年次報告 - ESAアジア教育支援の会

教育支援事業 2015
教育支援事業
ESAは『教育』こそ人間の尊厳を守り、貧困と差別を克服する大きな力と考え、一人でも多くの子どもが教育を受けられるよ
うに活動しています。主に、基礎教育、指導者育成、職業訓練の 3 つの支援を教育支援事業としてバングラデシュ、インドの 2
カ国、6 つの地域(ユニット)において行っています。2015 年度は合計 2,155 名の子ども、学生に対し教育支援を実施し、教育
支援費の総額は 14,613,309 円でした。
ダージリン・ユニット
ESAの支援先
(ユニット)map
シレット・ユニット
カウンターパート:
イエズス会
コーディネーター:
支援先: 6 学校
カウンターパート:
ジョセフ・パパディル
オブレート会
コーディネーター:
支援人数:531名
リポン・ロザリオ
INDIA
支援先:3学校
BANGLADESH
チェンナイ・ユニット
支援人数:765名
チッタゴン・ユニット
ダッカ・ユニット
カウンターパート:
マリアの御心会
カウンターパート:
ポラレッカ(NGO)
コーディネーター:
コーディネーター:
ペルヴェス・カーン
ソフィー・ポール
支援先:1幼稚園
カウンターパート:
SMRA 修道会
支援人数: 139名
支援先:1学校
支援人数:412名
コーディネーター:
メアリ・ディプティ
トリッチー・ユニット
支援先:1施設
支援人数:140名
各地域のESAコーディネーター
カウンターパート:
ESAの各支援地域では、ボランティアスピリットで働くコー
クルーニーの
聖ヨゼフ会
ディネーターを中心に、貧しい子どもたちを学校に通わせたり、
コーディネーター:
教育プロジェクトを企画し運営しています。各施設の責任者であ
エルサ・パスセリー
支援先: 2施設
支援人数: 168名
るコワーカーと委員会を設け、協議しながら活動を進めます。
ESAの支援 - 3 つの柱-
指導者育成支援
発展途上国において、基礎教育を普及させ、質
を向上させるのに不可欠な優秀で柔軟な考えを
持つ教師、リーダーの不足は深刻な問題です。
この課題を解決するために、ESAは社会の
リーダーとなる人材の養成、教育を支援してい
ます。
食事と栄養管理
入学キットの支給
職業訓練支援および
基礎教育支援
地域の生活向上のための
教育支援
子どもたちが、自分でものごとを考え、行動す
るには、
「読み、書き、計算」という最低限の知
識と技能が必要です。社会的事情や家庭の経済
的理由で教育を受けられない子どもに対して、
日本の小学校、さらに中学、高等学校に相当す
る基礎教育を提供しています。
授業の提供、教師の採用と研修
基礎教育を修了した者や中途退学した人々に
対し、自立した生活が送れるよう、職業訓練、
識字教育、人権意識を高める活動を支援して
います。
寮の生活
地域の活性化
教育支援事業 2015
ESAの支援フィールド
茶農園の村の子どもたちへの支援
過酷な労働条件で働く生活から教育で脱却
160 年前の植民地時代から、ダージリンや
シレット等の紅茶農園では、低賃金、重労
働の過酷な条件のもとで働く何十万の人々
がいます。彼らは貧困のため栄養状態も悪
く、また民族の違いから差別を受け厳しい
生活を送っています。
■ESA支援先:8 校
バングラデシュ・シレット:
○カラグール小学校、○ムングラ小学校、
○ゴワバリ小学校
インド・ダージリン:
○マイケル校、○ロバーツ校、○テレサ校、
○メリー校、○ナネット校 (2015 年度で支援終了)
極貧の村の子どもたちへの支援
何もない生活に光を注ぐ教育
村人の 8 割以上が自分の農地を所有しておら
ず、日雇いで細々と生活しています。そのよ
うな村には、子どもが誰でも通え学べる施設
がありません。また、多くは今なお残るカー
ストで身分差別を受け、社会から疎外されて
います。
■ESA支援先:2校、2 施設
バングラデシュ・チッタゴン:
○ジョナキ小学校
インド・トリッチー:
○セント・ジョセフ子どもの家、
○アンナイ子どもの家
インド・ダージリン:
大都市のスラムの子どもたちへの支援
都会で困窮する子どもを救う教育
希望のない村の貧困生活から逃れ、仕事と
夢を求めて都会に流出する人々は、技術を
習得していないため仕事を見つけることも
できず、さらなる貧困に蝕まれています。
その犠牲となるのが幼い子どもたちです。
■ESA支援先:3 施設
バングラデシュ・ダッカ:
○ボトムリー・ホーム
インド・チェンナイ: ○ニルマラニラヤム幼稚園
○ニルマラコミュニティカレッジ
(2015 年度で支援終了)
教育支援事業 2015
ありがとうございます!
