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1. 電子工作の基礎
電子工作には、部品に関する基本的な知識や、ハンダ付けの技術などが必要です。これらは、特
に難しいものではありませんが、知らないと何もできませんので、以下の情報程度は頭に入れてお
いてください。
1.1
抵抗
電流の流れを抑える働きをする電子素子です。与えられた電圧 V に対して、オームの法則にし
たがって電流 I = V/R が流れます。記号は
。単位は Ω で 103Ω が 1kΩ、106Ω が 1MΩ で
す。抵抗には極性(向き)はありません。
抵抗にもカーボン抵抗、金属皮膜抵抗(略してキンピ抵抗)などいろいろな種類があり精度など
が異なります。
抵抗の値は抵抗の表面に印刷された帯のカラーコード(表 1-1)で示されています。
表 1-1
乗 数
1
許容差 %
黒
数字
0
茶
1
10
±1
2
10
2
±2
3
色
赤
橙
3
10
黄
4
104
緑
5
105
青
6
106
紫
7
107
灰
8
108
白
9
109
金
銀
10-1(0.1 )
-2
10 (0.01)
±5
±10
カーボン抵抗など許容誤差が 10% のものは、3 本または 4 本の帯で、最初の 2 本が数字、次の
線が乗数、最後が許容誤差を表します。たとえば、図 1-1 のように茶黒赤銀の帯が印刷されていれ
ば、10 × 102=1kΩ となります。
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図 1-1 抵抗のカラーコード表示
このキットで使う抵抗は、ほとんど精度のよい金属皮膜抵抗で、精度は 1% です。精度がよいと
有効数字の桁数が 3 桁必要なので、数字の部分が 3 本に増えて、5 本の帯が印刷されています。
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1
電子工作の基礎
1.2
コンデンサ
電気を蓄える働きを持つ電子素子です。
電気が容量いっぱいになれば直流は通さないのに対して、交流は容量の範囲で流れますので、交
流成分だけ通す目的などに使われます。
単位はファラッド(F)ですが、1F という単位はとても大きく、普通は pF(ピコファラッド =1012F)
、μF(マイクロファラッド =10-6F)といった小さな単位が使われます。1μF 以下の小さな容
量を示す記号として、3 桁の数字がよく使われます。たとえば 104 と表示されていたら、10 ×
104pF=0.1μF という意味です。
コンデンサにもセラミックコンデンサ、積層セラミックコンデンサ、電解コンデンサ、タンタル
コンデンサなど、いろいろな種類のコンデンサがあります。電解コンデンサやタンタルコンデンサ
には極性がありますので、注意してください。極性はコンデンサ本体に + または-の記号が表示さ
れていることが多いですが、新品のコンデンサなら、リード線が長いほうが+と決まっています。
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図 1-2
1.3
ピン番号
IC やトランジスタなど、3 本以上の端子をもつ部品の端子には番号がつけられています。IC の
場合には、部品を上(型番が印刷された面)から見て、反時計回りに番号がついています。1 番ピ
ンの位置は小さな○印がついていることもありますが、よく使われる DIP パッケージ(通称ゲジゲ
ジ)の場合には、IC の一端に切り欠きがあり、それから左回りに最初のピンが 1 番ピンです。
トランジスタなど TO パッケージと呼ばれるものは、番号のつけ方がまちまちなので、ピン配置
は図示されますが、このときの図は必ず部品を「下(足の方向)から」見た図です。
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図 1-3 パッケージの図
2
Mohican Device 気象観測キット
なお、IC の足は先が広がっていて、そのままではソケットや基板の穴に入りません。足を机に
押し付けるなどして、二列の足を平行に整えてください。
1.4
グランド
回路の基準電位(0V)の部分で、 という記号や GND という文字で表示されます。アースとも
言います。通常、電池のマイナス極が接続される部分です。
1.5
ケーブル
