Wenceslas ウェンセスラス王 よく知られたキャロル「ウェンセスラスは良い王様」の説話にテキストを採った、ある冬の奇跡の物語。 Wenceslas(国王ウェンセスラス、バリトンソロ)と Page(小姓、メゾソプラノ)、鮮やかに生き生きと物語を綴 る合唱。そして時に厳しく、時に輝きに溢れた冬を描きあげるオーケストラ(ピアノ)。 冒険譚と奇跡への感謝、善によりもたらされた幸せ…物語性があるので、演奏会のひとつのテーマ付け ができる作品でしょう。 1. Wintertide 冬(期) ソプラノ / アルト SOPRANO/ALTO Listen to the storm! When snow’s this deep 嵐を聞いて!こんなに雪深い日は、眠るのがい it’s good to sleep and keep yourself warm, い。温かく、温かくして。 keep yourself warm. Another drink. Don’t think of going outside. もう一杯飲み物をどうぞ。外に出るなんて考えて はいけない。 Frost and moon sing a winter tune, so stay by 凍寒と月が冬の歌を奏でている。だから私の側に my side. いなさい。 Pity any poor soul out in the cold, frost for a 寒い外にいる貧しい者は、哀れである。霜の毛布 blanket, ice in their bones. で骨が氷つく。 Pity for the wretch who sleeps outside by 冬に外で眠る不幸な者は哀れである。 themselves at wintertide. Stay by my side at wintertide, wintertide. 冬は、私の側にいなさい。 Warm (トーストのように)ぽかぽかに温まって満足だ。 さあ、後日まで冬ごもりをしよう。目をとじて。 as toast, we’re satisfied. Let’s hibernate till later date, so close your eyes, Close your eyes. Frost and moon sing a 目を閉じて。凍寒と月が冬の歌を奏でている。外 winter tune, it’s cold outside. は寒い。 Have another drink. Let’s not think, just keep もう一杯飲み物をどうぞ。何も考えないで、温まっ ourselves warm. When snow’s this deep it’s ていましょう。こんなに雪深い日は、眠るのがい good to sleep, い。 Listen to the storm! 嵐を聞いて! テノール / バス TENOR/BASS Have another drink, another drink. Don’t think もう一杯飲み物をどうぞ。 外に出るなんて考えて of going outside. はいけない。 Frost and moon sing a winter tune, so stay by 凍寒と月が冬の歌を奏でている。だから私の側に my side. いなさい。 Good King Wenceslas looked out On the feast of Stephen, When the snow lay round about, Deep, and crisp, and even. 善良な王様ウェンチェスラスは(城より)外を見た。 聖ステファノの祝い日に。 外は一面の雪で、 深く、サクサクして、均一に降り積もっていた。 Warm as toast, as chest-nuts roast, we’re (トーストのように、焼き栗のように)ぽかぽかに温 satisfied. Let’s hibernate till later date, so まって満足。さあ、後日まで冬ごもりしよう。目をと close your eyes. じて。 Brightly shone the moon that night, Though その夜、月はこうこうと輝いていたが、すべては氷 the frost was cruel, When a poor man came りついていた。貧しい男の姿が王の目に留まる。 in sight, Gathering winter fuel. 冬の燃料(薪)を集める男の姿が。 2.Who can that be? 誰だろう? ウェンセスラス王 WENCELAS Who can that be? あれは何者か? A man in the snow with no-where to go. Can 行くあてなく雪の中にいるあの者は。 見えるか? you see? PAGE I think I know, if I might say so, he’s familiar to me. From the cut of his cloth, under the hill by St. Agnes’ well. From hand to mouth he lives as he may from day to day, a league or two sough, a league or two sough. 小姓 知っている者だと思います。そうであれば、よく存じ ております。 丘を下った聖アグネスの泉の傍らに 見える彼の恰好から。 ここより 1 リーグ(集落)もし くは2水路こえたところで、その日暮らしをしておりま す。 WENCELAS Come with me, we’ll take him cheer this time of year and see if we can make things bright on Stephen’s Night for charity, for charity. ウェンセスラス王 私と一緒に来るのだ。