教養科目「開発途上国の環境と開発事例研究」 リスク管理計画 2006 年 8 月 24 日 宮田春夫(国際センター) 8 月 24 日版の 8 月 18 日版との違い ・タイについての外務省の危険情報が 8 月 23 日に改訂されたため、それを掲載。その中で特 に注意すべきは、今年に入ってから睡眠薬強盗被害が、昨年の 2 倍のペースで急増している こと。これに応じ、「1. リスクの内容」の関連部分を改訂した。 8 月 18 日版の 8 月 3 日版との違い ・マダガスカルについての外務省の危険情報が 8 月 10 日に改訂されたため、それを掲載。こ の改訂による変化の主要点は、政治情勢・経済情勢によっては集会等が行われる可能性があ るとしていたものが、集会等が行われることを前提にした表現になったこと。但し、8 月 10 日の現地日本大使館からの連絡によれば、反政府側の資金不足のため、9 月は情勢が落ち着 いた時期になると見られるとのこと。 ・8 月 10 日に、現地日本大使館から、最近、アンタナナリボ及びアンチラベの高原のみの滞在 で日本人がマラリアにかかった事例があるとの連絡を得たので、それを記載。 ・同時に、医務官が体調を崩して離任し、医務官不在状態になったとの連絡を得たので、それ も記載。 ・なお、「チクングンヤやデング熱が流行しているとの新聞報道があるが、実際には目立った 流行はない。 」との情報も大使館から得ている。 2006 年 8 月 3 日版の 2005 年 9 月 7 日のリスク管理計画との違い (1)外務省の危険情報を最新のものに更新。これを受け、本文も修正。 ・マダガスカルでは、「危険情報」のレベル自体は同じながら、大統領選挙が近づいたため に政治的混乱の可能性が昨年よりも高くなっている。また、石油価格の高騰に伴う電力等 の大幅な値上げや経営の悪化に伴う停電などにより、国民の不満が昨年よりも高まってい る。 ・タイでは、2005 年には 2004 年に比べて強盗被害が 7 倍に増えるなど、日本人の犯罪被害 が更に増加している。いかさま賭博の被害については、2004 年の 91 件の被害報告が 2005 年になっても 85 件と、依然として多く、特に、ナイフやけん銃で脅されて多額の現金を 要求されたり、わいせつ行為をされるという深刻な事案も報告されるなど、凶悪化してい る。また、雨期の 5 月から 8 月にデング熱の感染率が大幅に増加することが予想されると して日本大使館が注意を呼びかけている。2006 年 1 月 1 日から 4 月 15 日までに 4,971 人の患者が報告され、8 人が死亡。うちバンコクでは 1,254 名の感染が報告され、うち 2 名が死亡している。 (2)外務省の「邦人援護統計」2005 年版の内容に合わせた修正。 (3)外務省の危険情報についての解説を追加。(資料 14) (4)外務省の海外安全情報のうちマダガスカルとタイについての「安全対策基礎データ」及び「テ ロ概要」を追加。(資料 3、4、9、10) (5)外務省海外安全相談センター室長の解説等を基にした日本人旅行者にとっての犯罪の危険 度について、アメリカ人にとっての危険度と対比した形の解説を追加。(資料 15) 1 目 次 1. リスクの内容 2. リスクへの対応 (1)計画以前の対応 (2)計画における対応 (3)現地訪問の前 (4)現地訪問中 (5)帰国後 3. 事故、事件等に巻き込まれてしまった場合の緊急対応 (1)緊急対応のメンバーに必要な役割分担 (2)危機管理対策室に対する国際センター等の補佐業務 (3)緊急対応の想定手順 別添資料 1. リスクに関する学生及び保証人確約書標準様式 2. 現地(経由地)集合・解散に関する確約書標準様式 3. 外務省海外安全情報: マダガスカルに関する安全対策基礎データ 4. 外務省海外安全情報: マダガスカルに関するテロ概要 5. 外務省海外安全情報: マダガスカルに対する渡航情報(危険情報) 6. 外務省海外安全情報: マダガスカルの日本大使館医務官情報 7. 在マダガスカル日本大使館・今橋医務官の助言(特に、ネット上の医務官情報の補足点) 8. マダガスカルの有毒動物と寄生虫 9. 外務省海外安全情報: タイに関する安全対策基礎データ 10. 外務省海外安全情報: タイに関するテロ概要 11. 外務省海外安全情報: タイに対する渡航情報(危険情報) 12. 外務省海外安全情報: タイに関するスポット情報:デング熱の流行 13. 外務省海外安全情報:情報種別:渡航情報(スポット)タイ:旅行者等との交流を装った 詐欺・脅迫・拘束事件について( 「いかさま賭博」被害と手口の凶悪化) 14. 外務省海外安全情報中の危険情報についての解説 15. 日本人旅行者にとっての犯罪の危険度とアメリカ人にとっての危険度の違いの例 16. 新潟大学危機管理室規程 2 ページ 3 12 12 12 14 15 17 18 18 18 21 23 24 28 34 35 37 40 41 45 51 52 55 57 58 62 64 1. リスクの内容 この授業でマダガスカルを訪問することに関係して次のようなリスクがある。それらの一部は 国内でキャンパスを離れて授業を行う実習等にも共通するが、多くは、海外に行くことに伴って 生じるか、または、海外に行くことによって国内の場合よりもリスクが大きくなるものである。 (1)日程の遅れまたは中止 (2)病気 (3)事故 (4)事件 (5)自然災害 (6)個人情報の流出 それの主な原因・要因、マダガスカルの現状及び経由予定地のバンコクの現状をまとめると次 の表のようになる。 また、現在外務省から出ているマダガスカル及びタイに関する危険情報及び在マダガスカル日 本大使館医務官情報(8 月 1 日に同医務官から直接得た追加の情報及び東京医科歯科大学篠永哲博 士による「マダガスカルの有毒動物と寄生虫」を含む。)は別添 5-8 及び 11-13 のとおり。 3 マダガスカルに行く場合のリスクの概要 リスク 主な原因・要因 (1)日程の遅れま <現地側の事情> たは中止 ・ 航空機の遅延や運行取り やめ: アフリカ一般に、 航行支援システム等の整 備が十分でないので、天 候により航空便の遅延等 が生じやすい。また、経 営基盤が弱いために乗客 数の少ない便の運行取り やめ等もある。 ・ 電力供給会社の経営状態 悪化に伴い、首都アンタ ナナリボ市を含め国内各 都市で頻繁に起きている 停電。 ・ 電話網の未整備。 ・ 現地の治安の悪化 <日本人側の事情> ・ 学生・教員の大きな怪我 や病気、盗難、犯罪被害 等 ・ 学生・教員の重大な忘れ 物(旅券、航空券、現金等) (2)病気 <一般的な事情> ・ 託送手荷物の紛失 ・ 天候 ・ 災害 <現地側の事情> ・ 社会インフラ等の条件が マダガスカルの現状 ・ マダガスカルは、アフリカではかなり治安がよいとされてき た(Lonely Planet guidebook 2004 年版)。しかし、2004 年秋 頃から、収入増を上回るインフレ等を背景に、現政権に対す る不満が高まり、政府機関に対する過激なデモ、強盗の増加 等について、外務省から、最低レベルながら、危険情報(「十 分に注意して下さい。」)が出ている。特に、2005 年は、世界 的な石油価格の高騰とそれを受けた電気料金の大幅な値上 げ、さらにマダガスカル電気・水道公社の経営悪化による停 電の頻発などが原因で、経済状況が悪化し、一部国民の不満 が蓄積している。実際、2005 年 10 月には、マダガスカル北 部のアンチラナナ州において現政権に反対するデモ隊とデモ 鎮静化のため出動した治安機関との間で衝突が起こり、双方 に負傷者が出た。また、同年 11 月には、首都アンタナナリボ において反政府デモが計画されていたものが、治安機関に制 止された。これらの動きは根本的な解決には至っていないた め、今後も発生するおそれがある。2006 年末から 2007 年の 上半期にかけて、大統領選挙が行われる見込みであり、選挙 が近づくにつれて政治情勢が流動的になるとみられている。 (外務省海外安全情報による。) 経由予定地のバンコクの現状 ・ バンコクは比較的安全な場所と言 われて来たが、特に日本人、とり わけ単独行動の若者を狙ったいか さま賭博、睡眠薬強盗や詐欺が増 加し、また、南部のイスラム関係 のテロが波及するおそれもあると しているとして、外務省から、最 低レベルながら、危険情報(「十分 に注意して下さい。 」)が出ている。 ・ 現地日本大使館の医務官による医療事情情報(2004 年 11 月) によれば、訪問先のアンタナナリボは標高 1300m 前後の中央 ・ 雨期の 5 月から 8 月にデング熱の 感染率が大幅に増加することが 4 ・ ・ ・ ・ 劣ることにより、衛生水 準が高くないこと。 気候が異なることによ り、日本人の抵抗力が小 さいような病気があるこ と 衛生についての意識が十 分でないこと 救急車等の体制が整備さ れていず、かつ、経費不 足のために緊急車両の燃 料がないこと。 時差等(睡眠不足を引き 起こし、体力を減退させ る。) <日本人側の事情> ・ 日本からの長時間の移動 による疲れ及び途中の気 象条件の変化、機内環境 等 ・ 初めての不慣れな環境に あることによる疲れ、対 応不足 1 2 高地にあり、比較的涼しく、過ごしやすいが、衛生状態は全 ての地域において劣悪で、細菌性食中毒、寄生虫疾患などが 頻繁に見うけられるため、生もの(水、野菜、肉類など)に は注意を要する。また、首都では主要交通機関が自動車であ るため、排ガスの多い中古車による交通渋滞が局所的な大気 汚染を生じさせるので喉などのケアが必要。医療機関、設備、 治療薬も不十分で(全国で CT が 2 台等)、内科、外科のみな らず小児科、眼科、耳鼻科、産婦人科、整形外科といった専 門医の数及び質は限られている。当地で比較的妥当な医療を 受けようとするとかなり高額な医療費が請求されるので、海 外旅行傷害保険は必須。緊急手術や高度な医療が必要な時に は、近隣のレユニオン、南アフリカやパリ及び日本での治療 を考える必要がある。 ・ マダガスカルは、WHO のマラリア汚染地域に指定されてお り、特に脳性マラリア等、重症化しやすい可能性が高い熱帯 熱マラリアが 80−90%を占める。首都などの中央高地では皆 無ではないものの、地方に比べて感染のリスクはかなり少な い。但し、首都では、地方からの人の出入りが多いため、車 の中にマラリア蚊がいるなどのリスクがある。2006 年半ばに は、アンタナナリボ及びアンチラベの高原のみの滞在で日本 人がマラリアにかかった事例が出たとのことである。1海岸沿 いの地域に長期滞在する際には、予防内服薬が推奨されてい る。 ・ コレラ: 最近では 1990 年、1999 年と 2000 年に大流行。2001 年以降、大流行はない。しかし、散発症例もあり、流行情報 に注意する必要がある。 ・ 感染性胃腸炎: 細菌性腸炎は腸サルモネラ菌や大腸菌などの、 さまざまな原因菌によるものが、年中存在。寄生虫疾患では ジアルジア症、アメーバ赤痢が高頻度に見られる。別の澆季 で抗生物質を使った時などに劇症化すると 100%死亡するア メーバ赤痢は、潜在する形でかなりの数があると考えられる。 ・ ・ ・ ・ ・ 予想されるとして日本大使館が 注意を呼びかけている。2006 年 1 月 1 日から 4 月 15 日までに 4, 971 人の患者が報告され、8 人が 死亡。うちバンコクでは 1,254 名の感染が報告され、うち 2 名が 死亡している。デング熱には予防 接種も予防薬もなく、蚊に刺され ないようにすることが唯一の予防 方法。媒介するネッタイシマカ、 ヒトスジシマカなどは古タイヤや 植木鉢などのごく小さな水たまり でも繁殖するため都市部でも多 い。(付外務省「渡航情報(スポッ ト)」2006 年 5 月 11 日付) 感染性腸炎、食中毒はタイでは極 めて日常的な病気。 HIV 感染症、エイズの感染者・患 者は 100 万人と推定されている。 性産業従事者に感染率が高く、性 病、B 型肝炎感染の危険性も高い と言われている。 狂犬病はバンコクを含むタイ全土 で見られ、毎年数十人が死亡。 インフルエンザ、麻疹、水痘、流 行性耳下腺炎、結核等も、タイで は日本より多く見られる。 バンコクの代表的な私立病院の医 療施設は、日本の病院と比べても 遜色なく、優秀な医師も多数勤務。 また「日卒医(日本の医学部を卒 高原のみの滞在でマラリアにかかった事例が生じたことについて、2006 年 8 月 10 日の現地日本大使館からの情報に基づき、同 18 日に追加。 2006 年 8 月 10 日の現地日本大使館からの連絡を受けて同 18 日に追加。 5 業したタイ人医師) 」のグループも ・ A 型肝炎: 特に生の海産物(生牡蠣などの貝類)、衛生状態、 あり、堪能な日本語で相談に乗っ 生水は要注意。 てくれる。なお、私立病院の医療 ・ 嚢尾虫(のうびちゅう)症(Cysticercosis。条虫などの幼虫が成 費はしばしば高額。 虫とならず、脳、目、心臓、筋肉などに寄生することによっ て様々な症状を呈する疾患。卵を飲み込むと、血流やリンパ 流を介して幼虫が全身に移行し、嚢尾虫となる。脳や心臓な どの重要な臓器に寄生すると大変危険。 ): マダガスカルでは、 一般的な疾患。頻度については現在、保健省で調査中。豚肉 (加熱不十分)、ハム、ソーセージ、生いちご、レタス類など の野菜が感染源として考えられている。 ・ ペスト: 毎年雨季に 10 名前後の報告。スラム、ゴミ埋め立て 地周辺などの衛生状態の悪いところが中心の病気であり、か かりやすい病気というわけではないが、衛生状態の悪さを物 語っている。 ・ 大流行は無いものの、予防摂取も行われていない中、インフ ルエンザも多い。 ・ 2003 年 5 月から 7 月に行われた 9,623 名の妊娠中の女性を対 象にした保健省の調査で、HIV 陽性率は 1.1%、陽性患者の平 均年齢は 24.5 歳。性病感染率が非常に高いとのデータ(約 90%)から推察するに、実際の陽性率はこれより高いと思わ (タイのマラリア・リスク地図。検疫所: れるが、他のアフリカ諸国と比べると、マダガスカルの HIV 海外渡航者のための感染症情報サイト 感染者は多くない。 による。) ・ 狂犬病がある。動物園の動物にも予防接種は行われていない。 そのため、町中の犬などの動物だけでなく、動物園の動物に もリスクがある。 ・ 有毒動植物は少ないが、ムカデやサソリなどが生息している ので刺された時には医療機関の受診が必要。 ・ 熱帯の白身魚(アジの仲間、カマスの仲間、ブダイの仲間、フ エフキダイの仲間、ハタの仲間など)には毒素を持っているも のがあり、そのために下痢をすることがある。 ・ 水道水はそのままでは飲用に適さない。沸騰させれば飲用可 能。 ・ 今橋医務官が把握した限り、マダガスカルで死亡した日本人 は、アメーバ赤痢が劇症化して死亡した最近の例を除いて 5 6 名。マダガスカルに来る日本人及び在留邦人の数が少ないこ とを考えると、必ずしも少ないとは言えない。原因別には 2 人がマラリアで、日本への帰国後に発症したが、診断がつか ず、手遅れになって死亡した。1 人はがんであった。これは、 在留邦人の親で、日本で発症しても助からなかった可能性が ある。残りは交通事故である。 ・ 外務省の「邦人援護統計 2005」によれば、2005 年のアフリカ では邦人の疾病が多い。2005 年に世界全体の日本大使館・領 事館等で取り扱った事件・事故等において疾病事例は、件数 で 5.5%、人数で 4.8%であったのに対し、アフリカでは、それ ぞれ 14.1%、10.6%もの高さであった。2005 年度に限っては、 死亡率は、全世界の死亡数に占める割合の 42.9%より大幅に 少ない 20.4%であったが、2003 年は世界平均とほぼ同じであ った。首都アンタナナリボは高地にあるので、条件は多少良 い可能性があるが、十分な注意を要する。 (3)事故 3 <現地側の事情> ・ 道路、保安設備等社会イ ンフラ、建築基準等の諸 条件日本に比べて劣るこ と (マダガスカルのマラリア・リスク地図。検疫所:海外渡航者のため の感染症情報サイトによる。) ・ 今橋医務官が病気のために離任し、2006 年、現地日本大使館 は医務官不在となった。2 ・ 今橋医務官が把握した限り、マダガスカルで死亡した日本人 は、アメーバ赤痢が劇症化して死亡した最近の例を除いて 5 名。うち 2 名が交通事故である。町を外れると、夜間の道路 は真っ暗で大変危険である。地質特性から土地の突然の自然 陥没があり、夜間に発生したそのような陥没孔に転落する事 http://www.faa.gov/safety/programs_initiatives/oversight/iasa/ 7 ・ 自動車の整備水準や保安 基準が不十分であること ・ 歩行者保護、事故防止等 の安全についての意識や 体制が不十分であること ・ 電話等の通信網の未整 備。 <日本人側の事情> ・ 道路の車と歩行者の方向 が日本とは逆であること ・ 初めての不慣れな環境に あることによる疲れ、対 応不足 (4)事件 <現地側の事情> ・ 主要民族と少数民族等の 間、富裕層と貧困層との 間等、社会内部の潜在的 対立 ・ 貧困層等の存在と社会規 範の低下 故もある。 ・ 外務省「邦人援護統計 2005」によれば、2005 年のアフリカで の事故では、邦人が巻き込まれた交通事故が 8 件と多く、13 人が巻き込まれ、8 人が怪我を負っている。各年に共通し、か つマダガスカルにも当てはまる傾向と考えられる。2005 年に 世界全体の日本大使館・領事館等で取り扱った事件・事故等 において道路交通事故の占める割合は、件数で 1.3%、人数で 1.8%であったのに対し、アフリカでは、それぞれ 2.5%、2.8% の高さであった。(世界全体の死亡数の 8.6%を交通事故が占め たのに対し、アフリカでは死者がなかったが、これは、アフ リカへの訪問者数が少ないこと(世界観光機構の統計によれ ば、邦人海外旅行者の 0.4%が行くに過ぎない。)による誤差に よるところが大きく、死亡事故の可能性を軽視すべきではな かろう。2004 年には 1 名死亡している。) ・ 米国連邦航空局は、マダガスカルの航空会社等の安全につい ての評価はまだ行っていない。(米国連邦航空局ウェブサイト International Aviation Safety Assessments (IASA) Program 2006 年 5 月 24 日付3) ・ マダガスカルでは、電力会社の経営難のため、首都を含め、 各地で停電が頻発している。実際、2005 年度 9 月の滞在中も、 毎日計画停電が起こっていた。外務省海外安全情報によれば、 石油価格の高騰により、それが更にひどくなっている。 ・ 「邦人援護統計 2005」によれば、2005 年のアフ ・ バンコクは比較的安全な場所と言われて来た が、特に日本人、とりわけ単独行動の若者を狙 リカでは邦人が巻き込まれた強盗事件が多く、こ ったいかさま賭博、睡眠薬強盗や詐欺が増加 れはこの年以外にも共通する傾向と考えられる。 し、また、南部のイスラム関係のテロが波及す 2005 年に世界全体の日本大使館・領事館等で取り るおそれもあるとしているとして、外務省か 扱った強盗事件は、件数で 3.25%、人数で 3.06% ら、最低レベルながら、危険情報(「十分に注 であったのに対し、アフリカでは、それぞれ 意して下さい。」)が出ている。旅行者等に対し 15.0%、14.5%もの高さであった。窃盗事件の占め 4 例えば、外務省のタイに関する危険情報において「殺人等の凶悪事件は人口比で日本の 15 倍発生」としている一方、米国国務省では、危険情報を発してい ないとともに、「the crime threat in Bangkok remains lower than that in many American cities」としている。この両国の対応の相違について、外務省海 外安全相談室長(2005 年当時)は、日本人については<現金を多く持ち歩き、かつ警戒心が薄い。>、米国人等については<現金をあまり持ち歩かず、かつ警戒 心が強い。>との認識が犯罪集団の間にあることによるところが大きいとしている。 8 ・ 現地の警察等の対応力の 不足、士気の低下 ・ 政府に対する国民の不満 の高まりによる過激なデ モ等の可能性 ・ 財政難により警察車両等 の燃料が確保できないこ と。 ・ 電話等の通信網の未整 備。 <日本人側の事情> ・ 日本人の防犯意識及び対 策の不足 ・ 日本人は現金を多く持ち 歩いていること、他国の 人に比べて無防備である 等の認識が現地の犯罪集 団の間に広まっているこ と。4 ・ 初めての不慣れな環境に あることによる疲れ、対 応不足 ・ 日本と異なる習慣、規範 等についての理解の不足 (宗教、男女間の関係、用 便に使用する左手による 接触、軍・警察・政府機 関・空港・駅鉄道等の撮 影の禁止、承諾無しの市 民の姿の撮影、政治家・ 政府要人等についての発 5 6 ・ ・ ・ ・ る割合は世界平均よりは低いものの、それでも、 親しげに語りかけるなどして接近し、結果とし アフリカにおける事件・事故等取扱件数の 27.5% て脅迫等により金品を奪い、さらには身柄を拘 もの高い割合を占めている。 