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はじめに
平成20年度、21年度林野庁の補助事業である「新たな木の文化を創造する木材利用に関する教
育「木育」の実践事業」の一環として、財団法人日本木材総合情報センターと特定非営利活動法人活木
活森ネットワークは、「木育インストラクター研修」を島根、埼玉、熊本、東京、岩手で開催してきま
した。
本テキストは、「木育インストラクター研修」に使用した講師陣の資料等を、その都度改善し、集大
成したものです。内容についても、「木育」のねらいと必要性、「木育インストラクター」の役割、「木
育」のカリキュラムの設定と順序、楽しく安全な「木育」活動の実施など、実践向きにわかりやすく解
説しています。
これまでにはない、
「木育テキスト」となっていますので、
「木育」活動を体系的かつ効果的に実施し
ようとする指導者をはじめ、既に実践している指導者の方々にも広く利用されることを期待しています。
最後になりましたが、本テキストの作成に当たりましては、島根大学教育学部山下晃功教授と埼玉大
学教育学部の浅田茂裕教授に多大なご尽力をいただきましたことを、ここに記して感謝申し上げます。
平成22年3月
特定非営利活動法人
理事長
1
活木活(いきいき)森ネットワーク
遠藤
日雄
2
3
1.「木育」とは何か
「木育」は幼児期から原体験としての木材との関わりを深め、豊かなく
らしづくり、社会づくり、そして森づくりに貢献する市民の育成をめざす
活動です。
例えば、以下に示すような活動は、代表的な「木育」の活動です。「木育」の活動は非常に
多様であり、そして学習対象の年齢や活動の場を選ばない、自由度の高い活動なのです。
・子どもたちが木と触れあう活動
・木を使った遊びやものづくりに親子で挑戦
・学校で木材生産(関係)者が木についての出前授業
・大人が自分のために趣味で行うものづくり
・森林での間伐体験と間伐材の利用についての学習
「木育」は、幼児から高齢者までを対象とした、生涯にわたる幅広い活動
平成18年9月に閣議決
です。木についての様々な体験は、単に木についての理解を深めるだけでな
定された「森林・林業基本
く、鋭い感性や自然への親しみ、森林や環境問題に対する確かな理解の基礎
計画」においても、「木育」を『市
を育むものです。木材の温かさややさしさを知らない人からは、木材利用は
民や児童の木材に対する親しみや
森林の破壊や環境の悪化ととられがちです。
木の文化への理解を深めるため、多
一人ひとりが考え、行動しなければならない時代だからこそ、木材をより
様な関係者が連携・協力しながら、
よく使う知恵と技、そして木材や森林についての知識と行動力、そして私た
材料としての木材の良さやその利
ちの暮らしや文化、伝統の形成に大きく貢献してきた「木の伝統」を受け継
用の意義を学ぶ、木材利用に関する
ぐ確かな力を育てたい。そんな強いおもいが、
「木育」という言葉にはこめ
教育活動』と位置づけています。
られています。
5
2.充実した「木育」へ
学習する人の年齢や経験に応じた段階を意識することで、従来の木の体
験活動が充実した「木育」へとかわります。このテキストでは、「木育」
のステップによる活動を推奨しています。
具体的には、次の3つが「木育」のステップと呼ばれています。
触れる活動「触れ、感じる」……………ステップ 1
創る活動「創り、楽しみ、学ぶ」………ステップ 2
知る活動「知り、理解し、行動する」…ステップ 3
指導者は、多様で自由度の高い「木育」を展開する上で、①誰を対象とす
るか、②どんな活動を展開するか、ねらいを十分に検討し、明らかにする必
要があります。このテキストでは、受講者の発達段階や経験に応じた、
「触
れる」「創る」「知る」の段階的な取組(「木育」のステップによる活動)に
よる展開、実施の方法を、わかりやすく、具体的な活動例を示しながら解説
リンク
しています。また、目標設定から事前の準備、安全管理の方法までを見通す
活動計画チェックリスト(P23)
ことのできる活動計画チェックリスト、活動実施計画書、安全管理チェック
活動実施計画書(P24~26)
シートなど役立つ資料を添付しています。
安全管理チェックシート(P33~
3つの「木育」のステップの役割を理解し、意識することで、これまで行
われてきた「ものづくり教室」や「学校での出前授業」などが、充実した「木
育」の活動となるのです。まずは、この「木育」のステップを十分に読み、
理解しましょう。
「木育」の進め方のイメージ
「触れる」「創る」「知る」の3つのス
テップを通じて、花が開くようにいろ
いろな力が育まれる
6
34)
活動のキーワード
おもちゃ、遊具、楽しむ、心地よさ、体感的理解、好奇心
ステップ1のねらい
■木材の良さを、五感を通して体感すること
■木材をはじめ、森、樹木など様々なものに好奇心を持つこと
「木育」で最も基本となることは、木材に親しみを持ってもらうことです。
木材の良さを知り、親しむ経験が、木材を正しく利用し、森林を守ろうとす
る気持ちのもとになるからです。大量消費社会にあって、日本人が風土の中
で大切に扱ってきた木材または木材製品に愛着を持ち、木材利用に肯定的な
人間を育てるためには、木材についての理解や利用技術を学ぶよりも前に、
受講者の五感に訴える「木の体験」が必要なのです。
指導者として心がけたいこと
■初めての木体験(Wood Start)を成功させる
「木材が好き」
「木材と仲
■視覚、触覚、嗅覚など、五感を働かせる活動を取り入れる
良くしたい」といった気
■好奇心を高め、木から見える様々な世界へと導く
持ちを育て、「木育」の活動を通し
て出会った人と深め、共感させるこ
「触れる活動」は、木材についての最初の体験(原体験)を形成する重要
な役割を果たします。学習する人に木の良い印象を与え、好奇心を高める楽
とが活動のひろがりにつながりま
す。
しい活動となるように工夫し、幅広い年齢の受講者が、木について学ぶきっ
かけを作ることを意識しましょう。
「木ってなに?」、「どう
このステップでは説明的な内容や活動から入るのではなく、木の良さを直
してこんなにおいがする
感的に、体感的に理解できるような活動内容から入ることが大切です。また
の?」
「木にはなぜ模様があるの?」
五感の中でも、普段、あまり意識されることのない、触覚や嗅覚をも働かせ
といった、小さな疑問や好奇心を高
ることで、印象に残る活動となるように工夫しましょう。
めることは、自然や環境に対する確
「触れる」対象も幅広く考えることが可能であり、木材製品、例えば楽器
かな目を育てることにつながり、ひ
や家具、生活雑貨などに「触れる」ことから入ることで、日本の木材文化、
いては身近な木材から、地域の森林
地域の伝統、歴史など、様々な木の世界へと導くこともできるでしょう。
や木材、木材利用の未来について考
「触れる活動」は幼児等の低年齢層のように、木材について初めて触れる
えるきっかけとなります。
人、学ぶ人を対象にする場合に必要なステップですが、子育て中の人やはじ
めて孫を持つ人などを対象とした子育て支援や胎教に関する「木育」でも、
子育て支援のツールとし
有効な取り組みとなります。
て 、「 す く す く 木 育 」、
「Wood Start
はじめまして、
木育」があります。
(P39)
7
活動のキーワード
ものづくり、木の性質、木工具、木製品、創造力、問題解決
ステップ2のねらい
■手や身体を使った創造的な活動により、手先の器用さや豊かな人間
性を高める
■創造力や課題解決力など、日常生活において非常に重要な役割を果
たすと考えられる力を養う
幼児期から大人にいたるまで、木材を使った創る活動は人間の知的能力、
身体的能力の発達に優れた効果を発揮するといわれています。構想から設計、
製作・評価にいたる「ものづくり」の過程において、自ら考えつつ様々な課
題を解決することは、創造的な思考で問題を解決できる人間を育てることに
つながります。
木材を使ってものを創る
我が国では木材を用いた「ものづくり」が盛んに行われてきましたが、現
という活動は、知性、情操、
在では、社会環境の変化から、その機会は減少してきています。ステップ2
技術の調和した人間の全面的発達
のねらいは、具体的には創造的な思考で問題を解決できること、材料として
に役立つものといわれ、150 年近
の特徴を実感させることであり、これを「創り、楽しみ、学ぶ」という活動
くにわたり学校教育の重要な学習
を通して実現することなのです。
活動として位置づけられてきまし
た。それは、木材が比較的軽軟で、
指導者として心がけたいこと
加工性に優れているため、その難易
■技能指導ではなく、創ることで木の良さ、性質を実感させる
度を学習の対象に合わせて容易に
■「ものづくり」を通じて、自ら考え、問題を解決させる
調整・選択することが可能であるか
■無理のない計画と安全の行き届いた環境で実施する
らです。
■作ったものに愛着を持てるように、教材を準備する
「ステップ2 創る活動」は、単にものづくり(道具体験)を目的とした
