アラブ イスラーム学院のアラビア語教育 慈悲深く慈愛あまねきアッラーの

アラブ イスラーム学院のアラビア語教育
慈悲深く慈愛あまねきアッラーの御名において
アラブ イスラーム学院における他言語話者に対するアラビア語教育
アラブ イスラーム学院
教務主任
サラハ・マダニ・ムハンマド・アブドゥッラフマーン
アラブ イスラーム学院では何を教えるのか?
ア ラ ブ イ ス ラ ー ム 学 院 で は 学 生 に 言 語 能 力 を 教 授 す る 。そ れ に よ っ て 学
生 は 次 の こ と が 出 来 る よ う に な る 。:
‐読むものを理解すること(読解能力)
‐聴くものを理解すること(聴解能力)
‐口頭で言いたい内容を表現すること(発話能力)
‐書面で言いたい内容を表現すること(記述能力)
‐統語法と語形変化と修辞法の規則から成り立つアラビア語のシステム
を理解すること。
当学院ではこれを実現するために、以下のような手順に沿った取り組み
を行っている。
1. 計画
計画にはアラビア語教育および学習のあらゆる要素が含まれる。カリ
キュラムに関する計画は以下の通り:
(1)学習レベルは朝と夜の時間帯にそれぞれ4レベルを設ける。
(2)授業時間を各学習レベルに割り当てる。
(3)カリキュラム構成にあたって正則語習得のレベルを基準とする。
(質)
(4)各学習レベルにおいて適切と見られる言語学習内容の量を特定す
る 。( 量 )
学院におけるアラビア語教育および学習の計画には、教授法や教室内
で教師が実際に行う手順も含まれる。その手順の基本は以下の通り:
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アラブ イスラーム学院のアラビア語教育
(1)授業を構想と手順の両面において予め準備すること。授業の目的
と提示の方法を定め、授業の目的がどれだけ実現できたかを知るための
評価方法を定めること。
(2)適切な教材の決定と準備。
(3)適切な教授戦略の選択。
( 4 ) 適 切 な 演 習 実 施 方 法 の 選 択 ( 個 別 、 二 人 組 、 集 団 )。
2. 実施
教師はこのステップにおいて、自ら策定した計画を実施する。授業の
実施には導入、素材の提示、説明、繰り返し、応用、学生が学んだ内容
を異なる状況で活用、といった手順が含まれる。
当学院のアラビア語教育における教育は、仲介言語を使用せず、訳読
の方法に頼らないことを原則としている。これらの方法では外国語ない
し第二言語の教育において成果はあがっておらず、教授法や応用言語学
の分野ではより効果的な方法が生み出されている。
アラブ イスラーム学院では教師が授業の手順を完全に実施できるよ
う、現代的な言語ラボやインタラクティブ・ホワイトボード、多種多様
な教材などによって便宜を図っている。
アラブ イスラーム学院のアラビア語教育プログラムは毎週の教授時
間 に お い て 他 よ り も 抜 き ん 出 て い る 。学 生 は 朝 の 学 習 プ ロ グ ラ ム で は 20
時間、夜の学習プログラムでは 6 時間学習する。また学生は学院の提供
する言語ラボや図書館を毎日朝 9 時から夕方 5 時まで利用することがで
きる。さらに相談や補助を必要とする学生のために毎日午後 3 時から 5
時までの時間帯が割り当てられている。
3. 継続的な評価
先ず教師が毎日、授業の目標達成度について評価を行う。次の段階と
して、授業単位が完了する毎に事後評価を行う。さらに当学院における
アラビア語教育を構成する全ての教科に関して、学院のカリキュラム委
員会が全教科の教師から一定の手順で得た情報に基づく評価を行う。
教授内容の質的向上のため、当学院では日本の企業経営において大野
耐一氏が考案し実践した継続的な「改善」の原則を採用している。この
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アラブ イスラーム学院のアラビア語教育
戦略は職場環境の内部で継続的に改善を行うという「現場改善」の考え
方に基づくもので、企業の経営陣と全ての従業員は目標の実現のために
一体化する。
継続的な改善は、目標の実現を妨げるあらゆる無駄な要因を軽減する
ことを目指す。教育および学習における無駄は多種多様であるが、その
例としては以下のものが挙げられる。
(1)エネルギーの無駄:組織のエネルギー、教師のエネルギー、学習
者のエネルギー。
(2)時間の無駄:学習者の時間、教師の時間。
(3)人的資源の無駄:学習者および教師。
組織のエネルギーの無駄を軽減するための当学院の戦略としては、以
下のものが挙げられる。
(1)当学院の獲得した成果を維持すること。
教師のエネルギーの無駄を軽減するための戦略としては、以下のもの
