2011年 - 旭化成ファーマ株式会社

2011
旭化成ファーマ株式会社
世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します。
2011
世界の
私 た ち は 、 医 薬 品 、 流 動 食 、 診 断薬、コンタクトレンズ等の製品を通して、世界の人びとの健
康 で 快 適 な 生 活 、 環 境 と の 共 生 と いう観点から、社会に貢献していきます。 2 0 1 0 年 度 は 、 製 造 面 で は 品 質 確 保 と安定供給に努め、販売面では「リコモジュリン」(血液凝
固 阻 止 剤 ) を は じ め と す る 製 品 の 適正使用のための情報収集・提供に努めてまいりました。国内
で は 「 テ リ ボ ン 」 ( 骨 粗 鬆 症 治 療 薬 ) の 製 造 販 売 承 認 申 請 を 行 い 、 2011年5月には韓 国 に お い
て 「 フ リ バ ス 」 ( 排 尿 障 害 改 善 剤 )の販売承認を取得しました。 レ ス ポ ン シ ブ ル ・ ケ ア ( R C ) 活動とは、製品の研究、開発から製造、販売、物流、最終消費
を 経 て 廃 棄 に 至 る ま で 、 自 主 的 に 「環境・安全・健康」を確保し、活動の成果を公表し社会との
コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 図 っ て い く 活動です。RC活動は、事業活動の根幹であり、「環境保全」
「 保 安 防 災 」 「 労 働 安 全 衛 生 」 「 健康」「製品安全」「社会とのコミュニケーション」を6つの
柱としています。
一 昨 年 以 来 、 医 薬 品 業 界 に お い ては薬事法違反に係わる不祥事が発生しています。私たちは、
こ の よ う な 事 態 が 決 し て 発 生 し な いようコンプライアンスを確保してまいります。私たちは、私
た ち の 製 品 が 製 品 を 使 用 し て い た だく方々の身体に直接影響を及ぼすものであることを前提とし
て 、 品 質 ・ 有 効 性 ・ 安 全 性 を 追 求 する「製品安全」の活動を日々誠実に行ってまいります。 こ の 報 告 書 は 、 私 た ち の 1 年 間 の RC活動の結果報告であり、「社会とのコミュニケーション」
の 一 環 と し て 毎 年 発 行 し て い ま す 。本報告書を通じて私たちのRC活動にご理解いただくととも
に 、 自 ら 変 化 し 続 け る た め 忌 憚 の ないご意見、ご感想をいただければ幸いです。
事務所地区の労働安全衛生活動
2011年9月
健康管理活動への取り組み
大仁健康管理室の活動
東京健康管理室の活動
大阪健康管理室の活動
福岡健康管理室の活動
27
28
29
30
30
製品安全活動の体制
信頼性保証の仕組み
関連部場での活動
31
31
33
化学物質に対するコンプライアンス
スポーツ等の活動
教育への取り組み
新生旭化成アイミーの船出
RCマネジメントの推進への取り組み
ガイドライン等の制定
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36
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次世代育成への取り組み
地域との交流・表彰
41
42
43
2010年度
2010年度(2010年4月∼2011年3月)旭化成ファーマの実績値、及び一部2011年4月以降のトピックス等を記載しています。
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旭化成ファーマは、時代のニーズに応える医薬品・診断薬などの医療関連製品を提供し続
けるとともに、「昨日まで世界になかった」製品の開発を通して、次のような基本姿勢で、
健康で心豊かな生活の実現に貢献してまいります。
私たちは、
「 世 界 の 人びとの いのち と くらし に貢 献 する」という、旭 化 成グル
ープの 理 念を強く意 識し、これに合わないことはやりません。
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主要事業拠点一覧
医薬営業支店一覧 旭化成グループにおける医薬・医療
総 資 産:165,277百万円
(連結ベース:前年比1,
116百万円増)
従業員数:4,477人(連結ベース:前年比 65人増)
下記のファーマグループ以外に
旭化成クラレメディカル株式会社
旭化成メディカル株式会社 等を含む。
1,196
1,132
1,164
120
70
40
2008
2009
2010
2008
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ファーマグループの会社構成
旭化成ファーマ株式会社 旭化成アイミー株式会社
本店所在地:東京都千代田区神田神保町一丁目105番地
本店所在地:宮崎県延岡市中川原町五丁目4960番地
代 表 者:代表取締役社長 浅野 敏雄
代 表 者:代表取締役社長 元田 勝人
資 本 金:30億円
資 本 金:4億8,000万円
株 主 構 成:旭化成株式会社 100%
株 主 構 成:旭化成ファーマ株式会社 100%
1.
2.
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4.
5.
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10.
11.
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14.
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16.
支店名 所在地
医薬札幌支店 北海道札幌市
医薬仙台支店 宮城県仙台市
医薬東京支店 東京都渋谷区
医薬横浜支店 神奈川県横浜市
医薬埼玉支店 埼玉県さいたま市
医薬千葉支店 千葉県千葉市
医薬北関東支店 群馬県高崎市
医薬甲信越支店 新潟県新潟市
医薬名古屋支店 愛知県名古屋市
医薬東海支店 愛知県名古屋市
医薬京都支店 京都府京都市
医薬大阪支店 大阪府大阪市
医薬神戸支店 兵庫県神戸市
医薬中国支店 広島県広島市
医薬四国支店 香川県高松市
医薬福岡支店 福岡県福岡市
上記支店を含む全国60拠点に事業所が所在。
このほか旭化成ファーマサポート株式会社を連結子会社とする。
東京本社地区
2010年度の概況
医薬・医療セグメントとしての売上高は1,164億円で前期比32億円(2.84%)の増収となり、営業利益は70億円
で前期比30億円(76.1%)の増益となった。
医薬事業は、血液凝固阻止剤「リコモジュリン」が大幅に売上を伸ばし、薬価改定の影響を受けた排尿障害改善
剤「フリバス」なども販売量を増やしたことから、前期比増収、増益となった。
2010年度のトピックス
2010年 5月 変形性関節症治療剤ポリ硫酸ペントサンの前期第Ⅱ相臨床試験を開始。
2010年 6月 スイス・ノバルティスファーマ社とビスホスホネート剤「ゾレドロン酸」のライセンス契約を締
結し、日本における独占的開発・販売権を取得。
(PTH)「テリボン」)の国内製造販売承認を申請。
2010年10月 骨粗鬆治療薬MN-10-T(テリパラチド酢酸塩
本社
2010年12月 コンタクトレンズおよび関連製品の販売、研究・開発事業を米クーパービジョン社へ譲渡。
2011年 3月 米オキシリウム社開発のコラゲナーゼ製剤「ザイアフレックス」の日本における独占的開発・製
造・販売権を取得。
03
04
くも膜下出血術後の脳血管攣縮およびこれに伴う脳虚血症状を
改善します。
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週1回の投与で骨粗鬆症患者さんの疼痛を改善する注射剤です。
「栄養補給製品」
経管・経口摂取に対応した高栄養設計の濃厚流動食「アキュア」
「Lシリーズ」
とハイカロリー栄養飲料「笑顔倶楽部」の3ブランド
を展開しています。
(OD錠)
糖尿病の合併症を予防するには、的確な血糖コントロールが必
要不可欠です。グリコアルブミン(Glycated Albumin:GA)は、
血糖コントロール状態を知るための指標のひとつであり、採血
日から過去約2週間の血糖状態を反映するとされています。旭
化成ファーマは、2004年より酵素法を用いたGA測定用液状
試薬「ルシカ GA-L」を発売し、2009年3月には、日本赤十
字社の献血時の検査項目として採用されました。
ミオイノシトール(myo-Inositol:MI)は、食後あるいは糖負荷
後の高血糖状態を反映し、尿中に排出されます。ミオイノシト
ール検査は、尿を検体とし、空腹時血糖だけではわからない「か
くれ糖尿病」を検出することができる新しい検査方法です。
「ルシカ MI」は、酵素を用いて正確にミオイノシトールを測
定できる検査試薬です。
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せんい・ケ
ミカルズ、住宅・建材、電子部品・材料、医薬・医療などの事業分野を含め、全事業領域において実施しています。
これは旭化成グループのRC活動の特徴でもあります。
と情報の開示、及び対話を実施しながら
自らの活動の改善を図っていくことです。
安全衛生、健康、製品安全、および社会とのコミュニケーションは、経営の最重要課題のひとつと認識し、開発か
法令遵守はもとより、率先してRC活動に取り組み、自ら設定した目標を達成することでRC活動の質の継
続的な改善を図る。また、積極的に情報を公開し、コミュニケーションを重ねることにより、社会の理解と
信頼を得る。
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2010
RC実施統括者
は、以下のような具体的目標の下で RC 活動を行いました。
2010
・産業廃棄物の最終処分量を対2000年度比90%削減
地域・社会とのコミュニケーションの促進
その他(関係会社等における安全の確保)
・エネルギー原単位の昨年度対比1%削減
・温室効果ガス排出量の50%削減レベルを維持
(対基準年度比)
・LCA
(ライフサイクルでのCO2削減評価)への準備・啓蒙
・業務部門のエネルギー使用量の把握と報告
・家庭部門での削減取り組み
・物流時の二酸化炭素排出量の把握と削減への取り組み
メンタル不調者の早期発見・早期対応
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旭化成ファーマは世界の人々の健康に貢献する生命関連企業として、環境保全活動を企業活動の重要課題と考え、
「地球温暖化防止」、
「循環型社会形成」、
「化学物質管理」、
「大気汚染防止」
環境負荷の低減に取り組んでいます。
2006年
などに対する取り組みを以下に紹介します。
旭化成ファーマの主要な工場地区における温室効果ガスの排出は、二酸化炭素(CO 2)とフロン(HFC)2種が主
2010 年度実績)
体であり、その総排出量の推移は以下の通りです。2010年度の温室効果ガス排出量は1.8万㌧で、前年比28%の削
旭化成ファーマの主要な工場等における環境負荷実績を以下に紹介します。
昨年度の環境負荷実績と比べると、Input側のエネルギーが4.6x1014J(原油換算で1.19万kl)から4.4x1014J
(原油換算で1.14万kl)と4%程度減少しました。また、日本製薬工業協会(JPMA)での2010年度の調査資料では
製薬メーカー67社の工場等における原油換算消費エネルギーは、1社あたりの平均で1.38万klでした。
減となりました。またフロン(HFC)については
温室効果ガスの排出量
基準
年度(*)
年度
温室効果ガス
(CO 2 )
排出量
(万㌧/年)
温室効果ガス
(フロン類)
排出量
(万㌧/年)
4.4x10 (
J ジュール)
(原油換算:11,378kl)
14
