Lp 空間 (X, F, µ) を測度空間とする.f を X 上で定義された R = R ∪ {±∞} に値をとる関数, あるいは複素数値関数とする. ±∞ を含む演算は次のように定める.(複号同順) a ∈ R に対して a + (±∞) = (±∞) + a = ±∞, a > 0 ならば a × (±∞) = (±∞) × a = ±∞, a < 0 ならば a × (±∞) = a (±∞) × a = ∓∞, 0 × (±∞) = (±∞) × 0 = 0, a ∈ R に対して = 0. なお, ±∞ (+∞) − (+∞) などは定義されない. 順序に関しては,a ∈ R に対して −∞ < a < +∞ と定める.+∞ を簡単に ∞ と書く こともある. √ f が複素数値関数のとき,f の実部 Re f と虚部 Im f を用いると,f = Re f + −1 Im f と表せる.2 つの実数値関数 Re f と Im f がどちらも F-可測関数のとき,f は F-可測関 数であるという.Re f と Im f がどちらも X 上で µ に関して積分可能なとき,f は X 上 で µ に関して積分可能であるといい, ∫ ∫ ∫ √ f dµ = Re f dµ + −1 Im f dµ X X X として f の X 上の積分を定める. 可測関数 f と g が f = g a.e. であるとき,すなわち N ∈ F で µ(N ) = 0 となるもの (零 集合という) が存在して,すべての x ∈ X − N について f (x) = g(x) であるとき,f ∼µ g と書く.f = g a.e. ならば f と g の X における積分は一致するので,積分を扱う際には f = g a.e. のときは f と g を区別しないで,f = g と見なすことにする. f ∼µ g は同値関係である. 「f = g a.e. のときに f と g を区別しないで f = g と見なす」 ということは,正確には個々の関数 f を考えるのではなく,同値関係 f ∼µ g に関する f を含む同値類を考えるということになる.しかし,記号が煩雑になるのを避けるため,こ こでは同値類を表に出さないで議論する. 一般に,x ∈ X に依存する関係式あるいは命題などについて,N ∈ F で µ(N ) = 0 と なるものが存在して,すべての x ∈ X − N に対して成立するとき,ほとんどいたるとこ ろ (almost everywhere),またはほとんどすべての x ∈ X について成立するといい,上記 の f = g a.e. のように a.e. をつけて表す.より詳しく µ-a.e. x ∈ X をつけて表すことも ある. 以下では,関数はすべて (X, F, µ) 上で定義された値が R の元あるいは複素数の F-可 測関数とする.また,R に値をとる関数を扱うときは K = R とし,複素数値関数を扱う ときは K = C とする. p p> ∫ 0 を実数とする.可測関数 f は,|f | が X 上で µ に関して積分可能のとき,すな |f |p dµ < ∞ が成り立つとき,p 乗可積分 (p-integrable) であるという.p 乗可積 わち X 分な可測関数全部の集合を Lp = Lp (X) = Lp (X, F, µ) で表す.(Lp を Lp と書くこともある.) p = 1 のときの L1 (X) は,積分可能な関数全部 の集合に他ならない.f ∈ Lp (X) に対して, (∫ )1/p ∥f ∥p = |f |p dµ X 1 とおく. 可測関数 f について, |f | ≤ a a.e. を満たす正の実数 a > 0 が存在するとき,f は本質的に有界 (essentially bounded) である という.本質的に有界な可測関数全部の集合を L∞ = L∞ (X) = L∞ (X, F, µ) で表す.f ∈ L∞ (X) に対して,|f | ≤ a a.e. が成り立つような a > 0 全部の集合 {a > 0 | |f | ≤ a a.e.} の下限を,|f | の本質的上限 (essential supremum) といい ∥f ∥∞ で表す. ∥f ∥∞ = inf {a > 0 | |f | ≤ a a.e.} = inf {a > 0 | µ({x ∈ X | |f (x)| > a}) = 0} である.