ある地方自治体が開催した講演会に対する疑問 Vol.5(2)

3.ある地方自治体が開催した講演会に対する疑問
長村 洋一
(鈴鹿医療科学大学)
始めに
関西の知人A氏から、この会報において3年ほど前に小生が書いた食品添加物に関する記事を
引用させて頂きたい、とのメールをいただいた。そのメールによれば枚方市の消費生活センター
が安部司氏の講演会を開催されることに質問状を出され、その質問状の添付書類として使用され
たことの承諾のメールであった。その質問状の内容は、枚方市が行おうとしている講演会の趣旨
について、きちっとした一科学者の姿勢としての問いかけであった。
A氏からのメールの以前に、枚方市で開催されるこの講演会の連絡は別な方から頂いて知って
いた。その講演会呼びかけのホームページには、試薬瓶を前にして実験的パフォーマンスを行っ
ている安部氏の写真入りで、当日もこの実験を行って頂けると彼を絶賛した記事が書いてあった。
小生も申し込んで直接安部氏と話をしたいと考えたが、あいにくどうにも都合が付けられなかっ
たので申込みをあきらめたところであった。そんな矢先にA氏からのメールを頂き、枚方市とい
う公的な機関がこうした行為をされることに対し疑問を持たれたA氏の行動を拝見して、小生も
何らかの働きかけを行う必要性を感じた。そこで、ちょうど締め切り間際の日経Webジャーナル
FoodScienceにまだ安部氏がこうした実験で市民を愚弄している事実を知っていただく必要性が
あると感じて「枚方市はA氏の質問を真摯に受け止めて下さい」と題して記事を書かせていただ
いき、枚方市に正式に抗議にメールを送らせていただいた。そして、A氏は実際に枚方市まで出
かけられて消費生活センターのトップに長時間にわたり議論をされた。そうした一連の話をここ
に掲載させていただく。
安部氏が行っていることの実際
まず、少し古い話にはなるが、かつて小生が行った安部氏の活動への批判をもう一度させてい
ただく。安部司氏は、皆さんに「白い粉」から豚骨スープを作って見せますよ、と言って聴衆の
目の前でいくつかの試薬瓶に入れた粉を混ぜ合わせて豚骨スープを作って見せたり、食用油と乳
化剤を混ぜて乳白色の溶液を作り、皆さんがミルクだと思っているのは実は油に化学物質を混ぜ
てできていて牛乳、生クリームには無関係なものだと言ったりして講演活動をしておられる。
ところで、試薬瓶に入った「白い粉」というのは一般の人にはいわゆる合成化学薬品と映って
いる。安倍氏はそこがねらい目である。彼の講演を聴き、感激をした何人かに直接出会って感想
を聞いているが、その人達は異口同音に「薬品」を混ぜ合わせて本当に豚骨スープができたのに
はびっくりしたと言っておられた。一般の人には合成化学薬品は、天然には存在しない怖いもの
というイメージがある。その怖い薬品を何種類か混ぜ合わせて自分が食べたことのある豚骨スー
プができあがっているから化学に縁の薄い人のその驚きは尋常ではない。
安倍氏のパフォーマンスを見ながら講演を聴いた人々は、非常に驚いて、こんな怖いものから
ラーメンのスープができているのか、と幾分の疑問を持ちながらも目の前で起こった現実に「私
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は確かに、化学薬品からスープが作られる現場を見た」という驚きを胸に刻み込んでしまう。そ
して、スーパーで改めて豚骨スープの表示欄を見ると、講演で聴かされた食品添加物名が確かに
書いてある。これで、実験を見た人の恐怖感は完成の域に達し、安倍氏のもくろみは成功する。
では、現実にはどうなのか?安部氏の著書(食品の裏側―みんな大好きな食品添加物 東洋経済
新報社)によれば豚骨スープは「食塩」
「グルタミン酸ナトリウム」
「5’
−リボヌクレオチドナト
リウム」「たんぱく加水分解物」
「豚骨エキスパウダー」「ガラエキスパウダー」
「野菜エキスパウ
ダー」「しょうゆ粉末」「昆布エキスパウダー」「脱脂粉乳」「ガーリックパウダー」「ジンジャー
パウダー」「オニオンパウダー」
「ホワイトペッパー」「甘草」
「リンゴ酸」「ねぎ」
