脳卒中の分類法

DM 登録 脳卒中 Endpoint 案
1. エンドポイントとする脳卒中の範囲
・症候性脳出血:高血圧性脳出血、アミロイドアンギオパチーによる脳出血、
クモ膜下出血、その他の脳出血
・症候性脳梗塞:ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓、その
他の脳梗塞
・一過性脳虚血発作(TIA)
<除外>
・無症候性脳梗塞:脳ドックやたまたま撮影した CT や MRI で検出された無症候
のもの
・脳腫瘍(原発性・転移性)・動静脈奇形を原因とする脳出血
・もやもや病を原因とする脳出血と脳梗塞・TIA
・血液疾患(白血病・血小板減少症・多血症・凝固線溶異常)や肝疾患(凝固
因子減少や
血小板減少)に伴う脳出血・脳梗塞
・悪性腫瘍や DIC に続発した脳出血・脳梗塞
・様々な原因により生じた全脳虚血による意識消失発作
2. エンドポイントとする脳卒中の診断基準
下記診断基準を満たし、
・CT・MRI 所見またはカルテ記載から、出血や梗塞が確かに生じたことを確認で
きるもの(た
だし、一過性脳虚血発作は梗塞巣の出現を必ずしも伴わなくてよい)。
・脳卒中発症に伴ない明らかに神経症状が出現したことを、カルテ記載や書類
(介護保険や身体障害申請書類など)から確認できるもの。本人や家族の訴え
だけの場合は除外。
①高血圧性脳出血:大脳基底核・視床・小脳・脳幹出血、皮質下出血で、発症前
に高血圧の治療歴があるか高血圧の存在が否定できない。
②アミロイドアンギオパチーによる脳内出血:高齢者(70 歳以上)の大脳皮質
下に発生した比較的大きな脳出血(再発することが多い)で、高血圧の既往が
ないもの。
③クモ膜下出血:CTにて脳槽を中心に出血をみとめる。脳動脈瘤破裂による
ものが多い。
④その他の脳出血:70 歳未満で高血圧のない大脳皮質下出血など、分類不能な
もの
⑤一過性脳虚血発作(TIA):on/off の明確な虚血による一過性の巣症状(持続
時間 24 時間以内)。責任病巣としての脳梗塞出現の有無を問わない。
・・・古い
診断基準を採用する。
⑥ラクナ梗塞:穿通枝領域(大脳基底核・視床・放線冠・脳幹)の最大径 15mm
以下の小梗塞。高血圧患者・高齢者に生じることが多い。
*穿通枝起始部のマイクロアテロームを基盤として発生するラクナ梗塞は、最
大径 16mm 以上となることがあり(別名 Branch atheromatous disease:BAD)、基
底核-放線冠領域では垂直方向に進展(MRI で 3 スライス以上)、脳幹では脳幹腹
側に接し水平方向に進展する。糖尿病を含む危険因子を複数持つ患者にみられ
ることが多く、重症化しやすい。
⑦アテローム血栓性脳梗塞:大動脈―頚動脈―脳底部主幹動脈-脳動脈分枝の動
脈硬化を基盤として生じる脳梗塞。血栓性(アテローム血栓性梗塞;頚動脈―
脳動脈分枝のプラークが破綻しその場で血栓性閉塞がおきる)、塞栓性(アテロ
ーム血栓性塞栓;大動脈―頭底部主幹血管のプラーク断片や血管狭窄部で生じ
た血栓がより抹消の脳動脈に飛来して閉塞する)に分けられる。責任血管環流
域の白質に主座をおく梗塞を生じることが多いが、脳血管皮質枝の境界領域(分
水嶺梗塞)や分枝末端領域の皮質に梗塞を生じることもある。高血圧・糖尿病・
脂質異常症・喫煙者・CKD 患者に生じることが多い。
*大脳皮質下(白質)主体の梗塞が、主に水平方向に広がっている時はアテロ
