「ウィザード」 「スターレイ」

岩手県
原
奥中山高
ド
ウィザー イ
スターレ
青森県
5
久保
ありますが︑近年高冷地といえ夏は
℃
を超え︑梅雨の長雨により︑生育不良︑
腐敗の発生︑病害の発生など生産を不安
定にさせています︒一部にはこの現象を
﹁ 奥 中 山 の7 月 病 ﹂ と 揶 揄 す る 人 も い る
ぐらい︑この解決が大きな課題となって
います︒この一対策として耐病性・耐暑
性に優れた品種の選定が急務となってい
ます︒
春レタスに
﹁ウィザード﹂﹁スターレイ﹂
奥 中 山 の 春 の 作 型 は ︑ 当 初6 月 出 荷 に
た栽培でした︒しかし︑近年は春先の気
﹁ウィザード﹂﹁ステディ﹂を中心とし
当 エ リ ア に お け る レ タ ス 栽 培 は ︑23
では収穫の手が間に合わず︑﹁ステディ﹂
温上昇が激しく︑早生の﹁ウィザード﹂
︵ う ち 結 球 レ タ ス165
人が栽培しています︒作型は︑ハウ
ではスパイラル球の発生など︑結球性が
そのような状況の中︑当地の春レタス
ス育苗による個別育苗と農協の育苗セン
まで5 〜7 日間隔で播種され︑年間播種
に適した品種を試験したところ︑﹁スタ
悪いといった問題が出てきました︒
回程度にわたって行われ︑平地
回数は
ーレイ︵試作当時T 㿌521︶﹂ が低温
月後半でも雹が降ることがあります︒被
また︑当地は﹁やませ﹂の影響で︑5
から︑生産者の評価も上がり︑春レタス
ど晩生で︑収穫期の幅が広くとれたこと
性 ︑ ﹁ ウ ィ ザ ー ド ﹂ と 比 べ て 2 〜3 日 ほ
肥大性︑急激な気温上昇下での形状安定
覆資材の普及によって︑春の早出しと秋
の主力品種として指定するに至りました︒
れています︒
の後半にはベタがけ栽培が行われるよう
日
3 月上旬の出だしは﹁ウィザード﹂で
日 早 春 ま き か ら4 月
になり︑栽培期間の拡大も工夫されてい
スタートし︑
ま で の1 カ 月 は ﹁ ス タ ー レ イ ﹂ に 切 り 換
ます︒奥中山の高原レタスの特徴として
は︑7 〜8 月の高温期に冷涼な気候を生
えます︒﹁スターレイ﹂は根腐病︑菌核
10
かした高品質なレタスを生産することに
10
副主幹
奥中
中山エリア
山エリア
岩手県
30
︶で生産
←
月下旬で
も雹が降る
こともある
奥中山。
ha
ター利用により︑3 月上旬から7 月中旬
者
80 ha
から標高の高い地域へと連続栽培が行わ
25
良明
レタス栽培の概要
いわて奥中山農協は、2008年 月 日、岩手北
部地区(新いわて・いわてくじ・北いわて・いわ
て奥中山・みやこ)の JAが合併し、 名称を「新
いわて農業協同組合(愛称・JA新いわて)」と
して、新たなスタートを切りました。
奥中山エリアは、岩手県北部にある一戸町の最
南部に位置し、標高1 018mの奥羽山系西岳の山麓
に広がる高冷地です。耕地は標高
〜
m地
点に分布し、年平均気温は . ℃、夏の最も暑い
月下旬〜 月中旬でも、30℃を超える真夏日の
少ない地域です。立地条件に適合した地域の農業
は「いわて奥中山高原ブランド」で統一した総合
産地化を基本目標に、酪農、畜産と高冷地野菜を
加えた地域複合経営地帯となっています。
レタスの栽培は昭和39年ごろから始まり、昭和
46年には夏秋レタスの産地指定を受け、昭和54年
には東北地方初の真空予冷施設が設置されたこと
を契機に、レタス産地として一気に弾みがつき、
産地拡大が図られてきました。
JA新いわて奥中山営農経済センター米穀園芸課
地域概況
「ウィザード」
「スターレイ」
・
盛岡市
盛岡
秋田県
岩手県奥中山高原
東北の軽井沢、北上川源流の春レタス
31
2009. タキイ最前線 春号
平成21年度 奥中山高原レタス品種配置計画