が挙げられる。
(1)教室の中で意味のない労力を避けること。効果的な教育は、必要
以上の労力や声を張り上げることで実現するものではない。
(2)情報を学習者に伝達して定着させるために最も容易で明確で賢明
な手段を選択する。
(3)カリキュラムに含まれる語彙を教師が実際の学習時間に合わせて
配分することにより、無秩序を避けて時間と労力の無駄を省くことがで
きる。
学習者のエネルギーを軽減するための戦略としては、以下のものが挙
げられる。
(1)宿題を大量に課すことを避け、出来る限り教室の中で実践練習を
するよう努める。
(2)目標の実現に役立たない宿題を課すことを避ける。
(3)当学院におけるアラビア語教育のカリキュラムから外れた教材を
使用しない。
学習者の時間の無駄を軽減するための戦略としては、以下のものが挙
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アラブ イスラーム学院のアラビア語教育
げられる。
(1)教師が時間割に従って決められた時間に来室および退室すること。
(2)教師が決められたカリキュラムの枠組みやそれに伴う活動の範囲
を守ること。
(3)学習者にカリキュラムから外れた負担をかけないこと。
(4)特別のケアを必要とする学習者のために相談時間を設けること。
(5)教師が授業の進め方を明確にするとともに、学習者の個人差の問
題を解決するよう努めること。
(6)教師が教室内では授業の目標実現のみに専心し、自分にとって如
何に重要であってもその他の事柄に気を取られないよう注意すること。
(7)教室内で学習者を組織化し、ピア・ラーニング(仲間同士で学ぶ
こと)を実現するために教師の助けとなる見取り図を設定する。
教師の時間の無駄を軽減するための戦略としては、以下のものが挙げ
られる。
(1)教授陣全員が負担を分け持ち、チームスピリットをもって取り組
むこと。
(2)会議を頻繁に開いて無駄な議論に時間を浪費することを避ける。
(3)科学的事実や証明済みのデータを利用すること。新奇な理論を生
み出すことに時間を浪費しない。
教授陣の人的資源の無駄を軽減するための戦略としては、以下のもの
が挙げられる。
(1)当学院の教授陣が目標を実現するための理想的環境を確保するこ
と。
(2)日本で生活するために必要な条件を満たすように労働環境を改善
すること。
( 3 ) 教 育 の 質 を 確 保 す る た め 、教 授 陣 の 昇 進 や 研 修 に 力 を 入 れ る こ と 。
学習者の無駄を生ずる原因は①脱落②落第の二つである。これらの無
駄を軽減するための当学院の戦略は以下の通りである。
(1)朝と夜の二つの時間帯にプログラムを提供することによって、学
習者は自分に合ったプログラムを選択することができて一定の柔軟性が
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アラブ イスラーム学院のアラビア語教育
生まれる。
(2)学習者を優遇し敬意を表することによって、学習者は当学院との
結びつきを強め、自分が権利を享受しているとの実感を持ち、学習を継
続するためにあらゆる事情を克服すべきだとの感覚が生まれる。
(3)検定試験を科学的な方法で実施することにより、努力した者には
成 功 の 機 会 が 与 え ら れ る 。( 了 )
Name: SALAH MADANI MOHAMED ABDELRAHMAN
Add:
Arabic Language Instructor, Arabic Islamic Institute in Tokyo.
E.mail: [email protected]
Mobile: 08065981962
•
Graduated from University of Cairo Khartoum branch, faculty of Arts,
department of Arabic Language 1986.
•
Obtained Master degree from Khartoum International institute for
Arabic language. Khartoum – Sudan 1990.
•
Worked as Arabic teacher in the republic of Yemen. (1990 – 1995 ).
•
Arabic Language Lecturer. Centre for languages at the International
Islamic University Malaysia. ( 1995 – 2003 ).
•
Now working as Arabic Language Instructor.
in Tokyo.
