車両価格 400 『リセールバリューを 高値維持が特色のドイ 新型車が投入されても下 毎年3月は新車が最も売れる最高の需要期である。この時期は セールスマンも分刻みで商談をこなす特異月。ただし、売れる車 種の大半は国産車であり、輸入車はあまり多くはないというのが 普通だ。 ところが、ここ数年、輸入車も3月に販売台数を伸ばす傾向が見 受けられるようになった。 新社会人が最初から輸入車を抵抗なく購入するようになったから だ。最近の新社会人は以前のように「まだ収入も少ないし、運転も 未熟だから国産車か安い中古車にしよう」といったある種、健全な 選択をしない。 「自分の好きなクルマを乗れるのは今のうちだから多 少高価でも憧れの輸入車に決めよう」という考え方なのである。 「安定した収入を確保できるサラリーマン」として働くことが決 まっている新社会人にとっては、ローンを組める以上、輸入車も国 産車も区別はない。 そこで今回の「リセールバリュー特集」は新社会人のための買い 得な輸入車選びで展開しよう。 万円以下!! 考慮した輸入車選び』 ツ車は買い得車が多い 取価格の急落はない 深大寺 梅麻呂 日本国内で最も安定した人気を持つのはドイ フォースミッター、ブレーキアシスト、AS ツ車である。メルセデス・ベンツとBMWは特 Rなどが標準装備され、インテリアにはポプ に有名だ。だが、いくら長期ローンを組めるか ラウッドが採用され、快適性の向上に加え上 らといっても、1千万∼2千万円ともなれば 品な高級感を演出している。 なかなか手を出せないのが現実である。 そこで、車両価格が400万円以内の輸入 車という限定付きで選んでいこう。 ベンツの最も廉価グレード「ベンツC20 「ベンツC200」はもちろん値下がりは当 分ないといっていい。リセールバリューは輸 入車の中で最も高く維持されるはず。ただし、 事故による修理・破損が出た場合はその限り 0」なら390万円。ベンツも買いやすく ではない。また、あくまで正規ディーラー(ヤ なったものだ。昨年8月にマイナーチェンジ ナセネットワーク、シュテルン店、三菱ギャラ を受け、新たにサイドエアバッグ、ベルト ン店)で購入した場合に限る。並行モノが「ベ メルセデス・ベンツシリーズの中で唯一400万円以下の価格を実現したC200 安定した人気と販売台数を誇る320i。性能と価格のバランスは高次元。 ンツC200」で入ってきているかどうかは定 かではない。 次にお薦めしたいのがBMWの3シリーズで ある。最も廉価モデルなら298万円で手に またリセールバリューが高いグレードに318 tiがある。ズングリとしたリアビューが気 に入らないというユーザーもいるが、損をし ないという点では見逃せないモデルだ。 入る。だが搭載エンジンが非力な1800cc ただし、3シリーズは98年後半にフルモデ OHCとなるため、リセールバリューを考え ルチェンジされ日本に上陸する可能性が高い。 るなら同じ1800ccでもDOHCエンジ 特に4ドアセダンシリーズは今年10月下旬 ンを搭載したモデルにしたいもの。できれば には商談がスタートすると予想できる。クー 5ナンバーサイズの4ドアセダンの320i ペや318ti以外のセダンを購入するユー か323iが理想だ。パワーもトルクもあり ザーはもう少し待った方が良いかもしれない。 運転もしやすく、ヨーロッパ車らしいスポー 別の見方をするなら、完成度の高い3シリー ティな味つけも高く評価できる。 ズを低金利ローンで、しかもある程度の値引 きで購入できる時期であり、それで満足とい あくまでベンツやBMWと比較した場合の話 うならそれもアリだとは思う。人気の高いB であり、アウディの商品価値が低いというの MWだから新型が出たからといって突然、下 では絶対にないので誤解しないこと。 取り価格が暴落することはまず考えられない からだ。 ドイツ車で見落とせないのはゴルフだ。ただ し、ヨーロッパではすでに新型がデビューし 少し地味だが、渋いクルマを購入したいなら ているから日本でも今年後半にはハッチバッ アウディA4が最適。実用的でいてスポー ク車が新型に切り替わる可能性が高い。それ ティな走りも十分満喫できる。価格は最も安 でも熟成された現行モデルを安く購入すると いモデルで350万円だから決して安くはな いう手法もある。最も廉価モデルなら199 いが、4WDシステム(クワトロ)を搭載した 万円で手に入る。だが、リセールバリューを考 1800ccDOHCターボ車を選択するの えて、GLiかCLiにした方が無難だ。 も通っぽくて楽しそう。しかも新しいエンジ 3月末までの最新情報では、GTiを除く ンに変わったばかりだからリセールバリュー ハッチバック車に対して「アーバンパッケー の点でも心配はいらない。当分は外観も大き ジ」が買い得モデルとして設定されている。ア な変更点はないだろう。 ルミホイール、CDチェンジャー、リモコンセ 少し残念なのはアウディの場合、前述したベ ンターロックなどの快適装備が追加されなが ンツやBMWに比べると、ややリセールバ らベース車と同一価格で販売されるため、絶 リューの点で不利かもしれない点だ。それは 対に買い得といえる。たとえ新型が日本上陸 A3よりも風格のあるサ イズとデザインで定評の あるアウディA4.4WD のクワトロでも400万 円以内。 ゴルフGLi 初めて購入する輸入車として人 気が高い。値落ちも少ないから 買い得だ。 ワーゲンの『ポロ』。右は「ポロ」のライバル車 ミニクーパーとプジョー 306。 を果たしたとしてもリセールバリューが急落 く160万∼186.5万円。ボディは3ドア することは考えられない。値引き額はシビア と5ドアの2種類がある。