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鳥取県医師会報
CONTENTS
平成16年 4 月
巻 頭 言
「崖っぷち医療」と新執行部の発足
会長 長田 昭夫 1
理 事 会
第11回常任理事会・第12回理事会
4
中四国医師会連合
中国四国医師会連合常任委員会
12
今日の視点
新医師臨床研修制度と鳥取大学医学部附属病院における取り組み
卒後臨床研修センター長 重政 千秋 13
諸会議報告
第52回医事紛争処理委員会
17
医療安全対策委員会
18
平成15年度医師会立准看護師養成所教務主任連絡会議報告
米子看護高等専修学校教務主任 松下 道子 20
平成15年度情報ネットワーク特別委員会報告書−1−
22
病院めぐり(26)
垣田病院
29
日医よりの通知
31
県よりの通知
32
お知らせ
日本医師会認定産業医新規申請手続きについて
34
総額表示義務(平成16年 4 月から適用)
35
健 対 協
鳥取県母子保健対策協議会・健対協母子保健対策専門委員会
36
鳥取県成人病検診管理指導協議会胃がん部会・健対協胃がん対策専門委員会、
胃がん検診従事者講習会及び症例研究会
38
鳥取県成人病検診管理指導協議会総合部会
41
鳥取県医師会腫瘍調査部月報( 3 月分)
47
脳卒中登録対策専門委員会調査報告( 3 月分)
48
感染症だより
「急性脳炎(ウエストナイル脳炎及び日本脳炎を除く)」の届出基準の改正について
49
歌壇・俳壇
遠き風音
米子市 芦立 巌 52
胃透視
倉吉市 石飛 誠一 52
春一番
倉吉市 筏津 哲夫 53
随 筆
帯同ドクターとして見たふたつのスポーツシーン
溝口町 武田 直人 54
日本酒をもっと楽しむために…
鳥取市 野津 史博 55
ある日の訪問診療:おばあさん、どこへいくの?
智頭町 濱崎 尚文 56
ミクロの決死圏
米子市 魚谷 純 57
会員のひろば
うちのアロマ
鳥取市 徳永 進 59
小児科安心パスポート
智頭町 大谷 恭一 59
何もしてごさん小児科医
境港市 岡空 輝夫 60
意識変革を迫られた!日本医師会主催第 3 回指導医
のための教育ワークショップに参加して
鳥取市 竹内 勤 60
司法精神鑑定の面白さ
鳥取市 山下 陽三 61
地域に溶け込んだ医師(医師会)を目指して
倉吉市 松田 隆 61
アルハラ
倉吉市 石田 浩司 62
地区医師会だより
東部医師会
用瀬町 井上 雅勝 63
中部医師会
赤碕町 妹尾 磯範 64
西部医師会
米子市 山本 仁 66
会長動静 県医の動き
68
会員消息
69
保険医療機関の登録指定、異動
69
編集後記
編集委員 渡辺 憲 71
挿し絵提供/田中香寿子先生 芦立 巌先生
巻 頭 言
「崖っぷち医療」と新執行部の発足
鳥取県医師会 会長 長 田 昭 夫
新年にはこの欄で、「創意ある組織運営」と題し巻頭の言葉とさせて戴きました。年
度末は会議が多いのは当然ながら、今年は日医執行部選挙の年でもあり、全国各地の
方々との交流の機会が多かったことも事実であります。昨年度はブロックより日医理事
としての席を与えて戴いて大変勉強になりました。 3 月31日の日医選挙の前夜の中四
国の常任委員会での「中央情勢報告」で述べた一言は、いつも気にしていた「理事会の
あり方について」でした。しかし新しい新執行部がスタートした今、今度こそ必ずや透
明感のある意思決定ができる環境が整ってゆくものと信じています。それによって、国
民からも、会員からも、より信頼される医師会となると思われます。ともかくも、地域
特性を生かした提言などが実り得る新ブロック選出理事の創意あるご活躍が期待される
次第です。さて、 4 月 1 日の日医会長選挙の結果はすでに周知の如く、植松治雄会長、
櫻井秀也、宮崎秀樹、寺岡 暉副会長コンビの誕生であり、まことにおめでたいことで
あります。当日夜、祝賀会が開催され出席しましたが、その席で武見敬三議員のご挨拶
がありました。その冒頭の言葉は、「今、医療は崖っぷちにある。誰が担当しても同じ
こと、難局そのもの!」という言葉であり、中山太郎議員も同意の言葉でした。翌日の
代議員会での議題は、医師会運営の本質に迫るものなど、熱気をおびながらも整然とし
た質疑応答に終始し、常任理事の説明も的を得たものであったと思っています。県の医
師会としても、「崖っぷち医療」の意味を充分意識しつつ、今新たな視点でもって新年
度の創意ある組織運営に取り組む所存です。
日医新会長は所信表明において、「改革はその場凌ぎのものであってはならない。基
本方針は社会保障の理念と国民皆保険制度の堅持である。常任理事チーム制の採用によ
る会務運営の透明化を計りたい。政策の立案、決定は執行部の責任であり、日医総研は
あくまで資料分析、調査などを行う機関で、問題を即、日医総研に投げかけることは無
責任だ。自浄作用について必要なのはその実行であるし、勤務医に理解され、積極的な
入会気運が起こるような情報発信が必要。」等々自らの考え述べました。勿論、坪井前
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会長の方針と類似する部分があるにしても、「会員や国民に分かりやすい、透明性度の
高い組織運営こそ国民の支持を得るための唯一の手段」と結んだ点が印象深く、今後の
運営の指標とすべきと考えます。
ところで、鳥取県医師会としても新年度に入り、理事会メンバーが大きく異動し若い
エネルギーが加わりました。事業の計画のなかで、従来の項目に加え「広報の強化」を
あげ、会務のなかに「研修医」
「自浄作用、職業倫理」
「医療政策、環境対策」を新規に
加えました。また主担当と副担当、計 3 名(従来 2 名)とし、副会長も項目によっては
[副]を担当してチーム編成を行い、充分意見交換を行い得る体制とします。委員会も
見直しを行い、「卒後臨床研修」「職業倫理」「禁煙指導対策」各委員会を立ち上げまし
た。またプロジェクトとして「厚生年金基金検討委員会」を編成、諮問を行います。ま
た、特に広報について、情報ハイウェイそして県民チャンネルを活用し、医師会の姿が
見える検診活動情報などを公開し、県民の理解を得る形としたいと思っています。また、
法人化した大学や国立、労災との連携も従来以上に努力が必要ですし、医師会への参加
の気運が盛り上がるような勤務医部会の努力が望まれます。
以上、年度変わりにあたっての事業方針について記しましたが、 2 年毎の執行部の見
直しは、「外から見た医師会」を検証する良き機会でもあります。先ほどテレビが
「NHKスペシャル:医療の質をどう高めるか」を報じました。話題の中心は、「患者か
らみた医師の評価」でありました。「崖っぷち医療」から脱するため、また新たなスタ
ートのための警鐘として受け止めながら、会員各位の新たなご支援をお願いしたいと思
います。
NEWS
日本医師会役員選挙
4 月 1 日、日本医師会館において行われた
日本医師会役員選挙の開票の模様。選挙立会
人として野島副会長がステージにて開票を見
守る。
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2
鳥取県医師会新役員
(平成16∼17年度)
神
鳥
常
任
理
事
︿
後
列
﹀
︿
中
列
﹀
︿
前
列
﹀
宮
川
理
事
富
長
常
任
理
事
吉
岸
栗
阿
吉
中
田
原
部
田
監
監
理
理
理
事
事
事
事
事
天
野
常
任
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事
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宮
常
任
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事
穂
理
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岡
本
副
会
長
長
田
会
長
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副
会
長
石
武
田
田
理
理
事
事
渡
辺
常
任
理
事
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3
理 事 会
第 11 回 常 任 理 事 会
■ 日 時 平成16年 3 月11日(木)
午後 2 時50分∼午後 4 時
■ 場 所 鳥取県医師会館 鳥取市戎町
■ 出席者 長田会長、大石・野島両副会長
岡空・岡本・富長・渡辺・天野各常任理事
報告事項
1 .健対協 地域医療研修・健康情報対策専門委
員会の開催報告〈渡辺常任理事〉
を一致させること、栄養指導した際は時間を記載
すること、インターフェロンの注射で入院した際
にすべてが長期であること、などの指摘事項があ
った。
2 月19日、県医師会館において開催した。平成
2 月25日、西部地区 1 医療機関を対象に集団的
15年度事業報告で、ホームページを利用する人は
個別指導が実施された。指導要綱の概要説明、保
限られているので、メディアを活用してもっと広
険診療上の留意事項、療養担当規則の概要などに
く情報を目にする方法を考えて頂きたいという意
ついて指導がなされた。
見があった。また、誤った民間療法、口コミ、マ
スコミ等の情報にまどわされないことを発信する
ことも必要ではないかという意見もあった。
3 .生保 病院指導立会報告
〈岡本常任理事〉
平成16年度事業計画は、( 1 )鳥取県民チャン
2 月20日、東部地区の病院 1 件を対象に実施さ
ネルを活用して、県民への健康情報の発信及び推
れた。入院時の現症を定められた様式で記載する
進を行っていく。( 2 )県内における病院情報を
ことの指摘事項があった他は、特に問題となる事
県ホームページ等に掲載し、県民にとって有効な
項はなかった。
情報の提供を行う。( 3 )今年度、県に設置され
〈大石副会長〉
た「医療分野における情報化検討会」及び「災害
2 月26日、東部地区の病院 1 件を対象に実施さ
拠点病院連絡協議会」に本委員会の意見を反映さ
れた。カルテをきちんと整理すること、入院時の
せる。( 4 )「小児救急地域医師研修事業」の実施
現症を定められた様式で記載することの指摘事項
に向けて検討していく。の 4 点を予定している。
があった他は、特に問題となる事項はなかった。
内容の詳細については、別途会報に掲載する。
4 .健対協 肺がん対策専門委員会の開催報告
2 .健保 指導の立会報告〈富長常任理事〉
2 月20日、西部地区 1 病院を対象に個別指導が
2 月21日、県医師会館において開催した。平成
実施された。在宅自己注射指導管理料の算定及び
14年度最終実績では、受診率35.9%、要精検率
内容についてカルテに記載すること、理学療法Ⅰ
0.54%(対前年比+0.20)、精検受診率79.0%(対
の算定は診察治療をしてその旨カルテに記載する
前年比+8.6)であった。受診率は横這い状態で
こと、適応病名を記載すること、診療情報提供料
あるが、要精検、精検受診、発見がん共に数、率
は適正に請求すること、カルテとレセプトの病名
が増加した。なお、精検受診率は上向きとなった
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4
〈岡本常任理事〉
が、過去の成績と比べると依然として低い結果で
進め方」(長谷高あけみ県教育委員会体育保健課
あり、特に東部地区が低い。肺がん患者の予後調
指導主事)
( 2 )「思春期の性の現状とこれからの
査結果では、( 1 )精検受診率の向上( 2 )肺が
性教育―産婦人科医からみた性教育―」(藤井亜
んを疑えば、積極的にE判定をつけること。E判
希子国立米子病院産婦人科医師)
( 3 )「学校生活
定者にCT検査を行うことで、より早期の予後の
と耳鼻咽喉科疾患」(竹内裕美鳥大医学部感覚運
いい肺がんを発見可能になる。( 3 )喀痰細胞診
動医学講座耳鼻咽喉・頭頚部外科学分野助教授)
の精度管理を見直して、発見率向上のための努力
を行った。
をすること。( 4 )高危険群所属者の喀痰検査実
施を増加させること。の問題点が指摘された。
協議では、胸部X線検査の判定基準と指導区分
について、肺がんと疑われる者は積極的にE判定
7 .健対協 アレルギー疾患対策専門委員会の開
催報告〈岡本常任理事〉
2 月26日、西部医師会館において開催した。
とし、D判定については、鳥取県の検診体制の検
( 1 )気管支喘息パンフレット( 2 )平成16年度
討と各地区読影委員の判定基準を図ることが必要
アレルギー性疾患対策(花粉症)の取り組みにつ
であり、今後、調整することとした。また、D判
いてなど、報告、協議、意見交換を行った。
定のうち、肺がん以外の胸部心疾患疑いの者は当
「健康とっとり計画」によると、各分野の2010
面保健所で実施することとなったが、将来的には
年までの到達目標値が設定してあるが、アレルギ
直接精密検査医療機関へ紹介する方向で検討を進
ー性疾患対策の場合、目標数値を示すことは難し
めることとなった。
いので取組みの方向性を目標としてはどうかとい
また、同日、検診従事者講習会及び症例研究会
を開催し、講演「肺がんCT検診の現状」(柿沼龍
う意見が出され、パンフレット作成等の実績を掲
載してはどうかという意見があった。
太郎国立がんセンターがん予防・検診研究センタ
また、同日、研修会を開催し、講演「ぜんそく
ー検診技術開発部画像診断開発室長)などを行っ
というのは……」(富田桂公鳥大医学部附属病院
た。出席者は88名。
感染症・アレルギー内科講師)を行った。出席者
内容の詳細については、別途会報に掲載する。
は45名。
内容の詳細については、別途会報に掲載する。
5 .日医 医療機関の危機管理セミナーの出席報
告〈野島副会長〉
2 月21日、日医会館において開催された。講演
8 .臨床検査精度管理委員会の開催報告
〈岡本常任理事〉
「医療機関における危機管理のあり方―クライシ
2 月26日、西部医師会館において開催した。議
ス・コミュニケーションとマスコミ対応―」(田
事として、( 1 )平成15年度臨床検査精度管理事
中正博 田中危機管理・広報事務所長)のあと、
業の実施報告( 2 )報告会の開催報告( 3 )報告
田中所長、宮坂・羽生田両常任理事と出席者との
書の編集について( 4 )平成16年度事業に向けて
間で活発な質疑応答が行われた。
の課題等についてなど、報告、協議、意見交換を
内容の詳細については、別途会報に掲載する。
行った。なお、報告書の要点をまとめたものを会
報 2 月号に掲載している。
6 .第 2 回学校医・学校保健研修会の開催報告
内容の詳細については、別途会報に掲載する。
〈岡空常任理事〉
2 月22日、倉吉体育文化会館において開催した。
講演 3 題( 1 )「学校における性教育の考え方、
鳥取県医師会報 04.4 No.586
5
9 .第165回定例代議員会の開催報告
いよいよ、平成16年 4 月より国立大学法人鳥取
〈岡本常任理事〉
大学としてスタートする。教育・研究・運営面で
2 月28日、県医師会館において開催した。平成
の中期目標・計画を達成するための方策等につい
15年度事業報告、平成16年度事業計画・収支予算
ては新しい組織の中で検討されることとなる。
などの 9 議案、任期満了に伴う役員等選挙につい
て、何れも原案通り可決承認された。
内容の詳細については、別途会報に掲載する。
13.健対協 母子保健対策専門委員会の開催報告
〈長田会長〉
3 月 4 日、県医師会館において開催した。
(1)
10.情報ネットワーク特別委員会答申について
女性の健康づくり支援事業(不妊専門相談センタ
〈長田会長〉
ーの相談状況、不妊フォーラムの開催)( 2 )児
2 月28日、県医師会館において中井理事、野
童虐待防止への取り組み(医師等講習会)( 3 )
坂・阿部両先生の 3 名から、昨年開催の情報ネッ
神経芽細胞腫検査の休止( 4 )新生児の聴覚検査
トワーク特別委員会にて、長田会長より諮問を受
( 5 ) 5 歳児健康診査(発達相談)
( 6 )周産期医
けた「鳥取県医師会の高度情報化への対応」とし
療体制、について報告があった。
て、( 1 )鳥取情報ハイウェイを活用した地域医
その他、( 1 )「鳥取県乳幼児健康診査マニュア
療ネットワークの構築( 2 )生涯教育の単位登録
ル」について( 2 )次世代育成支援対策推進法に
等を含めた会員情報管理システムの構築( 3 )遠
基づく県及び市町村の行動計画についてなど、協
隔会議システムの導入の 3 項目について答申を取
議、意見交換を行った。
りまとめたので、その報告があった。
内容の詳細については、別途会報に掲載する。
なお、この答申書は県医務薬事課、県情報政策
課、県病院局へ送付することとした。
内容の詳細については、別途会報に掲載する。
14.鳥取県准看護師試験委員会の出席報告
〈大石副会長〉
3 月 4 日、県庁において開催された。議事とし
11.鳥取産業保健推進センター 運営協議会の出
席報告〈大石副会長〉
3 月 2 日、鳥取産業保健推進センターにおいて
開催された。議事として、( 1 )平成15年度実施
て、( 1 )平成15年度准看護師試験について①実
施状況②検討を要する試験問題③不適切問題の公
表及び取り扱い④合否判定( 2 )准看護師試験委
員の任期について、報告、協議された。
事業( 2 )平成16年度事業計画が行われた。
なお、センター主催で実施される産業保健研修
会を、日医認定産業医制度指定研修会として申請
するかどうか、今後、産業医部会等で検討するこ
ととした。
15.都道府県医師会 社会保険担当理事連絡協議
会の出席報告〈富長常任理事〉
3 月 4 日、日医会館において開催され、天野常
任理事と共に出席した。坪井会長挨拶後、青柳副
会長より、平成16年度診療報酬改定について( 1 )
12.鳥取大学運営諮問会議の出席報告
〈長田会長〉
3 月 3 日、ホテルニューオータニ鳥取において
診療報酬改定項目などについて説明があった。
なお、関係者による打合会を 3 月18日に開催し、
開催された。道上鳥取大学長から「国立大学法人
各地区医師会での説明会(東部: 3 月25日、中
鳥取大学の中期目標及び中期計画について」諮問
部: 3 月23日、西部: 3 月27日)に備えることと
され、各委員から活発な意見が出た。
した。
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平成16年度診療報酬改定の経緯( 2 )平成16年度
16.健対協 胃がん対策専門委員会の開催報告
部会における審議の経過および結果について報告
〈岡本常任理事〉
があり、部会委員の氏名について審議した。その
3 月 6 日、県医師会館において開催した。平成
他、医師の名義貸しの実態について質問などがあ
14年度実績では、受診率27.1%(対前年比+1.0)
った。
で平成12年度に内視鏡検査を導入したことにより
受診率の向上につながっており、全国平均約13%
18.その他
に比べ大変高率である。がん発見率は0.35%(対
*平成16年 2 月20日(金)に鳥取労働局の新庁舎
前年比+0.01)、内視鏡検査導入により発見癌は
(鳥取市富安 2 丁目89−9)が完成し、落成式に
いまだに増加傾向である。発見がん患者追跡調査
結果では、早期がん104例、進行がん38例で、早
期がん率は73.2%であった。なお、「検診発見胃
がん患者個人票」の記載漏れが多いので、治療機
関は正確に記載して欲しいという要望があった。
出席した。
〈長田会長〉
協議事項
1 .介護サービス苦情処理委員会委員の推薦につ
いて
その他、( 1 )新・胃X線撮影法(間接・直接)
任期満了に伴う委員の推薦方依頼がきている。
の基準について( 2 )胃がん検診受診票について、
協議の結果、吉田眞人先生を推薦することとした。
協議、意見交換を行った。判定欄の要精検欄に精
密検査予定日を記入して市町村に紹介状を返送す
れば、紹介状を持参されないで受診しても後日、
2 .健保個別指導の立会について
3 月18日(木)午後 1 時30分から東部医師会館
市町村より医療機関に精検結果の問い合わせをす
において 2 医療機関を対象に実施される。渡辺常
ることが出来るのではないかという意見があり、
任理事が立会することとした。
検討することとした。
また、同日、検診従事者講習会及び症例研究会
を開催し、講演「胃がん治療最近の動向」(鳥取
県立中央病院内科医長 岡田克夫先生)などを行
3 .名義後援について
「第 4 回日本海未来ウォーク( 5 / 4 − 5 )」
の名義後援を了承することとした。
った。出席者は127名。
内容の詳細については、別途会報に掲載する。
4 .日医生涯教育講演会の認定申請の承認につい
て
17.地方社会保険医療協議会の出席報告
地区医師会などから申請の出ている講演会につ
〈野島副会長〉
いて協議の結果、何れも適当として認定すること
3 月11日、ウェルシティ鳥取において開催され、
とした。
板倉東部副会長、岡本中部副会長と共に出席した。
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第 12 回 理 事 会
■ 日 時 平成16年 3 月25日(木)
午後 4 時∼午後 5 時50分
■ 場 所 鳥取県医師会館 鳥取市戎町
■ 出席者 長田会長、大石・野島両副会長
岡空・岡本・富長・渡辺・天野各常任理事
中井・安部・宮 ・川原・石田各理事、岸田・吉中両監事
米本東部会長、伊藤中部会長・栗原西部会長
報告事項
1 .前回常任理事会の主要事項の報告
は『更年期女性の健康管理∼更年期をすこやかに
すごすために∼』、講師は、鳥取市立病院産婦人
科診療部長 佐能孝先生。
〈岡本常任理事〉
2 月19日及び 3 月11日、県医師会館において開
催した。会議録は、地区医師会へ送付するととも
に、県医メーリングリストへの投稿、会報への掲
載を行うこととしている。
4 .健保指導の立会報告
〈神鳥理事欠席のため、富長常任理事が代理報告〉
2 月13日、西部地区の 3 診療所を対象に個別指
導が実施された。カルテの記載内容に乏しく、文
字が汚くて判読できないこと、疾病の転帰は医師
2 .厚生年金基金理事会、代議員会の出席報告
が書くこと、40歳を過ぎると一律に眼圧を測って
〈長田会長〉
いるのはおかしいこと、数ヶ月すると初診として
2 月25日、鳥取ワシントンホテルにおいて開催
一律に眼底検査をしているが眼底疾患の病名が全
された。代議員会では、事業概況、理事長専決処
くないこと、眼鏡やコンタクトレンズだけの視力
分について報告があり、審議事項として、平成16
では矯正視力の請求は出来ないこと、点数がワン
年度予算及び事業計画(案)、基金規約の一部変
パターンになっていること、医療機関として登録
更(案)が行われ、承認された。
しているのであれば出来る範囲できちんと診察す
今後は、鳥取県医師会として検討委員会を設置
べきであること、複数の医師が診察する場合は診
し、協議、意見交換した上で会員へより分りやす
察医の氏名をフルネームで記載すること、ビタミ
い形での情報提供が望ましいという意見もあり、
ン剤の静注や点滴は原則的に食事が摂れない人に
来期、特別委員会を考えている。
施行すること、慢性透析維持管理を算定している
場合はPTH検査は包括されているので別個に算
3 .第147、148回公開健康講座の開催報告
〈中井理事〉
開催場所を西部へ移動し、 2 月17日、西部医師
しても他に救急の疾病が無ければ、時間外は算定
できないこと、在宅自己注射指導管理料を算定し
会館において開催した。演題は『胃がんで命を落
た場合はカルテにきちんと内容を記載すること、
とさないために―胃がん検診のすすめ―』、講師
診療録の訂正は塗りつぶしでなく二本線で抹消し
は、野坂医院院長 野坂美仁 先生。
訂正すること、投薬処方はページが変わった場合、
〈大石副会長〉
3 月18日、県医師会館において開催した。演題
鳥取県医師会報 04.4 No.586
8
定できないこと、内服薬が無くなり時間外に受診
do処方ではなく薬剤名、用法、用量を記載する
こと、主として理学療法のみの来院患者で処置の
み記載され、経過の記載が見られないこと、血液
し、祝辞を述べるとともに、成績優秀な生徒に鳥
検査を実施した場合にカルテに貼るだけでなく、
取県医師会長賞を授与した。
それに対するコメントを記載すること、コンセン
◇鳥取 3 月 6 日(大石副会長)卒業生は36名
サスを得られた略語以外は記載しないこと、など
◇倉吉 3 月 4 日(野島副会長)卒業生は28名
の指摘事項があった。
◇米子 3 月10日(長田会長)
卒業生は37名
〈中井理事〉
2 月16日、西部地区の 1 病院を対象に集団的個
6 .鳥取県結核対策推進協議会の出席報告
別指導が実施された。講義形式により、スライドを
〈天野常任理事〉
