知っていますか?厚生労働省の血小板製剤の使用基準

2015.3
知っていますか?厚生労働省の血小板製剤の使用基準
血 小 板 製 剤 の単 位 数
10単位
15単位
含 有 血小 板 数
2.0×10 11
3.0×10 11
薬価
79,478円
115,893円
血 小 板 輸 血が保 険で査 定 を受 けると、病 院 に大きな損 失をもたらします。
1 日の輸 血 量は 20 単 位までで、20 単位 を超えると査定 の対 象 となります。
[要約版]血小板濃厚液の適正使用
■目 的
血 小 板 輸 血 は , 血 小 板 成 分 を 補 充 す るこ とに よ り 止 血 を 図 り , 又
は 出 血 を 防 止す る こ と を目 的 と する 。
■使用指針
以 下 に 示 す 血 小 板 数 は あ く ま で も 目 安で あっ て , す べ て の 症 例 に
合 致 す る も ので は な い 。
● 血 小 板 数が 2~5 万/μL では ,止 血 困 難 な場 合 に は 血 小板 輸 血 が
必要となる。
● 血 小 板 数 が 1~ 2 万 /μL で は,時 に 重篤 な 出血 を み る こ とが あ り,
血 小 板 輸 血 が必 要 と な る場 合 が ある 。血 小 板数 が 1 万 / μL 未満
で は し ば し ば重 篤 な 出 血を み る こと が あ るため ,血 小 板 輸血 を 必
要とする。
※一 般 に,血 小 板数 が 5 万/μL 以 上 では ,血 小 板 輸 血 が必 要 と な
る こ と は な い。
※ 慢 性 に 経 過 して い る 血 小板 減 少 症 (再 生 不良 貧 血 な ど ) で, 他
に 出 血 傾 向 を 来す 合 併 症 がな く , 血 小板 数 が安 定 し て い る 場合
に は , 血 小 板数 が 5 千 ~1 万/μL で あ って も, 血 小 板 輸 血は 極
力 避 け る べ きで あ る 。
1) 活 動 的出 血
・ 血 小 板数 が 5 万/μl以 下 で 、網 膜 、 中枢 神 経 系 、 肺、 消 化 器
な ど に 出 血 して い る 場 合,血小 板 数 を5万 /μ L以 上 に 維 持 する
よ う に 血 小 板輸 血 を 行 う。
2)外 科 手 術 の術 前 状 態
・ 血 小 板数 が 5 万/μl以 下 で ,待 機 的 手術 や 腰 椎 穿 刺, 硬 膜 外
麻 酔 , 経 気 管支 生 検 , 肝生 検 な どを 行 う 場合。
・ 血 小 板 数 が7 ~ 10万/μ l以 下 で 、 頭蓋 内 の手 術 の よ う に局 所
止 血 が 困 難 な領 域 で の 手術 を 行 う場 合 。
3) 人 工 心肺 使 用 手術 時 の 周 術期 管 理
・術 中・術 後 を通 し て 血小 板 数 が 3万/μ L未満 に 低 下 し てい る 場
合 。 た だ し ,人 工 心 肺 離脱 後 の 硫酸 プ ロ タミン 投 与 後 に 血算
及 び 凝 固 能 を適 宜 検 査,判 断し な が ら,必 要に 応 じ て 5万 /μL
程 度 を 目 処 に血 小 板 輸 血開 始 を 考慮 す る 。
・複 雑 な 心 大血 管 手 術で 長 時 間( 3時 間以 上 )の 人 工 心 肺 使用 例 ,
再 手 術 な ど で広 範 な 癒 着剥 離 を 要す る 例 ,及び 慢 性 の 腎 臓や
肝 臓 の 疾 患 で出 血 傾 向 をみ る 例 の中 に は ,血小 板 減 少 あ るい
は 止 血 困 難 な出 血 (oozingなど ) を みる こ とが あ り , 凝 固因
子 の 欠 乏 を 伴わ ず , こ のよ う な 病態 を 呈 する場 合 に は , 血小
板 数 が 5万/μL~ 10万/μ Lに な る よう に 血 小板 輸 血 を 行 う。
4)大 量 輸 血 時
・急速 失 血 に より 24時 間 以内 に 循 環血 液量 相 当 量 な いし 2倍量 以
上 の 大 量 輸 血が 行 わ れ ,止 血 困 難な 出 血 症状と と も に 血 小板