この特別な時期にあの者を 勇気つけてやろう。輝きを与えてやろう。目出度き 聖ステファンの夜にチャリティーだ。 PAGE / WENCELAS There’s a man in the snow with no where to go. Come with me, under the hill by St. Agnes’ well. We’ll take him cheer; at this time of year for charity, 小姓 / ウェンセスラス王 行くあてなく雪の中にたたずむ男がいる。私と一緒 に丘を下った聖アグネスの泉の傍らに行ってみよ う。この特別な時期にあの者を勇気つけてやろう。 SOPRANO/ALTO Sire, he lives a good league hence, underneath the mountain, right against the forest fence, by Saint Agnes’ fountain. ソプラノ / アルト だんな様、あの者はとても遠くの山のふもとに住ん でおります。森に向かって右側の聖アグネスの泉の そばでございます。 TENOR/BASS Hither, page, and stand by me, if thou know’st it, telling, yonder peasant, who is he? Where and what his dwelling? テノール / バス こちらへ、小姓よ、近う寄れ、知っているなら聞かせ よ、あそこの百姓は何者じゃ?いったいどこに、どう やって暮らしているのか? 3. Forth they went ウェンセスラス王と小姓は道を進む SOPRANO ALTO We’ll take a blanket soft and warm to wrap him up against the storm. We’ll take him shoes so watertight to wrap his feet against the night. ソプラノ / アルト 毛布を持ってまいろう。優しく温かくあの者を包み、 荒れくる風から守ってやろう。 耐水性の靴を持って行き、彼の足を夜から守ってや ろう。 WENCELAS Bring me flesh, and bring me wine, bring me pine logs hither: Thou and I will see him dine, when we bear them thither. ウェンセスラス王 「肉を持ってまいれ、それにワインも持ってまいれ、 松の丸太も持ってまいれ、 そちとわしとであの者 に馳走しよう、 あの者の方へ運んで行こう。」 ソプラノ / アルト SOPRANO ALTO We’ll take a loaf so good and fresh to feed 焼きたての美味しいパンを持ってまいろう。魂と肉 the soul and feed the flesh. 体を癒してくれる。 We’ll take him tinder and a spark to make a 暗闇に炎をともすために燃やすものをもってまいろ blaze against the dark. う。 PAGE / WEN. Page and monarch, forth they went, forth they went together: through the rude wind’s wild lament and the bitter weather. 小姓/ ウェンセスラス王 お小姓と王様は道を進んだ、困難な道を共に進ん だ、荒々しい風の狂おしい哀歌の中、 つらい荒れ 模様の中を。 ソプラノ / アルト SOPRANO ALTO We’ll take him laughter in a jest, to ease his ジョークで笑わせてやろう。心を安らげ、安息をもた heart and bring him rest. らすように。 We’ll take him warmth and show we care, あの者を温めてやろう。我らが気にかけていること Saint Stephen’s Night shall last all year, を示すのだ。聖ステファンの夜が一年中続く、 5. Sleeping in winter’s arm 冬の腕の中で眠る https://soundcloud.com/oupacademic/bob-chilcott-sleeping-in S. A. T. B As I lay me down to sleep on winter’s bed, I pray the Lord my soul to keep and hold my head. How much further can it be? One more S. A. T. B. 眠りに誘われ冬のベッドに横たわった時、主が我が 魂と精神支えてくれることを祈る。 どのくらい遠いのだろう。もう一歩。 step. Snow will be the death of me. Nearly there yet? When all’s said and done and icicles come to freeze my tongue with winter’s song, I’ll be dead and gone, come to harm, sleeping in winter’s arms. 雪が私を死に至らしめる。まだ着かぬのか。すべて を言い尽くし、しつくした後は、冬歌とともにつららが 我が舌を凍らせる。 我は死に去るであろう。危険が迫る。冬の腕の中で 眠る。 