預貯金

● 預貯金
預貯金の取扱い金融機関
預貯金は、全国各地にある金融機関で取扱われています。なお、預
預貯金
預貯金の特徴
金と貯金と名称は違いますが、両者に実質的な違いはありません(以
下、特に断りのない限り銀行の預金を代表として説明します)。
預 金
銀行
ゆうちょ銀行・郵便局
信用金庫・信用組合
農業協同組合(JA)
労働金庫
漁業協同組合(JF)
預貯金の種類
預貯金の特徴は、元本保証があることです(外貨預金も外貨建てで
は元本保証がありますが、為替差損により円建てでは元本割れするこ
銀行などで扱っている預貯金は、大別して、「期間の定めがなく、
ともあります)。
出し入れが自由な流動性預貯金(普通預金、当座預金、貯蓄預金など)」
元本保証は、預けた資金(元本)が将来受取るときに目減りしないこ
と、「預入期間の定めがある 定期性預貯金(スーパー定期、大口定期
とを、金融機関が約束するものです。また、仮に、取扱い金融機関が
預金など)」とに分かれます。
経営破綻に陥ったとしても、預貯金は預金保険制度や農水産業協同
流動性預貯金のうち、「無利息・要求払い・決済サービスを提供で
組合貯金保険制度により一定範囲で保護されています。そうした意
きること」という3要件を満たす預貯金は決済用預金といわれ、普通
味で預貯金は、最も安全性の高い金融商品の1つといえるでしょう。
預金の一部や当座預金がこれにあたります。定期性預貯金の換金は、
元本保証があることは、私たちが将来の生活設計を立てるうえで大
原則として期間満了の日(満期日)に限られます。
切です。将来その資金を使おうと思ったときに大切な資金が目減りし
ていては困ります。目減りしては困る資金を貯めておくときには、元
本保証があることが金融商品選びの目安になります。
預貯金のタイプ
積立てる方式を使えば、効率的に達成することができます。
また、公共料金の引落しや給与振込に普通預金が使われていること
定期性預貯金
スーパー定期預金、大口定期預金、
普通預金、当座預金、貯蓄預金、
積立定期預金、定期積金、期日指
通知預金、納税準備預金
定定期預金、変動金利定期預金
期 間
期間の定めがありません。
預金を自由に引出せます。
役 割
すぐには使わない資金の運用、
日常生活資金の出し入れ、いざ
元本割れしては困る資金の保
というときの準備資金として便
存、将来の支出計画に備えた資
利です。
金積立てなどに利用できます。
も、他の金融商品とは違った特質です。日々動く資金の受け皿として
利用できることから、最も身近な金融商品ともいえます。
流動性預貯金
名 称
貯蓄目標金額を貯めようとするときには、一定期間ごとに一定額を
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貯 金
預入期間が定められています。
期間は、1か月、3か月、6か月、
1年、2年、3年、4年、5年、
7年、10年などがあります。
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金融機関の店頭に行くと、しばしばその金融機関にしかない名称の預金商
品に出合います。これは、その金融機関独自の商品名、つまり愛称であるこ
とが一般的です。
「たまてばこ」
とか
「スーパードリーム」
などの名前は愛称で
す。
預金には、普通預金、貯蓄預金といった正式名称があります。正式名称が
そのまま通称として用いられるケースもあります。それ以外に、
「スーパー
定期」や
「外貨預金」のように各金融機関に共通した商品名が通称として一般
● 預貯金
● 預貯金
預金の名前
・給与振込、年金の受取り
・定期預金、公社債、株式の利息・配当金の受取り
・仕送り、代金などの受取り
・公共料金などの自動引落し(口座振替)
…電話、電気、ガス、水道、NHK受信料
・家賃など定期的な支払いの自動引落し
・税金、社会保険料の支払い
・住宅ローンの返済、クレジット代金の引落し
・満期がきた定期預金などの資金の振替え
化することもあります。
いろいろな呼び名があって、その預金商品のことがわからないときは、商
品内容を確認して、それがどの種類かを特定することが重要です。種類を確
認するには、まず期間の定めの有無に注目すると、流動性預金か定期性預金
かの区別がつきます。
なお、資金の決済には当座預金も使え、小切手や手形を振出せる点
や利息がつかない点が普通預金とは異なります。
CD・ATMの利用
預金を引出すときには、現金自動支払機(CD)や現金自動預払機(A
口座の開設
TM)を利用するのが一般的です。CD・ATMで入金、引出しをす
銀行と取引を始めるときには、普通預金口座を開設します。普通預
るときには、キャッシュカード(または預金通帳)が必要です。一方、
金口座は、銀行でのあらゆる取引で中核となる受け皿機能を持ってい
窓口で直接現金を引出そうとすると、本人が預金通帳と印鑑を持って
ます。口座の開設には、印鑑と本人確認のための書類(運転免許証、
窓口に行き、そこで伝票に記入する必要があります。
健康保険証、パスポート、住民票の写しなど本人であることが確認で
ATMの機能としては、基本的に預入れ・引出し・振込み・通帳記
きる書類)が必要です。また、平成25年4月から、マネーローンダリ
入・残高照会などがあります。土日・祝日は、預入れ・振込み・通帳
ング・テロ資金供与対策への国際的要請を受けて法令が強化され、口
記入ができない場合もあります。CD・ATMは各金融機関の店頭の
座開設の際には、本人確認書類の提示に加えて職業や取引の目的の確
ほか、コンビニエンスストアや駅構内にも設置されており、利用でき
(注)
認が必要となりました。
(注)10万円を超える現金での振込みなどの取引でも、同様の事情から本人確認が必要
となっています。
決済資金の出し入れ
る場所や時間帯が広がってきています。
なお、ATMを利用した取引の手数料は、利用者がその金融機関に
口座をもっているか、また、利用する時間帯・利用先がどこかなどに
よっても異なっています。
普通預金が提供する機能は、日々の資金のやり取りの受け皿機能で
す。普通預金には、支払いや受取りなど資金のやり取りを完結させる
決済機能があります。具体的な資金のやり取りとしては、主に次のよ
うな取引が普通預金口座を利用して行われます。
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● 預貯金
● 預貯金
総合口座
●返済 借入額の返済は、普通預金口座に入金すれば、自動的に返済
にあてられ、借入残高がなくなるまで返済が続けられます。
総合口座には、普通預金残高よりも多くのお金が必要になったとき
に、自動的に定期性預金・国債・金融債などを担保として融資(当座
貸越)が受けられるサービスがあります。総合口座の申込みは、普通
取引明細通知サービス
預金口座を開設するときに一緒に申込むのが一般的です。
銀行との取引内容を定期的に通知するサービスがあります。普通預
普通預金口座を公共料金の引落し口座として使っていると、普通預
金の取引明細をみれば、毎月の家計の資金取引がおおまかにわかりま