JA新いわて奥中山・二戸農業改良普及センター
←レタスシーズンは﹁ウィザー
ド﹂でスタート︒坂本ミワさ
んもこの後は﹁スターレイ﹂
につないで行く︒
作付けの半分をベタが
け被覆または128穴200
穴トレイを半々での播
種としてください。
黒
スターレイ
ステディ
月25日
黒
スターレイ
ゴジラ/
ステディ
月30日
黒
スターレイ
ゴジラ
月 日
黒
スターレイ
ゴジラ
月10日
黒
スターレイ
ゴジラ
年 か ら 標 高8 0 0 m の 牧 草 地 を 転
の労力で事足ります︒色は鮮やかな濃緑
当地の生産者は面積を増やす意欲的な若
換したレタス栽培試験を行っています︒
平成
に仕上がり︑尻部とのコントラストも抜
い生産者もいますので︑産地の維持・発
病︑灰色かび病などの病気に強く︑予防
群です︒他品種と同じ圃場にあって﹁ス
展のためそれら生産者面積増にも協力で
今後の課題としては︑高冷地奥中山と
ターレイ﹂の畝は︑その濃さから一目で
うに︑気温上昇下でも安定しており︑ス
いえども温暖化の影響は避けられないこ
きればと思います︒
パイラル球︵タケノコ球︶の発生も心配
と は 先 述 し ま し た が ︑ 特 に8 月 ど り レ タ
約1・6倍︑﹁スターレイ﹂が約8 ・5
実績で﹁ウィザード﹂が﹁ステディ﹂の
珍しくなくなり︑非常に作りづらい状況
スは夜温が
倍の割合になっています︒
生産者全員が
エコファーマーを目指す
℃を下回らなくなることも
ありません︒指定品種として平成 年度
それと分かるほどです︒形状も先述のよ
19
になってきました︒こういう中で︑試作
の ﹁0 2 㿌 4 0 5 A ﹂ が ﹁ ス タ ー レ イ ﹂
の 後 ︑ 4 月 中 旬 〜7 月 末 最 終 ま で を カ バ
なった︒食の安全・安心が高く求められ
果︑昨年は前年を上回る数量︑販売額と
則専門部長は﹁生産者が一丸となった結
会レタス専門部全体集会の中で︑中崎正
担いながら︑これからも品種や栽培面で
安心・安全なレタスの安定供給の責任を
りました︒野菜供給基地として高品質で
昨 年 の 合 併 で 全 国4 位 の 大 型 農 協 に な
よい結果が出ており︑期待しています︒
ーできる品種として試験を重ねています︒
る中︑トレーサビリティー︑ポジティブ
の向上を目指していきます︒
してがんばろう﹂と挨拶されました︒そ
して︑専門部全体のエコファーマー取得
を目指すことを出席者全員で誓いました︒
現在レタス生産者の7 割がエコファーマ
ー認定を受け︑その意識は高まっていま
す︒栽培では土づくりを基本として︑地
場の有機質︑有機質肥料を投入し︑連作
障害対策︑夏季高温対策を進めています︒
→
﹁スターレイ﹂は春レタス前半をまかなう主力品種
として評価する筆者︒
リスト制度を守り︑品質の個人差をなく
20 0 8 年4 月 に 開 催 し た 野 菜 生 産 部
20
←﹁スターレイ﹂を栽培
する中崎スミさんは︑
部会長のお母さん︒
月20日
20
さらに︑近年の夏場の高温対策として︑
32 2009. タキイ最前線 春号
サクセス/
/15〜 /25
02‐405Aを試作
ラプトル
白黒
マイヤー
ダブル
ベタがけ 被覆
黒
月15日
↑
「ウィザード」の出来を確認す
る筆者。天候に左右されやす
いレタスの本格シーズンがス
タートする。08年の生育は全
般に後れ気味。
月30日
↑生育中の「スターレイ」は病気にも強
く、形状が安定し、奥中山に欠かせな
い品種となった。
ステディ
↑生育中の「スターレイ」(右
列)は他品種(左列)と比べ
ても濃緑。
ベタがけ 被覆
スターレイ
ウィザード/
ステディ
透明・
スターレイ
緑
月10日
基幹品種
播種時期 マルチ