束する「いかさま賭博」の被害が、半ば強制的 マダガスカルは、アフリカではかなり治安がよい な自宅への連れ込み、銃や刃物による脅迫、暴 とされてきた(Lonely Planet guidebook 2004 年 行など凶悪化し、被害額も大きくなり、しかも、 版)。しかし、2004 年秋頃から、収入増を上回るイ 日本人旅行者の被害件数が増加しているとし ンフレ等を背景に、現政権に対する不満が高まり、 て、外務省から新たな注意喚起が出されてい 政府機関に対する過激なデモ、強盗の増加等につ る。例えば、2005 年には 2004 年に比べて強 いて、外務省から、最低レベルながら、危険情報(「十 盗被害が 7 倍に増えるなど、日本人の犯罪被 分に注意して下さい。」)が出ている。2005 年秋以 害が更に増加している。いかさま賭博の被害 降は、原油の値上がりが加わって、更に不安が広 については、2004 年の 91 件の被害報告が がっているとされる。2006 年 12 月 3 日5に大統領 2005 年になっても 85 件と、依然として多 選挙が予定されているため、更に政治的な混乱が く、特に、ナイフやけん銃で脅されて多額の あり得る。在マダガスカル大使館領事部では、デ 現金を要求されたり、わいせつ行為をされる モ等が過激化するおそれもあるので、近辺には近 という深刻な事案も報告されるなど、凶悪化 づかないように求めている。米国国務省は危険情 している。また、睡眠薬強盗被害が、2006 報を出していないが、選挙が近づくに連れてデモ 年度前半に急増し、2005 年 1 年間と同数に が過激化するおそれがあるので、デモ等に近づか 達した。 ないように注意を促している。 ・ タイ国民の国王、王族に対する尊敬の念が深 軍関係施設、空港、港湾、大統領官邸等の写真撮 く、刑法でも「国王、王妃、皇太子、摂政に対 影は禁止されている。外務省海外安全情報では、 する罪」が設けられており、例えば王室を侮辱 その他の政府機関の建物の撮影も避けるよう勧め した場合は 3 年以上 15 年以下の懲役。外国人 ている。また、慣習上、王族の墳墓等の撮影も禁 旅行者であっても、王室に関する言動には十分 止されている。写真を撮られることを嫌う人も少 注意を払い、映画館等で国王賛歌が流れた場合 なくない。 には、周囲のタイ人と同様に敬意を払う必要が JICA の国別生活情報(2003 年版)によれば、特別に ある。王族の車の走行妨害等は厳禁。 禁止されている言動は見あたらないが、政治批判 ・ 寺院で宗教や儀式を侮辱、妨害したりする行為 や、宗教(宗教論争は論外。)などについての話題 は厳しく処罰。仏像はたとえ壊れたものであっ は避ける必要がある。 ても神聖なものとされ、国外持出し禁止。 豚肉を食べることは一般にタブー。集落等により ・ 僧侶は上座部仏教の教義に則し、絶対に女性 多数のタブーがある。(Lonely Planet による。) (子供も含む)に触れたり、触れられたりして 2006 年 8 月 10 日の外務省の危険情報に基づき、具体的な選挙に日を同 18 日に追加。 http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/tokei/passport/index.html 9 言・態度、禁煙等) ・ 国際移動制限物品を購入 等しての出国・帰国(ワシ ントン条約対象物、文化 財等) ・ 外務省海外安全情報によれば、イスラム過激派組 織の存在は確認されていないが、過去に東アフリ カにおけるイスラム過激派によるテロ攻撃に関与 したとされる犯人は、マダガスカル国内で事前準 備をしていた。 10 はならない。 ・ 身体のうち、頭は神が宿る場所として神聖視さ れているため、頭に触れることはタブー。子供 の頭をなでる行為もトラブルの原因。 ・ 足は不浄とされているので、足で人を指すよう な行為は避けなければならない。 ・ 2002 年、喫煙できる場所を制限。エアコンの 効いた屋内レストラン、公共交通機関・建物内 は禁煙。違反者には最高 2 千バーツの罰金。 ・ 道路上等でタバコの「ポイ捨て」を行った場合 は、2 千バーツ以下の罰金。 ・ 2005 年度の紛失・盗難等による全在外公館で の旅券再発給の取扱件数は 4,624 件、日本に直 行帰国する渡航者に対して旅券再発給に代え て「帰国のための渡航書」を発給した件数が約 4,383 件。紛失・盗難旅券を偽変造し、海外に おいて不正使用が発覚した件数は、161 件(353 冊)。これは氷山の一角と見られる。6特にタイ では数が多く、2003 年度には、置き引き、ス リ等により 631 冊、2004 年には 545 冊、2005 年度には 283 冊(チェンマイ総領事館扱いを除 く。)が盗難・紛失した。 ・ タイ最南部での分離独立運動に関連した爆破 等が同地域では頻発している。バンコクにおい ても、欧米人が多く集まる場所や欧米企業等の 関連施設にはできる限り近づかないように呼 びかけている。 ・ 各種政治集会が衝突に発展する可能性がある ので、政治集会等には近づかないよう、外務省 は呼びかけている。また、反政府集会に関連す ると思われる小規模な爆弾事件が散発してい ることについても、外務省は注意喚起してい る。 (5)自然災害 (6)個人情報の流 出 (7)その他 <現地側の事情> ・ 気候、地形等の自然条件 ・ 脆弱なインフラや行政・ 社会の体制 <日本人側の事情> ・ 旅行者の知識・情報の不 足 ・ 航空機の予約及びテロ対 策のための旅行会社、航 空会社への個人情報の提 出 ・ 宿泊施設予約のための宿 泊施設への個人情報の提 出 ・ 実際の宿泊のための宿泊 施設へのより詳しい個人 情報の提出 ・ 担当教員等が管理及び非 常時に備えて保持する個 人情報の管理 ・ (貧弱なインフラ等に対 する備えが必要。) ・ JICA の国別生活情報(2003 年版)によれば、マダガスカルは毎 年、大きなサイクロンに数回見舞われるが、それは 12 月末か ら翌年の 2 月ごろまでの間のことである。 ・ JICA 国別生活情報によれば、アンタナナリボでは、年に 2-3 回、弱い地震がある。過去に建物が壊れたという話は聞かな いが、崩壊しそうな建物が多く、注意が必要である。 ・ 現在災害が生じているといった情報は無い。 ・ タイでは自然災害が少ないが、9 月 は雨期の末期で、激しいスコール が多い。そのために、低地のバン コク近辺では、冠水による道路の 渋滞等が発生しやすく、移動時間 には相当な余裕を見る必要があ る。 ・ 首都でも停電が頻発している。外務省海外安全情報によれば、 ・ 雨期(5-10 月)には落雷による停電 昨年来の石油価格の高騰により、それが更に悪化している。(雨 がある。 期には落雷による停電もしばしばあるが、9 月はまだ乾季であ る。) 11 2.リスクへの対応 リスクに対しては、既に同様の事業を行っている大学のとっている措置を参考にしつつ、予防 を基本にし、かつ、万が一事件、事故等に巻き込まれた場合にも備える。リスクには、現地側の 事情、日本人側の事情及び一般的な事情が関わっているので、対応は、そのような要因も踏まえ たものとする。 (1) 計画以前の対応 1) 担当教員が、この種の授業の実施方法及びリスクへの対応方法について学ぶ。 ・ 既に、海外留学生安全対策協議会・日本学生支援機構共催「海外派遣・研修における危機管 理セミナー」(2005 年 3 月、東京)及び第 6 回 NGO スタディツアー研究集会(同 4 月、東京) に参加するなどもして、既に同様の授業を行っている大学の対応方法を含め、リスク回避及 び個人情報保護について学ぶ努力をしている。 2) 担当教員は、日頃から現地の危険情報について、関係機関からの情報収集に努める。これ には、外務省の海外安全情報のメールマガジン(毎日発行)の購読を含む。 3) 担当教員の開発途上国調査等の経験を深める。 ・ 担当教員は、各大陸の開発途上国を訪問したことがあり、アフリカについても、ガボン、象 牙海岸(3 回)、ブルキナファソ(2 回)、モロッコ、ケニア(2 回)、ジンバブエ(2 回)を訪問したこ とがある。また、バンコクについては、1989 年から 91 年までの 2 年間勤務したこともあり、 最近では、2004 年秋ろ 2005 年 9 月に訪問している。 4) 海外留学生安全協議会への参加等による包括的な対策をとることを検討する。7 (2) 計画における対応 1) 現地の危険情報について、関係機関からの情報収集に努める。情報源としては、外務省の 海外安全相談センターとそのウェブサイト、検疫所の海外旅行者ホームページ、米国国務 省の海外旅行等ウェブサイト等がある。 ・ 既にこれらのサイトから情報を入手しており、毎日発行される外務省海外安全情報相談セン ターのメールマガジンに登録したことを含め、更に継続的に最新情報の入手に務めている。 また、現地日本大使館の領事担当書記官と連絡をとり、最新の現地情勢の情報を得ている。8 月 10 日の情報によると、一般犯罪の傾向は昨年とあまり変わらないこと、野党側の資金不足 のために 12 月 3 日の大統領選挙を前にした政治情勢も、9 月は比較的落ち着いた時期になる と見込まれること、最近、高原のみの滞在で邦人がマラリアにかかった事例が生じたこと、 医務官が体調を崩して離任したために医務官不在になったことについて連絡を得た。8 2) 行き先として、リスクの高い国や土地を選定しない。 ・ それまで安全とされて来たマダガスカルであったが、外務省では、2005 年春以来、マダガス カルについて危険情報を出している。また、帰路に立ち寄ることになる可能性の高いバンコ クについても危険情報を出している。これに対し、既に外務省の海外安全情報、米国国務省 等の情報を比較勘案しつつ入手するとともに、2005 年 6 月、両国の情報の違い等について、 7 同協議会の事業のうちで、重要な対策となっているのは、 「支援システム費」と「旅行対策費用保険」 から成る「海外緊急事故支援システム」 、通常の旅行保険等の対象になっていない法的責任はない無過 失責任としての道義的な支払いのための「弔意見舞補償」及び大学の管理監督上の過失等の支払義務(大 学が学生の家族から管理監督責任を問われたり、学生が海外で第三者に損害を与えた場合に大学の管 理監督責任が問われたりした場合)をカバーする「賠償責任保険」である。同協議会は、そのほかに、 情報提供、セミナー等を行っている。 8 8 月 10 日の現地日本大使館からの情報について、同 18 日に追加。 12 外務省海外安全相談室長に直接面会して、危険情報の内容、その背景事情、注意すべき情報 等について解説を受け、また、現在マダガスカルとバンコクに出ている「十分に注意してく ださい。」というレベルの危険情報は、旅行の中止を勧告するものではなく、それぞれの危険 情報にある具体的情報に十分注意すれば旅行は可能であるとの説明を得ている。同室長には、 2006 年 5 月にも面会して、同省の冊子「海外安全虎の巻」の入手等も行った。 ・ 勿論、今後の情報の変化に慎重に対処することとしている。マダガスカルについては、特に、 2006 年暮れまたは 2007 年初めに行われるとされる大統領選挙に向けて、現大統領派とそれ に反対する勢力の集会の頻度が高くなる可能性があり、そのような集会の参加者が過激な行 動をとるおそれがないとは言えないことなどに十分に注意を払う。バンコクについては、タ イ南部で分離独立を主張するイスラム過激派勢力が政府や仏教徒を襲う事件が頻発している ため、それが首都バンコクに波及するおそれに十分に注意する。 3) 安全性に問題のある航空会社は利用しない。 ・ マダガスカルに乗り入れている航空会社のうちエールフランスには格別の安全上の問題がな いが、パリ経由の航空券の価格は学生の手の届く金額を大きく超える。そのため、学生が購 入可能な航空券は、バンコク発着のマダガスカル航空または香港・シンガポール・クアラル ンプール発着のモーリシャス航空及びそれらの発着地と日本との間に運行している航空会社 の組み合わせに限られる。マダガスカル航空及びモーリシャス航空については、米国の連邦 航空局(FAA)は安全性評価を行っていないが、格別危険との情報もないので、利用の対象外と は言えない。これらの発着地と日本との間に発着している航空会社の所属国については、バ ングラデシュを除いては、国際民間航空機関(ICAO)の安全基準を充たした管理を行っている としている。米国自体についてはこの評価に含めていないが、日本と東南アジアとの間に運 行している米国の航空会社について危険であるとの情報はない。従って、バングラデシュ航 空以外については、利用して差し支えないと考えられる。 4) 情報入手、レンタカー会社紹介等に関し、現地の情報に詳しい機関等からの協力をとりつ ける。実際、JICA 及び新潟マダガスカル友の会から協力の申し出を得ている。2005 年度 は、Europecar(経営実態は、同社と提携しているマダガスカルの会社と思われる。)を使用 した。 5) 日程には余裕を持たせ、それにより、学生及び教員の疲労を抑え、また、予定外の事態の 生じた際に対応しやすくする。 6) 2005 年度の実施により得られた安全情報、人との関係等を活用して、安全対策を更に確実 なものにする。 7) 宿泊先の立地、設備等に関し、安全性及び快適性を重視する。 8) 海外旅行に伴う感染症を扱う医療機関及び医師の存在を確認する。 ・ 新潟市民病院に感染症科のあることを確認済み。 ・ 医歯学総合研究科地域疾病制御医学専攻国際感染医学講座の山本達男教授他が関係課題を専 門としていることを確認済み。衛生・健康対策について、必要があれば同教授他の指導を得 る。 9) 女子学生が大半であることに伴う課題について慎重に評価し、対策を検討する。(恵泉女学 園大学の事例は参考になると考えている。) 10) 宿泊先、旅行会社、航空会社等に対しては、必要以上の個人情報を出さない。 11) 集合地・解散地は、原則として日本国内とする。現地もしくは経由地での集合・解散は、 その理由が他の授業、調査研究活動等によるものかまたはその他の個人的なやむを得ない 理由によるものであること、現地での授業目的が確保できること、団体でない海外旅行を 13 数回以上経験し、かつそれには開発途上国が含まれること、最低限英語またはフランス語 による意志疎通が十分にできること、集合前及び解散後の旅程の安全が確保されること(特 に、アンタナナリボ空港と集合・解散場所との間の安全が問題)、かつ、集合前及び解散後 の安全確保を確保し、かつその責任は本人及びその保証人が負うこと、予定通りに集合で きない場合には速やかに担当教員と大学に連絡をとること等についての確約書が提出され ることを条件とする。(標準様式: 別添 2) (3) 現地訪問の前 1) 現地の危険情報について、関係機関からの情報収集に努める。 ・ 外務省から渡航は望ましくないとの情報が出た場合など、訪問の危険が高くなった場合等に は中止する。 2) 学生に対しても危険情報を、リスク回避策とともに十分に説明し、理解させ、犯罪対策、 安全対策、健康対策等、学生自身がとるべき対策をとらせる。また、万が一に備えて、旅 行保険に入らせる(クレジットカード付帯の旅行保険は不十分であるので、それとは別に旅 行保険に入らせる。)。 ・ 既に 7 月 14 日の授業説明会で、リスクについても、概略を説明した。 ・ 「海外安全虎の巻(海外旅行のトラブル回避マニュアル)」という包括的な内容の冊子を外務省 海外安全相談室から提供してもらい、履修に関心を表明した学生たちに配布した。 ・ この授業のウェブサイトにおいて、海外安全情報のウェブサイト等に注意を払うよう求めて いる。 ・ 紛失等の場合の再発行に備えて、パスポートのコピー、予備の写真等の携行もさせる。 ・ 病気を抱えている学生については、可能であるとの医師の助言無しには参加させない。 「エコ ノミー症候群」になりやすいとされる中高年で血管の内側が傷みはじめている者、以前に血 栓のできたことのある者、大きな手術をした者、骨折直後の者、ガンにかかっている者、生 活習慣病の者、50 歳以上の女性も同様。妊娠中の者、ホルモン剤(経口ピル等)を飲んでい る者は参加させない。 ・ 常備薬等を携行させる。 ・ 土埃、衛生的でない水道水、機内の乾燥等に鑑み、コンタクトレンズ常用者にも、眼鏡を携 行させる。 ・ 停電に備えて懐中電灯等を携行させる。また、不可欠な携行品については、電気がないと機能しな いものは避けることを指導する。 3) 授業の履修生の一員として求められる集団行動をとること、教員の指示に従うこと、滞在 国の法令を遵守し、かつ、現地の慣習を十分に尊重すること、授業実施期間中に不測の事 態の起きた際には対応に協力すること、大学が管理することができないことに起因する死 亡、負傷、疾病、逸失、損害等については学生とその保証人が責任及び必要経費を負担す ることについて、学生及びその保証人から確約書を提出させる。(標準様式: 別添 1) 4) 学生の旅券の残存有効期間、黄熱病汚染地域への入国等について確認し、入国を拒否され るおそれのないことを確認しておく。 5) 学生の海外渡航について手続きが規定されている学部の所属学生は、その学部の規則に基 づく手続きを完了させておくよう指導する。 6) マダガスカルで使用可能な携帯電話を携行する。但し、送受信可能なのは、首都アンタナ ナリボ付近のみであるので、過信しない。 7) 現地日本大使館及び駐日マダガスカル大使館に対し、日程等について連絡を入れておく。 8) 万が一に備えて、大学としての対応が必要になる救援経費及び賠償責任経費を主体にした 14 旅行保険に大学として入ることを更に検討する。但し、2005 年度は財務部の了解が得られ なかった。2006 年度についても、この点については楽観できない。9 9) 大学に、詳細日程、現地連絡先、学生の緊急時の連絡先、パスポートのコピー等を残す。 また、現地には、大学の教員等の緊急連絡先の控えを携行する。 10) 病気へのリスクの軽減のためには、健康体であることも重要であるので、学生には、現地 に行く前の健康の維持について注意喚起する。 11) 緊急医薬品等を携行する。また、特に看護師の資格と実務経験を持つ履修生がいる場合に は、緊急時の協力を要請しておく。 12) 万が一事故、事件等に遭遇した際の緊急対応について、大学の体制を整えておく(下記 3)。 緊急対応に際しては、学生の家族への連絡において学生所属学部の学務係の役割が重要で あるので、そのような学務係には、この授業について説明するとともに、日程、現地及び 家族連絡先等の情報を残す。 (4) 現地訪問中 <総合対策・複合的対策> 1) 大使館、JICA 等から、安全、衛生等についての最新の情報を得る。 2) 安全、衛生等に関して日本とは異なる条件の場所にいるという意識を持つ・持たせる。 3) 大使館、警察、病院等の電話番号等の情報を携行する。 4) ホテルでは、避難経路、危険な箇所、防犯上のリスクのある場所等の点検を行い、必要に 応じ、ホテルとの交渉等を行う。 5) トイレのある場所等について調査しておく。 <防犯> 6) 空港等では荷物から離れない・離れさせない。離れる際には見張りをつける・つけさせる。 小さな荷物は足の間に挟むなどする・させる。 7) 防犯対策並びに現地の慣習に合わせる観点から、服装及び行動は突出しないように注意す る・させる。高価に見える貴金属製品は身につけない・つけさせない。 8) 貴重品は、ホテルのセーフティーボックスに預ける。パスポート等、携帯が必要な貴重品 については身につけるが、すられにくい場所とし、かつ分散する・させる。 9) 犯罪を誘うおそれのあるような文言の入った衣類は身につけない・させない。 10) 特定の国、とりわけテロの対象になっているような国に関係したデザインの衣類(例えば米 国、英国、オーストラリア、イスラエル等の国旗のデザインされた衣類)、特定の宗教を信 奉していないにかかわらず特定の宗教を表示するデザインの衣類や装身具(例えば十字架) は身につけない・させない。 9 恵泉女学園大学の場合、 「二重、三重の保険」との方針の下に、大学として学校包括保険(滞在 先の病気、怪我等に対応)、事故対策費用保険予備危機管理会社(日本アイラック)の危機管理支援 システムに入っている。加えて、学生にも、自費で海外旅行保険に入らせている。新潟大学では、 まだ検討を始めた段階である。 15 11) ウェストバッグは避け、最低限、ウェストバッグには貴重品を入れない・入れさせない。 バックパックには貴重品を入れない・入れさせない。ポーチ、ショルダーバッグ等も、目 の届かない背中に回すことをしない・させない。 12) 見知らぬ人からの誘いや依頼には乗らない・乗らせない。また、宿泊先、連絡先等を教え ない・教えさせない。見知らぬ人からもらった食べ物・飲み物は食べない・食べさせない・ 飲まない・飲ませない。 13) 他人をホテルの自分の部屋に入れない・入れさせない。 14) 交通他の安全に注意する・させる。 