春日井の大木・名木

春日井の大木・名木
50選
春日井自然友の会
目
次
まえがき
1.樹木調査の概要
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
(1) 幹周・根元周 3m以上の樹種別本数 ・・・・・・・・・・・・・・・・2
(2) 樹種別最大幹周・根元周及び本数
・・・・・・・・・・・・・・・ 3
2.大木・名木 50 選
(1) 西部地域 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5
①~㉖ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
(2) 東部地域 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
㉗~㊿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35
(3) その他
㋑~㋩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59
あとがき
(1)幹周・根元周 3m以上の樹種別本数
樹木名
科 名
本数
エングラー体系
クスノキ
32本
ツブラジイ
23本
アラカシ
6本
ツクバネガシ
3本
アベマキ
2本
ウラジロガシ
2本
ケヤキ
6本
エノキ
2本
ムクノキ
2本
ヤマザクラ
6本
ソメイヨシノ
3本
イチョウ
APGⅢ体系
クスノキ科 クスノキ科 ブナ科 ブナ科 ニレ科 ニレ科 アサ科 バラ科 バラ科 2本
イチョウ科 イチョウ科 トウカエデ
2本
カエデ科 ムクロジ科 ヒノキ
2本
ヒノキ科 ヒノキ科 モミ
2本
マツ科 マツ科 クロガネモチ
2本
モチノキ科 モチノキ科 アカメヤナギ
1本
ヤナギ科 ヤナギ科 17樹種
98本
-2-
(2)樹種別最大幹周・根元周及び本数
樹木名
クスノキ
エノキ
アラカシ
ツブラジイ
アカメヤナギ
ヤマザクラ
イチョウ
ケヤキ
ツクバネガシ
モミ
ソメイヨシノ
トウカエデ
ウラジロガシ
クロガネモチ
ムクノキ
アベマキ
ヒノキ
コナラ
カゴノキ
ヤマモモ
クロマツ
スダジイ
シラカシ
タブノキ
エドヒガン
イチイガシ
ヒガンザクラ
シダレザクラ
ヤマモミジ
イロハカエデ
カキノキ
科 名
クスノキ科
ニレ(アサ)科
ブナ科
ブナ科
ヤナギ科
バラ科
イチョウ科
ニレ科
ブナ科
マツ科
バラ科
カエデ(ムクロジ)科
ブナ科
モチノキ科
ニレ(アサ)科
ブナ科
ヒノキ科
ブナ科
クスノキ科
ヤマモモ科
マツ科
ブナ科
ブナ科
クスノキ科
バラ科
ブナ科
バラ科
バラ科
カエデ(ムクロジ)科
カエデ(ムクロジ)科
カキノキ科
株 幹周 ㊿
最大樹木所在地
立 ㎝ 選
○ 663 ㉟ 松本町 諸大名神社
○ 566 ㊽ 旧中央線6号トンネル
○ 555 ㉚ 神屋町 八幡神社
○ 532 ⑰ 町屋町 神明社
○ 517 ⑤ 牛山町 牛山公園
○ 485
見性寺から尾根北向斜面
462 ㉘ 西尾町 天王様
427 ⑮ 鷹来町 名城大学
○ 425 ㉑ 小木田町小木田神社
410 ㊴ 内津町 巌屋神社裏
○ 370
西山町 西山小北の墓地
337 ㉒ 上条町 大日社
○ 330
見性寺から尾根北向斜面
○ 324 ⑥ 大手町 八幡神社
320
神屋町 松浦宅
○ 318 ㊲ 大留町 天導塚公園前
315 ㉙ 明知町 日吉神社
290
春日井町字七ツ割墓地
282 ㊳ 大留町 子安神明社
○ 280 ㊸ 廻間町 大谷山中腹
275 ⑧ 前並町 前並誕生講
273
松本町 諸大名神社
○ 272
篠木町 神明社
272 ㉖ 松河戸町白山神社
○ 250
熊野町 密蔵院
248 ㊱ 堀ノ内町神明神社
248 ⑳ 朝宮町 覚成寺
243 ㊵ 内津町 内々神社庭園
○ 238 ⑨ 宮町 両社宮社務所
237
小木田町小木田神社
235 ㊺ 廻間町 鈴木宅
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調査
