長寿命高耐食ステンレス軸受ES1

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長寿命高耐食ステンレス軸受ES1
新時代がこのステンレスを生んだ。
最先端技術に呼応する驚異のニューステンレス軸受。
新製品
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あらゆる用途に対応可能な高性能を実現。
優れた耐久性と信頼性を約束する次世代ステンレス軸受が登場。
1
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長寿命高耐食ステンレス軸受ES1
これまでの常識を覆す、ニューステンレス鋼軸受誕生。
半導体製造装置、液晶パネル製造装置、ハードディスク製造装置、宇宙機器などの先端技術の発展とともに、使用される軸
受の使用環境はますます多様化してきています。また、工作機械、食品機械、精密機器などに使用される軸受も例外では
なく、耐久性向上ニーズはますます厳しくなっています。
そこで、NSKではこのたびこれらの多様化する需要に応えうる製品として、ES1軸受(Excellent Stainless steel
bearings)を開発しました。ES1軸受は、その優れた性能と信頼性とで、高度化する要求に応えます。
図1
ES1軸受の位置付けと用途
SUS440C
ステンレス軸受の高機能化
寿 命
耐 食 性
静 粛 性
共晶炭化物の低減化
13Crステンレス
炭素とクロムのバランスを考慮した限界成分設計
窒素合金化
硬度確保
耐食性向上
液化ガスサブマージドポンプ
液体燃料ターボポンプ
情報機器
静
粛
性
低
温
ES1
高 温
速
高 工作機械
耐
食
食品機械
フィルム製造装置
熱処理炉ローラコンベア
キルンカー
真
ク
リ
ー
ン
空
真空装置
宇宙機器
半導体製造装置
液晶パネル製造装置
ハードディスク製造装置
2
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長寿命高耐食ステンレス軸受ES1
1. 特長
ES1軸受は、合金成分の最適化とそれを達成するための製鋼技術の確立により、従来のステンレス軸受(SUS440C)に
対して飛躍的な高性能化を実現しました。
●高 硬 度 ………………………………SUS440C軸受と同等
●耐 食 性 ………………………………SUS440C軸受より優れる
●長 寿 命 ………………………………SUS440C軸受の5倍以上
2. 開発コンセプト
多
図2
開発コンセプト
粗大共晶炭化物生成領域
炭素
(C)
含有量
13Crステンレス鋼
共晶炭化物消失
開発鋼
(ES1)
窒素の合金化
少
3
SUS440C
共晶炭化物
低減、微細化
少
腐食、真空、クリーン環境などで使用されるステ
ンレス軸受には、これまで一般に高炭素マルテン
サイト系のSUS440Cが使用されてきました。
しかし、使用環境が多様化し、耐久性向上ニーズ
が高まる中で、さらに高い耐久性と信頼性が要求
されるようになってきました。
そこで、NSKは、独自の合金成分設計によって、
飛躍的に耐久性と信頼性を向上させた ES1軸受
を開発しました。ES1軸受は、高性能ステンレス
軸受として国内外に特許を出願しています。
(特
開平9-287053、英国特許GB2306505B、
米国特許出願中)
開発コンセプトの概略を図2に示します。
SUS440Cは、合金成分中の炭素(C)とクロム
(Cr)の含有量が多いことに起因して、粗大な共
晶炭化物を多く含んでいます。この粗大な共晶
炭化物は、耐食性の低下や繰り返し高い接触応
力が加わる際の応力集中による短寿命要因とな
るだけでなく、耐食性や静粛性にも悪影響を与え
ます。ES1軸受は、合金成分である炭素とクロム
含有量のバランスを最適化することで、粗大な共
晶炭化物を限りなく低減しました。更に、マルテ
ンサイトの固溶強化・析出強化と耐食性向上に寄
与する窒素を適量合金化することにより、従来の
ステンレス軸受にない優れた性能を実現しまし
た。 静粛性が要求される用途にも大きな可能性
を秘めたステンレス軸受です。
クロム
(Cr)
含有量
多