金の残高が底をついて、引落し停止となることがあるかもしれません。
す。銀行の中には、そうした取引明細を家計簿風にアレンジして一覧
こうした場合に、総合口座を設定しておけば、その銀行に持っている
できるサービスを提供している先もあります。
定期性預金などを担保にして、一定限度の範囲で融資が受けられます。
仮に、普通預金と定期性預金を別々に持っていたならば、こうした
場合には定期性預金を解約しなければならなくなりますが、総合口座
の契約をあらかじめ行っていれば自動融資によってその必要はなくな
ります。
残高や利用状況に応じて、金利・振込手数料の優遇、ATM引出し
手数料無料などのサービスが受けられるタイプもあります。
●自動融資の設定 担保となる定期性預金(スーパー定期預金、期日
指定定期預金、変動金利定期預金など)、保護預り公共債(国債、政府
保証債、地方債など)あるいは投資信託をセットしておきます。仮に、
電子マネー
電子マネーとは、専用入金端末機やインターネットなどを通じて、あらか
じめICカードに金銭的価値をデータとして入れ、そのカードをコンビニエ
ンスストアなどの支払端末機にかざすことで買物ができたり、駅の改札口の
機械にかざすことで鉄道料金の決済ができたりするものです。また最近で
は、一部の機種の携帯電話の中にそのデータを格納し、
携帯電話を電子マネー
として買物をすることもできるようになってきています。
さらに、電子マネー機能を、銀行などのICキャッシュカードや航空会社
のマイレージ・サービスカードに搭載した一体型ICキャッシュカードが発
行されるなど、さまざまなかたちで電子マネー・サービスが提供されてきて
います。
新規取引を始めるときに担保になる預金などがなくても、普通預金残
高から月々一定額をスーパー定期などに自動的に積立てる契約を結ん
でおけば、普通預金残高が不足した場合には、積立てたスーパー定期
の残高に応じて自動融資されます。
●融資の範囲 定期性預金を担保としたときの融資範囲は、一般には、
その残高の90%以内または各金融機関が定める最高限度額のうちいず
れか少ない金額までです。公共債(割引国債、利付国債、政府保証債、
公募地方債)の場合は、一般には、額面金額の80%以内(割引国債の場
合には額面金額の60%以内)または各金融機関が定める最高限度額(一
般的には200万円)のうちいずれか少ない金額までです。
●貸出金利 貸出金利は各金融機関が任意に設定します。スーパー定
期を担保とする場合は、スーパー定期の利率に年0.5%上乗せした金利
を貸出金利としているところが多いようです。
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偽造・盗難キャッシュカードによる預金の不正な払戻し
キャッシュカード(以下
「カード」
)の磁気データ等をATM等に取り付けた
装置
(スキマー)で盗み取って偽造したカードや、盗難したカードを用いて、
不正に預金を払戻す犯罪が発生しています。カードは安全に保管していただ
き、ATMを利用する際は、周辺(特にATMカード挿入口)の不審な機器に注
意してください。
カードの暗証番号は、他の暗証番号等と異なる番号にすることや、生年月
日など犯人に推測されやすい番号にしないことも重要です。偽造カードの防
止対策には、
「ICキャッシュカード」
(後述)
を利用することも有効です。
なお、万一カードを偽造されたり盗難されたりして預金を払戻されても、
個人預金者については、顧客自身に故意または重大な過失がない限り、その
損害を原則として金融機関が負担するという制度があります
(いわゆる
「預金
者保護法」
)
。被害に遭ったら、すぐに取引金融機関に相談しましょう。
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キャッシュカードの偽造防止対策として、
「ICキャッシュカード」の発行
が増加してきています。ICキャッシュカードは、従来の磁気カードに半導
体のチップを搭載したもので、いわば超小型のコンピュータ付きカードとい
えます。カード上でデータの暗号化や復号などが可能なことから、偽造防止
に効果が高いとされています。
わが国では、全国銀行協会が
「全銀協ICキャッシュカード標準仕様」を制
定しており、各金融機関ではこれに準拠した
「ICキャッシュカード」を発行
しています。
チップに格納できる情報量が大きいので、「ICキャッシュカード」に電子マ
ネーやポイントサービス機能を付加したり、またデータの保護にも優れている
ことから「生体認証」のための預金者データを格納しているものもあります。
● 預貯金
● 預貯金
ICキャッシュカード
TMサービスの時間外利用料無料や振込手数料割引きなどのメリット
がある場合もあります。
インターネット取引サービスを提供する銀行の中には、専用のイン
ターネット支店を持っている場合もあります。インターネット支店
は、実在する店舗の口座のオプションサービスではなく、銀行の「支店」
なので、預金者は、そのインターネット支店に新たに口座を開き、各
種取引を行います。口座開設により実在する店舗での取引に比べて手
数料や金利が優遇されるメリットがあります。
また、インターネット専業銀行(ネットバンク)もあります。イン
ターネット専業銀行は店舗を持たないため、口座への入出金には提携
する銀行や郵便局、コンビニなどのATMを利用します。店舗やAT
Mを持たない分、人件費、建物代、ATMの設置・管理などのコスト
がかかりません。このため手数料が安く、預金金利が高く設定されて
銀行に行かずに取引できるサービス
います。ただし、クレジットカードや公共料金の引き落とし口座には
使えない場合があるので注意して下さい。
最近では銀行に直接行かなくても取引ができるサービスが増えてい
さらに、携帯電話・スマートフォンの画面で残高照会や入出金照会、
ます。
振込みや振替えなどができるサービス(モバイルバンキング)も増えて
メールオーダー・サービスは、銀行の店頭に置いてある申込書等
きています。
に記入して、郵送すれば各種取引の契約が結べます。日中は忙しくて
なお、ネット銀行によっては1〜2週間満期の定期預金を扱ってい
銀行に行けない人でも、閉店後のATMコーナーなどに置いてある申
る例もありますが、中途解約や最低預入金額制限を設けている場合も
込書や、銀行のホームページで請求した申込書を郵送することで申込
あるので、留意が必要です。
むことができます。
テレホンバンキングは、すでに口座を持っている場合に、電話で
振込み・振替えなどの取引や残高照会、住所変更手続きができるサー
ビスです。店舗が閉まっていても、フリーダイヤルの連絡先に電話し
て取引を行うことができます。一部の銀行では、電話を24時間受付け
ていたり、自動音声にしたがって申込めるところもあります。
インターネットバンキングは、インターネットを使って、店舗に
行かなくても、店舗の営業時間外でも各種取引ができるサービスで、
現在では多くの銀行で取扱っています。実在する店舗に口座を持って
いる預金者は、オプションとしてインターネット取引サービスを申し