15) タクシー等を利用する際には、大使館等からの助言に従って信頼のおけるところを選択す る。 16) 単独行動はさせない。 17) 人目のない路地には入らない。 18) 夜間の外出は慎み、外出する場合も、集団でかつタクシーを使用する。 19) 知らない人の荷物は預からない・預からせない。 <衛生・健康対策> 20) 十分な睡眠時間を確保する。疲労、睡眠不足等の見られる学生は休ませる。 21) 生水、氷、生ものは口にしない・させない。調理後に時間が経っているような食べ物、皮 が剥いてあったり切ってあったりする果物も口にしない・させない。特に、形状のために 洗いにくいレタス、柔らかいために洗いにくいイチゴ等、生の野菜、果物、豚肉、豚肉を 使ったハム、ソーセージなどは、深刻な障害の残る寄生虫症(嚢尾虫)のリスクがあるので避 ける。 22) 裸足で歩かない。 23) 動物園でさえ狂犬病の予防注射を行っていず、広く狂犬病のおそれがあるので、動物園等 の動物を含め、犬その他の動物には近づかない・近づかせない。 24) 肌を露出しない服装、蚊取り線香、防虫薬等により、マラリアやデング熱を媒介する蚊に 刺されることを避ける(但し、スプレー缶は航空機には搭載できないので、スプレー式でな いものを選択させる。)。その他の虫にも刺されたりかまれたりしないように注意する。高 原のアンタナナリボにおいても、首都の性格上、地方からの人の出入りが多いために、車 や荷物に紛れ込んで、乾季でも低地から熱帯性の病気が入って来る。例えば、昼でも、車 の中にマラリア蚊がいて、活動していることがある。そのため、長袖を着用し、肌の露出 部分には忌避薬を塗るなどの対策をとる。 25) 紫外線対策をとらせる。 <事件を起こさないための対策> 26) 軍や警察の施設、空港等は撮影しない。遠景にも入らないように注意する。 27) 現地の人の撮影は、本人の合意を得ていない限り行わない。 16 28) 現地の習慣に注意を払い、それに従う。 29) 政府批判、宗教批判等を行わない。 <事件に巻き込まれないための対策> 30) マダガスカルにおいては、可能な限り、デモの行われることのある広場、政府機関、大学 等に近づかない。 31) テロの標的になりやすい米国、英国、オーストラリア、イスラエル、シンガポール等の大 使館・領事館・広報文化センター・公邸、米国系のホテル、白人の集まる場所等には近づ かない。(とりわけ、それらを標的にテロを計画していた者が南部で逮捕されたタイにおい て。) (5) 帰国後 1) マラリア、腸チフス等の潜伏期間が最大 1 ヶ月程度であることを踏まえ、帰国後 2 ヶ月程 度にわたって、体調に異常のあった場合には報告させる。 2) 上記期間に体調に異常があって受診する場合には、渡航したことについて受診機関に説明 するよう指導する。 3) 対応等について、適宜、医歯学総合研究科地域疾病制御医学専攻国際感染医学講座の山本 達男教授他の指導を受ける。 17 3. 事故、事件等に巻き込まれてしまった場合の緊急対応 海外留学生安全対策協議会ウェブサイト: 海外派遣留学・研修 緊急事故対策シミュレーション ( http://www.jcsos.org/anzen/shumiration.htm )を参考に、緊急対応に関し、新潟大学危機管理室 規程(別添 16)に基づいて危機管理室の事務を行う総務部及び全学教育機構・大学教育研究センタ ー並びに学生所属学部との連携の下に、国際センターが、危機管理室の活動のうちこの事業に特 有の側面について、実務上の補佐を行う態勢をとる。また、国際センターは、危機管理室の「危 機」もしくは「緊急対応」が必要か否かの判断を待つことなく、現地との連絡の体制をとる。 (1)緊急対応のメンバーに必要な役割分担 上記シミュレーションを参考にすれば、実際に事故、事件等に巻き込まれてしまった場合の危 機管理室の緊急対応には、全体の指揮をとる管理室長のほかに次のような役割を持つメンバーが 必要になる。 1) 学生家族・保証人担当: 学生の家族・保証人との間の連絡、その他の対応。家族等が 現地に行く場合は随行することが妥当。そのような場合に大学に留まって他の家族 等との連絡等に当たる者が必要なため、2 名以上が必要であろう。24 時間休みなく 対応するためには、2 交代制または 3 交代制とする必要があり、それに応じた人数が 必要。 2) 現地担当: 現地との連絡、現地に入っての対応。現地に入って対応する者のほかに、 大学にとどまって現地との連絡に当たる者も必要。そのため、人数に関しては、上 記 1)と同様。 3) マスコミ担当: マスコミへの情報提供、記者会見等の準備、調整等。 4) 関係官庁担当: 外務省(領事局海外邦人安全課・邦人テロ対策室、中東アフリカ局ア フリカ第一課(マダガスカル)、南部アジア部南東アジア第一課(タイ)等)等、関係官庁 との連絡に当たる。 5) 手配・渉外担当: 保険会社のとの連絡・調整、現地派遣の場合の航空券、宿泊施設、 旅券、携行品、家族が現地に行く場合の空港の控え室、旅券の緊急取得の案内・手 配(外務省旅券課)等の確保 6) 総務経理担当: 必要な場所・施設・資金等の確保・経理: 対策本部の環境整備、家族 集合場所の確保、記者会見場の確保等を含む。 (2) 危機管理対策室に対する国際センター等の補佐業務 以上の役割のうち危機管理対策室に対する補佐として国際センター等が行うことが妥当と思わ れるものを整理すると次のようになる。 18 緊急対応体制(想定案) 任務 危機管理室長 危機管理監 担当者 学長(危機管理室規程に 規定) 学長が指名する理事(同 上) 危機管理監補 危機管理室の事務 国際センター総括 総務部長(同上) 総務部(同上) 国際センター長 全学教育機構総括 教育担当理事 大学教育開発研究セン ター総括 大学教育開発研究センタ ー長 学生家族・保証人担当 ・ 学生所属学部の教務 係 ・ 教務課 ・ 学生支援課 ・ フランス語のできる 職員 ・ 国際センター ・ 国際課 ・ 学生生活支援課 ・ フランス語のできる 職員 現地担当 業務 危機管理に関する事務を統括(危機管理 室規程に規定) 危機管理に関する事務を掌理するとと もに,学長の命を受け,学内組織との連 絡調整及び危機管理に関する措置等の 指示を行う。(同上) 危機管理監を補佐する。(同上) 国際センターの補佐業務 国際センターと危機管理室との間の連 絡・調整、全学教育機構・大学教育開発 研究センターとの連絡・調整、国際セン ター内の統括 危機管理室・全学教育機構・大学教育開 発研究センター・教務課・学生支援課と の連絡・調整 大学教育開発研究センターと危機管理 室との間の連絡・調整、全学教育機構・ 国際センターとの連絡・調整、大学教育 開発研究センター内の統括 学生の家族・保証人との間の連絡、その ・ 国際課及び国際センターは、直ちに現地に随行できる職 他の対応。家族等が現地に行く場合は随 員が不足している場合に、危機管理室の要請があれば、1 行することが妥当。 名が応援随行する用意をしておく。 現地との連絡、現地に入っての対応。 19 ・ 国際センターは、危機管理室の要請があれば、2-3 名が 交代で現地との連絡に当たり、また、1-2 名が現地に入 って対応に当たる用意をしておく。 ・ 学生の家族との連絡において重要な学生所属学部の教務 係との連携に留意する。 任務 マスコミ担当 関係官庁担当 手配・渉外担当 総務経理担当 担当者 ・ 総務部長 ・ 総務課長 ・ 総務課広報・情報公 開係 ・ 学生支援課 ・ 国際センター ・ 国際課 ・ 財務部長 ・ 経理課 ・ 国際課 ・ 経理課 業務 マスコミへの情報提供、記者会見等の準 備、調整等。 国際センターの補佐業務 外務省等、関係官庁との連絡 保険会社のとの連絡・調整、現地派遣の 場合の諸手配等 必要な場所・施設・資金等の確保・経理 20 ・ 国際課は、契約した(場合)旅行保険の会社に対する初期 の連絡を行う。 (3)緊急対応の想定手順 事故、事件等の内容により対応は異なるが、概ね次のような緊急対応を想定する。 <<初期対応>> (1) 第一報を受けた教職員は危機管理監、危機管理監補、国際センター総括、全学教育機 構総括、大学教育開発研究センター総括及び学生所属学部の教務係に連絡する。危機管 理監、危機管理監補または国際センター総括は危機管理室長に連絡する。 (2) 危機管理室長は危機管理監、危機管理監補、各対応担当、国際センター総括、全学教 育機構総括及び大学教育開発研究センター総括を招集するとともに、総務部長、全学 教育機構長及び大学教育開発研究センター長に連絡する。 (3) 学生家族・保証人担当は、学生家族及び保証人に第一報を入れるとともに、集合場所 を確保する。必要に応じ、宿泊場所も確保する。 (4) 関係官庁担当は、関係官庁に連絡する。 (5) 手配・渉外担当は、保険会社に連絡する。(保険に入っている場合) (6) 総務経理担当は、対策本部の環境整備、家族集合場所の確保、記者会見場の計画を行 う。 (7) マスコミ担当者は、情報の整理を行い、マスコミに提供してよい情報の整理等を行う。 (8) 本部長の下に集まり、以上に基づいて情報交換及び情勢分析を行い、その後の対応を 検討する。 <<第二次対応>> (9) 現地に職員を派遣する必要との判断がなされた場合、渉外・経理担当は、航空券、ホ テル、持参品、必要な金額等、現地担当者または本部長の指名の者を現地に派遣する 体制を整える。並行して、手配・渉外担当は保険会社に連絡する。手配が整い次第、 派遣者は出発し、その後、逐次本部に報告を行う。 (10) 学生家族・保証人担当は、集合した家族に対し、状況の説明を行うとともに、 現地に行くか否かの意向を確認する。手配・渉外担当は、それに応じて保険会社に連 絡するとともに(保険に入っている場合)、家族用の航空券、ホテル、出発空港での控え 室等の手配、学生家族・保証人担当者または本部長の指名の者を現地に随行させるた めの航空券他の手配を行う。また、旅券の緊急取得案内を行い、必要に応じて外務省 旅券課と連絡をとる。 (11) マスコミ担当からマスコミに対する第1次記者会見を行う。 <<第 3 次対応>> (12) 学生家族・保証人担当は、集合した家族に対し、現地への出発のための状況の 説明を行い、手配が整い次第、家族とともに現地に出発する。なお、現地派遣職員他 から情報が入れば、その内容等についても説明する。 (13) 現地派遣職員は、日本大使館、現地関係当局等と協議しつつ、けが人等の海外 搬送の必要性、遺体の日本送還方法等について検討し、本部長の判断を得て手配する。 その際、手配・渉外担当は、保険会社との連絡を密にする。 <<第 4 次対応>> (14) 現地派遣職員からの報告により、手配・渉外担当及び総務・経理担当は、保険 会社とも連絡をとりつつ、協議の上、日本での受入病院の手配、遺体の受け入れ等の 手配を行う。 <<第 5 次対応>> (15) 学生家族・保証人、学生及び学生家族・保証人担当が帰国する。危機管理室の 適当な責任者は、空港で家族・保証人を出迎える。 (16) 危機管理室の適当な責任者は入院した学生を見舞う等する。 21 (17) 現地派遣職員は、病院、警察、日本大使館、現地関係当局、協力者等との手続 きを済ませ、帰国する。 以下、経理処理を行って、緊急対応は終了する。 その後、危機管理室、全学教育機構、大学教育開発研究センター、国際センター等が、当該事 件・事故の総括等を行う。 22 別添 1. リスクに関する学生及び保証人確約書標準様式 新潟大学御中 確約書 私(履修学生)及びその保証人は、「開発途上国の環境と開発事例研究」の授業として行われ る 2006 年 9 月 8 日から 21 日までの現地調査にあたり、次のことを確約します。 1. 私は、日程の遅れまたは中止、病気、事故、事件、自然災害、個人情報の流出の可能性等、 この授業が海外で行われることに伴うリスクについて、大学からの説明及び自らの調査に よって得た情報から理解した上で、この授業に参加します。 2. 私は、この授業の一員として求められる集団行動をとり、受講生と担当教員(または、加 えて、現地の案内者)から成るグループや受け入れ先に迷惑をかけるような行動はしませ ん。 3. この授業の実施中は、同行する教員の指示に従い、滞在国の諸法令を遵守します。また、 滞在国の慣習を尊重します。 4. 万が一、この授業において不測の事故等の起きた場合、大学との信頼関係に基づき、私と 保証人は対応に協力します。教員の指導・管理が及ばない学生の個人行動、あるいは大学 が管理不能なことに起因する私の死亡、負傷、罹病、減失、損害等が発生した場合、私と 保証人が責任を負います。その場合の費用や損害の負担に備えて、自らの負担により旅行 保険に入ります。 履修学生本人署名捺印 ――――――――――――――――――――――――――――――― 印 所属学部学科専攻 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 学籍番号 ――――――――――――――――――――――――――――――― 保証人の署名捺印 ――――――――――――――――――――――――――――――― 印 確約年月日 ――――――――――――――――――――――――――――――― 23 別添 2. 現地(経由地)集合・解散に関する確約書標準様式 新潟大学御中 現地(経由地)集合・解散に関する確約書 私(履修学生)及びその保証人は、「開発途上国の環境と開発事例研究」の授業として行われ る 2006 年 9 月 8 日から 21 日までの現地調査に際し、別紙 1 の理由及び同 2 の計画により現 地(または経由地)での集合・解散を希望し、それに関して、次のことを確約します。 5. 私(履修学生)及びその保証人は、航空券や宿泊の手配、安全の確保等、現地(または経由地) での集合の前及び解散の後の一切の責任を負います。 6. 私(履修学生)は、理由のいかんによらず、予定通り合流できない事情が生じた場合には、 速やかに担当教員及び大学に連絡します。その際、担当教員の了承があれば、自らの責任 において、途中参加します。それ以外の場合は、自らの責任において帰国します。 履修学生本人署名捺印 ――――――――――――――――――――――――――――――― 印 所属学部学科専攻 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 学籍番号 ――――――――――――――――――――――――――――――― 保証人の署名捺印 ――――――――――――――――――――――――――――――― 印 確約年月日 ――――――――――――――――――――――――――――――― 24 別紙 1 現地(または経由地)での集合・解散を希望する理由 団体でない海外旅行の経験 年月(日数) 旅行先 海外居住経験 年月(年月数) 居住国・市町村 目的 調査研究、交換留学、研修、 業務、観光、知人訪問、そ の他( ) 調査研究、交換留学、研修、 業務、観光、知人訪問、そ の他( ) 調査研究、交換留学、研修、 業務、観光、知人訪問、そ の他( ) 調査研究、交換留学、研修、 業務、観光、知人訪問、そ の他( ) 同行者の種類・人数 居住の理由 留学、自らの勤務、家族の勤務、その他( ) 留学、自らの勤務、家族の勤務、その他( ) 英語の能力 フランス語の能力 その他の言語の能力 25 別紙 2 現地(経由地)集合・解散行動計画書 学生氏名 和文 旅券記載のローマ字 学部学科専攻 旅券番号 住所 電話番号 保証人氏名 学籍番号 旅券有効期限 Fax 番号 和文 ローマ字 住所 Fax 番号 電話番号 日本出発日時 日本帰国日時 航空券を手配 した旅行社 所在地 月 月 日 日 時 時 分 分 空港 空港 便名 便名 担当者 Fax 番号 電話番号 合流場所 合流日時 解散場所 解散日時 日本出国から集合までの行動計画 月日(曜日) 行動 宿泊先 26 電話・fax 解散後帰国までの行動計画 月日(曜日) 行動 宿泊先 集合前及び解散後の安全確保計画 27 電話 別添 3. 外務省海外安全情報: マダガスカルに関する安全対策基礎データ(2006 年 8 月 3 日現在) ● 犯罪発生状況、防犯対策 1. 犯罪発生状況 マダガスカルでは、首都アンタナナリボだけでなく、主要地方都市においても、拳銃等で武装した グループによる銀行・商店等の襲撃、民家に押入っての強盗殺人、身代金目当ての誘拐事件(主に子 女を誘拐)等の凶悪犯罪が頻発しています。 また、窃盗、引ったくり、置き引き、車上狙い、スリ等の一般犯罪も多く発生しており、人口の多 い都市部だけでなく、観光地においても、外国人観光客が多く犯罪被害に遭っています。 2. 日本人の被害例 犯罪の標的となるのは、裕福な外国人が多く、日本人も標的になりやすい状況にあると言えます。 滞在中の日本人が被害にあった事例として、引ったくり、食事中の置き引き、住居敷地内への泥棒 の侵入、使用人の手引きによる窃盗被害、拳銃を突きつけられての強盗などが挙げられます。 また、各空港到着ロビーには、単独の旅行者に近づき、安い料金で交通・宿泊を斡旋するとして、 治安の悪い地区にある安ホテルに案内する者がいますので十分注意してください。 3. 犯罪被害危険地域・場所 首都のアンタナナリボ市内では、イスチィ、アンダバマンバ、アノシベ、アナラケリ、ツァラララ ナの各地区及び街中の階段(特に、通称エスカリエ・アンタナナリン、通称エスカリエ・アンボンジ ョナ:大統領府前から下り、独立大通りを交差して反対側に登る階段)において、強盗、麻薬犯罪等 が多く発生しています。 また、上記各地区以外でも、市場、ディスコ、バスの車内等雑踏の多い場所は窃盗、スリ、引った くりに遭遇する危険があります。外国人が多く訪れる観光地の繁華街をはじめ、各地方都市でも首都 と同様の各種犯罪が発生しています。 4. 防犯対策 強盗犯、窃盗犯等に抵抗したり、金品の要求を拒んだりすると、時として犯人が逆上し、何らかの 危害を受ける可能性があります。 市場、ディスコ、乗合バス等、大勢の人が集まる場所では、スリ、引ったくり等の犯罪が多発して いるので、なるべく立ち入らない方が賢明です。もし立ち入る場合には、その場所の事情に詳しい現 地の人と一緒に行動する方がよいでしょう。標的となりやすい装飾品は身に付けないようにし、バッ グ類は、常に体の前に抱える等の注意が必要です。 ポケットに手を入れられたり,上着、バッグの肩掛け紐等をナイフで切られることもありますので 十分注意してください。 タクシーを利用する場合、運転手が他の客を便乗させることがしばしばあります。便乗者が強盗を 働く事件も発生しておりますので、タクシーに乗車中は他の客を便乗させないようにしてください。 昼間から飲酒し街頭で屯し、徘徊し、また、外国人をつけ回す者もいるので自分の周りの人物の行 動に注意を払ってください。 夜間の外出は可能な限り避けてください。 市内の階段のように、人気がなく、両側に壁がある狭い小道は、逃げ道がないため、強盗が発生し やすい状況です。夜間に限らず、日中でも単独で歩くのは避けた方がよいでしょう。 ● 査証、出入国管理 1. 査証 マダガスカル入国には査証の取得が必要です。短期滞在査証のみは、入国時に空港で取得すること もできます(滞在期間最長 3 ヶ月、発給手数料約 30 ユーロ:滞在期間による)。可能な限り事前に取 得しておくことが望まれます。 28 また、観光目的以外の滞在査証の取得には、滞在目的によって必要書類が異なります。無犯罪証明 (日本の警察証明にあたるもの)が必要となる場合もありますので、観光目的以外の渡航に際しては、 予め時間的な余裕を十分にもって日本にあるマダガスカル大使館(連絡先:03-3446-7252、 7254) にお問い合わせ下さい。 2. 出入国審査 入国時は、旅券(査証付き)の他、入国カードの提出、往復航空券の提示が必要です。復路の航空 券を所持していない場合は、入国を拒否されることがあります。入国カードは通常、航空機機内で配 布されますが、配布されない場合もありますので、その際は、入国審査ゲート前に備え付けられてい る入国カードに記入した上で入国審査を受ける必要があります。 入国時の旅券残存有効期間は、滞在期間中を通して有効である必要があります。 過去に黄熱病、コレラの汚染地域を訪問したことのある入国者は、入国(トランジットを含む)の 際に、予防接種証明(イエローカード等)の提示が必要となります。 国内の空港によっては、入国審査窓口と検疫窓口が隣接しており、入国審査のために入国審査官に 提示する復路の航空券と旅券のうち、航空券は入国審査官から返却されますが、旅券は入国審査官か ら検疫官に直接渡された上で返却されます。このため、検疫官からの旅券の返却を受けることを忘れ たまま立ち去ってしまう場合があり、旅券や航空券紛失の原因となっています。提示した航空券及び 旅券は必ず受け取るよう十分ご注意ください。 学術調査及びテレビ撮影(取材)などの目的で入国する場合には、事前にマダガスカルの各管轄官 庁の許可を得る必要があります。 3. 外貨申告 7500 ユーロ相当以上の外貨を持ち込む場合には、申告が必要です。 