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長期研修員B
授業研究 小学校第6学年理科学習指導案
指導月日
所属校名
氏名
平成 23 年 12 月 20 日
石巻市立釜小学校
遠藤 智弥
1 単元名 「電気とわたしたちのくらし」 (東京書籍 新しい理科6)
2 単元の目標
身の回りに見られる電気の利用について興味をもち,電気は,手回し発電機等を使ってつくり出
したり,畜電器等に蓄えたりすることができることや,電気は,光,音,熱等に変換されること,
また,発熱については電熱線の太さによって発熱の仕方が変わることをとらえることができるよう
にする。さらに,電気の性質やはたらきについて推論する能力を育てるとともに,それらについて
の理解を図ることができるようにする。
3 単元観
本単元の内容は,第5学年「電流のはたらき」の学習を踏まえて,
「エネルギー」についての基本
的な見方や概念を柱とした内容のうちの「エネルギーの変換と保存」
,
「エネルギー資源の有効利用」
にかかわるものである。
本単元で扱う教材は,日常生活に関連するものが多く,そのことを十分に生かすことで,興味・
関心を高めることができる。また,本単元の指導においては,
「自分で電気をつくり出す」
,
「電気を
熱に変えて発砲ポリスチレンを切る」など,様々な体験的活動を取り入れながら,実感を伴った理
解を図ることができる。さらに,もう一つ重要な点は,省エネルギーや環境への理解を図る学習内
容が含まれていることである。指導においては,日常生活との関連を図りながら,発光ダイオード
と豆電球の電力使用の効率性を比較したり,環境にかかわる資料を取り上げたりすることで,エネ
ルギー資源の有効利用について考えさせることが大切となる。
児童にとっては,目の前で起こる現象に,驚きや不思議な感覚をもつとともに,電流やエネルギ
ーの存在を意識する貴重な学習となるものと考える。しかし,現象のおもしろさが際立つため,現
象のみに目を向け,思考が深まらない児童が出てくる恐れがある。そのため,一人一人が推論をし
ながら主体的に問題解決を進めることが,一層重要な単元であると考える。また,本単元における
「自分で電気をつくり出す」ことは,モーターの軸を回し,電磁誘導を利用して電流を得ることで
あるが,静電気を起こすこと(物体どうしの摩擦・接触等による帯電)や果物電池をつくって回路
につなげること(電解質水溶液におけるイオンの移動)等も,児童にとっては「自分で電気をつく
り出す」という感覚をもつ方法であると思われる。電磁誘導や電子等について学んでいないため,
それぞれの方法のちがいを理解することはできないからである。指導において,児童の主体的な学
習を妨げないためには,児童の多様な発想や経験,予備知識等を認めつつ,モーターの軸を回すこ
とで発電できることについて確実に理解させる工夫が必要であると考える。
さらに,本単元の特徴として,手回し発電機やコンデンサー等の器具の特性を十分に理解して指
導することが,特に重要であるということも挙げられる。その点が不十分だと,発電機を速く回し
すぎて豆電球のフィラメントを切ってしまったり,接続の仕方を間違えて感電したりする恐れがあ
る。事前に器具の種類,特性等を入念に確かめる必要がある。
このように,本単元は,自分なりに推論しながら問題を追究し,体験を通して理解を深めていく
ことが大変重要な単元である。器具の特性を十分に理解し,安全・適切に学習を進めることができ
れば,目に見えない「エネルギー」の世界について想像することを通して,科学的な見方や考え方
を養うことのできる単元であると考える。
―指導案ET1―
4 児童の実態(6年2組 男子 15 名 女子 19 名 計 34 名)
本学級は,板書内容を書き写したり,自分の考えを文や絵でかき表したりする活動にしっかりと
取り組む児童が多い。しかし,自分の考えをもっていても,進んで考えを伝えようとしない児童が
多いという面もある。
理科の学習の様子については,観察,実験などを意欲的に行ってはいるが,主体的な問題解決の
活動はできていない傾向がある。例えば,実験の際,結果を単に様子や状態が変わったとしかとら
えず,実感を伴った理解を得ることにつながらないという状況がある。主体的な問題解決の活動が
