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第36号
The
Southern
Wind
島根 県 立 松 江 南高 等 学校
南 風
( H28.12.21 )
~
J-Popランキング
嗜好の個性化と文化の共有
校長
長野
博
~
12 月も半ばを過ぎ、一年間を総括する時期になってきた。新語・流行語大賞が早くも発表された
が、間もなく世界十大ニュースなど、今年一年間の事件やスポーツなどのランキングが発表される。
昔は年末の音楽番組と言えば紅白歌合戦とレコード大賞だった。レコード大賞に出演したアーテ
ィストが授賞式の会場からNHKホールに移動する様子も放送され、時間的に連続したこの二つの
番組はタイアップしていた。アーティストたちにとって、両方を掛け持ちすることは一つのステイ
タスだったに違いない。
音楽の世界は随分と変わった。用語だけでも昔の「作曲家」は「メロディメーカー」に変わり、
「ヒ
ット」は「ブレイク」、「歌」は「楽曲」あるいは「作品」、「歌謡曲」は「J-Pop」、「発売」は
「リリース」
、「歌手」は何と「アーティスト」である。
新聞やテレビでは曜日を決めて書籍、音楽CD、DVD、映画など様々なランキングを発表して
いる。私も良く見るが、J-Popランキングでは入れ替わりが激しい。ある週の 1 位の曲があっ
という間に圏外に消えてしまう。これに対して USA ヒットチャート、映画ランキングなどでは、順
位の変動が少ない。多くの人に支持された息の長い作品が多いということだ。
かつて「ザ・ベストテン」という歌番組があった。木曜日の午後 9 時の大ヒット番組だ。独自の
方法で算出された得点で曲のランキングが発表される。
「今週の 1 位は○○、△週連続の 1 位です。」
と黒柳徹子が叫ぶとファンファーレが鳴り、1 位の曲のアーティストが登場する。
近年では「○作品連続 1 位」が当たり前のようだが、当時は「△週連続第 1 位」だった。曲の息
の長さは極端に短くなった。1 年約 50 週、1 曲で 3 ~ 4 週間も 1 位に君臨すれば、1 位になれる曲
は 1 年間で 10 数作品だけだ。しかし近年のように毎週トップが変われば 1 位となる曲は 50 作品で
きる。1 位を取ることができる作品が多くなったということで、言い換えれば 1 位の価値が低くな
ったということだ。多くのアーティストに勲章が配られる仕組みとしては良いが。
私事で恐縮だが、太田裕美の「木綿のハンカチーフ」という曲がある。名曲だが、同時期に「お
よげ!たいやきくん」が 2 ~ 3 ヶ月にわたり 1 位の座に居座り続けたことから、ずっと 2 位に甘ん
じた。ファンとしては悔しかった。
なぜ、このように変わったのか。一つには「その曲の出来不出来は二の次、そのアーティストの
曲であれば何でも良い」とするファンの存在である。曲を買うのではなくアーティストを買うので
ある。加えて予約販売が定着し、ファンが新曲発表と同時に購入するようになったことである。魅
力的なプロモーションビデオが当たり前に作られるようになり、予約販売を後押ししている。発売
されてから音楽番組で曲を聴き、良ければ買うといった時代ではなくなった。
音楽が特定のファンのものになっている。大衆が多くのアーティストの作品を聴いて選択するの
ではなく、予めアーティストが選択されているのである。音楽番組で流れないような曲は大衆に共
有されにくく、結果として我々の知らない曲、知らないアーティストが増える。老若男女に受け入
れられる音楽は、最近ではSMAPの曲や「アナと雪の女王」など、話題作や誰もが観るようなテ
レビ、映画の主題歌くらいになってしまった。
「聴きたくない曲は聴かない、聴きたい曲だけ聴く」、嗜好の個性化は文化の共有を阻む。
紅白歌合戦で自分の好きなアーティストしか観ない人は多い。若者は演歌を聴こうとしないし、
年配は若いアーティストの曲についていけない。しかし、出場回数の少ない若いアーティストから
始まり、年季の入った大御所のトリで終わった歌合戦も、今ではかなりシャッフルされた。音楽の
嗜好の違う家族が互いに少しだけ壁を低くすれば団らんの場が持てる。
異文化理解は外国文化の理解だけのように考えがちだが、日本の中でも地域の違いによる文化が
あり、その理解が必要と諸君に伝えてきた。異文化理解は自分のつくった壁を低くしてまわりを見
ることだ。極端に言えば、対人関係は全て異文化理解なのかもしれない。なるほど、紅白歌合戦は
家族単位の異文化理解の場でなのある。
<裏面あり>
<皆様へ>
【松江ハイスクールブラスコンサート】
この度、松江北高校、松江南高校、松江東高校の三校で吹奏楽部の合同演奏会を開催することにな
りました。この演奏会には「北南東(き・み・と)奏でるハーモニー」という副題がついています。
なかなか洒落ていますね。各校単独演奏の第一部と合同演奏の第二部という構成です。
日時等は下記のとおりです。多くの方のご来場をお待ちしています。
日 時:平成 28 年 12 月 28 日(水) 会場:13:30
開演:14:00
会 場:松江市総合文化センター プラバホール 大ホール
入場料:無料
【島根大学留学生との交流会】
島根大学では毎年この時期に、他国から島根大学に来ている留学生、他国に留学した島根大学生た
ちが集まり、交流会を開催しておられます。この交流会には昨年度、本校から十数名が参加しました
が、今年も招いていただき、1 ~ 2 年生の希望者 15 名が参加してきました。英会話で四苦八苦してい
る私を横目に、参加した生徒たちは楽しそうに交流していました。
島根大学では海外協定校の夏期研修に際してのホームステイ先(ホストファミリー)を求めておら
れます。今回の公募は次のとおりです。受け入れ条件さえ整っていれば、受け入れ家庭の高校生にと
っても良い経験になると思います。ご関心のある方は下記のところへご連絡ください。
① アーカンソー大学(アメリカ)< 10 名程度>
ホームステイ期間:平成 29 年 6 月上旬~下旬
金曜日~日曜日の 2 泊 3 日
② 慶尚大学校(韓国)< 20 名程度>
ホームステイ期間:平成 29 年 6 月 23 日(金)~ 6 月 25 日(日)<予定> 2 泊 3 日
※ 連絡先(①②とも):島根大学国際交流課留学生交流担当
電話:0852 - 32 - 7023
E-mail:[email protected]
<皆様へ>
【関連メッセージ】・・・今号の内容に関連した過去の”風”を紹介します。
松江南高校のホームページからご覧ください。
(ホームページの右側「校長メッセージ 南風 みなみかぜ」をクリックしてください。)
「平高の風」(第42号):マチルダ
「南風」(第5号):デミアン
「南風」(第29号)松江のお盆
「南風」(第30号):旬