ものではありません。
「ステップ1
触れる活動」で高まった木材に対する
親しみや経験をさらに発展させ、材料としての特徴をしっかりと実感させる
ための重要な段階です。創ることや道具の使い方に重点を置くのではなく、
より良い木材の使い方、木材の良さが理解できるような活動が望まれます。
そこで、技能的な指導、支援だけに終始するのではなく、木材の良さを確
木工や木工芸を通じた「木
認したり、木材の科学的な特性等に対する好奇心を喚起したりすることで、
によるものづくり」は、我
感性を高め、自然に対する素直な尊敬を深めさせることが大切です。また、
が国の技術や文化の基礎になって
自分の作ったものに愛着を持てるように、楽しく、役に立つものを作る、創
いるだけでなく、木の良さを感覚的
る過程を楽しむ、また完成の喜びを味わわせるなど、活動のねらいや場の雰
に、実体験的に深化させる活動です。
囲気を大切にしていくことが重要です。
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工作などを通じて材料をしっかり
理解させることがステップ2のね
らいです。
「ステップ2 創る活動」では、無理のない計画で、安全の行き届いた環
リンク
境で実施するために、材料の準備、製品の前処理(キット化)など事前の準
Ⅳ.楽しく安全な木育活動の実施の
備を、受講者の木材についての知識や経験のレベルに応じて検討してくださ
ために(P29)
い。
「創る活動」の計画と実施は、指導者の技術、経験や施設、設備、受講
者の年齢層などの状況に大きく依存します。指導者が行う一連の配慮は、継
続的に木材に接し、活用しようとする人間を育てる重要な要因です。以上の
留意点を十分に理解した上で実施計画を作成してください。
「創る」という行為を、
「も
「ものづくり」を行うにあたっては、木材の持つ特性を実感するための科
のを創る」ことから、「自
学実験的な要素(例えば、のこぎりの縦挽きと横挽きの違いや、木口面と木
分の生活を創る」、
「地域の環境を創
端面の加工性の違い等)を活動に取り入れることにより、材料としての特徴
る」など、その範囲を広げて捉え、
をしっかりと捉えさせることができます。また、
「ものづくり」の経験をも
プログラムを設計できれば、受講者
とに、先人たちの残した文化遺産(彫刻や建築物等)を技術的な観点から鑑
の発達段階や学習に対するニーズ、
賞し、我が国の文化や歴史に対する尊敬や共感できる素質を育むことができ
木材についての経験に応じた多種
ます。
多様な活動にすることができます。
「創る活動」は余暇活動の一つとして個人的に使用する製品を作ることが多
くなりがちです。自分のために作ることも楽しいことですが、人に贈ること
やみんなで使用することを前提にした製品の設計や製作は、社会的な貢献へ
の意欲、家族間のコミュニケーション、思いやりの育成につながっていきま
創った作品にはタイトル
すので、ぜひ取り組みたい活動の一つです。
をつけさせましょう。愛着
を高めることにつながります。
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活動のキーワード
木材利用、環境理解、くらしと文化、行動力、判断力、賢い消費者
ステップ3のねらい
■木材の利用と環境の関係を理解させ、環境に配慮した行動のための判
断力を養う
■森林育成活動等への参画に積極的な姿勢を育む
■木材製品を選択・利用できる、賢い消費者としての資質を高める
木材に親しみ、その特徴を理解した人は、木材を使ったり、生活に取り入
れたりすることに積極的になるでしょう。しかし、木材の利用や森林の伐採
には常に負のイメージがつきまとい、森林や木材が好きな人や木材関係者で
さえ、誤った認識を持っていることが少なくありません。
「ステップ3 知る活動」では、適正に管理された森林から伐採された木
材を使うという、誰にでもできる行動が、森林の持続的管理や環境の改善に
大きく貢献することを学ぶ活動です。
適切な統計資料や読み物、絵、図表などを使いながら、木材の利用と森林・
環境の関係を理解させ、環境に配慮した行動のための判断力を養います。木
材製品を選択・利用できる、賢い消費者としての資質や、森林育成活動等へ
の参画に積極的な姿勢を育みます。
「ステップ3
知る活動」
は、木材の適切な利用や
指導者として心がけたいこと
森林の健全化に向けて、現状や役割
■科学的なデータや確かな情報をわかりやすく提供する
の理解、関心、意欲の向上とともに、
■木材利用と生活、環境との関係を具体的に学ぶ活動を取り入れる
具体の行動力を身に付けさせるこ
■実際に行動する力を育てる
とを目標とした、「木育」の最後の
■講義形式の知識伝達の場にならないよう、活動を工夫する
段階として位置づけられます。
自然材料としての木材は、我が国の風土の中で生活に欠かせない材料とし
て扱われ、文化や伝統を築く上で重要な役割を果たしてきました。しかしな
がら、安価な石油化学製品や新素材の開発によって、生活の中での木材の位
置づけは低いものとして扱われるようになっています。しかし、高温多湿な
気候の我が国では、昔も今も木材の価値や利用の意義は高く、環境の改善に
向けてはさらに利用を推進することが必要です。
「ステップ3 知る活動」では木材と環境、文化、くらしの関係について、
科学的な知見や確かな情報をわかりやすい形で提供することにより、木材の
利用と社会や環境の関係を理解した人間を育みます。
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「木材利用が環境破壊につながるわけではない」、ということが理解され
たとしても、それが具体の行動につながらなければ「ステップ3 知る活動」
のねらいが達成されたとはいえません。環境問題の解決には、知ることと同
時に、
「関心を高めること」や「積極的な姿勢」、問題に出会ったときの適切
な「判断力」、
「問題解決力」などを育てることを目標とし、それを「行動す
る」というさらに高い目標へとつなげることを意識する必要があります。木
材利用と環境、生活との関係について気づくことをきっかけに、日々の行動
や生活、環境への影響を具体的に学ぶ活動を取り入れることにより、木材製
品を選択・利用できる人間、そして環境に配慮した行動ができる人間の素養
が高まります。
「知る活動」を計画する際には、行動することによる変化の具体例(例え
活動の中で必要な資料を
ば、地球温暖化を防ぐ等)を示したり、市民として取り組む環境対策への参
提示することは重要なこ
加意識や貢献の喜びなどを実感できる活動を取り入れたりすることが重要
とですが、受講者の知識、理解の状
です。重要なことは、一つひとつの活動や生活の行動が、すべて何らかの形
況、発達の段階に応じて、表現や構
で環境と「つながり」を持っていることを示すことです。
成の方法を変更することが重要で
「知る活動」は、どうしても座学的な知識伝達の場になりがちです。活動
す。低年齢層には、物語にしたり、
を豊かにするために、ワークショップ形式の活動や簡単な実験を含めること、
絵本や紙芝居などにしたりして提
映像資料などを活用すること、学習の場の設定を工夫することなどが大切で
示することも有効です。
す。言葉だけでなく、写真を用いたり、具体物を用意したり、場合によって
は場所を屋外にすることも検討してください。受講者の「自ら学ぶ」意欲を
醸成するためにどのようなコンテンツが必要か検討する必要があります。
「ステップ3 知る活動」では、木材に関する体験活動から、森林のはた
らき、林業の役割など、さらなる好奇心を喚起する活動を体験させることに
より、森林体験活動への参画はもとより、直接的・間接的を問わず、森林育
成活動へ参画する人間が育まれることが期待されます。「木材で育った人た
ち」が「木材を育てる活動」へと直接的・間接的に参加し、それを次世代に
つなげていく、そのメッセージの発信が「木育」の重要な役割になります。
11
リンク
「木育ノート」や紙芝居などの支援
ツールが利用できます。
(P39)
3.「木育」のステップごとの活動目標
「触れる」
「創る」
「知る」の3つのステップは、「木育」の基本的な流れ
や、計画の方向性を示すものであり、絶対的な工程ではありません。例えば、
受講者の木材に対する認識や理解度に応じて一部のステップを省略したり、
ステップの順序を組み替えたりすることもできます。さらに、複数のステッ
プを並行させた多様な活動の場を作ることによって、子どもから大人まで、
幅広い受講者を「木育」の世界へとスムーズに誘うことができます。
「木育」を進めるにあたっては、受講者の年齢や知識、これまでの経験、さ
らに木材に対する認識・理解度にあわせて(例えば、幼児用、小中学生用、
成人用等)対応することが適当と考えられます。次に示す表を参考にしなが
ら、どのような活動がどの年齢層に適当か十分に検討してください。
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1.「木育インストラクター」とは?