できていない背景には,学習の導入段階において,自ら問題を見いだし,見通しをもって問題解決
の活動に取り組めていない状況があるととらえている。
また,児童の理科の学習に関する意識については,調査結果(平成 23 年 10 月 28 日 34 名中 33
名実施)から,次のようなことが言える。
・ 理科の学習を好んでいる児童の割合は約 88%である。学習活動としては,実験・観察,本・イ
ンターネットなどでの調べ活動,実物や写真,絵などを活用した活動を特に好んでいる。
・問題解決の結果を予想することが好きな児童の割合は約 74%である。
・考えを伝えることに苦手意識をもっている児童の割合は約 74%である。苦手な理由としては,
「自分の考えをうまく説明できない」
「話す自信がなく恥ずかしい」というものが圧倒的に多い。
さらに,本単元の学習にかかわる児童の予備知識について述べると,11 月に国語の「持続可能な
社会への取組について調べよう」の学習を行ったことで,
「エネルギー資源の有効利用」について,
ある程度の知識をもっていることが挙げられる。
5 指導観
以上のような単元観や児童の実態から,本単元において,次のような点を重視していく。
(1) 単元または授業の導入の工夫
主体的な問題解決の活動をすることができていない実態があり,その大きな原因は,学習の導
入段階にあると考えることから,単元または授業の導入を特に工夫していく。具体的には,
「さ
わる」
「見る」
「聞く」などの体験的な活動や,自分の仮説を文・図・絵などで表現する活動,表
現したものを活用しながら互いの考えを伝え合う活動などを取り入れていく。その際,一律に全
ての活動を盛り込むのではなく,学習内容や児童の実態に応じて,最も適切と思われる活動を選
んだり,時間を多くとったりしていく。
(2) 少人数グループでの活動の重視
観察,実験や実物を活用した活動を特に好んでいる児童の実態から,1班当たり3,4人のグ
ループでの活動を多く設定する。3,4人のグループが最も良いと考える理由は二つある。一つ
目は,観察,実験などにおいて,それぞれが役割をもち,自分で調べる喜びを味わいつつ,スム
ーズに活動を進めるのに適当な人数だと考えたからである。二つ目は,生活班の5,6人グルー
プに比べ,一人一人が実際に体験する機会を多く確保できるためである。
(3) 自分の考えを表現する場の確保
自分の考えを伝えることに苦手意識をもっている児童が多いことから,
学級全体に伝える前に,
自分の考えを表現し,明確にする場を設定する。具体的には,少人数での意見交換や,自分の考
えを文や図,絵などで表す活動を取り入れることである。それらの活動を行った上での意図的指
名を積極的に取り入れることで,学習内容の理解に自信がもてない児童や発表に消極的な児童の
意見も引き出していきたい。仮説を伝える場面,調べた結果を伝える場面,調べた結果から考察
したことを伝える場面などの,様々な場面で,学習内容と児童の実態に応じて取り入れていく。
―指導案ET2―
6 自己の研修課題との関連
次のような主題を掲げ,自己の研修課題として研修を進めている。
児童が主体的に問題解決の活動を行う授業を目指して
-自ら問題を見いだし,推論をするための導入の工夫を通して-
本単元の指導において,自己の研修と関連する指導の手立ては次の表の通りである。
【単元名「電気とわたしたちのくらし」
】
(東京書籍 新しい理科6)
目的
時
手立ての内容
自然の事物・現象に興味・関心 第1次の1時
をもたせる
第3次の1時
絵,写真などの資料を活用させ,生活の中の電気利用について話し合わせる。
自ら問題を見いださせる
第1次の2時
2種類の機械の発電の様子を見せ,発電の仕方の共通点を考えさせる。
第2次の1時
電気を蓄えることができる非常用懐中電灯が,運動をやめても明かりがついている様
子を見せる。
第3次の2時
電熱線で発砲ポリスチレンを切る体験をさせた後,どうすればもっと熱くなるか考え
させる。
自分なりの予想・仮説や調べる 第1次の2時
方法を表現させ,問題解決の活 第3次の3時
動に見通しをもたせる
第4次の1次
どの児童にも考えを伝えさせ, 単元を通して
学級全体で学習を進めていく
身の回りで,電気を熱に変えて使っている器具を書かせ,それを元に話し合わせる。
どうすれば自分で電気をつくることができるかについて,仮説を表現させる。