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3. 材料組織
ES1と従来の軸受の代表的なミクロ組織を写真1に示します。
従来ステンレス軸受には、合金成分中に炭素(C)とクロム(Cr)の含有量が多いことに起因して、非常に粗大な共晶炭化
物が確認されます。
ES1軸受では炭素とクロムのバランスを考慮しながら、最適量の窒素を合金化することで、限りなく炭化物の微細化を
達成しました。微細な炭化物が均一に分散したES1のミクロ組織は、一般軸受(SUJ2)にさえ匹敵します。
写真1
各軸受の材料ミクロ組織
ES1
SUJ2
SUS440C
13Crステンレス
20μm
4
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長寿命高耐食ステンレス軸受ES1
4. 耐食性
ES1軸受は、従来ステンレス軸受と比較して、優れた耐食性が得られました。 試験例として、φ18×10試験片を用い
た塩化ナトリウム水溶液浸せき試験結果と、深みぞ玉軸受6201の外輪を用いた塩水噴霧試験結果を写真2・写真3に示
します。
更に、アノード分極曲線測定により電気化学的に検証した結果、ES1軸受の不働態領域における電流密度(腐食速度)は、
従来ステンレス軸受より約1/10小さい値となり、ES1の耐食性が優れていることが確認できました(図3参照)
。
写真2
塩化ナトリウム水溶液浸せき試験後の試験片外観
試験条件
試 験 片:φ18×10(#800エメリ紙仕上、
不働態化処理)
試 験 溶 液:5%NaCl水溶液
浸せき時間:8時間(室温)
写真3
ES1
SUS440C
ES1
SUS440C
塩水噴霧試験結果
試験条件
塩水噴霧試験(JIS Z 2371)
試験溶液:5%NaCl水溶液
試験温度:35℃
試験時間:1時間
アノード分極曲線測定結果
大
図3
100000
13Crステンレス
試 験 溶 液:5%H2SO4水溶液
スイーブ速度:20mV/min.
腐食速度
アノード分極曲線測定試験(JIS G 0579)
SUS440C
2
試験条件
電流密度
(μA/cm )
10000
1000
100
ES1
10
小
1
不働態領域
0.1
−600 −400 −200
0
200
400
600
800
電位
(mV)vs SCE
小
5
環境の酸化力
大
1000 1200
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5. 長寿命
ステンレス軸受は、わずかのさび(錆)でも許容されないようなクリーン環境から液晶・半導体・ハードディスク製造装置
のような非常に厳しい腐食環境まで、耐食用途だけでも多岐にわたっています。したがって、ステンレス軸受の寿命は使
用される環境によっても大きく低下する場合があります。ES1軸受は、含有する炭化物の微細化を図ると同時に、優れた
耐食性を達成することで、腐食環境下における軸受の長寿命化を可能としました。
深みぞ玉軸受6206を用いてクリーン油浴潤滑下において寿命試験を行なった結果を図4に示します。 ES1軸受の寿命
は、従来ステンレス軸受(SUS440C)の8倍以上、一般軸受(SUJ2)と比較しても同等以上を達成しました。
更に、スラスト軸受51305を用いて、水潤滑条件下で寿命試験を行なった結果を図5に示します。ES1軸受は、水潤滑
条件下で、従来ステンレス軸受(SUS440C)と比較して、5倍以上の寿命が得られました。
図4
クリーン油浴潤滑寿命試験結果
試験条件
試験軸受:6206
転 動 体:窒化珪素
潤 滑:強制潤滑給油、RO68
99.9
累積破損確率、
%
90
50
SUS440C
SUJ2
10
ES1
1
0.1
1
10
100
1000
実験寿命/基本定格寿命 比
水潤滑スラスト寿命試験結果
試験条件
試験軸受:51305
転 動 体:窒化珪素
99.9
荷 重:980N(最大接触面圧1470MPa)
回 転 数:1000rpm
90
SUS440C
玉(3/8
“)
水
オーバーフロー
内輪
累積破損確率、
%
図5
ES1
50
10
保持器
外輪
水
水
1
1
10
100
1000
10000
5
応力繰返し数、×10 サイクル
荷重
6