吊柵式スノーガード●タコ式スノーガード●スノーブリッジ●雪崩防止擬木アシュラ TSK 雪崩防止施設 よ り 効 果 的 な 雪 崩 防 止 を 。 1 雪崩対策は積雪深や斜面勾配、斜面長、地形、地質などさまざ まな条件を考慮して行う必要があります。東京製綱では、昭和 30年代より関係者のご指導を仰ぎ、雪崩防止工の研究・開発 を推進。それぞれ異なった状況下の雪崩発生区に、より効果的 な雪崩対策を施せるよう各タイプの施設を用意しています。 吊柵式スノーガード タコ式スノーガード 斜面上方のアンカーからワイヤロ 本体は三角錐状の枠組で、吊柵式 ープを吊り下げ、これに本体を取 スノーガードと同様にワイヤロー 付ける構造です。基礎の根堀りが プで吊る構造です。土質条件の悪 困難など、土質条件が悪い場合に い場所にも施工でき、地肌を害す も有効で、広く使用されています。 ることがなく、 植栽を傷めません。 雪崩防止擬木アシュラ スノーブリッジ 鉄材の上にFRP加工を施し、自 わが国でも古くからある雪崩防止 然木のような形状と色彩をつくり 施設で、主柱と支柱をコンクリー だしています。掘削工が少ないた ト基礎に固定させる強固な構造で め地肌を傷めず、冬期以外でもま す。斜面長の長い場所には特に有 わりの自然環境と調和します。 効で、急斜面にも適しています。 2 吊柵式スノーガード 特徴 ●ワイヤロープで吊る構造のため掘削工が少なく、50° 以 上の急峻な地形や軟弱地盤など、斜面での基礎堀りが困 難な場合にも有効です。 ●横の連繋ができるので、 効率よく雪の崩落を防止します。 ●補修は簡単で分解移転も可能です。 ●断面性能に方向性のない一般構造用炭素鋼鋼管を梁に 使用しています。 ●主に積雪深4m以下の斜面に設置され、全層・表層雪崩 を防止します。 急峻な地形や土質の悪い場所にも設置可能です。 3 4 設計の手引き ■辺縁効果 柵の端部には、辺縁効果による荷重を考慮します。 設置斜面 SR=f R・SN ●積雪深/1∼4m以下 ただし、SR:辺縁効果荷重(kN/m) ●斜面勾配/一般に55°以下 f R:辺縁効果係数 ●土質条件/強固な基礎に不適当な斜面にも設置可能 SN:雪圧の斜面に平行な部分 △ι 設計のための仮定 設 計 SR ■梁および柱にかかる外力 真の分布 H2 雪圧の斜面に平行な成分 SN=γ K・N (kN/m) 2 雪圧の斜面に直角な成分 雪質による定数 S Q= a Ntanθ a= SN SN (kN/m) ι ν ν) 1−2 C 2(1− C ■吊柵の柵間隔(列間隔)の決め方 列間隔は、次式によって求めます。 ν=0.4γ C L=f L・H ただし、γ:積雪の単位体積重量 (kN/m3) K:クリープ係数 H:設計積雪深(m) N:グライド係数 ν:積雪の粘性ポアソン比 θ:斜面の傾斜角 f L= 2tanθ tanθ−tanψ C ただし、 L:列間斜距離 したがって、斜面雪圧による合力(R)は R= SN2+SQ2 (kN/m) ■付加荷重 梁材の設計にあたっては、斜面雪圧の25%の値を、地面から 柵高の1/4までの間に作用させます。 D P' ' 5P 0.2 f L:距離係数 ψ:雪と地面の摩擦角 ■吊りロープにかかる荷重 吊りロープにかかる荷重(T)は、支点反力(R U、R L)の和となりま す。 T=RU+RL T RU D 4 RL 5 図A●アンカー設置図 設計上のご注意 (1)アンカーは、前頁 (P.5) の “吊りロープにかかる荷重の決め 方” によって算出した荷重(T)に対し設計します。 ■アンカー ●土砂部 土砂部用アンカーとしてロケットアンカーあるいはコンク リートアンカーを用います。アンカーの前面幅は、2.0m以 上取ってください。斜面の途中の場合も同様です。 (イ) ●岩 部 (ロ) 岩部用アンカーは、TSKセメントアンカーあるいはケミカ ルアンカー等を用います。