アジア英語討論会 報告書 横浜国立大学経済学部国際経済学科 渡邊優希 ① 文化テーマに関する討論会で具体的な内容として印象的だったことは、中国では女性 の労働割合が高いということと、シングルマザーに対する懸念についてだ。 まず女性の労働割合について、中国では子供が幼いころは祖父母が面倒をみることが多 く、日本のように育児のために仕事を辞めるケースはみられないということを知った。日 本は核家族が増加する中で女性の社会進出が停滞気味であるが、中国は一族の強い結束と いう伝統が継続されることで、女性の社会進出が躍進しているという対比が興味深かった。 また、シングルマザーについて、日本では金銭的な面について懸念が抱かれ、支援のた めの福祉政策が取られる一方で、中国では何より両親の離婚によって子どもの人格に影響 が出ることが問題視されがちであるという点も、興味深い相違点であった。 和やかな雰囲気で互いの国について質問や議論を交わし、非常に有意義な時間を過ごせ たように思う。 ② 講義は中国語で行われたものは英語のパワーポイントがあっても、あまり内容が理解 出来なかった。英語で行われたものも、なかなか聞き取れず、歯がゆい思いだった。 講義の中で印象的だったのは、講師が生徒に意見を聞くことが非常に多いことだ。中に は英語で質問し、さらに英語での答えを求める講義もあり、日本では語学もしくは国際交 流科目以外ではあまりみられない光景なので驚いた。またそうした講師の期待にしっかり と応えられる中国の学生の能力の高さに改めてわが身を振りかえさせられた。 ③ 平安グループの会社見学が非常に印象に残っている。上海の中心地からは少し離れて いたが、ヨーロッパ風の広大な場所で、外の移動も専用の車で行うなど見た目に資金を多 くかけている印象を受けた。しかしながら実際の仕事場は、都心部の日本企業が有するオ フィスと変わらない活気ある雰囲気だった。課せられたノルマを達成できないと首にされ るハードな競争社会のようだったが、ノルマ達成率は 95%であり、また毎年二倍、三倍と 成長を続けているようで社全体から生き生きとした活力を感じた。一方で、2006 年と比較 的新しく出来た会社なので、このままの勢いを継続できるのか、注目したいと思う。 ④ 案内していただいた観光地はいずれも非常に興味深かったが、特に世界文化遺産であ る、拙政園が印象に残っている。広くて古風な庭というイメージで、地図があっても迷子 になりそうだった。日本古来の庭がシンプルさで勝負するなら、こちらはたくさんの木々 や植物や岩をいかに美しく配置するかで勝負している印象を受けた。 ⑤ 全体を通して、はっきりとした中国人の国民性を感じた。例えば店員の態度にも大き な違いがある。日本の店員は卑屈なほどに丁寧だが、中国では全く違う。ジュースを飲み ながら接客するし、口調も変わらない。こうした環境をみていると、逆に日本が行き過ぎ てしまっているのではないかという感覚も受けた。日本は過剰に”空気”を気にしているの ではないか、と思うのだ。これを謙虚と捉えず、卑屈であるとするならば、中国は卑屈に ならなくとも住める社会として、日本より進んでいるということなのではないかと感じた。
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