込むことになります。口座維持手数料が必要な場合もありますが、A
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インターネットバンキングでは、IDやパスワード等によってセキュリティ
対策が行われていますが、パスワードが盗まれること等により、預金が不正に
払戻される被害が出ています。そこで次の点にご注意ください。
・スパイウェアに注意――スパイウェアとは、パソコンに保存されている
情報やキーボードで入力した情報等をパソコンの利用者本人が気づかない
うちにインターネット経由で第三者に送信してしまうソフトのことです。
利子と税金
預貯金の利子には原則として一律20.315%
(所得税15%、復興特別所
得税0.315%、住民税5%)
の源泉分離課税が適用されます。このうち復
興特別所得税は、平成25年1月1日から平成49年12月31日までかかり
ます。ただし、障がい者などについては、一定の手続きをすれば利子
非課税制度が適用され、元本350万円までの利子については税金がかか
また、パスワードや乱数表等の入力を促すポップアップ画面等を不正に
らなくなります
(外貨預金の利子を除きます)
。
表示させて、入力された情報を盗むソフトなどによる被害も発生していま
外貨預金にかかる為替差益は、原則、雑所得として確定申告による
す。これらの被害を防ぐには、パソコンの基本ソフト
(OS)
やセキュリティ
ソフト等を最新の状態に更新して利用するとともに、取引金融機関の注意
喚起を確認してパスワード等の入力を慎重に行うことが重要です。
・金融機関を装ったフィッシング詐欺に注意――金融機関を装って電子
メールを送信するなどして、インターネットバンキング利用者を偽のホーム
ページに誘導してIDやパスワードを入力させて盗む、フィッシング詐欺も
総合課税となり、為替差損は、雑所得から引くことができます。なお、
年収2,000万円以下の給与所得者で、給与以外の所得がこの為替差益を
含めて年間20万円以下の場合は、確定申告は不要となります。
定期積金の給付補てん金(預貯金の利子に相当する部分)や、懸賞金
付き定期預金の懸賞部分も、通常の利子と同様に源泉分離課税が適用
発生しています。銀行がメールでインターネットバンキングのパスワードな
されますが、これらは厳密には利子ではないため、障がい者などに対
どの入力を求めることはありません。怪しいと感じたら、まずは取引金融機
する非課税制度を適用することはできません。
関に相談してください。
・振込限度額の設定、セキュリティ対策の強化――万一パスワードなど
が盗まれた場合でも、被害額を一定金額以下に抑えるため、金融機関では
インターネットバンキングの1回当たりおよび1日当たりの振込限度額を設
定していることがあります。金融機関が指定する上限額以内で、必要な範
囲内でできるだけ低く設定するようにしてください。また、インターネット
バンキングによる預金の不正な払戻しを防ぐために、金融機関でもさまざ
まなセキュリティ対策を提供していますので、積極的に利用してください。
なお、全国銀行協会では、インターネットバンキングによる預金等の不正
払戻しについて、個人預金者については、銀行に過失がない場合でも、顧客
自身の責任によらない被害については、原則、補償を行うとの申し合わせを行っ
ています。一方、法人預金者に対する補償は、個別行の経営判断として検討
することを申し合わせています。いずれの場合も、万が一、被害に遭ったら、
すぐに取引金融機関に相談しましょう。
● 預貯金
● 預貯金
インターネットバンキング利用上の注意点
普通預金
●特徴 期間の定めがなく、いつでも預入れ、引出しが自由にできる
預金です。公共料金などの自動引落しや、給与・年金の自動振込み、
配当金などの自動受取りなどの機能が利用できる点で、日常生活に必
要なお金を財布代わりにできる利便性を持っています。
●他のサービスとの組合せ 定期性預金などを担保にして、総合口座
とすれば、自動融資を受けることもできます。また、貯蓄預金との間
で、一定期間ごとに一定額の資金を自動的に振替えるスウィングサー
ビスを組むこともできます。
●類似商品 通常貯金
●預金保険制度の適用 (農水産業協同組合貯金保険制度を含む、以
下同様)定額保護の適用対象です。
<留意事項>
●預入れ、引出し 預入れ、引出しとも1円単位でいくらでも自由で
す。預入れは、現金のほかに手形、小切手、配当金領収証、債券利札
110
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動的に資金を移し、ローンの支払日には、反対に貯蓄預金から普通預
引出しは、キャッシュカードによってCD・ATMから引出す方法
金に資金を移すことができます。ただし、スウィングのたびに手数料
のほか、通帳と届出の印鑑により店頭で手続きをする方法があります。
を徴収される場合がありますので、その点は留意が必要です。
●利率 各金融機関が任意に設定します。適用金利は固定されておら
●対象 貯蓄預金は、個人向けの商品です。
ず、金利改定があるたびに適用される金利が変わります。
●預金保険制度の適用 定額保護の適用対象です。
●利子のつく単位 1円、100円などの単位があります。残高1,000円
<留意事項>
以上の場合に限って利子がつくのが一般的です。また、利子は半年ご
●預入れ、引出し 資金の出入れは、基本的に普通預金と同様にいつ
と(通常、2月と8月または3月と9月)に計算されて、元金に組入れ
でもできますが、普通預金と違って、公共料金・クレジット代金など
られるのが一般的です。なお、利子は通常過去半年間の毎日の預金残
の自動支払いや給与・年金・配当金などの自動受取りの口座として利
高に対してつくかたちで計算されます。
用することはできません。
●手数料の優遇 一部の銀行では、預金の残高や給与振込みの設定等
●最低預入金額 1円から預入れできますが、定められた残高(10万
の取引状況に応じて、ATMの時間外手数料や振込手数料を一定回数
円が一般的)に達しなければ、普通預金の利率が適用されます。
まで無料とするといった優遇を行っています。
●利率 通常、適用金利は固定されておらず、金利改定があるたびに適
◎無利息普通預金
用される金利が変わります。金利の適用方法は、金融機関ごとにかなり
預金保険制度により全額保護される預金であり、無利息で要求払い
ばらつきがあります。残高を増やしていくと適用金利が高くなる金額階
(預金者の要求でいつでも払戻しができること)
、決済サービス
(引落し
層別金利のタイプがあるほか、10万円型・30万円型など定められた基準
● 預貯金
● 預貯金
などでもできます。
などができる)
を提供できること、という3条件を満たす普通預金です。
残高を超えていればそれぞれの適用金利が付されるタイプもあります。
一般の普通預金と同様に給与や年金の受取り、各種振替えができます。
ただし、金利の情勢によっては、差がつかないこともあります。
◎ボランティア型の普通預金
●手数料 各金融機関が定める回数を超えて払戻しを行ったり、普通