「木育インストラクター」は、多くの市民や子どもに対し、木の良さや
木の文化への理解を深めるために、効果的な「木育」活動を積極的に計画
し、実行できる知識と技術、指導力、そして情熱をもった人です。
「木育インストラクター」にとって最も重要なことは、木や木に囲まれた暮らしが大好きな
ことです。次のような方は「木育インストラクター」の資質をすでにお持ちです。
・ふだん森や木に関わる仕事をしている方
・木材や森林、環境について学んだことのある方
・学校、地域、NPO などで指導者として活躍している方、など
■「木育のインストラクター」について
「木育インストラクター」は、
「木育」の意義や役割を理解し、森林・林
業、木材、環境についてわかりやすく伝える指導者です。また、「木育」の
木を使った活動が「木育」ではない。
木の良さを伝えるのが「木育」。
推進に情熱と使命感を持ち、各地域で進められる「木育」活動の普及・啓発
活動においてリーダーとして活躍することが期待されます。
「木育インストラクター」は、木の良さを伝え、木とともに暮らしていき
たいという思いを育て、ひいては森林や林業、木材利用について関心をもっ
た市民、子どもを育てるという、
「木育」の大きなねらいを常に意識してい
ることが大切です。また、楽しく、有意義で、地域の特性を活かした「木育」
活動を実践するためには、様々な知識やスキルを身に付けてくことが求めら
れます。不断の努力が大切です。
■「木育のインストラクター」になるために
平成 20 年度、21 年度と、「特定非営利活動法人活木活木(いきいき)
問合せ先相談窓口
森ネットワーク」が、希望者を全国から公募して「木育インストラクター研
特定非営利活動法人
修会」を開催してきました。
この研修会では、受講者の資格等に関係なく、
「木育」の実践に関心を持
つ様々な職業、年齢層の方が受講されました。また、研修を受講した「木育
インストラクター」には、
「特定非営利活動法人
活木活木(いきいき)森
活木活木(い
きいき)森ネットワーク
所在地:東京都文京区後楽 1-7-
12 林友ビル
電話
:03-5844-6272
FAX
:03-3816-5062
E メール :[email protected]
ホームページ:
http://www.mokuiku.jp/
「木育.jp」
(モクイクジェイピー)
ネットワーク」が受講修了書を発行しています。
研修後には指導者として、全国各地で「木育」の普及・啓発活動を展開し
ていただいています。
今後の「木育インストラクター研修会」の開催についてのお問い合わせは、
「特定非営利活動法人 活木活木(いきいき)森ネットワーク」までご連絡
ください。
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2.「木育インストラクター」に必要な力
「木の楽しい科学者」、「木工の楽しい技術者」、「木のおもしろい語り
部」、
「糸鋸(いとのこ)のマジシャン」、
「けん玉や木のパズルのチャンピ
オン」など、特技を持った木育インストラクターの活躍が期待されます。
例えば、次にあげるような方が「木育のインストラクター」にふさわしい人です。
・木材に親しみを感じさせ、木材を好きにしてくれる人
・木材に関する教育・文化・娯楽事業を企画、立案、プロデュース(1 つのビジョンのもと
に、人々の力を借りて「新しい何か」を創りだし現状を変えること)ができる人
・木材との関わりで特技を持っている人
■「木育のインストラクター」の社会的使命
「木育インストラクター」は、
「社会のグリーン・エコ意識改革の実践家」
と表すことができます。具体的には、世界の課題である地球温暖化防止のた
めに、リサイクル、「MOTTAINAI」スピリッツなどへのライフスタイルの
チェンジ、バイオマス(生物資源)の利用拡大と再生可能資源社会の形成な
どを目指します。
木工ものづくりの観点からは、市民による木のものづくり力の復権を目指
します。木材はものづくりに最適な教材であり、ものづくり力はリサイクル
力でもあります。さらに、木工活動は、人と頭脳と肉体の復権であり、人間
性の復権です。
木製のおもちゃ、木工遊びによって、園児・児童・生徒が「集中・夢中・
熱中」できる遊び広場の実現、何でも自分でやってみようとする、木工から
の DIY の復権などを目指します。
14
15
3.「木育」をプロデュースするために
現在行われている「木育」活動のほとんどはボランタリー(自発的)な
ものです。こうした取り組みを進めるためには、あなたやあなたと一緒に
なって実践を行うチームが、主体的な働きかけを行なって「木育」活動を
プロデュースする必要があります。
「木育」をプロデュースする方法には大きく次の二つがあります。経験を積み重ねながらよ
り良い活動をプロデュースしましょう。
■ねらいや活動内容を考え、人と予算を調達するなど枠組みづくりから始めるという方法で
す。経験を持った人や活動するチーム、人脈や実践、経験の蓄積があればこの方法で大丈夫で
す。これは映画のプロデューサーのような役割です。
■試行錯誤でも、最初の実践をとにかく行ってみるという方法です。誰かがプロデューサー
として役割を担って、いつどこで誰がどのように実践するかといったことを自分なりに整理し
て、関係者との調整を行うことが必要です。
「木育」は社会的意義も高く、学校や市民活動の教育現場においても歓迎
周囲の「木育」に関心を持
される活動ではありますが、あくまで自発的な活動によって支えられている
ってもらえそうな個人、団
ものであって、黙っていても勝手に進むわけではありません。
「木育」の推
体を探してみましょう。またその中
進のためには、「木育インストラクター」を中心とした実践チームが、主体
で実践の場づくりに具体的に役に
的な働きかけを行なって「木育」活動をプロデュースする必要があるのです。
立ちそうな方はいないかリストア
「木育」のプロデュースで難しいことの一つが場づくりです。こちらがや
ップしてみましょう。
りたいと思っても、場を提供してくれる相手(パートナ-)がその活動を受
け入れてもらえないと実践は出来ません。関心を持ちそうな人、更には場を
活動の場を提供する相手が
提供してもらえそうな人、組織に積極的に働きかけて、「木育」活動の機会
決まったら、日時や場所、
を設定しましょう。
対象、予算、活動内容など細かい内
実施にあたっては、メンバーそれぞれの関心や適性を踏まえた役割分担を
考えましょう。関わる人が活動の目的に共感し、やり甲斐を感じて、楽しみ
容を調整します。簡単な資料を提示
して、理解を求めましょう。
ながら、より良い方向を目指して続けることが出来れば、
「木育」の活動は
確実に広がっていくでしょう。
さらに、活動を継続させることを考えましょう。一度だけの単発の教育活
場づくりの際に最も大事
動では、木の良さを知ってもらうといった本来の目的を達成することは困難
なことは、相手の要望、ニ
です。関心を持ってくれる人を募ってチームをつくり、組織化してしっかり
ーズをよく把握することです。受講
としたマネージメントを行い、資金調達を図ったり、行政や様々な団体と協
者や参加者が楽しく学んだり、あな
働したりすることで活動を強化することも検討してみましょう。
たがやり甲斐を感じたりすること
も重要ですが、それと同じように、
