Nuclear Executive Update - Electric Power Research Institute

Nuclear Executive Update
EPRI 経過報告書
2008 年 1 月
Nuclear Executive Update は隔月刊行です。ニュースレターに関するご意見は、ブライアン・シモラー
[email protected]、 704-595-2076 までご連絡ください。
新しい年の始まりは、将来を見据えるときです。すなわち、将来の目標を定め、その目標を達成するためには
どうすればよいか、戦略を立てるときなのです。EPRI の原子力部門も例外ではありません。来週ダラスで開
催される弊社の諮問会議では、原子力部門が直面する課題に対応し、緊急的な課題や長期的な課題に取取り組
み、目標を発展させてゆくには、弊社の研究プログラムをどのように精錬していくべきかを検討します。
弊社が特に力を入れている長期的なイニシアチブの 1 つは、初期のライセンス期間を超えた原子力施設の稼
動です。昨年 12 月、EPRI は施設の稼動期間の延長に関する意見を精査し、現状の課題を特定し、どのよう
な研究活動が求められているのかを具体的に知るために、施設の役員を対象にインタビューを実施しました。
その結果を当ニュースレターにまとめました。弊社では、この重要なイニシアチブの詳細を諮問会議で取り上
げ、また年間を通して話し合ってゆくつもりです。インタビューに参加し、この重要な試みをサポートしてく
ださった皆様に感謝を申し上げます。
また、新年にあたり、EPRI が 2007 年に達成した事項を振り返る機会を設け、こうした成果をどのように原
子力発電所の稼動、メンテナンス、およびプラニングに役立てることができるのかを検討します。EPRI は、
年間を通して研究結果を公表していますが、財源および開発サイクルは年末に集中するので、特にこの時期は
内容が豊富になります。2007 年 12 月に原子力部門が公表した技術報告書、ソフトウェア パッケージ、そし
て技術関連の最新情報は、130 件にも上りました。
EPRI が送信した最近の電子メールをご確認ください。弊社の TIP システムでは、メールの受信者に対して 2
週間に 1 度、EPRI の新しい製品の利用可能状況を電子メールで知らせ、製品のダウンロード用リンクを提供
していますのでご関心を持つ技術分野に合わせて TIP を購読することができます。まだ購読の手続きをされて
いない方は、EPRI.com へログインして TIP Electronic Product Delivery Subscription でお申し込みください。
来週、ダラスでお会いすることを楽しみにしております。EPRI への投資の最適化に関する詳しい情報をご希
望する方は、水曜日 午前 10:00 に Garden Court III ルームで開催される会議にご参加ください。この会議で
は、技術移転を支援する最新ツールについて検討いたします。
2008 年が皆様にとって幸せとご健康に恵まれる年となりますように。
敬具
クリス ラーセン
副社長、原子力部門最高責任者
EPRI 原子力部門
Nuclear Executive Update: 1
技術的ハイライト
原子力発電所の長期稼動に関する意見の調査結果
施設役員 47 名を対象としたアンケートでは、60 年を超える発電所稼動を支持する意見が幅広く得られました。
2007 年 11 月と 12 月に、EPRI は原子力発電所の長期稼動に関する意見を調べるために、米国施設の役員 47
名を対象にインタビューを実施しました。この調査は、業界の重要な課題に対応するために必要で、共同の研
究活動により恩恵を受ける可能性がある先端の技術や方法を調査する EPRI のマーケティングと技術革新に関
するイニシアチブを補うものです。
インタビュー対象者の多く(85% 以上)が、自社の発電所が 60 年過ぎても稼動を続行する可能性が少しでも
あると回答し、インタビュー対象者の半数以上は 60 年以上稼動する可能性は極めて高いと回答しました。こ
うした結果は米国に限定した少数の意見に基づくものですが、長期にわたる原子力施設の稼動を支持する意見
が強いことが示されています。22 社 の企業を代表してインタビューを受けた対象者の内訳は、原子力部門の
最高責任者の 13 名、最高経営責任者 (CEO)および最高執行責任者 (COO)の 7 名、エンジニアリング部門担当
役員の 10 名、そして戦略およびプラニング担当役員の 4 名です。内部の一貫性を確保するために、参加企業
