巻頭言 Japan Radiology Congress (JRC) 2013 - Creation, Innovation, and Globalization 公益社団法人日本放射線技術学会 第 69 回日本放射線技術学会総会学術大会 大会長 杜下 淳次 JRC2013 は 4月 11日(木)から 14 日(日)にパシフィコ横浜会議センター、展示ホール、アネックスホール、国立大 ホールで開催します。振り返れば 1988 年に日本医学学術集会振興協会(Japan Federation of Medical Congress Promotion,JMCP)として第1回 JMCP学術大会が開催され、その後 Japan Radiology Congress (JRC)に改称(2002年)されましたが 25年間続いています。参加学術団体の会員がお互いの講演や研究発表を聴 けることと、最新の放射線診療関連機器の展示会に入場できるなど多くの参加者の好評を得ています。最近では 参加登録数が2万人を越え、アジアで最大の放射線医学・放射線技術学・医学物理学・工業会の合同イベント に成長しています。今年の JRC では、次の四半世紀にむけて日本画像医療システム工業会、日本医学放射線学 会、日本放射線技術学会、日本医学物理学会がさらに連携を強化して新しい知識を創造し、革新的な技術の開 発と臨床への適応を進め、それらをこの JRCから今後も継続して世界へ情報を発信したい、との願いを込めて大会 の テ ー マが 決 ま りま した。 日 本 画 像 医 療 シ ス テム 工 業 会 ( JIRA)の 国 際 医 用 画 像 総 合 展 ( International Technical Exhibition of Medical Imaging, ITEM)には、すでに国際化を意識したネーミングがなされていま す。一方、学術大会の多くは日本語主体であったことも関係して、先輩たちの努力にも関わらず海外からの参加者は 増えていません。今大会では 3学会が国際化を目指すことをお互いに確認し、電子ポスターやスライドの英語化を 推奨し応援しています。また海外からの参加者が困らないように案内板の英語化、英語プログラムの充実などを図 りながら、一部の会員には英語で発表していただくことも試みます。そして、近い将来には海外から多くの関係者が、 日本で開催される国際医用画像総合展に足を運び、同時に多くの参加者が学術大会での研究成果の発表を行 って、アジアにおけるこの分野の情報収集と情報発信の中心となることを願っています。 JRC2013 の合同特別講演では、米国国立がん研究所の小林久隆先生に がんの分子イメージングは、がん細 胞特異治療へと進化する と題した内容でお話しいただきます。合同シンポジウムは「進化する画像モダリティとその 臨床応用および今後の展望」、「コンピュータ支援診断」、「医学物理におけるイノベイティブテクノロジー」の3つで、 それぞれの分野の著名な先生にご講演をお願いしています。このほかにも大会のテーマに沿った グローバル人育 成に向けて の企画があります。関係者一同、多くの方の参加を心よりお待ちしています。 このテクニカルレポートは、国際医用画像総合展で発表される新しい機器等のトピックスを含んでいることから参 加者にとって貴重な情報源となっています。今後も継続して発刊いただき、できるだけ多くの会員が事前にその内容 を知れるようになればさらに有効に使われるものと思います。最後になりましたが、貴重な執筆の機会を与えてくださ った関係各位に心から感謝申し上げます。 (九州大学医学研究院 保健学部門教授) - 1 - JIRA テクニカルレポート 2013.Vol.23 №1(通巻第44号) 目 次 巻頭言 Japan Radiology Congress (JRC) 2013 - Creation, Innovation, and Globalization 1 公益社団法人日本放射線技術学会 第 69 回日本放射線技術学会総会学術大会 大会長 杜 下 淳 次 新 製 品 ・新 技 術 1. 骨 粗 鬆 症 オートスクリーニングシステム NEOOSTEO 田坂 友宏 朝 日 レントゲン工 業 ㈱ 2. AZE VirtualPlace TM 新技術紹介 ㈱ AZE ······························· 4 ·············································· 6 阪本 剛 3. 放射線防護材「無鉛ボード Xp」を使用したエックス線防護 BOX の開発 医 建 エンジニアリング㈱ 近藤 勇太 4. 大 腸 CT 検 査 (CT Colonography)用 炭 酸 ガス自 動 送 気 装 置 エーディア㈱ ··················· 8 「プロト CO2L」 ········ 10 市川 篤 5. 21.3 インチ LED バックライト 2MP/3MP カラーモニタの開 発 NEC ディスプレイソリューションズ㈱ ··························· 12 宮本 恒雄 6. 移 動 X 線 検 査 の概 念 を変 える 『DRX-Revolution Mobile X-Ray システム』 ケアストリームヘルス㈱ 岡 知樹 ································· 14 7. 病 変 の自 動 トラッキング Lesion Management 搭 載 PACS ケアストリームヘルス㈱ 8. AeroDR1012HQ 開 発 について コニカミノルタ㈱ ························· 16 河野 亨 ··············································· 18 青柳 繁 9. ワイヤレスタイプカセッテ型 DR「AeroDR」 ∼災害・在宅医療におけるカセッテ DR の適用∼ ····· 20 コニカミノルタヘルスケア㈱ 中村 一起 10. MRI の ズーム撮 像 syngo ZOOMit の原 理 と臨 床 上 のメリットについて シーメンス・ジャパン㈱ 浦川 真樹 11. Monte Carlo 計算を用いた CT 線量計算ソフトウェア‒ ImpactMC 東 洋 メディック㈱ ································ 26 黒田 武弘 13. 双方向通信システム iMag による MRI 室内におけるリスクの最小化 スター・プロダクト㈱ ······················ 25 黒田 武弘 12. 新 しい EPID を用 いた患 者 QA-Dosimetry Check 東 洋 メディック㈱ ················ 22 ······················· 28 カメロン・ドナルド 14. JPI グリッド最 適 化 システム(Optimization System) ······························ 30 Jpi ジャパン ㈱ 良知 義晃 15. 乳 腺 総 合 画 像 診 断 環 境 XTREK MAMMO の新 機 能 -Tomosynthesis と Dynamic MAMMO MR解析アプリケーション- ······················· 32 ㈱ジェイマックシステム 森 祐生 - 2 - 16. DynamicStentView の紹 介 ················································· 34 酒井 滝人 ㈱島 津 製 作 所 17. X 線 CT 装置 Aquilion ONE TM / ViSION Edition の開発 東 芝 メディカルシステムズ㈱ 椋本 豪 18. X 線 CT 装置 Aquilion T M PRIME の開 発 東 芝 メディカルシステムズ㈱ ······································· 38 近藤 玄他 19. 骨 組 織 透 過 テクノロジー ClearRead BS ㈱東 陽 テクニカ ··························· 36 他 ········································ 40 大平 直隆 20. LSO-MPPC 検出器を用いたスペクトロサーベイメータの試作・開発 トーレック㈱ 伊与木 勉 21. 医 用 画 像 表 示 モニタ「RadiForce RX440」の開 発 EIZO㈱ ····················· 42 他 ································ 44 橋本 憲幸 22. 地 域 連 携 ソリューション< M.Club >の導 入 と効 果 西 日 本 エムシー㈱ 西橋 幹雄 23. 永 久 磁 石 オープン MRI 装 置 「AIRISSoleil T M 」 ㈱日 立 メディコ ································· 46 のハードウェアとアプリケーション··········· 48 青柳 和宏 24. Knowledge-Based 逐 次 近 似 画 像 再 構 成 法 IMR について ㈱フィリップスエレクトロニクスジャパン ························· 50 早坂 和人 25. +DIPにおける自動骨塩量計測機能の開発 ―操作性と再現性の両立を目指して― 富士フイルム㈱ 川村 隆浩 他 ·········· 52 26. マンモグラフィの新しい経時比較機能の開発 ―高速切り替え表示による読影支援― ·········· 54 富士フイルム㈱ 福田 航 他 27. カセッテレス・デジタル長 尺 撮 影 装 置 ㈱六 濤 渡辺 広行 ··········································· 56 他 技術解説 PET の放 射 線 測 定 技 術 の食 品 放 射 能 検 査 装 置 への応 用 ㈱島 津 製 作 所 井上 芳浩 ······························ 58 医 療 の現 場 から 日 本 から世 界 への発 信 する放 射 線 技 術 ············································ 62 公益社団法人日本放射線技術学会 第 69 回日本放射線技術学会総会学術大会 実行委員長 上田 克彦 工業会概要 編集後記 ··································································· 63 ····································································· 66 - 3 - 新製品・新技術 1. 骨粗鬆症オートスクリーニングシステム NEOOSTEO 朝 日 レントゲン工 業 ㈱ 営 業 管 理 部 営 業 支 援 課 田坂 友宏 【はじめに】 超 高 齢 社 会 を迎 えた日 本 での骨 粗 鬆 症 推 計 患 者 数 は約 780 万 人 ∼1100 万 人 とされており、早 期 発 見・早期治療が重要課題と言える。 パノラマエックス線写真の下顎骨下縁皮質骨の形態変化が低骨密度者の予測に有効であることを発 見した広島大学との研究を元に、当社はデジタルパノラマ画像から骨粗鬆症患者のスクリーニングをコンピ ュータにより自動で行うシステムを開発した。 骨粗鬆症スクリーニングという歯科医院での新たなサービスを提供し、疑いのある患者には適切な医療機 関へ紹介を行うことで、骨粗鬆症患者の早期発見を可能とする当社・デジタル画像情報ソフトウェア 「NEO PREMIUM」の専用アドオンソフトウェア NEOOSTEO について報告する。 【特 長 】 デジタルパノラマ画像の下顎骨下縁皮質骨の左右最大 2 ポイントずつ計 4 点(図 1)について、モルフォロ ジーの画像処理を応用した形態指標の解析を行う(図 2)。 図 2 処 理 ステップ 図 1 確認画面 1.自 動 化 されたワークフロー 日 常 歯 科 診 療 の場 面 で活 用 されるために、当システムではスクリーニングにかかる関 心 領 域 の選 択 等 を 自動化することで、歯科医師にとって負担のないワークフローを実現している。 また、撮影に関しても通常通りのデジタルパノラマ撮影を行えばよく、特別な手技や器具は必要としないこ とから、患者・歯科医師・歯科衛生士の三者に負担を与えない。 2.わずか 10 秒 の判 定 時 間 モニタ上に撮影画像が表示されると同時にスクリーニングが行われ、わずか 10 秒程度で判定結果(図 3) を歯科医師に知らせることができる。当システムでは、撮影後に自動的に撮影画像がチェアサイドのモニタに 表 示 されるため、撮 影 終 了 後 チェアサイドに移 動 した時 にはすでに判 定 結 果 が表 示 されている。通 常 の診 - 4 - 新製品・新技術 療のワークフローに支障をきたさずに運用が可能である。 図 3 判定結果表示画面 3.余 分 な被 ばくをしない 骨粗鬆症スクリーニングのために X 線撮影を行うのではなく、デジタルパノラマ撮影を行うのはあくまで歯科 診断のためである。この歯科診断のために撮影されるデジタルパノラマ画像を用いて付随サービスとしてスク リーニングを行うことにより、患者は余分な被ばくを受けることなく、骨粗鬆症スクリーニングができる。 4.高 いスクリーニング評 価 値 このシステムを開業歯科医師 14 名が用いた場合の最新のデータは、感度と特異度は各々83%と 69%に なり、正診率は 72%であった。コンピュータによるスクリーニングであるため、同一個人の再現性はもちろん極め て良好である 1) 。 【まとめ】 今 回 紹 介 した当システムはわずかな時 間 で自 動 判 定 が可 能 であることから、歯 科 医 院 での骨 粗 鬆 症 患 者 のスクリーニングを容 易 にし、骨 粗 鬆 症 患 者 の早 期 発 見 に寄 与 するものである。医 科 歯 科 連 携 の一 つの 懸け橋として活用されることが期待される。 【参 考 文 献 】 1)田 口 明 (2012) 『パノラマ X 線 写 真 による骨 粗 鬆 症 スクリーニング方 法 』 IDP 出 版 pp153 - 5 - 新製品・新技術 2. AZE VirtualPlace TM 新 技 術 紹 介 ㈱ AZE 阪本 剛 【はじめに】 CT の多列化、MRI の分解能向上などの機器の発展、新たな検査方法の開発などにより医用画像検査 は年々進 化 し、それに伴 い画 像 データ量も膨 大 になってきている。その膨 大なデータから得られる情 報を、い かに効 率 よく正 確 に読 影 ・診 断 につなげられるかという画 像 診 断システムへの課 題に対 する、当 社 の開 発 した解決機能をまとめて紹介する。 【ボリュームレジストレーションビューア PHOENIX】 現在、検査を受ける患者単位での画像枚数は大きく増加しており、詳細な情報を得ることもできる一方で、 読影医の負 担を大きくしている現状 がある。このような現状の読 影ワークフローを最適 化、また近年求 められ る半定量的な画像評価に対するデータ表示や検索において様々な工夫がなされている。 1. スマートタグ 読 影 では表 示 している画 像 に対 し て、最 適 な画 像 をサムネイル等 から 選 んで並 べて配 置 することになるが、 従 来 のビューアではサムネイルに表 示 されるグレイスケールの画 像 が「ど のような画 像 であるか?」を直 感 的 に 知 ることが難 しかった。スマートタグ機 能を用いると、ユーザーが指定した条 件 (スライス厚 、T1 強 調 画 像 など)で サムネイルを様々な表示方法で整理 することができる。これにより比 較 に適 図 1 PHOENIX スマートタグ機 能 を用 いた直 感 的 な画 像 比 較 切 な画 像 をサムネイル群 から迷 わず 指定することができるため、直感的でストレス低減に役立つと考える。 2. 治療効果判定補助機能の搭載 PHOENIX は、腫瘍の形状や大きさの測定を規格化した RECIST1.1 1) に対応した計測機能を搭載し ている。腫 瘍 を抽 出 し、表 示 画 像 において長 径 と直 交 する短 径 を自 動 的 に計 測 する。さらに、データベース に登 録 すれば拡 大 ・縮 小 率 等 を経 時 的 に自 動 的 に計 算 する機 能 を持 ち、腫 瘍 の治 療 効 果 判 定 の補 助 が可 能 である。また、搭 載 されているレジストレーション機 能 を応 用 すると、過 去 のデータに対 して、現 在 計 測 の対象にしている腫瘍と同じ腫瘍を簡単に検出することができる。精度の高いレジストレーションは、ダイナミッ ク造 影データにおけるタイムインテンシティカーブの精 度と描 画 にも役 立つ。造 影パターンによる腫 瘍の性 状 評価も、より簡便になる。 1) 固 形 がんの治 療効 果 判 定 のために策 定 された国 際 標 準 のガイドライン - 6 - 新製品・新技術 【冠 動 脈 バイパスグラフト解 析 機 能 】 本 ソフトウェアは従 来 の冠 動 脈 解 析 機 能 を引 き 継ぎ、冠 動 脈バイパス術 後 データを自 動で判 別 し、 専 用 のバイパスグラフト抽 出 機 能 を実 行 する。従 来に比べ短時間でグラフトを抽出し CPR 表示がで きるほか、分岐検索機能を搭載し Y− composite 型 など様 々な形 状 のグラフトを抽 出 することができ る。また、ネイティブ冠 動 脈 の抽 出 機 能 が統 合 され ており、バイパスグラフトの評 価 とネイティブ冠 動 脈 における新 規 病 変 などの評 価 を同 時 に行 うことが 図 2 冠 動 脈 バイパスグラフト解 析 機 能 できる。 【大 腸 解 析 ソフトウェア】 米 国 で 普 及 し て い る 大 腸 CT 検 査 ( CT Colonography)の現 状 から、実 際 に米 国 で読 影 をされる先生からの要望を踏まえ、機能を充実させ た。まず、検 診 目 的 で撮 影 されたデータは低 線 量 であるため、ノイズを効果的に除去できるフィルタを 搭載し、ポリープなどの病変の描出力を強化してい る。仮想内視鏡モードでは広角な視野角を持つ魚 眼 モードを開 発 。ビューアの隅 々まで視 野 角 を展 開 させることで大 腸 襞 (ヒダ)の裏 側 の構 造 物 も簡 図 3 より多 角 的 な病 変 部 表 示 を可 能 にする 単 に検 出 できる。ポリープなどの構 造 物 に対 しては MPR による詳細観察モード、さらに周辺構造物のみを 3D 表示し、原画像と融合させることで腸管の裏側に ある構造物を踏まえて比較することができる。 近 年 では、抽 出 した大 腸 の経 路 から腸 管 を標 本 展 開 したように再 構 成 する手 法 を用 いて、効 果 的 に読 影する手法も登場しているため、本ソフトウェアでは、腸管の径に応じて形状補正を行うことで、より歪みの少 ない表示法を可能にしている。このように補正を施すことにより、腸管の狭窄部が明確に表示できる。 【肝 臓 解 析 ソフトウェア】 本 ソフトウェアでは、肝 臓 、肝 動 脈 、門 脈 、肝 静 脈 を自 動 的 に抽 出 し、それぞれの血 管 構 造 から血 管 の支 配 領 域 (灌 流 領 域 )を自 動 的 に計 算 することができる。その優 れたインターフェイスは、タブレ ット端 末 からでも操 作 が可 能 なように設 計 されており、あらゆる場 所 で解 析 が可 能である。さらに、肝 機 能 を表 す画 像 (SPECT、PET、 MRI)を区域ごとに解析する機能を新しく搭載した。 図 4 肝臓解析 【おわりに】 以上のように、当社は日々増え続ける膨大なデータから有用な情報を導き出すため、今後も操作性・機 能 ・精 度 の向 上 や業 務 の効 率 化 を図 り、臨 床 現 場 で求 められる先 生 方 の要 望 に応 えながら、より良 い製 品づくりを行っていく。 - 7 - 新製品・新技術 3. 放射線防護材「無鉛ボード Xp」を使用したエックス線防護 BOX の開発 医 建 エンジニアリング㈱ ホーシャット営 業 部 近藤 勇太 【はじめに】 病 院、診 療 所、研 究 所 等で放 射 線 漏 洩を防ぐための防 護 の際 に簡 易 型の「エックス線 防 護 BOX」が用 いられる場合があるが、従来品では鉛を使用したエックス線防護 BOX しかなかった。 当 社 では新 たに鉛 を使 わない放 射 線 防 護 材 「ホーシャット無 鉛 ボード Xp」を使 用 した新 しい「無 鉛 仕 様 エックス線防護 BOX」を開発した。 【エックス線 防 護 BOX について】 従 来 、多 くの施 設 に設 置 されているエックス線 防 護 BOX は規 格 や寸 法、仕 様 等 が限 られているものがほ とんどであった。 当社のエックス線防護 BOX の特長としては、 ① 簡 易 な組 立 式 の為 、現 場 作 業 が短 縮 でき、コストを削 減 できるのはもちろん、組 立 後 すぐの使 用 が可 能。 ② 既存施設、狭い設置空間でも設置可能。 ③ サイズ、鉛当量等の様々なカスタマイズが可能。 ④ 全国各地に搬入、据付が可能。 ⑤ 設置後の将来的な増設、移設、拡張も可能。 このように、当 社のエックス線防 護 BOX はサイズ、鉛 当量、仕 様 等、様々なニーズに応えられるのはもちろ ん、さらに大きな特長として「無鉛ボード Xp」を使用した新しい「無鉛仕様エックス線防護 BOX」の開発によ り、二酸化炭素の削減といった環境面にも配慮した特長を持つ。 近 年 、環 境 面 への配 慮 が求 められている中 、無 鉛 のエックス線 防 護 BOX を要 望 する声 が高 まっており、 当 社 では従 来 鉛 を使 用 していたパネル面 に無 鉛 ボード Xp を用 いることにより、鉛 仕 様 のエックス線 防 護 BOX に比べおよそ 80% 1) の鉛の使用削減を実現する事ができた。 1) ボード以 外 の製 品の一 部には鉛を使 用 【ホーシャット無 鉛 ボード Xp】 無鉛仕様のエックス線防護 BOX に採用した「ホーシャット無鉛ボード Xp」は 2006 年に当社が開発した鉛 をまったく使わない放射線防護材であり、硫酸バリウムと石こうを主原料としている。 硫酸バリウムは、胃腸等のエックス線検査に一般的に使用されており、人体への安全性の面で鉛よりも優れ ていると言える。また、リサイクル面でも有 用な石こうを使 用しているので、鉛を使 用しない事とあわせ環 境 負 荷の軽減ができる。 本 製 品 はこのような環 境 への配 慮 、施 工 性 、コスト面 が評 価 され、これまでに全 国 数 多 くの病 院 、診 療 所 等で採用されている。 - 8 - 新製品・新技術 【おわりに】 現在、多くの病院、診 療 所または研究施 設等で新たなエックス線装 置の導入を検討 する際に、レントゲン 室 等のレイアウト、設 置する施 設 の条 件(テナントビル施 設、エックス線 防 護 工 事のできない施 設 等 )によって も様々な対応が求められてきている。その中で、エックス線防護 BOX の需要はますます高まってきている。 当 社 では、従 来 の鉛 仕 様 でのエックス線 防 護 BOX でもそれらの要 求 に対 応 する事 ができるが、「無 鉛 ボ ード Xp」を使 用 した新しいエックス線 防 護 BOX の開 発により、環 境 面に優 しい、さらにより安 心・安 全 な放 射線防護の提供ができると考える。 現 在 は一 部 に鉛 を使 用 しているが、今 後 鉛 フリーの無 鉛 エックス線 防 護 BOX 実 現 のため、さらなる開 発 を進めていきたい。 図 1 ホーシャットエックス線 防 護 BOX 図 2 ホーシャット無 鉛 ボード Xp - 9 - 新製品・新技術 4. 大腸 CT 検査(CT Colonography)用 炭酸ガス自動送気装置「プロト CO2L」 エーディア㈱ 営 業 本 部 企 画 室 市川 篤 【はじめに】 大 腸 がんは年 々増 加 の一 途 をたどり、わが国 の大 腸 がん死 亡 者 数 は全 がん死 亡 者 のうち男 性 で三 位 、女 性 で一 位 を占 める状 況 となっている。 大 腸 がんは早 期 に 発 見 すれば比 較 的 予 後 が良 いため、 早 期 発 見 が重 要 となる。 大 腸 がんの検 査 方 法 として は「便 潜 血 検 査 」「注 腸 X線 検 査 」「 内 視 鏡 検 査 」 の三 つが広 く知 ら れている。 しかし、 いず れの検 査 方 法 も、それぞれに課 題 をを抱 えている。このような中 、最 近 注 目 を集 めているのが大 腸 CT 検 査 である。これは CT 装 置 を用 いて大 腸 の 3 D 画 像 を評 価 する検 査 法 である。短 時 間 で検 査 が終 了 す るため、患 者 の負 担 も比 較 的 少 なく、新 たな大 腸 がん検 査 法 として注 目 されている。 大 腸 CT 検 査 は検 査 中 に腸 管 を十 分 に拡 張 しておくことが必 要 になる。2011 年 8 月 、当 社 は大 腸 CT 検 査 用 炭 酸 ガス自 動 送 気 装 置 「プロト CO2L」(図 1)および炭 酸 ガス送 気 用 チューブ「プロト CO2L カ テーテルセット」を発 売 した。 【特 長 】 「プロト CO2L」は事 前 に目 標 とする腸 管 の圧 力 を設 定 し(通 常 18∼20mmHg)、緩 やかに注 入 速 度 を上 げていくことで患 者 の負 荷 を減 らし、 拡 張 が困 難 な直 腸 やS状 結 腸 を含 めた全 大 腸 を良 好 に 拡 張 できる装 置 である。 腸 管 の圧 力 が設 定 圧 力 まで上 昇 すると自 動 的 に送 気 が止 まり、炭 酸 ガスが吸 収 され圧 力 が下 がる と自 動 的 に追 加 の送 気 がなされ、検 査 中 一 定 圧 力 での拡 張 を維 持 するよう設 計 されている。 操 作 性 に関 しては熟 練 した技 術 が不 要 なため、術 者 による違 いが無 く安 全 性 も高 い特 長 を有 してい る。さらに炭 酸 ガスは空 気 に比 べて約 130 倍 の吸 収 速 度 をもっており、 患 者 の検 査 後 の不 快 感 を軽 減 することができる。 2012 年 4 月 の診 療 報 酬 改 定 により大 腸 CT 撮 影 加 算 として 600 点 が加 算 されることになり、「プロト CO2L」を採 用 する施 設 が増 えている。 【まとめ】 大 腸 がんは、早 期 発 見 により救 命 することが可 能 ながんである。大 腸 CT 検 査 という新 しい検 査 法 の 導 入 により、患 者 の選 択 肢 が増 えることで検 査 受 診 率 が上 昇 することが望 まれる。当 社 と販 売 提 携 会 社 であるエーザイ㈱は、「プロト CO2L」を通 して大 腸 がん死 亡 率 減 少 に貢 献 していきたいと考 えている。 - 10 - 新製品・新技術 図 1 大 腸 CT 検 査 用 炭 酸 ガス自 動 送 気 装 置 「プロト CO2L」 - 11 - 新製品・新技術 5. 21.3 インチ LED バックライト 2MP/3MP カラーモニタの開 発 NEC ディスプレイソリューションズ㈱ モニター開発本部第一開発グループ 宮本 恒雄 【概要】 高 輝 度 ・長 寿 命 という観 点 から胸 部 X 線 等 では主 流 であったグレースケールモニタも、高 輝 度 ホワイト LED を採用したカラーモニタにその座を奪われようとしている。自由な白色点の選択や 2 台の白色点の一致 など、輝 度 を多 少 犠 牲 にする調 整 を行 ってもまだ実 用 上 の寿 命 を維 持できるようになったからである。さらに カラー医 用 画 像 分 野 においても、規 格 化 が進 められているように色 による診 断 のための正 確 な色 再 現 がモ ニタに要求される。本機はグラフィックモニタで開発したスペクトラビュー ® エンジンの搭載やフロントセンサを直 接液晶パネルに接着する技術を用い、輝度・色度ともに長時間において正確かつ安定した性能を実現し た。医 用 用 途 に適 した人 感 センサによる省 エネ機 能 も新 たに備 えた 2MP と 3MP カラーモニタ MD211C2/ MD211C3 を開発した。 [サイズ、解像度] 対角 21.3 インチ(54.0cm) 1200×1600 (MD211C2) 1536×2048 (MD211C3) [輝度] 2 400cd/m (推奨) 900cd/m 2 (MD211C2 最大) 800cd/m 2 (MD211C3 最大) [コントラスト比] 1400:1 1) [入力] DVI (MD211C3 は DualLink), DisplayPort [その他] フロントセンサ、外光照度センサ、人感センサ 図 1 MD211C3(左)と MD211C2(右) USB HUB 1up / 2down、外部 USB センサ端子 1) Color:Native、Uniformity OFF 時 【特長】 1. 高輝度・長寿命・省電力設計 LED バックライト方式の採用はそれ自体でも長寿命化をもたらすが、下記の方法でさらに寿命を延ばして いる。 ・省電力化(従来比約 20%減)することで内部温度を下げ、輝度と寿命を向上している。 ・静 音 FAN を使 用 した新 排 熱 設 計 で内 部 温 度 を下 げると同 時 に、画 面 内 の温 度 むらを抑 えることで ユニフォーミティ補正による輝度低下を抑えた。 これらにより輝度維持寿命が従来比 1.7 倍(MD211C3)に向上した。 加えて以下も寿命向上のための機能である。 ・赤 外 線を放 出せず外 部 機 器への影 響がない新 人 感センサで、離 席 時 は低 消 費 電 力モードにするこ とにより寿命を向上できる。 ・スクリーンセーバーや特 定 のアプリと連 動 してバックライトの点 灯 ・消 灯 を制 御 させる Power Save Management Software を添付している。 2. 常設フロントセンサの小型化 本機では画面の輝度、白色点、ガンマ補正のキャリブレーションを実施するために画面前面にカラーセンサを 有している。センサホルダをモニタの画面表面に接着することにより、当社従来機種(MD213MC)に対し面積 - 12 - 新製品・新技術 において73%縮小する小型化を実現した。この結果、表示面の汚れやキズに伴う変化の影響を受けず、振動な どによる画面とセンサとの相対位置関係が変化しない。さらには LED 素子の個体特性の影響を受けにくい位 置にフロントカラーセンサを装備したことにより、長期にわたり安定した輝度・色度・ガンマを維持できる。 3. 10bit DisplayPort 入力 本機では、PC 市場にて実績のある DisplayPort を採用したことにより、カラー画像においても 10bit×3 の 多階 調 入 力 が実現できる。さらにこの 10bit 画像の特 性を損ねることなくガンマや白色 点の補正を可 能 とす る 14bit の LUT を持ち、正確な DICOM カーブを実現できた。 4. スペクトラビューエンジンによるカラーマネージメント 従 来 、カラーマネージメントにおいて原 色 ・中 間 色 ・白 色 点 の独 立 な測 定 と補 正 が必 要 であった。本 機 では 3 次元 LUT を内蔵した画像処理 ASIC と独自のアルゴリズムを使用したスペクトラビューエンジンにより、 液晶パネルの特性を測ることであらゆる表示設定に対し目標色との表示誤差を小さくすることを可能とした。 これらの当社のグラフィック用モニタの技術を医用 モニタに取り入れることで、正確な色による画像診断を可 能とした。 5. 人感センサ 省電力、長寿命化のために人感センサを搭載した。一般に使用されることが多い近接センサは比較的強 い赤 外 線 を放 出 するため、他 の機 器 に影 響 を及 ぼす可 能 性 がある。また、検 知 角 が狭 いため人 体 を検 出 できず誤動作を起こす可能性もある。今回開発した人感センサは、人体から発する赤外線を光起電力に変 えるフォトダイオードを使用した。不要な放射はなく、検知角も十分に広くすることができた。 センサの起 電力は非 常 に微弱であるため、絶 対値 検出ではなく変化を検 出 する方 式をとった。人体が静 止している場合は、誤検出する可能性があるため、人体のモニタに対する動作の方向を検出判定に使用し 誤 動 作 を防 止 している。また、診 断 時 に消 えることの無 いよう低 消 費 電 力 モード移 行 への優 先 度 を下 げた 設定としている。 6. モニタ品質管理ソフトウェア 従来よりモニタ品質管理ソフトウェアを準備しているが、今回、様々な使い勝手向上策を盛り込むことで、 管理者の負担軽減を実現した。まず、表示内容の整理を行い「一覧性」を向上した(図 2に一例を示す)。 また、蓄 積されるデータベース部 分を独 立させることで、拡 張の容 易 性を高 める改善 を行った。さらに動 作ロ グのビューワ機 能 や異 常 アラート表 示 項 目 の追 加 など、様 々な操 作 性 の改 善 策 は、全 て管 理 のしやすさを 向上させるものである。 図 2 品質管理ソフトウェアによる一覧表示の例 【おわりに】 LED バックライトとカラーマネージメント技 術 の採 用 で、より長 時 間 安 定 した精 度 の高 い輝 度 と色 度 の性 能を持つ本機は、的確な読影診断を補助するとともに、広範囲な医用分野の発展に役立つものと考える。 - 13 - 新製品・新技術 6. 移動 X線検査の概念を変える 『DRX-Revolution Mobile X-Ray システム』 ケアストリームヘルス㈱ 岡 知樹 【はじめに】 当社が欧米で 2009 年に、また、日本では 2010 年 4 月に先駆けて販売を開始したカセッテサイズでワイヤレ ス型のフラットパネル「DRX-1 システム」の販売台数は 5000 台を越え、世界中で活躍している。 DRX システムは日本国内では GOS タイプの「DRX-1G」と CsI タイプの「DRX-1C」の 2 種類のディテク タと、コンソールは施 設 内 据 置 型 システムとコンパクトに 小 型 化 し可 搬 性 を 高 め訪 問 検 査 や 健 診 車 載 対 応 の 「DRX-Transportable」をラインナップしている。 今 回 、さらに病 棟 や救 急 、オペ室 、ICU などの X 線 移 動検 査を、よりスピーディに、より正 確 に、よりパワフルに、 より安全に実施して頂ける 移動型デジタル X 線診断装 置「 ケアストリーム DRX-Revolution Mobile X-Ray システム」(図 1)が 2013 年 1 月に発売されたので、その 製品について紹介する 。 図 1 DRX-Revolution Mobile X-Ray System 【稼 働 実 績 】 「DRX-Revolution Mobile X-Ray システム」は欧米では、昨年 9 月から販売を開始し、12 月末時点で 稼働台数 230 台を超えている。 2009 年にリリースした「DRX-1 システム」のワイヤレス/カセッテ型 FPD の概念が現在では X 線一般撮影 のスタンダードになっているように、今後は「DRX-Revolution Mobile X-Ray システム」このユニークな仕 様は、今までの X 線移動検査の概念を変え移動型デジタル X 線診断装置の今後のスタンダードになってい くと考えられる。 FPD と移動型 X 線診断装置の無線連携をフル活用することにより、 今までの移動型デジタル X 線 診 断 装置 以 上にスピーディで正確な検 査の実施が可能になる。 また、移 動 型 X 線 診 断 装 置 にも多 彩 な仕 様 を取 り入 れ、移 動 中 の リスクを改 善 させ、パワフルな出 力 により撮 影 室 と同 様 の撮 影 検 査 が 可能である。 図 2 支柱収納状態 【特 長 】 1. 移 動 時 の視 界 確 保 今まで装置は移動時に支柱が高く視界を妨げていたが、本装置は 最 小 限 (1295mm)まで収 まるように設 計 されており、移 動 時 の視 界 性を改善し安全性を確保した(図 2)。 2. ディテクタの位 置 を検 知 グリッドアライメントシステム(オプション)の開 発 により、発 生 器 とディ テクタの上 下 左 右 位 置 、距 離 、角 度 を管 球 側 のモニタで操 作 をしな - 14 - 図 3 グリッドアライメントシステム 新製品・新技術 がら確認でき、より正確な検査を可能とした(図 3)。 3. ハイパワー出 力 撮 影 室 と同 様 の出 力 仕 様 とし 40-150kV まで 1kV 刻 みでの出 力 が可 能 で、出 力 的 には撮 影 室 検 査 と 同様検査を可能にした。 4. 操 作 性 本体側の 19 インチタッチモニタだけでなく、管球側にも 8 インチタッチモニタ を搭 載 し、管 球 側 のみで検 査 選 択 、撮 影 条 件 設 定 、撮 影 画 像 確 認 、 PACS 等への送信 等、検査を完了させることが可能である(図 4)。 図 4 8 インチタッチモニタ 5. 駆 動 システム 後両車輪に独立した駆動サポートモータを搭載し、軽々と前進、後退、進路変更を可能とした。 この駆動サポートモータは機器自体の重量を充分に考慮し搭載されている。 6. 管 球 稼 働 管球の操作は片手での操作を想定し、軽々と回転、チルトが可能である。 また、アームの進展、支柱の回転も同様に操作性を確保した(図 5)。 7. 過 去 画 像 確 認 図 5 稼 動 域 の広 いアーム Prior Image Review システム(オプション)により、ワンタッチで過 去 画 像 の表 示 を可 能 にしている。 これはシステム内 SSD に保 存 されていない画 像 に関 しても、設 定 された PACS から Q/R し表 示 する。 8. クライアント機 能 本体 19 インチタッチモニタにて設定された RIS や Viewer のクライアント表示が可能である。 この機能により、出動中に MWM だけでなく RIS 自体でのオーダ内容を確認し、検査を継続させることが 可能である。 9. 収 納 部 も充 実 本 体 収 納部 はグリッドアライメントシステム用グリッドホルダ(収 納 時 充 電)と半 切 ディテクタだけでなく、検 査 依 頼 書 などの書 類 や手 袋 、カセッテラップなど検 査 に必要な小物類が収納可能に設計されている。 ディテクタのカセッテラップ装 填 やバッテリの交 換 も本 体 にて実 施 できるように 図 6 収納部 設計されている(図 6)。 【最 後 に】 当 社 は、顧 客 にとって本 当 に価 値 のあるサービスを追 求 していくことが重 要 であると考 える。顧 客 にとって 価 値のあるサービスの追 及 が、最 終 的に患 者にとって、さらには医 療にとって役 立つものになると確 信してい る。 - 15 - 新製品・新技術 7. 病変の自動トラッキング Lesion Management 搭載 PACS ケアストリームヘルス㈱ HCIS 事 業 統 括 部 河野 亨 【はじめに】 放射線医にとって、フォローアップが必要な標的病変の経時変化を把 握することは重要である。当社は、日常業務である比較読影の効率化に 加 え 、 読 影 用 ア プ リ ケ ー シ ョ ン の 追 加 機 能 と し て 新 た に 「 Lesion Management(病変管理)機能」(図 1)を開発した。 当機能を本文にて紹介する。 【特 長 】 図 1 Lesion Management 1. 病変計測の自動化 固形がんの治療効果判定は、標的病変の長径(もしくは短径)の変化度合いで評価される (RECIST=Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)。ビューア上での病変計測は、一般的 に距離計測ツールが用いられる。しかしながら計測者が異なる場合や、同じであっても計測時期が異なると、 正 確 で客 観 的 なデータとして評 価 することが困 難 である。当 機 能 は、ワンクリック(もしくは長 径 描 画 )にて病 変 を三 次 元 で自 動 セグメンテーションし、長 径 ・短 径 ・体 積 を自 動 算 出 する(図 2)。正 確 かつ客 観 的 な データを得ることが可能といえる。 肺 病 変 (例 ) 肝 臓 病 変 (例 ) 頭 部 病 変 (例 ) 図 2 自 動 セグメンテーションされた病 変 例 2. 自動トラッキング 当 社 の読 影 用 アプリケーションは、比 較 読 影 を容 易 にするレジストレーション機 能 を有 し、今 回 データ(シリ ーズ)と過 去 データを三次 元的に自 動 位置 合わせ可 能とする。レジストレーションにより位 置合わせされたベ ースラインとフォローアップ検査内の各シリーズ上 でトラッキングツールを選 択することで、ベースラインで計測 された標 的 病 変 を自 動 検 出 する(図 3 )。検 出 された病 変 の長 径 ・短 径 ・体 積 は自 動 的 に算 出 され、変 化度合いを容易に評価できる。トラッキングツールは CT/MR の比較対象検査において有効であり、継続的 なフォローアップと治療効果判定に役立つ。 - 16 - 新製品・新技術 トラッキングツール ベースライン検 査 フォローアップ検 査 図 3 トラッキングツールによる標 的 病 変 の自 動 検 出 例 3. ブックマークとデータ二次利用 ベースライン検査内でセグメンテーションされ、さらにトラッキングツールによりフォローアップ検査内に検出さ れた標的病変の各種計測結果(測定者・測定日・シリーズ/イメージ番号・長径・短径・体積など)は、 PACS 内データベースにブックマークとして保存される。変化率(%)と Doubling Time(倍加時間:腫瘍 体積が2 倍になるまでの時間)も算出する。ブックマーク保存データは病変のスライスとリンク表示される。また 病変の変化度合いをグラフ表示可能である(図 4)。各種計測結果を TEXT/CSV/XML の汎用形式で 出力することにより、二次利用など将来の活用も期待できる。 図 4 ブックマーク保 存 データと病 変 の経 時 変 化 グラフ例 【まとめ】 既に米国で FDA 510(k)取得済みの「Lesion Management 機能」は、日本国内においても効率的か つ効果的な読影環境を提供する役割を担うと期待される。 - 17 - 新製品・新技術 8. AeroDR1012HQ 開発について コニカミノルタ㈱ 青柳 繁 【はじめに】 DR は、読 取 作 業 が不 要 で即 時 画 像 表 示 が可 能 であり、ワークフローの観 点 から CR に勝 る。さらに被 ばく線 量 ・画 質 の面 からも優 位 性 がある。そのため、X 線 撮 影 におけるデジタル化 が進 んでおり、CR から DR へのシフトが加 速 している。中 でも、既 存 の設 備 を活 用 して DR 化 が可 能 なカセッテタイプ FPD 装 置 の普 及 が進 んでいる。当 社 はカセッテタイプ DR に求 められる要 件 と機 能 を分 析 し、①高 画 質 で低 被 ば く ② 軽 量 か つ 堅 牢 ③ 高 速 で 安 全 か つ 快 適 な 作 業 性 を 特 長 と す る 「 AeroDR 」 シ リ ー ズ を 開 発 し た 。 2011 年 3 月 に 14×17 インチサイズの「AeroDR1417HQ/S」を発 売 、2012 年 2 月 に 17×17 インチのフル サイズでありながら既 設 の撮 影 台 に対 応 可 能 な「AeroDR1717HQ」をラインアップに加 えた。このたび、 整 形 外 科 におけるカセッテ撮 影 や小 児 撮 影 の分 野 で要 望 されている小 型 軽 量 四 切 サイズ 「 AeroDR1012HQ 」 を 開 発 し た 。 小 型 軽 量 カ セ ッ テ タ イ プ FPD を ラ イ ン ア ッ プ に 追 加 す る こ と に よ り 、 AeroDR 長 尺 撮 影 システムと併 せて、整 形 外 科 分 野 の全 ての撮 影 を「AeroDR」シリーズで対 応 、省 ス ペースと施 設 の負 担 軽 減 が実 現 できる。 【特長】 「AeroDR1012HQ」は、「AeroDR」シリーズの機 能 /使 い勝 手 を継 承 した 10×12 インチサイズカセッ テタイプ FPD である。開 発 にあたっては、ユーザーニーズを第 一 に考 え、徹 底 的 な軽 量 化 を目 標 とした。 また、「AeroDR」シリーズの特 長 である「低 被 ばく/高 画 質 」「ISO サイズ準 拠 」「軽 量 /堅 牢 」「Li-ion キ ャパシタ採 用 」「ワイヤレス対 応 」に加 え、2011 年 12 月 より「AeroDR」シリーズに搭 載 した X 線 自 動 検 出 システム「AeroSync」にも対 応 する(開 発 中 )。各 特 長 について下 記 に記 述 する。 1. 低 被 ばく/高 画 質 「AeroDR」シリーズでは、CsI シンチレータを TFT センサーパネル上 に直 接 接 触 させる直 接 貼 りあわせ 技 術 を採 用 、シンチレータで発 した光 を TFT との接 触 面 で拡 散 させることなくフォトダイオードまで導 くこと が可 能 となる。