(様式) 文部科学省 共同利用・共同研究拠点 立命館大学アート・リサーチセンター 日本文化資源デジタル・アーカイブ研究拠点 2014 年度 共同研究成果報告書 2015 年 4 月 30 日 提出 1. 研究課題名 海外日本美術品・工芸品のデジタル・アーカイブとコレクション研究 (英文標記:Digital Archiving the Japanese arts and research the Japanese art collection in Europe and U.S.A.) 2. 研究代表者 氏名(ふりがな) 所属機関・職名 John Carpenter(ジョン・カーペンター) メトロポリタン美術館・学芸員 3. 研究分担者 (合計: 4 名) ※アート・リサーチセンター所属者は、「ARC 所属教員欄」に○印を付してください 氏名(ふりがな) Bincsik Monika Janice Katz Alice Kraemerová 所属機関・職名 メトロポリタン美術館 日本部門学芸員 シカゴ美術館・アソシエート学芸員 ナープルステク博物館 日本・韓国担当学芸員 Markéta Hánová プラハ国立美術館・アジア部・主任学芸員 Hans Thomsen チューリッヒ大学東洋美術部・教授 小山騰(こやまのぼる) Andrew Gerstle Ellis Tinios Timothy Clark 松葉涼子(まつばりょうこ) Rosina Buckland Clare Pollard Annegret Bergmann ケンブリッジ大学図書館日本部門司書 ロンドン大学 SOAS・教授 リーズ大学・名誉講師 大英博物館・日本担当主任学芸員 大英博物館・アジア部・研究員 スコットランド国立博物館・東アジア担当上級学芸員 オックスフォード大学・アッシュモーリアン博物館・学芸員 ベルリン自由大学美術史学部・准教授 Cora Würmell ドレスデン州立磁器美術館・学芸員 Matthi Forrer ライデン民族学博物館・主任学芸員 Ewa Machotoka ライデン大学・地域研究研究所 Donatella Filla キォッソーネ東洋美術館・館長 Bonaventura Ruperti Silvia Vesco Sonia Favi 前崎信也(まえざきしんや) ヴェネチア大学・日本学科・教授 ヴェネチア大学・アジア・北アフリカ学科・教授 ヴェネチア大学・日本学科・助手 京都女子大学・准教授 (様式) 赤間 亮(あかまりょう) 鈴木桂子(すずきけいこ) 金子貴昭(かねこたかあき) 立命館大学・文学部・教授 立命館大学・衣笠総合研究機構・教授 立命館大学・衣笠総合研究機構・准教授 加茂瑞穂(かもみずほ) 立命館大学・衣笠総合研究機構・専門研究員 川内有子(かわうちゆうこ) 立命館大学・文学研究科・博士後期課程 D1 常木佳奈(つねきかな) 立命館大学・文学研究科・博士前期課程 M2 4. 研究課題の概要(300 字程度) (申請書から変更がある場合は、変更点が分かるように明記してください) 欧米各国に散在する日本美術・工芸品をアート・リサーチセンターのデジタル・アーカイブ技術を活用して、 デジタル化し、各所蔵機関が共同で利用できる大規模なデータベースを構築する。このデータベースを共同利 用しながら、とくに、関連するドキュメント、古典籍をもデジタル化することにより、海外に輸出された美術・工芸品 がどのように理解されてきたか、コレクションそのものの総体がどのような性格を持つのか、それらが日本文化理 解をどのように深めて来たかを考察する。データベース化により、分野の異なる美術品・工芸品を結びつけ、ま た、未整理・新収の文化資源についても、継続的にデジタル・アーカイブすることに務める。可能な限り一般公 開に結びつけ、この分野の研究環境の高度化を実現する。 5. 研究成果の概要 (この項は、本センターのホームページ・紀要等で公開することがあります) 今年度は、分担研究者が所属する研究組織や関係する組織が所蔵する日本美術・工芸品のデジタル・アーカイ ブを実施した。 1, NY メトロポリタン美術館収蔵品 バーシ・バウコレクション(絵本)の約 240 点のデジタル化と WEB 公開。従来から の収蔵品(古典籍)のデジタル化も継続中。 2,カリフォルニア大学バークレー校東アジア図書館 旧三井コレクションの内、まったく未整理未登録となっている、 銅版画作品のデジタル化と整理。 3,大英博物館日本古典籍のデジタル化 大英博物館所蔵の日本古典籍全 3000 タイトルのデジタル化を完了。専 門研究員の派遣、大英博物館の一般公開コレクション DB から閲覧が可能。絵巻・掛幅 2000 点のデジタル化につい て、立命館院生のインターンシップ型派遣により、継続。