Sharp HealthCare

Sharp HealthCare:
コンテンツマネジメントを企業戦略に有効利用
S
harp HealthCare(以下、Sharp)
は、医療業界において早くからIT技術を医療に取り入れた組
織として定評があり、Hospitals & Health Networks誌が行う医療システムの調査において
11年間連続し
「最もIT化が進んだ医療機関」に選ばれています。米国カリフォルニア州サンディ
エゴ市を本拠地とする非営利の統合医療供給システムとして、長年にわたり技術革新を実践して
きました。
従業員数14,000名以上、提携医2,600名(2012年)
を誇るSharpは、1970年代早期に研究室
システムを展開させ、1985年には電子医療ドキュメントマネジメントシステムを導入しました。以来、数々
のソフトウェア企業と連携して医療向けのITシステムを組織全体で展開してきました。
ITシステム部長のCathy Fuhrman氏によると、現在、Sharpが集中して取り組んでいる重要課題
は、
ERP
(電子医療記録システム)
を4か所の救急病院、3か所の専門病院、2か所の提携医療グループで展
開し、
ERPの有意義な活用を強化することです。Sharpは目標達成の一環として、特定部門の課題を解決す
るためハイランドソフトウェアが開発したOnBaseエンタープライズコンテンツマネジメント
(ECM)
ソリュ
ーションを2003年に導入しました。Sharpは、2006年にCerner Millennium EMRシステムをグループ
の病院に導入した後まもなく、EMRを利用する医師がOnBaseによって完全な患者記録を入手することが
可能になるなど、
OnBaseがあらゆる部門に価値をもたらすものであると認識するに至りました。
請求書処理における紙文書を排除
「この新しいプロセスによっ
てかつて事務所の至る所を
移動していた膨大な紙書類
を排除できました」。
Cathy Fuhrman
Sharp HealthCare
情報システムマネージャー
Sharpは、当初OnBaseを毎月およそ10万枚におよぶ紙の請求書の管理と保管を排除する目的で導入し
ました。その結果、
これまで終日勤務の3交代制で業務を行っていたところを1交代制に縮小しただけでな
く、文書の保管に使用していたスペースを従業員の教育用に使用できるようになりました。OnBaseが本
格的に稼働した6ヶ月後には、導入した部門で月に推定7万ドルが節約されました。2003年に発生した山
火事では、被害がデータ保管施設の近辺まで達したため、ECMソリューションを活用した患者情報保護の
必要性が表面化しました。
これを契機に、翌年の2004年にSharpではデータ保護を重要な要素とする災
害復旧計画の作成に着手しました。
「OnBaseの価値を改めて実感する一件でした。」
とFuhman氏が述べ
ます。
Sharpの請求書処理部門では、紙書類や電子データ交換(Electronic Data Interchange)による請求書
を合わせて合計45万件の請求書を毎月処理しています。請求書処理ではさらにお客様サービスや診療の
妥当性を判断するための診療内容審査も関わってくるため、一連の業務はより複雑なものとなっています。
Sharpは、2012年の春にまず管理医療部門でペーパレス化を実現する電子ワークフローの導入を開始し
ました。紙書類または電子データ交換といった形式に関わらず、請求書は一旦システムに登録されると、
イ
メージに変換されます。請求書や関連書類を診療内容審査の目的で閲覧する必要がある場合、請求書の
処理担当者が診療内容審査専用のワークフローに必要な書類を電子的に移動させます。
「この新しいプロ
セスによって事務所の至る所を移動していた膨大な紙書類を排除できました。」とFuhrman氏が説明しま
す。
EMRとECMによる完全な患者情報の表示
Sharpグループの主要病院であるSharp Memorialでは、2008年にベンダーによるサポートが終了し
たことを契機に老朽化したスキャンニングソリューションの使用を停止し、OnBaseへのイメージの取り
込みを開始しました。SharpがCerner Millennium EMRシステムを5年間で全組織に運用展開する計
画を開始した際、
Sharp Memorial病院の医療情報管理部門では、
イメージや紙書類などの非構造化デ
ータをOnBaseに取り込む作業をEMRシステムの導入に先行させて早急に行う必要があると判断しまし
た。
OnBaseを先に展開することで、非構造化データを直接EMRにリンクさせることができ、EMRの本番
移行後、医師はすべての患者情報にアクセスすることが可能になります。