一部の銀行では、普通預金の利息を福祉団体等に自動的に寄附する
預金とのスウィングを利用する場合に、手数料がかかるものと手数料
預金を取扱っています。この預金は、年2回の利息支払いのときに、
がかからないものがあります。
税引後利息の一定割合(例えば50%)を指定された福祉団体等に自動的
◎金額階層別金利とタイプ別金利
に寄附する仕組みになっています。
貯蓄預金の適用金利には、主に2つの種類があります。このほか、
貯蓄預金
基準金額ごとに金額階層別金利を設けた複合タイプのものもあります。
■金額階層別金利 ■タイプ別金利
●特徴 一定額以上の残高を保っていれば、一般的に普通預金と比べ
て高い金利が付されます。また、30万円、50万円、100万円、300万円、
1,000万円と残高が増えていけば、適用される利率がだんだんと高く
なっていくものがあります。
●他のサービスとの組合せ 普通預金との間で一定期間ごとに自動的
に資金を移動させるスウィングサービスを組むことができます。これ
を利用すれば、給料日にはより金利の高い貯蓄預金に普通預金から自
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●特徴 この預金は、法律で利息をつけることが禁止されています。
● 預貯金
● 預貯金
当座預金
ると金利が高くなる仕組みになっています。
ただし、適用金利は固定されておらず、金利改定があるたび金利が
変わります。
主として、小切手や手形の支払資金となるもので、主に企業が営業資
金の決済口座として使っています。
●当座貸越 当座貸越契約を結んでおけば、一定限度まで融資を受け
納税準備預金
ることができます。
●特徴 納税にあてる資金に限って預入れるための預金です。一般的
●利率 無利息です。
に、利率が普通預金よりも高く設定され、しかも、利息は非課税となっ
●預金保険制度の適用 適用対象です(全額保護対象)。
ています。引出しは原則として納税にあてるときに限りますが、納税
目的以外の引出しを行うと課税扱いとなります。
通知預金
●最低預入金額 1円が一般的。
●利率 各金融機関が任意に設定します。適用金利は金利改定に伴
●特徴 資金を短期間だけ預けるときに、運用することができます。
い随時変動します。利息のつく単位残高が1,000円以上の場合に限り、
引出しは、通常、預入後最低7日間は据置く必要がありますが、引出
100円単位で利息がつくのが一般的です。
すときには少なくとも2日前には通知することになっています。払出
●預金保険制度の適用 適用対象です。
しは、原則として解約時に一括して払戻します。用途としては、近い
<留意事項>
将来にその資金を引出すことが決まっていて、その時期まで資金を運
●利息にかかる税金 納税のための特別な預金である性格上、非課
用したいときに使います。企業が土地代金や売上代金などまとまった
税扱いの措置がとられています。納税目的以外の引出しがあった場合
資金を、運用期間が決まるまでしばらくの間だけ預けておくときに使
は、その引出日の属する利息計算期間中の利息については、20.315%
うことがあります。
の源泉分離課税が適用されます。
●最低預入金額 金融機関によって違います。
◎納税貯蓄組合預金
●預金保険制度の適用 適用対象です。
納税貯蓄組合法に基づき、納税貯蓄組合の組合員のみが預入れでき
<留意事項>
る預金です。納税目的以外の引出しもできることになっていますが、
●利率 各金融機関が任意に設定します。利息は日割計算され、引出
実質的には一般の納税準備預金とほとんど異なりません。
しの際に支払われます。適用金利は、金利改定に伴い随時変動します。
引出しに制約がある分、金利が優遇されることもありますが、据置期
間内に解約した場合には、普通預金の利率になります。
◎据置期間1か月の通知預金
通常の通知預金は据置期間が7日間ですが、この据置期間を1か月
と長めにとって、金利を普通預金よりも優遇した通知預金があります。
この通知預金は、最低預入金額が50万円以上で、預入金額が大きくな
114
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● 預貯金
● 預貯金
スーパー定期預金
利率により計算された利息とともに払い戻されます。ただし、中間利
息を受取っている場合には、すでに受取った利息と中途解約利息の差
●特徴 満期期間の定めがある預金です。まとまった資金を一括して
額を精算します。場合によっては、中途解約利息が、受取利息を上回っ
預けて、満期まで運用し続けることを前提としています。満期期間は、
ていて、その差額を支払わなければならないこともあります。
1か月から10年までさまざまな期間を選択できます。預入金額が300
万円未満のものを「スーパー定期」といい、300万円以上のものを「スー
パー定期300」というのが一般的です。
新しいタイプの定期性預金
●最低預入金額 1円が一般的。
最近、預金商品の多様化が進んでいます。特に、スーパー定期の商
●預入期間 1か月以上10年以内の間で設定されているのが一般的で
品性にさまざまな機能やサービスを付けた預金商品が数多く登場して
す。たとえば、満期期間を、1か月、2か月、3か月、6か月、1年、
います。以下では、これらの金融商品の概要について、やや詳しく解
2年、3年、4年、5年、7年、10年といったバリエーションを設定
説していきます。
する銀行もあります。このように満期期間をあらかじめ設定する定型
◎利息分割受取型定期預金
方式のほか、満期日を1か月超10年未満の範囲内で預金者が指定する
利息分割受取型定期預金は、預入金額に応じてスーパー定期、スー
満期日指定方式があります。
パー定期300や大口定期預金(1,000万円以上)の定期預金として預入れ
●自動継続 通常、満期になれば解約されて普通預金に自動的に移し
ることができます。預金者は、毎月、隔月など指定した期間ごとに利
替えられますが、自動継続にする手続きをとれば契約が自動的に更新
息を受取ることができますが、受取間隔は金融機関によって異なりま
され、延長されます。自動継続には、元本だけを継続にして利息部分
す。
を受取る方式と、元本に利息を組入れるかたちで継続する方式の2と
●預入期間 1年以上1年刻みで10年までの固定金利型が多いようで
おりがあります。
すが、この他1年未満(1か月、3か月、6か月)のものもあります。
●利率 預入時の金利が満期日まで適用される固定金利商品です。各
●受取間隔 固定金利型の場合は、1か月、2か月、3か月、6か月
金融機関が任意に設定しています。個人に限って半年複利方式の取扱
のうちから、選択できますが、預金者が指定する期間(1か月、2か月、
いもあります。スーパー定期とスーパー定期300では、スーパー定期
3か月、6か月毎など)に普通預金口座等へ振り替えることができま
300のほうが高く設定されています。ただし、金利の情勢によっては
す。
差がつかないこともあります。
●受取方法 普通預金または貯蓄預金口座への振込みとするものが多
●利息の受取り 預入期間が2年未満の場合は、満期日に一括して受
いようです。