PAGE Sire, the night is darker now, And the wind blows stronger, Fail my heart, I know not how; I can go no longer. 小姓 「だんな様、夜も更けてまいりました、 風も強くなっ てまいりました。 わたしの心はくじけて、どうすれば よいのか、これ以上わたしは行けませぬ。」 ウェンセスラス王 WENCESLAS Mark my footsteps, good my page; Tread 「わしの足跡を踏んで行け、かわいいお小姓よ、 く thou in them boldly: Thou shalt find the っきりとついた足跡をたどって行け、 少しは寒さが winter‘s rage Freeze thy blood less coldly. ましになろう、 冬の厳しさで凍るそちの血も。」 S. A. T. B. If I should fall amongst the snow, say that I was just a frozen sparrow, too cold to fly. If I should die before I wake, wrong or right, I pray the Lord my soul to take and say good night. S. A. T. B. もし我が雪に倒れこんだなら、寒さで飛べなくなった 凍ったスズメのようだと言うがよい。目覚める前に死 んでしまったら、当否なく、 主に我が魂をお連れ下 さるように祈り、おやすみをつげる。 When all’s said and done and icicles come すべてを言い尽くし、しつくした後は、冬歌とともに to freeze my tongue with winter’s song, つららが我が舌を凍らせる。 I’ll be dead and gone, come to harm, sleeping 我は死に去るであろう。危険が迫る。冬の腕の中で in winter’s arms, 眠る。 6. Thank you PAGE 1. Never thought I’d make it this far, Bless my lucky star. Didn’t think I could feel anything this real. Never thought I’d find myself here at the end of another year. Didn’t think that this could come true. Thank you, 小姓 これ程遠くまで来るなどと考えたこともなかった、幸 運の星に祝福を。 これ程までに、物事が実感出来 るとは思っていなかった。 年の終わりに、こんなところまで来れるとは考えたこ ともなかった。 これが実現するなんて思ってもみな かった。 ありがとう。 For whatever you’ve been told, young or old, これまで何を聞かされてきたにせよ、老若問わ it’s time to come in from the cold. ず、寒さ(冷酷さ)から抜け出す時である。 2. Never thought I’d find the time to give you all that’s mine. Didn’t think I’d lose my fear. You made it disappear. Never thought we’d come that close. It happens, I suppose. それら全ての私の所有物を与える時が来るとは、 考えたこともなかった。 己の恐れを手放せると思っ てもみなかった。 とうとう恐れを手放したのだ。 これ程、できるものだと考えたこともなかった。 とう とう実現しているようだ。 ソプラノ / アルト SOPRANO/ALTO Never thought I’d touch the sky. How 天に手が届くなんて考えたこともなかった。 本当に surprised am I? Didn’t think that dreams 驚いている。夢が実現するなんて思ってもみなかっ come true. Thank you. た。 ありがとう。 8. On Saint Stephen’s Night 聖ステファンの夜 S. A. T. B A log on the fire was a tree in the forest, who grew so high. Now beneath his roof it’s burning on Saint Stephen’s Nigh. S. A. T. B 炎の中にある丸太は、森で大きく成長した木だっ た。 その丸太が、今、王の屋敷で燃えている。聖ステフ ァンの夜。 ウェンセスラス王 WENCELAS And this poor man, who was lost in the forest そして、遠く森の中で途方にくれていた貧しい男が、 so far away. Now beneath my roof he’s 今は我の家で微笑んでいる。 smiling on Saint Stephen’s Day. 聖ステファンの夜。 T. B & S. A. But all poor souls who must sleep in the forest all alone. Tonight beneath his roof, his roof, they’re welcome to a home from home. T. B & S. A. しかし、貧しき者たちは、一人寂しく森で眠らなくて はいけない。 今夜、王の屋敷で、彼らは自分の家のように歓迎を 受ける。 But there is a King with a heart so warm. He しかし、心優しい王がいる。 