「Sharp
Memorialの医療情報管理部門では、OnBaseを熱心に支持するようになりまし
た」
とFuhrman氏が語ります。医療情報管理部門からの支持を得たことは、EMR
導入を控えたSharpグループ内の他の病院に事前にECMソリューションを展開
する上での推進力となりました。
Sharp Memorial Hospital
非構造化データをEMRシステムに連携させることは、思わぬ問題の解決にも効果を発揮しました。Sharp
Memorialは旧施設に隣接して新施設を建設した際、病室の面積を拡大し、旧施設では相部屋であった
間取りを新施設では個室に変更しました。
また、廊下の幅を狭くして旧施設と同数の病室を維持しました。
その結果、地域の消防署から廊下にナースステーションやカルテ保管室を配置することは消防法違反で
あるとの通達を受けました。
こうした状況を踏まえて、Sharpは新施設では、紙書類を使用した業務を排除
し、EMRシステムとOnBaseを導入して業務を行うという決断を下しました。以来、医師や看護師は、従来
のように分厚いカルテを持ち歩く必要が無くなり、稀にカルテの持ち歩きが必要になったとしても、数日分
の薄いカルテで済むようになりました。
とFuhrman氏が説明します。
カルテの情報が必要な場合、医師は
EMRシステムからOnBaseに格納されているカルテを閲覧することができます。
2
EMRシステムとECMソリューションの組み合わせは、別の分野でもその価値を発揮しました。Cerner
Millennium医療アプリケーションが導入される前、Sharpでは医師が発行した投薬指示を病院内の
薬局に送る際、
スタッフが病院内を回って医師から手作業で指示書を回収していました。
またCerner
MillenniumとOnBaseが統合されるまで、看護師がFAX/OnBase統合モジュールを使い、投薬指示
を病院内の薬局へファックスしていました。
「Sharp Memorialの医療情報管理部門と同様に、病院内の
薬局でもOnBaseが大きく支持された結果、OnBaseへの評価が広がり、間もなく他の部門においても
OnBaseへのアクセスを要望するようになりました。」
とFuhrman氏が説明します。
その後、事前麻酔評価
や、
手術およびX線撮影のスケジュール管理はOnBaseによって行われるようになりました。今後の計画と
しては、
投薬指示をCerner MillenniumによってOnBaseに送り、
ワークフローが開始されるように設定
する予定です。
患者のスケジュール管理や患者登録における非構造化データのキャプチャ
Sharpでは、試験的なACO
における中心的なITシステ
ムとしてECMソリューション
に注目しました。
病院におけるペーパーレス化が強力に推進される一方で、特に患者登録やスケジュール管理の分野にお
いては、今後も紙書類の使用を完全に排除することは難しいのが実情です。
「特に規模の小さい診療所な
どでは、
どこにでも必ず紙文書が使用され、
ファックス機が無くなることは考えられません。」とFuhrman
氏が指摘します。手術やX線撮影の日程を管理する上で、診療所は必ず病院に患
者情報をファックスし、病院が患者に電話して予約を入れることができるように
する必要があります。Sharpグループ内で、過去にこういったファックスを適切に
管理できない病院があった結果、患者サービスの質が低下し、大手医療グループ
からの照会を逃してしまうということがありました。
「このような状況を改善する
ためにOnBaseファックスサーバー統合モジュールを導入した後は、医療グルー
プからの照会を取り戻したことに加え、全体の患者数が15%増加しました。」と
Fuhrman氏が述べています。
Sharp Mary Birch Hospital for Women and Newborns(以下、Sharp
Mary Birch)
は、ECMソリューションから次のような価値を得ることができまし
た。
Sharp Mary Birchでは年間およそ2万人の新生児が生まれ、Fuhrman氏によると、米国で2番目に
多忙な婦人科および小児科病院であると言われています。ハイリスクの妊婦を抱える産婦人科医は、患者
の医療記録を変更すると直ちにファックス経由で病院に通知するため、真夜中に患者が来院した場合でも、
病院側は最新の情報に基づいて適切に対応することが可能となります。ただし、Sharp Mary Birchでは、
これらのファックス情報を管理・追跡することが困難な状況にあったため、Sharpは OnBase統合を検討
しパイロットシステムの実行を開始しました。
その結果、
ファックスを受信