なお、具体的な企画の詳細については、次章に細かく記載がありますので
よく読んで、活用してください。
あるいはそれ以上に活動の受け入
れ先が満足することは重要です。
16
1.まず「5W1H」を整理する
「木育」活動に参加する人の目的や思いは様々です。指導者が教えたい
と思っていることを、学んでくれるわけではありません。受講者の年齢や
経験、ニーズ等を把握して、より良い活動を計画しましょう。
学校教育では学習活動のねらいや目標は「学習指導要領」の中で、学年ごとに、教科ごとに
明確に示されています。しかしながら、「木育」では指導者自身で考え、決定しなければなり
ません。「木育」活動を行うには、まず、「5W1H」を整理することから始めます。
■Who(誰が)
■Where(どこで)
■What(何を)
■Why(どうして)
■When(いつ)
■How(どのように)
「木育」はこれからの社会にとって必要な教育ですが、一方で余暇や趣味
の活動として参加する人も少なくありません。目的や思いが様々であるため
これから解説するのは、
「木育」の理念と目的、
「木
に、指導者が良いと思う目標、内容、方法を選んで、教えたいと思っても、
育」を実践する指導者に必要な、全
学んでくれるわけではありません。またその活動を選んでくれないかもしれ
体構想の構築方法です。この方法は
ません。
「木育インストラクター・テキスト」
「木育」のねらいを実現するためにまず始めることは、「5W1H」を整
が推奨する方法であり、絶対的なも
理すること、つまり学習する側のニーズや年齢、経験、効果的な指導の流れ、
のではありません。「木育」を実際
活動の評価方法などを十分に検討することです。
に行う際の目標設定の考え方、対象
次に、対象となる受講者をよく理解しましょう。例えば下の4つのポイン
の受講者(例えば、幼児や小中学生
トについて事前にできるだけ予測することで、活動内容の質や効果は一層高
など)への指導のコツや安全対策等
まります。
について、参考にしてください。
~受講者理解のための4つのポイント~
■どんな環境で生活をしているか
受講者の普段の生活と木との関わりを考えましょう
■どんな学習、経験をしているか
教科書の内容や学習経験を調べてみましょう
■どんな能力を持っているか
受講者の年齢、発達段階で何ができるか考えましょう
■どんな活動を好むか
対象に近い子どもたちやその保護者、関係者から情報を得ましょう
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2.ねらいと目標を設定する
「木育」活動のねらいや目標の設定は、すべての教育活動で最も重要な
ものです。また、指導者や地域の特性をよりよく反映させる場面でもあり
ます。以 下の点を 考慮して より良い 目標を設 定してく ださい。
(1)「具体的な行動」として表す……漠然としたものではなく、より具体的に
(2)「変化して欲しい姿」を具体化する……受講者の最終的な姿を思い描いてみる
(3)活動規模に応じて、達成できそうなものを……あれもこれもと欲張らない目標設定
(4)子どもの経験を考慮する……無理しないで経験に応じた目標の設定
(5)複数回に分けて行う場合、各回のバランスを……その段階毎の目標設定
「木育」活動の設計においては、活動のねらいと目標の設定が最も重要で
理科が好き、
「ものづくり」
す。設定にあたっては、「指導者のおもい」だけが優先した目標、詰め込み
が得意、リーダシップがあ
過ぎで大きすぎる目標や、逆に「小学生だったらこんなものだろう」とやや
る……。「木育」活動に参加する受
あきらめ加減の小さな目標では、十分な成果は得にくくなります。
講者の意欲(やりたいこと)、関心
まず初めは、
「木育」のねらいと3つのステップをしっかり理解し、より
(すきなこと)
、能力(できること)
良い目標と教材を選定し、実施する側(運営責任者、指導者)がその「おも
は様々です。「触れる」「創る」「知
い」をうまく具現化することが大切です。また、
「木育」のステップを「触
る」の3つのステップをバランスよ
れる」
、
「創る」、
「知る」という直線的な流れとして捉えるのではなく、それ
く取り入れることで、受講者一人ひ
ぞれのステップが広がりを持っていると捉えることが必要です。
とりの個性や能力や多様なニーズ
また、
「木育」の活動中に臨機応変に部分修正することも必要です。
に応えられるようになります。
いろいろな視点からしっかりと検討してください。
リンク
目標設定の際には、「木育」のステ
ップを再確認しましょう。
(P6)
「木育」の各ステップのとらえ方をひろげましょう
インストラクターがステップの捉え方をひろげるだけで、多様な活動が展開できるだけ
でなく、様々な分野の指導者、専門家との協働を実現させることが可能となります。
◎「触れる」
・・・単に「木材に触れる」のではなく、
「木材が創りだしてきた日本固有の
文化や伝統、歴史、社会にまで触れる」と捉えてみる
◎「創
る」
・・・具体的な「ものづくり」から「木を活かした生活スタイルづくり」ま
での活動と捉えてみる
◎「知
る」
・・・
「木材の性質、特徴、有用性、価値、環境特性の理解」から「環境改善
について行動が必要なことを知る」と捉えてみる
18
3.具体的な活動を選ぶ
活動内容と目標は「ニワトリとタマゴ」の関係にたとえられることがあ
ります。活動計画においては、目標に応じて活動内容を選ぶ場合と、活動
内容に応じて目標を決定する場合があります。
いずれの場合にも、具体的な活動内容を選ぶときには次のことに注意しましょう。
■対象となる受講者の、木材に対する知識や関心、発達段階に適しているか
■活動全体のストーリーに適しているか
■ねらいや目標がしっかりと達成できるかどうか(目標と内容が一致しているか)
活動計画においては、目標に応じて活動内容を選ぶ場合と、活動内容に応
目標設定や活動設定では、
じて目標を決定する場合があります。いずれの場合においても、目標と内容
具体的に受講者をイメー
がしっかりと対応しているかどうか、事前に何度も確認し、検討しておくこ
ジし、その人が楽しんで学ぶ様子を
とが、活動の成果を高めることにつながります。
想像しながら、企画を詰めていきま
活動の対象、目標が決まったら、
「木育アクティビティシート」を参考に
す。
して、具体的な活動を選定してください。「木育アクティビティシート」に
は、「木育」の3つのステップに応じた具体的な活動が例示されています。
「触れる」を中心とした
活動全体のストーリー性を考えながら、いくつかの活動を組み合わせて実
活動の流れ(例)
施すると効果的です。具体の活動内容、活動のねらい、適した対象、ステッ
①身近な樹木に触れてから木材
プとの対応、指導上の留意点が示されています。目標に応じて活動を選ぶ場
に触れる。
合にご活用ください。
②かんなで削った木材表面の変化
を触れて感じ、嗅覚によって香りを
感じる。
③木の香りによる心理的な癒し効
果を知る。
上記の例のように、木に触れて、木でものを創ってみて、木の特性を知るという
ステップを踏むことによって、対象の受講者の理解が深まっていきます。指導者は
そのステップに対応した知識やスキルを身に付けさせるとともに、地域の情報や(対
象の受講者が小中学生の場合には)学校の授業内容などを受講者と話し合うことで
さらに広がりを持たせることができます。