∥f ∥∞ は実数で ∥f ∥∞ ≥ 0 である. このようにして定義される Lp (X) および ∥f ∥p (0 < p ≤ ∞) を考える.便宜上 L0 (X) で F-可測関数全部の集合を表すことがある. 補題 f ∈ L∞ (X) ならば |f | ≤ ∥f ∥∞ a.e. が成り立つ.すなわち,∥f ∥∞ は実数の集合 {a > 0 | |f | ≤ a a.e.} の最小元である. 証明 b = ∥f ∥∞ とおく.n = 1, 2, . . . について,b < b + n1 だから |f | ≤ b + n1 a.e. である.すなわち,En ∈ F ∪ で µ(En ) = 0 となるものが存在して,x ∈ X − En ならば 1 |f (x)| ≤ b + n となる.N = ∞ n=1 En とおく.N ∈ F で µ(N ) = 0 である.x ∈ X − N を ひとつとる.X − N ⊂ X − En だから,|f (x)| ≤ b + n1 となる.すべての n = 1, 2, . . . に ついてこれが成り立つので,|f (x)| ≤ b である.以上により,|f | ≤ b a.e. がわかった. 補題 (1) 1 ≤ p とする.任意の a, b ≥ 0 に対して (a + b)p ≤ 2p−1 (ap + bp ) が成り立つ. 1 < p ならば,等号が成立するのは a = b のときに限る. (2) 0 < p < 1 とする.任意の a, b ≥ 0 に対して (a + b)p ≤ ap + bp が成り立つ.等号 が成立するのは a = 0 または b = 0 のときに限る. 証明 (1): p = 1 ならば求める不等式は明らかなので,1 < p とする.a = 0 のときは明 らかなので,a > 0 とする.f (t) = (1 + t)p /(1 + tp ) (t > 0) の導関数から,f (t) は t = 1 で最大値 2p−1 をとることがわかる.t = b/a を代入すると (1) が得られる. (2): a = 0 または b = 0 のときは明らかなので,a, b > 0 とする.g(t) = 1 + tp − (1 + t)p (t > 0) の導関数 g ′ (t) = ptp−1 − p(1 + t)p−1 について,p − 1 < 0 により g ′ (t) > 0 なので, g(t) > 0 である.t = b/a を代入すると (2) が得られる. 注意 0 < p とする.a, b ∈ C に対して |a + b|p ≤ 2p (|a|p + |b|p ) が成り立つ.実際, |a + b| ≤ |a| + |b| ≤ 2 max{|a|, |b|} からこの不等式がわかる.1 ≤ p のときあるいは 0 < p < 1 のとき,この不等式より上記の補題の (1) あるいは (2) の方が良い評価式である. 補題 0 < p ≤ ∞ に対して,Lp (X) は R あるいは C 上のベクトル空間である. 証明 (i) 0 < p < ∞ のとき: 2 f, g ∈ Lp (X) とすると,|f + g|p ≤ (2 max{|f |, |g|})p ≤ 2p (|f |p + |g|p ) により f + g ∈ Lp (X) がわかる.α ∈ K に対して αf ∈ Lp (X) となることは明らかなので,Lp (X) は K 上のベクトル空間である. (ii) p = ∞ のとき: f, g ∈ L∞ (X) とすると |f | ≤ ∥f ∥∞ , |g| ≤ ∥g∥∞ a.e. なので, |f + g| ≤ |f | + |g| ≤ ∥f ∥∞ + ∥g∥∞ a.e. が成り立つ.よって,f + g ∈ L∞ (X) である.α ∈ K に対して |αf | ≤ |α| ∥f ∥∞ a.e. だ から,αf ∈ L∞ (X) となり,L∞ (X) は K 上のベクトル空間である. 実数 p, q > 1 が 1 1 + =1 p q を満たすとき,p と q は互いに共役な指数 (conjugate exponents) ということがある.さら に,1/∞ = 0 という約束のもとに,p = 1, q = ∞ あるいは p = ∞, q = 1 も互いに共役な 指数と見なす. 定理 (ヘルダー (Hölder) の不等式) p, q > 1 は 1/p + 1/q = 1 を満たすとする.f ∈ Lp (X), g ∈ Lq (X) ならば,f g は積分 可能で ∫ (∫ )1/p ( ∫ )1/q p |f g|dµ ≤ |f | dµ |g|q dµ X X X が成り立つ.