また、出入国時における、持込み/持出しが可能な現地通貨(マダガスカル・フラン:FMG 及びア リアリ:Ariary)額は最高 2,000,000FMG(=400,000Ariary)です。それ以上の金額を持ち込み/持 ち出そうとした場合は没収されます。 現地通貨については、下記 3.「7.通貨に関する注意」をご覧下さい。 4. 通関 タバコ 2 カートン、酒類 2 リットル(瓶は 2 本)までは無税で持ち込みが可能です。 恐竜の化石、ワニ・海亀の剥製、未加工の貴石、高級木材等は持ち出し禁止品目です。土産物で輸 出申告書が必要な物(アンモナイトの化石の加工品等)は、購入時に店で作成してもらう必要があり ます。 なお、市内の市場では、持ち出し禁止品目と知りながら、マダガスカル固有種の原猿類、亀、カメ レオン等を観光客に売りつけることが多々ありますので、購入しないようにして下さい。これらは、 売買行為自体も禁止されています。 ● 滞在時の留意事項 1. 滞在査証の延長は、内務省に申請する必要がありますが、通常、短期滞在査証(最大 3 か月有効) の延長はできません。 2. 最近では、滞在期間の延長手続きを代行すると持ちかけ、高額な料金を取って偽の滞在許可を作 成する業者も現れておりますので、絶対に利用しないようにしてください。 3. 旅行制限 外国人の旅行が禁止、又は制限されている場所はありませんが、国立公園や自然保護区を訪問する 場合には、保護地域管理協会(ANGAP: Association Nationale pour la Gestion des Aires Protegees) からの許可が必要です。窓口は、通常各国立公園等の入口にあります。 29 4. 写真撮影の制限 大統領府、空港、港湾、軍事基地(駐屯地)等は撮影が禁止されています。また、マダガスカル国 旗を掲げた建物も、政府関係機関の建物ですので、撮影を避けた方が無難です。取材等で撮影をする 必要がある場合は、事前の許可を取得する必要がありますので、入国の約 3 か月前までに日本にある マダガスカル大使館に申請してください。 マダガスカルの慣習上、王族の墳墓等の撮影は禁止されています。また、地方の民族によっては写 真を撮られることを嫌う場合もあるので、トラブルを避けるためにも注意する必要があります。 撮影の禁止又は、制限に違反した場合の刑罰としては、罰金、カメラ・フィルム等の没収がありま す。 5. 各種取締り法規 (1) 麻薬 麻薬所持には、懲役、罰金等の刑罰が科せられます。 マダガスカルでは、麻薬に類する植物が自生している場所があり、特に地方において、これらを入 手することは比較的容易です。噛みタバコのような素性のわからない植物を勧められても絶対に口に しないことが肝要です。 また、近年、当局の麻薬取締りは強化されており、国内各地で憲兵隊による検問が実施されていま す。 (2) 不法就労 外国人の就労許可申請には、雇用主との契約書、無犯罪証明(日本の警察証明にあたるもの)等が 必要ですが、許可取得までに長期間を要します。 不法就労が摘発された場合には、国外追放となります。 (3) 治安維持 外国人が、新聞、テレビ、ラジオ等を通じて政治的意見を発表することやスパイ行為は禁止されて います。そのような治安維持上違法と認められる活動を行った場合には、国外追放、懲役、罰金の刑 に処せられます。 旅券等は常時携帯が義務づけられています。 外出禁止令が発令された場合には、マダガスカルから出国できないことがあります。 (4) その他 * 両替は、銀行、両替商、ホテル等の認可された場所において行ってください。空港等で闇両替商が 勧誘してくることがありますが、絶対に利用しないで下さい。 * 繁華街(特にディスコ周辺)では、売春婦が近づいてくることが多いので注意してください。 * 外国人が違法行為を行って罰金刑を科せられた場合、その罰金額は非常に高額です。罰金が支払え ない場合には懲役刑となります。 * マダガスカル国内において、犯罪に巻き込まれ、訴訟に関与すると、司法手続き終了まで相当の期 間未決状態のまま拘留されることがあります。 6. 交通事情 マダガスカルの交通マナーは劣悪で、ドライバーは自己中心的に好き勝手な運転をしています。ま た、歩行者は、自動車交通量の多い道路を、車の間を縫うように好き勝手に横断し、交通事故も頻発 していますので、マダガスカルでの自動車運転は可能な限り避ける方が賢明です。 マダガスカルでは、車輌は右側通行です。各地の道路は幅が狭く、舗装状況もあまり良くありませ ん。雨季には、道路が冠水したり、地盤が流失することもあります。 首都のアンタナナリボでは、坂道が多く、狭い道路が複雑に入り組んでいます。また、街中の至る 路上に駐車車両があり、更に通行が困難になっています。標識のない一方通行が多い上、交差点ごと に優先道路が違っていますので、外国人が自動車を運転するのは非常に困難です。 7. 通貨に関する注意 30 (1) 現在、マダガスカルは通貨単位の移行時期にあたり、従来のマダガスカルフラン(FMG)に 加え、アリアリ(Ariary)という新通貨単位が存在しています(1Ariary=5FMG)。 (2) このため、国内では FMG 表記の紙幣と Ariary 表記の紙幣が同時に流通しており、商店等の 価格も FMG と Ariary の双方の単位で表示されています。 (3) 2003 年 7 月 31 日には、10,000Ariary 紙幣(50,000FMG に相当:新規の額面)、5,000Ariary 紙幣(25,000FMG に相当)及び 2,000Ariary(10,000FMG に相当)紙幣の 3 種が発行されました。 このうち、5,000 及び 2,000Ariary 紙幣は、それぞれ従来の 25,000、10,000FMG 紙幣に代わるもの です。 (4) 上記の 3 種の新紙幣の発行により、従来から流通していた 25,000FMG 紙幣と 10,000FMG 紙 幣の 2 種の旧紙幣は、2004 年 11 月 30 日まで使用することができますが、それ以降はマダガスカル 国内での各金融機関窓口にて新アリアリ紙幣と交換する必要があります。また、従来から流通してい る 5,000FMG、1,000FMG、500FMG の各紙幣及び各種硬貨は、以降にかかる新たな決定が下される までの期間、今後も引き続き流通を続けます。 (5) このように同じ価値の 2 種類の紙幣が流通しておりますので、支払い時には、請求されてい る通貨単位が FMG なのか、Ariary なのかを良く確かめて支払う必要があります。 (6) 新・旧紙幣の対照は次のとおりです。 (※は 2004 年 12 月 1 日以降要交換) 新 10,000Ariary 5,000Ariary 2,000Ariary なし なし なし 旧 なし = 25,000FMG※ = 10,000FMG※ 5,000FMG 1,000FMG 500FMG ● 風俗、習慣、健康等 1. 衛生事情 水道水、生野菜、肉、鮮魚等は、感染症、寄生虫症の問題がありますので、飲料水は市販のミネラ ルウォーターを利用し、生ものは十分に火を通す必要があります。市場や街頭の露店で販売されてい る食品、菓子等は、火が十分に通っていても、色々な人の手に触れていますので、食べないほうが賢 明です。 また、地域によっては、市内各所のゴミの回収が滞っていることが多く、ゴミ集積所付近はゴミが 散乱して不衛生であり、伝染病の発生源となっています。 2. 病気 (1) マダガスカルは、WHO が指定しているマラリア汚染地域です。 熱帯気候の沿岸部では、1 年を通じてマラリアに罹患する可能性があります。また、近年、沿岸部 と中央高地の交通が発達したことから、比較的安全といわれているアンタナナリボでも、マラリアの 発症例が報告されています。 マラリアに関する注意事項は次のとおりです。 * マラリアはマラリア原虫が体内に侵入することによって感染する。 * 初期症状は、発熱、頭痛、悪寒戦慄、発汗等である。熱帯熱マラリアに感染すると、黄疸、腎不全、 血液凝固異常が現れ、脳性マラリア症状を経て死に至ることがある。また、日本人はマラリア原虫に 対する免疫を持たないため、現地人に比較して重症化する傾向がある(マダガスカルでは、 80∼90% 31 が熱帯熱マラリアである) 。 * 予防としては、先ずハマダラカに刺されないようにするため、長袖、長ズボンを着用して可能な限 り肌の露出を少なくし、忌避剤の塗布、蚊取り線香や蚊帳を使用する。また、ハマダラカの活動が活 発になる夜間の外出を控える。なお、予防薬の内服は専門医に相談すること。 * 熱帯熱マラリアの潜伏期間は、一般的に約 1 週間から 2 週間とされている。但し、6 ヶ月∼1 年経過 後発症したという報告もあり、日本に帰国してから発症することも十分に考えられる。また、三日熱 マラリアや卵形マラリアは、症状がなくなってからも、数年後に再発することがある。 (2) マダガスカルでは、時にペストが流行することがあります。 2003 年の 1 年間に 323 名の感染が確認され、2004 年も 10 月までに 186 名の感染が報告されてい ます。2004 年 2 月、首都アンタナナリボ市で 7 名が、また 10 月にはアンバトンドラザカ付近で 6 名 がペストで死亡したと報道されています。(死亡例は主に肺ペスト) 肺ペストは患者の咳等により病原菌が拡散されます。不衛生な市場等へ立ち入る場合には十分な注 意が必要です。 なお、ペストに関する注意事項は次のとおりです。 * ペスト菌はネズミ、ノミによって媒介されるので、ネズミを駆除する薬剤や殺虫剤を住居等に散布 する。また、虫除けスプレーなどの薬剤を毎日身体に塗布する。 * ペスト菌は患者の咳、痰、膿、糞尿等にも存在するので、患者や死亡者には近づかない。 * ペストの症状は、1∼7 日間の潜伏期の後に、悪寒と共に突然発熱し、全身の倦怠感と筋肉痛の他、 特に足の付け根、腋の下、頸部のリンパ腺の腫れ、痛みが特徴である。 * 肺ペスト患者からは直接肺ペストに感染する。 * 上記の症状を認めたら、直ちに医師の診察を受け、適切な治療をする。特に肺ペストに感染した疑 いがある場合には 24 時間以内に治療を開始する必要がある。 (3) 狂犬病 2003 年にアンタナナリボ市近郊で行われた調査によれば、採取見本の野犬のうち約 2/3 が狂犬病に 感染していたとされています。また、 2004 年 8 月から 10 月の間に、マダガスカル国内で、狂犬病に より 6 名の死者が確認されています。狂犬病は犬だけが保菌しているとは限りませんので、野生動物 (キツネザル類等)に接する機会の多いマダガスカルでは特に注意が必要です。渡航の前には狂犬病 ワクチンの予防接種をお勧めします。(初回、2 週間後、6 ヵ月後の合計 3 回) 狂犬病に関する注意事項は次のとおりです。 * 狂犬病は、感染した動物の唾液に含まれる狂犬病ウイルスが体内に入ることによって感染する。 * 感染から発病までの期間は 2 週間∼8 週間といわれるが、摂取されたウイルスの量、咬傷部位によ っては発症が早まることがある。 * 初期症状は、頭痛、発熱、不安感、違和感、咬傷部位の知覚異常と放散痛(咬まれた場所を中心に した響くような痛み)がある。 * 一度発症したら、どのような救命措置をとっても必ず死亡すると言われている。 * 発病者の体液(唾液、涙、汗)には多量の狂犬病ウイルスが含まれているので二次感染の可能性が 高い。 * 狂犬病を発病した動物は見た目はぐったりとしていることが多いので、介護のつもりで接触するこ とは大変危険である。 * 狂犬病予防接種を受けていても、狂犬病に感染した疑いのある場合には、24 時間以内にワクチンを 接種する必要がある。予防接種を受けていない場合には事後の治療(ワクチン投与)に相当の長期間 を要する(約 3 ヶ月)。 (4) その他、注意すべき病気としては、マラリア以外の寄生虫感染症、細菌性下痢症、破傷風、A 型肝炎、B 型肝炎、腸チフス等があります。 3. 医療事情 首都のアンタナナリボには、比較的設備の整った病院がありますが、高度な医療は期待できません。 また、医薬品も十分に揃っているとは言えません。 32 地方都市においては、総合病院の数も少なく、十分な治療を受けることはできません。万が一の怪 我や病気の際には、首都の病院での治療が必要となる場合が多いです。 また、手術が必要な場合等、怪我・疾病の状態によっては、近隣の国(南アフリカ、仏領レユニオ ンその他)又は先進国への移送が必要となりますので、緊急移送(エバキュエーション)サービスを 包括した海外旅行傷害保険等へ加入しておくことが必要です。 ● 緊急時の連絡先 ◎警 察:TEL 17 ◎救 急:TEL 17 ◎消 防:TEL 18 ◎在マダガスカル日本国大使館(アンタナナリボ市) :TEL 22-261-02 33 別添 4. 外務省海外安全情報: マダガスカルに関するテロ概要(2005 年 12 月末現在) 1.概要 (1)マダガスカルでは、アル・カーイダ等のイスラム過激派組織の存在は確認されていません。 しかし、過去に東アフリカにおけるイスラム過激派によるテロ攻撃に関与したとされる犯人は、同国 内で事前準備を進めたことが明らかになっています。 (2)同国では、2002 年に新政権が発足しましたが、現在でも一般国民が生活水準向上を実感する までには至っていません。特に、2005 年は、世界的な石油価格の高騰とそれを受けた電気料金の大幅 な値上げ、さらにマダガスカル電気・水道公社の経営悪化による停電の頻発などが原因で、経済状況 が悪化し、一部国民の不満が蓄積している模様です。 (3)また、2005 年 11 月には、ラヴァルマナナ大統領夫妻が参加した教会の式典の最中、拳銃数 丁を保持した男性が教会内で不審な動きをみせ、警察に連行される、といった事件も起きました。 (4)同国では、2006 年末から 2007 年初頭にかけて、大統領選挙が実施される予定です。選挙時 期及び選挙結果を巡り対立が生まれ、政情が不安化する危険性も考えられますので、注意が必要です。 2.誘拐事件の発生状況 2005 年に発生した誘拐事件総数は不明ですが、報道された事件だけでも 1 ヶ月あたり数件の割合で 発生しています。身代金目的や個人的な怨恨が動機とみられる事件が多数を占め、マダガスカル国内 の富裕層やその家族が標的となっています。また、マダガスカル人だけでなく、会社を経営する外国 人や商業を営む外国人等が誘拐される事件も発生しています。 3.日本人・日本権益に対する脅威 現在のマダガスカルでは、凶悪犯罪が増加しており、日本人を含めた外国人がその標的となる可能 性があります。また、上述のとおり、外国人も誘拐の標的になっており、注意が必要です。さらに、 主要援助国である日本の権益に関わる事件は世間の注目が高く、同国への政治的・社会的衝撃は大き いと予想されることから、政治的理由によって犯罪の対象とされる可能性は排除できません。 34 別添 5. 外務省海外安全情報: マダガスカルに対する渡航情報(危険情報) (2006 年 8 月 10 日付): 全土: 「十分注意して下さい。」(継続) 1.概況10 (1)従来からの国内経済の低迷、貧困に起因するとみられる路上強盗、窃盗、スリ、引ったくり、 置き引きに加え、2004 年後半からは、拳銃・軍用小銃等で武装した集団による商店等強盗、身代金目 当ての誘拐事件等の凶悪犯罪が増加しており、外国人も多く被害に遭っています。強盗事件や誘拐事 件は時として殺人事件に発展することもあります。 (2)2006 年 12 月 3 日には、大統領選挙が実施される予定です。選挙に先立って、2005 年 10 月に は、マダガスカル北部のアンチラナナ州において現政権に反対するデモ隊とデモ鎮静化のため出動し た治安機関との間で衝突が起こり、双方に負傷者が出ました。また、同年 11 月には、首都アンタナナ リボにおいて反政府デモが計画されていたものの、治安機関に制止され、未遂に終わりました。これ らの動きは今後も頻発する虞れがあり、また 2006 年 7 月には、反政府勢力が関わっていると思われる 刑務所からの凶悪犯の脱走事件が相次いでおり、治安機関は警戒を続けています。 2.地域情勢11 首都アンタナナリボ市を含む全土:「十分注意して下さい。」 (1)首都アンタナナリボ市 (イ)首都アンタナナリボには、地方から職を求めて流入した失業者が路上生活者となって貧民街 を形成し、軽犯罪多発などの治安悪化の原因になっている他、武装グループによる強盗殺人、市内の 銀行・商店・ガソリンスタンド等への襲撃、走行中のバスやタクシーを停車させての強盗等が頻発し ています。また、首都の市内では、道路が一時的に非常に渋滞し、犯罪発生時における警察等治安当 局による迅速な対応が期待できない他、怪我等の際の救急車による病院への搬送に時間がかかること が予測されます。つきましては、外出中は常に周囲の状況に注意し、目立たない行動を心がけるとと もに、貴重品の管理に万全を期してください。また、夜間の単独での外出は可能な限り控えてくださ い。 (ロ)各種抗議集会・デモ行進等は、大統領府周辺や政府関係機関建物付近のほか、独立大通り、5 月 13 日広場、マハマシナ競技場等、群衆の集まる場所で行われる可能性が高いので、これら地域の群 衆の集まっている場所には近づかないようにしてください。やむを得ずこれらの付近に赴く際には、 犯罪、騒擾等に巻き込まれないよう、周囲の状況に十分注意してください。 (ハ)マダガスカルでは、報道されただけでも、1 か月あたり 1∼2 件の割合で誘拐事件が発生して います。その主な対象はマダガスカルで商店・企業等を経営している外国人(特にインド・パキスタ ン系)であり、営利目的や個人的怨恨に起因するとみられています。つきましては、誘拐から自分自 身と家族の安全を守る心構えとして、 「目立たない」 、 「用心を怠らない」 、 「行動を予知されない」の三 原則を念頭に、日常における予防策を忘れないでください。また、 「目立つ服装は避ける」 、 「通勤時間 や経路を変更する」 、「外出や帰宅時に、不審者や不審車両が見当たらないかチェックする」等の注意 が必要です。 (詳細はホームページ ( http://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_04.html )を参照し てください。 ) (2)地方都市 地方都市においても各種犯罪の発生が後を絶ちません。各州主要都市の市街地では、首都アンタナ ナリボと同様に、強盗、誘拐等の凶悪犯罪も多数発生しております。特に観光地においては、外国人 2006 年 3 月 28 日版では、2005 年 9 月の訪問時に比べ、(2)と(3)が追加された。即ち、現政権支持 派と反対派の間の紛争のリスクと電力事情の更なる悪化が加わった。2006 年 8 月 10 日版では、(2)に 脱走事件の記載が追加される一方、(3)の電力供給会社の経営状態悪化に伴い、国内各地で電力供給が 不安定な状態となっているため、首都アンタナナリボ市を含め国内各都市では停電が頻繁に起きてい るとの情報が削除された。 11 (ロ)において、政治情勢・経済情勢によっては集会等が行われる可能性があるとしていたものが、 2006 年 8 月 10 日版では、集会等が行われることを前提にした表現になった。また、2006 年 8 月 10 日版では、誘拐の対象となる外国人について、 「特にインド・パキスタン系」と明記した。 10 35 観光客を標的とした金品目当ての犯罪(窃盗、スリ、置き引き)が頻発しています。また、地方の都 市部以外の場所においては、犯罪被害時、事故等の緊急事態発生時にも電話が通じない場所が多いこ とに加え、治安当局による迅速な初動対処と医療機関による救急処置が望めない(警察・救急車輌及 び燃料の不足等が原因)ため、十分な安全対策が講じられない状況にあります。 つきましては、渡航・滞在にあたっては、上記情勢に留意し、安全確保のため十分注意してくださ い。 3.滞在にあたっての注意(渡航者全般向けの注意事項)12 マダガスカルに滞在される方は、安全対策基礎データを参照の上、下記の事項に十分留意して行動 し、危険を避けるようにして下さい。また、外務省、在マダガスカル日本国大使館、現地関係機関等 より最新情報を入手するよう努めて下さい。 (1)マダガスカルでは、首都、地方都市全般において、昼夜を問わず検問が行われておりますので、 外出の際には、必ず国籍が明記された身分証明書を携行して下さい。検問において、身分証明書の提 示ができない場合には無条件で警察署に連行され、取調べを受けることとなります。特に夜間におい ては検問箇所が増設されます。このため、無用のトラブルを避けるためにも夜遅くの外出は可能な限 り控えて下さい。 (2)常に新聞、テレビ、ラジオ等により、政情、治安に関する最新情報の入手に努めると共に、こ れらの使用言語(フランス語及びマダガスカル語)が理解できるよう、現地ガイドを雇う等の自己防 衛策を取って下さい。群衆の集まる場所に赴く際には、周囲の状況に注意するとともに、引ったくり、 置き引き、不当な金銭の要求等にも注意して下さい。