22 社のうち 15 社からは複数の対象者をインタビューしました。
インタビューの対象となった役員の大多数は、自社の発電所が 60 年を超えて稼動続ける可能性は少しでもあ
ると回答しています。60 年を超える稼動について言及される主な理由は、今後の電力需要を満たす経済的で
カーボンフリーの電力供給源としての発電所の価値、および資金が投じられて実証された施設の稼動メンテナ
ンスのコスト効率によるものです。発電所の長期にわたる稼動について消極的な意見の主な要因は、技術上お
よび経済上の懸念です。また法規上の不透明さと政治情勢も挙げられます。
インタビュー対象者の 3 分の 2 が、発電所の長期間にわたる稼動の最大の課題として発電所の信頼性を挙げ
ています。発電所の信頼性に対する具体的な懸念として、資材の老朽化/劣化、冶金、欠陥の検出、コンクリ
ートの老朽化、構造用鋼材、ケーブルやパイプへの放射能の影響が挙げられています。規制上の問題や老朽化、
労働力の問題は、長期間にわたる稼動にとって重要な課題であるが、対処可能であると判断されています。イ
ンタビューの対象となった役員のおよそ 3 分の 2 は、新世代の代替事業との競合は、発電所の長期間にわたる
稼動にとって重要な課題ではないと考えています。
インタビューでは、60 年を超える発電所の稼動に関する技術的な問題の特定や、解決における EPRI の役割
についての意見も求められました。そして EPRI に対し、主要な技術的課題を特定して取り組むこと、および
そうした課題を解決するために政府と業界の相互関係を促進することを期待しているという意見が得られまし
た。発電所の信頼性に関わる課題の長期的な性質は、EPRI の研究プログラムの協力的、分野横断的、および
技術的な性質に符合します。 産業界がエネルギー省および原子力規制委員会と発電所の長期稼動に関し 密
接に提携し始めたことにつき、インタビュー対象者の 70%以上が EPRI および原子力エネルギー協会へ積極
的にアドバイスを提供し、協力したいと述べています。
詳細はについては、チャーリー・メンジャーズまでメール [email protected]、もしくはお電話 (610-4299834 内線 17 番) にてお問合せください。
Nuclear Executive Update: 2
60 年以上経過しても発電所のライセンス更新を行う可能性 (パーセント単位)
Very likely
可能性は極めて高い
55
Somewhat likely
可能性が多少はある
32
Not too likely
可能性はあまりない
2
Not at all likely
可能性は全くない
0
Depends
on the plant
発電所による
6
Not sure
分からない
4
0
10
20
30
40
50
60
70
東京電力による地震発生後の評価プロセスを EPRI が大幅に支援
EPRI の技術支援は 2008 年も続けられ、発電所の評価と地震の影響および設計配慮に関する業界の幅広い意
識をサポートします。
2007 年 7 月 16 日に東京電力 (TEPCO) 柏崎刈羽原子力発電所
付近で発生した地震は、周辺地域に多大な被害をもたらしまし
た。発電所の被害は小規模であったものの、地震発生時稼動中
であった 4 機 (全部で 7 機) が自動的に停止しました。地動記
録では、発電所の全機が設計レベルを超えたベースマットの動
きがあったことを示していました。大きな地動であったのにも
柏崎刈羽原子力発電所
関わらず、地震後に実施された多くの評価によると発電所は安全関連の構造物、系統および機器では目視確認
できる被害は見当たらず、正常に作動していたことが指摘されています。
EPRI は 終始 TEPCO の評価プロセス をサポートし、TEPCO 自体の取り組みを補足する支援を提供しました。
また、原子力産業全体にとって価値のある地震に関連する見識を提供しました。
•
EPRI は 地震発生直後に TEPCO の短期的な評価に関する必要性を検証するために、地震プログラム マネージャ
と専門家を 派遣しました。また EPRI は 地震の被害に関する地震学的研究や技術報告書を提供し、TEPCO が地
震後の評価などを実施できるように手配しました。
•
9 月末には、TEPCO の初期評価に引き続き、専門家による同様の評価と発電所の目視点検を実施し、独自の評
価内容を提出しました。専門家による評価チームは、特に各機器における地震学的見地に重点をおいた様々な構