すなわち, ∥f g∥1 ≤ ∥f ∥p ∥g∥q ここで,等号が成立するのは |f |p = c|g|q を満たす定数 c が存在するときに限る. 証明 次のヤング (Young) の不等式を用いる.a, b ≥ 0 に対して ab ≤ a p bq + p q ここで,等号が成立するのは ap = bq のときに限る. ∥f ∥p = 0 ならば,f = 0 a.e. だから求める不等式は成り立つ.∥g∥q = 0 のときも同 様である.よって,∥f ∥p > 0, ∥g∥q > 0 と仮定する. a = |f |/∥f ∥p , b = |g|/∥g∥q としてヤングの不等式を適用すると, 1 |f |p 1 |g|q |f g| ≤ + ∥f ∥p ∥g∥q p (∥f ∥p )p q (∥g∥q )q となる.この両辺の X 上の積分をとると ∫ 1 1 1 |f g|dµ ≤ + = 1 ∥f ∥p ∥g∥q X p q となり,求める不等式が得られる. 定理 (ミンコフスキー (Minkowski) の不等式) 3 p ≥ 1 とする.f, g ∈ Lp (X) ならば (∫ )1/p ( ∫ )1/p ( ∫ )1/p p p |f + g| dµ ≤ |f | dµ + |g|p dµ X X X が成り立つ.すなわち, ∥f + g∥p ≤ ∥f ∥p + ∥g∥p 証明 |f + g| ≤ |f | + |g| だから,p = 1 のときは求める不等式は明らかに成り立つ. p > 1 とする.1/p + 1/q = 1 を満たす q > 1 について,q = p/(p − 1) なので,|f | |f + g|p−1 にヘルダーの不等式を適用すると, ∫ (∫ )1/p ( ∫ )(p−1)/p p−1 p |f | |f + g| dµ ≤ |f | dµ |f + g|p dµ X X X が得られる.f と g を入れ替えると, ∫ (∫ )1/p ( ∫ )(p−1)/p p−1 p p |g| |f + g| dµ ≤ |g| dµ |f + g| dµ X X X となる. |f + g|p = |f + g| |f + g|p−1 ≤ (|f | + |g|)|f + g|p−1 だから,上記の 2 つの不等式の左辺と右辺の和をとると, ∫ {( ∫ )1/p ( ∫ )1/p } ( ∫ )(p−1)/p p p p p |f + g| dµ ≤ |f | dµ + |g| dµ |f + g| dµ X X X X がわかる. ∫ (∫ )(p−1)/p p p |f + g| dµ ̸= 0 ならば,この不等式の両辺を |f + g| dµ で割れば求める X X ∫ 不等式が得られる. |f + g|p dµ = 0 のときは,明らかに求める不等式は成り立つ. X 定理 1 ≤ p ≤ ∞ とする.∥ ∥p はベクトル空間 Lp (X) におけるノルムである. 証明 1 ≤ p < ∞ の場合と p = ∞ の場合に分ける. (i) 1 ≤ p < ∞ のとき: ∥ ∥p の定義より,f ∈ Lp (X) に対して ∥f ∥p ≥ 0 および ∥αf ∥p = |α| ∥f ∥p が成り立つ ことは明らか.∥f ∥p = 0 ならば積分の性質により f = 0 a.e. であるが,このとき約束に より f = 0 と見なすので,∥f ∥p = 0 ならば f = 0 である.ミンコフスキーの不等式によ り,∥ ∥p は三角不等式を満たす.よって,∥ ∥p はノルムの条件を満たす. (ii) p = ∞ のとき: ∥ ∥∞ の定義より,f ∈ L∞ (X) に対して ∥f ∥∞ ≥ 0 および ∥αf ∥∞ = |α| ∥f ∥∞ が成 り立つことは明らか.f ∈ L∞ (X) ならば |f | ≤ ∥f ∥∞ a.e. なので,∥f ∥∞ = 0 ならば f = 0 である.f, g ∈ L∞ (X) とすると,|f + g| ≤ |f | + |g| ≤ ∥f ∥∞ + ∥g∥∞ なので, ∥f + g∥∞ ≤ ∥f ∥∞ + ∥g∥∞ が成り立つ.よって,∥ ∥∞ はノルムの条件を満たす. 1 ≤ p ≤ ∞ のとき,∥ ∥p を Lp ノルムという. 4 注意 0 < p < 1 については,∥ ∥p は三角不等式を満たさなが,その p 乗は三角不等式 を満たす.