条件②」画面
の「斜杭に対する受働土圧係数KEP,地盤反力度の上限値pHuの取扱い」スイッチによって選択可能となっております。
【補足】
入力箇所における『斜角』という表現は、
「杭基礎設計便覧(H19.1)(P.418)(4)2)斜杭の軸直角方向の抵抗特性」に記載さ
れている表現をそのまま使用しております。ご了承ください。
308
Q1ー22ー58 レベル2地震時照査-杭本体-杭種別データの「プレストレスの損失を考慮する範囲」 の入力値範囲が 100.0~100.0 とな
り100以外の値を入力できない
A1-22-58
本プログラムの杭頭カットオフを行ったPHC杭のレベル2地震時のせん断耐力照査は、杭基礎設計便覧(H19.1)の3-82(P.237)を参照し作成しております。
上記便覧では、杭頭カットオフ部(カットオフした位置から50φ(φ=PC鋼材の径)の範囲)はプレストレストコンクリート
断面ではなく鉄筋コンクリート断面と考え、
(a)杭体部分を円環RC断面として算出する(ただし有効プレストレスσe=0とする)
(b)中詰め部分は等積正方形断面に置き換えて算出する
としてせん断耐力を算出し、(a)+(b)を最終的なカットオフ区間のせん断耐力として照査するよう記述されています。
これらの内容を考慮し、本プログラムでは「杭本体」画面における『プレストレスの損失を考慮する範囲』の入力範囲を、
以下の様に設定しております。
●最小値・・・「杭頭結合計算」-「杭径・底版形状」の『杭の埋込み長』
●最大値・・・中詰めコンクリートのせん断耐力を考慮した計算となるため、
「杭配置」-「杭データ」の『(中詰めコン
クリートの)充填範囲』に『杭の埋込み長』を加えた値
上記の入力仕様と、ご質問内容から推測すると、ご検討中のデータでは「杭配置」画面において『(中詰めコンクリート
の)充填範囲』が0.0mと入力されているのではないかと思われます。
Q1ー22ー59 端堰柱の水門の設計を行う場合、レベル2地震時照査-基本条件-基本条件(共通)で地震動タイプが選択できない
A1-22-59
端堰柱の水門の設計を行う場合、土圧を考慮した照査を行いますが、本プログラムでは、土圧を考慮する場合、プログラ
ムの構造上、タイプⅠ/タイプⅡの同時計算を行うことができません。
よって、現行では、タイプⅡ地震動に固定しています。
ただし、
「土木研究所資料 地震時保有水平耐力法に基づく水門・堰の耐震性能照査に関する計算例(平成20年3月)独立
行政法人土木研究所」(P.29)では、
「レベル2地震動に対する基礎の照査は、レベル2-1地震動およびレベル2-2地震動の
うち、慣性力の大きい方を用いて照査を行えばよい。」とあります。
また、道示Ⅴ13.2(P.225)の橋台基礎に対する規定では、
「橋台基礎の照査に用いる設計水平震度は、値の大きいタイプ
Ⅱの地震動の地盤面における設計水平震度を用いて算出すればよい。」とあります。
地震動タイプによって照査方法が異なるわけではないため、一般に、設計水平震度の大きなタイプⅡ地震動によって決
定されるケースが多いことから、上記の記述を勘案すると、タイプⅡの計算のみを行えばよいのではないかと考えられま
す。
なお、
「レベル2地震時基本条件」-「基本条件(共通)」画面の「堰柱の水平震度」の選択につきましては、
「河川構造物
の耐震性能照査指針(案)一問一答(平成19年11月版)河川局治水課 河川保全企画室」(P.27)の
「問.Ⅲ-4-2」をご参照ください。
Q1ー22ー60 二次剛性の比r=0の根拠
A1-22-60
二次剛性の比rについて、道示Ⅳ12.10.3の解説に、杭基礎の降伏が杭体の塑性化から決まる場合、押込み支持力により
決まる場合、いずれもr=0とするのがよいと記述されており、これより、本プログラムでは、常にr=0として計算していま
す。
なお、押込み支持力により基礎の降伏が決まる場合で、降伏耐力が杭体から決まる耐力と比較して著しく小さい場合には
rを考慮してよいと記述されていますが、プログラムでは、著しく小さい場合か否かを判定することは困難なため、現行で
は、常にr=0として計算しております。
Q1ー22ー61 地盤変位荷重算出用の水平方向地盤反力係数kHDの算出方法は?
