第13期 報告書

業績ハイライト
●セグメント別営業収益
(注1)
(注2)
ごあいさつ
(百万円)
●経常利益
100,000
アセットマネジメント事業
150,000
不動産アドバイザリー事業
不動産投資事業
(百万円)
30,000
25,000
120,000
20,000
90,000
15,000
60,000
10,000
30,000
0
5,000
2003 2004 2005 2006 2007
●当期純利益
(百万円)
15,000
0
2003 2004 2005 2006 2007
●受託資産残高(注 3)
(億円)
8,000
オフィスビル
賃貸マンション
商業施設
物流施設
その他
7,000
12,000
6,000
5,000
9,000
4,000
6,000
3,000
2,000
3,000
通 期
不動産アドバイザリー事業
不動産投資事業
開発案件が本格的収穫期を迎え、
80,000
アセットマネジメントの受託残高も順調に拡大、
過去最高益を達成
60,000
債権投資マネジメント事業
(百万円)
債権投資マネジメント事業
アセットマネジメント事業
株主の皆様におかれましては、ますますご清栄のこととお慶
40,000
び申し上げます。
このたび当社は第 13期(平成 19年 1月1日
から同年 12月31日まで)
を終了いたしましたので、ここに事業
20,000
報告書をお届けいた
します。
当期におきましては、依然優良物件の獲得競争が続く一
0
方、下期にはサブプライムロー
2002 2003 ン問題が発生する等、やや不
2004 2005 2006
透明な事業環境のもとで、豪チャレンジャー社と共同で、日本
国内の不動産を投資対象とする不動産投資信託(LPT)
を組
成し、現地証券取引所に上場するなど、当社グループ独自の
取り組みにより収益の拡大に努めてまいりました。その結果、
開発案件が本格的な収穫期を迎えたこと、アセットマネジメン
トの受託残高が 7,000億円を突破し、各種フィー収入が順調
に増加したこと等により、12期連続で増収増益、かつ過去最
高益を達成することができました。
今後とも優良案件の発掘と海外を含めた投資地域の多様
化を進め、あわせて今後も増加するであろう年金基金や海外
資金の不動産投資の取り込みにより、顧客投資家層の拡大
に努めてまいる所存です。
株主の皆様におかれましては、当社の株主重視の経営方
針をご理解いただき、旧倍のご支援を賜りますようお願い申し
上げます。
平成20年 3月
1,000
0
2003 2004 2005 2006 2007
0
代表取締役会長 代表取締役社長 2003 2004 2005 2006 2007
(注 1)
開発型案件の増加傾向を勘案し、従来、
「不動産アドバイザリー事業」に含めておりました自己勘定による不動産投資を新たなセグメント
「不動産投資事業」
として、前中間期より独立した新たな事業区分として表示しております。
(注 2)販売用不動産の売却時の会計処理について、従来、売却収入と売却原価を相殺した売却損益の純額を営業収益に計上しておりましたが、当連結会計年度より、売却収入を営業収益に、売却原価を営業原価に計
上する方法に変更することといたしました。これによる営業総利益以下の利益に与える影響はありませんが、営業収益が、従来に比べ大幅に増加しております。
(注 3)
当社グループでは、以下の基準で受託資産残高の集計を行っております。
(1)
当社グループがアセットマネジメント業務を受託している不動産物件が対象で、竣工前の開発物件は含まれていません。 (2)
取得時の物件購入価格
(税抜)
で集計し、取得付随費用やバリューアッド費用
(物件価値を上昇させ
るための資本的支出)
等のコストについては、本来は会計上の簿価を構成するものですが、受託資産残高には含まれていません。 (3)
当社グループが一時的に自己勘定で取得し、アセットマネジメントを行っている物件が含まれてい
ます。 また、当社の関係会社が資産運用を受託している J-REIT
(ケネディクス不動産投資法人および日本ロジスティクスファンド投資法人)
が保有する物件も含まれています。
ト ップイ ン タビ ュー
Top Interview
