第 12 回:The Blue-Eyed Salaryman 皆さん、こんにちは。狩野です。 お

■第 12 回:The Blue-Eyed Salaryman
皆さん、こんにちは。狩野です。
お元気ですか。
The Blue-Eyed Salaryman: From World Traveller to Lifer at Mitsubishi の 12 回目
です。
今回は p.198 冒頭から p.213 切れ目(… you think.)までを読みます。
(注:ページ番号等は全て、Profile Books のペーパーバック版によるものです。)
○ あらすじ
社内では、著者は他の社員と同じように扱われます。毎週報告書も提出しなければなりませ
ん。この報告書というのが、自分の勤勉ぶりをいかにうまく書き出すことができるか、というた
めだけに存在しているようで、著者にはバカらしく感じられます。
一方、社宅にあっては、著者は他の社員と同等には見なされません。社宅では著者は唯一
の外国人なので、隣人たちのうわさ話のかっこうの餌食になっていて、何かへんなことが起き
ると、全て著者のせい、ということになっているようです。息子の Eoin が大きくなるにつれて、
著者一家も隣人たちと「つき合う」ようになり、やがて、次男の Brendan-Naoyuki も生まれ、
やんちゃな Eoin は小学校に上がります。社宅や同級生のお母さん連中は、国際結婚の子ど
もはバイリンガルだし外国に行けるし背が高いしうらやましい、と思っているようです。
ある日、著者の妻の母親が、東京から著者たちの住む尼崎まで訪ねてきます。義母を見送り
に行った際、道を聞こうと1人で警察官に話しかけると、パスポートを見せろ、と職務質問され
ます。あまりに不愉快な思いをしたので、著者はこの時のことを朝日新聞に投稿し、それが新
聞に載ります。
さて、90 年代に入って、日本が不況に見舞われる中、Mitsubishi Motors の車に欠陥が見
つかり、元社長以下最高幹部たちが業務上過失の罪で逮捕されます。日本の様々な企業が
リストラを行ない、2002 年には、ミツビシは史上最高の損失額を被り、社員は今までまかり
通っていた無駄を改善するように言われます。そしてまた人事異動があるのですが、著者に
してみれば、自分のミツビシ内のキャリアが前進しているようには思えません。国際的な仕事
ができるようなポストに移りたい、と著者は上司に談判します。しかし、結局は、今いる日本の
部署と、ヨーロッパにあるミツビシの研究所との間の連絡役という、補佐的な仕事しかもらえ
ません。
○ 解説
★p.199 切れ目の下、6-8 行目:rumour has it that he … a little backpack.
rumour has it that は「噂によると、that 以下だ」という意味です。この場合の it は that 以
下の仮目的語と言えます。with what must be his proper clothes in a little backpack
は「小さなバックパックには、(サラリーマンが着るべき)まともな服が入っていて」となります。
★p.199 下から 4 行目:non-regulation sized envelopes
「不定形サイズの封筒」
★p.200 上から 4 行目:spice up
「(話などを)おもしろくする」
★p.200 上から 6-7 行目:Amazing what foreigners get up to --- the rumour is out
so don’t try to deny it.
get up to は「…をする」なので、全体の訳はこうなります:「外人がすることって信じられない
わよね(と社宅の奥さん連中が言っている)---こういう噂が広まってしまったんだから、もは
や否定しない方がいいのだ」。
★p.201 上から 3 行目:the little fellow
著者の息子、Eoin のことです。
★p.201 2 段落目、2-3 行目:Brendan-Naoyuki, who doesn’t introduce us to any
new neighbours we had not met before
長男の Eoin はやんちゃだったので、色々しでかして隣人たちを困らせ、その結果著者夫婦は
新たに隣人たちと知り合いにならざるを得なかったのですが、次男の Brendan-Naoyuki は
おとなしい子なのか、隣人たちを困らせないので、今まで話したこともなかった隣人に謝りに
出かけていく必要もなく、だから、doesn’t introduce us to any new neighbours we had
not met before と言っているのです。
★p.201 3 段落目、3 行目:the class toughie
「クラスの暴れ者」。
★p.202 上から 9 行目:shuffles over
「すり足で音を立てながらやってくる」
★p.203 上から 4 行目:no hang-ups
hang-ups は「コンプレックス、ひっかかり」のことです。
★p.204 上から 3 行目:this alien-baiting lawman
…-baiting は「…をいじめる」、lawman は「警察官」です。
★p.205 上から 9 行目:Maybe just as well.