A1-22-61
設計要領第二集では、杭体に作用する地盤変位荷重の推定はワイブル曲線にて行うよう明確に規定されています。
よって、本プログラムでは、地盤変位荷重算出用の水平方向地盤反力係数kHDは、下記のように常にワイブル曲線にて推
定しています。
kHD=pmax/δmax
ここに、pmax :最大荷重(kN/m2) {=kHE・So/(1-e^-1)}
py :降伏荷重(kN/m2)
kHE :レベル1地震時の水平方向地盤反力係数(kN/m3)
So :基準変位量(m)
kHD :レベル2地震時の水平方向地盤反力係数(kN/m3)
δDmax :フーチング底面での最大変位(m)
詳しい計算理論につきましては、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「橋台特殊設計(側方移動/盛りこぼし橋台)」
をご覧下さい。
309
第3章 Q&A
Q1ー22ー62 フーチング上面引張時のせん断スパン算出式、
a=L+min(tcc/2,d)
におけるL(もしくはM/S)は、杭基礎設計便覧p291に記載されているように、下面引張時の値を用いているのか
A1-22-62
フーチング上面側引張時のせん断スパンの算出に用いる有効高は、上面側引張時の有効高(上面鉄筋図心位置~フーチ
ング下面)を用いています。
「杭基礎設計便覧平成19年1月」
(P.291)には、
「有効高」という表記のほか、特に下面側引張時の有効高を用いるよう
に明記されておりません。
「道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編 平成14年3月」p.228の図にもありますように、下側引張時の有効高の場合も、
上側引張時の有効高の場合もdで表されておりますので、単に「有効高」という表記の場合は、その時の引張面に応じた
有効高であると判断しています。
Q1ー22ー63 水門(端堰柱)のレベル2地震時照査で、Vdは端堰柱の重量は含めて入力するのか
A1-22-63
Vdは計算に用いる全自重(土圧の鉛直分を除く)を設定してください。
Vdが基礎に作用する全鉛直力(土圧の鉛直分を除く)となります。
Q1ー22ー64 水門(端堰柱)のレベル2地震時照査で、H3、h3には何を入力するのか
A1-22-64 H3,h3は、ゲートの重量および重心高を入力します。これに地震動タイプⅠ,地震動タイプⅡの設計水平震度Cz・kho(た
だし堰柱に主たる塑性化を考慮する場合は堰柱の終局水平震度khuW)を乗じた慣性力をそれぞれ考慮した検討を行い
ます。また、動水圧を考慮する場合、H3,h3には動水圧の影響を加味した値を入力します。
H3はゲート重量となります。
Q1ー22ー65 慣性力算出時、レベル2地震時基本条件-基本条件(杭基礎)の「Wp」は考慮されるのか
A1-22-65
慣性力算出の際Wpは考慮されます。
「レベル2地震時基本条件」画面上の[ヘルプ]に記載しておりますように、水平震度khiのとき底版下面中心での作用力
は次のように算出しています。
鉛直力 V=Vo(=Rd+Wp-Up+Ws+WFʼ)
1)0.0≦khi≦khpのとき
水平力 H=(Wu+Wp)・khi+WF・khG・(khi/Cz・khco)+Hd
モーメント M=(Wu・hu+Wp・hp)・khi+WF・hF・khG・(khi/Cz・khco)+Md
2)khp<khi≦Cz・khcoのとき
水平力 H=(Wu+Wp)・khp+WF・khG・(khi/Cz・khco)+Hd
モーメント M=(Wu・hu+Wp・hp)・khp+WF・hF・khG・(khi/Cz・khco)+Md
Q1ー22ー66 レベル2地震時の降伏震度が常時・レベル1地震時の設計水平震度よりも小さい
A1-22-66
310
道示Ⅳ12.7に記述されていますように、常時,レベル1地震時では、杭及び地盤を線形弾性体として計算します。
一方、レベル2地震時では、道示Ⅳ12.10.4に記述されていますように、杭および地盤の非線形性を考慮した計算を行いま
す。そのため、前面地盤の塑性化(地盤の水平バネの喪失)や杭体にかかる曲げモーメントによる杭体剛性の低下のため
に、解析モデルが逐次変遷します。
したがって、レベル2地震時の降伏震度が必ずしも常時,レベル1地震時の設計水平震度より大きくなるとは限りません。
Q1ー22ー67 連続フーチング柱間の照査を行う場合、断面力は直接入力しなければならないのか
A1-22-67
またその場合入力する断面力をどこで確認したらよいか
連続フーチングの照査には、柱から伝えられる断面力が必要となりますが、レベル2地震時において、この断面力をどのよ
うに求めるか基準類に明示されておらず、また、本プログラムには多柱式橋脚そのものの設計機能がありません。
したがって、本プログラムでは、設計者の方のご判断により別途算出された全作用力載荷時の柱基部断面力を、上記画面
の「柱基部断面力」にて直接入力していただくようにしております。
上記の柱基部断面力入力時にご注意いただきたい点として、
『(1)照査時の荷重状態における作用力(基礎反力の集計