「ごま」と大半
が実際の食品であり、豚骨エキスパウダーまで入っている、
これらを「試薬瓶」に入れ、いかにも化学物質のように見せているわけである。化学に縁遠い
人達からは、これらはすべてダイオキシンなどにつながる「怖い化学物質」のように見える。し
かし、これらを化学薬品の販売メーカーに注文したら買える物は4品しかない。残りは食品メー
カーに注文しないと入手できない。
購入できるのは、塩化ナトリウムの「食塩」、
「グルタミン酸ナトリウム」、
「5’
−リボヌクレオ
チドナトリウム」と「リンゴ酸」のみである。「グルタミン酸ナトリウム」、「5’
−リボヌクレオ
チドナトリウム」はいずれもトウモロコシや、サトウキビの糖分などから発酵法によって作られ
ている。この4つの化合物は、我々の体内にも全部もともと多量に存在するきわめて重要な生体
内物質である。
しかし、試薬瓶にこれらを入れて混ぜ合わせ「白い粉」から皆さんの大好きな「豚骨スープ」
ができましたとやってみせる。これがいかに馬鹿なパフォーマンスか、本質的には乾燥味噌に水
を注いで「はい、茶色の薬品から味噌汁を合成しました」といっているようなインチキ大道芸人
の姿でしかない。
こうした行動が招く市民の誤解
さて、小生が問題としたいのは、このようなまやかしは、一般市民の方々が抱いている化学薬
品に対する必要のない心配に、心理的根拠を与えて過剰な不安を抱かせてしまうことである。化
学の世界で天然物を抽出して「これは有機化学的に合成しました」と言えばいわゆるデータの捏
造であり、一般社会でこのような行為のことを「だます」という。結果が一般の方々に不要な不
安を与えるだけに、まさに、一種の詐欺行為または犯罪行為と言ってもよいほどあくどい行為で
ある。
枚方市消費生活センターのホームページには以上のようなことをやっている安部氏の行為その
ものが礼賛されており、市民の方にぜひこうした勉強をしていただきたいという呼びかけがなさ
れている。A氏は率直に、なぜ市はこのような講演会を開催されるのかと問うて見える。小生も
A氏の疑問はしごく当然な疑問として全く同感であるというより、大変であるかもしれないがこ
の講演会の中止を要望したい気持ちであった。安部氏の浅薄なパフォーマンス付きの実験と講演
は、しっかりした科学者には反面教師としての役割を果たすかもしれないが、環境や人類の安全・
平和を真剣に考え日常行動に移しておられる化学に縁遠い多くの人たちをいたずらな混乱に招く
からである。
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無添加思想のナンセンス
今や日本の食品業界には“保存料”
、“着色料”
、“うま味調味料”を除いた食品を作成し、大き
く「無添加」という表示を出さなければ売れないような社会を形成し始めている。しかし、現実
にはこれらの食品添加物を抜くことは安全性の問題には何も寄与しない。それどころか、決して
消費者に対する欺瞞ではない正当な食品利用、流通の大きな妨げになっている。
さらには、量的な概念があって食品添加物の毒性学的な問題点の無いことが一部の識者に理解
され始めると、今度は“うま味調味料”を除いて本物の味を家庭にというような触れ込みで、や
はり「無添加」を前面に出してくるような食文化論まで出始めている。こうした最近の風潮が作
られたのには、安部氏の一大ベストセラー「食品の裏側」の出現と、それをもてはやしたメディ
ア、一部消費者団体の活動、さらには彼の手品まがいのパフォーマンスに引っかかった一部の識
者の賛同意見、そして彼の活動と時を同じくして発生した食品添加物とは無関係な食品に関する
いくつかの不祥事が、大きく関与していると小生は推測している。
小生が枚方市に対して行った行動
ここで、枚方市消費生活センターの問題に戻るが、一部の民間団体やあやしい自然食品業者が
行う宣伝活動のような実験付きの講演会を行って、いたずらに市民の不安をあおり、おば様方に
受ける“食育もどき文化論”を聞かせるのは公的な機関が行うこととしては間違っていると申し