19
4.より良いスケジュール設定のために
「木育」活動の準備から実施までのスケジュールや、当日の日程(時間
調整)及び時間配分の計画では、「無理のないこと」が前提となります。
「木育」活動の開催時期やスケジュールを設定するにあたって次のことを行いましょう。
■どれくらいの時間が確保できるか、関係者と打ち合わせておく
■小中学生が対象である場合、子どもたちが通う学校の状況を調べてみる
■対象の受講者にどの程度の知識やスキルがあるか等を把握する(予測する)
■地域の森林・林業・木材産業との関わり合いや、木材利用の状況を調べておく
スケジュールを設定するにあたって、ステップ1~3までの「木育」活動
1年間かけて行う活動か、
を、どの程度の時間をかけて行うかについて検討します。場合によっては関
ある期間に数回に分けて
係者と相談して調整したりする必要があります。特に学校との連携によって、
行う活動か、1回だけの活動かによ
「木育」活動を実施する場合は、学校側と指導者が役割を分担することで、
り、時間や内容の配分、教材等の準
より効果的に行うことが可能となり、学校教育と社会教育の相乗効果を生む
備の仕方を検討しましょう。
ことにもなります。
次に、対象の受講者が小学生の場合には、木や森林、木材についての授業
教科書などを事前に入手
を、国語や社会、理科などの教科として受けたかどうか、図画工作科、技術・
し、読んでみましょう。ま
家庭科での木工作の体験があるかどうかなど、指導する内容を計画する際に
ずは、身近な子どもたちから情報を
役立てます。また、それらの学習がいつ頃行われ、どの様な事を学習したか
得ることが大切です。
を学校側から詳しく聞いておけば、より効果的で、つながりのある活動にす
ることができます。
木材を使った特産品や「地産地消」が浸透している地域では、特に関連を
持たせることによって、効果的な活動となります。実施する地域のどのよう
な伝統、文化、特産品、建築物があるか、事前に調べておけば学習内容をよ
り身近に感じさせることができるでしょう。
「木育」活動は、体系的・効果的に推進させることが重要です。そのため
参加する受講者の小中学生
には、事前の準備を的確に、確実にしておく必要があります。
「木育」活動
にも「木育ノート」を配布
を実施するために、
「木育の活動実施計画書」の作成過程で、活動中にどの
して予習を行わせることで、効果的
ようなものが必要となるか確認してください。全体的な構想と計画が準備で
にねらいを達成させることができ
きた上で、指導者が選択した活動に必要な道具、材料、装置を用意します。
ます。
「木育アクティビティシート」には、事前にどのような道具や材料が必要か
記載されていますので参考にしてください。
20
5.みんなが楽しめる活動の工夫
受講者の学習意欲を高め、知識や技能を楽しく、確実に習得、向上させ
るためには、指導者の様々な活動が密接に関係を持ち、効果的に行われる
ことが大切です。
活動の流れを考えたら、以下の点について十分に検討しましょう。リハーサルを行ったり、
チーム内で何度も議論したりすることで、ねらいに適した方法に練り上げていきましょう。
■教材の提示、学習内容の説明方法
■活動の指示・統制(指導の際の注意点)
■意欲を喚起する発言や支援のあり方
■学習活動の形態
■受講者の反応の把握や評価の方法
■楽しい!
びっくり!
わかりやすい!
具体物、模型、スライド、写真等をタイミングよく提示して、好奇心を高
小中学生を対象にする場
め、理解を深めさせます。指導者の説明は、正確・簡潔・明瞭・的確である
合には、話し方や使用す
こと、また、親しみ深く興味・関心を高めることを心がけます。
る専門用語にも気を配りましょう。
■ほめて、のばして!
「木育推進サービスパック」の「木
問いかけ、発言の要求、ヒントによる刺激、ほめる、うなずき等は、学習
育ノート」、
「子どものための木工具
の意欲を向上させる重要なテクニックです。特に、「ものづくり」を取り上
の使い方」、
「シゲノビッチ博士と学
げる場合には、個別の助言やほめることが効果的です。指導者による一方的
ぶ!
な講義だけでねらいを達成するのは困難です。
生を対象とした表現になっていま
■小さな反応もみのがさないで!
す。必要事項を確認し、参考にして
作品の出来具合などはもちろん、活動での学習内容の理解度、技能の定着
木材の学習」は、小学校 5 年
ください。
度、活動の進行状況、受講意欲の増減をしっかり把握します。受講者は意外
とたくさんの信号を発信していますので、小さな反応も見逃さないように気
を配りましょう。
■「想定内」であたりまえ!
事故は起こらなくて当たり前です。事故防止、安全等のための指示は一層、
簡潔・明確に、広範囲に迅速に周知できるように行ってください。観察や実
リンク
験、作業の指示、小集団活動や個別での作業の指示、学習規律(発言、姿勢、
Ⅳ.楽しく安全な木育活動の実施の
作業、活動の開始、中止等)、指示の的確さは学習能率や作品の完成度、け
ために(P29)
がの防止などに極めて重要な影響を与えます。
■グループ活動をうまく使う!
個別の学習や小集団での学習をバランスよく位置づけ、個と集団との関わ
りの中で学ばせることで、より質の高い学習を提供できます。
「ものづくり」
活動では小集団による活動(2~3人一組など)が、作業能率や加工精度を
向上させることにもつながり、作業への不安感の軽減も期待できます。また、
進度別の指導も必要となります。
21
6.「木育」活動の質を高めるために
指導者の経験が蓄積されることによって、より自信が持てるようになる
ことは言うまでもありません。指導者やスタッフ全員で活動をふりかえ
り、活動中の課題や経験を共有することで活動の質を高めましょう。
活動して終わりではなく、次につながる情報を収集し、改善点を十分話し合うことで、活動
の質を高めると同時に、新たな問題への対応や緊急時の適切な判断を生み出します。
■ねらいが達成されたかどうか、受講者の声をひろいあげ、冷静に評価する
■活動中に見つけた問題、受講者のつぶやきなどを記録し、共有する
■改善点が見つかったら、具体化する方法を考え、次に活かす
「木育」活動を実施した後に、
「活動の評価(ふりかえり)
」をすることは、
活動評価のための情報収
次に「木育」活動をするために大切です。構想の段階で設定した「ねらい」
が実現できたかについて、適切な方法で評価しましょう。
集の方法
■アンケートの実施
反省も大切ですが、
「活動をよりよくする」ために何が必要かを話し合う
活動後に書いてもらった受講者
ことがポイントです。参加した指導者・スタッフ同士、関係した人々との反
のアンケートから、どんな活動が楽
省会などを行うことにより、指導者・スタッフ同士のコミュニケーションが
しかったのか、どこが改善可能かな
図られると同時に、ネットワークが広がり、次の「木育」活動への展開も容
どを把握します。
易になっていくことになります。
■机間指導で観察、記録
なお、参加した小中学生にも「ふりかえり」を行わせ、事前に配布してお
指導者はできるだけ受講者の間
いた「木育ノート」に記入させましょう。自身の学びを確認させるとともに、
を動き回り、受講者の活動の様子を
次への期待感を持たせることが大切です。
観察します。なんとなく見て回るの
でなく、目的意識が大切です。
目指せ、できる指導者!