電熱線の太さによって発熱の仕方がどのように変わるかについて,予想と理由を表現
させる。
調べる方法を考えさせ,決定させ,その調べ方に基づいた仮説を表現させる。
こうすれば電気を利用したおもちゃができるという仮説(設計図)を表現させる。
場面・状況に応じて,ペア・少人数グループ内での発表や意図的指名を行う。
7 単元の評価規準
評価の観点
評価規準
関心・意欲
・態度
① 発電の仕組みや電気の利用に興味をもち,電気はどのようにしてつくられ,どのように利用されているか
について,進んで調べようとしている。
② 電気が熱に変換されることに興味をもち,進んで身の回りで電気が熱に変換される例を調べようとしている。
③ 電気の性質を利用したおもちゃづくりに興味をもち,進んで製作しようとしている。
思考・表現
① 身の回りの電気の利用について,エネルギー資源の有効利用の観点から考え,自分の考えを表現している。
② 電熱線の長さを一定にして電流を流すと,電熱線の太さによって発熱の仕方が変わると推論し,自分の考
えを表現している。
技能
① 手回し発電機にいろいろな器具を適切に接続し,電気が光や音,運動等に変換されて利用されていること
を調べ,実験結果を記録している。
② コンデンサーを手回し発電機に正しく接続して電気を蓄え,蓄えた電気を使っている。
③ 電熱線の太さによる発熱の仕方の違いを調べている。
④ 電気の性質を利用したおもちゃを工夫して作っている。
知識・理解
① 電気は手回し発電機等を使ってつくることができ,つくった電気を光や音,運動等に変えて利用すること
ができることを理解している。
② 電気は,コンデンサー等に蓄えて使うことができることを理解している。
③ 身の回りには,電気の性質や働きを利用した様々な道具があることを理解している。
④ 電熱線に電流を流すと発熱し,長さを一定にした電熱線では,電熱線の太さによって発熱する程度が変わ
ることを理解している。
―指導案ET3―
8 単元指導計画(14 時間扱い 本時2/14)
小単元
第1次
どのように
すれば電気
をつくるこ
とができる
のか
(4時間扱い)
時
主な学習活動
評価の観点と方法
1 ・ 電気はどのようにしてつくられ,どのようなところで利用されているかに 関意態①[発言・記録]
ついて,知っていることを話し合う。
2
本
時
・ どのようにすれば自分で電気をつくることができるかについて,仮説を 関意態①[発言・記録]
立て,確かめる。
3 ・ 手回し発電機で作った電気をいろいろな器具に流し,どのような現象が起 技能①[行動観察・記録]
こるか調べる。
4 ・ 電気をつくり出す方法や,つくり出した電気はどのようなものに変えるこ 知理①[発言・記録]
とができるかについてまとめる。
第2次
1 ・ 身の回りに,蓄えた電気を利用している道具があることを知り,手回し発 技能②[行動観察・記録]
つくった電
電機やコンデンサーなどを使って,電気を蓄えることができることを確かめ
気はためる
る。
ことができ 2 ・ 電気はコンデンサーなどに蓄えて使うことができることをまとめる。
思表①[発言・記録]
るのか
3 ・ 資料を使って電気を効率的に使う方法について調べたり,エネルギー資源 知理②[発言・記録]
(3時間扱い)
の有効利用について考えたりする。
第3次
電気はどの
ように熱に
変わるのか
(4時間扱い)
1 ・ 身の回りで電気を熱に変えて使っている物を探し,電熱線に電流を流すと, 知理③[発言・記録]
2
発熱することを確かめる。
関意態②[発言・記録]
3
4
第4次
1
電気を利用し 2
た物をつくろ 3
う(3時間扱い)
・ 電熱線の太さを変えると,発熱の仕方がどのように変わるかについて,仮 技能③[行動観察・記録]
思表②[発言・記録]
説を立てて調べ,電熱線の太さと発熱の関係についてまとめる。
知理④[発言・記録]
・ 電気の性質を利用したおもちゃを作る。
関意態②[行動観察・記録]
技能③[作品]
・ 電気の働きや利用について,学習したことをまとめる。
知理①②③④[発言・記録]
思表①②[発言・記録]
9 本時の指導
(1) 小単元名
(2) ねらい
どのようにすれば電気をつくることができるのか
どのようにすれば自分で電気をつくることができるかに興味をもち,進んで仮説
を立て,確かめる。
(3) 自己の研修課題にかかわる本時の手だて