かながら残存する計画です。
温室効果ガス総排出量(万㌧/年)
対基準年度比(%)
700千
2000
2005
2006
2007
2008
2009
2010
12.1
8.8
7.3
6.6
4.2
4.6
2.5
1.8
0.00
0.00
0.02
0.02
0.17
0.08
0.02
0.02
12.1
8.8
7.3
6.6
4.3
4.6
2.5
1.8
100%
73%
61%
55%
36%
38%
21%
15%
(*)基準年度:京都議定書に基づき、温室効果ガスは1990年度、フロン類は1995年度を基準とした。
温室効果ガスの総排出量の推移
493千
0.5㌧
・N
: 1.1㌧
・P
: 0.03㌧
:0.6㌧
14.0
12.0
10.0
・揮発性有機化合物
(VOC):5.4㌧
:1.8万㌧
:3.4㌧
:38㌧
:1.5㌧
8.0
6.0
・PRTR物質(大気排出)
ジクロロメタン:1.0㌧
改正省エネ法への対応
省エネ法は石油危機を契機として、1979年に制定され工場単位でのエネルギー管理を行ってきましたが、今日
4.0
2.0
0.0
基準 年度(*)
2000
2005
2006
2007
2008
2009
2010
年度
のエネルギー需要の拡大から、2010年4月1日から改正省エネ法が施行されました。従来の工場単位のみのエネル
ギー管理から事業者(会社)単位でのエネルギー管理となる大きな改正です。
具体的には、従来の省エネ法では大仁地区(第一種)、名古屋医薬工場(第二種)のみが該当しましたが、今回
の改正では旭化成ファーマが一法人として事業者(会社)になるために、旭化成ファーマ内の各工場、本社、支店
・営業所等の全てが改正省エネ法の対象となります。加えて年1%以上のエネルギー消費原単位(*)の低減が事業会
社(会社)に求められ国への届出義務があります。2010年度の旭化成ファーマのエネルギー消費原単位は、7.7%
削減となり届出をしました。
(*)エネルギー消費原単位:エネルギー使用量をエネルギー消費と関連のある量で除した値で、
エネルギー消費効率を比
較するのに使われる単位。
2010年度の特記事項
2010年度は、大仁地区工場敷地内でフッ化水素を含む排水が排水升から漏洩し、土壌・地下水調査の結果、汚
染は、敷地内にとどまっていることがわかりました。漏洩を防止し排水配管を変更するなどの対策を実施するとと
旭化成グループでは、家庭部門での温室効果ガス削
減を目指して、旭化成ホームズが開発したエコ生活支
援インターネットプログラム「EcoゾウさんClub」を
従業員が活用する取り組みを進めています。
旭化成ファーマもこれに参加し、従業員の家庭での
温室効果ガス削減に努めています。
詳しくは下記のホームページを参照ください。
「EcoゾウさんClub」https://www.ecofootprint.jp
もに、雨水浸透による汚染拡散を防ぐため漏洩箇所の表層をコンクリート被覆しました。また、地下水のモニタリ
11
ングを実施し、必要な場合には対策を実施します。
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名古屋医薬工場の省エネ活動の取り組み
名古屋医薬工場の省エネ活動は、中長期で計画を立てて毎年計画通り実施しています。
2010年度は、蒸気ドレンの熱回収、蒸気トラップの総点検・作動不良(漏れ)トラップの更新を実施しました。
蒸気ドレンの熱回収の内容は、今まで廃棄していた蒸気ドレーンを1箇所に集めて、ボイラー給水の熱源として熱回
収するように改造工事を実施しました。年間で原油換算12kLの重油使用量削減になります。
蒸気トラップの総点検は、大仁保全課からの実績情報を元に、全70台の総点検を実施し、その内作動不良(漏れ)
のもの6台交換しました。今後も、毎年点検・交換を実施していきます。
今後の計画は、設備老朽化更新にあわせて、より効率の良い設備へ更新していきます。2011年度貫流ボイラー3台
を高効率ボイラーへ更新、2012年度空調用冷凍機1台を高効率冷凍機へ更新、また2012年度からは高効率の照明へ
の順次切替を検討しています。
名古屋医薬工場では、省エネ活動の継続による積み重ねが省エネルギー対策として重要と捉えて、活動していきます。
旭化成ファーマでは、
旭化成ファーマでは、
を下図に示します。2010年度の最終処分量は0.6㌧で、2000年度比99%以上の大幅な削減となりました。産業廃棄物の
削減やリサイクル化への積極的な取り組みが実施された結果です。今後も、積極的な産業廃棄物の削減、リサイクル活動を
推進し廃棄物ゼロを目指します。尚、2010年度は前年度と比較して0.6㌧と微増しましたが、これは富士医薬工場の生産量
増加によるものです。
最終廃棄物処分量
工場内の蒸気ドレーン回収設備
蒸気ドレーン熱交換器設備
年度
2000
2005
2006
2007
2008
2009
2010
最終廃棄物処分量(㌧/年)
347
282
694
78
18
0.3
0.6
対2000年度比(%)
100%
200 %
23%
0.1 %
0.2 %
82%
5%
最終廃棄物処分量の推移
蒸気トラップ設備
700
大仁地区の省エネ活動の取り組み
∼高効率ヒートポンプ式空調設備の導入∼
600
大仁地区では空調の方法を見直すことで省エネ改善ができました。今までは吸収式冷凍機を核としたセントラル方
式であり蒸気を大量に使用していましたが、これを高効率であるヒートポンプエアコンを使用した個別方式に転換し
ました。この結果、原油換算年間190KLという大きな省エネを実現することができました。
500
空調方式変更の概要
300
400
200
100
0
2000
2005
2006
2007
2008
2009
2010
年度
省エネ効果
旭化成ファーマ
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大きな省エネ効果を得ることができました。
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化学物質管理への取り組み
揮発性有機化合物
(VOC)
の削減
1962年に制定の「ばい煙の排出の規制等に関する法律(ばい煙規制法)」が、日本で最初の大気汚染染防止に関す
る法律です。ばい煙規制法は、石炭の燃焼による煤塵(ばいじん)の規制には、効果を発揮しましたが、規制によっ
て社会における主要な使用燃料が石炭から石油に移行すると、硫黄酸化物の排出量が増え、対応しきれなくなってき
462 物質です。業種、
従業員数、対象化学物質の年間取扱量等で一定の条件に合致する事業者が、環境中への排出量及び廃棄物としての移動
量について届出を義務付けられています。PRTRの集計結果などを踏まえて、国は環境モニタリング調査や、人の健康や生
態系への影響についての調査を行います。
以下に、旭化成ファーマの PRTR 法対象物質の大気への排出量の推移を紹介します。環境への放出では、旭化成ファー
マの取り扱う主要な化学物質のうち、下記の5物質が該当します。2010年度のPRTR物質の総取扱量は、約 8.4 ㌧で、大
気への総排出量はジクロロメタンのみの 1 ㌧で水域や土壌への排出はありませんでた。PRTR 法対象物質の大気への排
出量は、2000 年度比で 98% の削減を達成しました。 ました。また、自動車排出ガスの規制が含まれていなかったことも大きな問題でした。そこで、1 9 6 8 年 にばい煙規
制法を根本的に見直し、制定されたのが、大気汚染防止法です。大気汚染防止法では、煤煙、揮発性有機化合物、粉
塵、有害大気汚染物質、自動車排出ガスの5種類を規制しています。特に、揮発性有機化合物(VOC*)については各種
の溶剤、燃料として産業上、重要な物質であることから幅広く使用されていますが、一旦、環境へ放出されると、公
害(光化学スモッグ、シックハウス症候群、化学物質過敏症)などの健康被害を引き起こし問題となっています。
以下に、旭化成ファーマの揮発性有機化合物の排出量の推移を紹介します。2010年度の大気への総排出量は、5.4㌧
で2000年度比で97%の削減となっています。大気排出量が多い順に、
アセトン
(2.9㌧)
、
エタノール
(1.3㌧)
、
ジクロロメタン
(1.0㌧)
、
メタノール
(0.2㌧)
でした。
(*) VOC:(Volatile Organic Compounds)の略。常温常圧で大気中に容易に揮発する有機化学物質の総称のこと。
揮発性有機化合物(VOC)対象物質
環境汚染物質排出移動登録。
対象物質
取扱量 大気排出 水域排出 土壌排出 除去処理量
ジクロロメタン
PRTR法対象物質
対象物質
ジクロロメタン
クロロホルム
ホルムアルデヒド
アセトニトリル
nーヘキサン
取扱量
1.2
4.9
0.05
1.4
0.8
2010年度取扱量と排出量(㌧/年 )
8.4
大気排出
1.0
0.0
0.0
0.0
0.0
水域排出
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
1.0
0.0
土壌排出
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
移動量
0.2
4.9
0.05
1.4
0.8
取扱い部場
大仁医薬工場、医薬研究センター
大仁診断薬工場、医薬研究センター
医薬研究センター
医薬研究センター
医薬研究センター
7.4
移動量
取扱い部場
大仁医薬工場、医薬研究センター
1.2
1.0
0.0
0.0
0.0
0.2
46.8
2.9
0.0
0.0
0.0
43.9
0.8
0.0
0.0
0.0
0.0
0.8
13.2
0.2
0.0
0.0
2.6
10.4
エタノール
1.4
2.0
0.0
1.3
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
1.4
0.7
医薬研究センター
名古屋医薬工場、医薬研究センター
クロロホルム
4.9
0.0
0.0
0.0
0.0
4.9
大仁診断薬工場、医薬研究センター
2010年度総排出量
(㌧/年) 69.6
5.4
0.0
0.0
2.6
61.6
アセトン
nーヘキサン
メタノール
アセトニトリル
大仁医薬工場、医薬研究センター
医薬研究センター
大仁医薬工場、医薬研究センター
揮発性有機化合物の大気への排出量の推移
PRTR法対象物質の大気への排出量の推移
1,2-ジクロロエタン
1,2-ジクロロエタン
45
プロパノール
アセトン
酢酸ブチル
nーヘキサン
メタノール
エタノール
クロロホルム
250
100%
大気への排出量
大気への排出量
50
ジクロロメタン
ジクロロメタン
40
35
30
25
20
200
100%
150
100
15
2%
10
50
3%
5
0
15
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009 2010 0
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
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保安防災活動の取り組み
引火・爆発安全性評価の見直し活動
旭化成ファーマでは、引火・爆発、漏洩、老朽化などの様々な見直し対策を施しています。また変更管理(既存設
旭化成ファーマでは、工場や事業所から火災、爆発事故を絶対起こさないという決意のもと、引火・爆発事故の防
止対策について2001年より継続見直し活動を進めてきております。引火・爆発事故を防止するためには、燃焼の
3要素(可燃物・支燃物・着火源)のうち、2要素を除去するという視点から見直し・是正活動を実施しています。
この活動は、今後も継続していきます。
備、新設・改造設備のリスクアセスメント)なども実施し、必要な措置を講じています。今後も、引き続きこれらの施
策を通して、産業事故・トラブルの発生を未然に防いでいきます。2010年度は、産業事故はありませんでしたが、軽