あらかじめネジ部のせん断強度 をチェックしてから使用してください。 図B●吊柵式スノガード設置図 (2) アンカーは柵1段毎、吊りロープ1本毎に設置します(図A のイ) 。ただし、荷重条件によりアンカーを複数設置するこ (イ)1段設置の場合 a a ともあります (図Aのロ)。 なお、各吊りロープをまとめて一つのアンカーから取ると a≦2.0m きは、別途設計することが必要です。 (3)起伏の大きい地形の場合には、柵を地形に沿わせて設置す (ロ)多段設置の場合 a a ることが困難になりますので、柵長の短いものをお勧めし ます。 (4)1段設置の場合は、図Bの (イ) のように設置してください。 L (5)多段設置の場合は、 図Bの (ロ) のように設置してください。 点線で示すような設置方法もできますが、実線の施工方法 が安定しています。また、上部から下部まで一列に施工す る場合は、点線の施工方法をとります。 a≦2.0m (6)表層雪崩防止の場合は、柵の高さを最大積雪深以上にして ください。 仕 様 型 支 柱 梁 材 支持ロープ 吊りロープ 備 考 TA-18 H200×100×5.5×8-1,794 5 - 89.1 φ × 2.8 t - 2,750 3×7 G/O 14φ 3×7 G/O 18φ TB-18 H200×100×5.5×8-1,794 5-101.6φ×3.2t-5,500 3×7 G/O 14φ 3×7 G/O 18φ TB-22 H200×100×5.5×8-2,194 7-101.6φ×3.2t-5,500 3×7 G/O 16φ 3×7 G/O 14φ TB-25 H250 × 125 × 6 × 9 - 2,494 7-101.6φ×4.2t-5,500 3×7 G/O 18φ 3×7 G/O 18φ TH-18 H200×100×5.5×8-1,794 15-139.8φ×4.5t-2,730 3×7 G/O 14φ 3×7 G/O 18φ TH-22 H200×100×5.5×8-2,194 21-139.8φ×4.5t-2,730 3×7 G/O 16φ 3×7 G/O 14φ TH-25 H250 × 125 × 6 × 9 - 2,494 18-165.2φ×5.0t-2,730 3×7 G/O 18φ 3×7 G/O 18φ ●吊りロープの両端は、巻付 けグリップを標準とします。 ●支持ロープは片端トヨロッ ク、片端巻付けグリップを 標準とします。 ●ブレース材は鋼棒またはロ ープを使用します。 ●支持面を構成する梁材は、 断面強度に方向性のない丸 パイプを使用します。 部品数量については、図面集の材料表をご参照ください。ただし、吊りロープは、現地設置延長mとなります。 6 タコ式スノーガード 特徴 ●ワイヤロープで吊る構造のため斜面での掘削工が少なく、 土質条件の悪い場所にも施工でき、植栽も傷めません。 ●ボルト、ナットによる組立式のため特殊な機械器具や特 別技能者を必要とせず、運搬や施工が容易です。 ●移転や撤去が可能です。 ●雪のグライドを抑えるため植栽が不可能だった斜面も植 林・造林が可能になります。 ●主に積雪深3m以下の斜面に設置され、全層雪崩を防止 します。 運搬・施工が容易で、設置場所の植栽も傷めません。 7 8 設計の手引き 設置斜面 ●積雪深/3m以下 ●斜面勾配/一般に45゜ 以下 ●土質条件/強固な基礎に不適当な斜面にも設置可能 設 計 L ■タコ(雪止枠) L ●タコの高さと積雪厚さ 一般に構造物の高さが積雪厚さの70%以上であれば、雪崩防 H 止の効果があるといわれていますので、45゜の斜面を考えた場 θ os 合、最大積雪深3.0mまでの範囲で使用することができます。 Hc ●タコの横方向間隔 タコ式スノーガードはタコを千鳥状に配置しますが、タコの 横方向間隔は通常5.0mを標準とします。 