使用して、保険医療に関する留意事項について 7
3 月 5 日、県庁において開催された。議事とし
項目を挙げて指導がなされた。今後は、指導する
て、鳥取県結核対策事業の実施結果( 1 )乳幼児
側にも緊張感をもっていただくため、質疑が行わ
期BCG接種等に関する調査事業( 2 )老人福祉
れるべきである、との立会者の意見が述べられた。
施設従事者等に関する研修会( 3 )結核医療従事
〈石田理事〉
2 月27日、中部地区の 1 診療所を対象に個別指
導が実施された。カルテをきちんと記載すること、
者研修会について報告、協議、意見交換が行われ
た。
平成15年度 1 歳 6 ヶ月児BCG接種等調査結果
処方箋の発行回数が多いこと、ビタミンB群の必
では、総数1,108人、平均針痕数14.1、針痕数15個
要性を記載すること、特定疾患指導内容をきちん
以上(陽性率が高く、有効性がある)は677人
と記載すること、カルテ更新時には最初にサマリ
(61.1%)であった。
ーを記載すること、点滴をする場合はその必要性
その他、( 1 )平成16年度結核対策事業の概要
を記載すること、処置、投薬をする場合は所定の
( 2 )鳥取県の結核発生状況について説明があっ
記載をすること、などの指摘事項があった。
た。
〈渡辺常任理事〉
3 月18日、東部地区の 2 診療所を対象に個別指
7 .健対協 総合部会の開催報告〈長田会長〉
導が実施された。カルテの保存状態がよくないこ
3 月11日、県医師会館において開催した。各検
と、ザルソロン注射薬が多用されていること、ビ
診の受診者数と率は、平成14年度実績、平成15年
タミンC(シナール)が長期投与されていること、
度実績見込みともに僅かながら増加傾向である
do処方が長期継続されており最初の処方がはっ
が、精検受診率は依然として低下傾向である。平
きりしないこと、慢性疾患指導料の算定に際して、
成16年度計画は平成15年度実績見込みとほぼ同じ
主病名が対象疾患でない例があること、特定疾患
受診者数を予定している。各委員会で決定した事
指導管理料、慢性疾患指導料に指導内容の記載が
項、検討課題について、各市町村の保健師に周知
ないこと、毎月肝機能検査をしているのは過剰で
されているかという質問があった。年 2 回開催さ
あること、インフルエンザ抗原検査で結果として
れる市町村保健協議会において説明を行ってお
マイナスになる検査が 3 回続けてなされているこ
り、その会で、要望、ご意見があれば、総合部会
と、適応病名のない薬が院外処方で出されている
に持って来てもらいたいという意見もあった。
こと、診察券カードを有料にしていること、など
の指摘があった。
その他、( 1 )個人情報保護と検診データの取
り扱い( 2 )病院における検診医の紹介状の取り
扱いについて、協議、意見交換を行った。今後、
5 .看護高等専修学校卒業式の出席報告〈各役員〉
各看護学校の卒業式に次のとおり役員が出席
引き続き、検討することとした。
内容の詳細については、別途会報に掲載する。
鳥取県医師会報 04.4 No.586
9
8 .点数改正打合会の開催報告〈富長常任理事〉
3 月18日、県医師会館において開催した。社会
12.地域がん診療拠点病院推薦検討会の出席報告
〈岡本常任理事〉
保険事務局、県障害福祉課、県長寿社会課、支払
3 月23日、県医師会館において開催され、長田
基金、国保連合会に参集いただき、各地区医師会
会長、米本東部会長、杉山智頭病院長と共に出席
での説明会に備えるための打合会を開催した。な
した。議事として、( 1 )東部圏域の指定希望病
お、質疑応答は当日行わず、質問があれば、後日、
院からの聞き取り( 2 )今後の推薦病院の選考、
県医師会事務局へ送付していただくこととした。
などについて協議された。中部は県立厚生病院、
西部は国立米子病院が指定されたが、東部では希
9 .医事紛争処理委員会の開催報告
望する 3 病院(鳥取赤十字病院、県立中央病院、
〈岡本常任理事〉
鳥取市立病院)の現状は大きな差異が認められな
3 月18日、県医師会館において開催した。中国
いため、今後、引き続き、検討することとした。
四国医師会医事紛争研究会、都道府県医師会医事
紛争担当理事連絡協議会の報告のあと、県内の医
事紛争の処理状況について協議、意見交換を行っ
13.日医 勤務医委員会の答申について
〈渡辺常任理事〉
た。平成15年度は新規発生 6 件、処理事案は解決
日医勤務医委員会は、坪井会長からの諮問「勤
2 件、応訴中 1 件、折衝中 6 件となっている。ま
務医と医師会活動」について検討結果を取りまと
た、積立金の有効活用について更に検討する。
め、 3 月に池田委員長から坪井会長に提出した。
内容の詳細については、別途会報に掲載する。
14.地区医師会の現況報告
10.医療安全対策委員会の開催報告
〈野島副会長〉
3 月18日、県医師会館において開催した。セミ
ナー「医療機関の“危機管理”」の報告のあと、
【東部】米本会長
* 3 月 6 日、看護学校卒業式を行い、36名が卒業
(うち10名が進学)した。
* 3 月13日、代議員会を開催し、次期役員を選出
医療安全対策、今後の活動方針について協議、意
した。新たに 5 名が理事となり、平均年齢が52
見交換を行った。
歳となった。
内容の詳細については、別途会報に掲載する。
【中部】伊藤会長
* 3 月 4 日、看護学校卒業式を行った。28名が卒
11.鳥取県臓器バンク理事会の出席報告
〈長田会長〉
3 月23日、県民文化会館において開催され、理
事長として出席した。議事として、( 1 )平成15
年度収支予算の変更(平成15年度事業概要含む)
( 2 )平成16年度事業計画( 3 )平成16年度収支
予算( 4 )監事の選任、などについて協議された。
なお、登録者を多くするよう啓発していきたい
ため、各医療機関へ協力をお願いしたいことから、
会報へ掲載し、周知することとした。
業(うち23名が進学)した。
* 3 月18日、中部医師会立三朝温泉病院が病院技
能評価受審結果に一発合格した。
【西部】栗原会長
* 3 月 9 日、鳥大救命救急センターと急患診療所
との話し合いを開催した。今後は隔月開催。
* 3 月15日、臨時代議員会を開催し、魚谷新会長
以下、次期役員を選出した。全役員36名中、28
名が変更し、平均年齢が52歳となった。
* 3 月24日、西部保健医療圏地域保健協議会全体
会議が開催され、災害時の血液供給体制につい
て検討した。
鳥取県医師会報 04.4 No.586
10
【大学】川原理事
3 .医療機関における医療事故の報告について
*救命救急センター設置に向け、各科及び西部医
標記について、県から、各医療機関において万
師会で話し合いを行っている。救急患者は年間
が一医療事故が発生した場合、その概要を速やか
約 1 万人で 9 割が一次救急である。センター内
に報告するよう通知があった。報告を要するのは、
において診療業務ができるようにし、医師会か
レベル 4 (事故による障害が長期にわたって続く
ら、スーパーローテート、研修医の教育、プライ
場合)、レベル 5 (事故が死因となった場合)の
マリーケアーについてご指導していただきたい。
医療事故と、レベル 1 ∼ 3 の医療事故が多数の患
* 3 月24日、 4 月からの大学法人化に向け、経営
者に対して発生するなど、病院の医療安全管理上
説明会を開催した。今後、場合によっては医師
重大であると判断される場合で、各所管保健所長
の勤務評定をすることもある。
へ報告する。
内容の詳細については別途掲載。
15.その他
* 3 月25日、鳥取県医療審議会が開催され、会長
として出席した。昨年 4 月に基準病床数が増え
4 .鳥取県感染症予防計画に対する意見について
標記について、医療関係団体(鳥取県医師会、
た東部、西部医療機関からの開設・増床申請に
鳥取県病院協会、鳥取県歯科医師会、鳥取県薬剤
対する配分案について協議を行い、知事に答申
師会、鳥取県獣医師会)に今季のインフルエンザ
することとした。
〈長田会長〉
ワクチン等での多大な御協力をいただいた「鳥取
協議事項
1 .鳥取県医師会 慶弔内規の一部改正等につい
て
県医薬品卸業協会」の追加を申請することとした。
5 .学校医の推薦について
県教育委員会から、境港工業高等学校及び境港
標記について、先般開催した「共済会運営委員
総合技術高等学校学校医の推薦依頼があった。西
会」にて、平成16年度から共済会事業のうち、喜
部医師会へお願いし、藤原通博先生を推薦してい
寿、米寿、白寿を県医師会事業にすることが承認
ただいた。
されたことに伴い、慶弔内規について、
「役員及び
顧問の慶祝 3 万円」を廃止し、( 1 )会員の喜寿
祝 2 万円程度( 2 )会員の米寿祝 5 万円程度( 3 )
会員の白寿祝10万円程度、を追加することとした。
6 .鍼灸師会通常総会の出席について
4 月11日(日)午前10時から東郷町・水明荘に
おいて開催される。野島副会長出席とした。
なお、この内規は平成16年 4 月 1 日より施行する。
7 .日医認定産業医更新申請について
2 .鳥取県医師会 協力貯蓄運営規程の一部改正
について
協力貯蓄制度が第 9 次積立から口座振替による
日医認定産業医更新申請者 5 名(東部 2 名、西
部 3 名)から提出があり、審査の結果いずれも資
格を満たしているため日本医師会へ申請する。
積立に変更されたことに伴い、今後、検討事項等
があった場合でも理事会による協議で十分運営で
8 .名義後援について
きると判断し、協力貯蓄運営委員会は平成16年度
「放射線技師会一般公開講演会( 4 /24)
」「東
以降、設置しないこととし、協力貯蓄運営委員会
部医師会健康スポーツ医部会講演会( 4 /24)」
規程を一部変更した。なお、この規則は平成16年
の名義後援を了承することとした。
4 月 1 日より施行する。
鳥取県医師会報 04.4 No.586
11
中四国医師会連合
ブロック推薦の日本医師会役員について協議
中国四国医師会連合常任委員会
■ 日 時 平成16年 3 月31日(水)
午後 6 時
■ 場 所 山の上ホテル 千代田区神田駿河台
■ 出席者 長田会長、野島副会長、岡本常任理事、宮 理事、谷口事務局長
報 告
1 .中央情勢報告
形見香川県医師会長(日本医師会理事)、長田
会長(日本医師会理事)から日本医師会理事会の
内容を中心に報告があった。そのほとんどが日医
FAXニュースやメディファクスに掲載されてい
る。日医理事就任 2 年間にわたる感謝のことばが
あった。
2 .議事運営委員会報告
青山 喬先生(広島県)から 4 月 1 ∼ 2 日に開
催される日医代議員会の日程について説明があっ
た。第 1 日は選挙で、正副議長選挙、会長以下役
2 .日本医師会代議員会における質問(代表・個
人)について
中国四国ブロック代表質問 1 件(岡山県)、個
人質問 1 件(広島県)を承認した。
員の選挙が行われる。第 2 日は事業計画、収支予
算の審議が行われる。
協 議
3 .予算委員会委員について
ブロックから 3 人(岡山、広島、徳島)の選出
を決定した。
1 .日本医師会役員等の推薦について
ブロック推薦として理事候補に中島雪夫先生
(島根県)、中川利一先生(徳島県)、常任理事候
4 .次期中国四国ブロック当番県について
広島県医師会に担当していただくこととした。
補に槇殿 敦先生(広島県)、監事候補に小谷秀
成先生(岡山県)、裁定委員候補に藤井康宏先生
(山口県)の推薦を確認、決定した。
また、会長選挙が当初 4 人の候補者であったが、
○各県の新任会長の紹介と挨拶(広島県・碓井静
照先生、山口県・藤原 淳先生、徳島県・中川
〆切では 2 人に絞られた経過についての説明、意
利一先生、香川県・森下立昭先生、愛媛県・久
見交換が行われた。
野梧郎先生)
鳥取県医師会報 04.4 No.586
12
5 .その他
今 日 の 視 点
新医師臨床研修制度と
鳥取大学医学部附属病院における取り組み
鳥取大学医学部附属病院卒後臨床研修委員会委員長 卒後臨床研修センター長
重 政 千 秋
戦後、欧米の制度をもとに導入されたインター
向から、「内科系、外科系、小児科系、救急医療」
ン制度は医療行為の法的位置付け、経済的保障、
をコアとするコアローテーションと選択ローテー
指導体制の不備等の諸問題から昭和43年に廃止さ
ションからなる研修を可能とし、平成14年度から
れ、それに代わって医師免許取得後 2 年以上臨床
はストレート研修は原則禁止とする方針を打ち出
研修を行うことを努力規定とした中途半端な医師
してきました。その経過の中で、卒後研修に関す
研修制度が発足しました。その後、医学・医療の
る基本方針を決定していくための研修委員会の充
飛躍的進歩により、臨床医の専門分化が著しく進
実(プログラム・評価専門部会、関連病院専門部
む中で、「患者を全人的に診ることのできる基本
会、指導医専門部会、処遇等専門部会、募集・マ
的診療能力を身につける重要性」の指摘から、諸
ッチング専門部会の設置や各診療科及び学生の代
種論議を経てご存じのように平成12年 6 月の第
表からなる実務者委員会の設置等)を図るととも
150回国会に、「卒後臨床研修必修化を含め医療法
に卒後研修委員会の方針を具体的に実施していく
等の一部改正する法律案」が提出され、平成16年
ために卒後臨床研修センターを設置致しました。
4 月からの必修化導入が可決成立致しました。
一方、全国医学部長病院長会議では、前述した
このような歴史的背景の中で、鳥取大学医学部
卒後臨床研修必修化が論議されるようになった早
附属病院(本院)におきましても卒後初期臨床研
い段階から、「卒後臨床研修制度検討ワーキング
修制度のあり方について、「卒後臨床研修委員会
グループ」を中心にしてこれまで様々な提言をし
(研修委員会)
」を中心にして議論を積み重ねてま
てきており、最終的には平成13年12月に「国立大
いりました。研修委員会におけるこれまでの議論
学附属病院卒後臨床研修必修化に向けての指針」
を集約致しますと、基本的には「専門医である前
を公布致しました。また、厚生労働省においても
に基本的診療能力を身につけた臨床医の育成」で
「医道審議会医師臨床研修検討部会」が平成14年
あり、それを具体的に実施するためにはどのよう
5 月22日に「中間まとめ(論点整理)」を公表し
なプログラムにするかが大きな論点の一つであり
た上で、「厚生労働省新臨床研修制度検討ワーキ
ました。本院においては既に昭和46年から「内科
ンググループ(厚労省新WG)」を 6 月下旬に新
医である限りは救急医療や高齢者医療を含めて内
たに設置し、 9 月 4 日に「新臨床研修制度の基本
科全般にわたる知識、技能、態度を身につけるべ
設計案(矢崎案)」を公表致しました。
きである」との考え方から、本院(第一、二、三
内科、脳神経内科、麻酔科・高次集中治療部、放
《新臨床研修制度の基本設計案(矢崎案)》
射線科等)ならびに教育関連病院における内科系
( 1 )研修プログラム
ローテート研修を実施してきた実績があり、その
○基本研修科目:内科 6 ヵ月、外科と救急医療
議論の中で少なくともストレート研修を避ける方
(麻酔科を含む) 6 ヵ月。これを当初の12ヵ
鳥取県医師会報 04.4 No.586
13
月に実施する
○必修科目:小児科、産婦人科、精神科、地域
保健・医療各 1 ヵ月以上とする
院の平成16年度卒後初期臨床研修プログラムの全
てを本院ホームページ上で公表しておりますので
ご覧下さい)
。
○マッチングによる研修病院の決定
( 2 )施設規準
○定員:原則的に入院患者100人(年間)に 1
人、また病床10床に 1 人( 2 年間の定員)
○指導医:臨床経験 7 年以上。指導医 1 人につ
き 5 人まで
( 3 )処遇
○研修医がアルバイトせずに研修に専念できる
よう、国は責任を持って適切な処遇が確保さ
れる制度を設ける
○指導医手当てなどにより研修環境を整備する
《本院プログラムの基本骨格と特徴》
( 1 )研修医個々人に着目し、地域が一丸となっ
て研修医教育に取り組む
( 2 )本院を管理型臨床研修病院として、本院の
教育関連病院を協力型臨床研修病院ならびに保
健所やへき地・離島にある病院を研修協力施設
とする病院群の形成
( 3 )内科 6 ヵ月、外科 3 ヵ月、救急医療(麻酔
科を含む) 3 ヵ月を基本研修科目、小児科、産
婦人科、精神科、地域保健・医療各 1 ヵ月を必
修科目とし、本院では更に放射線科を必修科目
「矢崎案」が提出される前から既に全国医学部
長病院長会議等から諸種の情報提供もあり、本院
に加え、残りの 7 ヵ月を選択科目研修とする形
でプログラムを 1 つとした
ではプログラム作成の基本方針に下記の 5 つを掲
( 4 )地域保健医療研修には、イ)社会福祉・介
げ、「卒後初期臨床研修プログラム」の基本骨格
護老人保健施設を含む保健所研修、ロ)在宅医
は既に出来上がっておりましたが、この「矢崎案」
療を含むへき地・離島医療研修の 2 つのプログ
をもとに見直しをした上で平成14年10月中にほぼ
ラムを設置
完成を致しました。
( 5 )基本研修科目ローテーションに入る前に、
臨床に携わる医師として必要な知識、技能を集
《本院における「プログラム作成の基本方針」》
中的に習得するための「プレローテーションカ
( 1 )医師としての人格を涵養し、将来の専門性
リキュラム」を置く
にかかわらず、全人的な幅広い基本的診療能力
( 6 )研修医に必要なあらゆるテーマ、特に実地
(知識、技能、態度)を身につけた臨床医の育
の研修だけでは不十分な項目や基本研修科目・
成
( 2 )患者の視点に立ち、患者の気持ちを思いや
ることのできる医師の養成
統だって講義や実習で学ぶ「総合プログラム」
を企画した
( 3 )鳥取県ならびに山陰地方の地域医療の特殊
( 7 )救急医療(麻酔科を含む)研修は17時まで
性を充分に考慮し、地域が一丸となって研修医
麻酔科研修を行い、17時以降翌朝までは救急部
教育に取り組む
研修を行う(救急部研修を行った翌日は休みと
( 4 )研修医個人に着目したプログラムとする
( 5 )マンツーマン方式を基本とした指導医体制
の確立(指導医教育制度を含む)ならびに適切
な研修評価の実施
この基本方針のもとに作成された本院プログラ
ムの基本骨格と特徴を以下に示します(なお、本
鳥取県医師会報 04.4 No.586
14
必修科目に含まれない診療科に関することを系
する)
( 8 )原則として 1 人の研修医に対し 1 人の指導
医が対応する
( 9 )適切な研修医、指導医、研修プログラム評
価制度を確立し、研修プログラムの自己点検を
行い、その結果を公表する
平成14年12月11日に「矢崎案」を骨子とした
ました。現在までのこの鳥取大学関連管理型病
「医師法第16条の 2 第 1 項に規定する臨床研修に
院協議会参加病院は、鳥取県立中央病院、鳥取
関する省令」が公布され、平成15年 6 月12日にこ
赤十字病院、鳥取県立厚生病院、山陰労災病院
の省令の施行についての通知がなされました。そ
グループ、松江赤十字病院、松江市立病院、島
の中で驚いたことに「当面の取り扱い」が付記さ
根県立中央病院です。その結果、本院の定員43
れており、その内容を記載しておきます。
名を含め、最大70名、最小60名の研修医を受け
入れる体制が可能となりました。
《新医師臨床研修制度における当面の取り扱い》
①受け入れる研修医の数は概ね病床数を 8 で除
今回の必修化における研修医の研修病院決定に
した数を超えない(参考:本院では病床数を
は、従来から米国で実施されている「マッチング
10で除すと 2 年間で68名、 8 で除すと86名、
システム」が採用されています。このシステムは
平成14年度の入院患者数を100で除すと85名)
「医師臨床研修マッチング協議会」に対して、厚
②医療法上の医師数を有しているという規定を
適用しない
生労働省から認定された研修病院と研修医それぞ
れがマッチング参加登録を行います。研修医は研
③指導医の臨床経験については 5 年以上とする
修したい病院を受験した上で、順位をつけて届出
④これらの取り扱いは平成19年 3 月31日までの
を行い、研修病院の方も採用したい研修医の順位
実施状況を見た上で継続するか否かを再検討
をつけて届出を行います。それを受けて「マッチ
する
ング協議会」はコンピューターマッチングを行い
決定致します。従って、本学出身の学生のみなら
従来本院で採用してきた新研修医の数は50名前
ず全国の医学生に向けて本院プログラムを周知し
後であり、「矢崎案」に基づく計算では一年間の
ていくための諸種の取り組みを行う必要があり、
定員が40名弱であること、また今回の当面の取り
以下その取り組みと採用試験について記載致しま
扱いの規定での定員は43名であることを採用した
す。
としても大幅な減少となるわけで、このことは将
来の各診療科の診療、研究や本学の大学院定員充
【研修医募集に関する取り組み】
足を脅かしかねない問題であり、またこの地域の
( 1 )本院における研修医募集は「マッチング参
将来の医療情勢に対しても大きな影響を及ぼす可
能性があることから、何らかの方法を模索する必
要がありました。以下、その取り組みを紹介しま
す。
( 1 )平成14年10月 5 日「鳥取大学関連病院長協
議会」の臨時総会を招集致しました。そこで、
加」を基本とする
( 2 )平成15年度 6 年次学生への対応
○新臨床研修制度や本院プログラム等に関する
説明会の開催(本院単独で 4 回、鳥取大学関
連管理型病院との共同開催 1 回)
○アンケート調査の実施
今回の必修化に対する鳥取大学の取り組みとプ
( 3 )本学学生のみならず全国の医学生をも対象
ログラム内容を公表した上で、「鳥取大学教育
とした鳥取大学関連管理型病院卒後臨床研修総
関連病院連絡協議会」を設置し、「地域で一丸
合説明会を行いました〔平成15年 7 月 5 日(土)、
となった研修医教育」に取り組む環境づくりを
6 日(日)〕
行いました。
( 2 )鳥取県の行政の立場からの支援も依頼し、
「鳥取大学関連管理型病院協議会」を設立致し
(イ)卒後初期臨床研修に関する説明会
(ロ)初期臨床研修修了後の専門医研修ならび
に大学院入学等に関する説明会
鳥取県医師会報 04.4 No.586
15
【平成16年度鳥取大学医学部附属病院研修医募集
と採用試験】
主催の指導医講習会を年に 2 ∼ 3 回実施する予定
としております。そしてこの指導医講習会プログ
マッチング実施は決定しているものの、まだマ
ラムを厚生労働省に届出た上で「厚生労働大臣の
ッチングシステム等に関する正式通達がない状
認定指導医講習会」とするよう現在検討している
況、更に研修病院指定の認可がまだ成されていな
ところです。
い状況でしたが、マッチング参加をするからには
卒前の臨床医学教育、卒後初期臨床研修そして
夏休みを利用した見学、試験を設定するしかない
専門医研修は、それぞれが独立したものではなく、
と考え、厚生労働省中国四国厚生局の許可のもと
本来それらが連動されるべきであって、本院にお
に、研修医募集を開始し、面接試験を実施致しま
ける 3 年目以降のプログラムを作成しておく必要
した(試験実施日 7 月12日、19日、26日、 8 月 9
性があると考えて、「鳥取大学医学部附属病院に
日、16日、23日)。その結果、本院の平成16年度
おける卒後初期臨床研修修了後の進路(専門医研
プログラムに対して全国からの応募を含めて97名
修等)」を作成致しました。その内容は本院ホー
が受験してくれました。10月29日に医師臨床研修
ムページ上に掲載しておりますのでご覧下さい。
マッチング協議会に対して97名の順位表の届出を
また平成16年度の 4 年次学生から「チュートリア
行いました。11月13日にそのマッチング率はほぼ
ル教育」や「クリニカルクラークシップ」を基本
100%でありました。更に本院を受験した97名中
とした卒前臨床医学教育が開始されます。卒後臨
60名近い学生が鳥取大学関連管理型病院協議会に
床研修センターとしても、一昨年設置致しました
所属する研修病院で研修可能との結果を得たわけ
「卒前・卒後臨床医学教育協議会」を通して、卒
であります。
前の臨床医学教育と卒後臨床研修の連動を図って
いくつもりです。
本院の研修開始は 4 月 5 日と致しました。今後
全国の医学生が注目する鳥取大学(ないしは鳥
はこれまで作成したプログラムをいかに実践して
取県)方式の卒後初期臨床研修プログラムとして
いくかが問われます。研修手帳を作成するととも
定着していくべく、努力をしていくつもりですが、
に、全国共通の研修医、指導医評価を行うのみな
鳥取県医師会の先生方にも是非ご理解をいただ
らず、本院独自の評価制度も作成致しました。指
き、ご指導、ご協力賜わりますようよろしくお願
導医のレベルアップを図るべく、本院研修委員会
い申し上げます。
鳥取県医師会報 04.4 No.586
16
諸 会 議 報 告
医事紛争における情報開示に向けて