上げたかった。そこで、小生は枚方市に対し、市としてA氏の疑問を真摯に受け止めて良識ある
判断でこの講演の在り方を検討していただきたい、というここに書いたような記事を書き、記事
が掲載された後に枚方市に正式に抗議のメールを消費者生活センター長宛てに以下のようなメー
ルを送った。
枚方市消費生活センター長様
突然のメールをお許しください。
実は、先日小生の旧知のA氏から枚方市消費生活センターへ質問状を出すに当たって小生が主
催している健康食品管理士認定協会の会報記事の引用承諾に関するメールをいただきました。
安部氏がしばしば行って、ブログでもたたかれている自然食品販売の会社の講演会ならともか
く、公的な市が食品添加物の啓発のための講師として安部氏を選定されたことは非常にまずいこ
とと感じております。最近は、種々の自治体や公的レベルのしっかりしたところで安部氏はほと
んど講師として選択されなくなってきて、自然食品や健康食品販売のおば様方を集めての講演会
のようなところで人気講師として頑張っておられるとの情報を得ておりました。
そして、まともなところからは講師として排除されるようになってきた原因にA氏が引用依頼
をしてきた小生の記事が一役買っていることも知らされており、ささやかな小生の活動も役にた
っていると嬉しく感じておりました。先月20日にも名古屋地区の民放の考査関係者の定例会で小
生を交えて安部氏の問題点について勉強会を開催しております。ところが、枚方市のような立派
な市で行われる講演会でまだ講師として選択されることを知り、非常に遺憾であると感ずると同
時に、安部氏の実態を知らない人のためにもう少し声を大にする必要があると感じまして、日経
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BPのWebジャーナルに月1回で書いている記事にこの問題を掲載させていただきました。その記
事は以下のアドレス(FoodScienceのアドレスで3月には閲覧できたが、現在は閉鎖されている)
で読めます。
この記事に書かせていただきましたように、安部氏の主張は科学的にあまりもずれています。
そして、それに付随して語られている、子供に本物の料理を食べさせましょうというような文化
論は、一つの考え方ですから小生も特に批判する意思はございません。しかし、彼の語り口とえ
せ化学実験のパフォーマンスが必要以上にまともな人たちの食品添加物などを恐れさせる気持ち
を作り上げていることを問題としているのです。
そして、現に彼が全国で講演活動を続けることによって自然食や無農薬をうたったマルチ商法
の業者が売り上げを伸ばしているというような状態ができております。もともと彼はあの大ベス
トセラーの最初の方の版ではご自分が販売しておられる「自然のお塩」の購入方法を最後に書い
ていて、いわゆるアガリクスなどのバイブル本と同じタイプの本であったことをご存知ですか。
本が爆発的に売れ始めて一部の識者からその問題を指摘され、その後の版には掲載されていませ
ん。彼の講演を聞いてから「怖くて普通の食塩が使えなくなって“自然のお塩”だけを買ってい
る」と言う信奉者に小生の講演会で出会ったことがあります。小生の主催しております健康食品
管理士認定協会の健康食品管理士は病院、薬局、ドラッグストア等で活躍していますが、彼らか
らもこうした自然、無添加、無農薬、有機や環境保護と言うようなことを掲げて、実はあくどい
マルチ商法を行っている実態を指摘してきております。
多分貴センターにおかれましては安部氏に講師を依頼された根拠はメディアにもてはやされ、
全国での講演で人気を博していることにあると推測させていただいております。しかし、そうで
なく、市として検討されたうえ、彼のような人こそ“食の安全・安心を考える”有識者と判断さ
れて今回のような計画を立案されたとするならばかなり問題がございます。
とりあえずは荒井氏の質問に真摯に対応して頂きたくお願い申し上げます。その回答によりま
しては、小生も安部氏を枚方市のような公的な機関がこのような講演会の講師として招かれるこ
との問題点の説明に伺わせていただきたく考えております。