brings us fire and drink and food ev’rything to 彼は我々に暖をとる炎、飲み物や食べ物など、我々 make life good. の生活がよくなるものを与えてくれる。 PAGE In his master’s steps he trod, Where the snow lay dinted; Heat was in the very sod Which the Saint had printed. Therefore, ev’ryone, be sure, Wealth or rank possessing, Ye who now will bless the poor, Shall yourselves find blessing. 小姓 お小姓は王主の足跡を踏み分けて行った、 雪にくっきりとついたへこみを。 草地に深く刻まれた熱、 それは聖者がつけたもの。 それゆえ、全ての者よ、 富める者、持てる者よ、 持たざる者を祝福するあなたがたには 確かな祝福があるだろう! S. A. T. B S. A. T. B On Saint Stephen’s Night our thanks we give 聖ステファンの夜は、我々を生かしてくれる、あの王 to the King who makes us live, に感謝の気持ちを捧げたい。 , 参照 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%82%B9 %E3%83%A9%E3%82%B9%E3%81%AF%E3%82%88%E3%81%84%E7%8E%8B%E6%A7%98 ウェンセスラスはよい王様(ウェンセスラスはよいおうさま、英語原題:Good King Wenceslas)は良く知 られたクリスマス・キャロルである[1]。艱難を越えて、貧しい者に慈善を施すウェンセスラス王の行為と聖 徳が称えられた歌である 概説 ヴァーツラフ 1 世騎馬像 うたの内容 うたは、スティヴンマス(聖ステパノスの聖日、12 月 26 日)の凍り付くばかりに寒い夜に、城の物見から外 を見た王が、遙か彼方に小さな人影が、暖房の為の薪を集める姿に気づくところから始まる。小姓を呼ん で「あれは何者か」と問うた王に、小姓は、「あれは聖アグネスの泉の傍らに住む小作農民です」と答える。 ウェンセスラス王はこの目出度い季節に、困窮している農民の姿に哀れみを覚え、善意の贈り物を与え ることを思いつく。肉、葡萄酒、松材の薪を小姓に持って来させ、それらを携え、小姓と共に、遙か遠くの 目的地目指す。しかし雪の深く積もった道は歩くのが困難で、身を切るばかりの寒風が吹きすさび、二人 を凍りつかせる。小姓は、「もはや進めません」と王に訴える。 王は、「小姓よ元気を出せ。余が先に歩いて道を造ろう。そなたは、余の足跡の上を踏んで進めば、歩き やすいであろう」。王の言葉に従ってその足跡の上を歩くと、そこは雪が溶けて芝生の土となっており、暖 かさが生まれているという奇蹟が生じる。聖なるウェンセスラス王の足跡を辿るものは、貧しい者に慈善 を行い、それによって人は自分自身もまた幸いな者となるのである。こうして、うたはキリスト者の徳行を 奨める言葉で終わる。 曲と歌詞 このうたのチューンは、13 世紀の「春のキャロル」である「Tempus Adest Floridum 」(ラテン語で、「いま や花開く時ぞ」)に付けられていたもので、キャロルが最初に公刊されたのは、スウェーデン乃至フィンラ ンドの『ピエ・カンツィオーネス(敬虔歌集)』(Piae Cantiones-古の司教達による教会と学校の敬虔歌集) においてで、1582 年のことである。このキャロルはまた、「CB 142」としてカルミナ・ブラーナ(Carmina Burana )中でも見出されている。「Tempus Adest Floridum 」は「花のキャロル(The Flower Carol)」と して英語に翻訳され、ジーン・リッチー(Jean Ritchie)によって、「ウェンセスラスはよき王様」のチューンで レコーディングされ、アルバム『四季のキャロル』(1959 年)に収められている。 1853 年に、駐ストックホルム英国女王使節兼公使の G・J・R・ゴードン( G. J. R. Gordon )が、1582 年 版の「Piae Cantiones 」の稀覯書を、ジョン・メイソン・ニール師(Reverend John Mason Neale-サセッ クス州、サキヴィル大学監督官, warden of Sackville College)とトーマス・ヘルモア師(Reverend Thomas Helmore-ロンドン・チェルシー、聖マーク大学副学長)に提供した。この時点まで、イングランド ではこの書籍はまったく知られていなかった。 ニールは幾つかのキャロルと聖歌を英語に翻訳し、1853 年には、ニールとヘルモアは 12 篇のキャロル に加え、「Piae Cantiones 」から採用した旋律を含む書籍『クリスマス時節のキャロル(Carols for Christmas-tide )』を出版した。更に翌 1854 年にも、12 篇のキャロルを含む書籍『イースター時節のキャ ロル(Carols for Easter-tide )』を出版した。書籍の出版の契機となった本『Piae Cantiones 』は、現在、 ロンドンの大英博物館が所蔵していると云われる。 うたの歌詞は、こうした経緯においてニール(1818 年-1866 年)によって作詞されたものである。ニール は、おそらくずっと早い時期に聖歌の歌詞を書いていたのだと思える。彼はうたの元になった物語を、 『Deeds of Faith(信仰の行い)』と関連付けた。 歴史上のウェンセスラス王[編集] ボヘミア公ヴァーツラフ 1 世騎馬像 このうたのウェンセスラス王は、歴史的に実在したボヘミア公の聖ヴァーツラフ 1 世(Wenceslaus I)がモ デルとなっている。