値)』と『(2)入力された柱基部断面力より算出したフーチング下面中心における作用力』が一致するように入力していた
だく必要があります。
(1)と(2)が一致しない場合、作用力と反力とが釣り合わない荷重載荷状態になりますので、支点に反力が生じ、設計断面
力に影響が生じてしまいます。
このような状態となる入力を防ぐため、本プログラムでは柱基部断面力の入力画面に[誤差判定]ボタンを設けており、ボ
タン押下時に、(1)と(2)の誤差が約5%を超える場合警告を表示します。
(あまりに頻繁に警告が表示されるのを防ぐため
許容誤差は5%と大きく設定していますが、本来は完全に一致させる必要があります)
詳しくは、以下のヘルプにおいて説明しておりますので、そちらも併せてご参照ください。
・「操作方法」-「メニューの操作」-「入力」-「杭基礎」-「計算・結果確認」-「底版照査(レベル2)」画面より開くヘル
プ内の『連続フーチングの柱間照査』
・「計算理論及び照査の方法」-「杭基礎」-「レベル2地震時照査」-「基礎の非線形性を考慮した解析方法」-「底
版照査」内の『連続フーチングの橋軸直角方向の照査』
Q1ー22ー68 レベル2地震時照査-任意荷重で入力する底版と杭の任意荷重の荷重強度はどのような値を入力したらよいか
A1-22-68 底版の任意荷重の場合は、底版奥行き方向の幅を乗じた後の荷重強度を入力下さい。
杭の任意荷重の場合は、杭1本の幅を乗じた後の荷重強度を設定してください。
Q1ー22ー69 橋台と連動時に、レベル2地震の底版照査が「しない」でグレー表示となっており照査できない
A1-22-69
底版形状が台形となる場合は照査対象外となります。
ただし、平行四辺形となる場合は照査できます。橋台の設計での、[形状]-[躯体]-[平面形状]で底版の斜角をご確認くださ
い。
Q1ー22ー70 鋼管ソイルセメント杭の場合、せん断耐力照査はしないのか
A1-22-70
道示Ⅳ12.10.5(P.414)に、
「鋼管杭,鋼管ソイルセメント杭及びSC杭においては、
(中略)杭体の塑性化においては曲げ
モーメントの影響が支配的であることから、せん断耐力の照査は省略してよい。」と記載されております。
よって、上記杭種の場合は、せん断耐力照査は行っておりません。
Q1ー22ー71 施工誤差で、1本の杭座標を数センチ変更したら基礎が降伏した
A1-22-71
砂質地盤の水平方向地盤反力度の上限値(以下pHu)は、2列目以降は1列目(慣性力作用方向最前列)の1/2の値を用
います。プログラムでは最前列杭か2列目以降かは、杭座標で判断しています。従いまして、最前列の杭座標を1本だけ前
方に移動した場合、その1本のみが最前列の杭として認識され、残りの杭は2列目以降として取り扱われます。そのため、
pHuが小さくなり、照査結果に大きく影響したものと考えられます。
元々の最前列の杭を最前列として取り扱うことはできませんが、座標上2つ目となった杭の杭タイプを移動した杭と異な
る杭タイプとすることで、pHuを正規の計算値の2倍の値(砂質土のみ)を設定することで想定するpHuで計算すること
が出来ます。
杭タイプの変更は、他の杭位置の杭長と異なる杭長(例えば+1cm)とすることで、異なる杭長とすることが出来ます。
Q1ー22ー72 レベル2計算値-制限値比判定が一番厳しいときの値を指していない理由はなぜか
A1-22-72
[計算・結果確認]-[総括表]-[総括表]における基礎降伏杭体の判定は、全ての杭が降伏に達している場合において判定を
「降伏」として出力します。言い換えるならば、全ての杭の中における最も安全な状態が降伏に達している場合は「降伏」
という判定を結果として出力しています。
そのため、表示する許容比率の値に関しては最も厳しい状態ではなく、最も安全な状態のものを出力しています。この時
の許容比率の値が降伏に達している場合(100%以上の場合)、必然的に全ての杭が降伏しているとみなせるため判定とし
て「降伏」が表示されます。
311
第3章 Q&A
Q1ー22ー73 杭体の発生モーメントにおける降伏照査は上杭(第1断面)で行っているのか
A1-22-73
照査範囲は杭全体で行います。
Q1ー22ー74 軽量土を用いた橋台基礎の設計についてL2時の作用力に水平土圧はどう考慮するのか
A1-22-74
「橋台の設計」で軽量土橋台基礎とした場合は、地震時土圧は考慮されません。
ただし施工時残留土圧は作用するものとして、死荷重時のVHMについては考慮されております。この点につきましては
NEXCO 設計要領 第二集 橋梁建設編の5-18~5-19を参考としておりますので、併せてご参照ください。
Q1ー22ー75 PHC杭のレベル2地震時、M-φの降伏曲げモーメントMyが0となる理由は何か
A1-22-75
M-φにおいて降伏モーメントMyが0となるのは降伏耐力が計算できず、0を返していることが原因となります。
対処方法といたしましては、[レベル2地震時照査]-[杭本体]-[杭種別データ]の下段にあるPC鋼材の入力において鋼材量
を増やして頂きまして、降伏に対する耐力を挙げて頂くことが挙げられます。
なお[レベル2地震時照査]-[杭本体]-[杭種別データ]において「データ連動」を押した場合について、PHC杭の場合では連