微な小火の軽トラブルが1件発生しました。
大仁医薬工場
RC大会
旭化成ファーマでは、毎年秋にRC大会を開催し安全について全員で考える機会を作っています。2010年度は、
10月29日に従業員138名が参加して開催しました。事業会社から旭化成ファーマ社長、
組合から大仁支部長挨拶の後、
持株環境安全部長、ファーマ信頼性保証センター長による安全講話がありました。その後、部場のRC活動報告とし
て、製造・研究・営業から各1件ずつRC活動事例発表を行いました。RC活動のシンボルとなる安全標語を募集し
優秀作品の表彰も行いました。これらの標語を掲げて一年間活動を行っていきます。最後に、全員での「ゼロ災コー
大仁医薬工場では医薬品原薬の製造工程で、引火性有機溶媒(メタノール、エタノール、アセトン)を使用してい
ます。これら有機溶媒の貯蔵タンクは窒素シールとアースにより、燃焼3要素(可燃物、支燃物、着火源)のうちの
引火爆発防止の2要素除去(支燃物、着火源の除去)を行っています。有機溶媒取扱いでタンクからのサンプリング
作業では、先ずステンレス製のサンプリング容器内を真空(支燃物除去)にし、容器にアースを接続して除電、作業
者の帯電防止対策(着火源除去)の2要素除去を確実に行い安全対策をしています。今後も新規設備の導入時や設備
改造などの変更時も含めて、継続的見直し活動を進めていきます。
ル」で締めくくりました。
窒素供給装置
最優秀安全標語
貯蔵タンクのアース
サンプリング容器
設備老朽化・未点検箇所の見直し活動
RC実施統括者挨拶
(浅野ファーマ社長)
全員で、
「ゼロ災コール」
旭化成ファーマでは、工場や事業所での設備の故障による事故の発生を絶対に起こさないという決意のもとに、設
備の老朽化や点検不備に伴う不具合箇所を無くす活動を継続的に実施しています。各工場の現場に設備管理担当者を
配置する管理体制をとり、現場でのよりきめ細かな管理を行うようにしています。
大仁医薬工場
出初式
大仁地区において、2011年の年頭に消防出初式を挙行しました。この1年間の産業事故ゼロを祈念して自衛消防隊
による放水訓練を行いました。
大仁医薬工場の微生物の増殖を行う培養工程では、微生物の生育に応じた酸素供給が必要となります。酸素供給は
圧縮空気
(圧気という)
により行っています。1960年∼1970年代前半に製造された5台のレシプロ式コンプレッサーを
使用して圧気を製造してきましたが年式が古く、故障した場合に部品供給が難しい状況になってきました。
そこで2010年度にコンプレッサーの更新を実施しました。更新に際しては圧気を自動的に生産調整できるインバー
ター式スクリューコンプレッサーを選択しました。さらに、今までの設備では圧気にオイルが混入する為、グラスウ
ールでオイルを除去する必要がありましたが、今回の設備はオイルフリーの設備にしました。
上記を含め以下が改善されました。 ①無駄な圧気を捨てる事がなくなり、省エネに繋がった。 ②フィルター交換頻度が減り、作業負荷が低減した。 ③設備冷却が空冷式の為、クーリングタワーによる冷却水製造が不要となった。
設備の老朽化対策では安全面だけではなく環境負荷や省エネ、省労力も考慮した取り組みを継続していきます。
出動報告
ポンプ操法訓練
17
放水訓練
従来のレシプロ式コンプレッサー
新規導入したインバーター式スクリューコンプレッサー
18
年
報告書
2
0
R 1
C 1
年
報告書
2
0
R 1
C 1
名古屋医薬工場
変更管理の運用の徹底
旭化成ファーマでは、事故・災害の発生を未然に防止することを目的に、「法令・設備・運転条件・人・作業マニ
ュアル・基準書類」などの変更時に事前に充分なチェックを行うシステム・体制について基準を定めています。変更
管理を行う場合には、製造管理・設備管理・環境安全の三者(三権)が入って検討し、その管理の徹底を図っていま
す。
大仁診断薬工場
大仁診断薬工場では、2004年1月に体外診断用医薬品の品質を確保することを目的として、変更に伴うリスク管理
の手順を定めて運用を開始しました。さらに2005年 4月から、RC事故(環境保全、保安防災、労働安全及び製品安
全)の発生を未然に防止することを目的に、現在の変更管理の仕組みの骨格ができあがりました。その主な特徴は、
次の通りです。
1) 提案内容によってランク分けがなされ、それぞれのランク毎に審議に参加するメンバーを定めていること
2) 審議においては、会議形式の他に回覧形式を採用し、手続の迅速化を図っていること
3) 保全及び環境・労働安全衛生、法令遵守、顧客要求事項(契約、納入仕様等)、製品安全、変更によって生じるデ
メリット等、手順に基づき総合的な観点から審議がなされていること
4) 変更実施後に再度審議を行うシステムを採用し、変更前に予見できなかったリスクの管理を行っていること
5) 変更管理事務局を置き、手続の円滑化を図るとともに、進 状況を監視する仕組みが働いていること
2010年度には、製造、保全又は環境安全に係る提案3件、品質に係る提案26件、文書の改訂1件の計30件につい
て審議がなされ、変更に伴う事故の未然防止に寄与しています。これからも変更管理を確実にし、従業員、顧客、環
境、設備並びに製品の安全を見守っていきます。
緊急時対応の体制
名古屋医薬工場では、2010年10月14日に地震発生を想定した防災訓練を行いました。構内放送、避難誘導、避難
場所への集合、安否確認、設備停止・非常処置等の訓練を行い、その後、緊急事態訓練としてボイラー用の重油配管
からの漏洩防止訓練や排水漏洩防止訓練を行いました。また火災を想定した消火放水訓練、空気呼吸器を装着した煙
発生時の救助訓練、AEDを使用した救助訓練等を実施しました。2010年9月には大仁地区の防災訓練と同調し防災
用衛星電話を使用した大仁−衛星−名古屋間の無線電話連絡訓練を実施しました。また、夜間での緊急連絡網確認も
含め電話連絡訓練を実施しました。
安否確認訓練
AED救助訓練
発電機使用訓練
旭化成アイミー
2011年3月11日午後、火災を想定した総合防災訓練を全員参加で実施しました。訓練終了後、偶然にも東日本大震
災の被害の様子がテレビの画面から映し出され、防災訓練による備えが重要であると痛感させられました。
旭化成グループにおいては、グループの事業活動の各段階における危機管理を定めた「旭化成グループ危機管理ハ
ンドブック」があり、緊急事態に対する対応方法を定めています。更に、各地区・工場では、保安防災に関する内規、
緊急活動に関する内規、規則等を定め、万一の緊急時に備えた体制を整備し、保安防災活動を実施しています。
大仁地区
旭化成ファーマの製造と研究の主要拠点である大仁地区は、大規模地震対策特別措置法にて地震防災対策強化地域
の指定を受けている静岡県伊豆の国市に立地しています。東海大地震などの大規模地震の発生に備えて毎年訓練を実
施しています。また、多くの可燃性溶剤を使用して医薬品や診断薬製品を製造していることから、万が一に備えて毎
年火災対応訓練も実施しています。この火災対応訓練では、伊豆の国市の公設消防の協力も得て実施しています。
放水準備
火元に向かって放水開始
緊急時安否確認システム
旭化成ファーマでは、従業員の安否確認について携帯電話等を利用した安否確認システムを導入しています。旭化成ファーマ
の支店・営業所は全国にその拠点を置くことから、
これまで地震その他の災害が起きた場合、当該地に在住または勤務する人々の
安否を確認するのに要する時間と労力は計り知れないものがありました。
その軽減と正確性向上の為に同システムを導入してい
ます。このシステムでは、例えば震度5弱以上の地震が発生した場合、
その都道府県に在住または勤務する従業員の安否を確
認しています。
防災本部安否報告訓練
負傷者救護訓練
漏洩対応訓練
2011年3月11日の東日本大震災において、幸いにもファ
ーマ内の従業員には負傷者は発生しませんでした。3月11日
富士医薬工場
富士地区は、年1回建屋ごとに火災対応の防災訓練を行っております。研究所2号館では、2011年2月17日に、3部場合同で
約50名が参加して行いました。訓練は、火災発生時の現場確認/通報・連絡/避難の一連の訓練を行い、
その後に消火訓練
および救護訓練を行いました。消火訓練は、屋内消火栓/屋外消火栓による模擬操作訓練を、誘導連絡班と消火班の全員が
参加して行いました。
また救護訓練は、応急手当(打撲・捻挫)
と空気呼吸器の装着・使用法について、救護班の全員が参加し
行いました。当日は富士市消防が隣接の建物に入る支社一斉の訓練も行なわれ、緊張感があり、
きびきびとした行動が全体
に感じられる訓練となりました。
の大震災後、7月11日までの4ヶ月間で計33回の地震発生
によりこのシステムで安否確認を行いました。今回の東日本
大震災では、確認メールが届かない、操作法が分からない等
の問題点が判明し、一部システムの改善を進める必要があ
りますが、従業員の1次安否情報を入手する手段としては非
常に役立つものであることが確認できました。
今後も旭化成ファーマにおいては、全国で活躍する従業員
の安否を直ちに掌握し、従業員の救助を含む次の手をいち早
く打つための必要不可欠なシステムとして利用していきたいと
考えています。
19
避難・人員点呼の訓練
空気呼吸器装着訓練
応急手当訓練
安否確認システムによる情報集約例
20
年
報告書
2
0
R 1
C 1
年
報告書
2
0
R 1
C 1
OHSMS
(労働安全衛生マネジメントシステム)
の活動
(OHSMS:Occupational Health and Safety Management System)
旭化成ファーマでは、会社の財産である従業員の安全確保があらゆる事業活動の基本であるとの認識の下にRC方
針、RC目標・計画に基づき種々の労働安全衛生活動に取り組んでいます。RC目標(休業度数率0.1以下、休業強度
率0.005以下)を達成するために、OHSMS活動、HHK(ヒヤリ、ハット、気掛かり)提案活動、安全基本行動
基準順守自己チェック活動等を展開してきました。2010年度は、休業災害が2件発生し、休業度数率は0.53となり目
標の0.1以下は達成できませんでしたが、休業強度率は0.005でした。この他、不休災害が6件、応急災害が10件発生
しました。応急災害も含めて18件の災害件数のうち、工場地区で発生した災害は2件であり、13件はMR(医薬情報
担当者)の業務上の交通事故による災害でした。自動車運転に慣れていない新人MRによる業務中の自動車事故が増
える傾向にあり、この事故防止対策がここ数年の大きな課題となっています。
大仁医薬工場
休業災害発生率の推移
0.012
1.0
0.010
0.8
0.008
0.6
0.006
0.4
0.004
0.2
0.002
2005 2006 2007 2008 2009 2010
休業強度率
休業度数率
1.2
0
0
見直し3ヵ年計画
大仁診断薬工場
休業度数率
休業強度率
16
14
12
10
10
8
8
2010年度
2011年度
被液、飛散、破壊、高温、低温
接触、腰痛、転倒、転落
挟まれ、巻き込まれ、用役
▶
▶
緊急事態
▶
▶
定常作業[上記以外]
非定常作業
4
4
2
2
2005 2006 2007 2008 2009 2010
0
2005 2006 2007 2008 2009 2010
年度
21
2009年度
6
6
0
項 目
定常作業
災害類型別
件数
12
件数
14
作業前の安全確認の実施
大仁診断薬工場では大仁医薬工場との間でパイプラインにより、
アセトン、培養液や廃液等の移送を行っています。パイプライ
ンは公道上を通過しており、公道上に漏洩、流出すると地域環境に及ぼす影響は甚大です。
そのため、公道上のアセトン、培養液
や廃液等の配管は2重配管とし、設備点検は1回/年実施し、移送作業時には毎回目視による漏洩監視を実施し漏洩防止に努
めています。
さらに、
アセトン、培養液や廃液等の移送作業時の漏洩対応訓練を年に一度実施しています。
ここでは、2010年度に実施した
漏洩対応訓練
(2011年1月27日)
を紹介します。漏洩対応訓練は、①漏洩場所