大英博物館の展示計画に合せて、根付等の小物立体物の デジタル技術調査(3D 計測、CT スキャンなど) 4,ケンブリッジ大学図書館 Aston, Satow and von Siebold Collections のデジタル化継続と改修プロジェクトの開始。 5,ライデン民族学博物館の古典籍デジタル化 6,「日本の版画」美術館(個人美術館・アムステルダム )の冊子資料デジタル化 7,スイス・チューリッヒ大学との共同研究 ジュネーブ市立歴史美術博物館版画部での展覧会開催、リートベルグ博 物館の古典籍のデジタル化に向けた、予備調査実施。 8,ヴェネチア大学との共同研究 ヴェネチア東洋美術館にて「広重展」開催。ローマ・サレジオ大学図書館マレガ文 庫のデジタル化と一般公開。 6-1. 研究成果の詳細 (申請書に記載した内容に照らし合わせ、達成状況も含めて具体的に記述してください) (様式) 今年度は、分担研究者が所属する研究組織や関係する組織が所蔵する日本美術・工芸品のデジタル・アーカイ ブを実施し、できる限り、WEB データベースから一般公開へ結びつけ、研究基盤を充実させることに集中した。 1,NY メトロポリタン美術館収蔵品 新収品であるバーシ・バウコレクション(絵本)の約 240 点のデジタル化を実施し、完了の上、WEB 公開まで行っ た。本コレクションは、世界の古典籍・美術書の収集家であったバーシ・バウコレクションの内、日本書籍約 240 点を 2013 年にメトロポリタン美術館が購収したもので、迅速なデジタル化と公開を実現した。また、予定期間中にデジタル 化を完了したため、従来からの収蔵品(古典籍)のデジタル化を継続中である。 2,カリフォルニア大学バークレー校東アジア図書館 2014 年度から、旧三井コレクションの内、まったく未整理未登録となっている、銅版画作品のデジタル化と整理を すすめることになった。3 月でほぼ、98%の撮影が完了し、約 4000 枚画像の DB 化に取組むことになった。銅版画は、 ほぼ幕末から明治にかけての作品であり、これだけの数がまとまって所蔵されている組織も少ないと思われ、貴重な プロジェクトとなる。 3,大英博物館日本古典籍のデジタル化完成 2014 年度をもって、 大英博物館所蔵の日本古典籍全 3000 タイトルのデジタル化が完了した。専門研究員の派 遣、ARC 国際モデルを併用したもので、すでに大英博物館のコレクション DB から閲覧ができるものもある。 http://www.britishmuseum.org/research/collection_online/search.aspx?searchText=Japanese+book&images=true ARC 古典籍 DB からは、まだ一部しか閲覧ができないので、至急に搭載したい。 また、絵巻・掛幅 2000 点のデジタル化について、立命館院生のインターンシップ型派遣により、継続している。ま た、大英博物館の展示計画に合せて、根付等の小物立体物のデジタル技術調査を行った。3D 計測、CT スキャンな どの手法が考えられることがわかった。 4,ケンブリッジ大学図書館 Aston, Satow and von Siebold Collections のデジタル化 世界有数の日本古典籍コレクションのデジタル化を実施した。総数約 8000 冊程度を所蔵する。1970 年代に合綴・ 洋装仕立に改装されてしまっており、デジタル撮影が困難であるため、改修プロジェクトを開始し、2015 年度からの資 金確保のため 2014 年度は、修復方法の方策調査、補助金申請活動などを行った。撮影可能な資料については、継 続的にデジタル化を実施した。 5,ライデン民族学博物館の古典籍デジタル化 シーボルト、ブロンホップらの日本滞在時のコレクションだけでなく、民族博物館として日本に関する総合的な書籍 コレクション(建築・医学・政治・工芸・美術・風俗などにまたがる)全 1700 タイトルの、ARC 国際モデル(海外若手研究 者によるデジタル化)を使ったデジタル化をスタートした。 6,「日本の版画」美術館(個人美術館・アムステルダム )の冊子資料デジタル化 明治大正昭和にわたる日本の版画・美術書、たとえば、竹下夢二の版画入詩歌集、大正期のグラフ誌「婦人グラ フ」の全揃い、などのデジタル化を行った。これにより、これまで、江戸期・明治初期に限定していたデジタル化の自 体的な範囲を拡げることとなった。 7,スイス・チューリッヒ大学との共同研究 A) ジュネーブ市立歴史美術博物館版画部での展覧会開催。“Le geste suspendu; ESTAMPES KABUKI DU CABINET D‘ARTS GRAPHIQUES”2014.10~12。英語・フランス語によるバイリンガル図録を発行。ARC 浮 世絵 DB による、カタログ、ならびに展示キャプションの共同執筆を実現。 B) リートベルグ博物館の古典籍のデジタル化に向けた、予備調査を実施。