用語解説

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用 語 解 説
1.男女共同参画社会基本法
男女共同参画社会の形成についての基本理念を明らかにするとともに、その方向性を
示し、国・地方公共団体、国民が男女共同参画社会の形成に関する取り組みを総合的か
つ計画的に推進するために制定されました。平成 11 年(1999 年)6 月 23 日施行。
2.世界行動計画
昭和 50 年(1975 年)の国際婦人年メキシコ会議で採択。男女平等の達成のためには
「男女の伝統的な役割を変える必要性を認識しなければならない」と性別による役割分
業の変革を打ち出しました。そのため各国政府に対して、国内的、国際的な政策、活動
を展開することを奨励しました。
3.女子差別撤廃条約
正式には「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」。昭和 54 年(1979
年)に国連で採択され、日本は男女雇用機会均等法など国内法の整備をした後、昭和
60 年(1985 年)に批准しました。
母性の重要性と出産という役割が差別の根拠となるべきではなく、子の養育には男女
及び社会全体が共に責任を負うことや、社会における男女の伝統的役割を変更すること
が男女の完全な平等の達成に必要であるとし、条約締約国の法律や規則、制度といった
ものばかりではなく、慣習や慣行も差別撤廃の対象となります。
4.ナイロビ将来戦略
国連婦人の 10 年の最終年にあたる昭和 60 年(1985 年)、これまでの活動の評価・
見直しと今後に向けての行動計画を目的とした世界会議をナイロビで開催し、ナイロビ
将来戦略(正式には、「西暦 2000 年に向けての女性の地位向上のためのナイロビ将来
戦略」)をまとめました。
その内容は、あらゆる角度から女性問題を分析し、女性の地位向上のための障害を克
服する国内措置を詳しく示唆するものとなっています。
5.行動綱領
平成 7 年(1995 年)の北京での第 4 回世界女性会議で採択。特に優先的な行動を必
要とする<貧困・教育・健康・女性に対する暴力・武装扮装下の女性・経済・意思決定・
女性の地位向上のための機構・女性の人権・メディア・環境・少女>という 12 の重大
問題領域についての戦略目標と、各国政府や国際機関、NGOが取るべき行動などを明
記しており、各国は実施に向けて国内行動計画を策定することを義務付けられました。
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6.国内行動計画
昭和 50 年(1975 年)、メキシコ会議で採択された「世界行動計画」に基づき、日本
でも昭和 52 年(1977 年)政府が国内行動計画を策定しました。
憲法の定める男女平等の原則に基づき、女性が男性と同等に国民的権利を享受し、
「国
民生活のあらゆる領域に男女両性がともに参加、貢献することが必要」との基本的な考
え方に立って、それを可能にする社会環境の形成について課題を上げています。
7.男女雇用機会均等法
「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(昭和 61 年
4 月 1 日施行)。
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図るとともに、
女性労働者の就業に関して妊娠中及び出産後の健康の確保を図ることを目的としてい
ます。平成 19 年(2007 年)4 月の改正施行により、転勤経験を昇進の要件とすることや、
一定の身長・体重・体力を採用の要件とするなどの間接差別、また、妊娠や出産を理由
とした配置転換など、労働者にとって不利益な処遇が禁止されています。さらに、事業
主には、妊娠中や出産後の女性労働者に対して、時差出勤や勤務時間の短縮など母性健
康管理措置が義務付けられ、そうした措置が講じられない場合は企業名公表の対象とな
るなどとされています。
8.新国内行動計画
昭和 62 年(1987 年)、ナイロビ将来戦略を受けて、国内政策として婦人問題企画推
進本部が策定しました。正式には、「西暦 2000 年に向けての新国内行動計画」といい
ます。あらゆる領域に男女ともに参加、貢献できる「男女共同参加型社会の形成」を目
指しています。
9.男女共同参画 2000 年プラン
「男女共同参画社会の形成の促進に関する西暦 2000 年までの国内行動計画」の副題
がつきます。重点目標として、男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、
女性に対するあらゆる暴力の根絶、メディアにおける女性の人権尊重、生涯を通じた女
性の健康支援を新たに掲げ、ポジティブ・アクションの検討・奨励、セクシャル・ハラ
スメントの防止対策、リプロダクティブ・ヘルス/ライツなどが盛り込まれ、推進のた
めの基本法の検討など、平成 12 年(2000 年)までに取り組むべき施策がまとめられてい