すなわち,f, g ∈ Lp (X) に対して (∥f + g∥p )p ≤ (∥f ∥p )p + (∥g∥p )p が成り立つ. 実際,x ∈ X とすると,a = |f (x)|, b = |g(x)| について不等式 (a + b)p ≤ ap + bp が成 り立つ.この両辺の X 上の積分をとると求める不等式が得られる. なお,α ∈ K について (∥αf ∥p )p = |α|p (∥f ∥p )p なので,∥ ∥p の p 乗はノルムではない. 定理 (Riesz-Fischer) 1 ≤ p ≤ ∞ とする.Lp (X) はノルム ∥ ∥p に関してバナッハ空 間である. 証明 1 ≤ p < ∞ の場合と p = ∞ の場合に分ける. (i) 1 ≤ p < ∞ のとき: fn ∈ Lp (X) (n = 1, 2, . . .) は距離 ρ(f, g) = ∥f − g∥p に関してコーシー列であるとす る.コーシー列の定義により,∥fm − fn ∥p < 1/2 (m, n ≥ n1 ) が成り立つような自然数 n1 が存在する.同様に,∥fm − fn ∥p < 1/22 (m, n ≥ n2 ) が成り立つような自然数 n2 > n1 が存在する.以下同様にして,自然数の増大列 n1 < n2 < · · · で ∥fnk+1 − fnk ∥p < 1/2k を満たすものをとることができる. gN = |fn1 | + N ∑ |fnk+1 − fnk | k=1 とおく.gN は非負値可測関数で,gN ≤ gN +1 である. g = lim gN N →∞ とおく.g は非負値可測関数である. ミンコフスキーの不等式により, ∥gN ∥p ≤ ∥fn1 ∥p + < ∥fn1 ∥p + N ∑ k=1 N ∑ ∥fnk+1 − fnk ∥p 1/2k < ∥fn1 ∥p + 1 k=1 が得られる.gN の p 乗 gN p は非負値可測関数で,gN p ≤ gN +1 p である.g p = lim gN p だ ∫ から.単調収束定理により が成り立つ.ここで ∫ ∫ p lim N →∞ N →∞ g p dµ gN dµ = X X )p ( )p ( gN p dµ = ∥gN ∥p < ∥fn1 ∥p + 1 X だから,fn1 ∈ Lp (X) より ∫ ( )p g p dµ ≤ ∥fn1 ∥p + 1 < ∞ X 5 がわかる.よって g ∈ Lp (X) で,a.e. x ∈ X について g(x) は有限な値である.すなわち, A = {x ∈ X | g(x) < ∞} ∑∞とおくと µ(X − A) = 0 である. g(x) = |fn1 (x)| + k=1 |fnk+1 (x) − fnk (x)| だから,x ∈ A ならば級数 fn1 (x) + ∞ ∑ (fnk+1 (x) − fnk (x)) k=1 は絶対収束する.特に,x ∈ A について lim ∑∞ k=N N →∞ |fnk+1 (x) − fnk (x)| = 0 である.X 上 の関数 f を, { ∑ fn1 (x) + ∞ k=1 (fnk+1 (x) − fnk (x)) (x ∈ A) f (x) = 0 (x ̸∈ A) ∑N −1 として定義する.fnN = fn1 + k=1 (fnk+1 − fnk ) だから,x ∈ A ならば f (x) = lim fnN (x) N →∞ が成り立ち,f は可測関数である.実際,x ∈ A について |f (x) − fnN (x)| ≤ ∞ ∑ |fnk+1 (x) − fnk (x)| → 0 ( N → ∞ ) k=N である. ( )p ( )p |f | ≤ |g|, |fnN | ≤ |g| だから,|f − fnN |p ≤ |f | + |fnN | ≤ 2|g| である.g ∈ Lp (X) なので,|f − fnN |p は X 上で積分可能であることがわかる.ここでルベーグの収束定理を 適用すると, ∫ ∫ ( ) p p lim |f − fnN | dµ = lim |f − fnN | dµ = 0 N →∞ X X N →∞ が得られる.よって, lim ∥f − fnN ∥p = 0 である.コーシー列 {fn } の部分列 {fnN } が f N →∞ に収束するので,{fn } は f に収束する.また,f − fnN ∈ Lp (X) と fnN ∈ Lp (X) より, f ∈ Lp (X) がわかる.