ボイスカスケード社 91年の歴史に幕

July 27, 2004
JAWIC
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ボイスカスケード社 91 年の歴史に幕
ボイスカスケード社(本社アイダホ州ボイス)は7月 26 日、ほぼ 10
年の年月をかけてすすめていた企業統合が完了したと発表した。
ボイスカスケード社によると、23 の米国、カナダ、ブラジルに所在す
る木材製品加工工場と、27 の米国の建材卸売流通施設、保有している米
国内の約 236 万エーカー(約 95 万 5,000ha)の山林、5つの紙・パルプ
工場、2つの再生紙工場、6つのスーパーストアー、5つのダンボール
紙工場を、37 億 USD でシカゴに本社がある証券投資会社、マディソン・
ディアボーン・パートナーズ社に売却する。
マディソン・ディアボー
ボイスカスケード社の保有山林
(1,000エーカー=404.7ha)
ン・パートナーズ社はステプ
地 域
面 積
ルス社、オフィスデポ社に次
北西部
1,331
中西部
309
いで、事務用品流通業界では
南 部
720
全米第3位の規模を誇るオ
米国小計
2,360
ブラジル
35
フィスマックス社(本社イリ
合
計
2,395
ノイ州イタスカ)に、買い取
資料:ボイスカスケード社資料
ったボイスカスケード社の
資産を売却する。
つまりボイスカスケードの工場や流通施設の大半の所有権が、マディ
ソン社を通じてオフィスマックス社に移転する。ボイスカスケード社は、
現在の紙、建材販売額の3分の2を占める工場・流通施設を売却するこ
とになる。ボイスカスケード社の売却作業は、今年 11 月半ばに完了する
予定である。
今回、ボイスカスケード社が売却の対象としなかった工場や流通施設
は、社名をボイスカスケード LLC(現在の社名はボイスカスケード Co.)
と変更して、本社をアイダホ州ボイスに置く。また 1999 年にウェアハウ
ザー社が買収する前にマックミランブローデル社の社長であったトーマ
1
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ス・ステファン氏がボイスカスケード LLC の経営にあたる。
オフィスマックス社は、ボイスカスケード社から購入する工場や流通
拠点の将来の運用について、今のところアナウンスをしていない。しか
しボイスカスケード社のヘラード首席役員は、売却対象とならなかった
流通施設の内の 56 カ所がこれからの2年における閉鎖の対象となって
おり、実際は 26∼31 カ所が閉鎖されるであろうと語っている。
現在ボイスカスケード社は、米国内 57 カ所、カナダ(7カ所)、オー
ストラリア(8カ所)、ニュージランド(4カ所)、メキシコ(1カ所)
に流通施設を、米国内 898 店の他メキシコに 33 店のスーパーマーケット
(小売店)、米国内に 27 の建材卸売流通施設を、6つの製材工場、11 の
合板工場、1つのパーティクルボード工場、3つの LVL・Iジョイスト
工場(内1工場はカナダ)、1 つの木製梁工場等を所有している他、米国
内に 236 万エーカー(約 95 万 5,000ha)、ブラジルに3万 5,000 エーカ
ー(1万 4,000ha)の山林を保有している。
ボイスカスケード社の加工、流通施設
1. ボイスオフィスソリューション
(1)流通部門(契約ベース販売)
州・国名
件数
州・国名
アリゾナ
2 イリノイ
カリフォルニア
4 インディアナ
コロラド
2 ケンタッキー
デラウエア
1 メイン
ワシントンD.C.