ーム血栓性梗塞、垂直方向に広がり MRI で 3 スライス以上のときは大型ラクナ
梗塞(⑥)とする。
*大脳皮質主体の梗塞があり、病変より近位の血管に塞栓源が発見された時は
アテローム血栓性塞栓、血管系に塞栓源がなく心房細動または心腔内に塞栓源
があるときは心原性脳塞栓(⑧)に分類する。血管・心腔内両者に塞栓源がな
く、心房細動が発見されない場合は、その他の脳梗塞(⑨病態不明)に分類す
る。
⑧心原性脳塞栓:心臓内に生じた血栓・腫瘍・ユウゼイなどが脳血管に飛来し
て生じる、皮質主体の楔形梗塞。静脈内に生じた血栓が、卵円孔や心房・心室
中隔欠損、肺動静脈瘻などの右左短絡を経由して左心系に流入して脳塞栓を発
症(奇異性脳塞栓)も含まれる。
(非弁膜症性)心房細動(発作性心房細動も含
まれる)、人工弁置換術後、心筋梗塞後、心筋症、ペースメーカー植え込み術後
などに生じることが多い。
⑨その他の脳梗塞:各種検査でも病態が確定できなかった、または検査不十分
であるが画像診断上脳梗塞であることが間違いないと思われるもの。
3. 実例
①高血圧性脳出血(CT)
視床出血
被殻出血
脳幹出血
②アミロイドアンギオパチーによる脳内出血(CT)
左前頭葉皮質下出血
③くも膜下出血(CT)
小脳出血
⑥ラクナ梗塞
放線冠ラクナ梗塞
(MRI 拡散強調画像)
被殻ラクナ梗塞(CT)
多発性ラクナ梗塞
(MRIT2 強調画像)
内包後脚から放線冠にかけて出現した大型ラクナ梗塞(BAD)
(MRI 拡散強調画像、3 スライス)
脳幹ラクナ梗塞(MRI 拡散強調画像)
脳幹大型ラクナ梗塞(BAD)
(MRI 拡散強調画像)
*梗塞巣が脳幹腹壁に接し径 16mm 以上
⑦アテローム血栓性脳梗塞
大脳アテローム血栓性梗塞
(CT)
小脳アテローム血栓性梗塞
(MRI 拡散強調画像)
アテローム血栓性梗塞
(分水嶺梗塞)
(MRI 拡散強調画像)
アテローム血栓性梗塞(分水嶺梗塞) アテローム血栓性塞栓(小) アテローム血栓性塞栓(大)
(MRI 拡散強調画像)
(MRI 拡散強調画像)
(MRI 拡散強調画像)
⑧心原性脳塞栓
大脳心原性脳塞栓
(出血性梗塞;CT)
小脳心原性脳塞栓
(出血性梗塞;CT)
4.診断・評価フローチャート
大脳心原性脳塞栓(MRI)
5.最終エンドポイントチェック項目
《ラジオボタン式 またはチェックのみで記入可能とする》
○ 症候性頭蓋内出血
◎ 高血圧性脳出血
— 部位(●P:被殻 ●T:視床 ●C:小脳 ●S:皮質下 ●B:
脳幹
M:混合型)
◎ アミロイドアンギオパチーによる脳内出血
◎ クモ膜下出血
◎ その他の脳内出血
○ 症候性脳梗塞
◎ ラクナ梗塞
— (● SL:15mm以下 2 スライス以下 ●LL:16mm以上 3
スライス以上)
◎ アテローム血栓性脳梗塞
— (●TA:アテローム血栓性梗塞 ●EA:アテローム血栓性塞栓)
◎ 心源性塞栓症 (奇異性脳塞栓を含む)
◎ その他の脳梗塞(動脈解離や原因不明・分類不能の梗塞)
○ 一過性脳虚血発作
● 画像上はっきりした病巣のないもの
● 画像上 脳梗塞の出現のあるもの
青は必須項目 赤は判別可能ならチェックする補助項目
○ ◎ ● はそれぞれインターネットまたはチェックリストで印をつける部
位に相当
○◎⇒チェック必須
●⇒判別可能ならチェック
DM 登録 脳卒中 ENDPOINT 案
NTT 東日本関東病院 脳神経外科・脳卒中センター
森田明夫・山岡由美子
v.01152020