ます。
10.男女共同参画基本計画
平成 12 年(2000 年)12 月に、男女共同参画社会基本法に基づく初めての計画として定
められました。
平成 8 年(1996 年)12 月に男女共同参画推進本部が決定した国内行動計画の「男女
共同参画 2000 年プラン」を基礎に作られたもので、第 1 部は基本的考え方、第 2 部で
は 11 の取り組むべき具体的施策について女性に対するあらゆる暴力の根絶のための基
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盤づくりについてなどが新しく盛り込まれ、第 3 部では総合的推進体制の整備・強化を
述べています。
11.男女共同参画基本計画(第 2 次)
男女共同参画基本計画を評価・総括し、平成 17 年(2005 年)12 月に、男女共同参画
社会基本法に基づく計画として定められました。
この計画は、総合的かつ長期的に講ずべき男女共同参画社会の形成の促進に関する施
策の大綱として、第 1 部は基本的考え方、第 2 部では「2020 年(平成 32 年)までに、社
会のあらゆる分野において、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも 30%程度
になるよう期待し、各分野における取り組みを促進する。
」など 12 の重点分野を掲げ、
それぞれについて施策の方向と具体的施策を述べています。
12.育児・介護休業制度
「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成
4 年 4 月 1 日施行)は、子の養育や家族の介護を行う男女労働者の育児休業及び介護休
業制度の導入を事業主に義務付けています。さらに、これらの労働者の、短時間勤務制
やフレックスタイム制などによる勤務時間の短縮措置を事業主に義務付けるなど、労働
者の職業生活と家庭生活との両立支援、その福祉の増進、あわせて経済及び社会の発展
に資することを目的としています。平成 17 年(2005 年)4 月の改正施行により、一定の
場合に子が 1 歳 6 カ月に達するまで育児休業できるなど育児休業制度が拡充され、
また、
小学校就学前の子を養育する労働者は、1 年に 5 日まで病気やけがをした子の看護のた
めの休暇を取得できるなどとされています。
○
育児休業制度:平成 4 年(1992 年)施行
1 歳未満の子を養育する男女労働者は、育児休業を取得することができます。保育
所に入所を希望しているが入所できないなどの一定の場合には、子が 1 歳 6 カ月に達
するまで育児休業ができます。事業主は、休業の申出を拒むことができないとともに、
育児休業の取得を理由として解雇することも禁止されています。当初、休業中は無給
だったのですが、平成 7 年(1995 年)4 月からは「育児休業給付金」が支給されるよ
うになり、平成 19 年(2007 年)10 月からは、「育児休業基本給付金」が休業前賃金
の 30%、「育児休業者職場復帰給付金」が休業前賃金の 20%支給されるようになり
ました。
○
介護休業制度:平成 11 年(1999 年)施行
男女労働者は、要介護状態にある家族(配偶者、父母及び子、配偶者の父母等)一
人につき、常時介護を必要とする状態ごとに一回の介護休業を取得することができま
す。期間は通算して 93 日までとされており、事業主は、休業の申出を拒むことがで
きないとともに、介護休業の取得を理由として解雇することも禁止されています。
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13.ファミリー・フレンドリー企業
仕事と育児・介護とが両立できるさまざまな制度を持ち、多様でかつ柔軟な働き方を
労働者が選択できるような取り組みを行う企業。具体的な取り組みとして、
①
法を上回る基準の育児・介護休業制度を規定しており、実際に利用されていること
(例:休業期間が 1 年を超える育児休業制度、休業期間が 3 カ月を超える介護休業制
度、休業期間を分割取得できる介護休業制度など)
②
仕事と家庭のバランスに配慮した柔軟な働き方ができる制度をもっており、実際に
利用されていること
(例:一日の所定労働時間を短縮する制度、フレックスタイム制、在宅勤務制度など)
③
仕事と家庭の両立を可能にするその他の制度を規定しており、実際に利用されてい
ること
(例:事業所内託児施設、育児・介護休業等を理由に退職した労働者を対象とする再
雇用制度、育児・介護サービス費用の助成措置など)
④
仕事と家庭の両立がしやすい企業文化をもっていること
(例:育児・介護休業制度等の利用がしやすい雰囲気であること、両立について経営
トップ・管理職の理解があることなど)
があります。
○
ファミリー・フレンドリー企業表彰
厚生労働省では、ファミリー・フレンドリー企業に向けた取り組みを積極的に行っ
ておりその成果が上がっている企業等を「ファミリー・フレンドリー企業」として、