(A.公道上 B.工場柵内)
②漏洩物
(A.アセトン
B.培養液 C.廃液)
を想定し、毎年漏洩状況に対応した拡散防止手順や回収手順を実施しています。2010年度の漏洩対応訓
練は漏洩場所が工場柵内、漏洩物がアセトンの場合を想定し、吸収マットや柵内側溝の堰き止め場所を確認し、防爆型移送ポン
プを使用し、漏洩流出したアセトンの回収訓練を診断薬工場製造課全員15名で実施しました。
そして、訓練後の反省会では、拡
散防止手順や使用機材の操作法等の再確認をしました。
このような訓練を実施することは、万が一に備えて机上だけでなく実地
で行う点でとても重要なことであり、
今後も真剣に取り組んで環境保全に努めたいと思います。
労災推移(職種別)
労働災害発生件数推移
16
大仁医薬工場ではOHSMS活動で抽出された高いリスク*1
は、ハード対策若しくは工程見直しにより低いリスク*3に低
減しましたが、中程度のリスク*2が675件残っていました。
リスク見直し活動で中程度リスクのどの件名を優先して本質
安全対策に取り掛かれば良いか分類分けしました。
その結果、「工程がなくなった若しくはハード対策により低
いリスクに変わった」が138件、「作業基準順守により低いリ
スクとなる」が526件、「中程度のリスクのまま」が定常作業
2件,非定常作業5件,緊急事態4件の合計11件に分類
されました。この「中程度のリスクのまま」として分類
された11件の対策を優先的に計画しています。
*リスク評価
*1:高いリスク:耐えられないリスク
*2:中程度のリスク:可能な限り低減すべきリスク
*3:低いリスク:耐えられるリスク
年度
18
顕在化している危険や職場内の潜在的な危険をすべて洗い出し、危険性を評価し、優先順位をつけて計画的・継続
的に職場の危険な作業や設備を改善し、より安全な職場を構築するために、2002年度より順次OHSMSの導入を進
めてきました。導入当初は、評価すべき危険を見落としたり、適用範囲が不明確であったり等の問題が発生しました
が、PDCAサイクルを回すことにより、継続的に改善し、レベルを向上させてきました。これまでに、全部場で合計
23,000件以上のリスクアセスメントの評価を行っており、リスク低減化に取り組んでおります。
この活動は各部場の活動内容の平準化・充実化が課題ですが、将来的には産業事故防止や設備損傷の抑制といった
保安防災活動への応用も視野に入れています。以下に、その活動の一部を紹介します。
休業災害
不休災害
年度
応急手当
工場
研究
営業
事務
公道上を渡る移送配管
2重配管
22
2
0
R 1
C 1
名古屋医薬工場(エレベーター救出訓練)
年
報告書
年
報告書
2
0
R 1
C 1
事務所地区の労働安全衛生活動
名古屋医薬工場では医薬工場の注射剤製造棟にロープ式で750kg荷重のエレベーターが設置してあります。主に注
射剤製品の運搬に利用し、保守点検は法定点検も含めて毎月行っています。さらに実地研修で閉じ込め故障時の救出
訓練を年に2回行っています。想定は3階の途中で止まってしまいフロアーとの差が1mあり、手動でロープを巻き
上げ3階フロアーと同じ高さになるように合わせ、扉を と人力で開けて閉じ込められた人を外に出すという訓練で
す。いざという時の為に真剣に取り組んでいます。
旭化成ファーマの事務所地区は、全国60ヶ所からなる支店・営業所地区と、神保町三井ビル内の東京本社地区の
大きく二つに分けられます。この中で、50人以上の事業所は、東京本社と医薬東京支店、医薬大阪支店の三ヶ所で
あり、この3つの事業所では毎月衛生委員会を開催しています。この他の支店・営業所については、医薬営業本部長
の指示の下に、各支店長・営業所長が中心となって活動を実施しています。以下に、支店・営業所地区と東京本社地
区の労働安全衛生活動を紹介します。
支店・営業所の活動
手動での巻上訓練
前面扉開放訓練
閉じ込め救出訓練
富士医薬工場(部場安全研修会)
部場のRC方針「全員参加・参画の安全活動の展開∼一緒に働いている仲間から事故・怪我人を出さない∼」のも
と、2010年度の部場安全研修会を開催しました。部場安全研修会は毎年1回開催しており、今回のテーマは「ヒュー
マンエラーを減らすにはどうするか」について、一日かけて全員によるグループ討議を行いました。全員の本音の話
し合いにより、自部場でこれまでに起こったヒヤリ事例について、特にヒューマンエラーの視点から原因を解析して、
本質安全化に近づける追加安全対策をとっていくことにしました。
50
40
30
20
グループ討議の様子
アイミー株式会社(改善例紹介)
10
0
2010年11月の躓き転倒による労災発生後、従業員に転倒危険箇所の報告をお願いしたところ48件の報告があり
ました。第一次対策として、人の動線上にある危険度の高い32件の対策を完了し、8件が検討中、8件が対策不要
と判断しています。今後も計画的に改善を進めていき安全な職場環境を創り出していきます。
3月
2月
1月
12月
11月
10月
8人
11人
6人
11人
8人
7人
4人
5人
8人
8人
7人
10人
8人
8人
6人
5人
5人
5人
4人
15人
自転車
バイク
14人
2人
天候不良
駐車場
内外
5人
6人
4人
7人
2008
2009
2010 年度
有責新入社員事故生率
有責総事故発生率
7人
9人
車線変更
割り込み
7人
3人
歩行者
4人
4人
4人
1人
1人
3人
3人
5人
11人
3人
交差点
内外
2人
3人
8人
4人
4人
高速道路
前方
内外
不注意等
ひやり はっと 対策@自転車・バイク
自動車側も既に左折を始めていて曲がった
先の道路に視線が移っているため、急に自
転車が表れるとひやりとします。
(対策後)
2007
3人
青信号で左折しようとしたところ
直進してきた自転車がスピードを
出して信号を渡ってきた事例です。
(対策前)
2006
2人
事例の振り返り
23
10
(%)
0
ヒヤリ・ハット原因区分 事例の順位一覧(10年10月∼11年3月)
左折時にスピードを出して突っ込んできた自転車と衝突しそうになった。
〈ボンベ室前の段差をスロープ化しました〉
自動車有責事故発生率の推移
50
40
30
20
①新入社員等対策(ソフト)
・新入社員は、入社後研修中に「安全運転研修(適性検査、講義、路上運転)」を受講します。この結果は、「運転
技能確認チェックシート」で判定され、「技量不足」等の場合は別途「補習研修」を受けます。配属後は、上司は、
部下と面談して「運転暦」「運転技術(研修結果)」を確認するとともに、部下との同行運転を行い、「運転技術・
安全運転意識チェック、指導」を行い、その結果を「同行報告書(安全運転チェックシート)」で報告することによ
り、単独での運転が可能となるまで同行指導を継続します。
・2007年以降入社のMR等は、毎月第1営業日に、「安全基本行動基準(営業車両)チェックシート」で乗車時に
おける「安全基本行動」を確認しています。また、このシートには「ヒヤリ、ハット事例」(事故一歩手前の、事故
にはならなかったが「ヒヤリ」とした、「ハット」した事例)を記載する欄があり、この事例を支店内・営業所内で
共有化することにより、事故を未然に防ぐ意識向上に役立てています。
60
全体発表の様子
事故発生率
(1)自動車事故防止対策
医薬営業本部
(支店・営業所地区)
では、約700名の医薬情報担当者
(M
R)と約100名の営業スタッフが、車に乗って日々営業活動を行って
います。近年、新入社員等運転経験の少ないMR等の増加により自動
車事故が増加してきたため、下記の取組み等を実施することにより、
2年連続で有責事故(全事故から被害事故を除いた事故)を減らすこ
とができました。
2人
2人
1人
7人
3人
4人
急停止等
2人
2人
3人
疲れ等
体調不良
<バイク・自転車の注意点>
1・歩道から路上へ飛び出してくる。
歩道を走行中の自転車が歩行者などを避けて急に路上に出てくる
事があります。
2・車の脇をすり抜けてくる。
渋滞や信号待ちなどで停止している車両の横をバイクなどがすり
抜ける事があります。ドアなどを開けないように注意が必要です。
3・二人乗り、並列走行
自転車の二人乗りや並列走行は友達と談笑している事が多く、周
囲への注意が散漫になっています。よろけたり予期せぬ動きをす
る事があるので要注意です。
自転車の場合、徒歩と比べて速度を
上げるのが容易なため赤信号になり
そうだと、急に速度をあげる事も多
々あります。左折前に前後の確認を
怠らない事が重要です。
4・一時不停止で飛び出してくる
標識は車だけのルールと捉えている人も多く、一時停止など
の標識を無視する事も多いです。見通しの悪い住宅街などで
は、優先道路を走行していても自転車の飛び出しを予測して
慎重に運転しましょう。
5・右折車の陰から直進してくる
いわゆるサンキュー事故です。右折車の陰には直進の二輪車
があると予測する事が重要です。急に曲がらずに必ず前方を
確認しましょう。
24
2
0
R 1
C 1
②新入社員対策(ハード)
運転技術の未熟な部分を補う対策として、新入社員の車(リース車)
に、ドライブレコーダー、バックセンサー、バックカメラ付カーナ
ビを装着しています。また、小回りの利くコンパクトカーも導入し
ました。
③組織対策(ソフト)
安全運転意識向上の目的で、組織として以下の取組みを継続しています。
・支店長から事故削減啓発メールを発信(毎月第1営業日)
・事故削減キャンペーン(年1回、7∼9月)
・無事故無違反表彰(年1回)
・半期2回有責事故を起こした乗務員は「事故多発者研修」に参加
「ヒヤリ・ハット事例」が必要な理由
ハインリッヒの法則(1:29:300)の法則
10年度は、自分の順守度、そして他の人はどうかという観点から3ヶ月に1回、4つの視点からアンケート調査を行
いました。その結果、次第に順守率が向上してきています。今後も引き続き、職場における従業員の安全を守るため、
地道に活動を継続していきます。
年
報告書
年
報告書
2
0
R 1
C 1
死亡・重症
、
には
事故 ハット
大
リ・
の重
1件 のヒヤ いる
件
て
0
れ
30
が隠
軽症
ヒヤリ・ハット
更にこの下には幾千件もの
「不安定行動」
と
「不安定状態」が存在する
④医薬京都支店の取り組み
・余裕のあるスケジュール管理を徹底し、常にゆとりのある運転と安全確認を行う事を心掛けるよう指導しています。
・毎月行っている研修会時等に事故事例説明、ドライブレコーダー映 視聴等を行うことにより、事故防止と安全運
転に関して注意を促しています。また、毎月月初に支店全員へ安全運転と無事故無違反の継続について啓発を行っ
ています。
・「安全基本行動基準(営業車両)チェックシート」の「ヒヤリハット事例」は、毎月所長と支店長がチェックし、
事例紹介や事故を誘発しない心掛け等を含め指示を出しています。
・「声かけ運動」(事務所から出かける者がいたら、皆で「事故に気をつけよう」と声を掛け合う)
を実施しています。
・運転技術が低いMRや配属後で活動期間が少ないMRは、
原則、細い道は避けメイン通りを走るよう指導しています。
(2)衛生委員会活動(医薬大阪支店)
毎月第2金曜日、ファーマ(大阪中之島事務所)の衛生委員会では、従業員の労働安全衛生の確保や健康増進につ
いて話し合っています。毎回、熱中症・睡眠不足など季節関連のテーマを取り上げ、身近なところから健康増進に関
心をもってもらうようにしています。2011年2月18日に、旭化成の産業医をされている大阪大学医学部呼吸器・免疫
アレルギー内科准教授の田中敏郎先生にお願いして、急病人発生時の対応についてレクチャーをいただき、その後フ
ローチャートを作成しました。レクチャーの内容は、意識不明の急病人が発生したとき、周りの人たちはどのような
対応をとればよいか、救急車を依頼するとき伝える内容の要点についてでした。意識不明の急病人、発生してほしく
ないが、発生した場合を想定しておくことが1秒を争うときに重要であると、衛生委員のメンバーの議論は活発でし
た。
東京本社地区の活動
(2)信頼性保証センターの活動
信頼性保証センターでは、2010年度は以下の活動を実施しました。