θ ●タコの縦方向間隔(斜距離) タコ一基あたりの耐力は、240kNに耐えるように設計してあ りますが、実際には雪の沈降力等の計算外の荷重がかかる可 能性も高いので安全率2をとり、タコの耐力120kNとして考 ●タコ、アンカー構成の限度 えます。 コンクリートアンカーの場合、一つのアンカーからはタコは2 斜面方向の雪圧が、この耐力120kNを超えないように縦方向 段連続までを限度とし、3段、4段と連続設置をする場合は別途 間隔を決めます。 アンカーを設けてください。その他、鋼材アンカーの場合は、 P=W(sinθ―μcosθ) ……………………… (1) 1段吊りを標準とし、タコ1基にアンカー2本を使用します。 W=ρBLHcosθ………………………………(2) ●アンカー、タコ構成図 (凡例) (1) (2) 式より L= P アンカー ………… (3) ρBHcosθ(sinθ―μcosθ) ただし、P:タコの耐力=120kN 8m タコ μ:雪と地面との摩擦係数(0.5∼0.6) B:タコの横方向間隔(5.0m) ロープ θ:斜面こう配 10m W:斜面方向の雪圧 ρ:雪密度 H:積雪深 L:タコの縦方向間隔 タ コ シ ン ブ ル ワイヤグリップ ワイヤロープ ア ン カ ー 13組 26個 260個 (ロープ1本につき、両端で10個) 26本 (11m×14本、13m×12本、計310m) 8組 ■ロープ ロープの長さは、ワイヤグリップの折り返ししろを含めて、 3m余分に計上してください。 9 ■アンカー 次の条件により設計をします。 (1) タコ1段吊りの場合……設計荷重 120kN (2) タコ2段吊りの場合……設計荷重 240kN ●土砂部 a 一般に土砂部では、コンクリートアンカーを用います。代表 的な寸法を下表に示します。 アンカー前面幅 (右図のa) は、2.0m以上取ってください。斜 面の途中の場合も同様です。 コンクリートアンカー寸法例 条 件 深 さ 幅 奥 行 タコ1段吊りの場合 2.0m 1.3m 1.3m タコ2段吊りの場合 2.0m 1.9m 1.9m ●岩 部 ●その他のアンカー 軟岩部では、コンクリートの寸法を小さくして、標準のアン コンクリートアンカーの打設が困難な場合は、別冊のスノー カーポールを使用してください。 ガード図面集に示している“ロケットアンカー”を使用する 硬岩部の場合は、TSKセメントアンカーあるいはケミカルア こともできます。 ンカー等のロッドアンカーを使うこともありますが、あらか じめロッド部のせん断強度をチェックしてから使用してくだ さい。 設計上のご注意 タコ式スノーガードは雪崩予防工の一つですので、予防工につ 0.7∼0.8L いての次の注意事項を守ってください。 (1) 雪崩予防工は、必ず雪崩発生部の上から設計してください。 (2) 特に尾根から下げられた1段目(1列目)のタコは、斜距離… L … (3) 式から得られた長さの7∼8割程度にしてください。 (3) 予防工の必要な範囲は、雪崩発生のある斜面だけでなく、 その周辺にも予防工を施してください。 仕 様 分 類 吊 り 具 名 称 備 考 寸 法 質 量 ケ ー ブ ル 25φ 2.6kg/m 折り返し余尺3m必要(片端1.5m) シ ン ブ ル A-65に準ずる 4.0kg/個 ケーブル1本につき各1個必要 25φ 用 1.0kg/個 ケーブル片端ごとに各5個必要 ワイヤグリップ 枠 タ コ L-75× 75× 9 160.0kg/組 アンカー 金 物 H-200× 100× 5.5× 8 32.4kg/本 組立用ボルト36個 (組) 付 全長1.2m(コンクリートアンカーに使用) 10 スノーブリッジ 特徴 ●主柱および支柱をコンクリート基礎で固定する強固な構 造で、土質条件の良い斜面に適しています。 ●等高線のそろった均一斜面に適しています。 ●45゜ 以上の急斜面にも効果があります。 ●融雪期の崩落雪に対しても有効です。 ●主に積雪深6m以下の斜面に設置され、全層・表層雪崩 を防止します。 表層・全層雪崩防止に効果を発揮する強固な構造です。 設計の手引き ■斜面雪圧 設置斜面 SN=γ ●積雪深/6m以下 ●斜面勾配/一般に55° 以下 SQ= ●土質条件/強固な基礎が可能な斜面 H2 2 K・N(kN/m)…………斜面に平行な成分 a Ntanθ SN(kN/m)…………斜面に直角な成分 ■スノープリズム G= 設 計 D2 2 γ・tanρ D=Hcosθ ρ H SQ H/2 SN 梁材の設計に当っては、斜面雪圧の25%の値を地面から柵高 の1/4までの間に作用させます。 ■辺縁効果 R GQ 柵の端部には、辺縁効果による荷重を考慮します。 G GN θ D/ 4 2 H/ P' 0. 25 P' D ■付加荷重 SR=fR・SN θ ただし、SR:辺縁効果荷重(kN/m) fR:辺縁効果係数 SN:雪圧の斜面に平行な成分 11 雪崩防止擬木 アシュラ 特徴 ●下部構造が自穿孔式アンカーのため斜面での掘削工が少 なく、斜面を傷めません。 ●本体はアンカー部、幹部、枝部とに分かれ、現地での組 立式のため運搬・施工ともに容易です。 ●鉄材(骨組)の上にFRP加工を施し、色彩・形を自然木 に似せているため自然景観を損ないません。 ●従来の柵構造型式と大きく異なり、冬期(積雪期)以外で も違和感を与えません。 ●積雪深2m以下の斜面の全層雪崩を防止します。 自然景観に調和する機能的で美しい雪崩防止工です。 設計の手引き ■積雪荷重 設置斜面 SN=γ ●積雪深/2m以下 SQ= ●斜面勾配/一般に45° 以下 ●土質条件/比較的容易に掘削できる程度の斜面 H2 2 a K・N(kN/m) ……………斜面に平行な成分 Ntanθ 合力R= ……………斜面に直角な成分 S( N kN/m) SN2+SQ2 ■分力 P=Rcos(θ+ζ) (kN/m) Q=Rs i n(θ+ζ) (kN/m) 設 計 ■配 置 P 配置は千鳥状にします。 ) +ζ (θ 間隔(B)は積雪深および斜 S 面状況によりことなります が、4∼5m程度になります。 N SQ ζ B R Q θ 12 東京製綱の積雪地用製品 防雪柵 交通遮断の大きな原因となる吹雪・吹きだまりの対応施設として、 種々の防雪柵を用意しています。 吹雪誘導柵 地吹雪が直接道路上で吹き荒れませんので、運転者の視界を確 保することができます。 積雪地用ロックフェンス 積雪沈降力や斜面積雪圧を考慮して設計されていますので、積 雪による金網の破損を最小限にとどめることができます。 13 ●お問い合わせ・ご注文は 雪崩防止施設のご照会・ご注文の際は、下記についてお知 らせください。 1)積雪深さ 2)斜 面/傾斜角度、斜面長さ、雪崩発生予想幅等 3)斜面状況/土の露出か、岩の露出か 等 雑草帯か、灌木帯か 等 4)斜面方向/北面か、南面か 等 5)雪庇の有無 ■下記資料を用意しております ●安全施設 ●積雪地用ロックフェンス ●防雪柵 ●凍結警告標識 ●落石防止柵 ●落石防護網 ●ロックフエンス用擬木カバー ●ガードケーブル・ガードレール ●木目調ガードケーブル ●ガードレール用歩行者安全カバー ●ガードフェンス ●マイティーネット ●ロープネット ●TASネット・スロープネット ●ロケットアンカー ●立体駐車場用落下防止装置 ●ノイズガード ●遮音壁落下防止ワイヤ ●落橋防止用連結ケーブル ●沈埋トンネル用連結ケーブル ●小規模吊橋 ●カヌー・漕艇競技施設 ●防風柵 ●透光板式防風柵 ●タイロープ ●ロックマット ●かごマット ●かご枠 ●敷き網工 ●長大橋用ケーブル ●鋼構造用ケーブル 14
© Copyright 2024 Paperzz