第52回医事紛争処理委員会
■ 日 時
平成16年 3 月18日(木)
午後 2 時50分∼午後 4 時30分
■ 場 所
鳥取県医師会館 鳥取市戎町
■ 出席者
長田委員長、大石副委員長
野島・岡空・岡本(公)・富長・神鳥・米本・板倉・
中島・栗原・細田・魚谷各委員
議 事
1 .中国四国医師会 医事紛争研究会の出席報告
〈岡本委員〉
9 月20日、広島市・リーガロイヤルホテルにお
日医医賠責特約保険、医療事故紛争対策と活動情
報報告(青森県、大分県)、医療事故のリピータ
ー会員対策、質疑応答があった。
詳細については鳥取県医師会報第582号(平成
15年12月号)に掲載している。
いて愛媛県医師会の担当で開催され、長田会長以
下役員、川中顧問弁護士が出席した。会議は各県
3 .県内の医事紛争の処理状況について
医師会の医事紛争担当役員、顧問弁護士などが出
前回委員会は平成15年 3 月13日に開催してお
席し、提出された議題についての意見交換、質疑
り、それ以降の取扱い状況について資料説明を行
応答が行われ、それに対し日本医師会から宮坂常
い、今後の取扱い方針などについて協議、意見交
任理事、畔柳弁護士、中沢医賠責対策室長から適
換を行った。
宜コメントがなされた。
詳細については鳥取県医師会報第580号(平成
15年10月号)に掲載している。
平成15年度の処理状況では、新規発生 6 件、処
理事案は解決 2 件(新規分)、応訴中 1 件(継続
分)、折衝中 6 件(継続分 2 件、新規分 4 件)と
なっている。
意見として、事例について会員へフィードバッ
クする方策を検討すること、入院時現症などを家
族に記載してもらうこと、救急車依頼で異常の場
合は消防が警察へ通報し検死となるケースもあ
る、死亡したらCTを撮ることの検討、などがあ
った。
2 .都道府県医師会 医事紛争担当理事連絡会の
出席報告〈岡本委員〉
4 .その他
11月20日、日本医師会館において開催された坪
現段階で県内の積立金は480万円である。平等
井会長のあいさつに続き、宮坂常任理事の司会で
性を保ちながら有効活用について更に検討してい
議事、日医医賠責保険の運営に関する経過報告、
くこととした。
鳥取県医師会報 04.4 No.586
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自浄作用活性化を考える
医療安全対策委員会
■ 日 時
平成16年 3 月18日(木)
午後 4 時30分∼午後 5 時50分
■ 場 所
鳥取県医師会館 鳥取市戎町
■ 出席者
長田委員長、村上副委員長
大石・野島・長谷川・米本・栗原・岡本・富長各委員
(オブザーバー)細田・魚谷両西部副会長
めて各医療機関から提出されている事例をどのよ
挨 拶
うに会員へフィードバックしていくのか等を中心
長田委員長、村上副委員長から挨拶があった。
行った。主な意見は下記のとおりであった。
議 事
1 . 2 /21
に、資料を参考にしながら、ディスカッションを
・現在、本会では、日本医師会・厚生労働省・県
セミナー「医療機関の“危機管理”
」
出席報告
野島委員から、 2 月21日(土)日医会館におい
て開催された標記セミナーについて報告があっ
から、医療安全に関する文書などが届いたら、
迅速に会員へ広報するように心がけている。今
後も継続していきたい。
・地区医師会、県医師会レベルで各医療機関にお
た。田中正博氏(田中危機管理・広報事務所長)
けるヒヤリハットなどのインシデント・アクシ
による講演「医療機関における危機管理のあり方
デントレポートの情報収集をするのは、困難と
―クライシスコミュニケーションとマスコミ対
思われる。今後は、情報のフィードバックをす
応」のあと、活発な質疑応答が行われた。
るにしても、無床診療所は院長で対応すること
内容の詳細については、県医師会報第585号
(平成16年 3 月15日号)へ掲載する。
がほとんどのため、病院、有床診療所を中心に
考えていくべきではないか。
・講演会・研修会を開催しても一時的に意識は高
まるが、すぐに忘れる傾向がある。職員に対し
てどのように対応すべきか、お互いにコミュニ
ケーションをとるなど、日常的努力が必要であ
る。
・今後は、「医の倫理」についても、検討してい
く必要がある。
・大学では、苦情に関して投書システムがあり、
名前が書かれていないことが多いが、対応した
看護師にも確認している。その内容を待合室な
2 .鳥取県医師会医療安全対策について
本会における医療安全対策について、今後どの
ような方向性ですすめばよいのか、医事紛争も含
鳥取県医師会報 04.4 No.586
18
どに掲示して皆に周知している。挙がってきた
事例をまとめてフィードバックすることが大事
である。
・病院の看護師の立場からみると、病棟の再編成
ット事例が多い。医師、看護師以外でも参加で
などで混合病棟となり、医師が看護師の氏名を
きるような事例の発表があった方が、皆が参加
なかなか覚えてくれない状況があり、コミュニ
しやすい。
ケーションがとりにくく、信頼関係が難しい場
合がある。
・ポケットマニュアルを作成し、始業時にそれを
見て確認している。
・日常診療のなかで、二重、三重のチェックをど
のようにしているのかなど、総論よりも各論を
・県の医療相談窓口「医療相談支援センター」と
の情報交換、連携を図っていく。
重視していった方がよい。
・会員にフィードバックするシステムを作ること
が必要だが、その前に自主努力をすることも必
要。
3 .今後の活動方針について
議事 2 で議論したことを基本として、今後の本
委員会の活動方針について資料を参考にしなが
・医師がインシデント・アクシデントレポートを
提出しないことが多いため、報告を義務づける
ようなシステムが必要。提出しない場合は看護
師長から言っていただく。
ら、ディスカッションを行った。今後は以下の事
項を中心に進めていくこととした。
( 1 )県医師会として、県内各医療機関からヒヤ
リハット事例、インシデント・アクシデントレ
・新聞報道された医療過誤の記事を切り抜いて、
病院内の委員会で説明している。
ポートを集約し、会員に還元する。
( 2 )特に病院では、患者さんとのコミュニケー
・マニュアルに頼りすぎると、かえってよくない
ション不足が挙げられる。保険指導と関連する
場合があり、咄嗟の判断が出来ないことがある。
が、最近は記録(カルテ)が疎かになっている
マニュアルは教科書として参考にしていただき
と思われるので、今後はきちんとしていく必要
たい。
がある。
・講演会・研修会を開催し、病院の事例について
も発表していただき、会員の参考にする。また、
病院内では、薬剤部において、結構、ヒヤリハ
( 3 )医療安全に関する新情報を会報等に随時提
供し、会員へ啓発していく。
( 4 )医療安全に関する研修会を開催する。
お ね が い
1995年に設立した「鳥取いのちの電話」は 1 日 9 時間の相談時間で、年間約6,500件の相談に
対応しているのが現状です。
ただ、会費の継続的固定化が困難であり、その上、昨今は寄附行為も少なく、平成15年度の終
り 3 ヶ月間は事業の運営に支障が生じてしまいました。急遽、県医師会・各地区医師会・奉仕団
体などのご支援を頂き急場を凌ぎました。
医師会の先生方にはご協力を戴いていまして厚くお礼申し上げますが、更に多くの方々に継続
会員としてご支援を頂きたく、県医師会報をお借りしてお願い申し上げます。
御家族、従業員、お知り合いの方々にも声をかけて頂ければ最上の喜びです。(振替用紙をご
利用下さい)
鳥取いのちの電話 理事長 米本哲人
鳥取県医師会報 04.4 No.586
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准看護師制度は存続する
平成15年度医師会立准看護師養成所教務主任連絡会議報告
米子看護高等専修学校教務主任 松 下 道 子
■ 日 時
平成16年 3 月12日(金)
■ 場 所
日本医師会館 小講堂 文京区本駒込
■ 出席者数
152名
開 会
羽生田常任理事の司会で進行
挨 拶
午後 1 時∼午後 4 時
注目したい。
2 .「新人看護職員の臨床実践能力の向上に関す
る検討会」報告
看護教育における卒後教育の必要性からそれぞ
石川副会長が会長の挨拶代読
れの施設で行われている新人研修を標準化するた
要旨:この会は、平成12年から始まって 4 回目
めの到達目標と指導指針が示された。
となった。医療の現況は、制度の改革、株式会社
の参入、派遣業の介入、混合診療の問題、外国か
また、研修担当者に対する講習会の実施のため
の予算案がだされている。
ら医療職員導入など混沌としてきている。わけて
も外国人看護職員の導入には、看護協会と共に反
3 .FTA(自由貿易協定)
対の意を表明している。医師会は、あくまで、准
タイやフィリピン等から、看護師、介護師等の
看護師養成を堅持し、患者の心がわかる、日本の
日本での就労機会の拡大を要望されている。日本
看護者を供給していきたい。患者とコミュニケー
政府はこの医療分野の人材受入れの環境整備を検
ションできる心やさしい准看護師を育てていって
討していく必要があるとの見解である。少子高齢
ほしい。
化の中、労働力を外国に安く求めようとする事に
報 告
柳田常任理事により看護職養成を巡る動向につ
いて
は柔軟に対応しようというものであるが、医師会
では反対していく。
また、イギリスでは准看護師制度を廃止後、看
護職が減少し、外国から雇い入れ(引き抜きもは
げしく)賄われている。その為、自国で養成しな
1 . 2 年課程通信制開始
准看護師から看護師への移行教育について、こ
の通信制は、平成10年来審議検討されたが、よう
やく16年 4 月に 3 校の開設にこぎつけた。カリキ
ュラムも緩和され、業務に従事しながらでも充分
学習できる内容となったようである。准看護師と
して10年の業務実績があれば、入学資格になると
いうことであり、希望者も多く今後の活動状況に
鳥取県医師会報 04.4 No.586
20
がら、海外流出により深刻な看護職不足を招いて
いる国もあるという話であった。
講 演
演題 「今、看護教育に求められること
──准看護師教育の課題と展望──」
講師 静岡県立大学短期大学部看護学科教授
関根 龍子
准看護師制度の是非を論じられて久しいが、講
ルに差がありすぎることが、卒業後の臨床現場で
師は准看護師を容認する立場で、看護師教育との
様々な問題を生じ、「看護基礎教育における技術
違いをあきらかに、今後の課題について講演され
教育のあり方に関する検討会」が開かれた。そこ
た。
で基礎看護技術の水準が示され、それを元に各学
要旨:看護師と准看護師の教育の差は卒業時の
校は技術教育の到達目標を設定できるようになっ
到達目標で明確にしておくべきである。講義や実
てきた。この基礎看護技術についていえば、看護
習時間に差がある以上当然のことであるが、カリ
師と准看護師教育に違いがあってはならない、同
キュラムが改正され、質の向上の元に、あたかも
じことができるように教育して卒業させるべきで
同等にならなければならないかのように、教育す
あろう。
る側が錯覚しているのではないか。進学してくる
学生をみて懸念している。到達目標を吟味し、准
看護師として身につけておく必要のあることを確
実に学ばせなければならない。
意見交換
事前に意見は提出されており、どこの学校も同
じような問題を抱えているため、活発な質問、検
昨年、「静脈注射の実施に関する指針」が出さ
討の場となった。「准看護師制度がなくなるので
れ、そのための教育整備が行われたが、学校では
はないか」との問い合わせが増えている。(当校
正しい知識、技術を持った者が実施しなければな
でも同じ)正しく認識できるように指導願いたい
らないという認識を持たせることが大切である。
との要望には、理事より今後の対策について説明
学校、教育課程によって、技術教育の到達レベ
があった。
鳥取県医師会における喫煙健康被害
予防キャンペーンについて
(ご協力のお願い)
鳥取県医師会は、平成14年 5 月16日より会館(鳥取市戎町)を全館完全禁煙といたしました。
また、下記の通り、会員の先生方のご理解とご協力を得まして、喫煙健康被害予防に取り組んで
まいりたいと存じます。
1 )会員の医療機関において、分煙化・禁煙化が推進されるようご協力お願いいたします。
2 )禁煙を目指す住民の方への医療指導を多くの医療機関において取り組んでいただくようお願
いいたします。
3 )地域において、住民団体、職域団体等から「健康講座」をお引受けになる際、なるべく喫煙
健康被害予防の重要性にふれていただくようお願いいたします。
鳥取県医師会報 04.4 No.586
21
平成15年度
情報ネットワーク特別委員会報告書−1−
本委員会は長田会長より、平成15年 5 月 8 日開催の委員会において、以下の諮問を受けました。
情報化(IT)の進展は、目覚ましいものがあり、鳥取県医師会としても情報技術をさらに普
及させることが重要である。
したがって、「鳥取県医師会の高度情報化への対応」として、下記の項目について、鳥取県医
師会の実態を踏まえ、情報化の技術的な視点から、貴会の意見を求める。
記
( 1 )鳥取情報ハイウェイを活用した地域医療ネットワークの構築
( 2 )生涯教育の単位登録等を含めた会員情報管理システムの構築
( 3 )遠隔会議システムの導入
ここに、一年間にわたる本委員会での検討結果を取りまとめましたので、報告書として提出い
たします。
平成16年 2 月
鳥取県医師会情報ネットワーク特別委員会;安陪隆明、中山裕雄、石津吉彦、河本知秀
阿部博章、野坂美仁、近藤博史、中井一仁
( 1 )鳥取情報ハイウェイを活用した地域医療ネ
ットワークの構築
1 .鳥取県で実現されるべき地域医療ネットワー
クとは?
鳥取県の特性や実情、さらには医療情報の特殊
スが受けられているとは言えない。
b.医療機関の機能分化が進んでおらず、患者の
フローは必ずしも効率的とは言えない。
c.地域における診療情報の共有が進んでいない。
d.県民の健康に関する情報(疾病と医療、検診、
性を把握し、実現すべきシステムについての概略
医療機関情報等)が不足している。
をつかむ。
これらを解決する手段としてIT技術を活用し
た医療情報システム・地域医療ネットワークがあ
1 − 1 .鳥取県の特性と鳥取情報ハイウェイの位
置付け
り、さらにそれを支える有力なインフラの一つと
して鳥取情報ハイウェイがある。
本県においては、以下のような問題点が存在す
る。
1 − 2 .鳥取県において実現されるべき姿
a.医療資源の不均等な分布がある。即ち中山間
a.地域(患者と医療機関・医師)での診療デー
地を多く抱え、過疎地域では充分な医療サービ
鳥取県医師会報 04.4 No.586
22
タの共有(参加型医療の実現)
患者と医師の診療データの共有により、医療に
とプライバシーの保護(個人情報の自己コント
関して「より深い説明と同意の形成」を可能とす
ロール権と目的外使用の禁止を含めて)が必要
る。また医療機関同士の診療情報の共有により、
である。
一人の患者に対して「地域の複数の医療機関によ
d.救急や感染症に県境はなく、県境で止まって
る専門性を生かした効率的で質の高い医療サービ
しまうシステムであってはならない。
スの提供」を可能とする。「病院医療からネット
ワークに支えられた地域医療への流れ」をすすめ
2 .実現されるべき医療のシステムとネットワー
ク
る(病院医療から地域医療へ)。
b.遠隔医療システムの構築による医療サービス
の地域格差の是正
c.医療機関情報の開示による医療資源の効率的
1 で掲げた本県の特性に基づき、実現に向けて
努力すべきシステムとネットワークを個別に取り
上げ、実現する過程において明らかにすべき問題
な活用
点を挙げる。またその中で鳥取情報ハイウェイが
医療を求める人に「効率的でより良い医療を受
果たしうる可能性について述べる。
けるための道筋」を示す。結果として、医療機関
の機能分化の推進と効率的な医療が提供されるよ
2 − 1 .医療機関情報の提供
うになるものと思われる。
d.医療機関における医療安全システムの構築と、
現在、医療機関情報の開示については、種々の
団体によって様々な取り組みがなされている。そ
それらを繋いだ地域医療安全ネットワークによ
の例として以下のようなものがある。
るサポート
a.鳥取県の取組、県内の病院を対象にした医療
e.参加型医療を支えるために、県民への健康に
関する情報を提供し「患者・医師間の医療に関
機能調査の公開
b.第 3 者評価機関である(財)日本医療機能評
する情報の非対称の解消」をめざす。
価機構による評価と開示
c.各地区医師会の取組(東部医師会・西部医師
1 − 3 .医療情報システムの特異性
1 − 2 を実現するために、医療情報システムの
会)
d.民間企業におけるビジネスとしての医療機関
特異性について理解しておかなければならない。
a.医療のIT化は、業務の効率化・経営の合理化
など利潤を目的とした他業種のIT化とは異な
情報提供
e.患者団体による医療機関情報の提供
f.健保連など保険者
る側面を持つ。医療のIT化の目的は、IT技術
医療機関情報の開示はこれからますます進んで
を活用することによって初めて可能となる「効
行くであろうが、医師会や自治体はより信頼でき
率的で開示された安全な医療の提供」である。
る情報を提供する体制を作っていかなければなら
b.電子カルテシステム・医療安全システムなど
ない。情報の客観性・真正性の担保は困難であり、
の医療機関のIT化は、投資に見合った利潤を
地域において第三者機関など医療機関の評価を公
産まない。一方、医療機関経営はひっ迫してお
正に出来るシステムの確立がまず必要である。い
り、医療機関のIT化への投資意欲は失われて
くつかの大切なポイントを以下に挙げる。
いる。この様な状況の中では、医療機関にシス
テムを導入しやすい環境を提供すべきである。
c.取り扱う情報がきわめてプライベートなもの
である。他業種のシステム以上にセキュリティ
医療機関情報開示を実施する場合の大切なポイン
ト
a.この流れが進むと、患者(消費者・クライア
鳥取県医師会報 04.4 No.586
23
ント)の医療機関選択に関する眼は賢くなり、
の医療に関する情報の標準化が必須である。しか
医療機関側も一定の機能に分化が進むであろ
しながらこの実現には困難な面も多く、現時点で
う。
はとりあえず各基幹病院で提供されるネットワー
b.ただしウェッブによる医療機関情報開示が誤
クや各診療所に導入されるシステムが、お互いに
った患者誘導を惹起し適切な地域医療提供体制
情報交換可能になるような標準的な仕様に従って
を阻害する事の無いようにしなければならな
設計されるように努力すべきである。また全ての
い。あくまで「ゲートキーパーはウェッブでは
医療機関がネットワーク上で情報を共有するため
なく、かかりつけ医の仕事」である。つまり、
のソフトウェアの開発と費用の問題もある。
医療資源の効率的な分配ができるシステムにす
医療機関の壁を越えた電子カルテによる医療情
る必要がある。設備やスタッフだけを挙げれば
報の共有化が実際はなかなか進んでいない状況に
登録データの内容は大規模病院ほど有利になり
あるが、「現時点で何が出来るか?」という質問
その方向へ患者が誘導される。そうではなくて、
に対する回答として「電子的な診療支援ソフトな
かかりつけ医と専門医のネットワークで裏打ち
どによるサマリー情報の共有」という一つの方向
された地域の医療体制を推進できる方法を考え
が示されている。その一方で、一部の医師会では
る必要がある。
(病院医療から地域医療へ)
情報ネットワークによるサマリー情報の共有が大
c.広告規制の問題。
きな成果を上げている。プレインテキストによる
サマリー情報は、EBM等への応用が効かないと
2 − 2 .診療情報の共有
いう欠点を持ちつつも、上記の欠点がなく、容易
a.地域の基幹となる医療機関のネットワーク
に電子化・ネットワーク化でき、その効果も高い
地域における診療情報の共有については、本県
ため、現時点ではもっとも現実的な各個人の医療
においても地域の基幹病院が核となったスター型
情報の共有手段のひとつであると考えられる。ま
のネットワークの提供が始まってきている。しか
た上記のような診療情報の紹介先医療機関への提
し地域における患者情報共有のための基盤は、特
供(共有)は、主治医と患者の同意の下に行われ
定の行政機関や医療機関が提供するシステムだけ
る必要がある。提供を受けた医療機関は、提供さ
に依存すべきではない。なぜならば、それではネ
れた情報に関して、その情報の帰属が明示される
ットワークの広域化や多病院を含んだシステムに
方法を講じた上で活用しなければならない。
発展できないからである。また地域の要求より、
c.診療情報の管理
その機関・病院の事情(システムの要求)が優先
このようなネットワークにおける診療情報の管
される事態も生じうる。さらに基幹医療機関とサ
理について、患者さんの診療情報はその個人と医
テライト医療機関という関係にまで進むと「患者
師(医療機関)の能動的な関係によって発生する
さんの囲い込み」と呼ばれる現象を招来する可能
ものであり、その医療機関とその患者さんで管理
性もあり、それは患者さんから選択の自由を奪う
されるべきものである。つまり国家や自治体が一
ことになる。
元管理すべきものではないと考えられる。従って
b.地域における診療情報の共有、一患者生涯一
充分なセキュリティのもと、個人情報保護の理念
カルテを目指して
のもとに、それらが「希望されるときにいつでも
従って現在努力すべき事は、診療情報の共有の
開示されるインフラ」を民間が中心になって整え
最終目標である「地域における一患者生涯一カル
ることが大切である。
テ」の実現の為へのプロセスとなるべき活動であ
d.診療データベースの活用
る。そのためには診療情報を交換・共有するため
鳥取県医師会報 04.4 No.586
24
診療データの共有や収集は患者さんの了解のも
とになされるべき事であるが、その様にして収集
2 − 4 .さまざまな情報システム
された診療データのデータベースは、解析・利活
ここで述べる医療情報システムは、介護・保
用が可能なシステムとし、県民の健康支援、医療
健・福祉・防災・救急・感染症などの情報システ
機関の診療支援や経営支援、教育、研究などに役
ムと緊密に連携していなければならない。実際に
立つシステムにすべきである。また、日常診療の
一部の医師会では、空床システムや当直医・救急
医療の質を上げるために必要なことは、研究機関
診療情報システムなどに取り組んでいるところも
の最先端の情報や論文を把握するだけではなく、
ある。
日常診療の中で漫然と行われている医療行為にも
また、住民の検診データを疫学的に活用するた
見直すべき内容は無数にある。たとえば抗生剤の
めに、検診データ管理システム(住民健康管理シ
使い方や予防接種の進め方などを例に考えてみた
ステム)の構築が求められている。これらはセキ
場合、自分だけが使用方法や接種率の向上に努め
ュリティレベルが高い行政のイントラネットを活
ても限界がある。専門を越え、診療所や病院とい
用し、本人や自治体の許可のもとに(個人情報の
う枠も越え情報交換を行い、また一般住民への情
目的外使用に該当する)医療へ、疫学へ、保健へ
報提供も行ってゆく中で初めて効果が出ると考え
活用する道を開くべきである。自治体・医師会・
られ、そのような支援システムの構築が必要であ
医療機関のいっそうの連携が必要な分野である。
る。
e.ORCAプロジェクト
現在、日本医師会はORCAプロジェクトを推進
している。ORCAプロジェクトとは、互換性のあ
2 − 5 .本県の医療情報ネットワークの構築と鳥
取情報ハイウェイの可能性と問題点
a.ネットワークによる解決
る医療情報を安全に交換できるようにするプロジ
地域において物事を解決する手段としてのネッ
ェクトである。ORCAプロジェクトが進めば、認
トワークの重要性は、これからますます重要にな
証局・IPv6などにより医療機関を安全にネット
ってくる。県民の健康に関する事項について、県
ワークに接続でき、医療に関する情報の標準化も
民や医療機関・医師会・自治体を高速のネットワ
推進され、医療機関連携の推進に役立つ。さらに
ークでつなぎ合わせることは、そういう意味で大
そこで収集されたデータの解析・利活用が可能で
切なことである。また健康弱者は情報弱者である
ある。本県としてもこれを推進していくべきであ
ことが多く、特に健康弱者に軸足を置きすべての
る。
方が参加できるネットワークにする必要がある。
b.本県の地域的特徴
2 − 3 .健康に関する情報の提供
自治体・医療機関・医師会による疾病や健康に
本県には以下のような地域的特徴がある。i.
兵庫県北部は本県東部、岡山県北部は中部、島根
関する情報の発信は、患者と医師との医療に関す
県東部は西部とそれぞれの医療の交流がある。ii.