①「ノー残業デー退社時間アンケート調査」
旭化成グループでは、東京本社地区において、労使で毎月第二・第四水曜日を「ノー残業デー」とする活動を展開
しています。「ノー残業デー」の従業員の勤務実態を把握するため、センター所属の従業員を対象にして、年 2 回
(10年9月と11年2月)に分けて「ノー残業デー」の際の退社時間と意識調査(無記名・任意のアンケート調査)を
実施し、従業員の勤務実態を把握することが出来ました。
②「メンタルヘルスセルフチェック」
メンタル面での健康管理として、センター所属の従業員を対象にして、年2回(10年9月と11年3月)、中央労働災
害防止協会作成の「職業性ストレス簡易評価」を使用して、従業員のストレス度セルフチェックを実施しました。
業務上のストレス度、最近一ヶ月のストレス度に関する設問への回答方式により、従業員の心身ストレス度のセルフ
チェックを実施しました。
③その他
東京本社地区では、持株会社の東京健康管理室と「過重労働問題」
にも取り組んでいます。出退勤時刻収集システムにより、従業員
の勤務時間を把握しています。月間時間外勤務が所定時間を超過
している従業員の内、産業医が必要と判断した対象者に対する面
談等の対策を実施しています。
(3)臨床開発センターの活動
臨床開発センターの労務構成は高職階者が多いため、労働時間管
理の対象外である管理職層についての過重労働による健康への悪影
響が危惧されています。そこで当センターでは2006年7月∼9月に管
理職層(課長以上)の時間外労働実態調査を実施し、毎月数名の長
時間労働が発生していることを把握しました。これ以後、部場長判
断で長時間労働に該当するとされた管理職に対しては産業医の面談
指導を義務付け、健康対策の一環として現在まで取り組みを継続し
ております。しかしながらこれで過重労働の根本解決になるとはい
えません。臨床開発センターの特性として臨床試験の進 ステージ
によって業務が集中することがあり、個人・チーム・部場長が、仕
事の進め方、人員配置、時間外労働削減策等を真剣に探ることによ
り、管理職層に限らずきめ細かに改善を図っていきます。
(1)衛生委員会活動(東京本社)
本社地区の衛生委員会は、過重労働やメンタルヘルスそして健康管理につい
て産業医を交えて月に一度話し合いをしており、数ヶ月に一度、健康セミナー
を開催して健康への啓発活動を行っています。
また、職場に設置してあるAEDの講習会も年に1回は開催してその使用法の
周知を図っています。今回は職場の安全基本行動基準について紹介します。
ファーマでは、職場内での安全を確保するため安全基本行動基準を作成して、
その順守を呼びかけています。日頃から怪我の原因(EX. 雑然とした職場、か
かとを固定しない履物)をできるだけ減らし、リスクを意識(危険予知)しな
がら万一に備える(階段昇降時の手すり保持)ことをお願いしています。また、
新入社員や転入者にも順守することを指導しています。
信頼性保証センター RC担当者会議
健康セミナー
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臨床開発センター 部場長情報連絡会
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健康管理活動への取り組み
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大仁健康管理室の活動
旭化成ファーマの健康管理活動は、7つの地区の健康管理室(センター)
を中心に実施しています。事務所地区について
は、東京本社と全国60ヶ所に分散した支店・営業所があるため、これらの事業所については、東京、大阪、名古屋、福岡の
4つの健康管理室を中心に活動しています。工場地区については、大仁、富士、延岡地区内にある健康管理室(センター)
を中心に活動を実施しています。
健康管理活動は、主に健康増進活動とメンタルヘルス対策の2つであり、健康増進活動は、健康診断結果を元に、保健
スタッフによる面談や特定保健指導を実施するとともに、職場巡視や健康セミナーの開催などを実施しています。メンタル
ヘルス対策は、メンタルヘルス自己チェックの実施(セルフケア)、心の健康診断(JMIあるいはe診断)、過重労働者に
対する産業医面談等を実施するとともに、メンタルヘルス研修の開催などを実施しています。
大仁健康管理室では、静岡県伊豆の国市の大仁地区のほかに、愛知県
みよし市の名古屋医薬工場の健康管理も担当しています。健康管理体制
は、大仁地区には産業医(非常勤)が2名(山田雅人先生、寺門厚彦先
生)と看護師が2名(安岡智世、佐藤はる美)常駐する体制を取ってい
ます。名古屋医薬工場は、産業医(非常勤)が1名(西川和裕先生)で、
月に一度の来社時に大仁地区から看護師が出張訪問して健康管理活動を
行っています。名古屋医薬工場は、大仁地区をはじめ、他地区からの異
動者など単身赴任者も増えていることから、ますます健康管理の需要が
高まってきています。今回は、大仁地区から離れて位置している名古屋
医薬工場の健康増進活動について紹介します。
産業医:西川先生
1)西川産業医による健康講話
名古屋医薬工場の産業医である西川先生には、1回/年、健康講話をしていただいています。2010年度は「健診結果
から得られるもの」というテーマで、健診結果の見方や、健診結果から得られる情報は自覚症状に乏しい病気の早期発見
に繋がるということ、長く有意義な人生を送るためのスクリーニングとして1年に1回は必ず受診しましょうという内容で講
話をしていただきました。また、過去には腰痛防止健康講話など、名古屋医薬工場の皆さんが安全で健康に働けるように
参考となるお話を毎年していただいています。
社長
各地区管理責任者
延岡健康管理センター
富士健康管理センター
大仁健康管理室
福岡健康管理室
名古屋健康管理室
大阪健康管理室
東京健康管理室
2)西川産業医・看護師による面談
名古屋医薬工場の産業医来社日は1回/月(2時間)となっており、西川産業医の来社日に併せて大仁から看護師も訪
問します。産業医来社日には、定期健康診断後の事後措置面談から、日常の健康相談など多岐にわたり対応して頂いてお
り、面談の予約は常に一杯です。また、来社日に面談できない方については電話やメールにて対応をさせて頂いています。
しかし、3回/週、産業医が訪問し常勤看護師がいて何かあれば即対応できる大仁の環境と名古屋医薬工場を見比べてみ
ると、両者に即時対応性という点で温度差があり、この温度差をいかに小さくしていくかが今後の課題となっています。
3)看護師による健康講話
延岡地区
富士地区
大仁地区
福岡支店・営業所
名古屋支店・営業所
東海支店・営業所
四国支店・営業所
中国支店・営業所
近畿圏営業支店・営業所
甲信越支店・営業所
北関東支店・営業所
首都圏営業支店・営業所
仙台支店・営業所
札幌支店・営業所
東京本社
名古屋医薬工場において、健康教育の一環として、年一回、看護師による健康講話を実施しています。2010年度は、
「更年期から始めるヘルスケア」をテーマに、全女性従業員(19名)を対象に実施しました。
「更年期」について学んでいた
だき、話題を共有することで互いに理解を深める機会になったことと思います。過去には、単身赴任者の急増に伴い、単身
赴任者の食生活についてなどの講話も行っています。今後も健康づくりの手助けとなるよう、健康についての情報提供をし
ていきたいと考えます。
4)産業医巡視について
労働安全衛生巡視として、年一回、西川産業医・工場長・環境安全常任委員・職場担当者・環境安全部部長・看護師等
による職場巡視を行なっています。注射剤、錠剤製造の最終工程の工場となるため、清浄度に注意を払い、作業衣に更衣し
巡視します。主に重量物の作業、騒音作業、倉庫内での高所作業などについて巡視し、作業内容について確認、指摘事項
による対策を取っていただきます。その他、敷地内の花壇の手入れ、野菜作りなど快適職場の形成にも積極的に取り組ん
でいます。
旭化成ファーマの健康管理体制
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医薬品製剤工場内の産業医職場巡視
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東京健康管理室の活動
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大阪健康管理室の活動
東京健康管理室は、旭化成グループの東日本地区全域(旭化成ホームズ等の一部を除く)と海外勤務の約3,500人の従
大阪健康管理室は中之島ダイビル33階にあり素晴らしい眺望とBGMで
業員の健康管理を行っています。産業医5名(うち1名は精神科医)、保健師3名、事務スタッフ3名が東京の本社ビルを拠点
来室された方にリラックスして貰っています。現在、産業医3名、保健ス
として健康管理活動を行っています。以下にいくつかの活動を紹介します。
タッフ2名で中之島ダイビルに在籍の8事業会社及び関係会社、近畿一円か
ら北陸、中四国の遠隔地事務所の人達を対象に健康管理活動をしています。
大阪では産業医の「健診は受けた後が肝心」との方針でフォローアップ
を確実に実施しています。健診結果の緊急度に合わせ「赤紙・黄紙・青紙」
でお知らせし、産業医面談にお呼びしています。また、利便性を考慮し採
待合室の様子
血や簡単な検査が出来るよう診療所機能も持っています。ファーマの遠隔
地事務所の方には希望される医療機関を利用して貰い、郵送やメール、電
話でフォローさせて頂いています。
健康づくり企画では、「歩こうキャンペーン」、「禁煙外来」、「週に2
日は飲マンデー」の3つを地道に続けています。なかでも、どなたでも参
加できる歩こうキャンペ−ンは参加者も増え定着化して来ました。昨年、
皆さんの健康は私たちがサポートします!
健康セミナー
後列左から
金子友美 菊池可奈子 前田寿雄 武田聖子
(事務スタッフ) (保健師) (事務スタッフ) (保健師)
前列左から
千田有美子 高橋敦彦先生 辻井真名美
(保健師) (産業医) (事務スタッフ) ファーマは76名の方が参加され健康への意識の高まりを感じています。
メンタルヘルスセミナー
1)定期健康診断とそのフォローアップ
毎年、春に定期健康診断を実施しており、健診後のフォローアップ面談では、1人でも多くの方と面談することで、心身
の健康状態やライフスタイルなどの確認をするとともに従業員の皆さんとの信頼関係を築けるよう心がけています。
2)健康増進活動
健康増進活動として、定期的に産業医の高橋先生にお願いして健康セミナーを開催するなどの活動を行っていますが、
2010年度からは特に女性健康セミナーの開催に力を注いでいます。これは、労働組合との共催で、保健師が実施する女
性従業員を対象にした健康セミナーで、10回シリーズのセミナーに延べ502人の出席がありとても好評でした。今年はさ
らに対象をひろげ、内容も懇談会形式を取り入れるなど工夫しています。
3)メンタルヘルス活動
①心の健康診断
これまでは3年に1度の紙面によるメンタルチェック(JMI)を実施していましたが、2010年度からはWEBを利用し
たe診断を導入しました。定期健康診断の受診前に、112問(職業性ストレス調査57問、組織活性力調査55問)のス
トレスチェックを実施してもらいましたが、回答率が89.7%でした。従来より優れている点は、診断結果の確認と対応
が迅速にできることです。受診者本人がすぐに診断結果を確認できるとともに、その結果を社内の産業保健スタッフ
が確認できるため、問題のある場合はすぐに対応することが可能です。実際に、メンタル不調を来たす前のストレスが
高い状態で、相談につなげることができました。
②メンタルヘルスセミナー
衛生委員会と共催で、精神科の産業医の渡辺先生によるセミナーを年1回開催しています。毎回参加者が多く、関心の
引き続き皆さんの健康づくりのサポーターとしてお役に立てるよう活動
して参りますのでお気軽に声を掛けてください。
私たちがサポーターです!