- 60 -
Arabic Islamic Institute
アラブ イスラーム学院のアラビア語教育
慈悲深く慈愛あまねきアッラーの御名において
アラブ イスラーム学院における課外活動について
アラブ イスラーム学院
顧問
ハーティム・アルオタイビー
今日、世界はコミュニケーションと出会いの可能性については小さな村
のようになってきた。
最新の通信手段や先進的交通手段は出会いの機会と、お互いに知り合い
直接文化的な働きかけをする機会を大いに増やした。今日、世界では出
会いの機会が増える中でインターネットが提供する仮想空間が広がって
おり、幾多の対話の機会や、様々な意見を知り、交換しあう機会がたく
さんある。その上、様々な科学・知識等の分野における最新情報を端的
に入手することも可能であり、かつては、多額の費用と時間を費やさな
ければならなかったことが簡単にできるようになった。
このような科学と通信手段、交通手段の発達は、学術と文化の分野にも
変化をもたらすものであり、文化的な開放と直接かつ継続的な交流が行
われるに至って、言語の学習は重要性を増している。
言語学習は2つの側面がある。ひとつは母国語を学び、それに習熟する
ことであり、それはある個人をして、そのアイデンティティを守り、思
想の独立を助け、その人が所属する文明・文化に力を与える。
もうひとつの側面について言えば、第二外国語またはそれ以外の文化的
影響力のある国際的言語の習得は、それを学習する人に新たな視野を開
き、言葉の壁を取り除いてその言語の文化と歴史、知的成果物から利益
を得ることができるということだ。それは、原語から直に理解すること
で、知識の質に関する選択の幅を狭める「翻訳」がもたらす限界を超え
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アラブ イスラーム学院のアラビア語教育
ることを意味している。
世界的な言語であって、文化・文明が豊かで世界に広がっている言葉と
いえばアラビア語である。
アラビア語は、ウィキペディアによるとセム語族の中では最もたくさん
話 さ れ て い る 言 語 で あ り 、世 界 に 最 も 広 が っ て い る 言 語 の ひ と つ で あ る 。
4 億 2 2 0 0 万 人 以 上 が 使 っ て お り( 電 子 百 科:エ ン カ ル タ )、そ の 使 用
者 人 口 は ア ラ ブ の 2 2 か 国 と こ れ に 隣 接 す る 地 域 -ア フ ワ ー ズ 地 方 、ト ル
コ、チャド、マリ、セネガル、エリトリア等に拡大している。
ア ラ ビ ア 語 は 世 界 で 15 億 人 を 数 え る イ ス ラ ム 教 徒 に と っ て 非 常 に 大 切
な言語である。それは、聖なる書物(聖クルアーン)に使われている言
葉であり、いくつかの礼拝儀礼においてそれを使わなければ儀礼が完遂
されないとされている。
アラビア語はまた、アラブ圏のキリスト教教会で使われる儀式の主要な
言語であると同時に、中世において多くの宗教的、ユダヤ的思想の書物
がそれを媒介にして書かれた。アラビア語はイスラムの伝播と多くの国
への定着に寄与し、イスラム教徒が治めた土地において何世紀もの間、
政治、科学、文学を支える言葉となった。そしてアラビア語はイスラム
世界においてその他の多くの言語に直接・間接の影響を与えた。トルコ
語、ペルシャ語、アマジグ(ベルベル)語、クルド語、ウルドゥー語、
マレーシア語、インドネシア語、アルバニア語などであり、またハウサ
語とスワヒリ語などアフリカ諸語、欧州、特に地中海圏のスペイン語、
ポ ル ト ガ ル 語 、マ ル タ 語 、シ チ リ ア 語 も そ う で あ る 。更 に ア ラ ビ ア 語 は 、
アラブ諸国に隣接するイスラム国、アフリカ諸国において公用語、また
は非公用語として教えられている。
アラビア語は、すべてのアラブ諸国において公用語の地位にあるだけで
なく、チャド、エリトリア、イスラエルにおいても公用語であり、また
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アラブ イスラーム学院のアラビア語教育
国連の6つの公用語のひとつである。
ア ラ ビ ア 語 は 語 彙 の 観 点 か ら 最 も 豊 か な 言 語 で あ る 。例 え ば 、13 世 紀 に
作られたイブン・マンズールの「アラビア語辞典」は 8 万語以上を収録
しているが、サミュエル・ジョンソンの辞書と呼ばれる、英語としては
初 期 の 18 世 紀 の 辞 書 は 4 万 2 千 語 を 収 め る に 過 ぎ な い 。
アラビア語の学習は、地理的、人間的な広がりと深さを持ったアラブと
イスラムの文化の様々な側面に触れることでもある。
学習について、特に言語を学習するということについては、その理論と
手段、ツールの開発、発展が見られる。
伝統的な理解における教育課程とは、決められた教材を教えることを通
じて学習者に知識を与えていくことに限られていた。そこでは、知識を
得 る こ と が 行 動 を 変 え る こ と に つ な が る 、と い う 考 え が 支 配 的 で あ っ た 。
このことは、学習者の役割、及び、どのような教育手段が使われ、どの