動先を「断面計算」とする場合は配置半径のみが連動されることとなります。
これは現状の[断面計算]の入力においては鋼材量を指定することがないためとなります。連動先を基準値として頂きまし
た場合は、[基準値]-[杭基礎]-[杭体データ]-[PHC杭]のPC鋼材断面積を参照して鋼材量にセットする仕様となっておりま
す。
Q1ー22ー76 レベル2押込み力の上限値の算出根拠書籍はなにか
A1-22-76
道示Ⅳp434の解 12.10.1より押込み支持力の上限値に関する算出式がございます。
それに基づき、押込み支持力PNUは地盤から決まる杭の極限支持力RUと、杭体から決まる押込み支持力の上限値RPU
の、より厳しい方を採用します。
PNU = min( RU, RPU )
このとき、杭の極限支持力RUは道示Ⅳp384の解 12.4.3より求められます。また、PNUについては道示Ⅳp396の解
12.4.6より求められるため、合せてご確認いただきますようお願い申し上げます。
Q1ー22ー77 盛りこぼし橋台のレベル2地震時の検討において、収束しません
A1-22-77
盛りこぼし橋台の設計は、
「設計要領第二集 4章基礎構造 NEXCO(平成18年4月)」を参照し、全杭体の曲率が許容曲率
塑性率以下(本プログラムでは、同意である全杭体の曲げモーメントが許容曲げモーメント以下)であることを照査してお
りますが、制限値である許容曲げモーメントは、杭体のM-φ関係を用いて算出されます。
したがって、
・杭径を大きくした場合、M-φ関係が大きくなることから、許容曲げモーメントは大きくなる。
・杭体鉄筋を増やした場合、M-φ関係が大きくなることから、許容曲げモーメントは大きくなる。
・杭本数を増した場合、杭1本当たりの死荷重時の軸力が減少することにより、コンクリート杭である場所打ち杭では、M
-φ関係および許容曲げモーメントが小さくなる。
の傾向を示します。
これに対し、杭体の発生曲げモーメントは、杭径を大きくした場合、地盤変位による土圧力を大きく受けるようになるため
大きく生じます。
また、杭体のM-φ関係から求まる杭体の曲げ剛性EI(=M/φ)が大きくなると、杭体の曲げモーメント分布が変化し、
多くの場合、曲げモーメントが大きく生じるようになります。
このように、盛りこぼし橋台のレベル2地震時照査では、杭径,杭本数の追加によって、制限値に対し大きく有利な状態と
することができないケースが生じますが、このようなケースのとき、どのような対策を行うかについては、様々な要因が考
えられ一概にどのように対処すればよいとは言えないことから、適切な返答を行うことができません。
申し訳ございませんが、本件につきましては、設計者の方のご判断によりご対処くださいますようお願いいたします。
Q1ー22ー78 PHC杭のL2結果で大きな引抜き力が生じていて、断面照査を行うと杭体が持たない結果となるがL2結果はOKとなってい
る
A1-22-78
312
これは良いのか。
道示では、曲げ耐力に対しては照査を省略できるとなっているため、ご質問のような場合でもOK判定となります。
また、このような場合の照査方法についての記述もありませんので、設計者判断でOKとするか否かをご判断ください。
Q1ー22ー79 計算出力結果について(1)、(2)、(3)と3つ出てくるのですが、それぞれどういった意味があるのでしょうか
A1-22-79
また、違う計算書では(1)、(2)しか出てこないですが、出力の設定は可能なのでしょうか。
杭長や杭径、杭の地層構成が異なるなど、計算条件が異なる杭は、それぞれの異なる条件によって、異なる杭タイプとなり
ます。
異なる杭タイプは、計算結果が他の杭タイプとは異なりますので、それぞれの杭タイプごとの計算結果を表示します。
上記の条件が全て同じ場合でも、レベル2地震時照査では、レベル2地震時照査特有の解析条件によって、複数の杭タイ
プとなる場合があります。
杭タイプの別れ方は以下の条件によって杭種別に異なります。
■コンクリート系の杭の場合(場所打ち杭、PHC杭、PC杭、RC杭など)
1)押込み側の杭のM-φ算定に用いる軸力は死荷重、引抜き側の杭のM-φ算定に用いる軸力は0とする。
2)砂質層の地盤反力度の上限値は、2列目は、1列目の1/2とする。
■鋼管系の杭の場合(鋼管杭、鋼管ソイルセメント杭など)
1)押込み側及び引抜き側の杭のM-φ算定に用いる軸力は0とする(押込み側と引抜き側で区別が無い)。
2)砂質層の地盤反力度の上限値は、2列目は、1列目の1/2とする。
例えば、杭列数が4列で、砂質層を含む場合。
・コンクリート系の杭の場合
1列目:最前列杭-押込み側 ・・・(1)
2列目:2列目以降-押込み側・・・(2)
3列目:2列目以降-引抜き側・・・(3)
4列目:2列目以降-引抜き側・・・(3)
以上のように3タイプとなります。
・鋼管系の杭の場合
1列目:最前列杭 ・・・(1) ※M-φ関係による区別なし
2列目:2列目以降・・・(2) 3列目:2列目以降・・・(2)
4列目:2列目以降・・・(2)
以上のように2タイプとなります。
杭列数が3列で、砂質層を含む場合。
・コンクリート系の杭の場合