左:山科陽子 右:西野みづ江
(保健師) (看護師)
福岡健康管理室の活動
旭化成ファーマの九州各営業所の健康診断の実施、産業医と連携した健診後のヘルスチェック、要管理者の産業医
面談、健康相談、ライフサポートによる特定保健指導、メンタルヘルスケア、過重労働防止対策と啓蒙活動、グルー
プ会社間のコミュニケーション活動等に取組んでいます。
要管理者率の増加に伴い、08年度から「ウォーキングキャンペーン」を1回/半期(春・秋)実施し、現在までに、
第6弾が終了しました。他県の営業所からでも気軽に参加出来るようにWEBサイトを利用しています。「個人戦」「
チーム戦」の中で、お互いの励ましや刺激、職場内の話題づくり、ストレス解消にもお役立て頂きたいと思っていま
す。初参加者の取り込みや継続参加者対策として毎回、内容を変更し健康増進を目指しています。誰でも、何処でも、
何時でも出来る「エコ」な運動の積極的な参加をお願いいたします。
グループ会社間のコミュニケーションを目的とした「サマーフェスタ」を1回/年実施しています。全員参加型を
目指し、日程はファーマの他県の営業所から参加しやすいように全体会議日にしています。今年で4回目となり定着
化しています。参加率は福岡地区グループ会社全体で85%。年々参加者は増加傾向で、
「グループの一体感を得られ
た」と多くの声を頂いています。日常、接する事の少ないグループ会社のみなさんと、この機会に積極的なコミュニ
ケーションを取って頂きたいと思っています。
従業員のみなさんが健康で楽しくいきいきと働く事が出来るように支援していきます。
高さがうかがえます。
③産業医による面談
過重労働の対象者に対する面談は、時間外労働時間が把握できる組合員はもちろん、時間外管理を行っていない管理
職や、時間外の把握が難しい営業外務員についても上司あるいは本人の自己申告により実施するようにしています。
その他、日ごろからメンタル面で不調を来たした方々の相談に積極的に応じています。
今年は3/11に未曾有の大震災および原発事故が起こったことに対し、産業医・人事担当者を中心に被災した東北地区
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の従業員の方々のストレスケアにあたっています。
ウォーキング万歩プログラム
サマーフェスタ
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製品安全活動の体制
医薬品は開発・申請から承認整理に至る全過程が薬事法および省令等による規制下に置かれています。旭化成ファ
ーマでは、薬事法および省令等に基づき、信頼性保証センターを中心に医薬品の製品安全を確保しています。信頼性保証
センターでは製品安全活動の体制として薬事法に定められた「製造販売業三役体制」により製造販売する製品の信頼
性(品質・安全性)を保証しています。
旭化成ファーマ株式会社の製品安全活動体制
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信頼性保証センター 各部場の紹介
品質保証部
品質保証部は、当社が販売する医薬品が有効かつ安全であることを担保するため、その品質を保証する業務を行っ
ています。各医薬品の製造所では、品質を保証するために、製造が終了した最終製品を分析することは勿論のこと、
製造工程(原材料受入から製品出荷まで)を厳密に管理することで、微量な不純物や微生物等の混入防止など、より
高いレベルで品質を確保しています。 品質保証部は、各医薬品の製造所(自社及び製造委託先・原料購入先含む)を監査して、その製造・品質管理体制
をチェックするとともに、製造方法の変更管理、異常・逸脱及び苦情等が生じたときの是正・予防措置などを通じて、
当社医薬品の品質を保証しています。
今後も継続的な品質保証業務活動を通じて、当社医薬品の品質保証に貢献していきます。
安全性管理部
安全性管理部は、当社医薬品の安全管理を担っています。
当社医薬品の安全性に関する情報を収集・検討し、PMDAへの報告を遅滞なく実施するとともに、添付文書の改訂な
ど必要な適正使用※ 情報の提供も実施しています。 また、当社医薬品の導出・海外医薬品の導入に伴うグローバル展開にも対応しています。国内外の安全性に関する
情報も、確実に管理しています。
今後とも、安全性に関する情報の収集、評価・検討、医療関係者などへの提供を確実かつスピーディーに行い、当
社医薬品の安全管理を実施していきます。
市販後調査部
*PMDA:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
★は
「薬事法上の三役」
を表す
信頼性保証の体制
信頼性保証センターは、製品販売後の製品の品質保証および安全管理、臨床試験の監査、研究所で実施する試験の
信頼性保証、並びに信頼性保証業務の企画立案を社内関連部場と連携を図って実施しています。
信頼性保証の体制と関連する法規制(GxP)
市販後調査部は、厚生労働省の基準に従って、当社医薬品の製造販売後調査を行っています。
市販前の臨床試験では得られなかった日常診療下での安全性、有効性の情報を収集・確認し、厚生労働省に再審査を
申請するとともに、医薬品の適正使用※ についての情報を広く医療関係者等に発信しています。
特に、2010年度はDIC(汎発性血管内血液凝固症)の治療薬として期待される「リコモジュリン」の発売直後から
の全例調査(投与された全ての患者さんの調査)が終了し、厚生労働省へ調査結果の報告を行いました。現在、医療
関係者向け資料作成、学会発表、論文化等を進めています。
※
今後も情報収集・発信をよりスピーディーに行い、当社医薬品の安全管理、適正使用 に貢献していきます。
臨床・研究監査部
臨床・研究監査部は、厚生労働省の基準に従って、医薬品の申請データ及び申請資料の監査を行い、その内容を評
価し、適合していることを保証しています。
業務としては、社内の研究・開発部場が実施する非臨床・臨床試験に関してGLP省令及びGCP省令への適合性を、
その試験成績に対しては信頼性の基準への適合性をそれぞれ評価・保証しています。さらに国内外の非臨床・臨床試
験実施施設を訪問し、GLP省令・GCP省令等の適合の実地調査ならびに申請資料・記録類の行政による書面・実地調
査への対応を行っています。
特に、2010年度は骨粗鬆症治療薬「MN-10-T(一般名:テリパラチド酢酸塩)」の製造販売承認申請資料(10月
申請)の監査を実施しました。
今後も適切な監査業務を通じて、当社医薬品の承認申請資料の品質向上と信頼性確保に貢献していきます。
※適正使用:医師等の医療関係者が適切な医療行為を行う上で、使用する医薬品を安全かつ効果的に使用すること
GxP注釈
GLP:Good Laboratory Practice 安全性に関する非臨床試験実施基準
特に安全性データについての信憑性を高めるための基準
GCP:Good Clinical Practice 安全性に関する臨床試験実施基準
科学的に適正で理論的な試験を実施し、データの信憑性を高めるための基準
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GMP:Good Manufacturing Practice 製造管理および品質管理に関する基準
製造業者が遵守すべき要件。工場における品質管理基準。製造工程全般に
渡る管理と、建物・機械・設備の配置などについて人為的なミスをなくす為の
基準
GQP:Good Quality Practice 品質(保証)管理基準
製造販売業許可要件。市場出荷管理、製造業者の管理、苦情・返品・回
収処理などについて定めた基準
GVP:Good Vigilance Practice 製造販売後の安全性管理基準
製造販売業許可要件。適正使用情報の収集・検討・市販後安全性確保
措置の実施に関する基準
GPSP:Good Post-marketing Study Practice 製造販売後の調査お
よび試験の実施の基準
医薬品の再審査、再評価に係る調査および試験実施に関する基準
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関連部場での活動 年
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製造部場での取り組み
◇富士医薬工場
情報の収集と伝達のための取り組み
信頼性保証センターでの情報提供、回答、報告には、医療機関等・医療関係者からの製品に関する情報を的確に収
集、分析し迅速かつ適切に情報を提供することが求められます。そして信頼性保証センターと医療機関等・医療関係
者とを繋いでいるのがモニターとMR(医薬情報担当者)と呼ばれる人々です。
モニターは臨床開発センターに所属し、良い「薬」を、より早く、より安全に世に出すため、臨床試験における情
報の収集と提供を行っています。また医薬営業本部に所属するMRは、市販後製品に関する情報の収集と提供、伝達
を行っています。「モニター」も「MR」も会社を代表してその役割を担っています。その為、彼らに対する教育は不
可欠のものとなります。導入教育と毎年の継続教育によって必要な知識・資質の習得・維持・向上に努めています。
臨床開発センター
臨床開発センターではGCPに基づいた臨床試験を実施するために必要な知識や技能を習得することを目的に導入教
育及び継続教育を行っています。
導入教育の研修内容は、薬事法及び関連法規(GCP概論、
社内標準業務手順書等)
、治験の倫理と関連法規
(ヘルシンキ
宣言、補償と賠償、公正競争規約とプロモーションコード、公務員倫理法等)などです。2010年度は新卒社員、キャ
リア採用社員を対象に5週間にわたり90時間の導入教育を実施しました。キャリア社員に対しては、即戦力として業
務に臨んでもらうために採用の都度、導入教育を実施しました。また、導入教育では「事務所地区の安全衛生教育」
「緊急連絡網」「安否確認システムの概要と登録方法」「IT関係(情報システムガイダンス、情報セキュリティ等)
」
などの日常安全行動についてもしっかりと理解してもらいました。
継続教育は、センター全員を対象として臨床開発に関する規制(GCP省令、運用通知)の動向と会社の対応を周知
徹底することを目的に薬事報告会を年に3回(7、11、3月)行っています。さらに各部場においてはGCP管理、デー
タマネジメント、臨床監査のトピックスについて周知徹底を図り、適正に臨床試験が実施されるよう毎月、勉強会を
継続的に実施しています。
富士医薬工場では、全員参加の「技術検討会」を毎年開催しています。そこでは製造技術に関わる討論だけでなく、
医薬品の品質を確保することの重要性を全員に認識してもらうため、毎回テーマを決めてGMP教育を実施しています。
2010年度は、「コンピュータ化システム管理」に関する教育を実施しました。「医薬品製造に関わるコンピュータ
化システムの品質保証をいかに行うか?」は医薬製造業界ではホットな話題であり、その重要性を全員に理解しても
らうことができました。
◇大仁医薬工場
