徳島赤十字病院(Vol.57)

薬剤部・薬局訪問
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第57回
徳島赤十字病院
徳島赤十字病院は、昭和24年、小松島町立診療所の移管を受けて日本赤
十字社徳島県支部診療所として発足。以来、地域の基幹病院としての役割
を担ってきました。今年の5月、旧病院からほど近い現在の地に全面移転し、
外来診療機能と入院診療機能を分離・充実させるとともに、全病棟に病棟薬
局 を 設 置しました 。
そ の 経 緯と、薬 剤 師
の病棟業務の様子な
どを、薬 剤 部 部 長 の
山 川 和 宣 先 生と、副
部長の鈴江朋子先生
にお聞きしました。
積極的な病棟活動で各スタッフから厚い信頼を得ている薬剤部
病棟スタッフ間では、
病棟に薬局があって当たり前
という雰囲気だった
山川
ており、各フロアが南病棟と北病棟
に分かれています。病棟薬局は4フ
ロアとも南北病棟の中央に配置され、
病院新築時に病棟薬局を設置
1階にある薬剤部の真上に位置して
されたとのことですが、そのいきさ
います。病棟薬局には患者さん用の
つをお教えください。
ドアとスタッフ用のド
山川
平成9年に
アがあり、スタッフス
100%院外処方に移
テーションにはスタッ
行すると同時に薬剤
フ用のドアを使って行
師の全員が病棟業務
き来できるようになっ
を行うことになり、当
ています。また、薬剤
初からほぼ全て の 患
部と病棟薬局はリフト
者さんに服薬指導も
で直結しており、この
はじめました。ところ
リフトを使って緊急薬
が 病 棟 の スタッフス
を搬送しています。ス
テ ー ション には 薬 剤
薬剤部 部長
山川 和宣 先生
●病
床
数:405床
●外来患者数:1日平均約735人
●外来患者への処方箋発行枚数:1日平均333枚
院外処方箋発行率:約100%(除夜間)
●薬
1
剤
師:19名(他に事務職員3名)
〈平成18年9月現在〉
タッフ用のドアを出た
師が常駐するスペースもなく、また、
ところにリフトがあり、搬送の連絡を
カルテを見るのにも気をつかいなが
受けたら、ナースもすぐに薬剤を取
ら仕事をするという状況でした。
りに来られるようになっています。
そんな中、5〜6年前に病院の新
築移転案が出た際、病棟薬局の構想
が立ち上がりました。院長の支持も
1年ローテーションで、
全薬剤師が病棟業務を行う
あり、また、ナースやドクターも、病
[徳島赤十字病院]
小松島市小松島町字井利ノ口103番地
当院は5〜8階が病棟になっ
病棟業務は、どのように行われ
棟に薬局があって当たり前という雰
ているのでしょうか。
囲気でしたので、非常にスムーズに
山川
病棟薬局を設置できました。病棟薬
師を配置しています。1フロアに2病
局の業務としては、当初から服薬指
棟ありますから、各病棟薬局には2名
導専用に考えていたので、病棟での
の薬剤師が常駐していることになり
調剤や注射薬の混注などは行ってい
ます。ただし6階の循環器科のみ、2
ません。
病棟で3名の薬剤師を置いています。
病棟薬局を設ける際、
レイアウト
などで配慮された点はありますか。
基本的に1病棟に1名の薬剤
またICU・救命救急病棟にも1名が専
任で担当しています。1年でローテ
スタッフの使いやすさと患者さんの快適性を両立させた新病院の各施設
各フロアの南北病棟の中央に
配置された病棟薬局
病棟薬局のドア横には、
1階の薬剤部と直結するリフトを設置
患者さんとの境界をなくした
オープンエア式のスタッフステーション
患者さんや家族に
憩いの場を提供する屋上庭園
ーションするようにしていますが、担
指導士の資格を持つ者が2名、NST
幅を広げられなくなってしまいます。
当診療科の疾患について勉強し、病
専門療法士が1名おり、また、がん専
そこで、専門薬剤師がその担当を離
棟スタッフと緊密な関係を築くため
門薬剤師の認定に向けて研修中の
れた後も、後任の薬剤師にアドバイ
には、その程度の時間は必要だと思
者と感染制御専門薬剤師 の資格取
スで きるような 体 制 を 考 えて い ま
います。
得の準備をしている者が各1名います。
す。できるだけいろいろな病棟を回
専門薬剤師の認定の動きが進
しかし、1年ローテーションでは、そ
ることができるようにし、わからない
んでいますが、これへの対応はいか
の専門性を活かしきれないことが悩
ことなどは相談しながら勉強するこ
がですか。
ましいところです。かといって固定
とで、全員のレベルが向上するので
山川
してしまうと、他の薬剤師の経験の
はないかと期待しています。
の件数が非常に多く、そのような患
するメリットはありますか。
者さんの場合、持参薬の処方をその
鈴江
まま継続するケースが多いのです。
は1名いるのですが、各病棟の薬剤
持参薬をチェックし、
「当院ではこの
師がその病棟のNSTのメンバーと
薬剤に該当します、
類似薬はこれです」
して活動しています。そのため、病棟
現在、薬剤部には糖尿病療養
各病棟の薬剤師が、その病棟
のNSTメンバーとして活動
病棟薬局の開設には、他の病棟
スタッフも非常に積極的だったそう
NSTにしても、薬剤部に委員
ですね。
など、かなり詳細な事
ごとのNST会議も、時間に縛られる
鈴江
有り難いことに
項を医師にお伝えして
ことなくすぐに開けます。また、病棟
ドクターやナースにも
いますので、とても信
薬剤師は常に患者さん の 状態を把
非常に協力していただ
頼していただいている
握していますから、大々的なラウンド
きました。私どもでは
ようです。そ のような
を行わなくても、日常のコミュニケ
平成9年頃から患者さ
中で、薬剤部の病棟業
ーションの中でドクターに様々な提
んの持参薬のチェック
務自体が認められてき
言が行えます。このように非常に小
を服薬指導と同時に行
たのだと思います。
回りのきいた活動ができることも、
っているのですが、当
服薬指導以外に、
院 は 心 臓 カ テ ー テ ル 薬剤部 副部長 鈴江 朋子 先生 薬 剤 部 が 病 棟 に 常 駐
積極的にドクターやナースと
コミュニケーションを図る
薬剤師
病棟薬局の大きなメリットだと思い
ます。
患者さんの性格を把握し、
その人に合った服薬指導を心がける
森本 真仁 先生
薬剤師
逢坂 理絵 先生
8階の南病棟、消化器科を担当してい
8階北病棟、血液科と放射線科、総合診
ます。病棟薬局を基点にしながら積極的
療科を担当しています。血液科では抗が
にスタッフステーションに出向き、コミュ
ん剤治療をされている患者さんがほとん
ニケーションが不足しないように心がけ
どですので、その悩みを気軽にお話しし
ています。調剤薬局からこちらに入局し
ていただけるような雰囲気をつくること
て3年になりますが、その経験も最大限に活かしたいですね。
が目下の課題です。まだこの病棟を担当して日が浅いのですが、
現在、様々な専門薬剤師の制度ができていますので、それを目
患者さんと頻繁に顔を合わせ、早い段階で患者さんの性格を
指すとともに、まずは患者さんやスタッフから信頼されるよう
な薬剤師になるように努めたいと思います。
(談)
把握し、その方に合った接し方ができるようになりたいですね。
(談)
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