本数
146本
21本
41本
126本
3本
33本
28本
21本
42本
4本
11本
6本
6本
165本
52本
70本
59本
8本
3本
6本
10本
11本
46本
3本
1本
3本
1本
1本
1本
6本
3本
② 鷹来小学校のクスノキ
クスノキ科 常緑広葉樹
関東以西~九州に分布
幹周
所在地
樹高 約19m
400cm
田楽町1845
樹齢(推定110年)
このクスノキは学校の運動場に悠々と高くそびえている。
児童たちも学校自慢のシンボルとして大切にし、校歌にも「雲にそびえるクス
ノキは・・・」と歌われている。
明治35年田楽尋常小学校の大林斉校長が、学校や地域を豊かな緑に
包もうと実生から育てられたものである。明治38年3月22日の学校日誌に
「大林先生の苗90本余植付けせり」の記録があり、日露戦争終結を記念し
各地に配布植樹された。
新徳寺・大手八幡神社・伊多波刀神社等のクスノキもこの時植樹された
ものといわれる。
-8-
⑩ 両社宮のツブラジイ
ブナ科 常緑広葉樹
関東以西~九州(南限は屋久島)に分布
幹周
所在地
樹高 約15m
409cm
宮町 1
樹齢(不詳)
このツブラジイは参道西
側(小学校側)の中程にあり、
幹の上部が伊勢湾台風で
折損し朽ちているが、樹勢
旺盛でしっかり根を張り堂々
たる風格を備えている。
社叢には他に保存樹が
12本ある。
ツブラジイ (468cm)
ツブラジイ (320cm)
上記2本は神社裏「春日
井地区学習等供用施設」西
脇にある。
ア ラカシ
(3 4 5c m)
ツクバネガシ(199cm)
イチョウ
(197cm)
ヒノキ
(180cm )
等がある。
当神社は慶安元年(1648)に八幡社、慶
安 3 年 (1650)熱 田社 を勧 請し、 元禄 3 年
(1690)に両社宮とした。一時期「和爾良神
社両社宮」と呼ばれた時期もあった。
-16-
⑯ 名城大学農学部のモチノキ
モチノキ科 常緑広葉樹(雌雄異株)
幹周
所在地
宮城・山形県以南~沖縄に分布
210cm
樹高 約9m
鷹来町菱ケ池4311-2
樹齢(推定 100 年)
このモチノキは一本立の雌株で、本館前の庭
園に植えられている。樹冠が落下傘状に直径15
m程広がり美しい樹形を保ち、樹床にはベンチが
置かれ憩いの場となっている。
モチノキは海岸に近い山地に生える常緑高木
で、4月頃に黄緑色の小さな花を密につける。果
もち
実は直径1cm程の球形で赤く熟す。「黐の木」と
表記し、樹皮から鳥黐を作ることができ、これが名前の由来となった。
-22-
㉓ 大光寺のクロガネモチ
モチノキ科 常緑広葉樹(雌雄異株)
幹周
所在地
福井以西~沖縄に分布
278cm
樹高 約5m
上条町8-3618
樹齢(推定370年)
このクロガネモチは雌株で本堂前に立っている。
大正3年(1914)の火災で北側半分が焼け焦げ、
空洞化した主幹はセメントで補修され痛々しく見える。
樹下には、「小野道風お手植えの樹」の石碑がある。
境内には、他にクスノキ(212cm)の保存樹もある。
大光寺は小牧長久手の戦い(天正 12 年(1584))
の折全焼し、正保2年(1645)復興し、また大正3年
に火災にあっている。「道風お手植えのクロガネモチ」
は、天正の火災で焼失し、再興時に植えた2代目で
はなかろうか。
-29-
㉛ 坂下小学校のゴヨウマツ
マツ科 常緑針葉樹
北海道(南部)~九州に分布
根元周
所在地
樹高 約18m
174cm
坂下町5-324
樹齢(推定200年)
このゴヨウマツ(ヒメコマツ)は校舎南側に雄姿を見せている。その隣にク
スノキ(310cm)の大木も見られる。
この樹は明治の中頃地元の人から寄贈され、
大正2年に学校が現在地に移転した時も同じ
く移植された。昭和34年9月伊勢湾台風で
倒れたが、学校・地域あげての努力でよみが
えった。
昭和35年、坂下尋常高等小学校の65周
年祭の学校劇「五葉松は知っている」がCBC
テレビで放映された。学校のシンボルとして、