また、国内各地の格安ホテルは、通常、治安の 悪い地域に立地し、麻薬犯罪の温床となっていることが多いので、防犯対策面、衛生面の観点からも 利用は控えるようにして下さい。 (3)国内・国際線の航空便の運航は、しばしば予告なしに変更されます。突然の時刻変更(早発・ 遅延) 、欠航にも柔軟に対処できる種類の航空券での渡航等、余裕を持った計画をおすすめします。 (4)可能な限り、滞在日程、概略の計画などを在マダガスカル日本国大使館までご連絡下さい。連 絡がない場合、在マダガスカル日本国大使館からの緊急連絡を含む各種情報提供等の連絡ができなく なることがありますので御留意下さい。 (5)現地に 3 か月以上滞在される方は、緊急時の連絡などに必要ですので、到着後遅滞なく在マダ ガスカル日本国大使館に「在留届」を提出してください。また、住所その他の届出事項に変更が生じ たとき又はマダガスカルを去る(一時的な旅行を除く)ときは、必ずその旨を届け出てください。 なお、在留届の届出は、郵送、FAX のほか、インターネット( http://www.ezairyu.mofa.go.jp/ ) によっても行うことができます。 (6)常備薬等の医薬品は必ず持参して下さい。 (7)首都と地方都市あるいは地方都市間を結ぶ長距離バス(「タクシー・ベ」または「タクシー・ブ ルース」と呼ばれている)の利用は危険です。これらは、車両整備状況が非常に悪く、荷物の過積載 (屋根の上に重量物を積み上げるため、不安定になります) 、乗車定員超過、さらに、かなり摩耗した タイヤで、猛スピードで悪路走行を強行するため、車輌の横転や道路からの転落等の事故が多発して います。また、市街地以外の場所での交通事故は、事故発生を知らせる手段に乏しく、怪我の手当に 時間が掛かり、致命傷に至る場合があります。このため、陸路での移動には運転手付レンタカー、旅 行業者手配の借上げ車両などの利用が賢明と思われます。 2005 年 9 月の訪問時に比べ、雨期に道路や橋の流失により地方都市が孤立するおそれの記載が無く なっている。 12 36 別添 6. 外務省海外安全情報: マダガスカルの日本大使館医務官情報(2004 年 11 月付け)13 1. 国名、都市名 マダガスカル共和国(アンタナナリボ他) (国際電話国番号 261) 2. 公館の住所、電話番号 Ambassade du Japon 8 Rue du Docteur Villette, Isoraka, Antananarivo, Madagascar (B.P. 3863) Tel: (261-20)2226102 Fax: (261-20)2221769 3.担当者 今橋 正令 医務官(発令日:2004 年 3 月∼) 4. 衛生・医療事情一般 マダガスカルはアフリカ大陸の東方 400km のインド洋南西端、南緯 11∼25 度に跨る世界第 4 位の大きさを持つ島国です。国全体としては熱帯圏にありますが、地域によってさまざまな気候がみ られ、中央高地、西部、南西部、東部の大きく 4 つに分けられます。首都アンタナナリボは標高 1300m 前後の中央高地にあり、比較的涼しく、過ごしやすい場所です。しかし衛生状態は全ての地域におい て劣悪で、細菌性食中毒、寄生虫疾患などが頻繁に見受けられるため、生もの(水、野菜、肉類など) には注意を要します。また、首都では主要交通機関が自動車であるため、排気ガスの多い中古車によ る交通渋滞が局所的な大気汚染を生じさせますのでノドなどのケアが必要です。医療機関、設備、治 療薬も不十分で(全国で CT が 2 台等) 、内科、外科のみならず小児科、眼科、耳鼻科、産婦人科、整 形外科といった専門医の数及び質は限られています。当地で比較的妥当な医療を受けようとしますと 途上国といえどもかなり高額な医療費が請求されますので、海外旅行傷害保険は必須です。緊急手術 や高度な医療が必要な時には、近隣のレ・ユニオン、南アフリカやパリ及び日本での治療を考える必 要があります。 5. かかり易い病気・怪我 (1)マラリア:マダガスカルは、WHO のマラリア汚染地域に指定されており、特に脳性マラリア等、 重症化しやすい可能性が高い熱帯熱マラリアが 80−90%を占めますので蚊対策、発熱等の症状には十 分配慮が必要です。ただ首都などの中央高地では皆無ではありませんが、地方に比べて感染のリスク はかなり少ないようです。しかし海岸沿いの地域に長期滞在する際には、予防内服が推奨されていま す。(次項 6.(4)を参照願います。) (2)コレラ:最近では 1990 年、1999 年と 2000 年に大流行がみられました。その後、散発症例はあ るものの 2001 年以降、コレラ大流行はありませんが、流行情報には注意してください。 (3)感染性胃腸炎:細菌性腸炎は腸サルモネラ菌や大腸菌などの、さまざまな原因菌によるものが、 年中存在しています。寄生虫疾患ではジアルジア症、アメーバ赤痢が高頻度にみられます。 (4)A 型肝炎:A 型肝炎は世界中でみられますが、特に生の海産物(生牡蠣などの貝類)、衛生状態 を考えますと生水は要注意です。 (5)嚢尾虫(のうびちゅう)症(Cysticercosis) :条虫などの幼虫が成虫とならず、脳、目、心臓、筋肉 などに寄生することによって様々な症状を呈する疾患で、マダガスカルでは、一般的な疾患ですが、 頻度については現在、保健省で調査中です。豚肉(加熱不十分)、ハム、ソーセージ、生いちご、レタ ス類などの野菜が感染源として考えられています。 (6)ペスト:毎年雨季に 10 名前後の報告が見られています。かかりやすい病気というわけではあり ませんが、衛生状態の悪さを物語っています。 (7)エイズ:2003 年 11 月に行われた保健省の発表によると、同年 5 月から 7 月に行われた 9623 名 13 2005 年 9 月の訪問時以降の改訂無し。 37 の妊娠中の女性を対象にした調査で、HIV 陽性率は 1.1%、陽性患者の平均年齢は 24.5 歳でした。性 病感染率が非常に高いとのデータ(約 90%)から推察するに、実際の陽性率はこれより高いと思われ ますが、他のアフリカ諸国と比べると、マダガスカルの HIV 感染者は多くありません。 6.健康上心掛ける事 (1)寄生虫及び細菌性食中毒予防のため、生水、生野菜、生もの(魚、肉)などの食物や淡水での(不 衛生なプールや湖)水泳は気をつけることが大切です。 (2)ノミ、蚊、ダニは感染症の媒介となるため、刺されないように気をつけましょう。 (3)長期滞在者には狂犬病、破傷風、肝炎(A,B 型)などの基本的な予防接種をおすすめします。 (4)地方旅行の際の、マラリア予防内服投与方法として、マダガスカル保健省では、旅行 2∼3 日前 より、1 週間ごとに 1 回クロロキン 300mg を服用、マラリア汚染地域を離れてからも、1 週間ごとに 1 回クロロキン 300mg の服用を 4 週間続けることが推奨されています。 (予防効果は 70∼80%:クロ ロキン耐性が 20∼30%認められるということです。 ) (5)有毒動植物は少ないですが、ムカデやサソリなどが生息していますので刺された時には医療機関 の受診が必要です。 7. 予防接種 (1)赴任者に必要な予防接種 マダガスカルのみであれば特に必要ありませんが、黄熱病汚染地域からの入国は(経由地も含め) 、 その予防接種証明書が必要となります。マダガスカル保健省は長期滞在者にはジフテリア、破傷風、A, B 型肝炎、狂犬病の予防接種を推奨しています。 (2)現地の定期予防接種14 (3)小児が現地インターナショナル校に入学・入園する際に必要な予防接種証明書 フランス人学校:ジフテリア、破傷風、ポリオ、BCG、ツベルクリン反応 アメリカ人学校:ポリオ、DPT,MMR、BCG 若しくはツベルクリン陰性証明書(1 年以内)、B 型肝 炎※これらは 2004 年 3 月現在のもので変わる可能性がありますから確認が必要です。 8. 病気になった場合(医療機関等)15 ◎ アンタナナリボ (1) Centre Hospitalier de Soavinandriana(HOMI) 所在地: Rue Moss Soavinandriana 電話: 22-397-51、22-397-53、22-645-69、Fax:23-645-69 概要: 元陸軍病院で現在は半官半民、24 時間態勢の総合病院で CT 等の検査施設も完備されている 一番大きな病院です。救急にはフランス人医師が常駐していましたが、現在不在(一時的?)です。 (2) Clinique des Sours Franciscaines 所在地: Rue Rajaonah Ankadifotsy 電話: 22-235-54 /22-790-94、Fax:22-230-95 概要: カトリック系の病院で日本人の平間シスター(看護士兼助産婦)がサポートしてくれます。 マラリア検査等はパスツール研究所に委託していますので信頼できますし、救急もあり、日本人がお 世話になる確率が一番高い病院です。 (3) Clinique Polyclinique d'Ilafy 所在地: Ambohitrarahada 電話: 22-425-66、22-425-69、22-603-63、Fax :22-313-50 概要: 設備も整っており医療費は掛かりますが、現地居住邦人はこちらで外科手術を受けています。 (4) Clinique et Maternite d'Anosibe 所在地: (略。内容は、BCG(経口)、ポリオ(経口)、DPT、B 型肝炎、麻疹 、流行性耳下腺炎(任意接種) のタイミング・回数) 15 アンタナナリボ以外は省略。 16 省略。内容は、診療関係の日本語・フランス語対訳 12 項目。 14 38 電話: 概要: 22-200-32 、22-290-56、Fax:22-656-37、E-mail:[email protected] 2003 年設立で救急も含め、比較的信頼出来る各専門医の紹介をするサービス機関です。 9. その他の詳細情報入手先 今橋医務官電子メールアドレス:[email protected] ※医務官不在時 大使館領事部メールアドレス:[email protected] 医務官秘書 本語で対応してくれます。 10. 現地語一口メモ16 39 Ms ニコルが日 別添 7. 在マダガスカル日本大使館・今橋医務官の助言(特に、ネット上の医務官情報の補足点) (2005 年 8 月 1 日に宮田が面会して得た口頭注意) (1) 高原であるため、熱帯性の病気は少ない。特に、気温も下がる乾季には少ない。しかしな がら、首都の性格上、地方からの人の出入りが多いために、車や荷物に紛れ込んで、乾季 でも低地から熱帯性の病気が入って来る。例えば、昼でも、車の中にマラリア蚊がいて、 活動していることがあるので、長袖を着用し、肌の露出部分には忌避薬を塗るなどの対策 をすることを勧める。 (2) ペストなども出ている。それらは、スラム、ごみ埋立地周辺等の衛生状態の悪いところに 見られる病気なので、むやみに恐れる必要はない。しかし、町全体に衛生状態がよくない ので、手をよく洗うことなどが大切である。 (3) 日本でも年間 400-500 例あることを考えると、アメーバ赤痢は、統計がないだけで、かな りの数があると考えられる。その多くは潜在しており、別の病気で抗生物質を使った時等 に発症し、劇症化する。先日、マダガスカルで劇症化して 80 時間で亡くなった日本人の例 があった。劇症化すると手の施しようがなく、100%死亡する。但し、その方の場合、マダ ガスカルに来る前に潜在的に持っていたものが発症したものと思われる。 (4) 治癒しても後遺症の残る嚢尾虫症などの寄生虫が多いので注意が必要。形状のために洗い にくいレタス、柔らかいために洗いにくいイチゴ等、生の野菜、果物は避ける必要がある。 豚肉を使ったハム、ソーセージも嚢尾虫症17などの寄生虫が生きていることがあるので避け るべきである。 (5) 大流行はないものの、予防接種も行われていない中、インフルエンザが多いので、これに も注意を要する。 (6) 狂犬病があるので、犬には近づいてはならない。動物園等でも、動物に触れてはならない。 動物園等でも狂犬病の予防注射は行っていない。なお、かまれた際等には、緊急にパスツ ール研究所で血清を打ってもらう必要がある。血清は、大使館の医務官も持っている。 (7) 熱帯の白身魚(アジの仲間、カマスの仲間、ブダイの仲間、フエフキダイの仲間、ハタの仲 間など)には毒素を持っているものがあり、そのために下痢をすることがあるので、避けた ほうがよい。原因は、海が荒れてサンゴ礁が壊れた際に毒素を持ったプランクトンが繁殖 し、それを食べた魚や更にその魚を食べた魚に毒素が蓄積していくことによる。下痢が収 まった後も体のしびれ等が半年から 1 年半残る。今橋医務官自身も、これにやられ、半年 経った今も足などにしびれが残っている。 (8) 水道水は、そのまま飲んではならない。但し、沸騰させれば飲用可能。 (9) デング熱はあまりない。 (10) 西ナイル熱は、マダガスカルでは、限られた特定地域にのみある。 (11) 自分の把握した限り、マダガスカルで死亡した日本人は、上記アメーバ赤痢の方を除い て 5 名。マダガスカルに来る日本人及び在留邦人の数が少ないことを考えると、必ずしも 少ないとは言えない。原因別には 2 人がマラリアで、日本への帰国後に発症したが、診断 がつかず、手遅れになって死亡した。1 人はがんであった。これは、在留邦人の親で、日本 で発症しても助からなかった可能性がある。残りは交通事故である。町を外れると、夜間 の道路は真っ暗で大変危険である。地質特性から土地の突然の自然陥没があり、夜間に発 生したそのような陥没孔に転落する事故もある。 17 別添 8 の「5. 条虫症」を参照。 40 別添 8. マダガスカルの有毒動物と寄生虫 マダガスカル研究懇談会【連載】マダガスカル渡航の手引き⑤ マダガスカルの有毒動物と寄生虫18 篠永 哲(東京医科歯科大学大学院国際環境寄生虫学分野) はじめに 私は、1992、1993、1997 年の 3 回、それぞれ 12 月から 1 月の 1 ヶ月間、文部省科学研究費 海外学術調査の補助金によりマダガスカルでの有毒動物の研究に参加しました。最初の年の出発 前に、この国にどのような寄生虫病があるのか、それらの蔓延の度合いはどの程度なのかなどを 調べてみたのですが、十分な資料は得られませんでした。そこで、帰国前の一日をさいて J. Andrianavalona 病院の寄生虫学者 Dr. Robin Randriambololona に寄生虫症の全般について、厚 生省(Ministere de la Sante)の局長 Damoela Randriantsimaniry 医師にはマラリアの現状につ いて事情を聞きました。お互いに片言の英語での話でしたので、十分な理解が出来たかは疑問で すが、これがなんらかの参考になればと思い記録しておくことにしました。有毒動物については、 滞在中の経験のみですので全てを網羅してはいません。実際に、私は一度も危険な目に遭った記 憶がありません。 1. マラリア Malaria マラリアは、現在世界中の熱帯亜熱帯の国で深刻な問題を抱えている感染症です。マダガスカ ルでも全土に流行しています。首都のアンタナナリヴ周辺でも患者が発生しているとのことでし た。 ヒトには 4 種のマラリア原虫が寄生します。マダガスカルで最も多いのは、熱帯熱マラリアで 約 92%、次いで三日熱マラリアが約 8%ということでした。残りの四日熱マラリアと卵形マラリ アは、2 種合計しても 1%以下だそうです。従ってこの割合からみると、マラリアに感染したら まず熱帯熱マラリアと思ってよいでしょう。 流行の時期は、地方によって異なります。一年中雨の多い東海岸沿いでは、年間を通じて流行 が見られます。しかし、同じ東海岸沿いの中でも、雨量は北部と中央部で多く、南部は少ないよ うです。月別では、5 月と 9―11 月は乾期だそうですが、1 ヶ月も雨の降らないことは無さそう です。西海岸では、雨期と乾期がはっきりしています。雨期は 11 月から翌年の 4 月までですが、 雨量は北から南にゆくにしたがって減少します。ここでもマラリアの流行は、一年を通じてみら れます。乾期でも流行があるということは、大きな河川の流域で媒介蚊が発生しているからでし ょう。中央高地では流行の時期が場所により異ります。標高差と気候の違いによりますが、マラ リアの感染が起こるのは、年間 4―6 ヶ月とのことです。これは、その土地の媒介蚊の発生時期 と一致していると思います。気温が高く、乾燥している南部でも地域差があります。しかし、他 の地域よりも感染率は低いと思われます。 マダガスカルからは、マラリア媒介蚊であるハマダラカの仲間が 22 種知られています。その うち、11 種が固有種で、マラリアを媒介するのは 3∼4 種です。ガンビアハマダラカは、熱帯ア フリカに広く分布しています。マダガスカルおよびモーリシャスにも生息しています。ヒトを好 んで吸血する蚊で、幼虫が地上のあらゆる水域で発生するので、防除対策上でも最もやっかいな 種です。Anopheles merus は、西海岸の大きな河川の下流部に生息しています。東海岸での媒介 蚊については聞きもらしました。恐らくガンビアハマダラカ A. gambiae の亜種のひとつでしょ う。 熱帯熱マラリア原虫のクロロキン耐性について、1992 年の時点では WHO の耐性レベルの RI または RII で、ほとんどのケースでは、RII とのことでした。すなわち、感受性のマラリアでは、 クロロキン投与治療により 7 日以内に治癒し、再燃(熱帯熱マラリアの再発のこと)しないのに 対し、耐性レベル RI では、感受性と同じように一時的に治癒するが、その後に再燃します。RII 18 http://www.africa.kyoto-u.ac.jp/~malagasy/visitinfo/bug.htm 41 では、一時的に快方に向かうが、一定のレベル(patency level)以下には下がりません。したが って、マダガスカル国内では、クロロキンの予防内服は効果がないと考えてよいでしょう。マラ リア治療の経験の豊富な大友弘士博士(慈恵医大)によると、予防内服にはメフロキンが有効と のことです。熱帯熱マラリアに感染すると、感染赤血球の一部(栄養体と分裂体)が重要な臓器 の毛細血管に栓塞して重症化します。脳の血管に栓塞すると脳症を起こして 10 日くらいで死亡 することもありますので注意を要します。マダガスカルでの昆虫採集ツアーで感染し、危険な状 態になった症例もあります。早期の受診と治療が必要です。 2. アメーバ赤痢 (赤痢アメーバ症) アメーバ赤痢は、ヒトや動物(イヌ、ネコ、ブタ、サル、ネズミその他)の糞便内に排出され た赤痢アメーバの嚢子を経口摂取したときに感染します。感染の機会は、主に汚染された飲料水 や食物(生野菜など)からです。ヒトが嚢子を飲込むと腸管内で脱嚢して、大腸全域に寄生して 分裂増殖します。この時期の虫体を栄養形といい、赤血球を食べて分裂増殖を繰返します。症状 は、虫体の数、感染者の抵抗力などによって異なります。また、潜伏期も数日から数ヶ月と不定 です。組織侵入性があり、潰瘍を形成し、激しい下痢とイチゴゼリー状の粘血便がみられます。 しかし、多くのヒトは症状が次第に回復して嚢子のみを排出する嚢子保有者となります。このよ うなヒトが、感染源となるのです。赤痢アメーバは、血流を介して肝臓やその他の組織に転移す ることもあります。肝臓に転移したものを、アメーバ性肝膿瘍といい、不規則な発熱、肝臓肥大、 食欲不振などの症状がみられます。治療薬剤としては、腸アメーバ症、肝アメーバ症にはメトロ ニダゾール(商品名:フラジールなど)が用いられています。この薬剤は、一般の人は国内の薬 局などで入手できません。服用するにしても診断が確定してからの方が良いでしょう。現地の病 院で検査してもらうのが良いと思います。 マダガスカル国内での患者発生の統計がありませんので詳細は不明ですが、かなりの高率で蔓 延していると思って間違いありません。滞在中に、南部の街で、毎週 400 名以上の患者が出たと の報告があったとのことでした。 感染の予防には、まず飲料水と生野菜に気をつけることです。できれば、水道水も煮沸して飲 むことです。生野菜に嚢子が付着しているかどうかは分かりません。アメーバ類は、熱に弱いの で火を通した食物はまず安全です。 3. ランブル鞭毛虫症 ランブル鞭毛虫という鞭毛虫類に属する原生動物の感染が原因の寄生虫症です。世界中に分布 していますが、高温多湿の熱帯地域に多く見られます。感染経路は、赤痢アメーバと同じく、嚢 子の経口摂取です。アメーバ赤痢のように、粘血便が出たり、他の臓器に転移をすることはあり ません。激しい下痢が特徴です。潜伏期間は 2?8 週間とされていますが、数日で発症した例もあ ります。教科書には、腹痛、腹部膨満感、食欲不振、胆嚢炎様症状などと書かれていますが、ほ とんどの場合下痢以外の症状は無いそうです。日本人の国外旅行者では、アメーバ赤痢よりも感 染者数がはるかに多いでしょう。帰国しても下痢が止まらない場合には、アメーバ赤痢やランブ ル鞭毛虫症を疑って糞便検査をして下さい。治療法は赤痢アメーバと同じく、メトロニダゾール の服用です。 