さらに当 社 独 自 の柱 状 結 晶 成 長 技 術 とこれまで培 った画 像 処 理 技 術 により、高 DQE を 実 現 、患 者 の被 ばく線 量 の大 幅 な低 減 を可 能 としている。 図 1 CsI シンチレータの比 較 - 18 - 新製品・新技術 2. ISO サイズ準 拠 、軽 量 /堅 牢 今 までの「AeroDR」シリーズ開 発 で蓄 積 された技 術 を元 に、高 密 度 部 品 実 装 を行 い、10×12 インチ ISO サイズ準 拠 を実 現 。NICU(保 育 器 )や小 児 用 撮 影 台 等 の、カセッテサイズに制 約 がある装 置 に対 応 することが可 能 となった。また、パネル筐 体 のカーボンモノコック構 造 、徹 底 的 な部 品 構 成 の見 直 しを 行 うことにより、カセッテ重 量 1.7kg 以 下 の軽 量 化 を達 成 。撮 影 時 の作 業 性 および患 者 がカセッテを保 持 した場 合 の負 担 軽 減 を考 慮 した。もちろん、通 常 使 用 では破 損 しないための堅 牢 性 も従 来 の AeroDR シリーズと同 等 性 能 を確 保 している。 3. Li-ion キャパシタ採 用 「AeroDR」シリーズでは、「患 者 への安 全 性 」「環 境 対 策 」を考 慮 し、次 世 代 バッテリとして注 目 され ている「Li-ion キャパシタ」を採 用 している。「Li-ion キャパシタ」は、高 い安 全 性 と速 い充 電 速 度 を実 現 。また、充 放 電 を繰 返 しても劣 化 し難 い事 により、バッテリ廃 棄 による環 境 問 題 にも対 応 できている。ま た、「Li-ion キャパシタ」で十 分 な撮 影 時 間 と撮 影 枚 数 を可 能 とするためには、省 電 力 設 計 が鍵 となる。 「AeroDR」シリーズで培 われた、徹 底 的 な省 電 力 技 術 と最 適 なパワーマネージメントにより、高 いバッテ リ性 能 (撮 影 数 /待 機 時 間 )を確 保 している。 4. ワイヤレス技 術 無 線 対 応 のワイヤレスタイプなので、操 作 の妨 げとなるケーブルなどが無 く、CR カセッテ使 用 時 と同 様 の撮 影 環 境 を提 供 できる。また、有 線 ケーブル接 続 にて常 時 充 電 しながらの撮 影 にも対 応 している。 5. AeroSync 技 術 (開 発 中 ) 「AeroSync 」は、2012 年 よ り「 AeroDR」シリ ーズ に 搭 載 し た 新 技 術 で あ る。 従 来 の DR は X 線 発 生 装 置 との電 気 的 な接 続 を行 い、X 線 照 射 と DR パネルの X 線 情 報 蓄 積 とのタイミングを同 期 させる必 要 があった。X 線 自 動 検 出 技 術 「AeroSync」は X 線 照 射 を FPD パネル自 身 が感 知 (検 知 )して画 像 の 読 取 を自 動 で行 なう。そのため X 線 装 置 との物 理 的 な接 続 を実 施 する必 要 が無 く、ポータブル撮 影 装 置 など、ばく射 信 号 の出 力 が困 難 な装 置 に対 して有 用 である。 図 2 AeroDR シリーズ 図 3 AeroDR1012HQ デザイン(表 裏 ) 【おわりに】 本 製 品 が臨 床 の現 場 で採 用 され、当 社 が提 案 する新 たなカセッテ DR の魅 力 を、顧 客 一 人 ひとりに 感 じていただければ幸 いである。今 後 もさらに革 新 的 な製 品 開 発 に挑 戦 し、 医 療 の質 の向 上 に 貢 献 し ていく事 としたい。 - 19 - 新製品・新技術 9. ワイヤレスタイプカセッテ型 DR「AeroDR」 ∼災 害 ・在 宅 医 療 におけるカセッテ DR の適 用 ∼ コニカミノルタヘルスケア㈱ 営 業 本 部 MS 営 業 部 中村 一起 【はじめに】 当 社 は、ワイヤレスタイプカセッテ型 DR「AeroDR」 を 2011 年 3 月 より販 売 し、同 年 12 月 からは、ポータ ブル撮 影 向 けシステムも展 開 し、一 般 撮 影 分 野 だけでなく、病 棟 や救 急 での撮 影 にも対 応 可 能 なシス テムを展 開 してきた。今 回 は、災 害 医 療 や在 宅 医 療 など院 外 での X 線 撮 影 のニーズに応 えることができ るソリューションを紹 介 する。 【特 長 】 1.院 外 へ持 ち運 び可 能 なキャリングパッケージ AeroDR システムを院 外 での撮 影 で運 用 するために必 要 な基 本 構 成 は、AeroDR パネル、パネルと コ ン ソ ー ル の 通 信 を 制 御 す る た め の 制 御 ユ ニ ッ ト 、 タ ブ レ ッ ト 型 PC を 採 用 し た コ ン ソ ー ル 、 CS-7 Portable の 3 点 。それらを専 用 のキャリングケースに収 納 することで院 外 への持 ち出 しや、野 外 での活 用 が可 能 となり、災 害 現 場 や在 宅 訪 問 時 など検 診 バスでは対 応 できない院 外 の様 々な場 面 でも X 線 撮 影 が可 能 となる。 2.様 々なシーンで効 果 を発 揮 撮 影 したその場 で画 像 を確 認 することができる即 時 性 の高 いシステムとなる。在 宅 医 療 では、ライトバ ンなどに車 載 して患 者 の自 宅 へ訪 問 し、動 きの不 自 由 な患 者 でもその場 で X 線 撮 影 を行 うことができる ため、肺 炎 や骨 折 の早 期 発 見 が期 待 できる。また災 害 医 療 では X 線 撮 影 の必 要 性 と画 像 確 認 の重 要 性 が高 まっている。そのため高 い機 動 性 を持 ったこのシステムの画 像 表 示 の即 時 性 は、救 急 搬 送 された 患 者 や災 害 現 場 でのトリアージの一 助 としてその効 果 を発 揮 する。 3.院 外 撮 影 にも適 した AeroDR AeroDR の特 長 は、半 切 サイズで 2.9kg と超 軽 量 サイズであり、かつ、有 効 画 像 領 域 全 面 で耐 荷 重 が 300kg と耐 久 性 も高 い。バッテリは長 寿 命 で急 速 充 電 可 能 なリチウムイオンキャパシタを採 用 し、非 常 時 など電 源 供 給 が絶 たれた状 況 でも長 時 間 の撮 影 に対 応 可 能 である。 - 20 - 新製品・新技術 左 :使 用 時 右 :運 搬 時 図 1 専 用 キャリングケース 【最 後 に】 当 社 は、今 後 も医 療 用 画 像 分 野 において最 先 端 の技 術 開 発 に挑 戦 し、質 の高 い製 品 ・サービス・ ソリューションを通 じて顧 客 へ新 たな価 値 をご提 供 できるよう取 り組 んでいく。 - 21 - 新製品・新技術 10. MRI の ズーム撮像 syngo ZOOMit の原理と臨床上のメリットについて シーメンス・ジャパン㈱ MR ビジネスマネージメント部 浦川 真樹 【はじめに】 当 社 は北 米 放 射 線 学 会 2011 年 大 会 において、臨 床 用 MRI 装 置 に搭 載 可 能 な製 品 としては初 となる、 関 心 部 位 を選 択 的 に励 起 して画 像 化 するアプリケーション syngo ZOOMit を発 表 した。これは、従 来 の MRI 撮 像 の原 理 から派 生 する、長 い撮 像 時 間 や各 種 アーチファクトによる画 質 への影 響 などの、様 々な問 題 を解 決 する可 能 性 のある新 技 術 である。本 稿 において、関 心 のある局 所 を選 択 的 に励 起 し画 像 化 する syngo ZOOMit の技 術 原 理 を解 説 し、様 々な画 像 上 ・臨 床 上 のメリットを紹 介 する。 【局 所 選 択 励 起 の原 理 】 局 所 励 起 の概 念 図 を図 1 に示 す。1 軸 方 向 のグラジエントと RF パルスを用 いて行 うスライス選 択 に対 し て、もう 1 軸 方 向 のグラジエントと RF パルスを加 えることによって 2 軸 のスライス選 択 を行 うのが、局 所 励 起 の基 本 的 なアイデアである 1) 。図 2 には実 際 の局 所 励 起 で印 加 される RF とグラジエントの一 例 を示 す。一 見 しても分 かるとおり、従 来 の 1 つの sinc 関 数 RF パルスとグラジエントでのスライス選 択 と比 較 して、非 常 に複 雑 な印 加 が必 要 となる。図 2 の最 上 段 は RF 強 度 を表 す。断 続 的 に印 加 される RF パルスは一 つ一 つが sinc 関 数 の形 状 をしており、これは図 1 の RF1 に該 当 する。また、それらの RF は強 度 が段 階 的 に変 化 して いるが、その変 化 の形 状 は sinc 関 数 の形 状 に類 似 しており、これは RF2 に相 当 する。また、3 段 目 と 4 段 目 はそれぞれ Gradient1 と Gradient2 に該 当 する。さらに図 2 の 2 段 目 は RF 位 相 を表 している。任 意 の 部 位 を局 所 的 に励 起 するための位 相 の操 作 に加 えて、B 1 シミングを行 うことを目 的 として 2 つのポートから 印 加 される RF 位 相 をコントロールするため、位 相 もまた複 雑 に制 御 される。結 果 的 に、2 つのポートから印 加 される RF は強 度 も位 相 もそれぞれ独 立 に制 御 されて送 信 されることとなり、この送 信 方 法 はパラレル送 信 と呼 ばれる。 この局 所 励 起 ならびにズーム撮 像 が行 える syngo ZOOMit は、MAGNETOM Skyra 3T に搭 載 が 可 能 である。MAGNETOM Skyra には DirectRF 機 構 と呼 ばれる、従 来 は機 械 室 にあった送 信 ユニット と受 信 ユニットがガントリの中 に隣 接 して搭 載 され、フルデジタル MRI を体 現 する機 構 によってシステムが 構 築 されている。複 雑 な RF のパラレル送 信 を行 うた めに DirectRF 機 構 は大 きな役 割 を果 たしており、受 信 ユニットから得 られた情 報 をすぐさま送 信 ユニットに フィードバックすることで 送 信 RF をリ アルタイムに最 図 1 局 所 励 起 の基 本 原 理 図 2 印 加 RF とグラジエントの一 例 - 22 - 新製品・新技術 適 にデザインすることも可 能 である。また送 信 ユニット・RF ボディコイル・受 信 ユニット間 の制 御 が極 めて 高 い時 間 分 解 能 で厳 密 に行 える。 【ズーム撮 像 のメリット】 高 度 に制 御 されたパラレル送 信 のメリットを活 用 した syngo ZOOMit による局 所 励 起 ・ズーム撮 像 には、次 のような利 点 がある。 空 間 分 解 能 の向 上 :局 所 励 起 した体 積 のみ位 相 エンコードをすれば良 く、従 来 法 と同 じマトリクスサイ ズであれば、空間分解能が向上する。 スキャン時 間 の短縮:従 来法と同じ空間 分 解能 を得るためには、位 相エンコード数を少 なくできる。折 り かえしを防ぐための位相エンコードオーバーサンプリングも不要。 ブラーリングアーチファクトの低減:従来法と同じ空間分解能のためには、エコートレイン数を短くできる。 モーションアーチファクトやフローアーチファクトの低 減:関心 領 域外を励 起 しないため、アーチファクトの混 入が減る。 B 0 補正:パラレル送信による柔軟な RF 位相制御により、B 0 不均一を補正する。 フォーカス B 1 シミング:B 1 シムの最適化を局所励起した体積に狙って行えば、精度が向上する。 B 1 ミティゲーション:静 的 な B 1 シミングでも解 決 しきれない B 1 不 均 一 を、パラレル送 信 により改 善 する。 【 syngo ZOOMit の撮 像 機 能 】 局 所 励 起 アプリケーション syngo ZOOMit では、現 在 は次 の 2 種 類 の撮 像 方 法 が可 能 である。 1.EPI 局 所 励 起 による撮 像 によってデー タサンプリング時 間 を短 縮 することが 可 能 となり、位 相 分 散 が小 さくなるこ とでゆがみの少 ない画 像 を得 ること ができる。前 立 腺 など、解 剖 学 的 画 像 と拡 散 強 調 画 像 (DWI)を重 ね合 わせて診 断 する部 位 においては、 図 3 前立腺 DWI 例 DWI のゆがみが少 ないことで診 断 能 の向 上 が期 待 される(図 3)。また、よ り面 内 分 解 能 の高 い DWI が可 能 と なり、従 来 法 の最 適 化 されたプロトコ ZOOMit によ る DWI は 、 形 態 画 像 と 輪 郭 線 が 良 く 一 致 してい る。一 方 で従 来 法 では前 立 腺 がんの主 な好 発 部 位 である辺 縁領域で特に歪みが見られる。 ルに比 べて 30%程 度 空 間 分 解 能 を 上 げることが可 能 である(図 4)。腎 臓 の場 合 においては心 拍 および呼 吸 の アーチファクトを低 減 するメリットもあり、 さら に は 画 像 のブ ラ ーリ ングも 低 減 さ れている。また、脳 機 能 画 像 (fMRI) ではス ライ ス 全 体 を 励 起 した 場 合 と 比 べて、賦 活 領 域 の信 号 強 度 変 化 がより明 瞭 になる(図 5)。 図 4 腎 臓 DWI 例 ZOOMit の例 では面 内 分 解 能 が約 30%向 上 している。 画 像 提 供 :CBI,New York City, USA - 23 - 新製品・新技術 2.3D TSE( syngo SPACE) syngo ZOOMit では EPI だけで なく解 剖 学 的 画 像 を 撮 像 できるとこ ろ が 特 長 的 で あ る 。 Variable Flip Angle 法 による 3D TSE 撮 像 アプリ ケーションである syngo SPACE は 従 来 の 3D TSE と比 較 してより短 時 間 で T 2 ブラーリングを抑 えた 3D 高 分 解 能 撮 像 が可 能 である。図 6 に示 した腰 椎 の 3D TSE 画 像 では、同 一 図 5 fMRI 例 分 解 能 での撮 像 において FOV をズ ZOOMitによる例では賦活信号の向上が得られている。 ームすることにより撮 像 時 間 が3分 の 2 に短 縮 された。さらに MPR による コロナル像 を比 較 すると、ズーム撮 像 においてブラーリングがより小 さく高 精 細 な画 像 が得 られていることが分 かる。エイリアシング回 避 のために大 きな領 域 を撮 像 する必 要 がなくなる ため、ルーチン検 査 における 3D 撮 像 の時 間 が短 縮 されることはメリットが 大 きい。関 節 や骨 盤 腔 では 3D 高 分 解 能 撮 像 のメリットが広 く認 識 されて 図 6 腰椎の syngo SPACE(3D TSE)例 いることから、局 所 励 起 の技 術 により 撮像時間が 2/3 になり、ブラーリングも低減されている。 臨 床 検 査 に おい て 3D 撮 像 を より 気 軽 に使 用 可 能 となり、3D 撮 像 の臨 床 メリットを実 際 に享 受 しやすくなることが期 待 される。 【おわりに】 シーメンスは他 社 に先 駆 けて、関 心 領 域 を選 択 的 に励 起 し撮 像 するアプリケーション syngo ZOOMit を製 品 化 した。この画 期 的 な技 術 により、従 来 の MRI 撮 像 で問 題 となっていた高 空 間 分 解 能 化 に伴 う撮 像 時 間 の延 長 や、呼 吸 やフローアーチファクト、EPI DWI でのひずみの問 題 の低 減 および解 決 が可 能 であ る。このアプリケーションでは EPI シーケンスに加 えて、 syngo SPACE による解 剖 学 的 画 像 も得 られるところ が臨 床 上 重 要 であり、今 後 は様 々なアプリケーションへの応 用 が計 画 されている。こうした特 長 から、中 枢 神 経 領 域 や関 節 領 域 、腫 瘍 学 領 域 を始 めとする様 々な臨 床 領 域 において、より空 間 分 解 能 が高 く、よりアー チファクトの小 さい、臨 床 価 値 の高 い画 像 を提 供 することが可 能 になったと考 える。今 後 も様 々なイノベーシ ョンを通 じ、当 社 は臨 床 的 な付 加 価 値 の高 い製 品 を提 案 し続 けたいと考 えている。 【参 考 文 献 】 1) Alley MT et al. Angiographic Imaging with 2D RF pulses. Magn Reson Med 1997;37:260-267. - 24 - 新製品・新技術 11. Monte Carlo 計算を用いた CT 線量計算ソフトウェア‒ ImpactMC 東 洋 メディック㈱ 黒田 武弘 【背 景 】 医 療 放 射 線 の被 ばくに関 しては、 昔 から学 会 等 で論 じられている。最 近 では、医 療 関 係 者 以 外 でも 関 心 を持 っている方 が多 い。病 院 で CT による診 断 を受 けた後 、自 分 が受 けた被 ばく線 量 はどれくらいか 放 射 線 技 師 に 尋 ね る 方 が い る と 聞 く 。 CT の 被 ば く 線 量 を 示 す 指 標 の ひ と つ に CTDI ( Computed Tomography Dose Index)がある。しかし、CTDI から被 ばく線 量 を求 めることは難 しい。 【方 法 】 ImpactMC は、仮 想 空 間 に CT 装 置 を作 り、撮 影 した患 者 CT 画 像 やファントム CT 画 像 を用 いて CT 撮 影 時 の線 量 分 布 を Monte Carlo 法 で計 算 するソフトウェアである。市 販 されている他 の CT シミュレー ションソフトウェアの多 くは、決 められたファントム画 像 を用 いて Monte Carlo 法 または、Monte Carlo 法 で計 算 したデータを用 いて決 められた CT 装 置 の被 ばく線 量 を計 算 する。これらのシミュレーションソフトウ エアで計 算 される線 量 は、使 用 されたファントムにおける線 量 なので汎 用 性 が少 ない。 ImpactMC は、取 り込 んだ CT 画 像 を用 いて線 量 計 算 するため実 用 的 である。例 えば、CT 撮 影 した 患 者 の CT 画 像 を使 って線 量 計 算 をすれば、その患 者 の体 内 での線 量 分 布 が精 度 良 く推 測 でき、その 値 か ら 被 ば く 線 量 が 算 出 で き る 。 計 算 に 時 間 の か か る Monte Carlo 法 に よ る 線 量 計 算 は 、 GPU (Graphics Processing Unit)を使 うことにより約 70 分 かかる線 量 計 算 時 間 を約 1.3 分 に短 縮 できる。 また、最 近 の CT 装 置 で装 備 される TCM(Tube Current Modulation)機 能 は、ImpactMC でシミュ レーション可 能 である。 図 1 CTDI ファントムを使 用 した場 合 図 2 人 体 CT 画 像 を使 用 した場 合 【まとめ】 ImpactMC は、取 り込 んだ CT 画 像 の線 量 分 布 を Monte Carlo 法 で計 算 するため、精 度 の高 い結 果 が得 られ、GPU を使 用 することにより計 算 時 間 を短 くすることができる。ImpactMC は、速 く、精 度 良 く 被 ばく線 量 を求 めるためのソフトウェアである。 - 25 - 新製品・新技術 12. 新しい EPID を用いた患者 QA−Dosimetry Check 東 洋 メディック㈱ 黒田 武弘 【背 景 】 放 射 線 治 療 において品 質 管 理 (以 降 QA と呼 ぶ)は欠 かせないものである。 特 に高 度 放 射 線 治 療 に おいては治 療 計 画 と同 じ治 療 ができるように必 ず患 者 毎 に 照 射 の条 件 や 線 量 を確 認 してから治 療 が行 われているのがふつうである。しかし、それには多 くの時 間 とコストがかかる。 EPID(Electric Portal Imaging Device)は、現 在 、放 射 線 治 療 装 置 には標 準 で装 備 されており、 患 者 の照 射 位 置 を確 認 するために使 われている。 図 1 EPID(Electric Portal Imaging Device) 【方 法 】 EPID から出 力 されるのは、画 像 データであり、線 量 データではない。この画 像 データから入 射 フルエン スに変 換 する方 法 は、AAPM(American Association of Physicists in Medicine)等 でも論 文 として発 表 されている。EPID の画 像 を体 内 に入 射 する前 のフルエンスに変 換 し、そのフルエンスから線 量 計 算 プロトコルを用 い て CT 画 像 から 線 量 計 算 す ると 患 者 照 射 ビー ムでの 結 果 となり、治 療 直 前 の 患 者 治 療 計 画 QA となる。Dosimetry Check では、 計 算 速 度 を短 くする ため、ペンシルビーム法 を 採 用 している。Dosimetry Check は、治 療 の流 れの中 で、短 時 間 で終 了 する。また、そのビームが治 療 中 の患 者 の体 を通 過 したビームであれば、照 射 した状 態 を検 証 することができる。照 射 の結 果 は、2D だけ でなく、3D でも表 示 される。 図 2 フルエンス画 像 - 26 - 新製品・新技術 図 3 解 析 結 果 の表 示 【まとめ】 Dosimetry Check は、EPID を用 いて簡 単 に早 く患 者 治 療 計 画 の QA を行 うことができるソフトウェ アである。EPID に入 射 するビームは、患 者 に照 射 する前 のビームであれば、照 射 前 の事 前 検 証 が行 え、 照 射 中 のビームであれば、照 射 後 の検 証 が行 える。