ような内容のことが教えられるかということの重要性を軽視することに
つながった。学習者側の役割は受動的であり、教育の手段は教科書やサ
ンプルであり、その内容はと言えば、学生が暗記すべき情報であった。
教授法は、口述と暗記、そして復習であった。
一方、現代の教育課程の考え方はこれとは異なり、学校はその内外で、
生徒にひとりの人間としての包括的な成長をもたらすような各種の経験
を、設定された目標に基づき、学術的に計画された方法で体験させるこ
とであり、各個人が知識の面からも、また、感性や技能面からも豊かな
人格を達成することを狙っている。
この現代的理解におけるもっとも目覚しい発展は、学校課外活動が教育
課程の基本的構成要素となったことである。旧式の課程は教材の示す学
習内容が中心であったが、現代の課程は教材だけでなく、教授法とその
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アラブ イスラーム学院のアラビア語教育
手段、形式、及び、教育機材、課外活動、そしてその再評価と改善方法
の多様性である。
課外活動を定義すると「教育目的のために、教員及び学生が個別または
一緒になって、またクラス内外の専門家や訪問者が組織的に学校の監督
の下に行うすべての活動」である。
「学校課外活動は、それが意識の高い組織による正しい監督の下に、正
しく実行されるならば、教育課程の目的を達成するために必要な手段で
あ る と 考 え ら れ る 。」( シ ャ ー デ ィ ヤ
ヤ ー シ ー ン 1412H)
「もし、教育課程だけでは学生が卒業して実生活に向かうときに必要な
経験等を取り込むことができず、また、クラスにおける学習時間が彼ら
を訓練する上で十分でないときは、クラスの中では達成できないことを
補完する別の方法が存在すべきである。したがって、学校課外活動は学
校 環 境 が 社 会 的 役 割 を 果 た す べ き で あ る と の 必 要 性 に 基 づ い て い る 。」
( ラ ド ワ ー ン 1983 年 )
多くの学術的研究は、アラビア語教育一般における課外活動の長所、特
に 読 解 力 向 上 を 確 認 し て い る 。 そ れ ら の 研 究 に は 、 Al-Shantut 1409H、
Al-Souirki 2005、 Amani Abdelhamid 2005、 Al-Mujaidle 1426H、 Al-Shahri
1428H、 Al-Tamim 1428H、 な ど が あ る 。
課外活動は、学習者を勉学に向けさせる動機を改善し、学習する内容に
よ り 関 心 を 向 け さ せ る 効 果 が あ り 、ま た 、
「 恥 ず か し い 」と い っ た あ る 種
の心理的な障害を克服し、学習意欲を増進させ、教育プロセスに学びや
すい、良い空気をもたらす。その上、課外活動は学生により実生活に近
い環境を提供し、得た知識を実際に使うことができ、自家薬籠中のもの
とさせる。応用するとき何が不十分かということもわかり、集中と訂正
を 容 易 に す る 。し た が っ て 、Al-Sartawi 1995 は 、
「読解教育を発展させ、
その習熟度を向上させその方向に積極性をださせる課外活動は重要だ」
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アラブ イスラーム学院のアラビア語教育
と強調している。
読み、聞き、話す、書く、といった言語習得面での能力向上には応用的
な活動と練習が欠かせない。学習者はそれを通じて技能を向上させると
同時に文法や構文の知識を学んでいく。
「 言 語 学 習 に お い て 、模 倣 と 正 し
い使用によって得られる能力以上に文法など座学で得られる知識が向上
することはない。課外活動は、この目的を達成する手助けとなるもので
あ る 。」 と 言 え る 。
練習、会話、及びネイティブスピーカーとの接触によって、言語を現実
社会やそれに準じた課外活動を通じて学んでいくことは、行動理論、環
境理論といった言語学習理論が有用と認めているものである。
ア ラ ブ イ ス ラ ー ム 学 院 で は 、日 本 で ア ラ ビ ア 語 教 育 を 進 め る に 当 た っ て
課外活動の重要性とその影響の大きさを確信するものであり、この分野
への関心を示すと同時に、教授陣に対し、学生が文法や座学で学ぶ内容
に沿い、かつそれを補強するような多くの課外活動の機会を提供してい
る。その中でも特筆すべきは次のとおり:
1.
朗読クラブ
学生課に登録されたクラブで、学院の教員のひとりが監督し、学生がそ
の運営にあたる。クラブの目的は基本的に朗読の技術を向上させること
で、学生は教員の指導の下、アラビア語のオリジナルテキストから読む
べき文章を選ぶ。教員が正しい読み方を示し、学生はこれを模倣し、間
違いを直すとともに議論する。
場合により、文章を1週間前から学生に配布し、準備させる。
読まれた文章が正しくなるよう学生を指導し、インターネット上にある
材料、例えば聖クルアーンなども対象に選ばれる。
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アラブ イスラーム学院のアラビア語教育
クラブは、週に1回集う。
2.