造物、システムおよびコンポーネント (SSC)についてプラント ウォークダウンを実施しました。ウォークダ
ウンで、目視確認できる被害は防火パイプや排気ダクトの接合部、事務所の中の様々な非安全関連の機器に見ら
れましたが、安全関連の機器には見られなかったことが明らかになりました。また、非安全関連の電気スイッチ
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ヤードとオフサイトの発電施設におけるウォークダウンでは、目視確認できる基盤の沈下や損傷はなく、すべて
の設置状態には目視確認できる損傷はないという結果でした。 評価チームは複数個所で地盤沈下を観察しまし
たが、安全関連のシステムやコンポーネントには明らかな影響はありませんでした。EPRI は、2008 年初頭に専
門家によるウォークダウンプロセス、調査結論、および学んだ教訓について説明する Technical Update を発行
する予定です。
•
EPRI は地表、ベースマット、および構造物の動きの記録、米国と日本の地震基準の比較、そして評価結果の展
開に伴う発電所施設の専門的知識等の詳しい評価を含む 2008 年度におけるサポートの提供について TEPCO と
協議中です。
•
EPRI は、原子力発電所における地震発生時の影響に関する意識を高めることを目的として、2 月に日本で開催
される国際公共フォーラムに共同スポンサーおよび会議共同議長、そしてテクニカルプレゼンターとして参加し
ます。「原子力発電所の耐震安全性・信頼性に関する国際シンポジウム」は、日本原子力産業協会 (JAIF)、日本
原子力技術協会 (JANTI)、および電力中央研究所 (CRIEPI) が主催します。米国でオープンな意見交換を維持す
るため、EPRI は、原子力発電運転協会および原子力エネルギー協会と連携し、日本の地震情報および評価グル
ープ (Japan Earthquake Information and Assessment Group) に積極的に参加します。
EPRI の技術的貢献は、TEPCO 柏崎刈羽原子力発電所の地震後評価プロセスに具体的な利点を迅速に提供し、
主要な発電所の設備とシステムの稼動および安全能力に対する信頼の向上に繋がることでしょう。EPRI は、
柏崎刈羽発電所で分析を実施することで、発電所施設の強度と耐震設計の確認が行われると考えています。広
範囲な業界の見地から見て、EPRI の貢献は激しい地動に対応するため、頑丈な耐震設計が施された発電所施
設の性能に関する知識を飛躍的に向上させることでしょう。こうした努力から得られた情報は、地震発生後の
発電所の評価に対する基準を向上させる機会を提供する可能性があります。
詳細については、ジェリー・ケーナガン (メール [email protected]、電話番号 717-872-6697)、もしくは
ボブ・カッサワラ (メール [email protected]、電話番号 650-855-2775) までお問合せください。
施設とベンダーの積極的な関与が求められる 高度核技術 (ANT) プログラム。
新しい原子力発電所の配置に対する関心が高まり、ANT プログラムはすでに 200 万ドル以上の資金を得なが
ら、2008 年中頃までには更に 200 万ドルから 300 万ドルの追加資金が見込まれています。
2007 年 10 月、EPRI は新しい原子力発電所の幅広い展開をサポートするため、高度核技術 (ANT) の補足的プ
ログラムを開始しました。最先端の原子力発電所を追加するということは、理論的に実行可能な二酸化炭素排
出削減計画を実現するための重要な技術的要素として考えられています。ANT プログラムは、世界中に新し
い改良型軽水炉 (ALWR) の許可や建設、開始に影響を与える可能性のある規制問題や経済的、技術的、さら
に社会的問題に焦点を当てます。2007 年 10 月以降、EPRI は 200 万ドル以上の資金契約を締結しており、
2008 年中旬までには更に 200 万ドルから 300 万ドルの追加資金を見込んでいます。現在参加している施設に
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は、AmerenUE、Dominion、DTE Energy、Duke、Entergy、Exelon、PG&E、PPL、PSE&G、そして
Southern が含まれます。
ANT プログラムは参加メンバーに対し、 新しいユニットを効率的に稼動させることのできる重要なツールや