1 マサチューセッツ
フロリダ
3 ミシガン
ジョージア
2 ミネソタ
ハワイ
4 ミズーリ
アイダホ
1 ニュージャージー
(2)販売店(契約ベース販売)
州・国名
ハワイ
カナダ
オーストラリア
ニュージランド
合 計
件数
5
69
6
22
102
件数
2
1
1
1
2
2
2
3
2
州・国名
ニューメキシコ
ニューヨーク
ノースカロライナ
オハイオ
オクラホマ
オレゴン
ペンシルバニア
テネシー
テキサス
件数
⑶カスタマーサービス・販売センター
(非契約ベース販売)
州・国名
件数
イリノイ
2
オハイオ
1
オクラホマ
1
バージニア
1
ワイオミング
1
合 計
6
1
2
1
2
1
1
2
2
4
州・国名
ユタ
バージニア
ワシントン
ウィスコンシン
米国計
カナダ
オーストラリア
ニュージランド
メキシコ
合 計
件数
1
1
2
1
57
7
8
4
1
77
(4)卸売・加工施設
州・国名
オーストラリア
ニュージランド
合 計
件数
1
4
5
資料:ボイスカスケード社資料
2
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2.ボイスオフィスソリューションズ
⑴スーパーストアー
州・国名
件数
州・国名
アラバマ
13 インディアナ
アラスカ
3 アイオワ
アーカンサス
2 カンサス
アリゾナ
33 ケンタッキー
カリフォルニア
80 ルイジアナ
コロラド
24 メイン
コネチカット
9 メリーランド
デラウエア
1 マサチューセッツ
フロリダ
55 ミシガン
ジョージア
30 ミネソタ
ハワイ
4 ミシシッピー
アイダホ
6 ミズーリ
イリノイ
54 モンタナ
件数
16
10
11
8
7
1
1
14
42
33
6
24
3
州・国名
ネブラスカ
ネバダ
ニューハンプシャー
ニュージャージー
ニューメキシコ
ニューヨーク
ノースカロライナ
ノースダコタ
オハイオ
オクラホマ
オレゴン
ペンシルバニア
ロードアイランド
件数
7
13
3
15
9
35
26
3
50
2
10
28
2
注: メキシコの店舗はボイスカスケード社が株式の51%を所有。
州・国名
サウスカロライナ
サウスダコタ
テネシー
テキサス
ユタ
バージニア
ワシントン
ウエストバージニア
ウィスコンシン
ワイオミング
プエルトリコ
バージンアイランズ
米国計
メキシコ
合 計
件数
9
3
23
70
15
22
19
5
27
2
9
1
898
33
931
⑵大規模ディストリビューションセンター
州・国名
件数
アラバマ
1
ネバダ
1
ペンシルバニア
1
合 計
3
3.ボイスビルディングソリューションズ
(1)建材流通施設
州・国名
件数
州・国名
アリゾナ
1 イリノイ
カリフォルニア
1 メリーランド
コロラド
2 マサチューセッツ
フロリダ
1 ミシガン
ジョージア
1 ミネソタ
アイダホ
2 モンタナ
(2)製材工場
州・国名
アラバマ
オレゴン
ワシントン
合 計
件数
1
3
2
6
⑸LVL、I-ジョイスト工場
州・国名
件数
ルイジアナ
1
オレゴン
1
米国計
2
カナダ
1
合 計
3
件数
1
1
1
1
1
1
州・国名
ニューハンプシャー
ニュージャージー
ニューメキシコ
ノースカロライナ
オクラホマ
テネシー
⑶合板工場
州・国名
ルイジアナ
オレゴン
ワシントン
ブラジル
合 計
⑹木製梁工場
州・国名
アイダホ
合 計
件数
2
7
1
1
11
件数
州・国名
1 テキサス
1 ユタ
1 ワシントン
1
合 計
1
1
件数
2
1
4
27
⑷パーティクルボード工場
州・国名
件数
オレゴン
1
合 計
1
件数
1
1
資料:ボイスカスケード社資料
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July 27, 2004
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オチョコランバー社 オレゴン州からリトアニアに移転
アメリカ東海岸と日本にポンデロッサパインを原料としたドア、窓を
出荷しているオチョコランバー社(オレゴン州プリーンビル)は、オレゴ
ン州の工場を閉鎖して、リトアニアの生産拠点を中心として事業を展開
する。マダラフクロウやサーモンの保護のため、連邦有林での伐採がで
きなくなった 1980 年代末から、西部では約 485 の工場が閉鎖している。
しかしオチョコランバー社は、ロシアの丸太を加工する工場をリトアニ
アに建設するとともに、南米、ニュージランドから製材品を輸入し、ま
たロシアの港湾への投資も行ってきた。
オチョコランバー社はミネソタとミシガンから移住してきた6つの家
族が、当初は4万エーカー(約 1 万 6,000ha)のポンデロッサパイン林
を買い上げて、1927 年に創った会社である。同社は最初工場を、鉄道の
便が良いプリンビルで 1938 年に操業させた。また 1988 年には原木の供
給事情により、1,200 万 USD を投資して、他の工場にはない先見性をも
って小径木加工設備を導入した。しかしその後、連邦予算が削減され、
野生生物保護規制が強化されて、連邦山林局も製材工場が稼働するのに