投資家と不動産を結びつける
ゲートキーパー&ソリューションプロバイダー
これまで順調に市場を拡大してきた不動産投資ファンドが、転換期を迎
えている。金融庁の規制強化や米国発のサブプライムローン問題などに
よる金融収縮で、逆風が吹き始めているのだ。そんな事業環境の変化を
ものともせず、好業績を維持するケネディクスの強みとは何か。過去最高
益を更新した当期の総括と今後の事業展開を本間良輔会長と川島敦社
長に話し合っていただいた。
代表取締役会長 過去最高益を更新した業績は120点
低迷した株価は 50点
代表取締役社長 ある企業グループに育てていかなければならな
いと痛感した1年でもありました。
本間 株価低迷は業界全体に及んでいるし、基
本間 1年を振り返って、僕自身は、業界がな
本的には市場が決めることなので、如何ともし
かなか難しい時期を迎えた中で、146億円以上
がたい面もあります。ケネディクスならではの
の当期純利益を確保できたのだから、業績的に
仕事をして 2007年度同様、きちんと結果を残
は 120点くらい付けてもいいと思っています。
していけば、いずれ業績に見合った評価をいた
事業環境の変化に対処すべく、若い人にバトン
だけるでしょう。そうなるように、株主の皆様へ
タッチしたのは間違いではなかったと評価して
好業績の要因をしっかりアピールしておかない
ます。
といけません。
川島 確かに、業績面では申し分のない結果を
川島 そうですね。2007年度には業績を裏付
残せたと思います。しかしながら株式市場から
ける3つの出来事がありました。まず、オース
は非常に厳しい評価をいただいて、株価では 50
トラリア証券取引所への不動産投資信託(LPT)
点というところでしょうか。株主の皆様には大
の上場です。これは現地の上場企業チャレン
変申し訳なく、当社をもっともっと投資魅力の
ジャー社との共同事業で、当社が発掘した日本
ト ップイ ン タビ ュー
件を順調に売却できたことが、収益拡大の要因
です。
代表取締役会長
また、以上3案件に供給した物件のアセット
本 間 良 輔
託残高は 7,349億円と、当初目標をかなり上回
マネジメントをすべて当社で受託した結果、受
る金額になり、安定的な収益基盤の強化につな
がりました。
サブプライムローン問題の
事業への影響は軽微
本間 海外投資案件においても、米国で投資し
ている賃貸住宅物件2件が、現地の不動産ファ
ンドなどに売却できたのも収益を押し上げた一
因ですね。サブプライムローン問題が発生する
中でも、うまく売却できました。
国内 15 の商業施設のポートフォリオに投資
川島 新築戸建て住宅への低所得者向け融資
したもの。国内商業施設のみを投資対象とした
がサブプライム問題の根源ですから、当社が投
ファンドの海外証券市場への上場は本邦初の
資する賃貸住宅にはほとんど影響がなかった
ケースです。
ですね。むしろ、住宅バブルがはじけたあとの
次 に、 当 社 グ ル ー プ が ス ポ ン サ ー で あ る
米国では賃貸住宅への需要増が見込まれてい
J-REIT、ケネディクス不動産投資法人の公募増
るようです。
資に伴い、当社の保有物件を同投資法人へ売却
そのような中で当社グループでサブプライム
し、さらに、同じく当社関連の J-REIT 銘柄であ
の影響を受けたのは、オーストラリアの LPT か
る日本ロジスティクスファンド投資法人へも当
も知れません。米国に資産を保有している他社
社で開発した物流施設を供給できました。この
の LPT が無配当に陥ったことをきっかけに市場
ように、これまで仕込んできた開発案件が本格
全体が低迷し、当社関連の LPT の価格も下がり
的な収穫期を迎え、自己勘定で保有していた物
ました。これはちょっと思惑違いでした。
Top Interview
本間 資金調達の面ではどうでしょう。サブプ
ま物件供給に渋滞が起こっているからです。幸
ライムローン関連で大きな損失を計上した米国
い当社関連の2銘柄は価格の下落率も低く、昨
の大手金融機関からのファイナンスは期待でき
年のファイナンスによって新たな物件調達の余
ないし、日本の銀行の融資姿勢もますます厳し
力を十分備えていますが、下落率の高い銘柄は、
くなってくるといわれています。