製品をオンラインで提供します。稼動開始から想定されている利用率 90% を達成することは、オペレータに
とって大きな課題となっています。新しい ALWR の多くには、受動的再循環や受動的緊急炉心冷却装置など
の革新的な技術が組み込まれているので、施設にリスクを課すラーニングカーブが予測されます。既存の米国
原子力フリートは利用率 90% を維持するために 30 年かかりました。
中心となる ANT プログラムの目的は、施設が新しい ALWR を展開する際のリスクの識別、そしてそうしたリ
スクを最低限にするソリューションの開発を支援することです。2007 年、ANT プログラムは、GE 社の革新
型単純化 BWR の使用に提案された資材について積極的で組織的な検査を行うために、資材管理マトリックス
プロジェクトを開始しました。当プロジェクトでは、操業経験や既存の研究開発を通じた資材の素質と限度へ
の理解度を深め、現在存在する固有リスクを相殺もしくは軽減する機会を特定します。こうした情報によって、
原子力施設は、原子炉設計の仕上げにおいてベンダーとより密接に提携し、世界規模で新しい ALWR の認可、
建設および稼動の開始を促進することができます。Westinghouse 社 AP1000 原子炉や Areva 社 USEPR 原子
炉に対応するマトリックス開発についての 2008 年度の評価は現在遂行中です。
ANT プログラムは、新発電所の設置における原子炉蒸気供給システム ベンダーの役割の重要性を認識し、
EPRI の技術を新発電所の設計に転送する流動型アプローチを設立しました。ベンダー アクセス プログラム
(VAP) は、EPRI 認定資材や知的財産を発電所の標準化設計や新発電所の提供に使用したり組み込むことがで
きるように、正確かつ合法的な方法でベンダーに提供することを促進しています。VAP への参加を通じて、
原子力ベンダーは指定された EPRI 製品へのアクセス許可を得て、知的財産を活用することができます。これ
らの製品は、原子力発電所および機器設計活動に価値を付加する特定の分野横断的な技術問題を解決します。
EPRI は現在、すべての主要ベンダーとこの重要なプログラムへの参加について協議しています。
2008 年、ANT プログラムは、リスクの緩和や耐震解析、資材分析、そして非破壊評価を含む新しい発電所の
設置をサポートする重要部分の多くに携わり始めます。プログラムに関する詳細については、トム・マルフォ
ードまで電話 650-855-2766 もしくはメール [email protected] にてお問合せください。
EPRI は、鋳造オーステナイト系ステンレス鋼配管で検査制限を打開する新しい技術を追求します。
原子炉冷却材ループ配管の体積検査では、従来の超音波法にいくつかの資材的で物理的な問題があることを示
され、新しい検査技術が求められています。
法規による必要条件では、機器の体積に潜在的な欠陥があるかを識別するため、加圧水型原子炉 (PWR) の原
子炉冷却材ループ (RCL) 配管における溶接検査が義務付られています。RCL 配管の体積検査では、従来の超
音波法に対する資材的で物理的な問題が示されています。EPRI は、従来の方法に対する強化策、および検査
性能を増進し、査察活動に使用される欠陥サイズの目安をより現実的にする新しい技術を調査しています。
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RCL オーステナイト鍛鉄配管で一般的に実施される非破壊体積検査法は従来の超音波深傷検査ですが、PWR
で使用される RCL 配管には、機器によって構造の異なる可能性があり、同じ配管セクションでも場所によっ
て構造が異なる荒い粒子の鋳造ステンレス鋼資材 (CSS) が含まれています。こうした異方性の粗粉構造が従
来の検査法に適用された場合、超音波エネルギーを削減してしまうので、欠陥検出および識別に対する信号対
雑音比を正確に検出することができなく
なるのです。さらに、多くの RCL 配管
溶接部はその形状により片側からのみ検
査を実施することしかできません。この
ような一方向のアクセスは超音波をより
多くの資材に通すことを余儀なくさせ、
分析者が得るデータの量が制限されてし
まいます。
鋳造粒子構造
過去 20 年以上にわたり開発された体積検査の解決法は、調査委員の粒状組織を予測する能力によって上限が
あり、非破壊的な方法で判断することは難しい場合があります。CSS 資材に影響されることの少ないシグナ
ルを生成する低周波の超音波振動子ではいくつかのケースで前途有望な結果を得られていますが、解像度が乏