その取り組みを讃え、広く国民に周知して、家族的責任を有する労働者がその能力や
経験を活かすことのできる環境の整備に資することを目的に、「ファミリー・フレン
ドリー企業表彰」を実施しています。
この表彰は平成 11 年度より行われており、毎年 10 月の「仕事と家庭を考える月間」
の開催に併せて実施されています。表彰には次の3つの種類があります。
①
厚生労働大臣優良賞
仕事と育児・介護が両立できるさまざまな制度を持ち、多様で柔軟な働き方が選択
できるような取り組みを積極的に行っており、かつ著しく成果が上がっている企業で
あって、他の模範であると認められる企業に対する表彰
②
厚生労働大臣努力賞
仕事と育児・介護が両立できるさまざまな制度を持ち、多様で柔軟な働き方が選択
できるような取り組みを積極的に行っており、今後成果が期待される企業に対する表
彰
③
都道府県労働局長賞
大臣賞に準ずる取り組みがみられる企業その他仕事と育児・介護が両立できるさま
ざまな制度を持ち、多様でかつ柔軟な働き方を労働者が選択できるような取り組みに
ついて特に努力している企業に対する表彰
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14.家族経営協定
経営の将来ビジョンや役割分担、就業条件、収益配分などについて家族の合意のもと
に取り決めを文書で行うこと。主体的に経営に参画する女性の育成のため、普及促進が
図られています。
15.高齢者虐待防止法
高齢者に対する虐待を防ぐため、また家族など養護者に対する支援を行い、それによ
り高齢者の権利擁護に資するために制定されました。虐待を受けた高齢者の迅速かつ適
切な保護など、国や市町村の体制整備と連携強化などを義務付けています。
「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」平成 18 年(2006
年)4 月 1 日施行。
16.配偶者暴力防止法
配偶者等(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)からの暴力の防止及び被害
者の保護を図るため、被害者の相談や一時保護、自立支援を行う配偶者暴力相談支援セ
ンターの設置を都道府県に義務付け、また、裁判所が発する被害者の保護命令などを規
定しています。
「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」は平成 13 年(2001 年)
10 月に施行され、その後 3 年を目処に検討が加えられ平成 16 年(2004 年)に改正されま
した。さらに、平成 20 年(2008 年)1 月には、被害者の保護命令を身体的暴力だけでな
く、生命や身体への脅迫を受けた場合でも申し立てができるなどに拡充され改正されて
います。
17.ドメスティック・バイオレンス(DV)
夫や恋人など、親しい間柄(過去にあった関係も含む)にあるパートナーから女性に
対し振るわれる暴力・虐待のこと。殴る、蹴るなどの身体的暴力のみならず、侮辱する、
脅迫する、他者とのコミュニケーションを遮断して孤立化させるなどの心理的暴力、生
活費を渡さないなどの経済的暴力、性関係を強要するなどの性的暴力などが含まれます。
DVは、これらの暴力が重複して、長期間にわたって振るわれることが多く、また、親
しい間柄であることから、暴力の被害を受けやすく、その被害を訴えにくいという実態
があります。平成 13 年(2001 年)10 月からは「配偶者からの暴力の防止及び被害者の
保護に関する法律」(DV防止法)が施行されており、また、平成 20 年(2008 年)1 月
には、被害者の保護命令を身体的暴力だけでなく、生命や身体への脅迫を受けた場合で
も申し立てができるなどに拡充され改正されています。
18.セクシャル・ハラスメント
性的いやがらせのこと。職場でのセクシャル・ハラスメントについては、「相手の意
に反した性的な性質の言動を行い、そのことへの対応によって仕事を遂行する上で一定
の不利益を与えたり、それを繰り返すことによって就業環境を著しく悪化させること」
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とされています。また、タイプとしては大きく 2 つに分類され、雇用上の力関係を利用
して性的ないやがらせや性的行為の強要をする「代償型」と、屈辱的、敵対的な言動に
よって職場環境を不快にする「環境型」タイプがあるといわれています。
19.リプロダクティブ・ヘルス/ライツ
「性と生殖に関する女性の健康/権利」と訳されます。身体的、精神的、社会的に良
好な状態にあり、安全な性生活を営み、子どもをいつ何人産むか、または産まないかな
どを、当事者である女性に幅広い自己決定権を認めようとする考え方で、妊娠、出産、
中絶に関わる女性の生命の安全や健康を重視したものです。
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