金融収縮の流れの中、運用物件を増やすに増や
川島 2007年度は前年に引き続き、2つの国
せない状況にあります。
内大手銀行から総額 700億円を超えるコミット
本間 つまり、今後融資の期限を迎えてリファ
メントラインを設定していただきましたし、8
イナンスできない案件が、マーケットに安く放
月には公募増資も計画どおり実現できました。
出される可能性がある。
加えて、秋には当社初の公募普通社債も発行し
川島 そうです。多少安くてもいいから確実に
ています。これらは当社グループがこれまで積
買ってほしいというニーズが出てきて、それに
み上げてきた実績を高く評価していただいた賜
機敏に対応していけば、効率的な物件調達がで
物といえ、2008年度に向けて資金面の対応も
万全です。
ただし、今後の不動産投資マーケットにおい
ては金融収縮の事態も予想されますので、当社
の信用力を維持しつつ、一層の資金調達ルート
の多様化を進めていくことも必要です。
潮目が変わったマーケットで
チャンス到来、
海外展開も積極的に
本間 これからの不動産マーケットには悲観論
代表取締役社長
もあるようですね。
川 島 敦
川島 激しい争奪戦で優良物件の高騰が続いて
いたマーケットの潮目が変わり、久々に値下が
りしそうな気配も感じています。というのも、
J-REIT 市場が全体的に低迷しているために、い
ト ップイ ン タビ ュー
Top Interview
きます。当社の資金調達力、ファンド組成力、
し、中国やベトナムといったエマージングマー
J-REIT の投資余力を活かせば、このマーケッ
ケットでは、信頼できるローカル・パートナー
トの潮目の変化は大きなチャンスと考えてい
が不可欠なのですが、そのパートナー探しが難
ます。
しいですね。まだまだ手探り状態ですが、いずれ
本間 一方で、開発案件も注力していかなけれ
世界を舞台に総合不動産投資ビジネスを展開す
ばならない。
ることが、顧客投資家からも当社グループに期
川島 もちろんです。来期以降も毎期、安定的に
待されていることと考えています。今後も取り
収穫期を迎えられるよう、都市部のオフィスビ
組みを怠らず、数年後には全投資比率の一定割
ルや集合住宅、まだまだ不足している物流施設、
合を海外案件で確保したいと考えています。
人口密集地域の商業施設などの開発に引き続き
本間 2008年度の通期業績予測で当期純利益
注力していきます。また、シニア・ヘルスケア
が 4.3%増の 153億円とは、やや控えめに映る
案件もいま工事中の物件を含めて老人ホームが
かも知れませんね。
29棟、資産規模で 300億円とかたちになってき
川島 株主の皆様を裏切らないための、あくま
ましたので、何とか 2008年中にファンド化し
でも堅い数字です。そうした真面目さ、そして変
たいですね。
化に対応する柔軟性とスピード重視が創業以来
本間 当社グループの特徴である海外投資案件
の当社の伝統ですから。
についても拡充していきましょう。
本間 そうですね。その姿勢を堅持して二人三
川島 2007年度は米国のみならず、アジアや
脚で事業に邁進し、2008年度も予測以上の数
ヨーロッパへ投資エリアを拡大すべくアプロー
字を残して、株主の皆様のご期待にお応えでき
チし、英国や東欧で投資を実行できました。しか
るように頑張りましょう。
2007 TOPICS
2007年 10月/ 2008年 1月
ルーマニアのオフィスビルに投資
ルーマニアの首都ブカレストにおいて、
現地のパートナーと共同でオフィスビル
3棟に投資を行いました。ルーマニアは、
2007年 9月
7
2007年 1月に EU 加盟を果たしたこと
コンプライアンス部を設立
による法やインフラの整備、経済成長に
2007年 9月末の「金融商品取引法」施行にともなう態
る商業向け金融の拡大が見込まれていま
勢整備の一環として、コンプライアンス部を新設しまし
す。加えて、競争力のある人件費や他の欧
た。従来より社長直属のコンプライアンスオフィサーを
州諸国に比べて有利な税率等も背景に、
置いてグループ内の法令等遵守体制の実現を図ってき
開発プロジェクトでの高収益が期待さ
ましたが、その姿勢をより強化し、法令順守を一層徹底
れ、まさに時宜を得た投資機会ととらえ
してまいります。