した後OnBaseに取り込まれた医療記録は、患者が病院を訪れた時点で
ほぼ100%が利用可能な状態となり、医療に当たる医師の満足度も向上
しました。
Sharp Mary Birch Hospital
Sharpは、OnBaseの開発元であるハイランドソフトウェアと提携し、既
存の患者登録システムをカスタマイズした結果、現在では患者が診察に
訪れると、受付担当者が運転免許書および保険証をスキャンし、患者はイ
ンタラクティブなタブレットに英語またはスペイン語で表示される受診条
件を確認の上、
タブレット上で署名することが可能になりました。受付担当者が登録関連書類を印刷するの
は、
患者から要望がある場合のみで、
それ以外は、完全にペーパーレスで登録業務を行うことができます。
Sharp Memorialは、
また、
コンシェルジェサービスも提供し、手術を予定している患者が訪れると、受付を
通過し直接病室に入れるようにしています。開始以来1年以上が経つこの登録手続きは、入院手続き担当
者が病室にモバイル機器を積んだカートを持ち込んで患者の情報をOnBaseに取り込むというペーパー
レスなシステムです。
ECMソリューションを利用し、ACOの医療管理を実現
ヘルスケア業界は発展を続ける過程で、
より質の高い医療を提供しながら、医療にIT技術を取り込むこと
で費用効率を高めるべく変化しています。Sharpでは、Accountable Care Organization(医療説明責
任強化機構、
以下ACO)
を設置するにあたり、中心的なITシステムとしてECMソリューションに注目しまし
た。
ACOは、
医療システムにおける医療の質と効率の向上を目指す、
コスト面および医療サービス提供面
の改善モデルとして考案された医療機関ネットワークです。ACOでは、
ネットワークに参加する一連の医療
機関が、
担当する患者グループに対して提供した医療サービスにおける品質面の指標や実現したコスト削
減額によって、
保険会社から医療機関への還付金額が決定されます。先駆的な医療保険会社と医療機関が
試験的なACOを結成する一方で、2010年に施行されたPatient Protection and Affordability Care
Act
(患者保護および医療負担適正化法、以下PPACA)の後押しもあり、ACOは国内の注目を浴びること
になりました。
PPACAによってACOは高齢者向け公的医療保険システムであるメディケア市場に参入する
事が認可され、
着実な事業拡大機会を得ることができました。
3
サンディエゴ市地域において試験的に展開された大規模なACOネットワークには、Sharp Community
Medical Group、
Sharp Rees-Stealy Medical Centers、
ならびに、Anthem Blue Cross of
California PPOグループに属する一部の医療機関が参加しています。
これらの医療提供者が掲げる目標
は、
予防医療と慢性医療に重点を置き、患者により良い連携医療を提供することです。現在これらの参加医
療機関では、
Anthem Blue Cross of California PPOグループを利用する患者の照会の承認手順も含
む、
医療管理プロセスの特定に取り組んでいます。
「OnBaseワークフローの導入後は、治療例、疫病、診療
内容審査に関する情報や検査画像などをSharp側とAnthem側が簡単に交換出来る事が重要です。」
と
Fuhrman氏が説明します。OnBaseは、Sharpが取り込んだ画像をeビジネスアプリケーションを介して
ACOの参加医療機関のカルテで使用することを可能にします。
ACOを成功させるために
は、医療管理が重要な要素
であり、ECMはこの情報交
換を実現する上で、
医療にお
けるIT要素としての役目を
果たします。
「ACOの関係者に医療情報および管理情報へのアクセスを提供することは、患者に対する対応を適切か
つ効率良く行う上で非常に重要であり、過剰な検査や治療を行う可能性を排除します。」とFuhrman氏が
述べています。ACOに参加する病院は医療におけるリスクを共有し、合意済みの共同資金を使って患者の
管理を行っています。
「ある患者が慢性病を患っていることを認識していなかったり、その患者のすべての
検査画像が揃っていなかったりすると、我々の医療および財務上の目標を達成することができません。」と
Fuhrman氏が説明します。
「患者の管理を適切に行えるようになれば、適切な医療機関に患者を送ること
ができます」。
ACOを成功させるためには、医療管理が重要な要素であり、ECMはこの情報交換を実現する上で、医療に
おけるIT要素としての役目を果たします。