4. 住血吸虫症 マダガスカルには、ヒトに寄生する住血吸虫の内、マンソン住血吸虫とビルハルツ住血吸虫の 2種が分布しています。感染経路は、素足で水に入った際にセルカリアと呼ばれる幼虫が皮膚か ら浸入するものです。 マンソン住血吸虫は、マダガスカルのみでなくアフリカのほとんどと南米にも分布しています。 住血吸虫の仲間は、発育の途中に必ず淡水産の巻貝に寄生しなければなりません。その貝のなか で、セルカリアと呼ばれる幼虫が発育し、水中に出てヒトや動物の皮膚から感染します。分布が 限られているのは、中間宿主となる巻貝の分布と一致しているからです。成虫は、腸壁の血管に 42 寄生し、産卵の際には腸壁の毛細血管にさかのぼります。生み出された卵は、様々な過程を経て 肝臓に運ばれたり、腸管内に脱落したりします。そのために、肝臓の障害が起きたり血便が見ら れたりします。感染を防ぐには、水中に入らないことです。ヒトや動物からの感染はありません。 ビルハルツ住血吸虫は、アフリカ全土のほか中近東諸国にも分布しています。感染経路はマン ソン住血吸虫と同じく経皮感染です。成虫は主に膀胱の静脈に寄生するので、感染すると血尿が 見られます。産卵された卵が尿中に検出されるので診断は容易です。本種の場合も、感染予防に は水に入らないことです。自覚症状のある方は、医師の診断と検査を受けてください。 5. 条虫症 ヒトに寄生する条虫類には、サケ、マスなどの魚類の生食により感染する裂頭条虫類と豚肉や 牛肉から感染する条虫類があります。マダガスカルには、裂頭条虫は分布していないと思います。 条虫類の内、牛肉から感染する無鉤条虫は感染してもほとんど無症状ですのでそれほど怖くはあ りません。問題は豚肉からの有鉤条虫です。成虫が小腸に寄生しますが、それだけならば無鉤条 虫症と同じです。問題はこの寄生虫の幼虫(嚢尾虫)の感染です。ヒトに寄生している成虫の片 節が便とともに排出されると、片節が壊れて卵がその周辺に散乱します。その卵をブタが飲み込 むと、体内で孵化して幼虫(六鉤幼虫)が血流を介して全身の筋肉に移行し、長径約 10 ミリの 嚢尾虫という幼虫になります。豚肉内のこの幼虫をヒトが生または不完全な調理で摂取すると、 小腸内で成虫となります。ところが、ヒトが生野菜や飲料水などとともに卵を飲み込むと、ブタ の場合と同じく血流やリンパ流を介して幼虫が全身に移行し、嚢尾虫となります。人体内での嚢 尾虫は移動性はありませんが、脳や心臓などの重要な臓器に寄生すると大変危険で、脳腫瘍と間 違えられることもあります。これを有鉤嚢虫症といいます。 1992 年には、40 名以上も有ったと いうことでした。嚢虫症では、皮下や筋肉に寄生した場合には、数センチの腫瘤を形成しますが 自覚症状はほとんどありません。 6. 消化器寄生線虫症とフィラリア 開発途上国での消化器寄生線虫類の代表は回虫、鉤虫と鞭虫です。これらは、糞便とともに排 出された卵が、野外の湿った土中で発育し、感染可能な卵(幼虫包蔵卵)または幼虫(感染幼虫) にまで成長し経口または経皮感染します。糞尿を野菜栽培などの肥料としている地域に濃厚感染 しています。 フィラリアは、糸状虫という線形動物の感染が原因です。ヒトに寄生する主なものは5種です が、マダガスカルでは、バンクロフト糸状虫症のみが知られています。成虫は、ヒトのリンパ管、 リンパ節に寄生します。以前には日本でも流行していました。世界の熱帯、亜熱帯地域に分布し ています。マラリアと異なり、感染しても体内で分裂増殖したりはしません。1匹の感染は1匹 のままです。イエカ属、ハマダラカ属、ヌマカ属などの夜間吸血性の蚊によって媒介されます。 流行地に長期滞在して虫体が蓄積されないとなかなか発症しません。潜伏期は、蚊に刺されてか ら約 9 ヶ月、初期の症状は、発熱を伴うリンパ管炎、リンパ節炎です。この寄生虫は、卵胎生で ミクロフィラリアという幼虫を産みます。この頃には、ミクロフィラリアが夜間に末梢血中に出 現するので、病院で血液検査をして下さい。 7. 有毒動物、その他 マダガスカルには、多くの有毒動物が生息しているのではないかと思っている研究者もいると 思います。しかし、アフリカ大陸に比べると危険な動物はほとんど居ないと言っても過言ではあ りません。マダガスカルの動物(脊椎動物)については、山岸 (1999) が詳細に紹介しているの で参考にするとよいでしょう。両生・爬虫類については、Glaw and Vences(1994)が参考にな ります。ここでは、注意すべきと思われるヤマビルについて記しておきます。 ヤマビルは、水中で生息せず森林内の湿った土の中で発育し、動物の通る道沿いの草や枝にぶ ら下がって吸血動物を待っています。歩いていて接触したら、直ちに体に移りいつの間にか吸血 しています。靴下などの繊維の間でもうまく潜り抜けて体に到達します。野外調査中には、ほと 43 んどの場合宿に帰ってシャワーを浴びるときなどに気づきます。その時には、吸血して満腹して います。取り外すとそこから出血しなかなか止まりません。私の経験では、フィールドで大腿部 にいたのに気づいて取り外したところ、出血でズボンが真っ赤になってしまったこともあります。 何度も吸血されたことがあるのでヒルに対する抗体値がかなり上がっていたのでしょう。吸血さ れた部位のリンパ節もかなり腫れ炎症がどんどんと広がりました。この時は、抗ヒスタミン剤と 抗炎症剤の服用で1週間くらいで良くなりました。ヤマビルの被害を防ぐには、いろいろな方法 が工夫されています。最も簡単なのは防虫スプレーの使用です。吸血中のヒルも、スプレーで簡 単に離れます。ズボンの裾などに吹き付けておけばしばらくは予防になります。問題は、有効成 分の Deet (N,N-Diethyl-m-toluamide)の含有量です。日本製のものは恐らく数%以下でしょう。 効果が長持ちしません。東南アジア諸国で販売されている物は 30%などというのも有るそうで す。インドネシアで買ってきてもらったのは 15%でした。 8. 毒クモ マダガスカルには、咬まれて致命的になる毒グモは生息していません。数年前にオーストラリ アから大阪周辺に入ってきたセアカドクグモは、現在では完全に定着していますが被害者は出て いません。首都のアンタナナリヴ周辺には、近似種のハイイロゴケグモが生息しています。土塀 の隙間や道ばたの煉瓦の隙間などを探すといくらでも見つかります。このクモによる被害はあり ません。探し出して素手でつかまないかぎり噛みつくこともないからです。 9. 有毒昆虫類 有毒昆虫といえば、まず皮膚炎を起こすドクガの仲間があげられます。滞在中にはいつも気を つけていたのですが、とうとう見つかりませんでした。甲虫類にも皮膚炎を起こす種類がいます。 私が採集したのは、南部の乾燥地域で植物にびっしりとたかっている青緑色のハンミョウの仲間 です。体液にカンタリジンという毒物質があり、水疱性の皮膚炎を起こします。 10. スナノミ スナノミは、ヒトや動物に外部寄生するノミです。南米起源の昆虫ですが奴隷貿易の盛んな頃 に、南米から西アフリカに入り、瞬く間にアフリカ大陸を横断してマダガスカルまで分布を拡げ ました。雌は交尾をすませるとヒトや動物の体に潜り込みます。ヒトでは、足のひび割れ、爪の 下などに食い込み吸血しながら腹部をどんどんと太らせてゆきます。最終的には小豆大くらいに なります。乾燥地に多く生息しています。裸足やサンダルなどで生活していると寄生を受けるこ とがあります。次第に大きくなって痛みも激しいようですが私は経験ありません。マダガスカル で寄生を受けた日本人の症例もいくつか有ります。ほとんどが南部の乾燥地でのものです。現在 では、マダガスカル全土に分布しているそうです。自覚症状があったら、先の尖ったピンセット か針で除去して、抗生剤含有の軟膏を塗布するなど、細菌の二次感染を防ぐとよいでしょう。熱 帯地で傷が化膿するとなかなか治癒しません。 3 ヶ月ばかりの短期間の滞在中に気づいたことをまとめてみました。マラリアの情報などはもう 古いかもしれません。この他にも、まだ危険な動物が生息している可能性もあるでしょう。長期 滞在した研究者の方がより多くの経験をしているのではないでしょうか。 参考文献 Glaw, F. and M. Vences (1994) A field guide to the Amphibians and Reptiles of Madagascar. Zoologisches Forschungsinstitut und Museum Alexander Koenig, Bonn, 480 pp. 篠永哲、大滝倫子(1996)海外旅行のための衛生動物ガイド. 全国農村教育協会, 102 pp. 山岸哲, 編著(1999)マダガスカルの動物. 裳華房, 363 pp. 熱帯病治療薬の開発研究班(班長:大友弘士) (1995)輸入寄生虫病薬物治療の手引き, 改訂第4 版, 61 pp. 44 別添 9. 外務省海外安全情報: タイに関する安全対策基礎データ(2006 年 8 月 3 日現在) ● 犯罪発生状況、防犯対策 1. タイ警察から発表された 2004 年度の犯罪統計によれば、殺人事件の発生は 4,278 件、殺人未 遂事件が 6,345 件、強盗事件が 1,571 件、強姦事件が 5,041 件と、それぞれ日本に比べ数倍の発 生件数です。一方、誘拐事件は 9 件と、発生件数は多くありません。 凶器としては、けん銃やナイフが使用されるケースが多く、過去には、手りゅう弾やロケット・ラ ンチャー等武器が使用された事件も発生しています。また、薬物犯罪については、2004 年中は 74, 121 人が検挙されていますが、薬物の密売人等の検挙に際しては、警察官等との間で銃撃戦になるこ とも珍しくありません。 2. 日本人の被害例 主に若い旅行者を中心に、次のような手口の犯罪被害が多発しています。これらの多くは、 (タクシ ーや三輪タクシー(トゥクトゥク)等の運転手を含めて)見知らぬ者から声をかけられることが被害 のきっかけとなっています。見知らぬ者から声をかけられた際には十分注意し、安易に信用しないこ とが重要です。 (1)睡眠薬強盗 有名な観光スポット等において、親しげに声を掛けられ、飲食(酒)を共にして気を許したころに 睡眠薬入りの飲み物をすすめられ、知らずに飲んで意識が朦朧となったところで現金等を奪われます。 意識が戻った際には 24 時間以上経過していたり、病院のベットの上、または身体が傷だらけであった という事例もあります。 (2)いかさま賭博 「妹が日本に留学するので、日本の事情を話してあげてほしい」等と親しげに話しかけられ、自宅 と称する建物に巧みに案内されるが、家に着いても妹はおらず、暇つぶしにトランプゲーム(ブラッ クジャック)に誘われ、さらに、 「上手な勝ち方(いかさま)を教える。まもなく金持ちのブルネイ人 がブラックジャックをするために来るので、一緒にそいつからお金を巻き上げよう」といかさま賭博 に誘われます。被害者が話に乗り、ゲームを始めると、最初は勝ち続けるものの、最後の勝負で多額 の金額を掛けることとなり、所持金では足りないことからクレジットカードで貴金属を購入して現金 化し、莫大な金額を賭けるが、最終的に負けるか、または勝ったところで、 「続きは明日やろう」等と 言われ、賭け金をその場においたままでホテルに送られるが、翌日の約束の時間になっても迎えにこ ないケースがあります。 また、途中でゲームを止めようとすると、ナイフやけん銃で脅されたり、監禁されて多額の現金を 巻き上げられるケースもあります。 (3)道尋ねスリ タクシーに乗車したマレーシア等から来たと称する女から地図を示され、 「道を教えて」と声をかけ られ、巧みに車内の女の横に誘いこまれます。その後、地図を被害者の腰のあたりに広げられ、被害 者が道案内をしている隙に、地図の下のウエスト・ポーチ等から財布や現金を盗まれているという手 口です。 (4)宝石・洋服のキャッチセール 有名な観光スポットである王宮や寺院等を観光しようとしたところ、タイ人が「今日はそこは休み だ(実際には休みではない)」等と親切そうに声をかけ、代わりに三輪タクシー(トゥクトゥク)に頼 んで格安市内観光を手配してくれます。行く先々の寺院や観光スポットで、別のタイ人らが「今日は 仏陀の日で、あなたはラッキーだ。」 、 「今日は政府の宝石ディスカウントセールの最終日で、行かなけ れば損だ」等と同じように話しかけてきます。被害者がこれらの話を信用してしまい、三輪タクシー に乗って宝石店に行くと、店員が「今日は特別セールの最終日である。日本の有名宝石店で転売すれ ば 2、3 倍で売れる。既に日本人でこんなにたくさんの人が買っている」と述べ、旅券のコピーの束を 見せられる。被害者が信用して宝石を購入すると、店員は「宝石をそのまま持っていると危ないので、 日本へ郵送してあげる」とすすめ、帰国後に、日本で郵送された荷物を受け取ると、中から粗悪な宝 石が出てきて騙されたことに気付くというものです。 洋服の場合は、カシミアのスーツ、またはアルマーニ等の有名ブランドのスーツやコートが格安で 45 あるとそそのかされ、店に連れて行かれて採寸されるが、生地の端切れはもらえず、また、仮縫い等 もないまま、品物は日本へ郵送すると言われます。帰国後、日本で洋服を受け取ると、粗悪な製品で あることがわかるという手口です。 (5)タクシー運転手による強盗、わいせつ行為等 夜間、女性が一人でタクシーに乗車した際に、車内で運転手からけん銃を向けられ、発砲されたり、 昼間、女性複数人でタクシーに乗車した際に、わいせつ目的で連れ回される事件が発生しています。 (6)集団スリ バンコク都内のデパート、高架鉄道(BTS)等において、被害者がエスカレーターを利用した際に、 スリ・グループが前後を挟み、エスカレーターの降り口直前で、前方の者がつまずくふりをして、被 害者が立ち止まるような状況をつくります。その直後、後方の仲間が将棋倒しで被害者に体を押しつ け、その際に被害者のポケットやウエストポーチ等から財布を抜きとるという手口です。なお、前後 を挟む犯人グループは女の場合もあります。 (7)スリ、置き引き チャトチャック市場(ウイークエンド・マーケット)において、鞄を切り裂かれ、中の貴重品を抜 き取られる事件が発生しています。 置き引きは、ホテルのビュッフェ形式のレストランやロビーにおいて、貴重品から目を離した隙に、 バック等を置き引きされる事件が発生しています。 (8)ニセ警官 中東または西洋人風の男(私服)が警察官を装って近づき、外国人の事件を捜査中であると言いつ つ、持ち物を点検する際に、財布から現金を抜き取るという手口です。 (9)ひったくり、路上強盗 通りを歩行中、バイクに乗った二人組が後ろから近づき、ハンドバック、ショルダーバック等をひ ったくります。なお、抵抗すると引き倒され、負傷することもあるので注意が必要です。 路上強盗は、夜間、裏通りや人のいない公園を歩いている際に、いきなり棒で殴られたり、ナイフ で脅されて所持品を奪われるケースが報告されています。 3. 犯罪被害多発地域 バンコク都内では、特に日本人旅行者が集まる観光スポット、若い単独旅行者が利用するゲストハ ウス(安宿)周辺において、犯罪が多発しています。また、歓楽街、スラム街等も十分な警戒が必要 であり、不用意に狭い道路へ入り込むことは危険です。 4. 防犯対策 上記2.(1)∼(4)に関しては、見知らぬ者から声をかけられても安易に信用しないことで防止 できます。また、他人からすすめられた飲食物には気を付ける、買い物は信用のおける店を利用する、 儲け話には乗らない等の注意が必要です。 上記2.(5)に関しては、女性だけでタクシーに乗車する際は、車番や運転手の名前を控える等慎 重に対処してください。 上記2.(6)∼(9)に関しては、バック等は体の前でしっかり持ち、現金・貴重品は分散して保 管する、トラベラーズチェックを利用する、万一に備え、海外旅行傷害保険にしておく等の対策が重 要です。 ● 査証、出入国審査等 1. 30 日以内の観光目的で、予約済みのタイから出国するための航空券を所持していれば、無査証で 入国し、30 日以内の滞在が認められます。なお、無査証入国の場合は、原則として滞在期間の延長は できません。 30 日以上の滞在を希望する場合及び観光以外の目的で渡航する場合は、入国前に滞在目的にあった 査証を在京タイ大使館等で取得する必要があります。 旅券の失効期間が間近になっている場合、査証申請、航空機への搭乗またはタイへの入国ができな 46 いことがあります。 入国手続きが終わり、旅券を受け取った際に、記載もれ、誤記がないか入国印等を確認してくださ い。 2. バンコクを経由し、チェンマイにおいて入国手続きをする場合、チェンマイ国際空港は国内線と 国際線が別棟となっておらず、バンコク∼チェンマイ間の航空機は基本的に国内線扱いのため、国内 線の乗客の流れに乗ってしまいがちですが、入国スタンプを押して貰わずに入国してしまうと不法入 国となります。必ず国際線到着ラウンジへ向かい、入国審査を受けてください。 同様にプーケット経由でバンコクに到着した場合も、バンコクでは国内線棟に到着しますが、他の 国内線利用客の流れに乗ることなく、国際線到着ラウンジへ向かい、入国審査を受けてください。 3. マレーシア北部のランカウイ島から、近接するタイのアデン島へ旅行する際に、国境を越えるに も拘わらず、タイへの入国手続きを行わない旅行者がいます。このケースはタイへの密入国となり、 タイ警察の摘発対象となります。旅行者本人が旅券を携行してタイのサトゥーン入国管理局等に直接 赴いて入国手続きを行ってください。 4. 陸路国境の出入国ポイントでは、旅行者がタイ入国時に入国審査の窓口を通り過ぎて、入国審査 を受けずに入国してしまったり、窓口で手続きを行ったにも拘わらず、担当官が入国印を押し忘れた りするトラブルが発生しています。 5. 旅行代理店の中には、 「VISA EXTENTION」等と銘打って、 「30 日無査証滞在の延長を代行す る」、「本人はタイに居ながらにして、旅券のみ出入国したことにする」等と宣伝している業者もある ようですが、このようなサービスを利用した場合には、旅券に偽造のタイ出入国スタンプを押され、 タイから出国する際に身体を拘束されることがあります。 6. タイの外貨管理は大幅に緩和されており、持込額については、外貨、現地通貨(バーツ)ともに 制限はありません。ただし、現地通貨の持ち出しは 5 万バーツまでに制限されています。例外として、 ラオス、ミャンマー、ベトナム、カンボジアへ出国する場合は、50 万バーツまで可能です。 なお、出国時に外貨を 1 万米ドル相当額以上所持していると、課税または没収される可能性がある ので、そのような場合は持込額を入国時に申告しておく必要があります。 7. 麻薬、米、植物、果実(一部を除く)については、タイ国内への持込みが禁止されています。ま た、象牙等ワシントン条約で規定されている規制品及び仏像等の持出しについては輸出証明が必要で す。 なお、チャトチャック市場(ウィークエンド・マーケット)等で昆虫、は虫類、小動物を購入して 持ち帰ろうとする日本人がいますが、 「森林動物保護法」違反として、逮捕されることがありますので、 事前に保護対象の生物であるかどうかを、タイ税関等に確認する必要があります。 8. 免税品の持込量が規定量を越えていないか、渡航前に必ず確認してください。特に、タイ当局は 免税タバコの所持に対する取締りを強化しており、規定に違反した者が摘発されるケースが急増して いるため、免税タバコの持ち込み及び所持規定量については、以下を参照の上、違反することのない よう注意してください。 (1)免税タバコの持ち込みは、紙巻きタバコは 200 本(1 カートン)まで、また、葉巻、刻み タバコ、嗅ぎタバコ等は全体で 250g までとなっています。この規定量を超える持ち込みは原則として 許可されません。 (2)タイ国内での免税タバコの所持は、500g(約 2 カートン)を超えてはならないとされてい ます。タイ当局は空港施設内において抜き打ち検査を行っており、日本人旅行者が空港施設内で友人 の荷物を預かる等して、一時的に自身が所持する免税タバコと友人の所持する免税タバコの合算が規 定量(500g)を越えてしまい、摘発されたケースもありますので注意が必要です。 (3)酒類の免税枠は一本(一リットル)以下で、それ以上は申告が必要です。 ● 滞在時の留意事項 47 1. 薬物犯罪 タイ政府は、薬物犯罪を厳しく取締まっており、違反した場合の最高刑は死刑です。また、2003 年、 タイ政府は「対薬物禍戦争」キャンペーンにより薬物犯罪を徹底的に取締まり、同年 12 月には「勝利 宣言」も出されていますが、当局による薬物取締はその後も継続して実施されています。 ゲストハウスやディスコ等においても、警察が随時摘発を行っており、2005 年中に大麻等の薬物所 持で 16 人の日本人が逮捕され、刑務所に長期間収監される等の処分を受けています。安易な気持ちで 薬物に手を出すことのないようにしてください。 さらに、薬物を大量に所持していた場合、 「知らない」 、 「自分で使用するためのものである」等の弁 解は通用せず、販売目的所持として起訴されたり、終身刑または 50 年の懲役等が科されます。 