皆様のご支援が
子どもたちの笑顔に変わっています。
私たちは今年、5 年生で
小学校卒業試験がある
か ら、 勉 強 が 大 変! 学
校が終わってからも先
生たちが夜まで、勉強
を見てくれています。
僕のお父さんは、貧しさの
ため病院に行けずに 3 年前
に亡くなりました。今はお
母さんが茶園で働いて 3 人
兄弟を育ててくれています。
学校で友達といる時は楽し
くて笑顔になれます。
茶農園で仕事がなく、両親
は遠くの町にトンネル工事
の仕事に行き、めったに会
えません。苦手な英語をお
姉さんたちが親切に教えて
くれるので助かります。将
来看護師になりたいです。
お母さんに会いたくて、
夜になると泣いてしま
います。でも、ここに
いればみんなと一緒な
の で 元 気 に な れ ま す。
学校の先生はこわいけ
ど、知らないことをた
くさん教えてくれます。
セント・メリー校で学ぶ寮生たち
遠方の中学から村に帰
ると、小学校の先生た
ちが迎えてくれるの
でほっとします。後輩
の小さな子どもたちの
お世話をしてあげられ
て、嬉しいです。
ゴワバリ小学校を卒業
して、今年から中学校
に通い始めました。み
んなと一緒なので、と
ても楽しいです!
学校に行く
と、 給 食 を
お腹いっぱ
い食べられ
るから大好
き!
ムングラ小学校の子どもたち
ゴワバリ小学校の卒業生たち
スキルトレーニング・
プロジェクト
ESAとジョナキ現地チーム JONAKI'R ALO のコラボ活動始まりました!
支援額: ¥85,394
ジョナキ小学校近隣の大人たちが手仕事を学び、それが生活の糧となるように
と、現地大学生チーム・ジョナキール・アローが、" 村の女性の精神的、経済的
自立 " をスローガンに発足しました。 女性たちは染色教室で絞り染めを学び、その布を巾着袋に仕上げるために初め
てミシンにも挑戦しました。色とりどりに染められた巾着袋が、ESAの長年
の念願だった初のフェアートレード商品として届きました。参加した女性たち
には修了証書と初めての報酬が手渡されました。
第 2 回講習会は 9 月から 3 ケ月の予定で開かれます。初回の終了者の中から優
秀な者が指導者として参加し、学んだ技術を次へと伝えていきます。まだまだ
技術も未熟ですが、応援をお願いします。
巾着袋 + ベンガル紅茶 100 gのセットを 500 円で販売中!
ご希望の方は事務所までお問い合わせください。
教育環境整備事業・災害支援 2015
教育環境整備事業
ESAの教育環境整備事業は、教育の質を高めるための環境整備であり、多くの皆様のご寄付によって賄われています。
1997 年にインド、ダージリンの紅茶農園にセントー・メリー小学校を建設したのが最初の事業でした。その後、南インド
のセント・ジョセフ子どもの家の建設、バングラデシュでのジョナキ、ムングラ、カラグール、そしてゴワバリ小学校の建
設と 18 年間で 6 つの学校と 2 つの子どもの家を建設しました。ESAでは単に建物を建てるだけではなく、教育の場とし
ての環境整備、維持管理を継続的に行っています。
チッタゴン・ユニット
ジョナキ小学校 雨よけ、ひさしの設置、
パソコン、プリンター購入
Bangladesh
支援額: ¥206,852
ジョナキ小学校の 3 階部分は、教室の外廊下に
雨が吹き込んだり、暑い夏の日差しが教室にも
差し込んでいたので、ひさしを取り付けました。
また、書類作成のために使えるパソコンやプリ
ンターがなかったため、町のネットカフェに行
かなければならずとても不便だったので、事務
用パソコンとプリンターを購入設置しました。
ダージリン・ユニット
セント・メリー校
コピー機・音響設備費
支援額: ¥154,371
紅茶農園の子どもたちのための学校建設から
21 年、幼児クラスから 10 年生まで 636 人の
生徒を有する大きな学校へと成長したセント・
