ステアリング用等速ジョイント(CSJ)の開発

NTN TECHNICAL REVIEW No. 77(2009)
受賞案件の紹介
2008年度 “超”モノづくり部品大賞 自動車部品賞受賞
ステアリング用等速ジョイント(CSJ)の開発
Constant Velocity Steering Joint (CSJ)
山崎 健太
Kenta YAMAZAKI
1. はじめに
3. ステアリング用等速ジョイントCSJの特性
モノづくり推進会議と日刊工業新聞社主催(後援:
従来のステアリング用等速ジョイント(D-CJ)と
経済産業省,日本商工会議所)の「2008年“超”モ
の性能比較結果を以下に示します2).
ノづくり部品大賞」で,NTNの「ステアリング用等速
1)回転方向ガタ比較結果
ジョイント『CSJ』」が自動車部品賞を受賞しました.
『CSJ』は,ジョイント内部に独自の予圧付与機構
図2に示すようにCSJは,D-CJと比較してヒステ
リシスが小さく,高い捩り剛性を有しています.
2)回転トルク比較結果
を設けることでガタをなくし,内部設計を最適化する
ことにより,「滑らかな回転」と「ハンドルの遊びの
図3に回転角度とトルクの関係を示します.CSJの
低減」の両立を実現しました.
回転トルクには大きな変動がなく,ステアリング用ジ
従来のステアリング用等速ジョイントであるダブル
ョイントに適した特性です.
カルダンジョイント(以下D-CJと呼ぶ)に対し,重
+
量,体積が約1/2であると共に,使用可能領域(0∼
CSJ
D-CJ
グシステムの柔軟なレイアウト設計が可能です.
+
捩り剛性が低い
ヒステリシスが大きい
0
捩り剛性が高い
2. ステアリング用等速ジョイントCSJの構造
0
-
CSJの基本構造 1)は,ドライブシャフト用として
多用されているBJ(ボールタイプの固定式等速ジョ
0
60
120
180
240
300
360
回転角度
-
0
捩り角度
+
図2 回転方向ガタ
Rotational bach lash
イント)をベースに,内部にプランジャーとスフェリ
CSJ
D-CJ
回転トルク
負荷トルク
48˚)でガタがなく等速であることから,ステアリン
図3 回転トルク(無負荷時)
Rotational torque
カルプレートを追加しました(図1参照).プランジ
ャーのばね力により,内輪が図の右方向に変位するこ
4. まとめ
とで,ボールと内輪および外輪のボール溝が常に当接
CSJは,世界初のステアリング用ボールタイプ等
する状態を保ち,部品間のすきまをゼロにして回転方
速ジョイントで,高機能であるだけでなく,従来品D-
向ガタを抑制します.
CJ比 約50%の大幅な軽量・小型化によって自動車
の環境負荷低減にも貢献する商品です.
外輪
スフェリカルプレート
参考文献
ボール
ケージ
1),2)山崎 健太:ステアリング用等速ジョイント(CSJ),
NTN TECHNICAL REVIEW No.73(2005)
内輪
執筆者近影
軸方向変位
プランジャー
山崎 健太
図1 予圧付与機構説明図
Structure to reduce rotational play
等速ジョイント技術部
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