ES1表1 01.6.7 7:32 PM ページ 1 長寿命高耐食ステンレス軸受ES1 新時代がこのステンレスを生んだ。 最先端技術に呼応する驚異のニューステンレス軸受。 新製品 ES1本文 01.6.11 9:58 PM ページ 1 あらゆる用途に対応可能な高性能を実現。 優れた耐久性と信頼性を約束する次世代ステンレス軸受が登場。 1 ES1本文 01.6.11 9:58 PM ページ 2 長寿命高耐食ステンレス軸受ES1 これまでの常識を覆す、ニューステンレス鋼軸受誕生。 半導体製造装置、液晶パネル製造装置、ハードディスク製造装置、宇宙機器などの先端技術の発展とともに、使用される軸 受の使用環境はますます多様化してきています。また、工作機械、食品機械、精密機器などに使用される軸受も例外では なく、耐久性向上ニーズはますます厳しくなっています。 そこで、NSKではこのたびこれらの多様化する需要に応えうる製品として、ES1軸受(Excellent Stainless steel bearings)を開発しました。ES1軸受は、その優れた性能と信頼性とで、高度化する要求に応えます。 図1 ES1軸受の位置付けと用途 SUS440C ステンレス軸受の高機能化 寿 命 耐 食 性 静 粛 性 共晶炭化物の低減化 13Crステンレス 炭素とクロムのバランスを考慮した限界成分設計 窒素合金化 硬度確保 耐食性向上 液化ガスサブマージドポンプ 液体燃料ターボポンプ 情報機器 静 粛 性 低 温 ES1 高 温 速 高 工作機械 耐 食 食品機械 フィルム製造装置 熱処理炉ローラコンベア キルンカー 真 ク リ ー ン 空 真空装置 宇宙機器 半導体製造装置 液晶パネル製造装置 ハードディスク製造装置 2 ES1本文 01.6.11 9:58 PM ページ 3 長寿命高耐食ステンレス軸受ES1 1. 特長 ES1軸受は、合金成分の最適化とそれを達成するための製鋼技術の確立により、従来のステンレス軸受(SUS440C)に 対して飛躍的な高性能化を実現しました。 ●高 硬 度 ………………………………SUS440C軸受と同等 ●耐 食 性 ………………………………SUS440C軸受より優れる ●長 寿 命 ………………………………SUS440C軸受の5倍以上 2. 開発コンセプト 多 図2 開発コンセプト 粗大共晶炭化物生成領域 炭素 (C) 含有量 13Crステンレス鋼 共晶炭化物消失 開発鋼 (ES1) 窒素の合金化 少 3 SUS440C 共晶炭化物 低減、微細化 少 腐食、真空、クリーン環境などで使用されるステ ンレス軸受には、これまで一般に高炭素マルテン サイト系のSUS440Cが使用されてきました。 しかし、使用環境が多様化し、耐久性向上ニーズ が高まる中で、さらに高い耐久性と信頼性が要求 されるようになってきました。 そこで、NSKは、独自の合金成分設計によって、 飛躍的に耐久性と信頼性を向上させた ES1軸受 を開発しました。ES1軸受は、高性能ステンレス 軸受として国内外に特許を出願しています。 (特 開平9-287053、英国特許GB2306505B、 米国特許出願中) 開発コンセプトの概略を図2に示します。 SUS440Cは、合金成分中の炭素(C)とクロム (Cr)の含有量が多いことに起因して、粗大な共 晶炭化物を多く含んでいます。この粗大な共晶 炭化物は、耐食性の低下や繰り返し高い接触応 力が加わる際の応力集中による短寿命要因とな るだけでなく、耐食性や静粛性にも悪影響を与え ます。ES1軸受は、合金成分である炭素とクロム 含有量のバランスを最適化することで、粗大な共 晶炭化物を限りなく低減しました。更に、マルテ ンサイトの固溶強化・析出強化と耐食性向上に寄 与する窒素を適量合金化することにより、従来の ステンレス軸受にない優れた性能を実現しまし た。 静粛性が要求される用途にも大きな可能性 を秘めたステンレス軸受です。 クロム (Cr) 含有量 多 ES1本文 01.6.11 9:58 PM ページ 4 3. 材料組織 ES1と従来の軸受の代表的なミクロ組織を写真1に示します。 