充分な丸太を供給できなくなった。オチョコランバー社はこの時点で、
工場に必要な丸太の供給源を、北米以外の地域に求める決断をした。
オレゴン州とほぼ同じ広さのリトアニアには、ソ連崩壊後、整備され
た道路、鉄道、バルチック海を望む港、高い水準の労働力が、海外から
の投資を待っていた。オチョコランバー社は、アメリカの製材設備を購
入するために、はじめはリトアニアのセメント工場を買収した。その後
1995 年には産業用のパインとスプルースの丸太を、鉄道で 2,500 マイル
(4,000km)かなたのロシアや、ベルルーシ、ウクライナから得て、木材
製品生産を開始した。オチョコランバー社のリトアニア工場は、今では
同社の販売額の 25%を占めるに至っている。
野生動物保護のための規制が強化される前までは、オチョコランバー
社の購入する丸太に占める公有林材の割合は 80%であったが、今では
10%でしかない。ブッシュ政権は、連邦有林の伐採を活性化させようと
努力しているが、まだ新たな設備投資を引き出すまでには至っていない。
しかしブッシュ政権の方針が実現されれば、オチョコランバー社は今で
は7万エーカー(約2万 8,000ha)に拡大している自社有林を利用しな
がら、オレゴン州で事業を再開すると同社の社長は語っている。
(7 月 24 日付 シアトルポストインテリジェンサー紙)
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July 27, 2004
JAWIC
ワシントン州ファイヤークロージャー
−コースト地区北部でも実施−
ワシントン州コースト地区の北部に位置する 658 林区にも山林火災警
戒水準「レベルⅢ」が指定された。ワシントン州ではまとまった降雨が
なく湿度は低下しているが、気温は先週と比べれば低下してきている。
なおオレゴン州の山林火災警戒水準には、今のところ変化がない。
オレゴン州の山林火災警戒水準
ワシントン州天然資源局ウェブサイトから転載
BC 州山林火災は再び拡大
7月 27 日現在の BC 州の山林火災件数は 388 件で、原因の内訳は、322
件は落雷、52 件は人為、他の4件は判っていない。388 件という火災件
数は、昨年同日の 175 件の2倍以上の件数である。BC 州内の山林火災警
戒水準地図の上でも、大変危険な状態を示す赤色のエリアが拡大してき
ている。BC 州では、来週も南半分では暑くて乾燥した日が続く一方で、
BC 州の北半分の来週の天候は、気温が低下して小雨も期待できるとの予
報が発表されている。
BC 州で現在延焼中の大規模火災は、キナクリニバレー火災とターナー
レイク・ロンサムレイク火災。
キナクリニバレー火災は落雷が原因であり、カムループスの北方約
100km にあるクリアーウォーターの南西 25km で 2,500ha を焼いて延焼中
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July 27, 2004
JAWIC
である。またウィリアムレイクの西方約 400km のサウスツウィードムア
ー公園内で発生しているターナーレイク・ロンサムレイク火災も落雷が
原因で、1万 300ha を焼いている。この火災はインターフェイス火災で、
一定の林区の中で、複数の火災が複合したり、散在したりしている状態
にある。
BC州の森林火災発生状況
火災件数
落雷による新規火
人為による新規火
延焼中件数(落雷)
延焼中件数(人為)
火災延べ件数
火災延べ面積(ha)
BC州合計
381
23
11
331
46
1,495
151,267
(2004年7月26日)
コースタル ノースウエスト プリンスジョー カムループス サウスイースト
21
86
57
110
45
1
0
6
4
8
3
0
0
6
1
8
82
53
85
44
12
3
4
25
1
173
173
291
405
156
658
90,459
44,094
4,670
308
カリブー
62
4
1
59
1
297
11,078
注1: 火災件数には初期火災、延焼中火災、警戒箇所、巡視箇所、最終鎮火作業件数を含む。
注2: 新規火災は前日の件数。
注3: 火災延べ件数、火災延べ面積は4月1日からの累積値。
資料: BC州ウェブサイト
森林に対する各種の規制状況
裸火の使用
キャンプファイヤー
森林への立ち入り
旅行・通過
コースタル
×
×
〇
〇
(2004年7月26日)
ノースウエスト プリンスジョー カムループス サウスイースト
〇
〇
×
×
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
カリブー
×
〇
×
〇
注: 〇は規制なし、×は規制
資料: BC州ウェブサイト
BC 州ファイヤーセンター管区図
BC 州森林局ウェブサイトから転載
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July 27, 2004
JAWIC
山林火災警戒水準
気
温
降雨量
湿
度
いずれも BC 州森林省ウェブサイトから転載した。7 月 27 日午後 1 時の状況
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