大仁医薬工場では各職場のグループ活動の成果発表の場である「環境安全・QC発表会」、工場全従業員を対象とし
た「GMP全体教育」、責任者クラスを対象とした「GMP報告会」を毎年開催し、従業員の品質意識,安全意識の向上
を図っています。特に「環境安全・QC発表会」は「QC発表会」を前身として,29回目の開催となりました。「培地
連続殺菌中の流量低下」「試験作業中のエンドトキシン汚染」「製造用水の細菌抑制」といった各職場の課題が品質
管理手法や問題解決手法を使い、臨場感を持って発表されました。 ※QC:品質管理
◇名古屋医薬工場
名古屋医薬工場では、毎年年度末に工場全員で製品(品質)安全を確認するための「年次製品照査報告会」を開催
しています。ここでは名古屋工場内で製造した製品について製造管理・品質管理・品質保証に関する記録を収集し、
それらを照査・解析をすることにより、製品が管理された状態で製造されていることを評価します。
医薬営業本部
医薬情報担当者教育研修要綱(MR教育研修要綱:以下要綱)では、「導入教育」とは、MRとして必要な資質(倫
理観・知識・技能)を養成・修得させる教育研修で、「継続教育」とは、MRとして必要な資質を維持・向上させる教
育研修であり、生涯にわたる教育研修と位置付けています。この要綱に依拠し、ファーマの研修体制にそってMRの能
力向上を目的として導入教育と継続教育それぞれの教育研修カリキュラムを立案実施しています。内容については、
継続教育の重点教育ポイントを紹介しますが、本要綱の策定意義を認識し企業の責任においてこれを遵守することは、
RCでの製品安全、社会とのコミュニケーションに直結するものであると考えています。
《継続教育の重点教育ポイント》
1. 自社製品に関する添付文書内容の理解と医薬関係者のニーズに応じ、適正使用の為に必要な情報を正確
かつ効果的に提供・収集・伝達できる能力の向上を図る。
2. 製品関連分野について広く、最新の知識を有し、医薬関係者に的確に対応できる能力の向上を図る。
3. 基礎一般知識及び疾病・薬物療法等の基礎学術知識
の向上及び倫理観の醸成。
4. 薬事法・公正競争規約等の徹底と、GPSPを基本と
するPMS業務の迅速かつ適正な実施に関する知識
と技術の向上を図る。
5. GVPを遵守した、安全性情報の収集と提供、伝達を
確実に実施するため、知識及び意識の向上を図る。
6. 実践的教育として十分な技能教育
(ロールプレイ・OJT
等)
を実施し、ドクター面会時のスキル向上を図る。
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名古屋医薬工場 年次報告会[2011.3.24開催]の集合写真
大仁医薬工場 環境安全・QC発表会の様子
医薬研究センターでの取り組み
医薬品の開発では、有効性・安全性を確認するための臨床試験を行います。この試験に用いる製剤を治験薬と呼び、
医薬研究センターでこの治験薬の製造・供給を行っています。 医薬品が「GMP」に則って製造管理や品質管理を行う
のと同様に、臨床試験に用いる治験薬も「治験薬GMP」に従い品質を担保しています。
2009年7月からは改正治験薬GMPへの対応のため、治験薬供給総括責任者のもとに製造部門(製剤研究部)、品質
管理部門(物性研究部)および品質保証部門を整備しました。その中で、品質管理、製造管理、衛生管理、出荷管理、
変更管理、逸脱管理等々の活動に取り組みながら、PDCAサイクルを活用することで治験薬の品質保証に努めてきま
した。
2010年度は注射薬、内服薬の治験薬20品目以上を供給
しました。供給にあたっては出荷可否判定会議を開催し、
製造記録類、衛生管理記録類、品質試験記録類などの必要
書類が照査され、総合的な判断により当該治験薬の出荷の
可否が判定されます。今後もこのような活動を継続的に行
うことで治験薬の品質を確保して行きます。
製品安全に関する特記事項
MR教育風景
2010年度に自主回収を含め回収は発生していません。
治験薬を目視で検査する様子
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化学物質に対するコンプライアンス
旭化成グループでは、CSR重点活動のひとつとして、「コンプライアンスの徹底」に取り組んでおり、このために
企業倫理委員会を設置し、「企業倫理に関する方針・行動基準」を制定しています。旭化成ファーマは、製薬メーカ
ーとしての「コンプライアンス・スタンダード」を制定しており、26項目のより具体的な行動規範を定めて事業活動
を行っています。ここでは、特に環境安全への影響の大きい、化学物質の管理について紹介します。
新規化学物質の製造・輸入に際しては、化審法および安衛法に従い必要な事前確認申請を実施し、安全確認を徹底
しています。この他、カルタヘナ法に係わる遺伝子組換え生物の利用による実験あるいは製造に際しては、社内に安
全委員会を設置して、適切な拡散防止措置をとって実験あるいは製造することをカルタヘナ法に従って事前に確認す
ることを徹底しています。
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スポーツ等の活動
スポーツ・レクリエーション活動 名古屋医薬工場
名古屋医薬工場ではみよし市工業経済会主催で毎年開催されるソフトボール大会、ボーリング大会、バレーボール、
インディアカ、卓球を行う室内運動競技大会などに参加しています。また、地域主催のマラソン駅伝大会や三好池マ
ラソン大会に有志が参加しました。大会参加に向けて就業後構内を周回する練習を重ね本番に臨みました。スポーツ
を通して親睦を図り、心身のリフレッシュを図っています。
医薬研究センターでの取り組み
医薬品の研究開発における創薬活動(探索・開発研究および治験薬製造)においては、様々な化学物質を取り扱っ
ていることから、これらの化学物質の管理に対する法令順守と安全管理を徹底することとしています。創薬研究の過
程で購入・保管する化学物質の中には、世の中の情報の蓄積に伴って新たに法規制の対象となることがあります。従
って該当法令の改正を常に把握し、新規に購入する化学物質だけでなく、保有している化学物質が規制対象であるか
否かを常に確認できる体制を構築する必要があります。このため、旭化成ファーマでは、2009年3月に法規制チェッ
ク支援システムを導入して化学物質を管理する体制を構築しています。
創薬研究における化学物質管理体制
バレーボール大会
規制等を確認して購入
化学物質の購入
ソフトボール大会
化学物質
データベース
構造式の登録
化学物質
保管
法改正時ごとに検索
マラソン大会
スポーツ・レクリエーション活動 医薬研究センター
化学物質
廃棄
適正な廃棄
医薬研究センターでは、卓球、バドミントン、サッカー、ボウリング、さらに輪投げなどを企画し、普段の研究活動
ではあまり動かさない筋肉をここぞとばかりに酷使しました。特にサッカーでは白熱した対戦となり、若者に負けじ
とオジサンも大爆走!この一年、スポーツやレクレーションを通じて他の研究部との交流を深め、心身ともにリフレ
ッシュすることができました。
定期的に実施
この法規制チェック支援システムの活用には、データベースの構築が必要なことから保有する全ての化学物質のデ
ータベースへの登録に多大な労力を要しましたが、入力を完了させました。法規制チェック支援システムを直ちに稼
働させた結果、管理外試薬を1種類所有していることが判明しました。この結果は、直ちに県に報告し、必要な措置を
県の指導の下に実施しました。今後は、この化学物質管理体制の運用を確実なものに実施して、化学物質の購入時に
事前確認を行うとともに、法改正時には速やかに検索を行い、法規制対象物質の確認を行い、適正な保管管理を抜け
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なく実施することを徹底します。
サッカー大会
ボウリング大会
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ハイキング 大仁地区(遊歩会)
新生旭化成アイミーの船出
遊歩会は大仁地区従業員の健康管理活動とファーマ社内の親睦を兼ねて、毎月1回のハイキングを行っています。既に180回
を越え、現役社員の方だけでなくOBの皆様にも参加していただいています。無理しないペースで毎回20,
000から30,
000歩を歩
いています。
会員の体力などを考慮して、毎月のハイキングは家族向きコースから健脚向きコースまで変化に富むものとしています。
また、
その
季節に合わせたハイキングコースを選び、
参加者が楽しめる会としています。例えば、昨年の1月は初詣を兼ねて神社を回るハイキン
グを行い、
8月は夏山富士登山にチャレンジしました。初めての富士登山の方々がいましたが、
声を掛け合いながら体力にあったペー
スで登り、全員が頂上に立つことが出来ました。健康作りだけでなく、思い出作りとしても遊歩会の活動を今後も続けていきます。
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新生旭化成アイミー誕生
旭化成アイミーは、2010年12月1日、コンタクトレンズとコンタクトレンズ用ケア用品の販売、及び研究・開発の
事業ならびに同事業に係わる資産をCooper Vision, Inc.が日本に設立した新会社(商号:アイミー株式会社)に譲渡し
ました。
これにより旭化成アイミーは、コンタクトレンズおよび関連製品の製造会社として生まれ変わり、アイミー社に製
品を供給することになりました。これまで同様に皆様のご愛顧を宜しくお願いします。
工場は事業性改善のために省力化・効率化を鋭意進めており、少数精鋭のスリムな体制を目指し
(2011年6月現在59名)、
『明るく、元気で、きれいな工場』をモットーに従業員一丸となって日々の活動に取り組んでいます。
年次報告会(5/20終日:向陽クラブ)
従業員と経営陣、全員参加での年次報告会
(懇親会付)
を初めて開催しました。昨年12月から全員が参加した小集団活動や、品
質改善等のテーマ活動の成果や途中経過が報告され活発な質疑もあり、製造実績・工程/品質/効率化の課題の共有化と工場の
一体感醸成に大きく役立ったと思います。
また、
アイミー社から営業部長をお招きし営業情報も直に聞くことができ、製販のコミュニケ
ーションの場としても活用すべく、今後は半期毎に開催していきます。
富士山頂にて
横須賀 三笠前にて
教育への取り組み
AST教育への取り組み
2007年度より階層別教育体系が構築され、
旭化成ファーマ社内の中間層社員を対象にAST(Asahi Safety Training)教育を
行っています。各職場において安全を確保していくための基本的な手法を学ぶと共に、従業員や管理者の安全意識の向上を目的
として2日間に渡って集中的に研修形式で実施しています。講師は、旭化成OBである木浦先生にお願いし、過去の生々しい災害
事故例や先生の語りかける口調で多くの受講者から好評を頂いています。2010年度は、大仁地区を対象に開催しました。従来の
座学中心の研修に、現場視察も取り入れた研修となりました。
各工程リーダーが発表、大会場に戸惑う場面も!
!