従来ステンレス軸受には、合金成分中に炭素(C)とクロム(Cr)の含有量が多いことに起因して、非常に粗大な共晶炭化 物が確認されます。 ES1軸受では炭素とクロムのバランスを考慮しながら、最適量の窒素を合金化することで、限りなく炭化物の微細化を 達成しました。微細な炭化物が均一に分散したES1のミクロ組織は、一般軸受(SUJ2)にさえ匹敵します。 写真1 各軸受の材料ミクロ組織 ES1 SUJ2 SUS440C 13Crステンレス 20μm 4 ES1本文 01.6.11 9:59 PM ページ 5 長寿命高耐食ステンレス軸受ES1 4. 耐食性 ES1軸受は、従来ステンレス軸受と比較して、優れた耐食性が得られました。 試験例として、φ18×10試験片を用い た塩化ナトリウム水溶液浸せき試験結果と、深みぞ玉軸受6201の外輪を用いた塩水噴霧試験結果を写真2・写真3に示 します。 更に、アノード分極曲線測定により電気化学的に検証した結果、ES1軸受の不働態領域における電流密度(腐食速度)は、 従来ステンレス軸受より約1/10小さい値となり、ES1の耐食性が優れていることが確認できました(図3参照) 。 写真2 塩化ナトリウム水溶液浸せき試験後の試験片外観 試験条件 試 験 片:φ18×10(#800エメリ紙仕上、 不働態化処理) 試 験 溶 液:5%NaCl水溶液 浸せき時間:8時間(室温) 写真3 ES1 SUS440C ES1 SUS440C 塩水噴霧試験結果 試験条件 塩水噴霧試験(JIS Z 2371) 試験溶液:5%NaCl水溶液 試験温度:35℃ 試験時間:1時間 アノード分極曲線測定結果 大 図3 100000 13Crステンレス 試 験 溶 液:5%H2SO4水溶液 スイーブ速度:20mV/min. 腐食速度 アノード分極曲線測定試験(JIS G 0579) SUS440C 2 試験条件 電流密度 (μA/cm ) 10000 1000 100 ES1 10 小 1 不働態領域 0.1 −600 −400 −200 0 200 400 600 800 電位 (mV)vs SCE 小 5 環境の酸化力 大 1000 1200 ES1本文 01.6.11 9:59 PM ページ 6 5. 長寿命 ステンレス軸受は、わずかのさび(錆)でも許容されないようなクリーン環境から液晶・半導体・ハードディスク製造装置 のような非常に厳しい腐食環境まで、耐食用途だけでも多岐にわたっています。したがって、ステンレス軸受の寿命は使 用される環境によっても大きく低下する場合があります。ES1軸受は、含有する炭化物の微細化を図ると同時に、優れた 耐食性を達成することで、腐食環境下における軸受の長寿命化を可能としました。 深みぞ玉軸受6206を用いてクリーン油浴潤滑下において寿命試験を行なった結果を図4に示します。 ES1軸受の寿命 は、従来ステンレス軸受(SUS440C)の8倍以上、一般軸受(SUJ2)と比較しても同等以上を達成しました。 更に、スラスト軸受51305を用いて、水潤滑条件下で寿命試験を行なった結果を図5に示します。ES1軸受は、水潤滑 条件下で、従来ステンレス軸受(SUS440C)と比較して、5倍以上の寿命が得られました。 図4 クリーン油浴潤滑寿命試験結果 試験条件 試験軸受:6206 転 動 体:窒化珪素 潤 滑:強制潤滑給油、RO68 99.9 累積破損確率、 % 90 50 SUS440C SUJ2 10 ES1 1 0.1 1 10 100 1000 実験寿命/基本定格寿命 比 水潤滑スラスト寿命試験結果 試験条件 試験軸受:51305 転 動 体:窒化珪素 99.9 荷 重:980N(最大接触面圧1470MPa) 回 転 数:1000rpm 90 SUS440C 玉(3/8 “) 水 オーバーフロー 内輪 累積破損確率、 % 図5 ES1 50 10 保持器 外輪 水 水 1 1 10 100 1000 10000 5 応力繰返し数、×10 サイクル 荷重 6
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