以上により,ノルム ∥ ∥p から定まる距離に関して p (X) が完備であ ることが示されたので,(Lp (X), ∥ ∥p ) はバナッハ空間である. (ii) p = ∞ のとき: fn ∈ L∞ (X) (n = 1, 2, . . .) は距離 ρ(f, g) = ∥f − g∥∞ に関してコーシー列であるとす る.(i) のときと同様に,自然数の増大列 n1 < n2 < · · · で ∥fnk+1 − fnk ∥∞ < 1/2k を満たすものをとることができる.このとき,|fnk+1 − fnk | < 1/2k a.e. なので,Ek ∈ F で µ(Ek ) = 0 となるものが存在して,すべての x ∈ X −Ek に対して |fnk+1 (x)−fnk (x)| < 1/2k である.fn1 ∈ L∞ (X) だから,E0 ∈ F で µ(E0 ) = 0 となるものが存在して,すべての x ∈ X −∪ E0 に対して fn1 (x) ≤ ∥fn1 ∥∞ である. B= ∞ k=0 Ek とおく.B ∈ F で µ(B) = 0 である.A = X − B とおく.A ⊂ X − Ek (k = 0, 1, . . .) だから,すべての x ∈ A に対して |fn1 (x)| + ∞ ∑ |fnk+1 (x) − fnk (x)| < ∥fn1 ∥∞ + 1 k=1 6 ∑∞ となる.よって,x ∈ A ならば級数 fn1 (x) + k=1 (fnk+1 (x) − fnk (x)) は絶対収束する.X 上の関数 f を, { ∑ fn1 (x) + ∞ k=1 (fnk+1 (x) − fnk (x)) (x ∈ A) f (x) = 0 (x ̸∈ A) として定義する.fnN = fn1 + ∑N −1 k=1 (fnk+1 − fnk ) について,x ∈ A ならば |f (x) − fnN (x)| ≤ ∞ ∑ |fnk+1 (x) − fnk (x)| < 1/2N −1 k=N が成り立つ.µ(X − A) = 0 だから, |f | ≤ |fnN | + |f − fnN | < ∥fnN ∥∞ + 1/2N −1 a.e. となるので,f ∈ L∞ (X) である.∥f − fnN ∥∞ ≤ 1/2N −1 だから,コーシー列 {fn } は f に収束する.以上により,(L∞ (X), ∥ ∥∞ ) はバナッハ空間である. Lp (X) の性質をいくつかまとめておく. 1. 1 ≤ p < p′ ≤ ∞ とする. (1) L1 (X) ∩ Lp′ (X) ⊂ Lp (X), Lp (X) ∩ L∞ (X) ⊂ Lp′ (X). (2) µ(X) < ∞ ならば Lp′ (X) ⊂ Lp (X) であるが,Lp′ (X) = Lp (X) とは限らない. (3) µ(X) = ∞ のとき,Lp′ (X) ⊂ Lp (X) とは限らない. 2. 一般に,p ̸= p′ ならば Lp (X) ̸⊂ Lp′ (X) である. 3. 1 ≤ p < ∞ とする.Lp (X) におけるノルム ∥ ∥p から定まる位相に関して,積分可能な 単関数全部の集合は Lp (X) において稠密である. 4. Rn 上の関数 f について,{x ∈ Rn | f (x) ̸= 0} の Rn における閉包を f の台 (support) という.(Rn , M(Rn ), µ) を Lebesgue 測度空間とする.Rn 上の連続関数で台がコンパクト 集合であるもの全部の集合を C0 (Rn ) で表す.1 ≤ p < ∞ とする.Lp (Rn ) におけるノル ム ∥ ∥p から定まる位相に関して,C0 (Rn ) は Lp (Rn ) において稠密である. 5. p = 2 のとき,f, g ∈ L2 (X) に対して ∫ f gdµ (f, g) = X √ と定めると,これは L2 (X) 上の内積で,∥f ∥2 = (f, f ) である. 1 ≤ p < ∞ について,p ̸= 2 ならば Lp (X) におけるノルム ∥ ∥p は中線定理を満たさな √ い.したがって,Lp (X) 上の内積 ( , ) で ∥f ∥p = (f, f ) (f ∈ Lp (X) ) を満たすものが 存在するのは,p = 2 の場合に限る. 7
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