(ニュースリリース) 2010 年 07 月 22 日 ZF 社製 Eccom CVT トランスミッションに デュポン™ ベスペル®ポリイミド樹脂部品が採用 米国デュポン社(本社:デラウエア州ウィルミントン、会長兼最高責任者:エレン・J・クルマ ン)のパフォーマンスポリマー事業部は 2010 年 6 月 23 日(ジュネーブ現地時間)、優れた耐摩耗 と低摩擦性を持つデュポン™ ベスペル®SP 製スラストワッシャーが、ドイツのギアボックススペシ ャリスト ZF Passau GmbH 社の無段変速、油圧電動分離 Eccom CVT トランスミッションに採用され たと発表しました。このトランスミッションは、農機メーカーとして世界的に有名な John Deere, Claas Selbstfahrende Erntemachinen,Same Deutz-Fahr のトラクターに搭載されています。遊星 ギアがこのワッシャーを介しキャリアに対し直接摺動せずに回転することにより、継続的な信頼性 をもたらし、トランスミッションの維持管理、保全業務の負荷を軽減しています。また長方形の断 面を持つシールリングは高速トランスミッションのドライブシャフトに使用されています。Eccom トランスミッションにはこれらの部品の他に 20 個以上のデュポン社製ベスペル®部品が採用されて います。 最小摩擦で摩耗低減するベスペル®スラストワッシャー デュポン™ ベスペル®SP 製品の主な特長は 288℃までの連続使用と 480℃までの断続使用が可能で す。ベスペル®SP-21、ベスペル®SP-22 製部品はその特長に加えて潤滑状態で 40MPaxm/s という高 い PV 環境に使用することができるためトランスミッションに最適です「ZF 社にとって非常に重要 だったのは、ベスペル®SP-21 製スラストワッシャーが隣接した金属部品を摩耗させることなく、 トランスミッションのスラスト荷重を受けることが出来たということです」とベスペル®製品 ヨーロッパ自動車産業マーケットリーダーのピーター・バーグマンはコメントしています。 べスペル®ワッシャーの非常に優れた摩擦性能は金属同士の 摺動に比較し摩擦損失を低減し、 始動・停止性能に好影響を与えます。そのため ベスペル®製スラストワッシャーは乗用車、バス、 ZF 社のような農機に搭載されるトランスミッションの中で数十年にも渡る実績と信頼を持って採 用されています。 ZF 社に採用されている全てのベスペル®製スラストワッシャーにはキャリアの凹所に組み込むため の小さな回り止めがあります。その結果、相対運動は遊星ギアとスラストワッシャー間でのみ発生 し、ワッシャーとキャリア間の動きが無いため、キャリア表面に対する仕上げ、表面処理等を必要 としません。 ZF 社農機トランスミッション開発マネージャー Jurgen Pohlenz 氏は「ベスペル®製スラスト ワッシャーは摩擦性能に関して優れた特性があります」と語っています。荷重方向の傾きあるいは クリアランスの影響により発生すると考えられる不均一な面接触に対して、べスペル®ワッシャー は、トランスミッションを始動させた直後に適応します。その結果僅かな慣らし運転の後でも ワッシャーはスラスト力を面全体で安定して受けることが出来ます。べスペル®ワッシャーはオイ ルと装置の温度の上昇に対して最小の影響しか与えないため、トランスミッションの耐用年数の間 は摩擦を最小限に抑えることが出来ます。 長方形断面リングがオイルの流れをコントロール マイクロカット技術が使われている長方形の断面を持つベスペル®SP-22 製シールリングは、 スラストワッシャーと同じようにおおよそ 280 から 385kW出力エンジン用にデザインされた Eccom トランスミッションモデル 3.5 と 4.5 に採用されています。シールリングは熱膨張に対しての影響 を考慮して、ボアに対して精密に、閉じられた合口で正確な位置で設置されています。残された ギャップの開きは高温になるトラスミッションオイルの少量な油量の制御を可能にしています。 シール面の両側に位置した油溝は接触面の間の油膜を素早く作り、摩擦を軽減し、摺動面を冷却し、 使用油圧の範囲を拡大します。油溝があることで稼動中に油温度が 80℃に達しても、トランスミ ッションでは通常発生する脈動圧力最大値 22 バールになった時も安定した油膜を維持します。 「現在トラクターは 50km/h以上のスピードで(おおよそ 30miles / h)、トランスミッションの シャフト速度は 4200rpm にもなります。シャフトとシールリング間の相対速度はそれに応じて高 くなり、シール面においては 22MPaxm/s を越える PV 値に達します。そのようなケースでは、 ベスペル®シールリングの摩擦の優位性は標準モジュールの黒鉛鋳鉄製のシールリングに対して有 利です。金属リングは荷重によって摩耗し、その結果シール面上のシャフトに過剰な熱負荷を与え ます。その一方で低摩擦、低摩耗を備えたベスペル®シールリングはそのような状況下でも優れた 潤滑膜を保持します。この特性は、摩擦によって発生するシール面の発熱を効果的に回避します」 と Pohlenz 氏は述べています。 何千回をも越える試験 ZF 社の Eccom CVT トランスミッションは 50,000 回以上の試験を行いました。5 つの現行モデルで ある、Eccom1.5、1.8、2.0、3.5、そして 4.5 は 100 から 520 馬力の出力エンジンを想定してデザ インされています。(おおよそ 75kW から 385kW) 最新の Eccom5.0 は 2010 年年末頃発表される予 定で、トランスミッションは主に高機能標準トラクター、旋回軸ステアリング車輌、そして農業用 けん引車輌に最適です。この Eccom5.0 は 385kW までのエンジン出力と、2300Nm までのトランス ミッショントルク動力性能を有しています。全モデル車輌は非常に過酷な地面の状態やクラッチや マニュアルシフトを作動させずに無段変速によって始動時のけん引を繊細でスムーズに行なうこと ができます。CVT トランスミッションは燃費の面で最も効率的なエンジンの稼動を維持するために 最良のギア比や負荷の変動をサポートしています。 2 (使用例:Claas シリーズ Xeroin3800) ベスペル®製品は 40 年以上に渡って高機能で採算性のあるソリューションを通して“Big Science, Parts by Parts”を提供しています。 デュポンは科学的な発見や発明を基盤に製品やサービスを提供する企業です。創立は 1802 年、 本社は米国デラウエア州ウィルミントンに置かれています。世界 70 カ国余りに拠点があり、農 業・食品関連、建築・建設、通信および輸送の分野で革新的な製品やサービスをお届けしています。 世界中の人々の生活をより安全で豊かにするために、科学の力を生かした持続可能なソリューショ ンを創出しています。 ※デュポン™ ベスペル®は、米国デュポン社の登録商標です。 3
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