表計算ソフトを活用したタックシールの作成 <Excel2007

広島県立教育センター
表計算ソフトを活用したタックシールの作成
<Excel2007>
※完成版をダウンロードして活用するこ
とができます。
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タックシールを作成しましょう。
学校から保護者宛に様々な書類の発送が行われます。その際に利用するタックシールを Excel で
作成した住所録を基に,便利な関数とマクロ機能を活用して作成してみましょう。
タックシールを作成する最適な方法は Access を活用することです。Excel を活用して作成する場
合,タックシールの大きさに数ミリ違わず合わせることが不可能であり,若干のズレが生じます。し
かし,Access が利用できない場合や,Excel を活用して容易に作成したい場合は,Excel の特性を生
かして活用していくと良いでしょう。
① Excel を起動します。
② Sheet1 のシート名を「生徒住所録」にして,住所録を作成します。ここでは 30 人分の住所録を
作成したものとします。(データの入力範囲はA2からH31 までです。)
③ Sheet2 のシート名を「タックシール」に変更します。
④ ここで一度ファイルの保存をしておきます。
Office ボタンをクリックし,「名前を付けて保存」を選択します。ファイル名を「生徒住所
録」として保存しましょう。
⑤ タックシールのシートの書式に合わせて,余白の設定をします。このテキストでは,A4版で1
シートに 12 片のタックシールが作成できる用紙を使用します。
用紙の書式
用紙サイズ A4
左余白 1.9cm
右 1.9cm
上余白 2.1cm
下 2.3cm
・ メニューの「ページレイアウト」→「ページ設定」→「余白」
→「ユーザー設定の余白」をクリックします。
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・ それぞれの余白に数値を入力し,「OK」
をクリックします。
左右 1.9cm
上
2.1cm
下
0cm
ヘッダー,フッター
・下余白は,用紙の大きさと上余
白に依って決まるので,ここでは
0cmにしておきます。
・ヘッダー,フッターは活用しな
いので,0cmにしておきます。
0cm
ルーラーの表示単位
エクセルのルーラーの単位は「インチ」,「センチメートル」及び「ミリメートル」の中
から選択することができます。
・Office ボタンをクリックし,Excel のオプション をクリックします。
・「詳細設定」の「表示」で「ルーラーの単位」を選択しましょう。
※このテキストでは「センチメートル」で設定しています。
⑥ タックシールの幅を設定します。
タックシールは2列です。A列とB列の幅が同じ値で,1ページに2列が表示されるように列
の幅を変更します。
・A列,B列を選択します。
・B列とC列の間にカーソルを合わせます。
・B列とC列の境界線と余白の境界線が重なる位置まで右方向にドラッグします。
※およそ幅 43 で重なります。
右方向へドラ
ッグ
ページ余白の
境界線
2本の線が重なる位置
でマウスを放します。
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⑦ タックシールの形式や体裁を決定します。
〒730-0005
1行目:〒番号
広島市中区西白島 26-3
2行目:市区郡名,町名等,番地
相川 聡 様
3行目:保護者氏名,敬称
セルA2とA3,A4に⑦のデータが表示されるように,関数式を入力します。
活用する関数式は vlookup 関数です。検索の基準になる値を特定のセルに用意しておく必要があ
ります。ここでは特定のセルをD5とし,仮の検索値「1」を入力しておきます。(関数式を入力し
て結果を表示する際,数値が未入力であるとエラーが表示されます。)
⑧ vlookup 関数を使って,郵便番号を表示させます。
・セルD5に仮の検索値「1」を入力します。
・セルA2に vlookup 関数を入力します。
セルA2をクリックします。
数式バーの
をクリックします。
関数の分類で「検索/行列」を選びます。
該当する関数名の中から,「VLOOKUP」をクリックし,
「OK」をクリックします。
関数の引数を入力します。
検索値:セルD5をクリック
範囲:シート見出しの「生徒住所録」をクリッ
クし,セルA2からセルH31 をドラッグ
します。
絶対番地にするために,キーボードの
「F4」キーを押します。
列番号:「4」
検索値「セルD5に入力されている値」を範
検索の型:FALSE
囲「生徒住所録のセルA2からH31 まで」の左
端列(A2からA31 まで)で検索し,「完全一
致」したら「4列目」の値を表示する。
※「完全一致」は検索の型を「FALSE」に指定す
ることです。
セルA2には「7300005」が表示されました。
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⑨ セルA2に表示される郵便番号の体裁を整えるために,⑧で入力した関数式を編集します。