1列目:最前列杭-押込み側 ・・・(1)
2列目:2列目以降-引抜き側・・・(2) ※杭中心位置は引抜き側に含めます。
3列目:2列目以降-引抜き側・・・(2)
以上のように2タイプとなります。
・鋼管系の杭の場合
1列目:最前列杭 ・・・(1) ※M-φ関係による区別なし
2列目:2列目以降・・・(2) 3列目:2列目以降・・・(2)
以上のように2タイプとなります。
杭列数が3列で、砂質層を含まない場合。
・コンクリート系の杭の場合
1列目:押込み側・・・(1)
2列目:引抜き側・・・(2) ※杭中心位置は引抜き側に含めます。
3列目:引抜き側・・・(2)
以上のように2タイプとなります。
・鋼管系の杭の場合
1列目:(1) ※M-φ関係による区別なし
2列目:(1) 3列目:(1)
以上のように1タイプとなります。
313
第3章 Q&A
Q1ー22ー80 道示ⅤP283の15.4(2) 2) 基礎に塑性化を考慮する場合において12.4の規定に基づく橋脚基礎の変形による上部構造の慣
性力の作用位置における応答変位に相当する水平力とする
A1-22-80
以上の記述がありますが具体的には計算書のどこを参照すればよいでしょうか。
基礎の塑性化を考慮すると判定された場合の基礎の応答変位に相当する水平力は、基礎の変形による上部構造の慣性
力作用位置における
応答変位δFrが生じるときの上部構造慣性力としており、具体的には以下の通りです。
Pu=min(khi, khp)・Wu(kN)
ここに、
khp:基礎の照査に用いる設計水平震度
khi:基礎の最大応答変位に相当する水平震度
・基礎が降伏に達し、応答塑性率の照査を行うとき
khi:応答変位が生じるときの水平震度
・基礎が降伏に達するが、khcF≦khyFとなるとき(応答塑性率の照査を省略するとき)
khyF:降伏に達するときの水平震度
Wu:上部構造部分の重量(kN)
計算書の「レベル2地震時の照査」-「荷重変位曲線」で出力しております『断面照査時』は、上記、応答変位δFrが生じた
状態を示しており、
「断面照査時」の水平震度より、上記khiを確認することができます。
2-1-23 図面作成
Q1ー23ー1
軸方向鉄筋の継手長と帯筋の継手長をそれぞれ設定したい
A1-23-1
(杭基礎設計便覧P201、338より)
図面作成時の主鉄筋と帯鉄筋の継ぎ手長は、以下の画面にて調整してください。
<帯鉄筋>
・「図面作成-鉄筋-帯鉄筋」画面の継ぎ手長を調整し、図面生成を行ってください。
<主鉄筋>
・「図面作成-鉄筋-主鉄筋」画面の継ぎ手長は、内部計算で設定していますので、更に調整されたい場合には「図面作
成-鉄筋情報」」画面で「杭」を指定した後開かれる「主鉄筋」画面にて調整してください。
なお、
「鉄筋情報」ボタンを押下して開かれる各鉄筋画面で鉄筋情報(記号・径・寸法・配置情報)を修正された場合は、
「図面生成」時に表示される確認画面(入力情報に応じた鉄筋情報を生成した後に図面生成をおこないますか?)での
設定を「いいえ」としてください。
314
2-2 直接基礎
2-2-1 設計方法
Q2ー1ー1
動的解析による応答値を用いて直接基礎のレベル2地震時の計算を行う方法はあるか
A2-1-1
直接基礎のレベル2地震時照査においては、作用力を直接指定することはできません。
道示Ⅳ10.6(P.289~),道示Ⅳ参考資料3(P.547~)に記載されておりますように、直接基礎においては、非線形応答を考慮
した直接基礎底面の地盤反力度が基礎に作用するものとして計算します。具体的には、基礎の浮上りによって生じるモー
メント~回転角関係の非線形性を考慮して地盤反力度分布を求める必要があります。
しかしながら、作用力を直接指定した場合、この直接基礎の非線形挙動をどのように考慮するべきか不明です。また、道
示Ⅳ10.6の式を用いて計算するとした場合であっても、道示Ⅴ12.4に規定する橋脚基礎に塑性化を考慮する場合の設計
水平震度が作用したときの基礎底面モーメント,地盤反力度の合力の作用位置までの距離、慣性力作用重心位置までの
高さ等を、どのように考慮すべきか不明です。
よって現行では、作用力を指定する機能は設けておりません。
なお、底版下面中心における作用力は、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「直接基礎」-「底版照査」-「レベル2
地震時照査」に記載している方法にて算出しています。
最終的なV,MLがご検討の作用力となるようWu,Wp,hu,hp等のデータを調整して入力していただく方法が考えられま
すが、直接基礎の底版レベル2地震時照査においては、水平方向せん断地盤反力度が計算に関係してきます。この水平せ
ん断地盤反力度は、慣性力によるモーメントを慣性力作用重心位置までの高さで除して求めた水平力を用いて算出しま
す。このため、同じML値となる場合でも、Wu,Wpを考慮した場合とWu,Wpを考慮せずにMdに置き換えた場合とでは、
計算結果が異なります。
よって、断面力が同一となるよう入力を調整した場合の計算結果を適用できるかどうか明確に判断することができませ
ん。
Q2ー1ー2
2軸による安定計算に対応しているか?