目的
手だての内容
自ら問題を見いださ
2つの機械(自転車の発電機・非常用懐中電灯)で発電する様子を見せ,発電の仕方の共通点を考えさ
せるため
せ,2つの機械の分解写真に写っている物がモーターであることに気付かせる活動を導入する。その活動
から,モーターがあれば,特別な機械がなくても電気をつくることができるのではないかという考えが自
然に生じるようにさせたい。
自分なりの予想・仮
説や調べる方法を表
現し,問題解決の活
動に見通しをもつた
め
「こうすれば,電気をつくることができる」という仮説をかき表させ,互いの考えを伝え合うようにさ
せる活動を導入することで,次の仮説検証の活動に見通しをもたせる。その際,
「モーターを回せば電気を
つくることができる」という考えは,比較的容易に出ると予想されるため,そのように考える理由まで書
かせるようにする。そして,理由についての話合いをとおして「モーターの軸を回す」,「運動が電気に変
わる」など,より具体的なとらえ方をさせることで,検証活動の視点をより明確にさせる。また,一人一
人の発想を大切にするため,モーター使用を必修条件とはしない。
「静電気を起こす」,
「果物電池をつくる」
等の考えが出た場合も意見として採り上げ,後日,関連資料を提供する。
―指導案ET4―
どの児童にも考えを 班内で考えを述べ合う活動を導入することで,どの児童も発言する機会を設定する。また,考えをノー
伝えさせ,学級全体 トにかかせてから指名したり,状況に応じて指名の仕方を変えたりすることで,できるだけ多くの児童の
で学習を進めていく 考えを引き出すようにする。
ため
(4) 準備物
・振り返り用の図(カード) ・自転車 ・非常用懐中電灯 ・分解写真 ・モーターの絵カード ・モーター(10 個ほど)
・豆電球(34 個) ・チューブ付きモーターと豆電球とわりばし(14 セット) ・手回し発電機と豆電球
(5)学習過程(2/14 時
段階
学習場所:教室)
主な学習活動 予想される児童の反応
指導上の留意点(※)及び支援(◇)
1 前時の学習を振り返る。
※ 教科書はしまっておくようにさせる。
○ 黒板の図を見ながら,電気が何に
変えられて使われているかを思い
出す。
2 電気をつくるものについて考える。
(1) 電気はどのようにしてつくられ
ているか考える。
では,その電気はどのようにしてつくられますか。
導
入
12
分
準備物 評価
・振り返り用
の図(カード)
・ いろいろな発電所でつくられる。 ※ 無理に様々な考えを出させることはしない。
板書もしない。児童の思考が電気のつくり方に
・ 乾電池に入っている。
向けばよいこととする。
・ 太陽光などの自然エネルギーから
つくられる。
・ 震災で使った手回し式の懐中電灯
でつくられる。
・ 髪の毛を下敷きでこすると静電気
ができる。
(2) 自転車の発電機と非常用懐中電灯 ※ どちらの機械も,蓄電できないタイプの物を
使うことで,運動している時にだけ電気が生じ ・自転車
が発電し明かりがつく様子を見る。
ていることに気付くことができるようにする。 ・非常用
(3) 2つの機械の発電の仕方の共通点
(伝え合いの中で,2 ◇ 机間指導を行い,できるだけ多くの児童の記
懐中電灯
を考え,伝え合う。
つの機械を分解した写真を見て,どちらにも中
述内容を褒め,認めることで自信をもたせる。 ・豆電球
にモーターが入っていることを知る)
自転車の発電機と非常用懐中電灯の電気のつくり方で,同じところや
似ているところ(共通点)をノートに書いてみましょう。
・ どちらも機械の一部を動かしてい ※ 記述内容を基に指名していく。普段発表に消
極的な児童も発言する場面をつくる。
る。
・ どちらもぐるぐる回転させて明か ※ 友達の意見に納得した場合は,色ペンで書き
足すようにさせる。
りをつけている。
・ 中で静電気が起きていると思う。 ※ モーターの存在に触れた意見を記入した児
・ 動かしている時に何か音がする。 童を指名し,発表後,モーターの絵と実物を見 ・2つの機械の
せながら説明をする。児童から意見が出ない場
分解写真
・ 音がするのは,多分,中にモータ
合は機械の中身に目を向ける問いかけをする。 ・モーターの
ーが入っているんじゃないかと思
絵カード
う。
(分解写真を見て)やっぱりそうなんだ。
・モーター
・