2. 旅券の携帯等 タイの出入国管理法には、旅券所持義務の規定がありますが、携帯義務については規定がありませ ん。しかし、警察官(入管職員)に職務質問された際に、旅券を携帯していない場合、身柄を拘束さ れる可能性もあります。旅券を携帯(最低でも旅券のコピーを携帯)し、警察官に求められた際には 直ちに提示できるようにしてください。 また、タイ警察は、外国人の不法就労に対する取締りを強化しており、労働許可証を得ずに(携帯 せずに)労働している日本人も逮捕されています。30 日間の無査証滞在で入国し、30 日ごとに出入国 を繰り返しながら長期滞在して事実上タイにおいて労働することは違法行為と見なされるので、労働 する場合は事前に労働許可証を取得するようにしてください。 3. モンスーン期の水死事故 プーケット等のビーチにおいて、モンスーン期(雨季)に海が荒れるため遊泳禁止になることがあ りますが、これを無視して海に入り、溺死する事故が毎年発生しています。波は一見穏やかでも、水 中では巻くような流れがあり、足下をすくわれて溺れてしまうので、ビーチに赤い旗が立っている時 には決して海に入ることなく、ビーチの係員の指示に従ってください。また、飲酒後の遊泳も危険で す。 4. 交通事故 レンタル・バイクやレンタカーを借りて運転する旅行者等が増えていますが、タイの運転マナー、 習慣等は日本とは異なっており、交通事故も多発しています。日本人旅行者でオートバイをヘルメッ トなしで運転中に、カーブを曲がりそこねて転倒し、死亡する事故も発生しています。夜間は、特に 飲酒運転や無謀運転をする者が多く、大変危険です。また、車優先の交通社会のため、道路の歩行や 横断に際しては細心の注意が必要となります。このような危険な車両、オートバイの運転は慎み、運 転する必要がある場合は、運転免許(国際運転免許)を取得し、任意保険に加入し、シートベルト、 ヘルメットを必ず着用し、安全運転を心掛けてください。 5. 禁煙 2002 年 11 月 8 日から、タイ国内において、喫煙する場所を制限する省令が出されました。例えば、 エアコンの効いた屋内レストラン、公共交通機関内、建物等等が禁煙となっています。違反者には最 高 2 千バーツの罰金が科されます。また、禁煙令とは別に、道路上でたばこの「ポイ捨て」を行った 場合は、2 千バーツ以下の罰金が科されます。 ● 風俗、習慣、健康等 1. 王室関係 タイ国民の国王、王族に対する尊敬の念は深く、タイ国刑法でも「国王、王妃、皇太子、摂政に対 する罪」として刑罰が設けられており、例えば、王室を侮辱した場合は 3 年以上 15 年以下の懲役に処 せられます。 外国人旅行者であっても王室に関する言動には十分注意を払い、映画館等で国王賛歌が流れた場合 には、周囲のタイ人と同様に敬意を払ってください。 2. 仏教関係 タイの法律には宗教に関する規定が多く、例えば寺院や儀式を侮辱したり、妨害したりする行為は 厳しく罰せられます。仏像は例え壊れたものであっても神聖なものとされています。仏像の国外持ち 48 出しは禁止されており、無断持ち出しは罰せられます。 また、僧侶は上座部仏教の教義に則し、絶対に女性(子供であっても)に触れたり、触れられたり してはいけないことになっています。 身体のうち、頭部は神が宿る場所として神聖視されているので、頭部に触れることはタブーとされ ています。子供の頭をなでる行為もトラブルの原因となります。また、足は不浄とされているので、 足で人を指すような行為は避けてください。 3. 健康関係 (1)休息 タイの気候は高温多湿であるため、身体的にも精神的にも疲れが溜まりがちです。日頃から無理を することなく、十分な休養と睡眠を取ることが大切です。 (2)飲料水 染されている場合があります。飲用には、市販のミネラルウォーター等がおすすめです。水道 水を飲用する場合は、5 分以上煮沸する必要があります。 (3)外食 一流レストラン等での飲食は概ね問題ありませんが、大衆食堂や屋台等では往々にして生ものの保 冷、食材や食器類等の洗浄が不十分なため、食中毒に罹る可能性が高くなります。 (4)注意を要する病気 1. デング熱 バンコクを含む全土で、ネッタイシマカまたはヒトスジシマカを介して、毎年多くの感染者・死者 が出ています。ワクチン等の有効な予防方法はなく、感染後も特効薬がないため、長袖シャツ、長ズ ボンを着用する等蚊に刺されないようにすることが重要です。デング熱に感染すると、突然の発熱、 激しい頭痛、眼球深部の痛み、関節や筋肉痛、発疹が現れ、回復期に疲労感とうつ状態が続きます。 死亡率は高くありませんが、主として小児が感染するデング出血熱については、治療しないとショッ ク症状を起こし、死亡率も 40∼50 パーセントになります。感染の疑いがある場合は、必ず医師の診察 を受けてください。 2. マラリア バンコクで感染する可能性はまずありませんが、ミャンマー及びカンボジアとの国境地帯ではマラ リア感染の原因となるハマダラカに刺されないように注意する必要があります。 3. 日本脳炎 蚊を媒介して感染しますが、予防接種により大流行は見られなくなりました。 4. 感染性腸炎、食中毒 タイでは極めて日常的な病気です。日頃から食品の衛生状態に注意を払っていれば、リスクは高く ありません。 5. HIV HIV の感染者・患者は約 100 万人と推定されています。性産業従事者に感染率が高く、性病、B 型 肝炎感染の危険性も高いと言われています。 6. 狂犬病 狂犬病はバンコクを含むタイ全土で確認されており、毎年数十人が死亡しています。あらかじめ予 防接種を受けておくとともに、犬等にかまれた場合は直ちに病院へ行き、狂犬病ワクチンを接種する 必要があります。 7. その他の病気 インフルエンザ、麻疹、水痘、流行性耳下腺炎、結核等の日本より多く見られるので、これらの病 気に対する注意も必要です。特に、鳥インフルエンザについては、以下の点にご留意ください。 49 ・海外安全ホームページ、在タイ日本国大使館ホームページ、タイ保健省ホームページや TV、新聞等 の情報に注意を払い、正確な知識を身に付けてください。 ・通常のインフルエンザ・ワクチンの接種、うがい、手洗いなどの感染症予防対策を励行してくださ い。 ・鳥インフルエンザの流行が見られる地域では、鶏舎、鳥を放し飼いにしている場所、生きた鳥を扱 う市場等には不用意に近づかないでください。 ・野鳥の死がいや放し飼いの鳥等に接触しないでください。 ・発熱、頭痛等インフルエンザの疑いがある場合は、早期に医師に相談してください。 ・鶏肉や鶏卵を食べるときは十分に加熱してください(ウィルスは加熱により死滅します)。 (5)医療環境 バンコクの代表的な私立病院の医療設備は、日本の病院と比べても遜色なく、優秀な医師も多数勤 務しています。また、「日卒医(日本の医学部を卒業したタイ人医師)」のグループもあり、堪能な日 本語で親身になって相談に乗ってくれます。また、私立病院の中には、日本語通訳が配置されている 所もあります。また、主要都市の代表的な私立病院も、概ね良好であると言えます。 私立病院の医療費はしばしば高額となりますので、渡航前に海外旅行傷害保険に加入することをお すすめします。 ● 緊急時の連絡先 [バンコク] ◎警 察 :TEL 191、123(救急車の要請も可能) ◎観光警察:TEL 1155(英語可) ◎タイ政府観光庁:TEL (66-2)2694-1222 ◎消 防 署 :TEL 199 ◎在タイ日本国大使館:TEL (66-2)252-6151(代表) 緊急電話:01-846-8265、01-809-6074(夜間、祝祭日における生命身体に関わる重大事件発生時 のみ) [チェンマイ] ◎警 察 :TEL 191 ◎観光警察:TEL (66-53)248-976、248-130 ◎救 急 車 :TEL 199 ◎消 防 署 :TEL 199 ◎在チェンマイ駐在官事務所:TEL (66-53)203-367 50 別添 10. 外務省海外安全情報: タイに関するテロ概要(2005 年 12 月末現在) 1.概況 (1)国際テロ組織イスラム過激派関係 2002 年 10 月にインドネシアのバリ島で発生した爆弾テロ事件以降、タイ国内においても国際テロ 組織イスラム過激派によるテロの脅威が高まったとして、タイ当局は外国人が多く集まる観光地を中 心として警戒を強化しました。タイ政府は、タイにおいては国際テロ組織イスラム過激派による組織 的なテロ活動は見られないとしつつも、タイもその潜在的なターゲットの一つであるとみています。 2003 年には、国際テロ組織イスラム過激派ジュマ・イスラミーヤ(JI)の主要メンバーであるアリフ ィン・ビン・アリが 5 月に、ハンバリが 8 月にタイ国内で逮捕されていています。アリフィン・ビン・ アリのグループは、米、英、豪、シンガポール、イスラエルの 5 大使館を同時に爆破する計画を有し ていたとされています。ただし、アリフィン・ビン・アリのタイ JI メンバー4 人については、2005 年 6 月 3 日、刑事裁判所において証拠不十分を理由に、起訴不相当とされ、約 2 年間にわたる勾留を 解かれています。 (2)国内のイスラム系分離独立主義過激派の動向 タイ南部においては、2001 年末から 2003 年末まで軍前哨部隊や警察官等を対象とした襲撃事件が 発生し、軍・警察関係者が殺害され、多数の武器類が強奪される事件が発生しました。2004 年 1 月以 降、国内のイスラム系分離独立主義過激派の活動が強まり、軍武器庫襲撃及び武器強奪事件、警察署 襲撃事件、学校等への放火事件、空港、市場及び歓楽街等への爆弾テロ事件、教師、仏教徒及び公務 員に対する暗殺事件等が続発し、同時に相当数の武器類が強奪されました。 これらの事件については、その多くが未解決のままですが、南部タイにおいてパタニー王国の 独立を標榜する国内のイスラム系分離独立主義過激派の犯行とされています。タイ政府は、南部問題 解決に努力していますが、現在も、連日学校等への放火事件、爆弾テロ事件、教師、仏教徒及びタイ 公務員等の暗殺事件等が続発しているほか、暗殺後の頸部切断事件等卑劣な事件も散発している状況 であり、事件が治まる状況はみられません。また、政府側に協力したイスラム系住民に対する見せし めとみられる事件も発生しています。イスラム系分離独立主義過激派は、地元住民に対し、自らの存 在意義と実行力を誇示し、デモンストレーション効果を狙っているとの見方もあります。 このようにタイ最南部のテロ問題は、当分の間、問題が解決する状況はみられません。また、JI、 アル・カーイダ等の国際テロ組織イスラム過激派との関係も懸念されることから、これら国内のイス ラム系分離独立主義過激派の動向を今後とも注視する必要があります。 (3)その他 このほか、タイにおいては、2000 年に発生したミャンマー反政府主義者による病院占拠事件及びラ オス反政府主義者によるタイ・ラオス国境施設襲撃事件、2001 年に発生したべトナム反政府主義者に よる在タイ、べトナム大使館への爆弾設置事件のように、周辺国の政治情勢に応じたテロ事件が発生 しています。2005 年中にはこの種の事件の発生がなかったものの、今後とも一定の注意を要します。 2.誘拐事件の発生状況 タイ国内における 2003 年の誘拐事件は発生 20 件、検挙 11 件、2004 年は発生 9 件、検挙 7 件、2005 年は発生 13 件、検挙 8 件であり、公式の統計による発生件数は非常に少ないものとなっています。 また、発生もタイ南部地域に集中しています。しかし、外国人旅行者を対象とした「いかさま賭博」 等が既にあり、これらが拉致事件に発展する事例も発生していますので、十分な注意が必要です。 3.日本人・日本権益に対する脅威 タイ国内においては国際テロ組織イスラム過激派による無差別殺戮テロ、自爆テロ等は発生してい ませんが、タイ国内に多数の日系企業等日本権益が存在することや、日本を攻撃対象として名指しす る声明がアル・カーイダ関係者と見られる者等により発出されている現状を考慮すれば、巻き添え等 偶発的な被害のみならず、標的とされる可能性にも注意が必要です。 51 別添 11. 外務省海外安全情報: タイに対する渡航情報(危険情報)(2006 年 8 月 23 日付):首都 バンコク: 「十分注意して下さい。」 (継続) 19 1.概況 (1)タイは安全な国というイメージがありますが、殺人等の凶悪事件は人口比で日本の約 15 倍発生 しており、日本人も被害に遭うケースがあります。首都バンコク都においては、睡眠薬強盗事件が増 加しているほか、日本人旅行者を対象としたいかさま賭博や盗難(スリ・置き引き・ひったくり)等 の各種被害が多発しています。 (2)タイ最南部では、同地域の分離独立を標榜する集団が存在し、それら集団によるとみられる襲 撃・爆弾事件等が連続して発生し、これまで多数の死傷者が出ています。2006 年 8 月には、武装集団 が役所、警察、学校、カラオケバーを爆破、放火及び銃撃する事件が発生しており、テロの標的が治 安関係施設に留まらず、旅行者も利用する一般的な施設にまで拡大しています。 (3)国際テロ情勢では、2003 年 8 月に国際テロ組織ジュマ・イスラミーヤ(JI)の最高幹部の一人 がアユタヤに潜伏しているのをタイ警察に発見・逮捕されています。また、同年 5 月から 7 月にかけ て、タイ南部においても JI 関係者とみられる者が摘発されており、タイも国際テロと無縁ではなくな っています。欧米人が多く集まる場所や欧米権益には出来る限り近づかない等の注意が必要です。 2.地域情勢20 (3)首都バンコク都:「十分注意して下さい。」21 (イ)タイは「微笑みの国」、バンコクも「天使の都」と言われ、安全なイージがありますが、2006 年 3 月には日本人旅行者 2 人がマレーシア人に拳銃で撃たれ死亡する事件や同年 8 月には日系企業幹 部社員が社用車で帰宅途中に散弾銃で撃たれ重傷を負う事件が発生しています。 (ロ)路上強盗については、2004 年における日本人の被害報告は僅か 3 件でしたが、2005 年は 21 件と大幅に増加しています。また、ひったくりも 2004 年の 24 件から 2005 年には 40 件と路上強盗同 2005 年 9 月の訪問時に比べ、次のような変化がある。 (2)の記述がやや強くなっている。 (3)に戒厳令発布が追加されている。 更に、8 月 23 日の改訂により次のような変更が行われた。 (1)中で「路上強盗事件が増加」が「睡眠薬強盗事件が増加」になった。これは、2006 年に入ってから 日本人が睡眠薬強盗事件被害に合う事例が前年の 2 倍の超えるペースで急増したことを受けたもの。 (2)について、2005 年 7 月の武装集団による変電所の攻撃の事例を、最新の 2006 年 8 月の武装集団に よる役所、学校等の爆破事件の事例に置き換え。 (3)にあったソンクラー県の事例は削除。これに伴い、(4)が(3)に繰り上がった。 20 バンコク以外については省略。 21 2005 年の訪問時に比べ、統計数値が最新のものに置き換えられたほか、次のような変化がある。 ・ 路上強盗被害の急増に伴い、(ロ)の記載内容が具体的にかつかなり強い表現になった。 ・ いかさま賭博被害が多く、かつ凶悪化していることを受け、 (ハ)のいかさま賭博についての記載 が厳しくなっている。なお、外務省の「海外邦人援護統計 2005」によれば、2005 年に日本人が海 外でいかさま賭博の被害者となった 135 件の被害のうち 134 件がアジアで起こっている。 (ハ)に あるように、それがバンコクだけで 85 件起こっている。また、年齢の判明している全世界での被 害者 115 人中、20 代が 84 人(73%)、30 代が 23 人(20%)と、若者が集中的に狙われている。 ・ 政治対立の悪化に伴い、(チ)と(リ)が追加されている。 8 月 23 日の改訂では、更に次のような変化が生じている。 ・ (イ)の事例が最新のものに置き換えられた。 ・ (ロ)において表現がやや強くなった。 ・ (ホ)中に、2006 年度には 2005 年度の 2 倍のペースで巣見ん約強盗被害が増加していることへ の注意喚起が追加された。 ・ 政治紛争の一応の収拾に伴い、政治集会に近づかないようにとの記述が削除された。但し、次の「3. 滞在にあたっての注意(特に観光旅行者向け)」に、それらに関係する注意がそのまま残っている。 19 52 様大幅に増加している上、被害者を引き倒してでもバッグを奪う悪質な手口の増加により、負傷する 日本人が増えており、これら路上強盗やひったくりには特に注意が必要です。 (ハ)フィリピン人と思われる集団によるいかさま賭博の被害については、2004 年は 91 件、2005 年には 85 件の被害が報告されています。報告件数は減少しましたが、ナイフや拳銃で脅されて多額の 現金を要求されたり、わいせつな行為をされるという深刻なケースも報告されるなど、事件の凶悪化 傾向が見られます。 (ニ)宝石・洋服詐欺についても、2004 年は 46 件、2005 年には 35 件発生しています。22 (ホ)日本人が被害に遭った睡眠薬強盗については、2004 年に 34 件、2005 年には 26 件発生して います。なお、2006 年は 6 月までの上半期で既に 2005 年と同じ件数(26 件)が発生しており注意が 必要です23 (ヘ)パスポートに関して、2005 年には年間 426 冊が盗難または紛失したとの届出がありました。 つきましては、首都バンコク都に渡航・滞在を予定されている方は、上記情勢を踏まえ、犯罪、事 故等に巻き込まれないよう十分注意してください。 3.滞在にあたっての注意(特に観光旅行者向け)24 滞在中は下記の事項に十分留意して行動し、危険を避けるようにしてください(詳しい犯罪手口に ついては、「安全対策基礎データ」を参照してください)。また、外務省、在タイ日本国大使館、在チ ェンマイ日本国総領事館、現地関係機関等から最新情報を入手するよう努めてください。 (1)バンコク都内の「王宮前広場」等の観光スポットにおいて、親しげに声を掛けてくる者(タイ 人、その他の外国人)の中には、日本人観光旅行者を標的にして睡眠薬強盗、いかさま賭博、宝石・ 洋服詐欺等の事件に巻き込もうと企んでいる者が数多くいます。特に、見知らぬ者に安易について行 った結果、誘拐等の被害に遭う可能性も排除されません。声を掛けられても不用意に相手にしない、 買い物は信用の置ける店を利用する、見知らぬ者とは飲食をしない等の注意が必要です。 (2)置き引き、エスカレーターでの集団スリ、ウィークエンド・マーケット(チャトチャック市場) でのスリ等の被害事件も多発しておりますので、財布や旅券、カバンの携行には十分な注意が必要で す。 (3)密室となるタクシーは必ずしも安全とは言えませんので、特に夜間における女性 1 人での利用 は避けてください。また、タイでは未だに不法拳銃が多数出回っていますので、十分ご注意ください。 万一、拳銃や刃物を所持した強盗に遭遇した場合は、身の安全を第一に考えて対処してください。 (4)夜間から早朝にかけて人通りの少ない路地での単独行動は避けてください。特に、鞄・スーツ ケース等を携帯しての単独行動は可能な限り避け、不審者に後をつけられていないか等、周囲に警戒 を払うようにしてください。また、女性の場合は、昼間でもひったくりに遭う可能性がありますので、 外務省「海外邦人援護統計 2005」によれば、世界の総被害件数が 36 件(全てアジア)なので、世界 の被害のほぼ全てがバンコクで起こっていることになる。 23外務省「海外邦人援護統計 2005」によれば、世界の総被害件数が 60 件(うちアジアが 36 件)なので、 世界の被害の相当部分がバンコクで起こっている。 24 2005 年 9 月の訪問時に比べ、次の点に変化がある。 ・ (4)の一人歩きの注意に、女性に対する注意が追加された。 ・ 政治集会についての注意として、 (5)中の記載が追加され、加えて(6)項が追加された。 ・ 「免税タバコ」の所持に対するタイ物品税局の取締りの強化に伴って高額な罰金を取られる事例が 急増したため、(7)が追加された。 ・ 危険情報が「渡航の延期をおすすめします。 」及び「渡航の是非を検討してください。 」に強化され、 具体的な注意をしても安全に旅行できなくなった南部地域についての具体的な注意が削除された。 22 53 裏路地での単独行動は避け、また、ひったくられないように、バックは車道と反対側に持つなど十分 に警戒する必要があります。 (5)バー、レストラン、ショッピング・モール、ホテル等の多数の人が集まる場所や公共施設及び 政治集会に関連する場所(政治集会の開催場所、関連団体の施設等)においては、爆弾事件に巻き込 まれないよう不審な人物や不審物、不審車両の存在に十分に注意を払うようにしてください。 (6)衝突、暴動等に巻き込まれないよう政治集会が開催されている場所には可能な限り近づかない でください。 (7)最近、タイにおいては「免税タバコ」の所持に対するタイ物品税局の取締りが強化されており、 違反者が高額な罰金を科されるケースが急増しています。