2015 年夏の実施決定。 8, ヴェネチア大学との共同研究 A) ヴェネチア東洋美術館 デジタル化された画像をもとに、「広重展」 2014 年 9 月~1 月(好評のため延長して 3 月まで)を開催。データ執筆 に、DB を活用した。また、デジタルデータを使った電子展示も会場で行った。 B) ジェノヴァ・キョッソーネ東洋美術館 電子展示システムを使ったデジタルデータの電子展示の可能性を相談中した。 C) ローマ・サレジオ大学図書館マレガ文庫のデジタル化と一般公開 神父の日本滞在中に蒐集した日本古典籍と文書類であり、2013 年度までに文書類を除いて ARC 方式によりデ ジタル化 約 800 タイトル 139,000 画像。絵画・版画類についても、2000 点を超える。ARC 古典籍 DB、浮世絵 DB にそれぞれ搭載し、かつマレガ文庫固有のエントランスを設置することで、図書館 HP からリンクし、一般公開を実 現した。http://www.arc.ritsumei.ac.jp/database/marega/(http://www.biblioteca.unisal.it/index.php/patrimonio) この方式は、海外デジタル・アーカイブの典型的公開方法の事例として今後も活用される。たとえば、一般公開 画像と研究者用画像の区別、クレジット表記、所蔵機関 HP からのリンク・利用の手引ページの作成(3ヶ国語)な どである。 (様式) 6-2. データーベース、共有すべきデータ・アーカイブの構築状況 ・ARC 古典籍 DB に順次掲載、公開・非公開のセキュリティ管理システムを使い、公開所蔵機関を増やしてい る。また、古典籍 DB のオンライン編集機能を強化、書籍の画像登録システムも新しく開発。 ・関連 DB(板木・工芸品)の PHP 化を実施し、2015 年度からプロキシエラー問題を回避した DB として運用でき る。 ・古典籍ユーザーメモ機能を使い、DB にキーワードを追加している。 7. 研究成果の発信状況 ※データベースのアクセス数なども具体的に記入してください ・ARC が運用する DB だけでなく、所蔵機関の WEB サイトからの公開を実施している。 例:大英博物館、V&A、ニューヨークメトロポリタン美術館 ・ARC の DB に所蔵機関別のエントランスをもうけ、各所蔵機関の DB として利用し、公開している。 例:マレガ文庫、 カリフォルニア大学バークレー校東アジア図書館双六コレクションなど、 ※このタイプの公開を促進し、本プロジェクトのデジタルコンテンツをできる限り一般公開に結びつける。 8. 研究業績 (1) 著書 Le geste suspendu; ESTAMPES KABUKI DU CABINET D'ARTS GRAPHIQUES(Les differents types d'images d'acteure (Various Types of Actor Prints)),共著, Musees d'art et d'histoire de geneve, 2014/10, Ellis Tinios, Hans Bjarne Thomsen, Ryo Akama ・文化情報学ガイドブック : 情報メディア技術から「人」を探る : デジタル・ヒューマニティーズ, 共著, 2014/11, 勉誠 出版, 赤間亮、他 ・・Fantasía en escena: kunisada y la escuela utagawa (Yakusha-e: las estampas deactores en el contexto visual del ukiyo-e), 単著(分担執筆), Madrid y Murcia, 31-44, 2014/5,赤間 亮 (2)論文 ・役者絵本と役者似顔春本 : 初代豊国画『会本恋の楽室』を中心に, 単著、2015/03、アート・リサーチ, 15, 松 葉涼子, 156-126, 査読有 (3)研究発表等 ・Floats (Float Decorations) and Pictorial Themes(山車と画題), 2015/1/26, Degrees of Narrativity in the Japanese Visual Tradition, ハワイ・パシフィック大学(共催:立命館大学アート・リサーチセンター) Japan Research Group (JRG), 赤間亮(単独), 査読無 ・(講演)Kabuki Theater and Yakusha‐e in the Woodblock Prints, University of Zurich, Room RAK, 2014/11/14, 赤間 亮 (7)科学研究費助成事業
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