―指導案ET5―
3 本時の問題を確認する。
導
入
12
分
展
開
30
分
終
末
3分
※ 「できてる機械だから発電できるんだよね」とゆさぶる。
どのようにすれば自分で電気をつくることができるのだろうか。
(1) 「自分で」の意味は,
「自転車の ※ 問題の意味の理解が曖昧になる恐れがある
発電機や非常用懐中電灯のような
ため,よく確認し,質問を受け付ける。
完成している発電機械を使わずに」 光電池×⇒つないで日光を当てるだけ。
であることを確認する。
乾電池×⇒つなぐだけ。
(2) ノートに問題を書く。
教師の机の上にある物(豆電球,モーター)○。
児童の持ち物○。ただしできている発電機は×
4 仮説を立てる。
(1) 仮説のかき方と考え方を知る。
① 「●こうすれば,電気をつくる
ことができる。●その理由」
(文章のみでも絵入りでも良い)
② 豆電球に明かりがつけば電気
をつくることができたと考える。
(2) 仮説をノートにかき表す。
① 自力
② 班(各班3,4人ずつ)内の友
達との意見交換
(3) 学級全体で互いの考えを伝え合う
・ モーターを回せば電気ができると思います。
なぜなら,2つの機械どちらもモーターを回
して電気をつくっていたからです。
・ 僕も同じ意見です。理由を付け足すと,モー
ターは,電気→運動なので,逆に運動→電気
になると思うからです。
・ さらに付け足しがあります。軸の部分を回す
と,電気ができると思います。なぜなら,4
年生の時,モーターカーのモーターの軸が回
っていたからです。
・ 髪の毛に下敷きをこすりつけて静電気を起こ
します。理由は前に髪の毛が立ったからです。
5 仮説が正しいか確かめる。
(1) 確かめ方を知る。
豆電球をつないだモーターの軸
を割りばしでこすりつけるように
引く。
(2) 確かめる。
(3) 結果を全体で確認する。
◇ 必要とする児童には,実物のモーター等を与
え,実物に触れながら考えることができるよう
にさせる。自転車の発電機を見に行くことも認
める。豆電球は全員に与える。
◇ 机間指導により,積極的に児童の考えを認
め,自分の考えに自信をもたせる。
※ (2)の②と(3)においては,友達の意見に納得
したら,色ペンを使ってノートにかき足すよう
にさせる。
※ ノートへの記述内容や話合いにおける発言
内容をもとに,発表児童を指名する。
※ 発表児童には,必要に応じて,モーターの絵
カードや実物のモーターを使って説明させる。
※ 時間に余裕があれば,「どのようにして軸を
回すか」についても聞いてみる。
※ 5においては,短時間で検証ができるよう事
前につくっておいた実験器具をグループ(2・
3人1 組)に一つずつ渡す。軸にゴム製チュー
ブを差し込み,回りやすくしておく。また,明
かりがついたのが分かりやすいよう,できるだ
け教室を暗くする。豆電球は規格が 2.2V-
0.11Aの物を使用する。
※ 時間があれば,髪の毛と下敷きに豆電球をつ
なぎ,静電気も試させる。
(意見が出た場合のみ)
・モーター
(10 個ほど)
・豆電球(34 個)
【関・意・態】
どのようにすれ
ば自分で電気を
つくることがで
きるかに興味を
もち,進んで仮
説を立て,確か
めている。
(発言・記録)
・チューブ付き
モーターに豆
電球をつない
だ物
(14 セット)
・割りばし
(14 本)
6 次時に見通しをもつ
※ 手回し発電機を見せ,次時の活動への意欲が ・手回し発電機
○ 今日分かったことと,次時の学習内
高まるような伝え方をする。
に豆電球をつ
容を確認する。
ないだ物
―指導案ET6―
(6) 板書計画
電気とわたしたちのくらし
? どのようにすれば自分で電気をつくることができるのだろう
○
光
電気
〈仮説〉
(こうすれば,電気をつくること
ができる。)
・モーターを回す。
運動
熱
音
○2つの機械
分解
〈電気のつくり方の共通点〉
・運動
・音
・回転
モーター
・モーター
分解
じく
・かみの毛に下じきをこすりつける。
すぐ豆電球につなぐ。
〈その理由〉
・2つの機械→回していた。
・電気→運動の反対 運動→電気
・回す手ごたえ→電気ができる
・モーターカー→じくが回っていた
・かみの毛が立った(静電気)
→明かりもつく
10 本時の評価
評価の観点
評価規準(B)
十分満足できる(A)
努力を要する児童(C)への手立て