メリー校に、試験や答案用紙の印刷のために
リコーのコピー機を購入しました。旧式のも
のは故障が多く、試験用紙の印刷のたびに先
生を悩ましていましたが、新しい機械でスムー
ズに印刷ができるようになりました。壊れて
いた音響機器も購入し、全校集会などでマイ
クが使えるようにもなりました。
災害支援 ネパール大地震緊急支援
支援額: ¥1,559,692 円
2015 年4月 15 日に起きたネパール大地震で、ESAが以前支援し
ていたカブレ地区やダディン地区も壊滅的な被害があり、ESAも
ダージリン・ユニットを通して、いち早く救援活動を始めたネパー
ルイエズス会へ災害支援金を送りました。ネパールイエズス会は
この 1 年間で、最も被害を受けた 11 地区で支援活動を行い、26 地区の 88 の学校を援助、
6206 世帯、3 万 2 千人以上の被災者に支援の手を差し伸べました。支援の形も、当初の救援
物資や医療の提供から、学校への物的支援、建物の修復、若者や女性たちの収入を得るため
のプログラム提供に変わってきています。
India
教育環境整備事業 2015
ゾウさん文庫プロジェクト
「ESAの支援する学校や施設の子どもたちが、素晴らしい書物に触れることで、彼らのもつ可能
性を大きく広げたい ・・・」そんな願いから開始された「ゾウさん文庫」プロジェクトです。
ゾウさん文庫 第 1 フェーズ終了!
支援額: ¥2,029,302
ル語)
、ラバーニャ・ラクシュミさん(タミル語)にも心
2013 年~ 2015 年の 3 年間の計画で開始した「ゾウさん
から感謝いたします。
各支援地からは、子どもたちが日本からの絵本を楽しむ
文庫」プロジェクトでは、多くの方々のご協力によって
様子が伝えられました。1 冊の絵本をみんなでのぞき込
ESAの全支援施設に本棚とたくさんの本を届けること
んだり、先生の読み聞かせに大声で笑ったり、図鑑を興
が出来ました。支援地ではなかなか手に入りにくい色彩
味深げに眺めたり ・・・ 初めて絵本を手にした子どもたち
も内容も豊かな絵本を、現地語の翻訳をつけて日本から
送るプロジェクトには、小学生から社会人まで、たくさ
んのボランティアの方に関わっていただき、総計 2,276
には、まだ読書の習慣が身に着かない地域もありますが、
「本がある環境」の中で、子どもたちの興味がどんどん広
冊を支援地に届けることができました。本当にありがと
うございました。現地語翻訳をお引き受けくださり、素
晴らしい翻訳をしてくださいました、アザド・ムンシ先
生(ベンガル語)、マハルジャン・デブラルさん(ネパー
日本から
がっていくことがわかります。「子どもたちが本をとても
好きになった。
」
「日本の芸術的な絵本が子どもたちに及
ぼす影響は大きい。」など支援先の高い評価を得て、今後
もこのプロジェクトの継続が希望されました。
支援先へ
日本からの
美しい絵本
そして第 2 フェーズへ・・・
「ゾウさん文庫」プロジェクト第 2 フェーズは、2016 年
入費や現地への輸送費などの予算が必要となります。今
~ 2018 年の期間で実施します。各支援地からの要望も取
(上左)学校の階段を本棚を担いで登る先生と卒業生
後とも「ゾウさん文庫」への寄付や絵本作りボランティ
り入れながら、必要な書籍の提供(英語の図鑑や読み物)
(下左)日本からの図鑑に子どもたちは興味津々
アへの参加を、よろしくお願いいたします。
と、日本からの絵本の贈呈の継続を柱とします。書籍購
(上右)届いたばかりの本棚の前で
(下右)本棚にはたくさんの本が入りました!
給食プロジェクト「Happy Plate」
支援額: ¥1,445,638
2015 年からバングラデシュのシレット 3 校で Happy Plate
プロジェクトが始まりました。貧困による栄養不良の子ど
もたちに、栄養価の高いたまごを学校給食に加えて、身も
心も大きく育ってほしい!と願って.
.