る情報の非対称を解消し、より良い医療サービス
鳥取県西部地震のような大災害に見舞われる可能
の提供を可能にする。また疾病の一次予防や育児
性がある。これらの特徴はネットワークを構築す
問題に関する情報の提供は、県民の健康な生活を
る上で考慮すべきである。救急ネットワークに関
実現する一つの手段となる。医療機関や医師会に
しては、通信衛星の併用など複数の多様な回線に
は、その様な情報の発信に関して提供できる人的
対応し、大災害に耐えるネットワークシステムに
資源がある。実際には、インターネット放送・
する必要がある。また感染症・救急などは情報が
CATVを活用した県民テレビなど鳥取情報ハイ
県境の壁を越えるシステムにする必要がある。
ウェイの活躍が期待される。
c.鳥取情報ハイウェイ
鳥取県医師会報 04.4 No.586
25
鳥取情報ハイウェイは、大容量の画像や動画な
否認、など多くの危険性がある。データは世界中
どを扱う遠隔医療の分野で大きなメリットがあ
の通信経路を流れていくため、どこで盗まれるか
る。例えばテレメディシンセンター(テレラジオ
分からない。またネットワークは「非対面」での
ロジー、テレパソロジーなど)を設置し、医療に
通信であり、通信相手が確かに自分の通信したい
恵まれない地域でも都市部と同じレベルの医療を
人か確認できない。従って医療情報ネットワーク
受けることができる環境の提供が可能となる。し
を構築する場合、認証技術による安全なネットワ
かしブロードバンドコンテンツが中心となる医療
ーク環境を構築する必要がある。
機関連携を成立させる前提条件として、ネットワ
ークされるすべての医療機関が、一定以上の帯域
幅を確保して鳥取情報ハイウェイと接続されてい
3 .地域医療ネットワーク構築において、構成者
のそれぞれが果たすべき役割
る必要がある。現状では、ギガビットという高速
地域医療ネットワークを構成する県民、自治体、
ハイウェイと繋がるのは県立病院や鳥取大学病
医療機関、医師会はそれぞれシステムを構築し、
院、また地域イントラネットを介してブロードバ
管理運営し、そして参加する。これらすべてのシ
ンドで繋がるのは公立病院や一部の公立診療所に
ステムは県民(患者)を指向し、県民(患者)の
限られる。それ以外の医師会・私立病院・診療所
利益となるべきである。構成者・参加者の役割を
がハイウェイと接続する場合は、ハイウェイへの
単純に切り分けることは出来ないが、それぞれが
接続の支払負担が生じる。従って、それを自治
中心になって果たすべき役割について述べる。
体・医療機関・医師会など誰が負担するかという
問題がある。またハイウェイ上で使用するソフト
ウェアの開発の問題もある(愛媛情報スーパーハ
3 − 1 .県・市町村に対する期待
すべてが参加できるネットワークインフラ(回
イウェイ医療VPNの例がある)
。
線・ハード・データ共有のためのソフトウェアの
d.全員参加型ネットワーク
開発を含む)の提供を期待する。その上で防災救
いずれにせよ大切な問題は、すべての医療機関
急システム・感染症情報システムなど緊急性・公
と情報提供を望むすべて県民が繋がらなければ地
共性の高い情報システムの構築・管理・運営をし
域における医療連携のネットワークは完結しない
て欲しい。また医師会や医療機関と協力し、診療
という事である。現状では、民間回線の補完的活
情報が共有できる環境の提供を考えて欲しい。ま
用・あるいは逆にハイウェイの補完的活用によっ
た医師会コンテンツとの連携と協力の上で健康に
て、希望するすべての医療機関を繋ぐ環境を整え
関する情報の発信を期待したい。民間にはできな
ることが必要である。以上の問題を踏まえて、現
いコンテンツの提供ができる。
時点で直ちに、医療情報サービスのすべてを鳥取
県情報ハイウェイに強くこだわって構築すること
は、あまり現実的とは言えない。よって、現在広
診療情報は、医療情報の特殊性・医療の専門
く提供されている低コスト低速のインフラのもと
性・医師の裁量権などを鑑み、行政ではなく医療
で徐々に構築を目指しながら、経済的な面での障
機関や医師会が中心になり、患者さんの参加を求
害要因が省かれた時点で、鳥取県情報ハイウェイ
めて管理すべきである。また診療情報を共有する
を取り込んで利用することが現実的と考えられ
ための手段や指針の提示についてリーダーシップ
る。
を発揮すべきである。日本医師会ではORCAプロ
e.安全なネットワーク
ジェクトや日医認証局などで一つの方向性を示し
ネットワーク上には、盗聴、改竄、なりすまし、
鳥取県医師会報 04.4 No.586
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3 − 2 .医師会や第三者機関が果たすべき役割
ている。またさまざまな地域医療ネットワークの
管理・運営に関与していくべきである。
医療機関の評価とその公開、そして医療安全シ
域のネットワークを構築し、それへ積極的に参加
する事である。
ステムの管理運営については、第三者機関の設立
が必要である。
すぐにでも取りかかる課題として、行政と協力
3 − 4 .県民の参加
ネットワークの主役である県民の参加なくして
して「鳥取県の医療情報ポータルサイト」を立ち
地域医療ネットワークは成立しない。そのために、
上げ、その運営・管理をしていくべきである。鳥
自治体・医師会・医療機関による健康情報(診療
取県医師会、および鳥取県東部医師会、鳥取県中
録、疾病に関する情報、疾病予防に関する情報、
部医師会、鳥取県西部医師会では、Webページ
育児に関する情報、検診に関する情報、感染症情
を立ち上げ、一般市民への情報サービスや会員へ
報、など患者さんの望む情報を)の開示・発信を
の情報サービスを行っている。しかしこれらの内
進めなければならない。
容が十分一般市民に知られているとは言えない。
県民参加のために双方向性の、県民の望む魅力
また鳥取県や、各市町村が出す医療方面の情報サ
あるコンテンツづくりが必要である。また情報弱
ービスにしても、各Webサイトの各行政窓口に
者・健康弱者が参加できるやさしいネットワーク
分かれており、全体を把握しにくい状況にある。
づくりが必要である。
「どのような医療情報サービスを行うか」とい
う問題以前に「どのようにしたら医療情報サービ
スを得ることができるのか」という大きな問題が、
4 .ネットワーク社会の中の医師会
21世紀のネットワーク社会において、この報告
一般市民にも医療関係者にも存在している。この
書に掲げたような役割を医師会が担うことが出来
ため、まずこの問題を解消するために、「鳥取県
るであろうか? 医師会組織は情報通信革命とい
の医療情報のポータルサイト」とでも言うべきも
う社会の大変革の中で「前情報化時代の階層構造」
のを、医師会側と行政が共同で創設運営していく
からの脱却を躊躇しているように見える。
必要性がある。そしてそれはネット上に氾濫する
情報化が進む以前から、医師会組織は「日本医
医療情報に保証を与える機能も果たすことにな
師会」「都道府県医師会」「地区医師会」「会員」
る。
という階層構造(クライアント・サーバ型組織)
「 2 − 2 .診療情報の共有」で掲げたORCAプ
によって支えられてきた。末端からの情報は段階
ロジェクトの推進に関して、医師会はさらに積極
的に集約されて日医に伝えられた。日医からの情
的に関与していくべきである。
報は逆の道をたどりながら会員へ伝えられた。情
報が紙の時代にこの方式は組織を支える効率的な
3 − 3 .医療機関が果たすべき役割
方法であった。しかし社会全体のIT化が進み、
それぞれの医療機関は、これから自らを中心に
それに伴う住民の意識変革が進むにつれて、それ
据えた地域への独自なスター型ネットワークを提
に対応した医師会組織の変革が求められる。この
供していくであろう。それは患者が閲覧可能なウ
対応が遅れると、社会の動き・会員の動きへの対
ェッブ型電子カルテ、外来予約システム、地域の
応が遅れ、情報の流れが滞り、組織が硬直化して
医療機関に向けた患者情報共有システム・患者紹
くる可能性がある。
介システム・検査依頼システムなど、多岐にわた
るであろう。
そして最も重要なことは、これらの個々のスタ
ー型ネットワークをつなぎ合わせる更に大きな地
それではネットワーク化社会に適合できる組織
とはどんな組織であろうか?
a.外部に開かれた組織である。
b.たゆまぬ情報開示がなされ、公開された豊か
鳥取県医師会報 04.4 No.586
27
な情報を迅速に共有できる組織である。
(フラットなピアツピア型組織)を考えていかな
c.開示された情報に基づいて、際限なく合意形
ければならない。それは私たち自身が「社会のネ
成という作業を繰り返すことが出来る組織であ
ットワークに対してオフラインの医師からオンラ
る。
インの医師になる」ことを意味し、医師会が孤立
d.以上の前提の上で力強いリーダーシップを発
した医師だけの集合体から、市民を巻き込んだネ
揮できる組織である。
ットワークコミュニティに変貌することを意味す
私たちはネットワーク社会に適応した組織作り
る。
『鳥取県臓器移植実務者会議』設置・開催報告
(財)鳥取県臓器バンク
日頃、貴会会員の皆様には、(財)鳥取県臓器バンクの活動に御協力を賜り、厚くお礼申し上
げます。
鳥取県臓器バンクでは鳥取県の協力を得て、平成15年度より『鳥取県臓器移植実務者会議』を
設置いたしました。これまで施設毎に講演のお時間などをいただいてきましたが、この会議では
移植側・提供側の両方が意見交換することを目的としています。16施設より医師、看護師の約30
名の方々に構成員として参加していただくことができ、平成15年度は 6 月と12月に開催しました。
会議では臓器提供について、様々なご意見をいただいています。「医療従事者からの働きかけ
がないと増加しない」「医療の現場ではいつ、どのように臓器提供についての話をするのか、判
断が難しい」
「意思表示カードの問いは、患者様の意思を確認する上でも重要である」などです。
また、この会議の意見を受けたポスター、パンフレットなども作成するなど、鳥取県民の方々
への啓発に生かすことのできる貴重なご意見もいただいています。
臓器移植は提供側の協力が欠かせません。臓器移植を望んでいる方々のために、今後もこの会
議を生かした活動を続けて行きたいと思います。
(財)鳥取県臓器バンク 〒680−0011
鳥取市東町 1 丁目 鳥取県医務薬事課内
移植コーディネーター 大谷昭子
TEL 0857−26−8306
FAX0857−21−3048
e-mail:[email protected]
http://www.h4.dion.ne.jp/~t-zouki/
鳥取県医師会報 04.4 No.586
28
病院めぐり
(26)
(26)
垣 田 病 院
清和会垣田病院は昭和54年に旧倉吉市内より、
上井地区に移転しました。その後、安全、安心な
医療と快適な療養環境を提供するという理念のも
とに、増改築を重ね、緑に包まれた病院らしくな
い病院として親しまれてきました。また平成15年
より中部地区の心筋梗塞を始めとする循環器救急
医療に対応すべく循環器科を新設いたしました。
がらのカロリー計算、糖尿病についての講演など
盛りだくさんの内容ですが多くの参加者があり楽
しく学んでもらっています。また年に一度の野外
糖尿病教室ではハイキングを行い、互いの親睦を
これにより、従来より力を入れていた糖尿病を中
深めています。教育入院も積極的に行い糖尿病療
心とした生活習慣病の治療から、合併症としての
養指導士の資格を持つ管理栄養士が栄養指導を行
動脈硬化性疾患、とくに虚血性心疾患の急性期治
い、同時に積極的な運動療法も取り入れています。
療、また急性期治療後のリハビリテーションと社
循環器科:狭心症、急性心筋梗塞、心不全など
会復帰という一貫した治療体制が整うこととなり
の循環器疾患の専門的な診断と治療を行っていま
ました。当院は一般病床86床で、内科、循環器科、
眼科、整形外科、神経内科の 5 つの科からなりま
す。病棟はバストイレ付き個室を多く設置し、絵
画、四季の花を様々に配して、明るい雰囲気とな
っています。
内科は一般内科としての消化器内視鏡検査、腹
部エコー、CT検査等はもちろん糖尿病を中心と
した生活習慣病の予防、治療を行っています。月
3 回の食事会、糖尿病教室では実際に食事をしな
鳥取県医師会報 04.4 No.586
29
ビリテーションにも力を入れ、脳血管障害等の早
期リハビリテーション、心筋梗塞後のリハビリテ
ーションを行っています。
す。心臓専用のシネアンギオ装置を用いて、カテ
ーテル検査、インターベンション治療を行い、昼
夜を問わず救急にも対応しています。不整脈疾患
に対する電気生理学的検査、ペースメーカーの植
医療法人清和会は老人保健施設“うつぶき”、
え込みも多くの症例を手がけています。心カテ室、
在宅介護支援センター、訪問看護ステーション、
カテーテル検査、治療の見学はいつでもできます。
ホームヘルパーステーションを併設しており、地
お待ちしております。
域の方々の在宅療養の手助けとなるべく努力して
います。 4 月からは隣接地にケアハウスを新たに
オープンし医療から福祉までいっそうの充実をは
かっています。
今後、生活習慣病の予防から急性期循環器疾患
の救急治療、それに続くリハビリテーション、社
会復帰までの一貫した治療を目指し、地域の開業
の先生方との連携を緊密にしていきたいとおもい
ます。安心、安全、快適な医療サービスを提供す
べくスタッフ一同さらに勉強、努力して参りたい
眼科:高齢化、糖尿病患者の増加に伴い、網膜
症、白内障の症例が多く光凝固術、白内障手術等、
数多く手がけています。
一方在宅療養、社会復帰への橋渡しとしてリハ
鳥取県医師会報 04.4 No.586
30
と思いますので御指導よろしくお願いいたしま
す。
(院長 坂本 雅彦)
日医よりの通知
インスリン自己注射用注入器「オプチペンプロ 1 」による過量投与の防止について(緊急
安全性情報)
〈16.
3.
5
地Ⅰ269F
日本医師会常任理事 櫻井秀也〉
昨年12月に発売されたアベンティスファーマ株式会社のインスリン自己注射用注入器「オプチペンプロ
1 」において、不適切な操作が行われた場合に過剰投与となるおそれがある不具合が 7 例報告されたこと
から、厚生労働省ではアベンティスファーマ株式会社に対して、添付文書の改訂及び医療機関等への緊急
安全性情報の配布を指示し、患者に対しても適切な使用方法を周知徹底するよう指示いたしました。
なお、アベンティスファーマ株式会社では、先月、本件とは別に「ランタス注キット300」の自主回収
を行っており(本年 2 月 6 日付(地Ⅰ239F)の文書をもって貴会宛通知済み)、その際には今回の「オプ
チペンプロ 1 」への使用切り替えを推奨していたところであります。
つきましては、取り急ぎFAXにて情報提供いたしますので、貴会におかれましても本件についてご了
知いただくとともに、貴会会員への周知方につきご高配賜りますようよろしくお願い申し上げます。
なお、本緊急安全性情報は、日本医師会雑誌の平成16年 4 月 1 日号に掲載される予定であることを申し
添えます。
感染性廃棄物の適正処理について
(
「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」の改正)
〈16.
3.
24
地Ⅰ284
日本医師会常任理事 羽生田 俊〉
医療機関等から排出される感染性廃棄物につきましては「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニ
ュアル」に従って処理されているところですが、このマニュアルにおいては感染性廃棄物を血液・体液・
病理廃棄物等に関連したものとして定義しており、また一部のものに関しては専門知識を有する者(医
師・歯科医師・獣医師)によって感染の危険性がないと判断された場合には、感染性廃棄物とする必要は
ないとされておりました。しかしながら、医師が感染性がないと判断しても業者が収集を拒否する事例が
見られたり、行政改革推進本部規制改革委員会(現内閣府総合規制改革会議)が平成12年12月にまとめた
「規制改革についての見解」において、感染性廃棄物の判断の多くを医師等に委ねており判断基準が客観
性を欠いている等の指摘がなされたことから、環境省では平成13年11月に「感染性廃棄物処理対策検討会」
を設置し(本会より小職が出席)、感染性廃棄物の判断基準の客観性の向上等について検討を重ねてまい
りました。本会でも、
「廃棄物に関する検討委員会(プロジェクト)
」を設置し、この問題に取り組んでき
たところであります。
今般、検討会において別添の通り改正マニュアルがまとめられ、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対
策部長より各都道府県知事等宛に通知されましたので、その写しをお送り申し上げます。
改正マニュアルでは、感染性廃棄物を原則として①形状②排出場所③感染症の種類 の観点から判断し、
またこれらの観点から判断できない場合であっても、血液等その他の付着の程度やこれらが付着した廃棄
物の形状・性状等の違いにより、医師により感染のおそれがあると判断される場合は感染性廃棄物とする
こととなりました。また、非感染性の廃棄物であっても、鋭利なものについては感染性廃棄物と同等の取
扱いをするとされております。
鳥取県医師会報 04.4 No.586
31
また前述の通り、非感染性廃棄物であっても外見上感染性廃棄物との区別がつかないこと等から感染性
廃棄物とみなされ、トラブルが生じることがあることから、医療機関等と処理業者との信頼関係を構築し、
医療機関等が責任を持って非感染性廃棄物(感染性廃棄物を消毒処理したものや、判断基準に基づき非感
染性と判断されたもの)であることを明確にするために、容器に「非感染性廃棄物ラベル」を貼付するこ
とを推奨しております。
つきましては、貴会におかれましても、本件についてご了知いただくとともに、貴会会員への周知方に
つき、ご高配のほどよろしくお願い申し上げます。
なお、産業廃棄物の処理を委託するにあたっては、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付及び確認
が義務付けられておりますので、各医療機関において確実に履行されますよう、重ねてお願い申し上げま
す。
県よりの通知
医療機関における医療事故の報告について(通知)
〈16.
3.9
医第1955号 鳥取県福祉保健部長〉
医療安全対策の目的は、事故の発生予防・再発予防であり、医療事故が起こった場合には、事故の原因
を分析し、必要な改善策を立てるとともに、当該事故に係る情報を医療機関が共有し、事故が再発しない
よう取り組むことが重要です。
ついては、医療事故報告基準を別紙のとおり定めました。各医療機関においては、趣旨を十分御理解い
ただき、万が一医療事故が発生した場合には、その概要について速やかに報告をしていただきますよう貴
会会員に周知をお願いします。
なお、県に報告があった医療事故報告書は、鳥取県情報公開条例(平成12年鳥取県条例第 2 号)に基づ
き開示請求があった場合には、開示することとなります。
また、「医療機関における医療事故等の報告について(平成14年 1 月30日付医第1454号鳥取県福祉保健
部長通知)
」は廃止します。
担当:医務薬事課医療行政担当 川本 電話(0857)26−7189
医療事故報告基準
1
用語の定義
( 1 )医療事故:医療にかかわる場所で、医療の全過程において発生する人身事故一切をいう。
廊下で転倒した場合のように医療行為とは直接関係しないもの、また、医療従事者が
業務を遂行する過程で心身に被害を受けた場合も含む。
( 2 )医療過誤:( 1 )のうち、医療の遂行において、医療従事者が当然払うべき善良なる管理者として
の注意義務に違反して、患者の心身に何らかの被害を発生させた行為をいう。
ただし、医療水準に適合した最善の注意義務を果たしていれば医療過誤にはならない。
鳥取県医師会報 04.4 No.586
32
2
医療事故の分類
区 分
患 者 へ の 影 響 の 内 容
レベル 1
レベル 2
3
患者本人、医療従事者等の行為により何らかの影響を与えた可能性があり、観察の強化や心身
への配慮が必要な場合
患者本人、医療従事者等の行為により何らかの変化が生じ、観察の強化及び検査の必要性が生
じた場合
レベル 3
事故により治療の必要が生じた場合、また治療のため入院日数が増加した場合
レベル 4
事故による障害が長期にわたって続く場合
レベル 5
事故が死因となった場合
県へ報告を要する医療事故
2 の分類に基づく、医療過誤による次の医療事故
( 1 )レベル 4 、レベル 5 の医療事故
( 2 )レベル 1 ∼ 3 の医療事故が多数の患者に対して発生するなど、病院の医療安全管理上重大であると
判断される場合
4
報告先……各所管保健所長
5
医療事故の報告後の対応
( 1 )改善報告書の提出
医療事故報告を行った医療機関は、当該医療事故に対する改善策、対応策をまとめて各所管保健所長
に報告する。
( 2 )各病院及び医師会への情報提供(フィードバック)
各病院及び医師会へ医療事故及び改善策の概要を通知する。
妊婦・乳児一般健康診査費の単価の改正について(通知)
〈16.
4.