A2-1-2
本プログラムの直接基礎では、道示準拠時、道示Ⅳ10.3.1(P.276~)に準じた2方向偏心時の有効載荷面積(図-解10.3.5
の斜線部の面積)による極限支持力の算出,および鉛直支持力の照査を行うことが可能です。
本照査は、
「設計条件」-「検討項目」画面で「偏心方向=2方向」と設定することにより適用され、この場合、
V :鉛直力(kN)
Hx:X方向水平力(kN)
Hy:Y方向水平力(kN)
My:Y軸回りモーメント(kN・m)
Mx:X軸回りモーメント(kN・m)
のように、両方向の作用力を与え、両方向の作用力を考慮した計算を行います。
詳しくは、上記の道示をご参照ください。
Q2ー1ー3
直接基礎のレベル2地震時底版照査で、柱基部の断面力は完全に一致させる必要があるか
A2-1-3
FRAMEモデルは、作用力と地盤反力との力の釣合がとれていること を前提としておりますので、入力画面上に断面照査
時底版下面作用力と入力された柱基部断面力より算出した作用力を表示し、両者が一致するように、あるいは両者の差
が微小となるように入力していただくことを想定しています。
入力された柱基部断面力より算出した作用力と断面照査時底版下面作用力とが一致しないケースでは、作用力と反力と
が釣り合わない状態となり、便宜上設けている支点に反力が生じ、断面力が正しく算出されません。
Q2ー1ー4
直接基礎の検討でkhcoを算出したいが、設計振動単位の固有周期Tの算出方法を教えてほしい(内部計算はできないの
か?)
A2-1-4
申し訳ございませんが、直接基礎の計算では固有周期は計算できませんので、基礎の選択で、
「杭基礎」または「液状化
の判定」を選択して、そちらの計算機能を用いてくださいますようお願いいたします。
「杭基礎の計算」では、[地層]-[計算条件]で「液状化の判定を行う」として「地盤種別」を「内部計算」とします。
計算結果は[地層]-[低減係数]の「液状化の詳細出力」で出力できます。
「液状化の判定」の液状化判定の中の1項目として計算しますので、固有周期の計算以外のデータは直接関係ありません
ので計算が流れる程度の適当な値を設定してください。固有周期は、プレビュー画面の「地盤条件と地盤定数の設定」で
出力しています。
315
第3章 Q&A
Q2ー1ー5
支持力計算でNqの値が0となり、表から読み取る値と異なる
A2-1-5
支持力係数Nqを求める場合、支持力係数を求めるグラフ(道路橋示方書Ⅳ(H24.3)302ページ)の領域Ⅱについては内部
計算を行っておりません。
この領域に入る場合、
「鉛直支持力の照査において、支持力係数Nqの算出に失敗しました。」とメッセージが表示されま
す。
この場合、0値となりますので、設計者のご判断で値を入力していただくことになります。
2-2-2 入力方法
316
Q2ー2ー1
斜面上の直接基礎照査時、設計条件-形状タブの『前面余裕幅b』には何を入力したらよいか
A2-2-1
前面余裕幅bは、斜面開始位置からのフーチング前面までの距離となります。
詳しくは、設計要領第二集(H18.4)の図4-3-13(P.4-24),図4-3-14(P.4-25)をご参照ください。
Q2ー2ー2
支持地盤に浮力の影響を考慮しないとき、支持地盤の単位重量γ1はどのように入力したらよいか
A2-2-2
本プログラムの支持地盤の単位重量γ1は、浮力の影響まで考慮した最終的な値を「作用力」-「作用力」画面にて直接
入力していただくようにしています。
浮力の影響を無視したγ1を用いた計算を行いたい場合、上記画面でγ1=γと入力してください。
なお、本画面上の[γ1、γ2算出]ボタン押下した場合、
・水位≧0.000(m)のとき浮力を考慮(γ1=γ-γw)
・水位<0.000(m)のとき浮力を無視(γ1=γ)
をセットしています。
Q2ー2ー3
斜面上の基礎(設計要領)において、段差なし形状の極限支持力を計算したい
A2-2-3
「設計条件」-「形状」画面において、フーチング段差高h=0.00(m)、フーチング幅B=フーチング底面幅aと入力してくださ
い。
2-3 液状化判定
2-3-1 設計方法
Q3ー1ー1
液状化判定において、各地層のR、L、値はどのように算出しているか
A3-1-1
地層ごとの「液状化に対する抵抗率FL」は、層内のN値測定点データから算出したFLの平均値としております。
また、
「動的せん断強度比R」は、
「設計条件」画面で選択された『動的せん断強度比Rの取扱い(最小値/平均値)』ス
イッチより算出方法が異なります。
・最小値:層内のN値測定点データから算出したRの最小値
・平均値:層内のN値測定点データから算出したRの平均値(※平均値はFLと同じ方法となります。)
平均FLの算出方法につきましては、ヘルプの「計算理論及び照査の方法」-「液状化の判定」-「土質定数の低減係数」
-「層ごと」に記載しておりますので、ご参照くださいますようお願いいたします。
Q3ー1ー2
層ごとの液状化の判定において、層内に複数の測定点が存在する場合、どのように判定しているのか?
A3-1-2
本プログラムの液状化の判定は、N値測定点に対して行っております。
層ごとの液状化の判定は、層としてのFL値(液状化に対する抵抗率)が1.0以下であるか否かではなく、層内に液状化す
ると判定されるN値測定点が存在しているか否かにより判断しています。
よって、層ごとの液状化の判定結果は、当該層に液状化すると判定される測定点が存在するか否かを示す目安として出力
していることになります。
なお、層ごとのFL値は、層内の全測定点のFL値の平均としており、これは土質定数の低減係数の算定にのみ用いていま
す。
この平均FLを用いて層としての液状化の判定を行った場合、特に層厚が大きい場合において、液状化する測定点が存在
するにもかかわらず、液状化しないと判定されるケースが生じるため、現行では、層ごとの平均FLを用いた液状化の判定
は行っておりません。
Q3ー1ー3
液状化の判定を行うか否かのスイッチ(SW)を0(=判定しない)としているが、ごく軟弱な土層に対しては低減係数が0と
なる。これはなぜか?