複数のケーブルを識別するために、色付きのケーブルがしばしば使われます。用途によって、色
の意味は異なることも多いですが、赤と黒は特別です。赤と黒がペアになっていたら、必ず赤がプ
ラス、黒がマイナスを表します。電源の配線の時には、必ずこのルールを守ってください。理屈の
上では「電気が流れれば色などどうでもよい」のですが、人間は間違える動物です。プラスとマイ
ナスを間違うと致命的な結果になることもありますので、間違いを減らすための心遣いは常に必要
です。
被服された線をさらに金属の線で覆ったケーブルをシールド線と呼びます。これは、内部の信号
線にノイズが入り込むことを防ぐために、GND に接続された金属で覆ってしまうものです。この
外側の被服線は網になっていることも多いので「網線」と呼ぶこともありまが、単にシールド線と
呼ぶこともあります。
1.6
ハンダ
ハンダは接合する相手の金属(銅や鉄)と合金を作ることで、しっかりと接合します。つまり、
ハンダを単に溶かして相手の形に固めただけでは着きません。接合する相手の金属もしっかり熱
しておく必要があります
図 1-4
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3
電子工作の基礎
部品の足とランド(基板の丸い銅箔部分)の両方をハンダごてで 1-2 秒熱してからハンダを適
量溶かします。正しくハンダ付けされるときは、溶けたハンダが流れるように広がります。
より線(細い銅線を束ねたケーブル)を穴に通してハンダ付けする時には、被服を剥いたあと、
より線に少しだけハンダをつけておくと、穴に通す際に細い線がばらばらになりません。ただし、
ハンダをつけ過ぎると穴に通らなくなることもありますから注意。
コネクタなど熱容量の大きなものにハンダ付けする際には、あらかじめハンダをつけておく
(ハンダメッキしておく)と、ハンダ付け不良を起こしにくくなります。
半導体などの部品はあまり長く熱すると壊れますので、10 秒程度以内にハンダ付けするように
してください。
1.7
ハンダ付けの練習
ハンダ付けの練習として、小さな基板に発光ダイオードをつけてみましょう。
図 1-5 のように、基板中央の丸いランド(ドーナッツ型の銅箔)を跨ぐように、抵抗とジャン
パー線(抵抗の足を切ったもの)をハンダ付けします。丸いランドの数は図と異なるものもありま
すが、両脇の細長いランドを接続するようにつけます。そして、片方の端に発光ダイオード、もう
一方に赤黒の平行コードをハンダ付けします。発光ダイオードには、極性の印はついていませんが、
コンデンサ同様、足が長いほうが+です。平行コードは皮を剥いて、穴に通してからハンダ付けし
ます。発光ダイオードの+側に赤いコードをつけるようにしてください。
1-2 秒ハンダこてをあてて熱し、適量ハンダを溶かした後、ハンダがきれいに流れたら、ハンダ
ゴテを離します。このタイミングを体で覚えてください。
平行コードのもう一方の端を剥いて、6-9V の電池に接続してみましょう。赤が +、黒が-です。
発光ダイオードが点灯すれば OK です。
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図 1-5
4
Mohican Device 気象観測キット
2. データーロガーの製作
電圧をデジタル化して記録する装置です。アナログ信号をデジタル化することを A/D 変換と呼
びます。記録したデータはパソコンなどに転送して解析します。
2.1
部品リスト
表 2-1
型番 / 値
部品
数量
1
CPU
PIC16C773
EEPROM
ATMEL 24C1024
1
RTC モジュール
RTC8564NB
1
水晶振動子
1
3 端子レギュレータ
10MHz
AN8005
ショットキダイオード
1SS97
1
シリコンダイオード
1SS133
2
金皮抵抗
10k
4
20k
1
5.1K
2
47μ
2
22μ
1
22μ
2
10μ
1
0.1μ
22p
1
電解コンデンサ
タンタルコンデンサ
積層セラミックコンデンサ
セラミックコンデンサ
ボタン電池ソケット
2
2
1
ステレオジャック
MJ-2-348A0
DC ジャック
M04-533BO
1
10 ピンフラットケーブルコネクタ
XG4C-1034
1
IC ソケット
28pin
1
IC ソケット
8pin
1
6
CPU:データーロガーの頭脳で、この中にプログラムが収められています。また、AD 変換回路もこ