長年にわたり地域の人々に愛されている。
【旧校舎玄関前】
-39-
㉜ 坂下町一丁目交差点のエノキ
ニレ(アサ)科 落葉広葉樹
幹周
所在地
本州~九州に分布
310cm
樹高 約22m
上野町「坂下町一丁目交差点」西側
樹齢(不詳)
このエノ キは 交差
点西側角にある小高
い塚上に立ち、堂々
とした枝振りで周りに
は障害物がなくよく目
立つ。幹周が市内第
2位のエノキである。
かつてこの地点には、
上野町の旧墓地があ
り、 このエノキがそ の
入口に墓地を見守る
ように立っていた。
エノキは、 古くは鬼
神・邪霊を避ける神の
木として信仰の対象と
され、神社、村落の
境 界 など に 植え られ
た。小正月にエノキに
餅をつけ餅花として飾
る風習もこの名残であ
ろう。
日当たりの良い 場
所を好み、 秋に果実
は橙褐色に熟し食べ
られる。
-40-
㊷ 見性寺のタラヨウ
モチノキ科 常緑広葉樹(雌雄異株)
幹周
所在地
211cm
内津町165
本州(静岡県以西)~九州に分布
樹高 約13m
樹齢(推定500年)
このタラヨウは石段を上
がった右端にあり、樹勢旺
盛な雄株で、幹周が市内
第1位のタラヨウである。
寺院によく植えられ、ま
た、晩秋に赤い実が多数
集まって美しいため庭園
樹として用いられている。
尾張地方でも山林内で
まれに見ることがあるが、
これは逸出したものが生
育したものである。
タラヨウの名前は、葉に
経文を書き写したというイ
ンド産の「貝多羅樹」にな
ぞらえて“多羅葉”と名づ
けられた。
別名、エカキシバ・ジカキシバとも呼ぶが、これ
はタラヨウの葉の裏に細い棒で絵や字を書くと、褐
色反応により黒く浮き出てくるからであり、「葉書の
木」とも言われ、郵便局のシンボルツリーともなっ
ている。
-50-
㊽ 旧中央線跡のエノキ
ニレ(アサ)科 落葉広葉樹
根元周
所在地
566cm
玉野町東谷
本州~九州に分布
樹高 約27m
樹齢(推定200年)
このエノキは旧中央
線6号トンネル西口か
ら右に入り、玉野古道
へ下り る手 前、トン ネ
ル腹部斜面に、板根
状に根を張っている。
ご うちゃく
幹は合着 (連理)し
てその上部は数本立
ちで高くそびえている。
「 やま おや じ の大 エノ
キ」の看板が立ってい
る。
エノキは、神が宿る
聖なる木・特殊な霊
力のある木として、一
里塚や墓地に植えら
れたりした。また、国蝶
オオム ラサ キの 幼虫
の餌ともなっている。
周辺には市内では
珍しいヤマホオズキ
(国絶滅危惧種)やヤ
ブサンザシ・ アブラチ
ャン・キジョランなどが
見られる。
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㋩ シデコブシ自生地
モクレン科 落葉広葉樹
伊勢湾周辺地域に分布
所在地 廻間町馬不入
日本固有の遺存植物
で、東海三県(愛知・岐
阜・三重)の限られた地
域のみに自生する貴重
な植物である。
周伊勢湾要素(東海
丘陵要素)と呼ばれ、
伊勢湾を取りまく丘陵
の谷すじや山裾の湿地
に分布する。
環境省のレッドリスト
で は 準絶 滅危 惧( NT)
に指定されている。
春日井市では、かっては丘陵の湧水湿地や山
裾周辺湿地に普通に見られ、湿地の春を彩る代
表花であった。しかし、丘陵の大規模な開発によ
る消滅や、成育環境の悪化により、衰退していく
現状である。
市は、少年自然の家西の谷(廻間町馬不入)地域の最もシデコブシがま
とまった自生地を平成15年3月に天然記念物に指定している。
本会では保全活動に協力している。
シデコブシの幹は単生又は数本の株立となる。花は3月下旬~4月上旬
に葉の展開前に咲き、花弁は多数、外面は白色~桃紫色で内面は白色。
名前は、花びらが垂れ下がった様子が神事の玉串やしめ縄のシデ(垂・
四手)に似る事、コブシは果実が拳状の形に似る事に由来する。市内全域
の自生数は樹高背丈以上が 633 株。最高幹周 73 ㎝である。
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