取り、預入期間が2年以上の場合は、預入日から1年毎の中間利払日
<留意事項>
と満期日に分割して受取るのが一般的です。
●中途解約 スーパー定期など預入れた定期預金の中途解約利率に
●預金保険制度の適用 適用対象です。
より計算された利息とともに払い戻されます。ただし、中間利息を受
●類似商品 定期貯金
取っている場合には、すでに受取った利息と中途解約利息の差額を精
<留意事項>
算します。場合によっては、中途解約利息が受取り利息を上回ってい
●中途解約 やむを得ない事情で解約する場合は、中途解約利率が適
て、その差額を支払わなければならないこともあります。
用されます。預入日から解約日の前日までの日数について、中途解約
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● 預貯金
● 預貯金
金融機関の種類…普通銀行
金融機関の種類…信用金庫
普通銀行
(あるいは単に銀行)
は、その規模や営業基盤、設立経緯によって
信用金庫は、昭和26年に施行された信用金庫法に基づく、中小企業者や個
分類され、
主に都市銀行、
地方銀行、
第二地方銀行協会加盟行に区分されます。
人を対象とした会員制度による協同組織の金融機関です。信用金庫の業務内
都市銀行は大都市に営業基盤を置き、全国に多数の店舗を有する全国的規模
容は、預金・貸出業務が中心であるという点では普通銀行と何ら変わりませ
の銀行です。地方銀行や第二地方銀行協会加盟行は、全国の大・中都市に本
ん。ただ、貸出業務が原則として会員に対するものに限られているほか、地
店を有し、本店所在地の都道府県内を主たる営業基盤とする銀行です。この
域金融機関として事業区域が制限されている点などが銀行と異なっています。
ほかに、インターネットを主な営業基盤とする銀行や、外国銀行の在日支店
もあります。
■部分解約可能型定期預金のイメージ
◎部分解約可能型定期預金
つ
一定期間経過後に、元本の一部を解約することができる定期預金で、
スーパー定期やスーパー定期300の定期預金等として預入れることが
できます。一般的な定期預金は期限前に解約した場合は、(必要な金
額の多少を問わず)全額解約となりましたが、この預金は、一部解約
後の元本はそのまま存続し、満期まで残っている元本に対して利息が
つ
支払われます。
●据置期間 預入後据置期間(6か月や1年)経過後はいつでも一部解
約が可能となります(ただし、一部解約後の残高が10万円を下回る場
合には、一部解約ができない場合があります。また、据置期間内の解
100
20
約は全額解約となり、この期間に応じた解約利率が適用されます)。
●解約利率 一部解約の部分については、期間前解約利率が適用され
利息が支払われます。ただし、期間前解約利率は約定利率を下回りま
20
100
100
すので、解約せずに満期を迎えた場合よりもトータルの利息は少なく
なります。
●解約単位 1回の解約は1万円以上とするものが一般的です。
●解約制限 取扱い金融機関によって、解約後の残高に制限を設けて
◎据置型定期預金
いる(一部解約後の残高が10万円を下回る場合には、全額中途解約と
この定期預金は、(1)最短1か月の据置期間経過後、最長預入期間
なるなど)場合があります。
10年までの間、一部あるいは全部の引出しが手数料なしで自由にでき、
●預入期間 3年以上1年刻みで5年までとする金融機関が多いよう
かつ、
(2)預入期間が長くなるほど高い金利がつく、という特徴を持っ
です。
ています。
●預入金額 1円以上を預入金額としている金融機関もありますが、
118
119
●利率 「何%」というように期間別の金利段階が設けられ、預入時点
● 預貯金
● 預貯金
1万円以上1,000万円未満(1円単位)と定めているところもあります。
◎年金受給者向けの金利優遇サービス付き定期預金
年金受給者などを対象として、スーパー定期の店頭表示金利に金利
の金利段階が適用されます(固定金利型)。利息計算は通常半年複利で
を上乗せするサービスの付いた預金です。
す。なお、預入金額300万円未満・300万円以上で金利格差が付けられ
●対象 国民年金・厚生年金・共済年金等の年金受給者のうち、その
るのが一般的です。また、一時解約後の残高が300万円未満となった
金融機関で年金を受取る人。制度上、公的年金の受給資格を持たない
場合には、一部解約した金額部分とそれ以外の金額に対して異なる利
65歳以上の在日外国人の方を対象とする金融機関もあります。
率が適用されます。
●利率 店頭表示金利への上乗せ金利は、0.1%〜0.2%ぐらいの幅が
●据置期間 預入後6か月間とするものが多いようです。この据置期
ありますが、中には0.5%といったものもあります。継続の場合には店
間経過後は引出すまでの期間に応じた利息(半年複利で計算)が支払わ
頭表示金利に戻るのが普通です。
れます。
<留意事項>
●預入期間 取扱い金融機関によって異なりますが、6か月以上で5
●制限 取扱い期間が限定されるのが一般的です。期間は1年以内
年を最長とするものが多いようです。
で、自動継続はないのが一般的ですが、利払継続とか元金継続できる
ものもあります。上限金額は100万円以内、200万円以内とするものか
ら、中には1,000万円まで預入れ可能としている金融機関もあります。
■据置型定期預金のイメージ
つ
また、預入先は、年金受取口座のある1店舗のみとなっています。
◎懸賞金・懸賞賞品付き定期預金
金融機関では、定期性預金に懸賞金や懸賞賞品を付けるサービス
を実施しています(定期性預金以外の預金に付けたものもあるようで
す)。懸賞の内容も懸賞金だけでなく、地域の特産物や旅行券など多
種多彩です。ただし、懸賞賞品の内容や仕組みは金融機関によってさ
まざまなので、詳しくは各金融機関の店頭で尋ねるのがよいでしょう。
●仕組み 一般的には、預けたときに懸賞金や懸賞賞品の当たる抽選
券が配られたり抽選権が付与されます。その後、指定された抽選日に
当選者が決まり、そこで当選した人には懸賞金などが送付されるもの
が多いようです。
●条件 定期預金や貯蓄預金などの対象商品の新規預入れ、増額預入
金融機関の種類…信用組合
信用組合は、昭和24年の中小企業等協同組合法を根拠法とする中小企業者
や勤労者などの協同組合組織の相互扶助的な金融機関です。このため、その
自立性が尊重される一方、業務は原則として組合員に対するものに限定され
れをすればもらえるとするものが多いようです。
●懸賞賞品 現金のほか、ギフト券、商品券、旅行券などの金券、テ
レビ・ビデオなどの商品、金利上乗せサービスなどがあります。なお、
懸賞賞品の金額は、10万円(課税後約8万円)が上限となっています。
ています。
120
121
仕組預金は、一般の預金にはみられない特別の「仕組み」をデリバ
● 預貯金
● 預貯金
◎仕組預金
大口定期預金
ティブを利用して作っている金融商品です。円貨で預入れる定期預金
●特徴 最低預入金額が1,000万円以上の大口の預金です。満期期間
以外に、外貨で預入れるものや、為替相場の成り行きで満期日に円貨