のチップに組み込まれています。
EEPROM:不揮発性(電源を切っても内容が消えない)メモリ。計測データを記憶します。128kB
の記憶容量があります。
RTC モジュール :日時を刻む時計です。ボタン電池はこのモジュールのバックアップ用で、外部電
池をはずしても、ボタン電池で時計は動き続けます。
水晶振動子 :CPU が命令を実行する速度を決める発振回路用です。
Mohican Device 気象観測キット
5
データーロガーの製作
3 端子レギュレータ :電池は使っているうちに電圧が下がってきますので、電源を常に 5V に保つ素
子です。デジタル回路にはノイズがのりやすいので、CPU などデジタル回路用と、センサーなどの
アナログ回路用の電源を2つに分けています。
ダイオード :電流を一方方向にしか流さない素子です。当然、極性があって帯の印がついた方向に
電流が流れます。ここで使うダイオードは、透明なガラス封入パッケージで、通常のシリコンダイ
オード(黄色い帯が 1 本の)ほかに、ショットキーダイオード(青い帯が2本)を 1 本使います。
コンデンサ :同じ容量でもいくつかの種類がありますので注意してください。茶色の円盤状のもの
がセラミックコンデンサ、青い小さなものが積層セラミックコンデンサ、黒い円筒形のものが電解
コンデンサ、青く細長い球状のものがタンタルコンデンサです。電解コンデンサとタンタルコンデ
ンサには極性がありますので注意してください。コンデンサ本体に+または-の印もありますが、
リード線の長いほうが+です。
2.2
回路図
図 2-1 データーロガー回路図
6
Mohican Device 気象観測キット
2.3
製作
データーロガーの基板には、ジャンパ線(パターンをまたいで配線するためのリード線)が 5 本
あります。この基板ではすべて電源ラインなので、なるべく太いリード線で配線してください。
(電
解コンデンサーの足を切って使ってください)
ハンダ付けの順番は特に決まりはありませんが、背の低い部品(ジャンパ線、抵抗など)からつ
けていくと作業が楽にできます。
RTC モジュールは、モジュールの解説書にしたがって足をハンダ付けしますが、このとき、一
時的に EEPROM のソケットに足を挿してハンダ付け作業をすると楽です。
極性のある部品は、その向きに十分注意して組み立ててください。
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図 2-2
ステレオジャックの下面には凸部があり、斜めになりやすいですが、基板に平行になるように調
整して(後ろの足を少し基板から浮かせて)からハンダ付けしてください。
IC のソケットなど、多数の足がある部品をハンダ付けするときには、まず、1-2 本の足を少量の
ハンダで仮止めし高さを調整してから、すべての足のハンダ付けをします。
DC ジャックは、センターがプラスです。
ハンダ付けが終わったら、ハンダ面の長い足(RTC と DC ジャックなど)をニッパで切り落と
します。
Mohican Device 気象観測キット
7
データーロガーの製作
CPU とメモリは足をソケットに合うように整えてから、しっかりと差し込みます。
10pin の外部接続端子の 7,8 ピンは、ニッパで 1-2mm 短く切ってください。
、ピン番号は白い三
角印のところが 1 番ピンで、この印を右上において、7、8 番ピンは左から 2 列目の上下です。
2.4
特性
このデーターロガーは、12bit(4096 段階)の「分解能」があります。4V レンジで測定した場
合、1mV 単位で記録できることになりますが、その測定値に 1mV の「精度」があるわけではあり
ません。
「分解能」は「ものさし」の目盛がいくつ刻まれているか、ということですが、
「精度」は
「ものさし」全体の長さがどの程度正確に作られているか、ということに依存します。データーロ
ガーの精度は AD 変換回路の基準電圧(ものさしの長さに相当する)の精度に依存します。この基
準電圧を外部から供給することもできますが、CPU 内部の基準電圧を使った場合、精度は約 1%程
度です。これは、CPU の個体によって 1%程度のばらつきがあるという意味で、一つの CPU で測
定のたびに基準電圧が 1%も変わってしまうという意味ではありません。つまり、あらかじめ個々
の「ものさし」の長さを正確にはかっておけば、1% より高い精度で測定ができます。
8