会話クラブ
学生課に登録されたクラブで学院の教員のひとりが監督し、学生が希望
者の登録や会合の予定づくりなどその運営にあたる。クラブは会話の能
力向上を基本的な目的とし、その会話は次の2つの方法で行われる:
a. 指 導 さ れ た 会 話 : こ の 方 法 は 、 学 生 に 短 い テ ー マ を 与 え て 最 初 の
週にそれを読ませる。そして学生にそれをよく勉強しておくよう
求める。第二週になるとそのテーマについて会話し、質疑応答を
する。
b. 自 由 会 話 : こ の 方 法 は 、 学 生 が 会 話 し た く な る よ う な テ ー マ を 学
生自身が自由に選び、そのテーマについて自由対話をする。大抵
の場合、ジョークを交えるなどして間違いを恐れず話し始められ
るようにする。繰り返されるような間違いを集め、最後にはそれ
を議論する。
演壇活動:
毎月最終土曜日のひとつ前の土曜日に学生演壇活動は実施され、アラビ
ア 語 ス ピ ー チ 、詩 、お 話 の 朗 読 、寸 劇 、フ ス ハ ー に よ る 会 話 な ど を 行 う 。
学院の教員が指導する中で、学院の4つのレベルに属しているアラビア
語学習者によって準備され、実施される。この活動は学生がアラビア語
を使う機会・訓練を継続することを助けるものである。この活動に関す
る行事は、教員及び日本人アラビア語学習者の好評を得ており、また学
院 側 も 教 員・関 係 者 を 上 げ て 支 援 し て い る 。今 日 ま で で 行 事 の 回 数 は 19
回 に 上 り 、 も っ と も 最 近 に 実 施 さ れ た の は 2012 年 11 月 17 日 で あ っ た 。
様々な形の課外活動は、言語を実際に使う機会とネイティブスピーカー
と接触する機会を提供する。そして言語文化を伝え、それが育った環境
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アラブ イスラーム学院のアラビア語教育
を知ることとなるため、言語を学びそれに習熟するという目的に有効で
あ る 。( 了 )
Hatim Rashed Alotaibi
- Adviser, Arabic Islamic Institute in Tokyo
- M. A. in Arabic Language Curriculums and Teaching Methodologies
- Diploma (general) in Education (in general)
- B. A. in Arabic language
- Member of the Curriculum Review Committee in academic institutes affiliated to
Al-Imam Muhammad Ibn Saud Islamic University
- Email: [email protected]
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アラブ イスラーム学院のアラビア語教育
慈悲深く慈愛あまねきアッラーの御名において
日本におけるアラビア語教育ワークショップにおける文化面の考察
アラブ イスラーム学院
文化担当
ハッサン・ムハンマド・ドーカ
はじめに:
ア ラ ブ イ ス ラ ー ム 学 院 ( 以 下 「 学 院 」) に お け る ア ラ ビ ア 語 教 程 は 、
課外言語文化活動を伴っている。それは学院の学生及び卒業生の言語能
力を強化するためであり、その一部をご紹介する。
1.学生による演壇活動
言語教育、なかんずく第二言語・外国語習得における課外活動の重要
性に鑑み、また、教程に拘束されない自由な練習とコミュニケーション
の機会を必要としている学生のニーズに応え、そして、そのような言語
を使った活動の重要性とアラビア語を学習する日本人学生のモチベーシ
ョン喚起の観点から、学院においては学生による演壇活動を実施してい
る 。 こ の 活 動 の 第 1 回 目 は 、 2008 年 6 月 21 日 に 学 院 建 物 の 1 階 に お い
て 午 後 12 時 半 か ら 午 後 3 時 半 ま で( 約 3 時 間 )実 施 さ れ た 。そ し て 、こ
の学生演壇活動は毎月末から数えて最終土曜日のひとつ前の土曜日に実
施されることが決まった。この活動は、アラビア語スピーチ、詩及び物
語の朗読、短い演劇の鑑賞、フスハーによるアラビア語会話などで構成
され、4レベルに振り分けられている学院のアラビア語学生によって準
備され、実演される。この演壇を使用した催物が男女日本人からなるア
ラビア語学習者達の好評を得ていることは、特に言及しておきたい。同
時 に 、学 院 と 教 職 員 一 同 も こ れ を 強 く 支 援 す る も の で あ る 。現 在 ま で で 、
こ の 活 動 は 19 回 を 数 え て い る 。 い ち ば ん 最 近 に 開 か れ た の は 、 2012 年
11 月 17 日 の 土 曜 日 で あ っ た 。
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アラブ イスラーム学院のアラビア語教育
表:学生演壇活動の開催日時
回
活動
曜日
日付
1
第 1 回活動
土
2008 年
6 月 21 日
2
第 2 回活動
土
2008 年
8月 9日
3
第 3 回活動
土
2008 年 10 月 25 日
4
第4回活動
土
2008 年 11 月 22 日
5
第 5 回活動
土
2009 年
1 月 17 日
6
第 6 回活動
土
2009 年
4 月 25 日
7
第 7 回活動
土
2009 年
5 月 30 日
8
第 8 回活動
土
2009 年
6 月 27 日
9
第 9 回活動
土
2009 年
7 月 18 日
10
第 10 回 活 動
土
2009 年 10 月 31 日
11
第 11 回 活 動
土
2009 年 12 月 26 日
12
第 12 回 活 動
土
2010 年
1 月 23 日
13
第 13 回 活 動
土
2010 年
5 月 29 日
14
第 14 回 活 動