Dosimetry Check は、外 部 放 射 線 治 療 の全 てに 使 用 することができ、IMRT、VMAT 問 わず、患 者 治 療 計 画 の QA が行 えるソフトウェアである。 - 27 - 新製品・新技術 13. 双方向通信システム iMagによる MRI室内におけるリスクの最小化 スター・プロダクト㈱ カメロン・ドナルド 【はじめに】 医療従事者が最も考慮することは、診断のために患者の状態を最大限に把握し、適切な治療を行うこと である。しかしながら、検 査 時 や治 療 時 に起 こりうるリスクを最 小 限 に抑 える必 要 と、バランスを取 ることが重 要である。さらには、リスク軽減と共に、治療の快適さそのものを向上させることが、包括的な治療過程の向上 につながり、患者の容態を良好に導く助けとなるだろう。 現 在 行 われている検 査 のうち、MRI 検 査 は、診 断 の妥 当 性 と治 療 効 果 の確 認 のために欠 くことのできな い医学検査の 1 つである。しかし、患者に過度の緊張とストレスを与える検査となる側面が問題となっていた。 双 方向 通 信 システム iMag は、治 療過 程における MRI 検 査 時のリスク管 理と快 適度の向 上を目的とし、開 発されることとなった。 【開 発 過 程 】 双方向通信システム iMag のようなテクノロジーは、MRI 室内で起こりうるリスクを相当程度抑え、患者の 治療過程における快適さの向上にもつながるものである。このコミュニケーション・システムの開発にあたり、次 に述べる問題の克服が課題となった。 1. 患者側の MRI 室内における問題 ① 通常のコミュニケーションが不可能な騒音に晒されること ② MRI 装置内の狭い空間で、心理的圧迫感に耐える必要があること 2. 医療従事者側の MRI 室内における問題 ① 患者を近距離で観察することができず、容態の確認が不可能なこと ② 患者に口頭で指示を出すことが不可能なこと これらは通 常 の MRI 検査 とともに、fMRI 検 査・手 術においても問題となる課 題である。fMRI 検 査・手 術時では高騒音下に長時間さらされるため、患者に与えるストレスが大きくなると同時に、リスクも高くなる。患 者と医療従事者双方のコミュニケーションの重要性が増している現在、改善が必要になると考えられる課題 である。 上記の問題を克服するコミュニケーション・システムを開発するにあたり、技術的観点から問題となった課 題を以下に挙げる。 課題 1. シールドで厳重に遮断された MRI 室と操作室との間で、双方向音声信号の送信を可能にすること 課題 2. 騒音レベルが高い環境下での操作を可能にすること 課題 3. MRI 装置の 200 ガウス圏内へ金属が配置されないようにすること 課 題 1 は、MRI 施 設 の構 造 とレイアウトに依 存 している。iMag はそれに基 づき、光 ファイバー、赤 外 線 、 2.4GHz 無 線 の3 つを利 用 できるよう設 計 され、製 品 本 体 自 体 が MRI 室 内 の環 境 に耐 えられる設 計 がさ れた。また、患者へどのような音声信号を送るべきかについては、様々な調査を重ね、音声出力の優先順位 を下 記 のように定 めた。これら3 つに分 類 した音 声 信 号 が自 動 的 に切 り替 わることは、リスク管 理 上 絶 対 条 - 28 - 新製品・新技術 件となり、それを考慮した内容となっている。 優先順位 1. 操作室に設置するマイクロフォンからの出力 マイクロフォンは医療従事者が患者と口頭でコミュニケーションを取る際に使用される。患者または医療 従事者がマイクロフォンを使用する際、iMagは他の入力を無視し、マイクロフォンを第一に優先する。 優先順位 2. 自動音声指示 MRI 装 置 には、自 動 音 声 指 示 を患 者 へ与 える機 能 を持 つものがあり、システムが指 示 内 容 に伴 う 作動を行うよう同期されている点を考慮する必要がある。 優先順位 3. 音楽 患 者 が閉 所 で感じる緊 張 を和 らげるため、他 の音 声 機 器 (例 :CD プレーヤ)から音 楽 再 生 が行 わ れることに関しては、優先順位を低く定めた。 患 者 と医 療 従 事 者 間 で即 座 に会 話 が可 能 なこと は最 優 先 事 項 であり、また、音 声 が明 瞭 に聞 こえるこ とが不 可 欠 である。上 記 3 つの課 題 に伴 い、患 者 が 装着するヘッドフォンは、金属パーツを取り除き、ヘッド コイルに入ることを考慮した薄型が開 発された。また、 MRI 装 置 の 200 ガウス圏 内 には金 属 を配 置 できない ため、操 作 室 のマイクロフォンと患 者 間 との音 声 伝 達 は空 気 圧 で行 う必 要 があったが、チューブの材 質 はこ の問 題 の解 決 に適 し、かつ、クオリティの高 い音 声 が 伝達できるものを選んでいる。さらには、空気圧での音 図 1 iMag ラインナップ 声 伝 達 を行 うため、特 殊 なオーディオアンプを開 発 し、 クオリティの高い音声伝達を実現した。 患 者 が聞 く、これらすべての音 声 を医 療 従 事 者 が 確認できるよう、iMag は操作室内のスピーカから、同 じ音声を同時出力させることができるよう開発された。 音 声 を快 適 に聞 き取 ることができるよう、MRI 室 と操 作 室 両 方 で、すべてのボリューム調 節 が可 能 となって いる。 図 2 操 作 パネル 優先 順位 2 に関しては、自動 音声を検出し、これを音楽に優 先させる機能が必要である。自動音 声シス テムには自 動 音 声 のみの出 力 と、自 動 音 声 とコントロール信 号 を出 力 する 2 種 類 のシステムがある。自 動 音 声 のみの場 合 、iMag は自 動 音 声 を監 視 するシステムによって、自 動 音 声 の出 力 が終 わった際 には音 楽 へ 自動的に切り替わる仕様となっている。 【まとめ】 当 社は、iMag が MRI 検 査 時における医 療 従 事 者 と患 者 とのコミュニケーション向 上の一 助となり、検 査 時に起こりうる様々なリスクの最小化に貢献すると確信している。さらに、患者にとって、医療従事者および家 族とのコミュニケーションが可能であることは、検査時のストレスを軽減し、治療 過程の快適 度向 上 に役立つ だろう。 - 29 - 新製品・新技術 14. JPI グリッド最適化システム(Optimization System) Jpi ジャパン㈱ 良知 義晃 【はじめに】 フィルム画 像 により Ⅹ 線 グリッドを評 価 する際 は、製 造 過 程 で起 きたキズや均 一 度 などの評 価 が中 心 で 、 フ ィ ル ム と グ リ ッ ド 間 の 干 渉 に よ る モ ア レ は 問 題 に な ら な か っ た 。 し か し 、 DDR ( Direct Digital Radiography)のディテクタの解 像 度 が 143μm 以 上 になり、グリッドも高 いライン周 波 数 ( 格 子 密 度 ) が必 要 になってくるとモアレ等 の問 題 が顕 在 化 するようになった。 今 回 、当 社 はデジタル環 境 下 における X 線 機 器 に対 するグリッドの最 適 化 理 論 を研 究 し、モアレやグ リ ッ ド の ラ イ ン ア ー テ ィ フ ァ ク ト の な い 画 像 が 提 供 で き る グ リ ッ ド の 「 最 適 化 シ ス テ ム ( Optimization System)」の開 発 に成 功 したので紹 介 する。 【グリッド最 適 化 システム詳 細 】 CR の場 合 、IP(Imaging Plate)の解 像 度 が低 かった時 は、グリッドは静 止 型 を用 いてグリッドライン 除 去 ソフト(Grid Suppression Software)を使 っていなかった。しかし、IP の解 像 度 が高 くなるにつれ、 グリッドライン除 去 ソフトを使 用 することが多 くなった。ソフトウェアを使 用 することでグリッドのライン周 波 数 と類 似 の減 衰 係 数 をもつ画 像 の要 素 を歪 曲 する現 象 が起 き、画 像 に影 響 を及 ぼしている。 DR の場 合 、DDR では a-Se タイプの Photo Conductor によりⅩ 線 が電 気 信 号 に変 換 されるが、ディ テクタの感 度 が良 いため、ディテクタのサンプリング周 波 数 とグリッドのライン周 波 数 が完 全 に一 致 しない とモアレが発 生 してしまう。しかし、完 全 一 致 をさせることは非 常 に困 難 なため、運 動 型 グリッドを使 用 す る。IDR(Indirect Digital Radiography)では、ディテクタのサンプリング周 波 数 以 上 のライン周 波 数 をもつグリッドを用 いなければモアレが発 生 してしまう。 上 記 のような現 状 から、当 社 はモアレを取 り除 く方 法 を研 究 する必 要 があった。研 究 の結 果 、グリッド のライン周 波 数 とディテクタのサンプリング周 波 数 との一 致 性 と遮 断 周 波 数 (Cutoff Frequency)概 念 の導 入 が最 適 化 のメカニズムを説 明 するにあたり必 要 なことがわかった。 ◇モアレ除 去 のメカニズムと NPS(Noise Power Spectrum)分 析 上 記 で述 べたように、最 初 のメカニズムとして、ディテクタのサンプリング周 波 数 とグリッドのライン周 波 数 が一 致 する場 合 、モアレが発 生 しない最 適 な条 件 となる。 - 30 - 新製品・新技術 図 1 理 想 的 なグリッドライン周 波 数 次 のメカニズムとして、グリッドのライン周 波 数 がディテクタの遮 断 周 波 数 以 上 に高 くなる場 合 、モアレ が 発 生 し な い 最 適 な 条 件 と な る 。 例 え ば 解 像 度 が 3.4lp/mm の デ ィ テ ク タ で は 、 適 用 さ れ る グ リ ッ ド は 3.9lp/mm より高 いライン周 波 数 を持 たなければならない。 一 方 、IDR のシンチレータの均 一 度 が向 上 し、MTF および DQE の性 能 が改 善 されたことにより、DDR におけるグリッドとディテクタの干 渉 と類 似 の現 象 が発 生 した。したがって、当 社 ではグリッドによる画 像 欠 陥 を NPS 分 析 し、モアレのないグリッドを選 定 することが必 要 となった。 ディテクタの性 能 改 善 において、モアレ周 波 数 はディテクタのサンプリング周 波 数 によって減 少 や増 加 する傾 向 があるため、モアレ周 波 数 が 0 になる地 点 で NPS 分 析 を用 い、グリッドを選 定 する。 このモアレ除 去 のメカニズムと NPS 分 析 を用 いたグリッドの選 定 過 程 をグリッドの「最 適 化 システム」と 言 う。 図 2 NPS によるモアレ周 波 数 測 定 【まとめ】 ディテクタとグリッドの相 関 関 係 によって、モアレは必 ず発 生 するものである。モアレの改 善 のためには高 いライン周 波 数 のグリッドを使 用 し、グリッド最 適 化 システムによってモアレおよびグリッドのラインアーティフ ァクトが起 きない最 適 化 されたグリッドを選 定 する必 要 がある。 5 万 件 以 上 のデジタル画 像 データを用 いた研 究 によって生 まれた、この JPI グリッド最 適 化 システムを 活 用 することで、さらに高 画 質 な画 像 が取 得 できる。また画 像 診 断 装 置 開 発 や病 院 でのグリッド選 定 の 際 、時 間 とコストの削 減 に対 する高 い効 果 が期 待 できる。 - 31 - 新製品・新技術 15. 乳 腺 総 合 画 像 診 断 環 境 XTREK MAMMO の新 機 能 -Tomosynthesis と Dynamic MAMMO MR 解析アプリケーション㈱ジェイマックシステム 開 発 部 クリニカルサイエンス 森 祐生 【背 景 】 乳腺画像診断には、Tomosynthesis を初めとする新しいモダリティや Dynamic MRI、US など複数の モダリティから得られた画像を複合的に観察、読影することが必須となっている。当然、観察するためのビュー ワや解析アプリケーションには、よりストレスなく表示でき、効率よくそれらの画像からの情報を得られることが求 められる。本稿では XTREK MAMMO の新機能としてマンモグラフィ画像と比較読影しやすいトモシンセシ ス 表 示 機 能 、 お よ び 、 XTREK VIEW の 新 機 能 と し て 再 現 性 と 読 影 効 率 に 優 れ た Dynamic MAMMMO MRI 解析アプリケーション Breast Parametric Mapping を紹介する。 【トモシンセシス表 示 機 能 】 XTREK MAMMO ではマンモグ ラフィ画 像 と トモシンセシス画 像 を同 一ビューに表示し効率よく読影できる TOMO 画 像 ボタン ように様々な工夫を行っている。 1.自 動 識 別 ・自 動 表 示 機 能 画像の自動識別機能として、 Breast Tomosynthesis の Image Storage SOP Class UID に対応し ていることに加 え、DICOM タグからト モシンセシス画 像 を識 別 する当 社 独 自のロジックを採用。自動でトモシンセ 図 1 マンモグラフィ画 像 表 示 シス画 像 をマンモグラフィ画 像 と共 に XTREK MAMMO に表示する。 2.ミラー(鏡 面 )表 示 スライスインジケータ 比 較 読 影 の妨 げになる濃 度 の変 化 (白 黒 反 転 の頻 度 )を抑 えるため にマンモグラフィ画 像に対 しトモシンセ シス画像を鏡面つまりミラー表示を採 用している。 3.オートスクロール機 能 MG TOMO サムネイルビュー トモシンセシス表 示 モードに切 り替 えると自 動 でスクロールが開 始 する。 図 2 マンモグラフィ画 像 +トモシンセシス画 像 表 示 このオートスクロール表示で全体像を観察した後、詳細を静止画像で観察することが可能である。 - 32 - 新製品・新技術 4.サムネイルビューとスライスインジケータ 静 止 画 像 での読 影 時 には別 画 面 に読 影 断 面 の前 後 像 数 枚 が表 示 されるサムネイルビューを採 用 して いる。また、サムネイル表示の上部にはスライスインジケータを表示し、読影中の断面が乳房のどの位置の断 面なのかを直感的に把握しやすくしている。 【Breast Parametric Mapping】 Breast Parametric Mapping は Time Intensity Curve(以下、TIC)と違い、ROI を設定する必要 がない、全時 相の画 像を観 察する必 要がない、手 順が簡 便で結 果が表 示 されるまでに時 間がかからない、 といった特長がある手法である。 1.直 感 的 な血 流 状 態 の把 握 Dynamic MR MMG の撮像プロトコル は施 設 毎 に異なるが、本 法では造 影 前 (時 間 T0)、造 影 早 期 相 (約 60-120 秒 後 の T1 ) 、 造 影 遅 延 相 ( 約 300-420 秒 後 の Tn)を用い、時相 T1 での信号強度と時相 Tn での信号強度の変化の傾き(k)をすべ て の Voxel に つ いて 計 算 す る 。 信 号 強 度 変化の傾き k=0 の場合を緑、k>0(正)の 場 合 を青 、k<0(負 )の場 合 (悪 性 の疑 わ れ る 病 巣 ) を 赤 と し 時 相 T0 の 画 像 上 に 512 諧 調 で カ ラ ー 表 示 す る ( 以 下 、 Mapping 画 像 ) 。 腫 瘍 内 部 の 血 流 変 化 が Voxel 単 位 で 視 覚 化 さ れ る た め 、 Mapping 画像を観察するだけで、直感的 図 3 512 諧 調 でのカラー表 示 に血流変化を把握することができる。 2.読 影 の効 率 化 TIC では 1)解 析 に多 くの手 順 と時 間 T0 T1 Dynamic MR MMG Tn を要する。 2)解析結果に再現性がない。 といった問 題 点 が指 摘 されている。それに 対し、本法ではワンクリックで計算が自動で 実 行 され、数 十 秒 で Mapping 画 像 が表 示 されるため、TIC を用 いた従 来 法 に比 べ 読 影 効 率 が良 いといわれている。また、解 析 結 果 が自 動 で計 算 されるためカラー表 Mapping 画 像 示の再現性に優れている。 図 4 Parametric Mapping 表 示 例 【おわりに】 当社ではトモシンセシス表示や Breast Parametric Mapping など新しい表示法、新しい解析手法に 対応し診療に求められている統合画像診断環境の構築と提供を目指している。 - 33 - 新製品・新技術 16. DynamicStentView の紹介 ㈱島津製作所 医用機器事業部技術部 酒井 滝人 【はじめに】 近年、血管造影装置を用いて血管内の治療を行う手法(Interventional Radiology,以後 IVR)が広 く普及しており、血管狭窄のある症例では、バルーンにより狭窄部を血管内部より押し広げると同時にステン トという網状のデバイスを血管内壁に密着するように留置することで、血管を内部から保持する手技が主流 となっている。動 脈 硬 化 が進 行 した患 者 では、過 去 に留 置 したステントの近 辺 に新 たな狭 窄 が発 生 する症 例が多く、この場合、過去のステントにつなげて新たなステントを留置(図1)する必要がある。しかし、ステント は非常に薄い構造のため、視認性が低く正確な位置決めに時間を要した。 今回、この問題に対し、新たなステント設置のためのマーカを利用することで、設置するステントおよび過去 のステントをリアルタイムに強調表示することのできる支援ソフトウェア DynamicStentView を開発したので 紹介する。なお、本機能は BRANSIST safire および Trinias シリーズにオプション搭載されている。 マーカ 新たなステント 過去のステント 図 1 ステントの留置 【方 法 】 DynamicStentView では、視認性の低いステントを強調表示するために各画像フレーム単位での強調 処 理 と併 せて直 前 の数 フレームの画 像 情 報 も利 用 している。しかし、冠 動 脈 が対 象 部 位 という性 質 上 、心 臓の脈動と共にステントが動いてしまう。このため個々のフレームから基準となる物体を正しく検出し、検出し た物体が同一位置になるように補正した上で、フレーム間処理を行う必要があった。 そこで、DynamicStentView では視認性が低く位置検出が困難なステントではなく、バルーンの位置を 示すために付加されているマーカを検出することにした。これはバルーンが IVR の最も基本的なデバイスの 1つであり、単独あるいは留置用のステントを装着した状態で狭窄部を広げるために対象部位に送り込まれ るため、基準として好都合であることによる(図 2)。 また、ユースケースの検討結果から、DynamicStentView では収集中にリアルタイムにステント強調表示 することを目指した。このためには全ての処理を短時間(33ms 以内)に抑えながら誤検出を防がなければな らず、マーカの形 状 や振 る舞 いを元 に効 率 的 に類 似 物 を排 除 し目 的 のマーカを検 出 するアルゴリズムを開 発した。 - 34 - 新製品・新技術 時間 ② 原画像 ① ③ ④ ① ② ⑤ ⑥ ⑦ マーカを検出 マーカを基準に 加算処理 ステント強調画像 ③ 図 2 マーカを元に複数の元画像からステント強調画像を生成 【結 果 】 DynamicStentView では最大毎秒 30 フレームの収集に対して、視認性の低い留置済みのステントをリ アルタイムに強 調 処 理することが可 能 となった(図 3)。マーカを検 出してその周 辺 部を強 調することにより、 追加留置するステントの位置確認のみならず、既存のステントの形状も容易に把握できる等、応用範囲の広 い有用な機能である。 図 3 臨床画像 (左:元画像、右:ステント強調画像) (画像提供:財団法人 平成紫川会 小倉記念病院) - 35 - 新製品・新技術 17. X 線 CT 装置 Aquilion ONE TM / ViSION Edition の開発 東 芝 メディカルシステムズ㈱ ○椋 本 豪 、 風 間 正 博 、 杉 原 直 樹 、 渡 邉 尚 史 【はじめに】 320 列 Area Detector X 線 CT 装 置 「Aquilion ONE」は 2007 年 の発 表 以 来 、「被 ばく低 減 と高 画 質 を両 立 した逐 次 近 似 応 用 技 術 AIDR 3D (Adaptive Iterative Dose Reduction 3D)」、「1 回 転 で 160mm を撮 影 するボリュームスキャンを生 かした臨 床 アプリケーション」、「広 範 囲 撮 影 や救 急 撮 影 を 高 速 撮 影 する ため の 160 列 高 速 ヘリカル ス キャン」をは じめ とし た 開 発 を 経 て 臨 床 価 値 向 上 の可 能 性 を 追 求 し て き た 。 今 回 、 こ の Aquilion ONE の 技 術 を 継 承 し 、 さ ら な る 高 回 転 ・ 高 出 力 、 操 作 性 ・スループット向 上 を実 現 したシステム Aquilion ONE / ViSION Edition を開 発 した。 図 1 Aquilion ONE/ViSION Edition システムの装 置 外 観 【特 長 】 1. 0.275 sec/rot Fast Volume Scan 架 台 回 転 最 高 速 度 を従 来 の 0.35sec/rot から 0.275sec/rot に向 上 させた。これにより時 間 分 解 能 は 137.5ms となり、心 臓 撮 影 においてより高 心 拍 まで対 応 できるようになった。0.275sec/rot にすること で遠 心 加 速 度 は最 大 48G にまで増 大 するため、ガントリの再 設 計 を行 い剛 性 強 化 ・低 振 動 化 を実 現 している。また流 体 騒 音 解 析 を基 にガントリ形 状 を見 直 し、従 来 の Aquilion ONE よりも静 音 化 がさら に向 上 したものとなっている。 