A3-1-3
本プログラムでは、道示Ⅴ8.2.1(P.120)の記述、
「8.2.2の規定により耐震設計上ごく軟弱な土層と判定された土層,又は,8.2.3の規定により橋に影響を与える液状化
が生じると判定された砂質土層については、8.2.4の規定により耐震設計上土質定数を低減させるものとする。」
に準じ、
1)ごく軟弱な土層と判定された土層
2)液状化が生じると判定された土層
に対し、土質定数の低減係数を設定しています。
前述のスイッチ(SW)は、上記2)の液状化の判定に対する設定であるため、1)のごく軟弱な土層と判定される場合、SW
の設定にかかわらず、土質定数の低減係数を零としています。
Q3ー1ー4
液状化の判定における 塑性指数Ip,10%粒径D50,D10 は何に影響するのか?
A3-1-4
塑性指数Ip,10%粒径D10は、いずれも、液状化の判定を行う必要のある砂質土層であるか否かの判定に用いていま
す。
具体的には、道示Ⅴ耐震設計編8.2.3(P.121~)(1)に記述されているD10,Ipを示しており、
■塑性指数Ip
「2)細粒分含有率FCが35%以下の土層,又は,FCが35%を超えても塑性指数Ipが15以下の土層」
■10%粒径D10
「3)平均粒径D50が10mm以下で,かつ,10%粒径D10が1mm以下である土層」
として判定しています。
したがって、D10,Ipをいずれも0.000と設定した場合、液状化の判定を行う必要のある砂質土層にもかかわらず判定が
行われないケース、逆に、液状化の判定を行う必要がないにもかかわらず判定が行われるケースが生じる可能性があると
考えられます。D10,Ipが正しく設定されているかご確認ください。
317
第3章 Q&A
Q3ー1ー5
層ごとの液状化の判定および土質定数の低減係数DEはどのように算出しているのか
A3-1-5
層ごとの液状化の判定は、層内に液状化すると判定されるN値測定点が存在しているか否かにより判断しており、層内に
1点でも液状化する測定点が存在するとき、当該層は液状化すると判定されます。層としてのFL値(液状化に対する抵抗
率)により判断しているわけではありませんので、FL>1.0であっても、液状化が生じると判定されるケースが生じます。
また、層としての土質定数の低減係数DEは、
・層内の全測定点の平均FL値
・層内の全測定点の平均R値あるいは最小となるR値のいずれか
を用いて道示Ⅴ表-8.2.1より算出しています。
動的せん断強度比Rは、
「設計条件」画面での指定により、平均値か最小値を選択していただくようにしています。
なお、平均FL値は、各測定点が負担する範囲を考慮し、次のように求めています。
(平均R値の求め方も同様です)。
FL = Σ(FLi・Li)/ΣLi
ここに、
FL:液状化に対する抵抗率の平均値
FLi:各測定点の液状化に対する抵抗率
Li :各測定点が負担する層厚(m) Q3ー1ー6
液状化の判定を行わないケースはどんな場合が考えられるか
A3-1-6
ヘルプにおけるSWの説明の通り、粘性土においてもSWの状態によっては液状化の判定を行う事は可能となります。
なお粘性土に層種を変更すると初期状態としてSW=0に変更されますのでご注意ください。
[設計条件]-[水位等]-[水位深さ]がN値測定点などの着目位置より深い位置に水位が存在する場合、液状化の判定を行わ
ないことが挙げられます。
また水位深さより下に着目位置が有る場合についても、 [検討位置]-[検討位置1]の着目深度に対応する層種が粘性土
の場合が挙げられます。
道示Ⅴp134の8.2.2において、
「一軸圧縮強度が20kN/m^2以下の土層は、耐震設計上ごく軟弱な地層として判定する」
とあります。その条件に合致する場合、ごく軟弱な地層とみなされるため、液状化の判定が行われません。
Q3ー1ー7
液状化判定の入力方法について教えてほしい.
「検討位置」で入力する地層データ(層厚、単位重量、Kp、一軸・・・)は液状化判定を行う地表面からの入力か。或は、
Bor柱状図をそのまま入力して良いか。
Bor柱状図をそのまま入力していたが、
「液状化判定を行う地表面に対する標準間入試権の位置」の項の入力値の使われ
方でつじつまが合わない
A3-1-7
液状化判定に用いる地盤面の取り扱いは以下のようになっております。
液状化判定では、
「標準貫入試験を行った時の地盤面」と「完成時の地盤面」の2つの地盤面を基準とした地中応力を算
定式内で用いています。
一方、
「液状化の判定」プログラムでは1つの地盤データ(完成時)のみ用いています。これは従来形式を踏襲したもので
す(計算ベースは「完成時」となります)。
従いまして、標準貫入試験を行った時の地盤面での地中応力は、いずれの地盤面を基準とした場合でも何らかの補正を
行う必要があります。
「液状化の判定を行う地表面に対する標準貫入試験を行った位置」の指定は、標準貫入試験を行った時の標高と、入力
している地層データ地表面の標高に差が有る場合に、補正を行うために行います。
標準貫入試験を行った後に、掘削し(切土)、その後の地層データの入力の場合には、入力している地層データの上に切
土を行う前の土被り分の上載厚が存在していましたので、その分を切土の上載厚σvcとして設定します(入力データは完
成形(掘削後)が基本となります)。
すなわち、完成時が切土の場合は、切土をした後の地盤データしかないため、切土により減少した応力度を入力すること
で、標準貫入試験時の地中内応力を算定します。
完成時が盛土の場合は、盛土した後の地盤データがあるため、盛土高を入力することで、完成時地表面(盛土表面)~盛
土高分の増加応力度を内部計算することができます。
※添付図をご参考ください。入力する地質データは完成時地表面からのものとなります。
入力する地盤データを、標準貫入試験を行った時の地盤面とした場合は、逆に、完成時の地中応力となるための補正が
必要となり、その場合には、完成時が盛土の場合には増加応力度の設定が、完成時が切り土の場合には控除される深さ
が必要となります。
なお、道路橋示方書Ⅴ耐震設計編では「ここでいう地表面とは、完成時における地表面のことである」と記述されていま
す(P.139 3行目)
318
Q3ー1ー8
杭基礎Ver.11で液状化関連の計算でPL法という計算は可能でしょうか?