減 少 を 認 め る場 合 。
5)播 種 性 血 管内 凝 固 (DIC)
・ 出 血 傾向 の 強 く 現れ る 可 能性 の あ る DIC( 基 礎 疾患 が 白 血病 ,
癌 , 産 科 的 疾患 , 重 症 感染 症 な ど) で , 血小板 数 が 急 速 に 5
万 /μL未 満 へ と低 下 し ,出 血 症 状 を認 め る 場合 。 な お , 血栓
に よ る 臓 器 症状 が 強 く 現れ る DICで は,血 小 板輸 血 に は 慎 重で
あ る べき で あ る 。
※ 慢 性DICに つ いて は , 血小 板 輸 血 の適応 は な い 。
6) 血 液 疾 患
( 1) 造 血器 腫 瘍
急 性 白 血 病・悪 性 リ ンパ 腫 な どの 寛 解 導 入療 法 に お い ては ,血 小 板
数 が 1~2 万 /μ L 未満 に 低 下し て き た 場合 には 血 小 板 数 を 1~2 万
/ μ L 以 上 に 維 持す る よ うに , 計 画 的に 血 小板 輸 血 を 行 う。
( 2) 再 生不 良 性 貧血 ・ 骨 髄 異形 成 症 候群
血 小 板 数 が 5 千/μL 前後 な い し それ 以 下 に低 下 す る 場 合 。
計 画 的 に 血 小板 数 を 1 万/μL 以 上に 保 つ よう に 努 め る 。
※ 血 小 板 減 少は 慢 性 に 経過 す る こと が 多 く,血 小 板 数 が 5 千/μL 以
上あって出血症状が皮下出血斑程度の軽微な場合には,血小板輸
血 の 適 応 と はな ら な い 。
感 染 症 を合 併 し て 血小 板 数 減少 の あ る場合 に は 、 造 血器 腫 瘍 に 準
ずる。
( 3) 血 小板 機 能 異常 症
重 篤 な 出 血な い し 止 血困 難 な 場合 に の み
7) 固 形 腫瘍
化 学 療 法 に より 血 小 板 数が 急 速 に2 万 /μ l以下 へ 低 下 し 、出血 傾 向
の あ る 場 合, 血小 板 数 が1~2万 /μ L以上 を 維持 す る よ う に血 小 板
輸血を行う。
8) 造 血 幹細 胞 移 植( 骨 髄 移 植等 )
造血 幹 細 胞移 植 後 に 骨髄 機 能 が回 復 す るまで の 期 間 は ,血小 板 数 が
1~ 2万 /μL以 上 を維 持 す るよ う に 計 画的 に 血小 板 輸 血 を 行う 。
通 常 ,出 血 予防 の た め には 血 小 板数 が 1~ 2万/μ L未 満 の 場 合が 血 小
板 輸 血 の 適 応と な る 。
9) 新 生 児同 種 免 疫性 血 小 板 減少 症 ( NAIT)
重篤 な 血 小板 減 少 を みる 場 合 には ,血 小 板特 異 抗 原 同 型の 血 小 板 輸
血を行う。
■ 以 下 に 示 す使 用 は 適 切で な い
(1)再 生 不 良性 貧 血 ・骨 髄 異 形成 症 候 群
血小 板 数 が5千/μ L以 上 あ って 出 血 症 状が皮 下 出 血 斑 程度 の 軽 微 な
場 合 に は , 血小 板 輸 血 の適 応 と はな ら な い。
(2)特発 成 血 小板 減 少 性 紫斑 病 (ITP)
重 篤 な 出 血 を認 め な い 場合 。
(3)血 栓 性血 小 板 減少 性 紫 斑病 (TTP) 及 び溶 血 性 尿 毒 症症 候 群(HUS)
輸 血 が 症 状 を悪 化 さ せ るこ と が ある の で 、原則 と し て 血 小板 輸 血 の
適 応 と は な らな い 。
(4) 末期 患 者 への 血 小 板 輸血 は 多 くの 場 合 適応 と な ら な い。
■投与量
参 考 資料 1)厚生 労働 省 医薬 食品 血 液対 策課 :「輸血 療 法の実施に関する指 針」及び「血 液製 剤の使用指 針 」改 定版 .2012
2) 日 本赤 十字 社 血液 事業 本部 医薬 情報課 : 輸血 情 報「 血 液 製剤 の 使 用 指針 ( 改 定版) - 血 小 板 濃厚 液 - .2007.06