2. 90kW 新 型 X 線 管 ・発 生 器 0.275sec/rot 撮 影 に必 要 不 可 欠 な高 出 力 ・高 速 回 転 に対 応 可 能 な X 線 管 /高 圧 発 生 器 を新 規 に 開 発 し た 。 内 部 構 造 と 制 御 を 最 適 化 し 、 大 焦 点 で の 最 大 出 力 は 90kW(120kV/750mA, 100kV/900mA)とし、小 焦 点 での適 用 条 件 は最 大 出 力 値 ・連 続 ばく射 可 能 時 間 ともに拡 大 した。 3. 780mm Wide Bore 光 学 系 ユニットの小 型 化 とスリット制 御 の精 度 向 上 により、ガントリ開 口 径 をクラス最 大 の 780mm とし た。これにより患 者 への圧 迫 感 低 減 やストレス改 善 、CT 透 視 等 における作 業 領 域 の確 保 を見 込 むこと ができる。 4. Quantum Vi Detector 0.275sec/rot 化 のために検 出 器 ・DAS システムも新 規 に開 発 した。 検 出 器 では高 精 細 極 薄 コリメ ー タ を 採 用 し て 20% の 散 乱 線 抑 制 を 行 っ て い る 。 ま た DAS シ ス テ ム の 超 高 速 収 集 設 計 を 行 い 、 最 大 - 36 - 新製品・新技術 2910view/sec 収 集 を可 能 とした。耐 G 設 計 による高 剛 性 化 もそれぞれに図 っている。 5. 画 像 再 構 成 性 能 向 上 再 構 成 ユニットで使 用 するハードウェア・ソフトウェアを最 適 化 し、再 構 成 速 度 を向 上 させた。最 大 で Volume スキャンは 60 枚 /秒 、Helical スキャンは 50 枚 /秒 を実 現 している。 6. CT 透 視 Volume スキャンの搭 載 (オプション) Area Detector の特 長 を CT 透 視 にも生 かすため、Volume スキャンを追 加 した。スキャン後 に再 構 成 された画 像 が自 動 で MPR 表 示 され、穿 刺 針 ・対 象 の 3 次 元 的 な位 置 情 報 を即 座 に把 握 すること ができる。これに加 えて、 検 査 中 に 撮 影 して 作 ら れた画 像 を 用 いて 簡 便 に寝 台 位 置 指 定 ・移 動 が可 能 である。また、スキャン連 動 で AIDR 3D の指 定 が可 能 である。 図 2 CT 透 視 Volume スキャン画 面 7. 操 作 性 ・スループット向 上 のための新 規 ・改 良 機 能 ・新 参 照 用 高 速 再 構 成 スキャン収 集 中 に再 構 成 を開 始 し、スキャン終 了 直 後 に即 座 に画 像 を確 認 できる新 再 構 成 機 能 を 搭 載 した。救 急 時 の撮 影 に特 に有 用 である。 ・新 生 データ処 理 過 去 に撮 影 した検 査 プロトコルを再 現 表 示 することで、追 加 再 構 成 時 の操 作 性 改 善 を図 った。過 去 の検 査 の全 体 像 の把 握 が容 易 になり、処 理 対 象 の特 定 が従 来 よりも早 く・正 確 に行 うことができる。 ・肺 野 Hybrid 関 数 胸 部 CT 撮 影 において従 来 別 々に再 構 成 をしていた縦 隔 条 件 と肺 野 条 件 の両 方 を満 たす Hybrid 関 数 を搭 載 した。これにより、再 構 成 時 間 、読 み込 み等 に要 する処 理 時 間 の短 縮 と、画 像 保 存 サーバ の負 荷 軽 減 が見 込 まれる。 【まとめ】 本 システムの開 発 により、Area Detector、AIDR 3D をはじめとした従 来 の Aquilion ONE 技 術 に 加 え、さらなる被 ばく低 減 、心 臓 領 域 への適 応 の可 能 性 を提 供 することができたと考 えている。 今 後 、より一 層 の患 者 への負 担 軽 減 と臨 床 価 値 向 上 を目 指 して開 発 を続 けていく。 - 37 - 新製品・新技術 18. X 線 CT 装置 Aquilion TM PRIME の開発 東 芝 メディカルシステムズ㈱ ○近 藤 玄 、 新 野 俊 之 、 杉 原 直 樹 、 渡 邉 尚 史 【はじめに】 64列 以 上 のマルチスライスCTは心 臓 の精 密 検 査 から、ルーティン検 査 、救 急 検 査 など幅 広 い領 域 に使 用 されており、その使 用 環 境 は多 様 である。それらのニーズに応 えるため、当 社 は2010年 に80列 マ ルチスライスCT Aquilion PRIMEを製 品 化 した。 今 回 、このAquilion PRIMEの基 本 性 能 を継 承 し、コンパクトで省 エネルギーに配 慮 した環 境 性 能 を有 し、かつ新 しい臨 床 アプリケーションを搭 載 して臨 床 価 値 を向 上 させた新 しい80列 マルチスライス CT Aquilion PRIMEを開 発 したので報 告 する。 図 1 Aquilion PRIME の装 置 外 観 図 【特 長 】 1. コンパクトなCT本 体 0.5mm×80列 検 出 器 、7.5MHU X線 管 、0.35秒 /回 転 、逐 次 近 似 再 構 成 法 を応 用 したAIDR 3D (Adaptive Iterative Dose Reduction 3D)の実 装 など基 本 性 能 は維 持 しつつ、本 体 内 ユニッ トを極 限 まで小 型 化 し、レイアウトを最 適 化 することで、当 社 従 来 比 で30%以 上 体 積 を削 減 したコンパ クトな本 体 を実 現 した。 単 位 mm Aquilion PRIME 高さ 幅 奥行き ドーム径 従来型 2030 2430 1070 780 新型 1870 2150 ※ 870 780 ※ 幅 2050mm とするシステム構 成 もある。 図 2 Aquilion PRIME 本 体 の大 きさ比 較 (写 真 手 前 が新 型 、奥 は従 来 型 ) - 38 - 新製品・新技術 2. 最 新 臨 床 アプリケーション (1)ダイナミックヘリカルスキャンシステム ダイナミックヘリカルスキャンにより連 続 往 復 撮 影 可 能 となる。 また、ダイナミックヘリカルスキャンに対 応 した患 者 最 大 搭 載 荷 重 300kg 寝 台 は、パーフュージョン やサブトラクション画 像 の位 置 合 わせ精 度 を向 上 させるために、天 板 スライド機 構 の剛 性 を上 げて、 位 置 再 現 性 を高 めた。 (2)ダイナミックヘリカル脳 血 流 解 析 ソフトウェア ダイナミックヘリカルスキャンにより収 集 した全 脳 の脳 血 流 データをパーフュージョン解 析 すること ができる。 3. スループット向 上 寝 台 には左 右 動 機 能 の搭 載 を可 能 とし、患 者 の位 置 合 わせを容 易 にした。 また 新 参 照 用 高 速 再 構 成 機 能 を標 準 実 装 し、スキャンと並 行 して再 構 成 を実 施 し、画 像 表 示 するこ とで、スキャン後 の画 像 確 認 をすぐに行 うことができるようになった。 これらの機 能 により患 者 の位 置 合 わせから開 放 までのスループット向 上 を実 現 した。 4. 呼 吸 ・息 止 めルックガイド 撮 影 時 に患 者 へ呼 吸 、息 止 めのタイミング、息 止 め残 り時 間 を知 らせる呼 吸 ・息 止 めルックガイドを、フットファ ースト(FF)撮 影 用 にCT本 体 前 面 に実 装 し、背 面 には ヘッドファースト(HF)撮 影 用 に反 対 向 きに実 装 すること で、患 者 の視 認 性 を高 めた。 FF 用 HF 用 i Stationと連 動 して呼 吸 ・息 止 め練 習 を これらは○ することが可 能 であり、患 者 にとってより優 しい機 能 を実 現 した。 図 3 呼 吸 ・息 止 めルックガイド 5. 環 境 配 慮 設 計 本 体 の小 型 化 に加 え、装 置 メンテナンスのためのスペースが最 小 限 になるように設 計 することで、検 査 室 の最 小 設 置 スペース14.8㎡を実 現 した。また、X線 出 力 60kWを標 準 として、X線 出 力 72kW、50.4 kWの2つのオプションを用 意 しており、病 院 の電 源 設 備 に合 わせて選 択 可 能 である。この省 スペース化 、 電 源 容 量 対 応 により、従 来 の4列 マルチスライスCTが設 置 されている検 査 室 へも、最 小 限 の改 修 工 事 で80列 マルチスライスCTの設 置 が可 能 となった。 【まとめ】 本 システムの開 発 では、ヘリカルCTの最 高 峰 80列 CTスキャナに新 しい臨 床 アプリケーションを加 えて 臨 床 価 値 を向 上 させた。また装 置 を省 エネルギーでコンパクト化 したことで、幅 広 い使 用 環 境 への適 用 が可 能 となった。80列 CTスキャナを一 層 普 及 させ、さらなる医 療 貢 献 を目 指 したい。 - 39 - 新製品・新技術 19. 骨組織透過テクノロジー ClearRead BS ㈱東 陽 テクニカ 画 像 システム部 大平 直隆 【はじめに】 日 本 国 内 において医 療 機 器の進 歩 はめざましく、院 内では CT、MR 装 置をはじめ様々な画 像 診 断 装 置 が配置され、日々多様な検査が行われている。その中で も CR、DR による胸部単純 X 線撮影は、国内の数 多 くの施 設 で受 けることができ、一 般 診 療 や検 診 において一 次 的 判 断 、スクリーニングを行 う検 査 として非 常 に重 要 な役 割 を果 たしている。また、日 本 人 男 性 の死 亡 率 トップである肺 がんの早 期 発 見 を目 的 とした 肺がん検 診 においても胸 部 単 純 X 線 撮 影が実 施 されている。このように他 検 査と比 較して最も一 般 的であ る胸 部 単 純 X 線 撮 影 でその検 出 能 を高 めることができれば、肺 がん等 の疾 患 をより低 いステージで診 断 で きるようになる。これを実 現 するためには、限 られた数 の医 師が検 診 等で撮 影される膨 大な撮 影 画 像 をどれ だけ正 確 に、さらにはどれだけ効 率 的 に読 影 していけるかを考 える必 要 がある。では実 際 にどのように検 出 率の向上を実現していけばよいのであろうか。 【特 長 】 1. 肺 全 体 の組 織 陰 影 の視 認 性 を劇 的 に向 上 させる骨 組 織 透 過 処 理 骨組織透 過 テクノロジーClearRead BS は、胸部単純 X 線画像から肋骨、鎖骨等骨組織を透過し、肺 全体の組織陰影の視認性を飛躍的に高める画像処理技術である(図 1、2)。これにより、骨組織に重なり検 出が困難であった肺結 節 や、異常陰影の視認が容易となる。元画像と併 せてこの骨組 織透過 後の画像を 読影することが、肺結節や異常陰影の検出率を向上させる強力な検出支援となる。 2. 1 枚 の画 像 から骨 透 過 処 理 を実 施 ClearRead BS はこの骨組織透過後 の画像を通常行う 1 回の撮影で得ることができる点である。現在市 場には 2 回のばく射を行い、そこから追加情報を得る検査装置も存在するが、ClearRead BS は一度の胸部 撮 影 のみから骨 組 織 透 過 画 像 という追 加 情 報 を得 ることができる。これにより、2 回 ばく射 で懸 念 された 1 回 目 と 2 回 目 の撮 影 間 に発 生 し得 る、呼 吸 による臓 器 位 置 の変 化 、体 の僅 かな捻 転 に起 因 して発 生 する画 質の低 下などを引き起 こすことは全くない。当 然 放 射 線 技師も撮 影 時にそのような特別 な意識を持 つ必 要 もなく、患者の撮影時における負担も従来通りである。その上で有益な追加情報を医師に提供することが可 能となる。 - 40 - 新製品・新技術 3. 全 自 動 画 像 処 理 機 能 ClearRead BS は、撮影装置と画像サーバ(PACS)の間に配置される、あるいは画像サーバのみに接続 される、専用 処 理サーバにて骨 組 織 透 過 処理 を行う。この処 理は医 師や技 師が意 識 することなく自 動で生 成され、元画像の同一検査の追加情報として付加される。医師側での表示には既存の画像ビューアがその まま使用でき、ワークステーションなどの専用端末は不要である。読影に要す作業量であるが、院内で使用し ている画像ビューアにもよるものの、マウスホイールを一回転させる程度の操作で元画像と骨組織透過画像 を迅速に切り替えられるため、医師の労 力が大きくなることはないと考えてよいだろう。このように医師は手間 をかけることなく、有益な追加情報を用いた読影が可能となる。さらに多くの医療機関や検診施設では、限ら れた医師が膨大な胸部単純 X 線撮影画像を観察しており、特に読影作業後半では集中力の低下は避け られない。そのような場合 でも骨組 織 透過 画像によりさらなる画像 確認が可能となり、検出 率の向 上に役 立 てることができる。 4. 撮 影 装 置 によらない柔 軟 な画 像 処 理 技 術 ClearRead BS は一回の撮影から得られた元画像から骨組織透過処理を行う。この処理は撮影直後の 画 像 にとどまらない。院 内 画 像 サーバに電 子 保 管 された胸 部 画 像 に対 しても同 様 の処 理 が可 能 である。さ らに撮 影 装 置 に依 存 することもない。そのため、既 に読 影 を行 った画 像 の骨 組 織 透 過 処 理 やその再 確 認 、 元画像との比較による教育などの応用も期待でき、幅広い場面で役立つ。 【おわりに】 現 在 国 内 では肺 がん検 診 をはじめ予 防 医 学 に力 が注 がれている。その中 で、骨 組 織 透 過 テクノロジー ClearRead BS は、医療機関における限られた医師数と膨大な撮影画像という背景のもと、検出率の向上、 検出の支援に最大限効果を発揮する全く新しい技術である。現在、同じく肺がんの早期発見を目的に、低 線量 CT による検診の普及といった取り組みも行われているが、それらとは別のアプローチとして、すでに医療 機関にあるリソースと設備で短期間に最大限の効果を得ることができる。ClearRead BS は、特に画像診断 専門医が少ない数多くの医療機関が持つ課題を解消することができる他に類を見ない画像処理ソリューシ ョンである。 図 2 ClearRead BS 処 理 後 図 1 胸 部 X線 撮 影 像 例 - 41 - 新製品・新技術 20. LSO-MPPC 検出器を用いたスペクトロサーベイメータの試作・開発 トーレック㈱ 製 品 部 ○伊 与 木 勉 、 佐 藤 公 悦 、 五 十 嵐 雅 美 【はじめに】 近 年、X線スペクトルの測 定にはテルル化カドミウム(CdTe)検 出 器が汎 用 されておりサーベイメータにも 採用されるようになってきた。しかし、X線フォトンの最大カウントレートは 10kcps 程度である。したがって当社 は最 大で 10Mcps のレートを目 指し LSO シンチレータとマルチピクセルフォトンカウンタ(MPPC)を組み合わ せた検出器 を開発し、高速電荷有感 式増幅器と組み合わせて LSO-MPPC スペクトロメータを試作 した。 またこれらのイベントパルスをカウンターに入力して高感度サーベイメータを構成した。 【特 長 】 LSO シンチレータの発 光 寿 命は 40ns 程 度ゆえ、電 荷 有 感 式 増 幅 器から発 生するイベントパルスの幅は 当初 100ns 程度であった。本開発では汎用マルチチャンネルアナライザー(MCA)に接続してX線スペクトル を測定 するため、増 幅 器 の時定 数を増し、パルス幅を 200ns 程度まで増 加させた。このスペクトロメータを用 いた場合の最大レートはサブ Mcps であるがレートは、5Mcps 程度まで容易に増すことができる。 LSO-MPPC は PET 用の検出器として用いられており、LSO の比重は 7.35 であることから高エネルギーの γ線やX線を容易に検出することができる。また高速 MCA の開発により透視条件(管電流が数 mA)にお けるX線スペクトルを測定することができる。さらに、LSO-MPPC はエネルギー弁別X線 CT、PET、SPECT などの検出器として有用である。 【仕 様 】 ・最大フォトンエネルギー : 1MeV ・最大カウントレート : 0.5Mcps(長いパルス幅)、5Mcps(短いパルス幅) ・検出面の大きさ : 1×1mm2 ・カウンタによる線量測定レンジ : 0.01 ・ Sv/h∼5mSv/h ・エネルギー分解能 : 20keV 程度 電荷有感式増幅器 小 型 MCA PC LSO-MPPC検 出 器 LCD付 きカウンタ 同 軸 ケーブル 図1 LSO-MPPC 検出器を用いた 2 種のサーベイメータの構成 - 42 - 新製品・新技術 図 1 は LSO-MPPC スペクトロメータを用いたサーベイメータの構 成を示している。X 線 やγ 線のフォトン が LSO 単結晶に入射して発生するシンチレーション光は MPPC によって検出される。MPPC で発生する光 電 流 は電 荷 有 感 式 増 幅 器 によって増 幅 されてイベントパルスとなり、パルスは MCA に入 力 されパソコン上 でスペクトルとして測 定 される。次 いで、MCA に入 力 されるイベントパルスをカウントして線 量 率 と積 算 線 量 を計算するまたイベントパルスを直接カウンターに入力することにより、線量のみを測定することもできる。 【おわりに】 LSO-MPPC 検出器、高速電荷有感式増幅器、MCA、放射線カウンターなどを組み合わせてγ・X線 用のスペクトロサーベイメータを試作した。当社で開発した LSO-MPPC 検出器チップをアルミケースに収納 し、 BNC コネクターを介 して増 幅 器 に接 続 したので、他 の検 出 器、たとえば YAP(Ce)-MPPC などと交 換 してスペクトルや線量を測定することもできる。 今回試作した LSO-MPPC 検出器のエネルギー分解能は 20keV 程度であったが、さらに改良を加えるこ とにより分解能を改善したい。 LSO−MPPC 検 出 器 ターンテーブル 電荷有感式増幅器 スキャンステージ 図 2 LSO-MPPC 検出器、電荷有感式増幅器 - 43 - 新製品・新技術 21. 医 用 画 像 表 示 モニタ「RadiForce RX440」の開 発 EIZO㈱ 品 質 保 証 部 技 術 管 理 課 橋本 憲幸 【概 要 】 4MP カ ラ ー LCD モ ニ タ RadiForce RX440 ( 以 下 、 「 本 製 品 」 と す る ) は 、 従 来 製 品 ( RadiForce RX430 ) の サ イ ズ ( 641.2 × 400.8mm ) 、 解 像 度 ( 2560 × 1600 = 409.6 万 画 素 ) 、 画 素 ピ ッ チ (0.2505mm)、推 奨 輝 度 (400cd/m 2 )、コントラスト比 (1100:1)などは同 等 とし、LED バックライトの採 用 および性 能 、機 能 の向 上 を実 現 した。 【特 長 】 1.白 色 LED バックライトによる長 寿 命 化 、低 消 費 電 力 化 LCD ( Liquid Crystal Display ) の 光 源 と な る バ ッ ク ラ イ ト に 白 色 LED ( Light Emitting Diode;発 光 ダイオード)を採 用 した。CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp;冷 陰 極 管 )バッ クライトを採 用 した従 来 製 品 と比 較 して経 年 劣 化 しにくいため、5 年 間 かつ製 品 使 用 20,000 時 間 以 内 (従 来 製 品 は 10,000 時 間 以 内 )であれば推 奨 輝 度 の維 持 の保 証 を可 能 とした。さらに、従 来 製 品 と比 較 し て 同 等 の 高 輝 度 を 実 現 し つ つ 、 標 準 消 費 電 力 量 を 約 23 % 低 減 ( 109W → 84W ) し た 。 ま た 、 CCFL 採 用 の LCD モニタのように有 害 物 質 である水 銀 を使 用 していないため、製 品 廃 棄 時 の 環 境 負 荷 も軽 減 される。 2.Picture by picture 1 画 面 上 に 2 つの異 なる PC からの入 力 信 号 を同 時 に並 べて表 示 (図 1)が可 能 となり、マルチモニタ 環 境 と比 較 して、ベゼルレスとなり業 務 の効 率 化 に繋 がる。それぞれの入 力 画 面 に対 し、設 置 方 向 、サ イズ、位 置 、CAL Switch の設 定 ができる。 3.Picture in picture 図 2 のように親 画 面 上 に子 画 面 を表 示 する機 能 である。子 画 面 の最 大 解 像 度 は 1280×1024 となる。 子 画 面 に対 し、サイズ、位 置 、透 明 度 、CAL Switch の設 定 ができる。 4.RadiCS Self QC スライド式 となった IFS(Integrated Front Sensor)を使 用 することによって、モニタ単 独 でキャリブ レーション、階 調 チェックが実 行 できる(図 3)。キャリブレーションの目 標 値 や階 調 チェックの設 定 、スケジュー ル設 定 は、モニタ品 質 管 理 ソフトウエア RadiCS/RadiCS LE から行 う必 要 がある。モニタ単 独 で(PC がオフのときに)実 行 された履 歴 は、次 回 RadiCS 起 動 時 に RadiCS の履 歴 に反 映 される。 図 1 Picture by picture - 44 - 新製品・新技術 図 2 Picture in picture 図 3 RadiCS Self QC 5.CAL Switch 機 能 X 線 /MRI/内 視 鏡 などの画 像 に適 した輝 度 や階 調 に設 定 調 整 された 9 種 類 の表 示 モードを前 面 スイッチで切 り替 えることができる。さらに、付 属 のソフトウエアにて表 示 ビューアソフト毎 に自 動 で表 示 モ ード切 り替 えが可 能 となる(Auto CAL Switch 機 能 )。 