A3-1-8
本プログラムの液状化の判定は、
「道路橋示方書・同解説 Ⅴ耐震設計編 (H.24.3)社団法人日本道路協会」に準じた方法
として、液状化に対する抵抗率(FL値)を用いた判定のみ行っており、PL値の算出,および判定は行っておりません。
ご了承ください。
Q3ー1ー9
液状化考慮における地盤種別を決定する上で参照している出典は何か
A3-1-9
道路橋示方書Ⅴ(H24.3)P32の「4.5 耐震設計上の地盤種別」を参照しております。
2-4 その他
Q4ー1ー1
「杭基礎プログラム」単独データを「橋脚の設計」プログラムと連動することはできるか?
A4-1-1
「橋脚の設計」,
「基礎の設計計算、杭基礎の設計」連動時、
「基礎の設計計算、杭基礎の設計」単独データの読み込み
を行った場合、フーチング寸法が合致しない等、橋脚側と共有するデータに矛盾が生じ、正しく動作しない恐れがあるた
め、従来、読み込み行えないよう制限しておりましたが、
「基礎の設計計算 Ver.4.05.00」において対応いたしました。
基礎側のメニューの「ファイル」-「開く」において、基礎単独ファイル(*.F8F)を指定してください。これにより、基礎の
データを読み込むことが可能です。
ただし、前述のように橋脚側との整合が取れなくなるおそれがあるため、本機能はサポート対象外として対応しており、最
終的な動作の保証はできません。読み込み前には必ず現データの保存を行い、十分注意して読込みを行ってください。
なお、UC-1連動は杭基礎しか対応しておりません。よって、鋼管矢板基礎,ケーソン基礎,地中連続壁基礎,直接基礎,
液状化の判定の読込みはできません。ご了承ください。
また、いくつか制限事項があります。
詳しくは、ヘルプの「操作方法」-「UC-1連動」-「UC-1製品との連動」の『□データの読込み』をご参照ください。
Q4ー1ー2
「橋脚の設計」,
「橋台の設計」との連動時、地層傾斜や杭長・杭径の異なる杭が混在する条件におけるレベル2地震時照
査を行う方法は?
A4-1-2
地層傾斜や杭長・杭径の異なる杭が混在する条件において、杭基礎レベル2地震時照査を行う場合、
「2.5次元解析」によ
り計算する必要があります。
具体的には、次のように設定します。
(1)データファイルを読み込む。
(2)橋脚,橋台側の「初期入力」画面で『基礎形式=杭基礎(2.5次元解析)』を選択する。
(3)橋脚,橋台側の「計算確認」モードより計算実行する。
(4)基礎側の「計算条件」-「基本条件」画面で『レベル2地震時照査=する』を選択する。
(5)基礎側の紫色で表示している未確定状態の入力画面(「着目杭指定」等)を、全て入力確定状態にする。
(6)基礎側の「計算・結果確認」-「レベル2地震時計算」をダブルクリックする。
※Q&Aはホームページ(http://www.forum8.co.jp/faq/win/foundation-tqa.htm)にも掲載しております。
319
基礎の設計・3D配筋 Ver.2 操作ガイダンス
2017年 1月 第2版
発行元 株式会社フォーラムエイト
〒108-6021 東京都港区港南2-15-1 品川インターシティA棟21F
禁複製
TEL 03-6894-1888
本プログラム及び解説書についてご不明な点がありましたら、必ず文書あるいは
FAX、e-mailにて下記宛、お問い合せ下さい。また、インターネットホームページ上の
Q&A集もご利用下さい。なお、回答は 9:00~12:00/13:00~17:00(月~金)となり
ますのでご了承ください。
ホームページ www.forum8.co.jp
サポート窓口 [email protected]
FAX 0985-55-3027
本システムを使用する時は、貴社の業務に該当するかどうか充分のチェックを行った
上でご使用下さい。本システムを使用したことによる、貴社の金銭上の損害及び逸失
利益または第三者からのいかなる請求についても、当社はその責任を一切負いませ
んのであらかじめご了承下さい。
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基礎の設計・3D配筋 Ver.2
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