6
健第66号 鳥取県福祉保健部健康対策課長〉
このことについては、診療報酬点数表の改正により、平成16年 4 月 1 日以降については下記のとおり単
価を改正することとしていますので、会員各位への周知方よろしくお取り計らいください。
妊婦・乳児一般健康診査費
項 目
(円)
改正後
改正前
妊婦一般健康診査( 1 回につき)
6,420
6,340
妊婦一般健康診査でHBs抗原検査を併せて実施の場合( 1 回につき)
6,760
6,720
妊婦超音波断層検査( 1 回につき)
5,500
同左
乳児一般健康診査( 1 回につき)
5,620
5,520
多胎妊娠妊婦健康診査( 1 回につき)
5,780
同左
鳥取県医師会報 04.4 No.586
33
お知らせ
日本医師会認定産業医新規申請手続きについて
標記の件について、平成16年度第 1 回申請受付期間は、 4 月10日∼ 5 月10日までとなって
います。申請される先生は、本会より書類用紙を取り寄せ、事務手続きの都合上、 5 月 7 日
までに下記によりお申込み下さい。
記
【資格】
・日本医師会認定産業医制度指定研修会基礎研修50単位(前期研修14単位、実地研修10単位、
後期研修26単位)を修得した者
※前期研修(14単位)については、下記の項目が必須となりますので、各項目に記載され
ている単位数の研修を必ず修得して下さい。
( 1 )総論 2 単位 ( 2 )健康管理 2 単位 ( 3 )メンタルヘルスケア概論 1 単位
( 4 )健康保持増進 1 単位 ( 5 )作業環境管理 2 単位 ( 6 )作業管理 2 単位
( 7 )有害業務管理 2 単位 ( 8 )産業医活動の実際 2 単位
【提出物】
1 )日本医師会認定産業医新規申請書
2 )産業医学研修手帳(Ⅰ)
3 )申請料 1 万円
〔銀行振込口座〕
鳥取銀行本店 普通口座 No. 0362630
鳥取県医師会会長 長田昭夫
〔郵便振り込み口座〕
01290−9−14616
鳥取県医師会 〔現金書留〕
〒680−8585
鳥取市戎町317
鳥取県医師会産業医部会 〔その他〕
直接、鳥取県医師会事務局(鳥取市戎町)まで持参して頂いてもかまいません。
4 )以上のほか、日本医師会員外の医師の場合は「医師免許証の写し」が必要です。
【問い合わせ先及び書類提出先】
その他、ご不明な点がありましたら、お問い合わせ下さい。
TEL(0857)27−5566
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34
鳥取県医師会事務局(担当:岡本)
総額表示義務(平成16年 4 月から適用)
事業者(医療機関)が消費者(患者様)に対して、値札やチラシあるいはカタログなどに
よって商品等の価格をあらかじめ表示する場合には、消費税額を含めた支払総額の表示が義
務づけられます。なお、併せて税額や税抜金額を表示することは差し支えありません。
総額表示の具体的な事例 10,000円(本体価格)と500円(消費税)
○認められるもの
・10,500円 ・10,500円(税込)
・10,500円(本体価格10,000円)
・10,500円(うち消費税500円)
・10,500円(本体価格10,000円、税500円)
○認められないもの
・10,000円+税 ・10,000円(本体価格)
・10,000円+税500円
(注)消費者に対する価格表示であれば、値札やチラシだけでなく、次のようなものを含め、
全てが対象になります。新聞、雑誌、テレビ、インターネット、ホームページなどを利用し
たものなど
[参考]消費税が課税される医療に関連した項目
1 .特定療養費に関連するもの
・特別の病室(療養室)の提供のうちいわゆる差額ベッド代部分
・指定大学病院等での初診の保険給付及び一部負担金以外の部分
・特別注文食品を含む給食の費用と給食料との差額分等
2 .自由診療に関連するもの
・美容整形、人工妊娠中絶、健康診断(人間ドック)、医療相談料、診断書作成料、生命
保険会社からの審査料
・地方公共団体等から委託を受けて行われる老人保健法の健康診査及び母子保健法の妊
婦・乳児の健康診査
・予防接種(インフルエンザ、三種混合(破傷風、ジフテリア、百日咳)、麻疹、日本脳
炎)、ガン検診
・その他自由診療
3 .その他
・地方公共団体等から支払われる事務手数料
・赤電話・自動販売機等の手数料収入、X線の廃液
・往診先から受け取る車代、従業員の給食
・治療器具・材料等の売却収入、中古医療機器の売却収入
※日医ホームページより抜粋
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健 対 協
鳥取県乳幼児健康診査マニュアル作成中
鳥取県母子保健対策協議会
鳥取県健康対策協議会母子保健対策専門委員会
■ 日 時 平成16年 3 月 4 日(木)
午後 2 時50分∼午後 4 時30分
■ 場 所 鳥取県健康会館 鳥取市戎町
■ 出席者 18人
長田協議会長、神 委員長
伊藤・入江・大谷・岡空(謙)・岡本(博)・澤住・
田中・金井・中村・宮 ・森下・矢山各委員
県健康対策課:森山係長、植木主任
健対協事務局:岩垣主事、田中主事
報告事項
1 .女性の健康づくり支援事業について:
県健康対策課 森山係長
①不妊専門相談センターの相談状況
から、今後広く周知を行っていく予定である。
また、不妊に悩む夫婦が安心して治療できる環
境づくりを推進するための普及啓発活動として、
不妊に関するフォーラムを 3 月21日に米子市福祉
保健総合センターで開催する。内容は講演とシン
平成11年より、不妊に悩む夫婦等を対象に無料
ポジウム、特定不妊治療費助成事業についての行
で相談を受け付ける不妊専門相談センターを県立
政説明を予定している。不妊治療を単に推進する
中央病院に設置している。15年度は 1 月31日現在
のではなく、治療により多胎児や低体重児の出生
52件(14年度:合計86件)と若干減少見込みであ
等のリスクが伴うことなども含め、不妊に関する
る。内訳としてはメールでの相談が約 3 割と増え
様々な問題を広く理解してもらう機会にしたいと
ていることから、県医師会や市町村のホームペー
のことだった。
ジからもリンクを検討し、広く周知することとな
った。
2 .児童虐待防止への取り組みについて
②不妊フォーラムの開催について
①医師等講習会について
平成16年度より、新規に特定不妊治療費助成事
昨年とほぼ同じ事業内容を予定している。今年
業が行われる。これは対象となる体外受精・顕微
度も小児科医師以外の診療科目の医師にも講習会
受精は医療保険が適用されないことから、夫婦の
を行う予定である。
支援対策の一環として 1 組の夫婦に 1 年あたり最
この中で、虐待を受けた子供は施設でフォロー
高10万円を 2 年間助成するものである。ただし指
されるが、親のフォローがされていないという意
定医療機関で行われた治療が対象で、県内では日
見があった。講演会など行われているが効果があ
本産婦人科学会の会告等の基準により既に 6 医療
るとは言えず、妊娠中もしくは妊娠前からのフォ
機関が登録されている。所得要件などもあること
ローが大切ではないか。虐待とDV(家庭内暴力)
鳥取県医師会報 04.4 No.586
36
との関係も注目されてきており、DVの被害はパ
医・園医・学校医を対象とした 5 歳児健診の推進
ートナーだけでなく、その子供にも及んでいる場
に係る研修会が開催される。保健所・市町村保健
合も多いようで、対策を今後検討していくことと
師にも通知を予定している。今後も関係者の研修
なった。
会や関係機関との連絡会を開催し、実施体制の整
備を図っていく。
3 .神経芽細胞腫検査の休止について
生後 6 ヶ月の赤ちゃんを対象に実施してきた検
6 .周産期医療体制について
査だが、国において有用性の検討会が行われた結
厚生労働省は、平成16年度までに全都道府県で
果を受けて、本県でも平成16年 4 月 1 日から休止
「総合周産期母子医療センター」を中核とした周
することとなった。既に検査セットの配布は中止
産期医療ネットワークの整備を求めている。県内
しているが、希望者には自己負担で現在の検査実
では鳥取大学医学部附属病院の設置へ向けて整備
施機関である(財)岡山県健康づくり財団が検査
を行っている。
を継続予定であることから、詳細が決定次第通知
する予定である。
協議事項
1 .「鳥取県乳幼児健康診査マニュアル」につい
4 .新生児の聴覚検査について
平成16年度より、新規に新生児聴覚障害支援事
て
「鳥取県乳幼児健康診断マニュアル」も作成か
業が行われる。内容は、事業推進検討会を開催し、
ら 5 年が経過したため、平成16年度を目処に改正
既に取り組んでいる医院から意見を聞いたり支援
する方向で検討を行っている。現場の保健師や臨
マニュアルの作成、従事者講習会を予定している。
床心理士、保育士の意見を入れてはどうか、また
以前の委員会で中部地区での受け入れ体制が不十
調査票にテレビの時間と親の喫煙についてチェッ
分であったことから、16年度は中部地区聴覚障害
ク欄を入れて欲しいとの意見があった。 3 歳児健
教育拠点設置事業が開始され、全県での指導が可
診における聴覚検査(ささやき声検査)や 5 歳児
能となる見通しである。
健診についても盛り込んでいく予定である。
また、 3 歳児健診における聴覚検査(ささやき
声検査)が県内では溝口町でしか行われておらず、
問題があるのではないかという指摘があった。こ
れについて16年度は13市町村が導入を予定してい
る。
2 .次世代育成支援対策推進法に基づく県及び市
町村の行動計画について
次世代育成支援対策推進法とは、急速な少子化
の進行を踏まえ、次世代を担う児童が健やかに育
成される環境整備を図るために、県・市町村及び
5 . 5 歳児健康診査(発達相談)について
平成16年度、27市町村が実施を希望しているが、
事業主による行動計画の策定を義務付けたもので
ある。16年度中に行動計画を作成し、17年 4 月 1
検診医の確保や健診後の支援体制、特に就学に向
日より施行となる。県及び市町村の行動計画とし
けた学校との連携を図る必要があり、一般小児科
て、市町村の母子保健計画はこれに盛り込まれ目
や教育分野(保育園・幼稚園・小学校)との連携
標設定の指標を作成することになっている。健や
を図っていくことが必要である。これを受けて、
か親子21の理念も考慮し、広い視野での計画を作
3 月24・25日、 4 月 8 日に東中西の各地区小児科
成していく予定である。
鳥取県医師会報 04.4 No.586
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早期発見がん率向上す(内視鏡検査導入により)
鳥取県成人病検診管理指導協議会胃がん部会
鳥取県健康対策協議会胃がん対策専門委員会
■ 日 時 平成16年 3 月 6 日(土)
午後 1 時40分∼午後 3 時30分
■ 場 所 鳥取県健康会館 鳥取市戎町
■ 出席者 20人
三浦部会長、岡本委員長
秋藤・石原・佐藤・謝花・岡田・金井・瀬川・西土井・
三宅・宮 ・山口・吉中各委員
県健康対策課:森山係長、植木保健師、小泉主事
健対協事務局:谷口事務局長、岩垣主事、田中主事
報告事項
院、または他の診療科で精検を受診するケースが
あり、実際には精検受診していても紹介状が提出
1 .平成14年度胃がん検診実績最終報告並びに15
されていない場合もある。よって、要精検者が紹
年度実績見込み及び16年度計画について(県
介状を持参していなくても、病院に紹介状を余分
健康対策課調):
において、精検結果が報告できるような方法を考
森山県健康対策課地域保健係長
えてはどうかという意見もあった。特に、大病院
〔平成14年度実績最終報告〕
対象者数169,754人のうち、受診者数はX線検査
32,738人、平成12年度より導入した内視鏡検査は
においては、検診に携わっている医師に紹介状の
取り扱いについて担当医より徹底させることが必
要かと思われる。
13,295人で合計46,033人であった。受診率は
27.1%であった。前年度より受診者数は2,379人増
加し、受診率は1.0ポイント増加した。
平成12年度に内視鏡検査を導入したことにより
平成15年度実績見込みは、受診者数は50,282人
で、平成14年度より約4,000人増える予定。約
受診率の向上につながっており、全国平均約13%
4,000人の増加はX線検査の受診者数増加により、
に比べ大変高率である。
内視鏡検査は平成14年度ほぼ同数であった。また、
検査の結果、胃がんまたは胃がん疑いであった
平成16年度は、平成15年度より約950人減少の約
者は161人発見され(X線検査51人、内視鏡検査
49,328人を予定している。平成12年度より内視鏡
110人)、がん発見率は0.35%で前年度より0.01ポ
検査の実施割合が年々増加傾向であったが、平成
イント増加した。内視鏡検査導入で発見癌、いま
15年度、平成16年度とほぼ横這い傾向になりそう
だに増加傾向である。
であり、医療機関での内視鏡検査実施可能数に限
ただし、X線検査の精検受診率は依然として低
界がきているであろうかという問いかけがあっ
下傾向が続いており、特に、東部地区の精検受診
た。病院の実施体制は限界に近いが、開業医の受
率が悪く、他の地区に比べ66.7%と約10%低い。
け入れにはまだ余裕があるとのことであった。
要精検者が市町村から紹介状が来るまでに他の病
鳥取県医師会報 04.4 No.586
38
〔平成15年度実績見込み及び平成16年度計画〕
2 .胃がん検診受診状況(保健事業団調):
三宅委員
受診者数は近年減少傾向にあり、約500人ずつ
減少している。
( 6 )前年度受診歴を有する進行癌は、車検診で
2 例、施設検診で 9 例でここ近年件数が減少し
ている。各地区の症例検討会等で検討して頂く
こととなった。
〔住民検診〕
平成14年度の受診者数20,537人のうち、要精検
「検診発見胃がん患者個人票」の記載漏れが大
者は1,768人。要精検率は8.6%で、判定 4 と 5 の
変多い。特に、内視鏡切除の症例は大きさ、深達
割合は2.9%で、がん発見率は1.1%であった。平
度等の未記入が目立ったので、治療機関は正確に
成13年度より減少している。発見癌も前年度に比
記載してほしいという要望があった。
べ約半数に減少。精検結果未報告は20.9%であっ
4 .「第34回日本消化器集団検診学会中国四国地
た。
〔一般事業所検診〕
受診者4,155人のうち、要精検者は357人で、要
精検率は8.6%で、判定 4 と 5 の割合は3.4%で、
がん発見率は0.6%であった。
方会」「第34回中国四国地方胃集検の会」に
ついて:三浦部会長
平成16年 2 月 6 日、 7 日に松山市において開催
された。鳥取県においては、シンポジウム「大腸
がん検診精検受診率向上のための工夫」 1 題、一
3 .発見がん胃がん患者追跡調査結果について:
秋藤委員
平成14年度に発見された胃がん及び胃がん疑い
般演題 1 題が発表された。
また、「胃集検における新撮影法の現状と問題
点」と題してのシンポジウムがあった。
について確定調査を行った結果、確定胃がんは
142例(一次検査がX線検査:車検診20例、施設
検診33例、一次検査内視鏡検査:89例)であった。
5 .その他
鳥取県保健事業団の中村良文先生が、鳥取医学
ただし、腫瘍登録データと照合の結果、平成14年
雑誌に投稿された『胃がん検診における集団検診
度に胃がん一次検診を受診し、その後、がんと確
と個別施設検診の比較』の論文が参考資料として
定診断されたが精検紹介状が市町村に報告されて
配布された。
いない者が 6 名判明し、その確定調査結果も集計
に計上した。調査結果は以下のとおりである。
( 1 )早期がんは104例、進行がんは38例であった。
早期がん率は73.2%であった。
それによると、最近 6 年間の成績から車検診と
施設検診の精度について比較検討した結果、胃が
ん発見率、早期がん率、偽陰性率、陽性反応的中
率については、施設検診の方が優れていた。費用
( 2 )切除例は136例で、そのうち内視鏡切除は33
効率は両者に差がなかった。また、車検診はやや
例で、昨年度の12例に比べ非常に多く施行され
精度が劣るので、その精度向上のためには、新・
ている。非切除例は 2 例であった。
間接撮影法の導入と丁寧な読影が望まれる。内視
( 3 )性・年齢別では、男性98例、女性44例であ
った。
( 4 )切除例の大きさは 2 cm以内が38.6%であっ
た。車検診では45.0%、施設検診では30.0%、
鏡検診は胃がん発見率、早期がん率、費用効率の
面では最も優れていたが、要精検率が極端に高く、
また、偽陰性率も車検診のそれと同程度で、今後
成績を重ねて検討を要する。
内視鏡検査では40.2%であった。
( 5 )切除例の深達度では「t1」が99例で、その
うちmが65例であった。
鳥取県医師会報 04.4 No.586
39
により撮影方法に違いがあるようなので統一した
協議事項
方法になるようにしてほしいという要望があっ
1 .新・胃X線撮影法(間接・直接)の基準につ
た。
いて
鳥取県保健事業団においては、新撮影法となる
2 .胃がん検診受診票について
造影剤を200W/V%の粉末バリウム150cc、発泡
精検受診率の低下要因の一つとして、要精検者
剤4.5gを使用し、 8 枚で撮影したフイルムを各地
が市町村から紹介状が来るまでに他の病院、また
区読影会で実際に見て頂き、事前に検討して頂い
は他の診療科で精検を受診するケースがあり、紹
た。
介状を持参されない場合があるとの指摘があった
総合評価としては、以前の写真と比べるときれ
が、その解決策として、判定欄の要精検の欄に精
いな写真が撮れていた。ただし、右回転を 3 回転
密検査予定日を記入して市町村に紹介状を返送し
というのは、高齢者、腰が曲がった人等には難し
てはどうか。そうすれば、紹介状を持参されない
い場合もあるので、回転が少なくても撮影が可能
で受診しても、後日、市町村より医療機関に精検
な工夫を考えてほしい。その他、誤嚥性肺炎や便
結果の問い合わせをすることが出来るのではない
秘が起こりやすいといわれており、今後に向けて
かという意見があり、検討することとなった。
配慮を要するとのことだった。また、地区の技師
胃がん検診従事者講習会及び症例研究会
日 時
平成16年 3 月 6 日(土)
午後 4 時∼午後 6 時
場 所
鳥取県健康会館 鳥取市戎町
出席者
127名
動向」の講演があった。
症例検討
秋藤洋一先生の進行により、 3 地区より症例を
報告して頂き、検討を行った。
岡本公男先生の司会により進行。
講 演
1 )西部−博愛病院
濱本哲郎先生による症例
2 )中部−吉中胃腸科医院
鳥取県成人病検診管理指導協議会胃がん部会長
三浦邦彦先生の座長により、鳥取県立中央病院内
科医長 岡田克夫先生による「胃がん治療最近の
鳥取県医師会報 04.4 No.586
40
吉中正人先生による症例
3 )東部−岩美病院
秋藤洋一先生による症例
急がれる実対象者数の把握
鳥取県成人病検診管理指導協議会総合部会
■ 日 時 平成16年 3 月11日(木)
午後 4 時∼午後 6 時
■ 場 所 鳥取県健康会館 鳥取市戎町
■ 出席者 20人
長田部会長
富長・三浦・岡本・大石・山家・原・工藤・宮 ・岸本各委員
オブザーバー
(市町村保健師協議会)
:藤原東伯町主任保健師、
福岡岸本町課長補佐、塚根関金町主幹
県健康対策課:金井次長、森山係長、植木保健師、小泉主事
健対協事務局:谷口事務局長、岩垣主事、田中主事
報告事項
1 .平成14年度各種健康診査実績等について:
森山県健康対策課地域保健係長
施可能数に限界がきているのではないかという問
いかけがあったが、病院の実施体制は限界に近い
が、開業医の受け入れにはまだ余裕があるとのこ
とであった。
( 1 )平成14年度各種健康診査実績、平成15年度
( 3 )子宮頚部癌の要精検率、精検受診率、発見
実績見込み、平成16年度事業計画は、別表のとお
がん率がかなり低下した。要精検率の低下は、集
り報告があった。
団検診の頚管部の細胞採取が不充分だった検体が
各検診の受診者数、率は、平成14年度実績、平
多くあったのではないかということが考えられ
成15年度実績見込みともに僅かながら増加傾向で
る。また、子宮体部癌検診の受診者数は年々増加
ある。また、70歳以上の受診者が増えている。し
傾向であるが、要精検率が平成13年度5.57%に比
かし、精検受診率は依然として低下傾向である。
べ、かなり低下した。
平成16年度計画は、平成15年度実績見込みとほぼ
同じ受診者数を予定している。
( 4 )肺がん検診は、「X線検査D判定の中でがん
が強く疑われる者はE判定にする」としたことか
( 1 )基本健康診査は、70歳以上の受診者が増え
ら要精検率は高くなったが、発見癌数は例年並で
たこと等の要因により僅かながら受診率は増加し
あった。また、近年、喀痰検査実施割合が減少し
たが、全国平均受診率に比べまだまだ低い。また、
ているが、喀痰検査から発見される癌は早期の肺
年々異常者率が増加している。
癌が見つかることが多いので、高危険群所属者の
( 2 )胃がん検診は、内視鏡検査の導入により、
喀痰検査実施を増加させることは大事である。ま
検診発見がん数がいまだに増加傾向である。発見
た、喀痰検査を高危険群所属者だけではなく、年
がんの確定調査の結果、早期発見癌率は73.2%と
齢制限(例50歳以上は実施する)を入れてはどう
高率であった。また、内視鏡的切除が増えている。
かという意見もあった。
平成12年度から内視鏡検査受診者数が増加して
( 5 )乳がん検診は、平成14年度は 8 町でマンモ
きたが、平成15年度、平成16年度とほぼ横這い傾
グラフィ併用検診が行われ、がん及びがん疑いが
向となりそうである。医療機関での内視鏡検査実
6 名発見されている。
鳥取県医師会報 04.4 No.586
41
( 6 )大腸がん検診は受診者数、率ともに年々増
診を行っている。人間ドック、医療機関検診の希
加傾向にあるが、要精検率、精検受診率、がん発
望があるが、セット検診で人間ドックと同様な検
見率は横這い状態である。発見がんの確定調査の
診が出来るので、鳥取県保健事業団にお願いして
結果、高齢者の発見癌が増えている。また、毎年
いる。
の傾向であるが、東部と西部では受診者数に大差
厚生部にお願いして、受診票の配布と検診希望
はあまりないのに、がんが西部から多く見つかっ
者の取り纏めをして頂いている。また、その際に
ている。
は未受診の理由を必ず聞いてもらうこととしてお
( 7 )肝臓がん検診は14市町村で実施され、受診
り、対象者の把握に努めている。しかし、来年度
者数は1,268人で、がんは一人も発見されなかっ
からは個人情報保護の問題があり、封書にするこ
た。基本健康診査における肝炎ウイルス検査は26
ととなった。
市町村で実施し、受診者数は5,813人で、HBs抗
また、要精検者全員の家庭訪問は出来ないが、
原陽性率2.1%、HCV抗体陽性率1.9%で、単県事
精検未受診者には年度末に電話、郵送等により受
業の実績に比べると陽性率が少し低いようであ
診勧奨を行っている。
る。
境港市の大腸がん精検受診率が83.6%と高率で
受診率、精検受診率の向上についての取り組み
あり、どのような取組みがなされているのか問い
について、オブザーバーとして出席されている保
合わせたところ、精密検査未受診者にはアンケー
健師に意見を伺った。(藤原東伯町主任保健師、
ト調査(回収率80%)を行い、受診しているが医
福岡岸本町課長補佐、塚根関金町主幹)
療機関からの返信がない場合は、医療機関に連絡
福岡岸本町課長補佐:住民の中から選出された
し返信を求め結果を把握している。アンケートの
保健委員に年 3 回集まって頂き、検診の必要性、
返事がない20%の人に対しても、昨年度は 2 日間
住民の受診勧奨等のお願いをしている。保健委員
とも便潜血陽性の人には、電話で受診勧奨した。
より受診票を配布して頂き、受診希望者の取り纏
また、アンケート結果の未受診の理由に「医師か
めをしてもらっている。検診当日は送迎のバスを
ら痔疾患があるので大丈夫といわれた」、
「再度便
巡回させ、鳥取県保健事業団の車 4 台で、基本健
潜血検査を受けたら陰性だったので受けなかっ
康診査、各種がん検診をセット検診で行っている。
た」等があったため、 6 月に実施している行政と
その他には、休日検診、未受診者の検診等を行っ
委託医療機関との「反省会」の中で取り上げ、精
ている。肺がん検診は、要精検者にはD判定者は
密検査の実施について徹底を図っているという報
保健所受診、医療機関受診と分れるので、個々に
告があった。
当っている。子宮がん、乳がんの精検未受診者は
電話等により結果把握に努めている。
塚根関金町主幹:岸本町と同様に鳥取県保健事
業団のセット検診を行っている。要精検者につい
鳥取健康対策協議会各専門委員会の協議概要
について
ては家庭訪問を行い、受診勧奨を行っている。ま
1 )がん登録対策専門委員会、脳卒中登録対策専
た、一次検診受診から数ヶ月後に何らかの形で出
門委員会の協議概要は第 1 回総合部会記録に
会った場合は、精検の結果把握、受診勧奨を行っ
て掲載されているので、省略する。
ている。
藤原東伯町主任保健師:岸本町と同様に、送迎
のバスを巡回させ、鳥取県保健事業団のセット検
鳥取県医師会報 04.4 No.586
42
2 .鳥取県成人病検診管理指導協議会各部会及び
2 )循環器疾患等部会・循環器疾患等対策専門委
員会
検診データの集計方法統一の検討。
く。また、精検未受診者への受診勧奨を徹底する
よう市町村に働きかけていく。
「鳥取県子宮がん検診精密検査医療機関」登録
学校健診で一部の市町村で、血中脂質検査を実
基準の見直しを行い、子宮がん検診従事者講習会
施している。近年、若年者にも生活習慣病が見ら
と子宮がん検診症例検討会を過去 3 年間に 2 回以
れることから、早期に適正な食事・運動などの指
上受講していることが条件となった。ただし、 3
導が重要なので、全県的に導入してみてはどうか、
年間のうちに 1 回しか受講できなかった人には追
教育委員会に提案することとした。また、職域検
加の講習会を開催することとし、鳥取と米子で別
診のデータについては、とっとり社会保険センタ
のテーマで実施することとなった。
ーに問い合わせたところ公表できないとのことで
あった。検診データは個人情報にもなるので、県
5 )肺がん部会・肺がん対策専門委員会
医師会でも倫理委員会的なものを設けてはどう
判定区分は2003年10月改訂版の基準により、E
か、公開する場合には一言チェック欄を設けてみ
判定をE1(肺癌疑いを否定し得ない)、E2(肺癌
てはどうかとの声が挙がり、今後検討していくこ
を強く疑う)にすることにより、肺癌と疑われる
とになった。
ものは積極的にE判定とすることを再度確認し
前立腺がん検診の導入については、現在、国で
た。ただし、D判定については、2003年10月改訂
がん検診のあり方が検討されており、しばらく動
版の判定基準、判定区分を念頭において、鳥取県
向を見守ることとなった。
の検診体制の検討と各地区読影委員の判定基準の
意思統一を図ることが必要であり、今度、調整を
3 )胃がん部会・胃がん対策専門委員会
行っていくこととなった。
新・胃X線撮影法で撮影したフイルムを各地区
また、D判定のうち、肺がん以外の胸部心疾患
読影会で事前に検討した結果、以前と比べるとき
疑いの者は当面、従来通り保健所で実施すること
れいな写真が撮れているという評価を頂いた。た
となった。ただし、将来的には直接精密検査医療
だし、回転数が増えることにより、高齢者や腰が
機関へ紹介する方向で検討を進めることとなっ
曲がった人には難しい場合もあるので、回転が少
た。しかし、直接精密検査医療機関で受診を希望
なくても撮影が可能な工夫を考えてほしい等の意
する者に対しては、紹介状を作成し精密検査医療
見があった。
機関で受診が出来るよう、実施要綱の改正を行っ
また、精検受診率の低下要因の一つとして、市
町村から精検紹介状が来る前に、受診するケース
た。
今後の問題点の指摘として、精検受診率の向上、
があり、紹介状を持参されない場合がある。一次
喀痰細胞診の精度管理を見直して、発見率向上に
検診判定欄の要精検の欄に精密検査予定日を記入
努める、高危険群所属者の喀痰検査実施を増加さ
して市町村に返送すれば、後日、市町村が未受診
せること等が上げられた。
者の確認を行う場合、医療機関に問い合わせする
ことが出来るのではないかという意見があり、検
討することとなった。
6 )乳がん部会・乳がん対策専門委員会
マンモグラフィ検診精度管理中央委員会教育・
研修委員会と共催で「山陰マンモグラフィ講習会」
4 )子宮がん部会・子宮がん対策専門委員会
検診の対象年齢は25歳以上とするよう、国の検
討状況を踏まえ、引き続き市町村に働きかけてい
を平成15年10月に開催し、鳥取県関係者では28名
が合格(A: 3 名、B:25名)した。