しいのが難点とされています。その他に見込まれる解決法として亀裂を軽減するための溶接重層修理を先に施
して外側から検査しやすいように形状にし、検査が必要な体積に含まれる CSS 資材の量を削減する方法があ
ります。しかしこの方法はコストや作業員の被ばくの問題があり、発電所が停止している間にしか実施するこ
とができません。
検査方法の開発および評価には現実的なモデルが必要とされます。昔ながらの鋳造ステンレス鋼資材 PWR 原
子炉冷却材ループ配管を扱う業者を見つけることは極めて難しく、コストもかかります。さらに、技術評価用
として信頼のおける欠陥モデルを製造する技術はまだ開発されていません。目安となる欠陥サイズの測定は古
くなった状態での負荷状態や硬度によって異なり、CSS 資材は PWR 運転温度 (288 – 343°C) で、熱劣化の影
響を受けやすくなっています。また、硬度劣化には化学物質含有量 (低もしくは高モリブデン) および資材組
成 (デルタ ファライトの比率など) の作用もあります。
検査の目安となる欠陥を増やすことで検査の信頼性やより敏感な CSS 機器の特定が可能になるでしょう。最
終的には、CSS 機器の長期構造的完全性は検査技術の向上、欠陥許容範囲評価、そして敏感な機器のより現
実的な目安の欠陥サイズに適合する定期点検を組み合わせることで管理することができると予測されます。
詳細については、パトリック・オレーガン (電話番号 508-497-5045、メール [email protected])、またはマ
ーク・デニス (電話番号 704-595-2151、メール [email protected]) までお問合せください。
EPRI は発電所のコスト削減のために計器と管理戦略を特定します。
原子力発電所は 古い I&C の老朽化管理のガイダンスにより 計測制御 (I&C) の交換および近代化について決
断することができます。
米国内の原子力発電所 I&C 設備のほとんどは老朽化が進んでおり、それによって課題とチャンスの両方が生
じます。 既存のアナログ設備の信頼性は薄れ、管理がより困難なものになりました。施設と I&C サプライヤ
ーでも、人員削減や定年退職などにより設備に関する専門知識や根本的な技術が失われています。発電所の延
命には I&C の交換や近代化に徹底的に取り組むための長期的な戦略が必要とされています。最近の EPRI 報
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告書「Instrumentation & Control Strategies for Plant-Wide and Fleet-Wide Cost Reduction: Utility Application
Guideline (報告書番号 1015087)」では、発電所に特化した I&C 戦略の開発における実用的なガイダンスが提
供されています。従来の I&C 技法の先を見通すことで、I&C の技術進歩は発電所の信頼性および性能の向上
へと結びつき、資産価値を上げ、フリート全体そして施設の全面的な成功に貢献します。
数十年前の I&C 設備を更新することは、新しい技術の拡張機能を開発する機会をもたらします。I&C システ
ムが発電所の全エリアに及ぶことから、近代的なデータ処理やコミュニケーション能力を老朽化管理プログラ
ムの一環として実践することによって小額の増分投資で大きなコスト削減の機会を作り出すことができます。
例えば、特定システムに対する I&C の交換で「同種」機能を持つデータ コミュニケーション ネットワークを
追加することが必須ではない場合でも、デジタル技術の新機能への可能性を開くことになります。さらに、後
に実施する別のシステムの更新でもデジタル機能を利用することができます。
原子力発電所の I&C を近代化することにはリスクが伴います。コストがかかる上、スケジュールがずれる可
能性や計画費用が大きく超過する恐れがあります。アナログ技術からデジタル技術への移行には新しいスキル
や最新のプロセスが必要になります。予期しないラーニングカーブや災難は遅延や作業のやり直し、不注意な
発電所のトリップを含む望ましくない出来事などに何百万ドルものコストがかかる場合があります。現在の運
転体制は膨大で不必要なコスト増をもたらすことが多いため、こうした問題をさらに解決するための改善が必
要とされます。EPRI の報告書には NSSS サプライヤー、I&C 設備サプライヤーおよび業界コンサルタント