は、スーパー定期同様、1か月から10年までさまざまな期間を選択で
あるいは外貨で受取るものや預入期間が延長されるものなどがありま
きます。
す。集められた預金はデリバティブ取引などで運用され、その運用益
●最低預入金額 1,000万円以上1円単位。途中解約などによって、こ
が預金利息にあてられます。一般的に高金利ですが、中途解約が原則
の金額を割込むと、スーパー定期並みの金利になることがあります。
としてできないという制約もあることから、商品内容をきちんと確認
●預入期間 1か月以上10年以内の間で設定されているのが一般的で
し、納得したうえで預入することが必要です。
す。満期を、1か月、2か月、3か月、6か月、1年、2年、3年、4年、
●取扱い金融機関 一部の金融機関で取扱っています。
5年、7年、10年といったバリエーションで設定する銀行もあります。
●最低預入金額 50万円以上とか100万円以上という場合が多いよう
スーパー定期と同様に満期期間の設定は、定型方式と満期日指定方式
ですが、中には300万円以上というものもあります。
があります。
●預入期間 取扱い商品により異なりますが、期間延長(短縮)特約付
●利率 適用金利は、預入時の金利が満期日まで適用される固定金利
預金については、概ね3年〜10年の間で設定され、金融機関の判断に
商品です。各金融機関が任意に設定し、店頭に表示します。
より預入期間が延長(短縮)されることがあります。
●預金保険制度の適用 適用対象です。
●利率 各金融機関が任意に設定します。
●預金保険制度の適用 原則、適用対象です。ただし、外貨建の場合
など商品によっては適用対象外となる場合があります。また利息等の
一部分が対象外となります。したがって、商品内容に注意することが
●特徴 通常の定期預金は、預入時に元金を一括して払込みますが、
必要です。
積立定期預金は、毎月、普通預金口座から振替えることによって一定
<留意事項>
額の元金を定期的に積立てます。進学、旅行、住宅購入などのはっき
●中途解約 原則としてできません。やむを得ず中途換金に応じる場
りした貯蓄の目標があるときには、積立定期預金でまとまった資金を
合であっても、解約に係る諸費用を預金者が負担する結果、大きく元
積立てるのが効率的です。
本割れする可能性があります。
●振替金額 1,000円、5,000円、1万円等金融機関により異なります。
期間延長特約付き定期預金とは
仕組預金の一種です。一般の定期預金より高めの利率で、当初の預入期間
が決まっています。しかし期間の終わり近くになり、銀行の判断で期間延長
が決定された場合、預金の引き出しは、その延長期間の最後になってしまい
ます。期間延長は預金者ではなく銀行が決める点に注意してください。
また通常の定期預金は、やむをえず中途解約する場合は、中途解約利率が
適用されて解約可能となりますが、期間延長特約付きの預金の場合は中途解
約できません。この預金は、例えば3年後の教育資金など利用時期の決まっ
た資金の預入れには向いていません。
122
積立定期預金
自動振替のほかに、ATMから入金して追加的に積立てることもでき
ます。
●預入期間 契約期間(積立期間+据置期間)は、6か月以上5年以内
が一般的です。積立期間終了後は、積立額を一定期間据置き、据置期
間を経過した日が満期日となります。
注)契約期間を設定するもの(満期型)以外に、契約期間を設定しないもの(エンドレス
型)、積立分を分割して受取るもの(年金型)もあります。
●利率 各金融機関が任意に設定します。金利は預入れたときに確定
123
まですが、大別して、掛金の決定方式には、満期日に受取る給付金額
に、満期日までの預入期間に応じた定期預金金利が適用されます。
を優先的に決めて一定の金額を積立てる目標式と、一定の掛金額を決
●預金保険制度の適用 適用対象です。
●類似商品 定期積金(スーパー積金)
● 預貯金
● 預貯金
する固定金利商品です。適用される金利は、各時点での積立金額ごと
めて積立てる定額式があります。毎回の払込み方法には、集金、普通
(当
座)
預金口座からの振替え、窓口での入金などの方法があります。
<留意事項>
●取扱い金融機関 信用金庫、信用組合、農業協同組合(JA)などで、
●最低預入金額 金融機関により異なります。
主に取扱っています。
●利子のつく単位 金融機関によって異なります。
●払込金額 毎回の掛金額は一般に1,000円以上となっています。
◎ローン金利優遇特典付き積立定期預金
●契約期間 1年〜5年の取扱いが中心となっています。
この預金に預けていて一定条件を満たせば、その金融機関で各種
●利回り 契約時の利回りが満期日まで適用される固定金利で、各金
ローンを利用する際に、ローン金利を優遇する(通常よりも金利が低
融機関が任意に設定します。
くなる)など特典を付しています。ポイント・サービスの一環、ある
●預金保険制度の適用 適用対象です。
いはその類似のものとして取扱われることもあるようです。
●類似商品 積立定期預金(満期型)
積立期間は、毎月一定額以上の積立てを一定期間継続するのが一般
的です。あわせて、「ローン利用時点でこの預金の残高が一定額以上
に達している」、「給与振込みや年金受取りなど自動入金、公共料金な
期日指定定期預金
ど自動支払いといった取引を行っている」などの条件が加えられてい
●特徴 預入時に満期日を定めるのではなく、預入後に満期期日を指
る場合もあります。
定して引出しができる定期預金です。ただし、預入後、1年間は据置
なお、普通の定期預金など積立方式以外のものでも、こうした特典
期間があります。据置期間経過後に、引出し希望日(満期日)を指定す
の利用が可能となる場合があります。
ることにより引出しができます。利息は1年ごとの複利計算方式です
から、長く預けるほど有利です。
金融機関の種類…漁業協同組合・信用漁業協同組合連合会(JF)
漁業協同組合
(愛称:JF)
、信用漁業協同組合連合会
(信漁連)
は、昭和23
年の水産業協同組合法に基づき漁業生産組合、水産加工業協同組合とともに
設けられました。組合員を主体に貯金の受入れおよび貸出しのほか、漁業資
金貸出しや、組合員の生活資金貸出しなど特色ある幅広い業務を展開してい
ます。
定期積金(スーパー積金)
●特徴 積立期間を決めて定期的に掛金を払込み、進学、旅行、住宅
購入などの目的貯蓄として、満期日にまとまった給付金を受取る商品で
す。定期積金では掛金累計額と給付金額との差額が預金の利息に相当
し、これを給付補てん金といいます。契約内容は金融機関によりさまざ
124
●最低預入金額 1円が一般的です。
●預入期間 最長預入期日は3年以内が一般的です。1年間の据置期
間経過後、3年まで任意の日を満期日として指定(1か月前までに通
知が必要な金融機関もある)して、元金の一部または全部について引
出せます。
●利率 適用金利は、預入時の金利が満期まで適用される固定金利商
品です。各金融機関が任意に設定します。また、利息は預入期間に応
じて1年複利で計算され、満期日に一括して支払われます。
●利子のつく単位 1円が一般的です。
●預金保険制度の適用 適用対象です。
<留意事項>