美化推進活動
工場玄関前花壇の手入れも
定時後に自主活動
AST研修の様子
歩こう会を兼ねた地域清掃活動
37
現場視察の様子
尾崎、夏田町
ひとみ会:職場旅行
小山橋
2010年11月5日門司港にて
38
RCマネジメントの推進への取り組み
年
報告書
2
0
R 1
C 1
年
報告書
2
0
R 1
C 1
ガイドライン等の制定
旭化成ファーマのRC(レスポンシブル・ケア)マネジメントの推進への取り組みとして、以下にRC委員会とRC監
査について紹介します。9ページでも述べましたがRC委員会はRC方針、RC目標、及びRC活動の重要な決定を行うも
のです。また、RC監査はRC活動の実施結果についての検証を行うものです。
RC委員会
旭化成ファーマはRC活動を
「RC管理規程」に定め、
ファーマ社長をRC実施統括者とするマネジメントシステムを構築しRC活
動を推進しています。中でも、RC委員会は社長を委員長として旭化成ファーマにおけるRC活動に関する重要事項の審議・決定を
行うもので、年1回開催されます。
旭化成グループでは、規程・規則以外にいろいろな分野でのガイドラインを制定して、グループとしての方針を明
確にするとともにグループまたは事業会社としてどのように対応していくかについて規定しています。ここでは、
2010年度に旭化成グループで制定された「生物多様性保全に関するガイドライン」と「ナノ材料ばく露防止のため
のガイドライン」、そしてエネルギーの使用の合理化に関する法律(いわゆる「省エネ法」)に関連してファーマで
定めたエネルギー管理規程等について紹介します。
生物多様性保全に関するガイドライン
旭化成グループでは、2006年度に延岡地区で宮崎県が進めている「企業の森林作り」制度を活用した「あさひの
森」(人工林を自然林に戻す森林活動)を開始、その後、生物多様性の保全の観点を付加して活動を行っており、
富士地区、守山地区においても生物多様性の保全に関する取り組みを行っています。こうした取り組みをも含め、
2010年度に「生物多様性保全に関するガイドライン」として制定し、旭化成グループすなわち旭化成株式会社とそ
の関係会社ならびに旭化成ファーマ等事業会社とその関係会社に適用しています。
その中で、旭化成グループは、基本理念に則って事業活動において生物多様性に配慮し、
事業活動が生物多様性に及ぼす影響を軽減し、生物資源の持続可能な利用に努めることを謳
っています。
また、事業活動が生物多様性に関わっているかどうかを把握するためのチェックシートを
付け、抽象的になりやすい活動を具体的に展開できるよう考慮しています。
RC委員会の様子
生物多様性保全に関する
ガイドライン
旭化成ファーマとしてのRC監査
旭化成ファーマの各事業部を対象に、毎年RC監査を実施しています。
このRC監査では、RC活動の柱である6分野
(7ページ記
載)
についての部場内での安全活動内容を把握し是正すべき点があれば、
その対策・改善を求めるものです。2010年度は医薬
営業本部、信頼性保証センター、臨床開発センター、
スタッフ部署、医薬研究センター、大仁地区、旭化成アイミーの7事業所につ
いてRC監査を実施しました。
また、支社が実施する支社監査、及び大仁地区での地区監査にもRC推進室がオブザーバーとして
出席し会社全体のRC活動状況をチェックし、RC委員会へも報告しています。
また、
このガイドラインの制定を受け
「グリーン調達ガイドライン」の項目追加を行いました。
ナノ材料ばく露防止のためのガイドライン
ナノ材料に関するリスク(危険性)評価については、世界的にまだ始まったばかりで、厚生労働省や経済産業省か
ら報告書の形で公表されていますが、確立されていないのが現状です。旭化成グループとしては、ナノ材料を取り扱
う作業者やその他の者の健康及び安全を確保するため、ナノ材料の取扱いに関する予防的な措置をガイドラインとし
て制定しました。ガイドラインの基本方針として、現場の啓発、最低限のばく露対策の提示を目的とすること、更な
る安全対策の構築等のための届出、記録の保持を義務付けること等々を定めています。また、健康管理、応急処置、
業務歴管理等の項目を含んでいます。
エネルギー管理規程
2010年4月1日施行の改正省エネ法に対応し、これまで工場単位で制定していた規程・規則を事務所地区を含めた旭
化成ファーマ全体としての基本規程を制定し、その下にそれぞれの工場等の単位で詳細を規定する形としました。
省エネ法に定めるエネルギー管理統括者やエネルギー管理企画推進者などとは別に、ファーマ独自に「省エネルギ
ー推進委員」を選任することとして、省エネの実効性を高めるべく現場管理を行うことにしました。また、管理体制
は旭化成ファーマ全社を5つのブロックとし、エネルギー管理統括者のもとでエネルギー消費原単位、年平均1%以
上の削減を目標とする省エネのためのPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルをまわすこととしています。
大仁地区でのファーマRC監査の様子
持株としてのRC監査
39
持株RC監査は、旭化成(持株)により各事業会社を監査する
ものです。旭化成ファーマも毎年、社内の全部場のRC活動状況
を集約し、そのRC活動実施状況について持株へ報告すると同時
に、持株からの監査を受けています。当然ながら、旭化成(持株)
から旭化成ファーマに対して是正すべき箇所の対策・改善を求め
られます。
こういった一連の監査を通じて、RCマネジメントシステムの
PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを回してRC活動の改善を
図っています。
*エネルギー管理統括者
事業の一環としてファーマにおいて鳥瞰的なエネルギー管理を行う者で、
原則、取締役又は執行役員
*エネルギー管理企画推進者
エネルギー管理統括者の補佐者
持株RC監査の様子
*エネルギー消費原単位
エネルギー使用量をエネルギー消費と関連のある量で除した
値で、エネルギー消費効率を比較するのに使われる単位。
エネルギー管理規程
40
次世代育成への取り組み
年
報告書
2
0
R 1
C 1
年
報告書
2
0
R 1
C 1
地域との交流・表彰
高専への出前授業
佐野小学校PTA工場見学
診断薬製品部 松本英之
2011年1月20日、沼津工業高等専門学校への出前授業を行いました。
大仁地区
2010年9月10日、佐野小学校PTAの25名が三島市で行っている
「家庭教育
内容は、生化学領域と免疫測定領域に関する話題です。生化学領域の話
学級」の一環として、大仁地区の工場見学を行いました。会社概要説明の後、2班
しでは、糖尿病と血糖測定方法に関する内容を説明しました。免疫関係では、
に分かれリサイクルセンターと排水処理施設を見学しました。皆さん
「主婦の目」
で
イムノクロマトグラフィー法を中心に講義を行い、最後に、実際に市販されて
省エネやリサイクルに興味津々の様子で、熱心に質問をしていました。
この「家庭教
いる血糖測定キットを用いた簡単な測定を体験して頂きました。測定キットに
育学級」
で学んだことを、各家庭におけるお子さんへの教育に役立てているそうです。
よる実習が盛り上がり、最後に学生からの質問を頂く時間が十分に取れな
かったのですが、
「 製品を開発するのにどのくらい期間が必要なのですか?」
といった技術的側面に関する質問などが熱心に交わされました。
大仁地区サマーフェスタ
旭化成アイミーによる出前授業
旭化成アイミー
旭化成アイミーは、
コンタクトレンズとケア製品という身近な製品を生産していることから、2010年度は中学生から大学生まで社
会科授業の一環として幅広く工場に受け入れています。主な内容はレンズ製造方法、
レンズ理論の講義及び工場見学ですが、
九
保大の場合は、営業からの専門家を別途派遣してもらって対応しています。
<2010年度実績>
延岡市教育委員会講師派遣授業:熊野江中学校・北川中学校 2校 47名、 野口顕彰会校外授業:東海中学校 1校 28
名、社会体験研修トップリーダー研修:延岡高校理数科 27名、
清朋高校生実習:清朋高校生 3名、 九州保健福祉大学授
業:視能検査学演習 16名
大仁地区
7月30日に毎年恒例の「サマーフェスタ2010」
を開催しました。
従業員とその家族、近隣住民の方など、
過去最多の約950名が
来場。恒例の新入社員のステージに加え、旭化成のキャンペー
ンモデルも駆けつけ、会場は大いに盛り上がりました。
区長会
大仁地区
2010年10月13日、
市役所大仁支所にて旧大仁町の区
長16名、伊豆の国市役所関係者3名に当社の1年間の環
境報告を行ないました。いくつかの質問も会社側の説明に理
解を深められたご様子でした。
文部科学大臣表彰を受賞
2010年11月22日 北川中学校への出前授業の様子
みよし市立三好中学校からの職場訪問
2010年4月13日、科学技術分野の文部科学大臣表彰が行われ、「血管内皮の抗血栓分子トロンボモデュリンに関
する総合的研究」が科学技術賞(研究部門)を受賞しました。この賞は、科学技術に関する研究開発、理解増進等に
おいて顕著な成果を収めた者に、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、日本の科
学技術水準の向上に寄与することを目的としています。旭化成ファーマは、鹿児島大・三重大と共同し世界で初めて
トロンボモデュリンの遺伝子をクローニングし、基礎研究・製造技術開発・臨床開発を進め、重症疾患である汎発性
血管内血液凝固症(DIC)の新規治療薬「リコモジュリン」として実用化に成功しました。リコモジュリンは、200
8年5月の発売以降、既に多くの患者さんの救命に役立っています。
名古屋医薬工場
2010年8月24日に、
近隣のみよし市立三好中学校の生徒2名の職場訪問を受
入ました。目的は、
『 職場で働く親の姿を見る中で、家族を思う気持を感じるとともに、
職業や勤労の意義を知り、将来の進路選択への糧とする。』
という事でしたので、実
際に工場に入って、稼動している各製造現場を見学して頂きました。生徒さんからは、
『どんな時に仕事のやりがいを感じますか?』等の鋭い質問も受けました。後日、生徒
さんからお礼の手紙を頂きました。
大仁地区インターンシップ受入
41
<受賞者
(敬称略・受賞時)
>写真左から
大仁地区
2010年8月23日より9月10日までの約3週間、診断薬製品部・開発研
究グループにおいて、大学院生2名のインターンシップ受入を行いました。
大学院生の受入は今年度が初めての試みで、現場の課題に対し、
自ら解
を導いてもらうことを狙いとしています。インターン生それぞれが与えられ
たテーマについて検討を加え、最終日のプレゼンテーションは、受入側も驚
くほどの出来栄えでした。
旭化成ファーマ 医薬営業本部 ARTプロジェクト 副プロジェクト長 青木喜和
元財団法人野口研究所 顧問 山本修司(旭化成OB)
国立大学法人鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科 特任教授 丸山征郎
国立大学法人三重大学 理事・副学長
(研究担当)鈴木宏治
旭化成ファーマ 医薬営業本部 ARTプロジェクト 学術グループ長 故・図師通孝
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2010年度RC目標の達成状況
2010年度のRC目標
年
報告書
2
0
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C 1
2010年度のRC実績結果
2011年度のRC目標
管理外試薬の不正所持が発生しました。
地域・社会とのコミュニケーションの
促進
RC報告書の発行等を行いました。
その他
(関係会社等における安全の RC監査等を行いました。
確保)
環境汚染事故1件、中トラブル1件が発
生しました。
産業廃棄物の最終処分を2000年度比99
%以上削減しました。
エネルギー原単位
(省エネ法)
は、事業会社
全体で前年度比7.7%削減しました。
温室効果ガス排出量は基準年度比で85%
削減しました。
PRTR・VOC物質の排出量は2000年度比
98%
(PRTR)
、及び97%
(VOC)
削減しま
した。
生物多様性の保全
軽トラブル1件が発生しました。
休業災害を含めて18件の労災が発生しま
した。
全工場で定着が図られました。
2011の発行にあたって
全工場で定着が図られていますが、改善の
余地がありました。
旭 化 成ファーマR C 活 動について、
この精 神に沿って
設備工事業者安全管理の指導
強化
総平均の要管理者率は低減の傾向が続
いていますが、部場間でバラツキがあ
り更なる改善が必要です。
メンタル不調者の早期発見・早期
対応
メンタル疾患者の傷病手当金支給者率
は低減の傾向が続いていますが、グル
ープ平均よりはまだ高いレベルにあり
更なる改善が必要です。
を目標に、従 業 員はもとより読 者の方々が 旭 化 成ファーマをより理 解していただけ
るようにまとめました。今 後ともお客 様 や 地 域 社 会などのステークホルダーの 皆 様
メンタル不調者の早期発見・早期対応
からより信 頼され 、期 待に応えられるように活 動を推 進してまいります 。
最後に、
このたびの東日本大震災により被災された皆さまに、お見舞い申し上げます。
また、一日も早い復 興をスタッフ一 同 、心より願っております 。
43
患者さんや健康を願う人びとに対する思いやりを忘れません。
(写真の説明)
表紙:青しだれもみじ
カエデ科に属し、繊細な葉を持ち春から夏まで緑葉でとても涼しげです。秋には
紅葉します。
裏紙:皐月(さつき)
日本を代表するツツジ科の植物で盆栽などで親しまれています。
「白玲」という
代表的な皐月の品種で剣弁咲の小輪で純白色無地の可憐な花をつけます。
www.asahikasei-pharma.co.jp
TEL:03-3296-3616 FAX:03-3296-3680
2011.09