ています。
月
8
月
よる優良不動産への需要増加、銀行によ
9
月
10 月
11 月
12 月
2007年
2007年 11月 アメリカ投資先の集合住宅を一部売却
米国ケネディ・ウィルソン社と共同で投資し
た西海岸の賃貸住宅物件を、当初の計画に則
り一部売却しました。折からのサブプライム
ローン問題で不透明な市場環境下にありまし
たが、優れた立地にある競争力の高い物件に
投資をしていたため、計画に沿った売却利益
を実現することができました。
1
月
2
月
2008 年
2007年 11月
国内無担保普通社債を発行
2007年 8月に行った 500億円の
発行登録の枠内において、当社とし
てはじめての公募普通社債 150億
円(期間 3年)を発行しました。従
前から資金調達手段の多様化を進
めてきましたが、今回の発行を通じ
て、さらに安定的に資金調達を実現
できる環境を実現することができ
ました。
マ ネジメ ン トト ーク
投資・アセットマネジメント事業で培った豊富な実績と
経験を活かし、不動産の持つポテンシャルを最大限に
引き出しています。
開発事業部 ( 統括部長 )
ソーシングチーム
エンジニアリングチーム
リーシングチーム
●2003年 よ り 開 発 へ の 取
●インハウスによる企画、デ
●リーシングの観点から開
り組みを開始し幅広いネッ
トワークを構築
ザインを可能とする専任の
エンジニアリング・デザイ
ナー集団
発企画をサポート
●テナントニーズを汲み上
げた商品企画を実践
開発事業のフレームワークと陣容
—— KENEDIX の好業績を牽引する
開発事業の概要をお聞かせください。
当社が開発事業の拡大に至った背景には、こ
こ数年の地価高騰やプレイヤーの増加といった
不動産投資市場の過熱化が挙げられます。多く
の投資家にとって「旨みのある投資」が難しく
なってきたため、2006年に開発事業部を本格
的に立ち上げて用地取得から建物の企画・設計、
運営管理までを一貫して行う開発事業に着手し
たわけです。現在、住宅、オフィス、商業施設、物
流倉庫、シニア・ヘルスケアなどの分野で開発
事業を進めています。
執行役員
投資事業部長兼開発事業部長
藤 井 英 介
KDX日本橋 216ビル
アビダシオン千葉
Management Talk
—— どのような陣容で事業に取り組んでいるの
商品企画段階
ですか。
開発事業部には現在 18 名のメンバーが在籍
KDX 予約契約 ( 建設途中)
KDX 予約契約事業参画 ( 着工時 )
一級建築士やデザイナーを擁し、
建物の意匠・設
事業主体 : デベロッパー
計、施工管理を担当するエンジニアリングチー
KDX 予約契約事業参画 ( 確認申請取得時 )
ム、③テナント(借り手)の視点から開発企画を
事業主体 : デベロッパー
サポートし、完成後のテナント誘致を行うリー
開発案件の特長と強み
運営段階
事業主体 : デベロッパー
し、①土地情報を仕入れるソーシングチーム、②
シングチームの3チームで構成されています。
建設段階
KDX 運営管理
FUND,REITへ移行
事業主体:KDX
土地取得 / マーケティング
着 工
竣 工
設部・ゼネコン・デベロッパー出身の、不動産
—— どのようなところにポイントをおいて開発
の本質を追及した「ものづくり」に従事してきた
案件に取り組んでこられたのですか。
経験をバックグラウンドに持つ人材で構成され
まずはスピードです。当社がこれまで数多く
ています。一方でマーケット動向を見据えた金
の投資・アセットマネジメント業務で培ってき
融的アプローチで事業を検証するなど「ものづ
たノウハウを最大限に活かして、投資判断を迅
くり」だけに偏らない柔軟性も持ち合わせてい
速に行い、短期間で意思決定しています。それに
ます。そうした「少数精鋭のプロ集団」が開発事
より業界での信用力がアップして、より良い情
業部です。
報が集まるようになったのです。
もう一つは人材です。開発事業部には、商社建
カリーノ千歳台
レガーロ西早稲田
芝公園ビル
レガーロ八雲
福浦物流
マ ネジメ ン トト ーク
—— なるほど、それがケネディクスの開発事業の
特長であり、強みでもあるわけですね。収益貢献
度が飛躍的に高まった要因を挙げるとすれば?