●中途解約 据置期間内は引出せないのが原則ですが、やむを得ず中
125
ル、ニュージーランドドル、スイスフランなどがあります。
●利率 通貨によって、利率は異なります。預入金額が大きくなれば、
変動金利定期預金
さらに優遇金利を上乗せする商品もあります。なお、金利上乗せを期
間限定でつける金融機関もあります。
●特徴 適用金利が一定期間ごと(6か月が多い)に変更されます。
●預入期間 1か月、3か月、6か月、1年など短期間が一般的です。
スーパー定期や大口定期預金などのように、預入れた時点の金利がそ
●自動継続 満期期間が到来した時点で、自動的に同じ預入期間で継
のまま満期日まで適用される固定金利とは違います。変動金利定期預
続できるものもあります。自動継続には、利息を換金して元本だけを
金は、満期までの期間中に、金利が上昇すれば、固定金利の商品より
継続する方法と、元利とも継続する方法の2つを選択できます。
も有利に運用することができますが、反対に金利が低下したときには
●預金保険制度の適用 適用対象外です。
固定金利商品より不利になります。
<留意事項>
●取扱い金融機関 ほとんどの預金取扱い金融機関にありますが、取
●中途解約 中途解約は、原則としてできません。中途解約する場合
扱っていない先もあります。
には、それまでの金利が外貨普通預金の利率に引下げられることがあ
●最低預入金額 1円が一般的。
ります。ただし、為替予約ができる商品については、予約を実行した
●預入期間 1年、2年、3年(最長預入期間は金融機関によって異
時点で満期を待たなくても円建ての受取金額を確定できます。
なることがあります)。
●手数料 通貨によって異なります。預入れ・払出しでの為替手数料
●利率 各金融機関が任意に設定します。一般的に、6か月ものの
が往復でかかる(たとえば1米ドル当たり2円、通貨によってはもっ
スーパー定期などの金利を基準とし、一定期間(6か月など)ごとに、
とかかるものがあるほか、インターネット取引について別の手数料と
この基準に合わせて利率を変更するところが多いようです。なお、原
なっていることがある)のが一般的です。手数料の額によって、受取
則として単利方式ですが、個人に限り半年複利方式の取扱いもありま
金額の合計が預入金額を下回ることもあるので、預入れる前に、手数
す。
料の額は、よく確認し説明を受けましょう。
●預金保険制度の適用 適用対象です。
外貨預金(外貨建て定期預金)
●特徴 ドル、ユーロ、ポンドなどの外貨建ての定期預金です。外貨
建てであるため、為替リスクがあります。為替相場の動向次第では、
満期時に受取る外貨建ての受取金額を円に換算した金額が預入時の
円貨額を下回る場合があります。また、外貨を円に、円を外貨に両替
する際には為替手数料がかかります。
●取扱い金融機関 都市銀行、地方銀行、第二地方銀行協会加盟行、
信託銀行、信用金庫、在日外国銀行など。
●通貨 米国ドル、欧州通貨ユーロ、英国ポンド、オーストラリアド
126
127
● 預貯金
● 預貯金
途解約するときは、預入期間に応じて一定の解約利率が適用されます。
● 預貯金
● 預貯金
外貨預金と外国為替相場
■基準相場に変動がない場合でも、コスト(TTSとTTBの差)が発生
預貯金の最大の特徴は、元本保証にあることはこの章の冒頭でも述
日本円換算した場合に 元本割れ することがあり、この点、他の預貯
369円
金商品とは大きく異なります。これは、外国為替の変動に起因する為
44,261円
1,027,833円
べましたが、外貨預金の場合、外国為替相場の動向いかんによっては
替差損が原因ですが、その影響については、外貨預金に限らず、外貨
建て金融商品(外債、外貨建投資信託など)に共通する特徴です。ここ
で外国為替の持つ特性を整理すると次のとおりです。
TTS、TTBと為替手数料
外貨建て金融商品を購入する場合、もともと外貨を保有していなけ
れば、そのときどきの外国為替相場で両替をすることになります。
%
8,213.55ドル
1
369.61ドル
2.8
外国為替相場にはいくつかの種類がありますが、円と外貨の両替を
行う場合は対顧客電信売相場
(TTS)
と対顧客電信買相場
(TTB)が
用いられるのが一般的です。TTSとTTBは、
インターバンク相場(注)
などを基準に、各金融機関が為替手数料を加味して自由に決定してい
ます。
なお、為替手数料については、ドルやユーロなど通貨によって差が
あり、また銀行によっても差があります。さらに取引金額や取引内容
によって為替手数料に格差を付ける金融機関もあります。
(注)インターバンク(銀行間)相場とは、銀行など専門業者間での取引に用いられる相場
です。通常TVのニュースなどで報じられる外国為替相場はこのインターバンク相
場をさしていることが多いようです
◎TTS(対顧客電信売相場)
金融機関が外貨を売るときの為替相場です。顧客からみれば、円を
外貨に替えるときの相場です。基準となる相場に一定の為替手数料を
加えて表示されます(次ページ上図では、基準相場120.75円/ドルにプ
ラス1円/ドル)。
128
外国為替証拠金取引
(FX)
について
外国為替証拠金取引は、FX
(ForeignExchange)
と呼ばれており、一定
の証拠金を担保に外貨の売買を行う取引のことで、証拠金額の何倍
(25倍が
上限)もの取引が可能です。小額の証拠金で取引でき、高いリターンが得ら
れる場合がある半面、相場が予想と反対の方向に大きく振れた場合には、大
きな損失を被るリスクがある取引でもあります。
そのため、為替相場の価格変動リスクや流動性リスクなどのリスクを十分
認識した上で、自らの責任で適切な投資判断を行うことが必要です。また、
ロスカットといった損失管理機能を使いこなすことも求められます。
取引の仕組みが十分理解できないときは、取引しないことが大切です。外
国為替証拠金取引は金融商品取引法に規定される取引の一つで、金融商品取
引法に基づく登録を受けた業者でなければ行うことができません。登録を受
けていない者からの勧誘には十分注意すると共に、登録を受けた業者と取引
を行う場合であっても、その業者の信用力を慎重に判断し、取引内容をよく
理解することが重要です。
顧客保護と業者のリスク管理を強化する観点から、平成22年2月に業者
は預けられた証拠金を自己の財産と区分して全額金銭信託することが求めら
れました。また証拠金規制も導入されました。具体的には、個人の場合、平
成23年8月からは想定元本の4%以上の証拠金の預託が必要(証拠金の25倍
までの取引に制限)
です。
外 国 為 替 証 拠 金 取 引 の 収 益 は 一 般 に、 申 告 分 離 課 税( 税 率 は 一 律
20.315%)
となるので確定申告が必要です。
129
金融機関が外貨を買うときの為替相場です。顧客からみれば、外貨
を円に替えるときの相場です。基準となる相場に一定の為替手数料を
差引いて表示されます(前ページ上図では、基準相場120.75円/ドルか
らマイナス1円/ドル)。
● 預貯金
● 預貯金
◎TTB(対顧客電信買相場)
外貨預金の為替手数料にご注意!
