Ⅱ ハードウェアの構成と機能 Ⅱ-1.

情報科学 2005
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ハードウェアの構成と機能
Ⅱ-1.ハードウェアの構成
① CPU
② 主記憶装置(メモリ)
④ 入力装置(キーボードなど)
③ 補助記憶装置(ハードディスクなど)
⑤ 出力装置(ディスプレイなど)
Ⅱ-2.CPU(中央処理装置)
(1) CPUとは
中央処理装置。コンピュータの中心となって処理をする中枢部分。周辺機器を制御してデータを受け
取り、演算・加工して、記憶装置や出力装置に結果を送る一連の動作を行う。機能は、演算処理および
プログラム、入出力、その他各種機器の制御。
(2) 最近のCPU
① Celeron
安価なPentiumとして登場した。低価格機で多用されている。
② Pentium 4
最新の高速CPU。現在の主力CPU。
③ Athlon・Duron
Intel互換CPUメーカの AMD社が開発したCPU。低価格パソコンのCPUとして採用.
④ Crusoe
トランスメタ社が、開発したモバイルパソコン用CPU。Intel互換で、低消費電力が特徴。
⑤ PowerPC G5シリーズ
IBMとアップル社の共同開発による64ビットCPU。Macintoshで使用。
Ⅱ-3.メモリ(記憶)システム
(1) メモリとは
コンピュータ本体の中にあって、プログラムやデータなど様々な情報を記憶しておく場所。
(2) 主記憶装置(メインメモリ)
(a) ROM (Read only memory)
-
CPUが直接読み書きできる記憶装置。
読み出し専用メモリ。電源を切っても内容が消えない。
(b) RAM (Random access memory)
随時アクセスメモリ。データの読み出しと書き込みが可能だが、
データ保持の電源供給が必要な半導体メモリ。
(3) メインメモリの種類
(a) SIMM (Single inline memory module)
いくつかのメモリチップを小さな基盤に搭載しモジュール化したもの。ピンの数により、
30ピン、72ピンなどの種類がある。現行機種では、使用されていない。
(b) DIMM (Dual inline memory module)
いくつかのメモリチップを小さな基盤に搭載しモジュール化したもの。ピン数は、168。最近のパ
ソコンで一般的に使用されているメモリモジュール。規格は、マザーボードに依存しており、現在
使われているものでは、DDR SDRAMと呼ばれるPC-2100 (266MHz)、PC-2700(333MHz)、PC-3200(400M
Hz)、およびDDR2 SDRAMと呼ばれるPC-4000(500MHz)がある。アップル社のMacintoshと他のWindows
機では、動作電圧が異なるので転用ができない点に注意が必要。
(c) RIMM (Rambus in-line memory module)
RDRAMやDirect RDRAMで使用されるメモリモジュールの規格。動作速度は、600~1066MHz。DIMMに似
ているが互換性はない。価格が高いなどの理由から、採用しているパソコンは少ない。
(d) SO DIMM (Small Outline DIMM)
ノートパソコンなどで使われているDIMM。ピン数は、144。
(4) 補助記憶装置(外部記憶装置)
記憶装置のうち、主記憶装置を除くものの総称。何らかのインタフェースを介してCPUにコントロール
されている。
① 磁気ディスク装置 (Magnetic disk unit)
ハードディスク、フロッピーディスク、Zip、SuperDiskなど
② 磁気テープ装置 (Magnetic tape unit)
データカートリッジ、DAT、8mmテープ、カセットテープ、など
大容量だが読み書きが遅く、バックアップが主用途
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③ 光ディスク装置 (Optical disk unit)
CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、PDなど。大容量データの配布用として普及
④ 光磁気ディスク装置 (Magneto-optical disk unit)
MO、MDデータなど。大容量、可搬型媒体として利用が進んでいる。
(5) ハードディスク装置 (Hard disk unit)
①構造
② ハードディスクの規格
◇SCSI (Small computer system interface)
◇IDE (Integrated device electronics)
・IDE
容量528MB以下、2台以内、CPU性能に依存。ハードディスクのみ接続可。
・EIDE (Enhanced IDE、拡張IDE)
容量8.4GB以下、4台以内。高速。
・ATAPI (AT attachment packet interface)
EIDE規格の一種。CD-ROMやMOなど他の機器の接続も可能になった。現在の一般的な規格。
◇Ultra SATA (Ultra Serial AT attachment)
ATAPIの次世代規格として実装が始まった新規格。最大転送速度は、150MB/S以上。
接続用コネクタ、電源などの規格が従来のIDEとは異なる。
(6) 光ディスク装置 (Optical disk unit)
金属薄膜の円盤にピットと呼ばれる穴を開け、レーザー光を当てて、反射してくる光の変化で信
号を読みとるタイプの媒体
(a) 光ディスクの分類
① 再生専用型 (Read only)
LD (Laser disk)・CD (Compact disk)・MD (Mini disk)・CD-ROM・DVD-ROM
② 追記型 (Write once)
CD-R・DVD-R
③ 書き換え可能型 (Erasable)
CD-RW・DVD-RAM・DVD-W・MO・MDデータ
(b) 主な光ディスク