関心・意欲
どのようにすれば自分で
どうすれば自分で電気をつくること 班の友達との話合いの中で,友達の考え
電気をつくることができるか ができるかに興味をもち,観察や体験で を参考にして考えることができるようにさせ
・態度
に興味をもち,進んで仮説 気付いたことや既習事項に基づいた根 る。発表児童にモーターの絵や実物を活用
を立て,確かめている。
拠をもった仮説を立て,確かめている。 させることで考えを理解しやすくさせる。
11 授業を終えて
授業を終え,振り返ってみて,
「効果があった点(○)
」と「改善を必要とした点とその対応策(▲)
」
について,以下に示す。
○ 2つの機械(自転車の発電機・非常用懐中電灯)が発電する様子を見て,発電の仕方の共通点
を考えさせことと,それぞれの機械の分解写真を見せて,どちらにもモーターが入っていること
に気付かせたことが,児童が自ら問題を見いだすことにつながった。授業後の意識調査で,
「共通
点を考え,話し合ったとき[完成された発電機械を使わなくても,自分で電気をつくることができ
るかもしれない]と思いましたか。
」の問いに,28 名が「思った」と答えたことからも,てだてが
有効性だったことが分かる。また,児童から出された意見には「動かしている」
「回している」
「す
れている」
「ためている」
「モーターがある」等多様なものがあった。さらに,
「回す方向はどちら
でも良いのか」という質問が出され,実際に試してみた。本時の問題とは違うが,これも児童が
自ら見いだしたことであった。
○ 「モーターの軸を回す」以外の仮説も認めるようにしたことで,主体性が高まった児童がいた。
児童から出された仮説は,
「下敷きで頭をこする」
,
「使えなくなった乾電池をこする」等で,理由
として挙げられたのは,
「髪の毛が立つから」
「雲で氷の粒どうしがこすれて雷が起こると聞いた
ことがあるから」
「前にテレビのリモコンの電池が切れた時,こすったらまた使えるようになった
から」等であった。どれも本単元の学習内容からは外れるものではあるが,児童自らが生活経験
等を基に発想したものであった。後日,それぞれの考えについての関連資料を示す等の補足を行
った。
○ ノートへの記述内容を踏まえて指名したことで,発表に消極的な児童の意見も多く引き出し,
伝えさせることができた。そのことが,2つの機械の発電の仕方の共通点を伝え合った場面や本
時の問題についての仮説を伝え合った場面での学びをより深いものにすることにつながった。
―指導案ET7―
▲ 2つの機械の発電の仕方の共通点を考えさせる活動で多様な意見が出され,充実した学習が展
開された反面,時間がかかり過ぎてしまい,45 分間では予定通りの内容を終えることができなか
った。そのため,別の時間に 30 分間程度を確保し,最後まで学習を行うこととなった。
対応策としては,本時の学習内容を減らし,共通点や仮説を考える時間を確保するために,仮
説の伝え合いと検証の活動を次時に移し,主な学習活動の4(1)までとする方法が適切と思われ
る。
▲ 豆電球やモーター等の実物を使いながら,仮説とその理由を考えさせるようにしたことは,有
効だったかどうかに疑問が残った。実物に触れさせたことで,より具体的に考えさせることがで
き,何とかモーターを回そうとする児童や,服に下敷きをこすりつけて,静電気で豆電球を光ら
せようとする児童が現れたことは良かった。つまり,仮説の確かめ方まで考え始めたのである。
しかし,実物を使ったことで,すぐに仮説が正しいかどうかを試すことに気持ちが移り,仮説の
理由について十分に吟味しない児童が多くなってしまった。また,試してから仮説を立てようと
する児童も現れ,
そのような児童は仮説→検証の流れが逆の思考になってしまった。
こうなると,
正しい仮説を導き出すだけの活動になってしまい,多様な考えを出し合い,伝え合うことで考え
を深めるという本来の活動のねらいから外れることになってしまい,思った以上に仮説をかくこ
とにとまどった児童が多かった。
対応策としては,基本的に実物は渡さないようにし,仮説の正しさを検証するためではなく,
モーターや自転車の発電機等をよく観察して,考える参考にするためという場合のみ,実物に触
れることを認めるようにするのが適切と考える。仮説→検証の流れを重視すべきと考えるためで
ある。
―指導案ET8―