だがあくまでVW だが販売店はファーレンとデュオの2店併売 のベーシックモデルだから高級感や豪華なイ だから競合させればいい。ライバル車はフィ メージはない。質実剛健なドイツ車だから決 アットプント、プジョー306、ボルボ40シ して日本車のラグジュアリー感覚は求めない リーズあたりだろう。 にしても、3ドアのマニュアル車の装備内容 値引き目標値は15万円あたりとみていい。 ゴルフの話題を書いたら同じVWのポロを忘 れるわけには行かない。現行ポロは96年8 はやや貧相だ。だから選択したいのは5ドア の4速AT車。実は5ドアのAT車がポロの 販売台数の77%を占めるという。 月に発売され、97年10月に価格が変更さ 値引き額はシビアだが、ライバル車とうまく れ現在に至る。輸入車のエントリーモデルと 競合させればなんとか12万円程度までは引 しは最も手頃で、国産車から乗り換えても違 き出せる。 和感がなく実用的でお薦めである。価格も安 参考までにライバル車はミニ、プジョー オペルのタウンカー 『ビータ』。 実用的で経済的なセ カンドカーともいえ る。 コロナとほぼ同サイ ズのオペル・ベクト ラ。人気のCDは堅 実なファミリーセダ ンだ。 306、フィアットパンダあたり。販売店も OHCは90馬力で活発に良く回る。この デュオとファーレンの併売だから、競合はさ OHC版も実用的で不満はない。馬力は40 せやすいはずだ。 馬力だが、市街地走行ならダルではない。16 また、今年1月には特別仕様車として「De r、Erste」が発売されている。 00ccDOHCは3ドアスポーツ用。最高 出力106馬力で俊敏な加速フィーリングを 200万円以下の価格ならオペル・ビータも 堪能できる。ビータは値引きがしにくい。ヤナ 仲間に入れたい。現行ビータは95年3月に セグループの独占だからだ。それでもポロ、ミ 発売され、96年10月、97年5月にマイ ニ、プジョー306などと競合させれば、なん ナーチェンジを受け現在に至る。ポロとは良 とか15万円台まで引き出せるはず。 きライバル車関係にあるだけに見逃せないモ オペルのクルマとくれば、ベクトラも価格的 デルである。価格は151万円から173万 には魅力がある。最も高いグレードでは332 円まで。昨年5月のマイナーチェンジでサス 万円だが1800ccの廉価モデルなら261 ペンションを改良し、走りに磨きをかけた。 万円からある。現行ベクトラは96年4月の 98年モデルはさらにシートベルトフォース 発売。96年10月には97年モデルを発売 リミッターを追加。リアハイマウントストッ し、97年10月には98年モデルを発売し プランプにLEDを採用し、視認性を高めて ている。安全装備も充実させ、ヨーロッパ車と いる。搭載エンジンは3種類。1400ccD してはコストパフォーマンスの高いモデルと いっていい。ボディサイズはコロナプレミオ 高く維持され、いつ手放すかで大きく価値が とほぼ同サイズ。2635mmという長いホ 違ってくる。 イールベースを生かした広くて快適な居住空 参考までにライバル車はVWポロ、オペル 間は注目に値する。ファミリーセダンとして ビータ、プジョー306、フィアットパンダあ の実用性は高い。 たり。値引きはシビアだ。ライバル車とうまく 98年モデルには、サイドエアバッグ、チル 競合させてもたぶん12万円程度が限界ライ トステアリング、シートベルトフォースリ ンと考えられる。限定車や特別仕様車はさら ミッターなどが標準装備された。さらにキー に厳しい。5万円前後と予想しておこう。 レスエントリーのリモコンキーがイグニッ ションキーと一体化した。 熱狂的なファンを持つミニ。生産国であるイ MINI購入希望者のために ギリスでは「最もユーザーが多いのは日本」と いうだけに輸入車のエントリーモデルとして 最後にミニを購入しようと考えている読者に も外せない。価格帯は178・9万円∼20 ひとつつけ加えておこう。ミニは1959年 9・9万円まで。最近では96年12月にマイ 以来基本的なデザイン変更をせず、メカニズ ナーチェンジを受け、安全装備を充実させる ム的にも大きな変更を受けていない。つまり、 と共に内外装備を見直しした。 最近の快適な高級サルーンに乗り慣れたヤン 97年12月には、スポーツパックリミテッ グがただ「可愛らしい」といったイメージだけ ドを限定発売している。だが、こうした特別仕 で手を出すと、期待を裏切られることになる。 様車が出てくるのも後1年半程度だとみてい クラシカルな乗り味とレトロ感覚の外観デザ い。理由はミニが日本での安全基準をクリア インにはそれなりの主義主張がある。少しで できなくなるだろうという点にある。つまり、 も「快適」とか「豪華」といった印象を抱くな 新車としてミニを購入できるのが後1年半ぐ ら別の輸入車を購入した方がいい。とりあえ らいということだ。 ず、注文書にサインをする前に実際に試乗を だから、その分希少価値が高まり、当分ミニ のリセールバリューは高値維持となるだろう。 その点では特別仕様車や記念限定車の値段も してみるといい。 クルマ本来の思想や哲学がこのミニにはギッ シリと詰め込まれている。得とか損とかいう 次元を超越したところにこのミニは現存する。 人気の秘密はそうした異次元を体験したい ユーザーが後を絶たないためである。 参考までに搭載エンジンはA型直列4気筒O HVで、マニュアル車が62馬力。AT車が5 3馬力。排気量は1300ccである。ボディ サイズは、現行の軽自動車よりもはるかにコ ンパクト。本人は満足しても家族に苛酷を強 いる車である。 熱狂的なファン層を持つミニ。メイフェアは手頃な お買い得車である。
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