以上、突然のメールで失礼をいたしましたが、ご配慮いただきたくお願い申し上げます。
枚方市の対応
前述のようなメールを消費生活センター長に送らせていただいたが、特に返事はいただけなか
った。しかし、これは特に返事を要求したわけでもないので返事がなかったのは特に無視をされ
たということではない。むしろ、A氏が小生のメールの後に実際に枚方市のセンターを訪れてお
られ、そこで長時間にわたって話をされ、その報告を小生にしていただいたが、その返事の中に、
ある意味で小生を意識されたセンターの対応があった。
いずれにしろ、まず小生がFoodScienceに書いた記事は意外に反響があり、小生のところに安
部氏に関するいくつかの問題点が寄せられた。A氏からの報告の中にもセンターの方がこの記事
が原因となって幾つかの問題が持ち上がったことが記載されていた。
まず、結論的としては、A氏に対する枚方市の行政としての対応は非常に真摯であり、決して
皮肉ではなく丁重であったとお知らせさせていただく。ただ、それだけ真面目に対応しておられ
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ての回答であったが故に、枚方市民に食の問題意識啓発のための講演会としてこのような企画を
されたことを改めて残念に感じたのでその問題点を指摘させていただく。
講演の実態
実は、枚方市における安部氏の講演を聞かれた方から、その印象と講演のときに配布されたレ
ジメとをお送りいただいた。その印象は非常にお話が上手で感心させられたとのことであった。
話の内容は化学的には指摘しなければならないほどの間違いは少なく、また添加物の不安を正面
からは煽っていない。しかし、安部氏は聴衆のほとんどが化学物質に対する知識のない方である
ことを熟知しているので、その方たちの化学物質に対する忌避感を上手に刺激して結局は聞いて
いる人達に添加物は怖いものだ、という意識を明確に植え付ける効果を生み出していた。「とに
かく話がうまいことには恐れいりました」と伝えてこられた。講演会参加募集の広告には「とん
こつスープの実演もある」とあったが残念ながらなかったそうである。これはひょっとすると小
生のFoodScienceの記事が原因かもしれないと推測をしている。
講演のときに配布されたレジメは、テストⅠとⅡという2部構成になっていて、テストⅠでは
回答によっておよその年間食品添加物消費量が分かるようになっており、安部氏がお考えになっ
た食生活のあり方指針が示されている。一方、テストⅡは添加物の知識を試す内容となっている。
食品添加物の内容について日常考えたこともない方がこの2つのテストに回答されると、
「え∼、
こんなに食品添加物を摂っているの!?」と驚かれるに違いない。こうした手法によって添加物
のお世話にどれ位なっているかを気付かされる話の説き起こしは見事である。しかし、その量に
驚かされた方々に、その物質の有する内容物の使用目的は説明しても、その物質の本質や危険性
に関する量的な話は全くされない。したがって、多くの方は何か分けの分からない化学物質をそ
んなに多量に摂取していると誤解されることになる。
ところが、このレジメで安部氏が取り上げている食品添加物、調味料(アミノ酸など)
、酒精、
炭酸カルシウム、乳酸、レシチン、酸化防止剤(ビタミンE)、酸味料、ビタミンB2、ビタミン
B1、pH調整剤、グリシン、リン酸Na、ソルビトールなどはほとんどが我々の体内に存在するも
のである。しかも、ここに挙げられた我々の体内にはない添加物の増粘多糖、セルロース、カゼ
イン、グアーガム、クチナシ色素、コチニール色素、ラック色素、アナトー色素、ソルビン酸な
どは全部天然物である。そして加工食品などで食品添加物として量的に多く摂取している増粘多
糖の大半、カゼイン、セルロースなどは、通常の食品からでもかなり摂取しているものばかりで
ある。
唯一毒性の点で問題となる発色剤(亜硝酸Na)も、通常の野菜から毎日摂取する数百mgの硝
酸から生体内で多量に生成している物質である。従って、ここに挙げられている食品添加物で有