当社は、アセットマネジメント事業の差別化
を図る一環として、他社に先駆け開発事業に着
手したこと、またマーケットに合致した建物を
オーダーメイド型で開発してきた結果、建物完
成時までには事業計画どおりにテナントが誘致
でき、収益性の高い商品に仕上げられてきたこ
今後の展開と注力分野
とが大きな要因です。当社関連の J-REIT 銘柄や
——今後の事業展開と注力分野があればお願い
オーストラリアの不動産投資信託(LPT)等への
します。
売却によって、堅実な収益貢献が実現できたと
これまで「レガーロ」シリーズで展開している
いうことです。
賃貸住宅の割合が最も大きかったのですが、今
後はオフィスビルや物流倉庫、商業施設の開発
(億円)
にも注力していきます。今般、組織横断的な専
開発事業規模
700
624
655
門チームとして「商業・物流開発チーム」を新設
600
し、積極的に事業を拡大していくこととしまし
500
た。また、この 2008年2月に竣工した「KDX 晴
400
海ビル」のような大型案件にも継続的に取り組
298
300
んでいくことでトラックレコードを蓄積し、実
200
100
0
44
2003年
績と信用が伴ってきた段階で、他人資本を導入
64
2004年
2005年
2006年
2007年
した開発ファンドを組成したり、大手デベロッ
パーとコンソーシアムを組んだりして、当社が
プロジェクトマネージャーの役割を果たしなが
ら大規模な開発も手がけていきたいと考えてお
ります。
「KDX 晴海ビル」開発物語
や施工者とはコスト等を入念に調整し、事前に合意を図るよ
う努力しました。また、当社の設計及び管理のプロが、設計
初期の段階から竣工まで、監修及び施工管理の立場で直接協
議や調整に加わり、当初の企画仕様を維持して予定の工期及
び予算内で収めることに努めました。
そうしたかいもあって、また施工者並びに関係各位の絶大
な理解と尽力も加わり、本年 2月 29日に予定通り竣工にこ
ぎつけたのです。
本物件は、無駄を省いたスタイリッシュな外装・内装、制
震装置を施した構造に加え、非接触型カード方式でのハイレ
「KDX 晴海ビル」は、東京都中央区晴海3丁目に位置し、
地下1階・地上11階建て、延床面積 3,900坪を超える、当
社が手がけたオフィスビルの中でも大型案件の一つです。
本件は、都心に近く周辺の開発も活発なベイエリアの潜在
価値に着目し、バックオフィスや合併統合企業の移転需要等
を見込んで、2005年夏に投資を決定しました。竣工時期は
テナントの誘致活動とゴールデンウィーク中の入居も見越
して、2008年 2月としたのです。
ところが、2005年11月から開始した行政等への事前相
談・協議において、手続に予想以上の時間を要し、建築確認
取得まで1年3カ月余りを費やしました。ようやく昨年3
月に着工したのですが、予定した竣工までは実質1年、この
規模の工事としては厳しい状況となりました。
開発案件では、予算のオーバーは絶対に許されないことと
あわせ、時間もコストの内といわれるように工期の遅延も
避けなければいけません。一方で、昨今の建設資材高騰もあ
り、施工者は、工事予算及び工期について余裕を持てるよう
に、建物並びに設備の仕様をなるべく抑えようとします。
ベルセキュリティーによる安全と安心を提供しています。オ
フィス空間は無柱で使い勝手が良く、外の熱の影響を低減
する複層ガラスに電動ブラインド、年中何処に居ても冷房・
暖房が自動でコントロールされる冷暖フリー空調に、昼光セ
ンサーを利用した自動調光照明を採用して、省エネかつ快適
なオフィス空間を作り出しました。また、屋上緑化も取り入
れ、館内廃棄物はオールリサイクル型での収集処理を行い、
環境への配慮も忘れていません。こうした安全・快適・省エ
ネ・環境への配慮を追求する当社ならではの
高付加価値の物件に仕上がったと自負して
います。
現在、テナントを募集中ですが、入居を
希望される企業の方々が大勢お越しにな
り、当初の目論見を上回る状況です。
今後も、ケネディクスならでは
の、進化したオフィスビルを、
企画・開発していきたいで
すね。
当社は、予算と予定の工期を守る一方で、Sグレードの品
質維持に妥協しないという方針で臨みました。具体的には、
設計段階での建物並びに設備の仕様を詰める時点で、設計者
開発事業部 部長代行
菅田 昇
10
連結財務諸表
● 連結貸借対照表
(単位:百万円)
当 期
前 期
資産の部
338,509
158,147
流動資産
307,766
134,566
科 目
現金及び預金
信託預金
営業未収入金
34,390
6,966
4,821
971
866
買取債権
5,532
3,603
繰延税金資産
2,729
579
その他
8,629
3,488
△ 327
△ 32
30,743
23,581
有形固定資産
203
153
無形固定資産