最近では、CDを元にした記憶媒体が主流。CDは、直径12cm、容量650MB程度のも
のが基本型。コンピュータ用記憶媒体として広く利用されている。
① CD-DA (CD-Digital Audio)
一般にCDと呼ばれているもの。音楽用。
② CD-ROM (CD-Read Only Memory)
コンピュータ用CD。
③ CD-R (CD-Recordable)
書き込み可能なCD。一度書き込んだデータは消去できない。
④ CD-RW (CD-ReWritable)
データの消去、書き換えが可能なCD。
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⑤ DVD (Digital Versatile disk, Digital Video disk)
現在のCDやCD-ROMと互換性を保ったままビデオを記録するための規格。容量は4GB前後が主流。
下記のほか、後発の規格としてDVD+RとDVD+RWがある。
DVD-ROM : 再生専用
DVD-RAM
: 書き換え可能型、最も初期の製品
DVD-R : 追記型、互換性低
DVD-RW
:書き換え可能型、現在の主流
(c) 速度表記
光ディスクの速度表記「n倍速」は、最外周でのデータ転送速度が、標準速のドライブの速度であ
る150KB/s の何倍になるかで示される。現在は、デスクトップ用で48~60倍速、ノートブック用で12
~24倍速。
(7) 光磁気ディスク装置
レーザー光と磁場を利用し、高密度で情報を記録できるようにした記録媒体。
(a) MO (Magneto-optical disk)
(b) MDデータ
光変調方式によりデータの読み書きを行う光磁気ディスク。
ソニーが開発した磁気変調式光磁気ディスク。材質はMOと同じ。140MB。
(8) 磁気テープ装置
テープの表面に磁性体を塗った記録メディア。ランダムにデータを取り出すのが難しいので、バ
ックアップ用が主流。
① 大型計算機用
1/2インチ幅(1.27cm)、フルサイズで2400ft(734m)など
② パソコン、ワークステーション用
QIC (Quarter inch cartridge)、DAT (Digital audio tape)
(9) その他の補助記憶装置
(a) フロッピーディスク (Floppy disk)
(b) フロプティカルディスク装置 (Floptical disk unit)
2HDフロッピーディスクの記録密度(135TPI)を約10倍(1245TPI)にあげ、光学系の利用によりヘ
ッド位置をコントロールする。サイズは3.5インチ。
(c) 大容量リムーバブルメディア
① zipドライブ
米国Iomega社が開発した100Mバイトフロッピードライブ。1998年には250MBの製品も登場した。
② PD
松下電器産業が開発した650MB相変化型光ディスク。ドライブはCD-ROMドライブ
としても利用できる。
③ SuperDisk (旧名 LS-120)
松下寿電子工業と米国のメーカが共同開発した120MBの大容量フロッピーディスク。
ドライブは、3.5インチフロッピーも読み書きできる。Windows98から標準でサポート。
(d)フラッシュメモリ (flash memory)
不揮発性ROMメモリの一種で、大容量化に向いている。代表的なものでは、デジタルカメラ、モバイル機
器などで普及しているスマートメディアやコンパクトフラッシュなどがある。最近では、携帯用記憶媒体と
して、安価に入手できるものが増加している。
①スマートメディア
デジタルスチルカメラなどの携帯機器をターゲットとして東芝や三星電子が中心となって開発した
小型フラッシュメモリ。16MB~128MBなどの種類がある。
②コンパクトフラッシュ
SanDisk社が開発した小型フラッシュ・メモリ・カードの規格。デジタルスチルカメラの記録用メモリ
として普及している。
③メモリスティック
ソニーが製造しているフラッシュメモリタイプの記録メディア。4~128MB。
④SDメモリカード
SanDisk社、松下、東芝の3社が共同開発したメモリカードの規格。音楽のオンライン配信に適した著
作権保護機能を内蔵。16~512MBの製品が市販されている。
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Ⅱ-4.入力装置
(1) 文字入力装置
(a) キーボード (Keyboard)
① キー配列
JISキーボード(英語版 81または101キー、日本語版 86または106キー)
新JISキーボード、親指シフトキーボード(富士通)など
最近のWindows機では、3つの特殊キーが追加されている。
② 形状
アジャスタブルキーボード(Apple)、TRONキーボードなど
(b) 手書き入力装置
ペンコンピューティング
(2) 認識装置
(a) 光学式文字読み取り装置 (OCR, Optical character reader)
(b) 光学式マーク読み取り装置 (OMR, Optical mark reader)
(c) バーコードリーダー (Barcode reader)
(d) 磁気インク文字読み取り装置 (MICR, Magnetic inc character reader)
(e) 音声認識装置 (Voice recognition system, speech recognizer)
(f) カードリーダー (CR, Card reader)
(3) 図形入力装置
(a) デジタイザ (Digitizer)
(b) タブレット (Tablet)
(c) イメージスキャナ (Image scanner)
写真や書類などの視覚的な情報を読みとり、画像をデジタルデータにする装置。
① フラットベッドスキャナ(コピー機方式)
② シートフィードスキャナ(FAX方式)
③ ハンディスキャナ(手動)
④ フィルムスキャナ
(4) 座標入力装置 (Pointing device)
(a) マウス (mouse)
(b) トラックボール (track ball)