からの I&C アップグレード プロジェクトに対するコスト切り下げやプロジェクトのリスク管理で得た教訓が
記載されています。
報告書では、システム構築および利益に関する 1) 技術、プロセス、組織に普及する変化を投資することで長
期維持管理 (O&M) メリットの可能性を最大限にする積極的な戦略、そして 2) 投資資本の上限および変化を理
解する組織能力の中で老朽化設備の管理を向上させる資源制約型戦略の 2 種類の戦略を対比しています。分
析によると総合的な I&C 近代化によって O&M 職員を最大 18% 削減することができる結果になりました。こ
れは一般的な発電所で毎年 1100 万ドルの節約に相当します。現在の近代化された運転体制で大きなメリット
を得るには基盤やソフトウェア、統合に 1 億 2000 万ドル以上が必要になるでしょう。代案として、統一 I&C
構築とシステムの段階展開を統合させたより小規模な投資で I&C の老朽化による施設の被害を良好なコスト
効率で管理することができます。それぞれの場合、幅広い市場で入手できる商用のハードウェア、ソフトウェ
ア、および機器をベースにしたソリューションとなります。
詳細については、レイ・トロックまで電話 650-855-2776、もしくはメール [email protected]. にてお問合せく
ださい。
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I&C 近代化の影響
NMAC はスロバキア施設の加入にあたり、VVER 原子炉へのプログラムの適用性を延長します。
2007 年末に NMAC に加入したスロバキア電力 (Slovenske Elektrarne) は 5 機の VVER 原子炉を 2 ヶ所の複
合ユニット サイトで運転しています。
EPRI の原子力メンテナンス アプリケーション センター
(NMAC) では過去 10 年の間に、適用性をグローバルに拡張
してきました。スロバキア共和国のスロバキア電力
(Slovenske Elektrarne) の加盟により、NMAC のメンバーは
16 ヶ国、原子力ユニットは 300 機以上になりました。
NMAC を通して開発された原子力設備技術、プログラム、プ
ロセスの大半は固有の名称はなく、VVER を含む複数の原子
炉設計に直接適用することができます。こうした一般性は、
協力関係の促進やリソースの活用、そして業界の国際的な原
子力技術の上方ベースの向上において素晴らしい機会を提供
します。
スロバキア電力は 3 機の VVER をボフニチェ、2 機をモホフチェで稼動させています。水冷却 - 水減速型
VVER (vodno-vodyanoi energetichesky 原子炉) 技術は旧ソビエト連邦やその衛星国、そして現在のロシア
連邦によって開発および活用されていた一連の加圧水型原子炉を参考にしています。VVER の構造は、欧米型
の PWR に類似し、一次冷却材ループおよび蒸気発生器付きの二次ループが付属しています。現在およそ 20
機の VVER が稼動しており、その総容量は約 11,000 メガワットになります。
VVER の設計は、他のソビエト設計 RBMK (reaktor bolshoy moshchnosti kanalniy、「高出力チャンネル」を
意味する) と大きく異なります。RBMK シリーズは、現在は使用されていないクラスの黒鉛減速原子炉です。
1986 年のチェルノブイリ発電所 4 号機の事故以来、RBMK 設計、そしてソビエトで設計されたすべての原子
炉は厳密な調査の対象となっています。
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NMAC 製品は、VVER 原子炉に幅広く適用できます。電動機や給水加熱器、開閉装置、そしてその他のシス
テムのメンテナンス ガイドは、PWR 原子力発電所の設計です。スロバキア電力は、ガスケットの密封性、バ
ルブ管理、そして施設による予防的、予想的、および条件的なメンテナンスの組み込み支援する予防保全基準
ソフトウェア (Preventive Maintenance Basis Software) パッケージなど、いくつかの具体的な EPRI の製品に
も興味を示しています。
詳細については、マーティ・ブリッジスまで電話 704-595-2175、もしくはメール [email protected] にてお
問合せください。
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