.各学校とも、月に
1~2回程度、給食でたまごを提供できるようになりまし
た。それに季節の果物やビスケット等を加えています。家
ではめったに食べられないたまごが食べられる給食が、子
どもたちは大好き!これからはチキンカレーも給食に提供
し、子どもたちが元気いっぱいに成長できるようにサポー
トしていきます。
Yahoo! ネット募金で
も募金を受け付けて
い ま す。T ポ イ ン ト
でも寄付できます。
普及啓発事業 2015
普及啓発事業および国内活動
重点項目活動
教材作成プロジェクト
夏体験ボランティアや学校、企業
の社会貢献活動などの一貫として、
様々な世代が教材作成に参加。算
数や英語の教材、翻訳絵本作りを
通じて、現地の様子を知るきっか
けにもなった。7 月には「世界に
届け!ぼくらの絵本第 3 弾」
(真如
苑からの助成金)を実施、約 80 人
もの参加者とともに、ベンガル語の絵本を作りながら、バ
ングラデシュの社会について学ぶ機会になった。
現地訪問ツアー実施・訪問報告会開催
9 月 5 日 ~9 月 13 日の 9 日間、バングラデシュ・ダッカと
シレットへのツアーを実施。5 名
が参加して、ボトムリーホームと
紅茶農園の 3 校を訪問した。また、
11 月には、参加者による帰国報告
会及び懇親会が実施された。
講師派遣
狛江市内の 6 保育園の年長組園児に対し、全 12 回のおは
なし会を実施。また狛江市公益市民活動事業補助金を活用
して、幼児向け国際理解教育の手引き「みんなちがうけど、
しあわせいっしょ」を作成。狛江市内全保育園及び幼稚園
をはじめ、小学校などに説明会を開催し配布した。そのほか、
小学校や高等学校、ボーイスカウト等で国際理解講座を実
施した。
ボランティア受け入れ
(財)日本国際協力システムの
NGO 助 成 金 を 活 用 し、8 年 ぶ り
に公式ホームページを全面改訂し
た。これに伴い、様々なソーシャ
ルネットワークサービスを活用
し、ESA の支援活動の広報と募金活動を広げることが
出来た。
主な国内活動
「マーのカレー教室」開催 @夢屋&軽井沢
インド料理教室を 2 回開催。EA
Sオリジナルスパイスを使った料
理など 7 品を紹介するとともに、
支援地の様子を講演。
ユニット訪問
4 月 12 日~ 4 月 22 日
インド・ダージリンユニットを訪
問し、支援先6校の視察を行い、
学校のニーズや課題、村の生活の
変化を確認した。子どもたちと交
流したり、家庭訪問も行った。
会報JOY発行
3 回(1 月、5月、10 月)発行
現地の支援活動の報告を行い、会の情報を支援者のほか不
特定多数の人に発信した。
企業との連携
翻訳絵本作りやベンガル数字表等のワークショップに 10
社企業が参加、8 社の社内販売会のスパイス販売を実施し、
様々な形で社会貢献活動に参加いただいた。
対外活動
国際協力NGOセンター(JANIC)正会員として総会
などに参加。
「NGOサポー
ト募金」や「MDGs2015 キャ
ンペーン」への参加。
その他(物品販売)事業
ゴワバリ小学校の子どもたちと
ツアー参加者と共に
7 月のカワサキインター
ナショナルフェスティバ
ル、10 月のグローバルフェスタ
JAPANへの参加の他、年間
53 回、各地フェスティバルやバ
ザーに出店。ESAオリジナルス
パイスを販売。
「スパイス 2 袋購
入すると、1 ケ月 1 人の子どもが
学校に行ける支援につながる」商
品性が、広く受け入れられた。
支援者数(2015.12.31 現在)
●教育スポンサー数 354 名 (前年度 376 名) ●ESAサポーター数 149 名 (前年度 150 名)
ESAの収入と
支援者数の推移
支援する子どもの数と
支援者数の推移
イベントなどで大活躍の
ユースボランティア
夏休みを中心に、中高、大
学生や社会人の体験ボラ
ンティアを受け入れ、絵本
作りやスパイス製造を通じ
て、ボランティアの楽しみ
や意義を広めた。また、E
SAユースチームが拡大
し、約 30 名のメンバーが登録した。イベントボランティア
を中心に、多くの学生がESAの一員として活動を広げて
いる。
公式ホームページの改訂