しかし、受講者の施設で撮影された写真の画像
鳥取県医師会報 04.4 No.586
43
の評価があり、残念ながら鳥取県の殆どの施設が
見があれば、総合部会に持って来てもらいたいと
高い評価を受けることが出来なかった。これは診
いう意見もあった。
療放射線技師の撮影技術に問題があるのではない
かという指摘を受けた。
また、厚生労働省は平成16年度より視触診のみ
の検診を廃止し、マンモグラフィ検診導入に向け
協議事項
1 .個人情報保護と検診データの取り扱いについ
て
て検討を進めており、今年度中には指針が示され
前回の総合部会において、がん登録データと各
ることとなっている。鳥取県の場合、平成16年度
種がん検診受診者データをリンクすることによ
から即、視触診のみの検診を廃止し、マンモグラ
り、がん検診システムの精度指標(敏感度、特異
フィ検診導入というわけにはいかないので、今ま
度)を示すことが可能であるという話しがあった。
で通りの検診を行っていくこととなると思われ
しかし、昨今の個人情報保護とのからみもあり、
る。しかし、ここ近年で導入が出来るよう、検診
実施主体である市町村に必要性の説明を行い、理
車の導入、医療機関でのマンモグラフィ検診の実
解を得ないと全検診受診者データの活用は困難で
施可能件数の調査、診療放射線技師の講習会の開
ある。よって、検診担当者等が一同に集まられる
催の検討を行い、体制整備に努めることとなった。
機会があれば、その場において説明を行い、理解
また、マンモグラフィ検診の読影体制等、精度管
を得ていきたい。今後、引き続き検討することと
理上のことも検討していくこととなった。
なった。
7 )大腸がん部会・大腸がん対策専門委員会
2 .病院における検診医の紹介状の取り扱いにつ
平成15年度より一次検診における 1 日 2 個法を
導入。
いて
精検受診率が近年低下しており、その原因の一
つとして、精検は受診していても何らかの理由で
8 )肝臓がん抑制対策評価委員会・肝臓がん対策
専門委員会
病院からの紹介状が返送されない場合がある。病
院の場合、検診のシステムを理解されていない医
全国に先駆けて実施してきた、 7 年間の成果を
師が精密検査を担当される場合もあるので、紹介
取りまとめた「鳥取県の肝臓がん対策」の冊子を
状の取り扱いについて、各病院の担当医より徹底
今年度中に発行する予定。
して頂くこととし、また、要精検者が紹介状を持
参していなくても、病院に紹介状を余分において、
各委員会で決定した事項、検討課題について、
各市町村の保健師に周知されているかという質問
かという意見も出されており、今後検討の上、シ
があった。年 2 回開催される市町村保健協議会に
ステムの整理を行い、健対協より必要があれば周
おいて説明を行っている。その会で、要望、ご意
知することとする。
鳥取県医師会報 04.4 No.586
44
精検結果が報告できるような方法を考えてはどう
参 考
老 人 保 健 事 業 健 康 診 査
平成14年度実績、平成15年度実績見込み、平成16年度計画について
(単位:人 %)
区 分
基
本
健
康
診
査
平成16年度計画
象
者
数 (人)
165,305
167,489
―
受
診
者
数 (人)
65,543
68,591
68,500
率 (%)
39.6
41.0
―
要 指 導 + 要 医 療 (人)
56,411
―
率 (%)
86.1
―
42.5
―
―
169,754
170,411
―
受
診
―
〃
対
象
数 (人)
者
受
診
者
X 線 検 査 (人・率)
32,738(19.3)
36,942(21.7)
―
内 視 鏡 検 査 (人・率)
13,295(7.8)
13,358(7.8)
―
計 (人・率)
46,033(27.1)
50,282(29.5)
49,328
X
要 精 検 者 数 (人)
3,563
―
線
検
査
要
率 (%)
10.9
―
精密検査受診者数 (人)
2,604
―
精 検 受 診 率 (%)
73.1
―
161
―
0.35
―
合
―
精
検
―
―
がん又はがんの疑いのある者
―
が
ん
発
見
率 (%)
追跡調査結果(確定癌数・率)
H 1 4 年 度 全 国 受 診 率
子
宮
頸
部
が
ん
検
診
平成15年度実績見込み
対
H 1 4 年 度 全 国 受 診 率
胃
が
ん
検
診
平成14年度実績
142(0.31)
―
―
13.0
―
―
対
象
者
数 (人)
125,040
126,566
―
受
診
者
数 (人)
27,197
28,948
28,327
率 (%)
21.8
22.9
―
数 (人)
88
―
率 (%)
0.32
―
精 検 受 診 者 数 (人)
66
―
75.0
―
33
―
0.12
―
受
要
診
精
検
者
―
要
精
検
―
精
検
受
診
率 (%)
がん又はがんの疑いのある者
―
が
ん
発
見
率 (%)
追跡調査結果(確定癌数・率)
H 1 4 年 度 全 国 受 診 率
12(0.04)
14.6
―
―
―
―
鳥取県医師会報 04.4 No.586
45
区 分
肺
が
ん
検
診
者
数 (人)
177,198
179,543
―
受
診
者
数 (人)
63,616
65,939
65,957
率 (%)
35.9
36.7
―
数 (人)
343
―
率 (%)
0.54
―
精 検 受 診 者 数 (人)
271
―
率 (%)
79.0
―
59
―
0.09
―
受
要
診
精
検
者
―
要
精
検
―
精
検
受
診
がん又はがんの疑いのある者
―
が
ん
発
見
率 (%)
54(0.04)
―
―
22.8
―
―
対
象
者
数 (人)
127,944
128,299
―
受
診
者
数 (人)
31,105
32,279
30,745
率 (%)
24.3
25.2
―
数 (人)
898
―
率 (%)
2.89
―
精 検 受 診 者 数 (人)
735
―
率 (%)
81.8
―
42
―
0.14
―
受
要
診
精
検
者
―
要
精
検
―
精
検
受
診
がん又はがんの疑いのある者
―
が
ん
発
見
率 (%)
追跡調査結果(確定癌数・率)
H 1 4 年 度 全 国 受 診 率
41(0.13)
―
―
12.4
―
―
対
象
者
数 (人)
177,254
178,209
―
受
診
者
数 (人)
53,336
55,842
56,161
率 (%)
30.1
31.3
―
数 (人)
4,405
―
率 (%)
8.3
―
精 検 受 診 者 数 (人)
2,767
―
率 (%)
62.4
―
138
―
0.26
―
受
要
診
精
検
者
―
要
精
検
―
精
検
受
診
がん又はがんの疑いのある者
―
が
ん
発
見
率 (%)
追跡調査結果(確定癌数・率)
H 1 4 年 度 全 国 受 診 率
鳥取県医師会報 04.4 No.586
46
平成16度計画
象
H 1 4 年 度 全 国 受 診 率
大
腸
が
ん
検
診
平成15年度実績見込み
対
追跡調査結果(確定癌数・率)
乳
が
ん
検
診
平成14年度実績
127(0.24)
17.1
―
―
―
―
鳥取県医師会腫瘍調査部月報( 3 月分)
毎月腫瘍登録の届け出を頂き有り難うございます。
腫瘍占拠部位については、臓器内の部位によりICD番号が異なりますのでなるべく詳しく記載して下さ
い。
( 1 )施設別登録件数(含重複例)
登 録 施 設 名
( 2 )部位別登録件数(含重複例)
部 位
件 数
4
癌
11
癌
48
癌
27
腸
癌
10
肝
臓
癌
16
99
口
鳥 取 県 立 中 央 病 院
48
食
鳥 取 県 立 厚 生 病 院
38
胃
国
院
36
結
腸
鳥 取 赤 十 字 病 院
11
直
谷
院
10
取
市
立
立
米
病
子
口
病
病
件 数
癌
院
鳥
腔
・
咽
頭
道
山
陰
労
災
病
院
9
胆
嚢
癌
6
鳥
取
生
協
病
院
5
膵
臓
癌
9
わ か さ 生 協 診 療 所
4
喉
頭
癌
1
花園内科・せぐち小児科
4
肺
癌
33
大阪府立成人病センター
3
縦
瘍
1
中部医師会立三朝温泉病院
3
骨
腫
瘍
1
新田外科胃腸科病院
3
皮
膚
癌
1
越
智
内
科
医
院
2
乳
癌
11
山
口
外
科
医
院
2
子
宮
癌
10
清
水
内
科
医
院
1
卵
巣
癌
5
竹田内科医院(本町)
1
ペ ー ジ ェ ッ ト 病
1
米
隔
腫
1
前
癌
23
松 田 医 院 ( 倉 吉 市 )
1
陰
茎
癌
1
倉
院
1
膀
胱
癌
30
院
1
腎
臓
癌
9
院
1
脳
腫
瘍
5
284
甲
癌
2
癌
1
佐
日
本
元
内
内
々
南
科
木
科
医
医
病
合 計
転
( 3 )問合票に対する回答件数
回 答 施 設 名
件 数
鳥 取 県 立 中 央 病 院
7
博
1
愛
病
院
合 計
立
腺
状
移
腺
性
肝
悪
性
リ
ン
パ
腫
13
多
発
性
骨
髄
腫
3
病
2
白
血
合 計
284
8
註)腫瘍登録の届出件数は、患者一人に 1 件ということにはなりません。記入早見表に「診断または疑診
の時点に限らず、確診時(病理組織診断時など)、他医紹介時、手術時、退院時、死亡時などにも、
経過を追ってご通知いただければ幸いです。」と明記しておりますように、重複して届け出られる場
合もあります。従いまして、届出件数は患者の新規発生件数だけを集計したものではなく、重複があ
りますので、がん罹患の動向の正確な目安にはなりません。あくまでも、該当月の届出件数というこ
とで解釈して頂きたく存じます。
鳥取県医師会報 04.4 No.586
47
脳卒中登録対策専門委員会調査報告( 3 月分)
登 録 施 設 名
診断票件数
鳥 取 県 立 中 央 病 院 退院票件数
登 録 施 設 名
診断票件数
7
7
院
10
10
大山リハビリテーション病院
8
5
日
3
0
120
92
6
3
済生会境港総合病院
院
12
6
鹿
鳥 取 赤 十 字 病 院
18
16
鳥
取
市
立
病
野
温
泉
南
病
病
院
鳥
大
第
一
内
科
1
0
山
陰
労
災
病
院
26
19
小 計
皆
生
温
泉
病
院
3
0
保健師からの届出票
新田外科胃腸科病院
2
1
用瀬町健康管理センター
本
院
2
0
鳥 取 県 立 厚 生 病 院
7
2
院
13
21
藤 井 政 雄 記 念 病 院
2
2
野
田
島
医
病
退院票件数
経
過
告
票
役
場
3
用瀬町健康管理センター
21
岩
報
2
美
町
合 計
238
ご協力頂き有難うございます。
なお、診断票、退院票の送付先は、患者住所地を所管する保健所又は保健所支所ですので、よろしく
お願い致します。
冊子・資料案内
日本医師会総合政策研究機構(略称;日医総研)より日医理事室にあったものなどにつ
いてご案内します。出版物は有料です。閲覧を希望される会員は、鳥取県医師会事務局
(TEL 0857−27−5566)へご連絡下さい。
その他、日医総研の活動内容、出版物案内等は、日医総研ホームページよりダウンロー
ドすることが出来ます。
(http://www.jmari.med.or.jp/)
日医総研報告書第62号;介護報酬改定後の影響分析と2004度介護保険費用および当然
増の推計
日医総研ワーキングペーパーNo.94;公費負担医療給付費の分析
鳥取県医師会報 04.4 No.586
48
感染症だより
「急性脳炎(ウエストナイル脳炎及び日本脳炎を除く)
」の届出基準の改正について
〈16.
3.
9
地Ⅲ292〉
今般、「急性脳炎(ウエストナイル脳炎及び日本脳炎を除く)
」の届出基準の改正について、厚生労働省
健康局結核感染症課長より、各都道府県、政令市、特別区衛生主管部(局)長宛に通知がなされ、日本医
師会感染症危機管理対策室長より、本会宛通知がありましたのでお知らせ致します。
改正後の概要は下記のとおりで、平成16年 3 月 1 日より施行されております。
◇五類感染症の( 3 )急性脳炎(ウエストナイル脳炎及び日本脳炎を除く)の届出基準
急性脳炎(ウエストナイル脳炎及び日本脳炎を除く)
《定 義》
ウイルスなど種々の病原体の感染による脳実質の感染症である。炎症所見が明らかではないが同様の症
状を呈する脳症もここには含まれる。
《臨床的特徴》
多くは何らかの先行感染を伴い、高熱に続き意識障害やけいれんが突然出現し、持続する。髄液細胞数
が増加しているものを急性脳炎、正常であるものを急性脳症と診断することが多いが、その臨床症状に差
はない。
《届出基準》
○意識障害を伴って24時間以上入院した者、あるいは24時間未満に死亡した者で、かつ、以下の一つまた
はそれ以上の症状を有するもの
・38度以上の発熱
・何らかの中枢神経症状
・先行感染症状
○熱性けいれん、代謝疾患、脳血管性疾患、脳腫瘍、外傷など、明らかに感染性とは異なるものは除外す
る。
○可能な限り病原体診断を行い、明らかになったものは病原体名、検体の種類及び検査方法を記載する。
なお、上記基準に該当する脳症も含める。
《備 考》
・他の届出基準に該当する感染症(インフルエンザ、手足口病、流行性耳下腺炎等)による急性の脳炎・
脳症についても、急性脳炎としての届出が必要となる。その際には、二重の届出となる(脳症を発症し
たインフルエンザについて、定点医療機関においては、インフルエンザ及び急性脳炎の届出が必要とな
り、定点医療機関以外では急性脳炎のみが届出の対象となる等)。
・ウエストナイル脳炎又は日本脳炎の診断がついている場合には、急性脳炎としての届出は必要ない。た
だし、急性脳炎の届出後に、ウエストナイル脳炎又は日本脳炎の診断がついた場合には、ウエストナイ
ル脳炎又は日本脳炎としての届出が必要となり、結果として二重の届出となる。
※このことについての詳細は、鳥取県医師会事務局(TEL 0857−27−5566)までお問い合わせください。
鳥取県医師会報 04.4 No.586
49
鳥取県感染症発生動向調査情報(月報)
鳥取県衛生環境研究所
(H16年 3 月 1 日∼H16年 3 月28日)
ンギーナ[ 1 件]、急性出血性結膜炎[ 1 件]。
1 .報告の多い疾病
〈減少した疾病〉
(インフルエンザ定点29、小児科定点19、眼科
定点 3 、基幹定点 5 からの報告数)
流行性耳下腺炎[ 5 件]
、流行性角結膜炎[ 5 件]
、
(単位:件)
手足口病[ 1 件]
、百日咳[ 1 件]、マイコプラズ
1
感染性胃腸炎
952
マ肺炎[ 1 件]。
2
A群溶血性連鎖球菌咽頭炎
376
〈増減のない疾病〉
3
インフルエンザ
283
4
水痘
205
5
突発性発疹
71
6
咽頭結膜熱
53
※増加した疾病・減少した疾病・増減のない疾病
7
その他
51
に記載のない疾病は、今回及び前回の報告数が
全合計 1,991
2 .前回との比較増減
全体の報告数は1,991件であり、約53%(2,258
件)の減となった。
〈増加した疾病〉
感染性胃腸炎[148件]、水痘[64件]、A群溶
血性連鎖球菌咽頭炎[31件]、咽頭結膜熱[27件]、
突発性発疹[21件]、伝染性紅斑[ 6 件]
、ヘルパ
鳥取県医師会報 04.4 No.586
50
インフルエンザ[2,534件]、RSウイルス[10件]、
無菌性髄膜炎(今回前回ともに報告数 1 件)。
※[
]内は前回との比較を表す。数値は増減の
件数である。
ともになかったものである。
3 .コメント
・インフルエンザの流行が終息しました。(B
型ウイルスは 6 週を境に検出されていませ
ん。)
・乳幼児を中心にロタウイルスを原因とした胃
腸炎が認められます。
3.1 ∼16.
3.
28)
報告患者数(16.
前回比
区 分
東 部
インフルエンザ定点数
1
インフルエンザ
小児科定点数
中 部
西 部
増 減
計
(12)
(6)
(11)
(29)
540
750
1540
2830
(8)
(4)
(7)
(19)
10
490
30
530
104%
−90%
2
咽頭結膜熱
3
A群溶血性連鎖球菌咽頭炎
2500
240
1020
3760
9%
4
感染性胃腸炎
4090
2380
3050
9520
18%
5
水痘
1110
490
450
2050
45%
6
手足口病
20
00
00
20
−33%
7
伝染性紅斑
40
10
50
100
150%
8
突発性発疹
330
140
240
710
42%
9
百日咳
00
00
00
00
−100%
10
風疹
00
00
00
00
―
11
ヘルパンギーナ
00
10
00
10
―
12
麻疹
00
00
00
00
―
13
流行性耳下腺炎
110
20
30
160
−24%
14
RSウイルス
00
50
00
50
−67%
(1)
(1)
(1)
(3)
眼科定点数
15
急性出血性結膜炎
00
10
00
10
―
16
流行性角結膜炎
00
130
00
130
−28%
(2)
(1)
(2)
(5)
基幹定点数
17
急性脳炎(日本脳炎を除く)
00
00
00
00
―
18
細菌性髄膜炎(真菌性を含む)
00
00
00
00
―
19
無菌性髄膜炎
00
10
00
10
0%
20
マイコプラズマ肺炎
00
20
00
20
−33%
21
クラミジア肺炎(オウム病は除く)
00
00
00
00
―
22
成人麻疹
00
00
00
00
―
8750
4750
6410
1,9910
−53%
合 計
鳥取県医師会報 04.4 No.586
51
つ 閑 音 生
涯
静
を
を
秘
文
め
字
た
通
る
り
我
な
の
るう
側
現つつ
に
頭
て
葉
高
食
砂
事
の
の
じ
翁じ
に
婆ばば
お
影
い
淡
遠
く
き
佇
風
電
ス
コ
と
な
る
こ
の
次
は
何
胃
カ
メ
ラ
が
フ
ァ
イ
バ
ー
と
な
り
更
に
今
は
鳥取県医師会報 04.4 No.586
52
遥
か
と
な
り
て
我
も
定
年
ぬ 明
に け
鴉
呵
呵
大
笑
の
暖
か
さ
今
日
の
気
力
の
未
だ
涌
か
早
期
癌
が
症
例
報
告
に
な
り
し
時
代
詰
ま
り
弾
き
て
響
く
見
ず
な
り
て
久
し
今
は
遠
隔
操
作
ジ
ャ
ペ
ー
ン
に
聞
こ
ゆ
る
ラ
ジ
オ
の
英
会
話
午
後
の
気
防
護
衣
と
ゴ
ー
グ
ル
つ
け
し
透
視
医
を
さ 角
ら ぐ
ぎ め
の る
陽ひか 紫
光り 陽
花
の
芽
の
あ
ざ
や
か
な
緑
に
は
じ
く
き
駆
け
出
し
の
頃
若
か
り
し
頃
知 裸
ら 木
ず の
雨
の
雫
を
落
と
し
つ
つ
茫
然
と
立
つ
樹
の
名
を
暗
室
で
カ
セ
ッ
ト
交
換
に
励
み
た
る
雪
に
埋
づ
む
二
重
造
影
時
代
を
生
き
来
し
我
ら
白
椿
ふ
ふ
み
し
ま
ゝ
の
き
さ
ら
ぎ
の
三
日
ば
か
り
の
淡
汗
か
き
て
胃
透
視
し
て
居
し
夢
を
見
ぬ
遠
き
風
音
米
子
市
芦
立
巌
胃
透
視
三
朝
温
泉
病
院
石
飛
誠
一
歌
壇
何
も
な
い
秋
の
小
庭
に
妻
が
い
て
風
花
の
一
枚
づ
つ
が
カ
ゼ
運
び
春
一
番
決
意
新
た
に
旅
立
ち
ぬ
新
雪
を
払
え
ば
髪
も
や
わ
ら
か
に
新
し
く
﹁
高
速
﹂
に
乗
る
竹
の
秋
春
一
番
俳
壇
倉
吉
市
筏
津
哲
夫
鳥取医学雑誌への投稿論文を募集致します
「鳥取医学雑誌」は、鳥取県医師会が発行する「学術雑誌」で年 4 回( 3 月・ 6
月・ 9 月・12月)発行しています。締切日は設けておりません。「受理」となった
論文は、発行月に最も近い医学雑誌へ掲載いたします。
投稿にあたっては、鳥取医学雑誌に掲載している「投稿規定」をご覧下さい。
優秀な論文に対しては、定例総会席上「鳥取医学賞」が贈られます。
会員各位の日常診療の参考となる論文のご投稿をお待ちしております。
ご不明の点は、鳥取県医師会・鳥取医学雑誌編集委員会へお問い合わせ下さい。
〒680−8585
鳥取市戎町317
鳥取県医師会内・鳥取医学雑誌編集委員会
TEL 0857−27−5566
E-mail
FAX 0857−29−1578
[email protected]
鳥取県医師会報 04.4 No.586
53
随 筆
帯同ドクターとして見たふたつのスポーツシーン
溝口町 武田医院 武 田 直 人
2 月18日から26日にかけての皆生ライフセービ
く満足な練習ができないままでの出場であったと
ングクラブのオーストラリア研修と、 3 月21日に
思います。ひとりはフルマラソンを走るランナー
行われた日本海マラソンに、クラブ員とともに帯
にとっては関門であるサブスリー( 3 時間以内で
同ドクターとして参加しました。オーストラリア
のゴール)を目標に、スタートから積極的なレー
研修では、ゴールドコーストで現地のライフセー
スをしましたが、終盤足をいためて目標タイムで
バーとともにレスキューボードや救助用の水上バ
走ることができませんでした。もうひとりは目標
イク(RWC)、救命ボート(IRB)を使った救助
タイムを 3 時間30分に決め、ぎりぎり目標タイム
技術の練習や、スイム、ランといった基本的な練
内で完走しました。結果だけをみると、明暗がは
習を行うクラブ員達を海岸から監視していまし
っきりとわかれたように思われますが、選手も私
た。この時は、ゴールドコーストに熱波が襲来し
も別のことを考えていました。無難にそこそこの
テレビでは住民に対して繰り返し日中の外出禁止
タイムで走ることは 2 人とも出来たと思います。
が報道されている中での練習となりました。気温
しかし、それでは今後につながるレースをしたこ
は42度を越え、ペットボトルの氷がみるみるうち
とにはなりません。スポーツだけに限らずどんな
に水になってしまう状況の中で、皆生ライフセー
ことでも、新しいこと、次の次元への挑戦なくし
ビングクラブのメンバー達は、ひとりの脱落者も
ては成長や進歩はないと思います。前述したオー
なく 2 日間の全ての練習を終え、指導をしてくれ
ストラリア研修でも、クラブ員は昨年ゴールドコ
たサーファーズパラダイス・ライフセービングク
ーストの海を経験し、次はその中でも自分達の救
ラブのインストラクターからは、「ひとつひとつ
助技術が通用するのか?という新しい目標を持っ
の動作が正確に行えているし、身体能力もオース
て 1 年間努力をして今回の成果が得られました。
トラリアのライフセーバーの資格が十分にとれる
もし練習についていくことができなかったら、恐
ものだ」と評してもらいました。皆生海岸や弓ヶ
らく全てのメンバーが再挑戦する決意をしたと思
浜では、ゴールドコーストの海のような激しい潮
います。今回サブスリーに挑戦して失敗したメン
流や高い波の中で練習をする機会がめったにない
バーは、この経験を次に活かしますと、新たな目
ために、クラブ員達は雪の降る中、日野川河口の
標に向かって歩み始めています。私は日ごろ外来
流れのある場所で練習をつんでオーストラリア研
での診療や往診に追われていることが多いので、
修に備えていました。練習を終えて海からあがっ
何となく日々の生活をこなしていくことに慣れて
てくるクラブ員達をみていると、それまでの過程
しまい、ともすれば新しいことに挑戦することよ
が思い起こされて胸に込み上げるものがありまし
り、守りの姿勢に入ってしまいそうになります。
た。帰国してわずか 3 週間で日本海マラソンが行
しかし、こうやって若いメンバー達と様々な体験
われました。この大会にはオーストラリア研修に
をすることが自分自身の活力にもなり、新鮮な気
参加したメンバーの内 2 人が出場しました。恐ら
持ちを呼び起こすことにもなります。結果や成績
鳥取県医師会報 04.4 No.586
54
が重要視されるのは当然のことですが、そこにい
験でした。今後スポーツドクターとして様々なシ
たるまでの過程やその人自身の考えがどうであっ
ーンに出会う機会が増えていくと思います。常に
たのか?これはスポーツだけにとどまらず、すべ
選手と同じ立場で物事を考え、共に挑戦していけ
てのことについていえることなのでは?と思う体
るような感性を持ちつづけたいと思います。
日本酒をもっと楽しむために…
鳥取市 野津医院 野 津 史 博
かい ざん
近頃、食品の産地偽装や、賞味期限改竄など、
されているお酒もあります。
生産者の無責任とも取れる意識の著しい低下、そ
ここでひとつの疑問に気付かれた方もおられる
れと反比例するかのような消費者の食に対する意
でしょう。アル添という作業がいつ頃から、どん
識の向上、また両者をあおるようなメディアの報
な理由で行われるようになったのだろうかと。
道の仕方など…どこに真実があるのか本当に見極
これは、昭和14年ごろから研究が試みられ、17
めが難しくなってきたと思います。また食と切り
年には、もろみにアルコールを添加することが認
離しては考えにくいものの一つに、お酒が挙げら
められ、アル添酒が登場することになります。こ
れると思います。今回は「お酒」の中でも、日本
れは、戦争の折、米などの原材料不足を補うため
酒について私見を述べてみたいと思います。
に生まれた戦争の置き土産のようなお酒です。ち
ひとことで日本酒といっても、米、米麹と水だ
なみに、それまで様々な理由から普及しなかった
けで造られたものもあれば、前者に醸造アルコー
一升瓶も、戦地に酒や醤油などを送るために増産
ル添加(以下アル添)をして造られたものなど多
体制が整い広まりました。余談ではありますが、
種多様です。日本酒は米の精白の歩合で区別する
江戸時代には発酵を終えたもろみに焼酎を添加し
ことができ、70%以下の精米(米の30%を削る物)
たり、搾りたての日本酒に焼酎を混和する「柱焼
を純米酒、本醸造酒の表示が許されており、60%
酎」という技法が登場していますが、これは日本
以下になると特別とつけることが許されてます。
酒の味がしゃんとする(辛口の酒になる)という
また60%まで米を磨いて、低温で醸したものを吟
狙いと日持ちのためだといわれています。
醸酒といい50%まで磨いて、低温で醸したものを
昭和50年代から生酒用にリンゴ酸、日本酒に清
大吟醸酒といいます。純米酒と本醸造酒の違いは、
涼感を出すため、クエン酸が添加されるようにな
アル添してあるか否かの違いで、してないものが
り、さらに吟醸酒ブームのあおりを受け、発酵初
純米酒、してあるものが本醸造酒になります。ま
期段階に出てくる好ましい香り成分を集めて後か
た吟醸酒や、大吟醸酒のうち、アル添してないも
ら加える「やこまん」という技法や、いろいろな
のが純米吟醸酒、純米大吟醸酒ということになり
合成香気成分を加え、いかにも吟醸酒という香り
ます。日本酒の中に普通酒というものもあります
をつける「着香」というものも行われるようにな
が、これは、アル添の制限も無く、それによる味
ります。
の薄まりの補いとして、酸味料、糖類、調味料、
以上のことを考えますと、本当にいい日本酒と
などの添加も認められているお酒です。ただ本当
そうでない日本酒が見えてくると思います。いい
は純米酒なのに、精米歩合が浅いため普通酒扱い
お酒は、置いていても熟成を楽しむことも出来ま
鳥取県医師会報 04.4 No.586
55
すし、栓をあけても味が崩れることなく、その変
今日私が述べさせていただいたことには、自身
化を楽しむことも出来ます。開けたらすぐ飲んで
の思い込みや、偏った贔屓目などが盛り込まれて
しまわないといけないなどといった気を使う必要
おり、支持していただけない方も多々おられると
も少なくなるはずです。焼酎など蒸留酒の飲み方
思います。ただ私が言いたかったのは、最近の焼
に代表される ロック 水割り 割り水燗 湯割
酎や日本酒にみられる一部の銘柄に対する人気の
りを楽しむことの出来るお酒もあります。燗冷ま
集中、それによる価格の高騰(いわゆるプレミア
しが旨いお酒もあります。
価格)いろいろな情報による意識操作。 2 千円台
近頃の焼酎ブームによる日本酒離れ。焼酎でも、
のものが数万円で売られ、それを購入する人々。
以前使用されていた黄麹が見直されています(黄
お金を出せばなんでも買える時代の流れ、今まで
麹とは日本酒に使われる麹菌)。次の日が楽だか
通用していた常識のゆがみ。全てとはいえません
ら、流行っているから、とかで飲み物を選ばず、
が、本物でないものが、さもそうだと言った顔を
ワインのラベルを読むように日本酒のラベルを読
して世の中を往来している現実。ブランドイメー
み、味の予測を立ててみたり、特定銘柄酒ごとの
ジも大切ですが、自分自身の思い、考えの方がも
違いを楽しんでみたり、同じ銘柄で燗付け温度の
っと大切だと思います。本物志向という言葉を耳
変化を楽しんでみたり、時代背景に思いを馳せ時
にする機会がありますが「本物」以前に「本質」
の流れと共に味わってみたり…。こういう楽しみ
の見直しと、それを見極める力が必要とされる時
方をすれば、今までうかがえなかった日本酒の新
代が来ているのではないでしょうか…。
しい顔がみえてくることと思います。
ある日の訪問診療:おばあさん、どこへいくの?