エンタープライズ規模とそれをさらに超えたECMの価値
SharpではECMソリューションの使用を複数の医療プロセスに拡大するとともに、組織内の数々の部門に
おいてもその価値を発揮しました。米国の1万9千以上に及ぶ医療機関やプログラムを評価・認定する
独立した非営利機関である医療機関認定合同委員会(The Joint Commission on Accreditation of
Healthcare Organization)では、医療機関の人事部門が職員関連の資料ファイルを施設内で管理する
ことを要件としています。複数の施設を抱え、各施設ごとに人事部長が配属されている大規模な総合医療
システムにおいてそのような要件の順守は容易ではなく、対策として各施設の人事部長が週に1回の会合
を開き、
実際にファイルを交換することで対処している状態でした。OnBase導入後は、職員関連のドキュメ
ントがOnBaseに取り込まれ、人事部長はマウスをクリックするだけで電子的にファイルにアクセスできる
ようになりました。
Sharpの財務部門においてもすべての紙書類をOnBaseに電子的に取り込むようにな
りました。
さらに、
経理部門では請求書をスキャンし、情報をSharpの業務アプリケーションと紐付けするこ
とによって、
権限を持つユーザーであれば、請求書を表示し支払いの承認を行うことが可能になりました。
Sharpでは、
OnBaseの機能を総合医療システムにおける在宅医療やホスピス施設とホスピスサービスに
拡大するための準備を進めています。ECMソリューションをAllscripts HomecareのAllDocsソフトウェ
アのAllDocsソフトウェと統合させることで、在宅医療の医療情報管理部門は紙書類やその他の非構造化
データをスキャンできるようになります。
また、Allscriptで患者記録をタブレットに同期させることで、看護
師はネットワークに接続して訪問する患者の記録をタブレット上で閲覧することができます。将来的には、患
者の創傷ケアなどに利用する検査画像をOnBaseにアップロードし、夜間に同期して翌日にはタブレット上
で画像を閲覧できるようにすることを計画しています。
2007年にマルコム・ボルドリッジ国家品質賞(Malcolm Baldrige National Quality Award)
および
カリフォルニア経営品質協議会によるカリフォルニア経営品質表彰プログラム
(California Council for
Excellence for the California Award for Performance Excellence program)
において金賞を
受賞したSharpでは、引き続きECMソリューションに大きな価値を見出しており、
その事を裏付けるよう
に、
様々な部門がOnBaseの導入を要望しています。
その殆どが非構造化データであるSharpのドキュメン
トは、
現在組織全体でおよそ200万点がOnBaseに格納されており、今後さらに多くの部門がOnBaseを
導入するに従い、
その数は急激に増加することが見込まれます。OnBaseを初めて導入した当初、Sharpで
はエンタープライズ規模のIT戦略は検討していない状態でしたが、結果的に、OnBaseのECMソリューショ
ンは真のエンタープライズ規模の中核テクノロジーとなりました。
「OnBaseでは、導入規模を有機的に拡
大することができました。」
とFuhrman氏は振り返ります。
ハイランドソフトウェアのOnBaseソリューションについて
ハイランドソフトウェアは数々の賞に輝いたドキュメントマネジメントおよびコンテンツマネジメントである
OnBaseソリューションの開発元で、エンタープライズコンテンツマネジメント市場における世界有数の独立
系ソフトウェアベンダーの1つです。OnBaseは多大な時間とコストがかかり、
ミスを起こしやすい手作業によ
る業務課題を解決するという点で高い評価を受けています。2012年現在、OnBaseは、61カ国に1万社を超
える大小様々な企業で貢献しています。
オンプレミス型またはソフトウェア・アズ・サービス
(SaaS)のいずれで
も提供可能なOnBaseは、迅速で費用効率の高い方法で展開でき、企業の成長に合わせて拡大できるように
設計されています。
詳細は、www.Hyland.com/Healthcareをご覧ください。
MedTech Media Custom Group© 2011
1 Pineland Drive, Suite 203 • New Gloucester, ME 04260 • 207.688.6270 • www.medtechmedia.com
4