機合成的な物質としてはカラメル色素、エリソルビン酸、黄色4号、黄色5号くらいになってし
まう。カラメル色素も糖類の加熱で生成する物であり、“無添加”を謳った「みたらし団子」な
どの色の構成因子である。エルソルビン酸はビタミンCの異性体で極めて毒性は低く、黄色4号、
5号も安全性の実験が行われ30年以上使用され続けている色素でクチナシ色素のような天然色素
よりはるかに安全性が保証されている。
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行われていることの消費者への無意味な脅し
こうしてみると安部氏が一般人に「あなたは年間何Kgもの食品添加物を摂取していますよ」と
認識させるときには、同時に「その本質は我々の生体内物質か、天然物ですよ」という説明を加
える必要がある。ところが、安部氏は恐らく今までの彼の著書、テレビなどの番組における話の
いずれを見ても、化学に縁遠い人達に化学物質まみれの添加物食品というイメージを売り込もう
としている。しかし、実際の食品に使われている食品添加物を取り上げてみると結局は前述のよ
うにそのほとんどが問題のない生体内物質か、天然物である。すなわち、一般の方がある意味で
心配されるかもしれない真の意味での化学合成による完全に人工の食品添加物は極めて僅かしか
摂取していないのが現状である。そして、例えそれら化学合成品を摂取したとしても、食品添加
物の場合、合成品として嫌われているものの方が安全性に関しての科学的保証は天然物である多
くの既存添加物より高いのが現実である。さらに“天然物=安全”という思考そのこと自体に対
して多くの科学者は誤りを指摘している。
以上のような安部氏の問題点を熟知しているA氏であるからこそ、正義感に駆られて枚方市ま
で有給休暇を取って消費生活センターに赴かれ、センターのトップの方とお会いになり、かなり
突っ込んだ議論をされた。そして、そのときの様子を詳細に伝えて頂いた。A氏からの安部氏を
適切と考えているのか、という問に対して市側は「あれだけ受け入れられていて正しくないと言
い得るのか」という回答をしておられる。これは、科学の世界では良くある間違いで、感覚で分
かることと科学的真実は良く異なっていることがある。
最後に
安部氏の講演を聞いたり、実演を見たりして化学物質という観点でのみ食品添加物を見せられ
ると、知識のない人には全部何か得体の知れない公害でも引き起こしそうな物質に見えてくる。し
かし、事実は前述のように我々の体内にある物質か通常の食品中に含まれている物質が大半であ
る。ところが、こうした問題点を指摘しておられるA氏の主張に対して最初の回答は終始一貫して
「ほかでの講演で問題があったとは聞いていない」とか、「今までの安部氏の講演依頼の実績が証
明している」といった内容であって、問題点そのものに対するものではなかった。しかし、A氏が
された科学的根拠に基づいた主張に最後には市の方もご理解をいただけたとのことであった。
ところで、小生のところへは私の拙稿に対して何人かの方から、安部氏が環境保全を訴え、自
然食品を販売する団体の会合での人気講師であるとの報告をうけた。その講演に誘われて5万円
以上する自然食品の錠剤を買わされたお年寄りの話などを連絡してこられた方もおられた。A氏
はそうした問題点も質問されたようであるが、市側としてはあまり問題意識をお持ちでないよう
であった。むしろ、もし、例えそうであっても安部氏は善良な方々に環境保全などを訴えて高価
な健康食品の販売をする団体だと思わずに講演しておられる可能性があると安部氏の方を弁護し
ておられたようである。
いずれにしてもA氏が今回このような行動を起こされ、その意見を枚方市の方が真摯に聞かれ
たことは、少なくとも食品添加物の情報のあり方に再考を必要とするかもしれないと感じさせら
れた効果はあったように思われる。どういう情報が市民にとって本当に大切かと言うことを真剣
に考えて自治体が啓発活動をされることを切に望む次第である。
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