智頭町 智頭病院 濱 崎 尚 文
K.T.さん(88歳、女性)は「クモ膜下出血術
といった感じです。介護しておられるお嫁さん
後」。ここ 2 ∼ 3 年、痴呆症状がみられるように
も「お世話のし甲斐があります」といって、やさ
なり、ご家族の介護を受けながら自宅で療養して
しい介護を続けておられます。
おられます。私達は月に 1 回、訪問診療で経過を
みさせていただいています。いつも笑顔で、ご家
族や私達が話しかけると、とても丁寧な言葉で応
対されます。たとえば、
ある日、K.
T.さんが
「おかあさんは、とてもやさしくしてくれます。
おかあさんの料理はとても美味しいです。私はも
ういつ行ってもいいと思います。」といわれまし
「調子はどうですか?(私)」
「ありがとうございます。調子はとても良いと思
います。(K.T.さん)
」
「いつ行ってもいい」という言葉は初めてだっ
たので、お嫁さんが「いつ行ってもいいって、ど
「食事は美味しく食べられますか?(私)」
こに行くの?」と尋ねられたところ、K.T.さん
「はい、おかあさんの料理はとても美味しいです。
の答えは「お嫁に!」でした。
ありがとうございます。(K.T.さん)
」
鳥取県医師会報 04.4 No.586
56
た。
思わず皆で大爆笑。患者さんやご家族に対して
十分な支援を提供することができず、落ち込むこ
「元気」をいただいて、次のお宅へと向かいまし
た。
ともしばしばですが、この日はK.T.さんから
ミクロの決死圏
米子市 魚谷眼科医院 魚 谷 純
「ミクロの決死圏」という映画をご存じです
ければいけない。
か? 我々の世代には懐かしい映画ですが、若い
CIAの情報部員を含む 5 人の医療団が医療器具
世代には馴染みが無いようです。当院の職員でも
を携えて潜航艇に乗り組み、ミクロ化されて注射
知っているのは少数派でした。1966年に公開され
器に吸引され、頸動脈に注入されていよいよ博士
た米国映画で、外科手術が不可能な部位に生じた
の体内に入った。手術台の周囲には小さなレーダ
VIPの頭蓋内血腫を、ミクロ化された医療団が血
ーが多数設置され、体内の潜航艇の位置をモニタ
管を経由して患部にたどり着き、レーザー銃で治
ーしている。潜航艇は外部と無線交信で連絡しな
療するというあらすじです。東西冷戦下のスパイ
がら運行。
物と、医療物がミックスされたSF映画(原題
頸動脈に注入された潜航艇はすんなり脳内の患
名:Fantastic Voyage)で、封切り当時、結構評
部に到達するはずが、そこは映画ですから、何故
判になりました。
か頸静脈に入ってしまい、心臓を経由しなければ
ならなくなり、動脈の急流に翻弄されたり、リン
あらすじ:患者は鉄のカーテンの向う側からア
パ管に入ったりと身体各所を経由して、抗体に襲
メリカに亡命してきた重要な情報を持つ博士。亡
われたり、さらに医療団の中に敵のスパイがいて
命直後に敵側のスパイの襲撃を受け、クモ膜下出
妨害されたりと様々なアクシデントが続き、60分
血で意識不明となって病院に担ぎ込まれた。博士
のタイムリミットに追われ、はらはらドキドキの
は物体を細菌大に縮小し、それを長時間持続する
進行です。そうしてタイムリミット寸前に、レー
方式を知っている。だが、米国の科学者は今のと
ザー銃を照射して患部の凝血塊を焼き切って取り
ころそれを 1 時間しか持続できない。だから、そ
除き、手術は成功……。
の方式を知るためには何としても博士を蘇生させ
なければならない。博士のクモ膜下血腫は開頭手
初めてこの映画を見たのは封切り直後の高校生
術が不可能で、脳の内部から手術によって除去す
の頃だったか、あるいは大学生になってからテレ
るしかないという結論に達し、医学史上空前の試
ビで見たのか今となってははっきり覚えていませ
みを行うことになる。それは特殊潜航艇に医師と
ん。高校生の頃は映画のストーリーもさることな
科学者を乗せ、それをミクロ大に縮小し、博士の
がら、主役の一人、女優のラクウェル・ウェルチ
頸動脈に注射することによって患部に到達させ、
のグラマーな姿態が評判になりました。今と違っ
レーザー銃で治療するというのであった。米国の
てせいぜいビキニスタイルでしたが、当時創刊さ
科学技術ではミクロ大への縮小を持続できる時間
れたばかりの「平凡パンチ」や「プレイボーイ」
は60分しかないので、手術は60分以内に終了しな
といった週刊誌のグラビアを飾り、随分悩殺され
鳥取県医師会報 04.4 No.586
57
たのを懐かしく想い起こします。
私の場合、動脈瘤に流入している血管の内径は
ところで、物体を縮小してミクロ化するという
0.9mmなので、そこに、形状記憶合金となってい
のは現在でも荒唐無稽な空想ですが、それ以外の、
るプラチナ製の針金の入った外径0.6mmのカテー
この約40年も前の映画に描写されていた様々な技
テルを大腿動脈から通していき、プラチナ製の針
術が、現在ではごく普通の技術として実際の医療
金はカテーテルの先端から出るや否や、形状記憶
の現場で応用されているのに驚かされます。潜航
合金のためにコイル状となって動脈瘤の中に留置
艇をモニターしていたレーダーは、さしずめ現在
されると、実物を見せながら説明してくれました。
のCTやMRIでしょうし、レーザー銃は各種のレ
実際の手術は、一昨年12月10日に行われ、全麻
ーザー装置としてしっかり実用化されています。
下で 4 時間くらいかかったそうです。後で手術の
私は一昨年「脳動脈瘤コイル塞栓術」を受けた際
VTRをいただきましたが、三次元に分岐してい
に、まさに「ミクロの決死圏の世界が実現した!」
く細い血管の中を、 2 台のモニターの画面を頼り
と感じました。CTやMRIを始めとする画像診断
に、カテーテルを目的の部位に合併症無く正しく
の進歩や、各種の内視鏡の発達により、この映画
誘導していくのは、大変な技術を要するであろう
のように、
「人間をミクロ化して体内に送り込む」
ということは容易に想像できました。「低侵襲手
のと同じくらいのレベルで、「より小さな侵襲。
術」はイコール「簡単な手術」ではなく、かえっ
より正確な診断や治療」が可能になってきている
て高度な技術を要するということは、自分の行っ
と思います。
ている眼科の白内障手術でも同じだと思いまし
一昨年春に突然体調を崩し、「切迫小脳脳幹梗
た。
塞」の診断で山陰労災病院に入院した際に、偶然
こうして、「ミクロ化された医師団」の代わり
「未破裂脳動脈瘤」が発見されました。
「切迫小脳
に、現代科学の粋を集めた「プラチナ製の形状記
脳幹梗塞」の方は幸いすぐに後遺症無く完治し、
憶合金」という違いはありますが、大腿動脈を経
16日間の入院で診療に復帰できました。脳動脈瘤
由して脳内の手術を受けるという貴重な体験に、
の方は放置して経過を見るにはやや危険な大きさ
これぞ正しく「ミクロの決死圏」の世界だと、感
だが、幸か不幸か、開頭してクリッピングするに
慨深く感じた次第です。血管内手術ですから術後
は難しい深い部位にあり、血管内手術による「脳
の苦痛はほとんどなく、速やかに日常生活に復帰
動脈瘤コイル塞栓術」が良かろうということにな
できました。医学の進歩の恩恵に与り、改めて有
りました。そして、山陰労災病院ではこのような
難く感謝しています。
部位に発生した脳動脈瘤の症例は経験が少ないと
いうことで、症例の豊富な大阪の国立循環器病セ
ンターを紹介されました。
国立循環器病センターの主治医からは術前に十
分なインフォームド・コンセントを受けました。
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(本文は、鳥取大学医学部眼科同門会発行の
「同門会だより 20号」に書いたものを一部手直
ししたものです。
)
この欄は、重要な情報の共有とユーモアに溢れた話題を提供し、会員相互のコ
ミュニケーションを深めることを目的にしております。
1編を400字∼800字程度にまとめ、20字程度以内の標題を付けて下記宛お送
会員の
ひろば
りください。締切は毎月末日です。最近のトピックスに限らずあらゆる分野の一
家言をお待ちしています。
送付先;鳥取県医師会・広報委員会 FAX
または E-mail
うちのアロマ
0857−29−1578
[email protected]
でお願いします。
たところでしょうか。「たまには、グレープフル
ーツの香り、流そうよ。金のことは、気にすんな
いろいろ新しいことをやってみたいし、みなけ
ればならない。そのためにはそのことを勉強する
よ」と院長、ポケットの小銭入れに手を延ばす、
といったところですね。
学校を開くのが早道か。学校の先生は誰にする。
鳥取市 徳永 進
〈アロマ療法〉を勉強しようと、学校を開くこ
とにした。アロマなんて、なんだかうさんくさい
小児科安心パスポート
気もした。くさくちゃ困るんだけど。アロマの先生
ってどこにいるんだろ。どうやって探すんだろ。ど
昨年11月に、小児科医不在地区であった智頭
こかで講演会があったとか、インターネットで探
町・智頭病院に赴任しました。 2 年前に鳥取県立
し出したとか、具体的に何人かの人物が登場す
中央病院の初代医療局長に任じられ、小児医療の
る。
現場から遠のいていた状況にあって、片山知事 2
「交通費だけでいいです。一泊の宿と」と言っ
期目無投票当選に関連した昨年 7 月の県人事を受
てもらえるとうれしいけど、失礼があってはなら
けて、小児医療の現場に復帰することを武田院長
んし、などと思いながら、なんとか学校は実現す
に願い出て、ご理解を得、杉山智頭病院長の歓迎
る。
の意もあって、今に至っています。
アロマに使う精油だとかなんとか、高いのから
県立中央病院の小児科では、自身の力で可能な
高くないのから、いろいろ並んだ。いい香りは人
ことは達成した感がありました。一方、地域に根
をリラックスさせるのは確かだが、臭い匂いは人
ざした病院での小児医療に携わりたい願いは、自
を不快にさせるのも確か。アロマの香りに、不快
身も忘れていたのですが、医師になる時点での初
な匂いを押える努力をしている空間でしか意味を
心であったのです。このことは、智頭病院への赴
持たない。
任を母に伝えた際に、「あら、恭ちゃん、そう言
健康な若い女性とアロマは、スッーと結びつ
く。産科病院でもスッーだろう。死に向かっていか
っていたじゃない」と、周囲が小生の転進に驚く
中、母は平然と話した次第でした。
れる病室。ここが意外と難しい。スッーとはいかな
さて、智頭町・智頭病院における唯一の小児科
い。ミスマッチが生じやすい。でも、そういう場で
医として、安心・安全のために、工夫が必要でし
アロマが静かに流れ、一つの空間を瞬時でもいい、
た。住民の方から小児医療についての要望等、ご
確保すると、いいなー、とつくづく思える。
意見をいただける仕組み、
「小児科モニター制度」
今、ぼくの診療所でアロマはどうなっているか
というと、茶香炉というのが意外と生き続けてる
けど、あとは夜の廊下の上に、アロマポットのボ
ーとした灯りが、点、点とともっている、といっ
の創設や、「小児科安心パスポート」の作成など
がそうです。
後者は、診療していて、経過が気になる病態や、
不安を残して家庭看護をされる保護者の方に対し
鳥取県医師会報 04.4 No.586
59
て、お渡ししているものです。オレンジ色のやや
〈発熱で受診した小児に抗菌剤投与が必要か?〉
厚い紙に、図に示した文を印刷した約10cm大の
今まではあまり悩まずに使用していた……〈子ど
カードなのですが、当初は救急再診のご案内とし
もたちの歯を着色させるミノサイクリン投与
ていましたが、いつしか“安心パスポート”の愛
は?〉小児への使用は数年前から完全に止めた…
称が定着した次第でした。
…〈嘔吐があればそれだけで点滴をするのか?〉
浣腸で排便を促し、適切な水分補給/食事指導で
小児科 安心パスポート
様 月 日 :
/
まで有効
頃診療しました。
ほとんどは治ってしまう……〈鼻水だけの乳児に
風邪薬が必要か?〉さっさと薬を処方してしまう
丁寧に変化を診ていくことが必要な病状でした。
心配な状況があれば、予定した再診日より早く、
方が楽だけど……〈軽症のインフルエンザにもタ
受診して下さい。お互いの安心のためです。なお、
ミフルを処方するのか?〉社会的適応は考慮する
時間外に受診される場合は21時までに電話をし、受
としても、乱用は慎みたい……
診意思を連絡して下さい。当直看護師が大谷に直接
連絡をして対応いたします。事情によっては、連絡
もちろん、中には失敗がありますね。抗菌剤を
が取れない場合や、大谷が即時診察出来ない、例外
出さなかったら、中耳炎を併発した/溶連菌感染
的な状況もあり得ます。よって、ご了解の上、早め
症だった。点滴をしないで帰したら、嘔吐が止ま
に連絡をしてください。小児科医:大谷恭一
※智頭病院 TEL 75−3211
らず夜間に救急病院で点滴してもらった。軽症だ
と思っていたインフルエンザが、その晩に40度も
この活用により、保護者支援の向上に寄与して
いるのかなと思っています。
熱が出た。そんなこともあろうかと「今のところ
は大丈夫です。先のことはわかりません。何か変
ご意見等お寄せいただければ幸いです。
智頭町 大谷 恭一
化があれば、その時点で最善の策を考えましょ
う。」と、かならず付け加えるようにしています。
「岡空に行っても、何もしてごさん!」と言わ
何もしてごさん小児科医
れながらも、必要最小限の医療を提供する「何も
してごさん小児科医」を理想として邁進しようと
大学を卒業して丸々25年が経ち、今年で満50歳
思っています。
になります。
境港市 岡空 輝夫
卒業後の内訳は大学院生 4 年、大学病院勤務医
7 年半(内地留学 1 年)、市中病院勤務医 6 年そ
して開業医になってからの 7 年半です。
開業してみて、あらためて認識したことがあり
意識変革を迫られた!