タイ国内に免税タバコを持ち込む場合は、 2006 年 1 月 19 日付けスポット情報「免税タバコの「持ち込み」及び「所持」に関する注意」を参照 の上、規定に違反することのないよう注意してください。 (8)現地に 3 か月以上滞在される方は、緊急時の連絡等に必要ですので、到着後遅滞なく在タイ日 本国大使館または在チェンマイ日本国総領事館に「在留届」を提出してください。また、届出事項に 変更が生じたとき又はタイから去る(一時的な旅行を除く)ときは、その旨を届け出てください。 なお、在留届の届出は、郵送、ファックスの他、インターネット( http://www.ezairyu.mofa.go.jp/ ) によっても行うことができます。 54 別添 12. 外務省海外安全情報: タイに関するスポット情報:デング熱の流行(2006 年 5 月 11 日付) 1.タイにおけるデング熱の状況 在タイ日本国大使館では、昨年度同様雨期である 5 月から 8 月にデング熱の感染率が大幅に増加す ることが予想されており、周期的な大流行のおそれもあることから注意を呼びかけています。 タイ保健省によると、2006 年 1 月 1 日から 4 月 15 日までに 4,971 人の患者が報告され、8 人が死 亡しているとのことです。患者の多くは中部地域で、3,008 件、以下南部地域、北部地域、東北地域で の症例数は各々834 件、599 件、530 件で、タイ国内における症例数上位 10 県は次の通りです。 Bangkok 1,254 名(死亡 2 名) Samut Prakan 271 名 Nakhon si Thammarat 198 名(死亡 3 名) Ratchaburi 181 名 Samut Sakhon 158 名 Nakhon Sawan 152 名 Nakhon Pathom 141 名 Si Sa Ket 134 名 Songkhla 132 名 Rayong 129 名 死者が出ているその他の地域 Phichit 102 名(死亡 1 名) Nakhon Nayok 22 名(死亡 1 名) Pattani 85 名(死亡 1 名) デング熱は全ての年齢で発病しますが、70%は 14 歳以下の子供が罹患しています。デング熱を媒介 する蚊は家屋内外の小さな水たまり(空き缶や水槽など)でも繁殖するため、都市部においても感染 の可能性はあります。 つきましては、タイへ渡航、滞在される方は以下の予防措置を必ず励行してください。 2.デング熱について (1)感染源 デング熱はデング熱ウィルス(フラビウィルス属で 1∼4 型まである)をもつ蚊(ネッタイシマカ、 ヒトスジシマカなど)に刺されることで感染します。感染には蚊が必ず媒介し、人から人への直接感 染はありません。一度罹ると免疫が出来ますが、デングウイルスには 4 つ型があり、異なった型のデ ングウイルスに感染した場合は再発症します。デング熱を媒介する蚊の活動は、ハマダラカ(マラリ ア媒介蚊)と異なり、夜明け少し前から夕日が落ちるまでの間(特に日中)です。 (2)症状 3∼15 日(通常 5∼6 日)の潜伏期を経て、突然の発熱で始まります。 38∼40 度程度の熱が 5∼7 日間続き、激しい頭痛、目窩痛、関節痛、筋肉痛、発疹を伴います。こ の発疹は風疹と同じような小さな紅斑で、かゆみや痛みはありません。また、発熱期の最後や解熱後 に軽い皮下出血が足や脇の下、手のひらなどに現れます。通常、症状が現れてから自然軽快するまで の期間は 7 日間前後です。 (3)治療方法 デング熱には特効薬がなく、一般に対症療法が行われます。特別な治療を行わなくても軽症で済む 場合が多く、死亡率は 1%以下であるといわれています。ただ、時にデング出血熱という重篤な病気に なることがあります。デング出血熱は、死亡率の低いデング熱と異なり、口や鼻等の粘膜からの出血 を伴い、通常でも 10 パーセント前後、適切な手当がなされない場合には 40∼50 パーセントが死亡す るといわれています。この出血熱は発熱して 2∼7 日してから発症することが多いようですが、デング 熱にかかった人がデング出血熱になるかどうかは事前に予測が出来ません。 (4)予防方法 デング熱には予防接種も予防薬もなく、蚊に刺されないようにすることが唯一の予防方法です。デ ング熱発生地域に旅行を予定されている方は、次の点に十分留意の上、感染の予防に努めてください。 55 ●デング熱を媒介するネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等は古タイヤなどのわずかな水たまりで繁 殖するため都市部でも多く見られるので、長袖シャツや長ズボンを着用するなど蚊に刺されにくい服 装をし、肌の露出する部分には防虫スプレー等を用いる。 ●室内においても、蚊取り線香や殺虫剤、蚊帳(かや)等を効果的に使用する。 ●突然の高熱や頭痛、関節痛や筋肉痛、発疹等が現れた場合には、直ちに医師の診断を受ける。 56 別添 13. 外務省海外安全情報:情報種別:渡航情報(スポット) タイ:旅行者等との交流を装った詐欺・脅迫・拘束事件について(「いかさま賭博」被害と手口の 凶悪化)(2005 年 9 月 5 日付け) 1.タイにおいて、旅行者等に対し親しげに語りかけるなどして接近し、結果として脅迫等によ り金品を奪い、さらには身柄を拘束する「いかさま賭博」の被害が発生しています。被害者の中 には、半ば強制的な自宅への連れ込み、銃や刃物による脅迫、暴行など凶悪な事例も報告されて い ま す 。「 い か さ ま 賭 博 」 に つ い て は 、 在 タ イ 日 本 国 大 使 館 ホ ー ム ペ ー ジ ( http://embjp-th.org/indexjp.htm )及び渡航情報(危険情報、安全対策基礎データ)などで手 口を紹介し、注意を喚起してきましたが、日本人旅行者の被害件数の増加や犯罪グループの手口 が凶悪化しておりますので、自らの行動を含め安全対策を心掛けてください。 2.典型的な手口は以下の通りです。 (1)犯行グループは、最初にバンコク市内の観光地やデパートで単独や少数 の旅行者を物色 し、 (男女を問わず)勧誘役が片言の日本語または英語で「妹が近いうちに日本へ行くので、日本 の事情を教えて欲しい。 」、 「そのかわいい帽子はどこで買ったの?」などと親しげに話しかけてく る。 (2)親しくなった頃に、タクシーで郊外の自宅と称する民家に連れて行かれる(無理矢理タク シーに乗せられるケースも報告されています) 。 (3)民家で歓談し、食事などが提供された後に、ブラックジャックなどの賭博に誘われる。最 初は賭金を提供され、勝ち続けるが、 (ブルネイ人、香港人、シンガポール人などの)富豪と称す る人物が現れ、旅行者に対し高額な賭金を用意する必要があると言われる。 (4)必ず勝てるなどとそそのかされ、クレジットカードのキャッシングや貴金属店で金製品を 強制的に買わされ、それでも予定の賭金に足りないとして、犯人らが残金を用意するまで、ホテ ルで待機するように言われる。 (5)その後、待ち合わせた場所へ行っても犯人らは現れず、だまされたことに気付く。 3.最近の事例では、自宅と称する民家に連れ込まれた際に、ディーラー役の男が旅行者を銃で 脅したり、身柄の拘束や暴行に至るなど、凶悪な事例が報告されています。また、被害額が数百 万円に及ぶ場合もあります。 4.そもそもタイでは賭博行為自体が違法です。また、多数のレストランや露店が存在するバン コク市内において、初対面の外国人を自宅に招き入れることは極めて不自然なことです。親しげ に話しかけてくる見知らぬ者に対しては、 「相手にしない、信用しない、不用意に誘いに乗らない」 ことが賢明です。 57 別添 14. 外務省海外安全情報中の危険情報についての解説(外務省海外安全情報ウェブサイトの 「渡航情報の基礎知識: 海外安全ホームページを使いこなそう!」から) 1. 概要 「危険情報」は、渡航・滞在にあたって特に注意が必要と考えられる国・地域に発出される情報で、 その国の治安情勢やその他の危険要因を総合的に判断し、それぞれの国・地域に応じた安全対策の目 安をお知らせするものです。 危険情報では、対象地域ごとに4つのカテゴリー(下記2を参照)による安全対策の目安が冒頭に示 されます。また、本文中には危険情報を出している地域ごとの詳細な治安情勢や具体的な安全対策な どのきめ細かい情報を掲載しています。 2. 安全対策の4つの目安(カテゴリー) 「十分注意してください。 」 「渡航の是非を検討してください。」 「渡航の延期をおすすめします。 」 「退避を勧告します。 渡航は延期してください。 」 その国・地域への渡航、滞在に当たって特別な注意が必要 であることを示し、危険を避けていただくよう、おすすめ するものです。 その国・地域への渡航に関し、渡航の是非を含めた検討を 真剣に行っていただき、渡航される場合には、十分な安全 措置を講じることをおすすめするものです。 その国・地域への渡航は、どのような目的であれ延期され るようおすすめするものです。また、場合によっては、現 地に滞在している日本人の方々に対して退避の可能性の検 討や準備を促すメッセージを含むことがあります。 その国・地域に滞在している全ての日本人の方々に対して、 滞在地から、安全な国・地域への退避(日本への帰国も含 む)を勧告するものです。この状況では、当然のことなが ら新たな渡航は延期することが望まれます。 3. 危険情報の構成 危険情報は、一般的に次の基本形により構成されています。 重要なのは、4つの目安そのものよりむしろ本文です。 是非本文の最後までじっくりと読んでいただき、実際の渡航・滞在にあたっての参考として下さい。 (「危険情報」の基本フォーム) 58 地図の表示 安全対策の目安を色分けして表示しています。 59 4. ワンポイント・アドバイス (1) 「危険情報」を発出する目安は、概ね以下のとおりです 「危険情報」は、その国・地域毎の治安情勢を総合的に判断した上で発出するものであり、あらゆる 状況に適用されるような厳密な発出基準はありませんが、日本人の「生命・身体」に対する脅威を一 つの重要なポイントとしており、中・長期的な観点から発出されます。 すなわち、ある国・地域において、日本人の「生命・身体」に危害を及ぼす事案が現実に存在し、そ れがある程度継続的に発生している場合、または、治安 等の悪化により、日本人の安全にとり何らか の悪影響が及ぶ可能性がある場合には、その国・地域に対し「危険情報」を発出し、渡航・滞在者に 注意を呼びかけることとしています。また、事態の重大性如何によっては、 「危険情報」の中で「渡航 の延期」や「退避」を呼びかけることもあります。 (2) 「危険情報」は、皆さんが渡航・滞在する際の判断材料です 危険情報それ自体には、国民の渡航・滞在を制限するような強制力はありません。危 険情報は先に記 したとおり、あくまでもその国・地域の安全対策の目安を示したものです。最終的に渡航や退避の判 断をするのは皆さん自身です。その際には、 この危険情報を参考に適切な判断をしていただきたいと 思います。 (3) 「危険情報」が出ていない国・地域も安全とは限りません 1.世界各国の中で現在何らかの危険情報が出ている国は 100 数ヶ国に上っていま す(2003 年 7 月現在)。これら危険情報を出している国への渡航に当たっては当然十分な安全対策が必要です が、反面、危険情報が発出されていないからと いって、即その国が安全ということにはつなが りません。 2.特に、2001 年の米国同時多発テロ事件以降も、世界各地でテロ事件が続発し、あるいはそ の可能性が指摘されていることを見ても、「世界に 100%安全なところはない」という前提に立 ち、海外では「自分の身は自分で守る」という意識を持つことが重要です。 3.外務省は、危険情報の他にも、「広域情報」や「スポット情報」として、突発的な事件・事 故、テロの脅威、自然災害等に関する情報を、このホームページ上に掲載しています。また、世 界のほとんどの国を対象に、その国の犯罪事情や風俗・習慣等を盛り込んだ「安全対策基礎デー タ」を掲載しています。これらの情報も危険情報同様、安全な渡航・滞在のための基礎資料とし て役立てていただきたいと思います。 (4) 「危険情報」が出ても自動的に旅行会社の主催旅行が中止になることはありません。 1.危険情報には強制力はありませんので、旅行会社も個人と同様、危険情報の有無にかかわら 60 ず、自己の責任において主催旅行の実施を判断しています。 2.旅行会社によっては、外務省の危険情報のレベルに応じて、主催旅行の取り止めや顧客から のキャンセル料徴収の要否を決めているようですが、これらは旅行会社が自らの判断で行ってい ることです。 国民の皆様から外務省に対して、「危険情報のレベルが低いから旅行会社からキャンセル料を取 られてしまう。レベルを上げて欲しい」といった要望や照会 が度々あります。しかしながら、 外務省は、前述のとおり国民の安全(生命・身体への影響)を判断基準として危険情報を出して いるものであり、キャンセル料 の問題を始め旅行契約に関する事項はあくまでも、旅行会社と 顧客との間で解決すべき問題ですので、この点はご理解頂きたいと思います。 3.信頼性の高い旅行会社は、当然のことながら顧客の安全を第一に考えるものです。旅行会社 を選ぶ際には、料金の安さばかりではなく、その会社の安全対策 についての考え方(現地の安 全に関する情報をきちんと提供してくれるか、どういう判断基準で主催旅行を中止するのか、ま た実施する際にはどういった安全対 策を行うのか等)を事前に十分聞いた上で、判断すること が大切です。 注1)外務省の発出する国・地域別の「危険情報」は、平成 14 年 4 月に従来の「5段階の数値表記」 を改め、「4つのカテゴリーを文章で表記」する方式になりました。 注2)5段階のレベルに分かれていた従前の危険情報では、レベル2の「観光旅行延期勧告」が出た 場合、政府は、通達を通じて各旅行会社に主催旅行の自粛を 求めていましたが、現在の危険情報には そういった効果はありません。 現在の通達では、旅行会社に対し、「主催旅行の実施の可否や計画内 容の決定に際し、危険情報の内容及び現地の状況を十分踏まえた対応を行うこと、また、危 険情報発 出地域への旅行を顧客と契約する場合は、旅行者の方々に危険情報が出されていることを書面で知ら せ、その内容説明すること」等を求めています。 61 別添 15. 日本人旅行者にとっての犯罪の危険度とアメリカ人にとっての危険度の違いの例: バンコク(タイ)25 犯罪に関する旅行 者の危険について 警告 犯罪に関する旅行 者の危険度につい ての認識 旅行者が実際遭っ ている被害 米国国務省旅行危険情報(Travel Warnings) 警告は出していない。 日本の外務省の海外安全情報 最低レベルの危険情報である「十分に注意して下さい。」が出ている。 (http://www.pubanzen.mofa.go.jp/info/info4.asp?id=007) 「Although the crime threat in Bangkok remains lower than that in many American cities, crimes of opportunity such as pick-pocketing, purse-snatching, and burglary have become more common in recent years.」 (バンコクの犯罪危険度は、アメリカの都市の多くよ りも少ない数に留まっていますが、…) (http://travel.state.gov/travel/cis_pa_tw/cis/cis_104 0.html) アメリカ人旅行者が犯罪に遭っている件数は少ない。 「タイは安全な国というイメージがありますが、殺人等の凶悪事件は人口比 で日本の約 15 倍発生しており、日本人も被害に遭うケースがあります。また、 首都バンコク都においては、路上強盗事件が増加しているほか、日本人観光 客を対象としたいかさま賭博や盗難等の各種被害も多発しています。」 (http://www.pubanzen.mofa.go.jp/info/info4.asp?id=007) ・ 盗難 352 件、いかさま賭博被害 91 件、宝石・洋服の勧誘詐欺 46 件、ホ テル等の部屋における盗難 35 件、睡眠薬等薬物使用窃盗 34 件など。 (http://embjp-th.org/jp/counsul/kaigai.htm) ・ 「主に若年旅行者を中心に、以下の手口による被害が発生しています。 」 ・ いかさま賭博 ・ 睡眠薬強盗 ・ 道尋ねスリ ・ にせ警官 ・ 宝石、洋服詐欺 ・ 集団スリ ・ タクシー運転手による強盗等 ・ スリ・置き引き ・ 引ったくり ・ ホテル室内での盗難 ・ 「タイ警察発表の 2002 年犯罪統計によれば、殺人事件は 4,538 件、殺人 未遂事件が 5,092 件、強盗が 3,093 件、強姦が 4,435 件」) (http://www.pubanzen.mofa.go.jp/info/info4_S.asp?id=007) 外務省海外安全相談センターの伊藤室長(当時)から 2005 年に聞き取ったところ、同省海外安全ホームページ、米国国務省ホームページ等の情報から宮田 が取りまとめたもの。 25 62 上記の背景事情 バンコクでの防犯 対策についての外 務省の助言 ・ バンコクの犯罪危険度は、アメリカ国内の犯罪危 険度よりも低い位なので、アメリカ人は、アメリ カにいる時と同じように、現金は持ち歩かない (20 ドル札以上は持たず、クレジットカードを使 用。)、いかにもその地に不慣れな旅行者といった 態度はとらない、親しげに声をかけてくる人を信 用しない。 ・ 犯罪集団も、アメリカ人が犯罪に対して注意を払 っていることを知っているので、アメリカ人を狙 わない。 2. 3. 4. 5. 6. 日本人は警戒心が薄い。 日本人は現金や貴重品を持ち歩いている。 日本人はその土地に不慣れな旅行者であることを隠さない。 日本人は親しげに声をかけてくる人間を信用する。 犯罪集団は、日本人が簡単にだまされることをよく知っている。 1. 親しげに話しかけてくる初対面の人の誘いには、安易に乗らない。特に、 単独行動をしている際に、 片言の日本語または英語で話しかけてくる人に は十分警戒する。 2. 初対面の人から勧められた飲食物は安易に口にしない。 3. 買い物は信頼の置ける店を利用する。宝石、オーダーメイドの洋服を購入 する際は、支払いの前に商品をよく確認し、他店と比較し標準的な値段を 確認する。 4. 儲け話には乗らない。おかしいと思われる誘いははっきりと断る(タイ国 内では、賭博行為自体が違法です)。 5. バッグ等の貴重品は常に身体から離さず、特に旅券は細心の注意を払って 管理する。 6. 人目のある場所では、不用意に多額の現金を出さない。宝石等の装身具は 必要な場所でのみ身につける。また、現金は分散して保管・携帯する。 7. 旅券は絶対に他人に渡さない。 63 別添 16. 新潟大学危機管理室規程(平成 16 年4月1日、規程第5号) (趣旨) 第1条 この規程は,新潟大学学則(平成 16 年学則第1号)第 15 条に規定する新潟大学危機管理室 (以下「危機管理室」という)の組織及び運営に関し必要な事項を定めるものとする。 (目的) 第2条 危機管理室は,新潟大学(以下「本学」という)における危機管理(学生及び職員の生命,身 体又は本学の施設,財産等に重大な被害が生じ,又は生じるおそれがある緊急の事態への対処及び当 該事態の発生の防止をいう以下同じ) に係る事務に関し連絡調整を行い,危機管理に関する学長の職 員及び学生への指示又は命令について,役員会との連携のもとに補佐することを目的とする。 (業務) 第3条 危機管理室は,次に掲げる業務を行う。 (1) 危機管理に関する情報の収集及び分析に関すること。 (2) 危機管理体制及び危機管理システムの構築に関すること。 (3) 危機管理における学内組織との連絡調整に関すること。 (4) 危機管理に関するマニュアルの作成及び整備に関すること。 (5) 危機管理に関する職員及び学生への周知方策に関すること。 (6) その他危機管理に関し必要な業務 (室長) 第4条 危機管理室に室長を置き,学長をもって充てる。 2 室長は,危機管理に関する事務を統括する。 (危機管理監) 第5条 危機管理室に危機管理監を置き,学長が指名する理事をもって充てる。 2 危機管理監は,危機管理に関する事務を掌理するとともに,学長の命を受け,学内組織との連絡調 整及び危機管理に関する措置等の指示を行う。 (危機管理監補) 第6条 危機管理室に危機管理監補を置き,総務部長をもって充てる。 2 危機管理監補は,危機管理監を補佐する。 (事務) 第7条 危機管理室の事務は,総務部において処理する。 (雑則) 第8条 この規程に定めるもののほか,危機管理室に関し必要な事項は,別に定める。 附則 この規程は,平成 16 年4月1日から施行する。 64
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