ディスプレイ装置の表示特性に関する研究

ディスプレイ装置の表示特性に関する研究
093004 伊藤 拓哉
摂南大学 工学部 電気電子工学科 電子光機器研究室
A Study on Display Characteristics of Computer Monitors
093004 Takuya Ito
Electronic and Optical Systems Lab., Dept. of Electrical and Electronic Engineering, Setsunan Univ.
1.まえがき
を取得した。取得波形の映像信号立ち上がりから検出電圧
ディスプレイにはブラウン管(CRT)や液晶(LCD)など数
最大値の10%に到達する時間を内部回路処理時間、10%か
種類あり、描画方法や原理毎に表示遅延がある事を知り、具
ら90%に到達する時間を画面自体の応答速度とし、合計を
体的な遅延時間を正確に調べる方法を研究する事にした。
遅延時間の測定値とした。図2に測定例を示す。
2.測定法
映像ソース
映像ソース
分配器
分配器
ディスプレイ
CRT
ディスプレイ
LCD
ディスプレイ
信号抽出装置
デジタルカメラで撮影
光センサ回路
オシロスコープ
画像比較により遅延時間を算出
波形により遅延時間算出
(a)デジタルカメラによる遅延時間測定系 (b)光センサによる表示応答速度測定系
図1 ディスプレイ応答速度の測定系
2.1 デジタルカメラによる測定:
図1(a)のように、ディスプレイ分配器を通じて、CRTと
LCDに同じ信号を送り、表示画面をデジタルカメラで撮影
図2 CRTディスプレイ応答速度の実測例
してディスプレイ間の相対遅延時間を計測した。この方法
(横軸50μs/div, A:映像信号立上がり~10%,B:10%~90%)
では、遅延時間が1/60秒単位(モニタのフレームレート)での
3.実験結果
計測しか出来ず、測定値がデジタルカメラの設定にも左右
2.2節の測定方法にてCRT1台、LCD6台の遅延時間を測
される。そこで2.2節に示す入力信号とディスプレイの発光
定した。実測値はCRT:0.1ms、LCD6台平均:16.5msとなっ
を利用した方法により厳密な測定を行った。
た。よってLCDディスプレイは、入力信号に対して平均的に
2.2 光センサによる測定:
画面表示が約1フレーム(1/60秒)遅れていることが判明した。
全画面を単色の白と黒で繰り返し塗りつぶす測定用プロ
4.まとめと課題
グラムを作成し、図1(b)のように、ディスプレイ分配器を通
当初予定していたディスプレイ毎の遅延時間の計測を
じてアナログビデオ信号を抽出する測定冶具と計測ディス
行うことは出来た。今後の課題は表示原理と遅延時間の関
プレイに同じ信号を送った。ディスプレイの表示光をフォ
連性の調査。発展と展望としては伝送ケーブルの変更、計測
トトランジスタを用いた光センサ回路で検出し、抽出信号
をしていないプラズマディスプレイなどの計測が残った。
の立ち上がりをトリガとし、抽出信号とセンサ回路の波形
文 献
(1)EIZO 技術情報
http://www.eizo.co.jp/products/tech/files/2010/WP10-005.pdf