6.Hybrid Gamma 機 能 同 一 画 面 内 のモノクロとカラー画 像 の表 示 エリアを自 動 判 別 し、それぞれ最 適 な輝 度 と階 調 で表 示 する。PACS 用 アプリケーション内 でモノクロ、カラー画 像 の混 在 が加 速 する中 、違 和 感 の無 い画 像 表 示 を実 現 し業 務 の効 率 化 が期 待 できる。 7.人 感 センサ モニタ内 蔵 の人 感 センサがユーザの離 着 席 を検 知 し、自 動 的 にモニタの節 電 状 態 と復 帰 を実 行 す る。PC やソフトウエアの設 定 や操 作 を行 うことなく、モニタ単 独 で自 動 的 に節 電 が行 える。 8.その他 10bit(1,024)の多 階 調 同 時 表 示 、DUE(Digital Uniformity Equalizer)機 能 など。 【おわりに】 本 製 品 による画 像 表 示 は、モノクロモニタ同 等 の輝 度 、コントラストを備 えており、2 面 構 成 に伴 うモニタ 間 の額 縁 が存 在 しないため、視 認 性 が高 まり作 業 効 率 の向 上 、奇 数 分 割 表 示 、視 線 移 動 の最 小 化 に よるストレス軽 減 が期 待 できる。さらに、モニタ間 の色 調 や輝 度 差 の違 いの確 認 が不 要 となり、設 定 、評 価 試 験 、キャリブレーション回 数 が半 分 になるなど確 認 や調 整 する手 間 が省 け画 質 の維 持 管 理 が容 易 になる。 様 々な要 求 にこたえる機 能 を搭 載 し、医 用 画 像 の表 示 に求 められる性 能 を実 現 した。今 後 も的 確 な 画 像 診 断 と効 率 向 上 に貢 献 していきたい。 - 45 - 新製品・新技術 22. 地 域 連 携 ソリューション<M.Club>の導 入 と効 果 西 日 本 エムシー㈱ 製 品 開 発 部 西橋 幹雄 【概 要 】 「医 用 情 報 地 域 連 携 ソリューション M.Club(Medical Contents Link Utility Base)」(以 下 、 M.Club という)は検 査 依 頼 先 となる基 幹 病 院 へ、検 査 依 頼 元 である連 携 クリニック(以 下 、クリニックと いう)から検 査 の 予 約 発 行 を 遠 隔 ( リモート)で行 い、検 査 結 果 の 読 影 レ ポートや診 断 画 像 また は参 照 画 像 をクリニックに配 信 (表 示 )するシステムサービスである。 M.Club(システムサービス)を導 入 する事 により、遠 隔 検 査 予 約 と医 用 情 報 の共 有 による地 域 連 携 を容 易 に実 現 する事 ができる。この M.Club を 2012 年 1 月 に導 入 し、クリニックとの地 域 連 携 を拡 充 した 基 幹 病 院 「S 病 院 1) 1) 」に於 ける導 入 後 の経 過 とその効 果 について紹 介 する。 福 岡 県 北 九 州 市 に昭 和 40 年 創 立 病 床 数 :310 床 【特 長 】 M.Club の 技 術 的 基 盤 と な る の は 、 す で に 当 社 が サ ー ビ ス 提 供 し て い る DSP ( Data Service Provider)システムで、これは PACS における、DICOM 画 像 データのストレージバックアップを当 社 が運 営 /管 理 する DSP サーバセンターにアップロード保 存 するものである。 この DSP サーバセンター内 に、遠 隔 検 査 予 約 サーバシステムと読 影 レポートサーバおよび画 像 ダウン ロードサーバ、さらにウェブサーバとアクセス認 証 サーバを新 たに構 築 する(図 1)。 図 1 医用情報地域連携 検 査 依 頼 先 である S 病 院 においては、ルーティングサーバと予 約 管 理 端 末 (標 準 的 な Windows PC)および VPN 機 器 の導 入 と NTT 光 回 線 (IP-VPN オプション)を敷 設 する。PACS や読 影 レポート 等 の既 設 システム(他 社 製 )は継 続 使 用 とする(図 1)。 クリニックはインターネット接 続 環 境 を持 つ標 準 的 な Windows PC を端 末 とし、デジタル(電 子 )証 明 - 46 - 新製品・新技術 書 による認 証 および予 め発 行 されるアカウント ID とパスワードによるログイン認 証 が行 われ、①検 査 予 約 の発 行 と共 に診 療 情 報 提 供 書 や検 査 受 診 案 内 書 の作 成 、②読 影 レポートのダウンロード表 示 、③画 像 データ(DICOM または JPEG)/ビュアソフト付 のダウンロード表 示 等 の機 能 (サービス)を利 用 できる (図 1)。 なお、これらの機 能 (サービス)を利 用 する際 に、クリニックは自 院 で付 与 した患 者 ID で全 て運 用 が可 能 である。 【まとめ】 1.2012 年 1 月 の M.Club 導 入 後 のクリニック(クライアント施 設 )数 2012 年 12 月 現 在 で累 計 15 施 設 となっている(図 2)。これは、S 病 院 へ検 査 依 頼 を行 う全 クリニック (約 80 施 設 )の約 19%に当 たり、2013 年 中 には 30 施 設 まで拡 大 を見 込 む。 2.外 部 医 療 機 関 からの依 頼 による検 査 数 の推 移 M.Club 未 導 入 時 (2011 年 )が年 間 498 件 であり、M.Club 導 入 後 (2012 年 )が年 間 713 件 で、前 年 比 143%の増 加 となっている。M.Club のクライアント(クリニック)数 の増 加 に伴 い、外 部 依 頼 検 査 数 が 前 年 同 月 比 の全 ての月 において増 加 している(図 3)。 図 2 クライアント施 設 数 推 移 (2012 年 ) 図 3 外 部 依 頼 検 査 数 推 移 と累 計 クライアント施 設 数 3.クリニック(クライアント)側 における評 価 (1)検 査 予 約 の発 行 を いつでも<24 時 間 /365 日 >行 え、同 時 に診 療 情 報 提 供 書 と検 査 受 診 案 内 書 を作 成 できる事 で、診 療 効 率 の向 上 を図 れる。 (2)自 院 発 行 の患 者 ID で全 て処 理 できるため、S 病 院 発 行 の患 者 ID を気 にする必 要 がなく混 乱 しな い。また、一 度 予 約 発 行 した患 者 の属 性 や禁 忌 ・アレルギー情 報 などは 2 回 目 以 降 は自 動 的 に表 示 され、入 力 が不 要 で利 便 性 が高 い。 (3)検 査 実 施 当 日 の検 査 終 了 後 にクリニックに来 院 し、読 影 レポートや画 像 の検 査 結 果 に基 づく診 療 受 診 が可 能 で、患 者 負 担 の軽 減 と共 に診 療 効 率 の改 善 も図 れる。 ( 4)検 査 予 約 のリ スト 検 索 機 能 に よ り、 過 去 の 検 査 予 約 の 履 歴 確 認 が 容 易 に 行 え、 必 要 に 応 じ て 読 影 レポートや画 像 を表 示 できる。 (5)S 病 院 からの逆 紹 介 患 者 の入 院 中 の検 査 記 録 や画 像 を閲 覧 できる機 能 を要 望 する。 【おわりに】 最 初 の M.Club 導 入 となった当 該 施 設 にて、導 入 後 1 年 間 で外 部 施 設 からの検 査 予 約 実 績 が、前 年 同 月 比 で全 て増 加 と云 う結 果 を得 られた。今 後 はさらにクリニック(クライアント)数 の拡 大 を図 るととも に、対 応 端 末 の多 様 化 および、地 域 医 療 連 携 ソリューションとしての機 能 拡 充 を図 る。 - 47 - 新製品・新技術 23. 永久磁石オープン MRI 装置「AIRIS Soleil TM 」の ハードウェアとアプリケーション ㈱日 立 メディコ 青柳 和宏 【はじめに】 永久磁石方式のオープン MRI「AIRIS Soleil」(図1)は、静磁場強度 0.25T の AIRIS シリーズ最新モ デルである。永久磁石素材を高効率に活用した新型磁石ガントリと最新のオープン MRI 技術により、0.25T で従来の 0.3T 装置と同クラスの画質を実現した。 図 1 オープン MRI「AIRIS Soleil」 【特 長 】 1.「AIRIS Soleil」の特長技術 画像の SN 比と静磁場強度は、同じ方式の MRI 装置ではほぼ比例する。「AIRIS Soleil」に当社がこれ までオープン MRI で培 った技 術 に加 え、超 電 導 MRI で開 発 した技 術 を新 たに盛 り込 むことによって画 像 SN 比を向上し、0.3T 装置と同クラスの画質を実現した。 (1) 高磁場装置 ECHELON シリーズに搭載された画像 SN 比向上技術 画 像 SN 比 の向 上 手 段 として画 像 フィルタを用 いる方 法 がある。「AIRIS Soleil」は超 電 導 MRI 装 置 ECHELON シリーズで開発された画像フィルタにより、画像の SN 比を向上した。これは、MRI 特有の情報 を持つ k 空間にて最適化されたフィルタで、画像の空間分解能に与える影響を抑えて効果的にノイズを低 減し、SN 比を向上させる技術である。 (2)ハイスリューレートを活用したパルスシーケンス 「AIRIS Soleil」の傾斜磁場システムは、55mT/m/ms のハイスリューレート電源を搭載している。スリュー レートは傾 斜 磁 場コイルを駆 動するスピードを表す仕 様であるが、これを高 めることで撮 像 におけるパルスシ ーケンスの無駄な時間を短縮できる。これによって生まれた時間余裕を MRI 信号の受信時間にあてることで、 受信帯域幅を狭く設定できる。画像の SN 比は受信帯域幅の平方根に反比例するので、画像の SN 比を向 上することができる。 (3)安定性に優れた高性能永久磁石を採用 新 規 に開 発 された新 型 磁 石ガントリは、磁 石の効 率 向 上 だけではなく、画 像 劣 化 の原 因 となる渦 電 流の - 48 - 新製品・新技術 低減も実現している。この効果でパルスシーケンスの傾斜磁場印加性能を向上し、MRI の基本性能を高め た。MRA などの強力な傾斜磁場 印 加が必要な高速撮像シーケンスや RADAR をはじめとする高機能シー ケンスにおいて、より高精度なパルスシーケンスを可能にして画質を向上させた。 2.「AIRIS Soleil」の高機能アプリケーション (1)RADAR:モーションアーチファクト低減技術 超電導 MRI システムで評価の高いモーションアーチファクト低減技術 RADAR を搭載した。k 空間のデー タ取得を回 転状に充 填 するラジアルスキャン技術 により、位相 エンコード方 向のアーチファクトの特異 的な収 束 を分 散 し、k 空 間 中 心 のデータ取 得 タイミングを増 加 させることで加 算 効 果 も期 待 できる。当 社 の RADAR の特長は、ルーチン検査に使用できる汎用性と SE 法に適用して良好な T1 コントラストが得られる ことである。 図 2 に画 像 例 を示す。頭 部 の画 像 は動きのある被 検 者 に適 用 した例である。肩 関 節や腹 部などの呼 吸 動 の影 響 を受 ける部 位 にも効 果 があり、呼 吸 同 期 を併 用 すること無 く良 好 な画 像 が得 られる。永 久 磁 石 MRI は脂肪信号が超電導磁石 MRI に比べて低信号になるため、モーションアーチファクトが目立ちにくい性 質がある。さらに、RADAR の併用によりモーションアーチファクトの少ない良好な画像を得ることができる。 (2)VASC-ASL:非造影腹部血管撮像技術 流れの速い腹 部 血 管を非 造 影で撮 像するための技 術である。3D で高 速に撮 像が可 能 で IR パルスによ り血流以外を抑制してラベリングされた流入血を画像化する。図 3 に腎動脈の画像例を示す。渦電流の低 減に優れた磁石性能が良好な非造影 MRA 画像を提供する。 FLAIR RADAR T1WI RADAR-FLAIR RADAR-T1WI 腎 動 脈 (非 差 分 法 ) 図 2 RADAR 画 像 例 図 3 VASC-ASL 画 像 例 【まとめ】 このように「AIRIS Soleil」は 0.25T の磁場強度装置でありながら、SN 比向上技術により 0.3T 装置と同 クラスの画質を実現している。 また、超電導 MRI 装置で評価の高いアプリーケーションを搭載しており、永久磁石 MRI 装置としても十分 な性能を有している。 - 49 - 新製品・新技術 24. Knowledge-Based 逐次近似画像再構成法 IMR について ㈱フィリップスエレクトロニクスジャパン ヘルスケア事 業 部 早坂 和人 【はじめに】 医療機器として CT(Computed Tomography)が登場以来 Filtered Back Projection(以下 FBP) は計 算 速 度 の優 位 性や画 像 の一 貫 性、撮 影 部 位 に合 わせた画 像 再 構 成 関 数 の多 様 性 などの利 点 で現 在 発 売 されている全 ての CT 装 置 で採 用 されている。FBP では、プロジェクションデータに含 まれる統 計 学 的 ゆらぎ、つまりノイズがデータのフィルタリングや Back Projection によって増大され、画像ノイズとしてあらわ れるのが課 題 であった。画 像 ノイズは、コントラストの低 下 や構 造 物 の境 界 を描 出 する妨 げとなり、X 線 量 を 増 加 させることで改 善 可 能 であるが、被 ばく低 減 において大 きな障 害 となっていた。現 在 、使 用 可 能 な逐 次 近 似 応 用 画 像 再 構 成 法 の多くは、FBP 画 像 のノイズ低 減やアーチファクト除 去、さらには被ばく低 減 に少な からず貢献した。しかしながら、コントラスト分解能の改善やさらなるノイズ低減に耐えうる空間分解能の維持 が課題となり、臨床現場で新たな画像の選択として提供できるまでには至らなかった。本稿で紹介する IMR (Iterative Model Reconstruction)は、当社独自の画像再構成アルゴリズムである Knowledge Base 逐 次 近 似 画 像 再 構 成 である。現 状 で紹 介 できる内 容 は、試 作 機 レベルの情 報 であるため実 際 の製 品 とは 相 違 があることを予 めご了 承 いただきたい。なお、国 内 発 売 時 期 および出 荷 開 始 時 期 は本 稿 執 筆 時 点 で 未定である。 【概 要 】 IMR は、システムモデルとノイズ統計モデルを使用 した逐 次 近 似 画 像 再構 成 法である。一 般 的に、逐 次 近 似 画 像 再 構 成 法 ではシステムモデルを基 に最 尤 推 定 を行 い画 像 化 して行 くが、IMR ではより診 断 能 の高 い画 像 を得 るためにシステムモデルおよびデータ 統 計 モデル、画 像 統 計 モデルの 3 種 類 を計 算 に用 い ている。(図 1) IMR の 再 構 成 ア ル ゴ リ ズ ム で あ る Knowledge Base 逐次近 似画 像再 構 成は、システムモデルおよび データ統 計 モデル、画 像 統 計 モデルの 3 種 類 を計 算 に用いており、取得データとシステムモデルによる理想 的 なデータの差 を最 小 限 にする繰 り返 し再 構 成 を行 い、空間分解能を維持しながら大幅なノイズ低減とコ ントラスト分解能の改善を実現することができる。 図 1 IMR 動 作 概 念 図 IMR がもたらす画像の特長として、バーチャルノイズフリー画像(Virtually Noise-Free Image)と低コ ントラスト検出能の改善(Improved Low Contrast Detectability)が挙げられる。図 2 に示す臨床例は 高体重患者の腹部 1mm 厚画像である。撮影条件はコリメーション 64×0.625mm、回転速度 0.4 秒、電圧 120kV、撮 影 電 流 50mAs、撮 影 ピッチ 0.98、CTDI vol 3.3mGy×cm となっている。左 は FBP 像 、右 は IMR で肝臓上の円形 ROI 内の値はそれぞれ FBP の場合 CT 値平均:27.6HU、SD:57.3、IMR の場合 CT 値平均:27.5HU、SD:13.0 である。IMR 像では SD が約 77%と大幅に改善されているにもかかわらず、 - 50 - 新製品・新技術 CT 値 の 差 は 0.1HU で あ る。ま た、 皮 下 脂 肪 に おい ても 円 形 ROI 内 の値 はそれぞれ FBP の場 合 CT 値 平 均 : -110.8HU 、 SD:36.2 、 IMR の 場 合 CT 値 平 均 : -112.3HU、SD:9.7 であり SD が約 73.2%と大幅に改善されている に も か か わ ら ず 、 CT 値 の 差 は -1.5HU である。FBP では、到 達 し えなかったノイズレベルでの画 像 再 構 成 が 可 能 で あ り Virtual 図 2 左 FBP、 右 IMR Noise Free Image の特長を表し ている。もう一 つの特 長 である低 コ ントラスト検 出 能 の改 善 を示したの が図 3 の 3T-MRI 像 と IMR 像 を 同 一 患 者 で比 較 した例 である。 FBP では、ノイズに埋 もれてしまい 認 識 できない細 部 のコントラスト情 報も IMR 画像では容易に確認す ることができる。 これらの優 位 性 も、実 用 的 な速 度が伴っていなければ運 用上の利 点 は大 きく損 なわれてしまう。当 社 では、IMR のために専用計算機ユ ニットを開発し、実験機レベルで約 1000 画 像 を 5 分 以 内 で 処 理 す る 図 3 低 コントラスト検 出 能 の向 上 2.34Tera Flops の計算速度を実 現 した。計 算 ユニットは、設 置 性 を考 慮 し小 型 でなければならない。IMR 計 算 機 ユニットの実 寸 は現 状 で、 61cm×75cm×86cm と従 来 型 画 像 再 構 成 ユニットとほぼ同 等 の大 きさで、冷 却 も不 要 となっており設 置 性に優れている(Fast and Compact)。 【おわりに】 IMR は、 ・Virtually Noise-Free Images ・Improved Low Contrast Detectability ・Ultra Fast Reconstruction の3 つをキーワードとして国 内 販 売を予 定している。Knowledge-Based 逐 次 近 似 画 像 再 構 成 法がもたら す低ノイズ、高コントラスト画像が CT 検査の可能性を大きく拡げ、従来法では実現しなかった斬新なアプリケ ーションの開発や、新たな患者メリットの模索を先生方とともに進めて行きたい。 - 51 - 新製品・新技術 25. +DIP における自動骨塩量計測機能の開発 ―操作性と再現性の両立を目指して― 富士フイルム㈱ 川村 隆浩、 倉元 清春 【はじめに】 骨量の低下により骨折リスクが高まる骨粗鬆症は、早期に発見し治療することが重要である 1) 。近年、CR や DR で撮影した手指骨のデジタル X 線画像から直接骨塩量を計測する+DIP システムが、骨粗鬆症診断のス クリーニング検査として、クリニックを中心に広く普及してきている。これによりフィルムを用いることなく、ダイレクト な計測が可能となったが、計測位置を指定する操作は煩雑であり、操作を効率化する機能が求められている。 今回、操作性と再現性の両立を目指して開発した、自動骨塩量計測機能 * について紹介する。 *自 動 骨 塩 量 計 測機 能はユーザが計 測位 置を指定 する操 作 を簡 略 化 するための操 作 支 援 機 能 である。 【DIP 法 による骨 塩 量 計 測 】 DIP 法 は、デジタル X 線 画 像 の信 号 値 から骨 密 度 を計 測 する方 法 で ある。アルミスロープと共 に左 手 を撮 影 し、第 二 中 手 骨 とアルミスロープの 信 号 値 を比 較 して、骨 密 度 を算 出 する。+DIP システムでは、マウスクリッ 遠位点 計測領域 クにより入 力 された第 二 中 手 骨 の遠 位 点 と近 位 点 の位 置 に基 づき、中 手 骨 中 央 部 の計 測 領 域 の信 号 値 を用 いて、アルミ厚 換 算 の積 分 値 (Σ GS) を 骨 幅 D で 除 し た 値 ( Σ GS/D) を 骨 密 度 に 相 当 す る DIP 値 2.67mmAl [mmAl] と し て 算 出 し て い る。 こ の 計 測 値 を YAM 値 ( 若 年 成 人 の 平 均 近位点 DIP 値 )と比 較 することで、骨 の脆 弱 性 を評 価 する。 図 1 DIP 法 による骨 塩 量 計 測 【自 動 骨 塩 量 計 測 機 能 】 DIP 法 による骨 塩 量 計 測 の課 題 は、計 測 位 置 を指 定 する操 作 の簡 略 化 、計 測 者 の操 作 に起 因 する計 測 誤 差 の抑 制 、等 が考 えられる。今 回 開 発 した自 動 骨 塩 量 計 測 機 能 は、第 二 中 手 骨 の遠 位 点 と近 位 点 の位置を特定することで、手作業による入力操作を簡略化するものである。 点の特定には、経時差分 2) やエネルギー差分 3) にも用 いられている、画 像 の位 置 合 わせ技 術 を応 用 している。 図 2 に示すように、予め遠位点と近位点の位置(座標)を 記 録 したモデル画 像 と、検 査 画 像 を、双 方 が全 体 的 に 一 致 するように、位 置 合 わせする。これにより、モデル画 像に設定された遠位点と近位点と、検査画像の遠位点 と近位点との空間的な対応付けが可能となり、2 点が特 定できる。 (a)モデル画 像 (b)検 査 画 像 図 2 位 置 合 わせを用 いた計 測 点 の特 定 【機 能 の有 用 性 検 証 】 本機能の有用性を確認するため、自動骨塩量計測による計測値と、計測者が 2 点を手動で入力した時 の計 測 値 との比 較 実 験 を行った。実 験 には、手 の大きさ、傾き、骨 塩 量 のバリエーションに富んだ、国 内 にて 撮 影されたデジタル X 線 画 像 100 例 を用いた。計 測 者 10 名について、指 定 した遠 位 点 と近 位 点の位 置、お よび、その時の骨塩量を記録する実験を、3 回実施した。 - 52 - 新製品・新技術 計 測 者 、および、計 測 毎 に入 力 点 の位 置 が異 なるため、計 30 回 の入 力 点 の平 均 位 置 を遠 位 点 ・近 位 点の正解位置とし、本機 能を用いて求めた点の正解位置に対する誤差 を、計測者が入力した点 の誤差と 比較した。図 3 に計測者、および、本機能により求めた、遠位点と近位点の正解点に対する誤差の分布を示 す。本機能を用いることで、計測者が 2 点を指示した時とほぼ同等の位置を検出できることが確認された。 (a)遠 位 点 (b)近 位 点 図 3 本 機 能 による遠 位 点 ・近 位 点 の検 出 精 度 また、計 30 回の計 測結 果 の平 均値を正 解の骨 塩 量とし、正 解 に対 する自 動 骨 塩 量 計 測 の結 果 を、計 測 者 が入 力 した点 を用 いた計 測 結 果 と比 較 した。図 4 に計 測 者 、および、本 機 能 により得 た骨 塩 量 計 測 結 果 を示 す。両 者 は非 常 に高 い相 関 値(計測者 0.999,本機能 0.999)となった(図 4)。この結果から、 自 動 骨 塩 量 計 測 機 能 を用 いることで、計 測 者 が遠 位 点 ・近 位点を入力した時の計測値と、ほぼ同等の結果を得られること が確認された。 今回評価した 10 名の計測者の 1 枚あたりの平均入力時間は、 計測作業全体のおよそ 70%を占め、約 10 秒であった。本機能を 用いることで、計測者の作業は、検出された点の位置確 認のみ となり、入力操作は不要となるため、計測業務の効率化が期待 図 4 自 動 骨 塩 量 計 測 の計 測 精 度 できる。 【まとめ】 デジタル X 線 画 像 を用 いた骨 塩 量 計 測 では、計 測 の操 作 性 と再 現 性 が、重 要 である。今 回 開 発 した自 動骨塩量計測機能は、計測結果の再現性の低下無く、計測位置を指定する操作の簡略化が可能となる。 本機能の導入により、検査普及率が向上し、より多くの人々の健康に繋がることを期待する。 【参 考 文 献 】 1) 折 茂 肇 他 , 骨 粗 鬆 症 の予 防と治 療 ガイドライン 2006 年 版 ,日 本 骨 粗 鬆 症 学 会 他 , 2006. 2) 河 西 将 範 他, 胸 部 経 時 差分システム(TEMPORAL SUBTRACTION ADVANCE)の紹 介 , JIRA テクニカル レポート, Vol.21, No.1, 2011. 3) Takahiro Kawamura, et al, Image registration method based on multiresolution for dual-energy subtraction radiography , Proc. SPIE 8314-63, MedicalImaging 2012. - 53 - 新製品・新技術 26. マンモグラフィの新しい経時比較機能の開発 ―高速切り替え表示による読影支援― 富士フイルム㈱ 福田 航、 神谷 尚一 【はじめに】 近年、乳癌検診の受診者は増加傾向にあるため、マンモグラフィ読影を担う医師の負担が大きくなってお り、迅速かつ効率的な方法で医師の負担を軽減する画像診断システムが求められている。 このような状況の中、当社は「Fast and Smart」をコンセプトに画像認識技術を用いた効率的な読影と レポート作成が可能な、新しいマンモグラフィ専用ビューア「AMULET Bellus」を開発した。 本 報 告 では「AMULET Bellus」に搭 載 された、経 時 比 較 読 影 機 能 (ITC:Intelligent Temporal Comparison)について紹介する。 【経 時 比 較 読 影 機 能 :ITC 機 能 】 (1)高 速 切 り替 え表 示 機 能 について マンモグラフィ診 断 では病 変 の進 行 状 況 等 を観 察 するために経 時 比 較 読 影 が推 奨 されている。通 常 の経 時 比 較 では現 在 と過 去 の画 像 を横 に並 べ て表 示 するため、2 枚 の画 像 間 の差 を 観 察 するには視 線 移 動 を繰 り返 す必 要 があり、読 影 時 間 を要 することがある 現在画像 過去画像 (a)従 来 の比 較 方 法 (b)ITC 機 能 による切 り替 え表 示 図 1 従 来 の比 較 表 示 と提 案 する高 速 切 り替 え表 示 (図 1(a))。 そこで、2 枚 の画 像 を1 画 面 上 で高 速 に切 り替 え表 示 する機 能 を開 発 した。この機 能 により、読 影 者 の視 線 移 動 が少 なくなり、効 率 的 な比 較 読 影 が可 能 となる(図 1(b))。また、本 機 能 は専 用 ボタンを押 すことで、自 動 で動 作 するため、従 来 の比 較 方 法 に柔 軟 に付 加 することができる。 (2)関 心 領 域 の位 置 合 せ機 能 画 像 切 り替 え表 示 で効 率 的 な読 影 を実 現 するためには、現 在 と過 去 の画 像 位 置 が一 致 することが 重 要 である。しかし、過 去 の画 像 と同 じポジショニングで撮 影 することは容 易 ではないため、 自 動 的 に位 置 を合 せる機 能 を開 発 した。位 置 合 せ機 能 では、撮 影 時 に乳 房 の伸 展 具 合 や圧 迫 の違 いにより形 状 が変 化 しやすいスキンラインや大 胸 筋 などの領 域 を除 外 した上 で、関 心 領 域 を中 心 とした位 置 合 せ量 を自 動 算 出 する。 視 線 移 動 に関 するモニタでの動 的 効 果 を本 紙 面 で表 現 するために、視 線 を固 定 した場 合 の見 え方 を図 2 で説 明 する。図 2(a)は位 置 合 せなしの例 、図 2(b)は位 置 合 せありの例 を示 している。それぞれ、左 側 に現 在 画 像 、右 側 上 には点 線 枠 内 を拡 大 した現 在 画 像 、右 側 下 には同 位 置 の過 去 画 像 、を配 置 した。位 置 合 せなしでは、同 一 位 置 の過 去 画 像 で現 在 画 像 と異 なる領 域 が表 示 されるので、現 在 画 像 に該 当 する領 域 を探 すための視 線 移 動 が必 要 になる。位 置 合 せありでは、同 じ場 所 が双 方 に表 示 され るため石 灰 化 の変 化 が視 線 移 動 なく観 察 できる。 - 54 - 新製品・新技術 (a)切 り替 え表 示 (位 置 合 せ処 理 なし) (b)切 り替 え表 示 (位 置 合 せ処 理 あり) 図 2 位 置 合 せ処 理 の有 無 による同 一 位 置 での構 造 物 の見 え方 の違 い 【結 果 】 図 3 に石 灰 化 が分 布 する症 例 を示 す。図 3(a)は並 べて表 示 する方 法 、図 3(b)は ITC 機 能 による方 法 を模 しており、点 線 枠 は現 在 画 像 の注 目 領 域 を示 している。図 3(a)では、現 在 画 像 の注 目 領 域 内 の 構 造 (矢 印 )に該 当 する過 去 画 像 の注 目 領 域 を探 して比 較 する必 要 がある。図 3(b)では、同 じ場 所 で 切 り替 えるため、該 当 する注 目 領 域 の探 索 が不 要 で、石 灰 化 の変 化 を把 握 しやすい。 また、乳 腺 構 造 と石 灰 化 の相 対 的 な位 置 関 係 が変 化 しているが、図 3(b)では乳 房 全 体 の連 続 的 な変 化 の一 部 として観 測 できるため、撮 影 時 の圧 迫 やポジショニングに伴 う変 化 だと理 解 しやすい。 十 数 例 の症 例 画 像 に対 して評 価 した結 果 、石 灰 化 の数 や分 布 の変 化 がわかりやすくなる効 果 を確 認 できた 1 ) 。 現在画像 現在画像 乳腺構造 乳腺構造 石灰化 石灰化 過去画像 切 り替 え 過去画像 乳腺構造 乳腺構造 石灰化 石灰化 (a)並 べて表 示 する場 合 (b)ITC 機 能 の場 合 図 3 石 灰 化 を含 む症 例 での比 較 【まとめ】 マンモグラフィ画像における経時比較読影を支援する、新しい表示機能(ITC)を開発した。今後、この方 法が広く導入され、マンモグラフィ診断の読影精度や読影効率の向上に寄与することを期待する。 【参 考 文 献 】 1)本 田 聡 ,角 田 博 子 ,齋 田 幸 久 ,他 マンモグラフィ検 診 の経 時 比 較 支 援 環 境 作 成 の新 しい試 み ,第 22 回 日 本 乳 癌 検 診 学 会 学 術 総 会,2012. - 55 - 新製品・新技術 27. カセッテレス・デジタル長尺撮影装置 ㈱六 濤 渡辺 広行、 五十嵐 寛光 【はじめに】 進化するセンサの恩恵を受けて、X 線診断用画像のデジタル化は急速に加速した。 その中 で比 較 的 時 間 を要 した回 診 用 装 置 や乳 房 撮 影 装 置 等 の専 科 装 置 によるX 線 画 像 のデジタル 化も確 立され、医 療 情 報 全 体 の IT 化が急 速に加 速されている。しかしながら全 脊 椎 や下 肢 全 体 の長 尺 撮 影は CR 用長尺カセッテによるデジタル化が可能となった現在でも、撮影現場では、撮影前準備作業および 撮 影 後の処 理 作 業が煩 雑であることは周 知の通 りである。一 方 FPD を活 用したシステムはデジタル化が迅 速になったものの、撮 影 視 野に限界がありセンサ部 とX 線照 射 部の移動がともない、撮影 時の患 者 拘 束時 間が数十秒必要でもあり、患者の体位保持が課題である。特に重篤な患者の場合は大きな課題である。本 装置は長尺撮影のこれらの問題を解決した撮影装置である。 【特 長 】 1. 一 回 のX 線 照 射 で全 脊 椎 画 像 を撮 影 、また部 位 別 に撮 影 領 域 を選 択 できる(図 1) 14 ×51 の広 視 野 を持 ち、一 回 の X 線 照 射 で全 脊 椎 画 像 及 び関 心 領 域 部 位 別 (首 ・胸 部 、腹 部 ・ 腰 部 、下 肢 、脊 柱 )の撮 影 ができる唯 一 のデジタル撮 影 システムである。また、患 者 のポジショニングや体 位 保持は従来の単純X線撮影と同等である。 図 1 装 置 外 観 と撮 影 領 域 2. 高 解 像 度 で継 ぎ目 のない画 像 画像収集は 16 ビットのグレイスケールで一般的な 12 ビットグレイスケールと比較して、より高い解像度画像 を提供する。また 14 ×51 の広視野センサを装置に内蔵しているため、CR 長尺カセッテ(複数枚プレートを 収 納)や FPD を移 動しながら複 数 回 X線 照 射するシステムで生じる継ぎ目は無く、継 ぎ目 補 正に起 因する - 56 - 新製品・新技術 データ欠損の可能性がない。 3. デジタル画 像 処 理 一 般 撮 影 画 像 と同 様 に撮 影 後 自 動 的 にデジタル化 され、必 要 に応 じて画 像 処 理 をし、PACS、RIS 等 への画像転送・保管が容易に可能である。また必要に応じてプリンターへ DICOM プリント送信ができる。 4. 高 いコストパーフォーマンスと低 い維 持 コスト 既 存 X 線 室 の撮 影 装 置 の代 替 または補 完 する撮 影 装 置 として導 入 でき、既 設 X 線 装 置 がそのまま使 用できる。また、センサは装置内に固定され落下等の危険はなく、約 30 万回撮影が可能で、非常に維持コス トの低いシステムである。 5. 主 な仕 様 撮 影 視 野 (領 域 ) センサ スポットサイズ(ミクロン) グレイスケール数 画 像 処 理 サイクルタイム 単体外形寸法 ・ 重量 最 大 14 ×51 , 選 択 可 能 視 野 14 ×34 (上 ・下 ) および 14 ×17 (上 ・中 ・下 ) 装置内蔵型 14 ×51 視野 光輝尽性蛍光板 常に固定・無接触・平面保持の構造 200(2.5Lp/㎜) および 100(5Lp/㎜) 16 ビット (65,536 グレー諧 調 ) 約 60 秒 約 W50×D16×H183 ㎝ ・ 約 46 ㎏ 【結 果 】 1. 患 者 拘 束 時 間 、撮 影 時 間 の大 幅 な短 縮 特に、CR 長 尺 カセッテの場 合、撮 影 前のカセッテ・収 納プレートの準備と撮 影後 のカセッテ読 取 作 業が 煩雑でそれに応じた時間が必要である。また FPD 移動タイプの長尺撮影は複数回のX 線照射が必要で、 撮影毎のポジショニング確認を含め、患者の体位保持等の拘束時間が比較的長い。本装置の場合、これら の煩雑な作業が低減される。 2. 患 者 被 ばく線 量 の低 減 複 数回 照 射 のシステムは、患者への照 射 線量 増 加 のリスクが伴 う。特に思 春 期 直前の急 成 長期に多 発 する脊椎側湾症の診断には定期的なフォローアップ撮影が必要となり、被ばく線量増加のリスク回避は重要 な案件である。本装置は一回の X 線照射で全脊椎画像が撮影できるので、そのようなリスクは少ない。 3. 導 入 ・設 置 の容 易 性 と汎 用 性 一般 撮 影室 に設置される各種 立 位・水平ブッキー撮影 台 等と同程 度の取 扱で設置 可 能である。水 平 位における長尺撮影件数は立位撮影に比較して大幅に少ない。しかしながら実際に水平位での長尺撮影 は撮 影 技 術 上 、煩 雑 な面 が多 く、作 業 時 間 と患 者 への負 担 が大 きいと言 われている。本 装 置 と専 用 撮 影 台 を組 合 せることにより、手 動 で立 位 ・水 平 位 のいずれにもセットできるため、水 平 位 長 尺 撮 影 のデジタル 化が容易になった。 【まとめ】 カセッテレス・デジタル長 尺 撮 影 装 置は一 般 撮 影 室に設 置 でき、既 存 X線 装 置 を何 ら変 更することなく 長尺撮影のデジタル化が可能となり、他の一般撮影画像と同等に取扱ができる。長尺 CR カセッテを使った 撮 影前 後の煩 雑な作 業 は不 要である。また FPD を使 用した複 数 回X線 照 射による長 時 間の患 者 拘 束時 間がない。そのため、撮影 現場での煩 雑な長尺 撮 影に関わる作業を大 幅 に低減し、効 率化を図れるシステ ムである。 - 57 - 技術解説 PET の放射線測定技術の食品放射能検査装置への応用 ㈱島津製作所 医用機器事業部技術部 副部長 井上 芳浩 【はじめに】 東 日 本 大 震 災 に伴 う福 島 原 子 力 発 電 所 の事 故 により、周 辺 環 境 から放 射 性 物 質 が検 出 され、農 作 物 への影 響 が懸 念 された。福 島 県 は、平 成 24 年 度 産 の米 に対 し、1000 万 袋 以 上 となる全 量 全 袋 検 査 を実 施 し、食 品 衛 生 法 に定 める一 般 食 品 の放 射 性 セシウムの基 準 値 である 100Bq/kg 以 下 であるこ とを確 認 することを決 めた。米 の全 量 全 袋 検 査 は、厚 生 労 働 省 が定 める「食 品 中 の放 射 性 セシウムスク リーニング法 」に準 拠 し、1袋 あたり数 秒 の短 時 間 で検 査 可 能 な機 器 が求 められた。 一 方 、医 療 機 器 の中 で、ガンマ線 を検 出 する装 置 として、ポジトロン CT 装 置 (PET)があげられる。 PET は、体 内 に投 与 された放 射 性 薬 剤 から放 出 されるガンマ線 を計 測 することにより、 体 内 の薬 剤 分 布 を 画 像 化 する 装 置 で あり、 高 い 感 度 や 定 量 性 が求 めら れ る。 当 社 は、 1980 年 代 か ら PET の 研 究 開 発 を行 い、SYNETRAC(シネトラック)と呼 んでいるエミッション・トランスミッション同 時 収 集 法 1 ) 2 ) をはじめ として、ユニークな PET 技 術 を有 し 3 ) 、X 線 CT と組 み合 わせた PET/CT を含 め、数 々の製 品 を上 市 して きた 4)5)6)7) 。 上 記 の 状 況 から、 当 社 の 保 有 す る PET の 放 射 線 測 定 技 術 を 米 の 全 量 全 袋 検 査 の た めの 食 品 放 射 能 検 査 装 置 へ 応 用 し た 。 本 稿 で は 、 PET 技 術 の 応 用 を 中 心 に 、 当 社 の 食 品 放 射 能 検 査 装 置 FOODSEYE(フーズアイ)について、技 術 解 説 を行 う。 【方 法 】 1.PET の放 射 線 測 定 技 術 PET はガントリ内 に放 射 線 検 出 器 を円 状 に装 備 し、ガントリの開 口 部 に、寝 台 に乗 せた人 体 を挿 入 することで、人 体 に投 与 された PET 放 射 性 薬 剤 が陽 電 子 崩 壊 の際 に発 するガンマ線 を測 定 する(図 1 参 照 )。511keV と比 較 的 高 エネルギーのガンマ線 を高 感 度 に検 出 するため、放 射 線 検 出 器 は、BGO (ゲルマニウム酸 ビスマス)などの高 密 度 のシンチレータと光 電 子 増 倍 管 で構 成 する。測 定 方 法 は、ステ ップアンドシュート方 式 と連 続 収 集 方 式 がある。ステップアンドシュート方 式 は、体 軸 方 向 の放 射 線 検 出 領 域 内 に挿 入 された人 体 からの放 射 線 検 出 ( エミッション検 出 ) を静 止 状 態 で行 い、 次 いで寝 台 を放 射 線 検 出 領 域 分 、移 動 させ、次 の部 位 のエミッション検 出 を行 うことを繰 り返 し、全 身 のエミッション検 出 を行 う。連 続 収 集 法 は 寝 台 を 一 定 速 度 で連 続 的 に移 動 させながら全 身 のエミッション検 出 を行 う。 当 社 のみが連 続 収 集 法 を実 用 化 している。さらに当 社 は、シネトラックと呼 んでいるエミッション・トランスミッ ション同 時 収 集 法 を実 用 化 している。トランスミッション検 出 とは、エミッション検 出 から得 られたデータに対 し、人 体 の放 射 線 吸 収 の補 正 をするための測 定 で、X 線 CT の様 に、セシウム 137 などの放 射 線 源 を人 体 の周 りに回 転 させ、データ収 集 を行 う。当 社 の PET は、ガントリ内 にエミッション検 出 器 とトランスミッショ ン検 出 器 を並 べて装 備 し、互 いの測 定 に影 響 をおよぼさないように鉛 で遮 蔽 している。寝 台 を定 速 度 で 連 続 的 に移 動 させながら、エミッションは連 続 収 集 を行 い、トランスミッションはセシウム 137 線 源 を回 転 さ せ、スパイラル状 に収 集 することで、エミッション検 出 とトランスミッション検 出 を同 時 に行 うことが可 能 であ る(図 2 参 照 )。このように当 社 はユニークな PET 技 術 を保 有 している。 - 58 - 技術解説 図 1 PET 装 置 外 観 図 2 PET 内 部 構 造 2.食 品 放 射 能 検 査 装 置 への応 用 2.1 装 置 概 要 食 品 中 の放 射 能 を検 査 する装 置 には、詳 細 検 査 に用 いられるゲルマニウム半 導 体 検 出 器 など様 々 な形 態 の装 置 がある。本 稿 では、食 品 中 の放 射 性 セシウムスクリーニング法 に準 拠 し、30kg 米 袋 のまま、 検 査 を行 えるベルトコンベア式 の食 品 放 射 能 検 査 装 置 FOODSEYE(フーズアイ)について説 明 する。 図 3 に装 置 外 観 を示 した。装 置 本 体 は、PET の様 にガントリ構 造 として、放 射 線 検 出 器 を内 蔵 している (図 4)。測 定 は、ベルトコンベアで米 袋 を装 置 本 体 に搬 送 し、連 続 的 に移 動 させながら行 う。米 袋 を 装 置 本 体 に搬 送 した後 、停 止 して測 定 する方 式 も考 えられるが、検 査 時 間 を短 縮 するためには、連 続 的 に移 動 させながら測 定 する方 が望 ましい。そのためには、後 述 する高 感 度 放 射 線 検 出 器 とその配 置 や バックグラウ ンド放 射 線 の遮 蔽 等 の 技 術 が 重 要 となる。測 定 操 作 は 簡 便 で、タッチパネル上 の 測 定 開 始 ボタンを押 すだけである。測 定 結 果 は、タッチパネルの液 晶 画 面 に合 否 を表 す○×と参 考 値 として測 定 値 を Bq/kg で表 示 する(図 5)。 図 3 食品放射能検査装置外観 図 4 食品放射能検査装置内部構造図 - 59 - 技術解説 図 5 測 定 結 果 の表 示 例 2.2 高 感 度 放 射 線 検 出 器 とその配 置 1 袋 あたり数 秒 の時 間 で測 定 するためには、できるだけ信 号 量 を大 きく、雑 音 量 を小 さくすることが重 要 である。信 号 量 を大 きくするためには、より高 感 度 に放 射 線 を検 出 することが必 要 である。検 出 対 象 で ある放 射 セシウムから放 出 される主 たるガンマ線 のエネルギーは、662keV などで、PET で検 出 するガン マ線 に近 い比 較 的 高 エネルギーのガンマ線 である。そこで、PET の放 射 線 検 出 器 の技 術 を応 用 し、食 品 放 射 能 検 査 装 置 の放 射 線 検 出 器 は BGO シンチレータと光 電 子 増 倍 管 で構 成 した。放 射 線 検 出 器 に用 いられることが多 い NaI シンチレータの密 度 は約 3.7g/cm 3 と小 さく、現 在 の市 販 の PET には採 用 さ れていない。BGO シンチレータは密 度 が約 7g/cm 3 と高 く、高 エネルギーのガンマ線 を検 出 することに適 している。また、効 率 よく放 射 線 を検 出 するためには、放 射 線 検 出 器 の配 置 が重 要 である。放 射 線 検 出 器 は、できるだけ検 査 対 象 の米 袋 に近 いことが良 いため、 米 袋 の大 きさに合 わせたガントリの開 口 や放 射 線 検 出 器 配 置 をとっている。 2.3 バックグラウンド放 射 線 の遮 蔽 短 時 間 に測 定 するためのもうひとつの課 題 としては、より雑 音 量 を小 さくすることがある。食 品 放 射 能 検 査 装 置 での測 定 における雑 音 要 因 として、放 射 線 検 出 器 に入 射 するバックグラウンド放 射 線 があげ られる。バックグラウンド放 射 線 とは、宇 宙 線 などの自 然 放 射 線 および地 面 や土 壌 など環 境 中 に存 在 す る放 射 性 セシウムから発 生 する放 射 線 である。