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2. 温度センサーの製作
温度センサーは温度情報を電圧に変換するもの です。温度センサーとして使われる素子には、熱
伝対、サーミスター、白金抵抗体などがあります が、このキットではサーミスタを使います。
2.1
部品リスト
表 2-1
型番 / 値
個数
1
サーミスタ
103JT050
基準電圧素子
LM385Z-1.2
1
金被抵抗
10K( 茶黒黒赤茶)
20k (赤黒黒赤茶)
1
積層セラミックコンデンサ
0.1μ
1
タンタルコンデンサ
22μ
1
半固定抵抗
500Ω
1
1
基板
熱収縮チューブ
1
Φ1.5 × 12mm
2
Φ3 × 30mm
1
Φ8 × 22mm
1
Φ8 × 30mm
1
1
平行ケーブル
Φ12 × 25mm
2m
プラグ付きケーブル
15cm
1
1
サーミスタ :温度で抵抗値が変わる素子です。サーミスタにはいろいろな特性のものがありますが、
このセットのサーミスタは 25 ℃で 10kΩ になるもので、特性は図 2-1 のようになります。
30
サーミスタの温度依存性
抵抗値(kΩ)
25
20
15
10
5
0
0
10
20
30
40
50
温度
図 2-1 サーミスタの温度依存性
Mohican Device 気象観測キット
5
温度センサーの製作
基準電圧素子 :サーミスタに与える基準電圧を発生させる素子です。1.233 ± 0.01V の電圧を作り
ます。:
熱収縮チューブ :熱を加えると収縮するチューブで、ドライヤなどで収縮させます。絶縁などの目
的に使います。φ の記号は直径を表します。収縮させる前の直径は、表示より若干大きくなってい
ます。
2.2
回路図
図 2-2 温度センサー回路図
2.3
製作
まず、基板の青い塗料をアセトンなどの溶剤でふき取ります。ふき取った後は、指紋などをつけ
ないように注意してください。指紋などがつくとハンダがつきにくくなります。
LM385Z は、3 本の足のうち 1 本は何もつながっていません。部品番号が印刷された平らな面か
ら見て左側の足(3 番ピン)を切り落とします。
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図 2-3 LM385Z
基板に実装するときは、図 2-4 のように平らな面が下になるように足を折り曲げてください。コ
ンデンサには極性がありますから、極性に注意して組み立てます。
シールド線の網線は基板の端の大きな穴に通してハンダ付けします。
6
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図 2-4 温度センサー基盤部分の実体配線図
サーミスタに平行コードを接続する際には、図 2-5 のようにサーミスタの足にあらかじめ φ1.5
× 12mm の熱収縮チューブを被せておき、平行コードにサーミスタを接続した後に、これをずらし
て接続部の絶縁をします。さらに、この接続部全体を φ3 × 30mm の熱収縮チューブで覆って、2
本の線がばらばらにならないようにします。この時、チューブを被せる部分に、バスコークなどを
塗っておくと、防水センサになります。
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図 2-5 サーミスタのハンダ付け
次に、サーミスタを付けたコードと、プラグつきシールド線を基板に半田付けします。プラグ付
きシールド線を付ける前に、φ8 × 22mm の熱収縮チューブをあらかじめ通しておいてください。
動作確認をしたら、この熱収縮チューブを基板部分 ( 半固定抵抗まで)に被せ、サーミスタ側にも
熱収縮チューブ(φ8 × 30mm)を被せて絶縁します。
半固定抵抗の部分は、15 ℃で基準電圧になるように半固定抵抗を調整した後に、チューブを被
せて絶縁します。
2.4
出力特性
このセンサーの出力(Vout)は、図2のように温度に対してほぼ直線的に変化します。厳密には
このグラフは S 字型に曲がっていますが、これを直線で近似すると、Vout = 0.0117 × T + 0.326 と
Mohican Device 気象観測キット
7
温度センサーの製作
なります。このときの誤差は 0 ℃から 35 ℃の範囲で± 0.003V 程度、温度にすると、約 0.3 ℃の誤
差になります。
0.9
0.8