(c) トラックパッド (track pad)
(d) スティック型ポインティングデバイス(stick-type device)
(e) ジョイスティック (joystick)
(f) ライトペン(lightpen)
(g) タッチパネル(touch panel)
Ⅱ-5.出力装置
(1) プリンタ (Printer)
(a) プリンタの種類
① 印刷単位
シリアルプリンタ (serial printer)、ラインプリンタ (line printer)、
ページプリンタ (page printer)
② 印刷方式
インパクトプリンタ (impact printer)、ノンインパクトプリンタ (non-impact printer)
③ 文字の構成方式
ドットマトリクス方式 (dot matrix)
(b) インパクトプリンタ
① ドットインパクトプリンタ
(dot-impact printer)
ワイヤマトリックス方式など
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(c) ノンインパクトプリンタ
① 感熱式プリンタ (thermal printer)
② 熱転写式プリンタ (thermoelectric printer)
昇華型熱転写方式
溶融型熱転写方式
③ インクジェットプリンタ (ink jet printer)
電気機械変換方式
電気熱変換式(バブル
ジェット方式-Canon)
④ ページプリンタ (page printer)
レーザプリンタ (laser printer)
(2) プロッタ (plotter)
設計図などの出力に利用される
(a) 種類
① インクジェットプロッター
② カッティングプロッター
(3) ディスプレイ
(a) CRTディスプレイ
(b) 液晶ディスプレイ (LCD, Liquid crystal display)
①
単純マトリクス型
初期の液晶ディスプレイ。現在は、ほとんどない。
② アクティブマトリクス型
高画質で応答速度に優れるが、コストが高い。
現在の主流。
(c) プラズマディスプレイ
プラズマ発光管を利用したディスプレイ。カラー化が可能となり、パソコンだけでなく、一般の
テレビにも採用されている。徐々に安価になりつつある。
(d) ELディスプレイ (ELD, Electroluminescent display)
(4) グラフィックスカード(Graphics accelerator)
メインメモリからビデオメモリへのグラフィックデータ伝送をCPUを介さずに高速で行う装置。
Windowsの登場とともに出現し、現在のパソコンには必ず装備されている。
(a) ビデオカードの基準
VGA (Video graphic array)
640 x
480 ドット
S-VGA (Super video graphic array)
800 x
600
XGA (Extended graphic array)
1024 x
768
S-XGA (Super extended graphic array)
1280 x 1024
UXGA (Ultra extended graphic array)
1600 x 1024
QXGA (Quad extended graphic array)
2048 x 1536
(b) データの圧縮/伸長規格
JPEG (Joint photographic coding experts group)
カラー静止画像の圧縮方式
MPEG1 (Moving picture coding experts group 1)
カラーデジタル動画の圧縮方式。転送速度1.5Mビット/s、VHS程度の画質で、CD-ROM等を対象。
MPEG2
転送速度数M~数十Mビット/sで、放送向けの品質を持ち、DVD-Videoでも使われている。
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MPEG4
現在、策定中の規格。転送速度数十kビット/sの超低速を対象とし、移動体通信などに用いら
れる予定。
Ⅱ-7.その他の装置
(1) PCカード
当初は、JEIDA (日本電子工業振興協会)とPCMCIA (PCメモリカード国際協会)の2種類があった
が、現在は統一をはかっている。最新の仕様は、PCMCIA2.1/JEIDA4.2。メモリカードから普及をはじ
め、モデムカードや、ハードディスク内蔵カードなどがあった。最近は、マザーボード上にほとんど
の機能が実装され、使用する機会が減っている。基本規格は、幅54.0mm、奥行き85.6mm。
(2) 増設ボード
基本仕様に含まれていない機能を付加するために取り付ける小型のボードで、本体後方に取り付け
用スロットがある。マザーボードとの間は、バスと呼ばれる配線で接続され、最近は、ローカルバス
で接続するものがほとんどである。
●ローカルバス
① VL-Bus
② PCI バス (Peripheral component interconnect)
インテル社が提唱し、もっとも普及しているバス規格。バス幅は、32~64ビット。
③ PCI-X バス
サーバ用のPCIバス規格。バス幅は64ビットで、データ転送速度は、PCIより格段に速い。動作
電圧・スロットの形状が異なるので、PCIとの兼用はできない。
④ PCI Expressバス
シリアル伝送を採用した、次世代PCIバス規格。
⑤ AGPバス (Accelerated graphics port)
インテル社が発表した32ビットのビデオ表示回路用の規格。従来のPCIバスから切り離
すことにより、大量のデータを高速で転送でき、3D表示が可能となった。
(3) 無停電電源装置 (UPS)
停電によるコンピュータのシステムダウンを防止するために用意する予備電源装置。
バッテリにより5~30分程度電源を供給し、その間にシステム終了処理を行う。
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