円預金の低金利が続く中、外貨預金の高金利に惹かれる人も少なくありま
せん。
たとえば「ニュージーランド(NZ)ドル金利5%、為替レートは65円、為
替手数料は1ドルにつき往復5円」これはどう理解したらいいでしょうか。
仮に100万円をNZドルに換えて為替レートが変わらなければ、100万円
■基準相場の変動によって為替差益・為替差損が発生
は1年後に5万円の利息から2割* の税金を引いた4万円が上乗せされて
104万円になります。
ところが為替手数料が加わるとどうでしょうか。まず100万円をNZド
369
47,957円
40,565円
369
942,002円
1,113,665円
ルに換えると、1ドル65円+為替手数料片道2.5円=67.5円が交換レート
なので、14,815ドルになります。これに税引後4%の利息がつくので、元
利合計は15,407ドルです。
さて、これを円に換えると、為替レートが変わらないとすれば、1ドル
65円、為替手数料片道2.5円=62.5円となるので、962,937円になります。
あれ、実質4%も利息がついているのに、元の100万円に37,063円も足り
%
ない!
%
この原因は為替手数料です。「1ドルにつき往復5円の手数料」とは、1ド
1年
1年
369.61
11.4
369.61
5.8
ル65円の為替レートが変わらなければ5円÷65円×100=7.7%、つまり
実質4%の金利よりも高いのです。これでは初めから為替差益がなければ損
するということになりますね。為替手数料は銀行によって、また、外貨の種
類によっても異なるので、十分注意してください。
為替差益・為替差損、為替手数料があるため、円換算の利回りは、
外貨建てで表示された金利・利回りと一致しないのが一般的です。
130
*復興特別所得税を除く
131
● 預貯金
● 預貯金
損益分岐点の考え方
外貨建て金融商品では、金融商品自体が利益を生んでも為替差損が
その利益を上回ればトータルとして損を被るということがあります。
したがって、換金時に損も益も出ない為替相場が具体的にいくらなの
かを知ることが重要です(損も益も出ないような為替相場を損益分岐
点と呼ぶことにしましょう)。損益分岐点は、換金時の実際の為替相
場が損益分岐点よりも円高なら損を被り、円安なら益を得るというこ
とが一目でわかる目安になります。
◎損益分岐点を計算してみる
次の例で損益分岐点を計算してみましょう。預入期間6か月の米ド
ル建て定期預金で、金利は年4.50%(6か月換算2.25%)、100万円を預
けることにします。
米ドル建て定期預金で100万円を運用
預入期間6か月、金利 年4.50%
小数点第2位未満を四捨五入。
※計算例。端数計算などの違いにより、以下にしたがって
計算しても、現実の損益分岐点と異なることがあります。
①預入時点の為替相場(TTS)は121.75円/ドルでした。
100万円は、8,213.55ドルに相当します。
②8,213.55ドルを6か月間預けると、利息が184.80ドル(=8,213.55×4.50
÷100×0.5)つくことになります。ただし、利息は20%*源泉分離課
%
税なので、8割にあたる147.84ドルが受取利息です。したがって、
満期時点の受取金額は、ドル建てで8,361.39ドルとなります。
③損益分岐点は、円建ての受取金額が預入金額の100万円に一致する
為替相場(TTB)を考えると、下記のような関係になります。
り
???
この例では、受取時のTTBが119.60円/ドルなら、損も益もなく
預けた100万円が戻ってくることになるわけです。
*復興特別所得税を除く
◎円建て金額に目標を置いたときの為替相場
損益分岐点は、円建ての受取金額と円建ての預入金額が一致するよ
うに計算しましたが、③の円建て受取金額を目標とする金額に変えれ
ば、目標とする円建て金額を受取るための為替相場(TTB)を求める
ことができます。
損益分岐点と同じ例で、目標金額を105万円とすると、右図のように
計算されて、受取時のTTBが125.58円/ドルとなることがわかります。
132
133
期間の定めのないタイプの外貨建て預金です。為替相場が急に変動
しても、外貨定期預金は自由に解約できませんが、外貨普通預金はい
つでも換金できるメリットがあります。その代わりに、外貨定期預金
よりは利率が低く設定されています。
●預入期間 期限の定めはありません。円と外貨の換金のタイミング
は自由に選べます。
●円と外貨の換金 為替リスクに備えて、換金したいときに、すぐに
換金に応じてもらえるメリットを高めるために、円と外貨の換金につ
いて、インターネット取引やテレホンサービスにより行うことができ
る金融機関が増えています。これにより、店舗にわざわざ出向かなく
ても、即座に換金を完了できます。また、インターネット取引等では、
換金だけでなく、新規の口座開設や振替えができる利便性もあります。
外貨通知預金
通知預金タイプの外貨預金です。1か月間の据置期間を経過すれ
ば、自由に解約できます。
●通貨 米ドル、ユーロ
●預入金額 50万円以上から取扱います。
●適用金利 外貨普通預金よりも高い利率が設定されています。預入
金額が大きくなるほど階層別に設定された適用金利が高くなっていき
ます。
134
● 預貯金
● 預貯金
先物為替予約
外貨普通預金
先物為替予約とは、文字どおり、一定期間後に一定の外国為替相場で一定
額の取引
(「ドルを円に替える」など)を予約することです。たとえば、「3か
月後、1,000ドルを円に替える取引を行う」
ということを予約するわけです。
予約した取引に用いられる外国為替相場は、先物相場と呼ばれ、1か月後、
3か月後など、実際の取引が行われるまでの期間ごとに相場が決められてい
ます。
先物相場が100円/ドルだったとすると、3か月後のその日の外国為替
相場が110円であろうと、130円であろうと、1,000ドルは1ドル当たり
100円換算で100,000円に替えられます。つまり、外貨建て金融商品の払
出予定日(たとえば、外貨建て定期預金の満期日)
にあわせて先物為替予約を
行えば、払出当日の外国為替相場のいかんにかかわらず、予約の時点で、円
でいくら手に入るかが確定するわけです。
じき もの
なお、先物相場に対して、その場その場で行う通常の取引の相場を 直 物
相場と呼びます。
先物為替予約を行うときには、以下の点に注意しましょう。
・先物為替予約ができるかどうか、どういう条件なら可能か、といった点
を含めて、金融機関ごとに取扱いが異なっています。
・先物相場は、金融機関が決定します
(直物相場と同じく、TTSとTT
Bがあります)
。
・先物為替予約を行ったときの相場より損をすることはなくなりますが、
逆にそれ以上得をすることもありません(為替変動によるリスクはなく
なりますが、リターンもなくなります)
。
・別途契約手続きは必要ですが、手続きに関して追加的に手数料を徴収さ
れることはありません。為替予約に関する手数料は、直物相場と同様、
先物相場に為替手数料のかたちで加味されています。
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