土
2010 年 10 月 30 日
15
第 15 回 活 動
土
2011 年
1 月 22 日
16
第 16 回 活 動
土
2011 年
6 月 25 日
17
第 17 回 活 動
土
2012 年
2月 4日
18
第 18 回 活 動
土
2012 年
5 月 26 日
19
第 19 回 活 動
土
2012 年 11 月 17 日
備考
2.アラビア語オリンピック(競技会)
9年前より毎年、第二学期の終了時に学院建物の1階においてアラビ
ア語オリンピック(競技会)が開催されている。目的はアラブ諸国と日
本の関係増進、および日本人アラビア語学習者の言語能力向上である。
この競技会には、学院の男女学生と卒業生、その家族に加え、学院の関
係者やゲストが参加し、学院長と駐日サウジアラビア王国大使、そして
日本政府高官であるゲストおよび学院の教授陣がこれを表彰する。競技
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アラブ イスラーム学院のアラビア語教育
は、アラビア語タイピングがアラビア語ラボ室で行われ、アラビア語書
道は学院で学んでいる学生・卒業生に加え、学院外からも広く参加者が
ある。またアラビア語スピーチ競技は大学、専門学校を含む日本の全て
のアラビア語関連教育機関でアラビア語を学ぶ全ての学生に開かれてい
る 。今 日 ま で に こ の 競 技 会 は 9 回 開 か れ て お り 、そ の 最 終 回 は 2012 年 2
月 18 日 に 実 施 さ れ て い る 。
3.教育文化シンポジウム
2006 年 4 月 以 来 、 東 京 の ア ラ ブ イ ス ラ ー ム 学 院 で は 学 術 文 化 関 係 の
各 種 シ ン ポ ジ ウ ム 、ワ ー ク シ ョ ッ プ が 開 か れ て い る 。そ の 一 部 を 挙 げ る 。
* 2006 年 4 月 3 日
於:学 院
「 サ ウ ジ ア ラ ビ ア と 日 本 の 関 係 」― 現 状
と将来への展望に関するシンポジウム
* 2006 年 5 月 27 日
於:学院
「日本のアラビア語の現状―教育と業
界のニーズ」に関するシンポジウム
* 2006 年 7 月 29 日
於:学院
「サウジアラビアと日本―新時代の戦
略的パートナーシップ」に関するシンポジウム
* 2007 年 6 月 27 日
於:学 院 「 サ ウ ジ ア ラ ビ ア と 日 本 に お け る 教 育 」
に関するシンポジウム
* 2007 年 11 月 10 日
於:学 院
「サウジアラビアと日本における情報
通信技術―現状と未来」に関するシンポジウム
* 2008 年 5 月 31 日
於:学院
「サウジアラビアと日本における外国
語教育」に関するシンポジウム
* 2008 年 11 月 5 日
於:学院
「サウジアラビアと日本における環境
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アラブ イスラーム学院のアラビア語教育
問題への対応」に関するシンポジウム
* 2009 年 1 月 24 日
於:同志社大学(京都)
「イスラームにおける
諸宗教間対話への試み」に関するシンポジウム
* 2009 年 11 月 12 日
於:学 院 「 世 界 金 融 危 機 が イ ス ラ ー ム 金 融 制 度 、
手段、市場に与えるインパクト」に関するシンポジウム
* 2010 年 7 月 11 日
於:学院
「サウジアラビアに於ける文学と詩の
現状」に関するシンポジウム
* 2011 年 10 月 8 日
於:学院
国際シンポジウム「対話を通じての平
和構築」のための事前ワークショップ
* 2011 年 11 月 19-20 日
於:学院
「対話を通じての平和構築」に関
するシンポジウム
4.世界アラビア語の日
イマーム・ムハンマド・イブン・サウード・イスラーム大学学長の指
導 に 応 え 、ま た 毎 年 12 月 18 日 の「 世 界 ア ラ ビ ア 語 の 日 」の 祝 祭 と し て 、
学 院 で は 2010 年 よ り 、学 院 長 の こ と ば 、文 化 的 な 映 画 の 上 映 、各 学 習 レ
ベルの代表者によるスピーチを含み、賞品の授与で締めくくるプログラ
ムを毎年実施している。日本人のアラビア語学習を奨励し、その練習と
上 達 に 寄 与 す る た め で あ る 。( 了 )
Name:
Hassan Mohamed DOKA (Ph.D)
Add : Arabic Language Instructor, Arabic Islamic Institute in Tokyo.
E.mail: [email protected]
Mobile: 0909 824 3585
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アラブ イスラーム学院のアラビア語教育
• Graduated from University of Cairo Khartoum branch, faculty of Arts,
department of Arabic Language 1985.
• Obtained Master degree from Khartoum International institute for
Arabic language. Khartoum – Sudan 1988.
• Ph.D in Applied Linguistics (Second/ Foreign Language learning).
University of Malaya (U.M) Kuala Lumpur, Malaysia 2002.
• Worked as Arabic part-time lecturer. Overseas Unit, Omdurman
Islamic University Sudan. (1988 – 1990 ).
• Arabic Language Lecturer. Centre for languages at the International
Islamic
University Malaysia ( 1990 – 2008 ).