・郵便番号の先頭に,郵便マーク「〒」を付け加えましょう。
セルA2をクリックして,数式を数式バーに表示させます。
「=」と「V」の間をクリックし,「″〒″&」を付け加えます。
クリックして
「″〒 ″&」を
入力する。
セルA2は「〒7300005」となりました。
・〒番号の3桁目と4桁目の間に「-」を付け加えます。
ここでは Left 関数と Right 関数を利用します。
Left 関数は,文字列の先頭から,指定された数の文字を取り出すときに使います。
=left(A2,3)・・・セルA2の文字列の先頭から3文字を取り出す。
Right 関数は,文字列の末尾から,指定された数の文字を取り出すときに使います。
=right(A2,4)・・・セルA2の文字列の末尾から4文字取り出す。
●まず,先頭の3桁を取り出して,「-」を付けるために,Left 関数を付け加えます。
セルA2をクリックして数式を数式バーに表示させます。
「&」と「V」の間をクリックし,「left(」を付け加えます。
関数式の末尾をクリックして,「,3)& ″- ″ 」を入力します。
クリックして
「left(」を入
力する。
クリックして
「,3) & ″- ″ 」
を入力する。
セルA2は「〒730-」となりました。
●次に,末尾の4桁を取り出すために,Right 関数を活用します。
セルA2をクリックして数式を数式バーに表示させます。
表示された関数式の一部をドラッグして右クリックし,コピーを選択します。
ドラッグして,右クリック → コピー
関数式の末尾をクリックして,右クリックをし,貼り付けを選択します。
クリックして,右クリック → 貼り付け
セルA2は「〒730-730」となりました。
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貼り付けた Left 関数を Right 関数に,取り出す文字数を「3」から「4」に変更しま
す。
「RIGHT」に変更
「4」に変更
セルA2は「〒730-0005」と表示され,完了です。
※「&」は文字列を連結することが容易にできて,とても便利な符号です。どんどん活用しましょう。
⑩ 「&」と vlookup 関数を活用して,セルA3に住所を表示します。
※vlookup関数で指定する列番号が 「5」・・・布区郡名
「6」・・・町名等
「7」・・・番地
になります。
⑪ 「&」と vlookup 関数を活用して,セルA4に保護者氏名と敬称を表示します。
※vlookup 関数で指定する列番号が「8」・・・保護者氏名 になります。
⑫ 文字サイズや配置を工夫して体裁を整えましょう。
●A2の「〒」の前に空白を入れる。
(A2) =”△△〒”・・・・
●A3の住所は,文字サイズを「14」にする。配置を中央揃えにする。空白を入れる。
(A3)
= ” △ ”&vlookup(・ ・ ・ ・
●住所が長い場合を考慮して,セルの書式を「縮小して全体を表示」に設定する。
A3のセルを右クリック→「セルの書式設定」→「配置」→「文字の制御」
→「縮小して全体を表示」
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●A4の保護者氏名は,文字サイズを「20」にして,配置を中央揃えにする。
半角の空白を先頭に入れる。
(A4) = ”△ ”&vlookup(・ ・ ・ ・
●シート全体を選択し,フォントを「MS明朝」に変更します。
セルA2~A4に出席番号「1」の生徒のタックシールが完成しました。
次にタックシールの高さの調整を行います。タックシールの横幅の調整は2ページの⑥で行いま
した。ここでは,タックシールの大きさを,幅 8.6cm,高さ 4.3cmとして,高さの調整をしてい
きましょう。
Excel2007 には,印刷プレビューのように,ページのレイアウトを表示して確認しながら,データ
等の入力ができる機能があります。高さの調整はこのページレイアウト機能を活用して行いましょう。
① メニューの「表示」→「ブックの表示」→「ページレイアウト」をクリックします。
② セルA1からセルA5までを一枚のタックシールと考えて,2行目から4行目に関数を入力
しました。1行目と5行目は,微調整のために利用します。したがって,2行目から4行目の
高さを調整していきます。タックシールの高さを調整します。
ページレイアウトを活用すると,画面にセンチメートル表示のルーラーが表示されます。5
行目と6行目の境界線がルーラーの 4.3cmあたりになるように,2行目から4行目の高さを変更
します。
先に示したように,Excel の特性上,画面で表示されるサイズは実際のサイズと異なります。厳密
はではありませんが,ルーラーを活用して高さを調整すると便利です。最終的には,実際にプリ
ントアウトして,タックシールの大きさに合っていることを確認する必要があります。
5行目と6行目の境
界線をルーラーの
4.3cm に合わせる
タックシールの幅と高さの調整が完了です。