ヴァーツラフ 1 世は、907 年に生まれ、935 年 9 月 28 日に暗殺された(929 年死亡説 もある)。ボヘミア公ヴラチスラフ 1 世の息子で、当時、キリスト教の教線がボヘミア地方にも達し、父はキ リスト教の信仰のなかに育ち、ヴァーツラフもまたキリスト教を捧持した。 しかし、ボヘミアでは伝統宗教がなお勢力を持ち、貴族たちはキリスト教の到来によって自分たちの権威 の失墜と支配権の喪失を恐れていた。ヴァーツラフは父の教えに、続いて敬虔なキリスト教徒の祖母ルド ミラ(Saint Ludmila)の薫陶を受け、キリスト教徒の公として、18 歳のとき、ボヘミア公国の君主の座に就 く。彼はキリスト教を広くボヘミアに広め、後に聖ヴィート大聖堂へと発展する教会を始め、多数の教会を 建立する。また神聖ローマ帝国に臣従してその力を借りて布教を行った。 ヴァーツラフの転向は、ボヘミアの貴族たちに深刻な危機意識を齎し、神聖ローマ帝国に屈した裏切り者 で異端者のヴァーツラフを排除する為、貴族達は連合し、公の弟ボレスラフもこれに加わった。935 年 9 月の「聖コスマスと聖ダミアヌス」の祝祭に、ボレスラフは兄を誘って、祝いの為、教会へとやって来た兄を 暗殺する。ボレスラフはヴァーツラフの後を襲ってボヘミア公となる。 ヴァーツラフ 1 世は、その死後、数々の奇蹟が起こったことと、殉教の故に、列聖され聖人となる。彼は、 チェコ(ボヘミア)の守護聖人として人々の崇敬を受けている。 参照 http://members3.jcom.home.ne.jp/wren/GoodKing.htm Good King Wenceslas looked out On the feast of Stephen When the snow lay round about 善良な王様ウェンチェスラスはご覧になった、 聖ステファノの祝い日に。 外は一面の雪で、 Deep and crisp and even Brightly shone the moon that night Though the frost was cruel When a poor man came in sight Gath'ring winter fuel 分厚くきらきら光っていた、 月さえもまぶしく照っていた。 ひどく凍てついているのに、 貧しい男が眼に入った、 冬の薪を集めている男を。 "Hither, page, and stand by me If thou know'st it, telling Yonder peasant, who is he? Where and what his dwelling?" "Sire, he lives a good league hence Underneath the mountain Right against the forest fence By Saint Agnes' fountain." 「こちらへ、お小姓よ、近う寄れ、 知っているなら聞かせよ、 あそこの百姓は何者じゃ? どこに住んでいる者かね?」 「だんな様、あのものはとても遠くの 山のふもとに住んでおります。 森に向かって右側の 聖アグネスの泉のそばでございます。」 "Bring me flesh and bring me wine Bring me pine logs hither Thou and I will see him dine When we bear him thither." Page and monarch forth they went Forth they went together Through the rude wind's wild lament And the bitter weather 「肉とワインを持ってまいれ、 "Sire, the night is darker now And the wind blows stronger Fails my heart, I know not how, I can go no longer." "Mark my footsteps, my good page Tread thou in them boldly Thou shalt find the winter's rage Freeze thy blood less coldly." 「だんな様、夜も更けてまいりました、 風も強くなってまいりました。 わたしの心はくじけて、どうすればよいのか これ以上わたしは行けませぬ。」 「わしの足跡を踏んで行け、かわいいお小姓よ、 くっきりとついた足跡をたどって行け、 少しは寒さがましになろう、 冬の厳しさで凍るそちの血も。」 In his master's steps he trod Where the snow lay dinted Heat was in the very sod Which the Saint had printed Therefore, Christian men, be sure Wealth or rank possessing Ye who now will bless the poor Shall yourselves find blessing お小姓は主の足跡を踏み分けて行った、 雪にくっきりとついたへこみを。 草地に深く刻まれた熱、 それは聖者がつけたもの。 松の丸太も持ってまいれ、 そちとわしとであの者に馳走しよう、 あの者の方へ運んで行こう。」 お小姓と王様は奮い立って向かった、 奮い立って共に向かった、 荒々しい風の狂おしい哀歌の中、 つらい荒れ模様の中を。 それゆえ、キリスト教徒よ、 富める者、持てる者よ、 持たざる者を祝福するあなたがたには 確かな祝福があるだろう!
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