• Now working as Arabic Language Instructor. Arabic Islamic Institute
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アラブ イスラーム学院のアラビア語教育
慈悲深く慈愛あまねきアッラーの御名において
他言語を母語とする者へのアラビア語教育における顕著な困難さについて
アラブ イスラーム学院
講師
アハマド・アスィーリー
ご臨席の皆様。
他言語を母語とするアラビア語学習者が直面する主な問題について、
ここではいくつかの所見を述べたいと思います。
他言語を母語とする学習者にアラビア語を教授するのは簡単な事だと
考える人々もいますが、実際には言語学習者というものは、学習の障碍
となるような諸問題に直面するものであり、言語を習得するまでには長
い時間を要するものです。アラビア語には、母語話者にとってさえ学習
の障碍となるようないくつかの特色があります。ましてや他言語の話者
にとっては、その困難さは如何ばかりでしょうか?そのような障碍を取
り除いて他言語の話者に対するアラビア語教育を可能にするためには、
なお一層の考察を重ねる必要があります。アラビア語学習の障碍となる
諸問題は、大きく二つに分類することができます。
1.言語上の問題。この問題には、音声や活用や意味や記述のシステム
など、言語の性質に関する全ての問題が含まれます。先ず第一に、音声
上の問題について述べます。
この問題は、言語学習者が最初に直面する可能性がある問題の一つで
す。言語学習の最初の段階で学ぶのは音声だからです。音声を作り出す
のは発声器官ですが、その中に含まれるのが調音部位です。人間は幼少
の時期に調音部位を覚えて、社会とのコミュニケーションを通じてこれ
を実際に使っていく場合には、文字を発音するに際して何の問題にも直
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アラブ イスラーム学院のアラビア語教育
面することはありませんが、成人してから第二言語を学ぶ場合には、多
くの場合、その言語の特定の音声を発音するにあたって困難に直面しま
す 。そ の 原 因 と し て は 、そ れ ら の 文 字 が 自 分 の 言 語 に 存 在 し な か っ た り 、
或いは存在するけれども異なる発音がなされたりするということが挙げ
られます。アラビア語の音声の特色は、調音部位の分布範囲が広いとい
うことで、両唇から咽喉の奥までにわたり、鼻を調音部位とする音声も
存在します。この分布の広さの結果として音声の種類は多数で調音部位
も多様なうえ、調音方法も多岐にわたります。アラビア語の音声として
は以下のようなものが挙げられます。
‐ の ど 音 ( ‫ ق‬،‫ خ‬،‫ غ‬،‫ ح‬،‫ ع‬،‫ ه‬،‫)ء‬
‐ 強 勢 音 ( ‫ظ‬،‫ط‬،‫ض‬،‫)ص‬
これらの音声は世界の多くの言語には存在しないため、他言語を母語
とするアラビア語学習者の多くはこれらの文字の習得にあたって困難に
直面します。
これらの音声上の問題を解決するための対策としては、以下のような
方法が挙げられます。
(1)学習者の母語とアラビア語の音声システムの相違を説明するにあ
たって比較対照の方法を用いること。
(2)容易な音声から困難な音声へと段階的に導入してゆくこと。先ず
は( ‫ن‬،‫م‬،‫ل‬،‫ك‬،‫س‬،‫ز‬،‫ر‬،‫د‬،‫ث‬،‫ج‬،‫ت‬،‫)ب‬の よ う に 発 音 が 簡 単 な 音 声 を 、発 音 し や す
く 、 意 味 の 具 体 的 な 単 語 を 例 に し て 導 入 す る 。 次 に 強 勢 音 ( ‫ظ‬،‫ط‬،‫ض‬،‫)ص‬
を発音しやすく、意味の具体的な単語を例にして導入する。そのうえで
の ど 音 ( ‫ق‬،‫خ‬،‫ح‬،‫غ‬،‫ع‬،‫ه‬،‫ )ء‬に 移 る 。
(3)例として挙げる単語は頻繁に使用されて意味の明確な単語である
べき。
(4)発音するにあたって身振り手振りや顔の動きを補助的に活用する
こと。
2.記述上の問題。これはアラビア語の正書法の性質に起因する問題で
す。アラビア語の記述システムは文字と綴り方と訓読法の要素から成り
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立っています。
アラビア語の正書法は独特で、完全性と一貫性と精密さと簡潔さとい
う特徴を兼ね備えた理想的な記述システムに最も近いものですが、記述
にあたって障碍となり得る主な問題としては次のようなものが挙げられ
ます。
(1)右から左に記述すること。このシステムは他言語においては馴染
みのないものであるが、短期間のうちに克服することが可能。
(2)文字が単語の中で占める位置や、前後の文字との連結ないし分離
によって、文字の形状が様々に変化するため、アラビア語の文字が実際
の 28 文 字 よ り も 多 数 存 在 す る よ う に 思 わ れ る こ と 。
(3)文字の形状が似通っていて、点の有無や数だけで区別する似通っ
た文字が複数存在すること。
(4)アラビア語の一部の単語では発音と記述の仕方が完全に一致して
はいないこと。たとえば動詞の複数形の活用において用いられるワーウ