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次に,1枚のシートに 12 人分のタックシールが印刷されるように関数式を設定します。
出席番号1の
タックシール
出席番号2の
タックシール
出席番号3の
タックシール
出席番号4の
タックシール
出席番号4の
タックシール
出席番号5の
タックシール
出席番号6の
タックシール
出席番号7の
タックシール
出席番号8の
タックシール
出席番号9の
タックシール
出席番号 10 の
タックシール
出席番号 11 の
タックシール
<<出席番号2,出席番号3,出席番号・・・のタックシールを作成するために>>
出席番号2のタックシールを作成するためには,VLOOKUP 関数の検索値が「2」にならなければなりま
せん。出席番号3のタックシールを作成するためには,VLOOKUP 関数の検索値が「3」にならなければな
りません。
今,検索値として利用しているのは「1」であり,この値はセルD5に入力しています。したがって,
検索値を「2」にするには,セルD5の値に1を加え,検索値を「3」にするには,セルD5の値に 2 を加
えていくと考えて,セルに関数式を入力します。
出席番号2のタックシールを作成するには,次のように関数式を入力することになります。
(セルB2)
="
〒"&LEFT(VLOOKUP(D5+1,生徒住所緑!$A$2:$H$31,4,FALSE),3)&"-"&RIGHT(VLOOKUP(D5+1,
生徒住所緑!$A$2:$H$31,4,FALSE),4)
(セルB3)
=" "&VLOOKUP(D5+1,生徒住所緑!$A$2:$H$31,5,FALSE)&VLOOKUP(D5+1,
生徒住所緑!$A$2:$H$31,6,FALSE)&VLOOKUP(D5+1,生徒住所緑!$A$2:$H$31,7,FALSE)
(セルB4)
=" "&VLOOKUP(D5+1,生徒住所緑!$A$2:$H$31,8,FLSE)&" 様"
以下同様にして,関数式を入力し,出席番号3番以降のタックシールを作成していきますが,セルA2
からA4に入力している関数式を複写してから検索値を変更していきます。
① セルA2からA4に既に入力した関数式を複写して利用するために,セル番地D5を絶対番地に変
更します。
② セルA2からセルA4を範囲指定して,右クリック→「コピー」を選択します。
③ セルB2をクリックして,右クリック→「貼り付け」を選択します。
セルA2からセルA4,セルB2からセルB4に関数式が設定されました。
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6行目以降にも関数式を設定します。
④ 1行目から5行目までをドラッグして範囲指定して,右クリック→「コピー」を選択します。
⑤ 6行目をクリックして,右クリック→「貼り付け」を選択します。
⑥ 11 行目,16 行目,21 行目,26 行目をそれぞれクリックして,右クリック→「貼り付け」を選択し
ます。
以上で,出席番号1番のタックシールが 12 枚作成されました。
⑦ それぞれのセルの関数式に入力している「$D$5」を「$D$5+1」,「$D$5+2」,「$D$5+3」・・・
「$D$5+11」のように変更していくと,出席番号1番から出席番号 12 番までのタックシールが完成し
ます。
④で1行目から5行目までを複写したので,セルD5の値がセルD10,D15,D20,D25,D30
に複写されています。不要なので消去しておきましょう。
⑧ セルD5の値を「13」に変更すると,出席番号 13 番から出席番号 24 番までのタックシールが表示
され,「25」に変更すると,出席番号 25 番から出席番号 36 番までのタックシールが表示されます。
参照するデータがない場合は,セルがエラー表示されます。
タックシールを作成するシステムの完成です。ファイルの上書き保存を
しておきましょう。
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<<マクロによる印刷>>
マクロを組み入れて自動的にタックシールを印刷するよう設定します。
(1)マクロの設定
マクロは,「開発」のリボンに用意されています。通常の場合,「開発」のリボンは非表示になってい
るので,「開発」タブを表示する必要があります。
・OFFICEボタンをクリックします。
・EXCELのオプションをクリックします。
・「基本設定」で「開発タブをリボンに表示す
る」をクリックします。
・「OK」をクリックします。
マクロを組み入れるファイル「生徒住所録」を開きます。
(2)印刷範囲の設定
①タックシールを印刷する際の範囲を設定しておきます。
セル「A1」から「B30」をドラッグして,範囲指定します。
②「ページレイアウト」のタブをクリックし,「ページ設定」
→「印刷範囲」→「印刷範囲の設定」をクリックします。
③印刷プレビューで1ページに収まっていることを確認しておきましょう。
(3)一連の操作の考察
マクロを作成するにあたって,どのような操作が必要かを考察します。
(実行したい処理) タックシールを印刷する。開始の番号は1番で終了は30番である。