~机間指導のポイント~
1.作業の進行状況やつまずきを確認する
作業時間の調整、次のステップへの移行のタイミングを受講者の状況から判断します。また、遅れている人に
は、適切な助言や励ましを、失敗している人には、その修復法を伝えます。
2.すばらしい考え、アイデアの発見
全体に紹介することにより、製作する受講者の意欲づけと、知識、技能、問題解決などの情報を共有でき、全
体のレベルアップを図ることができます。
3.材料の不足、道具の追加
不足している材料や代わりの材料を提供したり、道具の追加を行ったりします。他の道具で作業した方が良い
場合は、その道具を出してあげます。
4.安全や健康状態の確認
刃物の使い方、道具の置き方などを見ながら指導します。また、表情や疲労の度合い、作業の状況をみながら、
気分が悪くなっている受講者、集中力が欠けている受講者への対応を行います(休息や窓を開け換気するなど)
22
「木育」では木材の良さを「体験させる」ことが最も重要です。その体験
Let’s Try
を一過性のままで終わらせず、体験の質を高める工夫が指導者には求められ
各地で行われている木材を使っ
ます。例えば、活動中はもちろん、活動後の広がり(家族に体験を話したい、
たイベントでは、のこぎりで丸太を
友達に自慢したい、自宅でもやってみたい、もっと深めたい……)を実現で
切断し、コースターを作る活動がよ
きるような質の高い活動や指導者の働きかけを心がけ、十分にふりかえり、
く取り上げられます。さて、この活
考えてみましょう。
動を使って、あなたはどんなねらい
を設定することができますか?
何を、どのような表現で伝えます
か? 「木材の良さ」をどのように
伝えるか、考えてみましょう。
23
■「木育」の活動実施計画書の作成
「木育」活動を実施する際に、計画段階から実施のふりかえりまでを
記入してご利用ください。
24
25
26
27
■小学生・中学生に適した「木育」活動のねらい
ねらいの設定などに参考としてください。
28
1.安全の基本を守って楽しく
「災害を防げれば、傷害もなくせ、災害のもととなる不安全行動と不安
全状態をなくせば、災害も傷害もなくなる」 これはあらゆる場面に通じ
る重要な教訓、心得です。
「木育」活動の実施にあたっては、受講者が安全に活動を行い、その楽しさを理解していた
だくことが第一です。以下の安全の基本を守って、けがや災害のないよう心がけましょう。
■不安全な状態や行動がおこらないように受講者の行動を常に意識する。
■適切な作業空間の確保や工具等の整備をあらかじめ行っておく。
■正しい作業方法、姿勢の確実な伝達、安全確認などを徹底する。
指導者は、何が危険であるのか、危険にどのように対処し、管理するのか
を知っているからこそ、受講者により価値ある体験に取り組ませることがで
きます。災害の発生には、自然災害を除いて「運が悪かったから」というこ
「木育インストラクター」には、
「木
とは決してありません。そこには必ず何かの原因(不安全状態や不安全行動)
育」におけるリスクマネージメント
が潜んでいます。その原因を予め把握し、可能な限り排除するなど対策をと
の知識や危険予知訓練の経験が求
ることが大切です。安全管理は、
「けがをするからやらない、やらせない」
められます。
ではなく、
「けがが起こらないようにやる、やらせる」ために行う大切なこ
とです。指導者、運営者全員で事前に十分理解に努めてください。
重大災害の防止のためには、事故や災害の発生の前兆である「ヒヤリとし
た」
「ハッとした」段階(ヒヤリ・ハット)で対処していくことが必要です。
「木育」におけるヒヤリ・ハット事例
(無傷の事故は危険の前兆です)
●刃物が机から落ちて、受講者の足に
ぶつかりそうになった。
●床に散乱した木くずで滑りそうに
なった。
●のみを使用していたら、作業をみて
いた人の手が刃先の前にのびてきた。
●長い丸太を運んでいたとき名前を
呼ばれたので振り返ったら、近くの人
に丸太をぶつけそうになった。
●小さな子どもが、刃がむきだしのキ
1件の大きな事故・災害の裏には、29 件の軽微な事故・災害、そして 300 件のヒヤリ・ハ
ット(事故には至らなかったもののヒヤリとした、ハットした事例)があるとされるハインリ
ッヒ(H.W.Heinrich)の法則は、労働災害における経験則です。300回のうち1回が大事
故というだけでなく、1回目が大事故である可能性もあります。常に油断することなく安全管
理につとめましょう。
29
リを手に持ったまま走っていた。
●受講者が勝手に木工機械の電源を
入れてしまった。
2.安全を確保するための手だて
「少しくらいのけがは、注意を促すことにつながるので、むしろ勉強に
なる」と安易に考えていませんか? その考えは間違っています。「少し
くらい」が大事故につながる可能性があることを覚えておいてください。
安全を確保する手だては広範囲に及びます。指導者は安全管理体制を検討し、事前に安全の
基本的事項について運営スタッフを含む全員に周知・徹底しておくことが必要です。
■安全管理体制の整備
(ア)指導者・運営スタッフ等に対する安全教育
事前のミーテイング等で当該作業等の手順、安全の基本的事項につい
て指導者・運営スタッフ等に周知・徹底を図ります。
できれば、木材加工用機械
作業主任者を配置しましょう。
(イ)安全確保に必要な指導者等の配置
「木育」活動の対象と内容に見合った、指導者・運営スタッフ等の確
保及び適切な配置を心がけてください。
危険度が高い活動には、そ
れに応じた人数が必要です。
(ウ)緊急連絡体制等の整備
救急箱等の用意、最寄りの病院・消防署等の場所及び連絡先を確認す
安全留意事項を箇条書き
るなど、万が一の災害、傷害の発生に速やかな対応ができる体制を確保
したパネル、ポスターなど
しておくことが肝心です。
を会場の見やすい場所に掲示し、受
(エ)保険への加入
講者に注意喚起を行いましょう。
事前に受講者、指導者、運営スタッフについては、傷害保険(イベン
ト保険など)に加入することをお勧めします。
■不安全状態の排除
(ア)適切な作業空間の確保
「木育」活動の参加人数、作業等の内容に応じた広さ、作業等に適切
な明るさ(照度)、場合により適切な換気等を確保します。
(イ)安全な環境整備のための 4Sの推進
安全な作業環境整備のための「整理、整頓、清掃及び清潔の 4S」を
心がけてください。
(ウ)作業等に応じた服装及び保護具等の着用
(写真は出雲科学館創作工房の例)
必要に応じ、作業等に適した袖締まり・裾締まりの良い服装、帽子、
滑りにくい靴、防塵マスク、防塵眼鏡及び手袋(木工機械使用時は着用
しないこと)等を着用すること。
マフラー、ネックレスなど
は取りはずし、髪の長い人は後ろに
(エ)工具・治具等の適切な整備
束ねさせます。髪留めのゴムなどを
工具等を使用する場合、安全な作業ができるよう、適切な清掃、研磨・
補修等が行われていること。
用意しておきましょう。
必要に応じ、安全のために
(オ)受講者の健康チェック
治具等を用意し、活用しましょう。
発熱、発汗及び頭痛等の兆候が見られる者は、無理をさせないこと。
30
■不安全行動の排除
(ア)工具等の正しい使用
刃物等については、必ずカ
「木育」活動の受講者に工具等の正しい使い方を、丁寧に指導するこ
と。
バー、ケースに入れて持ち運び、手
渡します。
(イ)正しい基本姿勢等
材料を固定するため、子ど
バランスの取れた姿勢を保ち、足運び、ひざと腰を使った正しい基本
動作及び力の入れ具合等を指導すること。
もがのこぎり挽きやかんな削りを
する際などには、必要に応じて万力、
(ウ)接近作業の排除
クランプ等を使用してください。
刃物等の工具の使用にあたって、安全のためお互いに十分離れて作業
するよう指導すること。
(エ)周囲等の確認
手元、足下、周囲の状況の確認等に付いて適切に行われるよう指導す
ること。
3.もし事故が発生してしまったら
リンク
活動中に傷害事故や災害が発生した場合、冷静沈着に対応することが重要
安全管理・チェックシートの例を
です。指導者や運営者は、受講者が動揺しないように、適切な行動をとるこ
紹介しています。確認事項等は活動
とが求められます。備えあれば憂いなしといいますが、活動前、事故・災害
にあわせてアレンジしてご利用く
発生時、発生後の対応について、以下にまとめましたので、事前にスタッフ
ださい。
(P33~34)
全員で話し合っておきましょう。
■活動前に決めておくこと
・事故・災害発生時の対応と役割分担を確認する