( ‫ )و‬の 後 の ア リ フ ( ‫ )ا‬や ハ ム ザ ト ゥ ル ワ ス ル 、 太 陽 文 字 の 前 の ラ ー ム
( ‫)ل‬の よ う に 書 か れ る け れ ど も 発 音 さ れ な い 文 字 や 、ダ ー ウ ー ド( ‫)داود‬
の ワ ー ウ ( ‫ )و‬や ハ ー ザ ー ( ‫ )ھذا‬の ア リ フ ( ‫ )ا‬の よ う に 発 音 さ れ る け れ
ども書かれない文字がある。
(5)ハムザの書き方が語頭・語中・語中の位置や、自ら或いは直前の
文 字 の 母 音( な い し 無 母 音 )に よ っ て 異 な り 、ア リ フ( ‫)ا‬や ワ ー ウ( ‫)و‬
や ヤ ー ( ‫ )ي‬の 上 に 書 か れ た り 、 単 独 で 書 か れ た り す る と い う 問 題 。
( 6 ) ア リ フ ・ マ ク ス ー ラ ( ‫ )ى‬と ヤ ー ( ‫ )ي‬の 区 別 の 難 し さ や 、 タ ー ・
マ ル ブ ー タ ( ‫ )ة‬と 開 か れ た ( 通 常 の ) タ ー ( ‫ )ت‬の 区 別 の 難 し さ 。
これらの問題を解決するための対策としては、以下のような方法が挙
げられます。
(1)正書法の習得を段階的に行うこと。初学者には発音や記述の容易
な短い単語から導入する。
(2)書かれた単語を正確な発音と結びつけて習得するように心がける
こと。
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(3)必要に応じて音声記述を行うこと。
(4)継続して頻繁に記述と朗読を重ねること。
3.文法上の問題。これはアラビア語学習者が直面する大きな問題の一
つです。以下のようなものが挙げられます。
(1)アラビア語の文章構造が世界の多くの言語と異なっていること。
たとえばアラビア語には助動詞や存在動詞がない。
(2)アラビア語の文章においては語順が自由であること。述語を主語
に先行させたり、目的語を主語ないし動詞に先行させるなどの倒置が自
由に行える。
(3)他言語には存在しないアラビア語の特徴の一つである語尾変化。
(4)世界の言語の中で最も細分化された数詞のシステム。
(5)全ての言語に共通の問題である性の問題。
(6)言語の習得にあたって最も難しい問題である限定と非限定の問題。
(7)アラビア語の文章は、形のうえでは一単語であるにも拘わらず完
結した文章を構成するという、他言語を母語とする学習者にとって馴染
みのない方法で書かれることがある。
これらの問題を解決するための対策としては、以下のような方法が挙
げられます。
(1)他言語を母語とするアラビア語学習者を対象とする教授法および
教師が、言語というものを一群のスキルの総体として捉え、それらが全
体として言語能力を構成するという相互補完的な視点に立つこと。
(2)言語のスキルを人工的で不自然なものではない自然なテクストを
通じて提示すること。
(3)学習者の個人的な差異に配慮すること。
(4)実際のコミュニケーションの訓練を頻繁に行うこと。
(5)学生が自発的な読書を望むように仕向けること。
その他にも、他言語を母語とする学習者に対するアラビア語教育にあ
たって重要と考えられるいくつの提言があります。
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(1)語彙については科学的に緻密な選択を行い、学生に対しては頻繁
に使用される単語を、容易なものから難解なものへと段階的に提示する
こと。
(2)テクストの内容は学習者にとって馴染みのある理解できるものと
す べ き で 、語 彙 が 難 解 で 馴 染 み の な い 内 容 の テ ク ス ト を 使 用 し な い こ と 。
(3)学生が単語をコンテクストから切り離されたリストの中で暗記す
るのではなく、コンテクストの中で理解するよう助言すること。
(4)学生がアラビア語と他言語による辞典でなく、アラビア語・アラ
ビア語辞典を使用するよう促すこと。それにより豊かな言語能力を習得
し、単語の実際の用例を身につけることができる。
(5)予定される教材の中に書物や短編小説などの読解素材も取り入れ
るべき。それにより言語習得の進んだ学習者の能力をより豊かなものに
することが出来る。
(6)学習者の中には、第二言語習得にあたってプラスあるいはマイナ
スの要因となる個人的な資質を持っている場合がある。たとえば陽気な
学生に対しては内気な学生よりも第二言語の教育が円滑に進められる。
ここで指摘しておきたいのは、第二言語の学習者は文化的な違いを理
解する必要があるということです。一人一人の人間性を尊重し、帰属な
どにとらわれずその人自身を評価するということを学ぶことが大変重要
で す 。( 了 )
Ahmed Abdullah Mohamed Asiri
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B.A. in Arabic language and literature
Al-Imam Muhammad Ibn Saud Islamic University
-
Arabic language instructor
Arabic Islamic Institute in Tokyo
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