973
8
29,566
23,419
固定資産
投資その他の資産
投資有価証券
出資金
長期貸付金
繰延税金資産
その他
資産合計
11
39,369
86,848
貸倒引当金
当 期
前 期
負債の部
258,020
118,353
流動負債
106,397
64,772
科 目
平成19年12月31日現在 平成18年12月 31日現在
243,895
たな卸資産
(単位:百万円)
25,131
17,558
188
3,126
1,920
1,431
—
2,326
338,509
77
1,225
158,147
平成19年12月31日現在 平成18年12月 31日現在
営業未払金
477
362
短期借入金
60,720
35,900
6,000
—
17,312
15,259
1年内償還予定社債
3,435
2,785
未払法人税等
8,409
5,066
預り敷金
5,405
3,575
コマ−シャルペーパー
1年内返済予定長期借入金
繰延税金負債
521
—
役員賞与引当金
430
270
その他
固定負債
3,683
1,552
151,623
53,581
47,110
30,519
103,691
22,166
匿名組合出資預り金
162
279
繰延税金負債
306
303
社債
長期借入金
退職給付引当金
17
13
役員退職慰労引当金
—
164
その他
335
135
純資産の部
80,488
39,794
60,047
36,510
株主資本
資本金
14,546
9,648
資本剰余金
14,805
9,907
利益剰余金
30,821
16,996
自己株式
△ 124
△ 42
評価・換算差額等
その他有価証券評価差額金
繰延ヘッジ損益
為替換算調整勘定
少数株主持分
負債純資産合計
788
700
773
674
72
△ 111
△ 57
137
19,652
2,583
338,509
158,147
Consolidated Financial Statements
● 連結損益計算書
科 目
(単位:百万円)
当 期
前 期
平成 19年 1 月 1日から 平成 18年 1 月 1日から
平成19年12月31日まで 平成18年12月31日まで
営業収益
138,025
営業原価
営業総利益
販売費及び一般管理費
営業利益
△ 2,900
101,476
4,659
投資活動によるキャッシュ・フロー
△ 35,962
△ 8,894
36,549
22,384
財務活動によるキャッシュ・フロー
91,886
28,283
現金及び現金同等物に係る換算差額
△ 209
14
6,935
16,503
37,074
19,178
952
1,392
44,962
37,074
5,686
3,747
30,863
18,637
376
6,261
2,552
経常利益
26,120
16,461
特別利益
141
20
26,262
16,481
90
474
税金等調整前当期純利益
26,172
16,007
法人税、住民税及び事業税
12,605
6,739
△ 2,797
△ 263
匿名組合損益分配額
当期純利益
前 期
△ 48,778
1,519
少数株主利益
当 期
平成 19年 1 月 1日から 平成 18年 1 月 1日から
平成19年12月31日まで 平成18年12月31日まで
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業外費用
法人税等調整額
科 目
27,044
営業外収益
匿名組合損益分配前税金等調整前当期純利益
● 連結キャッシュ ・ フロー計算書 (単位:百万円)
1,702
515
14,662
9,015
現金及び現金同等物の増減額
現金及び現金同等物の期首残高
連結範囲変更に伴う現金及び
現金同等物の増減額
現金及び現金同等物の期末残高
会計処理の変更に関して
販売用不動産については、従来、売却時に売却収入と売却原価
ために一時的に物件を保有していた場合と比較して相対的に保有期
を相殺した売却損益の純額を
「営業収益」に計上しておりましたが、
間が長くなる傾向があり、また物件の仕様決定等に主体的に関わり
前中間連結会計期間より、
売却収入を
「営業収益」に、
売却原価を
「営
相応の開発利益を享受しているため、販売用不動産の売却取引総
業原価」に計上する方法に変更いたしました。
額を営業収益に計上するのが、当社グループの経営成績を適正に反
理由といたしましては、開発型案件の増加に伴い、ファンド組成の
映するために適当と判断されたからです。
12
会社概要 (平成19年12月31日現在)
Corporate Profile
● 概 況
● 役 員(平成 20 年 3 月 7 日現在)
社 名 ケネディクス株式会社
代表取締役会長 本間 良輔
代表取締役社長 川島 敦
Kenedix, Inc.