・指揮命令系統を一本化し、各自の位置づけを確認する
・誰の指示に従うのか、誰に報告するのかを明確にしておく
■事故・災害発生直後の対応
ケガなどの発生だけでなく、
・けが人の応急処置を行う
地震などの自然災害。受講者の健康
・必要な場合は、救急または医療機関へ連絡、搬送する
の変化についても想定しておきま
・二次災害の防止策をとる(活動の中断や事故現場からの隔離)
しょう。
・他の参加者の動揺を抑える(憶測による発言、不用意な発言をしない)
・場合によっては活動の中止を決断する
■事故・災害発生後、落ち着いたら
活動の終了後、出来るだけ
・事故、災害が起きた経緯をできるだけ冷静に振り返る
事故の状況が鮮明なうちに。
・事故の場合、どのような不安全状態や不安全行動があったか確認する
・不安全状態や不安全行動が生じた理由を話し合う
「犯人探し」ではなく、改
・同様の事故を防ぐために何が必要か話し合う
善のポイントを話し合います。
31
4.木工活動中の指導者の心得
木でものをつくる活動はとても楽しい作業です。その楽しさを受講者に
味わわせるためには、指導者が十分に活動内容と工程を理解し、必要な技
能を身につけるとともに、安全管理の心構えを持つことが大切です。
木工活動にはいろいろな危険がひそんでいます。とくに木工機械を使う作業では大きな事故
が起こることがあります。過度に恐れる必要はありませんが、あらかじめ指導者は作業に習熟
し、起こりうる危険を予測しておくことが必要です。
木工機械を使用する「木育」活動では、必ず指導者(木工機械使用を熟知
木材加工用機械作業主任者
した者)の立ち会いの下で行ってください。できれば、木材加工用機械作業
の資格については、都道府
主任者を配置してください。また、必要に応じて、作業を行う受講者以外の
県労働局安全課、労働基準監督署、
立ち入りを制限するエリアを設けるなど、未然に事故を防止する方法につい
各都道府県労働基準協会連合会な
て検討し、措置してください。
どにお問い合わせください。
■工作機械、電動工具を使うときの指導者の留意点
・活動前には、必ず指導者が木工機械、電動工具を作動させ、点検・確認を
しておくこと
木工機械の安全使用法は、必
ず機械を前にして、複数回説明する
ことが大切です。
・受講者が適正な服装と身だしなみであるか確認すること
・機械使用は、指導を受けた使用法以外は絶対にしない、させない
機械に巻き込まれない服装
・機械の調整(定規の位置・刃の高さ・切り込み量等)は各自で行う
を心がけます。マフラー、ネックレ
・機械の電源スイッチを入れる前に、必ず指導者の点検を受けてから使用さ
ス、長髪等にも注意します。
せる
・脇見や他人と話しながらの機械操作をしない
・自分のみならず、他人の安全にも気を配る
作業者には不必要に話しか
・機械の異常音や異常を感じたら、すぐに連絡する
けないようにします。
・機械の電源スイッチを切り、刃物の回転が完全に停止するのを目視で確認
するまで、次の動作に移らない
木工機械を使用する場合はもちろん、木工作業中は、指導者や運営スタッ
指導者は耳をすませて!
フ等が適切に配置され、作業者以外を近づけないようにします。危険度の高
経験を積んだ指導者は、視覚だけに
い機械加工(例えば丸のこ盤)の際には、専属の指導者を配置することも必
頼らず音やにおいで危険や事故を察
要です。また、指導者の目の届かないところで、刃物等の工具や機械が子ど
知し、的確に対応することができま
もたちだけで操作、使用されたり、刃物等が不安定で危険な状況で放置され
す。においや音は目の届かない場所の
たりしないように、個別の受講者への対応に集中するのではなく、会場全体
状況も判断する重要な情報です。危険
に目を行き届かせてください。
や事故が迫ると異様なにおい、音がし
活動中に必要な安全確認は、大きく書き出して張り紙にし、会場内に掲出
することで、受講者への注意換気を図りましょう。
ます。小さな変化にも気を配り、事故
を未然に防ぎましょう。
32
33
34
35
木工具を使用する場合の安全教育の例
「木育」の実施に際しての注意点
みなさんが、楽しく安全に「木育」活動(特に、木工用具
を使用する場合)に参加するために注意して欲しいことが
書いてあります。これからの作業に関係するところを事前
に読んでおきましょう。
(1)安全に対する心得
利用して固定して、材料をしっかりと固定しましょう。
(ア)作業には危険がともないますので、真剣に作業に取
(d)テーブルの場合は、滑り止めやクランプを使用
り組みましょう。
しましょう。
(イ)作業中はわき見や、おしゃべりをせず、集中しまし
ょう。
②かんな
(ウ)走ったり、わるふざけをしたりしません。
(a)こば削りやこぐち削りをする場合、材料を押さえてい
る手を削ることがあるので十分気をつけましょう。
(b)保管する場合は、刃やかんな台に油びきをして、刃を
台から少し抜いた状態にしましょう。
(c)刃の出具合は指先で確かめません。
(d)刃を引っ込めるときに落とさないように、緩んだとき
の音の変わり目に注意しましょう。
(e)刃を抜くときは、必ず人差し指などで押さえてから抜
きましょう。
(2)木工用手工具の安全な使用について
(f)材料は止め木や木工万力でしっかり固定しましょう。
(ア)使用目的にあった工具を選び、点検して使用しまし
(g)かんな削りのとき、後ろで作業をしている受講者に気
ょう。
をつけましょう。
(イ)材料はしっかり固定しましょう。
(h)かんなを使用しないときは、作業台の中央に横に寝か
(ウ)よく切れる刃物を使用しましょう。
せておきましょう。
(エ)刃物の前に手を出さず、無理な使い方をしません。
(オ)作業台の上は整理しておきましょう。
(カ)使用しないときは、刃先を痛めないよう気をつけま
しょう。
①のこぎり
(a)ひき始めは、親指の爪をあてるか、あて木を使用しま
しょう。
(b)材料が動かないように足で固定することもあります。
(c)工作台の上で切断するときは、木工万力やあて止めを
36
③のみ
(c) 作動スイッチを入れる前には必ず指導者の点検を受
(a)落とすと危険なので確実ににぎりましょう。
けましょう。
(b)刃物を作業台や机の端などに不用意に置かないように
しましょう。
(4)塗装時の安全な作業について
(c)小さな材料は、木工万力などでしっかりと固定して作
(a)有害な有機溶剤の使用の時には防護マスクをつけまし
業をしましょう。
ょう。
(d)のみの動く方向に手を置かないようにしましょう。
(b)換気を必ずしましょう。
(c)火気に気をつけましょう。
④きり
(a)きりを投げて遊んではいけません。
(b)きりの先は非常に危険なので、先端にキャップを付け
るなどして、取り扱いに注意しましょう。
(c)人に渡す場合には、柄の部分からわたしましょう。
(d)転がりやすいので、置く場所に気をつけましょう。
⑤かなづち、げんのうなど
(a)腕の振りを正しくしないと、釘や道具を持っている手
をたたくので、十分注意しましょう。
(b)周囲に人がいないことを確かめて、必要以上に大きく
振らないようにしましょう。
(c)使用する前に、金属の部分(あたま)が飛ばないよう
に、緩みがないか十分点検しましょう。
(3)木工機械の安全な使用について
①糸のこ盤
(a)糸のこの刃の張り具合を確かめてから使用しましょう。
(b)材料を強く押したり、早く送ったりすると刃が折れや
すいので、ゆっくりと動かします。
(c)糸のこの刃の前に手を置かないようにしましょう。
(d)作業中に材料が持ち上げられないように、板押さえ装
置を材料の厚さに合わせて調整しましょう。
(e)糸のこ刃の切れ刃を手前にして、下がるときに切れる
ように刃の方向を確認して取りつけましょう。
(f)作動スイッチを入れる前には必ず指導者の点検を受け
ましょう。
②ベルトサンダー
(a)粉塵を吸入する恐れがあるので作業中は防護マスクを
つけましょう。
(b)作業中は集塵機を作動させるようにします。
37
「木育推進サービスパック」とは、指導者が「木育」を体系的かつ効果
的に行うための冊子や体験教材のすべてを指します。
「特定非営利活動法人
活木活木(いきいき)森ネットワーク」では、全国各地で行われる
「木育」活動の支援のために、以下の内容物が含まれた「木育推進サービスパック」を制作し、
ホームページからのダウンロードや実物の貸し出しなどを行っています。
・「木育インストラクター・テキスト」(本書)
・「木育アクティビティシート」と「木育活動事例」
・「子どものための木工具の使い方」と「シゲノビッチ博士と学ぶ!