センサー出力
0.7
電圧
0.6
0.5
0.4
0.0115x + 0.3258
0.3
0.2
0.1
0
0
10
20
30
温度
図 2-6 温度センサーの温度特性。
8
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40
4. 湿度センサーの製作
湿度センサーとしては、電解質の抵抗が湿度によって変化することを検知するものがよく使われ
ますが、電気分解を防ぐために交流で駆動する回路が必要です。そのような回路を自分で組むと、
較正が難しいので、このキットでは駆動回路が組み込まれたセンサーユニットを使います。
4.1
部品リスト
表 4-1
型番 / 値
湿度センサ
CHS-UGS
OP アンプ
LM358
基板
個数
1
1
1
ステレオプラグ
P161
1
熱収縮チューブ
Φ5 × 15mm
1
1
シールド線
Φ10 × 50mm
2.5m
1
湿度センサ :湿度に応じて電気抵抗が変化する素子に、駆動回路などを一体化したもので、これだ
けで、図 4-1 のように湿度 0%に対して 0V、100%に対して 1V の直線的な出力が得られます。精度
は± 5% です。
OP アンプ :このセンサの出力は 0-1V なので、電圧を増幅する必要はありませんが、出力インピー
ダンスが高く(内部抵抗が大きい)データーロガーに正確に記録するための電流が流せません。そ
こで電圧は変えずに、より大きな電流を取り出すために OP アンプ(オペアンプ)を使います。一
般に OP アンプはさまざまな使い方がされますが、ここで使う回路は、入力電圧をそのまま出力す
るので、ボルテージフォロアと呼ばれます。LM358 はオペアンプ回路が 2 つ入っていますが、その
うちの一つだけを使います。
図 4-1 湿度センサの特性
Mohican Device 気象観測キット
13
湿度センサーの製作
4.2
回路図
図 4-2 がこのセンサの回路図です。オペアンプ LM358 の電源線は省略されていますが、当然電
源がないと動きませんので、実際には電源線が必要です。
図 4-2 湿度センサ回路図
4.3
製作
まず、基板の青い塗料をアセトンなどの溶剤でふき取ります。ふき取った後は、指紋などをつけ
ないように注意してください。指紋などがつくとハンダがつきにくくなります。
その基板に図 4-3 を参考に、部品をハンダ付けしてください。シールド線の網線は基板の端の大
きな穴に通してハンダ付けします。湿度センサー素子の足は、基板のパターンより長いので、基板
にあわせて短く切ってください。
CHS-UGS
LM358 白
赤
ラベル面が下
図 4-3 基板の実体配線図
2 芯シールド線の先には、ステレオプラグを接続します。まず、図 4-4 のようにシールド線の先
端をプラグの形状に合わせて加工します。ここはデーターロガーと接続する部分で、中心の端子が
14
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電源です。ルールに従って、中心に赤いケーブルを接続するため、白い線に比べて赤い線の方を短
く切っておきます。シールド線も短く切っておきます。
図 4-4 シールド線の加工
次に、このケーブルをプラグに図 4-5 のようにハンダ付けします。このとき、あらかじめケーブ
ルにプラグのカバーと保護スプリング、絶縁チューブ(φ4 × 15mm の熱収縮チューブ)を通して
おくことを忘れずに。熱収縮チューブは単なる絶縁の目的なので収縮させる必要はありません。
ハンダ付けの際には、赤線、白線、シールド線の順につけると作業がしやすいと思います。
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図 4-5 ステレオプラグのハンダ付け
ハンダ付けができたら、動作チェックをして、熱収縮チューブ (Φ10 × 50mm)をセンサ基板部
分に被せて回路を絶縁します。
4.4
出力特性
このセンサーに使われているオペアンプはボルテージフォロアですから、出力はセンサー素子の
出力(図 4-1)そのままです。
Mohican Device 気象観測キット
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湿度センサーの製作
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