設 立 平成 7(1995)年 4 月 17 日
所
在
資
地
本
本 社 〒 105-0004
東京都港区新橋 2-2-9
金
14,546,074,908 円
従 業 員 数 87 名(連結 162 名)
主要金融機関
株式会社三井住友銀行
株式会社三菱東京 UFJ 銀行
株式会社みずほ銀行
株式会社りそな銀行
中央三井信託銀行株式会社
株式会社あおぞら銀行
● 主要関係会社
取 締 役 吉川 泰司:CFO
取 締 役 柴岡 博夫:
総務・人事部長兼グループコンプライアンス・オフィサー
取 締 役 柏木 昇
監 査 役 本田 商一
監 査 役 菅野 慎太郎
監 査 役 舩橋 晴雄
監 査 役 大村 多聞
監 査 役 久保田 英二
執 行 役 員 田中 晃 :運用事業部長兼運用管理部長
執 行 役 員 藤井 英介:投資事業部長兼開発事業部長
執 行 役 員 片山 慶三:大阪営業所長
執 行 役 員 山﨑 健一:財務・経理部長
● HP ご案内
ケネディクス・アドバイザーズ株式会社
ケネディクス・リート・マネジメント株式会社
三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社
ケネディクス・デベロップメント株式会社
パシフィック債権回収株式会社
株式会社アセット・ワン
住宅流通株式会社
KW Multi-Family Management Group,Ltd.
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ホームページアドレス
h t t p ://www.kenedix.com
株式情報 (平成19年12月31日現在)
Stock Information
● 株主メモ
● 発行株式数及び株主数
発行可能株式総数
発行済株式の総数
株主数 1,400,000 株(*)
635,140 株(*)
13,080 名
事
業
年
度
定時株主総会
基
準
日
毎年 1月1日〜12 月 31日
毎年 3 月開催
毎年 12月 31日
*平成 19 年 7 月 1 日付で株式分割(1 株→ 2 株)
を実施しております。
● 大株主(上位10名)
■ 株式事務取扱場所
株 主 名
日本トラスティ・サービス信託銀行
株式会社(信託口)
ステート ストリート バンク アンド
トラスト カンパニー
日本マスタートラスト信託銀行
株式会社(信託口)
ジェーピーモルガンチェース オッペンハイマー
ファンズジャスデック アカウント
資産管理サービス信託銀行株式会社(信託 B 口)
ザ バンク オブ ニューヨーク ジャスディック
トリーティー アカウント
本間良輔
カーギル インターナショナル トレーディング
ピーティーイー リミテッド ナンバーツー
モルガン・スタンレー アンド カンパニー インク
メロン バンク トリーティー クライアンツ オムニバス
持株数(株) 持株比率(%)
66,773
10.51
54,206
8.53
43,296
6.81
40,000
6.29
29,839
4.69
19,612
3.09
14,908
2.34
14,128
2.22
11,957
1.88
10,605
1.67
証券会社
14,546株
(2.29%)
その他国内法人
14,975株
(2.36%)
株主名簿管理人
東京都港区芝三丁目 33 番1号
中央三井信託銀行株式会社
同事務取扱場所
東京都港区芝三丁目 33 番1号
中央三井信託銀行株式会社 本店
同事務取扱所
東京都杉並区和泉二丁目 8 番 4 号
証券代行事務センター
(〒168-0063)
中央三井信託銀行株式会社 証券代行部
電話 0120-78-2031(フリーダイヤル)
同 取 次 所
中央三井信託銀行株式会社 国内各支店
日本証券代行株式会社 本店および全国各支店
■ 公告方法
● 所有者区分別株式分布状況
外国個人
170株
(0.03%)
(その他必要がある時は、あらかじめ公告する一定の日)
電子公告にて当社のホームページ
(htt p: //www.kenedix.com)に掲載
いたします。ただし、やむをえない理
由により電子公告をすることができ
ない場合は、日本経済新聞に掲載いた
します。
個人・その他
109,870株
(17.30%)
外国法人
307,816株
(48.46%)
金融機関
187,763株
(29.56%)
(注)個人・その他には証券保管振替機構名義株式を含めております。
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ホームページアドレス 〒105-0004
東京都港区新橋2-2-9
TEL:03-3519-2530 FAX:03-3519-2533
http://www.kenedix.com
環境に配慮した「大豆油インキ」
を使用しています。