(一 連 の 操 作)
はじめ
はじめ
セル「D5」に1を入れる
Nをセル「D6」から 12 ずつ増
やしながらセル「F6」を超える
まで処理を繰り返す。
表示し,印刷実行
セル「D5」に 12 を入れる
セル「D5」にNを入れる
表示し,印刷実行
表示し,印刷実行
セル「D5」に 23 を入れる
繰り返し
表示し,印刷実行
おわり
おわり
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この流れ図に示した一連の操作をVBA(Visual Basic for Applications)というプログラム言語で
記述していきます。ExcelにはVBAを記述したり,編集したりするためにVBEというソフトウェアが
用意されています。
<VBEの起動>
①「開発」タブの「コード」→「マクロ」をクリックします。
②マクロ名を入力します。ここでは,「タックシール」と
します。
③ 作成 をクリックします。
④VBEが起動します。
<VBAの入力>
①コードウィンドウにマクロ名が表示されます。
②2行目以降にプログラムを入力します。
For N = Range("D6") To Range("F6") Step 12
Range("D5").Formula = N
Range("A1:B30").Select
Selection.PrintOut COPIES:=1, COLLATE:=True
③ウィンドウを閉じます。
Next N
④メニューバーの「ファイル」→「終了してMicrosoftExcelへ戻る」をクリックします。
<マクロの実行>
①マクロを実行するために,セル「D6」と「F6」に
繰り返しの開始と終了の値を入力するように設定しま
す。
②シート上にマクロ実行するボタンを配置し,マクロを
登録します。
・「開発」タブの「コントロール」→「挿入」をクリ
ックしま
す。
・「フォームコントロール」のボタンを選択します。
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・シート上でドラッグすると,ボタンが作成
され,マクロの登録ウィンドウが開きます。
・マクロ名「タックシール」をクリックし,
「OK」をクリックします。
・ボタンの名前を「実行」に変更しましょう。
タックシールが,自動的に印刷できるようになりました。実際に印刷をして体裁
を確認し,変更が必要であれば,修正します。
<ファイルの保存>
マクロが組み込まれたファイルを保存する際は,「Excel マ
クロ有効ブック」を選択し保存しておきます。
ファイル名を「生徒住所録タックシール作成マクロ」で保存
しましょう。
ここに示しているのは,安易なマクロ処理であり,関数式で検索
して表示したものを印刷するためのマクロです。
したがって1枚 12 シート(12 人分)のタックシールを単位と
していますので,作成したいタックシールが5番の生徒から 10 番
までの生徒6名分であっても,印刷されるのは5番から 16 番まで
の 12 人分の生徒のタックシールになります。
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<マクロ有効ブックの活用>
一度保存したマクロ有効ブックのファイルを活用するためにファイルを開くと,次のようなセキュリテ
ィ警告が表示されます。
この時には「オプション」ボタンをクリックしてマクロを有効にします。
①「オプション」ボタンをクリックします。
②「セキュリティの警告-マクロ」が表示されるので
「このコンテンツを有効にする」を選択し,「OK」を
クリックします。
マクロの実行が終了してファイルを閉じる際,次のメッセージが表示されます。マクロの実行によって
セルD5,D6,F6の値が変更されたからです。ここでは,マクロそのものを変更する必要がないので
「いいえ」を選択します。
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--------------------------注意
※ Microsoft®,Windows ,Office,Internet Explorer は米国 Microsoft Corporation の米国および
その他の国における登録商標または商標です。
※ その他,本書に掲載したプログラム名,システム名,CPU などは一般に各社の登録商標です。
※ 本文中では,®マークは省略しました。また,一般に使われている名称を用いている場合があり
ます。
--------------------------平成23年2月1日
初版発行
発行
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〒739-0144 東広島市八本松南1丁目 2-1
082-428-2655
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ダイヤルイン)
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