日本医師会主催第 3 回指導医のための
教育ワークショップに参加して
ます。
今さらこんなことに気づくなんて遅いのかもし
今年 1 月24、25日と東京で開かれたこのワーク
れせんが、子どもたちの(人間として、生命体と
ショップに参加し、実質16時間半という強行スケ
しての)自然治癒力です。
ジュールもさることながら、言い過ぎかも知れな
勤務医時代は何はさておき検査/投薬/点滴/
いがその内容にカルチャーショックを受け、思考
入院という選択を優先し、木だけ見て森を見てい
変容を迫られたと感じたので若干感想を書いてみ
なかったように思えてなりません。
る。
「そりゃ、輝ちゃん、年取ったからだよ!」と
参加の動機は、鳥取生協病院も昨年10月に管理
言われるのかもしれませんが、遅ればせながらも
型臨床研修病院へ指定されたので、プログラム管
反省の日々を送っています。
理者として平成16年度から始まる新しい臨床研修
鳥取県医師会報 04.4 No.586
60
制度に指導医として責任を持つため参考にしよう
という軽い気持ちであった。
(本鑑定 2 件、簡易鑑定 9 件)を行った。20年あ
まりの精神科臨床においてもいろいろな人生の縮
以前より医学教育がどんどん変わっている事
図を感じるけれど、刑事事件を通してみる人間模
は、外科学会などに参加した際、情報を入手して
様も「社会の鏡」だと実感する。なかでも、今回
いたので知っていた。しかし、その知識が浅く、
紹介した母・娘とその長男の心中未遂事件の精神
このワークショップに参加する中で自分の未熟さ
鑑定がこころに澱み、ときどき頭をかすめる。
を思い知った。また平成 3 年より13年間、鳥大に
事件は数年前、他県より高速道路を利用して鳥
て外科学臨床講義を年 1 回非常勤講師として担当
取県内に入り、林道より乗用車ごと谷底に向け転
していた時のことを思い出し、スライドを使用し、
落した。幸い途中の樹木に遮られ、 3 人とも軽い
集団を相手にした従来型の講義中心で、本当に良
負傷で済んだ。運転した娘の供述や残したメモ書
い教育を行ってきたのか?など反省させられた。
きが不自然であった。面接での診断は、ICD-10
指導医とはどうあるべきか? 絶対今までのよう
により「家族の失踪あるいは死」と「急性ストレ
な「俺についてこい」方式ではだめで、きちっと
ス反応」および「解離性健忘」で、限定責任能力
した教育原理に基づくこと、何よりも固定観念を
と考えられた。
打破することがまず必要な事だと感じた。
家族は会社員の夫と専業主婦そして 1 歳半の長
今回のワークショップの主要なテーマはカリキ
男の 3 人暮らし。事件の 3 年前に家を新築し住宅
ュラムプランニングであった。医学教育学会など
ローンを組んだ。営業職の夫は、売り上げが達成
の新しい手法を取り入れており、目標、方略、評
できないことに焦り、妻やその親にも相談できな
価という教育の流れを理解し、実際の研修現場で
いまま、失踪を偽装した。娘が実家に戻ったとこ
応用出来るようになることが企図されていた。こ
ろ、親が強引に離婚手続きをさせた。いよいよ泣
ういう方法論の下、研修医が救急とプライマリケ
き崩れているのを見かねた母が「遠くに行こう」
アの基本技術を習得し、立派な医師に育っていく
と声をかけ、はじめて母親の支持を得た気持とな
ため指導医もその能力を獲得することが大切な事
って心中(拡大自殺)を決意した。
だと感じた。さらには病院のみならず、全国各地
娘は親からの期待に学業をがんばり、それを満
の医師会の第 1 線で活躍されている開業医の方も
たせずにいた。結婚相手は、学歴・収入など両親
積極的に医師の卒後研修に関わっておられ、「後
のメガネに合わず、既成事実で認めさせた。母の
輩を教えることは自分が学ぶことである(teach-
宗教への誘いに乗り、再び母が気に入るよう行動
ing is learning)」と言う理念のもと、指導医とし
を共にしていた。
ての教育能力を向上させることに努力されていた
事も感銘を受けたことであった。
事件には善意の苦悩が積み重なっており、母か
らの自立を目指し、信頼する夫との生活を夢見た
鳥取県医師会においてもこのようなワークショ
娘が、再び母の接近を拒絶できず破局に向かう姿
ップを立案企画され、医師会員全員で研修医を育
があった。犯行に向かう運転中に気分の高揚と部
てるようなシステムが出来ればうれしい。
分的な健忘があった。
鳥取市 竹内 勤
司法精神鑑定の面白さ
鳥取市 山下 陽三
地域に溶け込んだ医師(医師会)を目指して
2000年 4 月ころより検察庁や裁判所からの鑑定
私は、子どものPTAの関わりの中から、小学
依頼が来るようになり、ざっと今日までに11件
校のPTA会長、倉吉市のPTA連合会の会長、鳥
鳥取県医師会報 04.4 No.586
61
取県PTA協議会の副会長までさせていただきま
パークスクエアを発着点とした第 4 回日本海未来
した。そのPTA活動の中での異業種交流から、
ウォークが開催されます。多くの皆さんの参加を
多くのことを学び、さらに新しい活動が展開して
お待ちしております。また、NPO未来への入会
いきました。その 1 つに「日本海未来ウォーク」
もお待ちいたしております。
があります。平成13年から市民スポーツとしての
倉吉市 松田 隆
ウォーキングを日ごろの健康維持や語らいの手段
※「日本海未来ウォーク」の内容については、65
として広めようと、全国規模のウォーキング大会
頁に掲載しています。
を毎年開催してきました。また、多数の学生ボラ
ンティアを含む様々な年齢や職種の方たちと共に
アルハラ
活動し、ウォーキング大会以外にも講演会や勉強
会、演奏会や募金活動等も行いました。一方で、
少子高齢化、中心商店街の衰退、地域社会の崩壊
員が入ってくる時期となり、歓迎会が行われるこ
など、この地域の抱える問題も知り、これらの課
とも多く、また、花見などもあり、初めて大量の
題に取り組み、個々の枠を越えた全市的な活動を
アルコールを飲むことになる人もこの時期に多い
展開するために今年 2 月に特定非営利活動法人
と思われます。
(NPO)未来(事務局TEL&fax:0858−22−
9791
E-mail:[email protected])が生ま
この時期に毎年のようにニュースになる急性ア
ルコール中毒が、今年もやはり、先日のニュース
れました。その活動は、JWA公認の全国規模の
で採り上げられていました。ある大学の学生寮で、
「日本海未来ウォーク」を初めとする、市民スポ
新入生が上級生の部屋を回って、多量のアルコー
ーツ大会の企画・開催、身近な医師や専門の講師
ルを摂取したようです。
を招いての健康医学に関する講演会の開催、ボラ
命に関わるようでなければ、ニュースの扱いも
ンティアの育成と教育に関する事業、鳥取県が全
小さく、関心を示さない人の方が大多数かと思い
国に発信するコミュニケーション・スキルの教育
ます。私自身の勤務医時代の症例で、重大な結果
プログラムの提言として、昨年から開催している
となったものが 2 例ありましたが、そのような経
「人間性回復プロジェクト」などの子どもの健全
験がない方は、あまり深刻な問題とは受け取られ
育成事業、地元音楽愛好者の支援活動、郷土の歴
ないのかもしれません。
史・文化・物産に関する事業、まちづくりに関す
医師会関係の酒席では、アルコールを勧められ
る調査研究、および提言など、幅広い分野に及ん
ることはあっても、強要されることはなく、アル
でいます。この中で、我々医師も地域住民の一人
コールに弱い私でも大丈夫ですが、明らかな上下
として関わっていく事が必要だと思っています。
関係のある大学の部活動や企業の酒席では、先輩
地域住民の立場から見ることによって、医療、福
や上司が強要するアルコールハラスメントに陥り
祉の問題や患者さんの視点も十分理解できるよう
やすくなります。新人たちの輝ける未来のために、
になり、ニーズにこたえられる医療ができるよう
特に大学や企業のトップの方は、上級生や管理職
になるのではないかと思っています。中部医師会
に対して、注意の喚起を毎年行っていただきたい
も「日本海未来ウォーク」の主催団体の 1 つとし
と思っています。
て協力しています。今年も 5 月 4 日、 5 日に倉吉
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新年度が始まり、学校や職場に新入生や新入職
倉吉市 石田 浩司
地 区 医 師 会 だ よ り
東 部 医 師 会
用瀬町 井 上 雅 勝
例年より寒いと思っていた今年も、桜の開花は、
て
いつもより早くなりました。積雪も少なく、やは
3 )代議員会提出議案について
り暖冬だったのでしょうか、このところ季節の移
4 )その他 5 項目
り変わりがよくわかりません。新年度をむかえ県
11日 学術講演会
医師会、地区医師会の役員交代が行われました。
「心不全の病態と治療」
県医師会は去る 2 月28日、鳥取県医師会代議員会
―急性期から慢性期までの薬物療法―
において今年度の新役員の選出が行われたのは、
国立病院大阪医療センター循環器科
ご存知と思いますが、東部医師会も 3 月13日、東
部長 安村 良男 先生
部医師会通常代議員会にて、今年度東部医師会新
13日 東部医師会通常代議員会
役員が選出されました。今回の役員交代で、平均
16日 第392回東部胃疾患研究会
年齢も56歳から52歳に下がり大幅に若返りが図ら
17日 第 6 回東部産婦人科臨床懇話会
れました。懸案であった、小児科医の理事も選出
18日 第 7 回看護学校運営協議会
され第三次米本内閣は順調に船出しました。
第162回胸部疾患研究会
19日 東部糖尿病談話会
3 月の東部医師会の主な行事です。
( 3 月)
22日 大腸がん検診従事者講習会
23日 第24回理事会
2 日 東部臨床内科医会
報告事項
4 日 学校医講習会伝達講習会
1 )第 3 回鳥取県東部地区小児救急医療体
8 日 主治医意見書研修会
9 日 第23回理事会
制協議会
2 )第52回医事紛争処理委員会について
報告事項
3 )医療安全対策委員会について
1 )第 3 回痴呆疾患研究会について
4 )その他10項目
2 )東部地区痴呆性高齢者相談等支援事業
検討事項
について
3 )看護学校第50回卒業式について
4 )その他 8 項目
協議事項
1 )産業医の推薦について
2 )県東部福祉事務所嘱託医の推薦につい
1 )会員異動について
2 )鳥取県医師会各種委員会委員の推薦に
ついて
3 )県健対協各種委員会委員の推薦につい
て
4 )その他 8 項目
鳥取県医師会報 04.4 No.586
63
24日 介護保険委員会
主任部長 石田 直 先生
25日 診療報酬点数改正説明会
26日 学術講演会
学術講演会
「パーキンソン病治療の進歩」
「市中肺炎の診断と治療」
国立精神・神経センター国府台病院
―ケトライド系抗菌薬の役割―
神経内科 部長 湯浅 龍彦 先生
倉敷中央病院 呼吸器科
30日 新旧合同理事会
東 部 医 師 会 役 員 名 簿
任期16.4.1∼18.3.31〈敬称略〉
会 長
米本 哲人
副会長
板倉 和資
理 事
中島 公和
乾 俊彦
谷口 玲子
松浦 喜房
瀬川 謙一
山下 裕
三宅 茂樹
(元)
田中香寿子(新)
福島 明(新)
杉本 勇二(新)
小濱 美昭
(新)
深澤 哲(新)
梅澤 潤一
寺岡 均
(新)
監 事
中 部 医 師 会
赤碕町 妹 尾 磯 範
このコーナーを担当してから早二年が過ぎよう
としています。これまでの原稿を見直してみると、
であります。
3 月は、医師会役員の改選があり、26日の定時
わずか二年ばかりの間ではありますが医師会関連
総会で伊藤中部医師会会長の留任と新役員が決ま
のことだけでも実にいろいろの事があったことが
りました。新体制の下、気持ちも新たにこれから
想い起されます。と同時に、小生も四十代から五
の二年間会員皆で頑張っていこうという伊藤会長
十代に突入し我が身の行く末を本気で考えねばな
の挨拶がありました。私も過去二年間の経験と反
らない年代になったにも拘らず、まったく進歩の
省を生かし、微力ながら仕事させていただこうと
ない二年間であったかな、と反省せずにはいられ
思っています。皆様のさらなる御指導御鞭撻宜し
ません。これではならじと、最近かなり倉庫化し
くお願い致します。
ていた院長室の大整理を敢行し、やる気を奮い立
たせようとしている今日この頃であります。
では 3 月の主な活動を報告します。
さて、今年はインフルエンザワクチン在庫問題
が浮上したものの、脳症発生に遭遇することなく
8 日 西島英利氏時局講演会
シーズンを終えそうでやや安堵しております。た
9 日 定例理事会
だ例年と異なりB型の発生が皆無に近かったこと
10日 定例常会
はどういう意味があるのか、専門家の見解を現時
講演会
点では聞いておりませんが、是非知りたいところ
「ドーピングコントロールについて」
鳥取県医師会報 04.4 No.586
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鳥取市立病院 外科 前田宏治 先生
15日 肺癌検診症例検討会
11日 厚生病院オープンシステム協議会
18日 消化器癌検診症例検討会
講演会
22日 血液製剤講演会
「脳梗塞急性期および慢性期の治療」
23日 点数改正説明会
島根大学医学部 教授 小林祥泰 先生
小児科懇話会
13日 鳥取県乳腺疾患研究会
「遷延性黄疸を来たした新生児肝炎の一例」
特別講演
厚生病院小児科 水上朋子 先生
「整容性を高めた乳房温存療法」
26日 117回定時総会
広島市民病院外科部長 檜垣健二 先生
中 部 医 師 会 役 員 名 簿
任期16.4.1∼18.3.31〈敬称略〉
会 長
伊藤 文利
副会長
岡本 博文
吉中 正人
理 事
池田 宣之
松田 隆
引田 亨
安梅 正則
坂本 惠理
妹尾 磯範
深田 民人
(新)
清水 正人
大石 一康
(新)
森尾 泰夫(新)
河本 知秀
新田 辰雄
(新)
監 事
第4回日本海未来ウォーク開催要項
■主 催
鳥取県中部医師会、新日本海新聞社他
■日 時
平成16年 5 月 4 日(火)・ 5 日(水)
■コ ー ス
: 5 月 4 日(火)天女コース(40km、20km、10km)
: 5 月 5 日(水)打吹コース(30km、20km、10km、 5 km)
■参加資格
不問※小学生以下は保護者の同伴が必要。
■参 加 料
[予約]一般1,500円、
[当日]2,000円
中・高学生500円/小学生以下無料
■当日受け付け人数
■参加申し込み
両日とも先着500名
郵便振替または直接事務局か新日本海新聞社に申し込む
(申込み受付時間: 9 時∼18時)
■参加申し込み
お問い合わせ
〒682−0816
倉吉市駄経寺 2 丁目15−1
倉吉合同事務所 3 階「未来ウォーク実行委員会事務局」
TEL:0858−22−9791(Fax兼用)
e-mail:[email protected]
鳥取県医師会報 04.4 No.586
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西 部 医 師 会
米子市 山 本 仁
平成16年 3 月の行事を報告致します。
芳賀 克夫 先生
学術講演
5 日 整形外科合同カンファレンス
「変貌する脳卒中治療―最近の進歩と脳卒
6 日 『地域医療と在宅医療』を考える研修会
中治療ガイドライン」
特別講演
「卒後臨床研修必修化と地域医療」∼これ
からの医療改革に、我々がどう関わってゆ
くか∼
岩手医科大学神経内科 教授
寺山 靖夫 先生
15日 第57回鳥取県西部医師会臨時代議員会
医師会合同胸部X線検討会
岡山市 安田内科医院 院長
16日 消化器超音波研究会
岡山大学医学部医学科臨床教授
18日 学術講演
安田 英己 先生
7 日 診療支援ソフト『RS―Base』デモンスト
「重傷末梢性動脈硬化疾患に対する新しい
治療法とその適応」∼血管再生治療の
レーション
現状∼
広島市 中西内科 院長
鳥取大学大学院医学系研究科
中西 重清 先生
9 日 消化管研究会
10日 米子看護高等専修学校卒業式
再生医療学分野 助手 山本 康孝 先生
平成15年西部地区乳がん症例検討会
19日 第321回山陰消化器研究会
痴呆予防に関する医師等講習会
西部医師会臨床内科医会
第15回西部在宅ケア研究会
「増加する二次性高血圧の診断と治療」
「痴呆症の早期診断・治療とケア」
山陰労災病院 内科 太田原 顕 先生
鳥取大学医学部 脳神経内科
涌谷 陽介 先生
第381回小児診療懇話会
11日 米子市急患診療所当直総会
22日 定例理事会
23日 消化管研究会
24日 臨床内科研究会
25日 鳥取県西部保育所・幼稚園嘱託医と施設長
第 1 回米子洋漢統合医療研究会
との懇談会(児童虐待防止に関する講習会)
「漢方・EBMと洋漢統合医療」
並びに 5 歳児検診の推進に係わる研修会
日本東洋医学会・EBM委員会委員長
27日 点数改正説明会
医療法人社団伝統医学研究会
あきば病院 院長 秋葉 哲生 先生
12日 第70回米子消化器手術検討会
「包括支払い方式とクリテイカルパス―パ
ス活用のコツとポイント」
国立熊本病院 外科医長
鳥取県医師会報 04.4 No.586
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鳥取県地方気象台が 3 月24日、桜の開花を発表
しました。時同じくして、鳥取県西部医師会にお
いても開花宣言がなされました。
去る、 3 月15日の臨時代議員会で鳥取県西部医
師会の役員改選が行われ、鳥取県西部医師会会長
に魚谷 純 先生、副会長に細田庸夫 先生、作
会長の意気込みがひしひしと感じられます。
野嘉信 先生、小竹 寛 先生と、総勢29名が決
御活躍をお祈り申し上げます。
まりました。平均年齢52歳と若返っており、魚谷
西 部 医 師 会 役 員 名 簿
任期16.4.1∼18.3.31〈敬称略〉
会 長
魚谷 純
(新)
副会長
細田 庸夫
作野 嘉信
小竹 寛
(新)
理 事
山内 教宏
山本 仁
飛田 義信
伊藤 隆志
(新)
白石 眞博
高見 徹
中曽 庸博
宝意 規嗣
(新)
野坂 美仁
小林 哲
(新)
中村佐和子
(新)
監 事
中尾 圭介
(新)
木村秀一朗(新)
BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBB
鳥取県国民健康保険団体連合会理事長の変更について
1 .就任(平成16年 4 月 1 日付)
2 .退任(平成16年 3 月31日付)
理事長 竹内 功(鳥取市長)
理事長 平林 鴻三(前衆議院議員)
国民健康保険被保険者証を無効とすることについて
1
保 険 者 番 号
2
被 保 険 者 証 の 記 号 番 号
030692
340190
504−2624(
「再交付」の表示
01008951
がないものに限る)
3
被保険者証の交付年月日
平成15年 8 月 1 日
4
被保険者証を無効とする日
平成16年 3 月25日
5
無 効 告 示 の 理 由
偽りその他の不正行為によっ
平成15年10月 1 日
同 左
て、保険給付を受けるために
使用される恐れがあるため。
6
このことに関する問い合わせ先
前沢町福祉保健課国保係
熊野町住民課保険年金係
電話(0197)41−3501
電話(082)820−5604
厚生労働省組合員証の無効について
1
組合員氏名
山本 栄史
4
無効年月日
平成16年 2 月24日
2
組合員証番号
1301237
5
無 効 理 由
紛失のため
3
保険証番号
31170194
鳥取県医師会報 04.4 No.586
67
会長動静
3月
県医の動き
2 日(火) 鳥取産業保健推進センター運営協議会[同センター]大石副会長
3 日(水) 鳥取大学運営諮問会議[ホテルニューオータニ鳥取]長田会長
4 日(木) 鳥取県母子保健対策協議会・健対協母子保健対策専門委員会
〃
鳥取県准看護師試験委員会[県庁]大石副会長
〃
都道府県医師会社会保険担当理事連絡協議会[日医]富長・天野常任理事
〃
倉吉看護高等専修学校卒業式
5 日(金) 鳥取県結核対策推進協議会[県庁]天野常任理事
6 日(土) 鳥取県成人病検診管理指導協議会胃がん部会・健対協胃がん対策専門委員会、胃がん検診従事
者講習会及び症例研究会
〃
鳥取看護高等専修学校卒業式
10日
(水) 都道府県医師会共同利用施設担当理事連絡協議会[日医]吉中監事
〃
米子看護高等専修学校卒業式
11日
(木) 第11回常任理事会
〃
鳥取県成人病検診管理指導協議会総合部会
〃
地方社会保険医療協議会[ウェルシティ鳥取]野島副会長、板倉(東部)
、岡本(中部)副会長
12日
(金) 医師会立准看護師養成所教務主任連絡会議[日医]松下米子看護高等専修学校教務主任
16日
(火) 日医理事会[日医]長田会長(日医理事)
〃
第二回2004年世界医師会(WMA)東京総会準備委員会[日医]長田会長
18日(木) 点数改正打合会
〃
第52回医事紛争処理委員会
〃
医療安全対策委員会
〃
第148回鳥取県医師会公開健康講座
23日(火) 鳥取県臓器バンク[県民文化会館]長田会長
〃
地域がん診療拠点病院推薦検討委員会[県医師会館]長田会長、岡本常任理事、米本(東部)
会長
24日(水) 鳥取県地域福祉計画策定指針・地域福祉支援計画策定委員会[ホテルセントパレス倉吉]渡辺
常任理事
25日
(木) 第12回理事会
〃
鳥取県医療審議会[県庁]長田会長
27日
(土) 新役員打合会[倉吉シティホテル]
31日(水) 中国四国医師会連合常任委員会[山の上ホテル]長田会長、野島副会長、岡本常任理事、宮■
理事
鳥取県医師会報 04.4 No.586
68
会員消息
〈入 会〉
山縣 昇 鳥取県済生会境港総合病院
16.3.
31
16.4.1
古瀬マサ子 鳥取県済生会境港総合病院
16.3.
31
白石 正晴 しらいし内科クリニック(日吉津村) 16.4.1
藤井 義寛 鳥取県済生会境港総合病院
16.3.
31
松田 成人 鳥取大学医学部
菊川 大樹 菊川医院
16.3.31
石原 政彦 いしはら皮膚科クリニック(米子市) 16.4.1
村上 雅一 医療法人社団尾 病院
16.3.31
山縣 昇 山県整形外科医院(米子市) 16.4.1
古川 丈文 鳥取県立中央病院
16.3.31
赤松由美子 社会福祉法人こうほうえん 新いなば幸朋苑
伊藤 雅之 鳥取県立中央病院
16.3.31
16.4.1
飯野 晃啓 鳥取大学医学部
16.3.31
大津 千晴 石田医院(青谷町)
16.4.1
石原 政彦 鳥取大学医学部
16.3.31
尾 舞 医療法人社団尾 病院
16.4.1
猪川 嗣朗 鳥取大学医学部
16.3.31
本坊 拓也 医療法人社団尾 病院
16.4.1
貝原 信明 鳥取大学医学部
16.3.31
兼子 幸一 鳥取大学医学部
16.4.1
松浦 隆彦 日野病院
16.3.31
近藤 亮 鳥取大学医学部
16.4.1
西田 政弘 ウェルフェア北園渡辺病院
16.4.1
〈異 動〉
〈退 会〉
米子市東福原6−1−24
荒川 雄司 ↓
米子市東福原6−12−43
16.3.1
船越 泰作 垣田病院
16.2.22
井上 勝美 皆生温泉病院
16.2.29
安達 秀雄 鳥取県保健事業団総合保健センター
16.3.31
西伯郡西伯町法勝寺398
16.4.1
三上 真顕 ↓
西伯郡西伯町法勝寺286−4
白石 正晴 大淀会内科・歯科診療所
16.3.31
国立米子病院
河 雄司 国立米子病院
16.3.31
独立行政法人国立病院機構米子医療センター
立川多寿子 立川耳鼻咽喉科診療所
16.3.31
↓
16.4.1
保険医療機関の登録指定、異動
保険医療機関の指定、廃止
芦立外科・脳神経外科医院
米 子 市
16. 2. 1
廃 止
医療法人社団野口内科医院
倉 吉 市
16. 1.31
廃 止
井奥産婦人科
倉 吉 市
倉医 98
16. 2.16
新 規
野口内科医院
倉 吉 市
倉医163
16. 2. 1
新 規
岡本医院
鳥 取 市
取医279
16. 3. 1
更 新
弓場医院
米 子 市
米医156
16. 3. 1
更 新
医療法人社団梶谷医院
米 子 市
米医283
16. 3. 1
更 新
千代医院
西 伯 郡
西医 41
16. 3.13
更 新
大山リハビリテーション病院
西 伯 郡
西医 94
16. 3. 1
更 新
野の花診療所
鳥 取 市
取医351
16. 3. 1
新 規
医療法人社団こばやし内科
鳥 取 市
取医352
16. 3. 1
新 規
鳥取県医師会報 04.4 No.586
69
こばやし内科
鳥 取 市
16. 2.29
廃 止
生活保護法による指定医療機関の指定、廃止
久野内科医院
米 子 市
1273
16. 2. 1
指 定
野口内科医院
倉 吉 市
1274
16. 2. 1
指 定
あだち脳神経外科クリニック
米 子 市
1275
16. 2. 2
指 定
川本内科医院
倉 吉 市
453
16. 1.23
廃 止
久野内科医院
米 子 市
920
16. 1.31
廃 止
医療法人社団野口内科医院
倉 吉 市
838
16. 1.31
廃 止
芦立外科脳神経外科医院
米 子 市
562
16. 2. 1
廃 止
結核予防法の規定による医療機関の指定、辞退
医療法人社団こばやし内科
鳥 取 市
16. 3. 1
指 定
こばやし内科
鳥 取 市
16. 2.29
辞 退
野の花診療所
鳥 取 市
16. 3. 1
指 定
野の花診療所
鳥 取 市
16. 2.29
辞 退
原子爆弾被爆者一般疾病医療機関の指定、辞退
野の花診療所
鳥 取 市
16. 3. 1
指 定
野の花診療所
鳥 取 市
16. 2.29
辞 退
平成16年度鳥取県医師会(定例)総会―予告―
本年度定例総会を下記の通り開催致します。
詳細は、次号にてご案内申し上げます。
期 日
平成16年 6 月19日(土)
場 所
鳥取県医師会館 鳥取市戎町317
特別講演
日本医師会会長 植松治雄先生「演題未定」
なお、総会当日は、議事のほか、鳥取県医師会長表彰、鳥取医学賞受賞者講演等も併せて行い
ます。
鳥取県医師会報 04.4 No.586
70
編集後記
今年は桜の開花が早く、 4 月 1 日にほぼ満開と
なった桜は例年になく長持ちいたしましたが、10
日を過ぎて鮮やかな新緑へと移ろいつつありま
す。
今月、長田会長の 3 期目の執行部がスタートい
たしました。当医師会報は、県医師会の会務をお
知らせするだけでなく、地域医療・福祉の情報を
共有し、活発な議論、意見交換を通して、開かれ
た医師会として情報発信の場となるよう会員の先
生方のご協力をよろしくお願いいたします。
長田会長の巻頭言にありますように、昨今の医
療を取り巻く情勢は厳しさを増しており、医師会
の舵取りも日本医師会ならびに県医師会いずれに
おいても容易ではなく、しっかりした理念と優れ
たリーダーシップが求められます。植松治雄・日
医新会長の活躍を期待するとともに、鳥取県医師
会の長田執行部も「創意ある組織運営」を旗印に
会務に取り組みたいと存じます。
ご存知のように、本年度から、新しい医師臨床
研修制度がスタートいたしました。次世代を担う
医師を育てるという大きな目標に向って、私たち
医師会員も協力して行かねばなりません。今回、
鳥取県における新制度による臨床研修の開始にあ
たり、早くから精力的に準備をされ熱心に取り組
んでおられる鳥取大学医学部附属病院の実例を、
制度の概要とともに、同卒後臨床研修センター長
重松千秋教授に「今日の視点」に詳しく紹介して
いただきました。本制度は、地域医療を大きく変
えてゆく潜在力をもっており、質の高い研修が提
供できるよう鳥取県全体で考え、支えて行きなが
ら、鳥取県の医療機関の底力を是非発揮したいも
のです。
県医師会の会務執行の大きな柱のひとつに「高
度情報化への対応」があげられます。昨年度設置
されました情報ネットワーク特別委員会の報告書
を、本号から 3 回にわたってご紹介いたします。
是非、ご一読ください。
鳥取県福祉保健部から、「医療機関における医
療事故の報告について」という通知が届いており
ます。医療事故、医療過誤の定義づけ、県に報告
すべき医療事故の具体的内容が明確に示されてお
ります。
今月の「随筆」には、珠玉の小品 4 編をご寄稿
賜りました。武田直人先生、野津史博先生、濱崎
尚文先生、それぞれ、魅力溢れるテーマでお書き
くださいました。先生方の医師として、人生を深
く洞察した薫り高い文章を楽しませていただきま
した。魚谷 純先生におかれましては、 2 回のご
自身の入院を「ミクロの決死圏」と題してご紹介
くださいました。この度、鳥取県西部医師会長に
ご就任なさり、これまでにも増してご多忙になら
れることと存じます。くれぐれも健康にご留意下
さい。
「会員のひろば」には、 7 名の先生方がそれぞ
れご専門の領域に関連した、さらに、地域におけ
る興味深い、ホットな話題を提供して下さいまし
た。是非、ご一読願います。
「地区医師会だより」では、各地区医師会の広
報担当役員の先生にそれぞれの医師会の動きを簡
潔に分かりやすくご紹介いただいておりますが、
今回の改選で交代された先生もあろうかと存じま
す。毎号、親しみやすい地区医師会だよりのご執
筆ありがとうございました。
今月号から表紙絵を、米子市の坂口茂正先生に
お願いしております。日本画のようなタッチの澄
み渡る風景画を主体とした油絵の作品を、毎号ど
うぞご期待下さい。
編集委員 渡 辺 憲
鳥取県医師会報の全文は、鳥取県医師会ホームページでもご覧頂けます。
http://www.tottori.med.or.jp/
鳥取県医師会報 第586号・平成16年 4 月15日発行(毎月 1 回15日発行)
会報編集委員会:渡辺 憲・天野道麿・阿部博章・松浦順子・皆川幸久・平尾正人
¡発行者 社団法人 鳥取県医師会 ¡編集発行人 長田昭夫 ¡印刷 今井印刷(株)
〒680−8585 鳥取市戎町317番地 TEL 0857−27−5566 FAX 0857−29−1578
E-mail:[email protected] URL:http://www.tottori.med.or.jp/
定価
〒683−0103
鳥取県米子市富益町8
1 部500円(但し、本会会員の購読料は会費に含まれています)
鳥取県医師会報 04.4 No.586
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原 稿 募 集 の ご 案 内
1 .随 筆
400字詰め原稿用紙で 3 ∼ 6 枚、長ければ数編に分ける場合があります。短くても構いません。
2 .「会員のひろば」
最近のトピックスに限らず、あらゆる分野の一家言をお寄せ下さい。本文 1 編400字∼800字以内(最大
1,000字まで)とします。本文のほかに20字程度の標題をつけて下さい。執筆者の住所はご自宅(市町村
名のみ)を記載してください。
3 .その他
主題は問いませんが、会報の性格上、政治活動と受け取られる記事は掲載できませんのでご了承下さい。
また、原稿は本会ホームページにも掲載致します。
原稿は、毎月27日頃までにお寄せください。
投稿先;fax 0857−29−1578
E-mail [email protected]
鳥取県医師会広報委員会宛
◎投稿数が多い場合には次号に廻させていただく場合がありますので、予めご了承下さい。