このバックグラウンド放 射 線 を、できるだけ検 出 せず、試 料 からの放 射 線 のみを検 出 することが課 題 となる。当 社 の食 品 放 射 能 検 査 装 置 は、放 射 線 検 出 器 を PET のようなガントリ構 造 とした装 置 本 体 に内 蔵 し、放 射 線 検 出 器 の周 囲 を厚 さ 50mm の鉛 で遮 蔽 す ることで、バックグラウンド計 数 値 を低 く抑 えることができる。 【性 能 】 上 述 の高 感 度 放 射 線 検 出 器 やその配 置 、バックグラウンド放 射 線 の遮 蔽 の技 術 などにより、当 社 の 食 品 放 射 能 検 査 装 置 は、 短 時 間 に 測 定 可 能 で あ る とと もに、 高 い 測 定 精 度 を 有 して い る。 食 品 中 の 放 射 性 セシウムスクリーニング法 では、合 否 を判 定 するスクリーニングレベルは、測 定 のばらつきを考 慮 し て、基 準 値 の 1/2 以 上 、つまり米 の場 合 は 50Bq/kg 以 上 に設 定 することが求 められている。このスクリー ニングレベルを基 準 値 である 100Bq/kg に近 づけられる装 置 が精 度 の高 い装 置 である。 測 定 精 度 の確 認 のために、放 射 能 濃 度 約 20∼100Bq/kg の 7 種 類 の米 袋 について、本 装 置 の実 証 機 と詳 細 検 査 に用 いられるゲルマニウム半 導 体 検 出 器 で測 定 を行 い、測 定 結 果 を比 較 した。本 装 置 では、測 定 時 間 5 秒 で、同 一 の米 袋 を 100 回 繰 り返 し測 定 し、平 均 値 、最 大 値 、最 小 値 を求 めた。繰 り 返 し測 定 においては、米 袋 のコンベアへの搭 載 位 置 など特 に意 識 せず、通 常 の運 用 を想 定 し行 った。ゲ ルマニウム半 導 体 検 出 器 での測 定 は、本 装 置 で測 定 した同 じ米 袋 から約 2 リットルの米 を取 り出 し、 1500 秒 の 測 定 を 行 っ た。 図 6 に測 定 結 果 の 比 較 を 示 す。 棒 グラフがゲルマニウム 半 導 体 検 出 器 の測 - 60 - 技術解説 定 結 果 で、棒 グラフ中 の数 字 が放 射 能 濃 度 である。 本 装 置 での測 定 結 果 は、 平 均 値 、 最 大 値 およ び 最 小 値 をエラーバーの形 で表 示 している。 本 装 置 の平 均 値 はゲルマニウム半 導 体 検 出 器 の 値 とほぼ 一 致 した。スクリーニング検 査 において重 要 な点 は、本 装 置 で得 られる最 小 値 であり、合 否 を判 定 するス クリーニングレベルは最 小 値 よりも小 さく設 定 されている必 要 がある。図 6 の右 から2 つ目 のゲルマニウム 半 導 体 検 出 器 での測 定 結 果 96Bq/kg での本 装 置 の最 小 値 は、約 80Bq/kg であった。本 装 置 におい て、基 準 値 100Bq/kg に対 し、スクリーニングレベルを 70Bq/kg に設 定 しても、10Bq/kg 程 度 のマージ ンがあり、高 い測 定 精 度 を有 していることがわかる。 図 6 測定値比較 【おわりに】 食 品 中 の放 射 性 セシウムスクリーニング法 に準 拠 し、米 の放 射 性 セシウムの全 量 全 袋 検 査 に対 応 で きる食 品 放 射 能 検 査 装 置 について解 説 した。平 成 24 年 度 産 の米 の全 量 全 袋 検 査 の検 査 情 報 に関 し ては、「ふくしまの恵 み安 全 対 策 協 議 会 」のホームページを参 照 されたい 8 ) 。今 後 は、検 査 対 象 を米 以 外 の食 品 についても、装 置 の改 良 を含 め、取 り組 んでいく所 存 である。当 社 の保 有 する技 術 が、少 しでも被 災 地 の役 に立 つことができればと願 っている。 最 後 に、装 置 開 発 に当 たって、多 くの方 々に助 言 あるいは励 ましをいただいたことに感 謝 する。特 に、 装 置 の性 能 検 証 にあたって、ご協 力 いただいた、みちのく安 達 農 業 協 同 組 合 関 係 各 位 に、敬 意 を表 す るとともに、深 く感 謝 する。 【参 考 文 献 】 1)佐 藤 友 彦 ほか:ポジトロンCTにおけるEmission/Transmission同 時 収 集 .島 津 評 論 , 57, 3・4, 241-246, (2001) 2)Kitamura K, et al: 3D Continuous Emission and Spiral Transmission Scanning for High-Throughput Whole body PET. IEEE NSS-MIC Conf. Rec. M3-2, (2004) 3)井 上 芳 浩 ほか:エミッション・トランスミッション3D同 時 収 集 機 能 を装 備 した新 型 PET‐CTシステムと新 たな撮 像 方 法 の 開 発 .核 医 学 技 術 ,25,3,199-205,(2005) 4)田 中 和 巳 ほか:全 身 用 ポジトロンCT 装 置 Eminence-B の開 発 ,島 津 評 論 ,61,3・4,201-207, (2005) 5)今 西 達 ほか:PET/CT 装 置 Eminence SOPHIA の開 発 . 島 津 評 論 , 63, 3・4, 167-174, (2007) 6)岡 崎 正 人 ほか:PET/CT 装 置 Eminence STARGATE の開 発 . 島 津 評 論 , 65, 3・4, 203-210, (2009) 7)水 田 哲 郎 ほか:最 新 PET、PET/CT 装 置 の低 被 ばく化 技 術 . 映 像 情 報 メディカル, 41, 13, 1354-1359, (2009) 8)ふくしまの恵 み安 全 対 策 協 議 会 https://fukumegu.org/ok/kome - 61 - 医療の現場から 日 本 から世 界 への発 信 する放 射 線 技 術 公益社団法人日本放射線技術学会 第 69 回 日本放射線技術学会総会学術大会 実行委員長 上田 克彦 今、元気な日本を取り戻すべく、日本から世界へ様々な発信が求められています。日本放射線技術学会 においても国際化を重要な案件として考えており、これまで以上に国際化に取り組んでいるところであります。 学会の国際化は大きく分けて学術大会における国際的イベント開催と海外関連学会との交流事業があると 言えます。 学術大会における国際化の観点に立ちますと、能力のある若い学会員が活躍できる環境を提供する必要 も高まって来ており、平成 23 年 10 月には、本学会主催の国際会議 The 1st International Conference on Radiological Science and Technology(第 1 回国際放射線技術科学会議)を小寺吉衞大会長のもと開催 し、5 カ国から 237 名の参加をいただきました。私はこの会議の実行委員長をさせていただきましたが、このとき JIRA の皆さまには、次は是非、JRC の名のもと横浜で国際的な学術イベントを開催して欲しいとの意見をい ただきました。 JIRA の皆様が企画開催されている ITEM におきましては、すでにその名称どおり海外を意識した展示体 制が整えられており、海外で ITEM を広報するとき学術大会において国際的な企画が少ないことがネックにな っているとの残念な話もお聞きしました。 そ こ で 、 第 69 回 総 会 学 術 大 会 に お い て は JRC2013 の メ イ ン テ ー マ 「 Creation, Innovation and Globalization」を意識し、杜下大会長のもと実行委員会として学術大会の国際化を試みました。本大会で は、英語口述発表の発表区分を設け、85 演題の英語発表が実現し、海外からはアジアを中心に 17 名の方が 発表されます。また、講演のために海外から来日いただく先生方は、カナダから The University of Toronto の Martin Yaffe 先生とベルギーから Belgian Nuclear Research Centre の Filip Vanhavere 先生です。 Yaffe 先生にはディジタルマンモグラフィに関する話題を Vanhavere 先生には水晶体被ばく線量測定に関 する話題にてご講演いただきます。その他、新しく交流関係を構築予定の ECR にて放射線技術企画に関係 している College of Health Technology ‒ Coimbra Polytechnic Institute の Graciano Paulo 先生もお 招きし、講演を予定しております。 第 69 回総会学術大会における、もうひとつの新しい試みは「Web 参加」登録区分の新設です。日本放射 線技術学会会員には、診療業務や教育業務のため学術大会に参加することができない方が多い状況です。 そこで、横浜の会場に来場することなく最新の学術発表を Web にて閲覧することができる新しい登録区分を 設けました。日本放射線技術学会のすべての研究発表は電子ポスター(CyPos)に登録されていますので、 すべての研究発表を閲覧することができます。また、この参加登録区分は、海外の方々が Web 参加を利用で きる可能性を秘めています。本大会では電子ポスターも含めて、英語表記を推奨しておりますが、英語スライ ドを全世界から閲覧できるシステムが構築されたことは、日本におけるすぐれた技術を世界に発信できる大き な足掛かりになると言えます。企業の皆様方も研究発表を通じて、世界へアピールしていただきたいと思って います。 最後に、第 69 回総会学術大会オリジナルホームページ英語版には大会のプログラム英語版も掲載し、海 外の方からもどのような学術大会が実施されているか閲覧いただけるように準備しています。英語による学術 研究成果の発表とインターネットを通じた情報発信の融合で、いつでもどこからでも日本の技術を知っていた だくことも可能となりました。 JIRA の皆様とともに、優れた技術発信にて、元気な日本を取り戻せるよう日本放射線技術学会もその一 助となれるようがんばりますので、引き続き御指導よろしくお願いいたします。 (山口大学 医学部附属病院 放射線部 技 師長) - 62 - 工業会概要 一般社団法人 日本画像医療システム工業会の概要 1. 概 要 (1)沿 革 1963 年 (昭和 38 年 9 月) 日 本 医 科 電 機 工 業 会 として発 足 1967 年 (昭和 42 年 9 月) 日 本 放 射 線 機 器 工 業 会 と改 称 1980 年 (昭和 55 年 12 月) 社 団 法 人 日 本 放 射 線 機 器 工 業 会 設 立 認 可 1998 年 (平成 10 年 1 月) 社 団 法 人 日 本 画 像 医 療 システム工 業 会 と改 称 2012 年 (平成 24 年 4 月) 一 般 社 団 法 人 へ移 行 (2)英 文 名 と略 称 Japan Medical Imaging and Radiological Systems Industries Association (略 称 JIRA) (3)事 業 (1)画 像 医 療 システムに関 する規 格 の作 成 および標 準 化 の推 進 (2)画 像 医 療 システムの品 質 および安 全 性 並 びに技 術 の向 上 に関 する研 究 調 査 (3)画 像 医 療 システムの生 産 、流 通 および貿 易 の増 進 並 びに改 善 (4)画 像 医 療 システムに関 する展 示 会 および技 術 指 導 等 に関 する講 習 会 、研 究 会 の開 催 並 びに参 加 (5)画 像 医 療 システムに関 する法 令 、基 準 等 の周 知 徹 底 および行 政 施 策 への協 力 (6)薬 事 法 に基 づく継 続 的 研 修 の実 施 2. 会 員 JIRA は医 用 画 像 を扱 う全 国 的 な業 界 団 体 で、175 社 (平 成 25 年 3 月 1 日 )で構 成 されています。 主 な業 種 は次 のとおりです。 医 療 機 器 製 造 ・販 売 業 〃 輸出入販売業 〃 製 造 および仕 入 販 売 業 〃 仕入販売業 - 63 - 工業会概要 3. 組 織 図 新 しい医 療 に貢 献 する医 療 機 器 のシステムを提 供 し、活 性 化 した創 造 的 な業 界 を作 り出 す活 動 を 展 開 すべく組 織 を改 善 して、事 業 を推 進 します。 総 会 理事会 コンプライアンス委員会 監 事 幹部会 常設的組織 表彰委員会 事務局 JIRA基準委員会 産業戦略室 IEC/SC対策専門委員会 医用放射線機器安全管理センター(MRC) 継続的研修委員会 政策企画会議 広報委員会 調査・研究委員会 医用画像システム部会 展示委員会 標準化部会 企業振興委員会 法規・安全部会 地域委員会 経済部会 専門的活動組織 横断的活動組織 流通近代化委員会 放射線・線量委員会 国際委員会 4. 事 業 内 容 部 会 ○医 用 画 像 システム部 会 医 療 情 報 標 準 化 に関 わる国 内 外 の活 動 に積極的に参画 し、この分野における JIRA のプレゼンスの向上を図ります。 ・関 連 国 際 規 格 の審 議 ・医 療 画 像 システムの普 及 ・啓 発 ・工 業 会 規 格 等 の作 成 ○法 規 ・安 全 部 会 JIRA 製 品 が適 切 な規 制 の下 で上 市 できるよう、医療機 器に関連する法規制の調査 ・検討を行い、行政への提言 を 行 います。また、安 全 性 確 保 に関 する施 策 の立 案 ・執 行 および行 政 の薬 事 規 制 への取 り組 みなどを行 い、業 界 の発 展 と地 位 向 上 を目 指 します。 ・医 療 機 器 に関する国 内 ・海 外 法 令 制 度 の調査・検討・普及 ・安 全 性 ・品 質 システムに関 する規 制 の検 討 ・関 連 学 会 ・団 体 との交 流 ・医 療 機 器 に関する海 外 の環 境 規 制 の動 向調査 ○経 済 部 会 診 療 報 酬 および医 療 保 険 制 度 に関 する問 題 点 と課 題 の検 討 および行 政 への提 言 。会 員 の要 望 を基 本 に関 係 学 会 ・団 体 等 との協 調 を図 り、撮 影 ・診 断 のあるべき評価体系を提言します。 ・診 療 報 酬 改 定 に向けての意 見 集 約 と提 言 ・医 療 機 器 の評 価 体 系 の研 究 と構 築 ・医 療 機 器 産 業 のビジョンによる中 期 展 望 と行政要望 ・関 連 学 会 ・団 体 との意 見 交 換 ○標 準 化 部 会 医 用 画 像 診 断 装 置 ・放 射 線 治 療 装 置 ・放 射 線 関 連 装 置 の標 準 化 に向 けて、IEC 規 格 を審 議 し、JIS 化 を行 いま す。33 の専 門 分 科 会 によって、「国 際 整 合 を目指す標準化とその普及」に努めます。 ・機 器 の標 準 化 および JIS 原 案 、工 業 会 規 格等の作成 ・関 連 国 際 規 格 の審 議 ・セミナー開 催 - 64 - 工業会概要 委員会 ○コンプライアンス委 員 会 会 員 会 社 および JIRA の各 種 法 律 、政 省 令 、規制などの遵法意識向上 のための活動 を行い、事項防 止、諸方の違反 事 例 の発 生 防 止などに寄 与 することを目 的 としています。 ○流 通 近 代 化 委 員 会 公 正 にして秩 序 ある企 業 活 動 の推 進 のため、医 療 機 器 業 公 正 取 引 協 議 会 と協 力 して、公 正 競 争 規 約 ・同 運 用 諸 基 準 の会 員 各 社への普 及 ・実 施 などを行 います。 ○医 用 放 射 線 機 器 安 全 管 理 センター(MRC) 医 用 放 射 線 機 器 などの安 全 性 ・有 効 性 を確 保 するために医 療 機 関 からの要 請 に応 じて、点 検 ・修 理 業 務 を実 施 できる一 定 レベル以 上 の知 識 と能 力 を持 った点検技術者の育成を図ります。 ○広 報 委 員 会 JIRA から発 信 する情 報 の一 元 化のため、新 聞・雑 誌 などへの取 材 対 応 、資 料 などの提 供 およびホームページの運 用 方 法 などを決 定 。効 果 的 な広 報 活 動 を行 うことにより、JIRA および当業界の PR、イメージアップを図 ります。 ○調 査 ・研 究 委 員 会 画 像 医 療 システムの生 産 ・輸 出 入 などに関 する独 自 統 計 を実 施 するほか、会 員 各 社 に影 響 を与 える諸 事 項 の調 査 ・研 究 を行 います。 ○国 際 委 員 会 医 療 機 器 に関 わる事 業 を推 進 するために必 要 な海 外 情 報 の収 集 、分 析 、活 用 および海 外 の関 係 団 体 等 との交 流 を 踏 まえた多 面 的 な国 際 化 の推 進 を行 なっています。特 に国 際 化 の推 進 に関 しては、米 国 の NEMA-MITA、欧 州 の COCIR、カナダの MEDEC と DITTA を設 立 し、世界各国の政府機関 、研究・開発・教育機関、規制当局そして産 業 団 体 との連 携 を深 めるため活 動 しています。 ○展 示 委 員 会 3 つの学 会 併 設 展 示 会 を企 画 運 営 しています。 1.国 際 医 用 画 像 総 合 展 2.日 本 磁 気 共 鳴 医 学 会 大 会 併 設 展 示 会 3.日 本 核 医 学 会 総 会 併 設 展 示 会 ○企 業 振 興 委 員 会 経 済 環 境 の変 化 に対 応 した会 員 の経 営 健 全化および発展・繁栄を目的として以下の専門委員会業 務を行います。 1.研 修 専 門 委 員 会 :講 習 会 、報 告 会 、研 修会等の企画、立案および実施 2.学 術 専 門 委 員 会 :関 係 学 会 と共 同 で連携企画、また政府諸機関の企 業育成策の調 査・紹介および指導 3.企 業 経 営 専 門 委 員 会 :経 営 環 境 変 化 に対する IT を含 む関連機器業界 のための事 業 4.IT 専 門 委 員 会 :画 像 医 療 システムに係 る IT 関連企業のための事 業 ○地 域 委 員 会 関東、中部、関 西 各 ブロックにおける会 員 の発 展 ・繁 栄 を目 的 として、各 部 会 ・委 員 会 等 の活 動 に連 動 した事業、監 督 官 庁 や関 連団 体 等 との情 報 交 換 、および地域ブロック活 動会員の事業 達成に必要な事項を行います。 ○継 続 的 研 修 委 員 会 薬 事 法 の改 正 により、販 売 業 等 の営 業 管 理 者 、修 理 業 の責 任 技 術 者 は、継 続 的 研 修 を毎 年 受 講 することが義 務 付 けられました。他 の 3 つの協 賛 団 体 とともに、全 国 7 会場 で研修を主催しています。 ○放 射 線 ・線 量 委 員 会 放 射 線 医 療 機 器 および関 連 機 器 による線 量 の管理や低減について関係諸団体等と連携して推進 します。 1.医 療 被 ばくに関する国 内 外 の関 連 情 報 の収集/分析および課題の明 確化 2.課 題 解 決 により取り組 む為 の対 応 方 針 の提示 3.関 連 団 体 との協 力 関 係 の構 築 、意 見 調 整 および連携 - 65 - 編集後記 毎 年 、桜 の便 りと共 に発 行 されてきたテクニカルレポートですが、本 号 からは、JIRA 会 員 企 業 以 外 の ITEM 展示参加企業にも門を開いて、その情報を掲載しています。 本誌は、日 本放射線技 術学会(以下 JSRT)の学術大会に合わせて春と秋に発行し、大会誌と共 に大 会参加者全員に直接手渡していただいております。この配布方法によって投稿企業の境遇が極めて恵まれ たものとなっていることを、ご協力いただいている JSRT の皆様に改めて感謝申し上げる次第です。 また、この春 号には、学術 大会と同時開催される ITEM に発表時期を合わせた各企業 の最新技術等が 掲 載されています。メーカー間の垣 根 を超えて、JIRA が編 集 発 行 する本 誌 は、読 者 の皆 様の希 少な情 報 源となることと存じます。 さて、本 号 には、第 69 回 日 本 放 射 線 技 術 学 会 総 会 学 術 大 会 大 会 長 の杜 下 淳 次 先 生 に 巻 頭 言 を、 同大会実行委員長の上田克彦先生には 医療の現場から を執筆いただきました。御礼申し上げますと共 に、今大会の大盛況を祈念いたします。 今 後 もこの恵 まれた基 盤 を活 かしつつ、より一 層 輝 きを増 した会 誌 づくりを目 指 して委 員 一 同 努 力 して 参りますので、是非ともご一読いただき、また、ご指導賜りますよう宜しくお願い申し上げます。 (前 田 賢 表紙写真の解説 写真は、食品放射能検査装置を用いた、30kg 米袋の検査の様子である。 パレットに積み上げられた米袋は、ハンドクレーンを用いてベルトコンベアに 乗せられ、食品放射線検査装置を通過する時に放射線が計測される。検 査結果の表示は「○」、「X」と簡単であり、基準値を超過した場合はベルト コンベアも停止することで、作業員に直ぐ分るようになっている。 (みちのく安達農業協同組合 旧渋川倉庫にて) JIRAテクニカルレポート 2013.VOL.23 №1(通巻第44号) 編 集 委 委 一般社団法人日本画像医療システム工業会 技術広報専門委員会 員 長 員 〃 〃 〃 〃 〃 〃 オブザーバー 事 務 局 河野 和宏 青木 邦 夫 須山 宗木 羽田野顕治 古屋 進 前田 賢 森山 智幸 渡辺 良平 増尾 克裕 西口 信弘 平成 25 年 4月 ㈱島津製作所 東芝メディカルシステムズ㈱ コニカミノルタ㈱ ㈱日立メディコ 医建エンジニアリング㈱ ㈱マエダ ㈱森山X 線用品 富士フイルム㈱ ㈱島津製作所 一般社団法人日本画像医療システム工業会 発 行 一般社団法人日本画像医療システム工業会 〒112-0004 東京都文京区後楽 2-2-23 住友不動産飯田橋ビル 2 号館 6 階 TEL.03-3816-3450 http://www.jira-net.or.jp 印 刷 名古美術印刷株式会社 〒162-0041 東京都新宿区早稲田鶴巻町 543 TEL.03-3260-9136 (本 誌 の無 断 複 写 ・複 製 ・転 載 を禁 じます。 本 誌 署 名 記 事 の文 責 は署 名 者 にあります。) - 66 - 記)
© Copyright 2024 Paperzz