「その方が多分いいのだ」。
★p.205 下から 2 行目:immigrants should be kept in their place
keep <人> in <人>’s place で「(人に)つけあがらせない」という意味なので、全体の
訳は「移住者たちは身のほどをわきまえるべきなのだ」となります。
★p.206 上から 7 行目:stay within sight of Honda, Nissan and Toyota
within sight of は「...の近くに」という意味なので、全体の訳は「ホンダや日産、トヨタに遅れ
をとらない位置にい続ける」となります。
★p.206 上から 9 行目:a spate of accidents, some fatal
a spate of は「多量の」という意味。全体の訳は「数々の事故、そのうちいくつかは人の命に
かかわるような事故」となります。
★p.206 下から 5-4 行目:when a fellow Mitsubishi company is in dire straits the
old family ties come into play
in dire straits は「窮地に立たされて」、come into play は「動き始める、作用し始める」とい
う意味のイディオムです。全体の訳は「ミツビシの同族会社が窮地に陥ると、昔からのミツビ
シのグループとしての結束が動き出すのだ」となります。
★p.206 最終行-p.207 1 行目:put a few yen in the prodigal son's hat ...not to
do it again
the prodigal son は「放蕩息子(注:放蕩のかぎりを尽くして家にやっと戻ってきた息子の罪
を、親が全て許してやる、という聖書の話に由来する)」のことですが、ここでは Mitsubishi
Motors のことを指しています。hat とあるのは、通常、募金などをする場合は帽子にお金を
入れるのが慣例となっているからです。全体の訳は、以下の通り:「放蕩息子たる
Mitsubishi Motors にいくらかお金を渡してやり(手始めに 1500 億円)、二度としないように
と言う」。
★p.207 上から 4 行目:130 odd years
こういう場合の odd は「...余り」という意味です。
★p.207 切れ目の下、6-7 行目:foreign staff at the overseas offices let go and
their Japanese supervisors reassigned
let と reassigned の前にそれぞれ、are が省略されています。
★p.209 1 段落目、最終行:squeaky green
「メチャクチャな、びっくりするぐらいエコな」。
★p.209 2 段落目、冒頭-6 行目:When the next round of ... never up.
musical chairs は「イス取りゲーム」のことですが、ここでは「人事異動」のことを指していま
す。2 文目の、when I sit down は「(イス取りゲームで)座ってみると」つまり「人事異動通り
に異動してみると」となります。
★p.209 3 段落目、9-10 行目:It would make the great Yataro Iwasaki turn in his
grave---whether he was cremated or not.
「偉大なる岩崎弥太郎が草葉の陰で嘆くだろう、彼が火葬されていようがいまいが関係なく」。
turn in <人>'s grave で「草葉の陰で嘆く」ですが、turn はそもそもは「寝返りを打つ」と
いうことなので、(火葬しない西洋の感覚からすると)「故人が墓の中で寝返りを打つ」というイ
メージです。だから、whether he was cremated or not とあるのです。
★p.210 上から 6 行目:keep their nose to the ground or their desks
keep <人>'s nose to the grindstone で「身を粉にして働く」という意味ですが、ここでは、
grindstone のかわりに ground or their desks が使われています。同じような意味です。
○ extra task: 今週の「意見・感想」を投稿して下さい!
以下の質問に対する「意見・感想」を、自由に書いて投稿して下さい。
2-3 文の短いもので OK です。
今週の「お題」です:
The author says, "He [Carlos Ghosn] would never have got far in Nissan if he had
joined as an ordinary employee" (p.209). It is often said that one cannot work his
way up to the top if he joined the organization as an ordinary employee. Do you
agree with the idea?
(著者は、「彼[カルロス・ゴーン]は、もしも普通の社員として日産に入っていたら、CEO など
には絶対になれなかっただろう」(p.209)と言っています。一社員として組織に入ったら最後、
たたき上げでトップの地位まで上り詰めることはまず難しい、とはよく言われます。あなたはこ
の考え方に賛成ですか?)
締め切りは 11 月 25 日 24:00 です。
この締め切りは、一応の「目安」ですので、
遅れても全然かまいません。お待ちしています!
講師・狩野みき