木材の学習」
・「木育ノート」、「木育紙芝居」、体験教材、「木育」の普及PRツール
「木育推進サービスパック」は、全国各地で行われる「木育」活動をより
「木育.jp」から「
「木育
体系的に、そして効果的に取り組めるようにするために制作されたものです。
推進サービスパック」をダウンロー
「ステップ1:触れる活動」、
「ステップ2:創る活動」、
「ステップ3:知る
ドしましょう。
活動」で構成される「木育」活動の進め方の解説とともに、ステップ毎に対
http://www.mokuiku.jp/
応したアクティビティの紹介、効果的な教材例、実践に役立つ補助教材など
から構成されています。
「木育推進サービスパック」は、学校教育での指導者や木材に一定の知識
のある木材関係者、森林インストラクターなどにご利用いただきたいと作成
しましたが、
「木育」に関心をお持ちの一般の方にも利用していただけるよ
う配慮しています。さらに、「木育推進サービスパック」を活用した「木育
インストラクター」の研修を受けることで、より円滑に、効率的に地域での
「木育」活動を計画、実施することが可能となります。
■「木育インストラクター・テキスト」について
「木育インストラクター・テキスト」は、「木育」活動の進め方や「木育
実施計画書」の作成、安全管理の方法など、楽しく、有意義な活動設計のた
めの指導者向けガイドブックです。
「木育インストラクター・テキスト」で示している「木育」の進め方は推
奨方法の一つであり、
「木育」の絶対的な方法ではありませんが、
「木育」に
関する多くの実践や経験者からのアドバイスに基づいて制作されており、よ
り効果的な「木育」活動を展開していくためのツールとして有効です。
38
■補助教材(支援ツール)のいろいろ
(1)「木育アクティビティシート」と「木育活動事例」
「木育」活動を実施するにあたり、参考となる事例を「木育アクティビテ
ィシート」と「木育活動事例」にまとめてあります。
「木育インストラク
ター・テキスト」とあわせて使用します。対象や所要時間などがわかりや
すくまとめられており、活動を選択したり、ねらいや活動の流れを決めた
りする際の参考になります。
(2)「子どものための木工具の使い方」と、「シゲノビッチ博士と学ぶ!
木材の学習」
「木育」の指導者を対象に、小中学生を指導するにあたり最低限身に付け
ておくべき木工具の解説、使用方法、姿勢・動作等作業の進め方等、木工
具使用の基本をわかりやすく解説しています。指導者の解説を要する木材
の優れた特性について、小中学生を対象とした説明を行うための資料です。
(動画のCD付き)
(3)「木育ノート」
「木育」活動やイベントなどに参加する小中学生が木材利用について、自
ら学習し、理解を深めることができます。写真やイラストを多用して解説
した、
「見てわかる」小冊子です。
(4)「木育紙芝居
~げんきくんとロボッキー・シリーズ~」
「木育」を実践するための指導者を支援する教材のひとつ。幼児向けに、
木材との出会い、木材と森林のつながりを物語で紹介します。
(5)体験教材
「木育」を実践するための指導者を支援する教材で、
「木育」イベント等
に使用がしやすい「木のタマゴ」、
「マイはしづくりの治具」、
「木育絵本」
があります。希望者には貸し出しをしています。
(6)「木育」の普及PRツール
「木育」活動を実践する指導者には、
「木育」の理念や体系等を説明し、
提供できる支援ツール等を紹介したパンフレット、
「木育」を一般の人に
普及させることを目的としたリーフレット「すくすく木育」、「Wood
体験教材は「特定非営
Start
利活動法人
はじめまして、木育」があります。
活木活木
(いきいき)森ネットワーク」
が無料で貸し出しをしています。
電話:03-5844-6272
E-mail:[email protected]
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◆ 執筆協力者一覧
総括担当
島根大学教育学部教授
埼玉大学教育学部教授
・「木育インストラクター・テキスト」
・「木育アクティビティシート」
島根大学教育学部教授
埼玉大学教育学部教授
熊本大学教育学部准教授
島根大学教育学部准教授
きまま工房 木楽里
KEM工房
環境コーディネイター
◆ 撮影協力及び写真提供、編集協力
・「木育インストラクター・テキスト」
・「木育アクティビティシート」
出雲科学館講師
岩手北部森林管理署
島根大学教育学部教授
北海道教育大学旭川校教授
埼玉大学教育学部教授
宮崎大学教育文化学部准教授
静岡大学教育学部教授
東京大学農学生命科学研究科准教授
埼玉大学大学院教育学研究科(当時)
島根大学大学院教育学研究科(当時)
きまま工房 木楽里
KEM工房
あなぶきホームプランニング株式会社
酒井産業株式会社
第一工業株式会社
パール金属株式会社
山崎教育システム株式会社
学習研究社「ドゥーパ!」編集長
◎
問合せ先・相談窓口
「木育」活動を実施するために必要
山下
浅田
晃功
茂裕
な、教材や資料等の入手先
問合せ先・相談窓口
山下
浅田
田口
長澤
井上
煙山
小寺
晃功
茂裕
浩継
郁夫
淳治
泰子
昭彦
「特定非営利活動法人
活木活木
(いきいき)森ネットワーク」内
所在地:東京都文京区後楽 1-7-12
林友ビル
電
話:03-5844-6272
FAX:03-3816-5062
Eメール:[email protected]
ホームページ:「木育.jp」
原
知子(
「ロボ木―」製作)
山下
芝木
浅田
永冨
今山
井上
鶴巻
徳光
井上
煙山
晃功
邦也
茂裕
一之
延洋
雅文
麻依子
慧
淳治
泰子
脇野
修平
(モクイクジェイピー)
http://www.mokuiku.jp/
この「木育インストラクター・テキスト」は、林野庁の平成21年度補助事業として、
「特定非営利活動法人 活木活木(いきいき)森ネットワーク」が作成しました。
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